説明

HIV感染症を治療するためのピペラジン誘導体

本発明は、式(I)[式中、R〜Rは本明細書で定義する]で示される化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、及びそれらの製造方法、それらの製造に用いる中間体、それらを含有する組成物並びにこのような誘導体の使用に関する。本発明の化合物は、gp120とCD4との相互作用を阻害するので、HIV、一般にHIVに関連するレトロウイルス感染症、又はAIDSの治療に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペラジン誘導体、それらの製造方法、それらを含有する組成物及びそれらの使用に関する。
より具体的には、本発明は、例えば、HIV−1及び遺伝的に関連するレトロウイルス感染症(及びその結果の後天的免疫不全症候群、AIDS)のような、HIVの治療におけるピペラジン誘導体の使用に関する。
【0002】
標的細胞中へのHIV−1の侵入は、細胞表面CD4と付加的な宿主細胞補因子を必要とする。免疫不全ウイルスが、標的細胞中への効果的な侵入のために、例えばCCR5又はCXCR−4のようなケモカイン・レセプター並びにプライマリー・レセプターCD4を必要とすることは、認識されている。HIV−1のプライマリー・マクロファージ−トロフィック株のエンベロープ糖タンパク質によって仲介される侵入のための主要な補因子は、CCR5、即ち、β−ケモカインRANTES、MIP−1α及びMIP−1βのためのレセプターである(Deng et al., 1996, Nature, 38, 661-666)。HIVは、標的細胞上のCD4分子に、そのエンベロープ・タンパク質の領域、gp120を介して結合する。HIVのgp120上のCD4結合部位は、標的細胞表面上のCD4分子と相互作用して、構造変化を受け、この構造変化がそれを例えばCCR5又はCXCR−4のような、さらなる細胞表面レセプターに結合させることが考えられる。このことが該ウイルス・エンベロープを細胞表面に密接させて、該ウイルス・エンベロープ上のgp41と宿主細胞表面上の融合ドメインとの相互作用、その後の細胞膜との融合、そして最後には、細胞中へのウイルス・コアの侵入を可能にする。したがって、gp120とCD4との結合を阻害し、それ故、標的細胞中へのHIV−1の侵入を防止する化合物は、HIV−1のようなHIV感染症及び遺伝的に関連したレトロウイルス感染症(及び結果としての後天的免疫不全症候群、AIDS)の治療に有用である筈である。
【0003】
本発明の第1態様によると、式(I):
【0004】
【化1】

【0005】
で示される化合物、又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体を提供する、上記式において
は、フェニル又はピリジルであり、前記フェニル又はピリジルは、場合によっては、ハロ、C−Cアルコキシ、CF、OCF又はCNから選択される、1若しくは2個の原子又は基によって置換される;
とRは、独立的に、H又はC−Cアルキルであり;
は、C−Cアルキルであり;
は、フェニル;ナフチル;又はC連結した6員〜10員の単環状若しくは二環状の芳香族若しくは部分的飽和複素環であり、前記複素環は1〜4個の窒素ヘテロ原子、1若しくは2個の窒素と1個の酸素ヘテロ原子、又は1若しくは2個の窒素と1個の硫黄ヘテロ原子を含有する;この場合、前記フェニル、ナフチル又は複素環は、場合によっては、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル、OH、C−Cアルコキシ、C−CアルコキシC−Cアルキル、OC−Cフルオロアルキル、C−CアルキレンNR、ハロ、C−CアルキレンCN、C−CアルキレンCO、C−CアルキレンCONR、C−CアルキレンSR、C−CアルキレンSOR、C−CアルキレンSO、C−CアルキレンSONR、C−CアルキレンNRCOR、C−CアルキレンNRCONR、C−CアルキレンNRSO又はC−CアルキレンR10、又はRが複素環である場合のオキソから選択される、1〜3個の原子又は基によって置換される;
とRは、独立的に、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル若しくはR10であるか、又はそれらが結合する窒素と一緒になって、場合によっては置換される、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン又はチオモルホリン環を形成する;該置換基は、C−Cアルキル又はC−CアルキレンNHから選択される、1若しくは2個の基である;
は、H、C−Cアルキル又はフェニルであり;
は、C−Cアルキル又はフェニルであり;
10は、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、キナゾリニル、フタラジニル、ベンゾオキサゾリル又はキノオキサリニルであり、これらの各々は、場合によっては、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ又はハロから選択される、1〜3個の原子又は基によって置換される。
【0006】
基又は基の一部としての「アルキル」なる用語は、直鎖基と分枝鎖基を包含する。アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル及びt−ブチルを包含する。「C−Cシクロアルキル」なる用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルを意味する。「ハロ」なる用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。
【0007】
他の実施態様では、Rはフェニル又はピリジルであり、前記フェニル又はピリジルは、場合によっては、ハロから選択される、1若しくは2個の原子又は基によって置換される。
【0008】
さらに他の実施態様では、Rはフェニル、フルオロフェニル又はピリジルである。
さらに他の実施態様では、Rはフェニルである。
さらに他の実施態様では、RはC−Cアルキルである。
【0009】
さらに他の実施態様では、Rはメチルである。
さらに他の実施態様では、RはHである。
さらに他の実施態様では、RはC−Cアルキルである。
【0010】
さらに他の実施態様では、Rはメチルである。
さらに他の実施態様では、Rは、場合によっては置換される、フェニル、ナフチル、ピリジル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ベンゾピペリジニル、又はベンゾオキサゾリルであり、該置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、CN、CO、CONR又はR10から選択される、1〜3個の原子又は基である。
【0011】
さらに他の実施態様では、Rは、場合によっては置換される、フェニル又はピリジルであり、該置換基は、C−Cアルコキシ、CO、又はCONRから選択される、1〜3個の基である。
【0012】
さらに他の実施態様では、RはH又はC−Cアルキルである。
さらに他の実施態様では、RはH、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルである。
【0013】
さらに他の実施態様では、RはC−Cアルキルである。
さらに他の実施態様では、R10はイミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル又はオキサジアゾリルであり、これらの各々は、場合によっては、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ又はハロから選択される、1〜3個の原子又は基によって置換される。
【0014】
さらに他の実施態様では、式(Ia):
【0015】
【化2】

【0016】
[式中、R、R、R、R及びRは、式(I)化合物に関して上記で定義したとおりである]で示される化合物、その製薬的に受容される塩、溶媒和物又は誘導体を、その具体的に記載された実施態様の全ての組み合わせを包含して、提供する。
【0017】
さらに他の実施態様では、式(Ib):
【0018】
【化3】

【0019】
[式中、R、R、R及びRは、式(I)化合物に関して上記で定義したとおりである]で示される化合物、その製薬的に受容される塩、溶媒和物又は誘導体を、その具体的に記載された実施態様の全ての組み合わせを包含して、提供する。
【0020】
本発明が、式(I)化合物の定義と一致して、上述された本発明の具体的な実施態様のすべての組み合わせを網羅することを理解すべきである。
本発明の化合物は、式(I)化合物と、それらの製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体(この場合、誘導体とは、錯体、多形体、プロドラッグ及び同位体標識化合物並びにそれらの塩、溶媒和物及び塩溶媒和物を包含する)、及びそれらの異性体を包含する。他の実施態様では、本発明の化合物は、式(I)化合物と、それらの製薬的に受容される塩及び溶媒和物、特に式(I)化合物である。本発明の上記化合物がそれらの多形体及び異性体を包含することを理解すべきである。
【0021】
式(I)化合物の製薬的に受容される塩は、式(I)化合物の酸付加塩及び塩基塩を包含する。
適当な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシラート(besylate)、炭酸水素塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシラート(camsylate)、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、エジシラート(edisylate)、エシラート(esylate)、蟻酸塩、フマル酸塩、グルコセプタート(gluceptate)、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシラート(mesylate)、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシラート(2-napsylate)、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロテート(orotate)、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート(pamoate)、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシラート(tosylate)、及びトリフルオロ酢酸塩が包含される。
【0022】
適当な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。例には、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオラミン塩、グリシン塩、リシン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、オラミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩及び亜鉛塩が包含される。適当な塩の再検討のためには、"Handbook of Pharmaceutical Salts : Properties, Selection, and Use"by Stahl and Wermuth (Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002)を参照のこと。
【0023】
式(I)化合物の製薬的に受容される塩は、次の3方法の1つ以上によって、製造することができる:
(i)式(I)化合物の所望の酸又は塩基との反応による;
(ii)所望の酸若しくは塩基を用いた、式(I)化合物の適当な前駆物質から酸若しくは塩基に不安定な保護基の除去による、又は適当な環状前駆物質、例えばラクトン若しくはラクタムの開環による;
(iii)適当な酸若しくは塩基との反応によって、又は適当なイオン交換カラムを用いた、式(I)化合物の1つの塩から別の塩への転化による。
【0024】
3反応の全ては典型的に溶液中で行なわれる。溶液から沈殿した塩を濾過によって回収することができる、又は溶媒の蒸発によって回収することができる。塩におけるイオン化度は、完全なイオン化から殆ど非イオン化まで変化しうる。
【0025】
本発明の化合物は、非溶媒和形と溶媒和形の両方で存在することができる。「溶媒和物」なる用語は、本発明の化合物と、1つ以上の製薬的に受容される溶媒分子、例えばエタノールとを含む分子状錯体を表すために、本明細書で用いられる。「水和物」なる用語は、該溶媒が水である場合に、用いられる。
【0026】
錯体は、クラスレート、即ち、上記溶媒和物とは対照的に、薬物とホストとが化学量論量又は非化学量論量で存在する、薬物−ホスト包接化合物を包含する。化学量論量又は非化学量論量で存在する、2種類以上の有機成分及び/又は無機成分を含有する製薬的薬物の錯体も包含される。生じた錯体はイオン化することも、部分的イオン化することも、イオン化しないことも可能である。このような錯体の再検討のためには、J Pharm Sci, 64 (8),1269-1288 by Haleblian (August 1975)を参照のこと。
【0027】
本発明の化合物は、2つ以上の形態で結晶化する能力、多形現象として知られる特徴を有することができ、このような多形体(“polymorphs”)の全ては、本発明の範囲内に包含される。多形現象は、一般に、温度若しくは圧力の変化又は両方の変化に対する反応として起こる可能性があり、結晶化プロセスの変動に起因することも可能である。多形体は種々な物理的特徴によって区別されることができ、通常は、化合物のX線回折図形、溶解挙動及び融点が、多形体を区別するために用いられる。
【0028】
それ自体では薬理学的活性を殆ど又は全く有することができない、式(I)化合物のある一定の誘導体が、体内又は体上に投与されたときに、例えば加水分解による切断によって、所望の活性を有する式(I)化合物に転化することが可能である。このような誘導体は、「プロドラッグ」と呼ばれる。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、'Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14, ACS Symposium Series (T Higuchi and W Stella)and'Bioreversible Carriers in Drug Design', Pergamon Press, 1987 (ed. EB Roche, American Pharmaceutical Association)に見い出すことができる。
【0029】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(I)化合物中に存在する適当な官能基(functionalities)を、例えば"Design of Prodrugs" H Bundgaard著(Elsevier, 1985)に記載されているような、プロモエティー(promoieties)として当業者に知られている、ある一定の部分と置換することによって製造することができる。
【0030】
本発明によるプロドラッグの幾つかの例は、(i)式(I)化合物がカルボン酸官能基(−COOH)を含有する場合には、そのエステル、例えば、(C−C)アルキルによる水素の置換;(ii)式(I)化合物がアルコール官能基(−OH)を含有する場合には、そのエーテル、例えば、(C−C)アルカノイルオキシメチルによる水素の置換;(iii)式(I)化合物が第1級若しくは第2級アミン官能基(−NH若しくは−NHR、この場合R≠H)を含有する場合には、そのアミド、例えば、(C−C10)アルカノイルによる一方若しくは両方の水素の置換;を包含する。
【0031】
前述の例による置換基の他の例及び本発明による他の種類のプロドラッグの例は、上記参考文献に見い出すことができる。
さらに、ある一定の式(I)化合物は、それ自体で、他の式(I)化合物のプロドラッグとして作用することができる。
【0032】
式(I)化合物の代謝産物、即ち、薬物の投与後にin vivoで形成される化合物も、本発明の範囲内に包含される。本発明による代謝産物の幾つかの例は、(i)式(I)化合物がメチル基を含有する場合には、そのヒドロキシメチル誘導体(−CH→−CHOH);(ii)式(I)化合物がアルコキシ基を含有する場合には、そのヒドロキシ誘導体(−OR→−OH);(iii)式(I)化合物が第3級アミノ基を含有する場合には、その第2級アミノ誘導体(−NR→−NHR又は−NHR);(iv)式(I)化合物が第2級アミノ基を含有する場合には、その第1級アミノ誘導体(−NHR→−NH);(v)式(I)化合物がフェニル部分を含有する場合には、そのフェノール誘導体(−Ph→−PhOH);及び(vi)式(I)化合物がアミド基を含有する場合には、そのカルボン酸誘導体(−CONH→−COOH);を包含する。
【0033】
の定義を考慮すると、式(I)化合物は1つ以上の不斉炭素原子を含有するので、2種類以上の光学異性体として存在する。式(I)化合物がアルケニル若しくはアルケニレン基を含有する場合には、幾何シス/トランス(又はZ/E)異性体が可能であり、該化合物が、例えばケト若しくはオキシム基、又は芳香族部分を含有する場合には、互変異性(“tautomerism”)が起こりうる。その結果、単一化合物が2種類以上の異性を示す可能性がある。
【0034】
2種類以上の異性を示す化合物及びその1つ以上の混合物を含めて、式(I)化合物の全ての光学異性体、幾何異性体及び互変異性形は、本発明の範囲内に包含される。対イオンが、例えばD−乳酸塩若しくはL−リシンのような光学活性であるか、又は例えばDL−酒石酸塩若しくはDL−アルギニンのようなラセミ形である、酸付加塩若しくは塩基塩も包含される。
【0035】
シス/トランス異性体は、例えば、クロマトグラフィーや分別結晶のような、当業者に周知の慣用的方法によって分離することができる。
個々のエナンチオマーの製造/単離のための慣用的方法は、適当な、光学的に純粋な前駆物質からのキラル合成、又は例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた、ラセメート(若しくは、塩若しくは誘導体のラセメート)の分割を包含する。
【0036】
或いは、ラセメート(又はラセミ前駆物質)を適当な光学活性化合物、例えばアルコールと、又は式(I)化合物が酸部分若しくは塩基部分を含有する場合には、例えば酒石酸若しくは1−フェニルエチルアミンのような、酸若しくは塩基と反応させることができる。得られたジアステレオマー混合物はクロマトグラフィー及び/又は分別結晶によって分離することができ、ジアステレオマーの一方若しくは両方を、熟練者に周知の手段によって、対応する純粋なエナンチオマー(単数又は複数)に転化することができる。
【0037】
本発明のキラル化合物(及びそのキラル前駆物質)は、0〜50%のイソプロパノール、典型的には2〜20%と、0〜5%のアルキルアミン、典型的には0.1%のジエチルアミンを含有する炭化水素(典型的には、ヘプタン若しくはヘキサン)から成る移動相による不斉樹脂上でのクロマトグラフィー、典型的にはHPLCを用いて、エナンチオマー富化形(enantiomerically-enriched form)で得ることができる。溶出液を濃縮すると、該富化混合物が得られる。集塊状立体異性体(stereoisomeric conglomerates)は、当業者に知られた慣用的方法で分離することができる−例えば、"Stereochemistry of Organic Compounds" E L Eliel著(Wiley, New York, 1994)を参照のこと。
【0038】
本発明は、さらに、同じ原子番号を有するが、天然に通常見い出される原子質量若しくは質量数とは異なる原子質量若しくは質量数を有する原子によって、1つ以上の原子が置換されている、製薬的に受容される同位体標識式(I)化合物の全てを包含する。
【0039】
本発明の化合物に含めるために適した同位体の例は、水素の同位体、例えばHとH、炭素の同位体、例えば11C、13C及び14C、塩素の同位体、例えば36Cl、フッ素の同位体、例えば18F、ヨウ素の同位体、例えば123Iと125I、窒素の同位体、例えば13Nと15N、酸素の同位体、例えば15O、17O及び18O、リンの同位体、例えば32P、並びに硫黄の同位体、例えば35Sを包含する。
【0040】
ある一定の同位体標識式(I)化合物、例えば、放射性同位体を組み入れた式(I)化合物は、薬物及び/又は基質の組織分布研究に有用である。放射性同位体トリチウム、即ち、Hと、炭素−14、即ち、14Cは、それらの組み入れの容易さと容易な検出手段を考慮すると、この目的のために特に有用である。
【0041】
例えばデューテリウム、即ち、Hのような、より重い同位体による置換は、大きい代謝安定性、例えば、in vivo半減期の増加又は必要投与量の減少に起因する、ある一定の治療利益を与えることができるので、状況によっては好ましいと考えられる。
【0042】
例えば、11C、18F、15O及び13Nのような、陽電子放射同位体による置換は、基質レセプター占有を試験するための陽電子放射形トポグラフィー(PET)研究に使用可能である。
【0043】
同位体標識式(I)化合物は、一般に、当業者に知られた慣用的方法によって又は以下の実施例及び製造例に記載したプロセスと同様なプロセスによって、前に用いられた非標識試薬の代わりに、適当な同位体標識試薬を用いて製造することができる。
【0044】
本発明による、製薬的に受容される溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位体によって置換されることができる、例えば、DO、d−アセトン、d−DMSOであることができる溶媒和物を包含する。
【0045】
好ましい式(I)化合物は、実施例1〜94の化合物と;それらの製薬的に受容される塩、溶媒和物及び誘導体を包含する。特に好ましい式(I)化合物は、下記化合物:
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(3−メチル−1H−インダゾル−4−イルオキシ)−プロパン−1−オン;
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−[2−(2H−ピラゾル−3−イルアミノ)−キノリン−5−イルオキシ]−プロパン−1−オン;
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−イソキノリン−1−カルボン酸メチルアミド;
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(8−クロロ−2−メチルアミノ−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン;
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−[1−(2H−ピラゾル−3−イルアミノ)−イソキノリン−5−イルオキシ]−プロパン−1−オン;
4−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−3−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド;
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド;
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸アミド;
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸エチルアミド;
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸シクロプロピルアミド;及びこれらの製薬的に受容される塩、溶媒和物又は誘導体を包含する。
【0046】
以下の一般的プロセス及びスキームにおいて、R〜Rは、他に指定しない限り、前記で定義したとおりであり;Xはハロ又はヒドロキシであり;Yは、例えばクロロ、ブロモ、トシラート、メシラート又はヒドロキシのような、脱離基であり;DMFはN,N−ジメチルホルムアミドであり;DMSOはジメチルスルホキシドであり;THFはテトラヒドロフランであり;WSCDIは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩であり;DCCはN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドであり;HOATは1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールであり;HOBtは1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物であり;HBTUは、O−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロリン酸塩であり;PyBOP(登録商標)は、ベンゾトリアゾル−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロリン酸塩であり;PyBrOPは、ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム・ヘキサフルオロリン酸塩であり;Hunigs塩基は、N−エチルジイソプロピルアミンであり;そして、Mukaiyama試薬は、2−クロロ−1−メチルピリジニウム・ヨージドである。
【0047】
式(I)化合物は、同様な構造の化合物を製造するために知られた、任意の方法によって、製造することができる。
式(I)化合物と、それへの中間体は、以下のスキームによって製造することができる。
【0048】
式(I)化合物又はそれへの中間体の製造スキームに記載された方法の或るものが、可能な置換基の一部には適用できないことは、当業者によって理解されるであろう。
さらに、スキームに記載された変換を記載された順序とは異なる順序で行なって、又は変換の1つ以上を調節して、所望の式(I)化合物を得ることが必要であるか又は望ましいと考えられることは、当業者によって理解されるであろう。
【0049】
さらになお、以下のスキームに例示するように、式(I)化合物の合成におけるいずれかの段階において、好ましくない副反応を防ぐために分子中の1つ以上の感受性基を保護することが必要であるか又は望ましいと考えられることは、当業者によって理解されるであろう。特に、アミノ基を保護することが必要であるか又は望ましいと考えられる。式(I)化合物の製造に用いられる保護基は、慣用的方法で用いることができる。例えば、本明細書に援用される'Protective Groups in Organic Synthesis' Theodora W Green とPeter G M Wuts著 第3版, (John Wiley and Sons, 1999), 特に chapter 7, 494-653 頁("Protection for the Amino Group")に記載されている保護基を参照のこと、この文献はこのような基の除去方法も記載している。
【0050】
式(I)化合物及びそれへの中間体の製造においては、アミノ保護基、boc、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル及びアセチルが特に有用である。
スキーム1
【0051】
【化4】

