説明

II族の炭酸塩および二酸化ケイ素の形成による二酸化炭素隔離

本発明は、廃棄物流から二酸化炭素を除去して対応するII族の炭酸塩およびシリカを形成するためにII族のケイ酸塩を使用するプロセスを含む、二酸化炭素分離に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景
本出願は、2009年12月18日に出願された米国特許仮出願第61/288,242号に対する優先権の恩典を主張するものであり、なお、当該仮出願の全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
I.本発明の分野
本発明は、概して、廃棄物流から、二酸化炭素およびそれに付帯して他の汚染物質を除去する技術分野に関する。より詳細には、本発明は、煙道ガス様流から二酸化炭素および他の汚染物質を吸収することによる、廃棄物流からの二酸化炭素および他の汚染物質の除去に関する。それは、II族の炭酸塩材料の同時生成を含む。
【背景技術】
【0003】
II.関連技術の説明
この40年間、工業から空気中への放出物に対して、個人でも商業部門でも国内および国際的に懸念がかなり高まっている。特に、大気中での太陽熱の滞留に影響を及ぼして「温室効果」を生じさせる温室効果ガスに対して注目が集まっている。温室効果は、太陽から入ってくる熱が地球の大気中および水圏中に閉じ込められる場合に生じ、それによって平均大気温度、平均海洋温度、および地球の他の平均温度が上昇し、結果として気候変動を生じる。当該効果は、一般的に、地球の熱均衡への作用効果としては意見の一致を見るが、その速度、人類の物質燃焼がそれに与える影響の程度、ならびに効果の広がり、方向、および規模に関しては議論されている。議論の程度にかかわらず、実施コストが十分に小さければ、点放出源からCO2(および他の化学物質)を除去することにメリットがあるということについては、誰もが同意するところであろう。
【0004】
温室効果ガスは、主に二酸化炭素から成り、地域発電所および大規模産業の自家発電所によって生成されるが、任意の通常の炭素燃焼(例えば、自動車、熱帯雨林皆伐、単なる燃焼など)によっても生成される。最も濃度の高い点放出は、典型的に、全世界の発電所で生じており、そのような固定場所からの削減および/または除去は、除去技術を実施するのに魅力的な点である。エネルギー生産が温室効果ガス放出の主要な原因であるため、種々の手段によって、炭素強度を減らす、効率を改善する、および発電所の煙道ガスから炭素を隔離する、などの方法が過去30年にわたり集中的に調査および研究されてきた。
【0005】
炭素強度の低減は、排他的な炭素燃焼によって生産される電力の割合を減らすために非炭素エネルギー源、例えば、原子力発電、水力発電、太陽光発電、地熱、および他の電力源などの代替使用を伴う。これらの発電技術はそれぞれ、全エネルギー生産に関しては進歩し続けているが、その一方で、世界的電力需要予測は、これらの方法からのエネルギー生産よりも速い割合で増加すると予想されている。したがって、非炭素エネルギー源の成長にもかかわらず、炭素温室効果ガス放出は増加すると予想される。
【0006】
効率改善は、概して、まず生成されるCO2の量を減らし、次いですべての潜在的汚染物質を可能な限り完全に酸化させることによって、予燃焼、脱炭酸化、酸素点火燃焼などによる炭素の燃焼を改善する技術に向けられている。さらにこの技術は、効率改善のために、二酸化炭素放出量あたりの生成されるエネルギーの量も増加させる。この方面における進歩により、燃焼効率は向上したが、その一方で、この分野の努力から引き出される改善はもうほとんどない。
【0007】
炭素(ガス状CO2の初期形態において)を隔離する試みは、多くの異なる技術を生み出してきたが、これらは、概して、地質系、陸上系、または海洋系として分類することができる。これらの技術は、主に、発生した二酸化炭素を物理的な場所に輸送し、当該二酸化炭素を地質、土壌、または海洋の貯蔵所に注入することに関する。これらの隔離技術はそれぞれ、CO2を輸送のために下処理し、輸送を達成し、「炭素バンク」への注入を実施するのに多大なコストを伴う。そのため、これらの技術は、概して経済的に実現可能ではなく、多くの場合、生成された元の炭素よりも多くのエネルギーを消費する。
【0008】
隔離はさらに、スクラビング、膜、低コストO2、および水和物を含むいくつかの工業プロセスも含み得る。しかしながら、これらの技術はそれぞれ、非経済的なレベルにまで高まった資本プラントコスト抱えているため、電力のコストに対するCO2捕捉の効果は非常にコスト高である。
【0009】
引き合いに出した欠点は、包括的であることを意図するわけではなく、むしろ、廃棄物流から二酸化炭素を除去するための既に公知の技術の有効性を損なう傾向にある多くの欠点のうちのいくつかであり、しかしながら、ここで言及した欠点は、当技術分野に見られる方法がそれほど満足のいくものではなく、本開示において説明および権利を主張する技術に対するニーズが大いに存在することを示すのには十分である。
【発明の概要】
【0010】
本明細書において開示するのは、廃棄物流からの二酸化炭素の除去を含む、除去した二酸化炭素の隔離のための方法および装置である。一局面において、本開示は、放出源によって生成された二酸化炭素を隔離する方法を提供し、本方法は、
(a)水性混合物中で水酸化物塩を得る工程;
(b)第一の混和物中で第一の炭酸塩を形成するのに好適な条件下で、当該水酸化物塩と、当該放出源によって生成された二酸化炭素とを混和する工程;
(c)対応するII族の塩化物塩、水、および二酸化ケイ素を形成するのに好適な条件下で、II族のケイ酸塩鉱物を塩酸によって塩素化する工程;
(d)第二の混和物中でII族の炭酸塩を形成するのに好適な条件下で、当該II族の塩化物塩を第一の炭酸塩と混和する工程;ならびに
(e)当該混和物から当該II族の炭酸塩を分離する工程
を含み、それによって二酸化炭素が鉱物生成物形態へと隔離される。いくつかの態様において、当該方法はさらに、
(f)第二の塩化物塩を得る工程;および
(g)当該第二の塩化物塩を塩素アルカリ条件下で反応させて、塩素、水素、および水酸化物塩を含む生成物を形成する工程
を含む。
【0011】
いくつかの態様において、工程(b)における水酸化物塩の一部またはすべては、工程(g)から得られる。いくつかの態様において、当該方法はさらに、
(h)塩素を得る工程;および
(i)光分解条件下で当該塩素を液化して塩化水素を形成する工程
を含む。
【0012】
いくつかの態様において、工程(h)における塩素の一部またはすべては、工程(g)から得られる。いくつかの態様において、工程(i)の塩化水素の一部またはすべては、工程(c)においてII族のケイ酸塩鉱物を塩素化するために使用される。
【0013】
いくつかの態様において、工程(d)の反応は、電気化学セルにおいて生じる。そのいくつかの変形において、工程(d)はさらに、
(d)(1)第一の重炭酸塩を形成するのに好適な条件下で、第一の炭酸塩をプロトン源と反応させる工程;および
(d)(2)当該第一の重炭酸塩をII族の塩化物塩と反応させて、II族の炭酸塩を形成する工程
を含む。いくつかの態様において、工程(d)(2)の反応はさらに第二の塩化物塩の形成を含む。そのいくつかの変形において、工程(f)における第二の塩化物塩の一部またはすべては、工程(d)(2)から得られる。
【0014】
