説明

GPS距離測定装置

【課題】所望する2点間の距離を容易に測定することができるGPS距離測定装置を実現する。
【解決手段】GPS距離測定装置1は、ユーザが所望する距離測定に応じた測定開始点と測定終了点とを現在位置指示部5aによりそれぞれ指し示した状態で操作ボタン6が操作されて、その測定開始点と測定終了点とを指定することによって、その測定開始点と測定終了点とがそれぞれ指定されたタイミングに対応し、GPSセンサ5により受信されたGPS信号に基づく位置データをそれぞれ取得することができ、その取得したGPS信号に基づく測定開始点に関する位置データと、測定終了点に関する位置データとに基づいて、測定開始点と測定終了点の間の距離を算出して表示パネル4に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPSを利用して距離を測定するGPS距離測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが携帯する端末装置がGPS(Global Positioning System)を利用して所定時間毎にユーザ(端末装置)の現在位置を特定するとともに、特定された位置間の距離を算出して、ユーザの移動距離を測定する移動距離測定システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、車両や船舶などの移動体に搭載され、GPSにより移動体の現在位置を特定するとともに、他の移動体との位置関係を表示することによって、衝突などの危険回避を可能にする位置表示システムが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、車両や船舶などの移動体の現在位置をGPSによって特定しつつ、その移動体の移動経路や軌跡を表示装置に表示する技術が知られている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。
【特許文献1】特開2001−317960号公報
【特許文献2】特開2005−315721号公報
【特許文献3】特開2001−215126号公報
【特許文献4】特開平8−94732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の場合、GPSを利用して、例えば、5分毎など所定の測定間隔毎に、ユーザ(端末装置)の現在位置座標を測定し、各座標間の距離を算出し累積してユーザの移動距離を測定する技術であるので、所望する2点間の距離を正確に測定することには不向きな技術であった。
【0006】
また、上記特許文献2,3,4の場合、GPSを利用して移動体の現在位置を特定することはあっても、その移動距離など2点間の距離を測定することはできなかった。
【0007】
本発明の目的は、所望する2点間の距離を容易に測定することができるGPS距離測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
GPS信号を受信するGPS受信手段を備えるGPS距離測定装置であって、
当該GPS距離測定装置が位置する現在位置を指し示すための現在位置指示部と、
前記現在位置指示部により所望する距離測定に応じた測定開始点と測定終了点とをそれぞれ指し示した状態で操作することによって、その測定開始点と測定終了点とを指定する測定点操作入力手段と、
前記測定点操作入力手段における操作によって前記測定開始点と前記測定終了点とがそれぞれ指定されたタイミングに対応し、前記GPS受信手段により受信されたGPS信号に基づく位置データをそれぞれ取得する測定点データ取得手段と、
前記測定点操作入力手段によって前記測定開始点を指定してから、前記測定終了点を指定するまでの間に、所定タイミング毎に当該GPS距離測定装置が位置する途中点に関する位置データを、前記GPS受信手段により受信されたGPS信号に基づいて取得する途中点データ取得手段と、
前記測定点データ取得手段により取得された前記測定開始点に関する位置データと、前記測定終了点に関する位置データに基づき、前記測定開始点と前記測定終了点の間の距離を算出する距離算出手段と、
前記途中点データ取得手段により取得された当該GPS距離測定装置が位置した途中点に関する位置データと、前記測定点データ取得手段により取得された前記測定開始点と前記測定終了点に関する位置データとに基づき、前記測定開始点から前記途中点を経由して前記測定終了点に至る経路の距離を算出する経路算出手段と、
前記距離算出手段により算出された2点間の距離の値と、前記経路算出手段により算出された経路の距離の値と、を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、
