説明

DC‐DCコンバータ及び有機電界発光表示装置

【課題】バッテリからの電源電圧が高くても画素駆動に用いる第1画素電源の電圧を一定に出力できるようにして容量の高いバッテリの使用を可能にしたDC-DCコンバータを提供する。
【解決手段】本発明のDC-DCコンバータ500は、バッテリ700から出力される電源電圧を検知する電圧検知部400と、電源電圧が所定値以下であれば駆動を停止して電源電圧をバイパスし、電源電圧が所定値を超えている場合には駆動して電源電圧を下げて出力するレギュレータ510と、電圧検知部400で検知した電源電圧に基づいてレギュレータ510の駆動を制御する制御部600と、レギュレータ510からの出力電圧を受けて第1画素電源ELVDDと第2画素電源ELVSSを出力する電源生成部520、530とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はDC-DCコンバータ及びこれを用いた有機電界発光表示装置に関し、更に詳細には、容量の大きいバッテリを用いて長時間駆動が可能なDC-DCコンバータ及びこれを用いた有機電界発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、陰極線管(Cathode Ray Tube)の短所である重さと体積を減らすことができる各種平板表示装置が開発されている。平板表示装置としては、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)、電界放出表示装置(Field Emission Display)、プラズマ表示パネル(Plasma Display Panel)及び有機電界発光表示装置(Organic Light Emitting Display)などが挙げられる。
【0003】
平板表示装置のうち、有機電界発光表示装置は電流の流れに対応して発生する電子と正孔の再結合によって光を発生する有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)を用いて画像を表示する。
【0004】
このような有機電界発光表示装置は、色再現性に優れていることや、薄さなどの様々な利点のため、応用分野が携帯電話用以外にもPDA、MP3プレーヤーなどに市場が急速に広がっている。
【0005】
図1は、一般的な有機電界発光表示装置に採用された画素回路を示す回路図である。図1を参照して説明すれば、画素は、第1トランジスタM1と、第2トランジスタM2と、キャパシタCstと、有機発光ダイオードOLEDとを含んでいる。
【0006】
第1トランジスタM1はソースが第1画素電源ELVDDに連結され、ドレインが有機発光ダイオードOLEDのアノードに連結され、ゲートが第1ノードN1に連結されている。第2トランジスタM2はソースがデータ線Dmに連結され、ドレインが第1ノードN1に連結され、ゲートが走査線Snに連結されている。キャパシタCstは第1電極が第1トランジスタM1のドレインに連結され、第2電極が第1ノードN1に連結されている。そして、有機発光ダイオードOLEDはアノードが第1トランジスタM1のドレインに連結され、カソードが第2画素電源ELVSSに連結されている。
【0007】
このように構成された画素は、第1ノードN1の電圧に対応して第1トランジスタM1から有機発光ダイオードOLEDに電流が流れて有機発光ダイオードOLEDが発光する。有機発光ダイオードOLEDに流れる電流は下記の式1の通りである。
【0008】
[数1]
IOLED=β/2(Vgs-Vth)2=β/2(ELVDD-Vdata-Vth)2
(ここで、IOLEDは有機発光ダイオードOLEDに流れる電流、Vgsは第1トランジスタM1のソースとゲート間の電圧、Vthは第1トランジスタM1の閾値電圧、ELVDDは第1画素電源の電圧、Vdataはデータ信号の電圧、βは常数を意味する)
即ち、有機発光ダイオードOLEDに流れる電流はデータ信号と第1画素電源ELVDDの電圧に対応して流れることになる。
【0009】
そして、バッテリは使用時間を増やすために容量が大きいものを使用すればよい。しかしながら、バッテリの容量が大きければ、バッテリの出力電圧も高くなる。このとき、有機電界発光表示装置に第1画素電源ELVDDを供給するDC-DCコンバータは、バッテリの出力電圧を昇圧させるが、バッテリの出力電圧が高くなれば、DC-DCコンバータで昇圧された電圧は更に高くなって第1画素電源ELVDDの電圧は高くなる。第1画素電源ELVDDの電圧が高くなれば、式1に示したように、有機発光ダイオードOLEDに流れる電流に変化が生じて輝度が設定された値よりも更に高くなるという問題がある。
【0010】
また、バッテリの出力電圧がDC-DCコンバータから出力される第1画素電源ELVDDの電圧よりも高い場合、DC-DCコンバータの効率が低下してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】大韓民国特許公開第2005−0514185号
