説明

ICカードを利用した入退構管理システム

【課題】警備員に対して目視確認以上の実質的な作業を付加せず、また、入構管理作業を遅延させることなく、入構許可証自体の有効性を確認することができる新規な入退構管理システムを提供すること。
【解決手段】入構管理は、入構用UHFリーダ/ライタにより退構車両単位で各搭乗者のID情報を読取って照合用IDデータベースと照合し、当該ID情報の存在するか否かを判定して、ICカードが有効ICカードである場合、所定期間経過後に、照合用IDデータベースから該当ID情報を削除する。更に、入構許可者全員のID情報が記録された登録用IDデータベースとを備え、退構管理は、退構用UHFリーダ/ライタにより、退構車両単位でICカードのID情報を読取り、登録用IDデータベースと照合して該当ID情報の存在を確認し、所定期間経過後に該照合用IDデータベースに該当ID情報を再登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードを利用した入退構管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な事業所、工場、発電所等においては、機密保持、安全確保等の観点から許可された者のみを構内に入場させる入構管理が行われている。また、自家用車等の車両を使って通勤する者が非常に多く、例えば、入構車両が数千台にのぼる場合、大量の車両をスムーズに入構させるため車両専用ゲートが設けられ入構管理が行われている。
【0003】
従来、事業所等への入構管理は、車両専用ゲートに配置された警備員が、入構車両を停止させ、搭乗者の所持する入構許可証を目視にて確認し、入構許可された者であるか否かを判断している。入構許可証は、所定の審査後に、氏名、所属部署、有効期限等が記載され、顔写真を印刷して発行される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような警備員による許可証の目視確認では、顔写真と入構許可証を所持する者とが同一人物であるか否かの確認は即時にできるものの、入構許可証自体の有効性確認、即ち、有効期限切れ入構許可証、偽造入構許可証(以下、「不正入構許可証」という。)については、警備員個人の力量に負うところがあり、これを完全に排除することは困難であった。
【0005】
入構管理と退構管理を比較すると、事業所等の内部に不審者(入構許可されていない者)を入れない観点から、入構管理は厳格に行う必要がある。
【0006】
更に、朝の入構時間には、特定の時間に入構車両が極端に集中する。このような多数の入構車両の流れを滞らせ、渋滞を発生させることは避けなければならない。従って、搭乗者全員の入構許可証を台帳等に照らし合わせて一々確認することはできない。
【0007】
自家用車等の車両を使って通勤する者の入退構管理において、現在の技術レベルでは、大量の車両をスムーズに入構させる際に、入構許可証に表示されている顔写真が入構許可証を所持する者と同一人であるか否かを機械的又は電子的に確認できる段階にないと思われる。従って、入構検査において、従来の警備員による入構許可証による目視確認作業はそのまま残るものの、警備員に対してこの目視確認以上の実質的な作業を付加せず、入構管理作業を遅延させることなく、入構許可証自体の有効性を確認することができるシステムの構築が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、警備員に対して目視確認以上の実質的な作業を付加せず、また、入構管理作業を遅延させることなく、入構許可証自体の有効性を確認することができる新規な入退構管理システムを提供することを目的とする。
【0009】
上記目的に鑑みて、本発明に係る入退構管理システムは、大規模な事業所等へ入構及び退構するための車両専用レーンに使用されるICカードを利用した入退構管理システムであって、入構車両の各搭乗者の所持するICカードに記録されたID情報を入構用UHFリーダ/ライタによって読取ってデータベースに記録するとき、読取りに失敗した場合に行う再読取りの時間の経過後に記録する手段を備えている。
【0010】
更に、上記入退構管理システムでは、退構車両の各搭乗者の所持するICカードに記録されたID情報を退構用UHFリーダ/ライタによって読取ってデータベースに記録するとき、該退構車両が入構用UHFリーダ/ライタ付近を通過した後に記録する手段を備えていてもよい。
【0011】
