説明

FMCW距離測定装置

【課題】アンテナ(空中線)から目標対象物に照射する信号の周波数帯域に制限がある場合でも、近距離測定において精度の高い距離測定を行う。
【解決手段】周波数変調した搬送波信号を信号分配器4により2分割し、一方を送信信号として空中へ放射し目標対象物7から反射させて受信し受信信号を得、他方を参照信号とし、この参照信号の位相を、1回の測定毎に、360度の間で180度の2分の1以下であって、かつ180度の整数分の1の等間隔角度で0度から位相を変化させる位相器9を通した後、混合器8により受信信号と混合して、ビート信号を生成する。信号処理器12において0度を含め位相を変化させた回数分の実数FFT演算結果の平均を求め測定距離の真値とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、周波数変調(FM)された搬送波(CW)信号を送受信して目標対象物を検知し、目標対象物までの距離、速度等を測定するFMCWレーダ装置技術分野におけるFMCW距離測定装置に関し、特に、近距離の目標対象物の高精度距離測定が行えるFMCW距離測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図15は、一般的なFMCW距離測定装置20の構成を示している(特許文献1参照)。このFMCW距離測定装置20では、送信用搬送波発生器である発振器1から出力される正弦波信号である搬送波信号を、変調信号発生器3から出力される三角波又はのこぎり波により変調器2で周波数変調を行い信号分配器4で2つの信号に分配する。分配した信号の中、一方を方向性素子5を介して送受信共用アンテナ6から空中へ放射する。放射した信号が目標対象物7で反射し、反射した信号(反射波)が送受信共用アンテナ6で受信される。受信された信号は、方向性素子5を介して混合器8の一方の入力端子に供給される。
【0003】
信号分配器4で分配された他方の信号は、混合器8の他方の入力端子に送信信号として供給され、混合器8により、方向性素子5を介して得られた受信信号と混合される。混合器8により送信信号と受信信号の時間差に比例したビート信号が生成される。
【0004】
ビート信号は、増幅器10で適切な信号振幅まで増幅されアナログ・デジタル変換器(A/D変換器)11でデジタルデータに変換され信号処理器12に供給される。
【0005】
信号処理器12は、演算器である実数FFT演算部13でFFT処理を行い、ビート信号の周波数から距離を決定し、測定距離出力を出力する。
【0006】
【特許文献1】特開2003−43138号公報(図10参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、FMCW距離測定装置20において、送信搬送波用信号を変調する変調度が小さい場合、すなわち発振器特性により所望の周波数偏移が行えない場合や電波法等の制限から空中線出力信号の占有帯域幅に制限がある場合等、送信周波数帯域が狭い場合には、10[m]程度以内の近距離の目標対象物から反射してきた信号を受信して生成したビート信号の実数FFT計算を行うと、その結果が実数FFT計算部の結果が取り得る範囲の比較的低域となってしまい実数FFT計算時に発生する折り返し成分とビート信号から得られた成分が影響しあうこととなる。
【0008】
この場合、計算結果の距離情報に曖昧さが含まれてしまい、結果として、距離測定の精度が劣化するという欠点があることが分かった。
【0009】
これは図15例に示した、送受信共用アンテナ6を用いたFMCW距離測定装置20に限らず、送受信共用アンテナ6を、図16に示すように、送信アンテナ17と受信アンテナ18に分離した構成のFMCW距離測定装置22としても、この欠点が解消されることがない。
【0010】
図17は、図15及び図16に示した従来の一般的な構成のFMCW距離測定装置20、22による距離測定結果の一例を示している。近距離、この例では、実距離1500[mm]程度の範囲で、測定誤差Epが+1500[mm]〜−500[mm]程度と大きな誤差が繰り返し発生しており、ほとんど実用に供しないことが分かる。
【0011】
