説明

HIV複製を阻害するピリミジンおよびトリアジン

【化1】


本発明は、式(I)のHIV複製インヒビター、そのN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩、第四級アミンおよび立体化学的異性体、薬剤としてのそれらの使用、それらの製造方法ならびにそれらを含んでなる製薬学的組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)複製阻害特性を有するピリミジンおよびトリアジン誘導体に関する。本発明はさらに、それらの製造方法およびそれらを含んでなる製薬学的組成物に関する。本発明はまた、HIV感染の予防もしくは処置用の薬剤の製造のための該誘導体の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、HIV複製阻害特性を有する特定の新規な一連のピリミジン誘導体を提供することを目的としている。特許文献1、特許文献2および特許文献3は、ある種の置換されたアミノピリミジンを開示し、そして特許文献4および特許文献5は、HIV複製阻害特性を有するアミノトリアジンを開示する。
【0003】
本発明の化合物は、構造、薬理学的活性および/もしくは薬理学的効能において先行技術の化合物と異なる。本発明の化合物は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の複製を阻害するそれらの能力に関してだけでなく、突然変異体株、特に市販されている薬剤に耐性になっている株(いわゆる、薬剤もしくは多剤耐性HIV株)の複製を阻害するそれらの向上した能力によっても好都合に作用することが見出された。
【特許文献1】WO 99/50250明細書
【特許文献2】WO 00/27825明細書
【特許文献3】WO 01/85700明細書
【特許文献4】WO 99/50256明細書
【特許文献5】EP−834 507明細書
【本発明の開示】
【0004】
従って、一つの態様として、本発明は式
【0005】
【化1】

【0006】
[式中、
−a=a−a=a−は式
−CH=CH−CH=CH− (a−1);
−N=CH−CH=CH− (a−2);
−N=CH−N=CH− (a−3);
−N=CH−CH=N− (a−4);
−N=N−CH=CH− (a−5)
の2価の基を表し;
−b−b−b−は式
−O−CH−CH− (b−1);
−O−CH=CH− (b−2);
−S−CH−CH− (b−3);
−S−CH=CH− (b−4);
−CH−CH=CH− (b−5)
の2価の基を表し;
nは0、1、2、3もしくは4であり;そして−a=a−a=a−が(a−1)である場合には、nはまた5であることもでき;
mは0、1、2、3であり;
qは0、1もしくは2であり;
pは1もしくは2であり;
は水素;アリール;ホルミル;C1〜6アルキルカルボニル;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;ホルミル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルオキシで置換されたC1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されたC1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニルであり;
各Rは独立してヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノでもしくは−C(=O)Rで置換されていてもよいC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2〜6アルケニル、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、 NR1314、ポリハロメチル、ポリハロメチルチオ、−S(=O)、−NH−S(=O)、−C(=O)R、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O)R、−C(=NH)Rまたは式
【0007】
【化2】

【0008】
[式中、各Aは独立してN、CHもしくはCRであり;そして
はNH、O、SもしくはNRである]
の基であり;
は−NR−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、C1〜4アルカンジイル、−CHOH−、−S−、−S(=O)−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−、−X−C1〜4アルカンジイル−もしくは−C1〜4アルカンジイル−X−であり;
は−NR−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、−CHOH−、−S−、−S(=O)−であり;
は水素、ハロ、C1〜6アルキル、NR1314、−C(=O)−NR1314、−C(=O)−R15、−CH=N−NH−C(=O)−R16、−C(=N−O−R)−C1〜4アルキル、Rもしくは−X−R;またはハロ、ヒドロキシ、シアノ、NR10、−C(=O)−NR10、−C(=O)−C1〜6アルキルもしくはRから各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜6アルキル、そして置換基の該リストに加えて、該C1〜6アルキルの2個のジェミナル水素原子はまたC2〜5アルカンジイルで置換され、そのようにしてスピロ環を形成することもできる;場合によりヒドロキシ、シアノ、NR10、−C(=O)−NR10、−C(=O)−C1〜6アルキルもしくはRから各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル;ハロ、ヒドロキシ、シアノ、NR10、−C(=O)−NR10、−C(=O)−C1〜6アルキルもしくはRから各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC2〜6アルケニル;ハロ、ヒドロキシ、シアノ、NR10、−C(=O)−NR10、−C(=O)−C1〜6アルキルもしくはRから各々独
立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC2〜6アルキニルであり;
は−NR−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−、−X−C1〜4アルカンジイル−、−C1〜4アルカンジイル−X2a−、−C1〜4アルカンジイル−X2b−C1〜4アルカンジイル、−C(=N−OR)−C1〜4アルカンジイル−であり;
2aは−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−であり;そして
2bは−NH−NH−、−N=N−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−であり;
はハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、−C(=O)−NR1314、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニル、ホルミル、−NR1314もしくはRであり;
は水素;アリール;ホルミル;C1〜6アルキルカルボニル;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシカルボニル:ホルミル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニルもしくはC1〜6アルキルカルボニルオキシで置換されたC1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されたC1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニルであり;
はC1〜4アルキル、NR1314もしくはポリハロC1〜4アルキルであり;
は単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々は、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノもしくはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、ホルミル、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、−CH(=N−O−R)、R7a、−X−R7aまたはR7a−C1〜4アルキルから各々独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていてもよく;
7aは単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々は、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノもしくはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、ホルミル、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、−C(=O)−NR1314、−CH(=N−O−R)から各々独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていてもよく;
は水素、C1〜4アルキル、アリールもしくはアリールC1〜4アルキルであり;
およびR10は各々独立して水素;ヒドロキシ;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシ;C1〜6アルキルカルボニル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;NR1314;−C(=O)−NR1314;−CH(=NR11)もしくはRであり、ここで、上記のC1〜6アルキル基の各々は、場合によりそして各々個々に、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、カルボキシル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、シアノ、イミノ、NR1314、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)、−NH−S(=O)、−C(=O)R、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O
)R、−C(=NH)R、Rから各々独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよく;または
およびR10は一緒になって式
−CH−CH−CH−CH− (d−1)
−CH−CH−CH−CH−CH− (d−2)
−CH−CH−O−CH−CH− (d−3)
−CH−CH−S−CH−CH− (d−4)
−CH−CH−NR12−CH−CH−(d−5)
−CH−CH=CH−CH− (d−6)
=CH−CH=CH−CH=CH− (d−7)
の2価もしくは3価の基を形成することができ;
11はシアノ;C1〜4アルキルカルボニル;C1〜4アルキルオキシカルボニル;−C(=O)−NR1314;または場合によりC1〜4アルキルオキシ、シアノ、NR1314もしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜4アルキルであり;
12は水素もしくはC1〜4アルキルであり;
13およびR14は、各々独立して、水素、Het、場合によりシアノもしくはアミノカルボニルで置換されていてもよいC1〜6アルキル、場合によりシアノもしくはアミノカルボニルで置換されていてもよいC2〜6アルケニル、場合によりシアノもしくはアミノカルボニルで置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;
15は場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
16はRまたは場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
17は、存在する場合、各々独立してシアノ、ハロ、ヒドロキシ、−C(=O)−NR1314、場合によりシアノ、−C(=O)−NR1314もしくはハロから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1〜6アルキル;場合によりシアノ、−C(=O)−NR1314もしくはハロから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合によりシアノ、−C(=O)−NR1314もしくはハロから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;そして可能であれば、R17はまた二重結合により−b−b−b−部分に結合していることもでき、それによりR17はその場合に=O、=S、=NH、=N−R15、=N−R、=N−O−R15、=N−O−R、=CH、=CH−C(=O)−NR1314、=CH−Rもしくは=CH−R15であり;ここで、=CHは場合によりシアノ、ヒドロキシ、ハロ、ニトロで置換されていてもよく;
Qは水素、C1〜6アルキル、ハロ、ポリハロC1〜6アルキル、−C(=O)−NR1314もしくは−NR10を表し;
ZはC−YもしくはNであり、ここで、
Yは水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、カルボニル、シアノ、ニトロ、NR1314、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)、−NH−S(=O)R、−NH−SO−R、−NH−SO−(C1〜4アルカンジイル)−CO−N(R、−C(=O)R、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O)R、−C(=O)−NH−R、−C(=NH)R、アリール、または場合により1個もしくはそれ以上のハロ原子で置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合により1個もしくはそれ以上のハロ原子で置換されていてもよいC2〜6アルキニル;シアノでもしくは−C(=O)Rで置換されたC1〜6アルキルを表し;
アリールはフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロ
キシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルNR1314、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、−C(=O)−NR1314、Rもしくは−X−Rから各々独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されたフェニルであり;
Hetは単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々は、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノもしくはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、ホルミル、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、−C(=O)−NR1314、−CH(=N−O−R)から各々独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていてもよい]
の化合物、そのN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩、第四級アミンもしくは立体化学的異性体に関する。
【0009】
上記もしくは下記に用いる場合、基もしくは基の一部としてのC1〜4アルキルは、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチルのような1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基を定義し;基もしくは基の一部としてのC1〜6アルキルは、C1〜4アルキルについて定義する基およびペンチル、ヘキシル、2−メチルブチルなどのような1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基を定義し;基もしくは基の一部としてのC2〜6アルキルは、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−メチルブチルなどのような2〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基を定義し;C1〜4アルカンジイルは、メチレン、1,2−エタンジイルもしくは1,2−エチリデン、1,3−プロパンジイルもしくは1,3−プロピリデン、1,4−ブタンジイルもしくは1,4−ブチリデンなどのような1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和した2価の炭化水素基を定義し;C3〜7シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルの総称であり;C2〜6アルケニルは、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどのような二重結合を含有する2〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状の炭化水素基を定義し;C2〜6アルキニルは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどのような三重結合を含有する2〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状の炭化水素基を定義する。
【0010】
多くの場合において、基C1〜6アルキニル、C2〜6アルケニルもしくはC2〜6アルキニルは、1個もしくはそれ以上の置換基で置換されることができる。その場合、1、2、3、4、5、6個およびそれ以上の置換基が存在することができ、該数は、ある場合には、炭素原子の数および炭化水素基の不飽和度により限定される。好ましくは、基C1〜6アルキニル、C2〜6アルケニルもしくはC2〜6アルキニルは、3個までの置換基で置換される。
【0011】
単環式、二環式もしくは三環式の飽和炭素環は、1、2もしくは3個の環からなる環系を表し、該環系は炭素原子のみからなり、そして該環系は単結合のみを含有し;単環式、二環式もしくは三環式の部分的に飽和した炭素環は、1、2もしくは3個の環からなる環系を表し、該環系は炭素原子のみからなり、そして少なくとも1個の二重結合を含んでなり、ただし、該環系は芳香族環系ではなく;単環式、二環式もしくは三環式の芳香族炭素環は、1、2もしくは3個の環からなる芳香族環系を表し、該環系は炭素原子のみからな
り;芳香族という用語は当業者に周知であり、そして4n+2個の電子、すなわち、6、10、14個などのπ電子を有する(ヒュッケル則)環状共役系を表し;単環式、二環式もしくは三環式の飽和複素環は、1、2もしくは3個の環からなりそしてO、NもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含んでなる環系を表し、該環系は単結合のみを含有し;単環式、二環式もしくは三環式の部分的に飽和した複素環は、1、2もしくは3個の環からなりそしてO、NもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子および少なくとも1個の二重結合を含んでなる環系を表し、ただし、該環系は芳香族環系ではなく;単環式、二環式もしくは三環式の芳香族複素環は、1、2もしくは3個の環からなりそしてO、NもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含んでなる芳香族環系を表す。
【0012】
単環式、二環式もしくは三環式の飽和炭素環の特定の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[4,2,0]オクタニル、シクロノナニル、シクロデカニル、デカヒドロナフタレニル、テトラデカヒドロアントラセニルなどである。好ましいのは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルであり;より好ましいのは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルである。
【0013】
単環式、二環式もしくは三環式の部分的に飽和した炭素環の特定の例は、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ビシクロ[4,2,0]オクテニル、シクロノネニル、シクロデセニル、オクタヒドロナフタレニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル、1,2,3,4,4a,9,9a,10−オクタヒドロ−アントラセニルなどである。好ましいのは、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルである。
【0014】
単環式、二環式もしくは三環式の芳香族炭素環の特定の例は、フェニル、ナフタレニル、アントラセニルである。好ましいのは、フェニルである。
【0015】
単環式、二環式もしくは三環式の飽和複素環の特定の例は、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロオキサゾリル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサジアゾリジニル、トリアゾリジニル、チアジアゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピラジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、トリチアニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロインドリルなどである。好ましいのは、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、ジヒドロオキサゾリル、トリアゾリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルである。特に好ましいのは、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ジオキソラニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルである。
【0016】
単環式、二環式もしくは三環式の部分的に飽和した複素環の特定の例は、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、インドリニルなどである。好ましいのは、ピロリニル、イミダゾリニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、1,3−ベンゾジオキソリル、インドリニルである。
【0017】
単環式、二環式もしくは三環式の芳香族複素環の特定の例は、アゼチル、オキセチリデニル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジ
ニル、ピラニル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノリジニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、ベンゾピラニル、ピロロピリジル、チエノピリジル、フロピリジル、イソチアゾロピリジル、チアゾロピリジル、イソオキサゾロピリジル、オキサゾロピリジル、ピラゾロピリジル、イミダゾピリジル、ピロロピラジニル、チエノピラジニル、フロピラジニル、イソチアゾロピラジニル、チアゾロピラジニル、イソオキサゾロピラジニル、オキサゾロピラジニル、ピラゾロピラジニル、イミダゾピラジニル、ピロロピリミジニル、チエノピリミジニル、フロピリミジニル、イソチアゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、イソオキサゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリミジニル、ピロロピリダジニル、チエノピリダジニル、フロピリダジニル、イソチアゾロピリダジニル、チアゾロピリダジニル、イソオキサゾロピリダジニル、オキサゾロピリダジニル、ピラゾロピリダジニル、イミダゾピリダジニル、オキサジアゾロピリジル、チアジアゾロピリジル、トリアゾロピリジル、オキサジアゾロピラジニル、チアジアゾロピラジニル、トリアゾロピラジニル、オキサジアゾロピリミジニル、チアジアゾロピリミジニル、トリアゾロピリミジニル、オキサジアゾロピリダジニル、チアジアゾロピリダジニル、トリアゾロピリダジニル、イミダゾオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、イミダゾイミダゾリル、イソオキサゾロトリアジニル、イソチアゾロトリアジニル、ピラゾロトリアジニル、オキサゾロトリアジニル、チアゾロトリアジニル、イミダゾトリアジニル、オキサジアゾロトリアジニル、チアジアゾロトリアジニル、トリアゾロトリアジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどである。
【0018】
好ましい芳香族複素環は、単環式もしくは二環式の芳香族複素環である。興味深い単環式、二環式もしくは三環式の芳香族複素環は、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピラニル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾピラニル、ピロロピリジル、チエノピリジル、フロピリジル、イソチアゾロピリジル、チアゾロピリジル、イソオキサゾロピリジル、オキサゾロピリジル、ピラゾロピリジル、イミダゾピリジル、ピロロピラジニル、チエノピラジニル、フロピラジニル、イソチアゾロピラジニル、チアゾロピラジニル、イソオキサゾロピラジニル、オキサゾロピラジニル、ピラゾロピラジニル、イミダゾピラジニル、ピロロピリミジニル、チエノピリミジニル、フロピリミジニル、イソチアゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、イソオキサゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリミジニル、オキサジアゾロピリジル、チアジアゾロピリジル、トリアゾロピリジル、オキサジアゾロピラジニル、チアジアゾロピラジニル、トリアゾロピラジニル、オキサジアゾロピリミジニル、チアジアゾロピリミジニル、トリアゾロピリミジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどである。
【0019】
特に興味深い芳香族複素環は、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピラニル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチ
エニル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニルなどである。
【0020】
上記に用いる場合、(=O)という用語は、炭素原子に結合している場合にはカルボニル部分、硫黄原子に結合している場合にはスルホキシド部分、そして該用語の2つが硫黄原子に結合している場合にはスルホニル部分を形成する。
【0021】
ハロという用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称である。上記および下記に用いる場合、基もしくは基の一部としてのポリハロメチルは、モノ−もしくはポリハロ置換されたメチル、特に1個もしくはそれ以上のフルオロ原子を有するメチル、例えば、ジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルと定義され;基もしくは基の一部としてのポリハロC1〜4アルキルもしくはポリハロC1〜6アルキルは、モノ−もしくはポリハロ置換されたC1〜4アルキルもしくはC1〜6アルキル、例えば、ハロメチルにおいて定義する基、1,1−ジフルオロ−エチルなどと定義される。ポリハロメチル、ポリハロC1〜4アルキルもしくはポリハロC1〜6アルキルの定義内で1個より多くのハロゲン原子がアルキル基に結合している場合、それらは同じもしくは異なることができる。
【0022】
もしくはR7aの定義における複素環という用語には、該複素環の可能な異性体の全てが包含されるものとし、例えば、ピロリルは1H−ピロリルおよび2H−ピロリルを含んでなる。
【0023】
もしくはR7aの定義における炭素環もしくは複素環は、他に特定されない場合、必要に応じて任意の環炭素もしくはヘテロ原子を介して式(I)の分子の残りに結合していることができる。従って、例えば、複素環がイミダゾリルである場合、それは1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリルなどであることができ、もしくは炭素環がナフタレニルである場合、それは1−ナフタレニル、2−ナフタレニルなどであることができる。
【0024】
任意の変記号(例えば、R、ヘテロ原子、X)が任意の成分において1回より多く存在する場合、各定義は独立している。
【0025】
置換基から環系に引いた線は、該結合が適当な環原子のいずれかに結合し得ることを表す。
【0026】
治療用途には、式(I)の化合物の塩は、対イオンが製薬学的に許容しうるものである。しかしながら、製薬学的に許容しうるものではない酸および塩基の塩もまた、例えば、製薬学的に許容しうる化合物の製造もしくは精製において、用途を見出すことができる。全ての塩は、製薬学的に許容しうるかもしくはそうでないにしても、本発明の範囲内に包含される。
【0027】
上記のような製薬学的に許容しうる付加塩は、式(I)の化合物が形成することのできる治療的に有効な無毒の酸付加塩形態を含んでなるものとする。後者は、無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸など;硫酸;硝酸;リン酸など;もしくは有機酸、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサン
スルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸などのような適切な酸で塩基形態を処理することにより都合よく得ることができる。逆に、該塩形態をアルカリでの処理により遊離塩基形態に転化することができる。
【0028】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物は、適切な有機および無機塩基での処理によりそれらの治療的に有効な無毒の金属もしくはアミン付加塩形態に転化することができる。適切な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4つのブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリンのような第一級、第二級および第三級脂肪族および芳香族アミンとの塩、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、ヒドラバミン(hydrabamine)塩、ならびに例えば、アルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。逆に、該塩形態を酸での処理により遊離酸形態に転化することができる。
【0029】
付加塩という用語はまた、式(I)の化合物が形成することのできる水和物および溶媒付加形態(溶媒和物)も含んでなる。そのような形態の例は、例えば、水和物、アルコラートなどである。
【0030】
「第四級アミン」という用語は、上記に用いる場合、式(I)の化合物の塩基性窒素と例えば場合により置換されていてもよいハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールもしくはハロゲン化アリールアルキル、例えば、ヨウ化メチルもしくはヨウ化ベンジルのような適切な四級化剤との間の反応により式(I)の化合物が形成することのできる第四級アンモニウム塩を定義する。トリフルオロメタンスルホン酸アルキル、メタンスルホン酸アルキルおよびp−トルエンスルホン酸アルキルのような、優れた脱離基を有する他の反応物質もまた用いることができる。第四級アミンは、正に荷電した窒素を有する。製薬学的に許容しうる対イオンには、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロアセテートおよびアセテートが包含される。選択の対イオンは、イオン交換樹脂を用いて導入することができる。
【0031】
本発明の化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の第三級窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化される式(I)の化合物を含んでなるものとする。
【0032】
式(I)の化合物ならびにそれらのN−オキシド、付加塩、第四級アミンおよび立体化学的異性体のいくつかは、1個もしくはそれ以上のキラリティー中心を含有しそして立体化学的異性体として存在し得ることが理解される。
【0033】
「立体化学的異性体」という用語は、上記に用いる場合、式(I)の化合物およびそれらのN−オキシド、付加塩、第四級アミンもしくは生理学的に機能性の誘導体が有することのできる可能な立体異性体の全てを定義する。他に記載されないかもしくは示されない限り、化合物の化学表示は全ての可能な立体化学的異性体の混合物を意味し、該混合物は、基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび鏡像異性体、ならびに他の異性体を実質的に含まない、すなわち、10%未満、好ましくは5%未満、特に2%未満そして最も好ましくは1%未満を伴う式(I)の個々の異性体およびそれらのN−オキシド、塩、溶媒和物もしくは第四級アミンの各々を含有する。従って、式(I)の化合物が例えば(E)と特定される場合、これは該化合物が(Z)異性体を実質的に含まないことを意味する。
【0034】
特に、ステレオジェン中心は、R−もしくはS−立体配置を有することができ;2価の環式の(部分的に)飽和した基上の置換基は、シス−もしくはトランス−立体配置のいずれかを有することができる。二重結合を含む化合物は、該二重結合でE(反対側(entgegen))もしくはZ(同じ側(zusammen))−立体化学を有することができる。シス、トランス、R、S、EおよびZという用語は、当業者に周知である。
【0035】
式(I)の化合物の立体化学的異性体は、明らかに本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0036】
式(I)の化合物、それらのプロドラッグ、N−オキシド、塩、溶媒和物、第四級アミンもしくは金属錯体およびその製造に使用する中間体のいくつかでは、絶対立体化学配置を実験的に決定しなかった。これらの場合、実際の立体化学配置をさらに言及せずに、第一に単離された立体異性体を「A」と、そして第二のものを「B」と表す。しかしながら、該「A」および「B」立体異性体は、「A」および「B」が鏡像異性の関係を有する場合には例えばそれらの旋光性により明らかに特性化することができる。当業者は、例えば、X線回折のような当該技術分野で既知の方法を用いてそのような化合物の絶対立体配置を決定することができる。「A」および「B」が立体異性体混合物である場合には、それらをさらに分離することができ、それにより、実際の立体化学配置をさらに言及せずに、単離されるそれぞれの第一の画分を「A1」および「B1」、そして第二のものを「A2」および「B2」と表す。
【0037】
式(I)の化合物のいくつかはまた、それらの互変異性形態で存在することもできる。そのような形態は、上記の式において明白に示されないが本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0038】
下記に用いる場合はいつでも、「式(I)の化合物」という用語には、それらのN−オキシド形態、それらの塩、それらの第四級アミンおよびそれらの立体化学的異性体もまた包含されるものとする。特に興味深いのは、立体化学的に純粋な式(I)の化合物である。
【0039】
例えばRおよびR10についてのように、置換基が多数の定義のリストから各々独立して選択されることができることを上記もしくは下記に用いる場合はいつでも、化学的に可能でありそして化学的に安定な分子をもたらす全ての可能な組み合わせが意図される。
【0040】
式(I)の化合物の特定の亜群は、ZがNであるものである。
【0041】
別の亜群は、ZがC−Yである式(I)の化合物である。
【0042】
式(I)の化合物の特定の亜群は、−b−b−b−が式
−O−CH−CH− (b−1);
−O−CH=CH− (b−2);
−S−CH−CH− (b−3);
−S−CH=CH− (b−4)
の2価の基を表すものである。
【0043】
化合物のこの亜群のうち、−b−b−b−が基(b−1)もしくは(b−2)であるものは、特に興味深い。
【0044】
式(I)の化合物の別の特定の亜群は、−b−b−b−が式
−CH−CH=CH− (b−5)
の2価の基を表すものである。
【0045】
別の亜群は、−b−b−b−と同様にZにも上記の特定の制限が当てはまるものである。
【0046】
興味深い式(I)の化合物の亜群は、以下の制限(a)〜(v)の1つもしくはそれ以上が当てはまるものである。
(a)−a=a−a=a−が式
−CH=CH−CH=CH− (a−1)
の2価の基を表す;
(b)nが0、1、2、3である;
(c)mが0、1もしくは2である;
(d)Rが水素;ホルミル;C1〜6アルキルカルボニル;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニルである;
(e)各Rが独立してヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノでもしくは−C(=O)Rで置換されていてもよいC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2〜6アルケニル、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ(C1〜6アルキル)アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルチオ、−S(=O)、−NH−S(=O)、−C(=O)R、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O)R、−C(=NH)Rまたは式
【0047】
【化3】

