説明

IL−15によるB細胞増殖の増強

胚中心におけるB細胞の成長、増殖、および/または分化の調整のための組成物および方法を開示し、IL−15のインヒビター、アンタゴニスト、およびアゴニストの使用を含む。組成物および方法は、B細胞関連障害(B細胞系列の新生物が含まれる)の治療で使用される。IL−15受容体複合体のβサブユニットまたはγサブユニットのいずれかによってIL−15の細胞へのシグナル伝達を防止し、それにより、胚中心におけるB細胞に対するIL−15の生物活性を拮抗することに、IL−15アンタゴニストは有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、B細胞の成長および/または増殖のIL−15関連調整分野にある。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
(関連技術の説明)
抗原活性化B細胞は、胚中心(「GC」)中で増殖および分化する。B細胞は、侵入微生物に対して最適な親和性を有する抗体の産生によって防御する(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。しかし、B細胞は、B細胞前駆体の無制御の成長および増加によって特徴づけられる無数の新生物性状態(neoplastic condition)にも関与する。GCは、特定の微小環境を提供する。この微小環境におけるGC−B細胞の活発な増殖を調節する因子がいくつかの初期のクローンおよび体細胞超変異(様々な高親和性B細胞受容体(「BCR」)の十分なプールが得られるプロセス)の拡大に重大である。同時に、確実に免疫応答を自己抗原に指向させないために、GC内の選択過程を調節する因子も重要である(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。これらのGC反応に重要であることが公知のBCRによって受けられたシグナルが調査されている(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。しかし、GC微小環境由来の補因子は、明確に理解されていない。
【0003】
GC微小環境因子の主な産生者(producer)は、濾胞樹状細胞(FDC)であり、これは、リンパ濾胞中に存在し、これらの生物の間質細胞に属する(非特許文献9;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。FDCは、その表面上に抗原を長期間保持し、GC−B細胞に天然の抗原を提示することが最初に知られた(非特許文献15;非特許文献16)。FDCは、GC−B細胞がIL−2、IL−4、およびIL−10などのサイトカインでの刺激の際にin vitroで生存および増殖するために不可欠である(非特許文献6;非特許文献17)。直接的な細胞−細胞接触および分泌された可溶性因子の両方によるGC−B細胞の生存および増殖を支持する特別な能力に注目したFDCの調査にもかかわらず(非特許文献18;非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21)、同定された因子は今まで完全にFDC効果に代わることが示されていなかった(非特許文献13;非特許文献20;非特許文献22)。したがって、B細胞関連状態(B細胞由来新生物、自己免疫疾患、およびB細胞欠損が含まれる)の治療のためにGC−B細胞の生存および増殖を調整するための新規の組成物および方法が当該分野で必要である。
【非特許文献1】MacLennan,I.C.M、Annu.Rev.Immunology(1994)12:117
【非特許文献2】Liu,Y.−J.ら、Immunology Rev.(1997)156:111
【非特許文献3】Manser,T.、J Immunology(2004)172:3369
【非特許文献4】Lindhout,E.ら、Immunology Today(1997)18:573
【非特許文献5】Pulendran,B.ら、Immunology Today(1997)18:27
【非特許文献6】Choe,J.ら、J.Immunology(1996)157:1006
【非特許文献7】Liu,Y.−J.ら、Nature(1989)342:929
【非特許文献8】Kelsoe,G.、Immunity(1996)4:107
【非特許文献9】Haberman,A.M.ら、Nat Rev Immunology(2003)3:757
【非特許文献10】Hande,S.ら、Immunity(1998)8:189