この発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、アンテナ(空中線)から目標対象物に照射する信号の周波数帯域に制限がある場合でも、近距離測定において、精度の高い距離測定を行うことを可能とするFMCW距離測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るFMCW距離測定装置は、周波数変調した搬送波信号を2分割し、一方を送信信号として空中へ放射し目標対象物から反射させて受信し受信信号を得、他方を参照信号とし、この参照信号の位相を、1回の測定毎に、360度の間で180度の2分の1以下であって、かつ180度の整数分の1の等間隔角度で0度から位相を変化させる位相器を通した後、混合器により前記受信信号と混合を行い両信号の時間差によって生じるビート信号を生成し、アナログ・デジタル変換器でデジタルデータに変換した後に信号処理器に加え、この信号処理器において前記0度を含め位相を変化させた回数分の実数FFT演算結果を求め、求めた演算結果を平均して測定距離の真値を求めることを特徴とする。
【0013】
また、この発明に係るFMCW距離測定装置は、周波数変調した搬送波信号を2分割し、一方を送信信号として空中へ放射し目標対象物から反射させて受信し受信信号を得、他方を参照信号とし混合器により前記受信信号と混合を行い両信号の時間差によって生じるビート信号を生成し、このビート信号の位相を、1回の測定毎に、360度の間で180度の2分の1以下であって、かつ180度の整数分の1の等間隔角度で0度から変化させる位相器を通した後に信号処理器に加え、この信号処理器において前記0度を含め前記位相を変化させた回数分の実数FFT演算結果を求め、求めた演算結果を平均して測定距離の真値を求めることを特徴とする。
【0014】
さらに、この発明に係るFMCW距離測定装置は、周波数変調した搬送波信号を2分割し、一方を送信信号として空中へ放射し目標対象物から反射させて受信し受信信号を得、他方を参照信号とし混合器により前記受信信号と混合を行い両信号の時間差によって生じるビート信号を生成し、このビート信号をアナログ・デジタル変換器でデジタルデータに変換し信号処理器に加え、この信号処理器において、前記デジタルデータの位相を、1回の測定毎に、360度の間で180度の2分の1以下であって、かつ180度の整数分の1の等間隔角度で0度から変化させ、さらに前記0度を含め位相を変化させた回数分の実数FFT演算結果を求め、求めた演算結果を平均して測定距離の真値を求めることを特徴とする。
【0015】
さらにまた、この発明に係るFMCW距離測定装置は、周波数変調した搬送波信号を2分割し、一方を送信信号として空中へ放射し目標対象物から反射させて受信し受信信号を得、他方を参照信号とし混合器により前記受信信号と混合を行い両信号の時間差によって生じるビート信号を生成し、このビート信号をアナログ・デジタル変換器でデジタルデータに変換し信号処理器に加え、この信号処理器において、前記1回の測定動作で得られたデジタルデータの位相を、360度の間で180度の2分の1以下であって、かつ180度の整数分の1の等間隔角度で0度から変化させた擬似測定デジタルデータを生成し、さらに前記0度を含め位相を変化させた回数分の擬似測定デジタルデータの実数FFT演算結果を求め、求めた演算結果を平均して測定距離の真値を求めることを特徴とする。
【0016】
上述した発明では、デジタルデータを実数FFT演算する際にその演算結果に含まれてしまう曖昧成分がデジタルデータの位相情報により正弦波的に変化することに着目し、実数FFT演算を行うデジタルデータの位相が変化できる位相器を用いて、その位相器の設定によりデジタルデータの位相を変化しながら測定を行い実数FFT演算結果に含まれる曖昧さを、位相を変更しながら測定した実数FFT演算結果の平均値を算出することで排除し距離の真値を求めるようにしている。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、1回の測定中、直接的あるいは間接的にビート信号の位相を変化させるようにしているので、空中線から目標対象物に照射する信号の周波数帯域に制限がある場合でも距離測定精度が向上する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に説明するように、この実施の形態では、受信信号と参照信号から生成されるビート信号の位相が制御できる手段を講じ、実数FFT演算の結果が演算される信号の位相により正弦波的に変動する特徴を利用して、測定結果に含まれる折返し成分による曖昧さを平均化処理して排除し真の距離情報を求めている。
