説明

ERβ選択的リガンドの水性薬学的配合物

本発明は、ERβ選択的リガンドの水性配合物に関する。いくつかの実施形態において、配合物は、ERβ選択的リガンド、可溶化剤/錯生成剤成分、およびpH調節成分を含む。本発明は、さらに、配合物の調製法およびその使用も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ERβ選択的リガンドの水性配合物に関する。いくつかの実施形態において、配合物は、ERβ選択的リガンド、可溶化剤/錯生成剤(complexant)成分、およびpH調節成分を含む。いくつかの好ましい実施形態において、ERβ選択的リガンドは、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾル−5−オールまたは3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−7−ヒドロキシ−ナフタレン−1−カルボニトリルである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、エストロゲン剤として有用な、ERβ選択的リガンドの配合物に関する。
【0003】
哺乳類組織におけるエストロゲンの多面発現効果は充分に文書で立証され、現在、エストロゲンが多くの器官系に作用することが認識されている(Mendelsohn and Karas, New England Journal of Medicine 340:1801-1811(1999), Epperson, et al., Psychosomatic Medicine 61:676-697(1999), Crandall, Journal of Womens Health & Gender Based Medicine 8:1155-1166(1999), Monk and Brodaty, Dementia & Geriatric Cognitive Disorders 11:1-10(2000), Hurn and Macrae, Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism 20:631-652(2000), Calvin, Maturitas 34:195-210(2000), Finking, et al., Zeitschrift fur Kardiologie 89:442-453(2000), Brincat, Maturitas 35:107-117(2000), Al-Azzawi, Postgraduate Medical Journal 77:292-304(2001))。エストロゲンは、いくつかの方法で組織に作用することができ、最もよく特徴付けられている作用機序は、遺伝子転写における変更に導くエストロゲン受容体との相互作用である。エストロゲン受容体は、リガンド活性化転写因子であり、核ホルモン受容体スーパーファミリーに属する。このファミリーの他のメンバーは、プロゲステロン、アンドロゲン、グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド受容体を含む。リガンドに結合した際に、これらの受容体は二量体化し、DNA上の特異的配列(応答要素として公知)に直接的に結合することによるか、または他の転写因子(例えばAP1)と相互作用し、次に、これが特異的DNA配列に直接的に結合することによって、遺伝子転写を活性化することができる(Moggs and Orphanides, EMBO Reports 2:775-781(2001), Hall, et al., Journal of Biological Chemistry 276:36869-36872(2001), McDonnell, Principles Of Molecular Regulation. p351-361(2000))。ある種の「同時制御」タンパク質も、リガンド結合受容体と相互作用し、その転写活性をさらに調節することができる(McKenna, et al., Endocrine Reviews 20:321-344(1999))。エストロゲン受容体が、リガンド依存性方法および非依存方法の両方において、NFКB−媒介転写を抑制し得ることも示されている(Quaedackers, et al., Endocrinology 142:1156-1166(2001), Bhat, et al., Journal of Steroid Biochemistry & Molecular Biology 67:233-240(1998), Peizer, et al., Biochemical & Biophysical Research Communications 286:1153-7(2001))。
【0004】
エストロゲン受容体は、リン酸化によって活性化することもできる。このリン酸化は、増殖因子、例えばEGFによって媒介され、リガンドの不在下に、遺伝子転写の変化を生じさせる(Moggs and Orphanides, EMBO Reports 2:775-781(2001), Hall, et al., Journal of Biological Chemistry 276:36869-36872(2001))。
【0005】
あまり充分に特徴付けられていない、エストロゲンが細胞に作用する手段は、いわゆる膜受容体である。そのような受容体の存在は議論の余地があるが、エストロゲンが、細胞からの極めて迅速な非ゲノム応答を誘発することが文書で充分に立証されている。これらの作用を伝達する役割を担っている分子存在物は、限定的に単離されていないが、それがエストロゲン受容体の核形態に少なくとも関係していることを示唆する証拠がある[Levin, Journal of Applied Physiology 91:1860-1867(2001), Levin, Trends in Endocrinology & Metabolism 10:374-377(1999)]。
【0006】
現在までに、2つのエストロゲン受容体が発見されている。第一のエストロゲン受容体は、約15年前にクローン化され、現在、ERαと呼ばれている(Green, et al., Nature 320:134-9(1986))。エストロゲン受容体の第二の形態は、比較的最近見出され、ERβと呼ばれている[Kuiper, et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 93:5925-5930(1996))。ERβについての初期の研究は、種々のリガンドへのその親和性を明らかにすることに焦点があてられ、実際にERαとのいくつかの違いが分かった。ERβの組織分布は、げっ歯類において充分にマッピングされ、ERαと一致しない。組織、例えばマウスおよびラット子宮は、主としてERαを発現するが、マウスおよびラット肺は、主としてERβを発現する[Couse, et al., Endocrinology 138:4613-4621(1997), Kuiper, et al., Endocrinology 138:863-870(1997))。同じ器官内においてさえ、ERαおよびERβの分布は、区画化することができる。例えば、マウス卵巣において、ERβは顆粒膜細胞において多く発現され、ERαは包膜および間質細胞に限定されている[Sar and Welsch, Endocrinology 140:963-971(1999), Fitzpatrick, et al., Endocrinology 140:2581-2591(1999))。しかし、受容体が共発現される例があり、ERαおよびERβがヘテロダイマーを形成し得るというインビトロ試験からの証拠がある[Cowley, et al., Journal of Biological Chemistry 272:19858-19862(1997))。
【0007】
17β−エストラジオールの活性を模倣するかまたはブロックする多くの化合物が記載されている。17β−エストラジオール、最も強力な内因性エストロゲンとほぼ同じ生物学的作用を有する化合物は、「エストロゲン受容体アゴニスト」と称される。17β−エストラジオールと組み合わせて与えた場合に、その作用をブロックする物質は、「エストロゲン受容体アンタゴニスト」と称される。実際は、エストロゲン受容体アゴニストおよびエストロゲン受容体アンタゴニスト活性の間に連続体が存在し、実際に、いくつかの化合物は、ある組織においてエストロゲン受容体アゴニストとして挙動し、他の組織においてはエストロゲン受容体アンタゴニストとして挙動する。混合活性を有するこれらの化合物は、選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERMS)と称され、治療的に有用な物質(例えば、EVISTA)である(McDonnell, Journal of the Society for Gynecologic Investigation 7:S10-S15(2000), Goldstein, et al., Human Reproduction Update 6:212-224(2000))。同じ化合物が細胞特異的作用を有し得る明確な理由は、解明されていないが、受容体コンホメーションにおける違いおよび/または同時制御タンパク質の環境の違いが示唆されている。
【0008】
エストロゲン受容体は、リガンドと結合した場合に、種々のコンホメーションをとることが以前から公知である。しかし、これらの変化の結果および微細な区別は、ごく最近になって、明らかにされた。ERαおよびERβの三次構造が、種々のリガンドを用いた同時結晶化によって解明され、エストロゲン受容体アンタゴニストの存在下の、らせん12のリポジショニングを明らかに示し、これは、受容体−同時制御タンパク質相互作用に必要とされるタンパク質配列を立体的に妨げる(Pike, et al., Embo 18:4608-4618(1999), Shiau, et al., Cell 95:927-937(1998))。さらに、ファージディスプレイの技術を使用して、種々のリガンドの存在下にエストロゲン受容体と相互作用するペプチドが同定されている(Paige, et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 96:3999−4004(1999))。例えば、完全エストロゲン受容体アゴニスト17β−エストラジオールおよびジエチルスチルベストロールに結合したERαを識別するペプチドが同定された。種々のペプチドが、ERαおよびERβに結合したクロミフェンを識別することが示された。これらのデータは、各リガンドが、明確な生物学的活性を有する可能性が高い独特かつ意外なコンホメーションに、受容体を配置する可能性があることを示している。
【0009】
2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾル−5−オール(ERB−041)を含む例示的ERβ選択的リガンドの調製が、米国特許第6794403号に記載され、本特許は参照により全体が本明細書に組み込まれる。他のERβ選択的リガンドは、以下に記載されている化合物を含む。米国特許第6794403号、米国特許第6914074号、および米国特許出願第60/637144(2004年12月17日出願)(それらはそれぞれ、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0010】
前記のように、エストロゲンは、種々の生物学的過程に作用する。さらに、性的差異(例えば、疾患頻度、攻撃に対する応答等)が述べられている場合、その説明は、男性と女性とのエストロゲンレベルの差を含むことが可能である。
【0011】
これらの化合物が薬学的物質として重要であるとすれば、化合物の送達用の有効な配合物が極めて重要であることが理解される。本発明は、これらおよび他の重要な目的に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ERβ選択的リガンドを含む水性薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、組成物は、ERβ選択的リガンド、可溶化剤/錯生成剤成分、および場合により、pH調節成分を含有する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
いくつかの実施形態において、ERβ選択的リガンドは、約0.14μg/mL〜約40mg/mLの量で存在し;可溶化剤/錯生成剤成分は、薬学的組成物の約0.00021%(w/v)〜約60%(w/v)の量で存在し;任意のpH調節成分は、存在する場合に、薬学的組成物中に約8.75×10-7N〜約1.0Nの濃度で存在する。
【0014】
いくつかの実施形態において、ERβ選択的リガンドは、約0.14μg/mL〜約10mg/mLの量で存在し;可溶化剤/錯生成剤成分は、薬学的組成物の約0.00021%(w/v)〜約15%(w/v)の量で存在し;任意のpH調節成分は、存在する場合に、薬学的組成物中に約8.75×10-7N〜約0.0625Nの濃度で存在する。
【0015】
いくつかの実施形態において、ERβ選択的リガンドは、約1mg/mL〜約40mg/mLの量で存在し;可溶化剤/錯生成剤成分は、薬学的組成物の約1%(w/v)〜約60%(w/v)の量で存在する。いくつかの他の実施形態において、ERβ選択的リガンドは、約5mg/mL〜約40mg/mLの量で存在し;可溶化剤/錯生成剤成分は、薬学的組成物の約5%(w/v)〜約60%(w/v)の量で存在する。
【0016】
いくつかの実施形態において、ERβ選択的リガンドは、約1mg/mL〜約10mg/mLの量で存在し;可溶化剤/錯生成剤成分は、薬学的組成物の約1%(w/v)〜約15%(w/v)の量で存在し;任意のpH調節成分は、存在する場合に、薬学的組成物中に約8.75×10-7N〜約0.0625Nの濃度で存在する。いくつかの他の実施形態において、ERβ選択的リガンドは、約5mg/mL〜約10mg/mLの量で存在し;可溶化剤/錯生成剤成分は、薬学的組成物の約5%(w/v)〜約15%(w/v)の量で存在し;任意のpH調節成分は、存在する場合に、薬学的組成物中に約8.75×10-7N〜約0.0625Nの濃度で存在する。
【0017】
いくつかの実施形態において、ERβ選択的リガンドは、約1mg/mL〜約10mg/mLの量で存在し;可溶化剤/錯生成剤成分は、薬学的組成物の約1%(w/v)〜約15%(w/v)の量で存在する。いくつかの他の実施形態において、ERβ選択的リガンドは、約5mg/mL〜約10mg/mLの量で存在し;可溶化剤/錯生成剤成分は、薬学的組成物の約5%(w/v)〜約15%(w/v)の量で存在する。
【0018】
いくつかの実施形態において、可溶化剤/錯生成剤成分は、シクロデキストリンおよび置換シクロデキストリンから選択され、好ましくはヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、より好ましくはヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンである。いくつかのさらなる実施形態において、pH調節成分は、I族およびII族金属水酸化物からなる群より選択され、例えばNaOHおよびKOH、好ましくはNaOHである。
【0019】
本発明は、さらに、本発明の薬学的組成物を調製する方法、本方法の生成物、および本発明の薬学的組成物を使用する方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、ERβ選択的リガンドを含む水性薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、組成物は、ERβ選択的リガンド、可溶化剤/錯生成剤成分、および場合により、pH調節成分を含む。本発明の薬学的組成物は、好ましくは注射による、好ましくは静脈注射による、ERβ選択的リガンドの投与に有用である。
【0021】
一般に、ERβ選択的リガンドは、薬学的組成物中に約0.14μg/mL〜約40mg/mL、または薬学的組成物中に約1mg/mL〜約40mg/mL、薬学的組成物中に約5mg/mL〜約40mg/mL、薬学的組成物中に約0.14μg/mL〜約10mg/mL、薬学的組成物中に約1mg/mL〜約10mg/mL、または薬学的組成物中に約5mg/mL〜約10mg/mLの量で存在する。いくつかの実施形態において、ERβ選択的リガンドは、式I:
【化14】


