説明

Ce−Zr−R−O触媒、Ce−Zr−R−O触媒を含む物品並びに該Ce−Zr−R−O触媒の製造及び使用方法

本明細書において開示されたのは、NOx還元触媒、微粒子フィルター、排気処理システム、及びガス流れの処理方法である。一実施態様において、NOx還元触媒はCe−Zr−R−A−M−Oを含む。「R」はW及び/又はMnである。「R」がWである場合、「A」はMo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み、「R」がMnである場合、AはW、Mo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含む。「M」は三価の希土類イオンである。a+b+c+d+e=1である。「a」は約0.1〜約0.6であり;「b」は約0.25〜約0.7であり;「c」は約0.02〜約0.5であり;そして「R」がMnである場合、「d」は約0.04〜約0.2であり、「R」がWである場合、「d」は約0.2以下であるが;「e」は約0.15以下である。NOx還元触媒はNOxを還元することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本開示は触媒、特に、セリウム、ジルコニウム、及びマンガン及び/又はタングステンを含む選択触媒還元の触媒に関し、また該触媒の製造及び使用方法に関する。
【0002】
元の装置製造者(OEM)は間もなく始まる排出規制に追い立てられて、これらの規制に適合させるために後処理装置、例えば、排気浄化装置を排気システムに導入する。これらの排気浄化装置は以下を含んでよい:触媒コンバータ(例えば、三元触媒、酸化触媒、選択触媒還元(SCR)触媒等)、蒸発ガス装置、洗浄装置(例えば、炭化水素(HC)、硫黄等)、微粒子のフィルター/トラップ、吸着装置/吸着装置、プラズマ反応装置(例えば、非熱的プラズマ反応装置)等。
【0003】
今後のディーゼル排気規制に直面する時の主な課題は、本質的にリーンな排気の空燃比のために窒素の酸化物(NOx)を処理することである。NOx処理の一方法は、還元剤としてアンモニアを使用するSCR触媒の使用である。目下、アンモニアは、SCR触媒の上流で熱い排気ガス中に尿素水を噴射することによって車両に搭載された状態で製造される。尿素は排気システムにおいてアンモニアに分解され、該アンモニアを使用してSCR触媒によってNOxと反応させる。望ましい反応はアンモニアNH、窒素酸化物(NOx)、及び酸素(O)を含み、これらは触媒の存在下で窒素(N)と水(HO)に転換される。
【0004】
排出規制に適合する試みにおいて設計された排出システムは複雑且つ高い温度感受性になり易い。温度感受性のために、構成要素の(即ち、構成要素における触媒の)不活性化を抑止して触媒使用温度を達成且つ保持するために、システムの多くの構成要素は排出システムにおいて特定の位置を必要とする。
【0005】
当該技術において常に必要とされるものは簡略化されたシステム及び/又は触媒であり、これらはより広い使用範囲を有しており、従って排気システムの設計上の融通性をより高めることができる。
【0006】
要約
本明細書において開示されたのは、NOx還元触媒、微粒子フィルター、排気処理システム、及びガス流れの処理方法である。
【0007】
一実施態様において、NOx還元触媒はCe−Zr−R−A−M−Oを含む。「R」はW及び/又はMnである。「R」がWである場合、「A」はMo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み、「R」がMnである場合、「A」はW、Mo、Ta、Nb及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含む。「M」は三価の希土類イオンである。a+b+c+d+e=1である。「a」は約0.1〜約0.6であり;「b」は約0.25〜約0.7であり;「c」は約0.02〜約0.5であり;そして「R」がMnである場合、「d」は約0.04〜約0.2であり、「R」がWである場合、「d」は約0.2以下であるが;「e」は約0.15以下である。NOx還元触媒はNOxを還元することができる。
【0008】
一実施態様において、微粒子フィルターはシェルとガス流れから特定の物質を除去するためのフィルターエレメントとを含む。フィルターエレメントはシェル内に置かれてNOx還元触媒を含む。
【0009】
一実施態様において、ガス流れの処理方法は、ガス流れをNOx還元触媒に導入することと、最初のガス流れ中のNOxの全体積を基準として、約50体積%以上のNOxをガス流れ中で還元することとを含んでおり、その際、ガス流れは約150℃〜約550℃の温度を有する。
【0010】
別の実施態様において、ガス流れの処理方法は:酸化触媒で排気ガスを処理せずに微粒子フィルターに排気ガスを導入すること、この排気ガスを微粒子フィルターから直接任意のSCRに通すこと、及び従ってこの排気ガスを環境中に直接排出させることを含む。SCRが存在する場合、SCR及び/又は微粒子フィルターがNOx還元触媒を含み、SCRが存在しない場合、微粒子フィルターがNOx還元触媒を含む。
【0011】
一実施態様において、NOx処理システムは:酸化触媒で処理されていなかった排気ガスを受けることができるように配置された微粒子フィルターと、場合により下流に配置され且つ微粒子フィルターから直接ガスを受けるための微粒子フィルターと直接流体連通したSCR触媒と、SCRが存在する場合はSCRと、又はSCRが存在しない場合は微粒子フィルターと直接流体連通した環境への排気口と、を含む。SCRが存在する場合、SCR及び/又は微粒子フィルターはNOx還元触媒を含み、SCRが存在しない場合、微粒子フィルターはNOx還元触媒を含む。
【0012】
一実施態様において、NOx触媒の製造方法は:セリウム塩を溶解させて第1の酸性溶液を形成することと、ジルコニウム塩を溶解させて第2の酸性溶液を形成することと、「R」の塩を溶解させることと、を含み、その際、「R」がMnである場合、「R」を溶解させて第3の酸性溶液を形成し、「R」がWの場合、「R」を溶解させて第1の塩基性溶液を形成する。「R」がMnである場合、「A」の塩を溶解させて第2の塩基性溶液を形成し、その際、「A」はW、Mo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含む。第1の酸性溶液と第2の酸性溶液と、存在する場合、第2の塩基性溶液と、存在する場合、第3の酸性溶液と、存在する場合、第1の塩基性溶液とを混合して沈殿を形成し、これを乾燥させ、焼成して触媒を形成する。
【0013】
上述の特徴及び他の特徴は、以下の詳細な説明、図面、及び添付の特許請求の範囲から当業者によって理解及び解釈されるであろう。
【0014】
詳細な説明
改質されていないマンガン触媒は、アンモニアSCRに対して狭い温度域を有する。それというのは、適度な温度(例えば、300℃)において、これらの触媒がNHを無差別にNOxに酸化し始めるからである。チタニアは、高温において揮発性ではないが、マンガンと一緒に十分に働かないため、試みるための論理要素であった。タングステンの場合、これは高温において揮発性になる傾向があるため働きそうにないと思われる。例えば、V−W−Ti−O触媒(ここでW(VI)はアナタース形二酸化チタンの表面上で支えられている)の場合、WOが約600℃の温度で揮発し得るという事実に苦しむ。更に、WOはアルミナ上に保持された時は揮発性である。従って、Mn−W−Al−O触媒の場合、高温での経年変化後に使用可能であることは期待されていない。
【0015】
