説明

ICカード及びその製造方法

【課題】外観不良や貼り付きを生じにくいICカードを得る。
【解決手段】ICモジュールと、ICモジュールを収容するための収容部を備えたカード基材と収容部とICモジュールのとの間に適用された接着剤を具備するICカードにおいて、接着剤は、接着シートであり、接着シートは、その少なくとも一部がICモジュールの外周よりも内側に配置されているか、あるいは収容部は、その一部にさらに溝を有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器とデータの読み書きが可能なICチップを内蔵した接触型ICカード、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、大きく分けてICモジュール及びカード基材により構成されている。
【0003】
ICモジュールは、通常、以下のように構成されている。
【0004】
基板の一方の表面に外部機器と接続可能な外部接続端子を有し、その他方の表面にIC実装部をもつ。
【0005】
IC実装部は、実装されたICの周囲で、ICと外部接続端子の接続を可能とするよう、外部接続端子下方の基板に貫通穴をあけることでIC実装部側より外部接続端子に接続を行った基板上に設けられており、上記基板上に実装されたICと、上記ICと外部接続端子を電気的に接続する結線部材と、さらに、IC実装部は、実装されたIC及び結線部材を外圧から保護するようIC及び結線部材周囲を覆う被覆樹脂とを有する。
【0006】
カード基材は、上記ICモジュールの外部端子表面がカード基材の表面とほぼ面位置になり、最終的にカード表面に露出するように、ICモジュールを収納可能する収容部を有する。この収容部は、カード基材の一部が、収容すべきIC実装部とこれを実装した基板の形状に応じた凹形状に座ぐられた構造をもつ(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ICモジュールがカード基材の凹部に収納されICカードとして構成されている。
【0008】
ICモジュールの収容部への収納は接着剤による接着により行われる。
【0009】
上記接着剤は接着シートとして構成されており、層間紙の片側にはICモジュール側と接着する基板側接着剤と、その逆側にカード側と接着するカード基材側接着剤を有する構造となっている。
【0010】
上記凹部はICモジュールの外形寸法に対し若干(例えば0.2mm程度)大きく設けられる。もし、凹部寸法がICモジュールより小さいならば、ICモジュールはもちろん収納不可能となりICカードの表面からICモジュールが突出してしまう。逆にあまり大きく凹部を設けると外観上見苦しくなってしまう。
【0011】
また、ICモジュールをカード基材の凹部に実装するとき、ICモジュールに取り付けられた接着剤にてICカードと固定することが必要となる。上記接着剤としては例えば熱硬化型が設けられる。上記接着剤はIC実装部と収容部との間に適用され、そこで接着剤硬化のため圧力と熱をかけられ、接着剤が上記熱と圧力により押しつぶされることとなる。このとき、例えば接着シートとICモジュールの外形と同一サイズであると、接着剤がICモジュール外形からカード表面にはみ出すことがある。例えばカード基材凹部がICモジュールの外形寸法に対し例えば0.2mm程度大きい場合上記はみだしが0.2mm以下であった場合特に問題はないが、実際にICモジュールがカード基材凹部に対しまっすぐに実装されることは困難なため例えば曲がったりして実装される場合がある。その場合、カード基材凹部とICモジュールの外形隙間が不足してしまう。その結果、はみ出した接着剤は逃げ場を失いカード表面に出ることとなる。
【0012】
カード表面に接着剤がはみ出ると、外観が見苦しいだけでなく、重ねて保管すると隣接するICカードに貼り付き、ICカードを機械にて一枚ずつ取り出すことが出来なくなってエラーが発生することがあった。貼り付きによる発行不良が例えば最終ユーサ゛ーの操作により発行される無人端末機で起こると、保守員コールが必要となり、ユーザーのICカード受け取りに時間がかかっていた。
【特許文献1】特開2004−92539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、外観不良や貼り付きを生じにくいICカードを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のICカードは、