【非特許文献11】Li,L.ら、Semin Immunology(2002)14:259
【非特許文献12】van Nierop,K.ら、Semin Immunology(2002)14:251
【非特許文献13】Lindhout,E.ら、Histochem J(1995)27:167
【非特許文献14】Tew,J.G.ら、Immunology Rev(1964)156:39
【非特許文献15】Nossal,G.J.ら、1964.Aust.J.Exp.Biol.42:311
【非特許文献16】Kosco−Vilbois,M.H.ら、Current Topics of Microbiology in Immunology(1995)201:69
【非特許文献17】Zhang,X.ら、J.Immunology(2001)167:49
【非特許文献18】Tew,J.G.ら、Immunology Rev.(1990)117:185
【非特許文献19】Grouard,G.ら、Journal of Immunology(1995)155:3345
【非特許文献20】Kim,H.−S.ら、J.Immunology(1995)155:1101
【非特許文献21】Kosco−Vilbois,M.H.、Nat Rev Immunology(2003)3:764
【非特許文献22】van Eijk,M.ら、J Immunology(1999)163:2478
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、IL−15アンタゴニストおよびB細胞関連ヒト疾患の治療のためのアンタゴニストの使用方法に関する。詳細には、このような治療は、B細胞系列の新生物細胞の増殖の阻害を含む。IL−15受容体複合体のβサブユニットまたはγサブユニットのいずれかによってIL−15の細胞へのシグナル伝達を防止し、それにより、胚中心におけるB細胞に対するIL−15の生物活性を拮抗することに、IL−15アンタゴニストは有効である。
【0005】
本発明は、天然のIL−15と免疫反応してIL−15受容体複合体へのシグナル伝達を防止するモノクローナル抗体を含む。本発明は、さらに、IL−15受容体複合体のβサブユニットまたはγサブユニットへのIL−15の結合を阻害または防止することができるヒト化抗体およびヒト抗体を含む。本発明は、なおさらに、IL−15Rαを遮断するアンタゴニスト(この受容体サブユニットに対する抗体が含まれる)を含む。
【0006】
本発明のアンタゴニストには、可溶性IL−15およびIL−15がIL−15受容体複合体のβサブユニットまたはγサブユニットへの結合で役割を果たす1つまたは複数のアミノ酸残基または領域で変異誘発されている成熟(すなわち天然の)IL−15のムテインが含まれる。このようなムテインは、IL−15受容体複合体のβサブユニットまたはγサブユニットのいずれかによるIL−15の細胞へのシグナル伝達を防止する一方で、IL−15Rαに対するIL−15の高親和性を維持する。典型的には、このようなムテインを、配列番号1および2にそれぞれ示すサルおよびヒトIL−15の重要な位置(例えば、Asp56またはGln156)での付加、欠失、または置換によって作製する。Asp56がIL−15受容体複合体のβサブユニットとの結合に影響を与え、Gln156がIL−15受容体複合体のγサブユニットとの結合に影響を与えると考えられる。
【0007】
IL−15Rαへの結合能力が保持されるが、IL−15受容体複合体のβサブユニットおよび/またはγサブユニットに対する親和性が実質的に減少しているか全くない修飾IL−15分子が本発明の範囲内にさらに含まれる。修飾IL−15分子は、通常、標的結合部位またはその付近での修飾によって結合を妨害するか防止するような様式で修飾されている限り、任意の形態を取ることができる。このような修飾IL−15分子の例には、IL−15/IL−15受容体結合を立体的に妨害する1つまたは複数の化学基に共有結合によって抱合した天然のIL−15またはムテインIL−15が含まれる。例えば、天然のIL−15は、部位特異的グリコシル化を含み得るか、IL−15受容体複合体のβ鎖またはγ鎖へのIL−15の結合を妨害する一方でIL−15Rαに対するIL−15の高親和性を維持することができるIL−15分子上の特異的部位でポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシPEG(mPEG)、デキストラン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミノ酸(ポリL−リジンまたはポリヒスチジンなど)、アルブミン、ゼラチンなどの基に共有結合することができる。