【0019】
次に、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に参照する図面において、上記図15〜図17に示したものと対応するものには同一の符号を付けてその詳細な説明は省略する。
【0020】
図1は、この発明の一実施形態に係る第1実施例のFMCW距離測定装置31の構成を示すブロック図である。
【0021】
このFMCW距離測定装置30において、距離を測定する際には、発振器1により送信搬送波信号を生成し変調器2の一方の入力端子に供給する。また、制御器16の制御下において変調波生成器である変調信号発生器3により三角波又はのこぎり波の変調波を生成し、変調器2の他方の入力端子に供給する。変調器2は、両信号を混合し、送信用及び参照用に使われる信号を生成する。
【0022】
生成された信号は信号分配器4で2分割され、一方は送信信号としてサーキュレータ等の方向性素子5を経由し送受信共用アンテナ6へ供給され空中へ放射される。
【0023】
放射された信号は目標対象物7により反射され送受信共用アンテナ6により受信される。受信信号は、方向性素子5を通じて、送信に使われた信号分配器4とは別の方向へ導かれ混合器8の一方の入力端子へ供給される。
【0024】
この混合器8の他方の入力端子には、先に信号分配器4により2分割された他方の信号が、制御器16の制御下に、この信号の位相を360度任意の角度で可変できる位相器9を通じて参照信号として供給されている。
【0025】
混合器8は、この参照信号と受信信号とを混合し目標対象物7との距離に応じた周波数成分を持つビート信号を生成する。
【0026】
生成されたビート信号は所定の利得だけ増幅器10により増幅されアナログ・デジタル変換器11によりデジタルデータへ変換された後、信号処理器12において距離が求められる。
【0027】
ここで、信号処理器12における距離の求め方について図2のタイムチャートを参照して説明する。なお、距離の測定は、変調信号発生器3により発生される三角波あるいはのこぎり波の1周期(一定周期)について1回の測定が行われる。
【0028】
図2の(a)に示すように、発振器1により一定周期の三角波又はのこぎり波が周期的に生成される。
【0029】
このとき、ビート信号を生成する混合器8に位相器9を通じて入力される参照信号の位相値を、図2の(b)及び(c)に示すように、1周期の三角波又はのこぎり波の変調時間だけ固定し、測定1回毎に、その位相値(位相設定値)を変化させながら何回か、この実施形態では4回(位相値0度、90度、180度、270度)の三角波又はのこぎり波の周期だけ距離の測定を行っている。
【0030】
この場合、混合器8で生成するビート信号の位相がそれぞれの測定ごとに変化し、それに従い実数FFT演算部13から出力される結果も変化する。この変化は距離の真値に対しプラス及びマイナス方向をもつ正弦波的な振動を持つ値として出力され、その正弦波振動の周期は位相器9で設定する位相値の180度分となっている。
【0031】
従って、位相器9の設定値だけ実数FFT演算部13で求まる距離の正弦波振動の位相を操作することが可能となるので、その位相変化量を制御器16において測定時間に合わせて混合器8に供給される参照信号の位相を360度の間で180度の2分の1、すなわち90度以下であって、かつ180度の整数分の1の等間隔角度で変化させることで、実数FFT演算部13の出力結果に正弦波的な振動を起こし、正弦波信号1周期の平均値がゼロになる事を利用し、それぞれの位相におけるビート信号の実数FFT演算結果を平均化処理部14で平均することで距離の安定化を行う。
【0032】
実際上、この距離の安定化が行われた値は近距離において測定距離から一義的に決定されるオフセット的な成分が含まれてしまうため、距離算出部15において平均化処理部14の値に含まれているオフセットの補正を行い距離の真値を求め、FMCW距離測定装置30により測定した距離情報として出力する。
【0033】