更に、本発明に係る入退構管理システムは、大規模な事業所等へ入構及び退構するための車両専用レーンに使用されるICカードを利用した入退構管理システムであって、入構車両の各搭乗者の所持するICカードに記録されたID情報を読取る入構用UHFリーダ/ライタと、前記入構用UHFリーダ/ライタに接続された入構管理コンピュータと、並設する退構レーンに設置され、前記ICカードに記録されたID情報を読取る退構用UHFリーダ/ライタと、前記退構用UHFリーダ/ライタに接続された退構管理コンピュータと、入構許可者全員のID情報が記録された照合用IDデータベースとを備え、入構管理は、前記入構用UHFリーダ/ライタにより、入構車両単位で各搭乗者の前記ICカードに記録されたID情報を読取って前記照合用IDデータベースと照合し、当該ID情報の存在するか否かを判定して、ICカードが照合用IDデータベースにID情報が存在する有効ICカードである場合、所定期間経過後に、前記照合用IDデータベースから該当ID情報を削除する。
【0012】
更に、上記入退構管理システムでは、前記所定期間は、警備員が所持する携帯端末による再読込みを実施するのに十分な時間であってよい。
【0013】
更に、上記入退構管理システムでは、更に、入構許可者全員のID情報が記録された登録用IDデータベースとを備え、退構管理は、前記退構用UHFリーダ/ライタにより、退構車両単位で各搭乗者の前記ICカードに記録されたID情報を読取り、前記登録用IDデータベースと照合して該ID情報の存在を確認し、所定期間経過後に、該照合用IDデータベースに該当ID情報を再登録してもよい。
【0014】
更に、上記入退構管理システムでは、前記所定期間は、退構車両が入構用UHFアンテナの感度の及ばない場所へ移動して誤受信が行われない状態になるまでの期間であってよい。
【0015】
更に、本発明に係る入退構管理システムは、大規模な事業所等へ入構及び退構するための車両専用レーンに使用されるICカードを利用した入退構管理システムであって、並走する複数のレーンに夫々配置され、車両搭乗者の所持するICカード情報を読取るUHFリーダ/ライタと、前記UHFリーダ/ライタに接続されたコンピュータとを備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、警備員に対して目視確認以上の実質的な作業を付加せず、また、入構管理作業を遅延させることなく、入構許可証自体の有効性を確認することができる新規なICカードを利用した入退構管理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るICカードを利用した入退構管理システムの実施形態を添付の図面を参照しながら詳細に説明する。ここで、図面中の同じ要素に対しては同じ符号を付して、重複した説明を省略する。
【0018】
[電子化の検討]
本発明者等は、入退構管理システムの入構許可証の有効性確認システムを構築するにあたり、従来の紙又はプラスチック製等の入構許可証の代わりに、ICカード,ICラベル等(以下、単に「ICカード」という。)の採用を検討した。ここで、ICカードを利用するのもとして、主として、周波数13.56MHzの近接型非接触ICを利用するものと、UHF帯(860〜960MHz)の非接触ICを利用するものが検討対象となった。
【0019】
13.56MHz非接触ICは、有効交信距離が10cm以下と非常に短い。このため、この入退管理システムに採用した場合、車両搭乗者全員がICカードをカードリーダ(ICカード読取り機)に近接させ、かざさなければ認識できない。次々に入構する数千台の車両に搭乗する者に、ICカードをカードリーダにかざすことを要求すると、直ちに入構車両又は退構車両の流れを滞らせ、渋滞を発生させることが容易に想定された。
【0020】
そこで、本発明者等は、有効交信距離が数メートルと比較的長い、UHF帯(860〜960MHz)の非接触ICを利用して、入退構管理システムを構築することとした。
【0021】
[第1の実施形態]
図2は、本実施形態に係るICカードを利用した入退構管理システムを説明する図である。理解を容易にするため、図1に示す現在の入退構管理状況と対比しながら、図2に示すICカードを利用した入退構管理システムを説明する。
【0022】
図1を全体的に見ると、事業所等の構外と構内との境界にはゲート5が設置されている。一般道路2から事業所等の構内に入るため2本の専用道路4-1,4-2が形成され、ゲート5を通過すると、構内の車両専用道路8-1,8-2へと夫々続いている。各専用道路及び構内の車両専用道路は、夫々2車線のため、説明の都合上、図で見て右から左へ車両レーン(A),(B),(C),(D)とする。
【0023】