いくつかの態様において、電気化学セルは、第一の電気エネルギー源を生じる。そのいくつかの変形において、当該第一の電気エネルギー源は、当該電気化学セルの理論上の最大電位に対して70%を超える効率で生じる。いくつかの態様において、当該第一のエネルギー源の一部またはすべては、工程(g)の反応の一部を促進するために使用される。
【0015】
いくつかの態様において、当該方法はさらに、
(j)工程(g)の水素の一部またはすべてを使用して、第二のエネルギー源を生じさせる工程
を含む。そのいくつかの変形において、当該第二のエネルギー源の一部またはすべては、工程(g)の反応の一部を促進するために使用される。
【0016】
いくつかの態様において、水酸化物塩の一部またはすべては、水酸化ナトリウムである。いくつかの態様において、第一の炭酸塩の一部またはすべては、炭酸ナトリウムである。いくつかの態様において、II族のケイ酸塩鉱物の一部またはすべては、II族のイノケイ酸塩である。そのいくつかの変形において、当該II族のケイ酸塩鉱物の一部またはすべては、CaSiO3、MgSiO3、またはそれらの混合物である。
【0017】
いくつかの態様において、II族の塩化物塩の一部またはすべては、CaCl2、MgCl2、またはそれらの混合物である。いくつかの態様において、II族の炭酸塩の一部またはすべては、CaCO3、MgCO3、またはそれらの混合物である。いくつかの態様において、第二の塩化物塩の一部またはすべては、NaClである。
【0018】
いくつかの態様において、光分解条件は、約200nm〜約400nmの波長を有する放射線を含む。例えば、いくつかの態様において、当該波長は、約254nmまたは約363nmである。
【0019】
いくつかの態様において、工程(a)の水酸化物を得る工程は、
(a)(1)I族またはII族の塩を得る工程;
(a)(2)当該塩を、酸および水、酸および蒸気、あるいは酸、水、および蒸気と混和してプロトン化されたブライン溶液を生成する工程;ならびに
(a)(3)当該プロトン化されたブライン溶液を電気分解して水酸化物を生成する工程
を含む。
【0020】
本開示の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の特定の態様を示すものであるが、本発明の趣旨および範囲の内での様々な変化および変更がこの詳細な説明から当業者に明かとなるために、単に例として提示されているに過ぎないことは理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付の図面は、本明細書の一部を形成し、かつ本開示のある特定の局面をさらに実証するために含まれる。本発明は、本明細書中で提示される特定の態様の詳細な説明と共にこれらの図面の1つを参照することにより、より良く理解され得る。
【0022】
【図1】本発明の態様によるシステムのブロックダイアグラム。DC1、DC2、およびDC3は、3つの別々の電気エネルギー源である。
【図2】示された期間だけ反応が進行する際の反応チャンバ内の流体によって近似される熱挙動を示すチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
例示的態様の説明
本発明は、二酸化炭素分離に関し、これはII族のケイ酸塩を使用して廃棄物流から二酸化炭素を除去し、対応するII族の炭酸塩およびシリカを形成するプロセスを含む。本発明の方法および装置の態様は、以下の一般的構成要素:(1)ガス状CO2を水性苛性混合物中に吸収させ、次いで水酸化物と反応させて、炭酸塩および/または重炭酸塩生成物を形成する、水性脱炭酸化プロセス;(2)炭酸塩および/または重炭酸塩を当該液体混合物から分離する分離プロセス;(3)脱炭酸化プロセスにおいて吸収性流体として使用される水酸化ナトリウムを生成するための食塩電解プロセス;(4)塩素ガス、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウム、ならびに水素ガスをはじめとする、脱炭酸化および電気分解プロセスからの副産物の発生および使用;ならびに(5)II族の炭酸塩および二酸化ケイ素への、II族のケイ酸塩鉱物の直接的および/または間接的転化、の1つまたは複数を含む。これら一般的構成要素のそれぞれについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0024】
本発明の多くの態様は、煙道ガス流からのCO2および他の化学物質の吸収を達成するため、ならびに、本明細書において説明したような本発明の態様の他の目的を達成するために、いくらかのエネルギーを消費するが、その一方で、本発明のある特定の態様の利点の1つは、発電所から排出されたCO2のほとんどまたはすべてを吸収すると共に、先行技術よりも優れたエコロジー効率を提供することである。
【0025】
本発明を他のCO2除去プロセスから差別化する、本発明のある特定の態様の別のさらなる恩恵は、市場状態によっては、その生成物が、必要とされる反応剤または正味の電力またはプラント減価償却費を上回るかなりの価値があるという点である。換言すれば、ある特定の態様は、懸念対象のCO2および付随する汚染物質のかなりの除去を達成しつつ、クロロ−ヒドロ−炭酸塩生成物の製造により利益を挙げる工業的方法である。
【0026】
I.定義
本明細書で使用される場合、「炭酸塩」または「炭酸塩生成物」なる用語は、概して、炭酸基である[CO3]2-を含有する鉱物成分として定義される。したがって、当該用語は、炭酸塩/重炭酸塩混合物および炭酸イオンだけを含有する種の両方を包含する。「重炭酸塩」および「重炭酸塩生成物」なる用語は、概して、重炭酸基である[HCO3]1-を含有する鉱物成分として定義される。したがって、当該用語は、炭酸塩/重炭酸塩混合物および重炭酸イオンだけを含有する種の両方を包含する。
【0027】
本発明のいくつかの態様を使用した重炭酸塩および炭酸塩の形成において、「イオン比」なる用語は、生成物中のナトリウムイオンをその生成物中に存在する炭素の数で割った比を意味する。したがって、純粋な重炭酸塩(NaHCO3)で形成された生成物流は、1.0の「イオン比」(Na/C)を有し得、その一方で、純粋な炭酸塩(Na2CO3)で形成された生成物流は、2.0の「イオン比」(Na/C)を有し得るということになる。ひいては、無限数の炭酸塩および重炭酸塩の連続的混合物は、1.0〜2.0の間で変動するイオン比を有し得ることになる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「隔離」なる用語は、概して、その作用の一部または全部が、CO2を点放出源から除去して当該CO2を何らかの形態で貯蔵することによって大気中へ戻るのを防ぐ技術または実施を意味するために使用される。この用語の使用に関し、説明する態様のいかなる形態も「隔離」技術であるとみなすことから除外されない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「エコロジー効率」なる用語は、「熱力学的効率」なる用語と同じ意味において使用され、消費されるエネルギーあたりの、本発明のある特定の態様によって隔離されるCO2の量(式「∂CO2/∂E」によって表される)として定義される。CO2隔離は、プラント全体のCO2に対するパーセントで表され、エネルギー消費も同様に、プラント全体の電力消費に対して表される。
【0030】
本明細書で使用される場合、「低電圧電気分解」および「LVE」なる用語は、約5ボルト未満の電圧での電気分解を意味するために使用される。