(式中、
1は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、3〜8個の炭素原子のシクロアルキル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、1〜6個の炭素原子のチオアルキル、1〜6個の炭素原子のスルホキソアルキル、1〜6個の炭素原子のスルホノアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、O、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員の複素環、−NO2、−NR56、−N(R5)COR6、−CN、−CHFCN、−CF2CN、2〜7個の炭素原子のアルキニル、または2〜7個の炭素原子のアルケニルであり;該アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
2およびR2aは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;該アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
3、R3aおよびR4は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;該アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
5およびR6は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、または6〜10個の炭素原子のアリールであり;
Xは、O、SまたはNR7であり;
7は、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR5、−CO25または−SO25である)、
またはその薬学的に許容される塩を有する。いくつかのそのような実施形態において、ERβ選択的リガンドは、式II:
【化15】

(式中、
1は、2〜7個の炭素原子のアルケニルであり;該アルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
2およびR2aは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;該アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
3およびR3aは、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;該アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
5およびR6は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、または6〜10個の炭素原子のアリールであり;
Xは、O、SまたはNR7であり;
7は、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR5、−CO25または−SO25である)、
またはその薬学的に許容される塩を有する。ERβ選択的リガンドが式IIを有するいくつかの実施形態において、XはOであり、R1は2〜3個の炭素原子のアルケニルであり、該アルケニルは、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、ERβ選択的リガンドは、式:
【化16】

を有する2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾル−5−オール(ERB−041)であるか、またはその薬学的に許容される塩である。ERB−041、および式IおよびIIの化合物は、米国特許第6794403号に記載されている手順によって調製することができ、該特許は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
いくつかの他の実施形態において、ERβ選択的リガンドは、式III:
【化17】

(式中、
11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、またはハロゲンから選択され;
15、R16、R17、R18、R19およびR20は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−CHO、フェニル、またはO、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員の複素環であり;R15、R16、R17、R18、R19またはR20の該アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、NO2、またはフェニルによって置換されていてもよく;R15、R16、R17、R18、R19またはR20の該フェニル部分は、場合により1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−NO2、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、1アルキル基当たり1〜6個の炭素原子のジアルキルアミノ、チオ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、2〜7個の炭素原子のアルコキシカルボニル、2〜7個の炭素原子のアルキルカルボニル、またはベンゾイルによって、一、二または三置換されていてもよく;
11、R12、R13、R14、R17、R18、R19またはR20の少なくとも1つは、ヒドロキシルである)、
またはその薬学的に許容される塩を有する。いくつかのそのような実施形態において、ERβ選択的リガンドは、式IV:
【化18】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、またはハロゲンから選択され;
15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、7〜12個の炭素原子のフェニルアルキル、フェニル、またはO、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員の複素環であり;R15、R16、R17、R18またはR19の該アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NO2、またはフェニルによって置換されていてもよく;R15、R16、R17、R18またはR19の該フェニル部分は、場合により1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−NO2、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、1アルキル基当たり1〜6個の炭素原子のジアルキルアミノ、チオ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、2〜7個の炭素原子のアルコキシカルボニル、2〜7個の炭素原子のアルキルカルボニル、またはベンゾイルによって、一、二または三置換されていてもよく;
15またはR19の少なくとも1つは、水素でない)、
またはその薬学的に許容される塩を有する。いくつかのそのような実施形態において、ERβ選択的リガンドは、式V:
【化19】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、またはハロゲンから選択され;
15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、7〜12個の炭素原子のフェニルアルキル、フェニル、またはO、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員の複素環であり;R15、R16、R17、R18またはR19の該アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NO2、またはフェニルによって置換されていてもよく;R15、R16、R17、R18またはR19の該フェニル部分は、場合により1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、CN、−NO2、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、1アルキル基当たり1〜6個の炭素原子のジアルキルアミノ、チオ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、2〜7個の炭素原子のアルコキシカルボニル、2〜7個の炭素原子のアルキルカルボニル、またはベンゾイルによって、一、二または三置換されていてもよく;
15またはR19の少なくとも1つは、水素でない)、
またはその薬学的に許容される塩を有する。いくつかのそのような実施形態において、O、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員の複素環は、フラン、チオフェンまたはピリジンであり、R15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、−CN、または2〜7個の炭素原子のアルキニルである。いくつかのそのような実施形態において、R16、R17およびR18は、水素である。いくつかの実施形態において、ERβ選択的リガンドは、下記の式:
【化20】