基の立体障害特性の活用により、特異的受容体サブユニットへの結合を拮抗することができる。IL−2、GM−CSF、アスパラギン、免疫グロブリン、およびヘモグロビンなどのタンパク質へのPEG鎖の抱合の他の利点は、当該分野で公知である。例えば、PEGによってin vivoでの循環半減期が延長され(Delgadoら、,Crit.Rev.Ther.Drug Carr.Syst.,9:249(1992)を参照のこと)、可溶性が増加し(Katreら、,Proc.Natl.Acad.Sci.,84:1487(1987)を参照のこと)、免疫原性が減少する(Katre,N.V.,Immunology 144:209(1990)を参照のこと)。
【0008】
本発明はまた、B細胞上でのIL−15活性の減少が望ましい疾患または状態の治療方法でのアンタゴニストの使用に関する。このような疾患には、白血病およびB細胞リンパ腫が含まれる。
【0009】
したがって、本発明の目的は、抗IL−15抗体を使用したB細胞悪性疾患の治療方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、抗IL−15抗体の投与に治療タンパク質(免疫抱合体または抗体融合タンパク質など)の投与または化学療法薬の投薬計画が捕捉されたB細胞悪性疾患の多様な治療方法を提供することである。
【0011】
これらおよび他の目的は、本発明の1つの実施形態にしたがって、B細胞悪性疾患を罹患した被験体に抗IL−15抗体および薬学的に許容可能なキャリアを投与する工程を含むB細胞悪性疾患の治療法を提供することによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
序論
本発明によれば、IL−15は、濾胞樹状細胞(FDC)によって産生され、FDC/HK細胞の表面上に存在し、IL−15Rαによって補足され、GC−B細胞に移動する(transpresent)。in vivo GC反応を模倣するin vitro実験モデルを使用して、GC−B細胞およびFDCに対するIL−15の機能を研究した。GC−B細胞は、IL−15Rαを発現しないが、シグナル伝達複合体IL−2/15RβおよびRγを発現する。FDC/HK細胞膜上に存在するIL−15は生物学的に活性であり、CD40L刺激後にGC−B細胞の増殖を同時刺激する。この機構の同定により、本発明は、GC−B細胞の正常および異常な増殖を調整する新規の手段を提供する。
【0013】
GC−B細胞のIL−15刺激
IL−15を介したGC−B細胞の刺激機構の発見は、GC起源のB細胞腫瘍が特にIL−15媒介性B細胞刺激のインヒビターを使用した治療の影響を受けることを示す。このようなインヒビターを、本明細書中でより完全に考察する。このような腫瘍の例には、前駆B細胞急性リンパ性白血病(「ALL」)およびリンパ腫が含まれる。
【0014】
いくつかの病状におけるB細胞の役割を解明することがこれまで困難であったので、本明細書中に示すデータは重要である。例えば、遺伝子操作されたマウスにおいて、IL−15が消失しているか発現が強制されたマウスは野生型マウスと比較してB細胞応答の明らかな相違が示されないので、B細胞におけるIL−15の機能についての以前の研究は妨げられている(Kennedy,M.K.ら、2000.J Exp Med 191:771;Lodolce,J.P.ら、1998.Immunity 9:669;Marks−Konczalik,J.ら、2000.Proc Natl Acad Sci U S A 97:11445)。IL−15は、ヒト末梢B細胞の増殖およびIg分泌を増強し(Armitage,R.J.ら、1995.J Immunology 154:483.;Bernasconi,N.L.ら、2002.Science 298:2199.;Litinskiy,M.B.ら、2002.Nat Immunology 3:822.)、抗IgMによって誘導されるアポトーシスを阻害し(Bulfone−Paus,S.ら、1997.Nat Med 3:1124.)、悪性B細胞の増殖を誘導する(Tinhofer,I.ら、2000.Blood 95:610.;Trentin,L.ら、1997.Leuk Lymphoma 27:35)。しかし、GC反応におけるIL−15の生物学的機能は証明されていない。IL−15の役割を解明し、それにより、IL−15のこの効果を調整するための組成物および方法を開発するために、いくつかの研究を本明細書中に記載する。これらの研究により、濾胞樹状細胞がIL−15を産生し、IL−15が濾胞樹状細胞の表面上に存在することが初めて明らかになっている。この細胞表面存在形態では、IL−15は、細胞接触によってBリンパ球増殖を増強する。対照的に、IL−15の可溶性形態は、標的Bリンパ球に対して検出可能な効果がない。下記および実施例に詳述の一連の実験によってこれらが発見された。