GPS信号を受信するGPS受信手段を備えるGPS距離測定装置であって、
当該GPS距離測定装置が位置する現在位置を指し示すための現在位置指示部と、
前記現在位置指示部により所望する距離測定に応じた測定開始点と測定終了点とをそれぞれ指し示した状態で操作することによって、その測定開始点と測定終了点とを指定する測定点操作入力手段と、
前記測定点操作入力手段における操作によって前記測定開始点と前記測定終了点とがそれぞれ指定されたタイミングに対応し、前記GPS受信手段により受信されたGPS信号に基づく位置データをそれぞれ取得する測定点データ取得手段と、
前記測定点データ取得手段により取得された前記測定開始点に関する位置データと、前記測定終了点に関する位置データに基づき、前記測定開始点と前記測定終了点の間の距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段により算出された距離の値を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のGPS距離測定装置において、
前記測定点操作入力手段によって前記測定開始点を指定してから、前記測定終了点を指定するまでの間に、所定タイミング毎に当該GPS距離測定装置が位置する途中点に関する位置データを、前記GPS受信手段により受信されたGPS信号に基づいて取得する途中点データ取得手段と、
前記途中点データ取得手段により取得された当該GPS距離測定装置が位置した途中点に関する位置データと、前記測定点データ取得手段により取得された前記測定開始点と前記測定終了点に関する位置データとに基づき、前記測定開始点から前記途中点を経由して前記測定終了点に至る経路の距離を算出する経路算出手段と、
を備え、
前記表示手段は、前記経路算出手段により算出された距離の値を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、GPS距離測定装置は、ユーザが所望する距離測定に応じた測定開始点と測定終了点とを現在位置指示部によりそれぞれ指し示した状態で、測定点操作入力手段が操作されて、測定開始点と測定終了点とを指定することによって、その測定開始点と測定終了点とがそれぞれ指定されたタイミングに対応し、GPS受信手段により受信されたGPS信号に基づく位置データをそれぞれ取得することができる。
そして、GPS距離測定装置は、取得したGPS信号に基づく測定開始点に関する位置データと、測定終了点に関する位置データとに基づいて、測定開始点と測定終了点の間の距離を算出して、その算出した距離の値を表示手段に表示することができるので、ユーザは、所望する距離測定に応じた測定開始点と測定終了点において、GPS距離測定装置の測定点操作入力手段を操作することによって、所望する2点間の距離を容易に測定することができる。特に、ユーザが、GPS距離測定装置の現在位置指示部を任意の測定開始点と測定終了点とに対してそれぞれ指示した状態で測定点操作入力手段を操作して、その測定開始点と測定終了点とをそれぞれ指定することで、測長の基点(測定開始点と測定終了点)をピンポイントに設定することができるので、測定開始点と測定終了点との間の距離をより正確に測定することが可能になっている。
【0012】
また、GPS距離測定装置は、測定点操作入力手段によって測定開始点を指定してから測定終了点を指定するまでの間に、所定タイミング毎に当該GPS距離測定装置が位置する現在位置に対応する途中点に関する位置データを、GPS受信手段により受信されたGPS信号に基づいて取得することができる。
そして、GPS距離測定装置は、GPS距離測定装置が位置した移動経路における途中点に関する位置データと、測定開始点と測定終了点に関する位置データとに基づいて、測定開始点から途中点を経由して測定終了点に至る経路の距離を算出して、その算出した経路の距離の値を表示手段に表示することができるので、ユーザは、所望する距離測定に応じた測定開始点と測定終了点において、GPS距離測定装置の測定点操作入力手段を操作することによって、測定開始点と測定終了点との間を移動した軌跡に沿った経路の距離を容易に測定することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、GPS距離測定装置は、ユーザが所望する距離測定に応じた測定開始点と測定終了点とを現在位置指示部によりそれぞれ指し示した状態で、測定点操作入力手段が操作されて、測定開始点と測定終了点とを指定することによって、その測定開始点と測定終了点とがそれぞれ指定されたタイミングに対応し、GPS受信手段により受信されたGPS信号に基づく位置データをそれぞれ取得することができる。
