説明

FED点灯装置

【課題】比較的低い電圧でカソード電極からアノード電極に大量の電子を飛ばし効率良くFEDを点灯でき、FEDの輝度を制御できるFED点灯装置。
【解決手段】真空密閉された空間内に一方の表面に対向して配置された第1及び第2カソード電極22,23と他方の対向する表面に蛍光体が塗布された透過型アノード電極21とを有し、第1及び第2カソード電極間に略対称の交流電圧をDC−ACインバータ1により印加して電子を励起させるとともにDC−DCコンバータ7によりアノード電極に印加した第1直流電圧により電子を吸引して電子をアノード電極に衝突させてアノード電極を発光させ、検出回路D1,R2,R4により第1 カソード電極の電気的特性を検出し、検出された電気的特性に基づきFEDの輝度を制御回路1-1により制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FED(フィールド・エミッション・ディスプレイ)を点灯させるFED点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FED点灯装置においては、真空密閉された空間内に、1つのカソード電極と蛍光体が塗布された透過型の1つのアノード電極とを有し、アノード電極・カソード電極間に印加した直流電圧により、カソード電極表面のスタンパから電子を吸引し、電子をアノード電極に衝突させてアノード電極を発光させている(特許文献1)。また、スタンパの代わりに、より微細な加工、例えばCNTを表面に有したカソード電極に関しても開示されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
CRT(陰極線管)やFEDに代表される面光源方式のディスプレイは、放電管のような線光源やLED(発光ダイオード)のような点光源を用いたディスプレイよりも輝度均一性が優れている。
【0004】
また、面光源方式のディスプレイにあっては、大量生産する場合、ディスプレイの生産性も高く、点灯装置も比較的容易であるという利点がある。さらに、発光に水銀を使用しないため、地球環境にもやさしい。その中でも、ナノテク技術を用いたFED、特にCNT型FEDは、次世代の薄型ディスプレイの1つとして注目を集めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−227801号公報
【特許文献2】特開2005−235748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、1つのカソード電極と1つのアノード電極との間に印加した直流電圧により、カソード電極からアノード電極に電子を飛ばす場合、カソード電極内の電子は束縛状態であるため、大量の電子を放出するには非常に大きな電圧及びエネルギーが必要となる。
【0007】
本発明は、比較的低い電圧で、カソード電極からアノード電極に大量の電子を飛ばすことができ、効率良くFEDを点灯でき、しかもFEDの輝度を制御できるFED点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、真空密閉された空間内に、一方の表面に櫛型に対向して配置され且つカーボン・ナノ・チューブ(CNT)で構成された第1及び第2カソード電極と他方の対向する表面に蛍光体が塗布された透過型アノード電極とを有し、前記第1及び第2カソード電極間に略対称の交流電圧を印加して電子を励起させるとともに、前記アノード電極に印加した第1直流電圧により前記電子を吸引して前記電子を前記アノード電極に衝突させて前記アノード電極を発光させるFEDと、第2直流電圧を前記交流電圧に変換して前記第1及び第2カソード電極間に印加するDC−ACインバータと、前記第2直流電圧を前記第1直流電圧に変換して該第1直流電圧を前記透過型アノード電極に印加するDC−DCコンバータとを有し、前記DC−ACインバータは、前記アノード電極の電気的特性を検出する検出回路と、前記検出回路で検出された電気的特性に基づきFEDの輝度を制御する制御回路とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、真空密閉された空間内に、一方の表面に櫛型に対向して配置され且つカーボン・ナノ・チューブ(CNT)で構成された第1及び第2カソード電極と他方の対向する表面に蛍光体が塗布された透過型アノード電極とを有し、前記第1及び第2カソード電極間に略対称の交流電圧を印加して電子を励起させるとともに、前記アノード電極に印加した第1直流電圧により前記電子を吸引して前記電子を前記アノード電極に衝突させて前記アノード電極を発光させるFEDと、第2直流電圧を前記交流電圧に変換して前記第1及び第2カソード電極間に印加するDC−ACインバータと、前