説明

ICタグ付き樹脂成形品

【課題】ICタグを分離分別可能に樹脂製品に一体成形する。
【解決手段】ICタグ5の少なくとも一方の面を、紫外線分解型の接着剤層7を介して補強層8に貼り付けた状態で射出成形金型にインサートし、樹脂製品を成形する。またはICタグ5の一方の面を、紫外線分解型の接着剤層7を介して補強層8に貼り付け、他方の面を接着することなくカバー層に被さった状態で射出成形金型にインサートし、樹脂製品を成形する。成形品を廃棄するときは、接着剤層7に紫外線を照射して、該接着剤層7を分解し、ICタグ5を取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製コンテナ等の樹脂成形品に、ICタグを一体的に具える製造方法、該製造方法によって得られたICタグ付き樹脂成形品、該製造方法の過程で射出成形金型にICタグを含むインサート部材を供給するためのICタグ供給用テープ、及び樹脂成形品からICタグを分別回収する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品の品質情報、流通情報等、商品に関係する情報を記録したICタグを、商品を収容するコンテナー等に具えて、商品の管理を行うことが実施されている(特許文献1、特許文献2)。
この場合、ICタグがコンテナーから外れることのない様に、ICタグをコンテナーに強固に固定しておく必要がある。
【0003】
ICタグを、コンテナー等の相手取付け部材に強固に取り付ける方法として、相手取付け部材に予め凹みを形成しておき、該凹みにICタグを収容すると共に溶融樹脂を注入、固化させ、樹脂を介して相手部材とICタグを一体化することが提案されている(特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−219810号公報
【特許文献2】特開2004−299878号公報
【特許文献3】特開2005−242659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3の如く、ICタグの相手取付け部材に凹みを設ける場合、該相手取付け部材の材質、加工性等によって制約を受ける。又、凹みへのICタグの投入、溶融樹脂の注入、溶融樹脂の固化等、工程が多くて生産性が悪い。
【0006】
出願人は、ICタグを取り付ける相手部材を、ICタグと一体化する様に合成樹脂のインサート成形によって形成することを試みた。
【0007】
ところが次の理由で実用には至らなかった。
ICタグは、ICチップと、金属箔で形成したアンテナ及び回路からなる薄くて軟弱な外力に弱い部品であるから、射出成形金型内に注入される溶融樹脂の圧力で、粉々に破壊されてしまう。
ICタグを補強フィルムで挟む等の補強手段を施して金型に配置すれば、ICタグの破壊は免れることが判ったが、ICタグの金型内でへの送り込み及び位置決め手段に苦慮する。
薄くて軟弱なICタグを金型の所定位置に正確に送り込む装置はなかったからである。又、ICタグを金型内に位置決め保持するために、スライド式の押えピン等を金型に組み込むことは、金型が複雑となって金型コストが上昇する許りではなく、製品に無用の孔や凹みが形成されてしまうことなる。
【0008】
又、ICタグを相手取付け部材と一体成形することに成功しても、該取付け部材を廃棄する場合に、合成樹脂とICタグ(金属部材)の分別の問題が生じる。ICタグ自体は再利用が可能であるから、リサイクルの観点からも、ICタグを取付け部材から分別回収可能とすることは重要である。しかし、ICタグを取付け部材と一体化する様に成形すれば、ICタグの分別回収は不可能である。
【0009】
本発明は、上記問題を解決したICタグ付き樹脂成形品の製法、該製法によって製造されたICタグ付き樹脂成形品、該製法において、射出成形金型にICタグを含むインサート部品を供給するためのICタグ供給用テープ、及び樹脂成形品からICタグを分別回収する方法を明らかにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のICタグ付き樹脂成形品は、ICタグ(5)の少なくとも一方の面を補強層(8)に貼り付けた状態でインサート成形されている。
【0011】
請求項2は、請求項1のICタグ付き樹脂成形品において、ICタグ(5)の、補強層(8)に貼り付いていない面には、ICタグ(5)に接着することなくカバー層(6)が被さった状態でインサート成形されている。
【0012】