【0052】
特にスキーム1に関連して、スキーム1に示した変換は次のように行なうことができる:
(a)〜(e)酸−アミン・カップリング反応
典型的に、式(V)、(VI)又は(VIII)で示される酸塩化物若しくは酸臭化物と、式(IV)、(VII)又は(IX)で示される適当なピペラジンを、場合によっては、例えばトリエチルアミン又はN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミンのような、過剰な酸受容体と共に、例えばハロアルカン(例えば、ジクロロメタン)又はエーテル(例えば、THF)のような溶媒中で、室温において1〜24時間反応させる。適切な(relevant)ピペラジンを1.1当量の適切な酸塩化物と、ジクロロメタン中で室温において1時間反応させることによって、該反応は好都合に行なわれることができる。
【0053】
他の実施態様では、例えばWSCDI/DCC及びHOBt/HOAtのような、適当な試薬によって活性化される、式(V)、(VI)又は(VIII)で示される酸と、式(IV)、(VII)又は(IX)で示される適当なピペラジンと、例えばトリエチルアミン又はN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミンのような、過剰な酸受容体とを、例えばハロアルカン(例えば、ジクロロメタン)又はエーテル(例えば、THF)又はDMFのような溶媒中で、室温において4〜48時間反応させる。この反応は、適切なピペラジンと、1.4当量のWSCDIと、1.4当量のHOBtと、2.2当量のトリエチルアミンと、1.1当量の適切なカルボン酸とを、ジクロロメタン中で室温において18時間反応させることによって、好都合に行なうことができる。
【0054】
さらに他の実施態様では、式(V)、(VI)又は(VIII)で示される酸と、式(IV)、(VII)又は(IX)で示される適当なピペラジンと、HBTU、PyBOP、PyBrOP又はMukaiyama試薬のいずれかと、例えばトリエチルアミン又はN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミンのような、過剰な酸受容体とを、例えばハロアルカン(例えば、ジクロロメタン)又はエーテル(例えば、THF)のような溶媒中で、室温において4〜24時間反応させることができる。この反応は、適切なピペラジンと、1.0当量の適切なカルボン酸と、1.5当量のHBTUとを、ジクロロメタン又はDMFのいずれか中で室温において14時間反応させることによって、好都合に行なうことができる。
【0055】
(f)求核置換反応
(i)Y=Cl、Br、メシラート、トシラートの場合:
典型的に、式(II)及び式(III)で示される化合物を、例えばトリエチルアミン、N−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン又はアルカリ金属炭酸塩のような酸受容体と、例えばハロアルカン(例えば、ジクロロメタン)、エーテル(例えば、THF)又はアセトンのような溶媒中で、室温から還流までの温度において1〜24時間反応させる。この反応は、式(II)及び式(III)で示される化合物を、1.0当量の炭酸セシウムと、アセトン中において還流下で14時間反応させることによって、好都合に行なうことができる。
【0056】
(ii)Y=OHの場合:
典型的に、式(II)及び式(III)で示される化合物と、トリフェニルホスフィン又はトリ−o−トリルホスフィンと、ジエチル・アゾジカルボキシレート又はジイソプロピルアゾジカルボキシレートのいずれかとを、例えばハロアルカン(例えば、ジクロロメタン)又はエーテル(例えば、THF)のような溶媒中で、室温から還流までの温度において1〜24時間反応させる。この反応は、式(II)及び式(III)で示される化合物を、1.2当量のトリフェニルホスフィン及び1.1当量のジイソプロピルアゾジカルボキシレートと、THF中で室温において14時間反応させることによって、好都合に行なうことができる。
【0057】
反応工程(a)と(d)における式(VI)化合物は、以下のスキーム1aによって製造することができる。
スキーム1a
【0058】
【化5】

【0059】
[式中、Rは、例えばC−Cアルキルのような、低級アルキルである]
(g)求核置換反応
上記工程(f)に関して記載した条件に従って、求核置換反応を行なうことができる。
【0060】
(h)エステル加水分解
典型的に、式(XI)化合物と、アルカリ金属水酸化物の水溶液又は塩酸水溶液と、任意の共溶媒、例えばエタノール又はジオキサンとを60〜100℃の温度で1〜18時間加熱する。この反応は、60℃に加熱された、1N水酸化ナトリウム水溶液とジオキサン中で式(XI)化合物を2時間加熱することによって、好都合に行なうことができる。
【0061】
ある一定の上記中間体は新規な化合物であり、本明細書における全ての新規な中間体が本発明のさらなる態様を形成することを理解すべきである。式(II)、(IV)及び(VII)で示される化合物は、重要な中間体であり、本発明の特定の態様を表す。
【0062】
式(III)、(V)、(VIII)、(IX)及び(X)で示される化合物は、既知化合物である、又は慣用的化学で製造することができるのいずれかである。
他の態様によると、本発明は、式(I)化合物の下記製造方法を提供する。
【0063】
第1プロセス(A)によると、式(I)化合物は、式(V):
【0064】
【化6】

【0065】
で示される酸を、式(IV):
【0066】
【化7】

【0067】
で示されるピペラジンと、慣用的な酸−アミン・カップリング条件下でカップリングさせることによって製造することができる。
便利には、酸−アミン・カップリングは、スキーム1、工程(a)〜(e)に関連して上述した条件下で行なわれる。
【0068】
第2プロセス(B)によると、式(I)化合物は、式(VI):
【0069】
【化8】

【0070】
で示される酸を、式(VII):
【0071】
【化9】

【0072】
で示されるピペラジンと、慣用的な酸−アミン・カップリング条件下でカップリングさせることによって製造することができる。
便利には、酸−アミン・カップリングは、スキーム1、工程(a)〜(e)に関連して上述した条件下で行なわれる。
【0073】
第3プロセス(C)によると、式(I)化合物は、慣用的条件下での式(III)で示されるアルコールROHによる、式(II):
【0074】
【化10】