記第2直流電圧を前記第1直流電圧に変換して該第1直流電圧を前記透過型アノード電極に印加するDC−DCコンバータと、前記第1及び第2カソード電極間の電気的特性を検出する検出回路と、前記検出回路で検出された電気的特性に基づきFEDの輝度を制御する制御回路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一方の表面に多数の微細な突起物、例えばCNTを有し且つ対向して配置された第1及び第2カソード電極と他方の対向する表面に蛍光体が塗布された透過型アノード電極とを設け、第1及び第2カソード電極間に略対称の交流電圧をDC−ACインバータにより印加して電子を励起させるとともに、DC−DCコンバータによりアノード電極に印加した第1直流電圧により電子を吸引して電子を前記アノード電極に衝突させてアノード電極を発光させる。
【0011】
このため、比較的低い電圧のアノード電極で、カソード電極からアノード電極に大量の電子を飛ばすことができ、電子放出に余分なエネルギーを必要としないため、投入電力に対して効率良くFEDを点灯させることができる。また、制御回路は、検出回路で検出された電気的特性に基づきFEDの輝度を制御するので、FEDの輝度を一定に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のFED点灯装置の実施例1の構成を示す回路図である。
【図2】図1に示す実施例1のFED点灯装置のFEDの構成図である。
【図3】図1に示す実施例1のFED点灯装置の動作波形図である。
【図4】本発明のFED点灯装置の実施例2の構成を示す回路図である。
【図5】図4に示す実施例2のFED点灯装置の動作波形図である。
【図6】図4に示す実施例2のFED点灯装置のカソード電極からアノード電極に流れる電流の波形図である。
【図7】図4に示す実施例2のFED点灯装置のカソード電圧に対する輝度特性を示す図である。
【図8】図4に示す実施例2のFED点灯装置のアノード電圧に対する輝度特性を示す図である。
【図9】本発明をLCDバックライトパネルの点灯に応用した場合の実施例3を示す図である。
【図10】図9に示すLCDバックライトパネルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のFED点灯装置の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明のFED点灯装置の実施例1の構成を示す回路図であり、具体的にはTV装置を想定したものである。FED点灯装置は、DC−ACインバータ1、CNT型FED2、PFC(力率改善回路)3、SMPS4、マイコン5、サウンド部6、DC−DCコンバータ7、検出回路8を有する。
【0015】
PFC3は、交流電源からの交流入力電圧を整流平滑した電圧をスイッチングして昇圧するとともに力率を改善し、SMPS4は電源装置であり、PFC3からの電圧を安定化した直流電圧に変換して、マイコン5、サウンド部6、DC−ACインバータ1、DC−DCコンバータ7に供給する。
【0016】
DC−DCコンバータ7は、SMPS4からの低電圧の直流電圧を所定の高電圧の直流電圧に変換し、CNT型FED2の端子TAに供給する。DC−ACインバータ1は、SMPS4からの低電圧の直流電圧を低電圧の交流電圧に変換し、CNT型FED2に供給する。
【0017】
図2(a)は実施例1のFED点灯装置のFEDの構成図である。図2(b)は図2(a)のA部の拡大図を示している。図2(c)は図2(b)のB部の拡大図であり、複数併設されたCNTを示している。
【0018】
CNT型FED2は、DC−ACインバータ1からの交流電圧を入力する端子TC1,TC2と、DC−DCコンバータ7からの直流電圧を入力する端子TAとを有する。また、CNT型FED2は、図2(a)に示すように、真空密閉された空間内に、表面にCNTを有し且つ櫛型に対向して配置された第1カソード電極22及び第2カソード電極23と、第1及び第2カソード電極22,23から所定距離離して配置され且つ蛍光体が塗布された透過型のアノード電極21とを有している。
【0019】
第1カソード電極22は、端子TC1に接続され、第2カソード電極23は、端子TC2に接続され、DC−ACインバータ1から交流電圧が印加されるようになっている。
【0020】
次に、このように構成されたCNT型FED2の点灯動作を説明する。まず、DC−ACインバータ1から端子TC1と端子TC2とに交流電圧が印加されると、第1及び第2カソード電極22,23間に略対称の交流電圧が印加される。このため、電子が励起されるとともに、アノード電極21にDC−DCコンバータ7から端子TAを介して印加された直流電圧により電子を吸引して電子をアノード電極21に衝突させてアノード電極21を発光させる。