本発明者らの知る限り、6より大きい配位数を有する酸化物システムでのタングステンの報告はないが、タングステン蛍石型構造が求められた。蛍石において、全ての原子が通常の結晶位置にある場合、金属原子は8つの酸素原子によって配位されており、この金属原子は8つの酸素原子の立方の中心にある。
【0016】
Ce−Zr−R−A−M−O組成物(例えば、Ce−Zr−Mn−W−O触媒、及びCe−Zr−W−O触媒)のいくつかの実施態様は、1つ又はそれ以上の上述の課題を解決するものと思われる。温度域が広がったが、850℃と950℃におけるタングステンの揮発性の証拠は見出されなかった。別の酸化物とWOとの単なる均質混合物とは対照的に、本発明者らの組成物は新規な化合物であると考えられる。タングステンが本発明の組成物の蛍石構造中に入り込むと思われる事実は前例がない。更に、同時に蛍石中に存在するCe−Zr−W−A−O(ここでAは、任意に、Nb、Ta、及び/又はMoである)のように、同時に蛍石中に存在するCe−Zr−Mn−A−O(ここでAはW、Nb、Ta、及び/又はMoである)もまた前例がない。理論に縛られなければ、タングステンの場合、蛍石構造が重要であると考えられる。それというのは、アルミナ(スピネルγ−Al又はコランダムα−Alのいずれか)又はチタニア(アナタース又はルチルのいずれか)又はシリカ(ゼオライト、又は非晶質シリカ、又は石英であろうと)とは異なり、蛍石構造は格子位置においてタングステン原子を収容するからである。他の酸化物では、タングステンは単に酸化物と混合されたにすぎず、格子の一部ではない。
【0017】
Ce−Zr−R−A−M−O触媒、例えば、メソ多孔質Ce−Zr−Mn−A−M−O蛍石触媒(場合により蛍石及びMnWO相の両方を含む)は、NOx還元触媒であり、該触媒は約150℃の着火温度、約150℃〜約300℃でのNOx転化、及び約850℃以下の及びそれを超える熱安定性によってNOx還元を達成できる。本明細書で使用されるように、ある材料の50%以上の気孔容量が、細孔において2ナノメートル(nm)〜50nmのサイズ(主軸に沿って測定される)を有する場合、この材料は「メソ多孔質」である。この触媒は特にNOx還元に有用であり且つ貴金属触媒を必要とせずに(例えば、複数のNO〜NOの転化を必要とせずに)NOxを還元することができる。「標準反応」及び「高速反応」として知られた、NOxの触媒還元の2つの一般的な機構は次の通りである:

「標準反応」がより良い結果を達成する時、NOを形成するための触媒は必要とされない;例えば、NOx触媒又はその上流によって貴金属(例えば、プラチナ)触媒は必要とされない。この触媒は下流のSCR装置、例えば、床下触媒として利用できるか又は微粒子フィルター後に廃棄できるか、あるいは微粒子フィルターと組み合わせてNOxを還元し、またすすを除去することができる。
【0018】
SCR装置が、微粒子フィルターとして作用するCe−Zr−R−A−M−O触媒の下流である場合、SCR触媒は、NOxをアンモニアで還元することで知られた種々の材料、例えば、銅もしくは鉄、又はアナタース形二酸化チタン上に保持されたバナジウム酸塩(場合によりタングステン酸塩又はモリブデナ)を含有するゼオライトであってよい。別の実施態様ではCe−Zr−R−A−M−O触媒はSCR、微粒子フィルターの下流に配置できる。
【0019】
触媒の式はCe−Zr−R−A−M−Oである。下付き数字a、b、c、d、e及びxは原子分率を表すが、ただし(a+b+c+d+e=1)である。更に、「a」の値は約0.1〜約0.6、又は更に具体的には約0.25〜約0.5、更に一層具体的には約0.3〜約0.4であってよい。「b」は約0.25〜約0.7、又は更に具体的には約0.3〜約0.6、更に一層具体的には約0.35〜約0.5であってよい。「c」は約0.02〜約0.5、又は更に具体的には約0.1〜約0.4、更に一層具体的には約0.2〜約0.35、又はいくつかの実施態様において0.05〜約0.2であってよい。「R」がMnである場合、「d」は約0.04〜約0.2、又は更に具体的には約0.05〜約0.15、更に一層具体的には約0.07〜約0.12であってよい。「R」がWである場合、「d」は約0.2以下、又は更に具体的には約0.04〜約0.2、更に一層具体的には約0.05〜約0.15、更に一層具体的には約0.07〜約0.12であってよい。「e」は約0.15以下、又は更に具体的には約0.03〜約0.1であってよい。「x」の正確な値(従ってδの正確な値)は、金属成分の種類、その電荷、原子分率、及び金属酸化物が中性の全電荷を有するという要求条件によって変わる。触媒の例として、例えば、Ce0.35−Zr0.35−Mn0.25−W0.05−O;Ce0.30−Zr0.30−Mn0.30−W0.1−O;及びCe0.45−Zr0.450.1−O2+δが挙げられる。
【0020】
「R」はMn又はWである。「R」がMnである場合、「A」はW、Mo、Ta及びNb、並びに少なくとも1種の上述のものを含む組み合わせを含む。RがWである場合、Aは、場合により、Mo、Ta及びNb、並びに少なくとも1種の上述の物質を含む組み合わせを含む。「M」は、場合により、三価の希土類イオン(例えば、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、ルテチウム(Lu)、サマリウム(Sm)、及びガドリニウム(Gd)、並びに少なくとも1種の上述のものを含む組み合わせを含む。幾つかの実施態様において、触媒はLa及びY不含である。本明細書で定義される「不含」とは、La及びYは触媒に添加されないが、触媒を作るために使用される試薬中で不純物として存在し得ることを意味する。
【0021】
Ce−Zr−R−A−M−O触媒は様々な方式で形成できる。例えば、セリウム、ジルコニウム、「M」及び「R」(「R」がMnである場合)の水溶性塩は、塩を溶解する十分な酸性溶液(例えば、弱酸性の溶液、例えば、約2.0以下のpH、又は更に具体的には約0.5〜約2.0のpH)中で調製され得る。しかしながら、Wについては、(「R」がWの時)、例えば、塩を水中で溶かしてpH約7.5〜約10.0、又は更に具体的にはpH約7.5〜約9.0の溶液を得ることによって、タングステン、有利にはタングステン酸ナトリウム又はタングステン酸アンモニウムの水溶性塩が調製される。「A」の塩(例えば、ナトリウム塩及び/又はアンモニウム塩)は、塩基性溶液(pH約7.5〜約10.0を有する)中に溶かすことができる。例えば、セリウム、ジルコニウム、「R」(「R」がMnである場合)及び「M」については、これらの塩は、硝酸塩、酢酸塩、及び/又は塩化物(有利には硝酸塩及び/又は酢酸塩)であってよく、硝酸又は酢酸はこの溶液を酸性化するのに適した酸である。「A」及び「R」については(「R」がWである場合)、塩はアルカリ塩又はアンモニウム塩(有利にはナトリウム塩)であってよく、場合により、好適な塩基性溶液を維持するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化テトラアルキルアンモニウムが存在する。
【0022】