【0075】
で示される化合物の求核置換反応によって製造することができる。便利には、求核置換反応は、スキーム1、工程(f)に関連して上述した条件下で行なわれる。
第4プロセス(D)によると、式(I)化合物は、他の式(I)化合物から、慣用的条件下での官能基相互交換によって製造することができる。例えば、エステル基を含有する式(I)化合物は、第1級又は第2級アミド基を含有する、対応する式(I)化合物に、前者をそれぞれアンモニア又は第1級アミンと反応させることによって、転化させることができる。
【0076】
本発明の化合物は、gp120とCD4との相互反応を阻害するので、HIV、遺伝的にHIVに関連するレトロウイルス感染症、及びAIDSの治療に有用である。
したがって、他の態様では、本発明は、薬剤として用いるための式(I)化合物、又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体を提供する。
【0077】
他の態様では、本発明は、HIV、遺伝的にHIVに関連するレトロウイルス感染症、又はAIDSの治療に用いるための式(I)化合物、又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体を提供する。
【0078】
他の態様では、本発明は、HIV、遺伝的にHIVに関連するレトロウイルス感染症、又はAIDSの治療用薬剤を製造するための式(I)化合物、又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体の使用を提供する。
【0079】
他の態様では、本発明は、HIV、遺伝的にHIVに関連するレトロウイルス感染症、又はAIDSに罹患した哺乳動物の治療方法であって、前記哺乳動物を有効量の式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体で治療することを含む方法を提供する。
【0080】
本発明の化合物は、結晶質又は非晶質生成物として投与することができる。本発明の化合物は、例えば、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥又は蒸発による乾燥のような方法によって、例えば、固体のプラグ、粉末又はフィルムとして得ることができる。マイクロ波又は無線周波数をこのために用いることができる。
【0081】
本発明の化合物は、単独で、又は1種類以上の他の本発明化合物と組み合わせて、又は1種類以上の他の薬物(若しくはその任意の組み合わせ)と組み合わせて投与することができる。一般に、本発明の化合物は、1種類以上の製薬的に受容される賦形剤と一緒に製剤として投与される。「賦形剤」なる用語は、本明細書では、本発明の化合物(単数又は複数)以外のいずれもの成分を表すために用いられる。賦形剤の選択は、例えば特定の投与形式、溶解性と安定性に対する賦形剤の効果、及び投与形の性質のような要因に大規模に依存する。
【0082】
本発明の化合物のデリバリーに適した薬剤組成物と、それらの製造方法は、当業者に容易に明らかになるであろう。このような組成物と、それらの製造方法は、例えば、'Remington's Pharmaceutical Sciences',19th Edition (Mack Publishing Company, 1995)に見い出すことができる。
【0083】
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように、嚥下を含むことができる、又は化合物が口腔から直接血流に入るように、頬側若しくは舌下投与を用いることができる。
【0084】
経口投与に適した製剤は、例えば錠剤;粒子、液体若しくは粉末を含有するカプセル剤;トローチ剤(液体充填を包含する);チュー;多粒子とナノ粒子;ゲル;固溶体;リポソーム;フィルム(粘膜接着剤を包含する);胚珠(ovules);スプレー;及び液体製剤を包含する。
【0085】
液体製剤は、懸濁液、溶液、シロップ及びエリキシル剤を包含する。このような製剤は、軟質又は硬質カプセル中の充填剤として用いることができ、典型的に、キャリヤー、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、又は適当な油と、1種類以上の乳化剤及び/又は懸濁化剤を含む。液体製剤は、例えばサシェ(sachet)からの固体の再構成によって製造することもできる。
【0086】
本発明の化合物は、例えばExpert Opinion in Therapeutic Patents, 11 (6), 981-986 Liang 及び Chen著 (2001)に記載されているような、迅速溶解性、迅速崩壊性投与形に用いることもできる。
【0087】
錠剤投与形に関しては、投与量に依存して、薬物は投与形の1〜80重量%を構成する、より典型的には、投与形の5〜60重量%を占めることができる。薬物の他に、錠剤は、一般に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例は、澱粉グリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、 カルボキシメチルセルロース・カルシウム、クロスカルメロース・ナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉、アルファ化澱粉及びアルギン酸ナトリウムを包含する。一般に、崩壊剤は、投与形の1〜25重量%、好ましくは5〜20重量%を占める。
【0088】
結合剤は、一般に、錠剤製剤に凝集性を与えるために用いられる。適当な結合剤は、微結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然及び合成ガム、ポリビニルピロリドン、アルファ化澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを包含する。錠剤はさらに、希釈剤、例えば、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物等)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、澱粉及び第2リン酸カルシウム二水和物を包含する。
【0089】
錠剤は、また場合によっては、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート80のような界面活性剤と、例えば二酸化ケイ素及びタルクのような流動促進剤(glidant)を含むことができる。存在する場合に、界面活性剤は、錠剤の0.2〜0.5重量%を占めることができ、流動促進剤は、錠剤の0.2〜1重量%を占めることができる。
【0090】
錠剤はまた、一般に、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物を含有する。滑沢剤は、一般に、錠剤の0.25〜10重量%、好ましくは0.5〜3重量%を占める。
【0091】
他の可能な成分には、酸化防止剤、着色剤、フレーバー剤、保存剤及び矯味剤(taste-masking agent)を包含する。
典型的な錠剤は、約80%までの薬物、約10〜約90重量%の結合剤、約0〜約85重量%の希釈剤、約2〜約10重量%の崩壊剤、及び約0.25〜約10重量%の滑沢剤を含有する。
【0092】
錠剤ブレンドを直接又はローラーによって圧縮成形して、錠剤を形成することができる。或いは、錠剤形成の前に、錠剤ブレンド又はブレンドの一部を湿式造粒、乾式造粒若しくは溶融造粒する、又は融解凝固させる(melt congealed)、又は押出成形する。最終の製剤は1つ以上の層を含むことができ、被覆することも、被覆しないことも可能である;最終製剤をカプセル化することさえ可能である。
【0093】
錠剤の製剤化は、"Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1", H. Lieberman と L. Lachman著 Marcel Dekker, N.Y., N.Y., 1980 (ISBN 0-8247-6918-X)に考察されている。
【0094】
経口投与用の固体製剤は、即時及び/又は調節放出するように製剤化することができる。調節放出製剤は、遅延−、持続−、パルス化−、制御−、目標放出及びプログラム化放出を包含する。
【0095】
本発明の目的に適した調節放出製剤は、米国特許No.6,106,864に記載されている。例えば、高エネルギー分散系と浸透圧性粒子及び被覆粒子のような、他の適当な放出技術の詳細は、Verma et al, Pharmaceutical Technology On-line, 25 (2), 1-14 (2001)に見い出すことができる。制御放出を達成するためのチューインガムの使用は、WO 00/35298に記載されている。
【0096】
本発明の化合物は、血流中、筋肉中、又は内臓中へ直接、投与することもできる。適当な非経口投与手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内及び皮下投与手段を包含する。非経口投与に適したデバイスは、針(微細針を包含する)注射器、無針注射器及び注入手法を包含する。
【0097】
典型的に、例えば塩、炭水化物のような賦形剤と、緩衝剤(好ましくは、3〜9のpHに)を含有することができる水溶液であるが、用途によっては、非経口製剤は、無菌非水溶液として又は、例えば発熱性物質を含まない無菌水のような、適当なビヒクルと共に用いる乾燥形として、より適切に製剤化することができる。
【0098】
例えば凍結乾燥による、無菌条件下での非経口製剤の製造は、当業者に周知の標準製薬法を用いて容易に達成することができる。
非経口溶液の製造に用いる、本発明の化合物の溶解性は、例えば溶解促進剤の組み込みのような、適当な製剤化技術を用いて高めることができる。
【0099】
非経口投与のための製剤は、即時及び/又は調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤は、遅延−、持続−、パルス化−、制御−、目標放出及びプログラム化放出を包含する。したがって、本発明の化合物は、該化合物を調節放出する移植デポー(implanted depot)として投与するための、固体、半固体又はチキソトロープ液体として製剤化することができる。このような製剤の例は、薬物被覆ステント(drug-coated stents)及びPGLAミクロスフェアを包含する。
【0100】
本発明の化合物は、皮膚又は粘膜に局所投与する、即ち、皮膚投与する又は経皮投与することも可能である。この目的のための局所製剤は、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、ダスチング粉末(dusting powders)、ドレッシング(dressings)、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウェファー、インプラント、スポンジ、ファイバー、バンドエージ及びマイクロエマルジョンを包含する。リポソームを用いることもできる。典型的なキャリヤーは、アルコール、水、鉱油、液体ペトロラタム、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを包含する。浸透促進剤を組み込むことも可能である――例えば、J Pharm Sci, 88 (10), 955-958 Finnin と Morgan 著(October 1999)を参照のこと。
【0101】
局所投与の他の手段は、エレクトロポレーション、イオントフォレシス、フォノフォレシス、ソノフォレシス及び極微針若しくは無針(例えば、PowderjectTM, BiojectTM, 等)注射によるデリバリーを包含する。
【0102】
局所投与用の製剤は、即時及び/又は調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤は、遅延−、持続−、パルス化−、制御−、目標放出及びプログラム化放出を包含する。
【0103】
本発明の化合物は、典型的には乾燥粉末の形態で(単独で、混合物として、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンドとして、又は、例えばホスファチジルコリンのようなリン脂質を混合した、混合成分粒子として)乾燥粉末吸入器から、又は加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、微細ミストを生じるために電気流体力学を用いるアトマイザー)若しくはネブライザーから、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンのような、適当な噴射剤を用いて若しくは用いずに、エアロゾル・スプレーとして、鼻腔内に又は吸入によっても投与することができる。鼻腔内に用いるために、該粉末は、生体接着剤(bioadhesive agent)、例えば、キトサン又はシクロデキストリンを含むことができる。
【0104】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー又はネブライザーは、化合物、噴射剤(単数又は複数)を分散、懸濁若しくは持続放出させるための溶媒としての、例えばエタノール(場合によっては、エタノール水溶液)若しくは適当な代替剤、及び任意の界面活性剤、例えばソルビタン・トリオレエート、オレイン酸若しくはオリゴ乳酸を含む、化合物の溶液又は懸濁液を含有する。
【0105】
乾燥粉末又は懸濁液製剤に用いる前に、薬物生成物を、吸入によるデリバリーに適したサイズ(典型的に、5ミクロン未満)に微粉砕する。このことは、任意の適当な粉砕方法、例えばスパイラル・ジェット・ミリング、流動床ジェット・ミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界流体プロセシング、高圧ホモジナイゼーション又は噴霧乾燥によって達成することができる。
【0106】
カプセル(例えば、ゼラチン又はHPMCから製造)、ブリスター及び、吸入器又は吹き入れ器に用いるためのカートリッジは、本発明の化合物、適当な粉末基剤(例えば、ラクトース若しくは澱粉)及び性能調節剤(performance modifier)(例えば、L−ロイシン、マンニトール又はステアリン酸マグネシウム)の粉末ミックスを含有するように製剤化することができる。ラクトースは無水であるか又は一水和物の形態であることができ、好ましくは後者である。他の適当な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース及びトレハロースが包含される。
【0107】
微細ミストを生じるために電気流体力学を用いるアトマイザーに使用するための適当な溶液製剤は、作動当り本発明の化合物1μg〜20mgを含有することができ、作動量は1μlから100μlまで変化することができる。典型的な製剤は、本発明の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール及び塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに用いることができる代替溶媒は、グリセロール及びポリエチレングリコールを包含する。
【0108】
例えばメントール(menthol)とレボメントール(levomenthol)のような、適当なフレーバー剤、又は例えばサッカリン若しくはサッカリン・ナトリウムのような甘味剤を、吸入/鼻腔内投与を予定したような、本発明の製剤に加えることができる。
【0109】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、例えば、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコール酸(PGLA)を用いて、即時及び/又は調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤は、遅延−、持続−、パルス化−、制御−、目標及びプログラム化放出を包含する。
【0110】
乾燥粉末吸入器及びエアロゾルの場合には、定量(metered amount)をデリバリーするバルブを用いて、投与量単位を決定する。本発明による単位は、典型的に、本発明の化合物1μg〜10mgを含有する定量又は「パフ(puff)」を投与するようにアレンジされる。総一日量は典型的には1μg〜200mgの範囲内であり、これは単回量として又は、より通常は、一日を通しての分割量として投与することができる。
【0111】
本発明の化合物は、直腸から又は膣から、例えば座薬、ペッサリー又は浣腸剤の形態で投与することができる。カカオ脂が伝統的な座薬基剤であるが、種々な代替物を適当なものとして用いることができる。
【0112】
直腸/膣内投与のための製剤は、即時及び/又は調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤は、遅延−、持続−、パルス化−、制御−、目標及びプログラム化放出を包含する。
【0113】
本発明の化合物は、眼又は耳に直接、典型的に、pH調節した等張性滅菌生理食塩水中の微粉砕懸濁液又は溶液の点滴剤の形態で投与することもできる。眼又は耳投与に適した、他の製剤は、軟膏、生分解可能な(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)及び生分解不能な(例えば、シリコーン)インプラント、ウェファー、レンズ、及び粒状若しくは嚢状系、例えば、ニオソーム(niosomes)又はリポソームを包含する。例えば、架橋したポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、若しくはメチルセルロース、又はヘテロ多糖ポリマー、例えばゲランガムのようなポリマーを、例えば塩化ベンザルコニウムのような保存剤と共に組み入れることができる。このような製剤をイオントフォレシスによってデリバリーすることもできる。
【0114】
眼/耳投与のための製剤は、即時及び/又は調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤は、遅延−、持続−、パルス化−、制御−、目標及びプログラム化放出を包含する。
【0115】
本発明の化合物は、上記投与形式のいずれかでの使用に関して、それらの溶解性、溶解速度、味遮蔽、バイオアベイラビリティ及び/又は安定性を改良するために、例えば、シクロデキストリン及びその適切な誘導体又はポリエチレングリコール含有ポリマーのような、溶解性マクロ分子実体と組み合わせることができる。
【0116】
例えば、薬物−シクロデキストリン錯体は、大抵の投与形及び投与ルートのために一般的に有用であると見い出されている。包接錯体と非包接錯体の両方が使用可能である。薬物との直接錯化の代替手段として、シクロデキストリンを補助添加剤として、即ち、キャリヤー、希釈剤又は可溶化剤として用いることができる。これらの目的のために最も一般的に用いられるのは、α−、β−及びγ−シクロデキストリンであり、その例は、国際特許出願No.WO91/11172、WO94/02518及びWO98/55148に見い出すことができる。
【0117】
例えば、特定の疾患又は状態を治療するために、本発明の化合物を別の治療剤と組み合わせて投与することが望ましいと考えられる限りで、2種類以上の薬剤組成物(少なくともその一方は、本発明の化合物を含有する)を、該組成物の共投与に適したキットの形態で便利に組み合わせることができることは、本発明の範囲内である。
【0118】
したがって、本発明のキットは、2種類以上の別々の薬剤組成物(少なくともその1つは、式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体を含有する)と、例えば容器、分割ボトル又は分割ホイルパケットのような、前記組成物を別々に保持する手段を含む。このようなキットの例は、錠剤の包装のために用いられる熟知のブリスターパック、カプセル等である。
【0119】
本発明のキットは、例えば経口と非経口のような、異なる投与形を投与するため、又は別々の組成物を異なる投与間隔で投与するため、又は別々の組成物を相互に対して滴定するため(for titrating the separate compositions against one another)に特に適している。コンプライアンスを助けるために、該キットは通常、投与の指示を含み、いわゆるメモリーエイドを備えることができる。
【0120】
約65〜70kgの体重を有するヒト患者に投与のために、本発明の化合物の総一日量は、当然、投与形式、患者の年齢、状態及び体重に依存して、典型的に、1mg〜10000mgの範囲内、例えば10〜1000mg、例えば25〜500mgであり、いずれにせよ、医師の最終的判断に任せられる。総一日量は、単回投与で又は分割投与で投与することができる。
【0121】
したがって、本発明の他の実施態様は、式(I)化合物、その製薬的に受容される塩、溶媒和物又は誘導体を、1種類以上の製薬的に受容される賦形剤、希釈剤又はキャリヤーと共に含む薬剤組成物を提供する。
【0122】
式(I)化合物類とそれらの製薬的に受容される塩、溶媒和物及び誘導体は、先行技術の化合物に比べて、それらがより選択的であり、より迅速に作用開始し、より強力であり、より良好に吸収され、より安定であり、より代謝耐性であり、低い「食物効果(food effect)」を有し、改良された安全性プロフィルを有する、又は他のより望ましい性質(例えば、溶解性又は吸湿性に関する)を有するという利点を有する。
【0123】
式(I)化合物類とそれらの製薬的に受容される塩、溶媒和物及び誘導体は、単独でも又は併用療法の一部としても投与することができる。したがって、1種類以上の付加的な治療剤の共投与及び、本発明の化合物に加えて、1種類以上の付加的な治療剤を含有する組成物を含む実施態様も、本発明の範囲内に包含される。しばしば、併用療法と呼ばれる、このような多重薬物投与計画は、ヒト免疫不全ウイルス、HIVによる感染症の治療及び予防に用いることができる。このような併用療法の使用は、治療を必要とする患者又はこのような患者になる危険状態にある患者におけるヒト免疫不全ウイルス、HIV及び関連病原性レトロウイルスの感染及び増殖の治療と予防に関して、特に適切である。このようなレトロウイルス病原体が、前記患者に投与されている、いずれの単独療法にも耐性の菌株に比較的短時間内に発展する可能性は、文献で周知である。HIVの望ましい治療法は、抗HIV薬による強力な併用療法(Highly Active Anti-Retroviral Therapy)又はHAARTと呼ばれる併用薬物治療法である。HAARTは、3種類以上のHIV薬を組み合わせる。したがって、本発明の治療方法と薬剤組成物は、単独療法の形態で本発明の化合物を用いることができるが、前記方法と組成物は、例えばさらに本明細書で詳述する治療剤のような付加的な治療剤の1種類以上と組み合わせて、1種類以上の本発明の化合物を共投与する併用療法の形態で、用いることもできる。
【0124】
本発明の他の実施態様では、本発明の併用治療は、式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体を下記:非限定的に、インジナビル、リトナビル、サクイナビル、ネルフィナビル、ロピナビル、アンプレナビル、アタザナビル、チプラナビル、AG1859及びTMC114を包含するHIVプロテアーゼ阻害剤;非限定的に、ネビラピン、デラビルジン、カプラビリン、エファビレンズ、GW−8248、GW−5634及びTMC125を包含する非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTIs);非限定的に、ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、アバカビル、アデホビル、ジピボキシル、テノフォビル、エムトリシタビン及びアロブジンを包含するヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤;非限定的に、N−{(1S)−3−[3−(3−イソプロピル−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾル−4−イル)−エキソ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−1−フェニルプロピル}−4,4−ジフルオロシクロヘキサンカルボキサミド又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、メチル・1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボキシレート又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、メチル・3−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボキシレート又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、エチル・1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボキシレート又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、Sch−D、ONO−4128、GW−873140、AMD−887及びCMPD−167を包含するCCR5アンタゴニスト;非限定的に、BMS806及びBMS−488043を包含する、gp120とCD4との相互作用を阻害する他の作用剤;非限定的に、エンフビリチド、T1249、PRO542及びPRO140を包含する、標的細胞中へのHIVの侵入を阻害する他の作用剤;非限定的に、L−870,810を包含するインテグラーゼ阻害剤;並びにRNアーゼH阻害剤;から選択される、1種類以上の付加的治療剤とによる治療を包含する。
【0125】
例えばヒドロキシ尿素のような増殖阻害剤;例えば顆粒球マクロファージ・コロニー刺激成長因子(例えば、サルグラモスチン)及び種々な形のインターフェロン又はインターフェロン誘導体のような免疫調節剤;例えばCXCR4アンタゴニスト(例えば、AMD−070)のような、他のケモカイン・レセプター・アゴニスト/アンタゴニスト;タキキニン・レセプター調節剤(例えば、NK1アンタゴニスト)及び種々な形のインターフェロン又はインターフェロン誘導体;例えば、tat(転写トランス作用因子)若しくはnef(負の制御因子)の阻害剤のような、ウイルス転写又はRNA複製を実質的に阻害する、中断させる又は低下させる作用剤;例えばTat若しくはNefのような逆転写酵素以外の、ウイルスによって発現される1つ以上のタンパク質の翻訳を実質的に阻害する、中断させる又は低下させる作用剤(非限定的に、タンパク質発現のダウンレギュレーション又は1つ以上のタンパク質のアンタゴニズムを包含する);CCR5レセプター発現に影響を及ぼす、特にCCR5レセプター発現をダウンレギュレートする作用剤;例えば、MIP−1α、MIP−1β、RANTES及びこれらの誘導体のような、CCR5レセプター内在化を誘導するケモカイン;並びに、ウイルス感染を抑制する、又は異なるメカニズムによってHIV感染した個体の状態若しくは予後を改善する、他の作用剤;から成る群から独立的に選択される、1種類以上の付加的な治療剤と一緒にした、式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体の組み合わせも、本発明の範囲内に包含される。
【0126】
CCR5レセプター発現に影響を及ぼす(特に、CCR5レセプター発現をダウンレギュレートする)作用剤は、例えば、カルシノイリン阻害剤(例えば、タクロリムスとサイクロスポリンA)のような免疫抑制剤;ステロイド;例えば、Janus Kinase(JAK)阻害剤(例えば、JAK−3阻害剤、これは3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロピオニトリル)及びその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体を包含する)のような、サイトカイン産生又はシグナリングを妨害する作用剤;サイトカイン抗体(例えば、バシリキシマブ及びダクリズマブを包含する、インターロイキン−2(IL−2)レセプターを阻害する抗体);並びに、例えばラパマイシンのような、細胞活性化又は細胞周期を妨害する作用剤を包含する。
【0127】
本発明の化合物の代謝速度を遅らせて、それによって患者内での暴露を延長させる(このような方法で暴露を延長させることは、ブースティングとして知られる)付加的な治療剤の1種類以上と一緒にした、式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体の組み合わせも、本発明の範囲内に包含される。このことは、本発明の化合物の効力を高める又はブースティングされない投与量と同じ効力に達するために必要な投与量を減少させるという利点を有する。本発明の化合物の代謝は、P450(CYP450)酵素、特にCYP3A4によって行なわれる酸化プロセスと、UDPグルクロノシル・トランスフェラーゼ及び硫酸化酵素によるコンジュゲーションを包含する。したがって、本発明の化合物への患者の暴露を延長させるために用いることができる作用剤には、サイトクロムP450(CYP450)酵素の少なくとも1種類のアイソフォームの阻害剤として作用することができる作用剤が含まれる。有利に阻害されうる、CYP450のアイソフォームは、非限定的に、CYP1A2、CYP2D6、CYP2C9、CYP2C19及びCYP3A4を包含する。CYP3A4を阻害するために用いられうる、適当な作用剤は、非限定的に、リトナビル、サクイナビル又はケトコナゾールを包含する。
【0128】
本明細書で上述した併用薬物治療が、同じ又は異なる作用機序を有する、2種類以上の化合物を含むことができることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、説明のためのみに、組み合わせは、本発明の化合物と;1種類以上のNNRTIs;1種類以上のNRTIsとPI;1種類以上のNRTIsとCCR5アンタゴニスト;PI;PIとNNRTI等を含むことができる。
【0129】
本発明の化合物の他に治療剤の使用を必要としうる、治療効果の必要条件の他に、例えば、基底的又は根本的疾患若しくは状態から直接生じる或いは基底的又は根本的疾患に間接的に付随する疾患若しくは状態の治療におけるように、本発明の化合物と別の治療剤との組み合わせの使用を強要する又は強く勧める、他の理論的根拠が存在する可能性がある。例えば、肝炎Cウイルス(HCV)、肝炎Bウイルス(HBV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、日和見感染症(細菌感染症と真菌感染症を包含する)、新生物、及び治療される患者の免疫障害が起きた状態(immune-compromised state)の結果として生じる他の状態を治療することが必要でありうるか、又は少なくとも望ましいことがありうる。例えば、免疫刺激を与えるために又は初期の根元的なHIV感染に付随する痛み及び炎症を治療するために、本発明の化合物と共に、他の治療剤を用いることができる。
【0130】
したがって、式(I)化合物類と、それらの製薬的に受容される塩、溶媒和物及び誘導体と組み合わせて用いるための治療剤はさらに、肝炎の治療のためのインターフェロン、ペギレイテッド・インターフェロン(pegylated interferon)(例えば、ペグインターフェロン(peginterferon)α−2aとペグインターフェロンα−2b)、ラミブジン、リバビリン及びエムトリシタビン;例えば、フルコナゾール、イトラコナゾール及びボリコナゾールのような抗真菌薬;例えば、アジスロマイシンとクラリスロマイシンのような抗菌薬;AIDS関連カポジ肉腫の治療のためのインターフェロン、ダウノルビシン、ドキソルビシン及びパクリタキセル;並びにサイトメガロウイルス(CMV)網膜炎の治療のためのシドホビル、ホミビルセン、フォスカルネット、ガンシクロビル及びバルサイトをも包含する。
【0131】
本発明によって用いるための他の組み合わせは、式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体と、例えばBX−471のようなCCR1アンタゴニスト;例えばサルメテロールのようなベータ・アドレノセプター・アゴニスト(beta adrenoceptor agonist);例えばプロピオン酸フルチカゾンのようなコルチコステロイド・アゴニスト;例えばモンテルカストのようなLTD4アンタゴニスト;例えば臭化チオトロピウムのようなムスカリン受容体拮抗剤;例えばシロミラスト又はロフルミラストのようなPDE4阻害剤;例えばセレコキシブ、バルデコキシブ又はロフェコキシブのようなCOX−2阻害剤;例えばガバペンチン又はプレガバリンのようなα−2−δリガンド;例えばREBIFのようなβ−インターフェロン;例えばTNF−α阻害剤(例えば、アダリムマブ)のようなTNFレセプター調節剤、例えばスタチン(例えば、アトルバスタチン)のようなHMG CoAレダクターゼ阻害剤;或いは例えばサイクロスポリンのような免疫抑制剤、又は例えばタクロリムスのようなマクロライドとの組み合わせを包含する。
【0132】
上記組み合わせにおいて、式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体と、他の治療剤(単数又は複数)とを、投与形の点では、別々に又は相互に一緒に、投与することができ;それらの投与時間の点では、同時に又は連続的に投与することができる。このように、1つの成分作用剤の投与は、他の成分作用剤(単数又は複数)の投与の前、該投与と同時に、又は該投与の後であることができる。
【0133】
したがって、他の態様では、本発明は、式(I)化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体と、1種類以上の付加的治療剤を含む薬剤組成物を提供する。
本明細書中の治療に関する言及の全てが、治癒的、緩和的及び予防的治療を包含することを理解すべきである。
【0134】
本発明を下記実施例と製造例によって例示するが、該実施例と製造例においては下記のさらなる略号を用いる可能性がある:
0.88アンモニア=濃水酸化アンモニウム溶液、0.88SG
h=時間
min=分間
LRMS=低分解能質量スペクトル
APCl+=大気圧化学イオン化
ESI+=エレクトロスプレー・イオン化
NMR=核磁気共鳴
tlc=薄層クロマトグラフィー
Me=メチル
【0135】
実施例1
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0136】
【化11】