ここでは、車両レーン(A),(B),(C)の3レーンを入構用レーンとして使用し、車両レーン(D)のみを退構用レーンとして使用している。
【0024】
入構時の状況を、車両レーン(A)を参照しながら説明する。入構希望者の車両6-1は、構外の一般道路2から専用道路4-1に侵入し、ゲート5を通過して構内に入り、車両専用道路8-1の車両レーン(A)を進み、停止線7で一旦停止する。ここで、車両6-1に搭乗する者(同乗者を含む。以下同じ。)は、警備員9-1に対して各々の入構許可証をウインドウ越しに提示し、入構許可の判断を得る。この入構許可証は紙又はプラスチック製等のカードであり、氏名、所属部署、有効期限等が記載され、顔写真が貼り付けられている。その後、入構許可された車両6-1は、車両専用道路8-1の車両レーン(A)を進み、事業所等内の駐車場(図示せず。)へと進む。車両レーン(B)及び(C)も同様である。
【0025】
退構時の状況を、車両レーン(D)を参照しながら説明する。退構希望者の車両6-2は、事業所等内の駐車場から車両専用道路8-2の車両レーン(D)を進み、ゲート5を通過し、専用道路4-2を通って一般道路2へ入る。現在は、このような状況で毎日数千台の入退構車両をスムーズに管理している。
【0026】
図2に示す本実施形態に係るICカードを利用した入退構管理システムは、現在の図1に示す入退構管理状況を大幅に変更することなく、スムーズに流れる数千台の入退構車両の流れを乱すことなく、入構許可証自体の有効性確認システムを付加したものである。
【0027】
図2に示すICカードを利用した入退構管理システムの入構用の機器配置について、車両レーン(A)を参照しながら説明する。専用道路4-1を進み、ゲート5を通過した先に、送信及び受信装置からなる赤外線センサ12-1,13-1が配置される。赤外線センサ12-1,13-1の先に、入構用UHFリーダ/ライタ14-1及びそのアンテナ14-1aが配置される。停止線7の近くに立つ警備員9-1の近くにモニタ18-1が配置されている。警備員9-1は、入構用UHFリーダ/ライタと同じ機能をもつ携帯端末19(図3参照)を所持し、イヤホン17(図3参照)を装着している。これら赤外線センサ12-1,13-1、入構用UHFリーダ/ライタ14-1、モニタ18-1、イヤホン17及び携帯端末19は、入構管理パーソナルコンピュータ(入構管理PC)20-1と有線又は無線で接続されている。車両専用道路8-1の先には、構内駐車場(図示せず。)がある。車両レーン(B),(C)も同様の機器が配置されている。
【0028】
一方、ICカードを利用した入退構管理システムの退構用の機器配置について、車両レーン(D)を参照しながら説明する。構内駐車場から車両専用道路8-2を進むと、送信及び受信装置からなる赤外線センサ12-2,13-2、UHFリーダ/ライタ14-2及びそのアンテナ14-2aが配置されている。警備員9-2の近くにモニタ18-2が配置されている。これら赤外線センサ12-2,13-2、UHFリーダ/ライタ14-2及びモニタ18-2は、退構管理パーソナルコンピュータ(退構管理PC)20-2と有線又は無線で接続されている。
【0029】
図3は、本実施形態に係るICカードを利用した入退構管理システム構成のブロック図である。図2及び図3を参照しながら、ICカードを利用した入退構管理システム構成を説明する。
【0030】
入退構管理システムの入構管理部分は、走行レーン(A)に関連して、入構車両6-1の通過を検出する赤外線センサ12-1,13-1と、各入構車両6-1の搭乗者の所持するICカード11と通信するUHFリーダ/ライタ14-1及びそのアンテナ14-1aを備える。更に、各警備員9-1に装着され、入構管理PC20-1からの音声データを発音するイヤホン17と、入構管理PC20-1からの画像データを表示するモニタ18-1と、UHFリーダ/ライタ機能を有する携帯端末19とを備える。走行レーン(B),(C)に関しても同様である。
【0031】
更に、入退構管理システムは、走行レーン(A),(B),(C)に設置された各UHFリーダ/ライタ14-1並びに前述したイヤホン17,モニタ18-1及び携帯端末19と有線又は無線で接続された入構管理PC20-1を備える。
【0032】
入退構管理システムの退構管理部分は、走行レーン(D)に関連して、退構車両6-2の通過を検出する赤外線センサ12-2,13-2と、各退構車両6-2の搭乗者の所持するICカード11と通信するUHFリーダ/ライタ14-2及びそのアンテナ14-2aと、このUHFリーダ/ライタ14-2に接続された退構管理パーソナルコンピュータ(退構管理PC)20-2と、退構管理PC20-2からの映像データを表示するモニタ18-2とを備える。