塩は適切な溶液中で別個に溶かされ、次いで組み合わされてよい。あるいは、酸性溶液は1つの溶液として形成でき、塩基溶液も1つの溶液として形成できる。一実施態様において、硝酸セリウム(III)水和物を、追加の酸を用いずに水中に溶かすことができ、例えば、pH約1.2〜約1.4の溶液が得られる。硝酸マンガンは過剰の酸を使わずに溶かすことができ、例えば、pH約1.4の溶液が得られる。その一方、硝酸ジルコニル水和物は少量の硝酸で水中に溶かすことができ、例えば、pH約0.7の溶液が得られる。これらの溶液は、場合により、塩基性溶液と組み合わすために最初に組み合わせて単一の酸性溶液を形成するか、又は各々を一段階で塩基性溶液と直接組み合わせてよい。塩基性溶液に関して、NaWOは、例えば、過剰の塩基を使わずに溶かすことができ、例えば、pH約8.5の溶液が得られ、及び/又は[NH101241は過剰の塩基を使わずに溶かすことができ、例えば、pH約7.8〜8.0の溶液が得られる。モリブデン酸、タンタル酸又はニオブ酸のナトリウム塩又はアンモニウム塩を同様に溶かすことができる。これらの酸性溶液を用いて、塩基性溶液を最初に組み合わせて単一の塩基性溶液を形成するか、又は該塩基性溶液を個別に直接酸性溶液に添加して沈殿物を形成してよい。
【0023】
これらの溶液を、例えば、塩基性溶液を酸性溶液に添加することによって混合し、最初の沈殿物を形成してよい。場合により、混合物前に、1種又は複数種の溶液を、例えば、約50℃〜約90℃に加熱してよい。NaOH又はKOHを添加することによって沈殿を完了させ、pHを、例えば、約8.8〜約9.2に上昇させる。次に溶液は、場合により約50℃〜約90℃、又は更に具体的には、約60℃〜約80℃(例えば、約70℃)の温度に加熱され、約6時間以下又はその程度(例えば、約1〜約6時間、又は更に具体的には、約1.5〜約2.5時間(例えば、約2時間)にわたり撹拌される。次に沈殿物を洗って可溶性塩を除去し、乾燥(例えば、能動的及び/又は受動的に)及び焼成してよい。焼成は約700℃以下、又は更に具体的には、約600℃〜約700℃、又は更に一層具体的には、約650℃〜約700℃の温度であってよい。
【0024】
100グラムパーリットル(g/リットル)又は更に多いXO濃度(ここで「X」はCe、Zr、「R」(「R」はMnである)及び「M」を表す)を有する前駆体溶液を調製及び使用することが可能である。このXOの命名において、Ce(III)塩(例えば、硝酸Ce(III))、ジルコニル塩(例えば、硝酸ジルコニル)、及びMn(II)塩(例えば、硝酸Mn(II))に相当するCeO、ZrO及びMnOの量が計算され、前駆体溶液(例えば、硝酸溶液)に注入される。「R」がWの場合、20g/リットル以下のWOに相当するタングステン濃度を含有する最初の溶液が調製される。例えば、タングステンの濃度は、XO酸性溶液に添加する前に元の塩基性溶液において、約15g/リットル〜約25g/リットルのWO(例えば、約20g/リットルのWO)に相当する。その一方、Ce、Zr、Mn、及び「M」の濃度はそれぞれ約50gXO/リットル〜約100gXO/リットルであってよい。
【0025】
また、前駆体硝酸塩が上述の試料の調製中に使用されたが、その一方で、例えば、酢酸塩及び/又は塩化物塩をはじめとする、セリウム、ジルコニウム、及びマンガンの他の水溶性塩を使用できることが注目されている。塩化物塩が使用される場合、沈殿物が洗われると確実に塩化ナトリムがほぼ完全に除去される。
【0026】
全ての材料が所望の触媒を与えるわけではないことに留意されたい。図8に見られる通り、6元素のCe−Zr−La−Y−Mn−Fe触媒(ライン807)は、1000℃での処理後に熱安定性の蛍石構造を有するが、類似のより単純な組成物よりもSCRに対する活性が低い。MnとFeの両方は低濃度(約2モル%)のみその材料に存在した。また高濃度のマンガンを図8に示す。Mnモルフラクションを2%から30%まで増加させると、NOx還元温度域が段階的により低い温度まで広がる(ライン801、803、805、及び809)。
【0027】
同様に、二酸化チタン(TiO)の利用、例えば、組成物中の種々の量のTiOの使用は、図9に示される通り、性能を向上させない。図9は実際に、二酸化チタンが、約450℃以上の温度での寄生酸化(parasitic oxidation)を低減させることができなかったことを示す。触媒中の二酸化チタン量が増加するにつれて、触媒のNOx転化が(ライン901(最小量の二酸化チタン(2.5モル%))からライン907(最大量の二酸化チタン(20モル%))まで低下することが分かる。
【0028】
触媒の構造は性能、例えば、NOx及び/又はNH転化に影響を与えることができる。(NH101241及びNa(WO)の両方がCe−Zr−R−A−M−O触媒の合成に有用であることが判明した。幾つかの合成触媒では、触媒は蛍石相とMnWO相の両方を含有していることに留意されたい。次に、本発明者らは、700℃で焼成されたCe0.3Zr0.3Mn0.30.1中のMnWOに対する蛍石の比を、X線回析の結果に基づいて概算することができる。本発明者らは200蛍石反射と011MnWO反射を試験する。X線回析のパターンでの最も強い特徴は、本発明者らの回析パターンにおいて約30°の2シータで生じ;この回析強度は蛍石(100)とMnWO(1−バール1l)の寄与から得られる。そのため、本発明者らの分析は、蛍石のみによる反射、即ち、約26.3°2−シータで生じる、MnWOについて約34°2−シータ)及び(011)で生じる(200)反射に基づく。本発明者らは、JCPDSカード13−0434(MnWOの場合)及び43−1002(CeOの場合)で報告されたように、これら2つの回析の最大強度を測定し、これらの回析の相対強度に従ってこれらの重さを計る。JCPDSは粉末回析標準加盟委員会(Join Committee on Powder Diffraction Standards)の頭字語であり、目下、国際回析データセンターと関係がある。MnWO/蛍石比は次のように大まかに記載することができる:
【数1】

MnWO/蛍石比は約0.25以下、又は更に詳細には、約0.15以下であってよい。
【0029】
典型的な合成方法は、アルカリ水酸化物水溶液(例えば、NaOH及び/又はKOH溶液)中で、適当な量のNaWOを溶解させることを含む。別個に、セリウム、ジルコニウム、及びマンガンの硝酸塩(例えば、Ce(NO水和物、ZrO(NO水和物、及びMn(NO)を、溶解を促進させるために場合によりわずかな硝酸を含有する水性酸性酸に溶かすことができる。これらの溶液が徐々に組み合わされると、Ce−Zr−Mn−W−O材料が沈殿する。沈殿を洗って焼成する。
【0030】
Ce−Zr−R−A−M−O触媒がSCR装置中、例えば、床下位置で使用される場合、SCR装置は多孔質支持体を含み、Ce−Zr−R−A−M−O触媒がその中に及び/又はその上に配置されている。多孔質支持体材料の例として、コーディエライト、金属支持体、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(例えば、ジルコニウム強化アルミナ)等、並びに少なくとも1種の上述の材料を含む組み合わせが挙げられる。多孔質支持体は、モノリス、スポンジ、フォイル等の形であってよく、また保護膜、例えば、ホスフェート又は金属ホスフェートの保護膜を含んでよい。
【0031】
あるいは又は更に、Ce−Zr−R−A−M−O触媒を微粒子フィルターに配置してよい。微粒子フィルターは、排気流から微粒子物質を除去し且つ係る微粒子物質の大気中への放出を防ぐことが可能なフィルター及び設計を含むことができる。更に、Ce−Zr−R−A−M−O触媒もフィルターに配置された場合、該フィルターはNOxの還元が可能である。例えば、600℃での焼成後、幾つかのCe−Zr−R−A−M−O触媒は、50体積百万分率(ppm)未満に至るまでNOx転化(即ち、転化率85%)が可能であり且つ約200℃〜約415℃の温度にわたって達成できる。
【0032】