【0015】
第1に、GC内のIL−15の細胞供給源を試験した。IL−15mRNAおよび少量の可溶性IL−15がin vitro培養FDCによって産生されることが報告されているにもかかわらず(Husson,H.ら、2000.Cell Immunology 203:134.)、タンパク質レベルでのFDCによるIL−15の産生は以前に証明されていなかった。IL−15mRNAはほぼ遍在的に発現され、タンパク質の産生および分泌は、主に、複雑且つ非効率的な翻訳後機構によって調節される(Waldmann,T.A.ら、1999.Annu Rev Immunology 17:19.;Fehniger,T.A.ら、2001.Blood 97:14.33,34)。本明細書中に開示のデータにより、新たに単離したFDCクラスターの免疫蛍光(「IF」)染色によって示されるように、FDCがIL−15を産生することが明らかである。このin vivo所見は、FDC細胞株(FDC/HK細胞)がIL−15を産生することを示す本明細書中のデータによって確認された。IL−15タンパク質は、FDC/HK細胞の表面上で検出された。膜結合IL−15の特異性を、競合FACS分析およびCTLL−2バイオアッセイの遮断実験によって確認した。しかし、IL−15は、ELISAによってFDC/HK培養上清中で検出されず、これを、CTLL−2アッセイを使用してさらに確認した。
【0016】
表面IL−15発現が行われる機構に拘束されないが、酸処理後のIL−15染色の完全な喪失および外因性IL−15とのインキュベーション後の結合の増強により、IL−15の別の膜形態よりもむしろ受容体繋留機構が強く示唆される。膜貫通形態の変性に起因する酸処理後にIL−15を検出できない可能性を完全に除外することができないにもかかわらず、FDC/HK細胞中でのIL−15Rαの特異的mRNAの発現もこの機構を支持する。
【0017】
GCにおけるIL−15シグナル伝達の生物学的関連性を、IL−15の除去または添加によるGC−B細胞増殖に対するIL−15の効果の測定によって本明細書中に証明する。図5に示すように、GC−B細胞成長は、抗IL−15遮断mAbの存在下で有意に減少し、IL−15を添加した場合に増強された。飽和用量のIL−15(100ng/ml)を含む培養物中のGC−B細胞の回収率は、内因性IL−15活性が遮断mAbによって枯渇した培養物の回収率の4倍であった。
【0018】
IL−15は、in vivoでGC中のFDC上に存在し、FDC/HK細胞由来の内因性IL−15は、in vitroで、Abの遮断によって内因性IL−15が除去された場合に(図5Aの左の最初のバーの4.2×10対図5Bの右端のバーの2.9×10)外因性IL−2のみに匹敵するかそれより高いレベルでGC−B細胞増殖を支持した。さらに、GC−B細胞は、IL−15の存在下で増殖し、IL−15を使用せずに培養した細胞よりも迅速に分裂した。まとめると、これらの結果は、IL−15シグナル伝達が、in vivoでのGCの迅速な中心芽球の増殖を担う機構の1つであり得ることを示す。
【0019】
FDCによるIL−15提示がリンパ腫発生の開始における重要な誘因であり得るので、GC−B細胞増殖におけるIL−15活性のターゲティングによって免疫調整を行うことができる。この機構はまた、胚中心中でのIL−15シグナル伝達阻害によってB細胞リンパ腫の適切な治療法が得られることを示す。
【0020】
B細胞のIL−15刺激の調整による治療の影響を受けやすい状態
胚中心で刺激されたB細胞は、種々の発達経路を取ることができ、そのような経路の中には正常な経路と病的な経路がある。本発明の方法による調整のために選択された経路および関連する病状により、IL−15のアンタゴニスト、刺激因子、またはアゴニストを使用すべきかどうかが決定される。本明細書中に記載の方法による調整に適切な状態および障害を以下に列挙し、その後に詳細に考察する:B細胞リンパ腫、B細胞起源の白血病、抗体免疫不全障害、複合型抗体媒介性(B細胞)および細胞媒介性(T細胞)免疫不全障害、および自己免疫疾患。
【0021】
これらの障害に加えて、本発明はまた、胚中心におけるIL−15を介したB細胞刺激の調整が役割を果たす任意の他の障害の治療を提供する。
