DIPスイッチ

【課題】信頼性の高い接触機構を備えたDIPスイッチを提供する。
【解決手段】シーソー運動するつまみ50と、そのつまみ50に固定されてつまみ50と連動する可動接触片60と、つまみ50の一方の操作位置において可動接触片60を介して導通される固定接触片70,75とを具備する。可動接触片60にはクリップ機構が形成され、そのクリップ機構によって可動接触片60は固定接触片70,75の両板面を挟み込む構造とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はプリント配線板に実装され、電気回路の切り替えに使用されるDIPスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
図11はDIPスイッチの従来例として、特許文献1に記載されている構成を示したものである。箱状をなすケース11には電極12,13がインサート成形されて取り付けられており、ケース11の上面を蓋するカバー14の穴14aからつまみ15が突出されている。つまみ15は可動接触片(接触ばね)16をケース11内に保持しており、つまみ15を矢印方向に操作することにより、可動接触片16を介して電極12,13間における電気回路の開閉が行われるものとなっている。
【特許文献1】特開平5−314862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような構成とされたDIPスイッチでは接触障害(接触不良)が生じ易いといった問題があり、その点で信頼性に問題があるものとなっていた。
【0004】
図12はこの様子を示したものであり、図中、21は可動接触片を示し、22,23は可動接触片21によって開閉される(オン・オフされる)電極を示す。可動接触片21はこの例では両端にそれぞれ2本の接触子21a,21b及び21c,21dを有するものとなっている。
【0005】
接触子21a,21b及び21c,21dは同一平面上に位置しており、よって例えば図12A,Bに示したように電極22の接触面22aに腐食24が発生すると、腐食24によって可動接触片21と電極22との導通が阻害され、接触障害となる。なお、電極22,23は一般に銅製とされ、その表面には金メッキが一般に施されるが、金メッキに発生するピンホールを介して銅が腐食するといった状況が生じうる。
【0006】
一方、図12C,Dは電極22の接触面22aに大きな異物25が存在し、接触子21bが異物25に乗り上がっている状態を示したものである。接触子21bは異物25によって電極22との導通が阻害される。さらに、異物25に乗り上がっていない接触子21aも乗り上がった接触子21bにつられて電極22から浮いてしまうといった状況が生じ、これにより接触障害となってしまう。
【0007】
この発明の目的はこのような問題に鑑み、接触障害が生じにくく、信頼性の高い接触機構を備えたDIPスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明によれば、DIPスイッチはシーソー運動するつまみと、そのつまみに固定されてつまみと連動する可動接触片と、つまみの一方の操作位置において可動接触片を介して導通される固定接触片の対とを具備し、可動接触片にクリップ機構が形成され、そのクリップ機構によって可動接触片は固定接触片の両板面を挟み込む構造とされる。
【0009】
請求項2の発明では請求項1の発明において、固定接触片は基板に植設され、その基板に互いに対向して対をなす節度機構が設けられ、その対をなす節度機構間をシーソー運動する際に通過する一対の節度部がつまみに一体形成され、一対の節度部の互いの外側面は円筒面とされ、対をなす節度機構の互いの対向面は一対の節度部が通過する際に前記円筒面の頂部が乗り越えるような凸面形状とされる。
【0010】
請求項3の発明では請求項1の発明において、つまみはケースに収容されて、そのケースの開口につまみの操作部が位置され、前記開口及び操作部を覆ってケースに透明もしくは半透明のゴムパッキンが取り付けられているものとされる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、可動接触片はクリップ機構を有し、固定接触片の両板面を挟み込む構造となっているため、接触障害が生じにくく、その点で接触信頼性に優れたDIPスイッチを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
図1はこの発明によるDIPスイッチの一実施例の外観を示したものであり、図2及び図3はその断面構造を示したものである。この例ではDIPスイッチは基板30とケース40とつまみ50と可動接触片60と対をなす固定接触片70,75とによって構成されており、4つの切り替え回路を備える4極のDIPスイッチとなっている。
【0013】
図4〜7は基板30、ケース40、つまみ50及び可動接触片60の形状をそれぞれ示したものであり、まずこれら図4〜7を参照して各部の構成について説明する。
【0014】
基板30は樹脂製とされ、図4に示したように矩形状をなす底板部31と、その底板部31の回りを囲む周壁部32と、底板部31上の空間を4つの空間に分ける仕切り壁33とよりなり、仕切り壁33は底板部31の長手方向両端にも周壁部32と連続して設けられている。
【0015】
各仕切り壁33は図4Aに示したように両端が幅広とされ、中間部は幅狭とされており、幅狭部33aは幅広部33bより高くされ、図4Cに示すように台形状をなすように上方に突出されている。また、5つの幅狭部33aの互いの対向面には節度機構34が突出形成されている。
【0016】