基板、該基板の一主面上に設けられた外部接続端子、該基板の他方の主面上に設けられたIC実装部を有するICモジュールと、ICモジュールを外部接続端子を表面に露出させるように収容するため、基板の他方の主面とIC実装部の形状に相応した形状の側壁及び底面を持つ収容部を備えたカード基材と、IC実装部に適用された接着剤を具備するICカードであって、
前記接着剤は、接着シートであり、接着シートは、その少なくとも一部が該ICモジュールの外周よりも内側に配置されているか、あるいは前記収容部は、その一部にさらに溝を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のICカードの製造方法は、基板の一主面上に外部接続端子を設け、該基板の他方の主面上にIC実装部を設けてICモジュールを形成し、ICモジュールを外部接続端子を表面に露出させるように収容するため、基板の他方の主面とIC実装部の形状に相応した形状の側壁及び底面を持つ収容部を備えたカード基材を用意し、IC実装部の及び収容部間に接着剤を適用して接着に供するICカードの製造方法であって、
接着剤として、ICモジュール及び収容部間に、接着シートを、その少なくとも一部を該ICモジュールの外周よりも内側に配置するか、あるいはその一部にさらに溝を有する収容部を備えたカード基材を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ICモジュールと収容部の間からカード表面に接着剤がはみ出しにくい設計を行うことにより、外観不良や貼り付きを生じにくいICカードを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、下記4つの観点に係る発明に大別される。
【0018】
第1の観点及び第2の観点に係る発明は、ICモジュールと、ICモジュールを収容するための収容部を備えたカード基材と収容部とICモジュールのとの間に適用された接着剤を具備するICカードを提供する。
【0019】
本願発明に用いられるICモジュールは、ICモジュール用の基板と、基板の一主面上に設けられた外部接続端子と、基板の他方の主面上に設けられたIC実装部とを有する。
【0020】
本願発明に用いられるカード基材は、外部接続端子を表面に露出させるように収容するため、基板の他方の主面とIC実装部の形状に相応した形状の側壁及び底面を持つ収容部を備える。
【0021】
第1の観点に係る発明は、使用される接着剤が、接着シートであり、接着シートは、その少なくとも一部がICモジュールの外周よりも内側に配置されていることを特徴とする。
【0022】
また、第2の観点に係る発明は、使用されるカード基材が、その収容部の一部にさらに溝を有することを特徴とする。
【0023】
第3の観点及び第4の観点に係る発明は、各々第1の観点に係るICカード、第2の観点に係るICカードを製造するための方法であって、基板の一主面上に外部接続端子を設け、基板の他方の主面上にIC実装部を設けてICモジュールを形成する工程、ICモジュールを収容するための収容部を備えたカード基材を用意し、ICモジュール及び収容部間に接着剤を適用して接着に供する工程を含む。
【0024】
第3の観点に係る発明は、使用される接着剤が、接着シートであり、接着シートは、その少なくとも一部がICモジュールの外周よりも内側に配置されることを特徴とする。
【0025】
また、第4の観点に係る発明は、使用されるカード基材が、その収容部の一部にさらに溝を有することを特徴とする。
【0026】
第1及び第3の観点に係る発明によれば、接着シートの少なくとも一部がICモジュールの外周よりも内側に配置されていることにより、ICモジュールと収容部との間に接着シートが配置されないスペースが生じる。接着シートが、例えば熱硬化性樹脂等からなり、接着のために加熱溶融された状態で圧力をかけられても、溶融された接着剤は、このスペースに逃げるので、IC実装部と収容部の隙間に収まり、カード表面にははみ出しにくい。このため、第1及び第3の観点に係る発明を用いると、外観不良や貼り付きを生じにくいICカードを得ることができる。
【0027】
第2及び第4の観点に係る発明によれば、収容部が、その一部に溝をさらに有することにより、ICモジュールと溝のある収容部との間には、ICモジュールと溝のない収容部との間よりも、さらに十分なスペースが生じる。接着剤が、例えば熱硬化性樹脂等からなり、接着のために加熱溶融された状態で圧力をかけられても、溶融された接着剤は、このスペースに逃げるので、ICモジュールと収容部と収容部の隙間に収まり、カード表面にはみ出しにくい。このため、第2及び第4の観点に係る発明を用いると、外観不良や貼り付きを生じにくいICカードを得ることができる。