上述のように、Ce−Zr−R−A−M−O触媒は、微粒子フィルター中で使用できる。微粒子フィルターは一般的にシェルとフィルターエレメントを含み、保持材料がそれらの間に配置されている。フィルターエレメントは排気流から微粒子物質を除去する。フィルターエレメントは環境中で使用するために設計された材料を含み、これはガス流れからの微粒子材料を除去することができる。複数の可能な材料として、セラミック(例えば、押し出し加工セラミック)、金属(例えば、押し出し加工の、焼結金属)、及びシリコンカーバイド;その他、並びに少なくとも1種の上述の材料、例えば、コーディエライト、酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、焼結鋼(例えば、焼結ステンレス鋼)を含む組み合わせが挙げられる。例えば、フィルターエレメントは、複数のチャネル、例えば、平行チャネルからなるハネカム構造を有するガス透過性セラミック材料を含むことができる。チャネルは交互に入り口チャネルと出口チャネルに分割できる。入り口チャネルはフィルターエレメントの入口端で開かれ且つフィルターエレメントの反対端で閉じられるが、出口チャネルは入口端で閉じられ且つ出口端で開かれる。入口及び出口チャネルは多孔質の縦型側壁によって隔てられており、該側壁はその長さに沿って入口チャネルから出口チャネルへ排気ガスを通すことを可能にする。
【0033】
場合により、すす酸化に適した組成物を1つ以上の入口チャネルに配置でき、その一方、Ce−Zr−R−A−M−O触媒を1つ以上の出口チャネルに配置できる。これらの材料は、洗浄、被覆、吸収、浸透、物理吸収(physisorbed)、化学吸着、沈殿、噴霧されてよく、さもなければフィルターエレメントに適用してよい。微粒子フィルター中のCe−Zr−R−A−M−O触媒の配置に応じて、すす酸化のための組成物もまた、他の排出成分とのその反応性について選んで良い。例えば、関心温度範囲内で(例えば、150℃〜約500℃かそこらで)NOxの共反応なしに、アンモニア(又は尿素)を無差別に酸化しないすす酸化組成物を選んでよい。
【0034】
すす酸化触媒は、すすを酸化できる任意の材料であり、該材料は約550℃未満の点火温度を有し、約600℃未満の温度でNHを酸化する活性を有していない。かかる触媒の可能な例は、米国特許出願公開第2005−0282698号に記載された、アンモニア酸化活性のない触媒の例である。多くの卑金属触媒組成物はこの種類の活性を提供する。しかしながら、白金(Pt)及び/又はパラジウム(Pd)を含有するすす酸化触媒は一般的に適していない。
【0035】
酸化触媒を利用する場合、SCR装置と同様に、酸化触媒は基材、触媒材料、及びシェルを含み、保持材料は該基材と該シェルとの間に配置されている。酸化触媒のための触媒材料は、少なくとも1種のHCとCOを、それぞれ、水とCOに酸化することが可能な触媒であってよく、有利には、該触媒はNOをNOに酸化しない。基材は微粒子フィルター及び/又はSCR装置に利用される材料を含んでよい。基材は任意の大きさ又は形状を有してよいが、有利には、この大きさと形状は、所与の排気浄化装置において表面積を最適にするように選ばれる。典型的には、基材はハネカム形状を有し、コームからチャネルにかけて多辺形又は円形を有し、有利には製造の容易さと増加した表面積のため、実質的に正方形、三角形、五角形、六角形、七角形、又は八角形、又は類似の形状を有する。
【0036】
上述の通り、本発明の触媒作用の機構により、該触媒は、「標準反応」の条件下で作用させた時にNOx還元とアンモニア転化を向上させたように見える。結果としてディーゼルエンジンからの排気は、場合によりマニホルドから直接微粒子フィルターを通過し、微粒子フィルターから直接任意のSCRを通過し、そして直接(即ち、追加の又は他の排気処理装置を使用せずに)環境へ排出される。この実施態様において、Ce−Zr−R−A−M−O触媒を、微粒子フィルター及び/又はSCRに配置してよい。触媒の配置に関わらず、アンモニア(及び/又は尿素)もまた、触媒を含む装置への直接導入によって、又はその上流の排気流への導入によって、触媒に導入される。あるいは、アンモニアはアンモニア性塩、例えば、Mg(NHClからのアンモニアの熱脱離を通して機内で生成され、専用のアンモニア送達システムに収容され得る。この触媒が約150℃以上の温度に達したら、これに着火して、NHとNOxを窒素と水に転化させる。
【0037】
触媒が微粒子フィルター、例えば、フィルターの外側チャネルに配置された場合、排気流は入口チャネル中に流れ込んでチャネルの壁を通り、それによって流れからのすすと微粒物質が取り除かれる。流れが出口チャネルを通る時に、NOxとアンモニアは窒素と水に転化される。流れがフィルターを出た後、場合により、環境に排出する前に、これを処理して流れ中のHCとCOを酸化してよい。
【0038】
酸化触媒を利用する時、NOをNOに転化しないが、HCとCOを酸化する酸化触媒を利用することが有利である。酸化触媒から、流れは微粒子フィルターを通過してすす及び/又は他の特定の物質を除去することができる。Ce−Zr−R−A−M−O触媒がフィルターに配置されない場合、NOxはCe−Zr−R−A−M−O触媒を含むSCRにおいて下流で還元される。
【0039】
以下の実施例は、単に本発明のCe−Zr−R−A−M−O触媒を更に例示するに過ぎず、その範囲を限定しないことが示されている。
【0040】
ここで図面を参照すると、これらは例示的な実施態様であり、その際、同じ要素は一様に番号付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、Ce−Zr−Mn−W−O触媒及びMnCe触媒の様々な入り口温度におけるNOx転化パーセントの図表による比較を示す。
【図2】図2は、熟成したCe−Zr−Mn−W−O触媒に対する初期の及び熟成したVOx−WO−TiO触媒の様々な入り口温度におけるNOx転化パーセントの図表による比較を示す。
【図3】図3は、熟成したCe−Zr−Mn−W−O触媒に対する初期の及び熟成したVOx−WO−TiO触媒の様々な入り口温度におけるNH転化パーセントの図表による比較を示す。
【図4】図4は、他の熟成したCe−Zr−Mn−W−O触媒に対する初期の及び熟成したVOx−WO−TiO触媒の様々な入り口温度におけるNOx転化パーセントの図表による比較を示す。
【図5】図5は、他の熟成したCe−Zr−Mn−W−O触媒に対する初期の及び熟成したVOx−WO−TiO触媒の種々の入り口温度におけるNH転化パーセントの図表による比較を示す。
【図6】図6は、2つの異なる温度でそれぞれ熟成させた2種の異なるCe−Zr−Mn−W−O触媒の種々の入り口温度におけるNOx転化パーセントの図表による比較を示す。
【図7】図7は、950℃において熟成した2種の異なるCe−Zr−Mn−W−O触媒と初期のVOx−WO−TiO触媒との図表による比較を示す。
【図8】図8は、例えば、種々の量のCe/Zr/Mn/Fe/La/Yを含む、Feを用いる及び用いないMn触媒の図表による比較を示す。
【図9】図9はどれくらいのチタニア含量がCe−Zr−Mn触媒に影響を及ぼすかを図表により示す。
【0042】
実施例
実施例1:試料1はCe0.35Zr0.35Mn0.250.05触媒である。
【0043】
168.3ミリリットル(ml)のアンモニウムパラ−タングステン酸塩溶液、(NH101241(濃度12.5グラム(g)WO/リットル(l))を、濃度50gMO/lである220.5mlのCe(NO、158mlのZrO(NO、及び79.5mlのMn(NOの混合によって得られた溶液に注ぎ込んだ。アンモニウムパラ−タングステン酸塩の注入は、強力に撹拌しながら10ミリリットル/分(ml/分)の速度及び室温(20〜23℃)で行われた。アンモニウムパラ−タングステン酸塩を混合硝酸塩溶液に添加した後、得られた懸濁液を70℃に加熱し、次いでpH9±0.1になるまで2NのKOHを添加した。この懸濁液をこれらの条件下で2時間にわたり撹拌した。懸濁液を濾過し、この沈殿を、硝酸塩が濾液中に存在しなくなるまで蒸留水で洗った。最終的に、沈殿をエタノールで洗った。沈殿を最初に空気中で次いで乾燥炉で110℃〜120℃で12〜14時間にわたって乾燥させ、その後、この沈殿を600℃で4時間にわたり焼成した。
