説明

HMG−CoA還元酵素阻害剤の中間体の製造方法

本発明は、ロスバスタチンの中間体、及びその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
当該出願は、2007年4月18日に出願された米国特許仮出願番号第60/925,216号;2007年5月24日に出願された同第60/931,926号;2008年2月21日に出願された同第61/066,678号、及び2008年3月11日に出願された同第61/069,099号の利益を主張する。前記に関する内容を本明細書中に援用する。
本発明の分野
本発明は、ロスバスタチン中間体、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
ロスバスタチン(7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-(N-メチル-N-メチルスルホニルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(3R,5S)-ジヒドロキシ-(E)-6-ヘプテン酸)カルシウムは、高脂血症の1日1回の経口治療に適したShionogiによって開発されたHMG-CoA還元酵素阻害剤である(Ann Rep, Shionogi, 1996; Direct communications, Shionogi, 8 Feb 1999 & 25 Feb 2000)。ロスバスタチン・カルシウムは、以下の化学式を持つ:
【0003】
【化1】

【0004】
ロスバスタチンカルシウムは、ヒトなどの哺乳動物の治療用にCRESTORという名称で販売されている。CRESTORの製造業者によれば、LDLコレステロール低下のために、それは、約5mg〜40mgの日用量で投与される。
米国特許出願番号第5,260,440(EP 0521471A1)(US’440)は、中間体の3(R)-3(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-オキソ-6-トリフェニル-ホスホニルアニリデン(phoporanylidene)ヘキサノエートからのロスバスタチンの合成を開示している。PCT公開番号WO 03/097614は、US’440特許で開示されている、中間体の(3R)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-オキソ-6-トリフェニル-ホスホニルアニリデンヘキサノエートからのロスバスタチンの合成を開示している。
PCT公開番号WO 03/087112は、以下のスキーム1:
【0005】
【化2】

【0006】
による鏡像異性的に純粋なグルタル酸誘導体を得るための微生物による部分的な加水分解を介した異なる中間体の3-ヒドロキシジエチルグルタレートからの(3R)-3-(t-ブチル・ジメチルシリルオキシ)-6-ジメトキシホスフィニル-5-オキソヘキサネート(TSPH)からのロスバスタチンの合成を開示している。PCT公開番号WO 03/087112の方法は、工業規模において望ましくないことがある。例えば、それは、3-ヒドロキシジエチルグルタラートの部分的加水分解中にCLS-BC-14011などの高価な微生物の使用を必要とする。加えて、その方法は、硫酸の存在下、エチル-(3S)-3-ヒドロキシグルタル酸のエステル化中のイソブチレンガスなどの有害な反応を使用し、そして、カラムクロマトグラフィーによるTSPHの精製は商業的に難しい。
【0007】
US公開番号2005/0070605A1は、アミド結合を形成するようにフェニル・エチラミンにより3-ヒドロキシ保護したグルタル酸無水物をエナンチオ選択的に開環し、そして、それをさらにHMG-CoA還元酵素阻害剤に変換することを開示している。前記方法は、セリバスタチンを産生する最終ステップにおけるフェニルエチルアミド結合の切断、及びピタバスタチンの合成中のアミド連鎖の切断後のフェニルエチルアミンの厄介な除去などの問題がありうる。
【0008】
PCT公開番号WO 2006/021326は、ラセミ体メチル3(±)-3-(t-ブチル・ジメチルシリルオキシ)-6-ジメトキシ-ホスフィニル-5-オキソヘキサノアートをもたらすためのメタノールによる3-ヒドロキシで保護したグルタル酸無水物の開環、及びラセミ体メチル(3R)-3-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-6-ジメトキシ-ホスフィニル-5-オキソヘキサノアートの製造を開示している。
【0009】
米国特許番号第5,354,879号は、(3R)-3-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-グルタル酸1-(R)-(−)マンデレートと、(3S)3-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-グルタル酸1-(S)-(+)-マンデレートそれぞれから、メチル(3R)-3-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-6-ジメトキシ-ホスフィニル-5-オキソヘキサノエートと、3(R)-3(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-オキソ-6-トリフェニル-ホスホルアニリデンヘキサノエートの両方の製造を開示している。開示されている方法は、メチル-(3R)-3-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-6-ジメトキシ-ホスフィニル5-ヘキサノエートの製造(エステル化)中にジアゾメタンなどの爆発的、且つ、毒性の材料を用いる。そのうえ、前記ステップの収率は低く、そのため、前記方法は、産業的及び商業的利用に好適でないことがある。
【0010】
J. Org. Chem.(1991)56:3744-47は、3-ヒドロキシ保護されたグルタル酸無水物からの(3R)-3-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-6-ジメトキシ-ホスフィニル-5-オキソヘキサノエートの製造を開示している。開示されている方法は、分割剤のアミノ基を開裂するための、N2O4酸化と、それに続く水素化反応の使用、並びにジアゾメタンの使用などの有害な反応の使用を伴う。前記方法は、また、最終生成物中に不純物として残留する可能性がある高価なパラジウム触媒を使用する。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
1つの態様において、本発明は、以下の構造を有する式(4):
【0012】
【化3】

【0013】
によって表される化合物の製造方法であって、アルカロイドの存在下、C1-C5アルコールを使用して、以下の構造を有する式(3):
【0014】
【化4】

【0015】
によって表されるプロキラル無水化合物をエナンチオ選択的に開環することによる、上記式中、R1が、C1-C5アルキル、好ましくはC1-C4であり;そして、Zが、ヒドロキシ保護基であるところの方法を提供する。前記保護基は、好ましくは、各Aが、独立に、C1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族又は芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル(trialkylsilysl)基を含めたシリル基である。シリル基の例には、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリルが含まれる。好ましくは、前記シリル基は、tert-ブチルジメチルシリルである。
他の態様において、本発明は、さらに、以下の構造を有する式(5):
【0016】
【化5】

【0017】
{式中、R1が、C1-C5アルキル、好ましくはC1-C4であり;そして、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物の製造方法であって、塩基性触媒の存在下、BOC無水物と、先に記載の式(4)によって表される化合物を結合させることによる方法を提供する。先に記載の式(5)によって表される化合物は、選択的に加水分解されて、以下の式(6):
【0018】
【化6】

【0019】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物を得る。
式(6)によって表される化合物が、以下の構造を有する式(2):
【0020】
【化7】

【0021】
{式中、R2が、メチル、エチル、又はt-ブチルであり;Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であり;そして、R3が、C1-C3アルコキシ、C6-C12アリールオキシ、又は置換されているアリールオキシである。}によって表される化合物を製造するのに使用されうる。
さらに他の態様において、本発明は、以下の構造を有する式(7):
【0022】
【化8】

【0023】
によって表される化合物の製造方法であって、以下の構造を有する式(3):
【0024】
【化9】

【0025】
によって表されるプロキラル無水物を、以下の構造を有する式(3a):
【0026】
【化10】

【0027】
によって表されるキラル・アルコールを使用してエナンチオ選択的に開環することによる、上記式中、R4が、C1-C6アルキル、例えば、メチル又はエチルであり、Arが、フェニル又は置換されているフェニルであり、そして、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であるところの方法を提供する。
1つの態様において、本発明は、以下の構造を有する式(7):
【0028】
【化11】

【0029】
{式中、R4が、C1-C6アルキル、例えば、メチル又はエチルであり、Arが、フェニル又は置換されているフェニルであり、そして、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物を提供する。また、少なくとも50%キラル純粋な式(7)によって表される化合物も提供される。必要に応じて、式(7)によって表される化合物は、HPLCによって精製されてもよい。濃縮された鏡像異性体は、以下の構造:
【0030】
【化12】

【0031】
を有する。
他の態様において、本発明は、以下の構造を有する式(8):
【0032】
【化13】

【0033】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であり;R4が、C1-C6アルキル、例えば、メチル又はエチルであり;そして、Arが、フェニル又は置換されているフェニルである。}によって表される化合物を提供する。また、少なくとも50%キラル純粋な式(8)によって表される化合物も提供される。必要に応じて、式(8)によって表される化合物は、HPLCによって精製されてもよい。濃縮された鏡像異性体は、以下の構造:
【0034】
【化14】

【0035】
を有する。
さらに他の態様において、本発明は、さらに、BOC無水物と、先に記載の式(7)によって表される化合物を結合させることによる、先に記載の式(8)によって表される化合物の製造方法を提供する。
1つの態様において、本発明は、式(8)によって表される化合物を選択的に加水分解することによる、以下の構造を有する式(6):
【0036】
【化15】

【0037】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物の製造方法を提供する。
他の態様において、本発明は、アルカロイドの存在下、C1-C5アルキル・アルコールと結合させることによって先に記載の式(3)によって表されるプロキラル無水化合物をエナンチオ選択的に開環することによる、以下の構造を有する式(4a):
【0038】
【化16】

【0039】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であり;そして、R1が、低級アルキル、好ましくはC1-C4炭素である。}によって表される化合物の製造方法を提供する。濃縮された鏡像異性体は、以下の構造:
【0040】
【化17】

【0041】
を有する。
さらに他の態様において、本発明は、塩基の存在下、BOC無水物と、先に記載の式(4a)によって表される化合物を結合させることによる、以下の構造を有する式(5a):
【0042】
【化18】

【0043】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であり、R1が、C1-C5アルキル、好ましくはC1-C4アルキルである。}によって表される化合物の製造方法を提供する。濃縮された鏡像異性体は、以下の構造:
【0044】
【化19】

【0045】
を有する。
1つの態様において、本発明は、先に記載の式(5a)によって表される化合物を選択的に加水分解することによる、以下の構造を有する式(6a):
【0046】
【化20】