そして、GPS距離測定装置は、取得したGPS信号に基づく測定開始点に関する位置データと、測定終了点に関する位置データとに基づいて、測定開始点と測定終了点の間の距離を算出して、その算出した距離の値を表示手段に表示することができるので、ユーザは、所望する距離測定に応じた測定開始点と測定終了点において、GPS距離測定装置の測定点操作入力手段を操作することによって、所望する2点間の距離を容易に測定することができる。
特に、ユーザが、GPS距離測定装置の現在位置指示部を任意の測定開始点と測定終了点とに対してそれぞれ指示した状態で測定点操作入力手段を操作して、その測定開始点と測定終了点とをそれぞれ指定することで、測長の基点(測定開始点と測定終了点)をピンポイントに設定することができるので、測定開始点と測定終了点との間の距離をより正確に測定することが可能になっている。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、GPS距離測定装置は、測定点操作入力手段によって測定開始点を指定してから測定終了点を指定するまでの間に、所定タイミング毎に当該GPS距離測定装置が位置する現在位置に対応する途中点に関する位置データを、GPS受信手段により受信されたGPS信号に基づいて取得することができる。
そして、GPS距離測定装置は、GPS距離測定装置が位置した移動経路における途中点に関する位置データと、測定開始点と測定終了点に関する位置データとに基づいて、測定開始点から途中点を経由して測定終了点に至る経路の距離を算出して、その算出した経路の距離の値を表示手段に表示することができるので、ユーザは、所望する距離測定に応じた測定開始点と測定終了点において、GPS距離測定装置の測定点操作入力手段を操作することによって、測定開始点と測定終了点との間を移動した軌跡に沿った経路の距離を容易に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明に係るGPS距離測定装置について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
このGPS距離測定装置は、所望する2点間の距離を、GPSを利用して測定する装置である。また、GPS距離測定装置は、自動車などの車両に着脱可能に設置することができ、このGPS距離測定装置が搭載された車両の現在位置を地図上に示したり、目的地までの経路を表示したりするナビゲーション機能を有する。
【0016】
GPS距離測定装置1は、図1、図2に示すように、各種データや道路地図などが表示される表示手段としての表示パネル4と、衛星からのGPS信号を受信するGPS受信手段としてのGPSセンサ5と、当該GPS距離測定装置1が位置する現在位置を指し示すための現在位置指示部5aと、所望する距離測定に応じた測定点を入力するための測定点操作入力手段としての操作ボタン6と、当該GPS距離測定装置1の起動/停止を切り替える電源スイッチ7と、当該GPS距離測定装置1を車両に搭載する際に車載器(図示省略)に接続するための接続端子20と、装置の各部を統括制御する制御部10等を備えている。
【0017】
表示パネル4は、液晶パネル2の表示画面上にタッチセンサ3が設けられてなる表示/入力デバイスである。
この表示パネル4は、GPS距離測定装置1によって測定した距離の値をデジタル表示するようになっている。
【0018】
また、表示パネル4には、道路地図が表示されるとともに、その道路地図上に重ねるように各種操作キーが表示されるようになっている。この液晶パネル2に表示された操作キーに対する入力や操作を受け付ける入力有効領域が、その操作キーに対応付けられてタッチセンサ3に割り当てられて設定されるようになっている。
そして、表示パネル4において、液晶パネル2に表示される各種操作キーをタッチ操作することにより、例えば、電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等の位置読み取り原理で、タッチセンサ3がタッチ指示された位置を検出し、検出した位置(入力有効領域)に応じた操作キーに対する入力が行われるようになっている。その入力された操作信号を表示パネル4が制御部10に出力する。
【0019】
GPSセンサ5は、衛星からのGPS信号を受信して、GPS距離測定装置1が位置する現在位置を検出するためのセンサであり、GPSセンサ5が受信したGPS信号を制御部10に出力することによって、GPS距離測定装置1が位置する現在位置を特定することができるようになっている。
