説明

FMCWレーダ装置の周波数変調回路

【課題】FMCWレーダ装置の機能を止めることなく、周波数変調動作を実施しながらVCOの周波数制御電圧計測動作を実行しLUTを更新することを可能にする。
【解決手段】VF特性を有しVCO出力信号を生成する電圧制御型発振器(1)と、D/A変換回路(2)とを含む周波数変調部と、VF特性を保存したルックアップテーブルに基づいて周波数制御電圧を制御する変調制御回路(10)とを備え、ローカル信号生成回路(5)と、IF信号が、ある特定の周波数以下になったときにIF信号を出力する差周波信号生成回路(6)と、IF検出信号を出力するIF検出回路(7)とをさらに備え、変調制御回路は、ローカル信号の周波数を設定するとともに、IF検出信号のタイミングで、周波数制御電圧と、ローカル信号生成回路に対する周波数の設定内容とを元にVF特性を導出し、ルックアップテーブルの内容を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FMCW方式による周波数変調を利用するFMCWレーダ装置の周波数変調回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載ミリ波レーダの方式として、比較的簡易な構成で、被測定物との距離および相対速度を同時に高精度で計測できるFMCW(Frequency Modulated Continuous Waves)方式が数多く用いられている。本方式は、周波数変調された連続波信号(Continuous Wave、以下CWと称す)を送信するとともに、被測定物からの反射波を受信し、反射波の時間遅れから被測定物までの距離を計測し、周波数変位から被測定物との相対速度を計測する方式である。
【0003】
図13は、従来のFMCWレーダ装置の周波数変調回路の構成図である。図13に示す従来の周波数変調回路は、電圧制御型発振器101(Voltage Controlled Oscillator、以下VCO101と称す)、デジタル−アナログ変換回路102(Digital to Analog Converter、以下DAC102と称す)、低域通過フィルタ103(Low Pass Filter、以下LPF103と称す)、および変調制御回路110を備えて構成されている。
【0004】
ここで、変調制御回路110は、VCO101のVF特性を記録するルックアップテーブル111(Look Up Table、以下LUT111と称す)を有している。そして、変調制御回路110は、LUT111に基づき、DAC102の出力電圧を制御する。DAC102は、変調制御回路110により設定される周波数制御電圧のデジタル電圧値を、アナログ電圧値に変換する。
【0005】
LPF3は、DAC2から出力されたアナログ電圧値を平滑化する。VCO1は、LPF3を介して供給された周波数制御電圧に従って、ある所望の周波数の電圧を発振するVF特性を有している。この結果、LUT111に基づくデジタル電圧の設定により、VF特性に対応した所望の周波数の電圧を出力することができる。なお、図13において、v1は、VCO101の周波数制御電圧を示し、f1は、VCO101が発振する周波数を示している。
【0006】
本構成を備えた周波数変調回路は、変調制御回路110がLUT111の情報に基づきDAC102の出力電圧を制御し、VCO101が出力するVCO出力信号の周波数を線形に変化させることで周波数変調動作を行い、FMCWレーダに適した周波数変調信号を出力する。そして、このようなFMCWレーダ装置の周波数変調回路においては、周波数変調回路から出力する周波数変調信号は、アップチャープとダウンチャープを繰り返す。
【0007】
ここで、周波数変調信号における周波数変化の線形性の劣化は、レーダとしての計測精度の劣化につながる。このため、VCO出力信号の周波数変化には、高精度の線形性が要求される。しかしながら、VCOのVF特性は、温度により変化するため、周波数変調信号における周波数変化の線形性を高精度に保つためには、温度毎のLUTが必要となる。この場合、製品出荷前に、温度毎にLUTを取得しておく必要があり、製造コスト増の要因となる。
【0008】
一方、製品出荷前にLUTを取得する作業を省くため、出荷後に温度等の環境変化に応じて、自動でLUTを生成し、更新する手法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
特許文献1における周波数変調回路は、製品出荷後に、PLL(Phase Locked Loop)回路を用いて、VCOのVF特性を定期的に計測し、LUTを更新している。図14は、特許文献1における周波数変調回路の構成図である。本周波数変調回路は、DAC102、LPF103、アナログ−デジタル変換回路104(Analog to Digital Converter、以下ADC104と称す)、変調制御回路110、およびPLL120を備えて構成されている。
【0010】
ここで、変調制御回路110は、VCO101のVF特性を記録するLUT111と、定期的に計測されたVCOのVF特性の結果を記録するLUT112とを有している。また、PLL120は、VCO121(図13におけるVCO101に相当)、基準信号発生器122(以下REF122と称す)、分周回路123、位相比較器(PD)124、チャージポンプ(CP)125、ループフィルタ(LF)126、およびスイッチ(SW)127を有している。なお、図14において、v1は、VCO121の周波数制御電圧を示し、f1は、VCO121が発振する周波数を示している。
【0011】
まず始めに、図14におけるPLL120の機能について説明する。PLL120は、周波数変調回路が周波数変調信号を出力する周波数変調動作を行う場合には、SW127をLPF103側に設定する。一方、PLL120は、VCO121のVF特性を計測する周波数制御電圧計測動作を実行する場合には、SW127をLF126側に設定する。
【0012】
図15は、図14に示した周波数変調回路において、周波数変調動作を行う場合と周波数制御電圧計測動作を行う場合の、VCO121の発振周波数の時間変化を示した図である。図15に示すように、図14に示した周波数変調回路は、周波数変調動作を一旦中断し、VCO121を含むPLL120を構成して任意の周波数にロックさせることで、VCO121のVF特性をADC104で計測する周波数制御電圧計測動作を実行する。
【0013】
そして、PLL120がロックする周波数を、定期的に複数変えることで、VCO121の複数の発振周波数に対して周波数制御電圧計測動作を実行する。その結果、PLL120およびADC104により、周波数変調を行う周波数範囲内におけるVCO121の複数の発振周波数に対するVF特性を計測することができる。
【0014】
一方、図14における変調制御回路110は、次の機能を有している。
[機能1]LUT111に基づき、DAC102の出力電圧を制御する機能
[機能2]REF122が生成するREF信号の周波数、および分周回路123の分周数設定内容から算出できるVCO121の発振周波数に対し、ADC104で計測した周波数制御電圧値を対応付けし、LUT112に保存する機能
[機能3]LUT111の内容を、LUT112の内容で定期的に置き換える機能
【0015】
このようにして、図14に示した周波数変調回路は、周波数変調を行う周波数範囲内におけるVCO121の複数の発振周波数に対するVF特性を計測できるとともに、計測結果が記録されたLUT112の内容で、LUT111の内容を定期的に更新することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007−298317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1で示されているLUT更新手法では、周波数制御電圧計測動作を実行するにあたり、周波数変調回路の周波数変調動作を一定時間止める必要がある。従って、この一定時間中は、FMCWレーダが機能しないこととなる。
【0018】
その一方で、周波数変調回路を含む車載装置の温度は、自動車が動いている間に大きく変化するため、その温度変化に伴い、周波数変調回路のLUTを生成し更新する必要がある。従って、従来のLUT更新手法では、LUT生成・更新時には周波数変調回路の周波数変調動作を止める必要があるため、自動車が動いている間にもかかわらず。FMCWレーダが機能しない時間が生じてしまう。