請求項3は、請求項1又は2のICタグ付き樹脂成形品において、ICタグ(5)は、紫外線等の電磁波の照射によって接着機能を失う接着剤層(7)を介して補強層(8)に接着されている。
【0013】
請求項4は、請求項1乃至3の何れかの樹脂成形品において、樹脂成形品(1)はコンテナー(1a)である。
【0014】
請求項5は、請求項1乃至3の何れかに記載の樹脂成形品において、樹脂成形品(1)はコンテナー(1a)に具える部品である。
【0015】
請求項6のICタグ付き樹脂成形品の製法は、少なくとも一方の面が補強層(8)に貼り付けられたICタグ(5)を含むインサート部材(4)を、帯状キャリアーフィルム(3)に剥離可能に等間隔に接着したICタグ供給用テープ(2)を、インサート部材(4)の配列ピッチに対応して射出成形金型(100)に間欠的に送り込み、インサート部材(4)と一体化する様にインサート成形して樹脂成形品(1)を得、インサート成形後にキャリヤーフィルム(3)を除去する。
【0016】
請求項7は、請求項6のICタグ付き樹脂成形品の製法において、ICタグ(5)の、補強層(8)に貼り付いていない面には、ICタグ(5)に接着することなくカバー層(6)が被さった状態でインサート成形されている。
【0017】
請求項8は、請求項6又は7のICタグ付き樹脂成形品の製法において、ICタグ(5)は、紫外線等の電磁波の照射によって原形を保たなくなる接着剤層(7)を介して補強層(8)に接着されている。
【0018】
請求項9のICタグ供給用テープは、ICタグ(5)の少なくとも一方の面を補強層(8)に貼り付けたインサート部材(4)を、帯状キャリヤーフィルム(3)に等間隔に剥離可能に配列している。
【0019】
請求項10は、インサート成形によってICタグ(5)を一体的に具えた請求項3乃至5の何れかに記載の樹脂成形品から、ICタグ(5)を分別回収する方法であって、樹脂成型品(1)をICタグ(5)の周囲を囲んで切り抜き、該切抜き片に接着剤層(7)の接着機能を失わせる電磁波を照射して補強層(8)をICタグ(5)から分離させて、ICタグ(5)を取り出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1のICタグ付き樹脂成形品は、ICタグ(5)が補強層(8)に貼り付いて補強された状態でインサート成形されるから、溶融樹脂の圧力でICタグ(5)が破壊されることなく、ICタグ(5)と一体的に成形される。
樹脂成形品(1)と一緒にインサート成形されたICタグ(5)は、樹脂成形品(1)から外れることはない。
【0021】
請求項2のICタグ付き樹脂成形品は、ICタグ(5)の片面が補強層(8)に貼り付いている場合、ICタグ(5)の他方の面はカバー層(6)が被さっているから、ICタグ(5)が樹脂成形品(1)の表面に位置する様にインサート成形されても、ICタグ(5)が直接に樹脂成形品(1)の表面に露出することはなく、ICタグ(5)を保護できる。
【0022】
請求項3のICタグ付き樹脂成形品を廃棄する場合、接着剤層(7)に紫外線等の電磁波を照射して該接着剤層(7)を破壊し、ICタグ(5)を取り出すことができる。
【0023】
請求項4のコンテナーは、請求項1乃至3の何れかに記載の効果を有する。
【0024】
請求項5の樹脂成型部品は、コンテナー(1a)と一緒にインサート成形し、或いは接着剤等によって、コンテナー(1a)から外れることのない様に強力に接着固定できる。
【0025】
請求項6のICタグ付き樹脂成形品の製法は、キャリヤーフィルム(3)をインサート成形金型(100)に送り込んで、該フィルムを位置決め手段としてキャリヤーフィルム(3)上のインサート部材(4)を金型内で位置決めできるから、金型(100)にインサート部材(4)を位置決めするための複雑な構成は不用となる。
金型(100)の型開き後に、キャリヤーフィルム(3)を剥離除去すればよい。
【0026】
請求項7の方法で製造したICタグ付き樹脂成形品は、請求項2と同様の効果を奏する。
【0027】
請求項8の方法で製造したICタグ付き樹脂成形品は、請求項3と同様の効果を奏する。
【0028】
請求項9のICタグ供給用テープは、該テープを1ピッチづつ移動させて射出成形金型(100)にインサート部材(4)を順次供給でき、且つキャリヤーフィルム(3)の走行を停止して金型(100)を閉じることにより、インサート部材(4)を金型(100)内の所定位置に保持できる。
【0029】
