説明

Flt−3阻害剤

式(I)[式中、Xは単結合、(CHn2CH=CH(CHn3(式中、n2及びn3は、同一または異なって0から4の整数を表す)等を表し、Rは置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、R2A、R2B、R2C及びR2Dは同一または異なって、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表すが、R2A、R2B、R2C及びR2Dが同時に水素原子になることはない]で表されるインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するフムス様チロシンキナーゼ3(Fms like tyrosine kinase−3、以下Flt−3)阻害剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
Flt−3は血小板誘導増殖因子受容体(PDGFR)ファミリーに属する受容体型のタンパク質チロシンキナーゼであり、PDGFRファミリーに属する受容体型のチロシンキナーゼとしてはその他にc−Kit、c−Fms等が知られている[リューケミア(Leukemia)、10巻、238頁(1996年)]。
Flt−3はFlt−3リガンドの結合によって二量体化されることにより活性化され、細胞内基質であるさまざまなタンパク質をリン酸化させる酵素であり、細胞増殖や分化に関与している。特に造血幹細胞での発現が知られており、造血幹細胞の増殖にFlt−3またはFlk−2(Fetai liver kinase−2)が重要な役割を果たしていることが知られている[セル(Cell)、65巻、1143頁(1991年)]。また近年、Flt−3の細胞膜近傍(Juxtamembrane)の領域でチロシン残基の繰り返し配列が挿入(Internal Tandem Duplication:ITD)される変異により、リガンドの結合なくFlt−3の活性化が生じることが白血病患者検体での検討の結果明らかにされた[リューケミア(Leukemia)、11巻、1447頁(1997年)]。その他、Flt−3のJuxtamembraneの領域が長くなったり、短くなったりする変異で、同様なFlt−3の活性化が生じることが示されてきた[ブラッド(Blood)、96巻、3907頁(2000年)]。その他、Flt−3のキナーゼ領域でアミノ酸の点変異によりFlt−3が活性化されていることが示されている[ブラッド(Blood)、97巻、2434頁(2001年)]。これらのFlt−3の変異に基づく恒常的な活性化は細胞増殖シグナルを伝達することにより、細胞の無限増殖を引き起こし、白血病の重要な原因になっていると考えられる。
【0003】
上述のように、現在、Flt−3の変異としては、Juxtamembraneの領域でのチロシン残基の繰り返し配列の挿入(Internal Tandem Duplication:ITD)、Juxtamembraneの領域の長さの変化、Flt−3のキナーゼ領域でのアミノ酸の点変異等が知られている。サイトカインに依存的な細胞株、例えば32D細胞に、これらの変異遺伝子を導入することにより、サイトカイン非依存的な増殖能が獲得されることが知られている。従って、Flt−3阻害作用を有する選択的なキナーゼ阻害剤は、白血病をはじめとした様々な癌の治療剤として有用であると考えられる。
【0004】
なおインダゾール誘導体としては、種々の化合物が知られている(例えば特許文献1〜8及び非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−32059号公報
【特許文献2】国際公開第01/53268号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/10137号パンフレット
【特許文献4】国際公開第01/02369号パンフレット
【特許文献5】国際公開第02/083648号パンフレット
【特許文献6】国際公開第03/101968号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2004/094388号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2004/050088号パンフレット
【非特許文献1】キミヤ・ゲテロティクリシェスキーク・ソエディネニー(Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii)、1978年、第7巻、p.957−959
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、インダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するFlt−3阻害剤等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の(1)〜(28)に関する。
(1)式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、Xは単結合、(CHn1(式中、n1は1から6の整数を表す)、(CHn2CH=CH(CHn3(式中、n2及びn3は、同一または異なって0から4の整数を表す)または(CHn2C≡C(CHn3(式中、n2及びn3は、それぞれ前記と同義である)を表し、
は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
2A、R2B、R2C及びR2Dは同一または異なって、水素原子、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、NR3a3b(式中、R3a及びR3bは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のヘテロアロイル、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルまたは置換もしくは非置換のアリールスルホニルを表す)、OR(式中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルを表す)、CONR5a5b(式中、R5a及びR5bは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアロイルまたは置換もしくは非置換のヘテロアロイルを表すか、またはR5a及びR5bが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)、S(O)n4(式中、n4は0〜2の整数を表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)またはSONR7a7b(式中、R7a及びR7bは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、またはR7a及びR7bが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)を表すが、R2A、R2B、R2C及びR2Dが同時に水素原子になることはない]で表されるインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
(2)式(Ia)
【0009】
【化2】