【0048】
[式中、各Aは独立してN、CHもしくはCRであり;そして
はNH、O、SもしくはNRである]
の基である;
(f)Xが−NR−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、C1〜4アルカンジイル、−CHOH−、−S−、−S(=O)−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−、−X−C1〜4アルカンジイル−もしくは−C1〜4アルカンジイル−X−である;
(g)Xが−NR−、−O−である;
(h)Rが水素、ハロ、C1〜6アルキル、NR1314、−C(=O)−NR1314、−C(=O)−R15、−X−R;シアノ、Rもしくは−C(=O)−NR10から各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜6アルキル;ハロ、シアノもしくは−C(=O)−NR10もしくはRから各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC2〜6アルケニル;またはハロ、シアノ、−C(=O)−NR10もしくはRから各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC2〜6アルキニルである;
(i)Xが−NR−、−NH−NH−、−N=N−、−O−もしくは−S−である;(j)Rがハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、−C(=O)−NR1314、C1〜6アルキルオキシカ
ルボニル、C1〜6アルキルカルボニル、ホルミル、−NR1314もしくはRである;
(k)Rが水素;ホルミル;C1〜6アルキルカルボニル;C1〜6アルキルもしくはC1〜6アルキルオキシカルボニルである;
(l)RがC1〜4アルキル、NR1314もしくはポリハロC1〜4アルキルである;
(m)Rが単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々が、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシもしくはアミノカルボニルから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい;
(n)Rが水素、C1〜4アルキルもしくはアリールC1〜4アルキルである;
(o)RおよびR10が各々独立して水素;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシ;C1〜6アルキルカルボニルもしくはC1〜6アルキルオキシカルボニルである;
(p)R13およびR14が各々独立して水素もしくはC1〜6アルキルである;
(q)R15が場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜6アルキルである;
(r)R17がシアノ、ハロ、ヒドロキシ、−C(=O)−NR1314、場合によりシアノ、−C(=O)−NR1314もしくはハロで置換されていてもよいC1〜6アルキル;場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;そして可能であれば、R17がまた二重結合により−b−b−b−部分に結合していることもでき、それによりR17がその場合に=O、=S、=NH、=N−R15、=N−R、=N−O−R15、=N−O−R、=CH、=CH−C(=O)−NR1314、=CH−Rもしくは=CH−R15であり;ここで、=CHが場合によりシアノ、ヒドロキシ、ハロ、ニトロで置換されていてもよい;
(s)Qが水素、C1〜6アルキルもしくは−NR10を表す;
(t)Yが水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、NR1314、ポリハロメチルオキシ、−NH−SO−R、−NH−SO−(C1〜4アルカンジイル)−CO−N(Rを表すか;またはYがシアノでもしくは−C(=O)Rで置換されたC1〜6アルキルである;
(u)アリールがフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルNR1314、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、−C(=O)−NR1314、Rもしくは−X−Rから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである;
(v)Hetが単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々が、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい。
【0049】
式(I)の化合物の特に興味深い亜群は、上記の制限(a)〜(v)の全てが当てはま
るものである。
【0050】
さらに興味深いものは、上記の制限(a)〜(v)の1つもしくはそれ以上が場合により当てはまってもよくそして下記の制限(a’)〜(v’)の1つもしくはそれ以上が当てはまる式(I)の化合物の亜群である:
(a’)−a=a−a=a−が式
−CH=CH−CH=CH− (a−1)
の2価の基を表す;
(b’)nが1もしくは2である;
(c’)mが1もしくは2である;
(d’)Rが水素;C1〜6アルキルである;
(e’)各Rが独立してヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノでもしくは−C(=O)Rで置換されていてもよいC1〜6アルキル、場合によりシアノで置換されていてもよいC2〜6アルケニル、場合によりシアノで置換されていてもよいC2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ(C1〜6アルキル)アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、−S(=O)、−NH−S(=O)、−C(=O)R、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O)R、−C(=NH)Rまたは式
【0051】
【化4】