【0019】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、FMCWレーダ装置の機能を止めることなく、周波数変調動作を実施しながらVCOの周波数制御電圧計測動作を実行しLUTを更新することを可能にするFMCWレーダ装置の周波数変調回路を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係るFMCWレーダ装置の周波数変調回路は、周波数制御電圧に従って所望の周波数で発振するVF特性を有し、VCO出力信号を生成する電圧制御型発振器と、電圧制御型発振器に対して周波数制御電圧を設定するD/A変換回路とを含んで構成される周波数変調部と、電圧制御型発振器のVF特性を保存したルックアップテーブルを有し、ルックアップテーブルに基づいてD/A変換回路から出力される周波数制御電圧を制御する変調制御回路とを備えたFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、連続波信号のローカル信号を生成するローカル信号生成回路と、電圧制御型発振器で生成されたVCO出力信号と、ローカル信号生成回路で生成されたローカル信号とを入力して差周波成分であるIF信号を出力する差周波信号生成回路と、差周波信号生成回路から出力されたIF信号が、ある特定の周波数以下になったときにIF検出信号を出力するIF検出回路とをさらに備え、変調制御回路は、ローカル信号生成回路で生成されるローカル信号の周波数を設定するとともに、IF検出回路がIF検出信号を出力したタイミングにおいて、電圧制御型発振器で生成されるVCO出力信号に対応する周波数制御電圧と、ローカル信号生成回路に対する周波数の設定内容との組み合わせを元に電圧制御型発振器のVF特性を導出し、導出したVF特性を用いてルックアップテーブルの内容を更新するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るFMCWレーダ装置の周波数変調回路によれば、ローカル信号生成回路、差周波信号生成回路、およびIF検出回路を備えた構成により、周波数変調動作を実施しながらVCOのVF特性を導出することを可能とすることにより、FMCWレーダ装置の機能を止めることなく、周波数変調動作を実施しながらVCOの周波数制御電圧計測動作を実行しLUTを更新することを可能にするFMCWレーダ装置の周波数変調回路を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1におけるFMCWレーダ装置の周波数変調回路の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1のFMCWレーダ装置の周波数変調回路における各信号の時間変化を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態2におけるFMCWレーダ装置の周波数変調回路の構成図である。
【図4】本発明の実施の形態2のFMCWレーダ装置の周波数変調回路における各信号の時間変化を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態3におけるIF検出回路の具体的な構成図である。
【図6】本発明の実施の形態4におけるIF検出回路の具体的な構成図である。
【図7】本発明の実施の形態5におけるIF検出回路の具体的な構成図である。
【図8】本発明の実施の形態6における差周波信号生成回路の具体的な構成図である。
【図9】本発明の実施の形態7における差周波信号生成回路の具体的な構成図である。
【図10】本発明の実施の形態8における差周波信号生成回路の具体的な構成図である。
【図11】本発明の実施の形態9におけるFMCWレーダ装置の周波数変調回路の構成図である。
【図12】本発明の実施の形態10におけるFMCWレーダ装置の周波数変調回路の構成図である。
【図13】従来のFMCWレーダ装置の周波数変調回路の構成図である。
【図14】特許文献1における周波数変調回路の構成図である。
【図15】図14に示した周波数変調回路において、周波数変調動作を行う場合と周波数制御電圧計測動作を行う場合の、VCOの発振周波数の時間変化を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のFMCWレーダ装置の周波数変調回路の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0024】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるFMCWレーダ装置の周波数変調回路の構成図である。本周波数変調回路は、VCO1、DAC2、LPF3、ADC4、ローカル信号生成回路5、差周波信号生成回路6、IF検出回路7、および変調制御回路10を備えて構成されている。ここで、変調制御回路10は、VCO1のVF特性を記録するLUT11と、定期的に計測されたVCOのVF特性の結果を記録するLUT12とを有している。
【0025】
図1に示した本実施の形態1の周波数変調回路におけるVCO1、DAC2、LPF3、ADC4、およびLUT11とLUT12を有する変調制御回路10に関しては、先の図14におけるVCO121、DAC102、LPF103、ADC104、およびLUT111とLUT112を有する変調制御回路110と同様である。そこで、本実施の形態1の周波数変調回路における新たな構成であるローカル信号生成回路5、差周波信号生成回路6、およびIF検出回路7を中心に、以下に説明する。
【0026】
なお、図1において、v1は、VCO1の周波数制御電圧を示し、f1は、VCO1が発振する周波数を示し、f2は、ローカル信号の周波数を示し、さらに、f3は、IF信号の周波数を示しており、
f3=|f1−f2|
の関係にある。
【0027】
ローカル信号生成回路5は、CWのローカル信号を生成する。また、差周波信号生成回路6は、VCO1が出力するVCO出力信号と、ローカル信号生成回路5で生成されたローカル信号とを入力し、VCO出力信号とローカル信号の差周波成分であるIF信号を出力する。さらに、IF検出回路7は、差周波信号生成回路6が出力したIF信号を入力し、IF信号がある特定のIF検出周波数(f3det)以下になった時にIF検出信号を出力する。
【0028】
そして、ADC4は、IF検出回路7がIF検出信号を出力したタイミングで、VCO1に印加している周波数制御電圧v1を計測する。
【0029】
また、本実施の形態1における変調制御回路10は、次の機能を有している。
[機能1]LUT11に基づき、DAC2の出力電圧を制御する機能
[機能2]ローカル信号生成回路5が生成するローカル信号の周波数を設定する機能
[機能3]ADC4が計測した周波数制御電圧値を読み取る機能
[機能4]ADC4から読み取った周波数制御電圧値と、ローカル信号の設定内容から、VCO1のVF特性を導出する機能
[機能5]導出したVF特性をLUT12に保存する機能と、LUT11の内容を、LUT12の内容で定期的に置き換える機能
【0030】
次に、図1に示す本実施の形態1における周波数変調回路の動作原理について説明する。FMCWレーダ装置が動作中であるとき、周波数変調回路が出力する周波数変調信号の周波数は、ある一定の周波数範囲内でチャープ動作する。このとき、周波数を徐々に増加させるアップチャープ動作と、周波数を徐々に減少させるダウンチャープ動作を、交互に繰り返し行う。
【0031】
まずは、アップチャープ動作を行う場合の周波数変調回路の動作について説明する。差周波信号生成回路6は、アップチャープ動作するVCO1のVCO出力信号を入力する。その一方で、差周波信号生成回路6は、VCO1がチャープ動作する周波数範囲のある特定の周波数のローカル信号としてローカル信号生成回路5で生成された信号を入力する。
【0032】
そして、差周波信号生成回路6は、VCO1が出力するVCO出力信号と、ローカル信号生成回路5で生成されたローカル信号との差周波成分であるIF信号を出力する。その結果、差周波信号生成回路6が出力するIF信号は、DCを含むチャープ信号となる。
【0033】