図3に、実数FFT演算部13の出力(シミュレーション)と位相器9の設定値との関係の一例を示し、図4に、平均化処理部14の出力に含まれているオフセット成分の一例を示す。図3では、位相器9の設定値が、0度、22.5度、45度、67.5度、90度、112.5度、135度、…、337.5度の16個(16回)となっている。また、図4において、1500[mm]程度以下のオフセット成分は、約500[mm]と一定となることが分かった。
【0034】
この図3例は、1500[mm]時のシミュレーション結果を示しているが、この表からおおよその平均値が1000[mm]弱となることが分かり、この1000[mm]時におけるオフセット成分は、500[mm]程度であるので、真値が次の(1)式で計算され、略1500[mm]になることが分かる。
【0035】
真値=測定結果平均値1000[mm]+オフセット値500[mm]
=1500[mm] …(1)
なお、1回の距離決定に必要な測定回数は位相をどの程度の間隔で360度の範囲内を変化させるかで決まり、例えば、図2に示したように、90度おきに「0度、90度、180度、270度」と4回の測定動作で1回分の距離決定要素が得られる形になる。
【0036】
また等間隔に変化する角度は180度の2分の1、すなわち90度以下であって、かつ180度の整数分の1ずつ増加させることが好ましいが、FMCW距離測定装置30に求められる精度が許されればこの限りではない。
【0037】
図5に、1回の距離測定に必要となる位相の位相器9による変化方法の一例を示す。位相器設定例1では、「0度、90度、180度、270度」の4回の測定で1回の距離測定、位相器設定例2では、「0度、60度、120度、180度、240度、300度」の6回の測定で1回の距離測定、位相器設定例3では、「0度、45度、90度、135度、180度、235度、270度、315度」の8回の測定で1回の距離測定が行われる。
【0038】
なお、図6は、図1に示した第1実施例の送受信共用アンテナ6を、送信アンテナ17及び受信アンテナ18に分けたときの第2実施例のFMCW距離測定装置32の構成を示すブロック図である。図1例の方向性素子5が不要となっている。
【0039】
上述した図1例及び図2例の第1及び第2実施例のFMCW距離測定装置31、32によれば、発振器1からの搬送波信号に対して変調信号発生器3を用い変調器2により、三角波又はのこぎり波による周波数変調を行う。そして、周波数変調を行った信号を信号分配器4で、2分割し、一方を送受信共用アンテナ6又は送信専用アンテナ17から送信信号として空中へ放射し目標対象物7へ反射させて送受信共用アンテナ6又は受信専用アンテナ18で受信し、2分割したもう一方の信号を参照信号とし、参照信号の位相を、360度の間で180度の2分の1以下であって、かつ180度の整数分の1の等間隔角度で0度から位相を変化させる位相器9を通した後、混合器8で受信した信号と混合を行い両信号の時間差によって生じるビート信号を生成する。このビート信号を増幅器10により適切な信号振幅まで増幅した後、アナログ・デジタル変換器11でデジタルデータに変換した後に信号処理器12に加え、この信号処理器12の平均化処理部14で前記0度を含め位相を変化させた回数分の実数FFT演算結果を求め、求めた演算結果を平均化処理部14で平均し、距離算出部15で距離に換算して、測定距離の真値を求めるようにしている。
【0040】
このため、実数FFT演算結果に含まれる曖昧さを、位相を変更しながら測定した実数FFT演算結果の平均値を算出することで排除し、測定誤差が除去された距離の真値を求めることができる。換言すれば、1回の測定中、ビート信号の位相を参照信号の位相を変化させることで間接的に変化させるようにしているので、空中線から目標対象物に照射する信号の周波数帯域に制限がある場合でも距離測定精度が向上する効果がある。
【0041】
図7は、第3実施例のFMCW距離測定装置33の構成を示すブロック図であるが、基本的な距離測定の動作は第1実施例のFMCW距離測定装置31に従うが、図1において参照信号の位相を変化させていた位相器9の代わりに混合器8の出力信号であるビート信号の位相を変化できるよう混合器8の出力側に位相器9を設けている。
【0042】
なお、図8は、図7例のFMCW距離測定装置33において、送受信共用アンテナ6を、送信アンテナ17及び受信アンテナ18に分けたときの第4実施例のFMCW距離測定装置34の構成を示すブロック図である。