【0044】
実施例2:試料2はCe0.3Zr0.3Mn0.30.1触媒である。
【0045】
336.5mlのアンモニウムパラ−タングステン酸塩溶液、(NH101241(濃度12.5gWO/l)を、濃度50gMO/lである187mlのCe(NO、134mlのZrO(NO2、及び95mlのMn(NOの混合によって得られた溶液に注ぎ込んだ。アンモニウムパラ−タングステン酸塩の注入は、強力に撹拌しながら10ml/分の速度及び室温(20〜23℃)で行われた。アンモニウムパラ−タングステン酸塩を混合硝酸塩溶液に添加した後、得られた懸濁液を70℃に加熱し、次いでpH9±0.1になるまで2NのKOHを添加した。この懸濁液をこれらの条件下で2時間にわたり撹拌した。懸濁液を濾過し、この沈殿を、硝酸塩が濾液中に存在しなくなるまで蒸留水で洗った。最終的に、この沈殿をエタノールで洗った。沈殿を最初に空気中で次いで乾燥炉で110℃〜120℃で12〜14時間にわたって乾燥させ、その後、この沈殿を600℃で4時間にわたり焼成した。
【0046】
低温(例えば、700℃以下)で焼成した場合、両方の材料(試料1及び2)は蛍石構造を含む。更に、試料2において、MnWOが600℃での焼成後ではなく、700℃での焼成後に検出された。その一方、試料1では、MnWOは600℃又は700℃での焼成後に検出されていない。
【0047】
初期の及び/又は熟成した試料1及び2、並びに参照触媒(それぞれ図面で説明されている)を試験した。熟成条件は、28体積百万分率(ppm)のSO、4.5体積パーセント(体積%)のHO、14体積%のO、平衡N及びArを含む環境において熟成温度で16時間(hr)であった。次に触媒を試験するために利用された評価条件は以下を含んだ:350ppmNO、350ppmNH、4.5体積%HO、14体積%O、平衡He。
【0048】
図1はMnCe材料と比較した試料2のNOx還元の比較を図示する。MnCeは、正式に、約50質量%MnO及び50%CeOを含有する。X線回折分析は次の2つの相を明らかにした:CeOとMn。蛍石CeO格子パラメータの縮小は、セリウム位置においてマンガン原子で部分的に占められているセリアの複数のドーピングを示す。グラフから明らかなように、MnCe触媒(ライン101)は約150℃〜約275℃のNOx還元温度域を有し、次に実際に約300℃以上の温度でNHをNOxに酸化した。試料2(ライン103)は約150℃〜約475℃のNOx還元温度域を有し、温度が500℃そして更に525℃を超えるまでNOxへのNHの酸化は起こらなかった。Wを組成物に添加することによりNOx還元温度域はより高い温度まで広がった。約350℃以上そして更に約400℃以上のNOx還元温度域(例えば、約200℃〜約600℃又はその程度)は、Ce−Zr−W−A−M−O触媒を用いて達成できる。その際、「A」と「M」の両方は、任意の、例えば、Ce0.45−Zr0.450.1−O2+δであり、これは600℃で焼成された。
【0049】
図2は、700℃(ライン201)での熟成後の試料2、及び850℃(ライン203)での熟成後の試料2を、初期の及び850℃で熟成したVOx−WO−TiO参照触媒(それぞれライン205及び207)とNOx還元について比較している。検定により、参照触媒が、850℃での熟成後のNOx還元(ライン207)に対して完全に不活性であることが明らかになった。700℃で熟成した試料2(ライン201)は、初期の参照触媒(ライン205)よりも更に良好な性能を有した。その一方、850℃で熟成した試料2(ライン203)は、初期の参照触媒(ライン205)よりもわずかに不良な性能を有した。
【0050】
図3は、700℃(ライン301)での熟成後の試料2、及び850℃(ライン303)での熟成後の試料2のNH転化と、初期の及び850℃で熟成したVOx−WO−TiO参照触媒(それぞれライン305及び307)のNH転化とを比較している。熟成した試料2のNH転化は、初期の参照触媒のNH転化よりもわずかに良好である。熟成後の参照触媒(ライン307)の場合、NH転化は正に実質的に不活性である。初期の参照触媒(ライン305)は、約240℃で着火して、275℃を超える温度でほぼ100%のNH転化を達成した。その一方、熟成した参照触媒(ライン307)は、約525℃で着火して、550℃を超える温度になるまでほぼ100%のNH転化を達成していない。更に850℃で熟成した試料2(ライン303)は、約240℃で着火して、約275℃以上の温度でNH転化を達成した。700℃でのみ熟成した試料2(ライン301)は、実際に、約200℃以下の温度で着火し、約260℃以上の温度でNH転化を達成した。
【0051】
図4は、試料1に関して類似の傾向を示す。この図面は、700℃での熟成後の試料1(ライン401)、及び850℃での熟成後の試料1(ライン403)のNOx還元と、初期の及び850℃で熟成したVOx−WO−TiO参照触媒(それぞれライン405及び407)のNOx還元とを比較している。検定により、参照触媒が、850℃での熟成後(ライン407)のNOx還元に対して完全に不活性であることが明らかになった。700℃で熟成した試料1(ライン401)は、初期の参照触媒(ライン405)よりも更に良好な性能を有した。その一方、850℃で熟成した試料1(ライン403)は、初期の参照触媒(ライン405)よりもわずかに不良な性能を有した。
【0052】
図5は、700℃での熟成後の試料1(ライン501)、及び850℃での熟成後の試料1(ライン503)のNH転化と、初期の及び850℃で熟成したVOx−WO−TiO参照触媒(それぞれライン505及び507)のNH転化とを比較している。熟成した試料1のNH転化は、初期の参照触媒のNH転化よりもわずかに良好である。熟成後の参照触媒(ライン507)は、NH転化に対して正に実質的に不活性化である。初期の参照触媒(ライン505)は、約250℃で着火して、285℃を超える温度でNH転化を達成した。その一方、熟成した参照触媒(ライン507)は、約520℃で着火して、570℃を超える温度でNH転化を達成した。更に850℃で熟成した試料1(ライン503)は、初期の参照触媒と実質的に同じく約250℃で着火して、約320℃以上の温度でNH転化を達成した。700℃でのみ熟成した試料1(ライン501)は、実際に、約200℃以下の温度で着火し、約240℃以上の温度でNH転化を達成した。
【0053】
図6はより高い温度での熟成の影響を測定するために試料1及び2の更なる熟成を図示する。参照触媒が850℃で熟成した時に失活したが、より高い温度での熟成は失活につながらないことが明らかである。試料1は、950℃で熟成した時(ライン601)、約300℃近くの着火点及び約400℃での40%のピークNOx転化パーセントを有した。その一方、850℃で熟成した時(ライン605)、約240℃の着火点及び約350℃での80%のピークNOx転化パーセントを有した。試料2に関して、950℃で熟成した時(ライン605)、約290℃近くの着火点及び約380℃での60%のピークNOx転化パーセントを有した。その一方、850℃で熟成した時(ライン607)、約225℃の着火点及び約315℃での80%のピークNOx転化パーセントを有した。高温熟成(例えば、950℃)でさえ、例えば、500℃未満の入口温度において、試料1はいくらかのNOx転化能(約40%以上)を保持したが、試料2は相当なNOx転化能(約60%以上)を保持した。図2及び4から分かる通り、参照触媒は、ちょうど850℃に熟成された時でさえ、NOx転化能を全く保持しなかった。