【0028】
以下、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明にかかるICカードの一例を表す正面図を示す。
【0030】
図示するように、このICカード100は、カード基材101と、カード基材101の表面の一部に収容され、表面に露出した外部接続端子1を含むICモジュール102とを有する。
【0031】
図2及び図3は、本発明に使用されるICモジュールの一例の製造工程を表す図を示す。
【0032】
図示するように、まず、貫通穴8が形成された、例えばガラスエポキシ等の材料からからなるICモジュール用基板2を用意する。基板2の一主面において、貫通穴8が形成された領域内の端子4は上記ガラスエポキシ上に金メッキ等を施すことで外部端子1を設ける。つづいて、外部接続端子1が設けられた基板2の他の主面の外部接続端子1と対向する位置に、矩形のIC3を接着剤25を介して接着することにより実装する。その後、IC3と外部接続端子1とを例えば等の結線部材5を用いて電気的に接続し、最後にIC3と結線部材5を外圧から保護するよう、例えばエポキシ樹脂等の樹脂6で覆う。このようにして、ICモジュール用基板2の一主面に外部接続端子1、他の主面にIC実装部9を各々設けたICモジュール102が得られる。他の主面側は、矩形で凸状のIC実装部9の樹脂部分の周囲に矩形のつば部7が広がった形状を有する。
【0033】
図4は、本発明に用いられるカード基材の一例を表す正面図を示す。
【0034】
図5は、図4のC−C断面図を示す。
【0035】
図示するように、カード基材101は、その表面の一部にIC実装部9及びこれを搭載したICモジュール用基板2を収容し得るほぼ矩形状の収容部10を有する。収容部10は、カード基材101がICモジュール用基板のつば部7に相当する部分の凹部10aと樹脂部に相当する部分の凹部10bの2段構造に座ぐられた形状を有する。凹部10aは、側壁11aと底面12aを有し、凹部10bは、側壁11bと底面12bを有する。10cは、収容部10の外周を表す。
【0036】
カード基材101の収容部の一部にさらに溝を設けることができる。
【0037】
第1及び第3の観点に係る発明には、収容部の一部にさらに溝を設けたカード基材、及び収容部に溝を設けていないカード基材のいずれも使用できる。
【0038】
第2及び第4の観点に係る発明には、収容部の一部にさらに溝を設けたカード基材を使用する。
【0039】
図6は、カード基材の収容部にICモジュールが収められた様子を表す概略的な断面図を示す。
【0040】
図示するように、カード基材101の2段構造に座ぐられた形状を有する収容部10には、ICモジュール102が図示しない接着剤により固定して収容される。ICモジュール用基板のつば部7に相当する部分は凹部10aに収まり、IC実装部9の樹脂部は凹部10bに収まっている。ICモジュール102の外部端子1の表面は、カード基材101の表面とほぼ面位置になるように配置される。
【0041】
図7は、本発明に用いられるテープ状基板の一例を表す正面図を示す。
【0042】
図示するように、このテープ状基板21には、本発明に用いられるICモジュール用基板2が所定の間隔で規則正しく配列している。
【0043】
ICモジュールの基板の製造工程では、製造時の生産の効率化を図るため、上述のような構成の例えば50mの長さのテープ状基板21を使用し、取り扱いの便宜上ロール状にまかれた状態で取り扱うことができる。その端から序所に引き出しつつ順次ICカードの製造工程を踏みICモジュール102として完成される。
【0044】
さらに、各ICモジュール用基板2の一主面上には、各々、外部接続端子1が設けられている。
【0045】
図8は、図7の反対側の面を表す図を示す。
【0046】
ICモジュール用基板2のもう一方の主面には、外部接続端子1が設けられた面の反対側の表面に貫通穴8が設られる。各ICモジュール用基板2に相当する部分には、各々IC実装領域20が設けられている。
【0047】
図9に、領域Dを拡大した図を示す。
【0048】
図示するように、貫通穴8を設けることにより、外部接続端子をICと接続するための接続端子4が露出される。
【0049】
このテープ状基板21を用いて、ICモジュールを形成することが出来る。
【0050】
まず、各IC実装領域20に接着剤25例えば熱硬化型接着剤を塗布する。
【0051】
次に、上記IC実装領域20にIC3を実装する。
【0052】