なお、GPS距離測定装置1が車両に搭載されてナビゲーション装置として使用される場合に、その車両の位置をより正確に特定するためには、図示しない車載器に車両の進行方位や加速度を検出するジャイロセンサや加速度センサなどを備えることが好ましい。
【0020】
現在位置指示部5aは、GPS距離測定装置1が位置する現在位置を指し示すための突起であり、この現在位置指示部5aを当接させて指し示した地面や測定対象物のポイントを、GPSセンサ5によって検出されたGPS距離測定装置1が位置する現在位置に応じた測定点として対応つけるための部材である。
【0021】
操作ボタン6は、所望する距離測定に応じて、所望する2点間の距離を測定する際に、測定開始点と測定終了点の2つ測定点などを指定して入力するためのボタンであり、例えば、測定開始ボタン61、測定ボタン62、軌跡ボタン63を有している。
【0022】
測定開始ボタン61は、現在位置指示部5aにより測定開始点を指し示した状態で操作することによって測定開始点を指定して、その測定開始点に関する位置データを登録するための測定点操作入力手段としての操作ボタンである。つまり、測定開始ボタン61が押下されたタイミングにGPS距離測定装置1が位置する現在位置を測定開始点とし、そのタイミングにGPSセンサ5が受信したGPS信号に基づく位置データが測定開始点に関する位置データとして制御部10に出力されるようになっている。
【0023】
測定ボタン62は、現在位置指示部5aにより測定終了点を指し示した状態で操作することによって測定終了点を指定して、その測定終了点に関する位置データを登録するための測定点操作入力手段としての操作ボタンである。つまり、測定ボタン62が押下されたタイミングにGPS距離測定装置1が位置する現在位置を測定終了点とし、そのタイミングにGPSセンサ5が受信したGPS信号に基づく位置データが測定終了点に関する位置データとして制御部10に出力されるようになっている。
また、測定ボタン62が操作されることによって、後述する距離算出手段としての制御部10や、経路算出手段としての制御部10が、測定点(測定開始点、測定終了点、途中点)に関する位置データに基づき、測定距離を算出する制御処理を実行するようになっている。
【0024】
軌跡ボタン63は、測定開始ボタン61によって測定開始点を指定してから、測定ボタン62によって測定終了点を指定するまでの間に、GPS距離測定装置1が移動する経路における途中点に関する位置データを取得するように、後述する途中点データ取得手段としての制御部10の制御処理を実行させるための途中点データ取得手段の一部として機能する操作ボタンである。
【0025】
接続端子20は、GPS距離測定装置1を車両に搭載してナビゲーション装置として使用する際に、図示しない車載器と接続するための端子である。
なお、GPS距離測定装置1は、その車載器と接続されている状態では、車載器から供給される電力によって動作する。また、GPS距離測定装置1は、ボタン電池等図示しないバッテリーを搭載しており、その車載器と接続されていない状態では、そのバッテリーによって動作するようになっている。
【0026】
制御部10は、各種の処理や制御を実行するCPU11と、各種の処理や制御を実行するためのプログラムや各種の処理や制御に要するデータが格納されたROM12と、各種データを格納して各種処理の作業領域となるRAM13等を備えている。
【0027】
CPU11は、操作ボタン6を介して入力される操作信号や、GPSセンサ5から入力されるGPS信号等に応じて、ROM12に格納されているGPS距離測定装置用の各種制御プログラムや各種データに従って装置各部の処理を集中制御し、その処理結果をRAM13内のワークエリアに格納するとともに、表示パネル4(液晶パネル2)に表示する。また、CPU11は、表示パネル4を介して入力される操作信号や、GPSセンサ5から入力されるGPS信号等に応じて、ROM12に格納されているナビゲーション装置用の各種制御プログラムや各種データに従って装置各部の処理を集中制御し、その処理結果をRAM13内のワークエリアに格納するとともに、表示パネル4(液晶パネル2)に表示する。
ROM12には、GPS距離測定装置1の制御プログラムや制御データ、各種画面の表示や表示切替に関するデータなどが格納されて記憶されている。また、ROM12には、GPS距離測定装置1をナビゲーション装置として用いる際の制御プログラムや制御データが記憶されている。
RAM13には、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられており、入力されたり検出されたりしたデータの処理中のワークエリアとして使用される。