【0031】
輝石は、多くの火成岩および変成岩中に見られるケイ酸塩鉱物の群である。それらは、シリカ四面体の単鎖からなる共通構造を共有しており、ならびに単斜晶系および斜方晶系において結晶化する。輝石は、一般式XY(Si、Al)2O6を有しており、式中、Xは、カルシウム、ナトリウム、鉄(II)、およびマグネシウム、ならびにごくまれな亜鉛、マンガン、およびリチウムを表し、Yは、より小さいサイズのイオン、例えば、クロム、アルミニウム、鉄(III)、マグネシウム、マンガン、スカンジウム、チタン、バナジウム、およびさらに鉄(II)など、を表す。
【0032】
さらに、本発明の化合物を構成する原子は、そのような原子のすべての同位体形態を含むことが意図される。本明細書で使用される場合、同位体には、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子が含まれる。一般的な例として、これらに限定されるわけではないが、水素の同位体としてトリチウムおよびジュウテリウムが挙げられ、炭素の同位体として13Cおよび14Cが挙げられる。
【0033】
「1つの(「a」または「an」)」なる単語の使用は、特許請求の範囲および/または明細書において「含む(「comprising」)」なる用語と共に使用される場合、「1つ(「one」)」を意味し得るが、「1つまたは複数(「one or more」)」、「少なくとも1つ(「at least one」)」、および「1つまたは1つより多く(「one or more than one」)」の意味とも一致する。
【0034】
本出願全体を通して、「約(「about」)」なる用語は、値が、当該値を特定するために採用された装置または方法に対する誤差の固有の変動、あるいは研究対象間に存在する変動を包含していることを示すために使用される。
【0035】
「含む(「comprise」)」、「有する(「have」)」、および「含む(「include」)なる用語は、非限定的な連結動詞である。これらの動詞の1つまたは複数の任意の形態または時制、例えば、「含む(「comprises」)」、「含むこと(「comprising」)」、「有する(「has」)」、「有すること(「having」)」、「含む(「includes」)」、および「含むこと(「including」)」なども、非限定的である。例えば、1つまたは複数の工程を「含む(「comprises」)」、「有する(「has」)」、または「含む(「includes」)」任意の方法は、これら1つまたは複数の工程のみを有するようには限定されず、ならびに他の列挙されていない工程も網羅する。
【0036】
明細書および/または特許請求の範囲において使用される場合、「効果的」なる用語は、所望の、期待される、または意図される結果を達成するために適切であることを意味する。
【0037】
上記定義は、参照により本明細書に組み入れられる参考文献のいずれかにおける任意の矛盾する定義より優先される。しかしながら、ある特定の用語が定義されているという事実は、定義されていない任意の用語が不確定であることを示すものと考えるべきではない。むしろ、使用されるすべての用語は、当業者が本発明の範囲を十分理解しかつ本発明を実施することができるように、用語において本発明を説明するものと考えられる。
【0038】
II.フローダイアグラム:二酸化炭素の隔離
図1は、本開示の装置および方法の一般的な例示的態様を示す簡略化されたプロセス−フローダイアグラムを示している。このダイアグラムは、例示目的のみのために提供するものであり、したがって、単に本発明の特定の態様を示すものであって、いかなる点においても特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0039】
図1に示した態様において、塩素アルカリセル100は、これら3つの電源からの電力、すなわち、外部電力(DC1)、および回収電力(DC2およびDC3)を使用して、式1で表される反応を促進する。
2NaCl+2H2O → 2NaOH+Cl2+H2 (1)
この反応から生成される水酸化ナトリウム、塩素、および水素は、それぞれ、噴霧塔脱炭酸装置110、光分解性加水分解120、および工程160に送られる。
【0040】
煙道ガスからの二酸化炭素は、記載されていないが初めに廃熱/DC発生システムと廃熱を交換した後、噴霧脱炭酸装置110において当該工程に入る。塩素アルカリセル100からの水酸化ナトリウムは、噴霧塔脱炭酸装置110において、式2によって表される反応に従って二酸化炭素と反応する。
2NaOH+CO2 → Na2CO3+H2O (2)
この反応から生成される水は、間接的に塩素アルカリセル100へと戻される。
【0041】
塩素アルカリセル100からの塩素は、120でのプロセスにおいて、水との光分解により液化される。正味の反応は、式3で表すことができる。
Cl2+2H2O → 2HCl+1/2O2 (3)
いくつかの態様において、この反応またはその変形は、コバルト含有触媒によって触媒される。例えば、参照によりその全体が本明細書に特に組み入れられる米国特許第4,764,286号を参照されたい。
【0042】
II族の金属のケイ酸塩(CaSiO3および/またはMgSiO3)は、130において当該プロセスに入る。これらの鉱物は、光分解性加水分解120からの塩酸と反応して、対応するII族の金属塩化物(CaCl2および/またはMgCl2)、水、および砂を形成する。当該反応は、式4で表すことができる。
2HCl+(Ca/Mg)SiO3 → (Ca/Mg)Cl2+H2O+SiO2 (4)
この反応から生成される水は、間接的に塩素アルカリセル100に戻される。
【0043】
II族の塩素化130からの(Ca/Mg)Cl2は、石灰発生装置140へ送られ、そこで、噴霧塔脱炭酸装置110からの炭酸ナトリウムと間接的に反応する。この反応は、式5および6で表すことができる2つの半セル反応と接続されている水素ブリッジ150によって媒介される。
Na2CO3+HCl → NaHCO3+NaCl (5)
NaHCO3+(Ca/Mg)Cl2 → (Ca/Mg)CO3+HCl+NaCl (6)
DC電流の形態における式5および6の連結からの電力DC3は、石灰発生装置140から塩素アルカリセル100へと送られる。式5および6によって生成される塩化ナトリウムは、塩素アルカリセル100に送られる。この方式では、電気分解に必要な反応剤(NaCl)が再生成されており、ならびに、適切な条件であれば、電気分解されるように準備され、別のサイクルのCO2を吸収するので、したがって化学ループを形成する。
【0044】
ここで、式1〜6の総和を表す正味の反応は式7のように示される。
CO2+(Ca/Mg)SiO3 → (Ca/Mg)SiO3 + SiO2 (7)
【0045】
塩素アルカリセル100からの水素は、さらに、例えば水素を天然ガスと混合して天然ガスパワー発生機用に設計されかつ発電機に接続されているタービンにおいてこの混合物を燃焼させるいくつかの態様において、または、例えば、水性ガスシフトおよびFischer−Tropsch技術を使用する他の態様において、工程160において二酸化炭素と反応して電力(DC2)を発生させる。DC2は、DC電流の形態において塩素アルカリセル100へと戻される。
【0046】