【0137】
N,N−ジメチルホルムアミド(30ml)中の(2S)−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロピオン酸ナトリウム塩(製造例2)(1.0g,4.6mmol)と、(3R)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル−メタノン(J.Med. Chem. (2000), 43 (23), 4499)(0.94g,4.6mmol)と、O−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(2.62g,6.9mmol)と、トリエチルアミン(1.93ml,13.8mmol)との溶液を窒素雰囲気下、室温において14時間撹拌した。この反応混合物をジクロロメタン(100ml)で希釈し、水(3x50ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール(98:2)で溶出して、標題化合物を白色固体(0.91g)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ: 8.90 (1H, m), 8.60(1H, m), 7.70(1H, m), 7.55 (1H, m), 7.20-7.40 (6H, m), 6.85 (1H, m), 5.15 (1H, m), 4.80-2.80 (7H, m), 1.70 (3H, d), 0.90 (3H, brs) ppm.
LRMS(APCI+) : m/z [M+H]+ 404.
【0138】
実施例2
3−[2−((2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル)−1−メチル−2−オキソ−エトキシ]−2−メチル−安息香酸メチルエステル
【0139】
【化12】

【0140】
アセトン(10ml)中の1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−ブロモ−プロパン−1−オン(製造例3)(0.41g,1.2mmol)と、3−ヒドロキシ−2−メチル−安息香酸メチルエステル(Tet. Lett. (2000), 41 (11), 1741)(0.2g,1.2mmol)との溶液に、炭酸セシウム(0.39g,1.2mmol)を少量ずつ加えて、混合物を還流下で14時間加熱した。冷却した反応混合物を減圧下で蒸発乾燥させて、残渣をジクロロメタン(50ml)と水(50ml)とに分配した。有機相を分離し、水相をジクロロメタン(3x30ml)で抽出し、一緒にした有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で蒸発させて、標題化合物を白色固体(0.5g)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ: 7.50-7.30 (6H, m), 7.15(1H, m), 6.95 (1H, m), 4.95 (1 H, m), 4.80-2.80 (7H, m), 3.90 (3H, s), 2.40 (3H, s), 1.65 (3H, d), 1.20 (3H, brs)ppm.
LRMS(APCI+) : m/z [M+H]+ 425.
【0141】
実施例3〜12は、実施例1に関して上述した方法によって、式(VI)で示される対応酸と、式(VII)で示されるピペラジンを用いて製造した。LRMSはAPCI+によってであり、引用したデータは[M+H]に関してである。
【0142】
【化13】

【0143】
【化14】

【0144】
実施例13〜45は、実施例2に関して上述した方法によって、式(II)で示される対応化合物と、ROHを用いて製造した。特に指定しない限り、LRMSはAPCI+によってであり、引用したデータは[M+H]に関してである。
【0145】
【化15】

【0146】
【化16】

【0147】
【化17】

【0148】
【化18】

【0149】
【化19】

【0150】
【化20】

【0151】
実施例46
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−[2−メトキシ−4−(2H−[1.2.4]トリアゾル−3−イル)−フェノキシ]−プロパン−1−オン
【0152】
【化21】

【0153】
氷酢酸(4ml)中のヒドラジン一水和物(25μl,0.52mmol)の撹拌した溶液に、製造例10の化合物(125mg,0.26mmol)を少量ずつ加えた。得られた溶液を90℃において3時間加熱した。この反応混合物を次に、減圧下で蒸発させ、残留する無色油状物をジクロロメタン(50ml)と飽和炭酸水素ナトリウム溶液(8ml)とに分配した。有機相を分離し、水相をジクロロメタン(30ml)で再抽出した。一緒にした有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、無色フォームを得た。該フォームを減圧下で乾燥させて、標題化合物を94%収率で得た(110mg)。LRMS(ES+) m/z [M+H]+450
【0154】
実施例47
1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−[2−メチル−3−(1−メチル−1H−ピラゾル−3−イル)−フェノキシ]−プロパン−1−オン
【0155】
【化22】

【0156】
アセトン(8ml)中の製造例17の化合物(100mg,0.53mmol)と、製造例25の化合物(180mg,0.53mmol)と、炭酸セシウム(172.7mg,0.53mmol)とを還流下で3.5時間加熱した。次に、この反応混合物を冷却して、減圧下で蒸発させた。残渣をジクロロメタン(30ml)と水(8ml)とに分配した。有機相を分離し、水相をさらなるジクロロメタン(30ml)で再抽出した。一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、明褐色油状物を得た。この油状物をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラムを用いてクロマトグラフィーして、ジクロロメタン:メタノール(99:1〜97:3)で溶出して、無色油状物を得た。この油状物をジクロロメタンと共に共沸蒸留して、標題化合物を無色フォームとして89%収率で得た(210mg)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+447
【0157】
実施例48
1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−3−[1.2.4]オキサジアゾル−5−イル−フェノキシ)−プロパン−1−オン
【0158】
【化23】

【0159】
製造例29の化合物(280mg,0.62mmol)を、氷酢酸(3ml)とジオキサン(3ml)との混合物中で90℃において3.5時間加熱した。該混合物を次に冷却させ、減圧下で蒸発させて、黄色油状物を得た。該油状物を酢酸エチル(50ml)中に溶解し、10%炭酸ナトリウム溶液(10ml)と水(10ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、無色フォームを得た。該フォームをIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上で精製して、ジクロロメタン:メタノール(99:1〜97:3)で溶出して、無色油状物を得た。この油状物をジクロロメタンと共に共沸蒸留して、標題化合物を無色フォームとして44%収率で得た(118mg)。
LRMS(ES-): m/z [M-H]-433
【0160】
実施例49
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−[3−(2H−ピラゾル−3−イル)−フェノキシ]−プロパン−1−オン
【0161】
【化24】

【0162】
テトラヒドロフラン(8ml)中の製造例23の化合物(130mg,0.56mmol)の溶液に、(3R)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル−メタノン[(114mg,0.56mmol),J.Med.Chem. 43(23), 4499;2000]と、3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン(167.5mg,0.56mmol)と、トリエチルアミン(78μl,0.56mmol)を加え、得られた溶液を室温において48時間撹拌した。次に、この混合物を酢酸エチル(30ml)で希釈し、水(10ml)、10%クエン酸(10ml)、水(10ml)及び炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させて、真空中で濃縮した。残渣をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上で精製し、ジクロロメタン:メタノール(98:2〜96:4)で溶出して、無色フォームを得た。該フォームをジクロロメタンと共に共沸蒸留して、減圧下で乾燥させて、標題化合物を85%収率で得た(198mg)。
LRMS(ES-): m/z [M-H]- 417
【0163】
実施例50
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−[2−メチル−3−(2H−ピラゾル−3−イル)−フェノキシ]−プロパン−1−オン
【0164】
【化25】

【0165】
実施例49に関して上述した方法によって、製造例24の化合物と(3R)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル−メタノン(J.Med.Chem.43(23),4499;2000)を用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(ES-): m/z [M-H]- 431
【0166】
実施例51
1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−[4−(1H−イミダゾル−2−イル)−2−メトキシ−フェノキシ]−プロパン−1−オン
【0167】
【化26】

【0168】
N,N−ジメチルホルムアミド(4ml)中の製造例33の化合物(30mg,0.16mmol)と、製造例25の化合物(53.5mg,0.16mmol)と、炭酸セシウム(51.3mg,0.16mmol)を、80℃において18時間加熱した。反応混合物を冷却させ、次に、減圧下で蒸発させて、残渣をジクロロメタン(30ml)と水(8ml)とに分配した。水相を分離し、ジクロロメタン(30ml)で再抽出した。一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させて、真空中で濃縮した。残渣をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上で精製し、ジクロロメタン:メタノール(99:1〜95:5)で溶出して、標題化合物をベージュ色フォームとして74%収率で得た(52mg)。
LRMS(ES): m/z [M+H] 449
【0169】
実施例52〜53
下記一般構造で示される次の化合物は、実施例51に関して上述した方法によって、製造例25の化合物と適当なフェノールを用いて製造した。
【0170】
【化27】

【0171】
実施例54〜57
以下に示す一般構造で示される下記化合物は、実施例51に関して上述した方法によって、製造例25の化合物と適当なフェノールを用いて製造した。
【0172】
【化28】

【0173】
実施例54:製造例67に記載するように製造したフェノール。
実施例55:製造例68に記載するように製造したフェノール。
実施例56:6−メトキシ−2−ナフトールは商業的に入手可能である。
実施例57:5−ヒドロキシ−1−ナフタレン・スルホンアミドは商業的に入手可能である。
【0174】
実施例58
1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(4−メタンスルホニル−2−メトキシ−フェノキシ)−プロパン−1−オン
【0175】
【化29】

【0176】
メタノール(4ml)中の実施例54の化合物(100mg,0.23mmol)の溶液に、水(2ml)中のオキソン(215mg,0.35mmol)の溶液を加えて、この混合物を室温において18時間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を水(20ml)とジクロロメタン(20ml)とに分配した。水層を分離し、ジクロロメタン(30ml)で再抽出した。一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させて、真空中で濃縮した。残渣をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上で精製し、ジクロロメタン:メタノール(95:5)で溶出して、標題化合物を白色固体として76%収率で得た(80mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 461
【0177】
実施例59
N−{4−[2−(2R)−(4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル)−1−メチル−2−オキソ−エトキシ]−3−メトキシ−フェニル}−メタンスルホンアミド
【0178】
【化30】

【0179】
ジクロロメタン(3ml)中の製造例30の化合物(150mg,0.38mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.08ml,0.57mmol)を加えて、この混合物を氷浴中で冷却した。塩化メタンスルホニル(0.03ml,0.42mmol)を滴加し、この反応混合物を室温において18時間撹拌させた。次に、この混合物をさらなるジクロロメタン(20ml)で希釈して、水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させて、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、酢酸エチル:メタノール(98:2)で溶出して、標題化合物を白色固体として49%収率で得た(88mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+476
【0180】
実施例60
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(2−クロロ−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−イル
【0181】
【化31】

【0182】
オキシ塩化リン(5ml)中の製造例46の化合物(1.8g,4.3mmol)の溶液を100℃において2時間加熱した。次に、この反応混合物を室温に冷却し、減圧下で蒸発させた。残渣をジクロロメタン(20ml)中に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10ml)と水(2x10ml)で洗浄した。水相を1M水酸化ナトリウム溶液で塩基性化し、酢酸エチルで再抽出した。次に、一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させて、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ペンタン:酢酸エチル(20:80〜0:100)で溶出して、標題化合物を淡黄色固体として31%収率で得た(580mg)。
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ: 1.00-1.40 (m, 3H), 1.70-1.80 (m, 3H), 2.80-4.80 (m, 7H), 5.20 (m,1H), 6.90 (m,1H), 7.20-7.45 (m, 6H), 7.55-7.70 (m, 2H), 8.55 (d,1H) LRMS(APCI+): m/z[M+H]+438
【0183】
実施例61〜62
ジメチルスルホキシド(1ml)中の実施例60の化合物(30mg,0.069mmol)と、フッ化テトラブチルアンモニウム(18mg,0.14mmol)と、トリエチルアミン(96μl,0.69mmol)と、適当なアミン(0.69mmol)との混合物を100℃において24時間加熱した。次に、この反応混合物を直接、Phenomenex Luna C18 系を用いるHPLCによって精製して、水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(5:95:0.1):アセトニトリル(95:5〜5:95)で溶出して、下記一般式で示される目的生成物を得た:
【0184】
【化32】

【0185】
実施例63
1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(1−クロロ−イソキノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0186】
【化33】

【0187】
実施例60に関して上述した方法によって、製造例63の化合物とオキシ塩化リンを用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+438
【0188】
製造例64〜65
ジメチルスルホキシド(1ml)中の実施例63の化合物(45mg,0.1mmol)と、フッ化テトラブチルアンモニウム(27mg,0.2mmol)と、トリエチルアミン(140μl,1mmol)と、適当なアミン(1mmol)との混合物を130℃において24時間加熱した。次に、この反応混合物を直接、Phenomenex Luna C18 系を用いるHPLCによって精製して、水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(5:95:0.1):アセトニトリル(95:5〜5:95)で溶出して、下記一般式で示される目的生成物を得た:
【0189】
【化34】

【0190】
実施例66
(2S)−2−(2−アミノ−キノリン−5−イルオキシ)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン
【0191】
【化35】

【0192】
エタノール(1ml)中の製造例49の化合物(15mg,0.03mmol)の溶液に、10%Pd/C(触媒)と蟻酸アンモニウム(10mg,0.15mmol)を加えて、この混合物を70℃において2時間加熱した。追加の蟻酸アンモニウム(10mg,0.15mmol)とPd(OH)(触媒)を加えて、この反応混合物を還流下でさらに18時間加熱した。次に、この混合物を冷却し、Arbocel(登録商標)に通して濾過し、エタノール(10ml)で完全に洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、残渣を、Phenomenex Luna C18 系を用いるHPLCによって精製して、水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(5:95:0.1):アセトニトリル(95:5〜5:95)で溶出して、標題化合物を77%収率で得た(9.7mg)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 419
【0193】
実施例67
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(8−クロロ−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0194】
【化36】

【0195】
アセトニトリル(3ml)中の製造例42の化合物(30mg,0.07mmol)とN−クロロスクシンイミド(11mg,0.08mmol)との混合物を40℃において48時間加熱した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させて、残渣を酢酸エチル(5ml)中で溶解し、水(2x5ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色残渣を得た。この残渣を、Phenomenex Luna C18 系を用いるHPLCによって精製して、水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(5:95:0.1):アセトニトリル(95:5〜5:95)で溶出して、標題化合物を固体として32%収率で得た(9.7mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 438
【0196】
実施例68〜69
下記一般構造で示される次の化合物は、実施例67に関して上述した方法によって、適当な出発物質とN−クロロスクシンイミドを用いて製造した。
【0197】
【化37】

【0198】
実施例68と69は、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ジクロロメタン:メタノール(99:1〜96:4)で溶出した。
【0199】
実施例70と71
製造例60の化合物と、1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン・ビス(テトラフルオロボレート)とから、実施例67と同様な製造方法を用いて、該化合物を製造した。該化合物を、Phenomenex Luna C18(2) カラム150x15mm(10ミクロン粒度、100Å孔度)を用いるHPLCによって、アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸(5:95:0.1)[溶媒A]とアセトニトリル[溶媒B]との2溶媒溶離剤を用いて精製した。溶媒勾配を以下の表に示すように20ml/分の流量でランする。
【0200】
【化38】

【0201】
実施例72
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(8−メチル−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0202】
【化39】

【0203】
N,N−ジメチルホルムアミド(4ml)中の製造例44の化合物(200mg,0.4mmol)と、メチルボロン酸(74mg,1.2mmol)と、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(29mg,0.04mmol)と、炭酸カリウム(229mg,1.6mmol)との混合物を、100℃において18時間加熱した。tlc分析は、反応が不完全であることを示したので、追加量のメチルボロン酸(74mg)と、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(29mg)を加えて、この混合物を100℃においてさらに24時間撹拌させた。次に、この反応混合物をArbocel(登録商標)に通して濾過し、酢酸エチル(25ml)と水(3x20ml)で完全に洗浄した。層を分離し、水層を酢酸エチルで再抽出した。一緒にした有機溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色残渣を得た。この残渣をPhenomenex Luna C18系を用いるHPLCによって精製して、水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(5:95:0.1):アセトニトリル(95:5〜5:95)で溶出した。次に、適当な画分をジエチルエーテルと共に共沸蒸留して、標題化合物を黄色固体として19%収率で得た(33mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 418
【0204】
実施例73
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−[8−(2H−ピラゾル−3−イル)−キノリン−5−イルオキシ]−プロパン−1−オン
【0205】
【化40】

【0206】
メタノール(2ml)中の製造例45の化合物(43mg,0.07mmol)の懸濁液に、4M塩酸(2ml)を加えて、得られた溶液を室温において18時間撹拌した。次に、この反応混合物を減圧下で蒸発させて、残渣を水中に溶解して、ジクロロメタンで2回洗浄した。一緒にした有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色残渣を得た。この残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ジクロロメタン:メタノール(98:2)で溶出して、標題化合物を黄色固体として68%収率で得た(23mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 470
【0207】
実施例74
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−[2−(2H−ピラゾル−3−イルアミノ)−キノリン−5−イルオキシ]−プロパン−1−オン
【0208】
【化41】