を有する化合物3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−7−ヒドロキシ−ナフタレン−1−カルボニトリル(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩である。化合物1、ならびに式III、IVおよびVの化合物は、米国特許第6914074号に記載されている手順によって調製することができ、本特許は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0023】
本発明の水性薬学的組成物は、ERβ選択的リガンドを可溶化するのを助ける可溶化剤/錯生成剤成分を含有する。例えば、前記の化合物1は、水に不溶性であり、酸性化合物であるが、IV投与に安全と考えられるpH最大(即ち約pH10;化合物1の溶解度特性に関する図1参照)においてさえ低い溶解性である。従って、本発明の組成物は、可溶化を助けるための可溶化剤/錯生成剤成分を含有する。一般に、可溶化剤/錯生成剤成分は、薬学的配合物の調製に有用であることが公知の、1つまたはそれ以上の可溶化および/または錯生成剤からなる。いくつかの実施形態において、可溶化剤/錯生成剤成分は、単一の可溶化および/または錯生成剤からなる。いくつかの実施形態において、可溶化剤/錯生成剤成分は、以下の物質を含むが、それらに限定されない。補助溶剤、例えば、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、ソルビトールおよびポリエチレングリコール、ならびに界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリソルベート 80)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(例えば、クレモフォール EL、クレモフォール RH40)、ビタミンE TPGS(d−α−トコフェリルポリエチレングリコール)、ソルトール(solutol)(ヒドロキシステアレートのポリエチレングリコールエステル)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリエトキシル化脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−グリセロール脂肪エステル、ポリグリコール化グリセリド、ポリエトキシル化コレステロール、ポリエトキシル化ステロール、およびポリエトキシル化植物油。いくつかの実施形態において、可溶化剤/錯生成剤成分は、以下の物質を含むが、それらに限定されない。補助溶剤、例えば、グリセリン、エタノール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール、ならびに界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ビタミンE TPGS、およびゾルトール。いくつかの実施形態において、可溶化剤/錯生成剤成分は、置換されていてもよく[例えば、1つまたはそれ以上のC1-8アルキル基、ヒドロキシル−C1-8アルキル基、またはスルホ(C1-8アルキル)エーテル(MOSO2−(C1-8アルキル)−O−)基(ここで、Mは金属塩、例えばナトリウムである)によって置換]または置換されていなくてもよい1つまたはそれ以上の環状オリゴ糖である。いくつかの好ましい可溶化および/または錯生成剤の例は、シクロデキストリン(α、βおよびγシクロデキストリンを含む)および置換シクロデキストリン、例えば、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンを含み、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンが好ましい。一般に、可溶化剤/錯生成剤成分は、薬学的組成物の約0.00021%(w/v)〜約60%(w/v);薬学的組成物の約1%(w/v)〜約60%(w/v);薬学的組成物の約5%(w/v)〜約60%(w/v);薬学的組成物の約0.00021%(w/v)〜約15%(w/v);薬学的組成物の約1%(w/v)〜約15%(w/v);または、薬学的組成物の約5%(w/v)〜約15%(w/v)の量で存在する。いくつかの実施形態において、可溶化剤/錯生成剤成分は、アニオンまたはノニオン界面活性剤または湿潤剤を含まない。いくつかの実施形態において、可溶化剤/錯生成剤成分は、1つまたはそれ以上のポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ろう、ソルビタンエステル、またはドデシル硫酸ナトリウム;またはそれらの下位実施形態(subembodiments)を含まない。
【0024】
本明細書において使用される「脂肪酸」という用語は、飽和または不飽和の脂肪族系酸を指す。いくつかの実施形態において、脂肪酸は、種々の脂肪酸の混合物である。いくつかの実施形態において、脂肪酸は、平均で約8〜約30個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、脂肪酸は、平均で約8〜約24個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、脂肪酸は、平均で約12〜約18個の炭素原子を有する。好適な脂肪酸は、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、エルカ酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、カプリン酸、カプリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、セトステアリン酸、イソステアリン酸、セスキオレイン酸、セスキ−9−オクタデカン酸、セスキイソオクタデカン酸、ベヘン酸、イソベヘン酸およびアラキドン酸、またはそれらの混合物を含む。他の好適な脂肪アルコールは、Hystrene(登録商標)シリーズ(Humkoから入手可能)を含むが、それらに限定されない。
【0025】
本明細書において使用される「脂肪アルコール」という用語は、飽和または不飽和の脂肪族アルコールを指す。いくつかの実施形態において、脂肪アルコールは、種々の脂肪アルコールの混合物である。いくつかの実施形態において、脂肪アルコールは、平均で約8〜約30個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、脂肪アルコールは、平均で約8〜約24個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、脂肪アルコールは、平均で約12〜約18個の炭素原子を有する。好適な脂肪アルコールは、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、パルミトリル酸(palmitolyl acid)、セチルアルコール、カプリルアルコール、カプリリルアルコール、オレイルアルコール、リノレニルアルコール、アラキドン酸アルコール(arachidonic alcohol)、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコールおよびリノレイルアルコール、またはそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。
【0026】
本明細書において使用される「脂肪エステル」という用語は、脂肪酸と、ヒドロキシル基を有する有機化合物とによって形成されたエステル化合物を指す。
【0027】
本明細書において使用される「ポリエチレングリコール」という用語は、式−O−CH2−CH2−のエチレングリコールモノマー単位を含有するポリマーを指す。好適なポリエチレングリコールは、ポリマー分子の各末端に遊離ヒドロキシ基を有し得るか、または低級アルキル、例えばメチル基で、エーテル化された1つのヒドロキシ基を有し得る。エステル化可能なカルボキシ基を有するポリエチレングリコールの誘導体も好適である。本発明に有用なポリエチレングリコールは、任意の鎖長または分子量のポリマーであることができ、枝分かれを含むことができる。いくつかの実施形態において、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約200〜約9000である。いくつかの実施形態において、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約200〜約5000である。いくつかの実施形態において、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約200〜約900である。いくつかの実施形態において、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約400である。好適なポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコール−200、ポリエチレングリコール−300、ポリエチレングリコール−400、ポリエチレングリコール−600、およびポリエチレングリコール−900を含むが、それらに限定されない。名称におけるダッシュ記号に続く数字は、ポリマーの平均分子量を意味する。いくつかの実施形態において、ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコール−400である。好適なポリエチレングリコールは、Carbowax(商標)およびCarbowax(商標)Sentryシリーズ(Dowから入手可能)、Lipoxol(商標)シリーズ(Brenntagから入手可能)、Lutrol(商標)シリーズ(BASFから入手可能)、およびPluriol(商標)(BASFから入手可能)を含むが、それらに限定されない。
【0028】
本明細書において使用される「ポリエトキシル化脂肪酸エステル」という用語は、脂肪酸のエトキシル化から誘導されたモノエステルまたはジエステルまたはそれらの混合物を指す。ポリエトキシル化脂肪酸エステルは、遊離脂肪酸およびポリエチレングリコールも含有することができる。ポリエトキシル化脂肪酸エステルの形成に有用な脂肪酸は、本明細書に記載する脂肪酸を含むが、それらに限定されない。好適なポリエトキシル化脂肪酸エステルは、Emulphor(商標)VT−679(ステアリン酸8.3molエトキシレート、Stepan Productsから入手可能)、Alkasurf(商標)COシリーズ(Alkarilから入手可能)、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、Solutol(商標)HS15(BASFから入手可能)、およびR. C. Rowe and P. J. Shesky, Handbook of pharmaceutical excipients, (2006), 5th ed.(これは、参照により、全体が本明細書に組み込まれる)に列記されているポリエチレンステアレートを含むが、それらに限定されない。
【0029】
本明細書において使用される「ポリエトキシル化コレステロール」という用語は、コレステロールのエトキシル化によって形成された化合物またはその混合物を指す。
【0030】
本明細書において単独かまたは他の用語と組み合わせて使用される「ポリグリコール化グリセリド」という用語は、ポリエチレングリコール、グリセロールおよび脂肪酸のエステル化;グリセリドおよびポリエチレングリコールのエステル交換;または脂肪酸のグリセリドのエトキシル化によって形成された生成物を指す。本明細書において使用される「ポリグリコール化グリセリド」という用語は、代替的または付加的に、モノグリセリド、ジグリセリドおよび/またはトリグリセリドと、ポリエチレングリコールのモノエステルおよび/またはジエステルとの混合物を指し得る。ポリグリコール化グリセリドは、本明細書に記載されている脂肪酸、脂肪酸のグリセリド、およびポリエチレングリコールから誘導することができる。グリセリド、モノエステルまたはジエステル上の脂肪エステル側鎖は、任意の鎖長であることができ、飽和または不飽和であることができる。ポリグリコール化グリセリドは、他の物質、例えば、ポリエチレングリコール、グリセロールおよび脂肪酸(それらに限定されない)を、夾雑物または副生成物として含有し得る。
【0031】
本明細書において使用される「ポリエトキシル化植物油」という用語は、植物油のエトキシル化によって形成された化合物、または化合物の混合物を指し、ポリエチレングリコールの少なくとも1つの鎖が植物油に共有結合している。いくつかの実施形態において、脂肪酸は、約12〜約18個の炭素原子を有する。好適なポリエトキシル化植物油は、Cremaphor(商標)ELまたはRHシリーズ(BASFから入手可能)、Emulphor(商標)EL−719(Stepan Productsから入手可能)、およびEmulphor(商標)EL−620P(GAFから入手可能)を含むが、それらに限定されない。
【0032】
本明細書において使用される「ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体」という用語は、ヒマシ油のエトキシル化から形成された化合物を意味し、ポリエチレングリコールの少なくとも1つの鎖がヒマシ油に共有結合している。ヒマシ油は、水素化されていてもよく、水素化されなくてもよい。ポリエトキシル化ヒマシ油の類義語は、ポリオキシルヒマシ油、水素化ポリオキシルヒマシ油、マクロゴールグリセロリ・リシノレアス(mcrogolglyceroli ricinoleas)、マクロゴールグリセロリ・ヒドロキシステアラス(macrogolglyceroli hydroxystearas)、ポリオキシル35ヒマシ油、およびポリオキシル40水素化ヒマシ油を含むが、それらに限定されない。好適なポリエトキシル化ヒマシ油は、Nikkol(商標)HCOシリーズ(Nikko Chemicals Co.Ltd.から入手可能)、Emulphor(商標)EL−719(ヒマシ油40mole−エトキシレート、Stepan Productsから入手可能)、Cremophore(商標)シリーズ(BASFから入手可能)、およびEmulgin(登録商標)ROおよびHREシリーズ(Cognis PharmaLineから入手可能)を含むが、それらに限定されない。他の好適なポリオキシエチレンヒマシ油誘導体は、R. C. Rowe and P. J. Shesky, Handbook of pharmaceutical excipients, (2006), 5th ed.(これは、参照により、全体が本明細書に組み込まれる)に列記されている物質を含む。
【0033】