【0033】
更に、このICカードを利用した入退構管理システムは、サーバシステム24を備える。サーバシステム24は、車両専用レーン付近に設置され、入構管理PC20-1及び退構管理PC20-2に夫々接続されたPC用サーバ26と、事務本館に設置され、PC用サーバ26及び退構管理PC20-2に夫々接続されたサイトサーバ28とを備える。PC用サーバ26は照合用IDデータベースを有し、サイトサーバ28は登録用IDデータベースを有する。
【0034】
各構成要素について説明する。赤外線センサ12-1,13-1及び12-2,13-2は、車両の通過を検出する装置であり、他の電磁波を利用した車両検出装置でもよい。また、赤外線センサ12-1,13-1及び12-2,13-2は、送信及び受信装置を備え赤外線を遮断した時を検出する装置であるが、放射赤外線の反射波を検出する一体型装置であってもよい。
【0035】
UHFリーダ/ライタ14-1及び14-2は、各々、UHF帯電波をアンテナ14-1a,14-2aから発射して、各車両搭乗者(同乗者を含む。)の所持するICカード11と通信して、情報を読取り及び書き込みを繰り返し行う装置である。ICカード11には、顔写真が表示され、埋め込まれたICチップにはカード所有者のID情報が記録されている。
【0036】
UHFリーダ/ライタ14-1は、赤外線センサ12-1,13-1が入構車両6-1の通過を検出している期間だけ、車両搭乗者の各ICカード11と交信してID情報を読取るように制御されている。UHFリーダ/ライタ14-2は、赤外線センサ12-2,13-2が退構車両6-2の通過を検出している期間だけ、車両搭乗者の各ICカード11と交信してID情報を読取るように制御されている。
【0037】
入構管理PC20-1及び退構管理PC20-2は、各々、制御を実行するCPU、作業領域のRAM,入退構管理プログラム等を記録したROM等を有する通常のパーソナルコンピュータでよい。
【0038】
サーバシステム24を構成するサイトサーバ28は、事務本館に設置され、その事業所に入構を許可された全員のID情報である登録用IDデータベースを有する。サイトサーバ28の登録用IDデータベースは、随時最新データに更新されている。
【0039】
PC用サーバ26は、車両専用レーン付近に設置され、入構管理PC20-1及び退構管理PC20-2からのID情報照合のための照合用IDデータベースを有する。PC用サーバ26を車両専用レーン付近に設置しているのは、UHFリーダ/ライタ14-1又は14-2で読取ったID情報を極めて短時間で処理するために、照合プロセスを単純化し、また伝送距離を短くするためである。
【0040】
この入退構管理システムは、入退構のデータ処理を次のように行っている。データ処理を単純化して、処理の迅速化を図るためである。
【0041】
(1)最初に、その事業所に入構を許可された者全員のID情報を、照合用IDデータベース26と登録用IDデータベース28とに記録する。
【0042】
(2)「入構処理」は、入構しようとする者のICカードのID情報が照合用IDデータベース26に存在すること(有効ICカード)を確認し、該ID情報を照合用IDデータベース26から削除することにより行う。
【0043】
(3)「退構管理」は、退構しようとする者のICカードのID情報が登録用IDデータベース28に存在することを確認し、該ID情報を照合用IDデータベース26に再登録することにより行う。
【0044】
なお、上述の入退構管理システムは、入構においては有効ICカードのID情報を照合用IDデータベースから削除するプロセスとしており、退構においては登録用データベースで確認されたID情報を照合用IDデータベースに再登録するプロセスとしている。しかし、入構においては、有効ICカードのID情報について照合用IDデータベースの該当ID情報に入構を示すフラグをたてるプロセスとし、退構においては、登録用データベースで確認されたID情報について、照合用IDデータベースの該当ID情報のフラグを削除するプロセスとしてもよい。
【0045】
ここで、第1実施形態に係る入退構管理システムの特徴は、図2に示す入構管理支援システムにおいて、退構時の車両6-2が退構管理処理を実施した後に、誤って入構管理処理を実施しないようにした点にある。
【0046】
上記電子化の検討のところで説明したように、本発明者等は、数千台の車両に搭乗する入構者を管理するため、有効交信距離が数メートルと比較的長い、UHF帯の非接触ICを利用して入構管理支援システムを構築することとした。
【0047】