IF信号がf3det以下の周波数である場合、IF検出回路7からIF検出信号が出力される。一方、IF信号がf3detを超える周波数である場合、IF検出回路7からIF検出信号が出力されない。
【0034】
図2は、本発明の実施の形態1のFMCWレーダ装置の周波数変調回路における各信号の時間変化を示した図である。具体的には、図2(a)〜図2(d)は、以下の内容を示している。
図2(a):VCO1出力信号およびローカル信号の周波数の時間変化
図2(b):IF信号の周波数の時間変化
図2(c):IF検出信号の時間変化
図2(d):VCO1の周波数制御電圧の時間変化
【0035】
VCO1の発振周波数をチャープ動作する周波数範囲の最小周波数から徐々に増加させる過程において、VCO1の発振周波数は、ローカル信号の周波数に徐々に近づき、IF信号の周波数は、徐々に低くなる(図2(a)、(b)参照)。そして、IF信号の周波数がf3det以下の周波数になった時に、IF検出信号が初めて出力される(図2(b)、(c)参照)。
【0036】
ADC4は、最初に出力されるIF検出信号をトリガとして、VCO1の周波数制御電圧を計測する周波数制御電圧計測動作を実行する。この時に得る電圧(v1u)は、VCO1の発振周波数がf2−f3detになるときの周波数制御電圧に相当する(図2(c)、(d)参照)。変調制御回路10は、ADC4で検出した周波数制御電圧値(v1u)を保存する。
【0037】
続いて、ダウンチャープ動作を行う場合の周波数変調回路の動作について説明する。差周波信号生成回路6は、ダウンチャープ動作するVCO1のVCO出力信号を入力する。その一方で、差周波信号生成回路6は、アップチャープ動作時と同じように、VCO1がチャープ動作する周波数範囲のある特定の周波数のローカル信号としてローカル信号生成回路5で生成された信号を入力する。
【0038】
そして、差周波信号生成回路6は、VCO1が出力するVCO出力信号と、ローカル信号生成回路5で生成されたローカル信号との差周波成分であるIF信号を出力する。その結果、差周波信号生成回路6が出力するIF信号は、DCを含むチャープ信号となる。
【0039】
IF信号がf3det以下の周波数である場合、IF検出回路7からIF検出信号が出力される。一方、IF信号がf3detを超える周波数である場合、IF検出回路7からIF検出信号が出力されない。
【0040】
VCO1の発振周波数をチャープ動作する周波数範囲の最大周波数から徐々に減少させる過程において、VCO1の発振周波数は、ローカル信号の周波数に徐々に近づき、IF信号の周波数は、徐々に低くなる(図2(a)、(b)参照)。そして、IF信号の周波数がf3det以下の周波数になった時に、IF検出信号が初めて出力される(図2(b)、(c)参照)。
【0041】
ADC4は、最初に出力されるIF検出信号をトリガとして、VCO1の周波数制御電圧を計測する周波数制御電圧計測動作を実行する。この時に得る電圧(v1d)は、VCO1の発振周波数がf2+f3detになるときの周波数制御電圧に相当する(図2(c)、(d)参照)。変調制御回路10は、ADC4で検出した周波数制御電圧値(v1d)を保存する。
【0042】
アップチャープ動作時に用いた周波数f2−f3detと、ダウンチャープ動作時に用いた周波数f2+f3detの中点は、下式(1)に示すように、ローカル信号周波数f2である。
((f2−f3det)+(f2+f3det))/2=f2 (1)
【0043】
ここで、IF検出回路7で設定する周波数f3detが、周波数変調幅に対して充分小さく、f2−f3detからf2+f3detの周波数範囲におけるVCO1の周波数制御電圧感度の非線形性が充分小さいとする。この場合、VCO1の発振周波数がf2のときの周波数制御電圧v1は、下式(2)に示すように、アップチャープ動作時に得たv1uとダウンチャープ動作時に得たv1dの平均値で近似できる。
(v1u+v1d)/2≒v1 (2)
【0044】
この上式(1)(2)によるf2とv1の計算結果から、VCO1のVF特性を導出できる。
【0045】
本実施の形態1の周波数変調回路において、周波数変調回路が周波数変調を行う周波数範囲内で、ローカル信号の周波数を定期的に複数変えて、VCO1の複数の発振周波数に対して周波数制御電圧計測動作を実行する。その結果、周波数変調を行う周波数範囲内におけるVCO1の複数の発振周波数に対するVF特性を計測できる。それを元に、変調制御回路10は、LUT12の内容を更新するとともに、定期的にLUT11の内容をLUT12の内容で置き換える。
【0046】
以上のように、実施の形態1によれば、ローカル信号生成回路、差周波信号生成回路、およびIF検出回路を備えた構成により、周波数変調動作を実施しながらVCOのVF特性を導出することを可能としている。従って、FMCWレーダが機能した状態のままで、周波数変調動作を実施しながらVCOの周波数制御電圧計測動作を実行し、LUTを生成し更新できる。この結果、FMCWレーダ装置の周波数変調回路の性能向上を実現できる。
【0047】
さらに、このような周波数制御電圧の計測方法においては、アップチャープ動作時に得たv1uと、ダウンチャープ動作時に得たv1dとの平均値を用いている。この結果、周波数変調回路を構成する各回路内で遅延が生じた場合にも、その影響をキャンセルすることができる。さらに、IF検出周波数f3detが、回路の温度特性や製造ばらつきの影響で初期設計値から変動した場合であっても、その影響をキャンセルすることができる。すなわち、実施の形態1における周波数制御電圧の計測方法は、回路の寄生成分、温度特性、製造ばらつきに対し、高い耐性を持つ。
【0048】
実施の形態2.
先の実施の形態1では、VCOのVF特性を導出するにあたり、LPF3出力の周波数制御電圧v1をADC4で計測する場合について説明した。これに対して、本実施の形態2では、周波数制御電圧の情報を、LUT11に基づいてDAC2に入力する制御ビットから得る場合について説明する。
【0049】
図3は、本発明の実施の形態2におけるFMCWレーダ装置の周波数変調回路の構成図である。本周波数変調回路は、VCO1、DAC2、LPF3、ローカル信号生成回路5、差周波信号生成回路6、IF検出回路7、および変調制御回路10を備えて構成されている。ここで、変調制御回路10は、VCO1のVF特性を記録するLUT11と、定期的に計測されたVCOのVF特性の結果を記録するLUT13とを有している。
【0050】
本実施の形態2における図3の構成を備えた周波数変調回路は、先の実施の形態1における図1の構成を備えた周波数変調回路と比較すると、変調制御回路10内のLUT12の代わりにLUT13を備えるとともに、ADC4を取り除いた点が異なっている。そこで、この相違点を中心に、以下に説明する。
【0051】
なお、図3において、v1は、VCO1の周波数制御電圧を示し、Vcntは、LUT11からDAC2に入力する制御ビットを示し、f1は、VCO1が発振する周波数を示し、f2は、ローカル信号の周波数を示し、さらに、f3は、IF信号の周波数を示しており、
f3=|f1−f2|
の関係にある。
【0052】
本実施の形態2における変調制御回路10は、次の機能を有している。
[機能1]LUT11に基づき、DAC2の出力電圧を制御する機能
[機能2]ローカル信号生成回路5が生成するローカル信号の周波数を設定する機能
[機能3]IF検出回路7によるIF検出信号をトリガとして、DAC2に入力する制御ビットを検出する機能
[機能4]検出した制御ビットと、ローカル信号の設定内容から、VCO1のVF特性を導出する機能
[機能5]導出した結果をLUT13に保存する機能と、LUT11の内容をLUT13の内容で定期的に置き換える機能
【0053】
図4は、本発明の実施の形態2のFMCWレーダ装置の周波数変調回路における各信号の時間変化を示した図である。具体的には、図4(a)〜図4(d)は、以下の内容を示している。
図4(a):VCO1出力信号およびローカル信号の周波数の時間変化
図4(b):IF信号の周波数の時間変化
図4(c):IF検出信号の時間変化
図4(d):VCO1の周波数制御電圧とDAC2の制御ビットの時間変化
【0054】