その後、例えば加熱することにより、接着剤を硬化させてIC3を基板に固定する。
【0053】
IC3から基板に設けられた接続端子4へ電気的に接続可能なよう結線部材5で接続する。
【0054】
IC3と上記結線部材5を樹脂6で覆い固める。
【0055】
以上にて、テープ状基板21に、複数のICモジュールを構成するIC実装済テープ15が完成される。
【0056】
図10に、IC実装済テープを表す正面図を示す。
【0057】
図示するように、IC実装領域20にIC3が実装され、その表面に樹脂がモールドされて、IC実装部9が形成されている。
【0058】
次に、ICモジュール102をカード基材101に実装する工程について説明する。
【0059】
図11に、本発明のICカードの製造工程の一例を表す図を示す。
【0060】
IC実装済テープ15の樹脂6側に接着シート30aを貼る。
【0061】
図12に、本発明に使用されるテープ状基板の構成を表す断面図を示す。
【0062】
接着シート30aは、基板側接着剤31―層間紙32―カード基材側接着剤33―剥離紙34の4層構成を有し、基板側接着剤31側から芯40(図示せず)に巻きつけられロール状として構成されており、テープ状基板21と同様格段に長い(例えば50m)帯状接着シート30としてロール状にて構成されている。
【0063】
ここで、図示しない芯に巻きつけられた接着シート30は芯への一周目は基板側接着剤31が貼り付けられ芯から基板側接着剤31がはがれにくくなっているが、2周目以降は基板側接着剤31は剥離紙34に貼りつけられる構成となり、上記剥離紙34は例えばシリコン系で構成されており、基板側接着剤31が比較的はがれ易い構成となっている。
【0064】
したがって、接着シート30を端から引き出すことにより上記4層構造が引き出されることとなる。
【0065】
このように引き出された帯状接着シート30の基板側接着剤31がIC実装済テープ15のIC側に貼りつけられる。
【0066】
図13に、本発明に使用される帯状接着シートの一例を表す正面図を示す。
【0067】
また、図14に、IC実装部上に適用された接着シートを表す図を示す。
【0068】
IC実装済テープ15のIC側では、樹脂6部が突出しているためこの樹脂6部を逃げるような形状にて抜き部35を有する帯状接着シート30として構成され、帯状接着シート30の基板側接着剤31がIC実装済テープ15の樹脂6側に帯状接着シート30が貼り付けられる。
【0069】
上述帯状接着シート30の基板側接着剤31およびカード基材側接着剤33は例えば熱硬化型接着剤が用いられる。
【0070】
上述のごとくIC実装済テープ15に配置された帯状接着シート30は、熱を加えられ、一体化された構成となるが、ここでは十分な熱を加えずテープ状基板21に仮に固定された状態程度に一体化される。すなわちここで十分な熱を加えるとカード基材側接着剤33側も硬化してしまい、後工程にてカード基材側接着剤33側をカード基材101に固定することが困難となってしまう。
【0071】
次に、上記複数個のICモジュール102を有するIC実装済テープ15から順次剥離紙34を取り除き、さらにICモジュール102をひとつずつICモジュール102として外形を抜き接着シート30a付きICモジュール102を取り出す。
【0072】
この方法によると、IC実装済テープ15のIC3実装側の平面部16にほぼ全体的に帯状接着シート30を貼り付けた後、IC実装済テープ15と一緒に外形を抜くため、接着シート30aの外形とICモジュール102の外周の輪郭形状はほぼ同一となる。
【0073】
この接着シートの外形の一部は、ICモジュールの外周の輪郭形状よりも小さくすることができる。
【0074】
続いて、接着シート30a付きICモジュール102を、カード基材101の凹部10に収納する。
【0075】
その後上記カード基材Kの凹部10に収納したICモジュール102に熱を加えることで上記仮接着した基板側接着剤31とICモジュール102に設けられたツバ7部との本接着による固定、さらにカード基材側接着剤33とカード基材101の凹部10の本接着による固定を行うことによりICカード100が得られる。
【0076】
図15に、本発明に用いられる帯状接着シートの他の一例を表す図を示す。
【0077】
図16は、接着シートを備えたICモジュールを表す図。
【0078】
図17は、帯状接着シートを、複数のICモジュールを構成するIC実装済テープ15上に位置合わせして貼り付けた様子を表す図を示す。
【0079】
なお、図16は、図17に示す帯状接着シートを、ICモジュールをひとつずつ外形抜きを行った図を示している。