【特許文献2】大韓民国特許公開第2005−0499526号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、DC-DCコンバータに入力される電圧と関係なく、画素を駆動するために用いられる第1画素電源の電圧を一定に出力できるようにして、容量の高いバッテリを使用できるようにしたDC-DCコンバータ及びそれを用いた有機電界発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の第1側面は、バッテリから出力される電源電圧を検知する電圧検知部と、前記電源電圧が伝達されて前記電源電圧が所定値以下であれば駆動を停止して前記電源電圧をバイパスし、前記電源電圧が所定値を超えている場合には駆動して前記電源電圧を下げて出力するレギュレータと、前記電圧検知部で検知した前記電源電圧に基づいて前記レギュレータの駆動を制御する制御部と、前記レギュレータからの出力電圧を受けて第1画素電源と第2画素電源を出力する電源生成部とを含むことを特徴とするDC-DCコンバータを提供する。
【0014】
前記目的を達成するために、本発明の第2側面は、データ信号、走査信号、第1画素電源及び第2画素電源の供給を受けて画像を表現する画素部と、前記データ信号を供給するデータ駆動部と、前記走査信号を供給する走査駆動部と、前記第1画素電源及び前記第2画素電源を供給するDC-DCコンバータとを含み、前記DC-DCコンバータは、バッテリから出力される電源電圧を検知する電圧検知部と、前記電源電圧が伝達されて前記電源電圧が所定値以下であれば駆動を停止して前記電源電圧をバイパスし、前記電源電圧が所定値を超えている場合には駆動して前記電源電圧を下げて出力するレギュレータと、前記電圧検知部で検知した前記電源電圧に基づいて前記レギュレータの駆動を制御する制御部と、前記レギュレータからの出力電圧を受けて前記第1画素電源と前記第2画素電源を出力する電源生成部とを含むことを特徴とする有機電界発光表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るDC-DCコンバータ及びそれを用いた有機電界発光表示装置によれば、DC-DCコンバータの入力端の電圧と関係なく、出力される電圧が一定であるため、第1画素電源の電圧に変化がない。従って、容量の大きいバッテリを用いても有機発光ダイオードに流れる電流量が変化しないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一般的な有機電界発光表示装置に採用された画素回路を示す回路図である。
【図2】本発明に係る有機電界発光表示装置の構造を示す概念図である。
【図3】図2に示すDC-DCコンバータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照して説明すれば、以下の通りである。
【0018】
図2は、本発明に係る有機電界発光表示装置の構造を示す概念図である。図2を参照して説明すれば、有機発光表示装置は、画素部100と、データ駆動部200と、走査駆動部300と、電圧検知部400と、DC-DCコンバータ500と、制御部600と、バッテリ700とを含んでいる。
【0019】
画素部100は、複数の画素101と、画素101にデータ信号を伝達する複数のデータ線D1、D2…Dm-1、Dmと、画素101に複数の走査信号を伝達する複数の走査線S1、S2…Sn-1、Snとが配列されている。また、画素101を駆動する第1画素電源ELVDDを伝達する第1画素電源線(図示せず)と、第2画素電源ELVSSを伝達する第2画素電源線(図示せず)とが形成されている。ここで、第2画素電源線は線の形態ではなく、画素部100の全面を覆う膜の形態で実現され得る。
【0020】
データ駆動部200はデータ信号を生成し、生成されたデータ信号をデータ線D1、D2…Dm-1、Dmに伝達する。
【0021】
走査駆動部300は走査信号を生成し、生成した走査信号を走査線S1、S2…Sn-1、Snに伝達する。走査信号が伝達された画素101にデータ信号が伝達される。
【0022】
電圧検知部400はバッテリ700から出力されるバッテリ電圧Vbatを把握する。
【0023】
DC-DCコンバータ500は、バッテリ700から出力されたバッテリ電圧Vbatを用いて第1画素電源ELVDDと第2画素電源ELVSSを生成する。このとき、DC-DCコンバータ500は、バッテリ電圧Vbatが既に設定された第1画素電源ELVDDの電圧よりも高い場合にはバッテリ電圧Vbatを下げた後、第1画素電源ELVDDを生成し、バッテリ電圧Vbatが既に設定された範囲内であれば、バッテリ電圧Vbatを昇圧して第1画素電源ELVDDを生成する。そして、第2画素電源ELVSSはバッテリ電圧Vbat又はバッテリ電圧を下げた電圧をインバーティングして生成する。
【0024】
制御部600は電圧検知部400で検知されたバッテリ電圧VbatによってDC-DCコンバータ500を制御する。即ち、制御部600は電圧検知部400で検知したバッテリ電圧Vbatが所定値以上であれば、DC-DCコンバータ500でバッテリ電圧Vbatを減圧した後、昇圧して第1画素電源ELVDDを生成し、バッテリ電圧Vbatが所定値以下であれば、バッテリ電圧Vbatを昇圧して第1画素電源ELVDDを生成する。第2画素電源ELVSSは、バッテリ電圧Vbat又は減圧された電圧をインバーティングして生成する。
【0025】
また、制御部600は、データ駆動部制御信号、走査駆動部制御信号を生成してデータ駆動部200と走査駆動部300を制御する。
【0026】
図3は、図2に示すDC-DCコンバータの構成を示すブロック図である。図3を参照して説明すれば、DC-DCコンバータ500は、レギュレータ510と、ブースタ520と、インバータ530とを含んでいる。
【0027】