【0052】
[式中、各Aは独立してN、CHもしくはCRであり;そして2個以下のAはNであり;AはNH、O、SもしくはNRである]
の基である;
(f’)Xが−NR−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、C1〜4アルカンジイル、−CHOH−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−、−X−C1〜4アルカンジイル−もしくは−C1〜4アルカンジイル−X−である;
(g’)Xが−NR−、−O−である;
(h’)Rが水素、ハロ、C1〜6アルキル、NR1314、−C(=O)−NR1314、−C(=O)−R15、−X−R;シアノ、Rもしくは−C(=O)−NR10から各々独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されたC1〜6アルキル;ハロ、シアノもしくは−C(=O)−NR10から各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC2〜6アルケニル;またはハロ、シアノ、−C(=O)−NR10から各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC2〜6アルキニルである;
(i’)Xが−NR−もしくは−O−である;
(j’)Rがハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、−C(=O)−NR1314、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニル、ホルミル、−NR1314である;
(k’)Rが水素;C1〜6アルキルである;
(l’)RがC1〜4アルキルである;
(m’)Rが本明細書に特に記載する特定の単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環のいずれかであり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々が、場合に
よりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシもしくはアミノカルボニルから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい;
(n’)Rが水素もしくはC1〜4アルキルである;
(o’)RおよびR10が各々独立して水素もしくはC1〜6アルキルである;
(p’)R13およびR14が各々独立して水素もしくはC1〜6アルキルである;
(q’)R15が場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜6アルキルである;
(r’)R17がシアノ、ハロ、ヒドロキシ、−C(=O)−NR1314、場合によりシアノ、−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜6アルキル;場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;そして可能であれば、R17がまた二重結合により−b−b−b−部分に結合していることもでき、それによりR17がその場合に=O、=NH、=N−R15、=N−R、=N−O−R15、=N−O−R、=CH、=CH−C(=O)−NR1314、=CH−Rもしくは=CH−R15であり;ここで、=CHが場合によりシアノで置換されていてもよい;
(s’)Qが水素もしくはC1〜6アルキルもしくは−NR10を表す;
(t’)Yが水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、NR1314、ポリハロメチルオキシ、−NH−SO−R、−NH−SO−(C1〜4アルカンジイル)−CO−N(Rを表す;
(u’)アリールがフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、−C(=O)−NR1314から各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである;
(v’)Hetが本明細書に特に記載する単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該複素環式環系の各々が、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい。
【0053】
式(I)の化合物の特定の亜群は、前段落の制限(a’)〜(v’)の全てが当てはまるものである。
【0054】
特に興味深いものは、上記の制限(a)〜(v)のもしくは制限(a’)〜(v’)の1つもしくはそれ以上が場合により当てはまってもよくならびに下記の制限(a”)〜(v”)の1つもしくはそれ以上が当てはまる式(I)の化合物の任意の亜群である:
(a”)−a=a−a=a−が式
−CH=CH−CH=CH− (a−1)
の2価の基を表す;
(b”)nが1である;
(c”)mが1である;
(d”)Rが水素;メチルである;
(e”)Rがハロ、場合によりシアノで置換されていてもよいC1〜6アルキル、場合によりシアノで置換されていてもよいC2〜6アルケニル、場合によりシアノで置換され
ていてもよいC2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、アミノ、モノ(C1〜6アルキル)アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノである;
(f”)Xが−NR−、−O−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−である;
(h”)Rが水素、ハロ、C1〜6アルキル、NR1314、−C(=O)−NR1314、−C(=O)−R15;シアノで置換されたC1〜6アルキル;シアノで置換されたC2〜6アルケニル;もしくはシアノで置換されたC2〜6アルキニルである;
(j”)Rがハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、−C(=O)−NR1314、−NR1314である;
(k”)Rが水素;C1〜6アルキルである;
(m”)Rが本明細書に特に記載する特定の単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環のいずれかであり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々が、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシもしくはアミノカルボニルから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい;
(n”)Rが水素もしくはC1〜4アルキルである;
(o”)RおよびR10が水素である;
(p”)R13およびR14が水素である;
(q”)R15が場合によりシアノで置換されていてもよいC1〜6アルキルである;
(r”)R17がシアノ、−C(=O)−NR1314、場合によりシアノ、−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜6アルキル;場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;そして可能であれば、R17がまた二重結合により−b−b−b−部分に結合していることもでき、それによりR17がその場合に=O、=NH、=N−R15、=N−R、=N−O−R15、=N−O−R、=CH、=CH−C(=O)−NR1314、=CH−Rもしくは=CH−R15であり;ここで、=CHが場合によりシアノで置換されていてもよい;
(s”)Qが水素もしくは−NR10を表す;
(t”)Yが水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、NR1314、−NH−SO−R、−NH−SO−(C1〜4アルカンジイル)−CO−N(Rを表す;
(u”)アリールがフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである;
(v”)Hetが本明細書に特に記載する単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該複素環式環系の各々が、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい。
【0055】
式(I)の化合物の特定の亜群は、前段落の制限(a”)〜(v”)の全てが当てはまるものである。
【0056】
−b−b−b−が(b−5)である式(I)の化合物では、下記の条件の1つもしくはそれ以上が当てはまる亜群が特に興味深い。
(a−1)−a=a−a=a−が式−CH=CH−CH=CH−(a−1)の2価の基を表す;
(a−2)mが0、1もしくは2、特に1もしくは2、さらに特に2であり;そしてここで、R置換基がX部分に関してオルト位に位置する;
(a−3)Xが結合している二環式環系の両方の環に共通している炭素原子のメタ位の炭素原子の一つにXが結合している;
(a−4)適用できる場合、nが0であるかもしくはnが1であり、そしてR置換基がNR−リンカーに関して4位(パラ位)に位置する;
(a−5)Rがヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノでもしくは−C(=O)Rで置換されていてもよいC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2〜6アルケニル、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルチオ、−S(=O)、−NH−S(=O)、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O)R、−C(=NH)Rまたは式
【0057】
【化5】

【0058】
[式中、各Aは独立してN、CHもしくはCRであり;そして
はNH、O、SもしくはNRである]
の基である;
(a−6)Rが場合によりシアノで置換されていてもよいC1〜6アルキルである。
【0059】
−b−b−b−が(b−3)もしくは(b−2)もしくは(b−3)もしくは(b−4)である式(I)の化合物では、下記の条件の1つもしくは可能な限りそれ以上が当てはまる下記の亜群が興味深い。
(c−1)mが1、2もしくは3、特に2もしくは3、さらに特に2であり、なおさらに特にmが2であり、そして該2個のR置換基がX部分に関して2および6位(オルト位)に位置する;
(c−2)Xが結合している二環式環系の両方の環に共通している炭素原子のメタ位の炭素原子の一つにXが結合している;
(c−3)適用できる場合、nが0であり;nが1であり、そして該R置換基がNR−リンカーに関して4位(パラ位)に位置する;
(c−4)Rがヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノでもしくは−C(=O)Rで置換されていてもよいC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2〜6アルケニル、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルチオ、−S(=O)、−NH−S(=O)、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O)R、−C(=NH)Rまたは式
【0060】
【化6】

【0061】
[式中、各Aは独立してN、CHもしくはCRであり;そして
はNH、O、SもしくはNRである]
の基である;
(c−5)Rが場合によりシアノで置換されていてもよいC1〜6アルキルである。

また、化合物の興味深い群は、Rが場合によりシアノで置換されていてもよいC1〜6アルキルである式(I)の化合物である。
【0062】
好ましい亜群は、RがシアノでありそしてRが水素であるものである。
【0063】
また、化合物の興味深い群は、下記の制限の1つもしくはそれ以上、好ましくは全てが当てはまる式(I)の化合物である:
(b−1)nが少なくとも1、特に1であるか;もしくはnが0である;
(b−2)Rがシアノである;
(b−3)mが1、2もしくは3である;
(b−4)RがC1〜6アルキル、特にメチル;ハロである;
(b−5)XがNHもしくはOである;
(b−6)Rが水素もしくはC1〜4アルキルである。
【0064】
興味深い化合物は、Rがハロゲンである、式(I)の化合物もしくは本明細書に特定する亜群のいずれかである。
【0065】
化合物の別の興味深い群は、R17がハロ、シアノである、式(I)の化合物もしくは本明細書に特定する亜群のいずれかである。
【0066】
化合物の別の興味深い群は、R17がオキソ、場合によりシアノで置換されていてもよいC1〜6アルキル、=N−O−C1〜6アルキル−アリール、水素、オキソ、場合によりシアノで置換されていてもよいC1〜6アルキルもしくはHetである、式(I)の化合物もしくは本明細書に特定する亜群のいずれかである。
【0067】
化合物の別の興味深い群は、mが2もしくは3であり、そしてXが−NR−、−O−、−C(=O)−、−CH−、−CHOH−、−S−、−S(=O)−である、特にXが−NR−もしくは−O−である、式(I)の化合物もしくは本明細書に特定する亜群のいずれかである。
【0068】
本発明の化合物のさらなる亜群は、C1〜6アルキルの1つもしくはそれ以上がC1〜4アルキルに限定され、C1〜4アルキルの1つもしくはそれ以上がC1〜2アルキルに限定される;C2〜6アルケニルの1つもしくはそれ以上がC2〜4アルケニルに限定される;C2〜6アルキニルの1つもしくはそれ以上がC2〜4アルキニルに限定される、式(I)の化合物もしくは本明細書に特定する式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0069】
本発明の化合物のさらなる亜群は、複素環もしくは炭素環である基の1つもしくはそれ以上(またはそれらを含有する基の1つもしくはそれ以上)が、そこに特に記載するよう
な複素環もしくは炭素環である、式(I)の化合物もしくは本明細書に特定する式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
合成
式(I)の化合物は、多数の経路によって製造することができ、それらの多くを下記にさらに詳細に説明する。
【0070】
式(I)の化合物は、一般に、式(a−1)の中間体をピリミジンもしくはトリアジン誘導体(a−2)と反応させることにより製造することができる。基HXおよびWは、X連結部分が形成されるように選択される。
【0071】
【化7】

【0072】
試薬(a−2)は、一般式
【0073】
【化8】

【0074】
のものである。
【0075】
特に、Wは適当な脱離基であり、そしてXはヘテロ原子である。(a−2)における適当な脱離基の例はハロゲン、特にクロロおよびブロモ、トシレート、メシレート、トリフレートならびに同様の基である。
【0076】
上記のスキームにおける(a−3)への(a−2)と(a−1)の転化は、Wが脱離基でありそしてXが−NR−、NH−NH−、−N=N−、−O−、−S−、−X−C1〜4アルカンジイル−のようなヘテロ原子である場合に特に有用である。この転化は、Xが−O−である場合に特に適している。Sである場合、後者は当該技術分野で既知の酸化方法を用いて対応するスルホキシドもしくはスルホンに都合よく転化することができる。
【0077】
上記の反応は、通常、適当な溶媒の存在下で行われる。適当な溶媒は、例えば、アセトニトリル、例えばエタノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールのようなアルコール、N,N−ジメチルホルムアミドのような極性非プロトン性溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン、[bmim]PF;1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテルである。
【0078】
が−C(=O)−である場合、基−XHがグリニャールタイプの基(−Mg−ハロ)もしくはリチウムである出発物質(a−1)をWがエステル(−COOアルキル)である出発物質(a−2)と反応させる。後者のエステルはまた、例えばLiAlHでアルコールに還元し、そして次にMnOのような穏やかな酸化剤で対応するアルデヒドに酸化することもでき、次にそれを基−XHがグリニャールタイプの基(−Mg−ハロ)もしくはリチウムである(a−1)出発物質と反応させる。−X−が−C(=O)−である化合物は、適当な還元反応により、例えばLiAlHで−CHOH−アナログに転化することができる。
【0079】
がC1〜4アルカンジイルである場合、該連結はグリニャール反応により、例えば−XH基が−C1〜4アルカンジイル−Mg−ハロである出発物質(a−1)をWがハロ基である(a−2)試薬ともしくは逆に反応させることにより導入することができる。Xがメチレンである場合、該メチレン基は、例えば二酸化セレンで、−C(=O)−基(Xは−C(=O)−である)に酸化することができる。該−C(=O)−基は、次にLiAlHのような適当な水素化物で−CHOH−基に還元することができる。
【0080】
が−NR13−C(=O)−もしくは−C(=O)−NR13−である場合、X連結は、−XHが−NHR13である中間体(a−1)およびWがカルボキシル基もしくはその活性誘導体である中間体(a−2)から出発して、または逆に−XHがカルボキシル基もしくはその活性誘導体である中間体(a−1)およびWが基−NHR13である中間体(a−2)から出発して適当なアミド結合形成反応によって形成することができる。アミド結合形成は、当該技術分野において一般に既知である方法論に従って、例えば、塩化もしくは臭化カルボニルへのカルボキシル基の活性化によりまたは適当なカップリング剤を用いることにより行うことができる。
【0081】
が−X−C1〜4アルカンジイル−である場合、−XHが−XHである中間体(a−1)をWが−C1〜4アルカンジイル−W(ここで、Wは次に適当な脱離基である)である中間体(a−2)と反応させる。もしくはXが−C1〜4アルカンジイル−X−である場合、−XHが−C1〜4アルカンジイル−W(ここで、Wは次に適当な脱離基である)である中間体(a−1)をWが−XHである中間体(a−2)と反応させる。
【0082】
ヘテロ原子以外であるX(すなわち、Xは−C(=O)−、−CHOH−である)の連結は、リンカーXに関してと同様の方法において製造することができる。
【0083】
が−NR−である場合、試薬(a−2)と(a−1)との反応は、典型的に中性条件下で、もしくは好ましい場合、酸性条件で、通常は高温でそして攪拌下で行われる。酸性条件は、適当な酸の量を加えることによりもしくは酸性溶媒、例えば1−もしくは2−プロパノールのようなアルカノールに溶解した塩酸を用いることにより得ることができる。
【0084】
上記の反応は、適当な溶媒の存在下で行うことができる。適当な溶媒は、例えば、アセトニトリル、例えばエタノール、2−プロパノール、2−プロパノール−HClのようなアルコール;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン;1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルである。好ましくは、溶媒は2−プロパノール、2−プロパノール中6NのHClもしくはアセトニトリル、特にアセトニトリルである。場合により、水素化ナトリウムが存在してもよい。
【0085】
が−O−である場合、反応は典型的に下記のように行われる。中間体(a−1)を
最初に有機溶媒中で水素化物と室温で攪拌下で反応させる。次に、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミドのような溶媒を混合物に加え、続いて試薬(a−2)を加えた。典型的には、反応混合物を高温で一晩攪拌して化合物(a−3)を生成せしめた。
【0086】
オキソ(=O)基であるR17置換基を有する式(a−3)の化合物(構造(a−3−1)により表される)を出発物質として用いて=N−R18置換基(ここで、=N−R18は、上記に定義するとおりの=NH、=N−R15、=N−R、=N−O−R15、=N−O−Rである)であるR17置換基を有する式(I)の化合物を得ることができる。この反応経路において、中間体(a−3−1)を塩基の存在下でアルコール性溶媒中で高温で試薬(a−7)(試薬(a−7)は一般式NH、NH−R15、NH−R、NH−O−R15、NH−O−R、特にアリール−C1〜6アルキル−O−NHのものである)と反応させて式(a−8)の化合物を生成せしめる。
【0087】
同様に、式(a−3−1)の化合物を出発物質として用いて=X置換基(ここで、=Xは、上記に定義するとおりの=CH、=CH−C(=O)−NR1314、=CH−Rもしくは=CH−R15である)であるR17置換基を有する式(I)の化合物を得ることができる。中間体(a−3−1)をウィッティッヒ反応もしくはウィッティッヒ−ホルナー反応において試薬(a−4)とさらに反応させる。試薬(a−4)は、トリフェニルホスホニウムイリドのようなウィッティッヒタイプ試薬、もしくは例えば式ジ(C1〜6アルキルオキシ)−P(=O)−X(式中、Xは二重結合(エキソ二重結合)によって環に連結されることができる置換基R17である)の試薬のようなウィッティッヒ−ホルナータイプの試薬、特にホスホネートである。ウィッティッヒ−ホルナータイプの転化は、典型的に、室温で非プロトン性有機溶媒中で塩基、好ましくは強塩基の存在下で行われる。該反応は、完了するために十分な時間が与えられるべきであり、典型的には、化合物(a−5)を生成せしめるために一晩続行してもよい。この後者の化合物を還元条件下でアルコール性溶媒中でさらに反応させて式(a−6)の化合物を生成せしめることができる。
【0088】
両方の転化反応を下記の反応スキームにおいて概説する。
【0089】
【化9】