【0209】
2−プロパノール(0.5ml)中の実施例60の化合物(50mg,0.11mmol)と、3−アミノピラゾール(29mg,0.33mmol)と、トリエチルアミン(48μl,0.33mmol)との混合物を、ReactivialTM内で90℃において加熱した。18時間後に、フッ化セシウム(33mg,0.22mmol)を加えて、混合物を100℃においてさらに48時間加熱した。この反応混合物を次に濾過し、真空中で濃縮して、油状残渣を得た。この残渣をPhenomenex Luna C18系を用いるHPLCによって精製して、水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(5:95:0.1):アセトニトリル(95:5〜5:95)で溶出して、標題化合物を黄色固体(3mg)として得た。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 485
【0210】
実施例75
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−1H−キノリン−2−オン
【0211】
【化42】

【0212】
実施例60の化合物(200mg,0.46mmol)と酢酸(3ml)を水中に溶解して、この溶液を還流下で24時間加熱した。この反応混合物を次に水で希釈し、ジクロロメタン(3x10ml)で洗浄した。一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させて、真空中で濃縮し、黄色油状物を得た。この油状物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーで精製して、ジクロロメタン:メタノール(95:5)で溶出して、標題化合物を淡黄色固体として40%収率で得た(76mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 418
【0213】
実施例76
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−8−クロロ−1H−キノリン−2−オン
【0214】
【化43】

【0215】
実施例67に関して上述した方法によって、実施例75の化合物とN−クロロスクシンイミドを用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 454
【0216】
実施例77
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メトキシ−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0217】
【化44】

【0218】
N,N−ジメチルホルムアミド(0.5ml)中の実施例60の化合物(20mg,0.04mmol)と、ナトリウム・メトキシド(メタノール中0.5M,0.7ml)との混合物を、ReactivialTM内で70℃において6時間加熱した。この反応混合物を冷却し、減圧下で蒸発させた。残渣をジクロロメタン(5ml)中に溶解し、ブライン(5ml)と水(2x5ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させて、真空中で濃縮した。残渣をジメチルスルホキシド(0.5ml)中に溶解して、Phenomenex Luna C18系を用いるHPLCによって精製して、水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(5:95:0.1):アセトニトリル(95:5〜5:95)で溶出した。次に、適当な画分をジエチルエーテルと共に共沸蒸留して、標題化合物を黄色固体として40%収率で得た(7mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 434
【0219】
実施例78
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−イソキノリン−1−カルボン酸メチルエステル
【化45】

【0220】
製造例65の化合物(80mg,0.18mmol)と、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(15mg,0.018mmol)と、トリエチルアミン(51μl,0.37mmol)をメタノール(5ml)中に溶解して、密封容器に移した。この容器を100℃に加熱し、該混合物を100psiの一酸化炭素ガス下で42時間撹拌した。次に、該反応混合物をArbocel(登録商標)に通して濾過し、メタノールによって完全に洗浄し、濾液を真空中で濃縮した。残渣をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上で精製し、ジクロロメタン:メタノール(99:1)で溶出して、標題化合物を白色フォームとして43%収率で得た(36mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 462
【0221】
実施例79
5−{2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−キノリン−2−カルボン酸メチルアミド
【0222】
【化46】

【0223】
ジクロロメタン(1ml)中の製造例48の化合物(20mg,0.05mmol)と、メチルアミン(エタノール中33%,30mg,0.5mmol)と、O−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(2mg,0.08mmol)と、トリエチルアミン(62μl,0.5mmol)との混合物を室温において18時間撹拌した。該反応混合物に、追加のメチルアミン(30mg,0.5mmol)とトリエチルアミン(62μl,0.5mmol)を加えて、撹拌をさらに18時間続けた。該反応混合物を次にジクロロメタンで希釈し、水(2x5ml)とブライン(5ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色残渣を得た。該残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ジクロロメタン:メタノール(96:4)で溶出して、標題化合物を白色固体として13%収率で得た(3mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 461
【0224】
実施例80
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−イソキノリン−1−カルボン酸メチルアミド
【0225】
【化47】

【0226】
実施例79に関して上述した方法によって、実施例78の化合物とメチルアミンを用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 461
【0227】
実施例81
4−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−N−メチル−3−トリフルオロメトキシ−ベンズアミド
【0228】
【化48】

【0229】
製造例59の化合物(100mg,0.2mmol)とメチルアミン(エタノール中33%,4ml)を、ReactivialTM内で90℃において18時間加熱した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させて、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ジクロロメタン:メタノール(99:1〜97:3)で溶出して、標題化合物を淡オレンジ色フォームとして定量的収率で得た(100mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 494
【0230】
実施例82
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(8−クロロ−2−メチルアミノ−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0231】
【化49】

【0232】
ジメチルスルホキシド(1ml)中の製造例52の化合物(60mg,0.12mmol)と、塩酸メチルアミン(86mg,1.2mmol)と、フッ化セシウム(39mg,0.24mmol)と、トリエチルアミン(0.18ml,1.2mmol)との混合物を、電子レンジ(microwave)内で170℃において8分間加熱した。次に、該反応混合物を濾過し、濾液を、Phenomenex Luna C18系を用いるHPLCによって精製し、水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(5:95:0.1):アセトニトリル(95:5〜5:95)で溶出した。次に、適当な画分をジエチルエーテルと共に共沸蒸留して、標題化合物を褐色固体として19%収率で得た(10.8mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 467
【0233】
実施例83
1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(1−メチルアミノ−イソキノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0234】
【化50】

【0235】
実施例82に関して上述した方法によって、実施例63の化合物とメチルアミンを用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 433
【0236】
実施例84
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(8−クロロ−2−ジメチルアミノ−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0237】
【化51】

【0238】
ジメチルスルホキシド(4ml)中の製造例52の化合物(50mg,0.1mmol)と、ジメチルアミン(86mg,1mmol)と、フッ化セシウム(32mg,0.2mmol)と、トリエチルアミン(0.15ml,1mmol)との混合物を、ReactivialTM内で170℃において18時間加熱した。この反応混合物を次に濾過し、濾液をPhenomenex Luna C18系を用いるHPLCによって精製して、水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(5:95:0.1):アセトニトリル(95:5)で溶出して、標題化合物を白色固体として得た(5mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 481
【0239】
実施例85
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−[1−(2H−ピラゾル−3−イルアミノ)−イソキノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0240】
【化52】

【0241】
ジメチルスルホキシド(1ml)中の実施例63の化合物(45mg,0.1mmol)と、フッ化テトラブチルアンモニウム(27mg,0.2mmol)と、トリエチルアミン(0.14ml,1mmol)と、3−アミノピラゾール(83mg,1mmol)との混合物を、100℃において24時間加熱した。この反応混合物を次に、Phenomenex Luna C18系を用いるHPLCによって直接精製して、水/アセトニトリル/蟻酸(5:95:0.1):アセトニトリル(95:5〜5:95)で溶出して、標題化合物を39%収率で得た(19mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 485
【0242】
実施例86
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(3,6−ジメチル−1H−インダゾル−4−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0243】
【化53】

【0244】
メタノール中の製造例77の化合物(45mg,86μmol)に、ジオキサン(1ml)中の4M塩酸を加えて、この溶液を2時間撹拌した。該反応混合物を減圧下で蒸発させて、残渣をジクロロメタン中に溶解し、1M水酸化ナトリウム溶液でpH12に塩基性化した。次に、この混合物を相分離カラムに通して、濾液を真空中で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(96:4:1)によって溶出する、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによる精製によって、標題化合物を淡ピンク色フォームとして59%収率で得た(20mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 421
【0245】
実施例87
(2S)−1−[(2R)−2−メチル−4−(ピリジン−2−カルボニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0246】
【化54】

【0247】
ジクロロメタン(3ml)中の製造例51の化合物(150mg,0.5mmol)と、ピコリン酸(49mg,0.6mmol)と、O−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(190mg,0.75mmol)と、トリエチルアミン(0.93ml,10mmol)との混合物を室温において18時間撹拌した。次に、この反応混合物をさらなるジクロロメタンで希釈し、水酸化ナトリウム(10ml)と水(2x10ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール(99:1〜95:5)によって溶出して、標題化合物を白色固体として49%収率で得た(99mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 405
【0248】
実施例88
(2S)−1−[4−(2−フルオロ−ベンゾイル)−(2R)−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0249】
【化55】

【0250】
ジクロロメタン(3ml)中の製造例51の化合物(150mg,0.5mmol)と、2−フルオロベンゾイル・クロリドと、トリエチルアミンとの混合物を室温において18時間撹拌した。次に、この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水(2x10ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール(98:2)によって溶出する、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによる精製によって、標題化合物を白色固体として73%収率で得た(153mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 422
【0251】
実施例89
4−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−3−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド
【0252】
【化56】

【0253】
乾燥THF(250ml)中の(3R)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル−メタノン(J.Med.Chem.(2000), 43(23) 4499)(22g,0.11mol)と、(2S)−2−(2−メトキシ−4−メチルカルバモイル−フェノキシ)−プロピオン酸(25g,0.1mol)(製造例5)との溶液に、1−N−ヒドロキシベンザトリアゾール一水和物(20g,0.13mol)と、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・HCl(17g,0.09mol)と、ジイソプロピルエチルアミン(17ml,0.1mol)を加えた。1時間撹拌した後に、追加分の1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・HCl(17g,0.09mol)を加え、続いて、追加のジイソプロピルエチルアミン(17ml,0.1mol)を加えた。さらに1時間後に、さらなる部分の1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・HCl(17g,0.09mol)を加え、続いて、新たな部分のジイソプロピルエチルアミン(17ml,0.1mol)を加えた。次に、この混合物をさらに16時間撹拌した。この時間後に、LCMS分析は、プロピオン酸の全てが消耗されたことを示した。該反応混合物を蒸発させて、粘稠な油状物を得て、これを水(200ml)で処理し、続いて、混合物がpH3になるまで、濃塩酸水溶液を徐々に加えた。生じた乳白色沈殿を濾別し、水(3x100ml)で洗浄した。該固体をエタノール:水(容量で1:1,120ml)から2回再結晶して、標題化合物を白色固体(32g)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ: 7.50-7.30 (6H, m), 7.27(1H, m), 6.9 (1H, m) 6.08 (1H, brs), 5.1(11H, brm), 4.90-2.0 (7H, m), 3.90 (3H, brs), 3.00 (3H, brs), 2.40 (3H, s), 1.70 (3H,brd), 1.40-0.9 (3H, m) ppm.
LRMS(ESI+): m/z [M+H]+ 440
[α]D-26.9°(1 mg/ml MeOH中,25℃,波長 589nM)
【0254】
実施例90
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル
【0255】
【化57】

【0256】
0℃におけるジクロロメタン(3ml)の(2R)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシ−プロパン−1−オン(製造例76)(0.083g,0.3mmol)と5−ヒドロキシ−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(0.083g,0.45mmol)(Tetrahedron Letters, 38, 1297(1997))との撹拌溶液に、ジ−tert−ブチル・アゾジカルボキシレート(0.14g,0.6mmol)とポリマー担持トリフェニルホスフィン(0.25g,0.75mmol)を加えた。1時間後に、反応混合物を室温に温度上昇させ、追加のジ−tert−ブチル・アゾジカルボキシレート(0.14g,0.6mmol)とポリマー担持トリフェニルホスフィン(0.25g,0.75mmol)を加えた。室温における18時間後に、この反応混合物をArbocel(登録商標)に通して濾過し、ジクロロメタン(10ml)で完全に洗浄した。濾液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20ml)で洗浄し、次に、有機相を分離し、乾燥させ(MgSO)、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、酢酸エチル:ペンタン(80:20)、次に酢酸エチル、最後に酢酸エチル:メタノール(95:5)で溶出して、標題化合物を白色固体として得た(0.1g)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 442
【0257】
実施例91
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド
【0258】
【化58】

【0259】
エタノール中メチルアミンの33%w/w溶液(3ml)中の5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(実施例90)(0.2g,0.45mmol)の溶液を、Reacti-vialTM内で50℃
において18時間加熱した。室温に冷却した後に、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール:NH(98:2:0.5〜95:5:0.5)で溶出して、標題化合物を白色固体として得た(0.18g)。
1H NMR (400MHz, CD30D):δ: 8.05 (1H, s), 7.75 (1H, s), 7.50-7.40 (5H, m), 5.40 (1H, m), 4.60-3.00 (8H, m), 3.95 (3H, brs), 2.90 (3H, s), 1.60-1.00 (6H, m) ppm.
実測値: C, 61.65 ; H, 6.47 ; N, 12.41.C23H28N4O5.0.1 mol CH2Cl2 計算値: C, 61.80 ; H, 6.33 ; N, 12.48%
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 441
[α]-15.5°(1 mg/ml MeOH中,25℃, 波長 589nM)
【0260】
実施例92
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸アミド
【0261】
【化59】

【0262】
濃アンモニア水溶液(2ml)とメタノール(1ml)中の5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(実施例90)(0.2g,0.45mmol)の溶液を、Reacti-vialTM内で50℃
において18時間加熱した。室温に冷却した後に、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール:NH(98:2:0.5〜95:5:0.5)で溶出して、標題化合物を白色固体として得た(0.16g)。
1H NMR (400MHz, CD30D):δ: 8.05 (1H, s), 7.75 (1H, s), 7.50-7.40 (5H, m), 5.40 (1H, m), 4.60-3.00 (9H, m), 3.95 (3H, brs), 1.60-1.00 (6H, m) ppm.
実測値: C, 59.67 ; H, 6.11 ; N, 12.49.C22H26N4O5.0.25 mol CH2Cl2 計算値: C, 59.78 ; H, 5.97 ; N, 12.54%
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 427
【0263】
実施例93
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸エチルアミド
【0264】
【化60】

【0265】
エチルアミン(1ml)中の5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(実施例90)(0.15g,0.34mmol)の溶液を、Reacti-vialTM内で50℃において18時間加熱した。室温に冷却した後に、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール(96:4)で溶出して、標題化合物を白色固体として得た(0.14g)。
1H NMR(400MHz, CD30D):δ: 8.05 (1H, s), 7.80 (1H, s), 7.50-7.40 (5H, m), 5.40 (1H, m), 4.60-3.00 (8H, m), 4.00 (3H, brs), 3.45 (2H, q), 1.60-1.00 (6H, m), 1.20 (3H, t) ppm.
実測値: C, 60.89 ; H, 6.72 ; N, 11.93. C24H3oN405. 0.25 molCH2Cl2 計算値: C, 61.22 ; H, 6.46 ; N, 11.78%
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 455
【0266】
実施例94
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸シクロプロピルアミド
【0267】
【化61】

【0268】
シクロプロピルアミン(1ml)中の5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(実施例90)(0.12g,0.27mmol)の溶液を、Reacti-vialTM内で50℃において18時間加熱した。室温に冷却した後に、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール(95:5)で溶出して、標題化合物を白色固体として得た(0.09g)。
1H NMR(400MHz, CD30D):δ: 8.05 (1H, s), 7.70 (1H, s), 7.50-7.40 (5H, m), 5.40 (1H, m), 4.60-3.00 (8H, m), 3.95 (3H, brs), 2.85 (1H, m), 1.60-1.00 (6H, m), 0.8 (2H, m), 0.6 (2H, m) ppm.
実測値: C, 63.02 ; H, 6.63 ; N, 11.83. C25H30N405.0.13 mol CH2Cl2 計算値: C, 63.20 ; H, 6.39 ; N, 11.73%
LRMS(APCl+): m/z [M+H]+ 467
【0269】
製造例1
(2S)−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロピオン酸メチルエステル
【0270】
【化62】

【0271】
−5℃におけるTHF(25ml)中のジ−イソプロピル・アゾジカルボキシレート(1.47ml,7.56mmol)の撹拌懸濁液にトリフェニルホスフィン(2.17g,8.27mmol)を加えた。次に、5−ヒドロキシキノリン(1.0g,6.90mmol)とメチル(R)−ラクテート(0.66ml,6.90mmol)を加えて、該溶液を室温において14時間撹拌させた。この反応混合物を酢酸エチル(50ml)で希釈し、水(30ml)、飽和炭酸カリウム溶液(30ml)及びブライン(30ml)で洗浄した。この溶液を乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ペンタン:酢酸エチル(4:1)からペンタン:酢酸エチル(3:2)に変化する勾配系で溶出した。標題化合物を白色固体(1.30g)として得た。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 232
【0272】
製造例2
(2S)−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロピオン酸ナトリウム塩
【0273】
【化63】

【0274】
ジオキサン(40ml)中の(S)−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロピオン酸メチルエステル(製造例1)(1.30g,5.60mmol)と1N水酸化ナトリウム溶液(5.62ml)との溶液を、60℃において2時間加熱した。この時間後に、tlc分析は、出発物質が残留することを示したので、追加の1N水酸化ナトリウム溶液(1.4ml)を加えて、60℃における加熱を1時間続けた。次に、該反応混合物を減圧下で濃縮して、標題化合物を黄色固体として得て、これをさらに精製せずに用いた。
LRMS(ESI+): m/z [M+H]+ 218
【0275】
製造例3
1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−ブロモ−プロパン−1−オン
【0276】
【化64】