【0054】
図7は、950℃での試料1及び2の熟成によりNH転化性能がいくらか失われることを示す;例えば、初期の参照触媒は、熟成した試料1及び2よりもNH転化において良好である。しかしながら、試料1及び2は、950℃で熟成されても、850℃で熟成された参照触媒よりも実質的に良好なNH転化(例えば、500℃未満の温度で)を示す。(図3及び5も参照のこと)
一実施態様において、NOx還元触媒は、本質的にCe−Zr−R−A−M−O蛍石からなり、その際、NOx転化を低下させない要素のみ追加的に触媒中に組み込むことができ、「a」は約0.1〜約0.6であってよく、又は、更に具体的には、約0.25〜約0.5、そして更に一層具体的には、約0.3〜約0.4であってよい。「b」は約0.25〜約0.7、又は更に具体的には約0.3〜約0.6、更に一層具体的には約0.35〜約0.5であってよい。「c」は約0.02〜約0.5、又は更に具体的には約0.1〜約0.4、更に一層具体的には約0.2〜約0.35、又はいくつかの実施態様において0.05〜約0.2であってよい。「R」がMnである場合、「d」は約0.04〜約0.2、又は更に具体的には約0.05〜約0.15、更に一層具体的には約0.07〜約0.12であってよい。「R」がWである場合、「d」は約0.2以下、又は更に具体的には約0.04〜約0.2、更に一層具体的には約0.05〜約0.15、更に一層具体的には約0.07〜約0.12であってよい。「e」は約0.15以下、又は更に具体的には約0.03〜約0.1であってよい。NOx還元触媒は、NOxの還元(例えば、NOxと還元窒素類(例えば、アンモニア)との間の化学反応を促進させて、主に、窒素(N)を生成させる)が可能である。
【0055】
本明細書中に開示された触媒は、約200℃以下、更に約175℃以下、例えば、約140℃〜約160℃の低い着火温度を有する。触媒はまた約200℃以上、又は、更に具体的には、約300℃以上、そして更に約400℃以上の広い使用範囲を有する。
【0056】
更に、本明細書中に開示されたCe−Zr−R−A−M−O触媒は、予想外に熱安定性が高く(例えば、700℃以上の温度で安定である)、850℃の温度での熱水条件下において16時間の熟成後でさえもNOx還元能を保持する。この触媒は、NOが存在しなくても高いNOx還元能を示すため、高いNOx転化を達成しながら、このNOx触媒の上流の酸化触媒を取り除くことができる。更に、本発明の触媒は、例えば、純粋なセリアと比較して、硫黄(例えば、SO及びSO)に対して良好な耐性を示し且つ優れた酸素原子運搬を示すことに留意されたい。従って、Ce−Zr−R−A−M−O触媒は、有効なすす酸化触媒並びにNOx還元触媒として働くと考えられている。従って、単一の材料は、次の更に2つの困難なディーゼル排気ガス解毒機能を実行するために使用できる:NOxの除去及び炭質微粒子材料の除去。
【0057】
例えば、本明細書中に開示されたCe−Zr−R−A−M−O触媒を利用せず且つSCRと微粒子トラップを利用するディーゼル排気浄化システムは、排気浄化システムでの最初の触媒として、酸化触媒を有することが多い。この(典型的なPtベースの)触媒は、2又は3つの機能を果たす:エンジンから来るCOとHCを酸化し、NOをNOに酸化し(例えば、高速NOx反応の場合)、そして熱源として働いてトラップ中に貯蔵された炭素の酸化によって微粒子トラップを再生させるのに十分な温度まで該トラップを加熱する。この加熱は、燃焼サイクルの間(炭化水素がほとんど未燃焼のシリンダーから出てくるように)及び/又は排気管、酸化触媒の上流において遅いパルスとして十分な(通常のエンジン動作と比較して、比較的多い)量のエンジンの上流の炭化水素を注入することによって達成される。酸化触媒で酸化された時の炭化水素は、微粒子トラップをすす再生温度まで加熱するのに十分な程度、排気ガスの温度を上昇させる。
【0058】
この酸化触媒の下流は、一般的に微粒子トラップ、次いでSCR触媒である(SCR触媒は一般的に微粒子トラップ再生温度未満の温度では機能しないため);例えば、ゼオライト−ベースのSCR触媒及びバナジウム酸塩−チタニア−ベースの触媒は約750℃未満の温度で機能しない。しかしながら、本明細書中で開示されたCe−Zr−Mn−A−M−O触媒は更に温度耐性があり、これらの触媒は中間の位置(酸化触媒と微粒子トラップとの間)に耐えられるほど優れている。
【0059】
理論に縛られるわけではないが、Ce−Zr−R−A−M−O触媒(Ce−Zr−Mn−A−M−O触媒)は、NOよりも効果的にNOを還元し、それによって、Pd酸化触媒(Pt触媒の使用に対して実質的に費用を削減する)の使用を可能にして、微粒子トラップを再生させるために必要な温度まで排気を加熱すると思われる。Pd触媒はNOをNOに酸化する時にPt触媒よりも効率が悪く、これは本明細書中に開示された新規な触媒に対して望ましいと思われる。換言すれば、自動車用途の鉄ゼオライト触媒及びV−W−TiO触媒とは異なり、Ce−Zr−R−A−M−O触媒は、「標準反応」に対して活性であるため、NOをNOに転化するためにPt酸化触媒の使用を必要としない。これは相当に費用を削減する。
【0060】
Ce−Zr−R−A−M−O触媒(例えば、Ce−Zr−Mn−A−M−O触媒)は微粒子トラップ上に被覆され得る。この触媒はSCRと微粒子物質(PM)との組合せを単一被覆基材で制御させ、システムの複雑さ及び費用上の有用な削減を可能にする。SCR及び微粒子トラップ触媒の後、高温再生の間に微粒子トラップから抜けるCOを酸化し且つSCR触媒から抜けるアンモニアを酸化するために追加の酸化触媒を使用してよい。
【0061】
理論に縛られるわけではないが、本発明の組成物はNOxの削減プロセスを可能にし、その際、NOxは大部分がNO(例えば、NOxの全体積%を基準として約60体積%NO以上)であり、約300℃未満の温度で、NOx還元の特性がNO/NO比の増加につれて向上するようにアンモニアを使用する。300℃未満の温度での触媒のNOx還元特性の場合、NOxが約95体積%NO、5体積%NOである時が、NOxが50体積%NO、50体積%NOである時と比較して優れている。従って、多くの実施態様のCe−Zr−R−A−M−O触媒の場合、約300℃未満の温度でのNOx還元特性は、NOxの全体積を基準として、NOxが50体積%NO以下(例えば、50体積%NO)である時よりもNOxが75体積%NO以上(例えば、25体積%NO以下)である時の方が優れている。通常のエンジン中のNOxは排気であり、典型的には75体積%NO以上であり且つ通常90体積%NO以上であることに留意されたい。結果として、通常の排出条件による本触媒の利点は、NO/NO比を変えることなく、排出されたNOxの使用が可能なことである。本触媒は(ガス流れ中で全体積のNOxを基準として)ガス流れ中で約50%以上のNOx、又は更に具体的には、ガス流れ中で約80体積%以上のNOx、更に一層具体的には、ガス流れ中で約90体積%以上のNOxを、約150℃〜約550℃の温度において、又は更に具体的には、約150℃〜約400℃の温度において削減することができる。更に、本触媒は約250℃以上、更に約300℃以上、更に約350℃以上のNOx還元温度域を有し、その際、約50%以上、更に約70%以上のNOx転化が達成され得る。
【0062】