【0090】
化合物(a−3−1)におけるオキソ基はまた、R17置換基(1個もしくは複数)を有する環における他の位置であることもでき、同じタイプの誘導体化を行い、(a−8)、(a−5)および(a−6)の局所異性体をもたらすことができる。
【0091】
式(I)の化合物はまた、下記の反応スキームにおいて概説するように製造することもできる。
【0092】
【化10】

【0093】
式(a−1)の試薬を式(a−9)のピリミジン−もしくはトリアジン誘導体と反応させ(式中、置換基は本明細書に特定する意味を有し、そしてWは例えばハロ、トリフレート、トシレート、メチルスルホニルなどのような適当な脱離基である)、中間体(a−10)を生成せしめる。この反応は、(a−2)と(a−1)との反応について、特にリンカー−X−の様々な可能性について上記に概説するのと同様に行うことができる。必
要に応じて、この反応に関与しないW基をOH官能基のような脱離基前駆体で置換することができ、それは反応方法の特定の段階で、例えば、OH基をハロゲン基に転化することにより、もしくはそれをPOCl、塩化トシル、塩化メシルなどのような適当な試薬と反応させることにより脱離基に転化される。
【0094】
最終生成物(I)は、アリール化タイプの反応においてアミノ置換された芳香族化合物(a−11)との反応により出発物質(a−10)から製造することができる。
【0095】
(a−9)と(a−1)とのそして(a−11)と(a−10)との反応に適当な溶媒はエーテル、例えば1,4−ジオキサン、THF、アルコール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、非プロトン性溶媒、例えばアセトニトリル、DMF、DMA、1−メチル−2−ピロリジノンなどである。必要に応じて、塩基を加えることができる。この反応における適当な塩基は、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、N,N−ジエチルエタンアミン、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウムなどである。
【0096】
−b−b−b−が−CH−CH=CH−(b−5)である式(I)の化合物もまた、下記のスキームにおいて概説するように式(a−12)のインダン誘導体から出発して製造することができる。インダン誘導体(a−12)を上記に概説するのと同様にウィッティッヒもしくはウィッティッヒ−ホルナー反応を用いて(a−13)に転化する。(a−12)から(a−13)への転化は、(a−5)への(a−3−1)の反応について先に記述するのと同様に起こる。WおよびHXは、X連結部分が形成されるように選択される。次に、生成物(a−13)を試薬(a−2)と連結する。好ましくは、Wは適当な脱離基であり、そしてXはヘテロ原子である。この反応は、(a−2)と(a−1)との反応について上に記述したのと同様の方法を用いて行われる。Xは、(a−5)および(a−6)の製造において上に記述したのと同じ意味を有する。このカップリング反応において、2つの最終生成物、一方の最後では化合物(a−14)、もう一方ではエキソ二重結合により連結されているXを有する(a−14)の異性体が得られる。
【0097】
【化11】

【0098】
−b−b−b−が−CH−CH=CH−(b−5)である式(I)の化合物はまた、以下のスキームにおいて概説するように式(a−16)のインダン誘導体から出発して製造することもできる。
【0099】
【化12】

【0100】
この代替経路において、中間体(a−15)を適当なハロゲン化剤と、例えばオキシ塩化リンと反応させてXがハロである式(a−16)の化合物を生成せしめる。典型的には、この反応は、高温で一晩行われる。中間体(a−15)はまた、PBrのようなブロモ誘導体と反応させることもできる。
【0101】
ZがN(トリアジン)である式(I)の化合物もまた、例えばEP−A−834 507に記述されているようなトリアジン形成縮合反応により製造することができる。基QがNR10である式(I)のトリアジン誘導体は、当該技術分野で既知の方法に従って、Qがハロである、特にQがクロロもしくはブロモである式(I)のトリアジン化合物をアミンH−NR10と反応させることにより製造することができる。
【0102】
このおよび下記の製造において、反応生成物を反応媒質から単離し、そして必要に応じて、例えば、抽出、結晶化、蒸留、粉砕およびクロマトグラフィーのような当該技術分野において一般に既知である方法論に従ってさらに精製することができる。
【0103】
式(I)の化合物はさらに、当該技術分野で既知の基転化反応に従って式(I)の化合物を相互に転化することにより製造することができる。
【0104】
式(I)の化合物は、3価の窒素をそのN−オキシド形態に転化するための当該技術分野で既知の方法に従って対応するN−オキシド形態に転化することができる。該N−酸化反応は、一般に、式(I)の出発物質を適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより実施することができる。適切な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば、過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり;適切な有機過酸化物は、例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸(benzenecarboperoxoic aicd)もしくはハロ置換されたベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸のようなペルオキシ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばtertブチルヒドロペルオキシドを含んでなることができる。適当な溶媒は、例えば、水、低級アルコール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、およびそのような溶媒の混合物である。
【0105】
例えば、Rがシアノを含んでなる式(I)の化合物は、塩酸のような適当な酸の存在下で、HCOOHとの反応により、Rがアミノカルボニルを含んでなる式(I)の化合物に転化することができる。Rがシアノを含んでなる式(I)の化合物はまたさらに、塩化アンモニウムおよびN,N−ジメチルアセトアミドの存在下でアジ化ナトリウムとの反応により、Rがテトラゾリルを含んでなる式(I)の化合物に転化することもできる。
【0106】
がアミノカルボニルを含んでなる式(I)の化合物は、適当な脱水剤の存在下で、Rがシアノを含んでなる式(I)の化合物に転化することができる。脱水は、参考文献として本明細書に組み込まれる、“Comprehensive Organic Transformations.A guide to functional group preparations”,Richard C.Larock,John Wiley & Sons,Inc,1999,p1983−1985に開示されているもののような、当業者に周知である方法論に従って行うことができる。例えば、SOCl、HOSONH、ClSONCO、MeOCNSONEt、PhSOCl、TsCl、P、(PhPOSCF)OSCF、ポリリン酸エステル、(EtO)POP(OEt)、(EtO)PI、2−クロロ−1,3,2−ジオキサホスホラン、2,2,2−トリクロロ−2,2−ジヒドロ−1,3,2−ジオキサホスホラン、POCl、PPh、P(NCl、(NEt、COCl、NaCl.AlCl、ClCOCOCl、ClCOMe、ClCCOCl、(CFCO)O、ClCN=CCl、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン、NaCl.AlCl、HN(SiMe、N(SiMe、LiAlHなどのような異なる適当な試薬は、該参考文献に列挙される。該公開に記載される全ての試薬は、参考として本明細書に組み込まれる。
【0107】
がC2〜6アルケニルを含んでなる式(I)の化合物は、例えばHのような適当な還元剤の存在下で、例えば木炭上パラジウムのような適当な触媒の存在下で、そして例えばアルコール(例えばメタノール)のような適当な溶媒の存在下で還元によりRがC1〜6アルキルを含んでなる式(I)の化合物に転化することができる。
【0108】
がCH(OH)−R16を表す式(I)の化合物は、例えば2−プロパノンのような適当な溶媒の存在下でジョーンズ試薬との反応によりRがC(=O)−R16を表す式(I)の化合物に転化することができる。
【0109】
がC(=O)−CH−R16a(ここで、R16aはシアノもしくはアミノカルボニルを表す)を表す式(I)の化合物は、POClとの反応によりRがC(Cl)=CH−R16aを表す式(I)の化合物に転化することができる。
【0110】
がホルミルで置換された単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環を表す式(I)の化合物は、例えば水酸化ナトリウムのような適当な塩基および例えばアルコール、例えばエタノールなどのような適当な溶媒の存在下でNHORとの反応によりRがCH(=N−O−R)で置換された単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環を表す式(I)の化合物に転化することができる。RがCH(=N−O−R)で置換された単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環を表す式(I)の化合物は、例えばテトラヒドロフランのような適当な溶媒の存在下でカルボジイミドとの反応によりRがCNで置換された単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環を表す式(I)の化合物に転化することができる。
【0111】
がニトロを表す式(I)の化合物は、例えばHのような適当な還元剤の存在下で、例えばラネーニッケルのような適当な触媒の存在下で、そして例えばアルコール(例えばメタノール)のような適当な溶媒の存在下で、Rがアミノである式(I)の化合物に
転化することができる。
【0112】
が水素である式(I)の化合物は、例えば水素化ナトリウムのような適当な塩基の存在下で、そして例えばテトラヒドロフランのような適当な溶媒の存在下で、例えばヨード−C1〜6アルキルのような適当なアルキル化剤との反応により、RがC1〜6アルキルである式(I)の化合物に転化することができる。
【0113】
本発明における式(I)の化合物のいくつかおよび中間体のいくつかは、不斉炭素原子を含有し得る。該化合物および該中間体の純粋な立体化学的異性体は、当該技術分野で既知の方法の適用により得ることができる。例えば、ジアステレオ異性体は、選択的結晶化もしくはクロマトグラフィー技術、例えば、向流分配、液体クロマトグラフィーおよび同様の方法のような物理的方法により分離することができる。鏡像異性体はラセミ混合物から、最初に該ラセミ混合物を例えばキラル酸のような適当な分割剤でジアステレオマー塩もしくは化合物の混合物に転化し;次にジアステレオマー塩もしくは化合物の該混合物を例えば選択的結晶化もしくはクロマトグラフィー技術、例えば液体クロマトグラフィーおよび同様の方法により物理的に分離し;そして最後に該分離したジアステレオマー塩もしくは化合物を対応する鏡像異性体に転化することにより得ることができる。純粋な立体化学的異性体はまた、適切な中間体および出発物質の純粋な立体化学的異性体から得ることもでき、ただし、介在する反応は立体特異的に起こる。
【0114】
式(I)の化合物および中間体の鏡像異性体を分離する代わりの方法は、液体クロマトグラフィー、特にキラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。
【0115】
中間体および出発物質のいくつかは既知の化合物であり、そして市販されている可能性があるかもしくは当該技術分野で既知の方法に従って製造することができ、または式(I)の化合物もしくは記述される中間体のいくつかは、WO 99/50250およびWO
00/27825に記述されている方法に従って製造することができる。
【0116】
式(a−2)の中間体は、式(b−1)の中間体を式(b−2)(式中、Wは脱離基を表し、そしてRは例えばPOClのような脱離基導入剤の残りを表す)の脱離基導入剤と反応させることにより製造することができる。
【0117】
【化13】