【0277】
ジクロロメタン(60ml)とN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)中の(3R)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル−メタノン(J.Med. Chem. (2000), 43 (23), 4499)(4.06g,19.6mmol)の溶液に、2−ブロモプロピオン酸(3.0g,19.6mmol)と、O−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(8.18g,21.6mmol)と、トリエチルアミン(2.74ml,19.6mmol)とを加えた。この反応混合物を室温において48時間撹拌して、次に、水(50ml)と、10%w/vクエン酸水溶液(50ml)と、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)で洗浄した。この溶液を乾燥させ(MgSO)、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール(99:1)からジクロロメタン:メタノール(95:5)まで変化する勾配系で溶出した。生成物を次にシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによってさらに精製し、酢酸エチル:ジクロロメタン(30:70)から酢酸エチル:ジクロロメタン(45:55)まで変化する勾配系で溶出して、標題化合物を白色固体(3.80g)として得た。
LRMS(ESI+): m/z [M+H]+340
【0278】
製造例4
4−ヒドロキシ−3−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド
【0279】
【化65】

【0280】
乾燥THF(300ml)中のバニリン酸(84g,0.5mol)の機械的に撹拌した懸濁液に、カルボニルジイミダゾール(97g,0.6mol)を少量ずつ加えた。ガス放出が観察され、約5分間後に、混合物は均質になった。さらに30分間撹拌した後に、乳白色の沈殿が形成され、撹拌をさらに3時間、窒素下で維持した。この時間後に、LCMS分析は、バニリン酸が消耗されたことを示したので、THF(1000ml,2mol)中の2Mメチルアミンの溶液を1回で加え、混合物をさらに16時間撹拌して、黄褐色沈殿を生じさせた。この沈殿を濾過し、THF(2x250ml)で、続いてエーテル(300ml)で洗浄して、真空下で乾燥させて、標題化合物のN−メチルアンモニウム塩(87g,82%)を得た。
LRMS(ESI+): m/z [M+H]+ 182
該アンモニウム塩の一部(1.06g,5mmol)を窒素流下、酢酸エチル中で2時間還流させた。該反応を蒸発させて、油状固体を得て、これを酢酸エチルと共に磨砕して、標題化合物を黄褐色固体(750mg)として得た。
LRMS(ESI+): m/z [M+H]+ 182
【0281】
製造例5
(2S)−2−(2−メトキシ−4−メチルカルバモイル−フェノキシ)−プロピオン酸
【0282】
【化66】

【0283】
−5℃における乾燥THF(300ml)中のトリフェニルホスフィン(42g,0.16mol)と、4−ヒドロキシ−3−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド(製造例4)(20g,0.11mol)と、メチル(R)−ラクテート(12g,0.12mol)との撹拌した混合物に、乾燥THF(100ml)中のジ−イソプロピル・アゾジカルボキシレート(32ml,0.16mmol)の溶液を30分間にわたって少量ずつ加えた。該溶液を室温に温度上昇させて、2時間撹拌した。この時間後に、tlc分析は、出発フェノールが消耗されたことを実証した。未加工反応混合物を減圧下で蒸発させて、粘稠な油状物を得た。メタノール(150ml)中のこの油状物の撹拌溶液に、水酸化リチウム一水和物(5.4g,0.13mol)を加えて、混合物を48時間撹拌した。この時間後に、LCMS分析は、中間体のメチルエステルが消耗されたことを実証した。未加工反応混合物を蒸発させて、エーテル(500ml)と水(150ml)とに分配した。該水相を分離し、エーテル(2x300ml)と酢酸エチル(2x300ml)とで洗浄した。次に、該水相を濃塩酸水溶液を用いてpH2に酸性化したところ、白色沈殿の形成が生じた。この沈殿を濾別し、水(2x100ml)で洗浄し、エタノール:水(容量で1:1,80ml/20g)から再結晶して、標題化合物を白色固体(21g,75%)として得た。
LRMS(ESI+): m/z [M+H]+ 254
【0284】
製造例6
3−メトキシ−4−[(1S)−1−メトキシカルボニル−エトキシ]−安息香酸メチルエステル
【0285】
【化67】

【0286】
テトラヒドロフラン(30ml)中のメチル・バニレート(3.64g,20mmol)と、メチル(R)−ラクテート(2.08g,20mmol)と、トリフェニルホスフィン(5.24g,20mmol)との氷冷溶液に、テトラヒドロフラン(15ml)中のジイソプロピル・アゾジカルボキシレート(4ml,20mmol)を滴加し、この反応混合物を室温において18時間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させて、残渣をジエチルエーテル(50ml)とヘキサン(50ml)との混合物中で撹拌した。生じた沈殿を濾別し、濾液を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン:酢酸エチル(85:15〜75:25)で溶出して、標題化合物を71%収率で得た(3.8g)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 269
【0287】
製造例7
4−[(1S)−1−カルボキシ−エトキシ]−3−メトキシ−安息香酸メチルエステル
【0288】
【化68】

【0289】
メタノール(150ml)中の製造例6の化合物(32g,120mmol)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(4.2g,100mmol)を滴加して、該混合物を室温において18時間撹拌した。該反応混合物を次に減圧下で蒸発させて、残渣を水中に溶解して、ジエチルエーテルで洗浄した。この水性混合物を2M塩酸でpH4に酸性化して、次に、酢酸エチル(3x150ml)で抽出した。一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。得られたフォームを減圧下で乾燥させて、標題化合物を91%収率で得た(23g)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 255
【0290】
製造例8
4−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−3−メトキシ−安息香酸メチルエステル
【0291】
【化69】

【0292】
ジクロロメタン(16ml)中の製造例7の化合物(1.8g,7mmol)と、(3R)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル−メタノン[(1.6g,7.7mmol),J.Med.Chem.43(23), 4499;2000]と、3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン(2.75g,9.1mmol)との溶液に、Huenig塩基(1.8ml,10.5mmol)を加えた。この混合物を4時間撹拌してから、減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル(200ml)中に入れ、10%炭酸ナトリウム溶液(2x50ml)とブライン(2x50ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン:酢酸エチル(25:75〜5:95)で溶出して、標題化合物を95%収率で得た(2.95g)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 441
【0293】
製造例9
4−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチルピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−3−メトキシ−ベンズアミド
【0294】
【化70】

【0295】
製造例8の化合物(0.46g,1.04mmol)とメタノール(10ml)中の2Mアンモニアとを密封容器内で120℃において18時間加熱した。次に、該反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール(98:2〜92:8)で溶出して、標題化合物を無色フォームとして55%収率で得た(243mg)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 426
【0296】
製造例10
4−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−N−ジメチルアミノメチレン−3−メトキシ−ベンズアミド
【0297】
【化71】

【0298】
製造例9の化合物(240mg,0.56mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド・ジメチルアセタール(10ml)を還流下で7時間加熱した。該反応混合物を次に減圧下で蒸発させて、淡オレンジ色固体を得た。この固体をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール(99:1〜97:3)で溶出して、無色油状物を得た。この油状物を次にジクロロメタンと共に共沸蒸留して、生じたフォームを40℃において3時間乾燥させて、標題化合物を94%収率で得た(255mg)。
LRMS(ES+): m/z [M+Na]+ 503
【0299】
実施例11〜13
下記一般式で示される、次の化合物は、製造例10に関して上述した方法によって、適当なケトンとジメチルホルムアミド・ジメチルアセタールを用いて製造した。
【0300】
【化72】

【0301】
製造例11は、Tetrahedron 25(18), 4249; 1969に記載されているように製造される1−(3−メトキシ−2−メチル−フェニル)−エタノンを用いる。
【0302】
製造例14
3−(3−メトキシ−2−メチル−フェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール
【0303】
【化73】

【0304】
酢酸(15ml)中のメチルヒドラジン(547μl,10.28mmol)の溶液に、製造例11の化合物(2.05g,9.35mmol)を少量ずつ加えて、混合物を90℃において2.5時間加熱した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させて、残渣をジクロロメタン中に溶解して、10%炭酸ナトリウム溶液と飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、オレンジ色油状物を得た。この油状物を最初にシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ジクロロメタン:酢酸エチル(99:1〜97:3)で溶出した。これに続いて、Isolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラムを用いて、さらに精製して、ジクロロメタン:酢酸エチル(99:1〜97:3)で溶出して、標題化合物を黄色油状物として31%収率で得た(568mg)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 203
【0305】
製造例15〜16
下記一般式で示される次の化合物を、製造例14に関して上述した方法によって、適当なエナミンとヒドラジン一水和物を用いて製造した。
【0306】
【化74】

【0307】
製造例17
2−メチル−3−(1−メチル−1H−ピラゾル−3−イル)−フェノール
【0308】
【化75】

【0309】
ジクロロメタン(6ml)中の製造例14の化合物(550mg,2.72mmol)の氷冷溶液に、三臭化ホウ素(ジクロロメタン中1M,8.16ml,8.16mmol)を滴加した。得られた溶液を室温に温度上昇させて、2時間撹拌した。この反応混合物を次に、氷上に細心に注入して、10%炭酸ナトリウム溶液で中和した。この混合物をジクロロメタン(2x50ml)で抽出して、一緒にした有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラムを用いてクロマトグラフィーして、ジクロロメタン:メタノール(98:2〜97:3)で溶出して、褐色油状物を得た。この油状物をジクロロメタンと共に共沸蒸留して、標題化合物を褐色フォームとして61%収率で得た(310mg)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 189
【0310】
製造例18〜20
下記一般式で示される次の化合物を、製造例17に関して上述した方法によって、適当なメトキシベンゼン誘導体と三臭化ホウ素を用いて製造した。
【0311】
【化76】

【0312】
製造例18:標題化合物は、3−メトキシ−2−メチルベンズアミドの脱アルキルによって製造する(J.Chem.Soc.Perkin Trans.1, 2389-2396;1984)。
【0313】
製造例21
(2S)−2−[3−(2H−ピラゾル−3−イル)−フェノキシ]−プロピオン酸メチルエステル
【0314】
【化77】

【0315】
テトラヒドロフラン(5ml)中の製造例20の化合物(240mg,1.5mmol)と、メチル(R)−ラクテート(156mg,1.50mmol)と、トリフェニル・ホスフィン(393mg,1.5mmol)との氷冷溶液に、ジイソプロピル・アゾジカルボキシレート(295μl,1.50mmol)を滴加した。該反応混合物を室温において18時間撹拌し、次に、ジエチルエーテル(50ml)で希釈し、水(2x10ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色油状物を得た。この油状物をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上で精製して、ジエチルエーテル:ジクロロメタン(80:20〜95:5)で溶出して、標題化合物を粘稠な黄色油状物として54%収率で得た(200mg)。
LRMS(ES-): m/z [M-H]- 245
【0316】
製造例22
(2S)−2−[2−メチル−3−(2H−ピラゾル−3−イル)−フェノキシ]−プロピオン酸メチルエステル
【0317】
【化78】

【0318】
製造例21に関して上述した方法によって、製造例19の化合物とメチル(R)−ラクテートを用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(ES-): m/z [M-H]- 259
【0319】
製造例23
(2S)−2−[3−(2H−ピラゾル−3−イル)−フェノキシ]−プロピオン酸
【0320】
【化79】

【0321】
メタノール(6ml)中の製造例21の化合物(190mg,0.77mmol)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(80.9mg,1.93mmol)を少量ずつ加えて、この混合物を60℃において8時間撹拌した。該反応混合物を次に減圧下で蒸発させて、残渣を水中に溶解して、ジエチルエーテルで洗浄した。水性混合物を2M塩酸でpH4に酸性化してから、酢酸エチル(3x30ml)で抽出した。一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。得られたフォームを減圧下で乾燥させて、標題化合物を75%収率で得た(135mg)。
LRMS(ES-): m/z [M-H]- 231
【0322】
製造例24
(2S)−2−[2−メチル−3−(2H−ピラゾル−3−イル)−フェノキシ]−プロピオン酸
【0323】
【化80】

【0324】
製造例22に関して上述した方法によって、製造例22の化合物と水酸化リチウムを用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(ES-): m/z [M-H]- 245
【0325】
製造例25
1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−ブロモ−プロパン−1−オン
【0326】
【化81】

【0327】
−15℃に冷却した、ジクロロメタン(40ml)中のN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.06g,10mmol)の溶液に、2−ブロモプロピオン酸(1.53g,10mmol)を加えた。該反応混合物を20分間撹拌してから、ジクロロメタン(16ml)中の(2R)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル−メタノン[(2.04g,10mmol),J.Med.Chem.43(23), 4499; 2000]を滴加した。該反応混合物を−15℃において90分間撹拌し、次に、ジエチルエーテル(100ml)で希釈し、さらに10分間撹拌した。次に、この混合物をCeliteに通して濾過し、ジエチルエーテルで完全に洗浄し、濾液を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン:酢酸エチル(40:60〜20:80)で溶出して、標題化合物を76%収率で得た(2.5g)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 340
【0328】
製造例26
3−{2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチルピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−2−メチル−ベンズアミド
【0329】
【化82】

【0330】
N,N−ジメチルホルムアミド(10ml)中の製造例18の化合物(180mg,1.19mmol)と、製造例25の化合物(403.9mg,1.19mmol)と、炭酸セシウム(387mg,1.19mmol)を80℃において18時間加熱した。冷却した反応混合物を次に、減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(50ml)と水(10ml)とに分配した。有機相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上で精製し、ジクロロメタン:メタノール(99:1〜96:4)で溶出して、無色フォームを得た。該フォームをジクロロメタンと共に共沸蒸留し、減圧下で乾燥させて、標題化合物を98%収率で得た(475mg)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 410
【0331】
製造例27
1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(3−メトキシ−5−ニトロ−フェノキシ)−プロパン−1−オン
【0332】
【化83】

【0333】
製造例26に関して上述した方法によって、製造例25の化合物と2−メトキシ−5−ニトロフェノールを用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 428
【0334】
製造例28
3−{2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチルピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソエトキシ}−N−(ジメチルアミノ)メチレン]−2−メチルベンズアミド
【0335】
【化84】

【0336】
製造例10に関して上述した方法によって、製造例26の化合物と、N,N−ジメチルホルムアミド・ジメチルアセタールを用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 465
【0337】
製造例29
3−{2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−N−ヒドロキシアミノメチレン−2−メチル−ベンズアミド
【0338】
【化85】

【0339】
酢酸(6ml)中のヒドロキシルアミン塩酸塩(73.6mg,1.06mmol)の懸濁液に、水酸化ナトリウム溶液(1M,1.06ml,1.06mmol)を滴加した。次に、製造例28の化合物(410mg,0.88mmol)を少量ずつ加え、得られた溶液を室温において30分間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、油状残渣をジクロロメタン(30ml)と水(6ml)とに分配して、10%炭酸ナトリウムで中和した。有機相を分離し、水相をジクロロメタン(30ml)で再抽出した。一緒にした有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上で精製して、ジクロロメタン:メタノール(99:1〜96:4)で溶出して、標題化合物を無色フォームとして78%収率で得た(310mg)。
LRMS(ES-): m/z [M-H]- 451
【0340】
製造例30
2−(4−アミノ−2−メトキシ−フェノキシ)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン
【0341】
【化86】

【0342】
エタノール(30ml)中の製造例27の化合物(600mg,1.4mmol)の溶液に、25%Pd/C(150mg)と蟻酸アンモニウム(443mg,7mmol)を加えて、この混合物を70℃において2時間加熱した。この反応混合物を次に冷却して、Arbocel(登録商標)に通して濾過し、エタノール(10ml)で完全に洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ジクロロメタン:メタノール(95:5)で溶出して、標題化合物を淡ピンク色固体として80%収率で得た(443mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 398
【0343】
製造例31
4−ベンジルオキシ−3−メトキシ−ベンズアミジン
【0344】
【化87】

【0345】
−5℃に冷却したジエチルエーテル(60ml)中のヘキサメチルジシラザン(11.64ml,55.17mmol)の溶液に、n−ブチル・リチウム(ヘキサン中1.6M,35.9ml,57.47mmol)を滴加し、反応混合物を0℃の定常温度において30分間撹拌した。3−メトキシ−4−(フェニルメトキシ)−ベンゾニトリル(5.5g,22.99mmol)を少量ずつ加えて、この混合物を室温において4時間撹拌した。次に、この反応混合物を氷冷2M塩酸(100ml)上に注入し、ジエチルエーテル(2x100ml)で洗浄した。水相を6M水酸化ナトリウム溶液でpH10に塩基性化して、ジクロロメタン(3x100ml)で抽出した。一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、標題化合物を白色固体として68%収率で得た(3.99g)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 257
【0346】
製造例32
2−(4−ベンジルオキシ−3−メトキシ−フェニル)−1H−イミダゾール
【0347】
【化88】

【0348】
クロロホルム(10ml)中のクロロアセトアルデヒド(336mg,3.90mmol)の溶液に、クロロホルム(40ml)中の製造例31の化合物(1g,3.90mmol)を加えて、この混合物を室温において18時間撹拌した。生じた白色沈殿を濾別し、濾液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(30ml)で洗浄した。水相をジクロロメタン中10%メタノール(2x50ml)で再抽出し、一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上で精製して、ジクロロメタン:メタノール(98:2〜96:4)で溶出して、褐色フォームを得た。該フォームをIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上でさらに精製して、ジクロロメタン:メタノール(99.5:0.5〜98:2)で溶出して、ベージュ色フォームを得た。該フォームを次に、ジクロロメタンと共に共沸蒸留して、40℃において乾燥させて、標題化合物を16%収率で得た(180mg)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 281
【0349】
製造例33
4−(1H−イミダゾル−2−イル)−2−メトキシ−フェノール
【0350】
【化89】