【0043】
また、図9は、第5実施例のFMCW距離測定装置35の構成を示すブロック図であるが、基本的な距離測定の動作は第1実施例のFMCW距離測定装置31に従うが、図1において参照信号の位相を変化させていた位相器9の代わりにアナログ・デジタル変換器11の出力信号であるデジタルデータの位相が変化できるように位相器9を設けている。
【0044】
さらに、図10は、図9例のFMCW距離測定装置35において、送受信共用アンテナ6を、送信アンテナ17及び受信アンテナ18に分けたときの第6実施例のFMCW距離測定装置36の構成を示すブロック図である。
【0045】
さらにまた、図11は、第7実施例のFMCW距離測定装置37の構成を示すブロック図であるが、基本的な距離測定の動作は第1実施例のFMCW距離測定装置31に従うが、第1〜第6実施例のFMCW距離測定装置31〜36では、変化させる位相ごとに計測を行いそれぞれの結果の平均値から距離の真値を導き出しているが、この第7実施例のFMCW距離測定装置37では位相器9は用いていない。
【0046】
このFMCW距離測定装置37では、1回の測定で得られるアナログ・デジタル変換器11の出力であるデジタルデータを、信号処理器12内の位相調整部19において、360度の間で180度の2分の1、すなわち90度以下であって、かつ180度の整数分の1の等間隔角度で位相が変化する数個の位相可変デジタルデータであるレプリカデジタルデータ(擬似測定デジタルデータともいう。)を生成し、それぞれのレプリカデジタルデータについて実数FFT演算部13で距離計算を行う。
【0047】
それぞれのレプリカデジタルデータに対する実数FFT演算部13の結果は第1〜第6実施例のFMCW距離測定装置31〜36における位相器9の設定値を変化しながら実数FFT演算を行った際の実数FFT演算部13の出力と同じように正弦波的な振動を示すので、この第7実施例のFMCW距離測定装置37でも実数FFT演算部13以降は平均化処理部14で平均処理を行い距離算出部15でオフセット補正を行い距離の真値を求めFMCW距離測定装置37により測定した距離情報として出力する。
【0048】
なお、図12は、図11例のFMCW距離測定装置37における送受信共用アンテナ6を、送信アンテナ17及び受信アンテナ18に分けたときの第8実施例のFMCW距離測定装置38の構成を示すブロック図である。
【0049】
上述した図7〜図12例のFMCW距離測定装置33〜37によれば、1回の測定中、ビート信号の位相を直接的に変化させるようにしているので、空中線から目標対象物に照射する信号の周波数帯域に制限がある場合でも距離測定精度が向上する効果がある。
【0050】
図13は、従来技術に係るFMCW距離測定装置の測定誤差Epとこの実施形態に係るFMCW距離測定装置の測定誤差Ei(シミュレーション)の比較結果を示している。測定誤差Eiは、シミュレーションによれば、図14の測定誤差拡大図に示すように、実距離が1500[mm]〜1510[mm]の間で約±1[mm]範囲に抑制されている。
【0051】
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明に係るFMCW距離測定装置の第1実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】図1における測定動作と変調信号及び位相設定状態の時間関係の一例を示す説明図である。
【図3】図1における実数FFT演算部の出力値と位相器の設定値との関係の一例を示す説明図である。
【図4】図1における距離算出部でのオフセット補正値の一例を示す説明図である。
【図5】図1における位相設定状態の一例を示す説明図である。
【図6】第2実施例の構成を示すブロック図である。
【図7】第3実施例の構成を示すブロック図である。
【図8】第4実施例の構成を示すブロック図である。
【図9】第5実施例の構成を示すブロック図である。
【図10】第6実施例の構成を示すブロック図である。
【図11】第7実施例の構成を示すブロック図である。
【図12】第8実施例の構成を示すブロック図である。
【図13】従来技術に係るFMCW距離測定装置の測定誤差とこの実施例に係るFMCW距離測定装置の測定誤差の比較説明図である。
【図14】図13の縦軸方向の拡大図である。