しかし、実験を重ねてみると、有効交信距離が数メートルと比較的長いUHF帯の特徴が、隣接する走行レーンにある車両の搭乗者の所持するICカードも読んでしまうという欠点にもつながることが判明した。
【0048】
具体的には、走行レーン(A),(B),(C)が入構車両用に使用され、走行レーン(D)が退構車両用に使用されている。このとき、走行レーン(D)使って帰宅する退構車両6-2の搭乗者ICカード11は、走行レーン(D)に設置された退構用UHFリーダ/ライタ14-2により読取られる。その後、退構車両6-2が走行レーン(D)を進んだとき、隣接する走行レーン(C)で入構車両6-1を処理中の入構用UHFリーダ/ライタ14-1によっても誤って読取られる現象が発生した。
【0049】
退構用UHFリーダ/ライタ14-2で読取られると、退構処理が行われるため、そのID情報が登録用IDデータベース28に存在することを確認して照合用IDデータベース26に再登録する。その直後に、入構用UHFリーダ/ライタ14-1で読取られると、入構処理が行われるため、ID情報を照合用IDデータベース26から削除してしまう。即ち、そのID情報を持つ者は、退構しているにも拘わらず、入構処理がなされることになる。その結果、翌日の入構時に入構処理ができなくなるといった問題があった。
【0050】
そこで、退構車両6-1の退構管理は、退構が確認された者のID情報が登録用IDデータベース28に存在することを確認した後、所定期間経過後(例えば、数分間経過後)に、照合用IDデータベース26に再登録することにより行うこととした。
【0051】
図4は、第1の実施形態に係る入退構管理システムの運用を説明するフローである。
【0052】
ステップS20で、赤外線センサ12-2,13-2により、退構車両6-2を確認する。退構車両6-2が確認されるとステップS21に進む。
【0053】
ステップS21で、退構車両6-2の搭乗者のID情報が、退構用UHFリーダ/ライタ14-2で読取られる。
【0054】
ステップS22で、「退構処理」のため、読取ったID情報をPC用サーバ26の登録用IDデータベース28と照合する。
【0055】
ステップS23で、読取ったID情報が登録用IDデータベース28に有るか否かが判定される。ID情報が有ればステップS24に進む。ID情報が無ければステップS20に進む。
【0056】
ステップS24で、所定期間(例えば、数分間)が経過したか判断される。所定期間経過後にステップS25に進む。
【0057】
ステップS25で、退構者のIDカード情報が照合用IDデータベース26に再登録される。
【0058】
これにより、たとえ退構レーン(D)を進む退構車両6-2の搭乗者ICカード11を入構用UHFリーダ/ライタ14-1が誤って読んだとしても、ステップS24で説明した所定期間が経過していないので読取られたカードのID情報が照合用データベースに再登録されていないため、当該ID情報は照合用データベースにおいて照合されず、「入構処理」が完了することはない。照合用IDデータベースへのID情報の再登録は、退構車両6-2が入構用UHFリーダ/ライタ14-2付近を通過した後に行われるからである。
【0059】
第1実施形態における所定期間とは、退構車両6-2が入構用UHFアンテナ14-1aの感度の及ばないところへ移動し、あるいは入構車両6-1が退構用UHFアンテナ14-2aの感度の及ばないところへ移動することで、誤受信が行われない状態になるまでの期間である。具体的には、この所定期間は数分間で充分である。
【0060】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る入退構管理システムの特徴は、入構管理システムにおいて、入構用UHFリーダ/ライタ14-1によって読取った有効ICカード枚数と、警備員が目視検査により認識した搭乗者人数とが不一致の場合、警備員9-1が携帯端末19で全員のICカード11を再読取りするための時間を確保する手段を備えた点にある。
【0061】
図5A及び図5Bは、第2実施形態に係る入退構管理システムの運用を説明するフローである。ここで、図5Aは、入構用UHFリーダ/ライタ14-1によって読取った有効ICカード枚数を決定するフローであり、図5Bは、その後の処理のフローを示す。
【0062】
図5Aに示すステップS30で、赤外線センサ12-1,13-1により、入構車両6-1が確認される。入構車両6-1が確認されるとステップS31に進む。
【0063】
ステップS31で、入構車両6-1の搭乗者のID情報が、入構用UHFリーダ/ライタ14-1で読取られる。