【0351】
メタノール(10ml)中の製造例32の化合物(170mg,0.61mmol)の溶液に、10%Pd/C(85mg)と蟻酸アンモニウム(191mg,3.03mmol)を少量ずつ加えた。この混合物を還流下で2時間加熱した。この反応混合物を次に、冷却し、Arbocel(登録商標)に通して濾過し、ジクロロメタンとメタノールとの混合物(50:50,250ml)で完全に洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、残渣をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上で精製して、ジクロロメタン:メタノール(99:1〜96:4)で溶出して、標題化合物を白色固体として91%収率で得た(105mg)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 191
【0352】
製造例34
2−メトキシ−4−(2H−ピラゾル−3−イル)−フェノール
【0353】
【化90】

【0354】
製造例33に関して上述した方法によって、製造例16の化合物を用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 191
【0355】
製造例35
1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−2−メトキシ−ベンゼン
【0356】
【化91】

【0357】
アセトン(60ml)中の4−ブロモ−2−メトキシフェノール(5g,24.63mmol)と、臭化ベンジル(4.21g,24.63mmol)と、炭酸セシウム(8g,24.63mmol)との混合物を還流下で4時間加熱した。冷却した反応混合物を次に、減圧下で蒸発させ、残渣をジエチルエーテル(200ml)と水(80ml)とに分配した。水相を分離し、ジエチルエーテル(200ml)で再抽出した。一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタンと共に共沸蒸留して、標題化合物を白色固体として100%収率で得た(7.19g)。
LRMS(ES+): m/z [M+Na]+ 317
【0358】
製造例36
1−(4−ベンジルオキシ−3−メトキシ−フェニル)−1H−ピラゾール
【0359】
【化92】

【0360】
N,N−ジメチルホルムアミド(10ml)中の製造例35の化合物(1.5g,5.12mmol)と、ピラゾール(697mg,10.23mmol)と、ヨウ化銅(I)(195mg,1.02mmol)と、炭酸カリウムとの混合物を、140℃において18時間加熱した。次に、冷却した反応混合物を減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(50ml)と水(30ml)とに分配した。水相を分離し、ジエチルエーテル(200ml)で再抽出した。一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ジクロロメタン:メタノール(100:0〜96:4)で溶出して、標題化合物を白色固体として82%収率で得た(1.18g)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 281
【0361】
製造例37
2−メトキシ−4−ピラゾル−1−イル−フェノール
【0362】
【化93】

【0363】
製造例33に関して上述した方法によって、製造例36の化合物を用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 191
【0364】
製造例38
(2S)−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロピオン酸メチルエステル
【0365】
【化94】

【0366】
−5℃におけるテトラヒドロフラン(25ml)中のジイソプロピル・アゾジカルボキシレート(1.47ml,7.56mmol)の撹拌懸濁液に、トリフェニルホスフィン(2.17g,8.27mmol)を加えた。5−ヒドロキシキノリン(1.0g,6.90mmol)とメチル−(R)−ラクテート(0.66ml,6.90mmol)を加えて、該溶液を室温において14時間撹拌させた。この反応混合物を次に酢酸エチル(50ml)で希釈し、水(30ml)、飽和炭酸カリウム溶液(30ml)及びブライン(30ml)で洗浄した。該溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ペンタン:酢酸エチル(80:20〜60:40)で溶出して、標題化合物を白色固体として81%収率で得た(1.30g)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 232
【0367】
製造例39
(2S)−2−(イソキノリン−5−イルオキシ)−プロピオン酸メチルエステル
【0368】
【化95】

【0369】
製造例38に関して上述した方法によって、5−ヒドロキシイソキノリンとメチル−(R)−ラクテートを用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 232
【0370】
製造例40
(2S)−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロピオン酸ナトリウム塩
【0371】
【化96】

【0372】
1,4−ジオキサン(40ml)中の製造例38の化合物(1.30g,5.60mmol)と1M水酸化ナトリウム溶液(5.62ml)との溶液を、60℃において2時間加熱した。この時間後に、tlc分析は、出発物質が残留することを実証したので、追加の1M水酸化ナトリウム溶液(1.4ml)を加えて、60℃における加熱を1時間続けた。次に、この反応混合物を真空中で濃縮して、標題化合物を黄色固体として定量的収率で得た。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 218
【0373】
製造例41
(2S)−2−(イソキノリン−5−イルオキシ)−プロピオン酸ナトリウム塩
【0374】
【化97】

【0375】
製造例40に関して上述した方法によって、製造例39の化合物を用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 218
【0376】
製造例42
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0377】
【化98】

【0378】
N,N−ジメチルホルムアミド(30ml)中の製造例40の化合物(1.0g,4.6mmol)と、(3R)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル−メタノン[(0.94g,4.6mmol)J.Med. Chem. 43 (23), 4499;2000]と、O−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(2.62g,6.9mmol)と、トリエチルアミン(1.93ml,13.8mmol)との溶液を、室温において14時間撹拌した。次に、この反応混合物をジクロロメタン(100ml)で希釈し、水(3x50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール(98:2)で溶出して、標題化合物を白色固体として49%収率で得た(0.91g)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 404
【0379】
製造例43
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(イソキノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0380】
【化99】

【0381】
製造例42に関して上述した方法によって、製造例41の化合物と(3R)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル−メタノン(J.Med. Chem. 43 (23), 4499;2000)を用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 404
【0382】
製造例44
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(8−ブロモ−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0383】
【化100】

【0384】
アセトニトリル(90ml)中の製造例42の化合物(450mg,1.1mmol)と、N−ブロモスクシンイミド(795mg,4.4mmol)との混合物を、室温において2時間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を酢酸エチル(50ml)中に溶解し、水(2x20ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、酢酸エチル:ペンタン(33:67〜100:0)で溶出して、標題化合物を白色固体として98%収率で得た(526mg)。
LRMS(ES+): m/z [M+H]+ 482/484
【0385】
製造例45
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−{8−[2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾル−3−イル]−キノリン−5−イルオキシ}−プロパン−1−オン
【0386】
【化101】

【0387】
テトラヒドロフラン(2ml)中の製造例44の化合物(50mg,0.1mmol)に、水(0.5ml)中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(6mg,触媒)と、1−[[(2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル]ピラゾリル−5−ボロン酸[(50mg,0.1mmol),J.Med.Chem.,41 2019-2028;1998]と、炭酸ナトリウム(175mg,1.6mmol)とを加え、混合物を還流下で18時間加熱した。該反応混合物を次に減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン中に溶解して、水(5ml)とブライン(2x5ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、オレンジ色油状物を得た。該油状物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール(99:1〜96:4)で溶出して、標題化合物を黄色固体として得た。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 600
【0388】
製造例46
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(1−オキシ−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0389】
【化102】

【0390】
ジクロロメタン(15ml)中の製造例42の化合物(1.5g,3.7mmol)の氷冷溶液に、メタ−クロロ過安息香酸(1.54g,4.44mmol)を加えて、この混合物を室温において3時間撹拌した。次に、該反応混合物をジクロロメタン(10ml)で希釈し、飽和炭酸カリウム水溶液(10ml)と水(2x10ml)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、標題化合物を白色固体として定量的収率で得た(1.8g)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 420
【0391】
製造例47
5−{2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−キノリン−2−カルボン酸メチルエステル
【0392】
【化103】

【0393】
製造例66のクロロ化合物(130mg,0.3mmol)と、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(24mg,0.03mmol)と、トリエチルアミン(83μl,0.6mmol)を、メタノール(3ml)とN,N−ジメチルホルムアミド(0.5ml)との混合物中に溶解して、密封容器に移した。該容器を100℃に加熱し、該混合物を100psiの一酸化炭素ガス下で42時間撹拌した。次に、該反応混合物をArbocel(登録商標)に通して濾過して、メタノールで完全に洗浄して、濾液を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、酢酸エチル:ペンタン(75:25〜100:0)で溶出して、標題化合物を41%収率で得た(50mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 462
【0394】
製造例48
5−{2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−キノリン−2−カルボン酸
【0395】
【化104】

【0396】
ジオキサン(3ml)中の製造例47の化合物(40mg,0.09mmol)の溶液に、1M水酸化ナトリウム溶液(130μl,0.135mmol)を加え、該混合物を60℃において3時間加熱した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を水(20ml)中に溶解して、酢酸エチルで洗浄した。相を分離し、有機相を廃棄した。水相を氷酢酸で酸性化して、酢酸エチルで再抽出した。保留有機相(二次洗浄)を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、標題化合物を淡黄色固体として67%収率で得た(26mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 448
【0397】
製造例49
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(2−ベンジルアミノ−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0398】
【化105】

【0399】
ジメチルスルホキシド(1ml)中の実施例60の化合物(50mg,0.11mmol)と、フッ化テトラブチルアンモニウム(30mg,0.22mmol)と、トリエチルアミン(0.16ml,1.1mmol)と、ベンジルアミン(0.13ml,1.1mmol)との混合物を120℃において72時間加熱した。次に、該反応混合物を、Phenomenex Luna C18系を用いるHPLCによって直接精製して、水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(5:95:0.1):アセトニトリル(95:5〜5:95)で溶出して、標題化合物を34%収率で得た。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 509
【0400】
製造例50
(3R)−3−メチル−4−[(2S)−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロピオニル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0401】
【化106】

【0402】
N,N−ジメチルホルムアミド中の製造例40の化合物(400mg,1.7mmol)の懸濁液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(249mg,1.87mmol)を加えて、溶液を形成した。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(351mg,1.87mmol)とトリエチルアミン(0.7ml,5.1mmol)を加えて、該溶液を5分間撹拌した。(3S)−3−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(335mg,1.7mmol)を加えて、該混合物を18時間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を酢酸エチル(30ml)中に溶解して、水(20ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、標題化合物を48%収率で得た(332mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 400
【0403】
製造例51
(2S)−1−[(2R)−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン塩酸塩
【0404】
【化107】

【0405】
製造例50の化合物(300mg,0.75mmol)をジオキサン中4M塩酸(3ml)中で2時間撹拌した。該反応混合物を真空中で濃縮して、標題化合物を淡黄色固体として定量的収率で得た(348mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 300
【0406】
製造例52
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(2,8−ジクロロ−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0407】
【化108】

【0408】
アセトニトリル(10ml)中の実施例60の化合物(200mg,0.4mmol)と、N−クロロスクシンイミド(61mg,0.4mmol)との混合物を40℃において48時間加熱した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(20ml)中に溶解して、水(2x10ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色油状物を得た。この残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーで精製して、ジクロロメタン:メタノール(98:2)で溶出して、標題化合物を白色固体として78%収率で得た(169mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 472
【0409】
製造例53
(2S)−1−[(2R)−2−メチル−4−(ピリジン−2−カルボニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0410】
【化109】

【0411】
ジクロロメタン(3ml)中の製造例51の化合物(150mg,0.5mmol)と、ピコリン酸(49mg,0.6mmol)と、O−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(190mg,0.75mmol)と、トリエチルアミン(0.93ml,10mmol)との混合物を室温において18時間撹拌した。次に、この反応混合物をさらなるジクロロメタンで希釈し、水酸化ナトリウム(10ml)と水(2x10ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール(99:1〜95:5)によって溶出して、標題化合物を白色固体として49%収率で得た(99mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 405
【0412】
製造例54
(2S)−1−[4−(2−フルオロ−ベンゾイル)−(2R)−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0413】
【化110】

【0414】
ジクロロメタン(3ml)中の製造例51の化合物(150mg,0.5mmol)と、2−フルオロベンゾイル・クロリドと、トリエチルアミンとの混合物を室温において18時間撹拌した。次に、この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水(2x10ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。ジクロロメタン:メタノール(98:2)によって溶出する、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによる精製によって、標題化合物を白色固体として73%収率で得た(153mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 422
【0415】
製造例55
4−ブロモ−2−トリフルオロメトキシ−フェノール
【0416】
【化111】

【0417】
酢酸(5ml)中の2−(トリフルオロメトキシ)フェノール(500mg,2.81mmol)と酢酸ナトリウム(169mg,2.81mmol)との溶液に、臭素(449mg,2.81mmol)を加えて、この溶液を1時間撹拌した。該反応混合物を次に水(30ml)で希釈し、酢酸エチル(2x50ml)で抽出した。有機抽出物を一緒にし、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、無色油状物を得た。該油状物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ペンタン:酢酸エチル(85:15)で溶出して、標題化合物を白色固体として23%収率で得た。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 255/257
【0418】
製造例56
(2S)−2−(4−ブロモ−2−トリフルオロメトキシ−フェノキシ)−プロピオン酸メチルエステル
【0419】
【化112】

【0420】
テトラヒドロフラン(20ml)中の製造例55の化合物(500mg,1.95mmol)と、メチル(R)−ラクテート(202mg,1.95mmol)と、トリフェニルホスフィン(614mg,2.34mmol)との氷冷溶液に、ジイソプロピル・アゾジカルボキシレート(414μl,2.14mmol)を滴加した。該反応混合物を室温において18時間撹拌し、次に、減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル中に溶解し、10%炭酸カリウム溶液(2x10ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール(95:5)で溶出して、標題化合物を無色油状物として76%収率で得た(638mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 305/307
【0421】
製造例57
(2S)−2−(4−ブロモ−2−トリフルオロメトキシ−フェノキシ)−プロピオン酸
【0422】
【化113】

【0423】
ジオキサン(10ml)中の製造例56の化合物(574mg,1.67mmol)と1M水酸化ナトリウム溶液(4.2ml,4.2mmol)との混合物を55℃において3時間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を水(30ml)中に溶解した。この水溶液を2M塩酸でpH2に酸性化し、酢酸エチル(2x50ml)で抽出した。一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、標題化合物を黄色固体として80%収率で得た。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 327
【0424】
製造例58
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(4−ブロモ−2−トリフルオロメトキシ−フェノオキシ)−プロパン−1−オン
【0425】
【化114】

【0426】
ジクロロメタン(30ml)中の製造例57の化合物(150mg,0.46mmol)と、(3R)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル−メタノン[(93mg,0.46mmol)J.Med. Chem.,43 (23), 4499; 2000]と、O−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(260mg,0.69mmol)と、トリエチルアミン(0.13ml,0.92mmol)との溶液を、室温において18時間撹拌した。この反応混合物をジクロロメタン(50ml)で希釈し、水(50ml)で洗浄した。水相をジクロロメタン(50ml)で再抽出し、一緒にした有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上で精製し、ジクロロメタン:メタノール(99:1)で溶出して、標題化合物を白色フォームとして90%収率で得た(213mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 537/539
【0427】
製造例59
4−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−3−トリフルオロメトキシ−安息香酸メチルエステル
【0428】
【化115】

【0429】
製造例58の化合物(190mg,0.37mmol)と、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(30mg,0.04mmol)と、トリエチルアミン(0.10ml,0.74mmol)とをメタノール(10ml)中に溶解して、密封容器に移した。該容器を100℃に加熱し、混合物を100psiの一酸化炭素ガス下で42時間撹拌した。次に、該反応混合物をArbocel(登録商標)に通して濾過し、メタノールで完全に洗浄して、濾液を真空中で濃縮した。残渣をIsolute(登録商標)フラッシュ・シリカ・カラム上で精製して、ジクロロメタン:メタノール(97:3)で溶出して、標題化合物をオレンジ色固体として85%収率で得た(155mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 495
【0430】
製造例60〜61
下記一般式で示される、次の化合物は、製造例26に関して上述した方法によって、製造例25の化合物と適当なヒドロキシキノリン又はヒドロキシイソキノリンを用いて製造した。
【0431】
【化116】

【0432】
【化117】

【0433】
下記一般式で示される、次の化合物は、製造例46に関して上述した方法によって、製造例60と製造例61の化合物と、メタ−クロロ過安息香酸を用いて製造した。
【0434】
【化118】

【0435】
製造例64
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(1−オキシ−イソキノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0436】
【化119】

【0437】
製造例46に関して上述した方法によって、製造例43の化合物を用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 420
【0438】
製造例65
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(1−クロロ−イソキノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0439】
【化120】

【0440】
ジクロロメタン(15ml)中の製造例64の化合物(305mg,0.73mmol)の溶液に、オキシ塩化リン(0.20ml,2.18mmol)を加えて、該反応混合物を100℃において2時間加熱した。次に、この混合物を室温に冷却して、水(75ml)上に注入した。生じた水性混合物を濃アンモニア溶液で塩基性化して、ジクロロメタン(2x75ml)で抽出した。一緒にした有機抽出物を次に硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ジクロロメタン:メタノール(99:1)で溶出して、標題化合物を白色フォームとして40%収率で得た(127mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 438
【0441】
製造例66
1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(2−クロロ−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン
【0442】
【化121】

【0443】
製造例65に関して上述した方法によって、製造例62の化合物を用いて、標題化合物を製造した。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 438
【0444】
製造例67
2−メトキシ−4−メチルスルファニル−フェノール
【0445】
【化122】

【0446】
−78℃に冷却したテトラヒドロフラン(25ml)中の4−ブロモ−2−メトキシフェノール(2.00g,9.85mmol)の溶液に、t−ブチル・リチウム(ペンタン中1.7M,14.5ml,24.6mmol)を滴加した。該混合物を15分間撹拌して、次に、−40℃に温度上昇させ、さらに30分間撹拌した。ジメチルジスルフィド(1.06ml,11.8mmol)を加えて、該混合物を室温において18時間撹拌した。次に、水を該反応に加えて、得られた混合物を2M塩酸でpH1に酸性化した。水相を分離し、酢酸エチルで再抽出した。次に、一緒にした有機画分を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、オレンジ色油状物を得た。この油状物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーで精製して、ペンタン:ジエチルエーテル(95:5〜80:20)で溶出して、標題化合物を白色固体として48%収率で得た(800mg)。
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ:2.40(s, 3H), 3.90(s, 3H), 5.50(brs, 1H), 6.80-6.90(m, 3H).
【0447】
製造例68
6−ヒドロキシ−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン
【0448】
【化123】