請求項10のICタグの分別回収方法は、ICタグ(5)と補強層(8)を接着している接着剤層(7)に電磁波を照射して補強層(8)の接着機能を失わさせ、補強層(8)からICタグ(5)を分離させるから、ICタグ(5)を損傷することなく分別回収でき、ICタグ(5)の再利用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
樹脂成形品とICタグ供給用テープの概要
図1は、ICタグを具えた樹脂成形品(1)の一例を示し、実施例の樹脂成形品(1)は、商品の保管や搬送に用いられる樹脂成形コンテナー(1a)である。
ICタグ(5)は、インサート成形によってコンテナー(1a)の外面側にコンテナー(1a)と一体的に取り付けられている。
【0031】
ICタグ(5)は、ICチップと、金属箔や導電性インクで形成したアンテナ及び回路からなる極薄の記録媒体であって、非接触で情報の書込み及び読取りが可能である。
【0032】
図2aは、図3に示す射出成形金型(100)中に、ICタグ(5)を含むインサート部材(4)を供給するためのICタグ供給用テープ(2)を示している。
ICタグ供給用テープ(2)は、長尺帯状キャリヤーフィルム(3)上に、等間隔に薄層状のインサート部材(4)を剥離可能に配置して形成されている。
【0033】
図4に示す如く、インサート部材(4)は、キャリヤーフィルム(3)に剥離可能に接合された補強層(8)と、該補強層(8)に塗布された接着剤層(7)と、該接着剤層(7)によって接着されたICタグ(5)と、ICタグ(5)に被さったカバー層(6)と、カ バー層(6)の上からキャリヤーフィルム(3)の全面に形成された外層(9)とによって構成される。
カバー層(6)は合成樹脂フィルムからなり、ICタグ(5)には接着されていないが、外周部は接着剤層(7)を介して補強層(8)に接着されている。
補強層(8)は、キャリヤーフィルム(3)側の補強ニス層(81)と接着剤層(7)側の合成樹脂フィルム(82)の二層からなり、補強ニス層(81)が接着剤の役割を成して合成樹脂フィルム(82)をキャリヤーフィルム(3)に剥離可能に接着している。
実施例では補強層(8)の合成樹脂フィルム(82)及びカバー層(6)は、ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
【0034】
前記接着剤層(7)は紫外線分解型の接着剤で形成されており、紫外線照射ランプによる強力な紫外線の照射によって分解され、接着機能は失われる。
【0035】
外層(9)は反応型樹脂による樹脂層(91)と該樹脂層(91)に接着状態に被さったカバーフィルム(92)とによって構成されている。
外層(9)は補強層(8)とカバー層(6)に挟まれたICタグ(5)をキャリヤーフィルム(3)に強硬に位置決めする役割と、ICタグ(5)を保護する役割を成す。
【0036】
上記ICタグ供給用テープ(2)は、図2b、図4に示す如く、カバー層(6)の上からキャリヤーフィルム(3)の全面を覆う様に外層(9)を形成する。外層(9)は、カバー層(6)を少し余裕を持って包囲する様に、キャリヤーフィルム(3)に達する深さの切込み(ハーフカット)(21)を施し、図2bに示す如く、外層(9)の不用部分(90)を剥離して形成されている。
ICタグ供給用テープ(2)は、巻回した状態から引出して射出成形金型(100)へ順次インサート部材(4)を供給できる。
【0037】
各インサート部材(4)のICタグ(5)は、片側の面に、接着剤層(7)、補強層(8)及びキャリヤーフィルム(3)が被さり、他方の面にカバー層(6)及び外層(9)が被さっているため、ICタグ供給用テープ(2)を巻回して保管、搬送或いは射出成形金型(100)への供給の際に、テープどうし或いはテープと金型(100)が擦れても、ICタグ(5)が損傷することを防止できる。又、接着剤層(7)を自然光程度の弱い紫外線に曝されても接着機能を失うことがない程度に保護できる。
【0038】
コンテナーの成形方法
次に、コンテナー(1a)を、ICタグ(5)を含むインサート部材(4)と一緒にインサート成形する方法を説明する。
図3に示す如く、コンテナー(1a)又はその構成部材を成形するための射出成形金型(100)の型開きのタイミングに合わせて、ICタグ供給用テープ(2)をインサート部材(4)の配列ピッチ毎に該金型(100)内に間欠的に送り込む。
ICタグ供給用テープ(2)は、インサート部材(4)が内向きとなりキャリヤーフィルム(3)が金型面に接触する様にして、インサート部材(4)が金型内の所定の位置で停止する様に自動送りされる。
【0039】
射出成形金型(100)の型締めが行われ、シリンダ(101)から金型(100)内に溶融樹脂が注入されて、コンテナー(1a)又はその構成部材が射出成形される。