【0064】
ステップS32で、「入構処理」のため、読取ったID情報をPC用サーバ26の照合用IDデータベース26と照合する。
【0065】
ステップS33で、当該ID情報の存在するか否かの判定結果により、有効ICカードの枚数が決定される。
【0066】
ステップS34において、この有効ICカード枚数が、警備員9-1に対してイヤホン17を通じて音声で通知される。同時に、モニタ18-1にも画像表示される。
【0067】
ステップS35で、それまでに積算した有効ICカードの総数が0にリセットされ、ステップS30に戻る。
【0068】
図5Bに示すステップS40で、警備員9-1は有効カード枚数の通知を受ける。
【0069】
ステップS41で、警備員9-1により車両搭乗者の人数の確認の目視検査が行われる。なお、同時にICカードとその所持者が同一人物であることの確認作業も行われる。
【0070】
ステップS42で、有効ICカード枚数と車両搭乗者の人数が一致しているか否か判定される。一致していればステップS45に進み、不一致ならステップS43に進む。
【0071】
ステップS42で有効ICカード枚数と車両搭乗者の人数が不一致の場合、ステップS43に進み、警備員9-1が所持する携帯端末19により、搭乗者全員のICカード11を再読込みして夫々のID情報が取得される。
【0072】
ステップS44で、各人別に携帯端末19で再読込されたID情報は、照合用IDデータベース26と照合され有効なICカードであるか否かが判定され、有効なICカードであることが確認できればステップS45に進み、無効のICカードであればステップS48に進む。
【0073】
ステップS45で、所定期間(例えば、数分間)が経過したか判断される。所定期間経過後にステップS46に進む。
【0074】
ステップS46で、入構許可者と判定されたID情報は、照合用IDデータベース26から削除される。
【0075】
ステップS47で、入構車両6-1の搭乗者全員のICカードが有効ICカードであると確認されたことにより、該当車両の入構が許可される。
【0076】
ステップS48で、無効ICカード所持者は入構不許可とされ、必要に応じて別途入構手続きを行う。
【0077】
第3の実施形態における所定期間とは、有効ICカード枚数と搭乗者人数が不一致であることを警備員9-1が察知し、携帯端末19による再読込みを実施するのに十分な時間に設定することが好ましい。具体的には、この所定期間は数分間で十分である。
【0078】
[実施形態の利点・効果]
(1)入構管理を、入構が確認された者のID情報が照合用IDデータベース26に存在することを確認してID情報を削除することにより行うことで、処理の単純化・迅速化が図れる。
【0079】
(2)所定期間経過後に照合用IDデータベース26からID情報を削除することで、有効ICカード枚数と搭乗者人数が不一致である場合に警備員9-1の携帯端末19による再読込みを実施するのに十分な時間が確保される。
【0080】
(3)退構管理を、退構が確認された者のID情報が登録用IDデータベース28に存在することを確認し、照合用IDデータベース26に再登録することにより行うことで、処理の単純化・迅速化が図れる。
【0081】
(4)所定期間経過後に照合用IDデータベース26にID情報を再登録することで、直後に入構用UHFリーダ/ライタ14-1による誤読取りを防止できる。
【0082】
[その他]
以上、本発明に係るICカードを利用した入構管理システムの実施形態について説明したが、これらは例示であって、本発明はこれら実施形態に限定されない。実施形態に対して当業者が容易になしえる追加・削除・変更・改良等は、本発明の範囲に含まれる。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、現在の入退管理状況を説明する図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るICカードを利用した入退構管理システムを説明する図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るICカードを利用した入退構管理システムのブロック図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る入退構管理システムの運用を説明するフローである。
【図5A】図5Aは、図5Bと共に第2実施形態に係る入退構管理システムの運用を説明するフローである。
【図5B】図5Bは、図5Aと共に第2実施形態に係る入退構管理システムの運用を説明するフローである。