【0022】
B細胞リンパ腫
GC−B細胞のIL−15媒介性増殖による治療に適切なリンパ腫には、非ホジキンリンパ腫(非産生性免疫グロブリン遺伝子が再編成された胚中心B細胞由来);B細胞リンパ腫(米国で最も一般的な非ホジキンリンパ腫);ホジキンリンパ腫;小リンパ球性リンパ腫(SLL/CLL);マントル細胞リンパ腫(MCL);濾胞性リンパ腫;辺縁細胞リンパ腫(結節外またはMALTリンパ腫が含まれる);節性リンパ腫または単球様B細胞リンパ腫;脾リンパ腫;びまん性大細胞リンパ腫;バーキットリンパ腫;高悪性度バーキット様リンパ腫;およびリンパ芽球性リンパ腫が含まれる。少なくとも6つの形態学的変異形(variant)(中心芽球型、免疫芽細胞型、I細胞組織球が豊富な型、肉芽腫性リンパ腫症型、未分化型、および血漿芽球性型)のうちの1つならびに少なくとも3つのサブタイプ(縦隔(すなわち胸腺)リンパ腫;原発性滲出性リンパ腫;および血管内リンパ腫(以前に悪性血管内皮リンパ腫と呼ばれていた))のうちの1つとして存在し得るびまん性大細胞リンパ腫も含まれる。
【0023】
ホジキンリンパ腫(ホジキン病)自体が、WHO分類体系下で以下のいくつかのカテゴリーに分類される:結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫;古典的ホジキンリンパ腫(結節性硬化型ホジキンリンパ腫;リンパ球豊富型ホジキンリンパ腫が含まれる);混合細胞型ホジキンリンパ腫;およびリンパ球減少型ホジキンリンパ腫。
【0024】
B細胞増殖障害。本明細書中に記載の治療に適切なB細胞増殖障害には、移植後リンパ球増殖症(PTLD)が含まれる。この障害の初期病変には、形質細胞性過形成、異型リンパ組織過形成、および伝染性単核球症様PTLDが含まれる。他のカテゴリーには、多形PTLDおよび単形PTLDが含まれる。これらの状態がしばしば自発的または移植後免疫抑制の減少にともなって後退するにもかかわらず、これらは致命的であり得る。
【0025】
抗体(B細胞)免疫不全障害。B細胞の分化および増殖の欠損に関連する抗体障害は、IL−15誘導性GC−B細胞増殖の増強による治療の影響を受けやすい。これらの障害には、以下が含まれる:X連鎖低ガンマグロブリン血症(先天性低ガンマグロブリン血症);乳児期一過性低ガンマグロブリン血症;分類不能型免疫不全(common,variable,unclassifiable immunodeficiency)(後天性低ガンマグロブリン血症);高IgM免疫不全;低ガンマグロブリン血症を伴う好中球減少;多糖類抗原無応答性;選択的IgA欠損症;選択的IgM欠損症;IgGサブクラスの選択的欠乏;薬物、タンパク質漏出性状態に関連する二次的B細胞免疫不全;およびX連鎖リンパ球増殖症。
【0026】
複合型抗体媒介性(B細胞)および細胞媒介性(T細胞)免疫不全障害。B細胞免疫不全障害のためのこれらの疾患のB細胞成分の増強を上記考察のように行うことができる。このような疾患には、以下が含まれる:重症複合免疫不全症(常染色体劣性X連鎖散発性);免疫グロブリン産生異常を伴う細胞性免疫不全(ネゼロフ症候群);毛細管拡張性失調症を伴う免疫不全;湿疹および血小板減少症を伴う免疫不全(ウィスコット・オールドリッチ症候群);胸腺腫を伴う免疫不全;短肢小人症を伴う免疫不全;アデノシンデアミナーゼ欠乏症を伴う免疫不全;ヌクレオシドホスホリラーゼ欠乏症を伴う免疫不全;ビオチン依存性マルチプルカルボキシラーゼ欠損症;移植片対宿主(GVH)病;および後天性免疫不全症候群(AIDS)。
【0027】
自己免疫疾患。B細胞は、免疫グロブリンを産生し、抗体媒介自己免疫で重要な役割を果たす。出生時からの抗μ抗体の投与によって産生されたB細胞欠損マウスは、いくつかの自己免疫疾患(実験的自己免疫性脳髄膜炎および自然発症インスリン依存型糖尿病が含まれる)に耐性を示した。(Looney,Ann.Rheum.Dis.61:863。)遺伝的にB細胞が欠損したマウスも、自己免疫疾患を発症する傾向が比較的低い場合がある。例えば、Chanら、J.Immunol.160:51−59(1998)に記載のように、B細胞欠損マウスでは、自己抗体が存在せず、リンパ器官中のT細胞の増加が防止された。抗CD−20抗体を使用したB細胞の枯渇は、自己免疫性血球減少症などの自己免疫疾患の治療で治療効果を示し得る。潜在的病原性抗体の減少に加えて、B細胞の減少により、T細胞活性を調整し、自己抗原に対する免疫応答をさらに減少させることができる(Goroznyら、Arthritis Res.Ther.5:131−135,2003)。