【0118】
上記の反応における適当な脱離基は、例えば、ハロ、トリフレート、トシレート、メシレートなどである。好ましくは、Wはハロ、より好ましくはヨードもしくはブロモである。
【0119】
上記の反応における適当な塩基は、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、N,N−ジエチルエタンアミン、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウムなどである。
【0120】
上記の反応における適当な溶媒は、例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド、イオン性液体、例えば[bmim]PF、N,N−ジメチルホルムアミド、水、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノンなどである。
【0121】
炭素−炭素二重結合を有する式(I)の化合物は、接触水素化方法を用いて単結合を有する対応する化合物に還元することができる。これらの方法では、貴金属触媒を利用する。魅力的なそのような触媒は、Pdである。パラジウム(Pd)触媒は、例えばPd(OAc)、PdCl、Pd(PPh、Pd(PPhCl、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、パラジウムチオメチルフェニルグルタルアミドメタラサイクルなどのような均一Pd触媒、もしくは例えば木炭上パラジウム、金属酸化物上パラジウム、ゼオライト上パラジウムのような不均一Pd触媒であることができる。
【0122】
好ましくは、パラジウム触媒は不均一Pd触媒、より好ましくは木炭上パラジウム(Pd/C)である。Pd/Cは回収可能な触媒であり、安定であり、そして比較的安価である。それは反応混合物から容易に分離され(濾過)、それにより最終生成物におけるPd痕跡の危険を減らすことができる。Pd/Cの使用はまた、高価、有毒でありそして合成生成物の汚染物質である例えばホスフィンリガンドのようなリガンドの必要性も回避する。
【0123】
上記の方法において製造されるような式(I)の化合物は、立体異性体の混合物として、特に鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成される可能性があり、それらを当該技術分野で既知の分割方法に従って相互から分離することができる。式(I)のラセミ化合物は、適当なキラル酸との反応により対応するジアステレオマー塩形態に転化することができる。次に、該ジアステレオマー塩形態を例えば選択的もしくは分別結晶化により分離し、そして鏡像異性体をアルカリによりそれから遊離させる。式(I)の化合物の鏡像異性体を分離する代わりの方法は、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。該純粋な立体化学的異性体はまた、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体から得ることもでき、ただし、該反応は立体特異的に起こる。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、該化合物は立体特異的な製造方法により合成される。これらの方法は、鏡像異性的に純粋な出発物質を都合よく用いる。
【0124】
上記の方法において、中間化合物の官能基は、保護基でブロックされる必要があり得ることが当業者により理解される。
【0125】
保護することが望ましい官能基には、ヒドロキシ、アミノおよびカルボン酸が包含される。ヒドロキシに適当な保護基には、トリアルキルシリル基(例えば、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリルもしくはトリメチルシリル)、ベンジルおよびテトラヒドロピラニルが包含される。アミノに適当な保護基には、tert−ブチルオキシカルボニルもしくはベンジルオキシカルボニルが包含される。カルボン酸に適当な保護基には、C1〜6アルキルもしくはベンジルエステルが包含される。
【0126】
官能基の保護および脱保護は、反応段階の前もしくは後に行われることができる。
【0127】
保護基の使用は、‘Protective Groups in Organic Chemistry’,J W F McOmie編集,Plenum Press(1973)および‘Protective Groups in Organic Synthesis’,第2版,T W Greene & P G M Wutz,Wiley
Interscience(1991)に十分に記述されている。
【0128】
式(I)の化合物は、特に、ヒトにおける後天性免疫不全症候群(エイズ)の病因因子であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対して、抗レトロウイルス特性(逆転写酵素阻害特性)を示す。HIVウイルスは、ヒトT−4細胞に優先的に感染し、そしてそれらを破壊するかもしくはそれらの正常な機能、特に免疫系の調整を改変する。結果として、感
染患者は常に減少する数のT−4細胞を有し、それらはさらに異常にふるまう。従って、免疫防御系は感染および新生物と闘うことができず、そしてHIVに感染した被験体は、通常、肺炎のような日和見感染症により、もしくは癌により死亡する。HIV感染と関連する他の症状には、血小板減少症、カポジ肉腫および進行性脱髄を特徴とする中枢神経系の感染が包含され、痴呆症ならびに進行性構音障害、運動失調および失見当識のような症状をもたらす。HIV感染はさらにまた、末梢神経障害、進行性全身性リンパ節腫(PGL)およびエイズ関連複合体(ARC)とも関連している。
【0129】
本発明の化合物はまた、(多)薬剤耐性HIV株、特に(多)薬剤耐性HIV−1株に対する活性も示し、さらに特に本発明の化合物は、1つもしくはそれ以上の当該技術分野で既知の非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターへの耐性を獲得しているHIV株、特にHIV−1株に対する活性を示す。当該技術分野で既知の非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターは、本発明の化合物以外の非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターおよび特に市販用の非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターである。本発明の化合物はまた、ヒトα−1酸性糖タンパク質にほとんどもしくは全く結合親和性もなく;ヒトα−1酸性糖タンパク質は、本発明の化合物の抗HIV活性に影響を及ぼさないかもしくは弱く影響を及ぼすだけである。
【0130】
式(I)の化合物、それらのN−オキシド、その製薬学的に許容しうる付加塩、第四級アミンおよび立体化学的異性体は、それらの抗レトロウイルス特性、特にそれらの抗HIV特性、特にそれらの抗HIV−1活性のために、HIVに感染した個体の処置においてそしてこれらの感染の予防に有用である。一般に、本発明の化合物は、その存在が酵素の逆転写酵素により媒介されるかもしくは依存するウイルスに感染した温血動物の処置において有用であり得る。本発明の化合物で予防するかもしくは処置することができる症状、特にHIVおよび他の病原性レトロウイルスと関連する症状には、エイズ、エイズ関連複合体(ARC)、進行性全身性リンパ節腫(PGL)ならびに例えばHIVに媒介される痴呆症および多発性硬化症のような、レトロウイルスにより引き起こされる慢性中枢神経系疾患が包含される。
【0131】
従って、本発明の化合物もしくはその任意の亜群は、上記の症状に対する薬剤として用いることができる。薬剤としての該使用もしくは処置の方法は、HIVおよび他の病原性レトロウイルス、特にHIV−1と関連する症状と闘うために有効な量のHIV感染被験体への投与を含んでなる。特に、式(I)の化合物は、HIV感染の処置もしくは予防のための薬剤の製造において用いることができる。
【0132】
式(I)の化合物の有用性を考慮して、ウイルス感染、特にHIV感染を患っているヒトを包含する温血動物を処置する方法もしくはヒトを包含する温血動物が患うのを防ぐ方法が提供される。該方法は、ヒトを包含する温血動物への式(I)の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容しうる付加塩、第四級アミンもしくは可能な立体異性体の有効量の投与、好ましくは経口投与を含んでなる。
【0133】
別の態様として、本発明はまた、式(I)の化合物の治療的に有効な量および製薬学的に許容しうる担体もしくは希釈剤を含んでなる製薬学的組成物も提供する。なおさらなる態様として、適当な製薬学的に許容しうる担体もしくは希釈剤と式(I)の化合物を混合することを含んでなる本明細書に特定するような製薬学的組成物を製造する方法が提供される。
【0134】
本発明の化合物もしくはその任意の亜群は、投与目的のために様々な製薬学的形態に調合することができる。適切な組成物として、薬剤を全身的に投与するために通常用いられる全ての組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効
成分として、場合により付加塩形態の、特定の化合物の有効量を製薬学的に許容しうる担体とよく混合して合わせ、この担体は、投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に、経口的、経直腸的、経皮的、もしくは非経口注射による投与に適当な単位投与形態物が望ましい。例えば、経口投与形態物の組成物を製造することにおいて、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、エマルジョンおよび液剤のような経口用液状製剤の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれかを;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、澱粉、糖、カオリン、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固形担体を用いることができる。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのために、最も都合のよい経口用投与単位形態物に相当し、この場合、固形の製薬学的担体が明らかに用いられる。非経口組成物では、担体は、例えば、溶解性を促進するために他の成分を含むことができるが、通常、少なくとも大部分において滅菌水を含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、ここで、担体は食塩水溶液、グルコース溶液もしくは食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合、適切な液状担体、沈殿防止剤などを用いることができる。また包含されるのは、使用直前に液状製剤に転化されることが意図される固形製剤である。経皮投与に適当な組成物において、担体は、わずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と場合により組み合わせて、浸透促進剤および/もしくは適当な湿潤剤を場合により含んでなり、これらの添加剤は皮膚に重大な悪影響をもたらさない。該添加剤は、皮膚への投与を容易にすることができ、そして/もしくは所望の組成物を製造するのに役立つことができる。これらの組成物は、様々な方法で、例えば経皮パッチとして、スポットオンとして、軟膏として投与することができる。
【0135】
本発明の化合物はまた、吸入もしくは吹送により、この手段による投与に当該技術分野において用いられる方法および製剤を用いて投与することもできる。従って、一般に本発明の化合物は、溶液、懸濁液もしくは乾燥粉末の形態で肺に投与することができる。経口もしくは経鼻吸入もしくは吹送による溶液、懸濁液もしくは乾燥粉末の送達用に開発される任意の系は、本発明の化合物の投与に適している。
【0136】
式(I)の化合物の溶解性を促進するために、適当な成分、例えばシクロデキストリンを組成物に含むことができる。適切なシクロデキストリンは、α−、β−、γ−シクロデキストリンもしくはそのエーテルおよび混合エーテル(ここで、シクロデキストリンのアンヒドログルコース単位のヒドロキシ基の1つもしくはそれ以上は、C1〜6アルキル、特にメチル、エチルもしくはイソプロピル(例えばランダムにメチル化されたβ−CD);ヒドロキシC1〜6アルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルもしくはヒドロキシブチル;カルボキシC1〜6アルキル、特にカルボキシメチルもしくはカルボキシエチル;C1〜6アルキルカルボニル、特にアセチルで置換される)である。コンプレクサント(complexants)および/もしくは可溶化剤として特に特筆すべきは、β−CD、ランダムにメチル化されたβ−CD、2,6−ジメチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシプロピル−β−CDおよび(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−CD、および特に2−ヒドロキシプロピル−β−CD(2−HP−β−CD)である。
【0137】
混合エーテルという用語は、少なくとも2個のシクロデキストリンヒドロキシ基が例えばヒドロキシプロピルおよびヒドロキシエチルのような異なる基でエーテル化されるシクロデキストリン誘導体を意味する。
【0138】
平均モル置換(M.S.)は、アンヒドログルコースのモル当たりのアルコキシ単位の平均モル数の尺度として用いる。平均置換度(D.S.)は、アンヒドログルコール単位当たりの置換されたヒドロキシルの平均数をさす。M.S.およびD.S.値は、核磁気
共鳴(NMR)、質量分析法(MS)および赤外分光法(IR)のような様々な分析技術により決定することができる。使用する技術により、わずかに異なる値が1つの既定のシクロデキストリン誘導体に対して得られる可能性がある。好ましくは、質量分析法により測定した場合に、M.S.は0.125〜10の間であり、そしてD.S.は0.125〜3の間である。
【0139】
経口もしくは直腸投与用の他の適当な組成物は、式(I)の化合物および1つもしくはそれ以上の適切な製薬学的に許容しうる水溶性ポリマーを含んでなる固体分散体からなる粒子を含んでなる。
【0140】
下記に使用する「固体分散体」という用語は、一方の成分がもう一方の成分もしくは複数の成分(可塑剤、防腐剤などのような、当該技術分野において一般に既知である追加の製薬学的に許容しうる調合剤が含まれる場合)の全体にわたって大体均一に分散している、少なくとも2つの成分(式(I)の化合物および水溶性ポリマーの場合)を含んでなる固体状態(液体もしくは気体状態とは対照的に)の系を定義する。該系が全体にわたって化学的にそして物理的に均一もしくは均質であるかまたは熱力学において定義されるような1相からなるように成分の該分散体が存在する場合、そのような固体分散体は「固溶体」と呼ばれる。固溶体は、それらを投与する生物体にその中の成分が通常は容易に生体利用可能であるので、好ましい物理系である。この利点は、おそらく、該固溶体が胃腸液のような液状媒質と接触した場合に液状溶液を形成することができる容易さにより説明することができる。溶解の容易さは、固溶体からの成分の溶解に必要とされるエネルギーが、結晶質もしくは微晶質固相からの成分の溶解に必要とされるものより少ないことに少なくとも部分的に起因し得る。
【0141】
「固体分散体」という用語はまた、固溶体より全体にわたって均質さが低い分散体も含んでなる。そのような分散体は、全体にわたって化学的にそして物理的に均一ではないかもしくは1つより多くの相を含んでなる。例えば、「固体分散体」という用語はまた、式(I)の非結晶質、微晶質もしくは結晶質化合物、または非結晶質、微晶質もしくは結晶質水溶性ポリマー、または両方が、水溶性ポリマー、もしくは式(I)の化合物を含んでなる別の相、または式(I)の化合物および水溶性ポリマーを含んでなる固溶体に大体均一に分散しているドメインもしくは小さな領域を有する系にも関する。該ドメインは、ある物理的特徴を顕著に特徴とする、サイズが小さい、そして固体分散体の全体にわたって均一に且つランダムに分散している固体分散体内の領域である。
【0142】
溶融押し出し、噴霧乾燥および溶液蒸発を包含する固体分散体を製造するための様々な技術が存在する。
【0143】
溶液蒸発方法は、下記の段階を含んでなる:
a)式(I)の化合物および水溶性ポリマーを、場合により高温で、適切な溶媒に溶解する;
b)溶媒が蒸発されるまで、場合により真空下で、a)時点下で得られる溶液を加熱する。該溶液はまた、薄膜を形成するように大きな表面上に注ぐこともでき、そしてそれから溶媒を蒸発させる。
【0144】
噴霧乾燥技術では、2つの成分を同様に適切な溶媒に溶解し、そして得られる溶液を次に噴霧乾燥機のノズルを通して噴霧し、続いて得られる液滴から溶媒を高温で蒸発させる。
【0145】
固体分散体を製造するための好ましい技術は、下記の段階を含んでなる溶融押し出し方法である:
a)式(I)の化合物および適切な水溶性ポリマーを混合する、
b)場合によりこのようにして得られる混合物と添加剤を混ぜ合わせる、
c)均質な融解物が得られるまでこのようにして得られるブレンドを加熱しそして混合する、
d)このようにして得られる融解物を1つもしくはそれ以上のノズルを通して押し進める;そして
e)融解物が凝固するまでそれを冷却する。
【0146】
「融解物」および「融解すること」という用語は、広範に解釈されるべきである。これらの用語は、固体状態から液体状態への改変を意味するだけでなく、ガラス状態もしくはゴム状態への変化もさすことができ、そしてここで、混合物の一方の成分がもう一方に大体均質に包埋されるようになることが可能である。特定の場合、一方の成分は融解し、そしてもう一方の成分(1つもしくは複数)は該融解物に溶解し、このようにして溶液を生成せしめ、それは冷却すると都合のよい溶解特性を有する固溶体を生成せしめることができる。
【0147】
上記のように固体分散体を製造した後に、得られる生成物を場合により粉砕しそしてふるいにかけることができる。
【0148】
固体分散体生成物は、600μm未満、好ましくは400μm未満、そして最も好ましくは125μm未満の粒子サイズを有する粒子に粉砕するかもしくは砕くことができる。
【0149】
次に、上記のように製造した粒子を錠剤およびカプセル剤のような製薬学的投与形態物に通常の技術により調合することができる。
【0150】
当業者は、最も適切な溶媒、作業温度、使用する装置の種類、噴霧乾燥の速度、溶融押し出し機における押し出し速度のような、上記の固体分散体製造技術のパラメーターを最適化することができると理解される。
【0151】
粒子における水溶性ポリマーは、2%(w/v)で水溶液に20℃で溶解した場合に、1〜5000mPa.sの、より好ましくは1〜700mPa.sの、そして最も好ましくは1〜100mPa.sの見掛け粘度を有するポリマーである。例えば、適当な水溶性ポリマーには、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル、澱粉、ペクチン、キチン誘導体、トレハロースのような二糖、オリゴ糖および多糖、アルギン酸もしくはそのアルカリ金属およびアンモニウム塩、カラギーナン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天−寒天、ゴムアラビカム、グアルゴムおよびキサンタンゴム、ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリレートコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンとのコポリマー、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組み合わせ、ポリアルキレンオキシドおよびエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーが包含される。好ましい水溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0152】
また、1つもしくはそれ以上のシクロデキストリンをWO 97/18839に開示されているように上記の粒子の製造において水溶性ポリマーとして用いることもできる。該シクロデキストリンには、当該技術分野において既知である製薬学的に許容しうる非置換のおよび置換されたシクロデキストリン、さらに特にα、βもしくはγシクロデキストリンまたはその製薬学的に許容しうる誘導体が包含される。
【0153】
上記の粒子を製造するために用いることができる置換されたシクロデキストリンには、米国特許3,459,731に記述されているポリエーテルが包含される。さらなる置換されたシクロデキストリンは、1つもしくはそれ以上のシクロデキストリンヒドロキシ基の水素がC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、カルボキシ−C1〜6アルキルもしくはC1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキルで置換されるエーテルまたはその混合エーテルである。特にそのような置換されたシクロデキストリンは、1つもしくはそれ以上のシクロデキストリンヒドロキシ基の水素がC1〜3アルキル、ヒドロキシC2〜4アルキルもしくはカルボキシC1〜2アルキルでまたはさらに特にメチル、エチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、カルボキシメチルもしくはカルボキシエチルで置換されるエーテルである。
【0154】
特に有用であるのは、β−シクロデキストリンエーテル、例えば、M.Nogradi(1984)によりDrugs of the Future、Vol.9、No.8、p.577−578に記述されているようなジメチル−β−シクロデキストリンおよびポリエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびヒドロキシエチルβ−シクロデキストリンである。そのようなアルキルエーテルは、約0.125〜3、例えば約0.3〜2の置換度を有するメチルエーテルであることができる。そのようなヒドロキシプロピルシクロデキストリンは、例えば、β−シクロデキストリンとプロピレンオキシドとの間の反応から生成せしめることができ、そして約0.125〜10、例えば約0.3〜3のMS値を有することができる。
【0155】
置換されたシクロデキストリンの別のタイプは、スルホブチルシクロデキストリンである。
【0156】
水溶性ポリマーに対する式(I)の化合物の比率は、広く異なり得る。例えば、1/100〜100/1の比率を適用することができる。シクロデキストリンに対する式(I)の化合物の興味深い比率は、約1/10〜10/1の間である。さらに興味深い比率は、約1/5〜5/1の間である。
【0157】
さらに、1000nm未満の有効平均粒子サイズを維持するのに十分な量でその表面上に吸着した表面改質剤(surface modifier)を有するナノ粒子の形態の式(I)の化合物を調合することが好都合であり得る。有用な表面改質剤には、式(I)の化合物の表面に物理的に接着するが該化合物に化学的に結合しないものが包含されると考えられる。
【0158】
適当な表面改質剤は、好ましくは、既知の有機および無機製薬学的賦形剤から選択することができる。そのような賦形剤には、様々なポリマー、低分子量オリゴマー、天然物および界面活性剤が包含される。好ましい表面改質剤には、非イオン性および陰イオン界面活性剤が包含される
式(I)の化合物を調合するさらに別の興味深い方法は、式(I)の化合物を親水性ポリマーに導入しそしてこの混合物を多数の小さなビーズ上に被膜として使用する製薬学的組成物を含み、このようにして都合よく製造することができそして経口投与用の製薬学的投与形態物を製造するのに適当な組成物をもたらす。
【0159】
該ビーズは、中心の丸いもしくは球状のコア、親水性ポリマーおよび式(I)の化合物の被膜ならびに場合によりシールコーティング層を含んでなる。
【0160】
ビーズにおけるコアとしての使用に適当な物質はマニホールドであり、ただし、該物質は製薬学的に許容でき、そして適切な大きさおよび堅さを有する。そのような物質の例は
、ポリマー、無機物質、有機物質、ならびに糖類およびその誘導体である。
【0161】
投与の容易さおよび投薬量の均一性には上記の製薬学的組成物を単位投与形態物に調合することが特に好都合である。単位投与形態物は、本明細書において用いる場合、単位投薬量として適当な物理的に別個の単位をさし、各単位は、必要な製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された有効成分の所定の量を含有する。そのような単位投与形態物の例は、錠剤(分割錠もしくはコート錠を包含する)、カプセル剤、丸剤、散剤パケット、カシェ剤、座薬、注入可能な液剤もしくは懸濁剤など、およびその分離した倍量である。
【0162】
HIV感染の処置における当業者は、本明細書に提示する試験結果から有効な毎日量を決定することができる。一般に、有効な毎日量は、0.01mg/kg〜50mg/kg体重、より好ましくは0.1mg/kg〜10mg/kg体重であると考えられる。1日を通して適切な間隔で2、3、4もしくはそれ以上のサブ用量(sub−doses)として必要な用量を投与することが適切であり得る。該サブ用量は、例えば、単位投与形態物当たり1〜1000mg、そして特に5〜200mgの有効成分を含有する単位投与形態物として調合することができる。
【0163】
正確な投薬量および投与の頻度は、当業者に周知であるように、使用する式(I)の特定の化合物、処置する特定の症状、処置する症状の重さ、特定の患者の年齢、体重および一般的な身体状態ならびに該個体が受けている可能性がある他の投薬により決まる。さらに、該有効な毎日量は、処置した被験体の応答によりそして/もしくは本発明の化合物を処方する医師の評価により減らすかもしくは増やすことができることは明らかである。従って、上記の有効な毎日量の範囲は単なる指針であり、そして本発明の範囲もしくは用途を少しも限定するものではない。
【0164】
式(I)の本発明の化合物は、ウイルス感染の処置のために単独でもしくは抗ウイルス薬、抗生物質、免疫調節因子もしくはワクチンのような他の治療薬と組み合わせて用いることができる。それらはまた、ウイルス感染の予防のために単独でもしくは他の予防薬と組み合わせて用いることもできる。本発明の化合物は、ワクチンおよび長期にわたってウイルス感染から個体を防御する方法において用いることができる。該化合物は、ワクチンにおける逆転写酵素インヒビターの通常の利用と一致する方法でそのようなワクチンにおいて単独でもしくは本発明の他の化合物と一緒にもしくは他の抗ウイルス薬と一緒に用いることができる。従って、本発明の化合物は、ワクチンに通常用いられる製薬学的に許容しうるアジュバントと組み合わせそしてHIV感染から長期にわたって個体を防御するために予防的に有効な量で投与することができる。
【0165】
また、抗レトロウイルス化合物および本発明の化合物の組み合わせを薬剤として用いることもできる。従って、本発明はまた、レトロウイルス感染の予防もしくは処置における、特に多剤耐性レトロウイルスの感染の処置における同時の、別個のもしくは順次の使用のための組み合わせた製剤として、(a)本発明の化合物および(b)別の抗レトロウイルス化合物を含有する製品にも関する。従って、HIV感染、または後天性免疫不全症候群(エイズ)もしくはエイズ関連複合体(ARC)のようなHIV感染と関連する感染および疾患と闘うか、予防するかもしくは処置するために、例えば、本発明の化合物は、例えばデキストラン硫酸、スラミン、ポリアニオン、可溶性CD4、PRO−542、BMS−806のような結合インヒビター;例えばT20、T1249、RPR103611、YK−FH312、IC9564、5−ヘリックス、D−ペプチドADS−J1のような融合インヒビター;例えばAMD3100、AMD−3465、AMD7049、AMD3451(バイサイクラム(Bicyclams))、TAK779、T−22、ALX40−4Cのような共受容体結合インヒビター:SHC−C(SCH351125)、
SHC−D、PRO−140、RPR103611;例えばフォスカルネットおよびプロドラッグのようなRTインヒビター;例えばAZT、3TC、DDC、DDI、D4T、アバカビル、FTC、DAPD(アンドキソビル(Amdoxovir))、dOTC(BCH−10652)、フォジブジン、DPC817のようなヌクレオシドRTI;例えばPMEA、PMPA(テノフォビル)のようなヌクレオチドRTI;例えばネビラピン、デラビルジン、エファビレンズ、8および9−Cl TIBO(チビラピン(tivirapine))、ロビリド、TMC−125、ダピビリン、MKC−442、UC781、UC782、カプラビリン、QM96521、GW420867X、DPC961、DPC963、DPC082、DPC083、TMC−125、カラノリドA、SJ−3366、TSAO、4”−脱アミノ化TSAO、MV150、MV026048、PNU−142721のようなNNRTI;例えばSP1093V、PD126338のようなRNアーゼHインヒビター;例えばRO−5−3335、K12、K37のようなTATインヒビター;例えばL708906、L731988、S−1360のようなインテグラーゼインヒビター;例えばアンプレナビルおよびプロドラッグGW908(フォスアンプレナビル)、リトナビル、ネルフィナビル、サキナビル、インジナビル、ロピナビル、パリナビル、BMS186316、アタザナビル、DPC681、DPC684、チプラナビル、AG1776、モゼナビル、DMP−323、GS3333、KNI−413、KNI−272、L754394、L756425、LG−71350、PD161374、PD173606、PD177298、PD178390、PD178392、PNU140135、TMC−114、マスリン酸、U−140690のようなプロテアーゼインヒビター;例えばカスタノスペルミン、デオキシノジリマイシンのようなグリコシル化インヒビター;侵入インヒビターCGP64222と組み合わせて共投与することができる。
【0166】
ウイルス生活環における異なる事象を標的とする他の抗ウイルス薬と本発明の化合物を投与することにより、これらの化合物の治療効果を増強することができる。上記のような組み合わせ治療は、該組み合わせの各成分がHIV複製の異なる部位に作用するのでHIV複製を阻害することにおいて相乗効果を及ぼす。そのような組み合わせの使用は、所望の治療もしくは予防効果に必要とされる既定の通常の抗レトロウイルス薬の投薬量を、該薬剤を単剤療法として投与する場合と比較して減らすことができる。これらの組み合わせは、該薬剤の抗ウイルス活性を妨げずに通常の単独抗レトロウイルス治療の副作用を減らすかもしくは除くことができる。これらの組み合わせは、任意の関連する毒性を最小限に抑えながら、単剤療法への耐性の可能性を減らす。これらの組み合わせはまた、関連する毒性を増加することなしに通常の薬剤の効能を増加することもできる。
【0167】
本発明の化合物はまた、エイズおよびARC(例えば痴呆症)のようなHIV感染と関連する感染および疾患もしくは疾患の症状を予防するかもしくはそれと闘うために免疫調節剤、例えばレバミソール、ブロピリミン、抗ヒトアルファインターフェロン抗体、インターフェロンアルファ、インターロイキン2、メチオニンエンケファリン、ジエチルジチオカルバメート、腫瘍壊死因子、ナルトレクソンなど;抗生物質、例えばイセチオン酸ペンタミジンなど;コリン作動薬、例えばタクリン、リバスチグミン、ドネペジル、ガランタミンなど;NMDAチャンネル遮断薬、例えばメマンチンと組み合わせて投与することもできる。式(I)の化合物はまた、式(I)の別の化合物と組み合わせることもできる。
【0168】
本発明は、HIV感染を予防するかもしくは処置するための本発明の化合物の使用に焦点を当てるが、本発明の化合物はまた、生活環における必須事象のために同様の逆転写酵素に依存する他のウイルスの阻害剤として用いることもできる。
【0169】
[実施例]
以下の実施例は、本発明を説明するものとする。
【0170】
以下、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドと定義し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルと定義し、「THF」はテトラヒドロフランと定義し、「DMSO」はジメチルスルホキシドと定義し、「EtOAc」は酢酸エチルと定義し、「pyr」はピリジンと定義する。
スキーム1
【0171】
【化14】