レギュレータ510は、バッテリ電圧Vbatが既に設定された範囲、例えば2.9V以上4.5V以下の場合には、制御部600によって駆動が停止されてバッテリ700から出力されるバッテリ電圧Vbatをバイパスしてブースタ520に伝達する。そして、バッテリ700から出力されたバッテリ電圧Vbatが例えば4.5Vを超えると、駆動して4.5Vの電圧に減圧させた後に出力する。レギュレータ510は、LDO(Low drop regulator、ロウドロップレギュレータ)を用いることが可能である。
【0028】
ブースタ520は、バッテリ700から出力されたバッテリ電圧Vbat又はレギュレータ510で減圧された電圧の伝達を受けてブースティグして第1画素電源ELVDDを生成する。ブースタ520から出力される第1画素電源ELVDDの電圧は4.6Vであるが、ブースタ520は入力電圧が出力電圧よりも高い場合には効率が低下する。従って、バッテリ電圧Vbatが4.5Vを超えている場合には、ブースタ520は、レギュレータ510でバッテリ電圧Vbatよりも低くなるように減圧した入力電圧を用いて第1画素電源ELVDDを生成する。
【0029】
インバータ530は、バッテリ700から出力されたバッテリ電圧Vbat又はレギュレータ510で減圧された電圧をインバーティングして第2画素電源ELVSSを生成する。このとき、インバータ530は入力される電圧と関係なく、出力値を設定できる。
【0030】
また、ブースタ520とインバータ530は1つのICに形成して電源生成部とすることができる。
【0031】
上述したように、本実施形態に係るDC-DCコンバータは、バッテリ電圧Vbatが高い場合にはレギュレータ510でバッテリ電圧Vbatを低くするので、容量の高いバッテリを使用しても第1画素電源ELVDDの電圧を一定に出力することができる。
【0032】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることはもちろんであり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
100 画素部
200 データ駆動部
300 走査駆動部
400 電圧検知部
500 DC-DCコンバータ
600 制御部600
700 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリから出力される電源電圧を検知する電圧検知部と、
前記電源電圧が伝達されて前記電源電圧が所定値以下であれば駆動を停止して前記電源電圧をバイパスし、前記電源電圧が所定値を超えている場合には駆動して前記電源電圧を下げて出力するレギュレータと、
前記電圧検知部で検知した前記電源電圧に基づいて前記レギュレータの駆動を制御する制御部と、
前記レギュレータからの出力電圧を受けて第1画素電源と第2画素電源を出力する電源生成部と
を含むことを特徴とするDC-DCコンバータ。
【請求項2】
前記電源生成部は、
前記レギュレータからの出力電圧を受けて前記第1画素電源を出力するブースタと、
前記レギュレータからの出力電圧をインバーティングして前記第2画素電源を出力するインバータと
を含むことを特徴とする請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項3】
前記レギュレータはLDOであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項4】
データ信号、走査信号、第1画素電源及び第2画素電源の供給を受けて画像を表現する画素部と、
前記データ信号を供給するデータ駆動部と、
前記走査信号を供給する走査駆動部と、
前記第1画素電源及び前記第2画素電源を供給するDC-DCコンバータとを含み、
前記DC-DCコンバータは、
バッテリから出力される電源電圧を検知する電圧検知部と、
前記電源電圧が伝達されて前記電源電圧が所定値以下であれば駆動を停止して前記電源電圧をバイパスし、前記電源電圧が所定値を超えている場合には駆動して前記電源電圧を下げて出力するレギュレータと、
前記電圧検知部で検知した前記電源電圧に基づいて前記レギュレータの駆動を制御する制御部と、
前記レギュレータからの出力電圧を受けて前記第1画素電源と前記第2画素電源を出力する電源生成部と
を含むことを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項5】
前記電源生成部は、
前記レギュレータからの出力電圧を受けて前記第1画素電源を出力するブースタと、
前記レギュレータからの出力電圧をインバーティングして前記第2画素電源を出力するインバータと
を含むことを特徴とする請求項4に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項6】
前記レギュレータはLDOであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の有機電界発光表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−107674(P2011−107674A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95966(P2010−95966)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】