【0047】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物の製造方法を提供する。濃縮された鏡像異性体は、以下の構造:
【0048】
【化21】

【0049】
を有する。
他の態様において、本発明は、以下の構造を有する式(7):
【0050】
【化22】

【0051】
{式中、R4が、C1-C6アルキル、例えば、メチル又はエチルであり、Arが、フェニル又は置換されているフェニルであり、そして、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物を提供する。
さらに他の態様において、本発明は、また、先に記載の式(3a)によって表されるキラル・アルコールを用いて先に記載の式(3)によって表されるプロキラル無水物をエナンチオ選択的に開環することによる、式(7a)によって表される化合物の製造方法であって、上記式中、R4が、C1-C6アルキル、例えば、メチル又はエチルであり、Arが、フェニル又は置換されているフェニルであり、そして、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であるところの前記方法を提供する。式(7)によって表される濃縮された鏡像異性体は、以下の構造:
【0052】
【化23】

【0053】
を有する。
1つの態様において、本発明は、以下の構造を有する式(8):
【0054】
【化24】

【0055】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であり、そして、R4が、C1-C6アルキルである。}によって表される化合物を提供する。式(8)によって表される濃縮された鏡像異性体は、以下の構造:
【0056】
【化25】

【0057】
を有する。
他の態様において、本発明は、また、塩基の存在下、BOC無水物と、先に記載の式(7a)によって表される化合物を結合させることによる、式(8a)によって表される化合物の製造方法も提供する。
さらに他の態様において、本発明は、また、先に記載の式(8a)によって表される化合物を選択的に加水分解することによる、以下の構造を有する式(6a):
【0058】
【化26】

【0059】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物の製造方法も提供する。式(6a)によって表される濃縮された鏡像異性体は、以下の構造:
【0060】
【化27】

【0061】
を有する。
1つの態様において、本発明は、また、先に記載の式(6)によって表されるキラル純粋なR-異性体化合物の製造方法であって、以下の構造を有する式(9a):
【0062】
【化28】

【0063】
によって表される化合物(R)-(+)-フェニルエチルアミン、又は以下の構造を有する式(9b):
【0064】
【化29】

【0065】
によって表される化合物(S)-(−)-フェニルエチルアミンと、先に記載の式(6a)によって表される化合物を結合させることによる光学分割法による方法も提供する。
他の態様において、本発明は、以下の構造を有する式(9):
【0066】
【化30】

【0067】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物を提供する。
さらに他の態様において、本発明は、また、好ましくは以下の:ハロゲン、-SH、-OH、-NO2、若しくは-NH2で必要に応じて置換されるC5-C12芳香族炭化水素;1つ以上の環式炭素がN、S、若しくはOで置換されるところのC5-C12芳香族炭化水素;C6-C10脂肪族炭化水素、ハロゲン化C1-C12炭化水素、エーテル及びケトンから成る群から選択される少なくとも1種類の有機溶媒、C1-4アルキルとC6-8アリールハロホルメート、及び酸ハロゲン化物から成る群から選択されるアミド化試薬、及び少なくとも1種類の塩基と、先に記載の式(6)によって表される化合物を結合させ、そして、N,O-ジメチルヒドロキシルアミンを加えることによる、式(9)によって表される化合物の製造方法を提供する。
1つの態様において、本発明は、以下の構造を有する一般式(A):
【0068】
【化31】

【0069】
{式中、R1が、H、C1-C5アルキル、又はC1-C5カルボニルであり;R2が、C1-C6アルキル、例えば、メチル、エチル、若しくはt-ブチル基であり;そして、Zが、ヒドロキシ保護基である。}によって表されるキラルとして純粋な化合物の新規製造方法を提供する。前記保護基は、好ましくは、各Aが独立にC1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族、又はC5-C12芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル基を含めたシリル基である。シリル基の例には、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリルが含まれる。好ましくは、前記シリル基は、tert-ブチルジメチルシリルである。好ましくは、R2は、t-ブチル基である。
他の態様において、本発明は、ジアルキルホスホネートのリチウム塩(lithiated salt)と、式(9)によって表される化合物を結合させることによる、以下の構造を有する式(2):
【0070】
【化32】

【0071】
{式中、R3が、C1-C3アルキルオキシ、C5-C12アリールオキシ、置換されているC5-C12アリールオキシであり、そして、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物の製造方法を提供する。
発明の詳細な説明
「置換されているアルキル」又は「置換されているアリール又はフェニル」の置換基は、ヒドロキシ、カルボキシル、(C1-C4などの)アルキル、(C6-C12などの)アルコキシ、(C6-C12などの)アリール、(C6-C12などの)アリールアルキル、(C6-C12などの)シクロアルキル、及びアミノなどの基から選択されるかもしれない。芳香族溶媒が使用されるとき、その溶媒は、(塩素などの)ハロゲン、-SH、-OH、-NO2、又は-NH2で置換されてもよい。
本発明は、より低い毒性の化学物質、及びより少ない反応ステップを使用することによって経済的に魅力的な方法とし、高い収率で式(A)及び(2)によって表されるキラルとして純粋な(50%超の濃縮)化合物の製造方法を提供する。
本発明は、以下の構造を有する式(4):
【0072】
【化33】

【0073】
によって表される化合物の製造方法であって、アルカロイドの存在下、式R1-OHによって表されるC1-C5アルコールを使用した、以下の構造を有する式(3):
【0074】
【化34】

【0075】
によって表されるプロキラル無水化合物をエナンチオ選択的に開環することによる、上記式中、R1が、C1-C5アルキル、好ましくはC1-C4アルキルであり、より好ましくは、R1がメチル基であり、そして、Zが、ヒドロキシ保護基であるところの方法を提供する。前記保護基は、好ましくは、各Aが独立にC1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族又は芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル基を含めたシリル基である。シリル基の例には、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリル、好ましくはtert-ブチルジメチルシリルが含まれる。
【0076】
好ましくは、C1-C5アルキル・アルコールは、アルカロイドの存在下で使用される。アルカロイドの例には、a)5-MeO-DMT、ジメチルトリプタミン、ハルマラ・アルカロイド、プシロシン、プシロシビン、レセルピン、セロトニン、トリプタミン、ヨヒンビンなどのインドールアルカロイド;b)アンフェタミン、カチノン、エフェドリン、メスカリン、メタンフェタミン、フェネチルアミン、チラミンなどのフェネチルアミンアルカロイド;c)カフェイン、テオブロミン、テオフィリンなどのプリンアルカロイド;d)コニインなどのピリジンアルカロイド;d)ニコチンなどのピロリジンアルカロイド;e)キニーネ又はキニジンなどのキノリンアルカロイド;並びにf)アコニチン及びソラニンなどのテルペノイドが含まれる。より好ましいアルカロイドは、キニーネ又はキニジンである。
【0077】
好ましくは、反応温度は、約−35℃〜約−60℃、より好ましくは約−40℃〜約−50℃である。好ましくは、反応は、約5〜約30時間、より好ましくは約12〜約24時間維持される。好ましくは、得られる式(4)によって表される化合物は、キラルHPLCによって計測した場合に、約80%〜約98%、より好ましくは約85%〜約90%の鏡像体過剰率である。
本発明は、さらに、塩基性触媒の存在下、BOC無水物(ジ-tert-ブチル・ジカルボナート)と、先に記載の式(4)によって表される化合物を結合させることによる、以下の構造を有する式(5):
【0078】
【化35】

【0079】
によって表される化合物の製造方法であって、上記式中、R1が、先に記載のようにC1-C5アルキル基であり;そして、Zが、先に記載のようにヒドロキシ保護基であるところの方法を提供する。
塩基性触媒は、好ましくは、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノピリジンのような三級アミン、及びその混合物である。前記三級アミン塩基は、C3-C15炭素原子を含む式N(A1)(A2)(A3){式中、A1、A2、及びA3が、それぞれ独立に、C1-C10アルキル基及びC5-C12芳香族基から選択され、式中、A1、A2、及びA3が、さらに、酸素又は窒素を含んでもよい(モルホリノやピリジン基のような環状構造など)。}によって表されるものである。1つの態様において、A1及びA2はメチル基であり、そして、A3は、(モルホリノやピリジン基のような環状構造などの)窒素又は酸素を含むC5-C12芳香族基である。
【0080】
前記保護基は、好ましくは、各Aが独立にC1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族又はC5-C12芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル基を含めたシリル基である。シリル基の例には、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリルが含まれる。好ましくは、前記シリル基は、tert-ブチルジメチルシリルである。
【0081】
塩基触媒の存在下でのBOC無水物と、式(4)によって表される化合物の結合は、約5℃〜約50℃、より好ましくは約10℃〜約30℃の温度にて維持され得る。前記結合は、約2〜約10時間、より好ましくは約2〜約5時間維持され得る。
先に記載の式(5)によって表される化合物は、選択的に加水分解されて、以下の式(6):
【0082】
【化36】

【0083】
{式中、Zが、先に記載のようにヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物を得る。
前記加水分解は、アルコール中、塩基性条件下で行われる。アルカリ性溶液の濃度は、約0.5〜約2Nであり得る。前記アルコールは、C1-C4アルコールであり、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、及びその混合物から成る群から選択され、そして、より好ましくはエチルアルコールであり得る。前記反応は、約6〜約8時間などのように約2〜約12時間維持され得る。1つの態様において、前記反応は、約45℃〜約55℃などのように約20℃〜約60℃の温度にて維持される。好適な塩基の例には、アルカリ金属とアルカリ土類金属塩基、特に水酸化ナトリウムやカリウムなどの水酸化物塩基が含まれる。加水分解後に、前記反応混合物が酸性化されてもよい。次に、式(6)によって表される化合物は、トルエンなどの水非混和性溶媒中に抽出され、それに続いて、1気圧未満の圧力におけるなどのトルエンの留去を受けた。
本発明は、以下の構造を有する式(7):
【0084】
【化37】