【実施例1】
【0172】
中間体1bの製造
アセトニトリル(60ml)中の5−ヒドロキシ−1−インダノン1a(0.022mol)の混合物にN−クロロスクシンイミド(NCS)(0.025mol)を少しずつ加えた。混合物を攪拌し、そして一晩還流した。HOを加え、そして混合物をCHClで抽出した。有機層を分離し、MgSOで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。残留物(6g)をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:シクロヘキサン/EtOAc 60/40;15〜40μm)。2つの画分を集め、そして蒸発させた。収量:2.2gのF1および1.3gの出発物質。F1をジイソプロピルエーテルから結晶化させた。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させ、0.9gの中間体1b(22%)を生成せしめた(融点:212℃)。
【実施例2】
【0173】
1,4−ジオキサン(10ml)中の1b(0.0049mol)の混合物に水素化ナトリウム(油中60%)(0.0054mol)を加えた。混合物を10分間攪拌した。1−メチルピロリジノン(10ml)を加えた。混合物を10分間攪拌した。中間体I−1(0.0049mol)を加えた。混合物を140℃で一晩攪拌した。HOを加えた。混合物をCHClで抽出した。有機層をKCO 10%で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。収量:1.6gの残留物。この画分をCHCNから結晶化させた。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:0.46gの化合物1(29%)。融点:>260℃。(MH+):(388)。
スキーム2
【0174】
【化15】

【実施例3】
【0175】
HCl 3N(2ml)中の5−アミノ−インダン−1−オン(0.0003mol)および中間体I−1(0.0003mol)の混合物を攪拌し、そして2時間還流した。沈殿物を濾過し、HOおよびジイソプロピルエーテルで洗浄し、そして乾燥させた。この方法の収量は、0.06g(52%)であった。この画分をCHCN/ジイソプロピルエーテルから結晶化させた。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させ、0.035gの中間体2b(30%)を生成せしめた。(融点:>260℃)。
【実施例4】
【0176】
化合物2.1の製造
POCl(1ml)中の中間体2b(0.0012mol)の混合物を攪拌し、そして一晩還流した。溶媒を蒸発乾固させた。残留物をKCO 10%に溶解した。混合物をCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして蒸発させた。残留物(0.73g)をクロマシル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/CHOH 99/1;5μm)。2つの画分を集め、そして溶媒を蒸発させ、0.08gのF1(17%)および0.14gのF2(33%)を生成せしめた。F1をCHCN/ジイソプロピルエーテルから結晶化させた。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。化合物2.1の収量は、0.038gである。(融点>270℃;(MH+):370)。
[実施例5〜8]さらなるインデンで置換された2,6−ジアミノピリミジンの合成
【0177】
【化16】

【実施例5】
【0178】
中間体3bの製造
発煙硝酸(0.362mol)を5−クロロ−1−インダノン(中間体3a、26.7mmol)に−40℃で加えた。混合物を−40℃で2時間攪拌した。次にそれを氷上に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:シクロヘキサン/AcOEt 65/35;15〜40μm)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させ、4.15gの中間体3b(73%)を生成せしめた。(融点:129℃)。
【実施例6】
【0179】
中間体3cの製造
パール水素化装置において、THFおよびMeOH(6/1)の混合物中の中間体3b(8.60mmol)の溶液に0.5gのラネーニッケルを加えた。容器を窒素でフラッシし、そして水素雰囲気(3バール)下に置いた。混合物を室温で1時間攪拌し、セライト上で濾過し、そして蒸発乾固させて1.50gの中間体3c(96%)を生成せしめた。(融点:214℃)。
【実施例7】
【0180】
中間体3d(E/Z=89/11)の製造
THF中のシアノメチルホスホネート(56.4mmol)の溶液にカリウムtert−ブトキシド(56.4mmol)を0℃で少しずつ加えた。混合物を15℃で15分間攪拌した。次に、THF中の中間体3c(14.1mmol)の溶液を0℃で滴下して加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌し、水上に注ぎ、3M塩酸で酸性化し、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、炭酸カリウムの10%溶液で、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:ジクロロメタン;35〜70μm)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させ、1.88gの中間体3d(65%)を生成
せしめた。(融点:196℃)。
【実施例8】
【0181】
化合物1.9および3e(Z 100%)の製造
中間体3dおよびI−1を一緒に密に粉砕し、そしてヒーティングガンで融合させた。残留物をジクロロメタンとメタノールの90/10混合物で、そして炭酸カリウムの10%溶液で溶解した。有機層を分離し、ブライン溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:ジクロロメタン/AcOEt 85/15;15〜40μm)。2つの画分を集め、そして蒸発させ、0.126gの異性体3e(13%)および0.104gの化合物1.9(11%)を生成せしめた。各画分をアセトニトリルにおいて再結晶化させ、異性体3e(融点:248〜249℃)および化合物1.9(融点>250℃)を生成せしめた。
[実施例9〜11]2−アミノ−4−ベンゾフラン置換されたピリミジンの合成
【0182】
【化17】

【実施例9】
【0183】
化合物3.61の製造
1,4−ジオキサン(20ml)中の1a(0.0122mol)の混合物に水素化ナトリウム(油中60%)(0.0134mol)を加えた。混合物を10分間攪拌した。1−メチルピロリジノン(20ml)を加え、そして10分間攪拌した。混合物に試薬I−1を加え(0.0122mol)、そして混合物を140℃で一晩攪拌した。混合物にHOを加え、その後で混合物をCHCl/CHOHで抽出した。有機層をKCO 10%で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、そして最後に蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/CHOH 99/1;15〜40μm)。2つの画分を集め、そして蒸発させた。2つの画分は、それぞれ、0.271gのF1(6%)、0.74gのF2(二次生成物)を生成せしめた。0.1gのF1をジイソプロピルエーテル/CHCNから結晶化させた。沈殿物を濾過し、そして乾燥させた。該合成方法の全収量は、0.034gの化合物3.61である。(融点:253℃、(MH+):359)。
【実施例10】
【0184】
化合物3.62の製造
1,4−ジオキサン(40ml)中の1b(0.027mol)の溶液に水素化ナトリウム(油中60%)(0.027mol)を加えた。混合物を室温で15分間攪拌した。1−メチルピロリジノン(30ml)を加え、そして混合物を10分間攪拌し、その後で試薬I−1(0.027mol)を加えた。混合物を140℃で一晩攪拌し、HOに注ぎ込み、そしてCHClで抽出した。有機層を分離し、MgSOで乾燥させ、次に濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物(9g)をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:シクロヘキサン/EtOAc 70/30;20〜45μm)。画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量は、0.6g(9%)であった。化合物3.62を含有するこの画分をCHOHから結晶化させた。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:0.044gの化合物3.62。(融点:>260℃;(MH+):345)。
【0185】
式3.63〜3.65の化合物は、実施例9および10の方法に従って製造する。
【実施例11】
【0186】
化合物3.1の製造
フロー下でTHF(13ml)中のシアノメチルホスホン酸ジエチル(0.0008mol)の混合物に水素化ナトリウム(油中60%)(0.0008mol)を5℃で加えた。混合物を攪拌した。化合物3.61(0.0005mol)を加えた。混合物を室温で一晩攪拌し、HO中に注ぎ出し、そしてCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして蒸発させた。残留物(0.23g)をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl 100;15〜40μm)。化合物3.1を含有する画分を集め、そして蒸発させた(収量:0.1g)。この画分をジイソプロピルエーテル/CHCNから結晶化させた。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させ、0.058gの化合物3.1(26%)を生成せしめた。(融点:226℃;(MH+):382)。
【実施例12】
【0187】
化合物3.2の製造
フロー下でTHF(5ml)中のシアノメチルホスホン酸ジエチル(0.0013mol)の溶液にカリウムtert−ブトキシド(0.0013mol)を5℃で加えた。混合物を室温で1時間攪拌した。THF(5ml)中の化合物3.62(0.0008mol)の混合物を加えた。混合物を室温で1時間攪拌した。HOを加え、そして次にCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして蒸発させた(収量:0.3g(93%))。化合物3.2を含有する画分をCHOH/CHClから結晶化させた。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:0.045gの化合物3.2(14%)。(融点:227℃;(MH+):368)。
【0188】
式3.3〜3.6および3.19〜3.20の化合物は、実施例11もしくは12の上記のスキームに従って製造する。
化合物4.8〜4.11の合成
【0189】
【化18】