図1に示し本明細書において説明したプロセスにより、電力は、生成された塩酸の一部からまたはすべてからさえ、直接的および/または間接的に戻すことができ、その一方で、II族の炭酸塩のみが最終隔離材料として生成され、ナトリウム、塩素、および水素の一部またはすべてが循環する。その際に、当該プロセスは、二酸化炭素をその気体状態から捕捉するために使用される水酸化物を発生させるために、低エネルギーのナトリウムベースの塩素電気分解経路を効果的に使用する。
【0047】
これらの方法および装置は、当業者によって適用されるような、化学、化学工学、および/または材料科学の原理および技法を使用することにより、さらに変更、最適化、および規模拡大することが可能である。そのような原理および技法は、例えば、米国特許出願公開第2006/0185985号および同第2009/0127127号、2005年9月22日に出願された米国特許出願第11/233,509号、2005年9月20日に出願された米国特許仮出願第60/718,906号;2005年1月10日に出願された米国特許仮出願第60/642,698号;2004年9月23日に出願された米国特許仮出願第60/612,355号、2008年9月22日に出願された米国特許出願第12/235,482号、2007年9月20日に出願された米国特許仮出願第60/973,948号、2008年2月29日に出願された米国特許仮出願第61/032,802号、2008年3月3日に出願された米国特許仮出願第61/033,298、および2008年9月19日に出願された国際出願第PCT/US08/77122号において教示されている。上記に参照した開示のそれぞれの全文(任意の付録を含む)は、特許権の一部放棄を伴うことなく、参照により本明細書に特に組み入れられる。
【0048】
上記の実施例は、本発明の特定の態様を例示するために含めた。ただし、本開示を鑑みれば、開示された特定の態様に多くの変更を為すことができ、依然として本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく同様または類似の結果を得ることが可能であることを、当業者は理解するはずである。
【0049】
III.二酸化炭素の隔離のためのケイ酸塩鉱物
本発明の局面において、ケイ酸塩鉱物を使用して二酸化炭素を隔離する方法が提供される。当該ケイ酸塩鉱物は、造岩鉱物の最も大きくかつ最も重要なクラスの1つを構成し、地球の外殻のおよそ90パーセントを占める。これらは、それらのケイ酸塩群の構造に基づいて分類される。ケイ酸塩鉱物はすべて、ケイ素および酸素を含有する。本発明のいくつかの局面において、II族のケイ酸塩を使用することにより、エネルギー効率の良い二酸化炭素の隔離を実施することができる。
【0050】
いくつかの態様において、II族のイノケイ酸塩を含む組成物が使用され得る。イノケイ酸塩、または鎖状ケイ酸塩は、単鎖での1:3の比のSiO3か、または二重鎖での4:11の比のSi4O11のどちらかのケイ酸塩四面体の連鎖を有する。いくつかの好ましい態様において、本明細書に開示する方法は、輝石群からのII族のイノケイ酸塩を含む組成物を使用する。例えば、頑火輝石(MgSiO3)を使用してもよい。
【0051】
他の好適な態様において、輝石の群からのII族のイノケイ酸塩を含む組成物が使用される。例えば、珪灰石(CaSiO3)を使用してもよい。さらなる態様において、II族のイノケイ酸塩の混合物を含む組成物、例えば、頑火輝石および珪灰石の混合物を使用してもよい。さらに他の態様において、混合金属のII属のイノケイ酸塩を含む組成物、例えば透輝石(CaMgSi2O6)を使用してもよい。
【0052】
珪灰石は、通常、熱的に変性された、純粋ではない石灰石の共通成分として生じる。通常、珪灰石は、方解石とシリカの間での二酸化炭素の消失を伴う以下の反応(式8)の結果として生じる。
CaCO3+SiO2 → CaSiO3+CO2 (8)
いくつかの態様において、本発明は、この自然のプロセスを効果的に逆転させることによる成果を有している。珪灰石は、スカルン中での拡散反応においても生成され得る。それは、砂岩内の石灰石が岩脈によって変成される時に成長し、結果として、カルシウムイオンが外側へと移動することにより、砂岩中に珪灰石が形成される。
【0053】
いくつかの態様において、II族のイノケイ酸塩組成物の純度は変動してもよい。例えば、開示したプロセスで使用されるII族のイノケイ酸塩組成物は、非II族の金属イオンなど、様々な量の他の成分または鉱物を含有し得ることが想到される。例えば、珪灰石は、それ自身、カルシウムと置き換わっている少量の鉄、マグネシウム、およびマンガンを含有してもよい。
【0054】
IV.石灰石の生成および使用
本発明の局面において、石灰石の形態で二酸化炭素を隔離する方法が提供される。石灰石は、主に鉱物方解石(炭酸カルシウム:CaCO3)で構成された堆積岩である。この鉱物には、多くの用途があり、そのいくつかを以下に特定する。
【0055】
本発明のいくつかの態様において形成されるような粉末または微粉形態の石灰石は、酸性の土壌を中和するために土壌調整剤(農業用石灰)として使用してもよく、それによって、例えば、生態系における酸性雨の影響が中和される。川上用途としては、脱硫化における試薬としての石灰石の使用が挙げられる。
【0056】
石灰石は、煉瓦積みおよび建築物にとって重要な石材である。その利点の1つは、比較的容易にブロック状またはより精巧な彫刻へと切断することができる点である。さらに、長期持続性であり、野ざらしにも耐える。石灰石は、生石灰、モルタル、セメント、およびコンクリートの主成分である。
【0057】
炭酸カルシウムは、白色顔料および安価な充填剤の両方として、紙、プラスチック、塗料、タイル、および他の材料の添加剤としても使用される。
【0058】
精製された形態の炭酸カルシウムは、歯磨き粉に使用したり、パンおよび穀物にカルシウム源として添加したりする場合がある。CaCO3はさらに、一般的に、制酸剤として医薬にも使用される。
【0059】
現在、工業において使用される炭酸カルシウムの大部分が、採鉱または採石によって採取されている。いくつかの態様において二酸化炭素の隔離の一環としてこの鉱物を同時生成することにより、本発明は、この重要な生成物の非採取源を提供する。
【0060】
V.炭酸マグネシウムの生成および使用
本発明の局面において、炭酸マグネシウムの形態において二酸化炭素を隔離する方法を提供する。炭酸マグネシウムMgCO3は、鉱物として自然界に生じる白色固体である。最も一般的な炭酸マグネシウムの形態は、マグネサイト(MgCO3)と呼ばれる無水塩、ならびに、それぞれバーリントン石(MgCO3・2H2O)、ネスケホナイト(MgCO3・3H2O)、およびランスフォルダイト(MgCO3・5H2O)として知られる二水和物、三水和物、および五水和物である。炭酸マグネシウムには様々な用途があり、そのいくつかを以下で簡単に説明する。
【0061】
炭酸マグネシウムは、マグネシウム金属および塩基性耐火煉瓦を製造するために使用することができる。MgCO3はさらに、フローリング、防火加工、消火組成物、化粧品、粉剤、および歯磨き粉においても使用されている。他の用途は、充填材料、プラスチックにおける防炎剤、ネオプレンゴムにおける補強剤、乾燥剤、下剤、および食品における保色用としてである。さらに、高純度の炭酸マグネシウムは、制酸剤として、および食卓塩において流動性を維持するための添加剤として使用される。
【0062】