【0021】
このため、比較的低い電圧のアノード電極21で、カソード電極22,23からアノード電極21に大量の電子を飛ばすことができ、電子放出に余分なエネルギーを必要としないため、投入電力に対して効率良くFEDを点灯させることができる。
【0022】
次に、DC−ACインバータ1の詳細について説明する。SMPS出力(コンデンサC0)とグランドとの間には、ハイサイドのP型MOSFETQp1(P型FETQp1と称する。)とローサイドのN型MOSFETQn1(N型FETQn1と称する。)との第1直列回路が接続されている。SMPS出力(コンデンサC0)とグランドとの間には、ハイサイドのP型MOSFETQp2(P型FETQp2と称する。)とローサイドのN型MOSFETQn2(N型FETQn2と称する。)との第2直列回路が接続されている。
【0023】
P型FETQp1,Qp2、N型FETQn1,Qn2は、スイッチングネットワーク(SWネットワーク)19を構成し、本発明のスイッチング回路に対応する。
【0024】
P型FETQp1とN型FETQn1との接続点とP型FETQp2とN型FETQn2との接続点との間には、トランスTの一次巻線Pが接続されている。P型FETQp1,Qp2のソースにSMPS出力(コンデンサC0)からの直流電圧が供給され、P型FETQp1のゲートとN型FETQn1のゲートとはコントロールIC1−1の端子DRV1に接続されている。P型FETQp2のゲートとN型FETQn2のゲートはコントロールIC1−1の端子DRV2に接続されている。
【0025】
コントロールIC1−1は、スタート回路10、定電流決定回路11a、発振器12a、分周器13、誤差増幅器15、PWMコンパレータ16a、ナンド回路17a、論理回路17b、ドライバ18a,18bを有している。定電流決定回路11aは、端子RFを介して定電流決定抵抗R1の一端に接続されている。発振器12aは、端子CFを介してコンデンサC1の一端に接続されている。
【0026】
スタート回路10は、SMPS出力(コンデンサC0)からの直流電圧を受けて所定電圧REGを生成して内部の各部に供給している。定電流決定回路11aは、定電流決定抵抗R1により任意に設定される定電流を流す。発振器12aは、定電流決定回路11aの定電流に基づいてコンデンサC1の充放電を行い、図3に示すような鋸波発振波形(図3では端子CFでのコンデンサC1の充放電電圧を示す。)を発生させ、鋸波発振波形に基づいてクロックCKを生成する。クロックCKは、図3に示すように、端子CFでの鋸波発振波形に同期した立ち上がり期間がHレベルで、立下り期間がLレベルのパルス電圧波形であり、分周器13に送られる。
【0027】
トランスTの第1の二次巻線S1の一端はCNT型FED2の端子TC1に接続され、第1の二次巻線S1の他端は抵抗R2の一端とダイオードD1のアノードに接続されている。トランスTの第2の二次巻線S2の一端はCNT型FED2の端子TC2に接続され、第2の二次巻線S2の他端は抵抗R3の一端とダイオードD2のアノードに接続されている。
【0028】
抵抗R2の他端と抵抗R3の他端とは接地され、ダイオードD1のカソードとダイオードD2のカソードとは抵抗R4の一端と抵抗R5の一端とに接続され、抵抗R4の他端は接地されている。抵抗R2,R3,R4,R5、ダイオードD1,D2とは電流検出回路を構成している。電流検出回路は、CNT型FED2に流れる電流を検出し、検出された電流に比例した電圧を、コントロールIC1−1のフィードバック端子FBを介して誤差増幅器15の反転入力端子に出力する。
【0029】
誤差増幅器15は、反転入力端子に入力される電流検出回路からの電圧と非反転入力端子に入力される基準電圧E1との誤差電圧FBOUTを増幅し、その誤差電圧FBOUTをPWMコンパレータ16aの非反転入力端子へ送る。PWMコンパレータ16aは、非反転入力端子に入力される誤差増幅器15からの誤差電圧FBOUTが反転入力端子に入力される端子CFからの鋸波波形電圧以上のときにHレベルで、誤差電圧FBOUTが鋸波波形電圧未満のときにLレベルとなるパルス信号を生成して、ナンド回路17aと論理回路17bとに出力する。
【0030】
分周器13は、発振器12aからのパルス信号を2分周し、2分周されたパルス信号Qをナンド回路17aに出力するとともに2分周されたパルス信号Qを反転したパルス信号を論理回路17bに出力する。
【0031】
ナンド回路17aは、分周器13からの2分周されたパルス信号とPWMコンパレータ16aからの信号とのナンドをとりドライバ18a及び端子DRV1を介して駆動信号をP型FETQp1とN型FETQn1に出力する。論理回路17bは、分周器13からの2分周されたパルス信号とPWMコンパレータ16aからの信号とのアンドをとりドライバ18b及び端子DRV2を介して駆動信号をP型FETQp2とN型FETQn2に出力する。