【0085】
によって表される化合物の製造方法であって、以下の構造を有する式(3):
【0086】
【化38】

【0087】
によって表されるプロキラル無水物を、以下の構造を有する式(3a):
【0088】
【化39】

【0089】
によって表されるキラルアルコールを使用して、エナンチオ選択的に開環することによる、上記式中、R4が、C1-C6アルキル、例えば、メチル又はエチルであり、Arが、先に規定されるフェニル又は置換されているフェニルであり、そして、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であるところの方法を提供する。濃縮された式(7)によって表される鏡像異性体は、以下の構造:
【0090】
【化40】

【0091】
を有する。
前記反応は、触媒の存在下で行われ得る。前記触媒は、塩基であり得る。好ましくは、前記塩基は、N,N-ジメチルアミノ-ピリジンである。前記塩基性触媒は、好ましくはN-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノピリジン、及びその混合物のような三級アミンである。三級アミン塩基は、C3-C15炭素原子を含む式N(A1)(A2)(A3){式中、A1、A2、及びA3が、それぞれ独立に、C1-C10アルキル基及びC5-C12芳香族基から選択され、式中、A1、A2、及びA3が、さらに、酸素又は窒素(モルホリノやピリジン基のような環状構造など)を含み得る。}によって表されるものである。1つの態様において、A1及びA2はメチル基であり、そして、A3は、窒素又は酸素原子(モルホリノやピリジン基のような環状構造など)を含むC5-C12芳香族基である。
【0092】
式(3a)によって表される化合物との結合ステップの前に、式(3)によって表される化合物は、有機溶剤中に溶解され得る。その有機溶剤は、二塩化メチレンなどのC1-C4塩素化炭化水素であってもよい。通常、式(3a)によって表される化合物と触媒は、有機溶剤中、式(3)によって表される化合物の溶液と混合されて、反応混合物が得られる。その反応混合物は、約−30℃〜約−50℃といった−20℃〜約−60℃の温度であり得る。その反応混合物は、約15〜約25時間といった約10〜約30時間維持される。
本発明は、以下の構造を有する式(7):
【0093】
【化41】

【0094】
{式中、R4が、C1-C6アルキル、例えば、メチル又はエチルであり、Arが、先に規定されるフェニル又は置換されているフェニルであり、そして、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物を提供する。また、キラルHPLCによって測定された場合に、少なくとも50%キラル純粋な式(7)によって表される化合物も提供される。式(7)によって表される化合物は、HPLCによって精製されてもよい。濃縮された式(7)によって表される鏡像異性体は、以下の構造:
【0095】
【化42】

【0096】
を有する。
本発明は、以下の構造を有する式(8):
【0097】
【化43】

【0098】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であり、R4が、C1-C6アルキル、好ましくはC1-C4アルキル、例えば、メチル又はエチルであり、そして、Arが、先に規定されるフェニル又は置換されているフェニルである。}によって表される化合物を提供する。また、HPLCキラルカラムによって計測された場合に、少なくとも50%キラル純粋である式(8)によって表される化合物も提供される。式(8)によって表される化合物は、HPLCによって精製されてもよい。濃縮された式(8)によって表される鏡像異性体は、以下の構造:
【0099】
【化44】

【0100】
を有する。
本発明は、さらに、BOC無水物と、先に記載の式(7)によって表される化合物を結合させることによる、先に記載の式(8)によって表される化合物の製造方法を提供する。トルエンなどのC5-C12芳香族炭化水素が、溶媒として使用され得る。好ましくは、前記方法は、塩基性触媒の存在下で行われる。前記塩基性触媒は、以下の:N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノピリジン、及びその混合物から成る三級アミンの群から選択され得る。前記三級アミン塩基は、C3-C15炭素原子を含む式N(A1)(A2)(A3){式中、A1、A2、及びA3が、それぞれ独立に、C1-C10アルキル基及びC5-C12芳香族基から選択され、式中、A1、A2、及びA3が、さらに、酸素又は窒素(モルホリノやピリジン基のような環状構造など)を含み得る。}によって表されるものである。1つの態様において、A1及びA2はメチル基であり、そして、A3は、窒素又は酸素原子(モルホリノとピリジン基のような環状構造など)を含むC5-C12芳香族基である。好ましくは、BOC無水物と式(7)によって表される化合物の結合は、約5℃〜約50℃、より好ましくは約10℃〜約30℃の温度にて維持される。好ましくは、前記結合は、約2〜約10時間、より好ましくは約2〜約5時間維持される。
本発明は、以下の構造を有する式(6):
【0101】
【化45】

【0102】
によって表される化合物の製造方法を提供する。その加水分解は、アルコール中、塩基性条件下で行われる。アルカリ性溶液の濃度は、約1〜約2Nであり得る。前記アルコールは、C1-C4アルコール、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、及びその混合物から成る群から選択されるもの、そして、より好ましくはエチルアルコールであり得る。好ましくは、アルカリ性溶液と、式(8)によって表される化合物のアルコール混合物の結合は、約10〜約30時間、より好ましくは約15〜約25時間維持される。好ましくは、前記結合は、約20℃〜約60℃、より好ましくは約40℃〜約55℃の温度にて維持される。好適な塩基の例には、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩基、特に水酸化ナトリウムやカリウムなどの水酸化物塩基を含む。加水分解後に、反応混合物が酸性化されてもよい。次に、式(6)によって表される化合物は、トルエンなどの水非混和性溶媒中に抽出され、それに続いて、1気圧未満の圧力におけるなどのトルエンの留去を受ける。
本発明は、式(8)によって表される化合物を選択的に加水分解することによる、以下の構造を有する式(6):
【0103】
【化46】

【0104】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物の製造方法を提供する。前記加水分解は、式(8)によって表される化合物のアルコール混合物と、アルカリ性溶液を組み合わせることを含む。好ましくは、前記アルカリ性溶液の濃度は、約1〜約2Nである。必要に応じて、前記アルコールは、以下の:メチルアルコール、エチルアルコール、及びその混合物質などのC1-C5アルコール(好ましくはC1-C4)から成る群から選択される。
本発明は、アルカロイドの存在下、C1-C5アルキルアルコール(R1-OH)と結合させることによって先に記載の式(3)によって表されるプロキラル無水化合物をエナンチオ選択的に開環することによる、以下の構造を有する式(4a):
【0105】
【化47】

【0106】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}の化合物の製造方法を提供する。
好ましくは、式(4a)によって表される化合物は、約85:15〜約95:5の鏡像異性体比で得られる。好ましくは、式(4a)によって表される化合物は、有機溶剤と組み合わせられる。前記有機溶剤は、C6-C12芳香族炭化水素、C1-C4塩素化炭化水素、C4-C8エーテル、及び/又はC3-C8エーテルであってよい。これらの溶媒の例には、二塩化メチレン、トルエン、メチルt-ブチルエーテル、n-ヘプタン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、及びその混合物が含まれる。より好ましい溶媒は、二塩化メチレン及びトルエンである。通常、反応温度は、約−30℃〜約−60℃であり、そして、より好ましくは約−40℃〜約−50℃である。通常、反応は、約5〜約30時間、より好ましくは約8〜約15時間維持される。
本発明は、(塩基の形態の)触媒の存在下、BOC無水物と、先に記載の式(4a)によって表される化合物を結合させることによる、以下の構造を有する式(5a):
【0107】
【化48】

【0108】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であり、そして、R1が、C1-C6アルキルであり、好ましくはC1-C4基である。}によって表される化合物の製造方法を提供する。
前記塩基は、以下の:N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノピリジン、及びその混合物のような三級アミンから成る群から選択される。前記三級アミン塩基は、C3-C15炭素原子を含む式N(A1)(A2)(A3){式中、A1、A2、及びA3が、それぞれ独立に、C1-C10アルキル基及びC5-C12芳香族基から選択され、式中、A1、A2、及びA3が、さらに、酸素又は窒素(モルホリノやピリジン基のような環状構造など)を含み得る。}によって表されるものである。1つの態様において、A1及びA2は、メチル基であり、そして、A3は、(モルホリノやピリジン基のような環状構造などの)窒素又は酸素原子を含むC5-C12芳香族基である。好ましくは、温度は、約−10℃〜約50℃、より好ましくは約10℃〜30℃のものである。好ましくは、式(4a)によって表される化合物、BOC無水物、及び塩基の結合は、約2〜10時間、より好ましくは2〜約5時間維持される。
本発明は、先に記載の式(5a)によって表される化合物を選択的に加水分解することによる、以下の構造を有する式(6a):
【0109】
【化49】

【0110】
{式中、Zが、ヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物の製造方法を提供する。好ましくは、式(6a)によって表される化合物は、約85:15〜約95:5の鏡像異性体比で得られる。
前記加水分解は、式(5a)によって表される化合物のアルコール混合物に約0.5〜約2Nのアルカリ性溶液を加えることを含む。前記アルコールは、以下の:メチル、エチルアルコール、及びその混合物から成る群から選択されうる。前記加水分解は、約20℃〜約60℃の温度にて約2〜約12時間、より好ましくは約45〜55℃の温度にて約6〜約8時間である。前記塩基は、以下の:N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノピリジン、及びその混合物のような三級アミンから成る群から選択される。前記三級アミン塩基は、C3-C15炭素原子を含む式N(A1)(A2)(A3){式中、A1、A2、及びA3が、それぞれ独立に、C1-C10アルキル基及びC5-C12芳香族基から選択され、式中、A1、A25、及びA3が、さらに、酸素又は窒素(モルホリノやピリジン基のような環状構造など)を含み得る。}によって表されるものである。1つの態様において、A1及びA2はメチル基であり、そして、A3は、(モルホリノやピリジン基のような環状構造などの)窒素又は酸素原子を含むC5-C12芳香族基である。
本発明は、以下の構造を有する式(7):
【0111】
【化50】