本明細書において使用される「ポリエトキシル化ステロール」という用語は、ステロール分子のエトキシル化によって誘導された化合物、または化合物の混合物を指す。好適なポリエトキシル化ステロールは、PEG−24コレステロールエーテル、Solulan(商標)C−24(Amercholから入手可能);PEG−30コレスタノール、Nikkol(商標)DHC(Nikkoから入手可能);フィトステロール、GENEROL(商標)シリーズ(Henkelから入手可能);PEG−25フィトステロール、Nikkol(商標)BPSH−25(Nikkoから入手可能);PEG−5ダイズステロール、Nikkol(商標)BPS−5(Nikkoから入手可能);PEG−10ダイズステロール、Nikkol(商標)BPS−10(Nikkoから入手可能);PEG−20ダイズステロール、Nikkol(商標)BPS−20(Nikkoから入手可能);およびPEG−30ダイズステロール、Nikkol(商標)BPS−30(Nikkoから入手可能)を含むが、それらに限定されない。本明細書において使用される「PEG」という用語は、ポリエチレングリコールを指す。
【0034】
本明細書において使用される「ポリオキシエチレン−グリセロール脂肪エステル」という用語は、グリセリンのエトキシル化脂肪酸エステル、またはその混合物を指す。好適なポリオキシエチレン−グリセロール脂肪エステルは、PEG−20グリセリルラウレート、Tagat(商標)L(Goldschmidt);PEG−30グリセリルラウレート、Tagat(商標)L2(Goldschmidt);PEG−15グリセリルラウレート、Glycerox(商標)Lシリーズ(Croda);PEG−40グリセリルラウレート、Glycerox(商標)Lシリーズ(Croda);PEG−20グリセリルステアレート、Capmul(商標)EMG(ABITEC)、Aldo MS−20 KFG(Lonza);PEG−20グリセリルオレエート、Tagat(商標)0(Goldschmidt);PEG−30グリセリルオレエート、Tagat(商標)02(Goldschmidt)を含むが、それらに限定されない。
【0035】
本明細書において使用される「ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル」は、ポリエチレングリコールと脂肪アルコールから形成されたモノエーテルまたはジエーテル、またはそれらの混合物を意味する。ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルを誘導するのに有用な脂肪アルコールは、本明細書に定義される物質を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルは、エトキシル化ステアリルアルコール、セチルアルコール、およびセチルステアリルアルコール(セテアリルアルコール)を含む。好適なポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルは、界面活性剤のBrij(商標)シリーズ(Uniqemaから入手可能)、Cremophor(商標)Aシリーズ(BASFから入手可能)、Emulgen(商標)シリーズ(Kao Corp.から入手可能)、Ethosperse(商標)(Lonzaから入手可能)、Ethylan(商標)シリーズ(Brenntagから入手可能)、Plurafac(商標)シリーズ(BASFから入手可能)、Ritoleth(商標)およびRitox(商標)シリーズ(Rita Corp.から入手可能)、Volpo(商標)シリーズ(Crodaから入手可能)、およびTexafor(商標)シリーズを含むが、それらに限定されない。ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルと他の物質とのブレンドも、本発明に有用である。他の好適なポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルは、R. C. Rowe and P. J. Shesky, Handbook of pharmaceutical excipients, (2006), 5th ed.(これは、参照により、全体が本明細書に組み込まれる)に列記されている物質を含む。
【0036】
本明細書において使用される「ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー」という用語は、オキシエチレンモノマー単位およびオキシプロピレンモノマー単位の両方を有するコポリマーを指す。本発明に使用するのに好適なポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーは、任意の鎖長または分子量であることができ、枝分かれを含むことができる。鎖末端は、遊離ヒドロキシル基を有してもよく、または低級アルキルまたはカルボキシ基でエーテル化された1つまたはそれ以上のヒドロキシル基を有してもよい。ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーは、共重合された、または主鎖の一部を形成する、他のモノマーも含有することができる。例えば、ブチレンオキシドを、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドと共重合させて、本発明に有用なポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーを形成することができる。いくつかの実施形態において、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーはブロックコポリマーであり、1つのブロックがポリオキシエチレンであり、他のブロックがポリオキシプロピレンである。好適なポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーは、限定されないが、界面活性剤のPluronic(登録商標)シリーズ(BASFから入手可能)を含み、該シリーズは、Poloxamer 108、124、188、217、237、238、288、338、407、101、105、122、123、124、181、182、183、184、212、231、282、331、401、402、185、215、234、235、284、333、334、335および403のCTFA名で表される界面活性剤の群からなる。
【0037】
好適なソルビトールは、Neosorb(Roquetteから入手可能)、Partech(商標)SI(Merckから入手可能)、Liponic(商標)70−NCおよび76−NC(Lipo Chemicalから入手可能)、およびSorbogem(商標)(SPI polyolsから入手可能)を含むが、それらに限定されない。
【0038】
いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、組成物のpHを所望の値に調節するために使用されるpH調節成分を含む。いくつかの好ましい実施形態において、本発明の薬学的組成物は、塩基性pH、例えば約9〜約9.3で提供される。いくつかの実施形態において、pH調節成分は、存在する場合に、薬学的組成物中に約8.75×10-7N〜約1.0N、または約8.75×10-7N〜約0.0625Nの濃度で存在する。pH調節成分の濃度は、組成物に添加された量に基づき、従って、酸−塩基反応によって組成物の他の成分と後に反応するあらゆる部分を含む。従って、ERβ選択的リガンドが、前記のようなERB−041または化合物1であるいくつかの実施形態において、pH調節成分は、塩基、例えば、I族またはII族金属水酸化物、例えばNaOHおよびKOH;金属炭酸塩および炭酸水素塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウム;またはアミン塩基を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態において、pH調節成分は、NaOHまたはKOHを含むか、またはそれからなる。いくつかの好ましい実施形態において、pH調節成分は、NaOHを含むか、またはそれからなる。pH調節成分は、固形物として、または濃厚溶液として添加することができる。いくつかの実施形態において、pH成分は、水溶液として添加される塩基、例えばNaOHである。
【0039】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、どのような可溶化剤/錯生成剤成分も含有しないERβ選択的リガンドの組成物と比較して、より高い化学安定度を有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、4℃で2ヶ月において、約99%またはそれより高い、ERβ選択的リガンドの効力を有する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、4℃において、約99.1%、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%または約99.9%またはそれより高い、ERβ選択的リガンドの効力を有する。本明細書において使用される効力とは、初期API濃度のパーセントを指す。
【0040】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、どのような可溶化剤/錯生成剤成分も含有しないERβ選択的リガンドの組成物と比較して、沈殿する傾向が低い。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、投与した場合に、どのような可溶化剤/錯生成剤成分も含有しないERβ選択的リガンドの組成物と比較して、静脈炎を誘発する傾向が低い。
【0041】
いくつかの実施形態において、約0.1%またはそれ未満のERβ選択的リガンドが、リン酸緩衝生理食塩水での該薬学的組成物の1000倍希釈後2分間で沈殿する。いくつかの実施形態において、約0.01%またはそれ未満のERβ選択的リガンドが、リン酸緩衝生理食塩水での該薬学的組成物の1000倍希釈後2分間で沈殿する。いくつかの実施形態において、約1%または0.001%またはそれ未満のERβ選択的リガンドが、リン酸緩衝生理食塩水での該薬学的組成物の1000倍希釈後2分間で沈殿する。いくつかの実施形態において、約1%、約0.1%、約0.01%、または約0.001%またはそれ未満のERβ選択的リガンドが、リン酸緩衝生理食塩水での該薬学的組成物の100倍希釈後2分間で沈殿する。いくつかの実施形態において、リン酸緩衝生理食塩水での該薬学的組成物の1000倍希釈後2分間で、ERβ選択的リガンドの可視沈殿が観測されない。
【0042】
本発明は、本発明の薬学的組成物を製造する方法も提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、以下の工程を含む。(i)ERβ選択的リガンドを含む容器(即ち、液体薬学的組成物の調製に好適な容器)を準備する工程;(ii)可溶化剤/錯生成剤成分を該容器に添加して、第一混合物を形成する工程;(iii)滅菌水を該容器に添加して、第二混合物を形成する工程;(iv)場合により、pH調節成分を該第二混合物に添加して、第三混合物を形成する工程;(v)該第三混合物の成分を溶解させて、溶液を形成する工程(例えば、攪拌、加熱、または攪拌と加熱の両方による);および(vi)該溶液を濾過する工程。
【0043】
いくつかの実施形態において、可溶化剤/錯生成剤成分は、該可溶化剤/錯生成剤成分を含有しない本発明の薬学的組成物の治療有効量の投与と比較して、静脈炎の発生率を減少させるのに充分な量で存在する。本明細書において使用される「減少した静脈炎発生率」は、本発明の薬学的組成物の治療有効量を投与した場合に、ERβ選択的リガンド(本明細書において定義される)を含み、可溶化剤/錯生成剤成分を含まない薬学的組成物の治療有効量を投与された患者と比較して、統計的に有意により低いパーセンテージの患者が静脈炎を発症させることを意味する。
【0044】
ERβ選択的リガンドは、種々の疾患および障害の治療に有用であることが開示されている。前記の米国特許第6794403号および第6914074号を参照。従って、本発明の薬学的組成物は、そのような疾患および障害の治療に使用し得る。いくつかの好ましい実施形態において、本発明の薬学的組成物は、炎症または自己免疫疾患に関連した疾患の治療に使用され、該疾患は、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、不確定大腸炎(indeterminate colitis))、関節炎(慢性関節リウマチ、脊椎関節症、骨関節炎)、胸膜炎、虚血/再灌流障害(例えば、脳卒中、移植拒絶反応、心筋梗塞等)、喘息、巨細胞性動脈炎、前立腺炎、間質性膀胱炎、ブドウ膜炎、乾癬、多発性硬化症、全身性エリテマトーデスおよび敗血症を含む。本発明の薬学的組成物は、子宮内膜症の治療または抑制にも有用である。
【0045】
従って、いくつかの実施形態において、本発明は、関節炎または子宮内膜症の患者を治療する方法を提供し、本方法は、該患者に、治療有効量の本発明の薬学的組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載されている治療法に使用するために、本発明の薬学的組成物を提供する。
【0046】
本明細書において使用される「治療」、「治療すること」、「治療する」等の用語は、所望の薬理学的および/または生理学的作用を得ることを意味する。その作用は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防するという観点から予防的であってもよく、かつ/または疾患、障害および/またはその疾患に起因し得る有害作用の部分的または完全な安定化または治癒という観点から治療的であってもよい。本明細書において使用される「治療」という用語は、患者、特にヒトにおける、疾患または障害のあらゆる治療を含み、以下を含む。(a)疾患または障害または症状に罹患しやすいが、それを有すると診断されていない患者において、疾患または障害またはその症状の発生を予防すること;(b)そのような疾患または障害の1つまたはそれ以上の症状を抑制すること、即ち、その進行を阻止すること;または疾患または障害の症状を緩和すること、即ち、疾患、障害またはその症状の後退を生じさせること。
【0047】
「個体」、「被験者(subject)」、「宿主」および「患者」という用語は、交換可能に使用され、診断、治療または療法が必要とされる任意の対象、特にヒトを意味する。他の対象は、ウシ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ等を含み得る。いくつかの好ましい実施形態において、対象はヒトである。
【0048】
本明細書において使用される「投与する」または「与える(providing)」という用語は、ERβ選択的リガンドを、好ましくは注射によって、好ましくは静脈注射によって、直接的に投与することを意味する。
【0049】