現在、炭酸マグネシウムは、通常、鉱物マグネサイトの採鉱によって得られる。いくつかの態様において二酸化炭素の隔離の一環としてこの鉱物を同時生成することにより、本発明は、この重要な生成物の非採取源を提供する。
【0063】
VI.二酸化ケイ素の生成および使用
本発明の局面において、副産物として二酸化ケイ素が生成される、二酸化炭素を隔離する方法を提供する。二酸化ケイ素は、シリカとしても知られ、SiO2の化学式を有するケイ素の酸化物であり、その硬度において知られている。シリカは、自然界において砂または石英として、ならびに珪藻の細胞壁中に最も一般的に見られる。シリカは、地球の外殻において最も豊富な鉱物である。この化合物には多くの用途があり、そのいくつかを以下で簡単に説明する。
【0064】
シリカは、主に、窓ガラス、飲み物用グラス、および瓶詰め飲料の製造において使用される。電気通信用の光ファイバーの大部分も、シリカから作られている。シリカは、多くの白色陶磁器セラミック、例えば、陶器、石器、および磁器など、ならびに工業用ポルトランドセメントの主な原料である。
【0065】
シリカは、食品の製造における一般的な添加剤であり、粉末食品において流動化剤として主に使用されるか、または吸湿性用途において水分を吸収するために使用される。シリカは、ろ過から昆虫防除へと多岐にわたって様々に使用される珪藻土の主成分である。シリカは、例えばろ過およびセメント製造などにおいて使用される籾殻灰の主成分でもある。
【0066】
熱酸化法によりシリコンウェハ上に成長させたシリカの薄膜は、マイクロエレクトロニクスにおいて非常に有益であり得、その場合、それらは、高い化学的安定性を有する電気絶縁体としての役割を果たす。電気的用途において、それは、シリコンを保護し、電荷を保持し、電流を遮断し、ならびに電流の流れを制限するための制御経路としての役割も果たし得る。
【0067】
シリカは、水和形態において、歯垢を除去するための硬い研磨剤として歯磨き粉に使用される。
【0068】
通常、シリカは、ガラス、水晶、ゲル、エーロゲル、薄膜化シリカ、およびコロイド状シリカなどのいくつかの形態において製造される。いくつかの態様における二酸化炭素の隔離の一環としてこの鉱物を同時生成することにより、本発明は、この重要な生成物の他の供給源を提供する。
【0069】
VII.廃棄物流からのCO2の水性脱炭酸化(吸収)ならびに炭酸塩および重炭酸塩への転化
上述したように、ある特定の態様において、本開示の装置および方法は、水性脱炭酸化プロセスを採用し、当該プロセスでは、ガス状CO2を水性苛性混合物中に吸収させ、次いでそれを水酸化物と反応させて炭酸塩および重炭酸塩生成物を形成する。本発明の多くの態様では、主な吸収性流体として水酸化ナトリウムを使用する。水酸化ナトリウムは、様々な濃度において、すぐに使用できるCO2吸収体として知られている。二酸化炭素を水酸化ナトリウム水溶液と接触させると、純粋な重炭酸ナトリウム(NaHCO3)から純粋な炭酸ナトリウム(Na2CO3)までに及ぶ生成物の連続体が形成され得、平衡をどちらかの方向に促進するであろう異なる条件を発生させることができる。本発明のいくつかの態様において、二酸化炭素の大部分またはほとんどすべては、この方式において反応させる。いくつかの態様において、当該反応は、完了(またはほぼ完了)へと進行し得て、所望の炭酸塩生成物の十分な濃度が(プロセス化学または様々な手段による水の除去のどちらかによって)達成され得、それによって重炭酸塩、炭酸塩、または両方の混合物の沈殿を生じる。
【0070】
いくつかの態様において、二酸化炭素を水性水酸化ナトリウムと接触させた場合、指示された時間だけ反応が進行するとき、反応チャンバ内の流体の挙動は、図2に示す挙動に近づく。二つの温度変化段階は、二つの別個の反応領域に対応しており、それらを以下に特定する。
1.CO2が容易に吸収される初期吸収段階。OH-濃度の低下に伴って流体の吸収能力が低下し、OH-濃度が使い果たされたとき、吸収は終了し、場合によっては逆転する。この部分では、反応は発熱性であり、ほとんど排他的に炭酸塩を形成する。
2.CO2が容易には吸収されない二次転換段階。煙道ガスによる当該混合物の通過は、流体によるいかなる正味のCO2吸収も生じないが、当該流体は、水の任意の蒸発による蒸発熱の消失によって、蒸気状態へのCO2の任意の消失によって、および生じる任意の吸熱反応によって、かなり冷却される。この段階では、溶液中ですでに形成されている炭酸ナトリウムが、以下の必要な正味の化学量論によって重炭酸ナトリウムへと転換される。
Na2CO3(aq)+H2O(l)+CO2(aq) → 2NaHCO3(aq) (9)
当該二つの段階は、以下の表1に示される特徴によって区別される。
【0071】
(表1)CO2の吸収の際の熱力学および生成物

【0072】
本発明の様々な態様において、重炭酸塩/炭酸塩濃度スペクトルのすべての形態が生成され得る。好ましい態様において、流体の濃度、温度、圧力、流量などを操作して、吸収される「有用な」CO2の割合を最適化することにより、炭酸ナトリウムの形成を最適化することができる。例えば、0.30mの流体深さ/気液接触距離での単段バブルカラム気液接触器で、入ってくるCO2の70%を吸収する条件において、溶液中で純粋な炭酸塩(Na2CO3)を生成することができることが例証されている。理論に束縛されるものではないが、したがって、90%吸収まで外挿することにより、入ってくるCO2の90%を吸収するには、2メートル未満の接触距離で十分なはずである。例えば、特許権の一部放棄を伴うことなく参照により本明細書に特に組み入れられる米国特許出願公開第2009/0127127号を参照されたい。
【0073】
これらの方法および機器は、当業者によって適用されるような、化学、化学工学、および/または材料科学の原理および技法を使用することにより、さらに変更、最適化、および規模拡大することができる。そのような原理および技法は、例えば、2005年9月22日に出願された米国特許出願第11/233,509号、2005年9月20日に出願された米国特許仮出願第60/718,906号;2005年1月10日に出願された米国特許仮出願第60/642,698号;2004年9月23日に出願された米国特許仮出願第60/612,355号、2008年9月22日に出願された、米国特許出願第12/235,482号、2007年9月20日に出願された米国特許仮出願第60/973,948号、2008年2月29日に出願された米国特許仮出願第61/032,802号、2008年3月3日に出願された米国特許仮出願第61/033,298、および2008年9月19日に出願された国際出願第PCT/US08/77122号において教示されている。上記に参照した開示のそれぞれの全文(任意の付録を含む)は、特許権の一部放棄を伴うことなく、参照により本明細書に特に組み入れられる。
【0074】
VIII.生成物の分離
上述したように、ある特定の態様において、本開示の装置および方法は、炭酸塩および重炭酸塩生成物を液体溶液から分離する分離プロセスを採用する。液体溶液生成物の分離は、関連するプロセスを必要とする。水酸化ナトリウム(NaOHまたは苛性ソーダ)で平衡化した液体中での炭酸水素ナトリウム(NaHCO3または重炭酸ナトリウム)および炭酸ナトリウム(Na2CO3またはソーダ灰)の形成は、幅広い温度および圧力において生じ、CO2の部分圧力が異なる場合、平衡の異なる終点を提供する。基本濃度、温度、圧力、反応器サイズ、流体深さ、および炭酸化度を操作することにより、炭酸塩および炭酸水素塩の沈殿物を生じさせることができる。