【0112】
{式中、R4が、C1-C6アルキル、例えば、メチル又はエチルであり、Arが、先に規定されるフェニル又は置換されているフェニルであり、そして、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物を提供する。
本発明は、また、先に記載の式(3a)によって表されるキラルアルコールを用いて先に記載の式(3)によって表されるプロキラル無水物をエナンチオ選択的に開環することによる、式(7a)によって表される化合物の製造方法を提供する。
好ましくは、以下の式(7a):
【0113】
【化51】

【0114】
によって表される化合物は、約80:20〜約85:15の鏡像異性体比である。
前記反応は、有機溶剤中、式(3)によって表される化合物及び塩基の混合物と、式(3a)によって表される化合物の溶液を組み合わせることを含む。好ましくは、その方法の間の温度は、約−20℃〜約−60℃、より好ましくは約−30℃〜約−50℃の温度である。好ましくは、式(3a)によって表される化合物、式(3)によって表される化合物、塩基、及び有機溶剤の組み合わせは、約10〜約30時間、より好ましくは約15〜約25時間維持される。前記塩基は、以下の:N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノピリジン、及びその混合物のような三級アミンから成る群から選択される。前記三級アミン塩基は、C3-C15炭素原子を含む式N(A1)(A2)(A3){式中、A1、A2、及びA3が、それぞれ独立に、C1-C10アルキル基及びC5-C12芳香族基から選択され、式中、A1、A2、及びA3が、さらに、酸素又は窒素(モルホリノやピリジン基のような環状構造など)を含み得る。}によって表されるものである。1つの態様において、A1及びA2はメチル基であり、そして、A3は、(モルホリノやピリジン基のような環状構造などの)窒素又は酸素原子を含むC5-C12芳香族基である。好ましくは、前記有機溶剤は、C6-C12芳香族炭化水素又はC1-C4塩素化炭化水素である。これらの溶媒の具体例には、二塩化メチレン、トルエン、及びその混合物が含まれる。
本発明は、以下の構造を有する式(8):
【0115】
【化52】

【0116】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であり、そして、R4が、C1-C6アルキル又はC1-C6炭素である。}によって表される化合物を提供する。式(8)によって表される鏡像異性的に濃縮された形態は、以下の構造:
【0117】
【化53】

【0118】
を有する。
本発明は、また、塩基の存在下、BOC無水物と、先に記載の式(7a)によって表される化合物を結合させることによる、式(8a){式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であり、そして、R4が、C1-C6炭素基のアルキル、好ましくはC1-C4基である。}によって表される化合物の製造方法を提供する。
前記塩基は、以下の:N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノピリジン、及びその混合物のような三級アミンから成る群から選択される。前記三級アミン塩基は、C3-C15炭素原子を含む式N(A1)(A2)(A3){式中、A1、A2、及びA3が、それぞれ独立に、C1-C10アルキル基及びC5-C12芳香族基から選択され、式中、A1、A2、及びA3が、さらに、酸素又は窒素(モルホリノやピリジン基のような環状構造など)を含み得る。}によって表されるものである。1つの態様において、A1及びA2はメチル基であり、そして、A3は、(モルホリノやピリジン基のような環状構造などの)窒素又は酸素原子を含むC5-C12芳香族基である。好ましくは、前記方法の間の温度は、約−10℃〜約50℃、より好ましくは約10℃〜30℃の温度である。好ましくは、塩基の存在下、BOC無水物と、式(7a)によって表される化合物の結合は、約2〜約10時間、より好ましくは約2〜約5時間維持される。
本発明は、また、先に記載の式(8a)によって表される化合物を選択的に加水分解することによる、以下の構造を有する式(6a):
【0119】
【化54】

【0120】
{式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物の製造方法を提供する。好ましくは、式(6a)によって表される化合物は、約80:20〜約85:15の鏡像異性体比で得られる。鏡像異性体濃縮された式(6)は、以下の構造:
【0121】
【化55】

【0122】
を有する。前記加水分解は、式(8a)によって表される化合物のアルコール混合物と、約0.5〜約2Nのアルカリ性溶液を組み合わせることを含む。前記アルコールは、以下の:メタノール、エタノール、及びその混合物質などのC1-C4アルコールから成る群から選択されるかもしれない。アルカリ性溶液と、式(8a)によって表される化合物のアルコール混合物の組み合わせは、好ましくは約20℃〜約60℃の温度にて好ましくは約10〜約30時間、より好ましくは約40℃〜約55℃の温度にて約15〜約25時間維持される。
式(6)によって表される化合物が、以下の構造を有する式(2):
【0123】
【化56】

【0124】
{式中、R2が、メチル、エチル、又はt-ブチルなどのC1-C4アルコールであり;Zが、ヒドロキシ保護基であり;そして、R3が、C1-C3アルコキシ、アリールオキシ、又は置換されているアリールオキシ基である。}によって表される化合物を製造するのに使用されるかもしれない。前記保護基は、好ましくは、各Aが、独立に、C1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族又は芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル基を含めたシリル基である。シリル基の例には、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリルが含まれる。
本発明は、また、先に記載の式(6)によって表されるキラル純粋なR-異性体化合物の製造方法であって、先に記載の式(6a)によって表される化合物、以下の構造を有する式(9a):
【0125】
【化57】

【0126】
によって表される化合物(R)-(+)-フェニルエチルアミン、又は以下の構造を有する式(9b):
【0127】
【化58】

【0128】
によって表される化合物(S)-(−)-フェニルエチルアミンを結合させることによる光学分割法による方法も提供する。前記分割は、以下の:メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、及びt-ブチルアルコールから成る群から選択されるC1-C4アルコール、より好ましくはイソプロピルアルコールである脂肪族アルコール溶媒中、約80:20〜約85:15のキラル比の式(6a)によって表される化合物を、式(9a)又は(9b)によって表される化合物と結合させて、以下の構造を有する式(8b):
【0129】
【化59】

【0130】
によって表される塩を得ることを含む。式(9a)によって表される化合物は、約0℃〜約70℃の温度にて約1対約2のモル比で式(6a)によって表される化合物に対して使用される。得られた生成物は、結晶化されて、以下の構造を有する式(8c):
【0131】
【化60】

【0132】
によって表されるキラル純粋な塩が得られる。前記の式(8c)によって表される塩は、鉱酸を使用した水性溶媒中で加水分解されて、約99〜約100%、より好ましくは約99.5〜約99.8%のキラル純度を有する式(6)によって表される化合物が得られる。鉱酸は、希塩酸又は希硫酸であってよい。好ましくは、希塩酸が使用される。塩酸は、約0℃〜約50℃、好ましくは約0℃〜約30℃の温度にて、式(8c)によって表される化合物に対して約1〜約2当量の量で加えられる。
本発明は、以下の構造を有する式(9):
【0133】
【化61】

【0134】
{式中、Zが、ヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物を提供する。
式(9)によって表される化合物は、以下の構造を有する式(2):
【0135】
【化62】

【0136】
によって表される化合物の製造であって、以下の一般式:
【0137】
【化63】

【0138】
によって表されるジアルキルアルキルホスホネートの金属塩と、式(9)によって表される化合物の反応による、上記式中、Zが、先に記載のようにヒドロキシ保護基であり;R2及びR3が、独立に、必要に応じて置換されている1〜4個の炭素原子のアルキルであり;Xが、C1-C5炭素原子のアルコキシ基又は必要に応じて置換されるC1-C5炭素のアルキル基であるところの製造のために使用されるかもしれない。
好ましくは、(R3ダッシュを含めた)全てのR3基がメチル基である。ウィッティヒ試薬(イリド)を形成するために、先に示されたホスホニウム塩が、ジエチルエーテル又はTHF(テトラヒドロフラン)などの溶媒中に懸濁され、そして、強塩基、好ましくはC1-C8アリール、又は有機リチウム試薬フェニルリチウム若しくはn-ブチルリチウムなどのアルキル金属塩基が加えられる。前記リチウム塩は、以下の構造:
【0139】
【化64】

【0140】
を有する。
本発明の方法において、好ましくは、C1-C4ジアルキルホスホナートが使用され、そして、より好ましくはジメチルメチルホスホナートが使用される。
好ましくは、前記溶媒は、C1-C4脂肪族アルコール溶媒、C6-C10芳香族及びC5-C8脂肪族炭化水素、C2-C8脂肪族エステル、(環式化合物を含めた)C4-C8エーテル、並びに1、2、又は3つの塩素原子を有するC1-C6脂肪族溶媒から選択される。
そのような溶媒の例には、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン;エーテル、メチルt-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びテトラヒドロフランが含まれる。好ましくは、前記溶媒は、テトラヒドロフランである。好適な塩基には、n-ブチルリチウムやC1-C8アルキル金属などのアルキルリチウム塩基が含まれ、好ましくは、式(XII)によって表される化合物に基づいて1〜5当量の量、より好ましくは3〜4当量の量である。
例示したように、先に記載の式:
【0141】
【化65】