まずは、アップチャープ動作を行う場合の周波数変調回路の動作について説明する。VCO1の発振周波数をチャープ動作する周波数範囲の最小周波数から徐々に増加させるアップチャープの過程において、VCO1の発振周波数は、ローカル信号の周波数に徐々に近づき、IF信号の周波数は、徐々に低くなる(図4(a)、(b)参照)。そして、IF信号の周波数がf3det以下の周波数になった時に、IF検出信号が初めて出力される(図4(b)、(c)参照)。
【0055】
変調制御回路10は、最初に出力されるIF検出信号をトリガとして、周波数制御電圧(v1u)を設定するDAC2の制御ビット(Code_v1u)を検出する。この時に得る制御ビット(Code_v1u)は、VCO1の発振周波数がf2−f3detになるときの制御ビットに相当する(図4(c)、(d)参照)。変調制御回路10は、制御ビット(Code_v1u)から導出した周波数制御電圧値(v1u)を保存する。この結果、本実施の形態2における変調制御回路10は、先の実施の形態1における周波数制御電圧(v1u)に相当する電圧値を、制御ビットから導出できる。
【0056】
続いて、ダウンチャープ動作を行う場合の周波数変調回路の動作について説明する。VCO1の発振周波数をチャープ動作する周波数範囲の最大周波数から徐々に減少させるダウンチャープの過程において、VCO1の発振周波数は、ローカル信号の周波数に徐々に近づき、IF信号の周波数は、徐々に低くなる(図4(a)、(b)参照)。そして、IF信号の周波数がf3det以下の周波数になった時に、IF検出信号が初めて出力される(図4(b)、(c)参照)。
【0057】
変調制御回路10は、最初に出力されるIF検出信号をトリガとして、周波数制御電圧(v1d)を設定するDAC2の制御ビット(Code_v1d)を検出する。この時に得る制御ビット(Code_v1d)は、VCO1の発振周波数がf2+f3detになるときの制御ビットに相当する(図4(c)、(d)参照)。変調制御回路10は、制御ビット(Code_v1d)から導出した周波数制御電圧値(v1d)を保存する。この結果、本実施の形態2における変調制御回路10は、先の実施の形態1における周波数制御電圧(v1d)に相当する電圧値を、制御ビットから導出できる。その他の機能は、先の実施の形態1と同様である。
【0058】
以上のように、実施の形態2によれば、周波数制御電圧v1uと周波数制御電圧v1dを得るにあたり、VCOに印加するアナログ電圧値を検出する代わりに、VCOの周波数制御電圧を生成するDACの制御ビットを検出している。これにより、先の実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、アナログ電圧値をデジタル値に変換するADCが不要となり、低コスト化できる。
【0059】
実施の形態3.
先の実施の形態1および実施の形態2では、IF信号がある特定のIF検出周波数(f3det)以下になった時にIF検出信号を出力するIF検出回路7を用いた周波数変調回路の構成について説明した。そこで、本実施の形態3では、このIF検出回路7の具体的な構成について説明する。
【0060】
図5は、本発明の実施の形態3におけるIF検出回路7の具体的な構成図である。この図5に示したIF検出回路7は、IF信号が、ある特定のIF検出周波数(f3det)以下になった時にIF検出信号を出力するために、f3detを超える周波数の信号を減衰するフィルタ回路(FIL)71で構成されている。
【0061】
このように、IF検出回路7をFIL71で構成するとき、f3det以下の周波数であるIF信号をFIL71に入力した場合は、FIL71からIF検出信号が出力される。一方、f3detを超える周波数であるIF信号をFIL71に入力した場合は、FIL71からIF検出信号は出力されない。
【0062】
以上のように、実施の形態3によれば、フィルタ回路を用いることで、IF検出回路を容易に実現することができる。
【0063】
実施の形態4.
先の実施の形態3では、IF検出回路7として、IF信号を直接フィルタ回路71に入力する構成について説明した。これに対して、本実施の形態4では、IF信号の電圧振幅の周波数特性を補正する機能を持つIF検出回路7の構成について説明する。
【0064】
図6は、本発明の実施の形態4におけるIF検出回路7の具体的な構成図であり、IF信号の電圧振幅の周波数特性を補正する機能を持つIF検出回路7の回路構成の一例を示す図である。本実施の形態4におけるIF検出回路7は、IF信号を入力しIF信号の電圧振幅によらず定振幅のリミッタ信号を出力するリミッタ72と、f3detを超える周波数であるリミッタ信号を減衰するFIL71とで構成されている。
【0065】
このように、IF検出回路7をFIL71とリミッタ72で構成するとき、電圧振幅に周波数特性があるIF信号がリミッタ72に入力され、リミッタ72は、定振幅のリミッタ信号を出力する。そして、リミッタ72から出力される信号は、FIL71に入力され、FIL71が有する減衰量の周波数特性に応じた電圧振幅を持つIF検出信号が、FIL71から出力される。
【0066】
本実施の形態4のIF検出回路7において、f3det以下の周波数であるIF信号を入力したときにIF検出信号が出力されるようにするためには、FIL71を通過した信号においてf3detを超える周波数である信号よりも、f3det以下の周波数である信号の電圧振幅のほうが高くなくてはならない。FIL71のみでIF検出回路7を構成する際に、IF信号の電圧振幅に周波数特性がある場合には、FIL71の周波数特性のみでIF検出信号の電圧振幅を定めることができない。
【0067】
そこで、本実施の形態4による図6の構成では、IF信号の電圧振幅に周波数特性がある場合でも、リミッタ72により周波数特性を補正することで、FIL71の周波数特性のみで、IF検出信号の電圧振幅を定めることができる。なお、その他の効果については、先の実施の形態3と同等である。
【0068】
以上のように、実施の形態4によれば、フィルタ回路およびリミッタを用いることで、IF信号の電圧振幅に周波数特性がある場合にも、IF検出回路を容易に実現することができる。
【0069】
実施の形態5.
先の実施の形態3では、IF検出回路7からのIF検出信号として、アナログ信号を出力する場合について説明した。これに対して、本実施の形態5では、IF検出回路7からのIF検出信号として、矩形波信号を出力する機能を持つ構成について説明する。
【0070】
図7は、本発明の実施の形態5におけるIF検出回路7の具体的な構成図であり、IF検出回路7から矩形波のデジタル信号を出力する場合の回路構成の一例を示す図である。本実施の形態5におけるIF検出回路7は、f3detを超える周波数であるIF信号を減衰するFIL71と、ある比較基準電圧Vrefを超える電圧が入力されたときにHighのデジタル信号を出力するコンパレータ73とで構成されている。
【0071】
このように、IF検出回路7をFIL71とコンパレータ73とで構成するとき、IF信号がf3det以下の周波数である場合には、FIL71から高い電圧振幅を持つアナログのフィルタ出力信号が出力される。そして、フィルタ出力信号の電圧振幅が、ある比較基準電圧Vrefを超える場合には、コンパレータ73は、矩形波のIF検出信号を出力する。
【0072】
先の図1におけるADC4は、IF検出信号をトリガとして、VCO1に印加している周波数制御電圧(v1d)を計測する周波数制御電圧計測動作を実行する。このため、IF検出信号は、ADC4がもつトリガ検出回路を駆動するのに充分な電圧振幅を持つ必要がある。これに対して、本実施の形態5におけるIF検出回路7を用いることで、IF検出信号として矩形波信号を出力できるため、ADC4のトリガ検出回路を駆動するのに充分な電圧振幅を確保ができる。なお、その他の効果については、先の実施の形態3と同等である。
【0073】
以上のように、実施の形態5によれば、フィルタ回路およびコンパレータを用いることで、IF検出信号として矩形波信号を出力でき、ADCのトリガ検出回路を駆動するのに充分な電圧振幅を確保できるIF検出回路を容易に実現することができる。
【0074】
なお、先の実施の形態4によるFIL71とリミッタ72を設けた構成に対しても、FIL71の出力側に本実施の形態5で説明したコンパレータ73を適用することが可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0075】
実施の形態6.