【0010】
[式中、X及びRはそれぞれ前記と同義であり、
はハロゲン、ニトロ、ニトロソ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、NR3a3b(式中、R3a及びR3bは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のヘテロアロイル、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルまたは置換もしくは非置換のアリールスルホニルを表す)、OR(式中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルを表す)、CONR5a5b(式中、R5a及びR5bは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアロイルまたは置換もしくは非置換のヘテロアロイルを表すか、またはR5a及びR5bが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)、S(O)n4(式中、n4は0〜2の整数を表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)またはSONR7a7b(式中、R7a及びR7bは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、またはR7a及びR7bが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)を表す]で表されるインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
【0011】
(3)Xが−CH=CH−である前記(1)または(2)記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
(4)Rが置換もしくは非置換のアリールである前記(1)〜(3)のいずれかに記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
(5)Rが置換もしくは非置換のフェニルである前記(1)〜(3)のいずれかに記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
【0012】
(6)Rが置換もしくは非置換の複素環基である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
(7)Rが置換もしくは非置換のピリジルである前記(1)〜(3)のいずれかに記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
(8)RがNR3a3b(式中、R3a及びR3bはそれぞれ前記と同義である)である前記(2)〜(7)のいずれかに記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
(9)Rがハロゲンである前記(2)〜(7)のいずれかに記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する癌治療剤。
【0013】
(11)癌が造血器腫瘍による癌である前記(10)記載の癌治療剤。
(12)癌が白血病、骨髄腫またはリンパ腫である前記(10)記載の癌治療剤。
(13)癌がフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)変異を有する癌である前記(10)記載の癌治療剤。
(14)前記(1)〜(9)のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
(15)腫瘍が造血器腫瘍である前記(14)記載の抗腫瘍剤。
【0014】
(16)前記(1)〜(9)のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む、癌の治療方法。
(17)癌が造血器腫瘍による癌である前記(16)記載の癌の治療方法。
(18)癌が白血病、骨髄腫またはリンパ腫である前記(16)記載の癌の治療方法。
(19)癌がフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)変異を有する癌である前記(16)記載の癌の治療方法。
(20)前記(1)〜(9)のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む、腫瘍の治療方法。
【0015】
(21)腫瘍が造血器腫瘍である前記(20)記載の腫瘍の治療方法。
(22)癌治療剤の製造のための、前記(1)〜(9)のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(23)癌が造血器腫瘍による癌である、前記(22)記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(24)癌が白血病、骨髄腫またはリンパ腫である、前記(22)記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(25)癌がフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)変異を有する癌である、前記(22)記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【0016】
(26)抗腫瘍剤の製造のための、前記(1)〜(9)のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(27)腫瘍が造血器腫瘍である、前記(26)記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(28)フムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤の製造のための、前記(1)〜(9)のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、インダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するFlt−3阻害剤等が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、式(I)または(Ia)で表される化合物を化合物(I)または(Ia)という。他の式番号の化合物についても同様である。
式(I)及び(Ia)の各基の定義において、
(i)ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子が挙げられる。
(ii)低級アルキル、低級アルコキシカルボニル及び低級アルキルスルホニルの低級アルキル部分としては、例えば炭素原子数1から10の直鎖状、分枝鎖状、環状またはこれらの組み合わせからなるアルキルが挙げられ、より具体的には、
(ii−a)直鎖または分枝鎖状の低級アルキルとしては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル等が挙げられ、
(ii−b)環状の低級アルキルとしては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、ノルアダマンチル、アダマンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.0]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル等が挙げられ、
(ii−c)直鎖または分枝鎖状と環状との組み合わせからなる低級アルキルとしては、例えばシクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロオクチルエチル等が挙げられる。
【0019】
(iii)低級アルケニルとしては、例えば炭素原子数2から10の直鎖または分枝鎖状のアルケニルが挙げられ、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−デセニル、9−デセニル等が挙げられる。
(iv)低級アルキニルとしては、例えば炭素原子数2から10の直鎖または分枝鎖状のアルキニルが挙げられ、より具体的にはエチニル、2−プロピニル、3−ブチニル、4−ペンチニル、5−ヘキシニル、9−デシニル等が挙げられる。
(v)低級アルカノイルとしては、例えば炭素原子数1から8の直鎖または分岐鎖状のアルカノイル、より具体的にはホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル等が挙げられる。
(vi)アリール、アロイル及びアリールスルホニルのアリール部分としては、例えば単環性または2つ以上の環が縮合した縮環性のアリール、より具体的には、環構成炭素原子数が6から14のアリール、例えばフェニル、ナフチル、インデニル、アントラニル等が挙げられる。
(vii)複素環基としては、例えば芳香族複素環基、脂環式複素環基等が挙げられる。
【0020】
(vii−a)芳香族複素環基としては、例えば単環性または2つ以上の環が縮合した縮環性の芳香族複素環基が挙げられ、芳香族複素環基に含まれるヘテロ原子の種類及び個数は特に限定されないが、例えば窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1または2個以上含んでいてもよく、より具体的には、環構成原子数5から14の芳香族複素環基、例えばフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プリニル、クマリニル等が挙げられる。
【0021】
(vii−b)脂環式複素環基としては、例えば単環性または2つ以上の環が縮合した縮環性の脂環式複素環基が挙げられ、脂環式複素環基に含まれるヘテロ原子の種類及び個数は特に限定されないが、例えば窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1または2個以上含んでいてもよく、より具体的には、例えばピロリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、チアゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジル、1,2−ジヒドロピリジル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラゾリニル、オキサゾリニル、ジオキソラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノキサリニル、オクタヒドロキノリル、ジヒドロインドリル、1,3−ジオキソイソインドリニル等が挙げられる。
(viii)ヘテロアロイルのヘテロアリール部分は前記(vii−a)と同義である。
(ix)隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基としては、例えば少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の単環性脂環式複素環基(該単環性脂環式複素環基は、他の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい)、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で少なくとも1個の窒素原子を含む縮環性複素環基(該縮環性複素環基は、他の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい)等が挙げられ、より具体的にはピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ホモピペリジノ、ホモピペラジニル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル等が挙げられる。
【0022】
(x)置換低級アルキル、置換低級アルケニル、置換低級アルキニル、置換低級アルカノイル、置換低級アルコキシカルボニル及び置換低級アルキルスルホニルにおける置換基は、同一または異なって置換数1〜置換可能な数の、好ましくは置換数1〜3の、例えば
(x−a)ハロゲン、
(x−b)ニトロ、
(x−c)ニトロソ、
(x−d)オキソ、
(x−e)置換もしくは非置換のアリール[該置換アリールにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]、
(x−f)置換もしくは非置換の複素環基[該置換複素環基における置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]、