本明細書において使用される「ERβ選択的リガンド」という用語は、ERβおよびERαへの結合親和力を測定する標準薬理試験法において、ERβへのリガンドの結合親和力(IC50によって測定され、17β−エストラジオールのIC50はERαとERβとの間で3倍以下の違いである)が、ERαへの結合親和力より少なくとも約10倍高い化合物を意味する。参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6794403号および第6914074号参照。好ましい実施形態において、ERβ選択的リガンドは、本明細書に記載される式I〜Vの1つ、好ましくはERB−041または化合物1で示される。
【0050】
本明細書において使用される「アルキル」という用語は、直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を意味する。アルキル基の例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)等である。アルキル基は、1〜約20個、1〜約10個、1〜約8個、1〜約6個、1〜約4個、または1〜約3個の炭素原子を含有し得る。いくつかの実施形態において、アルキル基は、4個までの下記の置換基によって置換することができる。本明細書において使用される「低級アルキル」という用語は、6個までの炭素原子を有するアルキル基を意味するものとする。
【0051】
本明細書において使用される「アルケニル」は、1個またはそれ以上の二重炭素−炭素結合を有するアルキル基を指す。アルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル等である。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、4個までの下記の置換基によって置換することができる。
【0052】
本明細書において使用される「アルキニル」は、1個またはそれ以上の三重炭素−炭素結合を有するアルキル基を意味する。アルキニル基の例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル等である。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、4個までの下記の置換基によって置換することができる。
【0053】
本明細書において使用される「シクロアルキル」は、環化アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含む非芳香族炭素環基を指す。シクロアルキル基は、単環式(例えば、シクロヘキシル)または多環式(例えば、2、3または4縮合環、架橋またはスピロ一価飽和炭化水素部分)であることができ、炭素原子は環系の内側または外側に位置している。シクロアルキル部分の任意の好適な環位置が、定義された化学構造に共有結合し得る。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、アダマンチル、スピロ[4.5]デアニル、同族体、異性体等である。シクロアルキルの定義に含まれる他の物質は、シクロアルキル環に縮合した(即ち、それと共有する結合を有する)1つまたはそれ以上の芳香環を有する部分、例えば、シクロペンタン(インダニル)、シクロヘキサン(テトラヒドロナフチル)等のベンゾ誘導体である。
【0054】
本明細書において使用される「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、OHを指す。
【0055】
本明細書において使用される「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0056】
本明細書において使用される「シアノ」は、CNを指す。
【0057】
本明細書において使用される「アルコキシ」は、−O−アルキル基を指す。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシ等である。アルコキシ基は、1〜約20個、1〜約10個、1〜約8個、1〜約6個、1〜約4個、または1〜約3個の炭素原子を含有し得る。いくつかの実施形態において、アルコキシ基は、4個までの下記の置換基によって置換することができる。
【0058】
本明細書において使用される「ペルフルオロアルコキシ」という用語は、式−O−ペルフルオロアルキルで示される基を示す。
【0059】
本明細書において使用される「ハロアルキル」は、1個またはそれ以上のハロゲン置換基を有するアルキル基を指す。ハロアルキル基の例は、CF3、C25、CHF2、CCl3、CHCl2、C2Cl5等である。全ての水素原子がハロゲン原子で置き換えられているアルキル基は、「ペルハロアルキル」と呼ぶことができる。ペルハロアルキル基の例は、CF3およびC25である。
【0060】
本明細書において使用される「ハロアルコキシ」は、−O−ハロアルキル基を指す。
【0061】
本明細書において使用される「アリール」は、芳香族炭素環式基を指し、単環式または多環式芳香族炭化水素、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル等を含む。いくつかの実施形態において、アリール基は6〜約20個の炭素原子を有する。
【0062】
本明細書において使用される「複素環」は、5〜10個の環原子を有し、O、NおよびSから選択される1〜3個のヘテロ環原子を有する単環式芳香族または非芳香族環系を指す。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の環窒素原子は本明細書に記載されている置換基を有することができる。
【0063】
本明細書において使用される「アリールアルキル」または「アラルキル」は、−アルキル−アリールの式で示される基を指す。好ましくは、アリールアルキル基のアルキル部分は、低級アルキル基、即ち、C1-6アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基を意味する。アラルキル基の例は、ベンジルおよびナフチルメチル基である。
【0064】
本明細書のさまざまの箇所において、本発明の化合物の置換基が、群または範囲で示されている。本発明は、そのような群および範囲の構成員の、全ての個々の部分組合せを含むことを明確に意図している。例えば、「C1-6アルキル」という用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル等を個々に示すことを明確に意図している。
【0065】
本発明によれば、治療は、併用療法を含み得る。本明細書において使用される「併用療法」は、治療を必要とする患者が、本発明のERβ選択的リガンドと組み合わせた他の薬剤または治療モダリティによって治療されるかまたはそれを与えられることを意味する。この併用療法は、患者が先ず1つの療法で治療され、次に他の療法で治療される逐次療法であることができ、または2つまたはそれ以上の治療モダリティが同時に与えられる。好ましくは、ERβ選択的リガンドと組み合わせて行われる治療モダリティは、ERβ選択的リガンドの治療活性を妨げない。
【0066】
特定の疾患状態または障害の治療または抑制のために投与される場合、有効量は、使用される特定化合物、投与方法、治療される症状およびその重症度、ならびに治療される個体に関係した種々の身体的要因に依存して、変化し得るものと理解される。本発明の組成物の有効投与は、約5μg/kg〜約100mg/kgのERβ選択的リガンドの一日用量を送達すると推定される。推定一日用量は、投与経路、および投与される化合物の種類によって変化すると考えられる。
【0067】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、被投与者の血流に、非経口的に(静脈内、腹腔内および皮下注射を含む)投与することができる。
【0068】
本発明の組成物と共に使用するのに好適な付加的な種々の賦形剤は、当分野において公知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985に記載され、これは、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0069】
キット
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている疾患または障害の治療に有用な本発明の組成物を含むキットを提供する。キットは、容器、および容器上のまたは容器に付随するラベルまたは添付文書を含む。好適な容器は、例えば、瓶、バイアル、シリンジ等である。容器は、種々の材料、例えばガラスまたはプラスチックから形成することができる。容器は、選択範囲の疾患または障害の治療に有効な本発明の組成物を保持または含有し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって突き刺すことができるストッパーを有する静脈溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。その製品は、薬学的に許容される希釈緩衝液、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液およびブドウ糖液を有する第二容器をさらに含み得る。それはさらに、他の緩衝剤、希釈剤、フィルタ、針およびシリンジを含む商業的および使用者観点から望ましい他の物質も含み得る。
【0070】
本発明を、特定の実施例によって、さらに詳しく記載する。以下の実施例は、例示の目的で示され、本発明を決して限定するものではない。当業者は、本質的に同じ結果を得るために変更または調整することができる種々の非臨界パラメータを容易に認識する。本明細書に記載されている全ての刊行物、特許出願、特許および他の文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例1】
【0071】
15% ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)/0.06N NaOH pH9.1中に10mg/mLの化合物1を含有する100mLの水性配合物の調製
1. 1.0gの化合物1を、風袋計量した容器に入れた。
2. 15.00gのHPBCDを、計量し、容器に移した。
3. 82.35gの注射用滅菌水を、容器に添加した。
4. 6.25g(6mL)の1N NaOHを、容器に添加した。
5. 容器の内容物を連続攪拌によって混合して、固形物を溶解させた。化合物1を完全に溶解させるまでに、30分までを要したと考えられる。
6. 溶解が終了した際に、pHが約9.0〜9.3であることを確認した。
7. 次に、溶液をMillipore Millex−GV 0.22u PVDFフィルタで濾過した。
8. 次に、最終pHが9.1であることを再確認した。
【0072】
配合物の組成を下記の表1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
好ましくは、前記の配合物を1mL/kgの最大投与量で使用する。
【0075】
より少ない投与量またはより多い投与量の投与のためにより低い濃度を得るために、10mg/mLの前記配合物を、好ましくはD5W(水中5%のブドウ糖)で、希釈することができる。希釈配合物は、24時間以内で使用することが好ましい。配合物を24時間より長く使用する場合は、4℃で保存すべきである。一般に、配合物は、室温で保存した場合は1日間使用することができ、4℃で保存した場合は7日間使用することができる。
【0076】
いくつかの実施形態において、配合物は、貯蔵寿命を延ばすために、1つまたはそれ以上の防腐剤をさらに含有することができる。例示的防腐剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton Pa., 1985に記載され、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例2】
【0077】
化合物1の薬学的組成物の溶解度
化合物1は、低いpHにおいて比較的不溶性である(溶解度特性についての図1参照)。化合物1は、高いpHにおいて可溶性にすることができるが、IV投与は、約7.35〜7.45のpHを有する血漿の緩衝環境において、希釈時の薬剤の沈殿の高リスクを呈する。これは、静脈炎、即ち静脈の炎症を生じ得る(Yalkowsky et al., J. Pharm Sci, 87(7)1998, p.787-796参照)。従って、本発明の組成物が、化合物1の溶解度の何らかの向上(これは、静脈炎の傾向を減少させる)を示すかを評価するために、実験を行った。
【0078】
pH9および10.3において15% HPBCDを用いて配合した場合に、化合物1は、pH6.3〜7.6において15% HPBCDを用いて配合した化合物1の遊離酸形態と比較して、それぞれ10倍および30倍の溶解度の増加を示した。例えば、図2は、量が変化するHPBCDを用いて配合した化合物1の遊離酸形態の溶解度を示し、図3は、pH9およびpH10.3の両方において、量が変化するHPBCDを用いて配合した化合物1のイオン化形態の溶解度を示す。
【0079】
注射時の化合物1沈殿のリスクを評価するために、系列希釈試験も行った。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を、希釈剤および血液モデルとして使用した。従って、化合物1の10mg/mL(pH9.2)および30mg/mL(pH10.5)組成物(両方とも15% HPBCDを有する)を、実施例1に記載した方法によって調製した。次に、溶液をPBSで系列的に希釈した。希釈後2分間にわたって、PBS溶液を、何らかの沈殿物について観察した(2分の間隔は、血流における完全希釈に充分である)。何らかの沈殿物の存在を、各希釈溶液について記録した。表2および表3は、それぞれ、10mg/mLおよび30mg/mL組成物についての試験結果を示し、図4は、化合物1の濃度における、希釈の作用を示す。10mg/mL溶液は、希釈時に、より低い沈殿傾向を示し、おそらく、より高いHPBCDと化合物1の比率によると考えられる。図4は、化合物1の濃度が、投与した際の血流における完全希釈に充分な時間にわたって、水溶性より高く維持されることを示す。
【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【実施例3】
【0082】
化合物1の薬学的組成物の化学安定度
15%HPBCDを用いてpH9.2において配合した化合物1の薬学的組成物を、4℃、25℃および40℃で6ヶ月間保存した。各保存組成物を、1ヶ月、2ヶ月および6ヶ月において安定度について試験した。表4に示すように、各組成物の効力(Potency)を測定し、劣化による不純物の濃度をHPLCによって測定した。6ヶ月(25℃)における劣化は、HPBCDを使用しない比較可能配合物(5mg/mL、50mMグリシン緩衝液、pH11)について3日間のみで見られる劣化と同等であり、該比較可能組成物は3日間で0.34%の分子量(MW)556不純物を示した。
【0083】
【表4】