【0075】
あるいは、いくつかの好ましい態様では、炭酸塩/重炭酸塩生成物を、入ってくる煙道ガスとの熱エネルギーの交換によって水と分離することができる。さらに、炭酸ナトリウムと重炭酸ナトリウムとの間における生成物の溶解度定数の違いから、ある特定の非直感的処理点に到達することができ、例えば、ある特定の苛性溶液中でのナトリウムの炭酸塩の平衡の特異性の1つは、熱を加えることで固体の沈殿を促進するということであり、さらにある特定の条件でも、炭酸塩は、高い純度(93%+)で水溶液から自己沈殿するということも実証されている。
【0076】
あるいは、ある特定の態様では、当該分離プロセスのための熱を、最初の電気分解において発生した水素から導出することができ、あるいは、入ってくる煙道ガス流中に含有される廃熱の使用から導出することもできる。結晶化プロセスは、本質的に、結晶化による精製の周知のプロセスを通じて、結晶性鉱物を精製する。
【0077】
出口の液体流は、反応器の設計に応じて、水、NaOH、NaHCO3、Na2CO3、および他の溶存ガスを、様々な平衡状態において含み得る。溶存する極微量の放出成分、例えば、H2SO4、HNO3、およびHgも見いだすことができる。一態様において、出てくる液体流を分離/除去して、例えば、炭酸塩から水を除去/分離するためには(この語の意味において、「炭酸塩」は、水酸化物が存在することも潜在的に含めて、炭酸塩および重炭酸塩の混合物を意味しており、任意のこのような混合物に適用される任意の分離技術は、おそらく、熱エネルギーを加えて混合物から水を蒸発させることを含むであろう)、再沸器を使用して水を沸騰させることにより、水を蒸発させることができる。あるいは、基本溶液の一部(例えば、およそ1モルのNaOH)を保持し、続いて当該溶液を分離チャンバにおいて加熱することにより、比較的純粋なNa2CO3を保持タンク中に沈殿させて、残るNaOHを反応器へ戻して再循環させてもよい。他の態様において、純粋な炭酸塩、純粋な重炭酸塩、およびこれら2つの混合物を、平衡濃度および/またはスラリーもしくは濃縮形態において、トラック/タンク車へ移送してもよい。他の態様において、液体流を蒸発タンク/フィールドに移動させてもよく、そこでは、水などの液体を蒸発によって留去することができる。
【0078】
ガス状生成物の放出は、NaOHまたはその成分を安全に放出することができるかどうか、すなわち、発電所からの「塩基性雨」の放出が、「酸性雨」の放出と同様に避けられるか否かという懸念を伴う。しかしながら、水酸化ナトリウムは、通常、発電所生産におけるスクラビング成分として使用されており、EPAによって使用を認められている。発電所での水酸化ナトリウムの取り扱いならびに塩基性放出物を回避する手段は、当技術分野において周知である。例えば、簡単で安価な凝縮器/還流ユニットで、排気物中のNaOHの任意のかなりの放出を防ぐことができる。
【0079】
本発明のある特定の態様による炭酸塩分離沈殿法では、炭酸塩の平衡が、二酸化炭素を立体的に束縛し、接触によってガスを吸収し、実質的に瞬時に炭酸イオンへと転換する。当該反応の連鎖は物質移動が制限され得るので、ひとたび二酸化炭素が塩基によって吸収されると、その後のイオン反応は急速に進行する。
【0080】
炭酸ナトリウムの平衡は、温度が上昇すると、Na2CO3が自然に沈殿して集まる特徴を有しており、これによってスラリーとして回収し易くなり、いくらかのわずかなNaOHがスラリー中に抜き取られる。
【0081】
IX.吸収性流体の生成のための低エネルギーでの電気分解
上述したように、ある特定の態様において、本開示の装置および方法は、脱炭酸化プロセスにおいて吸収性流体として使用される水酸化ナトリウムの生成のために、食塩電解を採用する。食塩電解は、濃水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)および塩素ガスの生成において主に使用される電気化学プロセスであり、通常、関連文献全般で式10によって記載されている。
2NaCl+2H2O+e- → 2NaOH+H2(g)+Cl2(g) (10)
【0082】
食塩電解は、通常、三つの一般的なタイプの標準電気分解セル、すなわち隔膜、水銀、および膜セルよって達成される。これらのタイプのセルそれぞれが、同じ投入反応体から同じ産出生成物を生成する。これらは、主に、反応体および生成物を互いから分離する方法において互いに異なる。
【0083】
一態様において、いくつかの要因により、膜セルが使用され得る。第一に、水銀に対する環境上の懸念から、水銀セルの需要が減少した。第二に、隔膜セルは、かなりの濃度の塩および塩化物イオンを含有する比較的弱い苛性生成物を生成する可能性があり、その苛性生成物からかなりの塩含有量を除去するためには、相当な後続の再処理/分離を必要とする。第三に、フッ素化ポリマー技術における向上により、膜セル技術の寿命および電気的効率が増加し、5年を超える寿命が工業市場において常に保証されている。さらに、苛性生成物1トンあたりの電力効率は、好ましい実践において、隔膜セルおよび水銀セルの両方の効率を超える。
【0084】
多くの好ましい態様は、この機能において膜セルを採用し得る。膜セルには、他の食塩電解プロセスを上回るいくつかの利点がある。最初に、膜セルは、任意の環境的に慎重に扱うべき放出物(例えば、水銀)を含有も生成もせず、隔膜セルおよび水銀セルと比較した場合、電気的に効率的である。それらはさらに、濃縮/希釈/補充NaClループを使用するので、連続的な「塩ループ」処理ユニットとしての使用にとっても非常に好適であり得る。次に、膜セルにおいて生成されたNaOHは、さらなる蒸発/濃縮を行わずに、脱炭酸化プロセスでの使用にとって自然と適切なレベルの濃度(例えば、30〜33重量%のNaOH)になり得る。さらに、膜セルによって生成された水素は、「クリーン」で、およそ「電子工業用グレード」であり、NaClまたは他の汚染物質を比較的含有していない。そのため、水素を圧縮して、電子工業用グレードのH2ガスとしてタンクから出して、例えば低級グレードの石炭との燃焼混合などの現場での発電のために、または燃焼技術の利得のために使用することができる。あるいは、当該水素は、脱炭酸化の後に生じ得る分離プロセスのためのボイラー燃料として使用することもできる。膜セル技術はさらに、小さな増分ユニットの追加によって、実験室レベルからプラント規模での生産まで、容易に規模を拡大縮小することができる。加えて、膜プロセスによって生成された塩素ガスは、他の標準的電気分解プロセスによって生成されたものよりも「湿気」が少ない。そのため、水処理用グレードの塩素の生成に対して、一段階圧縮サイクルで十分であり得る。
【0085】
これらの方法および機器は、当業者によって適用されるような、化学、化学工学、および/または物質科学の原理および技法を使用することにより、さらに変更、最適化、および規模拡大することができる。このような原理および手法は、熱力学的効率を改良するための低電圧電気分解(LVE)を使用する手法を含め、例えば、2005年9月22日に出願された米国特許出願第11/233,509号、2005年9月20日に出願された米国特許仮出願第60/718,906号;2005年1月10日に出願された米国特許仮出願第60/642,698号;2004年9月23日に出願された米国特許仮出願第60/612,355号、2008年9月22日に出願された米国特許出願第12/235,482号、2007年9月20日に出願された米国特許仮出願第60/973,948号、2008年2月29日に出願された米国特許仮出願第61/032,802号、2008年3月3日に出願された米国特許仮出願第61/033,298、および2008年9月19日に出願された国際出願第PCT/US08/77122号において教示されている。上記に参照した開示のそれぞれの全文(任意の付録を含む)は、特許権の一部放棄を伴うことなく、参照により本明細書に特に組み入れられる。