(x−g)NR8a8b{式中、R8a及びR8bは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル[該置換低級アルキルにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]、置換もしくは非置換の低級アルカノイル[該置換低級アルカノイルにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]、置換もしくは非置換のアリール[該置換アリールにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]、置換もしくは非置換の複素環基[該置換複素環基における置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニル[該置換低級アルキルスルホニルにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]または置換もしくは非置換のアリールスルホニル[該置換アリールスルホニルにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]を表す}、
(x−h)OR{式中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル[該置換低級アルキルにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]、置換もしくは非置換の低級アルカノイル[該置換低級アルカノイルにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]、置換もしくは非置換のアリール[該置換アリールにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]、置換もしくは非置換の複素環基[該置換複素環基における置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニル[該置換低級アルキルスルホニルにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]または置換もしくは非置換のアリールスルホニル[該置換アリールスルホニルにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]を表す}、
(x−i)CONR10a10b{式中、R10a及びR10bは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル[該置換低級アルキルにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]、置換もしくは非置換のアリール[該置換アリールにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]または置換もしくは非置換の複素環基[該置換複素環基における置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]を表すか、またはR10aとR10bが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基[該隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]を形成する}、
(x−j)CO11(式中、R11は前記Rと同義である)、
(x−k)COR12{式中、R12は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル[該置換低級アルキルにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]、置換もしくは非置換のアリール[該置換アリールにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]または置換もしくは非置換の複素環基[該置換複素環基における置換基は、例えば置換数1〜3の、後記(xii)に記載の置換基等である]を表す}、
(x−l)S(O)n513(式中、n5は0〜2の整数を表し、R13は前記R12と同義である)、
(x−m)SONR14a14b(式中、R14a及びR14bは、それぞれ前記R10a及びR10bと同義である)等である。
【0023】
置換低級アルキル、置換低級アルケニル、置換低級アルキニル、置換低級アルカノイル、置換低級アルコキシカルボニル及び置換低級アルキルスルホニルにおける置換基の定義(x)において、ハロゲンは前記(i)と同義であり、低級アルキル及び低級アルキルスルホニルの低級アルキル部分は前記(ii)と同義であり、低級アルカノイルは前記(v)と同義であり、アリール及びアリールスルホニルのアリール部分は前記(vi)と同義であり、複素環基は前記(vii)と同義であり、隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基は前記(ix)と同義である。
(xi)置換アリール、置換複素環基、置換アロイル、置換ヘテロアロイル、置換アリールスルホニル及び隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基は、同一または異なって置換数1〜置換可能な数の、好ましくは置換数1〜3の、例えば、
(xi−a)ハロゲン、
(xi−b)ニトロ、
(xi−c)ニトロソ、
(xi−d)カルボキシ、
(xi−e)シアノ、
(xi−f)置換もしくは非置換の低級アルキル[該置換低級アルキルにおける置換基は、前記(x)と同義である]、
(xi−g)置換もしくは非置換の低級アルケニル[該置換低級アルケニルにおける置換基は、前記(x)と同義である]、
(xi−h)置換もしくは非置換の低級アルキニル[該置換低級アルキニルにおける置換基は、前記(x)と同義である]、
(xi−i)置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル[該置換低級アルコキシカルボニルにおける置換基は、前記(x)と同義である]、
(xi−j)置換もしくは非置換のアリール[該置換アリールにおける置換基は、後記(xii)に記載の置換基等である]、
(xi−k)NR15a15b(式中、R15a及びR15bは、それぞれ前記R8a及びR8b同義である)、
(xi−l)OR16(式中、R16は前記Rと同義である)、
(xi−m)CONR17a17b(式中、R17a及びR17bは、それぞれ前記R10a及びR10bと同義である)、
(xi−n)COR18(式中、R18は前記R12と同義である)等である。
【0024】
なお、置換複素環基における置換基は、前記(xi−a)〜(xi−n)に加え、後記(xi−o)または(xi−p)であってもよい。
(xi−o)オキソ
(xi−p)−O(CR19a19bn6O−(式中、n6は2または3を表し、R19a及びR19bは同一または異なって、水素原子または低級アルキルを表し、末端の2つの酸素原子は、置換複素環基における複素環基上の同一炭素原子に結合する)
置換アリール、置換複素環基、置換アロイル、置換ヘテロアロイル、置換アリールスルホニル及び隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基の定義(xi)において、ハロゲンは前記(i)と同義であり、低級アルキル及び低級アルコキシカルボニルの低級アルキル部分は前記(ii)と同義であり、低級アルケニルは前記(iii)と同義であり、低級アルキニルは前記(iv)と同義であり、アリールは前記(vi)と同義である。
【0025】
置換基(xii)としては、例えば以下のものが挙げられる。
(xii−a)ハロゲン
(xii−b)ニトロ
(xii−c)ニトロソ
(xii−d)シアノ
(xii−e)置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、アリール、複素環基、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル等である)
(xii−f)置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は、例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルカノイル等である)
(xii−g)置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は、例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルカノイル等である)
(xii−h)NR20a20b(式中、R20a及びR20bは、同一または異なって水素原子、低級アルキル、低級アルカノイル、アリール、複素環基、低級アルキルスルホニルまたはアリールスルホニルを表す)
(xii−i)OR21(式中、R21は水素原子、低級アルキル、低級アルカノイル、アリール、低級アルキルスルホニルまたはアリールスルホニルを表す)
(xii−j)CONR22a22b(式中、R22a及びR22bは、同一または異なって水素原子、低級アルキル、アリールまたは複素環基を表すか、またはR22a及びR22bが隣接する窒素原子と一緒になって複素環基を形成する)
(xii−k)CO23(式中、R23は前記R21と同義である)
(xii−l)COR24(式中、R24は水素原子、低級アルキル、アリールまたは複素環基を表す)
(xii−m)S(O)n725(式中、n7は0〜2の整数を表し、R25は前記R24と同義である)
(xii−n)SONR26a26b(式中、R26a及びR26bは、それぞれ前記R22a及びR22bと同義である)
前記置換基(xii)の定義において、ハロゲンは前記(i)と同義であり、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニル及び低級アルキルスルホニルの低級アルキル部分は前記(ii)と同義であり、低級アルカノイルは前記(v)と同義であり、アリール及びアリールスルホニルのアリール部分は前記(vi)と同義であり、複素環基は前記(vii)と同義であり、隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基は前記(ix)と同義である。
【0026】
化合物(I)及び(Ia)の薬理学的に許容される塩としては、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等が挙げられる。酸付加塩としては塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の有機酸塩が挙げられ、金属塩としてはナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が挙げられ、アンモニウム塩としてはアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩が挙げられ、有機アミン付加塩としてはモルホリン、ピペリジン等の付加塩が挙げられ、アミノ酸付加塩としてはリジン、グリシン、フェニルアラニン等の付加塩が挙げられる。
【0027】
化合物(I)及び(Ia)、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩には、位置異性体、幾何異性体または光学異性体等の異性体が存在し得るが、可能な異性体及び該異性体のいかなる比率における混合物も本発明に用いることができる。
また、化合物(I)及び(Ia)、ならびにそれらの薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、それら付加物も本発明に用いることができる。
【0028】
本発明の癌治療剤の対象となる癌としては、例えば造血器腫瘍による癌、乳癌、子宮体癌、子宮頚癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌、胃癌、食道癌、肝癌、胆道癌、大腸癌、直腸癌、膵癌、肺癌、口頭頚部癌、骨肉腫、メラノーマまたは脳腫瘍による癌等が挙げられる。
造血器腫瘍は、例えば血球細胞等における腫瘍を指し、これらに基づく病態としては具体的には慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病等の白血病、多発性骨髄腫等の骨髄腫、リンパ腫等が挙げられる。
【0029】
本発明に使用される化合物(I)及び(Ia)は、例えば特開平2−32059、WO01/02369、WO01/53268、WO02/10137、WO02/083648、WO03/101968、WO2004/050088に記載の方法等によって製造することができる。
また、本発明に使用される化合物(Ia)は、例えば以下の製造法によって合成することもできる。
【0030】
また、以下に示す製造法において、定義した基が実施方法の条件下で変化するか、または方法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される保護基の導入および脱離方法[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T.W.Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1981年)]等を用いることにより、目的化合物を得ることができる。また、必要に応じて置換基導入等の反応工程の順序を変えることもできる。
【0031】
以下に示す製造法における原料化合物は、公知の方法(例えば、特開平2−32059、WO01/02369、WO01/53268、WO02/10137参照)に準じて得ることができる。
製造法1
【0032】
【化3】