【図15】従来のFMCW距離測定装置の一般的な構成の一例を示すブロック図である。
【図16】従来のFMCW距離測定装置の一般的な構成の他の例を示すブロック図である。
【図17】従来技術に係るFMCW距離測定装置を用いて近距離目標対象物を測定した際の結果の一例を示す測定誤差説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1…発振器 2…変調器
3…変調信号発生器 4…分配器
5…方向性素子 6…送受信共用アンテナ
7…目標対象物 8…混合器
9…位相器 10…増幅器
11…A/D変換器 12…信号処理器
13…実数FFT演算部 14…平均化処理部
15…距離算出部 16…制御器
17…送信専用アンテナ(送信アンテナ)
18…受信専用アンテナ(受信アンテナ)
19…位相調整部
20、22、30〜38…FMCW距離測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数変調した搬送波信号を2分割し、一方を送信信号として空中へ放射し目標対象物から反射させて受信し受信信号を得、他方を参照信号とし、この参照信号の位相を、1回の測定毎に、360度の間で180度の2分の1以下であって、かつ180度の整数分の1の等間隔角度で0度から位相を変化させる位相器を通した後、混合器により前記受信信号と混合を行い両信号の時間差によって生じるビート信号を生成し、アナログ・デジタル変換器でデジタルデータに変換した後に信号処理器に加え、この信号処理器において前記0度を含め位相を変化させた回数分の実数FFT演算結果を求め、求めた演算結果を平均して測定距離の真値を求める
ことを特徴とするFMCW距離測定装置。
【請求項2】
周波数変調した搬送波信号を2分割し、一方を送信信号として空中へ放射し目標対象物から反射させて受信し受信信号を得、他方を参照信号とし混合器により前記受信信号と混合を行い両信号の時間差によって生じるビート信号を生成し、このビート信号の位相を、1回の測定毎に、360度の間で180度の2分の1以下であって、かつ180度の整数分の1の等間隔角度で0度から変化させる位相器を通した後に信号処理器に加え、この信号処理器において前記0度を含め前記位相を変化させた回数分の実数FFT演算結果を求め、求めた演算結果を平均して測定距離の真値を求める
ことを特徴とするFMCW距離測定装置。
【請求項3】
周波数変調した搬送波信号を2分割し、一方を送信信号として空中へ放射し目標対象物から反射させて受信し受信信号を得、他方を参照信号とし混合器により前記受信信号と混合を行い両信号の時間差によって生じるビート信号を生成し、このビート信号をアナログ・デジタル変換器でデジタルデータに変換し信号処理器に加え、この信号処理器において、前記デジタルデータの位相を、1回の測定毎に、360度の間で180度の2分の1以下であって、かつ180度の整数分の1の等間隔角度で0度から変化させ、さらに前記0度を含め位相を変化させた回数分の実数FFT演算結果を求め、求めた演算結果を平均して測定距離の真値を求める
ことを特徴とするFMCW距離測定装置。
【請求項4】
周波数変調した搬送波信号を2分割し、一方を送信信号として空中へ放射し目標対象物から反射させて受信し受信信号を得、他方を参照信号とし混合器により前記受信信号と混合を行い両信号の時間差によって生じるビート信号を生成し、このビート信号をアナログ・デジタル変換器でデジタルデータに変換し信号処理器に加え、この信号処理器において、前記1回の測定動作で得られたデジタルデータの位相を、360度の間で180度の2分の1以下であって、かつ180度の整数分の1の等間隔角度で0度から変化させた擬似測定デジタルデータを生成し、さらに前記0度を含め位相を変化させた回数分の擬似測定デジタルデータの実数FFT演算結果を求め、求めた演算結果を平均して測定距離の真値を求める
ことを特徴とするFMCW距離測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−17651(P2006−17651A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197716(P2004−197716)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】