【0086】
X.排熱の回収
本発明のある特定の態様は、発電所または煙道ガスもしくは燃焼からの他の高温ガスの形態の多量のCO2放出の存在下で使用されるため、標準的塩素アルカリ工程とは異なり、電気化学セルの最適化において、この「廃」熱を利用する機会が十分にある。例えば、入ってくる煙道ガスの典型的な温度(例えば、静電沈殿処理の後)は、300℃になるだろう。陽極液流体および陰極液流体を加温しながら(LVEの場合、一般的に、>90℃に維持すべきである)、その煙道ガスを熱交換器により300℃未満まで冷却することにより、本発明のいくつかの態様は、陽極液および陰極液の加熱器に関連する電力損失なしに機能させることができる。
【0087】
一般的に、発電所で利用可能な煙道ガスは、100℃(スクラビング済みの典型)、300℃(沈殿処理後)、および900℃(沈殿進入)の間の温度、または他のそのような温度で出てくるため、入ってくる煙道ガスを、例えば、アンモニア−水サイクル(例えば、「Kalina」サイクル)、蒸気サイクル、または同じ熱力学的手段を達成するそのようなサイクルなどの電力回収サイクルとの熱交換によって冷却することにより、かなりの廃熱処理を引き出すことができる。本発明のいくつかの態様は、本発明の試薬/吸収剤の製造の達成をDC電力に頼っているため、当該プロセスは、他の用途のためにDC電力をAC電力に転換することに伴う通常の変成器損失なしで達成される廃熱回収によって、部分的または完全に、直接電力供給することができる。さらに、廃熱利用式エンジンの使用により、発電工程を全く用いることなく、かなりの効率を達成することができる。場合によっては、これらの廃熱回収エネルギー量が、本発明の態様の電力全部を賄うであろう。
【0088】
XI.脱炭酸化プロセスおよび電気分解プロセスからの副産物の生成および使用
上述したように、本開示の装置および方法のいくつかの態様は、塩素ガス、炭酸ナトリウム、および水素ガスをはじめとする、脱炭素化プロセスおよび電気分解プロセスから多数の有用な副産物を生成する。いくつかの態様において、本発明の態様によって生成される水素ガスは、水素エネルギー再捕捉ループに組み込まれる。いくつかの態様において、本発明は、脱炭酸化プロセスのために塩素イオンの移動を減じるために、現在のフッ素化ポリマー膜技術を含み得る。したがって、当該プロセスは、塩素イオンを取り出すために大量のエネルギーおよび費用なしで機能することができ、すなわち、当該脱炭酸化および分離ループは、塩化物を比較的含有していない。
【0089】
A.水素エネルギー再捕捉ループ
本発明の態様によって発生した水素からエネルギーを捕捉するために、いくつかの手法を使用することができる。例えば、水素を、石炭燃料放出を改良するために石炭と共に同時燃焼させてもよい。別の手法は、DC電気の発生のための水素/酸素燃料電池の採用を伴う。さらに別の手法は、発電機に接続されたタービンでの水素の燃焼を伴う。さらに別の手法は、水素を天然ガスと混合し、この混合物を、天然ガスによるパワー発生用に設計されかつ発電機に接続されたタービンにおいて燃焼させることを伴う。任意のこれらの手法を、単独で、または組み合わせて使用してもよく、場合によっては、具体的に言及していない他の手法と一緒に使用してもよい。
【0090】
一態様において、商業燃料電池でのDC電気の生成は、低大気圧において取り扱いが容易で操作も安全であることから有利であり得る。生成された水素の速やかな消費も、食塩電解のための電気負荷コストを直接的に減じ得る。さらに、水素エネルギー回収サイクルをオフピーク発電と共に生じさせ、それに続いてH2を使用してピーク負荷時に電気を提供することができるので、本開示は、反応剤を低コストにおいて作製し、それに続いて、補助的な高コストのピーク時電力を発生させると同時に、脱炭酸化プロセスを実施する。燃料としてまたは燃料電池においてのいずれかのH2燃焼能力により電流生成を増加させることによってプラントのピーク発電を増加させるH2エネルギー回収サイクルの経済的有用性は、自己消費ベースの有用性を提供し得る。
【0091】
B.II族のケイ酸塩の塩素化のための塩素の使用
いくつかの態様において、塩素ガスは塩酸へと液化され得、当該塩酸は、次いで、II族のケイ酸塩鉱物を塩素化するために使用される。それに続いて、当該II族の塩化物は、イオン交換反応において炭酸ナトリウムと反応し得る。上記の式3〜7を参照されたい。
【0092】
塩素の液化とその後の塩酸の使用は、とりわけ塩素市場が飽和している状況において、特に魅力的である。塩素の液化は、式11に従って実施することができる。
Cl2(g)+2H2O(l)+hv(363nm) → 2HCl(l)+1/2O2(g) (11)
いくつかの態様において、そのようにして生成された酸素は、発電所自体の空気入口に戻してもよく、その場合、酸素豊富な入口のプラントは、(a)より高いカルノー効率、(b)より高濃度のCO2出口流、(c)入口空気を加温するためのより低い熱交換、および(d)酸素が豊富でないプラントに勝る他の利点、を有するということが、電力産業調査の過程を通して実証された。他の態様において、酸素は、水素/酸素燃料電池において利用され得る。さらなる態様において、当該酸素は、例えば水素と天然ガスとを混合した混合物を使用する天然ガス発電用に設計されたタービンにおいて、酸化剤の一部としての役割を果たし得る。
【0093】
XII.発生源からの他の汚染物質の除去
発生源からのCO2の除去に加えて、本発明のいくつかの態様において、脱炭酸化条件は、SOXおよびNOXも除去し、かつ、それほどではないにせよ、水銀も除去するであろう。充填式単段脱炭酸装置でのSOX/ArおよびNOX/Arを使用した試験において、煙道ガスのこれらの成分の99%+の除去を実証した(「99%+」とは、14L/分の煙道ガス処理の場合において、どちらの汚染物質の存在も生成された気流中でガスクロマトグラフ技術によって検出できなかったこと、すなわち、それらが効果的に除去されたことを意味する)。本発明のある特定の態様において、NOX、SOX、および水銀化合物の付帯的なスクラビングが、より大きな経済的重要性を担う可能性があり、すなわち、本発明の態様を用いることによって、これらの化合物を多量に含有する石炭を、発電所において、いくつかの態様においては、本発明のある特定の態様のCO2/吸収プロセスの恩恵なしで高級グレードの石炭を処理する場合よりも結果として少ない汚染で燃焼させることが可能である。
【0094】
本明細書において開示し、かつ権利を主張するすべての方法は、本開示を踏まえると、過度な実験を行なうことなく作製し実施することができる。特定の態様の観点から本発明の組成物および方法を説明してきたが、本発明の概念、趣旨、および範囲を逸脱することなく、本明細書において説明した方法、当該方法の工程、または当該工程の順序に対して変形を施すことができることは、当業者には明かであろう。当業者に明らかであるそのような類似の代用および変更はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨、範囲、および概念に含まれるものと見なされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水性混合物中で水酸化物塩を得る工程;