前記の如く、インサート部材(4)に含まれるICタグ(5)は、片側の面は、接着剤層(7)を介して補強層(8)に接着されており、該補強層(8)はキャリヤーフィルム(3)に剥離可能に接合されているから、金型(100)に射出される溶融樹脂の圧力に耐えて、破損を免れることができ、キャリヤーフィルム(3)に対して位置ずれすることもない。
しかも実施例の場合、ICタグ(5)の他方の面にカバー層(6)が被さり、該カバー層(6)は外層(9)によって外側から固められているから、ICタグ(5)は一層強固に補強され溶融樹脂の射出圧から保護される。
【0040】
型開き後、ICタグ供給用テープ(2)が1ピッチ移動し、次のインサート部材(4)が金型(100)の所定位置に達する。
上記サイクルが繰り返されて、キャリヤーフィルム(3)上のインサート部材(4)を、壁面に取り込む様に、順次コンテナー(1a)が成形される。
成形されたコンテナー(1a)からキャリヤーフィルム(3)を剥離すれば、図1に示す如く、壁面の外面側にインサート部材(4)が位置したコンテナー(1a)を得ることができる。
【0041】
上記した樹脂成型品(1)の製法によれば、一般的な射出成形機に、ICタグ供給用テープ(2)の送り装置(図示せず)を付加するだけで実施できる。
【0042】
インサート部材(4)は、帯状キャリヤーフィルム(3)上に等間隔に配備されているから、金型(100)の型開きのタイミングに合わせて、キャリヤーフィルム(3)を間欠送りすれば、金型(100)内の所定位置にインサート部材(4)を配置でき、インサート部材(4)を位置ずれさせることなくコンテナー(1a)をインサート成形できる。
【0043】
図5に示す如く、キャリヤーフィルム(3)を剥離すれば、コンテナー(1a)の側面とインサート部材(4)の面は揃うので、インサート部材(4)が外部の障害物に引っ掛かって破損することを防止できる。
【0044】
コンテナーの分別廃棄
用済みのコンテナー(1a)を廃棄する際に、ICタグ(5)の再利用、或いは、素材別分別のために、コンテナー(1a)からICタグ(5)を取り出すことが要求されることがある。
この場合、図5に示す如く、コンテナー(1a)の壁を、ICタグ(5)の周囲を囲んで、ICタグ(5)より広く範囲で、且つ補強層(8)の範囲より狭い範囲で切り抜く。
次に、図6に示す如く、切抜き片(10)に対して補強層(8)の外側から、紫外線ランプによって接着剤層(7)に強力な紫外線を照射する。これによって、紫外線分解型の接着剤層(7)は分解されて接着機能を失う。
尚、補強層(8)が紫外線を遮断する場合、接着剤層(7)の外周端面から紫外線が入射する様にすればよい。
これによって、図7に示す如く、補強層(8)がICタグ(5)から離れ、ICタグ(5)は、ICタグ(5)上に被さっているだけで接着されていないカバー層(6)から自然に離れる。
この様にして、ICタグ(5)を破損することなくコンテナー(1a)から分離できる。
【0045】
第2実施例のICタグ供給用テープ及びインサート成形コンテナー
図8は、ICタグ供給用テープ(2)の第2実施例を示している。
該ICタグ供給用テープ(2)は、長尺帯状キャリヤーフィルム(3)上に等間隔にインサート部材(4)を配置している。
インサート部材(4)は、キャリヤーフィルム(3)の全面を剥離可能に覆うカバー層(6)上に、等間隔にICタグ(5)を載置し、該ICタグ(5)の上に接着剤層(7)を介して、ICタグ(5)より少し大きな範囲で補強層(8)を接着している。
ICタグ(5)は、カバー層(6)上に単に載っているだけでカバー層(6)とは接着固定されていない。
補強層(8)とカバー層(6)は輪郭を揃えて重なっており、共にポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂のフィルムで形成されている。
補強層(8)の上から、前記第1実施例と同様にして、反応型樹脂による樹脂層(91)とカバーフィルム(92)からなる2層構造の外層(9)がキャリヤーフィルム(3)の全面に形成されている。
前記接着剤層(7)は紫外線分解型の接着剤で形成されている。
【0046】
図9は、上記した図8に示すICタグ供給用テープ(2)を、前記同様の手順にて、インサート成形したコンテナー(1a)の要部断面を表している。