【実施例13】
【0190】
中間体4b−1の製造
【0191】
【化19】

【0192】
化合物4a(12.2mmol)をエタノール中の4−ピリジンカルボキサルデヒド(13.4mmol)と混合した。水酸化カリウム(97.6mmol)を加え、そして反応混合物を50℃で2時間攪拌した。沈殿物を濾過した。母液を蒸発乾固させた。沈殿物および蒸発残留物を水に溶解し、そして3M塩酸で酸性化した。沈殿物を濾過し、そして乾燥させ、2.59g(84%)の中間体4b−1を生成せしめた。(融点>260℃)。
【実施例14】
【0193】
化合物4.8〜4.11の製造
化合物4.8、4.9、4.10および4.11は、実施例2に記述する方法に従って、しかし出発物質として中間体4bを用いて合成した。
【0194】
【表1】

【0195】
以下の表に記載する化合物は、上記の実施例の方法もしくはその明らかな同等物に従って製造することができる。
【0196】
【表2】

【0197】
【表3】

【0198】
【表4】

【0199】
【表5】

【0200】
【表6】

【0201】
【表7】

【0202】
【表8】

【0203】
【表9】

【0204】
【表10】

【0205】
【表11】

【0206】
【表12】

【0207】
【表13】

【0208】
【表14】

【0209】
【表15】

【0210】
【表16】

【0211】
【表17】

【0212】
製剤実施例
カプセル剤
有効成分(式(I)の化合物の場合)をエタノール、メタノールもしくは塩化メチレンのような有機溶媒、好ましくはエタノールと塩化メチレンの混合物に溶解することができる。酢酸ビニルとのポリビニルピロリドンコポリマー(PVP−VA)もしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のようなポリマー、典型的に5mPa.sをエタノール、メタノール、塩化メチレンのような有機溶媒に溶解することができる。好適には、ポリマーをエタノールに溶解することができる。ポリマーおよび化合物溶液を混合し、そして次に噴霧乾燥させることができる。化合物/ポリマーの比率は、1/1〜1/6から選択することができる。中間範囲は、1/1.5および1/3であることができる。適当な比率は、1/6であることができる。次に、噴霧乾燥した粉末、固体分散体を投与用のカプセルに詰めることができる。1個のカプセルにおける薬剤装填量は、使用するカプセルサイズにより50〜100mgの間であることができる。
フィルムコート錠
錠剤コアの製造
100gの有効成分(式(I)の化合物の場合)、570gのラクトースおよび200gの澱粉の混合物をよく混合し、そしてその後で約200mlの水中5gのドデシル硫酸ナトリウムおよび10gのポリビニルピロリドンの溶液で湿らせることができる。湿った粉末混合物をふるいにかけ、乾燥させ、そして再びふるいにかけることができる。次に、100gの微晶質セルロースおよび15gの水素化植物油を加えることができる。全部をよく混合し、そして錠剤に圧縮し、各々10mgの有効成分を含んでなる10.000個の錠剤を生成せしめることができる。
コーティング
75mlの変性エタノール中10gのメチルセルロースの溶液に150mlのジクロロメタン中5gのエチルセルロースの溶液を加えることができる。次に、75mlのジクロロメタンおよび2.5mlの1,2,3−プロパントリオールを加えることができる。10gのポリエチレングリコールを融解し、そして75mlのジクロロメタンに溶解することができる。後者の溶液を前者に加えることができ、そして次に2.5gのオクタデカン酸マグネシウム、5gのポリビニルピロリドンおよび30mlの濃縮色懸濁液を加えることができ、そして全部を均質化することができる。このようにして得られる混合物でコーティング装置において錠剤コアをコーティングすることができる。
抗ウイルス分析:
本発明の化合物を細胞アッセイにおいて抗ウイルス活性について調べた。該アッセイは、これらの化合物が野生型実験室HIV株(HIV−1株LAI)に対して強力な抗HIV活性を示すことを明らかにした。細胞アッセイは、下記の方法に従って行った。
細胞アッセイ実験方法:
HIV感染もしくは模擬感染したMT4細胞を様々な濃度のインヒビターの存在下で5日間インキュベーションした。インキュベーション期間の最後に、全てのHIV感染細胞は、いかなるインヒビターも存在しないコントロール培養物において複製ウイルスにより殺されている。細胞の生存は、生細胞のみのミトコンドリアにおいて紫色の水に不溶のホルマザンに転化される黄色の水溶性テトラゾリウム色素、MTTの濃度を測定することにより測定する。得られるホルマザン結晶をイソプロパノールで可溶化して、溶液の吸光度を540nmでモニターする。該値は、5日のインキュベーションの完了時に培養物中に残っている生細胞の数に直接相関関係がある。化合物の阻害活性は、ウイルス感染細胞上でモニターし、そしてEC50およびEC90として表した。これらの値は、ウイルスの細胞変性効果から細胞のそれぞれ50%および90%を防御するために必要な化合物の量を表す。化合物の毒性は、模擬感染細胞上で測定し、そしてCC50として表し、これは、細胞の増殖を50%阻害するために必要な化合物の濃度を表す。選択指数(SI)(比率CC50/EC50)は、インヒビターの抗HIV活性の選択の指標である。結果が例えばpEC50もしくはpCC50値として報告される場合はいつでも、該結果はそれぞれEC50もしくはCC50として表される結果の負の対数として表される。
抗ウイルススペクトル:
薬剤耐性HIV株の増加する出現のために、本発明の化合物をいくつかの突然変異を保有する臨床的に単離されたHIV株に対するそれらの効能について試験した。これらの突然変異は、逆転写酵素インヒビターへの耐性と関連し、そして例えばAZTおよびデラビルジンのような現在市販されている薬剤に様々な程度の表現型交差耐性を示すウイルスをもたらす。
表13
本発明の化合物の抗ウイルス活性は、野生型HIVおよび逆転写酵素遺伝子に突然変異を保有するHIV突然変異体の存在下で評価されている。化合物の活性は細胞アッセイを用いて評価され、そして残留活性(residual activity)はpEC50値で表される。列Aは株A(株Aは、HIV逆転写酵素における突然変異100Iを含有する)に対するpEC50を含み、列Bは株B(株Bは、HIV逆転写酵素における突然変異100Iおよび103Nを含有する)に対するpEC50を含み、列Cは株C(株Cは、HIV逆転写酵素における突然変異103Nを含有する)に対するpEC50を含み、列Dは株D(株Dは、HIV逆転写酵素における突然変異181Cを含有する)に対するpEC50を含み、列Eは株E(株Eは、HIV逆転写酵素における突然変異188Lを含有する)に対するpEC50を含み、列Fは株F(株Fは、HIV逆転写酵素における突然変異227Cを含有する)に対するpEC50を含み、そして列Gは株G(株Gは、HIV逆転写酵素における突然変異106Aおよび227Lを含有する)に対するpEC50を含む。列IIIBは、野生型HIV−LAI株に対するpEC50値を示す。ND、決定されない。
【0213】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
−a=a−a=a−は式
−CH=CH−CH=CH− (a−1);
−N=CH−CH=CH− (a−2);
−N=CH−N=CH− (a−3);
−N=CH−CH=N− (a−4);
−N=N−CH=CH− (a−5)
の2価の基を表し;
−b−b−b−は式
−O−CH−CH− (b−1);
−O−CH=CH− (b−2);
−S−CH−CH− (b−3);
−S−CH=CH− (b−4);
−CH−CH=CH− (b−5)
の2価の基を表し;
nは0、1、2、3もしくは4であり;そして−a=a−a=a−が(a−1)である場合には、nはまた5であることもでき;
mは0、1、2、3であり;
qは0、1もしくは2であり;
pは1もしくは2であり;
は水素;アリール;ホルミル;C1〜6アルキルカルボニル;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;ホルミル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニルオキシで置換されたC1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されたC1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニルであり;
各Rは独立してヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノでもしくは−C(=O)Rで置換されていてもよいC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2〜6アルケニル、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、 NR1314、ポリハロメチル、ポリハロメチルチオ、−S(=O)、−NH−S(=O)、−C(=O)R、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O)R、−C(=NH)Rまたは式
【化2】

[式中、各Aは独立してN、CHもしくはCRであり;そして
はNH、O、SもしくはNRである]
の基であり;
は−NR−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、C1〜4アルカンジイル、−CHOH−、−S−、−S(=O)−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−、−X−C1〜4アルカンジイル−もしくは−C1〜4アルカンジイル−X−であり;
は−NR−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、−CHOH−、−S−、−S(=O)−であり;
は水素、ハロ、C1〜6アルキル、NR1314、−C(=O)−NR1314、−C(=O)−R15、−CH=N−NH−C(=O)−R16、−C(=N−O−R)−C1〜4アルキル、Rもしくは−X−R;またはハロ、ヒドロキシ、シアノ、NR10、−C(=O)−NR10、−C(=O)−C1〜6アルキルもしくはRから各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜6アルキル、そして置換基の該リストに加えて、該C1〜6アルキルの2個のジェミナル水素原子はまたC2〜5アルカンジイルで置換され、そのようにしてスピロ環を形成することもできる;場合によりヒドロキシ、シアノ、NR10、−C(=O)−NR10、−C(=O)−C1〜6アルキルもしくはRから各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1〜6アルキルオキシC1〜6アルキル;ハロ、ヒドロキシ、シアノ、NR10、−C(=O)−NR10、−C(=O)−C1〜6アルキルもしくはRから各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC2〜6アルケニル;ハロ、ヒドロキシ、シアノ、NR10、−C(=O)−NR10、−C(=O)−C1〜6アルキルもしくはRから各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC2〜6アルキニルであり;
は−NR−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−、−X−C1〜4アルカンジイル−、−C1〜4アルカンジイル−X2a−、−C1〜4アルカンジイル−X2b−C1〜4アルカンジイル、−C(=N−OR)−C1〜4アルカンジイル−であり;
2aは−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−であり;そして
2bは−NH−NH−、−N=N−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−であり;
はハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、−C(=O)−NR1314、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニル、ホルミル、−NR1314もしくはRであり;
は水素;アリール;ホルミル;C1〜6アルキルカルボニル;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシカルボニル:ホルミル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニルもしくはC1〜6アルキルカルボニルオキシで置換されたC1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシカルボニルで置換されたC1〜6アルキルオキシC1〜6アルキルカルボニルであり;
はC1〜4アルキル、NR1314もしくはポリハロC1〜4アルキルであり;
は単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々は、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノもしくはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、ホルミル、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、−CH(=N
−O−R)、R7a、−X−R7aまたはR7a−C1〜4アルキルから各々独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていてもよく;
7aは単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々は、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノもしくはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、ホルミル、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、−C(=O)−NR1314、−CH(=N−O−R)から各々独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていてもよく;
は水素、C1〜4アルキル、アリールもしくはアリールC1〜4アルキルであり;
およびR10は各々独立して水素;ヒドロキシ;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシ;C1〜6アルキルカルボニル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;NR1314;−C(=O)−NR1314;−CH(=NR11)もしくはRであり、ここで、上記のC1〜6アルキル基の各々は、場合によりそして各々個々に、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシC1〜6アルキルオキシ、カルボキシル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、シアノ、イミノ、NR1314、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)、−NH−S(=O)、−C(=O)R、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O)R、−C(=NH)R、Rから各々独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよく;または
およびR10は一緒になって式
−CH−CH−CH−CH− (d−1)
−CH−CH−CH−CH−CH− (d−2)
−CH−CH−O−CH−CH− (d−3)
−CH−CH−S−CH−CH− (d−4)
−CH−CH−NR12−CH−CH−(d−5)
−CH−CH=CH−CH− (d−6)
=CH−CH=CH−CH=CH− (d−7)
の2価もしくは3価の基を形成することができ;
11はシアノ;C1〜4アルキルカルボニル;C1〜4アルキルオキシカルボニル;−C(=O)−NR1314;または場合によりC1〜4アルキルオキシ、シアノ、NR1314もしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜4アルキルであり;
12は水素もしくはC1〜4アルキルであり;
13およびR14は、各々独立して、水素、Het、場合によりシアノもしくはアミノカルボニルで置換されていてもよいC1〜6アルキル、場合によりシアノもしくはアミノカルボニルで置換されていてもよいC2〜6アルケニル、場合によりシアノもしくはアミノカルボニルで置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;
15は場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
16はRまたは場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
17は、存在する場合、各々独立してシアノ、ハロ、ヒドロキシ、−C(=O)−NR1314、場合によりシアノ、−C(=O)−NR1314もしくはハロから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1〜6アルキル;場合によりシアノ、−C(=O)−NR1314もしくはハロから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合によ
りシアノ、−C(=O)−NR1314もしくはハロから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;そして可能であれば、R17はまた二重結合により−b−b−b−部分に結合していることもでき、それによりR17はその場合に=O、=S、=NH、=N−R15、=N−R、=N−O−R15、=N−O−R、=CH、=CH−C(=O)−NR1314、=CH−Rもしくは=CH−R15であり;ここで、=CHは場合によりシアノ、ヒドロキシ、ハロ、ニトロで置換されていてもよく;
Qは水素、C1〜6アルキル、ハロ、ポリハロC1〜6アルキル、−C(=O)−NR1314もしくは−NR10を表し;
ZはC−YもしくはNであり、ここで、
Yは水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、カルボニル、シアノ、ニトロ、NR1314、ポリハロメチル、ポリハロメチルオキシ、ポリハロメチルチオ、−S(=O)、−NH−S(=O)R、−NH−SO−R、−NH−SO−(C1〜4アルカンジイル)−CO−N(R、−C(=O)R、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O)R、−C(=O)−NH−R、−C(=NH)R、アリール、または場合により1個もしくはそれ以上のハロ原子で置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合により1個もしくはそれ以上のハロ原子で置換されていてもよいC2〜6アルキニル;シアノでもしくは−C(=O)Rで置換されたC1〜6アルキルを表し;
アリールはフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルNR1314、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、−C(=O)−NR1314、Rもしくは−X−Rから各々独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されたフェニルであり;
Hetは単環式、二環式もしくは三環式の飽和した、部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々は、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノもしくはジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、ホルミル、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、−C(=O)−NR1314、−CH(=N−O−R)から各々独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されていてもよい]
の化合物、そのN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩、第四級アミンもしくは立体化学的異性体。
【請求項2】
ZがNである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ZがC−Yである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
−b−b−b−が式
−O−CH−CH− (b−1);
−O−CH=CH− (b−2);
−S−CH−CH− (b−3);
−S−CH=CH− (b−4)
の2価の基を表す請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
以下の制限(a)〜(v):
(a)−a=a−a=a−が式
−CH=CH−CH=CH− (a−1)
の2価の基を表す;
(b)nが0、1、2、3である;
(c)mが0、1もしくは2である;
(d)Rが水素;ホルミル;C1〜6アルキルカルボニル;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシカルボニルである;
(e)各Rが独立してヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノでもしくは−C(=O)Rで置換されていてもよいC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2〜6アルケニル、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子もしくはシアノで置換されていてもよいC2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ(C1〜6アルキル)アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、ポリハロメチル、ポリハロメチルチオ、−S(=O)、−NH−S(=O)、−C(=O)R、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O)R、−C(=NH)Rまたは式
【化3】