本明細書で開示された範囲は包含的且つ結合可能である(例えば、「約25質量%以下、又は更に具体的には、約5質量%〜約20質量%」の範囲は、「約5質量%〜約25質量%」の範囲の端点と全ての中間値を包含する、等)。本明細書中で使用される「組み合わせ」は、規定通りに、ブレンド、混合物、合金、酸化物、コポリマー、反応生成物、それらの類似物を包含する。更に、「第1」、「第2」、及びその類似の用語は、本明細書中では、順序、数量、又は重要性を意味するものではなく、ある要素を別の要素と区別するために使用される。また「ある1つの(a及びan)」という用語は、本明細書中では数量の制限を意味するものではなく、少なくとも1つの参照品目の存在を意味する。数量に関連して使用される修飾要素「約」は、規定の値を包含し且つ文脈により定められた意味を有する(例えば、特定の数量の測定に伴う誤差の程度を含む)。本明細書中で使用される接尾辞「(s)」は、それが修飾する単数及び複数の両方の用語を含み、それにより1つ以上のその用語を含む(例えば、着色剤(colorant(s))は1種又は複数種の着色剤を含む)ことが意図されている。
【0063】
全ての引用された特許、特許出願、及び他の文献は、そのまま本明細書中に援用されている。しかしながら、本出願中の用語が援用された文献中の用語と食い違う又は矛盾する場合、本出願中の用語の方が援用された文献中の矛盾する用語よりも優先度が高い。
【0064】
本発明は例示的な実施態様に関して記載されてきたが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされ、同等物がその要素の代わりに代用され得ることを理解するであろう。更に、特定の状況又は材料を、その本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に適合させるために多くの改変がなされ得る。従って、本発明は、本発明を実施するために検討された最良の形態として開示された特定の実施態様に限定されるものではないが、本発明は添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含むことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NOx還元触媒であって:
Ce−Zr−R−A−M−Oを含んでおり、
その際、
「R」はW又はMnであり
「R」がWである場合、「A」はMo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み、そして
「R」がMnである場合、「A」はW、Mo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み;そして
「M」は三価希土類イオンであり;
a+b+c+d+e=1であり;
「a」は約0.1〜約0.6であり;
「b」は約0.25〜約0.7であり;
「c」は約0.02〜約0.5であり;
「R」がMnである場合、「d」は約0.04〜約0.2であり、「R」がWである場合、「d」は約0.2以下であり;そして
「e」が約0.15以下であり;そして
その際、触媒はNOx還元が可能である、
NOx還元触媒。
【請求項2】
三価希土類イオンがSm、Gd、Dy、Er、Yb、Ho、Er、Tm、Lu及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述のものを含む、請求項1記載の触媒。
【請求項3】
「M」はLa及びY不含である、請求項1記載の触媒。
【請求項4】
「a」が約0.1〜約0.4であり;
「b」が約0.3〜約0.7であり;
「c」が約0.1〜約0.4であり;そして
「d」が約0.05〜約0.2である、
請求項1記載の触媒。
【請求項5】
「e」が約0.03〜約0.1である、請求項4記載の触媒。
【請求項6】
蛍石構造を有する、請求項1記載の触媒。
【請求項7】
メソ多孔質触媒である、請求項6記載の触媒。
【請求項8】
蛍石相とMnWO相を含む、請求項1記載の触媒。
【請求項9】
蛍石相に対するMnWO相の比が約0.25以下である、請求項8記載の触媒。
【請求項10】
前記比が約0.15以下である、請求項9記載の触媒。
【請求項11】
「R」がMnである、請求項1記載の触媒。
【請求項12】
「A」がWを含む、請求項11記載の触媒。
【請求項13】
NOx還元時に、同じガス流れ条件下で「高速反応」よりも「標準反応」を介してより高い程度のNOx還元を達成するように構成されている、請求項1記載の触媒。
【請求項14】
「R」がWである、請求項1記載の触媒。
【請求項15】
「c」が約0.05〜約0.2である、請求項14記載の触媒。
【請求項16】
ガス流れの処理方法において:
ガス流れをNOx還元触媒に導入することと、
その際、NOx還元触媒はCe−Zr−R−A−M−Oを含み、その際、
「R」はW又はMnであり
「R」がWである場合、「A」はMo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み、そして
「R」がMnである場合、「A」はW、Mo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み;そして
「M」が三価希土類イオンであり;
a+b+c+d+e=1であり;
「a」は約0.1〜約0.6であり;
「b」は約0.25〜約0.7であり;
「c」は約0.02〜約0.5であり;
「R」がMnである場合、「d」は約0.04〜約0.2であり、「R」がWである場合、「d」は約0.2以下であり;そして
「e」が約0.15以下である;
最初にガス流れ中のNOxの全体積を基準として、約50体積%以上のガス流れ中のNOxを還元することと、
その際、ガス流れは約150℃〜約550℃の温度を有する、
を含む、ガス流れの処理方法。
【請求項17】
前記ガス流れが、ガス中のNOxの全体積を基準として、約60体積%以上のNOを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
ガス流れが約75体積%以上のNOを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
ガス流れが約90体積%以上のNOを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
約80体積%以上のガス流れ中のNOxを還元することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】
微粒子フィルターであって:
シェルと;
ガス流れからの微粒子物質を除去するためのフィルターエレメントと、を含んでおり、
その際、前記フィルターエレメントはシェル内に配置され、該フィルターエレメントはNOx還元触媒を含み、該NOx還元触媒はCe−Zr−R−A−M−Oを含み、その際、
「R」はW又はMnであり
「R」がWである場合、「A」はMo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み、そして
「R」がMnである場合、「A」はW、Mo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み;そして
「M」は三価希土類イオンであり;
a+b+c+d+e=1であり;
「a」は約0.1〜約0.6であり;
「b」は約0.25〜約0.7であり;
「c」は約0.02〜約0.5であり;
「R」がMnである場合、「d」は約0.04〜約0.2であり、「R」がWである場合、「d」は約0.2以下であり;そして
「e」が約0.15以下であり;そして
その際、触媒はNOx還元が可能である、
微粒子フィルター。
【請求項22】