インサート部材(4)に含まれるICタグ(5)は、片側の面は、接着剤層(7)を介して補強層(8)に接着されており、該補強層(8)は外層(9)によって、キャリヤーフィルム(3)上に固められているから、金型(100)に射出される溶融樹脂の圧力に耐えて破損を免れることができ、キャリヤーフィルム(3)に対して位置ずれすることもない。
しかも実施例の場合、ICタグ(5)の他方の面にカバー層(6)が被さり、該カバー層(6)は剥離可能にキャリヤーフィルム(3)に接合されているから、ICタグ(5)は一層強固に補強され溶融樹脂の射出圧から確実に保護される。
【0047】
第2実施例のインサート成形コンテナーの分別廃棄
図9に示す如く、コンテナー(1a)の壁を、ICタグ(5)を包囲し、ICタグ(5)より少しだけ広い範囲Wで切り抜く。
次に、図10に示す如く、紫外線ランプによって、切抜き片(10)のカバー層(6)の外側から接着剤層(7)に強力な紫外線を照射する。ICタグ(5)は紫外線を遮断するが、カバー層(6)を透過した紫外線が接着剤層(7)内で乱反射して、接着剤層(7)のICタグ(5)に隠れた部分も分解され、接着機能を失う。
これによって、図11に示す如く、元々ICタグ(5)に接着されていなかったカバー層(6)は、ICタグ(5)から離れ、ICタグ(5)は補強層(8)から分離する。
この様にして、ICタグ(5)を破損することなくコンテナー(1a)から分離できる。
尚、カバー層(6)が紫外線を遮断する場合、接着剤層(7)の外周端面から紫外線が入射する様にすればよい。
【0048】
第3実施例のICタグ供給用テープ(2)
図12は、第3実施例のICタグ供給用テープ(2)を示している。
キャリヤーフィルム(3)上に等間隔に配置されるインサート部材(4)は、キャリヤーフィルム(3)上の補強層(8)上に、ICタグ(5)が接着剤層(7)に完全に埋没した状態で接着され、該接着剤層(7)の上からカバー層(6)が被さっている。
キャリヤーフィルム(3)には、カバー層(6)の上から外層(9)がキャリヤーフィルム(3)の全面を覆う様に塗布されている。
補強層(8)、カバー層(6)、接着剤層(7)、外層(9)は、前記同様の特性を有する。
上記第3実施例のICタグ供給用テープ(2)を用いて、前記同様にして射出成形金型(100)にインサート部材(4)を供給し、コンテナー(1a)をインサート成形できる。又、コンテナー(1a)の分別廃棄に際しても、前記同様にして、ICタグ(5)を無傷で取り出しできる。
【0049】
上記実施例の説明は本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは該範囲を減縮する様に解すべきではない。本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で、種々の変形が可能であることは勿論である。
【0050】
例えば樹脂成形品(1)は、コンテナー(1a)に限るものではなく、ICタグ(5)を含むインサート部材(4)と一緒にインサート成形可能な製品であれば、製品や形状を特定されるものではない。
【0051】
又、例えば、ICタグ(5)を含むインサート部材(4)と一緒にインサート成形して樹脂で包まれた記録媒体部品を形成し、該部品をコンテナー(1a)等に、接着等の方法で固定して用いる場合の、該部品も本発明に含まれるのは勿論である。
【0052】
ICタグ供給用テープ(2)に含まれる接着剤層(7)は、紫外線分解型接着剤に限るものではなく、電磁波の範疇に含まれるものの照射によって接着機能がなくなるものであれば、種類は問わない。
【0053】
ICタグ供給用テープ(2)に含まれる外層(9)の樹脂層(91)は、紫外線硬化型、光反応型、湿気硬化型等、各種反応硬化型の接着剤を選択できるのは勿論である。
【0054】
更に、キャリヤーフィルム(3)上に形成されるインサート部材(4)は、ICタグ(5)の少なくとも一方の面が、上記接着剤層(7)を介して補強層(8)に貼り付けられている構成である限り、インサート部材(4)の積層構成は問わない。
【0055】
図4において、補強層(8)のキャリヤーフィルム(3)側の面に、又、図8において、カバー層(6)のキャリヤーフィルム(3)側の面に、印刷等にて加飾を施すことができるのは勿論である。
【0056】
ICタグ供給用テープ(2)の製作において、図4に示す如く、帯状のキャリヤーフィルム(3)に、インサート部材(4)を剥離可能に等間隔に貼り付けて形成し、ハーフカットや外層(9)の不用部分の除去の工程を無くすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】樹脂成形品の一例であるコンテナーの斜視図である。