【0028】
そして、制御部10は、操作ボタン6が押下される操作によって測定開始点と測定終了点とがそれぞれ指定されたタイミングに対応し、GPSセンサ5により受信されたGPS信号に基づく位置データをそれぞれ取得する測定点データ取得手段として機能する。
具体的には、測定点データ取得手段としての制御部10は、測定開始ボタン61が押下されたタイミングにGPS距離測定装置1が位置する現在位置を測定開始点とし、そのタイミングにGPSセンサ5が受信したGPS信号に基づく位置データを測定開始点に関する位置データとして取得する処理を実行する。
また、測定点データ取得手段としての制御部10は、測定ボタン62が押下されたタイミングにGPS距離測定装置1が位置する現在位置を測定終了点とし、そのタイミングにGPSセンサ5が受信したGPS信号に基づく位置データが測定終了点に関する位置データとして取得する処理を実行する。
【0029】
なお、測定点データ取得手段としての制御部10が取得するGPS信号に基づく位置データは、緯度と経度に対応する座標データと標高に対応する高さデータとからなり、例えば、(緯度、経度、高度)=(X,Y,H)のような位置座標データとして扱われるようになっている。
なお、GPS距離測定装置1は、取得した現在位置(緯度、経度、高度)を表示パネル4に表示する現在位置表示モードを備えている。
【0030】
また、制御部10は、測定点データ取得手段としての制御部10により取得された測定開始点に関する位置データと、測定終了点に関する位置データに基づき、測定開始点と測定終了点の間の距離を算出する距離算出手段として機能する。特に、距離算出手段としての制御部10は、測定ボタン62が押下された際に、測定開始点と測定終了点の間の距離を算出する制御を実行するようになっている。
具体的には、距離算出手段としての制御部10は、測定開始点に関する位置データ(X1,Y1,H1)と、測定終了点に関する位置データ(X2,Y2,H2)に基づき、測定開始点と測定終了点の2つの測定点間の距離(L[m])を、以下の式(1)のように算出する。
L=((緯度の差[m])+(経度の差[m])+(高度の差[m])1/2
=((X2−X1)+(Y2−Y1)+(H2−H1)1/2・・・(1)
なお、距離算出手段としての制御部10が算出した測定開始点と測定終了点の間の距離の値は、表示パネル4に表示されるようになっている。
【0031】
また、制御部10は、測定開始ボタン61が押下されて測定開始点を指定してから、測定ボタン62が押下されて測定終了点を指定するまでの間に、所定タイミング毎にGPS距離測定装置1が位置する現在位置に応じた途中点に関する位置データを、GPSセンサ5により受信されたGPS信号に基づき取得する途中点データ取得手段として機能する。
具体的には、途中点データ取得手段としての制御部10は、軌跡ボタン63が押下された場合に、予め設定されている所定タイミング毎(例えば、5分毎)に、GPS距離測定装置1が位置する現在位置を途中点とし、そのタイミングにGPSセンサ5が受信したGPS信号に基づく位置データが途中点に関する位置データ(X,Y,H)として取得する処理を実行する。
【0032】
また、制御部10は、途中点データ取得手段としての制御部10により取得されたGPS距離測定装置1が位置した途中点に関する位置データと、測定点データ取得手段としての制御部10により取得された測定開始点と測定終了点に関する位置データとに基づき、測定開始点から途中点を経由して測定終了点に至る経路の距離を算出する経路算出手段として機能する。特に、経路算出手段としての制御部10は、測定ボタン62が押下された際に、測定開始点から途中点を経由して測定終了点に至る経路の距離を算出する制御を実行するようになっている。
具体的には、経路算出手段としての制御部10は、測定開始点に関する位置データ(X1,Y1,H1)と、途中点に関する位置データ(Xa,Ya,Ha)に基づき、測定開始点と途中点の2つの測定点間の距離(L1[m])を、以下の式(2)のように算出する。
L1=((Xa−X1)+(Ya−Y1)+(Ha−H1)1/2・・・(2)
また、経路算出手段としての制御部10は、途中点に関する位置データ(Xa,Ya,Ha)と、測定終了点に関する位置データ(X2,Y2,H2)に基づき、途中点と測定終了点の2つの測定点間の距離(L2[m])を、以下の式(3)のように算出する。
L2=((X2−Xa)+(Y2−Ya)+(H2−Ha)1/2・・・(3)