先の実施の形態1および実施の形態2では、VCO出力信号とローカル信号とを入力し、IF信号を出力する差周波信号生成回路6を用いた周波数変調回路の構成について説明した。そこで、本実施の形態6では、この差周波信号生成回路6の具体的な構成について説明する。
【0076】
図8は、本発明の実施の形態6における差周波信号生成回路6の具体的な構成図である。なお、図8において、f1は、VCO出力信号の周波数を示し、f2は、ローカル信号の周波数を示し、さらに、f3は、IF信号の周波数を示しており、
f3=|f1−f2|
の関係にある。
【0077】
この図8に示した差周波信号生成回路6は、VCO出力信号とローカル信号を入力し、VCO出力信号とローカル信号の差周波のIF信号を出力するために、VCO出力信号をローカル信号によりダウンコンバートするミクサ回路61で構成されている。
【0078】
このように、差周波信号生成回路6をミクサ回路61で構成するとき、VCO出力信号をローカル信号によりダウンコンバートすることで、差周波数f3をもつIF信号を得ることができる。
【0079】
以上のように、実施の形態6によれば、ミクサ回路を用いることで、差周波信号生成回路を容易に実現することができる。
【0080】
実施の形態7.
先の実施の形態6では、差周波信号生成回路6をミクサ回路61で構成し、VCO出力信号をローカル信号によりダウンコンバートすることで、IF信号を得る場合について説明した。しかしながら、この場合には、IF信号がDCを含むチャープ信号となるためには、ローカル信号の周波数f2は、VCO1がチャープ動作する周波数範囲に限定される。そこで、本実施の形態7では、分周回路を用いることで、ローカル信号の周波数f2をVCO1がチャープ動作する周波数範囲に限定しない場合の差周波信号生成回路6の構成について説明する。
【0081】
図9は、本発明の実施の形態7における差周波信号生成回路6の具体的な構成図であり、ローカル信号の周波数f2をVCO1がチャープ動作する周波数範囲に限定しない場合の差周波信号生成回路6の構成の一例を示す図である。なお、図9において、Nは、任意の正の数を示し、f1は、VCO出力信号の周波数を示し、f1bは、DIV出力信号の周波数を示し、f2は、ローカル信号の周波数を示し、さらに、f3は、IF信号の周波数を示しており、
f3=|f1−f2|
の関係にある。
【0082】
本実施の形態7における差周波信号生成回路6は、VCO1のVCO出力信号をN分周する分周回路(DIV)62と、DIV62から出力されるDIV出力信号をローカル信号によりダウンコンバートするミクサ回路61とで構成されている。
【0083】
この図9に示した差周波信号生成回路6は、VCO1のVCO出力信号をDIV62によりN分周し、N分周後のDIV出力信号をミクサ回路61に入力し、ローカル信号によりダウンコンバートしてIF信号を出力する。
【0084】
このように、差周波信号生成回路6をミクサ回路61とDIV62とで構成するとき、DIV62によりVCO1のVCO出力信号をN分周することで、ローカル信号の周波数f2は、先の実施の形態6で示した場合に比べて、1/Nに低減できる。このため、ローカル信号生成回路5の回路規模および消費電流を低減することができる。
【0085】
さらに、ローカル信号の周波数f2は、VCO1がチャープ動作する周波数範囲でなくなる。このため、周波数変調回路の出力端にローカル信号が漏れこむことを防ぐことができるとともに、VCO1とローカル信号生成回路5との間で生じるインジェクションロックによる特性劣化も防ぐことができる。なお、その他の効果については、先の実施の形態6と同等である。
【0086】
以上のように、実施の形態7によれば、ミクサ回路とともに分周回路を用いることで、ローカル信号の周波数f2をVCOがチャープ動作する周波数範囲に限定することなしに、差周波信号生成回路を容易に実現することができる。
【0087】
実施の形態8.
先の実施の形態6では、差周波信号生成回路6をミクサ回路61で構成し、VCO出力信号をローカル信号によりダウンコンバートすることで、IF信号を得る場合について説明した。しかしながら、この場合には、IF信号がDCを含むチャープ信号となるためには、ローカル信号の周波数f2は、VCO1がチャープ動作する周波数範囲に限定される。そこで、本実施の形態8では、先の実施の形態7とは異なる構成として、複数のローカル信号を用いることで、ローカル信号の周波数をVCO1がチャープ動作する周波数範囲に限定しない場合の差周波信号生成回路6の構成について説明する。
【0088】
図10は、本発明の実施の形態8における差周波信号生成回路6の具体的な構成図であり、ローカル信号の周波数をVCO1がチャープ動作する周波数範囲に限定しない場合の差周波信号生成回路6の構成の一例を示す図である。なお、図10において、f1は、VCO出力信号の周波数を示し、f2は、ローカル信号の周波数を示し、f3aは、RFミクサ出力信号の周波数を示し、f4は、IFローカル信号の周波数を示し、さらに、f3は、IF信号の周波数を示す。
【0089】
本実施の形態8における差周波信号生成回路6は、RFミクサ回路63、イメージ除去用フィルタ(FIL)64、IFローカル信号生成回路65、IFミクサ回路66、およびイメージ除去用フィルタ(FIL)67で構成されている。
【0090】
RFミクサ回路63は、VCO1の出力信号をローカル信号によりダウンコンバートする。イメージ除去用フィルタ(FIL)64は、RFミクサ回路63でダウンコンバートすることで得られるRFミクサ出力信号のイメージ成分を除去する。IFローカル信号生成回路65は、FIL64出力信号をダウンコンバートするために用いられる。
【0091】
IFミクサ回路66は、FIL64出力信号をIFローカル信号生成回路65が生成するIFローカル信号でダウンコンバートする。さらに、イメージ除去用フィルタ(FIL)67は、IFミクサ回路66でダウンコンバートすることで得られるIFミクサ出力信号のイメージ成分を除去する。
【0092】
この図10に示した差周波信号生成回路6は、RFミクサ回路63にてVCO1の出力信号をローカル信号によりダウンコンバートしてRFミクサ出力信号を得る。そして、FIL64にてRFミクサ出力信号のイメージ成分を除去してFIL64出力信号を得て、FIL64出力信号をIFミクサ回路66にてIFローカル信号によりダウンコンバートしてIFミクサ出力信号を得る。そして、最終的に、FIL47にて、IFミクサ出力信号のイメージ成分を除去してIF信号を得ている。
【0093】
このように、本実施の形態8による図10で示す構成を備えた差周波信号生成回路6の場合には、ローカル信号生成回路5で生成するローカル信号の周波数は、先の実施の形態6で示した場合と異なり、ローカル信号の周波数を、VCO1がチャープ動作する周波数範囲に限定する必要がない。この結果、周波数変調回路の出力端にローカル信号が漏れ込むことを防ぐことができるとともに、VCO1とローカル信号生成回路5との間で生じるインジェクションロックによる特性劣化も防ぐことができる。なお、その他の効果については、先の実施の形態6と同等である。
【0094】
以上のように、実施の形態8によれば、先の実施の形態7の構成とは異なる構成を用いることでも、ローカル信号の周波数f2をVCOがチャープ動作する周波数範囲に限定することなしに、差周波信号生成回路を容易に実現することができる。
【0095】
実施の形態9.