【0033】
(式中、halは塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンを表し、R及びRはそれぞれ前記と同義である)
化合物(II)を、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒中またはそれらの混合溶媒中、塩基存在下、化合物(III)と反応させることにより、化合物(IA)を得ることができる。
【0034】
塩基としては、炭酸カリウム、カリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム等が用いられる。化合物(II)に対して、化合物(III)及び塩基はそれぞれ1〜10当量用いられる。反応は通常0〜100℃の間の温度で行われ、1〜72時間で終了する。
製造法2
【0035】
【化4】

【0036】
(式中、Xは前記と同義であり、R1aは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルで置換されたアリールまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルで置換された複素環基を表し、R1bはカルボキシで置換されたアリールまたはカルボキシで置換された複素環基を表し、R2aは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルを表し、R2bはカルボキシを表す)
化合物(IV)を水中、または水とメタノール、エタノール、THF等との混合溶媒中、水酸化ナトリウム等の塩基または塩酸等の酸存在下、加水分解に付すことにより、化合物(IB)を得ることができる。
【0037】
化合物(IV)に対して、酸または塩基は0.1〜10当量用いられる。反応は通常20℃〜100℃の間の温度で行われ、1〜24時間で終了する。
製造法3
【0038】
【化5】

【0039】
(式中、Xは前記と同義であり、R1cはニトロで置換されたアリールまたはニトロで置換された複素環基を表し、R1dはアミノで置換されたアリールまたはアミノで置換された複素環基を表す)
化合物(V)を水、エタノール等の単独もしくは混合溶媒中または無溶媒で、濃塩酸、酢酸等の酸存在下、スズ、鉄等の還元剤で処理するか、または水、メタノール、エタノール、THF、DMF等の溶媒中もしくはそれらの混合溶媒中、パラジウム炭素、二酸化白金、ラネーニッケル等の触媒存在下、水素雰囲気下もしくはヒドラジン水和物、ギ酸アンモニウム等の水素供与体存在下、還元反応に付すことにより、化合物(IC)を得ることができる。
【0040】
化合物(V)に対して、スズ、鉄等の還元剤は1〜20当量、触媒は0.5〜100重量%、水素供与体は1〜100当量用いられる。反応は通常0〜100℃の間の温度で行われ、1〜72時間で終了する。
製造法4
【0041】
【化6】

【0042】
[式中、Xは前記と同義であり、R1eはカルボキシで置換されたアリールまたはカルボキシで置換された複素環基を表し、R1fはCONR17a17b(式中、R17a及びR17bはそれぞれ前記と同義である)で置換されたアリールまたはCONR17a17b(式中、R17a及びR17bはそれぞれ前記と同義である)で置換された複素環基を表す]
化合物(VI)をジクロロメタン、THF、1,4−ジオキサン、DMF、N−メチルピペリドン等の溶媒中またはそれらの混合溶媒中、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ポリマーバウンド−1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、トリフェニルホスフィンオキシド・トリフルオロメタンスルホン酸無水物等の縮合剤及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシコハク酸イミド等の活性化剤存在下、化合物(VII)または化合物(VIII)と反応させることにより、化合物(ID)を得ることができる。
【0043】
化合物(VI)に対して、縮合剤、活性化剤及び化合物(VII)または化合物(VIII)はそれぞれ1〜20当量用いられる。反応は通常−20〜80℃の間の温度で行われ、30分間から24時間で終了する。なお化合物(VI)の種類によっては、あらかじめ活性化剤と混合することにより塩を調製してから反応に用いることもできる。
製造法5
【0044】
【化7】

【0045】
(式中、Xは前記と同義であり、R1gはハロゲンで置換されたアリールまたはハロゲンで置換された複素環基を表し、R1hはカルボキシで置換されたアリールまたはカルボキシで置換された複素環基を表し、R2gはハロゲンを表す)
化合物(IX)をTHF等の溶媒中、水素化ナトリウム、n−ブチルリチウム等の強塩基で処理した後、気体もしくは固体の二酸化炭素等を反応させることにより、化合物(IE)を得ることができる。
【0046】
化合物(IX)に対して、強塩基は1〜10当量、二酸化炭素は1〜200当量用いられる。反応は通常−80〜30℃の間の温度で行われ、1〜24時間で終了する。
製造法6
【0047】
【化8】

【0048】
(式中、Xは前記と同義であり、R1g及びR2g前記と同義であり、R1fは置換もしくは非置換の低級アルキニルで置換されたアリールまたは置換もしくは非置換の低級アルキニルで置換された複素環基を表し、R2fは置換もしくは非置換の低級アルキニルを表す)
化合物(X)をTHF、1,4−ジオキサン、DMF、水、ジエチルアミン等の単独または混合溶媒中、酢酸パラジウム、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム触媒及びトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン等の配位子存在下もしくは非存在下、ハロゲン化第一銅(該ハロゲン化第一銅におけるハロゲンは前記と同義である)等の触媒存在下もしくは非存在下、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の塩基存在下もしくは非存在下、置換もしくは非置換のアルキン(該置換アルキンにおける置換基は前記置換アルキニルにおける置換基と同義である)と反応させることにより、化合物(IF)を得ることができる。
【0049】
化合物(X)に対して、置換もしくは非置換のアルキンは1〜10当量、パラジウム触媒及び配位子はそれぞれ0.01〜10当量、ハロゲン化第一銅及び塩基はそれぞれ0〜10当量用いられる。反応は通常0〜150℃の間の温度で行われ、1〜120時間で終了する。
製造法7
【0050】
【化9】

【0051】
[式中、Xは前記と同義であり、R1jはホルミルもしくはCO23(式中、R23は前記と同義である)で置換されたアリールまたはホルミルもしくはCO23(式中、R23は前記と同義である)で置換された複素環基を表し、R1kはヒドロキシメチルで置換されたアリールまたはヒドロキシメチルで置換された複素環基を表し、R2jはホルミルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルを表し、R2kはヒドロキシメチルを表す]
化合物(XI)を水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、THF、エーテル、ジクロロメタン等の単独または混合溶媒中、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等の還元剤で処理することにより、化合物(IG)を得ることができる。
【0052】
化合物(XI)に対して、還元剤は1〜10当量用いられる。反応は通常−78〜100℃の間の温度で行われ、5分間から24時間で終了する。
製造法8
【0053】
【化10】