【0080】
図示するように、接着シート301を貼り付け後、個々のICモジュール102の形状に抜いた後、ICモジュールIの外形102aよりも接着シート301の外形の少なくとも一箇所が内側にある。
【0081】
そのために、帯状接着シート301にスリット302を設ける。上記スリット302の形状は、接着シート301の外形は少なくとも一箇所は内側になるようなパターンで設ける。例えばICモジュール102の外形の4角及びその近傍を切り欠くように設けることが出来る。あるいは、例えばICモジュール102の外形の4辺の中央部及びその近傍を切り欠くように設けることも可能である。
【0082】
スリット302に該当する部分は、ICモジュール102形状に応じて外形を抜いた時点でスリット形状ではなくスペース302aとなる。
【0083】
第1及び第3の観点に係る発明では、接着シートの外形の一部を、ICモジュールの外周の輪郭形状よりも小さくする。このため、図15ないし図17に示す帯状接着シートが使用される。
【0084】
第2及び第4の観点に係る発明では、接着シートの外形とICモジュール102の外周の輪郭形状がほぼ同一でも、接着シートの外形の一部がICモジュールの外周の輪郭形状よりも小さくても良い。このため、図13及び14に示す帯状接着シート、及び図15及び図16に示す帯状接着シートのいずれでも使用できる。
【0085】
図18は、本発明に係るICカードの効果を説明するための図を示す。
【0086】
ICモジュール102がカード基材101の凹部10に実装されたときに仮に斜めに実装された場合、ICモジュール102がカード基材Kの凹部10に対し斜めに実装された場合でも、ICモジュール102の外形102aとカード基材Kの凹10の外周10Cとが接近してもスペース302aにて空間に余裕があるため接着シート30aがはみ出さなくなる。
【0087】
図19は、図15に示す接着シートのF部を拡大した図を示す。
【0088】
ここで、本実施形態においては接合部301aをICモジュール102の各辺の中央近辺に配置し、スペース302aを4角に配置しているが、凹10の外周10Cに対し水平垂直にICモジュールIの実装がずれた場合は、上記接合部301aの部分にて接着シート301aのはみ出しにつながる可能性がある。ところが、ぴったり水平垂直にずれることはまれで多くの場合若干でも斜めになってしまう。よって本実施形態にて効果がある。
【0089】
さらに、上記理由によりスペース302aは4角及びその近傍に設けることが望ましい。
【0090】
また、もし例えばスペース302aを右上一箇所のみの設定とした場合、ICモジュールIのカード基材101への実装をあらかじめ設計上凹部10に対し、スペース302aを設けた右上を目標に実装を行うことで接着シート301aのはみ出しが軽減可能となる。
【0091】
図20、及び図21は、本発明に使用するカード基材の収容部の変形例を表す図を、各々示す。
【0092】
図20は、底面12aの周縁部の一部として、矩形の4角及びその近傍に各々溝310が設けられている。
【0093】
また、図21は、底面12aの周縁部の一部として、矩形の各辺の中央近辺に溝311が設けられている。
【0094】
第1及び第3の観点に係る発明によれば、使用される接着シートの外形の一部を、ICモジュールの外周の輪郭形状よりも小さくする。使用されるカード基材の収容部にはさらに溝があってもなくても良い。
【0095】
第2及び第4の観点に係る発明では、使用されるカード基材の収容部にはさらに溝がある。使用される接着シートの外形とICモジュール102の外周の輪郭形状がほぼ同一でも、接着シートの外形の一部がICモジュールの外周の輪郭形状よりも小さくても良い。
【0096】
第1ないし第4の観点に係る発明において、使用される接着シートの外形の一部を、ICモジュールの外周の輪郭形状よりも小さくする。使用されるカード基材の収容部にはさらに溝を設けると、例えば図18に示す凹部10の外周10Cに対し、図示しない水平垂直にICモジュールIの実装がずれた場合においても、接着シート301aのはみ出しはさらに設けられた溝にて吸収することが可能となり、よりいっそう信頼性を増すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明にかかるICカードの一例を表す正面図
【図2】本発明に使用されるICモジュール用基板の断面を表す図
【図3】本発明に使用されるICモジュール用基板の断面を表す図
【図4】本発明に用いられるカード基材の一例を表す正面図