【符号の説明】
【0084】
4-1,4-2:専用道路、 5:ゲート、 6-1:入構車両、 6-2:退構車両、 7:停止線、 8-1,8-2:車両専用道路、 9-1,9-2:警備員、 11:ICカード、 14-1:入構用UHFリーダ/ライタ(R/W)、 14-1a:アンテナ、 14-2:退構用UHFリーダ/ライタ(R/W)、 14-2a:アンテナ、 17:イヤホン、 18-1,18-1:モニタ、 19-1,19-2:モニタ、 20-1:入構管理パーソナルコンピュータ,入構管理PC、 20-2:退構管理パーソナルコンピュータ,退構管理PC、 12-1,13-1,12-2,13-2:赤外線センサ、 26:PC用サーバ、 28:サイトサーバ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大規模な事業所等へ入構及び退構するための車両専用レーンに使用されるICカードを利用した入退構管理システムにおいて、
入構車両の各搭乗者の所持するICカードに記録されたID情報を入構用UHFリーダ/ライタ(R/W)によって読取ってデータベースに記録するとき、読取りに失敗した場合に行う再読取りの時間の経過後に記録する手段を備えた、入退構管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のICカードを利用した入退構管理システムにおいて、
退構車両の各搭乗者の所持するICカードに記録されたID情報を退構用UHFリーダ/ライタによって読取ってデータベースに記録するとき、該退構車両が入構用UHFリーダ/ライタ付近を通過した後に記録する手段を備えた、入退構管理システム。
【請求項3】
大規模な事業所等へ入構及び退構するための車両専用レーンに使用されるICカードを利用した入退構管理システムにおいて、
入構車両の各搭乗者の所持するICカードに記録されたID情報を読取る入構用UHFリーダ/ライタと、
前記入構用UHFリーダ/ライタに接続された入構管理コンピュータと、
並設する退構レーンに設置され、前記ICカードに記録されたID情報を読取る退構用UHFリーダ/ライタと、
前記退構用UHFリーダ/ライタに接続された退構管理コンピュータと、
入構許可者全員のID情報が記録された照合用IDデータベースとを備え、
入構管理は、前記入構用UHFリーダ/ライタにより、入構車両単位で各搭乗者の前記ICカードに記録されたID情報を読取って前記照合用IDデータベースと照合し、当該ID情報の存在するか否かを判定して、ICカードが照合用IDデータベースにID情報が存在する有効ICカードである場合、所定期間経過後に、前記照合用IDデータベースから該当ID情報を削除する、入退構管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の入退構管理システムにおいて、
前記所定期間は、警備員が所持する携帯端末による再読込みを実施するのに十分な時間である、入退構管理システム。
【請求項5】
請求項3に記載のICカードを利用した入退構管理システムにおいて、更に、
入構許可者全員のID情報が記録された登録用IDデータベースとを備え、
退構管理は、前記退構用UHFリーダ/ライタにより、退構車両単位で各搭乗者の前記ICカードに記録されたID情報を読取り、前記登録用IDデータベースと照合して該ID情報の存在を確認し、所定期間経過後に、該照合用IDデータベースに該当ID情報を再登録する、入退構管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の入退構管理システムにおいて、
前記所定期間は、退構車両が入構用UHFアンテナの感度の及ばない場所へ移動して誤受信が行われない状態になるまでの期間である、入退構管理システム。
【請求項7】
大規模な事業所等へ入構及び退構するための車両専用レーンに使用されるICカードを利用した入退構管理システムにおいて、
並走する複数のレーンに夫々配置され、車両搭乗者の所持するICカード情報を読取るUHFリーダ/ライタと、
前記UHFリーダ/ライタに接続されたコンピュータとを備えた、入退構管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate


【公開番号】特開2008−276444(P2008−276444A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118228(P2007−118228)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】