節度機構34は幅狭部33aの長手方向中央に形成され、底板部31から所定の高さまで形成されている。仕切り壁33によって区切られた空間内において互いに対向して対をなす節度機構34は互いの対向面が凸面形状をなすように形成されている。この例では対をなす節度機構34の互いに対向する凸面は軸が傾いた円筒面とされ、互いに対向する円筒面の両軸は上方に向かって互いに遠ざかるように傾けられている。なお、仕切り壁33によって区切られた各空間において底板部31には固定接触片70,75取り付け用の貫通穴35,36が形成されている。
【0017】
ケース40は基板30上に被せて取り付けられるもので樹脂製とされ、図5に示したように下面が開放された箱状をなすものとされる。上面部41には矩形状をなす開口42が4つ配列されて形成されており、上面部41の内側面の各開口42間及び両端の開口42のそれぞれ外側には隔壁43が下方に向かって突出形成されている。中央3つの隔壁43に比べ、外側2つの隔壁43は幅狭とされている。
【0018】
隔壁43の先端(下端)には基板30の仕切り壁33の台形状に突出された幅狭部33aの台形と対応して逆台形状をなすへこみ43aが形成されており、さらにこのへこみ43aの中央には矩形状の切り欠き43bが形成されている。切り欠き43bは上面部41に若干食い込むように形成されている。
【0019】
つまみ50は図6に示したような形状とされ、操作部51と基部52と一対の軸部53と突出部54とよりなるものとされ、樹脂製とされる。
【0020】
操作部51は略半円の一部が山形に切り欠かれた形状とされ、ケース40の開口42を挿通して外部に臨むようにその厚さが選定されている。基部52は操作部51に続いて操作部51の下面側に位置し、操作部51より厚さが大とされ、全体として中心角が180°よりやや小さい扇形をなすものとされている。なお、基部52の円弧面(周面)の両端は操作部51の円弧状をなす周面に一致してその延長上に位置し、中間部は段部52aによって1段下げられ、つまり径小とされている。
【0021】
一対の軸部53は操作部51の円弧状をなす周面の円弧の中心に位置するように操作部51及び基部52にまたがって、それらの両板面に突設されている。
【0022】
突出部54は基部52の下端に下方に向かって突出形成され、その先端側半部には凹部54aが水平方向(基部52の周の接線方向)に貫通して形成され、さらに凹部54aの底面には凸部54bが突出形成されている。また、突出部54の両板面には節度部54cが突出形成され、これら一対の節度部54cの互いの外側面はこの例では円筒面とされている。
【0023】
可動接触片60は例えば銅等の金属板が折り曲げ加工され、その表面に金メッキが施されてなるもので、図7に示したような形状を有するものとされる。
【0024】
可動接触片60はこの例では所定の間隙を介して対向された一対の板部61と、それら板部61を2箇所において連結する一対の連結部62とよりなる。一対の連結部62間において両板部61の上辺には切り欠き61aが形成されており、この切り欠き61aの形状はつまみ50の突出部54における凹部54aの底面に形成されている凸部54bと係合する形状とされている。
【0025】
連結部62を介して連結された一対の板部61は固定接触片70,75を挟み込むクリップ機構を構成しており、両板部61の下辺両端にはそれぞれ互いに外向きに折り曲げ形成されて誘い込み部61bが形成されている。
【0026】
固定接触片70,75は上辺が傾斜された板状とされ、下辺には端子71,76がそれぞれ一体形成されて突出されている(図2,3及び8参照)。固定接触片70,75は例えば銅製とされ、その表面には金メッキが施されている。
【0027】
固定接触片70,75は基板30の貫通穴35,36に挿通されて、図2及び3に示したように基板30の底板部31に植設され、端子71,76が外部に突出される。固定接触片70,75は貫通穴35,36に圧入固定するようにしてもよいし、また接着によって固定するようにしてもよい。
【0028】
可動接触片60はその切り欠き61aがつまみ50の突出部54内に形成されている凸部54bに図3に示したように嵌合されてつまみ50に取り付けられ、この可動接触片60が取り付けられたつまみ50を内部に収容してケース40が基板30上に取り付けられる。
【0029】
つまみ50は図2に示したように基板30の仕切り壁33及びケース40の隔壁43で仕切られた空間に位置し、その操作部51がケース40の開口42に位置して外部に突出される。また、つまみ50の一対の軸部53は図3に示したように基板30の仕切り壁33の幅狭部33a上に位置し、ケース40の隔壁43に形成されている切り欠き43bに収容されて位置決めされる。
【0030】
つまみ50は一対の軸部53がこのように位置決め支持されることにより、シーソー運動可能とされ、つまみ50の操作部51の上面を押圧することにより、つまみ50はシーソー運動し、このつまみ50と連動する可動接触片60によって固定接触片70,75間の電気回路が開閉される。なお、図3はつまみ50の一方の操作位置において可動接触片60を介して固定接触片70,75が導通されている状態を示す。
【0031】
上記のような構成とされたDIPスイッチによれば、可動接触片60はクリップ機構を有し、その一対の板部61によって固定接触片70,75の両板面を挟み込む構造となっているため、従来と比べ、接触障害が生じにくく、優れた接触安定性を有するものとなっている。
【0032】
図8はこの様子を示したものであり、例えば図8Bに示したように固定接触片70の一方の板面(接触面70a)に腐食24が発生しても他方の板面(接触面70b)において可動接触片60と固定接触片70は接触するため、接触障害は発生しない。なお、接触面70a,70bが同時に腐食する可能性はあるものの、そのような可能性は低いと言える。