【0449】
2,4,6−コリジン(10ml)中のヨウ化リチウム(0.32g,2.41mmol)と6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン(0.5g,2.41mmol)との混合物を、130℃において18時間加熱した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させて、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ジクロロメタン:メタノール(96:4)で溶出して、標題化合物を淡黄色固体として得た(0.19g)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 194
【0450】
製造例69
酢酸3−アセトキシ−5−メチル−フェニルエステル
【0451】
【化124】

【0452】
ジクロロメタン(86ml)中の3,5−ジヒドロキシトルエン(9.93g,0.08mol)とトリエチルアミン(56ml,0.40mol)との氷冷溶液に、無水酢酸(22.6ml,0.24mol)を加えた。該反応混合物を室温に温度上昇させ、60時間撹拌した。次に、水(100ml)を加え、該混合物を3時間激しく撹拌した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(3x80ml)で再抽出した。一緒にした有機抽出物をブライン(80ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、酢酸エチル:ペンタン(66:33)で溶出して、標題化合物を無色油状物として94%収率で得た(15.7g)。
LRMS(APCI+): m/z [M+NH4]+ 226
【0453】
製造例70
1−(2,6−ジヒドロキシ−4−メチル−フェニル)−エタノン
【0454】
【化125】

【0455】
90℃に加温した、クロロベンゼン(50ml)中の塩化アルミニウム(19.44g,145.8mmol)の懸濁液に、クロロベンゼン(10ml)中の製造例69の化合物(10.12g,48.6mmol)の溶液を滴加して、この混合物を1時間撹拌した。該反応混合物を次に冷却して、氷と2M塩酸との混合物上に細心にピペットで加えた。生じた混合物を酢酸エチル(3x200ml)で抽出して、一緒にした有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ペンタン:酢酸エチル(84:16、80:20、75:25)で溶出して、標題化合物を黄色固体として66%収率で得た(5.31g)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 167
【0456】
製造例71
3,6−ジメチル−1H−インダゾル−4−オール
【0457】
【化126】

【0458】
エチレングリコール(15ml)中のヒドラジン一水和物(2.4ml,50mmol)の溶液に、エチレングリコール(70ml)中の製造例70の化合物(4.15g,25mmol)の溶液を滴加して、この混合物を室温において1時間撹拌し、150℃において80分間撹拌した。次に、冷却した反応混合物を水中に注入し、酢酸でpH6に酸性化した。この水性混合物を酢酸エチル(4x200ml)で抽出し、一緒にした抽出物を5%亜硫酸ナトリウム(200ml)とブライン(200ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、酢酸エチル:ペンタン(50:50)で溶出して、標題化合物を黄色固体として95%収率で得た(3.84g)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 163
【0459】
製造例72
4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3,6−ジメチル−1H−インダゾール
【0460】
【化127】

【0461】
N,N−ジメチルホルムアミド中の製造例71の化合物(500mg,3.08mmol)の溶液に、tert−ブチルジメチルクロロシラン(511mg,3.39mmol)とイミダゾール(1.05g,15.4mmol)を加えて、該反応混合物を0℃において1時間及び室温において18時間撹拌した。追加のtert−ブチルジメチルクロロシラン(511mg,3.39mmol)を加えて、該反応混合物を80℃において48時間加熱した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させて、残渣を酢酸エチルと水とに分配した。有機相を分離し、ブライン(2x10ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、ペンタン:酢酸エチル(15:85)で溶出して、標題化合物をオレンジ色油状物として23%収率で得た。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 27
【0462】
製造例73
4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3,6−ジメチル−インダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0463】
【化128】

【0464】
ジクロロメタン(5ml)中の製造例72の化合物(580mg,2mmol)に、ジ−tert−ブチル・ジカルボネート(503mg,2.3mmol)と4−ジメチルアミノピリジン(51mg,0.4mmol)を加えて、該反応混合物を18時間撹拌した。次に、水を該反応混合物に加えて、この水性混合物をジクロロメタン(3x10ml)で抽出した。一緒にした有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させて、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ペンタン:酢酸エチル(95:5)で溶出して、標題化合物を無色油状物として66%収率で得た(527mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 377
【0465】
製造例74
4−ヒドロキシ−3,6−ジメチル−インダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0466】
【化129】

【0467】
テトラヒドロフラン(9ml)中の製造例73の化合物(527mg,1.4mmol)の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム溶液(テトラヒドロフラン中1M,21ml,2.1mmol)を滴加し、該溶液を0℃において30分間及び室温において5分間撹拌した。次に、水を該混合物に加えて、この水性混合物を酢酸エチル(2x10ml)で抽出した。一緒にした有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。ペンタン:酢酸エチル(70:30〜60:40)で溶出する、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによる精製によって、標題化合物を白色固体として76%収率で得た(280mg)。
LRMS(APCI-): m/z [M-H]- 261
【0468】
製造例75
(2R)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−ベンジルオキシ−プロパン−1−オン
【0469】
【化130】

【0470】
ジクロロメタン(10ml)中の(R)−(+)−2−ベンジルオキシプロピオン酸(972mg,5.3mmol)の溶液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(825mg,5.3mmol)と、N−メチルモルホリン(808μl,7.3mmol)と、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.13g,5.8mmol)と、(3R)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル−メタノン[(1.0g,4.9mmol),J.Med.Chem. 43(23), 4499; 2000]とを加えて、この混合物を18時間撹拌した。追加の(R)−(+)−2−ベンジルオキシプロピオン酸(486mg,2.65mmol)と、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(5.65mg,2.9mmol)と、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(413mg,2.65mmol)と、N−メチルモルホリン(808μl,7.3mmol)とを加えて、この混合物を還流下で3時間加熱した。次に、水を該反応混合物に加えて、この水溶液をジクロロメタン(2x10ml)で抽出した。一緒にした有機抽出物を2M塩酸と、1M水酸化ナトリウム溶液と、ブラインで洗浄した。この有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。ペンタン:酢酸エチル(50:50)で溶出し、次に、酢酸エチル:メタノール(90:10)で溶出する、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによる精製によって、標題化合物を白色フォームとして81%収率で得た(1.45g)。
LRMS(APCI-): m/z [M-H]- 367
【0471】
製造例76
(2R)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシ−プロパン−1−オン
【0472】
【化131】

【0473】
エタノール(30ml)中の製造例75の化合物(1.45g,3.9mmol)の溶液に、Pd(OH)(300mg,2.2mmol)と蟻酸アンモニウム(1.37g,22mmol)を加えて、この混合物を60℃において2時間加熱した。この後に、分析は、反応が完成に達していないことを示したので、追加のPd(OH)(300mg,2.2mmol)を加え、続いて、蟻酸アンモニウム(1.37g,22mmol)を加え、出発物質の全てが消耗されるまで、45分間間隔で加えた。次に、該反応混合物を冷却し、Arbocel(登録商標)に通して濾過し、エタノール(10ml)で完全に洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン:メタノール(95:5)によって溶出して、標題化合物を白色ガムとして91%収率で得た(1g)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 277
【0474】
製造例77
4−[(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ]−3,6−ジメチル−インダゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0475】
【化132】

【0476】
ジクロロメタン(3ml)中の製造例74の化合物(70mg,0.25mmol)の溶液に、製造例76の化合物(70mg,0.25mmol)と、ジ−tert−ブチル・アゾジカルボキシレート(233mg,1.01mmol)と、ポリマー担体付きトリフェニルホスフィン(380mg,1.13mmol)を加えて、該反応混合物を0℃において30分間及び室温において18時間撹拌した。該反応混合物を次にフィルター管に通して濾過し、ジクロロメタンで完全に洗浄した。濾液を水酸化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ペンタン:酢酸エチル(40:60〜20:80)で溶出して、標題化合物を白色フォームとして34%収率で得た(45mg)。
LRMS(APCI+): m/z [M+H]+ 521
【0477】
生物学的データ
式(I)化合物類と、それらの製薬的に受容される塩、溶媒和物及び誘導体がgp120活性を調節する、特に、gp120とCD4との相互作用を阻害する能力は、HIV−1融合に対する化合物のIC50を決定するためのgp160誘導細胞−細胞融合アッセイを用いて、実証される。gp160誘導細胞−細胞融合アッセイは、HeLa P4細胞株と、CHO−Tat10細胞株を用いる。
【0478】
HeLa P4細胞株は、CCR5とCD4を発現し、HIV−1 LTR−β−ガラクトシダーゼによってトランスフェクトされている。この細胞株に対する培地は、10%ウシ胎仔血清(FCS)と、2mM L−グルタミン・ペニシリン/ストレプトマイシン(Pen/Strep;100U/mlペニシリン+10mg/mlストレプトマイシン)と、1μg/mlピューロマイシンを含有するDulbecco改変イーグル培地(D−MEM)(L−グルタミン含まず)である。
【0479】
CHO細胞株は、pTatピューロプラスミドによってトランスフェクトされているCHO JRR17.1細胞株由来のTat(転写トランス・アクチベーター)発現クローンである。この細胞株に対する培地は、最初にRoswell Park Memorial Institute RPMI1640で開発された哺乳動物細胞培養のためのリッチ培地(rich medium)(L−グルタミンを含まず)であり、これは10%FCS、2mM L−グルタミン、0.5mg/mlヒグロマイシンB及び12μg/mlピューロマイシンを含有する。CHO JRR17.1細胞株は、gp160(JRFL)を発現し、CCR5/CD4発現細胞株と融合するその能力のために選択されているクローンである。
【0480】
細胞融合時に、CHO細胞中に存在するTatは、HeLa細胞中に存在するHIV−1ロング・ターミナル・リピート(LTR)をトランス活性化して、β−ガラクトシダーゼ酵素の発現をもたらすことができる。次に、この発現は、Fluor AceTMβ−ガラクトシダーゼ・レポーター・アッセイ・キット(Bio-Rad cat no 170-3150)を用いて測定される。このキットは、基質として4−メチルウンベリフェリル−ガラクトピラノシド(MUG)を用いて、β−ガラクトシダーゼの発現レベルを測定する定量蛍光アッセイである。β−ガラクトシダーゼは、蛍光基質を加水分解して、蛍光分子4−メチルウンベリフェロン(4MU)の放出を生じる。次に、4−メチルウンベリフェロンの蛍光を、360nmの励起波長と460nmの放出波長を用いる蛍光光度計で測定する。
【0481】
融合を阻害する化合物は、低下したシグナルを生じることになり、適当な溶媒中での可溶化及び培養培地での希釈後に、各化合物の用量−応答曲線を用いて、IC50値を算出することができる。
【0482】
本発明の全ての実施例は、1.5μM未満の上記方法によるIC50値を有する。実施例12、29及び44の化合物のIC50値は、それぞれ、15nM、134nM及び825nMである。
【0483】
式(I)化合物がgp120とCD4との相互作用を阻害しうることは、酵素結合免疫反応吸着アッセイ(ELISA)を用いて、さらに実証される。Maxisorpプレート(Nunc)に抗gp120抗体(D7324)2μg/穴を塗布する。gp120(滴定によって希釈度を予め測定したもの)100μlを各穴に加え、室温において90分間インキュベートする。サンプルを取り出し、穴を、PBS(リン酸塩緩衝化生理食塩水)+0.01% TWEEN(登録商標)(ポリエチレングリコール・ソルビタン・モノラウレート)で洗浄する。化合物50μl/穴を加え、続いて、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(Autogen Bioclear)にコンジュゲートした溶解性CD4 50μl(0.1μg)を加える。該プレートを室温において90分間インキュベートしてから、該穴を再び洗浄する。基質OPD(o−フェニレンジアミン,Sigma)を0.5mg/mlの濃度で加えて、該プレートを暗所で室温において3分間インキュベートしてから、3M HClを加えて、該反応を停止させる。gp120と溶解性CD4との相互作用を阻害する化合物は、492nmにおける吸光度の低下をもたらすであろう。
【0484】
本発明の全ての実施例は、15μM未満の、上記方法によるIC50値を有する。実施例1、11及び12の化合物のIC50値は、それぞれ、0.92μM、1.0μM及び0.75μMである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

で示される化合物、又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体、
上記式において
は、フェニル又はピリジルであり、前記フェニル又はピリジルは、場合によっては、ハロ、C−Cアルコキシ、CF、OCF又はCNから選択される、1若しくは2個の原子又は基によって置換される;
とRは、独立的に、H又はC−Cアルキルであり;
は、C−Cアルキルであり;
は、フェニル;ナフチル;又はC連結した6員〜10員の単環状若しくは二環状の芳香族若しくは部分的飽和複素環であり、前記複素環は1〜4個の窒素ヘテロ原子、1若しくは2個の窒素と1個の酸素ヘテロ原子、又は1若しくは2個の窒素と1個の硫黄ヘテロ原子を含有する;この場合、前記フェニル、ナフチル又は複素環は、場合によっては、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル、OH、C−Cアルコキシ、C−CアルコキシC−Cアルキル、OC−Cフルオロアルキル、C−CアルキレンNR、ハロ、C−CアルキレンCN、C−CアルキレンCO、C−CアルキレンCONR、C−CアルキレンSR、C−CアルキレンSOR、C−CアルキレンSO、C−CアルキレンSONR、C−CアルキレンNRCOR、C−CアルキレンNRCONR、C−CアルキレンNRSO又はC−CアルキレンR10、又はRが複素環である場合のオキソから選択される、1〜3個の原子又は基によって置換される;
とRは、独立的に、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル若しくはR10であるか、又はそれらが結合する窒素と一緒になって、場合によっては置換される、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン又はチオモルホリン環を形成する;該置換基は、C−Cアルキル又はC−CアルキレンNHから選択される、1若しくは2個の基である;
は、H、C−Cアルキル又はフェニルであり;
は、C−Cアルキル又はフェニルであり;
10は、イミダゾリル、トリアゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、キナゾリニル、フタラジニル、ベンゾオキサゾリル又はキノオキサリニルであり、これらの各々は、場合によっては、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ又はハロから選択される、1〜3個の原子又は基によって置換される。
【請求項2】
がフェニル又はピリジルであり、前記フェニル又はピリジルが、場合によっては、ハロから選択される、1若しくは2個の原子又は基によって置換される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
がフェニル、フルオロフェニル又はピリジルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
がフェニルである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
がC−Cアルキルである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
がメチルである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
がHである、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
がC−Cアルキルである、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
がメチルである、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
が、場合によっては置換される、フェニル、ナフチル、ピリジル、インダゾリル、ベンズインダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ベンゾピペリジニル又はベンゾオキサゾリルであり;該置換基が、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、CN、CO、CONR又はR10から選択される、1〜3個の原子又は基である、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
が、場合によっては置換される、フェニル又はピリジルであり、該置換基がC−Cアルコキシ、CO又はCONRから選択される、1〜3個の基である、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
がH又はC−Cアルキルである、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
がH、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルである、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
がC−Cアルキルである、請求項1〜13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
10がイミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル又はオキサジアゾリルであり、これらの各々が、場合によっては、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ又はハロから選択される、1〜3個の原子又は基によって置換される、請求項1〜14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
式(Ia):
【化2】

[式中、R、R、R、R及びRは、請求項1〜15のいずれかで定義したとおりである]
で示される、請求項1〜15のいずれかに記載の化合物、又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体。
【請求項17】
式(Ib):
【化3】

[式中、R、R、R及びRは、請求項1〜15のいずれかで定義したとおりである]
で示される、請求項16記載の化合物、又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体。
【請求項18】
下記化合物:
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(3−メチル−1H−インダゾル−4−イルオキシ)−プロパン−1−オン;
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−[2−(2H−ピラゾル−3−イルアミノ)−キノリン−5−イルオキシ]−プロパン−1−オン;
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−イソキノリン−1−カルボン酸メチルアミド;
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−(8−クロロ−2−メチルアミノ−キノリン−5−イルオキシ)−プロパン−1−オン;
(2S)−1−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−2−[1−(2H−ピラゾル−3−イルアミノ)−イソキノリン−5−イルオキシ]−プロパン−1−オン;
4−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−3−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド;
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド;
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸アミド;
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸エチルアミド;
5−{(1S)−2−[(2R)−4−ベンゾイル−2−メチル−ピペラジン−1−イル]−1−メチル−2−オキソ−エトキシ}−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸シクロプロピルアミド;及びこれらの製薬的に受容される塩、溶媒和物又は誘導体から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載の、式(I)で示される化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体を1種類以上の製薬的に受容される賦形剤、希釈剤又はキャリヤーと共に含む薬剤組成物。
【請求項20】
1種類以上の付加的な治療剤を含む、請求項19記載の薬剤組成物。
【請求項21】
薬剤として用いるための、請求項1〜18のいずれかに記載の式(I)で示される化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体。
【請求項22】
HIV、HIVに遺伝的に関連するレトロウイルス感染症、又はAIDSの治療に用いるための、請求項1〜18のいずれかに記載の式(I)で示される化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体。
【請求項23】
HIV、HIVに遺伝的に関連するレトロウイルス感染症、又はAIDSの治療用薬剤を製造するための、請求項1〜18のいずれかに記載の式(I)で示される化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体の使用。
【請求項24】
HIV、HIVに遺伝的に関連するレトロウイルス感染症、又はAIDSに罹患した哺乳動物の治療方法であって、請求項1〜18のいずれかに記載の式(I)で示される化合物又はその製薬的に受容される塩、溶媒和物若しくは誘導体の有効量で前記哺乳動物を治療することを含む方法。
【請求項25】
式(II)、(IV)又は(VII)で示される化合物。

【公表番号】特表2007−502266(P2007−502266A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523071(P2006−523071)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002562
【国際公開番号】WO2005/016344
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】