【0054】
(式中、Xは前記と同義であり、R1lはホルミルで置換されたアリールまたはホルミルで置換された複素環基を表し、R1mは置換もしくは非置換の低級アルケニルで置換されたアリールまたは置換もしくは非置換の低級アルケニルで置換された複素環基を表し、R2mは置換もしくは非置換の低級アルケニルを表す)
化合物(XII)をメタノール、エタノール、THF、DMF、トルエン等の溶媒中またはそれらの混合溶媒中、塩基存在下もしくは非存在下、R27CHPh・hal(式中、halは前記と同義であり、R27は置換低級アルケニルにおける置換基または水素原子である)で示される化合物(XIII)、R27CHP(O)(OR28(式中、R27は前記と同義であり、R28はメチルまたはエチルである)で示される化合物(XIV)またはR27CH=PPh(式中、R27は前記と同義である)で示される化合物(XV)と反応させることにより、化合物(IH)を得ることができる。
【0055】
塩基としては、炭酸カリウム、カリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム、n−ブチルリチウム等が用いられる。化合物(C)に対して、化合物(XIII)、化合物(XIV)または化合物(XV)は1〜10当量、塩基は1〜10当量用いられる。反応は通常0〜100℃の間の温度で行われ、1〜72時間で終了する。
化合物(Ia)のR及びRに含まれる官能基の変換は、上記工程以外にも公知の他の方法[例えば、コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)、R.C.ラロック(Larock)著、(1989年)]によっても行うことができる。
【0056】
上記の製造法では、便宜上、R及びRに対して同一の反応を施したが、上記の製造法及び公知の方法を適宜組み合わせて実施することにより、所望の位置に所望の官能基を有する化合物(Ia)を得ることができる。
上記製造法における生成物の単離、精製は、通常の有機合成で用いられる方法、例えば濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、結晶化、各種クロマトグラフィー等を適宜組み合わせて行うことができる。また、中間体においては、特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
【0057】
化合物(I)のうち、化合物(Ia)以外の化合物は、公知の方法(例えば、WO02/083648、WO03/101968参照)に準じて得られる原料化合物を用い、上記製造法に準じて合成することができる。
化合物(I)または(Ia)の塩を取得したい場合には、化合物(I)または(Ia)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また遊離の形で得られるときは適当な溶媒に化合物(I)または(Ia)を溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて塩を形成させればよい。
【0058】
化合物(I)の具体例としては、例えば化合物1〜化合物11が挙げられる(表1−1、1−2)。
【0059】
【表1−1】

【0060】
【表1−2】

【0061】
次に代表的な化合物(I)の薬理作用について、試験例により具体的に説明する。
試験例1:Flt−3阻害作用
Flt−3阻害活性の測定を以下の方法で実施した。
Flt−3は、ヒトFlt−3の細胞内ドメイン(583−953アミノ酸)のN末端にGST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)を融合したタンパク質を発現するバキュロウイルスを昆虫細胞に感染させ調製した。ニュートロアビジン(ピアス社、カタログ番号31000)をコートした96ウェルプレート(FIA−PLATE BLACK 96well FALT−BOTTOM HIGH BINDING、グライナー社、カタログ番号655077)に基質となるビオチン化ポリグルタミン酸・チロシンペプチド(日本シェーリング社、カタログ番号61GT0BAA)を固相化した後、0.25%のゼラチンでブロッキングし、キナーゼ反応測定用プレートとして用いた。最終濃度が、GST融合Flt−3(100μg/L)、Tris・Cl(pH7.5)(20mmol/L)、βグリセルホスフェート(5mmol/L)、DTT(Dithiothreitol)(1mmol/L)、NaVO(0.1mmol/L)、MgCl(10mmol/L)、MnCl(10mmol/L)、ATP(10μmol/L)、BSA(Bovine Serum Albumin)(0.1%)、ジメチルスルホキシド(DMSO)(0.1%)、試験化合物(10μmol/L)となるように調製した溶液を60μLの容量でキナーゼ反応測定用プレートのウェルに添加し、酵素反応を室温で60分間行った。反応後、25mmol/Lのエチレンジアミン四酢酸の水溶液を50μL添加することにより、反応を停止させた。プレートをTBS−T[10mmol/L Tris・Cl(pH7.5)、150mmol/L NaCl、0.05% Tween20(バイオラッド社、カタログ番号170−6531)]で4回洗浄後、ユーロピウム標識抗ホスホチロシン抗体と反応させ、さらにTBS−Tで4回洗浄し、時間分解蛍光(励起波長340nm、測定波長615nm)を測定した。試験化合物を未添加のウェルでの値を100%、酵素及び試験化合物を未添加のウェルでの値を0%として、酵素及び試験化合物を加えたウェルでの相対活性(%)を算出し、その値を100から引いた値を試験化合物のFlt−3阻害活性(%)とした。
【0062】
結果を表2に示す。表2から、本発明で用いられる化合物が有効なFlt−3阻害活性を示すことがわかる。
【0063】
【表2】

【0064】
試験例2:白血病細胞株に対する細胞増殖抑制活性
ヒト急性骨髄性白血病細胞株MV−4−11に対する試験化合物の細胞増殖抑制率(%)の測定を以下の方法で実施した。
各細胞の培養には、10%牛胎児血清(ギブコ社、カタログ番号10437−028)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(1:1)(ギブコ社、カタログ番号15140−122)を含むRoswell Park Memorial Institute’s Medium(RPMI)1640培地(ギブコ社、カタログ番号11875−093)を使用した。7.5×10個/mLに調製したMV−4−11細胞(K562細胞では2.5×10個/mL)をTC MICROWELL 96U plate(ナルジェン・ヌンク社、カタログ番号163320)に80μLずつ播種し、37℃で4時間、5%炭酸ガスインキュベーター内において培養した。ブランクとしてRPMI培地のみを80μL添加したウェルも用意した。
MV−4−11細胞に対して、最終濃度が10μmol/Lとなるように調整した試験化合物のDMSO溶液を20μLずつ添加した。コントロールとブランクのウェルには最終濃度が0.1%となるようにDMSOを20μLずつ添加した。試験化合物添加後、37℃で72時間、5%炭酸ガスインキュベーター内において培養した。RPMI培地で50%に希釈したWST−1試薬{4−[3−(4−Iodophenyl)−2−(4−nitrophenyl)−2H−5−tetrazolio]−1,3−benzene disulfonate sodium salt}(ロシュ・ダイアグノスティックス社、カタログ番号1644807)を20μL加え、37℃で2時間インキュベートした後に、マイクロプレート分光光度計SPECTRA max 340PC(モレキュラーデバイス社)を用い、450nm(対照波長690nm)の吸光度を測定した。試験化合物を添加せずDMSOのみを加えたウェル(コントロール)の値を100%、RPMI培地のみのウェルの値を0%として、試験化合物を加えたウェルの相対増殖率(%)を算出し、その値を100から引いた値を試験化合物の細胞増殖抑制率(%)とした。本値が大きいほど、細胞に対する増殖抑制活性が強いことを示している。
【0065】
結果を表3に示す。表3から、本発明で用いられる化合物がFlt−3変異、または別の作用機序によりキナーゼの活性化が報告されている白血病細胞株に対して有効な増殖抑制活性を示すことがわかる。
【0066】
【表3】