【0032】
例えば、図3において、時刻t1〜t2では、PWMコンパレータ16aの出力は、Hレベルとなり、分周器13の出力は、Hレベルとなるので、ナンド回路17aの出力は、Lレベルとなる。このため、端子DRV1からは、Lレベルが出力されて、P型FETQp1がオンする。
【0033】
また、論理回路17bの出力は、Hレベルとなるため、端子DRV2からはHレベルが出力され、N型FETQn2がオンする。このため、C0→Qp1→P→Qn2→GNDと電流が流れる。従って、CNT型FED2の端子TC1の電圧VC1と端子TC2の電圧VC2との間の電圧VC1−VC2は、図3に示すように正電圧となる。
【0034】
また、時刻t4〜t5では、即ち、分周器13の出力QがLレベルでPWMコンパレータ16aの出力がHレベルのときは、N型FETQn1がオンし、P型FETQp2がオンする。このため、C0→Qp2→P→Qn1→GNDと電流が流れる。従って、CNT型FED2の端子TC1の電圧VC1と端子TC2の電圧VC2との間の電圧VC1−VC2は、図3に示すように負電圧となる。
【0035】
即ち、駆動信号は、分周器13の出力とPWMコンパレータ16aの出力との合成によりクロックCKに同期しながら、端子DRV1と端子DRV2に交互に送られる。
【0036】
以上の動作により、コントロールIC1−1は、鋸波発振波形の周波数でP型FETQp1,N型FETQn2と、P型FETQp2,N型FETQn1とを交互にオン/オフさせる。これにより、CNT型FED2に矩形波の交流電力が供給されるとともに、CNT型FED2を流れる電流が所定値に制御される。
【0037】
このように、DC−ACインバータ1で発生した交流電圧をCNT型FED2の端子TC1と端子TC2とに印加するとともに、電流検出回路D1、D2、R2〜R4から得る電気的特性(電圧、電流、電力など)の1つを、例えば、カソード電極22、23間に流れる電流を検出し、検出した電流に基づき、コントロールIC1−1がSWネットワーク19の各FETQp1,Qn1,Qp2,Qn2をPWM制御する。合わせて、検出回路8(第1検出回路)は、CNT型FED2のアノード電極21の電気的特性(電圧、電流、電力など)を検出する。DC−DCコンバータ7は、検出回路8からの電気的特性に基づいて、出力を制御する。これらの方法によりFEDの輝度を一定に制御することができる。
【0038】
なお、第1及び第2カソード電極22,23間に印加される電圧が所定電圧以上に達したときにアノード電極21側が電子を吸引することから、FEDの発光効率だけを考慮すれば、第1及び第2カソード22,23電極間の交流電圧は矩形波であることが望ましい。
【0039】
また、第1及び第2カソード電極23間の矩形波電圧は、図1に示すようなフルブリッジ回路、あるいはハーフブリッジ回路、あるいはプッシュプル回路などのMOSFETからなるSWネットワークのスイッチング及びトランスTによる変圧により生成することが望ましい。
【0040】
但し、DC−ACインバータ1のスイッチングロスなども考慮すると、第1及び第2カソード電極22,23間の交流電圧は正弦波または台形波であることが望ましい。
【0041】
また、第1及び第2カソード電極22,23間は、櫛型形状をなし、容量特性を示すため、スイッチングネットワーク回路19の後に接続されるトランスTの前後に、直列インダクタンス成分を付加すれば、容量とインダクタンスとの共振動作で容易に正弦波も台形波(共振特性が弱い場合)も生成できる。
【0042】
あるいは、コントロールIC1−1は、PWM制御に代えて、共振動作の場合には周波数制御を行っても良い。
【0043】
なお、真空密閉する空間を細長い線状に形成すれば、そのまま放電管のようなバックライトの線光源の代替品として応用できる。真空密閉する空間を点状に形成すれば、そのままLEDのようなバックライトの点光源の代替品として応用できる。
【実施例2】
【0044】
図4は本発明のFED点灯装置の実施例2の構成を示す回路図である。実施例2は、実施例1に対して、コントロールIC1−2内のSWネットワーク19aがN型FETQn1,N型FETQn2からなるプシュプルで構成されている点が異なる。
【0045】
N型FETQn1のゲートはコントロールIC1−1の端子DRV1に接続され、N型FETQn2のゲートはコントロールIC1−1の端子DRV2に接続されている。N型FETQn1のドレインは1次巻線P1の一端に接続され、N型FETQn2のドレインは1次巻線P2の一端に接続されている。
【0046】
また、ナンド回路17aの代わりに、アンド回路17cを用い、論理回路17bの代わりに、論理回路17dを用いている。