【0033】
一方、図8Cは固定接触片70の一方の接触面70aに異物25が存在し、可動接触片60との間に異物25が挟まった状態を示したものであり、この場合でも他方の接触面70bにおいて可動接触片60と固定接触片70は接触するため、接触障害は発生せず、なおかつ接触面70bにおける接触圧が上がるため、確実な接触状態が得られることになる。
【0034】
ところで、この種のDIPスイッチにおいてはつまみ50の操作時に適度な操作感(節度感)が得られることが望ましく、以下、この点について説明する。
【0035】
この例ではつまみ50が位置する空間において基板30に一対の節度機構34が互いに対向して突出形成され、つまみ50の突出部54の両板面にはそれぞれ節度部54cが突出形成されている。図9はこれら節度機構34と節度部54cの関係を示したものであり、つまみ50に形成されている一対の節度部54cはつまみ50がシーソー運動する際に基板30の一対の節度機構34間を通過する。
【0036】
つまみ50の一対の節度部54cの互いの外側面は円筒面とされ、基板30の対をなす節度機構34の互いの対向面もこの例では傾斜した円筒面とされて凸面とされているため、節度部54cは節度機構34間を通過する際に、その円筒面の頂部が節度機構34の凸面を乗り越えるように通過する。よって、この際、節度感が得られるものとなる。なお、つまみ50の突出部54の凹部54aによって分けられた両脚部54dは節度部54cが節度機構34を乗り越える際に、わずかに内向きに変形する。
【0037】
このようにこの例によれば節度感を得るための機構として別部材(専用の部品)を用いることなく、つまみ50に節度部54cを一体形成し、かつ基板30に節度機構34を一体形成して節度感を得るものとなっており、その点で部品点数が少なく、簡易な構成とすることができ、安価に構成することができる。加えて、つまみ50に節度部54cが一体形成されていることにより、別部材をつまみに組み合わせて節度部(節度機構)を構成する場合に生じるような部品の組み合わせによるガタは発生せず、よって良好かつ軽快な操作感を得ることができる。
【0038】
次に、図10に示した実施例について説明する。
この例では上述したDIPスイッチにゴムパッキン80を取り付けたものであり、ケース40の開口42及びつまみ50の操作部51を覆ってケース40にゴムパッキン80を取り付けることにより機密性を確保することができ、耐環境性能を向上させることができる。なお、ゴムパッキン80はつまみ50を視認できるように透明もしくは半透明とされる。ゴムパッキン80の構成材には例えばシリコーンゴムを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】Aはこの発明によるDIPスイッチの一実施例を示す平面図、Bはその側面図。
【図2】図1AのC−C線拡大断面図。
【図3】図1AのD−D線拡大断面図。
【図4】Aは図1における基板の平面図、Bはその正面図、Cはその側面図。
【図5】Aは図1におけるケースの正面図、Bはその底面図、Cはその側面図。
【図6】Aは図1におけるつまみの正面図、Bはその底面図、Cはその側面図。
【図7】Aは図3における可動接触片の平面図、Bはその正面図、Cはその側面図。
【図8】可動接触片と固定接触片の接触状態を説明するための図。
【図9】つまみに一体形成されている節度部と基板に一体形成されている節度機構の関係を説明するための図。
【図10】この発明によるDIPスイッチの他の実施例を示す断面図。
【図11】DIPスイッチの従来例を示す断面図。
【図12】従来のDIPスイッチにおける接触障害の発生を説明するための図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーソー運動するつまみと、
そのつまみに固定されてつまみと連動する可動接触片と、
前記つまみの一方の操作位置において前記可動接触片を介して導通される固定接触片の対とを具備し、
前記可動接触片にクリップ機構が形成され、
そのクリップ機構によって前記可動接触片は前記固定接触片の両板面を挟み込む構造とされていることを特徴とするDIPスイッチ。
【請求項2】
請求項1記載のDIPスイッチにおいて、
前記固定接触片は基板に植設され、
その基板に互いに対向して対をなす節度機構が設けられ、
その対をなす節度機構間を前記シーソー運動する際に通過する一対の節度部が前記つまみに一体形成され、
前記一対の節度部の互いの外側面は円筒面とされ、
前記対をなす節度機構の互いの対向面は前記一対の節度部が通過する際に前記円筒面の頂部が乗り越えるような凸面形状とされていることを特徴とするDIPスイッチ。
【請求項3】
請求項1記載のDIPスイッチにおいて、
前記つまみはケースに収容されて、そのケースの開口に前記つまみの操作部が位置され、
前記開口及び前記操作部を覆って前記ケースに透明もしくは半透明のゴムパッキンが取り付けられていることを特徴とするDIPスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−97804(P2010−97804A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267254(P2008−267254)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(510014847)株式会社エスジーエム (2)
【Fターム(参考)】