先の実施の形態1では、1個の周波数変調回路においてLUTを更新する回路構成について説明した。これに対して、本実施の形態9では、先の実施の形態1の構成を、n個の周波数変調回路においてLUTを更新する回路構成に拡張した場合について説明する。なお、ここでのnは、2以上の任意の整数であり、2系統以上を並列に用いる場合について説明する。
【0096】
図11は、本発明の実施の形態9におけるFMCWレーダ装置の周波数変調回路の構成図であり、n個の周波数変調回路においてそれぞれLUTを更新する場合の回路構成の一例を示す図である。基本構成は、先の実施の形態1と同じであり、実施の形態1で示したVCO1、DAC2、LPF3を用いて構成された周波数変調部をn系統並列に配置して構成されている。
【0097】
図11に示すように、1番目の周波数変調部1系は、VCO1(1)、DAC2(1)、LPF3(1)で構成され、m番目の周波数変調部m系は、VCO1(m)、DAC2(m)、LPF3(m)で構成され、n番目の周波数変調部n系は、VCO1(n)、DAC2(n)、LPF3(n)で構成されている。
【0098】
さらに、本実施の形態9における周波数変調回路は、ADC4、ローカル信号生成回路5、差周波信号生成回路6、IF検出回路7、スイッチ(SW_A)8、スイッチ(SW_B)9、および変調制御回路10を有している。
【0099】
ここで、スイッチ(SW_A)8は、各周波数変調部1系〜n系がもつVCO1(1)〜1(n)から出力されるVCO出力信号を入力し、あるVCOを選択して、そのVCO出力信号を出力するスイッチである。また、スイッチ(SW_B)9は、各周波数変調部1系〜n系がもつVCO1(1)〜1(n)の周波数制御電圧を入力し、あるVCOを選択して、そのVCOの周波数制御電圧を出力するスイッチである。
【0100】
また、ADC4、ローカル信号生成回路5、差周波信号生成回路6、およびIF検出回路7は、先の実施の形態1における図1で示したものと同じであり、各周波数変調部1系〜n系に対して共有化した構成としている。さらに、本実施の形態9における変調制御回路10は、各周波数変調部1系〜n系に対応するLUT11(1)〜11(n)と、各周波数変調部1系〜n系に共有化されたLUT12を有している。
【0101】
なお、図11において、mは、n以下の任意の整数であり、f1_1〜f1_nは、VCO1(1)〜1(n)のVCO出力信号の周波数を示し、v1_1〜v1_nは、VCO1(1)〜1(n)の周波数制御電圧を示し、f2は、ローカル信号の周波数を示し、さらに、f3は、IF信号の周波数を示している。
【0102】
そして、図11における変調制御回路10は、次の機能を有している。
[機能1]各周波数変調部1系〜n系のVCO1(1)〜1(n)のVF特性を保存するLUT11(1)〜11(n)に基づき、DAC2(1)〜2(n)の出力電圧を制御する機能
[機能2]ローカル信号生成回路5が生成するローカル信号の周波数を設定する機能
[機能3]LUT11(1)〜11(n)までのn個のLUTの中で更新対象とするLUTを決めて、それを元にSW_A8およびSW_B9を制御する機能
[機能4]ADC4が計測した周波数制御電圧値を読み取る機能
[機能5]ADC4から読み取った周波数制御電圧値と、ローカル信号の設定内容から、VCO1(1)〜1(n)のVF特性を導出する機能
[機能6]導出したVF特性をLUT12に保存する機能と、LUT11(1)〜11(n)の内容を、LUT12の内容で定期的に置き換える機能
【0103】
次に、図11に示す周波数変調回路の動作の一例として、VCO1(m)のVF特性を記録するLUT11(m)を更新する場合について説明する。LUT11(m)を更新する場合、変調制御回路10は、SW_A8がVCO1(m)を選択し、VCO1(m)のVCO出力信号を出力するように設定し、SW_B9がVCO1(m)を選択し、VCO1(m)の周波数制御電圧を出力するように設定する。
【0104】
そして、本実施の形態9における変調制御回路10は、SW_A8とSW_B9の設定が済んだ後、先の実施の形態1で示した方法にて、LUT12の内容を更新し、LUT11(m)の内容を、LUT12の内容で置き換える。
【0105】
図11に示す周波数変調回路の構成では、n個の周波数変調回路のLUT11(1)〜11(n)を更新する場合において、ADC4、ローカル信号生成回路5、差周波信号生成回路6、IF検出回路7、およびLUT12を共用することができる。この結果、先の実施の形態1で示した周波数変調回路を単純にn個並べる場合に比べて、回路規模および消費電流を低減することができる。なお、その他の効果については、先の実施の形態1と同等である。
【0106】
以上のように、実施の形態9によれば、n個の周波数変調回路においてLUTを更新する回路構成に拡張した場合にも、先の実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、一部の構成をn個の系統で共有化して切り替えて使用することで、回路規模および消費電流の低減を実現できる。
【0107】
実施の形態10.