【0028】
自己免疫疾患の誘導および進行におけるB細胞の重要な役割の実質的証拠が存在する。したがって、本発明の方法は、B細胞発生の阻害およびそれによる患者における病原性自己抗原レベルの減少または防止による自己免疫疾患の治療で使用される。このような治療に影響を受けやすい自己免疫疾患には、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性神経障害(ギラン・バレーが含まれる)、および自己免疫性ぶどう膜炎などの神経系疾患が含まれる。胃腸管疾患には、クローン病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、および自己免疫性肝炎が含まれる。血液関連疾患には、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、および自己免疫性血小板減少症が含まれ、血管に影響を与える疾患には、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、血管炎(ウェゲナー肉芽腫症およびベーチェット病が含まれる)が含まれる。内分泌腺疾患には、I型または免疫介在性糖尿病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、ならびに副腎の自己免疫疾患が含まれる。皮膚疾患には、乾癬、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、および白斑が含まれる。最後に、多臓器に影響を与える疾患(結合組織疾患とも呼ばれる)には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎および皮膚筋炎、脊椎関節症(強直性脊椎炎が含まれる)、ならびにシェーグレン症候群が含まれる。
【0029】
B細胞白血病。急性リンパ性白血病(ALL)もB細胞のIL−15刺激の阻害を使用した治療の影響を受けやすい。ALLは、成熟が停止したリンパ様前駆細胞のクローン増殖に起因する悪性細胞障害である。ALLは、B細胞白血病、T細胞白血病、および混合細胞型白血病を発症するB系列またはT系列の細胞に由来し得る。B細胞白血病および混合細胞型白血病は、本明細書中の方法を使用した治療に適切である。成人では、ALLは、白血病の約20%(Brincker,H.,Scand.J.Maematol.29:241−249,1982)、全がんの約1〜2%(Boring,CC.ら、,Cancer J.Clin.44:7−16,1994)を構成する。B細胞関連ALL分類には、初期プレB細胞ALL;プレB細胞ALL;一過性プレB細胞ALL;および成熟B細胞ALLが含まれる。成熟B細胞ALLは、バーキットリンパ腫の白血病段階(phase)を示す(Magrath,I.T.ら、,Leukemia Res.4:33−59,1979)。
【0030】
IL−15アンタゴニスト。胚中心においてIL−15効果を調整することができる本発明のIL−15アンタゴニストには、(a)胚中心B細胞のIL−15βおよび/またはγ受容体サブユニットへのIL−15−Rα結合IL−15の結合を遮断すると予想される可溶性IL−15、(b)IL−15受容体のαサブユニットに結合してIL−15受容体複合体のβおよび/またはγサブユニットを介したシグナルを伝達できなくする成熟(すなわち、天然の)IL−15のムテイン、(c)IL−15がIL−15受容体複合体のβおよび/またはγサブユニットを介してシグナル伝達するのを妨げるIL−15に対するモノクローナル抗体、および(d)IL−15がIL−15受容体複合体のβまたはγサブユニットのいずれかによってシグナル伝達する能力を妨害するが、IL−15RαへのIL−15結合を妨害しない化学基と共有結合するIL−15分子が含まれる。上記のムテインをコードするポリヌクレオチドも本発明の範囲内に含まれる。
【0031】
「IL−15ムテイン」または「IL−15のムテイン」は、IL−15のアンタゴニストを産生するように本発明にしたがって変異されている配列番号1のアミノ酸49〜162の配列を有する成熟(すなわち、天然)サルIL−15分子または配列番号2のアミノ酸49〜162の配列を有するヒトIL−15分子をいう。このようなIL−15ムテインは、IL−15Rαサブユニットに結合することができ、IL−15受容体複合体のβまたはγサブユニットを介したシグナルを伝達することができない。
【0032】