【0084】
本出願は、2006年2月14日に出願された米国仮特許出願第60/773028号の優先権を主張し、当該仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
本明細書に記載した他に、本発明の種々の改変が、先の記載から当業者に明らかである。そのような改変も添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。本出願に引用された書籍および特許を含む各刊行物および文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】増加するpHに伴う、化合物1の水溶性を表す。
【図2】ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)の増加する濃度に伴う、化合物1の非イオン化形態の水溶性を表す。
【図3】ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)の増加する濃度に伴う、pH9.0および10.3における、化合物1のイオン化形態の水溶性を表す。
【図4】リン酸緩衝生理食塩水を血液モデルとして使用して、15%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)を含有する化合物1の10mg/mL(pH9.2)および30mg/mL(pH10.5)溶液における、系列希釈の作用を表す。y軸は化合物1の濃度を表し、x軸は溶液のpHを表す。菱形および円形の点は、化合物1の10mg/mLおよび30mg/mL溶液のデータ点を表し、三角の点は化合物1の水溶性を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性薬学的組成物であって、
a)約0.14μg/mL〜約40mg/mLの量の、ERβ選択的リガンド;
b)前記薬学的組成物の約0.00021%(w/v)〜約60%(w/v)に含まれる可溶化剤/錯生成剤成分;および
c)約8.75×10-7N〜約1.0Nの濃度の任意のpH調節成分;
を含み、
前記ERβ選択的リガンドが、式I:
【化1】