先の実施の形態2では、1個の周波数変調回路においてLUTを更新する回路構成について説明した。これに対して、本実施の形態10では、先の実施の形態2の構成を、n個の周波数変調回路においてLUTを更新する回路構成に拡張した場合について説明する。なお、ここでのnは、2以上の任意の整数であり、2系統以上を並列に用いる場合について説明する。
【0108】
図12は、本発明の実施の形態10におけるFMCWレーダ装置の周波数変調回路の構成図であり、VCO1の周波数制御電圧の情報を、LUT11(1)〜11(n)に基づきDAC2(1)〜2(n)に入力する制御ビットから得る場合の、n個の周波数変調回路の構成の一例を示す図である。基本構成は、先の実施の形態2と同じであり、実施の形態2で示したVCO1、DAC2、LPF3を用いて構成された周波数変調部をn系統並列に配置して構成されている。
【0109】
図12に示すように、1番目の周波数変調部1系は、VCO1(1)、DAC2(1)、LPF3(1)で構成され、m番目の周波数変調部m系は、VCO1(m)、DAC2(m)、LPF3(m)で構成され、n番目の周波数変調部n系は、VCO1(n)、DAC2(n)、LPF3(n)で構成されている。
【0110】
さらに、本実施の形態10における周波数変調回路は、ローカル信号生成回路5、差周波信号生成回路6、IF検出回路7、スイッチ(SW_A)8、および変調制御回路10を有している。ここで、スイッチ(SW_A)8は、各周波数変調部1系〜n系がもつVCO1(1)〜1(n)から出力されるVCO出力信号を入力し、あるVCOを選択して、そのVCO出力信号を出力するスイッチである。
【0111】
また、ローカル信号生成回路5、差周波信号生成回路6、およびIF検出回路7は、先の実施の形態2における図3で示したものと同じであり、各周波数変調部1系〜n系に対して共有化した構成としている。さらに、本実施の形態10における変調制御回路10は、各周波数変調部1系〜n系に対応するLUT11(1)〜11(n)と、各周波数変調部1系〜n系に共有化されたLUT13を有している。
【0112】
なお、図12において、mは、n以下の任意の整数であり、Vcnt_1〜Vcnt_nは、DAC2(1)〜2(n)に入力する制御ビットを示し、f1_1〜f1_nは、VCO1(1)〜1(n)のVCO出力信号の周波数を示し、v1_1〜v1_nは、VCO1(1)〜1(n)の周波数制御電圧を示し、f2は、ローカル信号の周波数を示し、さらに、f3は、IF信号の周波数を示している。
【0113】
そして、図12における変調制御回路10は、次の機能を有している。
[機能1]各周波数変調部1系〜n系のVCO1(1)〜1(n)のVF特性を保存するLUT11(1)〜11(n)に基づき、DAC2(1)〜2(n)の出力電圧を制御する機能
[機能2]ローカル信号生成回路5が生成するローカル信号の周波数を設定する機能
[機能3]LUT11(1)〜11(n)までのn個のLUTの中で更新対象とするLUTを決めて、それを元にSW_A8を制御する機能
[機能4]IF検出信号をトリガとし更新対象とするLUTからDACに入力される制御ビットを検出する機能
[機能5]検出した制御ビットとローカル信号の設定内容から、更新対象とするLUTが制御するVCOのVF特性を導出する機能
[機能6]導出したVF特性をLUT13に保存する機能と、LUT11(1)〜11(n)の内容を、LUT12の内容で定期的に置き換える機能
【0114】
次に、図12に示す周波数変調回路の動作の一例として、VCO1(m)のVF特性を記録するLUT11(m)を更新する場合について説明する。LUT11(m)を更新する場合、変調制御回路10は、SW_A8がVCO1(m)を選択し、VCO1(m)のVCO出力信号を出力するように設定する。そして、本実施の形態10における変調制御回路10は、SW_A8の設定が済んだ後、先の実施の形態2で示した方法にて、LUT13の内容を更新し、LUT11(m)の内容を、LUT13の内容で置き換える。
【0115】
図12に示す周波数変調回路の構成では、n個の周波数変調回路のLUT11(1)〜11(n)を更新する場合において、ローカル信号生成回路5、差周波信号生成回路6、IF検出回路7、LUT13を共用することができる。この結果、先の実施の形態2で示した周波数変調回路を単純にn個並べる場合に比べて、回路規模および消費電流を低減することができる。なお、その他の効果については、先の実施の形態2と同等である。
【0116】
以上のように、実施の形態10によれば、n個の周波数変調回路においてLUTを更新する回路構成に拡張した場合にも、先の実施の形態2と同様の効果を得ることができるとともに、一部の構成をn個の系統で共有化して切り替えて使用することで、回路規模および消費電流の低減を実現できる。
【0117】
なお、上述した実施の形態1〜10では、DACの制御に使用するLUT11と、VCOのVF特性を導出した結果を保存するLUT12またはLUT13とを、独立して設ける場合について説明した。そして、LUT12またはLUT13を更新しておき、定期的にLUT11の内容をLUT12の内容で置き換える場合について説明した。しかしながら、LUTの内容の更新、置き換えは、これに限定されるものではない。
【0118】
例えば、VF特性の導出結果を逐次記憶しておき、所定のデータ数が取得されるたびにそれらの平均をとることで、LUTの内容の更新、置き換えを行うことができる。また、VF特性の導出結果を逐次記憶しておき、直近の所定データ数の移動平均を順次求めることで、LUTの内容の更新、置き換えを行うことができる。
【0119】
あるいは、VF特性の導出を行うごとに、逐次その導出結果を用いて、LUTの内容の更新、置き換えを行うこともできる。このような逐次処理を行う場合には、LUTを1つにまとめることも可能である。すなわち、VCOのVF特性を導出した結果を、DACの制御に使用するLUT11に直接保存することで、LUTを1つにまとめることができる。
【0120】
これにより、VCOのVF特性を導出した結果を保存するLUTを削減することができるため、周波数変調回路においてLUTを記録するためのメモリ等の装置を削減できる。
【符号の説明】
【0121】
1、1(1)〜1(n) 電圧制御型発振器、2、2(1)〜2(n) デジタル−アナログ変換回路(DAC)、3、3(1)〜3(n) 低域通過フィルタ(LPF)、4 アナログ−デジタル変換回路(ADC)、5 ローカル信号生成回路、6 差周波信号生成回路、7 IF検出回路、8 スイッチ(SW_A)、9 スイッチ(SW_B)、10 変調制御回路、11、11(1)〜11(n)、12、13 ルックアップテーブル(LUT)、61 ミクサ回路、62 分周回路(DIV)、63 ミクサ回路、64 イメージ除去用フィルタ(FIL)、65 ローカル信号生成回路、66 ミクサ回路、67 イメージ除去用フィルタ(FIL)、71 フィルタ回路(FIL)、72 リミッタ、73 コンパレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数制御電圧に従って所望の周波数で発振するVF特性を有し、VCO出力信号を生成する電圧制御型発振器と、前記電圧制御型発振器に対して前記周波数制御電圧を設定するD/A変換回路とを含んで構成される周波数変調部と、
前記電圧制御型発振器のVF特性を保存したルックアップテーブルを有し、前記ルックアップテーブルに基づいて前記D/A変換回路から出力される前記周波数制御電圧を制御する変調制御回路と
を備えたFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
連続波信号のローカル信号を生成するローカル信号生成回路と、
前記電圧制御型発振器で生成された前記VCO出力信号と、前記ローカル信号生成回路で生成された前記ローカル信号とを入力して差周波成分であるIF信号を出力する差周波信号生成回路と、
前記差周波信号生成回路から出力された前記IF信号が、ある特定の周波数以下になったときにIF検出信号を出力するIF検出回路と
をさらに備え、
前記変調制御回路は、前記ローカル信号生成回路で生成される前記ローカル信号の周波数を設定するとともに、前記IF検出回路が前記IF検出信号を出力したタイミングにおいて、前記電圧制御型発振器で生成される前記VCO出力信号に対応する周波数制御電圧と、前記ローカル信号生成回路に対する前記周波数の設定内容との組み合わせを元に前記電圧制御型発振器のVF特性を導出し、導出した前記VF特性を用いて前記ルックアップテーブルの内容を更新する
ことを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項2】
請求項1に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記IF検出回路が前記IF検出信号を出力したタイミングで前記電圧制御型発振器に印加している周波数制御電圧を計測するA/D変換回路
をさらに備え、
前記変調制御回路は、前記IF検出回路が前記IF検出信号を出力したタイミングにおいて前記電圧制御型発振器で生成される前記VCO出力信号に対応する周波数制御電圧を、前記A/D変換回路で計測された前記周波数制御電圧を読み取ることで取得する
ことを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項3】
請求項1に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記変調制御回路は、前記IF検出回路が前記IF検出信号を出力したタイミングにおいて前記電圧制御型発振器で生成される前記VCO出力信号に対応する周波数制御電圧を、前記D/A変換回路に与えるDAC制御用信号に基づいて取得する
ことを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項4】