[式中、各Aは独立してN、CHもしくはCRであり;そして
はNH、O、SもしくはNRである]
の基である;
(f)Xが−NR−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、C1〜4アルカンジイル、−CHOH−、−S−、−S(=O)−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−、−X−C1〜4アルカンジイル−もしくは−C1〜4アルカンジイル−X−である;
(g)Xが−NR−、−O−である;
(h)Rが水素、ハロ、C1〜6アルキル、NR1314、−C(=O)−NR1314、−C(=O)−R15、−X−R;シアノ、Rもしくは−C(=O)−NR10から各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜6アルキル;ハロ、シアノもしくは−C(=O)−NR10もしくはRから各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC2〜6アルケニル;またはハロ、シアノ、−C(=O)−NR10もしくはRから各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC2〜6アルキニルである;
(i)Xが−NR−、−NH−NH−、−N=N−、−O−もしくは−S−である;(j)Rがハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、−C(=O)−NR1314、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニル、ホルミル、−NR1314もしくはRである;
(k)Rが水素;ホルミル;C1〜6アルキルカルボニル;C1〜6アルキルもしくはC1〜6アルキルオキシカルボニルである;
(l)RがC1〜4アルキル、NR1314もしくはポリハロC1〜4アルキルである;
(m)Rが単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該炭素
環式もしくは複素環式環系の各々が、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシもしくはアミノカルボニルから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい;
(n)Rが水素、C1〜4アルキルもしくはアリールC1〜4アルキルである;
(o)RおよびR10が各々独立して水素;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシ;C1〜6アルキルカルボニルもしくはC1〜6アルキルオキシカルボニルである;
(p)R13およびR14が各々独立して水素もしくはC1〜6アルキルである;
(q)R15が場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜6アルキルである;
(r)R17がシアノ、ハロ、ヒドロキシ、−C(=O)−NR1314、場合によりシアノ、−C(=O)−NR1314もしくはハロで置換されていてもよいC1〜6アルキル;場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;そして可能であれば、R17がまた二重結合により−b−b−b−部分に結合していることもでき、それによりR17がその場合に=O、=S、=NH、=N−R15、=N−R、=N−O−R15、=N−O−R、=CH、=CH−C(=O)−NR1314、=CH−Rもしくは=CH−R15であり;ここで、=CHが場合によりシアノ、ヒドロキシ、ハロ、ニトロで置換されていてもよい;
(s)Qが水素、C1〜6アルキルもしくは−NR10を表す;
(t)Yが水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、NR1314、ポリハロメチルオキシ、−NH−SO−R、−NH−SO−(C1〜4アルカンジイル)−CO−N(Rを表すか、またはYがシアノでもしくは−C(=O)Rで置換されたC1〜6アルキルである;
(u)アリールがフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルNR1314、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、−C(=O)−NR1314、Rもしくは−X−Rから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである;
(v)Hetが単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々が、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい;
の1つもしくはそれ以上が当てはまる請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
制限(a)〜(v)の全てが当てはまる請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
以下の制限(a’)〜(v’):
(a’)−a=a−a=a−が式
−CH=CH−CH=CH− (a−1)
の2価の基を表す;
(b’)nが1もしくは2である;
(c’)mが1もしくは2である;
(d’)Rが水素;C1〜6アルキルである;
(e’)各Rが独立してヒドロキシ、ハロ、場合によりシアノでもしくは−C(=O)Rで置換されていてもよいC1〜6アルキル、場合によりシアノで置換されていてもよいC2〜6アルケニル、場合によりシアノで置換されていてもよいC2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ(C1〜6アルキル)アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、−S(=O)、−NH−S(=O)、−C(=O)R、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O)R、−C(=NH)Rまたは式
【化4】

[式中、各Aは独立してN、CHもしくはCRであり;そして2個以下のAはNであり;AはNH、O、SもしくはNRである]
の基である;
(f’)Xが−NR−、−NH−NH−、−N=N−、−O−、−C(=O)−、C1〜4アルカンジイル、−CHOH−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−、−X−C1〜4アルカンジイル−もしくは−C1〜4アルカンジイル−X−である;
(g’)Xが−NR−、−O−である;
(h’)Rが水素、ハロ、C1〜6アルキル、NR1314、−C(=O)−NR1314、−C(=O)−R15、−X−R;シアノ、Rもしくは−C(=O)−NR10から各々独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されたC1〜6アルキル;ハロ、シアノもしくは−C(=O)−NR10から各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC2〜6アルケニル;またはハロ、シアノ、−C(=O)−NR10から各々独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC2〜6アルキニルである;
(i’)Xが−NR−もしくは−O−である;
(j’)Rがハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、−C(=O)−NR1314、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルカルボニル、ホルミル、−NR1314である;
(k’)Rが水素;C1〜6アルキルである;
(l’)RがC1〜4アルキルである;
(m’)Rが本明細書に特に記載する特定の単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環のいずれかであり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々が、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシもしくはアミノカルボニルから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい;
(n’)Rが水素もしくはC1〜4アルキルである;
(o’)RおよびR10が各々独立して水素もしくはC1〜6アルキルである;
(p’)R13およびR14が各々独立して水素もしくはC1〜6アルキルである;
(q’)R15が場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜6アルキルである;
(r’)R17がシアノ、ハロ、ヒドロキシ、−C(=O)−NR1314、場合によりシアノ、−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜6アルキル;場
合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;そして可能であれば、R17がまた二重結合により−b−b−b−部分に結合していることもでき、それによりR17がその場合に=O、=NH、=N−R15、=N−R、=N−O−R15、=N−O−R、=CH、=CH−C(=O)−NR1314、=CH−Rもしくは=CH−R15であり;ここで、=CHが場合によりシアノで置換されていてもよい;
(s’)Qが水素もしくはC1〜6アルキルもしくは−NR10を表す;
(t’)Yが水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、NR1314、ポリハロメチルオキシ、−NH−SO−R、−NH−SO−(C1〜4アルカンジイル)−CO−N(Rを表す;
(u’)アリールがフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、−C(=O)−NR1314から各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである;
(v’)Hetが本明細書に特に記載する単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該複素環式環系の各々が、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい;
の1つもしくはそれ以上が当てはまる請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
制限(a’)〜(v’)の全てが当てはまる請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
以下の制限(a”)〜(v”):
(a”)−a=a−a=a−が式
−CH=CH−CH=CH− (a−1)
の2価の基を表す;
(b”)nが1である;
(c”)mが1である;
(d”)Rが水素;メチルである;
(e”)Rがハロ、場合によりシアノで置換されていてもよいC1〜6アルキル、場合によりシアノで置換されていてもよいC2〜6アルケニル、場合によりシアノで置換されていてもよいC2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、アミノ、モノ(C1〜6アルキル)アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノである;
(f”)Xが−NR−、−O−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−である;
(h”)Rが水素、ハロ、C1〜6アルキル、NR1314、−C(=O)−NR1314、−C(=O)−R15;シアノで置換されたC1〜6アルキル;シアノで置換されたC2〜6アルケニル;もしくはシアノで置換されたC2〜6アルキニルである;
(j”)Rがハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、−C(=O)−NR1314、−NR1314である;
(k”)Rが水素;C1〜6アルキルである;
(m”)Rが本明細書に特に記載する特定の単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の炭素環または単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族
の複素環のいずれかであり、ここで、該炭素環式もしくは複素環式環系の各々が、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシもしくはアミノカルボニルから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい;
(n”)Rが水素もしくはC1〜4アルキルである;
(o”)RおよびR10が水素である;
(p”)R13およびR14が水素である;
(q”)R15が場合によりシアノで置換されていてもよいC1〜6アルキルである;
(r”)R17がシアノ、−C(=O)−NR1314、場合によりシアノ、−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC1〜6アルキル;場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合によりシアノもしくは−C(=O)−NR1314で置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;そして可能であれば、R17がまた二重結合により−b−b−b−部分に結合していることもでき、それによりR17がその場合に=O、=NH、=N−R15、=N−R、=N−O−R15、=N−O−R、=CH、=CH−C(=O)−NR1314、=CH−Rもしくは=CH−R15であり;ここで、=CHが場合によりシアノで置換されていてもよい;
(s”)Qが水素もしくは−NR10を表す;
(t”)Yが水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、NR1314、−NH−SO−R、−NH−SO−(C1〜4アルカンジイル)−CO−N(Rを表す;
(u”)アリールがフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである;
(v”)Hetが本明細書に特に記載する単環式もしくは二環式の部分的に飽和したもしくは芳香族の複素環であり、ここで、該複素環式環系の各々が、場合によりハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい;
の1つもしくはそれ以上が当てはまる請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
制限(a”)〜(v”)の全てが当てはまる請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
薬剤として使用する請求項1〜10に記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
感染症の処置もしくは予防のための薬剤の製造における請求項1〜10に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項13】
(a)請求項1〜10に記載の式(I)の化合物の有効量および(b)製薬学的に許容しうる担体を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項14】
HIV感染の処置もしくは予防における同時の、別個のもしくは順次の使用のための組み合わせた製剤として(a)請求項1〜10に記載の式(I)の化合物および(b)別の抗レトロウイルス化合物を含んでなる製品。
【請求項15】
a)式(a−1)の中間体をピリミジンもしくはトリアジン誘導体(a−2)と反応さ
せること(ここで、基HXおよびWは、X連結部分が形成されるように選択され:
【化5】

そしてここで、試薬(a−2)は一般式
【化6】

のものであり、
そして特にWは脱離基であり、そしてXは−NR−、NH−NH−、−N=N−、−O−、−S−、−X−C1〜4アルカンジイル−のようなヘテロ原子である);
b)オキソ(=O)基であるR17置換基を有する式(a−3)の化合物(構造(a−3−1)により表される)を試薬(a−7)(試薬(a−7)は一般式NH、NH−R15、NH−R、NH−O−R15、NH−O−R、特にアリール−C1〜6アルキル−O−NHのものである)と反応させて式(a−8)の化合物を生成せしめることにより、=N−R18置換基(ここで、=N−R18は=NH、=N−R15、=N−R、=N−O−R15、=N−O−Rであり、後者の基は請求項1〜10に定義するとおりである)であるR17置換基を有する式(I)の化合物を得るために中間体(a−3−1)を反応させること;
c)式(a−3−1)の化合物をウィッティッヒ反応もしくはウィッティッヒ−ホルナー反応において試薬(a−4)と反応させて(ここで、Xは二重結合(エキソ二重結合)によって環に連結されることができる置換基R17である)、化合物(a−5)(これを場合により還元して式(a−6)の化合物を生成せしめてもよい)を製造することにより、=X置換基(ここで、=Xは、請求項1〜10に定義するとおりの=CH、=CH−C(=O)−NR1314、=CH−Rもしくは=CH−R15である)であるR17置換基を有する式(I)の化合物を得るために中間体(a−3−1)を反応させること;
【化7】

ここで、化合物(a−3−1)におけるオキソ基はまた、R17置換基(1個もしくは複数)を有する環における他の位置であることもでき、同じタイプの誘導体化を行い、(a−8)、(a−5)および(a−6)の局所異性体(topical isomers)をもたらすことができる;
d)式(a−1)の試薬を式(a−9)のピリミジン−もしくはトリアジン誘導体と反応させ(ここで、置換基は請求項1〜10において特定する意味を有し、そしてWは適当な脱離基である)、中間体(a−10)を生成せしめ(ここで、WおよびXHは、リンカー−X−が形成されるように選択され、そして必要に応じて、この反応に関与しないW基は、反応方法の特定の段階で脱離基に転化されるOH官能基のような脱離基前駆体で置換されることができる)、そしてこの出発物質(a−10)からアリール化タイプの反応においてアミノ置換された芳香族化合物(a−11)との反応により最終生成物(a−3)を製造すること;
【化8】

e)式(a−12)のインダン誘導体から出発し、それを上記に概説するのと同様にウィッティッヒもしくはウィッティッヒ−ホルナー反応を用いて(a−13)に転化し、ここで、WおよびHXは、X連結部分が形成されるように選択され、そして次に生成物(a−13)を試薬(a−2)と連結し、そしてXは(a−5)および(a−6)の製造における上記と同じ意味を有し、化合物(a−14)を生成せしめて−b−b−b−が−CH−CH=CH−(b−5)である式(I)の化合物を製造すること;
【化9】

f)以下のスキームにおいて概説するように式(a−16)のインダン誘導体から出発して−b−b−b−が−CH−CH=CH−(b−5)である式(I)の化合物を製造すること:
【化10】

ここで、中間体(a−15)を適当なハロゲン化剤と反応させてXがハロである式(a−16)の化合物を生成せしめる;
g)トリアジン形成縮合反応によりZがN(トリアジン)である式(I)の化合物を製造すること;
h)当該技術分野で既知の方法に従ってQがハロである式(I)のトリアジン化合物をアミンH−NR10と反応させることにより基QがNR10である式(I)のトリアジン誘導体を製造すること;および
i)当該技術分野で既知の転化反応に従って式(I)の化合物を相互に転化すること;
を特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の式(I)の化合物を製造する方法。

【公表番号】特表2006−518357(P2006−518357A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502042(P2006−502042)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050177
【国際公開番号】WO2004/074262
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ・リミテツド (94)
【Fターム(参考)】