【0067】
化合物(I)もしくは化合物(Ia)、またはその薬理学的に許容される塩は、その薬理作用、投与目的等に応じ、そのままあるいは各種の製薬形態で使用することができる。本発明の製薬組成物は、活性成分として有効な量の化合物(I)もしくは化合物(Ia)、またはその薬理学的に許容される塩を薬理学的に許容される担体と均一に混合して製造できる。この担体は投与に対して望ましい製剤の形態に応じて、広い範囲の形態をとることができる。これらの製薬組成物は、経口的または注射等の非経口的投与に対して適する単位服用形態にあることが望ましい。
【0068】
錠剤の調製にあたっては、例えば乳糖、マンニット等の賦形剤、デンプン等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル等の界面活性剤等を常法に従って用いればよい。錠剤1個あたり1〜200mgの活性成分を含有する錠剤が好適である。
【0069】
注射剤の調製にあたっては、水、生理食塩水、オリーブ油、落花生油等の植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコール等の溶剤、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ウレタン等の可溶化剤、食塩、グルコース等の等張化剤、フェノール、クレゾール、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、クロロブタノール等の保存剤、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等の抗酸化剤等を常法により用いればよい。
【0070】
化合物(I)もしくは化合物(Ia)、またはその薬理学的に許容される塩は、経口的または注射剤等として非経口的に投与可能であり、その有効用量及び投与回数は投与形態、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、通常一日当たり、0.01〜100mg/kgを投与するのが好ましい。
以下、参考例及び実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。
【0071】
なお、以下の参考例において機器データは以下の機器を用いて測定した。
H−NMR:JEOL JNM−EX270(270MHz)
time of flight(TOF)−MS:JEOL JMS−DX303
electrospray ionization(ESI)−MS:Waters Micromass Quatro
atmospheric pressure chemical ionization(APCI)−MS:Waters Micromass Quatro
参考例1:(E)−5−アミノ−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(化合物1)
ヨウ化(1H−インダゾール−3−イルメチル)トリフェニルホスホニウム(10.0g,19.2mmol)をメタノール(120mL)に懸濁させ、3−ピリジンカルボキサルデヒド(1.8mL,19mmol)及び炭酸カリウム(7.96g,57.6mmol)を加えて室温にて1.5時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を1mol/L塩酸で抽出した後、得られた水層を10mol/L水酸化ナトリウム水溶液にてアルカリ性とした。生成した沈殿を濾取した後、エタノール−水混合溶媒にて再結晶することにより、(E)−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(2.14g,50%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 7.21(dd,J=7.3Hz,8.3Hz,1H),7.40(dd,J=7.3Hz,8.6Hz,1H),7.41(m,1H),7.51(d,J=16.8Hz,1H),7.55(d,J=8.6Hz,1H),7.67(d,J=16.8Hz,1H),8.16(d,J=10.2Hz,1H),8.19(d,J=8.3Hz,1H),8.45(d,J=4.6Hz,1H),8.55(s,1H).
TOF−MS(m/z);222[M+H]
濃硝酸(0.013mL,2.9mmol)に、氷冷下濃硫酸(0.013mL,2.5mmol)、次いで(E)−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(93mg,0.42mmol)を加えて室温にて1時間攪拌した。反応液を10mol/L水酸化ナトリウム水溶液にてアルカリ性とし、濃縮乾固した後、エタノールにて再結晶することにより、(E)−5−ニトロ−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(51mg,45%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 7.43(dd,J=4.7Hz,7.7Hz,1H),7.62(d,J=16.6Hz,1H),7.73(d,J=9.2Hz,1H),7.90(d,J=16.6Hz,1H),8.20−8.24(m,2H),8.49(dd,J=1.3Hz,4.7Hz,1H),8.93(d,J=1.3Hz,1H),9.21(d,J=2.0Hz,1H),13.86(brs,1H).
TOP−MS(m/z);267[M+H]
(E)−5−ニトロ−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(1.02g,3.84mmol)をエタノール(200mL)に懸濁させ、10%パラジウム炭素(50%含水品,512mg)を加え、70℃にて攪拌しながらヒドラジン一水和物(1.87mL,38.4mmol)を加えて同温度にて40分間攪拌した。反応混合物を0℃に急冷し、セライト濾過した後、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=15/1)で精製し、さらにクロロホルムにてトリチュレーションを行うことにより、化合物1(592mg,65%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 4.89(brs,2H),6.82(dd,J=2.0Hz,8.9Hz,1H),7.17(brs,1H),7.26(d,J=8.9Hz,1H),7.27(d,J=16.7Hz,1H),7.39(dd,J=4.6Hz,8.1Hz,1H),7.55(d,J=16.7Hz,1H),8.09(d,J=8.1Hz,1H),8.43(dd,J=1.8Hz,4.6Hz,1H),8.78(d,J=1.8Hz,1H),12.80(brs,1H).
TOF−MS(m/z);237[M+H]
【0072】
参考例2:(E)−5−アセトアミド−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(化合物2)
(E)−5−アミノ−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(58mg,0.25mmol)をピリジン(0.60mL)に溶解し、無水酢酸(0.070mL,0.74mmol)を加えて室温にて1時間攪拌した。反応混合物に氷水を加え、クロロホルム−メタノール混合溶媒にて抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣を薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/アンモニア水=9/1/1)で精製し、さらに酢酸エチルにてトリチュレーションすることにより、化合物2(26mg,38%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 2.07(s,3H),7.37(d,J=16.7Hz,1H),7.41(dd,J=4.5Hz,7.9Hz,1H),7.49(m,2H),7.63(d,J=16.7Hz,1H),8.14(d,J=7.9Hz,1H),8.37(s,1H),8.46(d,J=4.5Hz,1H),8.81(s,1H),9.98(s,1H),13.18(brs,1H).
TOF−MS(m/z);279[M+H]
参考例3:(E)−5−ベンズアミド−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(化合物3)
(E)−5−アミノ−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(31mg,0.13mmol)をN−メチルピロリドン(0.4mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.072mL,0.52mmol)及び塩化ベンゾイル(0.045mL,0.39mmol)を加えて室温にて2時間攪拌した。反応混合物に氷水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣を薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9/1)で精製し、さらに酢酸エチル−ジイソプロピルエーテル混合溶媒にてトリチュレーションを行うことにより、化合物3(13mg,29%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 7.42(d,J=16.8Hz,1H),7.43(m,1H),7.54−7.75(m,6H),8.01(d,J=7.6Hz,2H),8.16(dd,J=1.5Hz,7.9Hz,1H),8.47(d,J=4.8Hz,1H),8.53(s,1H),8.84(brs,1H),10.32(brs,1H),13.22(brs,1H).
TOF−MS(m/z);341[M+H]
参考例4:(E)−5−(3−インドリル)アセトアミド−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(化合物4)
(E)−5−アミノ−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(30mg,0.13mmol)、インドール−3−酢酸(33mg,0.19mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(29mg,0.19mmol)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(36mg,0.19mmol)の混合物にTHF(0.8mL)を加え、室温にて2時間30分間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9/1)で精製し、さらに酢酸エチルにてトリチュレーションを行うことにより、化合物4(16mg,32%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 3.76(s,2H),6.98(t,J=6.9Hz,1H),7.06(dd,J=6.9Hz,7.9Hz,1H),7.28−7.65(m,8H),8.12(d,J=8.6Hz,1H),8.40(s,1H),8.44(brs,1H),8.79(brs,1H),10.15(brs,1H),10.91(brs,1H),13.17(brs,1H).
TOF−MS(m/z);394[M+H]
【0073】
参考例5:(E)−5−[5−オキソ−5−(2−チエニル)ペンタンアミド]−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(化合物5)
参考例4に準じて、(E)−5−アミノ−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(30mg,0.13mmol)、5−オキソ−5−(2−チエニル)吉草酸(38mg,0.19mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(29mg,0.19mmol)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(36mg,0.19mmol)より、化合物5(12mg,23%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 1.97(m,2H),2.43(t,J=7.4Hz,2H),3.05(t,J=7.1Hz,2H),7.23(t,J=4.3Hz,1H),7.36(d,J=16.7Hz,1H),7.41(m,1H),7.49(m,2H),7.63(d,J=16.7Hz,1H),7.96(d,J=4.3Hz,1H),7.98(d,J=4.3Hz,1H),8.14(d,J=7.9Hz,1H),8.40(s,1H),8.46(d,J=3.3Hz,1H),8.80(s,1H),9.96(brs,1H),13.17(brs,1H).