(式中、
1は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、3〜8個の炭素原子のシクロアルキル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、1〜6個の炭素原子のチオアルキル、1〜6個の炭素原子のスルホキソアルキル、1〜6個の炭素原子のスルホノアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、O、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員の複素環、−NO2、−NR56、−N(R5)COR6、−CN、−CHFCN、−CF2CN、2〜7個の炭素原子のアルキニル、または2〜7個の炭素原子のアルケニルであり;前記アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
2およびR2aは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;前記アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
3、R3aおよびR4は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;前記アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
5およびR6は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、または6〜10個の炭素原子のアリールであり;
Xは、O、SまたはNR7であり;
7は、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR5、−CO25または−SO25である)
もしくはその薬学的に許容される塩;
または、式III:
【化2】

(式中、
11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、またはハロゲンから選択され;
15、R16、R17、R18、R19およびR20は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−CHO、フェニル、またはO、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員の複素環であり;R15、R16、R17、R18、R19またはR20の前記アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、NO2、またはフェニルによって置換されていてもよく;R15、R16、R17、R18、R19またはR20の前記フェニル部分は、場合により1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−NO2、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、1アルキル基当たり1〜6個の炭素原子のジアルキルアミノ、チオ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、2〜7個の炭素原子のアルコキシカルボニル、2〜7個の炭素原子のアルキルカルボニル、またはベンゾイルによって、一、二または三置換されていてもよく;
11、R12、R13、R14、R17、R18、R19またはR20の少なくとも1つは、ヒドロキシルである)
もしくはその薬学的に許容される塩を有する、
前記水性薬学的組成物。
【請求項2】
前記ERβ選択的リガンドが、約0.14μg/mL〜約40mg/mLの量で存在する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記ERβ選択的リガンドが、約1mg/mL〜約40mg/mLの量で存在する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記ERβ選択的リガンドが、約1mg/mL〜約10mg/mLの量で存在する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記ERβ選択的リガンドが、約5mg/mL〜約40mg/mLの量で存在する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記ERβ選択的リガンドが、約5mg/mL〜約10mg/mLの量で存在する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
可溶化剤/錯生成剤成分が、薬学的組成物の約0.00021%(w/v)〜約15%(w/v)に含まれる、請求項1から6のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
可溶化剤/錯生成剤成分が、薬学的組成物の約1%(w/v)〜約60%(w/v)に含まれる、請求項1から6のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
可溶化剤/錯生成剤成分が、薬学的組成物の約5%(w/v)〜約60%(w/v)に含まれる、請求項1から6のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
可溶化剤/錯生成剤成分が、薬学的組成物の約1%(w/v)〜約15%(w/v)に含まれる、請求項1から6のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
可溶化剤/錯生成剤成分が、薬学的組成物の約5%(w/v)〜約15%(w/v)に含まれる、請求項1から6のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
任意のpH調節成分が、約8.75×10-7N〜約0.0625Nの量で存在する、請求項1から11のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
任意のpH調節成分が、約8.75×10-7N〜約0.0625Nの濃度で存在する、請求項1から11のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記ERβ選択的リガンドが、約0.14μg/mL〜約10mg/mLの量で存在し;
前記可溶化剤/錯生成剤成分が、薬学的組成物の約0.00021%(w/v)〜約15%(w/v)に含まれ;
任意のpH調節成分が、約8.75×10-7N〜約0.0625Nの量で存在する、
請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記ERβ選択的リガンドが、約1mg/mL〜約40mg/mLの量で存在し;
可溶化剤/錯生成剤成分が、薬学的組成物の約1%(w/v)〜約60%(w/v)の量で存在する、
請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記ERβ選択的リガンドが、約5mg/mL〜約40mg/mLの量で存在し;
前記可溶化剤/錯生成剤成分が、薬学的組成物の約5%(w/v)〜約60%(w/v)の量で存在する、
請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記ERβ選択的リガンドが、約1mg/mL〜約10mg/mLの量で存在し;
前記可溶化剤/錯生成剤成分が、薬学的組成物の約1%(w/v)〜約15%(w/v)の量で存在し;
任意のpH調節成分が、約8.75×10-7N〜約0.0625Nの量で存在する、
請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記ERβ選択的リガンドが、約5mg/mL〜約10mg/mLの量で存在し;
前記可溶化剤/錯生成剤成分が、薬学的組成物の約5%(w/v)〜約15%(w/v)の量で存在し;
任意のpH調節成分が、約8.75×10-7N〜約0.0625Nの量で存在する、
請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
ERβ選択的リガンドが、式II:
【化3】