(b)第一の混和物中で第一の炭酸塩を形成するのに好適な条件下で、該水酸化物塩と、放出源によって生成された二酸化炭素とを混和する工程;
(c)対応するII族の塩化物塩、水、および二酸化ケイ素を形成するのに好適な条件下で、II族のケイ酸塩鉱物を塩酸で塩素化する工程;
(d)第二の混和物中でII族の炭酸塩を形成するのに好適な条件下で、該II族の塩化物塩を該第一の炭酸塩と混和する工程;および
(e)該混和物から該II族の炭酸塩を分離する工程
を含む、放出源によって生成された二酸化炭素を隔離する方法であって、それによって該二酸化炭素が鉱物生成物形態へと隔離される、方法。
【請求項2】
(f)第二の塩化物塩を得る工程;および
(g)該第二の塩化物塩を塩素アルカリ条件下で反応させて、塩素、水素、および水酸化物塩を含む生成物を形成する工程
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(b)における水酸化物塩の一部またはすべてが工程(g)から得られる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
(h)塩素を得る工程;および
(i)光分解条件下で該塩素を液化して塩化水素を形成する工程
をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
工程(h)における塩素の一部またはすべてが工程(g)から得られる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
工程(i)の塩化水素の一部またはすべてが、工程(c)においてII族のケイ酸塩鉱物を塩素化するために使用される、請求項4記載の方法。
【請求項7】
工程(d)の反応が電気化学セル中で生じる、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
工程(d)がさらに、
(d)(1)第一の重炭酸塩を形成するのに好適な条件下で、第一の炭酸塩をプロトン源と反応させる工程;および
(d)(2)該第一の重炭酸塩をII族の塩化物塩と反応させて、II族の炭酸塩を形成する工程
を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
工程(d)(2)の反応がさらに、第二の塩化物塩の形成を含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
工程(f)における第二の塩化物塩の一部またはすべてが工程(d)(2)から得られる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
電気化学セルが、第一の電気エネルギー源を生じる、請求項7〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
第一の電気エネルギー源が、電気化学セルの理論上の最大電位に対して70%を超える効率で生じる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
第一のエネルギー源の一部またはすべてが、工程(g)の反応の一部を促進するために使用される、請求項11記載の方法。
【請求項14】
(j)工程(g)の水素の一部またはすべてを使用して、第二のエネルギー源を生じさせる工程
をさらに含む、請求項2〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
第二のエネルギー源の一部またはすべてが、工程(g)の反応の一部を促進するために使用される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
水酸化物塩の一部またはすべてが水酸化ナトリウムである、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
第一の炭酸塩の一部またはすべてが炭酸ナトリウムである、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
II族のケイ酸塩鉱物の一部またはすべてがII族のイノケイ酸塩である、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
II族のケイ酸塩鉱物の一部またはすべてがCaSiO3である、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
II族のケイ酸塩鉱物の一部またはすべてがMgSiO3である、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
II族の塩化物塩の一部またはすべてがCaCl2である、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
II族の塩化物塩の一部またはすべてがMgCl2である、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
II族の炭酸塩の一部またはすべてがCaCO3である、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
II族の炭酸塩の一部またはすべてがMgCO3である、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
第二の塩化物塩の一部またはすべてがNaClである、請求項2〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
光分解条件が、約200nm〜約400nmの波長を有する放射線を含む、請求項4〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
前記波長が約254nmである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記波長が約363nmである、請求項26記載の方法。
【請求項29】
水酸化物を得る工程が、
(a)(1)I族またはII族の塩を得る工程;
(a)(2)酸および水、酸および蒸気、または酸、水、および蒸気と、該塩を混和してプロトン化されたブライン溶液を生成する工程;および
(a)(3)該プロトン化されたブライン溶液を電気分解して水酸化物を生成する工程
を含む、請求項1〜28のいずれか一項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−514877(P2013−514877A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544912(P2012−544912)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/061111
【国際公開番号】WO2011/075680
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(510077794)スカイオニック コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】