【図2】a図は、ICタグ供給用テープの一部斜視図、b図は不用の外層を剥離除去する前のICタグ供給用テープの一部斜視図である。
【図3】ICタグを含むインサート部材と一緒に樹脂成形品をインサート成形中の説明図である。
【図4】不用の外層を剥離除去する前のICタグ供給用テープの要部断面図である。
【図5】インサート部材と一緒にインサート成形した樹脂成形品の要部断面図である。
【図6】図5の成形品から、ICタグを含む部分を切り抜いた断面図である。
【図7】ICタグの取出し説明図である。
【図8】第2実施例における不用の外層を除去する前のICタグ供給用テープの要部断面図である。
【図9】第2実施例におけるインサート部材と一緒にインサート成形した樹脂成形品の要部断面図である。
【図10】図9の成形品から、ICタグを含む部分を切り抜いた断面図である。
【図11】第2実施例のICタグの取出し説明図である。
【図12】第3実施例のICタグ供給用テープの要部断面図である。
【符号の説明】
【0058】
(1) 樹脂成形品
(1a) コンテナー
(2) ICタグ供給用テープ
(3) キャリヤーフィルム
(4) インサート部材
(5) ICタグ
(6) カバー層
(7) 接着剤層
(8) 補強層
(9) 外層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品(1)にICタグ(5)を具えたICタグ付き成形品であって、ICタグ(5)の少なくとも一方の面を補強層(8)に貼り付けた状態でインサート成形されていることを特徴とするICタグ付き樹脂成形品。
【請求項2】
ICタグ(5)の一方の面は補強層(8)に貼り付いており、他方の面にはICタグ(5)に接着することなくカバー層(6)が被さった状態でインサート成形されている、請求項1に記載のICタグ付き樹脂成形品。
【請求項3】
ICタグ(5)は、紫外線等の電磁波の照射によって接着機能を失う接着剤層(7)を介して補強層(8)に接着されている、請求項1又は2に記載のICタグ付き樹脂成形品。
【請求項4】
樹脂成形品(1)はコンテナー(1a)である、請求項1乃至3の何れかに記載のICタグ付き樹脂成形品。
【請求項5】
樹脂成形品(1)はコンテナー(1a)に具える部品である、請求項1乃至3の何れかに記載のICタグ付き樹脂成形品。
【請求項6】
少なくとも一方の面が補強層(8)に貼り付けられたICタグ(5)を含むインサート部材(4)を、帯状キャリアーフィルム(3)に剥離可能に等間隔に接着しているICタグ供給用テープ(2)を、インサート部材(4)の配列ピッチに対応して射出成形金型(100)に間欠的に送り込み、インサート部材(4)と一体化する様にインサート成形して樹脂成形品(1)を得、インサート成形後にキャリヤーフィルム(3)を除去するICタグ付き樹脂成形品の製法。
【請求項7】
ICタグ(5)の、補強層(8)に接着されていない面には、ICタグ(5)に接着することなくカバー層(6)が被さった状態でインサート成形されている請求項6に記載のICタグ付き樹脂成形品の製法。
【請求項8】
ICタグ(5)は、紫外線等の電磁波の照射によって接着機能を失う接着剤層(7)を介して補強層(8)に接着されている請求項6又は7に記載のICタグ付き樹脂成形品の製法。
【請求項9】
少なくとも一方の面が補強層(8)に接着されたICタグ(5)を含むインサート部材(4)を、帯状キャリヤーフィルム(3)に等間隔に剥離可能に配列しているICタグ供給用テープ。
【請求項10】
インサート成形によってICタグ(5)を一体的に具えた請求項3乃至5の何れかに記載の樹脂成形品から、ICタグ(5)を分別回収する方法であって、樹脂成型品(1)をICタグ(5)の周囲を囲んで切り抜き、該切抜き片に接着剤層(7)の接着機能を失わせる電磁波を照射して補強層(8)をICタグ(5)から分離させて、ICタグ(5)を取り出すICタグ(5)を分別回収方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−128384(P2007−128384A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321780(P2005−321780)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(000110642)ナビタス株式会社 (15)
【出願人】(594069627)株式会社ハイテック和泉 (1)
【出願人】(591159675)錦城護謨株式会社 (27)
【Fターム(参考)】