(式中、
1は、2〜7個の炭素原子のアルケニルであり;前記アルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
2およびR2aは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
3およびR3aは、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
5およびR6は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、または6〜10個の炭素原子のアリールであり;
Xは、O、SまたはNR7であり;
7は、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR5、−CO25または−SO25である)、
またはその薬学的に許容される塩を有する、請求項1から18のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
ERβ選択的リガンドが式IIを有し、式中、XがOであり、R1が2〜3個の炭素原子のアルケニルであり、前記アルケニルは、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されてもよい、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
ERβ選択的リガンドが、式II:
【化4】

(式中、
1は、2〜7個の炭素原子のアルケニルであり;前記アルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
2およびR2aは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
3およびR3aは、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR5、−CO25、−NO2、CONR56、NR56またはN(R5)COR6によって置換されていてもよく;
5およびR6は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、または6〜10個の炭素原子のアリールであり;
Xは、O、SまたはNR7であり;
7は、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR5、−CO25または−SO25である)、
またはその薬学的に許容される塩を有する、請求項14に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
ERβ選択的リガンドが、下記の式:
【化5】

またはその薬学的に許容される塩を有する、請求項1から18のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
ERβ選択的リガンドが、下記の式:
【化6】

またはその薬学的に許容される塩を有する、請求項14に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
ERβ選択的リガンドが、式IV:
【化7】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、またはハロゲンから選択され;
15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、7〜12個の炭素原子のフェニルアルキル、フェニル、またはO、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員の複素環であり;R15、R16、R17、R18またはR19の前記アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NO2、またはフェニルによって置換されていてもよく;R15、R16、R17、R18またはR19の前記フェニル部分は、場合により1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−NO2、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、1アルキル基当たり1〜6個の炭素原子のジアルキルアミノ、チオ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、2〜7個の炭素原子のアルコキシカルボニル、2〜7個の炭素原子のアルキルカルボニル、またはベンゾイルによって、一、二または三置換されていてもよく;
15またはR19の少なくとも1つは、水素でない)、
またはその薬学的に許容される塩を有する、請求項1から18のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
ERβ選択的リガンドが、式V:
【化8】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、またはハロゲンから選択され;
15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、7〜12個の炭素原子のフェニルアルキル、フェニル、またはO、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員の複素環であり;R15、R16、R17、R18またはR19の前記アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NO2、またはフェニルによって置換されていてもよく;R15、R16、R17、R18またはR19の前記フェニル部分は、場合により1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−NO2、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、1アルキル基当たり1〜6個の炭素原子のジアルキルアミノ、チオ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、2〜7個の炭素原子のアルコキシカルボニル、2〜7個の炭素原子のアルキルカルボニル、またはベンゾイルによって、一、二または三置換されていてもよく;
15またはR19の少なくとも1つは、水素でない)、
またはその薬学的に許容される塩を有する、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
O、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員の複素環が、フラン、チオフェンまたはピリジンであり、R15、R16、R17、R18およびR19が、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、−CN、または2〜7個の炭素原子のアルキニルである、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
16、R17およびR18が水素である、請求項25または26に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
ERβ選択的リガンドが、式IV:
【化9】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、またはハロゲンから選択され;
15、R16、R17、R18およびR19は、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、7〜12個の炭素原子のフェニルアルキル、フェニル、またはO、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員の複素環であり;R15、R16、R17、R18またはR19の前記アルキルまたはアルケニル部分は、場合によりヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−NO2、またはフェニルによって置換されていてもよく;R15、R16、R17、R18またはR19の前記フェニル部分は、場合により1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−NO2、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、1アルキル基当たり1〜6個の炭素原子のジアルキルアミノ、チオ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、2〜7個の炭素原子のアルコキシカルボニル、2〜7個の炭素原子のアルキルカルボニル、またはベンゾイルによって、一、二または三置換されていてもよく;
15またはR19の少なくとも1つは、水素でない)、
またはその薬学的に許容される塩を有する、請求項14に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
ERβ選択的リガンドが、下記の式:
【化10】

またはその薬学的に許容される塩を有する、請求項1から18のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
ERβ選択的リガンドが、下記の式:
【化11】

またはその薬学的に許容される塩を有する、請求項14に記載の薬学的組成物。
【請求項31】
可溶化剤/錯生成剤成分が、シクロデキストリンおよび置換シクロデキストリンから選択される、請求項1から30のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
可溶化剤/錯生成剤成分が、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンからなる群より選択される、請求項1から30のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
可溶化剤/錯生成剤成分が、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンである、請求項32に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
pH調節成分が、I族およびII族金属水酸化物からなる群より選択される、請求項1から33のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項35】
可溶化剤/錯生成剤成分が、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンからなる群より選択され;
pH調節成分が、I族およびII族金属水酸化物からなる群より選択される、
請求項1から30のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項36】
pH調節成分が、NaOHおよびKOHからなる群より選択される、請求項34または35に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
可溶化剤/錯生成剤成分が、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンであり;
pH調節成分が、NaOHを含む、
請求項1から30のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
可溶化剤/錯生成剤成分が、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンからなる群より選択され;
ERβ選択的リガンドが、式:
【化12】

もしくはその薬学的に許容される塩を有する;
または、式:
【化13】

もしくはその薬学的に許容される塩を有する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
可溶化剤/錯生成剤成分が、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンである、請求項38に記載の薬学的組成物。
【請求項40】
pH調節成分が、I族およびII族金属水酸化物からなる群より選択される、請求項38または39に記載の薬学的組成物。
【請求項41】
pH調節成分が、NaOHおよびKOHからなる群より選択される、請求項38または39に記載の薬学的組成物。
【請求項42】
pH調節成分がNaOHである、請求項38または39に記載の薬学的組成物。
【請求項43】
ERβ選択的リガンドが、約5mg/mL〜約10mg/mLの量で存在し;
可溶化剤/錯生成剤成分が、薬学的組成物の約5%(w/v)〜約15%(w/v)の量で存在する;
請求項38から42のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
ERβ選択的リガンドが、約10mg/mLの量で存在し;
可溶化剤/錯生成剤成分が、薬学的組成物の約15%(w/v)の量で存在する;
請求項38から42のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
4℃で2ヶ月において、約99%またはそれより高い、薬学的組成物中のERβ選択的リガンドの効力を有する、請求項1から44のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項46】
ERβ選択的リガンドの約0.01%またはそれ未満が、リン酸緩衝生理食塩水での前記薬学的組成物の1000倍希釈後2分間で沈殿する、請求項1から45のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
ERβ選択的リガンドの約0.1%またはそれ未満が、リン酸緩衝生理食塩水での前記薬学的組成物の1000倍希釈後2分間で沈殿する、請求項1から45のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項48】
(i)前記ERβ選択的リガンドを含む容器を準備する工程;
(ii)可溶化剤/錯生成剤成分を前記容器に添加して、第一混合物を形成する工程;
(iii)滅菌水を前記容器に添加して、第二混合物を形成する工程;
(iv)pH調節成分を前記第二混合物に添加して、第三混合物を形成する工程;
(v)前記第三混合物の成分を溶解させて、溶液を形成する工程;および
(vi)前記溶液を濾過する工程
を含む、請求項1から47のいずれか1項に記載の薬学的組成物の調製方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法の生成物。
【請求項50】
関節炎または子宮内膜症の患者を治療する方法であって、請求項1から47および49に記載のいずれか1項に記載の薬学的組成物の治療有効量を前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項51】
可溶化剤/錯生成剤成分を含有しない請求項1から43のいずれか1項に記載の薬学的組成物の治療有効量の投与と比較して、静脈炎の発生を減少させるのに充分な量で、可溶化剤/錯生成剤成分が存在する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
請求項1から47および49のいずれか1項に記載の組成物およびその容器を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−526851(P2009−526851A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555324(P2008−555324)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/003901
【国際公開番号】WO2007/095286
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】