【0047】
図5は図4に示す実施例2のFED点灯装置のカソード間電圧の動作波形図である。
【0048】
図5において、時刻t1〜t2では、PWMコンパレータ16aの出力は、Hレベルとなり、分周器13の出力は、Hレベルとなるので、アンド回路17cの出力は、Hレベルとなる。このため、端子DRV1からは、Hレベルが出力されて、N型FETQn1がオンする。また、論理回路17dの出力は、Lレベルとなるため、端子DRV2からはLレベルが出力され、N型FETQn2がオフする。このため、C0→P1→Qn1→GNDと電流が流れる。
【0049】
また、時刻t4〜t5では、即ち、分周器13の出力QがLレベルでPWMコンパレータ16aの出力がHレベルのときは、N型FETQn1がオフし、N型FETQn2がオンする。このため、C0→P2→Qn2→GNDと電流が流れる。
【0050】
即ち、駆動信号は、分周器13の出力とPWMコンパレータ16aの出力との合成によりクロックCKに同期しながら、鋸波発振波形の立ち下り期間をデットタイムとして、端子DRV1と端子DRV2に交互に送られる。
【0051】
また、第1及び第2カソード電極22,23間は、櫛型形状をなし、容量特性を示すため、SWネットワーク19aの後に接続されるトランスTの前後に、直列インダクタンスLrを付加したので、第1及び第2カソード電極22,23間の容量と直列インダクタンスLrとの共振動作で、容易に正弦波を生成できる(図5のVC1−VC2間波形)。
【0052】
なお、実施例2のCNT型FED点灯装置のカソード電極22,23からアノード電極21に流れる電流の波形図を図6に示した。図6において、カソード間電圧(VC1−VC2)が所定電圧(±VS)以上になると、アノード電極21が電子を吸引(カソード電極22,23から電子を放出)し、アノード電極21が点灯する。電子放出の状態は、アノード電極21に流入する電流により確認できる。
【0053】
図7は図4に示す実施例2のCNT型FED点灯装置のカソード電圧に対する輝度特性を示す図である。図7から、カソード電圧の増加に伴ってFEDの輝度も増加していることがわかる。図8は図4に示す実施例2のFED点灯装置のアノード電圧に対する輝度特性を示す図である。図8から、アノード電圧の増加に伴ってFEDの輝度も増加していることがわかる。
【実施例3】
【0054】
図9は本発明をLCDバックライトパネルの点灯に応用した場合の実施例3を示す図である。図4に示す実施例2がCNT型FED2を用いたのに対して、図9に示す実施例3は、LCDバックライトパネル2aを用いた点が異なり、その他の構成は、図4に示す構成と同一である。図10は図9に示すLCDバックライトパネルの構成例を示す図である。
【0055】
図10に示すLCDバックライトパネル2aにおいて、LCDバックライトパネル2aには、4つのLCDバックライト31−1〜31−4が併設されている。各LCDバックライト31−1〜31−4には、第1カソード電極22aのための端子TC11〜TC14と、第2カソード電極23aのための端子TC21〜TC24と、アノード電極21aのための端子TA1〜TA4が設けられている。
【0056】
端子TC1は、端子TC11〜TC14に接続され、端子TC2は、端子TC21〜TC24に接続され、DC−ACインバータ1aから低電圧が各LCDバックライト31−1〜31−4の第1カソード電極22aと第2カソード電極23a間に印加されるようになっている。
【0057】
端子TAは、端子TA1〜TA4に接続され、DC−DCコンバータ7から各LCDバックライト31−1〜31−4のアノード電極23aに高電圧が印加されるようになっている。
【0058】
このような構成によれば、各LCDバックライト31−1〜31−4において、DC−ACインバータ1aから端子TC1と端子TC2とに交流電圧が印加されると、第1及び第2カソード電極22a,23a間に略対称の交流電圧が印加される。このため、電子が励起されるとともに、アノード電極21aにDC−DCコンバータ7から端子TAを介して印加された直流電圧により電子を吸引して電子をアノード電極21aに衝突させてアノード電極21aを発光させる。
【0059】
このため、比較的低い電圧のアノード電極21aで、カソード電極22a,23aからアノード電極21aに大量の電子を飛ばすことができ、電子放出に余分なエネルギーを必要としないため、投入電力に対して効率良くLCDを点灯させることができる。ここでLCDセル33はこれらの光を映像信号に基づいて透過、遮断する。