Grabsteinら、Science,264:965(1994)(本明細書中で参考として援用される)に記載の手順に従うか、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの従来の手順によってヒトまたはサルIL−15を得ることができる。アンタゴニストを産生することができる多数の可能なIL−15の変異が存在する。βまたはγサブユニットシグナル伝達を担うと考えられる特定のアミノ酸部位でこのような変異を行うことができるか、βまたはγサブユニットのシグナル伝達に必要と見なされるIL−15の全領域にわたって変異させることができる。典型的には、アミノ酸残基の付加、置換、または欠失として変異させることができる。好ましくは、置換および欠失ムテインが好ましく、置換ムテインが最も好ましい。
【0033】
Asp56はIL−15受容体複合体のβサブユニットとの結合に影響を与え、Gln156はIL−15受容体複合体のγサブユニットとの結合に影響を与えると考えられる。Asp56およびGln156部位付近またはこれらの部位での他の天然に存在するアミノ酸残基の付加または置換は、IL−15受容体複合体のβまたはγサブユニットのいずれかまたは両方へのIL−15の結合に影響を与え得る。例えば、負電荷のアスパラギン酸残基の除去および別の負電荷の残基との置換は、アスパラギン酸を正電荷のアミノ酸(アルギニンなど)または非荷電残基(セリンまたはシステインなど)と置換した場合ほど受容体結合の遮断で有効でないかもしれない。
【0034】
IL−15ムテインの組換え産生には、IL−15ムテインをコードするDNAクローン(すなわち、cDNA)の単離が最初に必要である。cDNAクローンは、哺乳動物IL−15ポリペプチドを発現する初代細胞または細胞株に由来する。最初に総細胞mRNAを単離し、その後にcDNAライブラリーを逆転写によってmRNAから作製する。上記の異種間ハイブリッド形成のプローブまたはPCRプライマーをデザインするために本明細書中に提供したDNA配列情報を使用してcDNAクローンを単離し、同定することができる。このようなcDNAクローンは、配列番号1および配列番号2の配列を有する。IL−15ムテインの組換え産生は、米国特許第6,177,079号(参考として援用される)に記載されている。
【0035】
アミノ酸の残基もしくは配列の種々の付加もしくは置換または活性に不要な末端もしくは内部の残基もしくは配列の欠失をコードする透過なDNA構築物は、本発明の方法に有用である。例えば、IL−15のN−グリコシル化部位を、グリコシル化を排除し、哺乳動物および酵母の発現系で炭水化物アナログの発現を減少させるように修飾することができる。真核生物ポリペプチド中のN−グリコシル化部位は、アミノ酸トリプレットAsn−X−Y(式中、XはPro以外の任意のアミノ酸であり、YはSerまたはThrである)によって特徴づけられる。サルIL−15タンパク質は、配列番号1のアミノ酸127〜129および160〜162に2つのこのようなトリプレットを含む。ヒトIL−15タンパク質は、配列番号2のアミノ酸119〜121、127〜129、および160〜162に3つのこのようなトリプレットを含む。これらのトリプレットをコードするヌクレオチド配列の適切な置換、付加、または置換により、Asn側鎖での炭水化物残基の結合が防止される。Asnが異なるアミノ酸と置換されるように選択された1つのヌクレオチドの変化は、例えば、N−グリコシル化部位の不活化に十分である。タンパク質中のN−グリコシル化部位の不活化に公知の手順には、米国特許第5,071,972号および欧州特許第276,846号(本明細書中で参考として援用される)に記載の手順が含まれる。
【0036】
組換え発現ベクターには、IL−15ムテインをコードする合成またはcDNA由来のDNAフラグメントが含まれる。IL−15ムテインをコードするDNAは、適切な転写もしくは翻訳調節配列または構造ヌクレオチド配列(哺乳動物、細菌、ウイルス、または昆虫の遺伝子由来の配列など)に作動可能に連結される。調節配列の例には、例えば、遺伝子発現の調節の役割を果たす遺伝子配列(例えば、転写プロモーターまたはエンハンサー)、転写を調節するための任意選択的なオペレーター配列、適切なmRNAリボゾーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の開始および終結を調節する適切な配列が含まれる。ヌクレオチド配列は、調節配列が構造遺伝子と機能的に関連する場合に作動可能に連結される。例えば、シグナルペプチドが前駆アミノ酸配列の一部として発現し、IL−15ムテイン分泌に関与する場合、シグナルペプチドのDNA配列(分泌リーダー)は、IL−15ムテインの構造遺伝子DNA配列に作動可能に連結することができる。さらに、プロモーターヌクレオチド配列が構造遺伝子のヌクレオチド配列の転写を調節する場合、プロモーターヌクレオチド配列は、コード配列(例えば、構造遺伝子DNA)に作動可能に連結する。なおさらに、リボゾーム結合部位が翻訳を促進するようにベクター内に存在する場合、リボゾーム結合部位は、構造遺伝子のヌクレオチドコード配列(例えば、IL−15ムテイン)に作動可能に連結することができる。