そして、経路算出手段としての制御部10は、測定開始点から途中点を経由して測定終了点に至る経路の距離(Ln[m])を、以下の式(4)のように算出する。
Ln=L1+L2・・・(4)
【0033】
なお、途中点がLa、Lb、Lc…のように複数ある場合、各途中点間(La−Lb、Lb−Lc…)の距離を同様に算出し、算出した全ての測定点間の距離を累積するように加算して、測定開始点から複数の途中点を経由して測定終了点に至る経路の距離(Ln=L1+L2+L3+L4…)を算出するようにすればよい。
なお、経路算出手段としての制御部10が算出した経路の距離の値は、表示パネル4に表示されるようになっている。
【0034】
また、制御部10は、GPSセンサ5などによって検出された車両の現在位置に関する検出データに基づき、GPS距離測定装置1が搭載されている車両の現在位置を特定する制御を実行する。また、制御部10は、GPS距離測定装置1が設置された車両が走行する現在位置や目的地までの経路などを、表示パネル4(液晶パネル2)に表示される道路地図上に表示する制御を実行する。
このように、GPS距離測定装置1は、GPS距離測定装置1が搭載された車両の現在位置を地図上に示したり、目的地までの経路を表示したりするナビゲーション機能を有している。
なお、ナビゲーション機能(ナビゲーション装置)の動作や処理は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0035】
次に、GPS距離測定装置1を用いた距離測定方法について説明する。
【0036】
ユーザが所望する2点間の距離を測定する場合、まず、所望する距離測定に応じた測定開始点(Ps)に、GPS距離測定装置1の現在位置指示部5aを当接させるようにして測定開始点を指し示した状態で測定開始ボタン61を押下し、その測定開始点に関する位置データをGPSセンサ5によって受信するGPS信号に基づき取得する。
次いで、所望する距離測定に応じた測定終了点(Pe)に、GPS距離測定装置1の現在位置指示部5aを当接させるようにして測定終了点を指し示した状態で測定ボタン62を押下し、その測定終了点に関する位置データをGPSセンサ5によって受信するGPS信号に基づき取得する。
【0037】
そして、GPS距離測定装置1は、測定開始点(Ps)と測定終了点(Pe)に関する位置データに基づき、測定開始点と測定終了点の2点間の直線距離を算出し、図3に示すように、GPS距離測定装置1の表示パネル4に測定開始点(Ps)と測定終了点(Pe)の間の距離を表示する。
このように、ユーザは、測定開始点(Ps)と測定終了点(Pe)において、GPS距離測定装置1の操作ボタン6(測定開始ボタン61、測定ボタン62)を押下する操作を行うことによって、測定開始点と測定終了点の2点間の直線距離を容易に測定することができる。
【0038】
また、ユーザが所望する2点間を移動する経路を測定する場合、まず、GPS距離測定装置1の軌跡ボタン63を押下し、移動経路測定モードとする。
そして、軌跡ボタン63を押下した後に、測定開始点(Ps)に現在位置指示部5aを当接させるようにして測定開始点を指し示した状態で測定開始ボタン61を押下し、その測定開始点に関する位置データをGPSセンサ5によって受信するGPS信号に基づき取得すると、その後、GPS距離測定装置1は、所定タイミング毎(例えば、5分毎)に、GPS距離測定装置1が位置する移動経路における現在位置を途中点とし、そのタイミングにGPSセンサ5によって受信するGPS信号に基づき、その途中点に関する位置データを取得するようになる。
次いで、測定終了点(Pe)に現在位置指示部5aを当接させるようにして測定終了点を指し示した状態で測定ボタン62を押下し、その測定終了点に関する位置データをGPSセンサ5によって受信するGPS信号に基づき取得する。この測定終了点に関する位置データを取得することによって、GPS距離測定装置1を携帯して移動するユーザの移動経路(軌跡)における途中点の記録も終了する。
【0039】
そして、GPS距離測定装置1は、測定開始点と測定終了点と途中点とに関する位置データに基づき、測定開始点(Ps)と測定終了点(Pe)の2点間の直線距離と、測定開始点(Ps)から途中点を経由して測定終了点(Pe)に至る経路距離とを算出し、図4に示すように、表示パネル4に測定開始点(Ps)と測定終了点(Pe)の間の直線距離と、移動した軌跡に沿った経路距離を表示する。
このように、ユーザは、軌跡ボタン63を押下して操作した後に、測定開始点(Ps)と測定終了点(Pe)において、GPS距離測定装置1の操作ボタン6(測定開始ボタン61、測定ボタン62)を押下する操作を行うことによって、測定開始点と測定終了点の間を、GPS距離測定装置1を携帯したユーザが移動した軌跡に沿った経路距離と、測定開始点と測定終了点の2点間の直線距離を容易に測定することができる。