【0142】
によって表される化合物、好ましくはジメチルメチルホスホナートが、テトラヒドロフランなどのC4-C8エーテルなどの好適な溶剤と組み合わせられる。そして、その反応混合物は、冷やされた後に、フェニルリチウム若しくはn-ブチルリチウムなどの有機リチウム試薬などの強塩基が添加される。反応物を、維持して、陰イオン形成を得る。そして、好ましくは同じ溶媒中、式(9)によって表される化合物が、反応混合物に加えられる。反応混合物を得て、反応が完了する。塩化アンモニウムの添加によって反応はクエンチされてもよい。前記反応は、約−70℃〜約−90℃の好ましい温度にて行われてもよい。その後、反応混合物は、例えば、約25℃などに加温されてもよい。生成物である式(1)によって表される化合物は、ヘキサンなどの水非混和性溶媒中に抽出される。そして、そのヘキサンが留去されて、生成物を得る。
【0143】
本発明は、また、先に記載の式(6)によって表される化合物を、以下の:(置換されているものを含めた)C5-C12芳香族炭化水素、C6-C10脂肪族炭化水素、ハロゲン化C6-C10炭化水素、2〜20個の炭素原子を持つエーテル、及び2〜20個の炭素原子を持つケトンから成る群から選択される少なくとも1種類の有機溶剤、以下の:C1-4アルキルやC6-8アリール・ハロホルメート、及び酸ハロゲン化物から成る群から選択されるアミド化試薬、並びに少なくとも1種類の塩基と結合させ、そして、N,O-ジメチルヒドロキシルアミンを加えることによる式(9)によって表される化合物の製造方法を提供する。
【0144】
好ましくは、前記C1-4アルキルハロホルメートは、クロロ又はブロモホルメートのエチル又はメチル誘導体である。
好ましくは、前記C6-8アリールハロホルメートは、ベンジルクロロ又はブロモホルメートである。好ましい酸ハロゲン化物は、アセチル、ピバロイル、オキサロイル、又はベンゾイルクロライド及びブロマイドである。最も好ましいハロホルメートは、クロロホルメートエチル又はクロロホルメートメチルのいずれかである。より好ましい酸ハロゲン化物は、アセチル又はピバロイルクロライドである。
【0145】
好ましくは、置換されている芳香族炭化水素は、トルエン又はキシレンのいずれかである。好ましいC6-C10脂肪族炭化水素は、ヘキサン又はヘプタンのいずれかである。好ましいケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンである。好ましくは、前記エーテルは、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、又はt-ブチルメチルエーテルである。好ましくは、前記ハロゲン化炭化水素は、二塩化メチレンである。より好ましい有機溶剤は、アセトン又は二塩化メチレンのいずれかである。
【0146】
好ましくは、前記塩基は、以下の:ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、モルホリン、ピペリジン、ピリジン、N,N-ジメチルアミノピリジンから成る群から選択される有機塩基である。好ましくは、前記塩基は、N,N-ジメチルアミノピリジン又はトリエチルアミンのいずれかである。
【0147】
好ましくは、式(6)によって表される化合物と有機溶剤が、最初に組み合わせられ、その後、約20℃〜約−30℃、より好ましくは約−10℃〜約−20℃の温度にて、アミド化試薬及び塩基と組み合わせられて、反応混合物が得られる。好ましくは、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン溶液の添加中、前記反応混合物は、約−10〜−20℃の温度にて約0〜約4時間維持される。好ましくは、前記反応混合物は、約−10℃〜約35℃、より好ましくは約0℃〜約20℃の温度にて、N,O-ジメチルヒドロキシルアミンの添加後、約0.5〜約2時間維持される。
本発明は、以下の構造を有するキラル純粋な一般式(A):
【0148】
【化66】

【0149】
{式中、R1が、H、C1-C5アルキルであり;R2が、C1-C6アルキル、例えば、メチル、エチル、又はt-ブチル基であり;そして、Zが、ヒドロキシ保護基であり、必要に応じてトリメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、又はジメチルフェニルシリル基である。}によって表される化合物の製造方法を提供する。好ましくは、前記シリル基は、tert-ブチルジメチルシリルである。好ましくは、R2は、t-ブチル基である。
式(A)によって表される化合物は、以下の構造を有する式(2):
【0150】
【化67】

【0151】
{式中、R2が、メチル、エチル、又はt-ブチル基であり;Zが、トリメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、又はジメチルフェニルシリル基などのヒドロキシ保護基であり;そして、R3が、HMG-CoA還元酵素阻害剤の製造に使用され得るC1-C3アルキルオキシ、アリールオキシ、又は置換されているアリールオキシ基である。}によって表される化合物の合成に使用される中間体である。
本発明は、先に記載の式(9)によって表される化合物を、ジアルキルホスホネートのリチウム塩と結合させることによる、以下の構造を有する式(2a):
【0152】
【化68】

【0153】
{式中、R3が、低級なC1-C3アルキルオキシ、C5-C12アリールオキシ、(必要に応じて、置換されている)C5-C12アリールオキシであり、そして、Zが、トリメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、又はジメチルフェニルシリルなどのヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物の製造方法を提供する。
【0154】
好ましくは、前記ジアルキルホスホネートは、C1-C3ジアルキルホスホネートである。前記のジアルキルホスホネートのリチウム塩は、約−50℃〜約−110℃の温度にて、n-ブチルリチウム及びジアルキルホスホネートを、式(9)によって表される化合物との関係でそれぞれ約1.3〜約4.5及び約1.5〜約5のモル比で使用することで製造される。より好ましくは、モル比は、それぞれ約1.4〜約2及び約1.5〜約2.2である。前記反応は、好ましくは、約−75℃〜約−85℃の温度にて、約2〜約6時間維持される。式(9)によって表される化合物の溶液の添加後に、その反応物は、好ましくは約−75℃〜約−85℃の温度にて、約0〜約4時間維持される。
【0155】
反応は、好ましくは、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルt-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、又はその混合物を使用して行われる。より好ましくは、前記溶媒は、メチルt-ブチルエーテル及びテトラヒドロフランから選択される。
【0156】
前記の方法及び化合物のいずれの態様においても、基R1は、好ましくはC1-C4基であり、より好ましくはメチルであり;R2は、好ましくはC1-C4基であり、より好ましくはt-ブチルであり;Zは、好ましくはシリル基であり、より好ましくはtert-ブチルジメチルシリルである。
【0157】
本発明の方法によって製造される化合物は、高脂血症を治療するためのスタチンを製造するのに使用されうる。スタチンは、医薬として許容される賦形剤と組み合わせられて、医薬組成物が製造される。製造され得るスタチンには、以下のものが含まれる。
【0158】
【化69】

【0159】
例えば、本明細書中に援用されるHelvetica Chemica Acta, vol. 90(2007)は、以下の構造を有するピタバスタチン・アルデヒド前駆体:
【0160】
【化70】

【0161】
を開示している。本明細書中に援用されるWO 2007/041666及びWO 2006/091771は、さらに、ウィッティヒ反応を通じたロスバスタチンの製造を開示している。ウィッティヒ反応の後、保護基(Z)が取り除かれ、それに続いて還元されてジオールが得られ、それに続いてエステルが加水分解されて医薬として許容される塩が得られる。
【0162】
化合物(VII)に関するNMRデータ:
0.07(d, 3H);0.76(d, 3H);1.47(d, 3H);2.5(q, 4H);4.87(p, 1H);5.82(q, 1H);7.29(m, 5H)
化合物(IX)に関するNMRデータ:
0.10(s, 6H);0.87(s, 9H)、2.63-2.44(m,3H);2.848(q, 1H)、3.18(s, 2H);3.71(s, 2H);4.23(q, 2H)、4.59(q, 1H)
ロスバスタチンCa用
バッファー:―5%の水酸化アンモニウムを含む0.05% v/vの氷酢酸 pH3.5。
溶出剤(A):―60%のバッファー、35%のアセトニトリル、5%のエタノールを混合する。
溶出剤(B):―55%のバッファー、45%のエタノール。
溶出剤(C):―エタノール。
カラム:―Discovery HS C18.3μm(150×4.6)mm。
流量:―0.5ml/分、INJ. VOL.:―10μl、波長:―243nm。
カラム温度:―20℃、オートサンプラー温度:−4℃。
ランタイム:―25.0分、平衡化時間:―7.0分。
グラジエント:―
【0163】
【表1】

【0164】
器具
炎イオン化検出装置を備えたガスクロマトグラフ。
カラム
DB 17、30m×0.53mm×1.0μmのフィルム厚、Agilent C/N:125-1732又は同等物。
クロマトグラフィーの条件
【0165】
【表2】