NOx処理システムにおいて:
排気ガスを酸化触媒で処理することなく該排気ガスを微粒子フィルターに導入することと;
該排気ガスを直接微粒子フィルターから任意のSCRに通し、次いで該排気ガスを直接環境中に排出させることと、を含んでおり;
その際、SCRが存在する場合、SCR及び/又は微粒子フィルターがNOx還元触媒を含み;
その際、SCRが存在しない場合、微粒子フィルターがNOx還元触媒を含み;そして
その際、NOx還元触媒がCe−Zr−R−A−M−Oを含み、
その際、
「R」はW又はMnであり
「R」がWである場合、「A」はMo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み、そして
「R」がMnである場合、「A」はW、Mo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み;そして
「M」は三価希土類イオンであり;
a+b+c+d+e=1であり;
「a」は約0.1〜約0.6であり;
「b」は約0.25〜約0.7であり;
「c」は約0.02〜約0.5であり;
「R」がMnである場合、「d」は約0.04〜約0.2であり、「R」がWである場合、「d」は約0.2以下であり;そして
「e」が約0.15以下であり;そして
その際、NOx還元触媒はNOx還元が可能である、
NOx処理システム。
【請求項23】
NOx処理システムであって:
酸化触媒で処理されなかった排気ガスを受けられるように配置された微粒子フィルターと;
場合により下流に配置され且つ微粒子フィルターから直接ガスを受け取るための微粒子フィルターと直接流体連通したSCRと;
SCRが存在する場合はSCRと、又はSCRが存在しない場合は微粒子フィルターと直接流体連通した環境への排気口と、を含んでおり;
その際、SCRが存在する場合、SCR及び/又は微粒子フィルターはNOx還元触媒を含み;
その際、SCRが存在しない場合、微粒子フィルターはNOx還元触媒を含み;そして
その際、NOx還元触媒はCe−Zr−R−A−M−Oを含み、
その際、
「R」はW及び/又はMnであり
「R」がWである場合、「A」はMo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み、そして
「R」がMnである場合、「A」はW、Mo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み;そして
「M」は三価希土類イオンであり;
a+b+c+d+e=1であり;
「a」は約0.1〜約0.6であり;
「b」は約0.25〜約0.7であり;
「c」は約0.02〜約0.5であり;
「R」がMnである場合、「d」は約0.04〜約0.2であり、「R」がWである場合、「d」は約0.2以下であり;そして
「e」は約0.15以下であり;そして
その際、NOx還元触媒はNOx還元が可能である、
NOx処理システム。
【請求項24】
NOx還元触媒であって、本質的に:
Ce−Zr−R−A−M−O蛍石から構成されており;
その際、
「R」はW又はMnであり;
「R」がWである場合、「A」はMo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含み、そして
RがMnである場合、AはW、Mo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述のAを含み;そして
Mは三価希土類イオンであり;
a+b+c+d+e=1であり;
「a」は約0.1〜約0.6であり;
「b」は約0.25〜約0.7であり;
「c」は約0.02〜約0.5であり;
「R」がMnである場合、「d」は約0.04〜約0.2であり、「R」がWである場合、「d」は約0.2以下であり;そして
「e」は約0.15以下であり;そして
その際、前記触媒はNOx還元が可能である、
NOx還元触媒。
【請求項25】
NOx触媒の製造方法において:
セリウム塩を溶解させて第1の酸性溶液を形成することと;
ジルコニウム塩を溶解させて第2の酸性溶液を形成することと;
「R」の塩を溶解させることと、その際、「R」はMn又はWであり、「R」がMnである場合、「R」を溶解させて第3の酸性溶液を形成し、「R」がWの場合、「R」を溶解させて第1の塩基性溶液を形成し;
「R」がMnである場合、「A」の塩を溶解させて第2の塩基性溶液を形成し、
その際、「A」はW、Mo、Ta、Nb、及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述の「A」を含む;
第1の酸性溶液と第2の酸性溶液と、存在する場合、第2の塩基性溶液と、存在する場合、第3の酸性溶液と、存在する場合、第1の塩基性溶液とを混合して、沈殿を形成することと;
該沈殿を乾燥させることと;
該沈殿を焼成して触媒を形成することと、
を含む、NOx触媒の製造方法。
【請求項26】
「M」の塩を溶解させて第4の酸性溶液を形成することと、
その際、「M」はSm、Gd、Dy、Er、Yb、Ho、Er、Tm、Lu及び少なくとも1種の上述のものを含む組み合わせからなる群から選択される;
第4の塩基性溶液と、第1の酸性溶液、第2の酸性溶液、第3の酸性溶液、第1の塩基性溶液、及び第2の塩基性溶液とを混合することを更に含む沈殿を形成することと、
を更に含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
酸性溶液が約0.5〜約2.0のpHを有し、塩基性溶液が約7.5〜約10.0のpHを有する、請求項25記載の方法。
【請求項28】
セリウム、ジルコニウム、及び「R」の水溶性塩を酸性溶液に溶解する前に、Ce(III)塩に相当する量のCeO、ジルコニル塩に相当する量のZrO、及びMn(II)塩に相当する量のMnOを計算すること、及び計算された量を酸性溶液に溶解することを更に含む、請求項25記載の方法。
【請求項29】
沈殿を約700℃以下の温度で焼成する、請求項25記載の方法。
【請求項30】
混合する前に、第1の酸性溶液、第2の酸性溶液、第3の酸性溶液、第1の塩基性溶液及び/又は第2の塩基性溶液を約50℃〜約90℃の温度に加熱することを更に含む、請求項25記載の方法。
【請求項31】
存在する場合、第1の塩基性溶液中のWの濃度は、約15g/リットル〜約25g/リットルWOであり、第1の酸性溶液中のCeの濃度は約50gXO/リットル〜約100gXO/リットルであり、第2の酸性溶液中のZrの濃度は約50gXO/リットル〜約100gXO/リットルであり、そして、存在する場合、第3の酸性溶液中のMnの濃度は、約50gXO/リットル〜約100gXO/リットルである、請求項25記載の方法。
【請求項32】
「R」がWであり、「A」の塩を溶解して第2の塩基性溶液を形成することを更に含み、その際、「A」はMo、Ta、Nb及び組み合わせからなる群から選択され、該組み合わせは少なくとも1種の上述のAを含む、請求項25記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−506724(P2010−506724A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533468(P2009−533468)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/081412
【国際公開番号】WO2008/051752
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D−63457 Hanau,Germany
【Fターム(参考)】