請求項2に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記周波数変調部は、n(nは、2以上の整数)個の周波数変調部として構成され、
前記変調制御回路は、前記n個の周波数変調部のそれぞれに含まれるn個の電圧制御型発振器のVF特性を保存したルックアップテーブルを有し、前記ルックアップテーブルに基づいて前記n個の周波数変調部のそれぞれに含まれるn個のD/A変換回路から出力されるn個の周波数制御電圧を制御し、
前記n個の電圧制御型発振器のそれぞれが出力するn個のVCO出力信号を入力し、前記n個のVCO出力信号の中から1つを選択し、選択後のVCO出力信号として出力するスイッチ回路Aと、
前記n個の電圧制御型発振器のそれぞれに与えられるn個の周波数制御電圧を入力し、前記n個の周波数制御電圧の中から1つを選択し、選択後の周波数制御電圧として出力するスイッチ回路Bと
をさらに備え、
前記差周波信号生成回路は、前記スイッチ回路Aが出力する前記選択後のVCO出力信号と、前記ローカル信号生成回路で生成された前記ローカル信号とを入力して差周波成分であるIF信号を出力し、
前記A/D変換回路は、前記IF検出回路が前記IF検出信号を出力したタイミングで前記スイッチ回路Bが出力する前記選択後の周波数制御電圧を計測し、
前記変調制御回路は、前記スイッチ回路Aと前記スイッチ回路Bによる選択切り換えを制御し、前記選択切り換えに対応して前記ローカル信号生成回路で生成される前記ローカル信号の周波数を設定し、前記A/D変換回路で計測された前記選択後の周波数制御電圧を読み取り、前記ローカル信号生成回路に対する前記周波数の設定内容および前記A/D変換回路からの前記選択後の周波数制御電圧の読み取り結果を元に前記n個の電圧制御型発振器の中から前記スイッチ回路Aおよび前記スイッチ回路Bにより選択された電圧制御型発振器のVF特性を導出し、導出した前記VF特性を用いて、前記選択された電圧制御型発振器に対応する前記ルックアップテーブルの内容を更新する
ことを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項5】
請求項3に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記周波数変調部は、n(nは、2以上の整数)個の周波数変調部として構成され、
前記変調制御回路は、前記n個の周波数変調部のそれぞれに含まれるn個の電圧制御型発振器のVF特性を保存したルックアップテーブルを有し、前記ルックアップテーブルに基づいて前記n個の周波数変調部のそれぞれに含まれるn個のD/A変換回路から出力されるn個の周波数制御電圧を制御し、
前記n個の電圧制御型発振器のそれぞれが出力するn個のVCO出力信号を入力し、前記n個のVCO出力信号の中から1つを選択し、選択後のVCO出力信号として出力するスイッチ回路A
をさらに備え、
前記差周波信号生成回路は、前記スイッチ回路Aが出力する前記選択後のVCO出力信号と、前記ローカル信号生成回路で生成された前記ローカル信号とを入力して差周波成分であるIF信号を出力し、
前記変調制御回路は、前記スイッチ回路Aによる選択切り換えを制御し、前記選択切り換えに対応して前記ローカル信号生成回路で生成される前記ローカル信号の周波数を設定し、前記ローカル信号生成回路に対する前記周波数の設定内容および前記スイッチ回路Aにより選択された電圧制御型発振器に対応したD/A変換回路に与えるDAC制御用信号を元に前記スイッチ回路Aにより選択された電圧制御型発振器のVF特性を導出し、導出した前記VF特性を用いて、前記選択された電圧制御型発振器に対応するルックアップテーブルの内容を更新する
ことを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項6】
請求項2または4に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記変調制御回路は、アップチャープとダウンチャープを繰り返す周波数変調信号において、アップチャープ時に前記A/D変換回路で計測された周波数制御電圧値、およびダウンチャープ時に前記A/D変換回路で計測された周波数制御電圧値の読み取り結果を元に、前記VF特性を導出する
ことを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項7】
請求項3または5に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記変調制御回路は、アップチャープとダウンチャープを繰り返す周波数変調信号において、アップチャープ時に前記D/A変換回路に与えるDAC制御用信号、およびダウンチャープ時に前記D/A変換回路に与えるDAC制御用信号を元に、前記VF特性を導出する
ことを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記IF検出回路は、前記差周波信号生成回路から出力された前記IF信号に対し、ある特定の周波数以上の信号成分を減衰させるフィルタにより構成される
ことを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記IF検出回路は、
前記差周波信号生成回路から出力される前記IF信号の電圧振幅に寄らず定振幅の信号を出力するリミッタと、
前記リミッタから出力されるリミッタ信号のある特定の周波数以上の信号成分を減衰させるフィルタと
を含んで構成されることを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記IF検出回路は、
前記差周波信号生成回路から出力される前記IF信号に対し、ある特定の周波数以上の信号を減衰させるフィルタと、
前記フィルタから出力されるフィルタ出力信号が、ある一定の電圧振幅以上である場合に前記IF検出信号を出力するコンパレータと
を含んで構成されることを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項11】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
IF検出回路は、
前記差周波信号生成回路から出力される前記IF信号の電圧振幅に寄らず定振幅の信号を出力するリミッタと、
前記リミッタから出力されるリミッタ信号のある特定の周波数以上の信号成分を減衰させるフィルタと、
前記フィルタから出力されるフィルタ出力信号が、ある一定の電圧振幅以上である場合に前記IF検出信号を出力するコンパレータと
を含んで構成されることを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記差周波信号生成回路は、前記電圧制御型発振器で生成された前記VCO出力信号を前記ローカル信号生成回路で生成された前記ローカル信号によりダウンコンバートすることで前記IF信号を出力するミクサ回路により構成される
ことを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項13】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記差周波信号生成回路は、
前記電圧制御型発振器で生成された前記VCO出力信号を分周する分周回路と、
前記分周回路から出力されるDIV出力信号を前記ローカル信号生成回路で生成された前記ローカル信号によりダウンコンバートすることで前記IF信号を出力するミクサ回路と
を含んで構成されることを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項14】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記差周波信号生成回路は、
前記電圧制御型発振器で生成された前記VCO出力信号を前記ローカル信号生成回路で生成された前記ローカル信号によりダウンコンバートするRFミクサ回路と、
前記RFミクサ回路でダウンコンバートして得られたRFミクサ出力信号の不要信号成分を除去する第1のイメージ除去用フィルタと、
前記第1のイメージ除去用フィルタから出力されたイメージ除去用フィルタ出力信号をダウンコンバートするために用いるIFローカル信号を出力するIFローカル信号生成回路と、
前記イメージ除去用フィルタからの出力信号を前記IFローカル信号生成回路から出力された前記IFローカル信号でダウンコンバートするIFミクサ回路と、
前記IFミクサ回路でダウンコンバートして得られたIFミクサ出力信号の不要信号成分を除去することで前記IF信号を出力する第2のイメージ除去用フィルタと
を含んで構成されることを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記変調制御回路は、導出するごとに前記VF特性を蓄積しておき、蓄積したVF特性を統計処理することで算出したVF特性データを用いて前記ルックアップテーブルの内容を定期的に更新する
ことを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。
【請求項16】
請求項1ないし14のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置の周波数変調回路において、
前記変調制御回路は、導出した前記VF特性を用いて導出を行ったタイミングで前記ルックアップテーブルの内容を逐次更新する
ことを特徴とするFMCWレーダ装置の周波数変調回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−247598(P2011−247598A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117704(P2010−117704)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】