【0166】
温度と流量は、必要なシステム適合性を得るために変更されうる。
希釈剤
アセトニトリル
システム適合性溶液の調製
10mlメスフラスコ内にそれぞれ約20mgを正確に計量した:TBDMS-OH、DMMP、MBSG、及び19TBPOを、希釈剤で溶かし、そして、容量まで満たした。1mlの原液を10mlメスフラスコ内に移し、そして、希釈剤で容量まで満たす。
【0167】
システム適合性試験
システム適合性溶液を注入した。代表的な保持時間は、TNDMS-OHピークについては約4分、DMMPピークについては約6.5分、MBSGピークについては約14.5分、及び19TBPOピークについては31.5分である。
サンプル溶液の調製
10mlメスフラスコ内に20mgを正確に計量したサンプルを、希釈剤で溶かし、そして、容量まで満たす。
【実施例】
【0168】
3-ヒドロキシ保護されたグルタル酸の一般的な製造
機械式スターラー、冷却管、及び投入管(charging tube)を取り付けた4つ口の丸底フラスコに、窒素雰囲気下、二塩化メチレン(675ml)を投入し、それに続いてイミダゾール(187.2g)、t-ブチルジメチルシリルクロライド(248.3g)を投入した。反応塊を、20〜30℃にて1〜2時間維持し、それに続いて塩化メチレン(225g)中、3-ヒドロキシジエチルグルタラートの溶液を加えた。前記塊を、4〜6時間維持し、それに続いてその反応塊を水と塩水での洗浄に供した。減圧下、30〜35℃にて二塩化メチレン留去し、そして、残渣を、25〜35℃にて30〜40%の水性メチルアルコール(1850ml)、水酸化ナトリウム(96.8g)の溶液に投入し、そして、20〜30時間、混合した。溶媒を減圧下、40〜45℃にて留去し、そして、塊を、水でさらに希釈し、1〜12Nの塩酸を加えて、pHを2.5〜4にし、そして、生成物を、t-ブチルメチルエーテルで抽出し、濃縮して、71%の3-ヒドロキシ保護されたグルタル酸を得た。
【0169】
実施例1
3-ヒドロキシ保護されたグルタル酸無水物である式(3)によって表される化合物の製造
機械式スターラー、冷却管、及び投入管を取り付けた4つ口の丸底フラスコに、25〜30℃にて無水酢酸(609ml)を投入し、それに続いて3-ヒドロキシ保護されたグルタル酸を投入した。反応塊を、130〜135℃にて2〜3時間、還流した。未反応の無水酢酸を、酢酸と共に、減圧下、60〜95℃にて完全に蒸留した。生成物をシクロヘキサンから結晶化し、そして、乾燥させて、97.2%のGC純度を有する90〜95%の茶色の結晶性の固体を得た。
【0170】
実施例2
3-(t-ブチルジメチルシラニルオキシ)-1,5-ペンタン二酸モノメチルエステルである式(4)によって表される化合物の製造
機械式スターラー、冷却管、及び投入管を取り付けた4つ口の丸底フラスコに、不活性雰囲気下、25〜30℃にて二塩化メチレン(75ml)及び式(3)によって表される化合物(25g、0.1mole)を投入した。反応塊を、−35〜−40℃に冷やし、それに続いて二塩化メチレン(125ml)中、キニジン(35.68g、0.11mole)の溶液を加えた。メタノール(28.3ml)を、−35〜−40℃にて反応塊にゆっくりと加え、そして、それを15〜20時間維持した。二塩化メチレンを、減圧下、25〜35℃にて留去し、それに続いて十分な量のメチルt-ブチルエーテルと水(25ml)を加えた。反応塊のpHを、塩酸を使用して4〜5に調整した。水相を分離した。有機相を、酸性水で洗浄して、キニジンを取り除き、それに続いて減圧下、メチルt-ブチルエーテルを除去して、93:7のキラル純度と99.25%のGC純度を有する、96%の収率の式(4)によって表される化合物を得た。
【0171】
実施例3
3-(t-ブチルジメチルシラニルオキシ)-1,5-ペンタン二酸モノメチル・エステルである式(4)によって表される化合物の製造
機械式スターラー、冷却管、及び投入管を取り付けた4つ口の丸底フラスコに、不活性雰囲気下、25〜30℃にてトルエン(500ml)を投入し、それに続いて式(3)によって表される化合物(50g、0.181mole)を投入した。反応塊を、−30〜−55℃に冷やし、それに続いてキニジン(76.33g、0.235mole)を加えた。メタノール(55ml)を、−30〜−55℃にて反応塊にゆっくり加え、そして、それを10〜20時間維持した。水(25ml)を加え、そして、pHを、塩酸を使用して4〜5に調整した。水相を分離した。有機相を、酸性水で洗浄して、キニジンを取り除き、それに続いて減圧下でトルエンを除去して、93.2:6.8のキラル純度と96.6%のGC純度を有する、83.5%の収率の式(4a)によって表される化合物を得た。
【0172】
実施例4
式(5)によって表される化合物の製造
機械式スターラー、冷却管、及び投入管を取り付けた4つ口の丸底フラスコに、−5〜0℃にて二塩化メチレン(40ml)を投入し、それに続いて式(4)によって表される化合物(10g、0.036mole)を投入した。N-メチルモルホリン(4.3g、0.043mole)を、−5〜0℃にて反応塊に加え、そして、その反応物を15〜30分間維持し、それに続いて二塩化メチレン(40ml)中、BOC無水物(11.8g、0.055mole)を、−5〜0℃にてゆっくりと加えた。その反応物を15〜30分間維持した。触媒量のN,N-ジメチルアミノピリジンを、−5〜0℃にて加え、そして、その塊を、25〜30℃にて3〜5時間維持した。シリカゲル(2.5g)を加え、それに続いてシリカゲルを除去した。水(30ml)を反応塊に加え、そして、pHを、塩酸を使用して4〜4.5に調整した。水相を分離し、そして、有機相を水で洗浄し、それに続いて減圧下で二塩化メチレンを除去して、92.9%のGC純度を有する、97.6%の収率の式(5)によって表される化合物を得た。
【0173】
実施例5
式(6)によって表される化合物の製造
機械式スターラー、冷却管、及び投入管を取り付けた4つ口の丸底フラスコに、20〜30℃にてエタノール(50ml)を投入し、それに続いて式(5)によって表される化合物(10g、0.03mole)を投入した。1〜2Nの水酸化ナトリウム溶液(40ml)を、45〜50℃にて反応塊に加え、そして、それを5〜8時間維持し、それに続いて減圧下でエタノールを除去した。水(50ml)を反応塊に加え、そして、pHを、塩酸を使用して5〜6に調整した。トルエン(25ml)を加え、そして、水相を分離し、それに続いて減圧下でトルエンを除去して、93%の収率で式(6)によって表される化合物を得た。
【0174】
実施例6
式(7)によって表される化合物の製造
機械式スターラー、冷却管、及び投入管を取り付けた4つ口の丸底フラスコに、不活性雰囲気下、25〜30℃にて二塩化メチレン(50ml)を投入し、それに続いて式(3)によって表される化合物(10g、0.041mole)を投入した。その塊を−30〜−35℃に冷やし、それに続いて式(3a)によって表される化合物(7.5g、0.0615mole)を加えた。二塩化メチレン(30ml)中、N,N-ジメチルアミノピリジン(7.5g、0.0615mole)を、−30〜−35℃にて反応塊にゆっくり加え、そして、それを15〜20時間維持した。水(50ml)を反応塊に加え、そして、pHを、塩酸を使用して4〜5に調整した。水相を分離し、そして、有機相を水で洗浄し、それに続いて減圧下で二塩化メチレンを除去して、80.5:19.5のキラル純度を有する、96%の収率の式(7)によって表される化合物を得た。
【0175】
実施例7
式(8)によって表される化合物の製造
機械式スターラー、冷却管、及び投入管を取り付けた4つ口の丸底フラスコに、20〜30℃にてトルエン(6ml)を投入し、それに続いて式(7)によって表される化合物(1g、0.0027mole)を投入した。N-メチルモルホリン(0.327g、0.034mole)を、20〜30℃にて反応塊に加え、そして、それを15〜30分間維持した。トルエン(3ml)中、BOC無水物(0.884g、0.004mole)を、反応塊にゆっくり加え、そして、それを15〜30分間維持した。触媒量のN,N-ジメチルアミノピリジンを、20〜30℃にて加え、そして、その塊を、25〜30℃にて3〜5時間維持した。シリカゲル(2.5g)を加え、そして、取り出した。水(10ml)を、塊に加え、そして、pHを、塩酸を使用して4〜4.5に調整した。水相を分離した。有機相を水で洗浄し、それに続いて減圧下でトルエンを除去して、62%の収率で式(8)によって表される化合物を得た。
【0176】
実施例8
式(6a)によって表される化合物の製造
機械式スターラー、冷却管、及び投入管を取り付けた4つ口の丸底フラスコに、20〜30℃にてメタノール(8ml)を投入し、それに続いて式(8)によって表される化合物(1g、0.0024mole)を投入した。1〜2Nの水酸化ナトリウム溶液(8ml)を、45〜50℃にて反応塊に加え、そして、それを5〜8時間維持した。メタノールを、減圧下、45〜50℃にて取り除いた。水(15ml)を塊に加え、そして、pHを、塩酸を使用して4〜4.5に調整した。トルエン(15ml)を加え、そして、水相を分離し、それに続いて減圧下でトルエンを除去して、46%の収率で式(6)によって表される化合物を得た。
【0177】
実施例9
式(6)によって表される化合物の製造
機械式スターラー、冷却管、及び投入管を取り付けた4つ口の丸底フラスコに、20〜30℃にてイソプロピルアルコール(50ml)を投入し、それに続いて式(6a)によって表される化合物(10g、0.031mole)を投入した。(R)-(+)-フェニルエチルアミン(4.18g、0,034mole)を、1〜2時間かけて加え、それに続いてその塊を加熱して、透明な溶液を得た。塊を、15〜25℃にて2〜4時間混合し、濾過し、そして、固体の塊を水(110ml)中に溶かした。塩化ナトリウム(33g)を前記塊に加え、それに続いて1.3モル当量の10%の塩酸を加えた。反応塊を、2〜4時間混合し、そして、十分な容量の二塩化メチレンで抽出し、それに続いて減圧下で二塩化メチレンを取り除いて、99.5%のキラル純度を有する、76%の式(6)によって表される化合物を得た。
【0178】
実施例10
式(9)によって表される化合物の製造
機械式スターラー、冷却管、及び投入管を取り付けた4つ口の丸底フラスコに、20〜30℃にて二塩化メチレン(210ml)を投入し、それに続いて式(6)によって表される化合物(35g、0.11mole)を投入した。反応塊を、−15〜−25℃に冷やし、それに続いてトリエチルアミン(13.34g)及びエチルクロロホルメート(13.13g)を加え、そして、それを0〜−15℃にて30〜60分間維持し、それに続いて二塩化メチレン(30ml)中、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン(13.95g)の溶液を加えた。反応塊を、20〜30℃にて1〜3時間維持し、それに続いて前記塊を、十分な量の希塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、及び塩水で洗浄した。二塩化メチレンを取り去り、95.4%のGC純度を有する、95%の収率の式(9)によって表される化合物を得た。
【0179】
実施例11
式(2)によって表される化合物の製造
機械式スターラー、冷却管、及び投入管を取り付けた4つ口の丸底フラスコに、20〜30℃にてテトラヒドロフラン(25ml)を投入し、それに続いてジメチルメチルホスホネート(4.3g、0.035mole)を投入した。反応塊を、−80〜−90℃に冷やし、それに続いてヘキサン中、1.6Mのn-ブチルリチウム溶液(2.08g、0.033mole)を加えた。その反応塊を、−80〜−90℃にて2〜4時間維持し、それに続いてテトラヒドロフラン(5ml)中、式(9)によって表される化合物(5g、0.014mole)の溶液を加えた。反応塊を、−75〜−90℃にて1〜3時間維持し、それに続いて塩化アンモニウム溶液で前記塊をクエンチした。反応混合物の温度を、20〜30℃にした。相を分離し、そして、水層をヘキサンで抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄して、それに続いてヘキサンを取り去って、87.1%のGC純度を有する、85%の収率の式(2)によって表される化合物を得た。
【0180】
実施例12:
19TBPHからのウィッティヒ反応による化合物20TBの製造
【0181】
【化71】