なお、軌跡ボタン63を押下した移動経路測定モードにおいては、経路距離のみを測定し、測定開始点と測定終了点の2点間の直線距離の測定は行わないようにしてもよい。
【0040】
このように、本発明に係るGPS距離測定装置1は、測定開始点を現在位置指示部5aで指示した状態において測定開始ボタン61が押下されることによって、その測定開始点に関する位置データをGPSセンサ5によって受信するGPS信号に基づいて取得することができ、また、測定終了点を現在位置指示部5aで指示した状態において測定ボタン62が押下されることによって、その測定終了点に関する位置データをGPSセンサ5によって受信するGPS信号に基づいて取得することができる。
そして、GPS距離測定装置1が取得したGPS信号に基づく測定開始点に関する位置データと測定終了点に関する位置データとに基づいて、GPS距離測定装置1は、測定開始点と測定終了点の間の距離を算出して、その算出した距離の値を表示パネル4に表示することができるので、ユーザは、所望する距離測定に応じた測定開始点と測定終了点において、GPS距離測定装置1の操作ボタン6(測定開始ボタン61、測定ボタン62)を操作することによって、所望する2点間の距離を容易に測定することが可能になっている。
【0041】
例えば、従来、巻尺の一端と他端を二人の作業者がそれぞれ持って測定開始点と測定終了点に宛がい、その巻尺の目盛を読み取る測長作業を行うことがあったが、本発明に係るGPS距離測定装置1を用いれば、一人で測長作業を行うことができるメリットがある。
また、従来、巻尺よりも長い距離を測長する場合に、巻尺で測長可能な距離や長さを測長する作業を複数回繰り返して全長を測長する作業を行うことがあったが、本発明に係るGPS距離測定装置1を用いれば、一人で一回の測長作業によって全長の測長を行うことができるメリットがある。
【0042】
また、GPS距離測定装置1は、所定のタイミング毎に、GPS距離測定装置1が位置する途中点に関する位置データを取得することで、GPS距離測定装置1を携帯したユーザが移動した軌跡に沿った経路距離の測定も行うことができるので、直線距離ばかりでなく曲線距離や折線距離の測定も行うことができるというメリットがある。
なお、曲線距離や折線距離の測定をより正確に行うためには、途中点に関する位置データを取得するタイミングの間隔を短くすることが好ましい。また、ユーザが操作ボタンを操作することにより、任意のタイミングで途中点に関する位置データを取得するようにしてもよい。
【0043】
なお、以上の実施の形態においては、GPS距離測定装置1は、GPS受信により距離測定を行うとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ヨーロッパ衛星ガリレオ等の衛星電波を受信できるようにして、複数の衛星電波に基づく、より精度の高い位置判定や距離測定を行うようにしてもよい。その場合、受信した衛星電波数(衛星の個数)や、その衛星電波(衛星)の種類等を表示パネル4に表示したり、受信した衛星電波数に応じた測定結果の距離精度を表示したりするようにしてもよい。
【0044】
また、以上の実施の形態においては、測定開始ボタン61と測定ボタン62をそれぞれ備える構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1つの測長ボタンを備え、その測長ボタンが押下される1回目において、測定開始点に関する位置データを取得し、次いで、測長ボタンが押下される2回目において、測定終了点に関する位置データを取得するとともに、測定開始点と測定終了点の間の距離を算出して、その算出した距離の値を表示パネル4に表示するようにしてもよい。
また、操作ボタンを備えずに、GPS距離測定装置1の現在位置指示部5aを所望する測定点に押し当てることによって、測定開始点や測定終了点の位置データを取得するようにしてもよい。
【0045】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るGPS距離測定装置の正面図である。
【図2】本発明に係るGPS距離測定装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】GPS距離測定装置の2点間距離測定に関する表示例を示す説明図である。
【図4】GPS距離測定装置の経路距離測定に関する表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 GPS距離測定装置