【図5】図4のC−C断面図
【図6】収容部とICモジュールを表す概略的な断面図
【図7】本発明に用いられるテープ状基板の一例を表す正面図
【図8】図7の反対側の面を表す図
【図9】領域Dを拡大した図
【図10】IC実装済テープを表す正面図
【図11】IC実装済テープを表す断面図
【図12】本発明に使用されるテープ状基板の構成の一例を表す断面図
【図13】本発明に使用される帯状接着シートの一例を表す正面図
【図14】IC実装部上に適用された接着シートを表す図
【図15】本発明に用いられる帯状接着シートの他の一例を表す図
【図16】接着シート付きICモジュールを打ち抜いた図
【図17】帯状接着シートとIC実装済テープ15とを貼り付けた様子を表す図
【図18】本発明に係るICカードの効果を説明するための図
【図19】図15に示す接着シートのF部の詳細を示す図
【図20】本発明に使用するカード基材の収容部の一例を表す図
【図21】本発明に使用するカード基材の収容部の他の一例を表す図
【符号の説明】
【0098】
1…外部接続端子、2…ICモジュール用基板、3…IC、7…、9…IC実装部、10…収容部、21…テープ状基板、30,30a…接着シート、100…ICカード、101…カード基材、102…ICモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、該基板の一主面上に設けられた外部接続端子、及び該基板の他方の主面上に設けられたIC実装部を有するICモジュールと、該ICモジュールを該外部接続端子を表面に露出させるように収容するため、該基板の他方の主面と該IC実装部の形状に相応した形状の側壁及び底面を持つ収容部を備えたカード基材と、該収容部と該ICモジュールとの間に適用された接着シートを具備するICカードであって、
前記接着シートは、その少なくとも一部が該ICモジュールの外周よりも内側に配置されていることを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記接着シートは、前記ICモジュールの外周の輪郭形状を少なくとも一部切り欠いた形状を有することを特徴とする請求項1に記載のICカード
【請求項3】
基板、該基板の一主面上に設けられた外部接続端子、該基板の他方の主面上に設けられたIC実装部を有するICモジュールと、該ICモジュールを該外部接続端子を表面に露出させるように収容するため、該基板の他方の主面と該IC実装部の形状に相応した形状の側壁及び底面を持つ収容部を備えたカード基材と、該収容部と該ICモジュールとの間に適用された接着剤を具備するICカードであって、
前記収容部は、その一部にさらに溝を有することを特徴とするICカード。
【請求項4】
前記溝は、前記収容部の周縁部の一部に設けられている請求項3に記載のICカード。
【請求項5】
基板の一主面上に外部接続端子を設け、該基板の他方の主面上にIC実装部を設けてICモジュールを形成し、該ICモジュールを該外部接続端子を表面に露出させるように収容するため、該基板の他方の主面と該IC実装部の形状に相応した形状の側壁及び底面を持つ収容部を用意し、該ICモジュール及び収容部間に、接着シートを、その少なくとも一部を該ICモジュールの外周よりも内側に配置して、接着に供することを特徴とするICカードの製造方法。
【請求項6】
前記接着シートは、前記ICモジュールの外周の輪郭形状を少なくとも一部切り欠いた形状を有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
基板の一主面上に外部接続端子を設け、該基板の他方の主面上にIC実装部を設けてICモジュールを形成し、該ICモジュールを該外部接続端子を表面に露出させるように収容するため、該基板の他方の主面と該IC実装部の形状に相応した形状の側壁及び底面を持ち、かつその一部にさらに溝を有する収容部を備えたカード基材を用意し、該ICモジュール及び収容部間に、接着剤を適用して接着に供することを特徴とするICカードの製造方法。
【請求項8】
前記溝は、前記収容部の周縁部の一部に設けられている請求項7に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2010−73050(P2010−73050A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241464(P2008−241464)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】