【0182】
遮光され、且つ、N2の流入が供給された100mlフラスコに、化合物14(3.6g、10.5mmol)、化合物19TBPH(9.05g、15.7mmol)、及び脱水トルエン(36ml、化合物14に対して10倍量)を投入した。反応混合物を、約100℃にて19.5時間、加熱した。反応混合物のサンプルを、HPLCによって分析すると、1.7%の化合物14を含んでいた。
無水MgCl2(2g、化合物19TBPHに対して2等量)を、反応混合物に加え、そして、その反応混合物を、100℃にて2時間、撹拌した。反応混合物を、0℃にて2時間冷やし、そして、その固体を洗浄せずに濾過した。濾液を得、H2O(それぞれ100ml)で二度洗浄し、そして、溶媒を留去して、7.56gの茶色の固体を得た。
実施例13:
ウィッティヒ反応による化合物20Mの製造
【0183】
【化72】

【0184】
遮光され、且つ、N2の流入が供給された100mlフラスコに、化合物14(4.38g、12.5mmol)、化合物19M(10g、18.7mmol)、及び追加脱水トルエン(100ml)を投入した。反応混合物を、約100℃にて15時間、加熱した。反応の完了後に、無水MgCl2(4.8g(2.7eq))を、反応混合物に加え、そして、その反応混合物を、約100℃にて2時間、加熱した。反応混合物を、約2時間かけて0℃に冷やし、濾過し、そして、45mlのトルエンで洗浄して、12.73gの粘稠のオイルを得た。
【0185】
実施例14:
HCl/THF中での化合物21TBの製造
HCl(水中で32%、0.57g)、水(2mL)、及びTHF(17.5mL)の混合物を調製した。この混合物5.4mLを、THF(8.1mL)中、化合物20TB(2.7g)の溶液に滴下して加えた。反応混合物を、TLCによる反応のモニタリングが反応の完了を示すまで、外気温にて一晩、撹拌した。
酢酸エチル(20mL)を前記反応混合物に加え、そして、その反応混合物を水(20mL)で洗浄した。水層を、形成させ、そして、それを酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を合わせ、そして、約10.5のpHにてEt3N(2×5mL)の水溶液で洗浄した。有機層を、MgSO4上で乾燥させ、そして、溶媒を減圧下で取り除いて、化合物21TB(2.03g)のオイルを得た。
実施例15:
化合物22TB(TBRE)の製造
【0186】
【化73】

【0187】
脱水THF(26mL)及び脱水メタノール(7mL)中、21TB(1g)の溶液に、THF(2mL)中、ジエチルメトキシボラン(1M)の溶液を、約−78℃にて加え、反応混合物を形成した。その反応混合物を、0.5時間撹拌し、NaBH4を加え、そして、撹拌を3時間続けた。酢酸(1.2mL)を反応混合物に加え、そして、その反応混合物を外気温に加温した。
酢酸エチル(150mL)を反応混合物に加え、そして、濃NaHCO3水溶液を加えることによってpHを8に調整した。層を分離し、そして、追加量の酢酸エチル(50mL)を加えることによって、水を抽出した。有機層を合わせ、そして、MgSO4上で乾燥させた。次に、溶媒を、減圧下で留去し、残渣を残した。その残渣を、メタノールで処理し、次に、そのメタノールを留去した。メタノール処理と留去をさらに2回実施して、未精製の化合物22TB(TBRE)(0.87g、86%)を得た。
【0188】
実施例16:
酢酸エチル中への抽出を用いた化合物22TBのロスバスタチンCaへの変換
機械式スターラーを備えた1L反応器に、EtOH(3L)、水(1800mL)、及びTBRE(600g)を投入して、反応混合物を形成した。NaOH(47%、1.2eq、114g)を、室温にて反応混合物にゆっくり加えた。その反応混合物を、室温にて2時間撹拌した。反応混合物を、Synter及びHyfloを用いて減圧下で濾過して、小粒子の存在を排除した。反応混合物を、減圧下、約40℃にてその反応混合物の半量が残るまで濃縮した。
【0189】
水(2000mL)を反応混合物に加え、そして、その反応混合物を、室温にて5分間撹拌した。水相と有機相を形成させた。相を分離し、水相を、酢酸エチル(3000mL)で洗浄し、そして、室温にて30分間撹拌した。有機相を捨てた。水相を、減圧下、約40℃にて半量が残るまで濃縮した。水(2800mL)を水相に加え、そして、その水相を室温にて5分間撹拌した。CaCl2(124g)を、分割してほぼ室温の温度にて約10分間かけて水相に加えた。そして、水相を、ほぼ室温にて約1時間撹拌し、濾過し、そして、1200mLの水で洗浄して、粉状の化合物(491g、88%)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】

{式中、R4がC1-C4アルキルであり、Arがフェニルであり、そして、Zがヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物。
【請求項2】
前記R4が、メチル又はエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記Zが、シリル基である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記Zが、各Aが独立にC1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族基又はC5-C12芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
前記Zが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリルから成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記シリル基が、tert-ブチルジメチルシリルである、請求項3〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記フェニル基が、ヒドロキシ、カルボキシル、C1-C4アルキル、C6-C12アルコキシ、C6-C12アリール、C6-C12アリールアルキル、C6-C12シクロアルキル、及びアミノで置換されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、以下の立体化学:
【化2】

を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が、約80%〜約98%の鏡像異性体純度を有する、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、約85%〜約90%の鏡像異性体純度を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
以下の式:
【化3】

{式中、R4がC1-C4アルキルであり、Arがフェニルであり、そして、Zがヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物。
【請求項12】
前記化合物が、以下の立体化学:
【化4】

を有する、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が、約80%〜約98%の鏡像異性体純度を有する、請求項11又は12に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が、約85%〜約90%の鏡像異性体純度を有する、請求項11〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
前記R4が、メチル又はエチルである、請求項11〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
前記Zが、シリル基である、請求項11〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
前記Zが、各Aが独立にC1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族基又はC5-C12芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル基である、請求項11〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
前記Zが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリルから成る群から選択され、好ましくはtert-ブチルジメチルシリルである、請求項11〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
前記フェニル基が、ヒドロキシ、カルボキシル、C1-C4アルキル、C6-C12アルコキシ、C6-C12アリール、C6-C12アリールアルキル、C6-C12シクロアルキル、及びアミノで置換されている、請求項11〜18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
以下の式:
【化5】

{式中、Zがヒドロキシ保護基である。}によって表される化合物。
【請求項21】
前記化合物が、以下の立体化学:
【化6】

を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物が、約80%〜約98%の鏡像異性体純度を有する、請求項20又は21に記載の化合物。
【請求項23】
前記化合物が、約85%〜約90%の鏡像異性体純度を有する、請求項20〜22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
前記Zが、シリル基である、請求項20〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
前記Zが、各Aが独立にC1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族基又はC5-C12芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル基である、請求項20〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
前記Zが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリルから成る群から選択され、好ましくはtert-ブチルジメチルシリルである、請求項20〜23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
前記化合物が単離されたものである、請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
以下の構造を有する式(4a):
【化7】

によって表される化合物の製造方法であって、アルカロイドの存在下、C1-C5アルコールと化合物(3)を反応させることにより、以下の構造を有する式(3):
【化8】

によって表されるプロキラル無水化合物をエナンチオ選択的に開環することを含む、上記式中、R1がC1-C5アルキル基であり;そして、Zがヒドロキシ保護基であるところの前記方法。
【請求項29】
前記の式(4a)によって表される生成物が、以下の構造:
【化9】