4 表示パネル(表示手段)
5 GPSセンサ(GPS受信手段)
5a 現在位置指示部
6 操作ボタン
61 測定開始ボタン(測定点操作入力手段)
62 測定ボタン(測定点操作入力手段)
63 軌跡ボタン(途中点データ取得手段)
10 制御部(測定点データ取得手段、距離算出手段、途中点データ取得手段、経路算出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS信号を受信するGPS受信手段を備えるGPS距離測定装置であって、
当該GPS距離測定装置が位置する現在位置を指し示すための現在位置指示部と、
前記現在位置指示部により所望する距離測定に応じた測定開始点と測定終了点とをそれぞれ指し示した状態で操作することによって、その測定開始点と測定終了点とを指定する測定点操作入力手段と、
前記測定点操作入力手段における操作によって前記測定開始点と前記測定終了点とがそれぞれ指定されたタイミングに対応し、前記GPS受信手段により受信されたGPS信号に基づく位置データをそれぞれ取得する測定点データ取得手段と、
前記測定点操作入力手段によって前記測定開始点を指定してから、前記測定終了点を指定するまでの間に、所定タイミング毎に当該GPS距離測定装置が位置する途中点に関する位置データを、前記GPS受信手段により受信されたGPS信号に基づいて取得する途中点データ取得手段と、
前記測定点データ取得手段により取得された前記測定開始点に関する位置データと、前記測定終了点に関する位置データに基づき、前記測定開始点と前記測定終了点の間の距離を算出する距離算出手段と、
前記途中点データ取得手段により取得された当該GPS距離測定装置が位置した途中点に関する位置データと、前記測定点データ取得手段により取得された前記測定開始点と前記測定終了点に関する位置データとに基づき、前記測定開始点から前記途中点を経由して前記測定終了点に至る経路の距離を算出する経路算出手段と、
前記距離算出手段により算出された2点間の距離の値と、前記経路算出手段により算出された経路の距離の値と、を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とするGPS距離測定装置。
【請求項2】
GPS信号を受信するGPS受信手段を備えるGPS距離測定装置であって、
当該GPS距離測定装置が位置する現在位置を指し示すための現在位置指示部と、
前記現在位置指示部により所望する距離測定に応じた測定開始点と測定終了点とをそれぞれ指し示した状態で操作することによって、その測定開始点と測定終了点とを指定する測定点操作入力手段と、
前記測定点操作入力手段における操作によって前記測定開始点と前記測定終了点とがそれぞれ指定されたタイミングに対応し、前記GPS受信手段により受信されたGPS信号に基づく位置データをそれぞれ取得する測定点データ取得手段と、
前記測定点データ取得手段により取得された前記測定開始点に関する位置データと、前記測定終了点に関する位置データに基づき、前記測定開始点と前記測定終了点の間の距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段により算出された距離の値を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とするGPS距離測定装置。
【請求項3】
前記測定点操作入力手段によって前記測定開始点を指定してから、前記測定終了点を指定するまでの間に、所定タイミング毎に当該GPS距離測定装置が位置する途中点に関する位置データを、前記GPS受信手段により受信されたGPS信号に基づいて取得する途中点データ取得手段と、
前記途中点データ取得手段により取得された当該GPS距離測定装置が位置した途中点に関する位置データと、前記測定点データ取得手段により取得された前記測定開始点と前記測定終了点に関する位置データとに基づき、前記測定開始点から前記途中点を経由して前記測定終了点に至る経路の距離を算出する経路算出手段と、
を備え、
前記表示手段は、前記経路算出手段により算出された距離の値を表示することを特徴とする請求項2に記載のGPS距離測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−82883(P2008−82883A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263177(P2006−263177)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】