TOF−MS(m/z);417[M+H]
参考例6:(E)−5−(5−メトキシインドール−3−イル)アセトアミド−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(化合物6)
参考例4に準じて、(E)−5−アミノ−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(30mg,0.13mmol)、5−メトキシインドール−3−酢酸(39mg,0.19mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(29mg,0.19mmol)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(36mg,0.19mmol)より、化合物6(21mg,39%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 3.72(s,2H),3.73(s,3H),6.71(dd,J=2.3Hz,8.9Hz,1H),7.16(d,J=2.3Hz,1H),7.23(d,J=8.9Hz,1H),7.24(s,1H),7.34(d,J=16.7Hz,1H),7.40(dd,J=5.0Hz,7.9Hz,1H),7.51(m,2H),7.62(d,J=16.7Hz,1H),8.12(d,J=7.9Hz,1H),8.41(s,1H),8.45(dd,J=1.5Hz,5.0Hz,1H),8.79(d,J=1.5Hz,1H),10.15(brs,1H),10.76(brs,1H),13.18(brs,1H).
TOF−MS(m/z);424[M+H]
参考例7:(E)−4−アセチル−1−{4−[2−(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イル)ビニル]ベンゾイル}ピペラジン(化合物7)
臭化(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イルメチル)トリフェニルホスホニウム(500mg,0.91mmol)をメタノール(20mL)に溶解し、p−ホルミル安息香酸メチル(124mg,0.76mmol)及び炭酸カリウム(313mg,2.26mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物に塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣をTHF(10mL)に溶解し、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を加えて6時間加熱還流した。冷却後、酢酸エチルで抽出し、有機層に6mol/L塩酸を加えpHを3以下とした。生成した沈殿を濾取することにより、(E)−4−[2−(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イル)ビニル]安息香酸(0.26g、定量的)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 7.50−7.66(m,4H),7.75(d,J=16.7Hz,1H),7.85(m,1H),7.89(d,J=8.4Hz,1H),7.97(d,J=8.4Hz,1H),8.49(brm,1H),13.3(brs,1H).
ESI−MS(m/z);341[M+H]
(E)−4−[2−(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イル)ビニル]安息香酸(262mg,0.76mmol)、N−アセチルピペラジン(147mg,1.15mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(134mg,0.99mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(205mg,1.1mmol)及びN−メチルモルホリン(0.17mL,1.53mmol)をTHF(10mL)中、室温で4.5時間攪拌した。反応混合物に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルから結晶化し、化合物7(136mg,16%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 2.02(s,3H),3.30−3.49(brm,8H),7.42(d,J=8.1Hz,2H),7.51−7.69(m,3H),7.66(d,J=16.6Hz,1H),7.81(d,J=8.1Hz,2H),8.46(brs,1H),13.4(brs,1H).
ESI−MS(m/z);453[M+H]
参考例8:(E)−1−{4−[2−(5−ヨード−1H−インダゾール−3−イル)ビニル]ベンゾイル}ピペラジン(化合物8)
参考例7に準じて、ヨウ化(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イルメチル)トリフェニルホスホニウム(500mg,0.833mmol)、p−ホルミル安息香酸メチル(114mg,0.694mmol)及び炭酸カリウム(290mg,2.10mmol)より(E)−4−[2−(5−ヨード−1H−インダゾール−3−イル)ビニル]安息香酸(255mg,94%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 7.38(dd,J=8.8Hz,1H),7.54(m,1H),7.59−7.66(m,2H),7.89(d,J=16.7Hz,1H),7.82−7.87(m,2H),7.95−7.98(d,J=8.7Hz,2H),8.64(brm,1H),13.4(brs,1H).
ESI−MS(m/z);389[M+H]
(E)4−[2−(5−ヨード−1H−インダゾール−3−イル)ビニル]安息香酸(516mg,1.32mmol)、N−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)ピペラジン(370mg,1.99mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(232mg,1.72mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(354mg,1.85mmol)及びN−メチルモルホリン(600μL,2.64mmol)をTHF(20mL)に溶解し、室温で85分間攪拌した。反応混合物に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル(15mL)に溶解し、4mol/L塩化水素−酢酸エチル溶液(5mL)を加え、60℃で45分間加熱攪拌した。室温に冷却後、酢酸エチルを留去して得られた残査を、エタノールから結晶化することにより、化合物8(130mg,18%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 2.81−3.04(brm,4H),3.35−3.90(brm,4H),7.23(m,1H),7.39−7.60(m,7H),8.05(d,J=8.3Hz,1H),10.8(br,1H).
ESI−MS(m/z);459[M+H]
参考例9:(E)−1−{4−[2−(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イル)ビニル]ベンゾイル}ピペラジン(化合物9)
参考例8に準じて、臭化(5−ブロモ−1H−インダゾール−3−イルメチル)トリフェニルホスホニウム(490mg,1.43mmol)、N−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)ピペラジン(400mg,2.15mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(251mg,1.86mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(384mg,2.00mmol)及びN−メチルモルホリン(0.650mL,2.86mmol)より、化合物9(291mg,43%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 2.81−3.04(brm,4H),3.35−3.90(brm,4H),7.23(m,1H),7.38−7.59(m,7H),8.00(d,J=8.3Hz,1H),10.8(br,1H).
ESI−MS(m/z);411[M+H]
【0074】
参考例10:(E)−6−フルオロ−3−[2−(3−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(化合物10)
参考例1に準じて、臭化(6−フルオロ−1H−インダゾール−3−イルメチル)トリフェニルホスホニウム(0.50g,1.0mmol)、3−ピリジンカルボキサルデヒド(0.11mL,1.1mmol)及び炭酸カリウム(0.28g,2.0mmol)から、化合物10(0.11g,43%)を得た。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ 7.09(dt,J=2.2Hz,11.4Hz,1H),7.33(dd,J=2.2Hz,9.5Hz,1H),7.40−7.43(m,1H),7.55−7.63(d,J=16.9Hz,1H),7.68(d,J=16.9Hz,1H),8.25(dd,J=5.1Hz,9.0Hz,1H),8.47(dd,J=1.5Hz,4.6Hz,1H),8.89(d,J=2.0Hz,1H),13.3(brs,1H).
APCI−MS(m/z);240[M+H]
参考例11:(E)−6−フルオロ−3−[2−(4−ピリジル)ビニル]−1H−インダゾール(化合物11)
参考例1に準じて、臭化(6−フルオロ−1H−インダゾール−3−イルメチル)トリフェニルホスホニウム(0.40g,0.81mmol)、4−ピリジンカルボキサルデヒド(0.085mL,0.89mmol)及び炭酸カリウム(0.26g,1.6mmol)から、化合物11(0.056g,29%)を得た。
H−NMR(270MHz,DMSO−d)δ 7.11(dt,J=2.3Hz,8.1Hz,1H),7.34(dd,J=2.1Hz,9.6Hz,1H),7.50(d,J=16.6Hz,1H),7.52−7.65(m,2H),7.67(dd,J=1.3Hz,4.6Hz,1H),7.80(d,J=16.6Hz,1H),8.25(dd,J=4.9Hz,8.7Hz,1H),8.55(dd,J=1.5Hz,4.6Hz,1H).
APCI−MS(m/z);240[M+H]
【実施例1】
【0075】
製剤例1(錠剤)
常法により、次の組成からなる錠剤を作成する。50gの化合物1、乳糖600g、馬鈴薯デンプン300g、ポリビニルアルコール20g、ステアリン酸マグネシウム10g及びタール色素微量を常法により混合する。得られた混合物を用い、径8mmの杵を有する打錠機(菊水社製Purepress Correct−12型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分5mgを含有する)を得る。
化合物1 5mg
乳糖 60mg
馬鈴薯デンプン 30mg
ポリビニルアルコール 2mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
タール色素 微量
約100mg
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明により、インダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するFlt−3阻害剤等が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化11】