を有する化合物に濃縮される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、約80%〜約98%の鏡像異性体純度を有する、請求項28又は29に記載の化合物。
【請求項31】
前記化合物が、約85%〜約90%の鏡像異性体純度を有する、請求項28〜30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
前記Zが、シリル基である、請求項28〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記Zが、各Aが独立にC1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族基又はC5-C12芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル基である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記Zが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリルから成る群から選択され、好ましくはtert-ブチルジメチルシリルである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記アルカロイドが、5-MeO-DMT、ジメチルトリプタミン、ハルマラアルカロイド、プシロシン、プシロシビン、レセルピン、セロトニン、トリプタミン、ヨヒンビン、アンフェタミン、カチノン、エフェドリン、メスカリン、メタンフェタミン、フェネチルアミン、チラミン、カフェイン、テオブロミン、テオフィリン、コニイン、ニコチン、キニーネ、キニジン、アコニチン、及びソラニンから成る群から選択される、請求項28〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記アルカロイドが、キニーネ又はキニジンである、請求項28〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
以下の構造を有する式(5a):
【化10】

によって表される化合物の製造方法であって、塩基性触媒の存在下、BOC無水物(ジ-tert-ブチルジカルボネート)と、以下の式(4a):
【化11】

によって表される化合物を結合させることを含む、上記式中、R1がC1-C5アルキル基であり;そして、Zがヒドロキシ保護基であるところの前記方法。
【請求項38】
前記化合物が、以下の構造:
【化12】

を有する、請求項37に記載の方法の生成物。
【請求項39】
前記化合物が、約80%〜約98%の鏡像異性体純度で得られる、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記化合物が、約85%〜約90%の鏡像異性体純度で得られる、請求項37〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記塩基性触媒が、C3-C15炭素原子を含み、且つ、A1、A2、及びA3がそれぞれ独立にC1-C10アルキル基やC5-C12芳香族基から選択される式N(A1)(A2)(A3){式中、A1、A2、及びA3が、酸素又は窒素をさらに含み得る。}によって表されるものである三級アミン塩基である、請求項37〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記A1及びA2がメチル基であり、そして、A3が、窒素又は酸素を含むC5-C12芳香族基である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記三級アミン塩基が、N-メチルモルホリン又はN,N-ジメチルアミノピリジンである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記Zが、シリル基である、請求項37〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記Zが、各Aが独立にC1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族基又はC5-C12芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル基である、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
前記Zが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリルから成る群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記シリル基が、tert-ブチルジメチルシリルである、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記のBOC無水物と、式(4a)によって表されるものの反応が、約5℃〜約50℃の温度にて維持される、請求項37〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記反応が、約2〜約10時間維持される、請求項37〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
以下の構造を有する式(7):
【化13】

によって表される化合物の製造方法であって、以下の構造を有する式(3):
【化14】

によって表されるプロキラル無水物を、以下の構造を有する式(3a):
【化15】

によって表されるキラル・アルコールを用いてエナンチオ選択的に開環することを含む、上記式中、R4がC1-C6アルキルであり、Arがフェニルであり、そして、Zが前述のとおりヒドロキシ保護基であるところの前記方法。
【請求項51】
前記化合物が、以下の立体化学:
【化16】

を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記の式(7)によって表される化合物が、約80%〜約98%の鏡像異性体純度で得られた、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
前記の得られた式(7)によって表される化合物が、約85%〜約90%の鏡像異性体純度で得られる、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項54】
前記塩基性触媒が、C3-C15炭素原子を含み、且つ、A1、A2、及びA3がそれぞれ独立にC1-C10アルキル基やC5-C12芳香族基から選択される式N(A1)(A2)(A3){式中、A1、A2、及びA3が、酸素又は窒素をさらに含み得る。}によって表されるものである三級アミン塩基である、請求項50〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記A1及びA2がメチル基であり、そして、A3が、窒素又は酸素を含むC5-C12芳香族基である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記三級アミン塩基が、N-メチルモルホリン又はN,N-ジメチルアミノピリジンである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記Zが、シリル基である、請求項51〜56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記Zが、各Aが独立にC1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族基又はC5-C12芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル基である、請求項51〜57のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項59】
前記Zが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリルから成る群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記シリル基が、tert-ブチルジメチルシリルである、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記溶媒が、C1-C4塩素化炭化水素である、請求項50〜60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記溶媒が、二塩化メチレンである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記反応を、約−20℃〜約−60℃の反応温度にて実施する、請求項50〜62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記フェニル基が、ヒドロキシ、カルボキシル、C1-C4アルキル、C6-C12アルコキシ、C6-C12アリール、C6-C12アリールアルキル、C6-C12シクロアルキル、及びアミノで置換されている、請求項51に記載の方法。
【請求項65】
以下の構造を有する式(8):
【化17】

によって表される化合物の製造方法であって、塩基性触媒の存在下、BOC無水物(ジ-tert-ブチル・ジカルボナート)と、以下の式(7a):
【化18】

によって表される化合物を結合させることを含む、上記式中、R4がC1-C6アルキル、例えば、メチル又はエチルであり、Arがフェニルであり;そして、Zがヒドロキシ保護基であるところの前記方法。
【請求項66】
前記化合物が、以下の構造:
【化19】

を有する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記の得られた式(7)によって表される化合物が、約80%〜約98%の鏡像異性体純度を有する、請求項65又は66に記載の方法。
【請求項68】
前記の得られた式(7)によって表される化合物が、約85%〜約90%の鏡像異性体純度を有する、請求項65〜67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記反応を、約5℃〜約50℃の温度にて実施する、請求項65〜68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記塩基性触媒が、C3-C15炭素原子を含み、且つ、A1、A2、及びA3がそれぞれ独立にC1-C10アルキル基やC5-C12芳香族基から選択される式N(A1)(A2)(A3){式中、A1、A2、及びA3が、酸素又は窒素をさらに含み得る。}によって表されるものである三級アミン塩基である、請求項65〜69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記A1及びA2がメチル基であり、そして、A3が、窒素又は酸素を含むC5-C12芳香族基である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記三級アミン塩基が、N-メチルモルホリン又はN,N-ジメチルアミノピリジンである、請求項65〜71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記Zが、シリル基である、請求項65〜72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記Zが、各Aが独立にC1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族基又はC5-C12芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル基である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記Zが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリルから成る群から選択される、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記シリル基が、tert-ブチルジメチルシリルである、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記フェニル基が、ヒドロキシ、カルボキシル、C1-C4アルキル、C6-C12アルコキシ、C6-C12アリール、C6-C12アリールアルキル、C6-C12シクロアルキル、及びアミノで置換されている、請求項65〜76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
以下の構造を有する式(6a):
【化20】

によって表される化合物の製造方法であって、以下の式(5a):
【化21】

によって表される化合物を選択的に加水分解することを含む、上記式中、Zが、前述のとおりヒドロキシ保護基であり、そして、R1が、C1-C6アルキルであり、好ましくはC1-C4基であるところの前記方法。
【請求項79】
前記化合物が、以下の立体化学:
【化22】

及び
【化23】

を有する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記の得られた式(7)によって表される化合物が、約80%〜約98%の鏡像異性体純度を有する、請求項78又は79に記載の方法。
【請求項81】
前記の得られた式(7)によって表される化合物が、約85%〜約90%の鏡像異性体純度を有する、請求項78〜80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記加水分解を、C1-C5アルコール中で実施する、請求項78〜81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記加水分解を、メチル、エチルアルコール、及びその混合物中で実施する、請求項78〜82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記加水分解を、約20℃〜約60℃の温度にて約2〜約12時間実施する、請求項78〜83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記塩基性触媒が、C3-C15炭素原子を含み、且つ、A1、A2、及びA3がそれぞれ独立にC1-C10アルキル基やC5-C12芳香族基から選択される式N(A1)(A2)(A3){式中、A1、A2、及びA3が、酸素又は窒素をさらに含み得る。}によって表されるものである三級アミン塩基である、請求項78〜84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記A1及びA2がメチル基であり、そして、A3が、窒素又は酸素を含むC5-C12芳香族基である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記三級アミン塩基が、N-メチルモルホリン又はN,N-ジメチルアミノピリジンである、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記Zが、シリル基である、請求項78〜87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記Zが、各Aが独立にC1-C6直鎖若しくは分岐脂肪族基又はC5-C12芳香族基から選択されるところの式Si(A)3によって表されるトリアルキルシリル基である、請求項88に記載の化合物。
【請求項90】
前記Zが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、及びジメチルフェニルシリルから成る群から選択される、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
前記シリル基が、tert-ブチルジメチルシリルである、請求項88に記載の方法。
【請求項92】
以下の構造を有する式(2a):
【化24】

によって表される化合物の製造方法であって、ジアルキルホスホネートのリチウム塩と、以下の式(9):
【化25】

によって表される化合物を結合させることを含む、上記式中、R3が、C1-C3アルキルオキシ、C5-C12アリールオキシ、置換されているC5-C12アリールオキシであり、そして、Zが、ヒドロキシ保護基であるところの前記方法。
【請求項93】
前記ジアルキルホスホネートが、C1-C5ジアルキルホスホネートである、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記反応を、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルt-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、又はその混合物中で実施する、請求項92又は93に記載の方法。
【請求項95】
前記反応を、メチルt-ブチルエーテル又はテトラヒドロフラン中で実施する、請求項92〜94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
請求項1〜96のいずれか1項により得られた化合物をスタチンに変換することをさらに含むスタチンの製造方法。
【請求項97】
前記スタチン化合物が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、及びピタバスタチンから成る群から選択され、好ましくはロスバスタチンである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
スタチン化合物の製造における請求項1〜92のいずれか1項に記載の化合物の使用方法であって、好ましくは、上記スタチン化合物が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、及びピタバスタチンから成る群から選択され、好ましくはロスバスタチンであるところの前記使用方法。

【公表番号】特表2009−531466(P2009−531466A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511271(P2009−511271)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/005034
【国際公開番号】WO2008/130638
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】