【0060】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではない。DC−DCコンバータ7やAC−DCインバータ1aは、例えば、PFC3の出力に接続しても良い。また、図4及び図9に示すトランスTの出力側のインダクタンスLrは、トランスTの入力側に設けても良く、あるいは、リーケージインダクタンスを有するトランスに置き換えても良い。また、インダクタンスLrと直列にコンデンサや抵抗を挿入しても良い。
【0061】
さらに、電気的特性は、トランスTの1次側やFETQp1,Qn1,Qp2,Qn2に流れる電流によって検出しても良い。コントロールIC1−1,1−2は、マイコン5からの信号に基づいて、低周波数の間欠ドライブ(バースト調光)を行うバースト調光機能を追加しても良く、電源投入時やバースト調光の立ち上がり時に、PWM制御のオンデューティを徐々に広げていくソフトスタート機能を追加しても良く、鋸波発振波形の立ち下り期間をデットタイムとして、分周されたパルス信号Qに対して所定のデットタイムを有する機能を追加しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、FED点灯装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1,1a DC−ACインバータ
1−1〜1−2 コントロールIC
2 CNT型FED
2a LCDバックライトパネル
3 PFC
4 SMPS
5 マイコン
6 サウンド部
7 DC−DCコンバータ
8 検出回路
10 スタート回路
11a 定電流決定回路
12a 発振器
13 分周器
15 誤差増幅器
16a PWMコンパレータ
17a ナンド回路
17b,17d 論理回路
17c アンド回路
18a,18b ドライバ
19,19a SWネットワーク
21,21a アノード電極
22,22a 第1カソード電極
23,23a 第2カソード電極
31−1〜31−4 LCDバックライト
33 LCDセル
T,T1 トランス
Qp1,Qp2 P型FET
Qn1,Qn2 N型FET
R1 定電流決定抵抗
R2〜R5 抵抗
D1,D2 ダイオード
C1 コンデンサ
P,P1,P2 一次巻線
S1 第1の二次巻線
S2 第2の二次巻線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空密閉された空間内に、一方の表面に櫛型に対向して配置され且つカーボン・ナノ・チューブ(CNT)で構成された第1及び第2カソード電極と他方の対向する表面に蛍光体が塗布された透過型アノード電極とを有し、前記第1及び第2カソード電極間に略対称の交流電圧を印加して電子を励起させるとともに、前記アノード電極に印加した第1直流電圧により前記電子を吸引して前記電子を前記アノード電極に衝突させて前記アノード電極を発光させるFEDと、
第2直流電圧を前記交流電圧に変換して前記第1及び第2カソード電極間に印加するDC−ACインバータと、
前記第2直流電圧を前記第1直流電圧に変換して該第1直流電圧を前記透過型アノード電極に印加するDC−DCコンバータとを有し、
前記DC−ACインバータは、前記アノード電極の電気的特性を検出する検出回路と、
前記検出回路で検出された電気的特性に基づきFEDの輝度を制御する制御回路と、
を有することを特徴とするFED点灯装置。
【請求項2】
真空密閉された空間内に、一方の表面に櫛型に対向して配置され且つカーボン・ナノ・チューブ(CNT)で構成された第1及び第2カソード電極と他方の対向する表面に蛍光体が塗布された透過型アノード電極とを有し、前記第1及び第2カソード電極間に略対称の交流電圧を印加して電子を励起させるとともに、前記アノード電極に印加した第1直流電圧により前記電子を吸引して前記電子を前記アノード電極に衝突させて前記アノード電極を発光させるFEDと、
第2直流電圧を前記交流電圧に変換して前記第1及び第2カソード電極間に印加するDC−ACインバータと、
前記第2直流電圧を前記第1直流電圧に変換して該第1直流電圧を前記透過型アノード電極に印加するDC−DCコンバータと、
前記第1及び第2カソード電極間の電気的特性を検出する検出回路と、
前記検出回路で検出された電気的特性に基づきFEDの輝度を制御する制御回路と、
を有することを特徴とするFED点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−3701(P2010−3701A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197027(P2009−197027)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【分割の表示】特願2008−158049(P2008−158049)の分割
【原出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】