[式中、Xは単結合、(CHn1(式中、n1は1から6の整数を表す)、(CHn2CH=CH(CHn3(式中、n2及びn3は、同一または異なって0から4の整数を表す)または(CHn2C≡C(CHn3(式中、n2及びn3は、それぞれ前記と同義である)を表し、
は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
2A、R2B、R2C及びR2Dは同一または異なって、水素原子、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、NR3a3b(式中、R3a及びR3bは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のヘテロアロイル、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルまたは置換もしくは非置換のアリールスルホニルを表す)、OR(式中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルを表す)、CONR5a5b(式中、R5a及びR5bは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアロイルまたは置換もしくは非置換のヘテロアロイルを表すか、またはR5a及びR5bが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)、S(O)n4(式中、n4は0〜2の整数を表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)またはSONR7a7b(式中、R7a及びR7bは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、またはR7a及びR7bが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)を表すが、R2A、R2B、R2C及びR2Dが同時に水素原子になることはない]で表されるインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
【請求項2】
式(Ia)
【化12】

[式中、X及びRはそれぞれ前記と同義であり、
はハロゲン、ニトロ、ニトロソ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、NR3a3b(式中、R3a及R3bは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のヘテロアロイル、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルまたは置換もしくは非置換のアリールスルホニルを表す)、OR(式中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルを表す)、CONR5a5b(式中、R5a及びR5bは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアロイルまたは置換もしくは非置換のヘテロアロイルを表すか、またはR5a及びR5bが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)、S(O)n4(式中、n4は0〜2の整数を表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)またはSONR7a7b(式中、R7a及びR7bは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、またはR7a及びR7bが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)を表す]で表されるインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
【請求項3】
Xが−CH=CH−である請求項1または2記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
【請求項4】
が置換もしくは非置換のアリールである請求項1〜3のいずれかに記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
【請求項5】
が置換もしくは非置換のフェニルである請求項1〜3のいずれかに記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
【請求項6】
が置換もしくは非置換の複素環基である請求項1〜3のいずれかに記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
【請求項7】
が置換もしくは非置換のピリジルである請求項1〜3のいずれかに記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
【請求項8】
がNR3a3b(式中、R3a及びR3bはそれぞれ前記と同義である)である請求項2〜7のいずれかに記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
【請求項9】
がハロゲンである請求項2〜7のいずれかに記載のフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する癌治療剤。
【請求項11】
癌が造血器腫瘍による癌である請求項10記載の癌治療剤。
【請求項12】
癌が白血病、骨髄腫またはリンパ腫である請求項10記載の癌治療剤。
【請求項13】
癌がフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)変異を有する癌である請求項10記載の癌治療剤。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
【請求項15】
腫瘍が造血器腫瘍である請求項14記載の抗腫瘍剤。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む、癌の治療方法。
【請求項17】
癌が造血器腫瘍による癌である請求項16記載の癌の治療方法。
【請求項18】
癌が白血病、骨髄腫またはリンパ腫である請求項16記載の癌の治療方法。
【請求項19】
癌がフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)変異を有する癌である請求項16記載の癌の治療方法。
【請求項20】
請求項1〜9のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む、腫瘍の治療方法。
【請求項21】
腫瘍が造血器腫瘍である請求項20記載の腫瘍の治療方法。
【請求項22】
癌治療剤の製造のための、請求項1〜9のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項23】
癌が造血器腫瘍による癌である、請求項22記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項24】
癌が白血病、骨髄腫またはリンパ腫である、請求項22記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項25】
癌がフムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)変異を有する癌である、請求項22記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項26】
抗腫瘍剤の製造のための、請求項1〜9のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項27】
腫瘍が造血器腫瘍である、請求項26記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項28】
フムス様チロシンキナーゼ3(Flt−3)阻害剤の製造のための、請求項1〜9のいずれかに記載のインダゾール誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。

【国際公開番号】WO2005/094823
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【発行日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−511706(P2006−511706)
【国際出願番号】PCT/JP2005/006032
【国際出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】