【0037】
IL−15ムテインの発現に適切な宿主細胞には、適切なプロモーターの調節下での原核生物、酵母、または高等真核細胞が含まれる。原核生物には、グラム陰性生物またはグラム陽性生物(例えば、大腸菌またはバチルス)が含まれる。形質転換に適切な原核生物宿主細胞には、例えば、大腸菌、枯草菌、ネズミチフス菌、およびシュードモナス属、ストレプトマイセス属、およびスタフィロコッカス属の範囲内の種々の他の種が含まれる。適切な宿主細胞の例には、出芽酵母などの酵母、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞、または昆虫細胞も含まれる。無細胞翻訳系を使用し、本明細書中に開示のDNA構築物由来のRNAを使用して、IL−15ムテインを産生することもできる。細菌、昆虫、酵母、および哺乳動物細胞宿主と共に使用される適切なクローニングベクターおよび発現ベクターは、例えば、Pouwels ら、Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,N.Y.,1985に記載されている。
【0038】
IL−15ムテインを酵母宿主細胞中で発現する場合、IL−15ムテインをコードするヌクレオチド配列(例えば、構造遺伝子)は、リーダー配列を含み得る。リーダー配列は、酵母宿主細胞によって翻訳されたポリペプチドの細胞外分泌を改良することができる。
【0039】
IL−15ムテインを調製および精製する方法は、米国特許第6,177,079号(本明細書中で参考として援用される)に記載されている。好ましくは、IL−15(配列番号1に示すアミノ酸残基49〜162の配列を有するサルIL−15または配列番号2に示すアミノ酸残基49〜162の配列を有するヒトIL−15)のアミノ酸残基Asp56またはGln156の少なくとも1つが欠失されているか異なる天然に存在するアミノ酸残基と置換されているIL−15のムテインを使用する。置換および/または欠失を任意に組み合わせることができる。例えば、Asp56を欠失させる一方で、Asp56を任意の他のアミノ酸に置換するか、Asp56およびGln156の両方をそれぞれ同一または異なるアミノ酸部分と置換することができる。さらに、Asp56を任意のアミノ酸と置換する一方で、Gln156を欠失させることができる。一般に、置換ムテインが好ましく、IL−15分子の天然の折り畳みに重大な影響を与えない置換ムテインがより好ましい。置換ムテインには、好ましくは、Asp56がセリンまたはシステインに置換されているか、Gln156がセリンまたはシステインに置換されているか、Asp56およびGln156の両方がそれぞれセリンまたはシステインに置換されている置換ムテインが含まれる。欠失ムテインの例には、成熟IL−15のAsp56およびGln156の両方が欠失しているか、Asp56のみが欠失しているか、Gln156のみが欠失している欠失ムテインが含まれる。Asp56およびGln156のいずれかの領域中の他のアミノ酸残基を置換または欠失させ、IL−15受容体複合体のβまたはγサブユニットのいずれかまたは両方を介したシグナル伝達の防止効果をさらに有し得ることが可能である。したがって、本発明は、さらに、Asp56およびGln156の領域内のアミノ酸残基が置換または欠失しており、且つIL−15アンタゴニスト活性を有するムテインを使用する。このようなムテインを、本明細書中に記載の方法を使用して作製することができ、従来の方法を使用してIL−15アンタゴニスト活性をアッセイすることができる。本発明で使用されるIL−15ムテインを作製するために使用することができる方法のさらなる説明は、米国特許第6,177,079号に記載されている。
【0040】
本明細書中で使用される成熟IL−15ポリペプチド(配列番号1のアミノ酸49〜162の配列を含む成熟サルIL−15および配列番号2のアミノ酸残基49〜162の配列を有する成熟ヒトIL−15分子)およびIL−15ムテインを、他の化学部分との共有結合性抱合体または凝集抱合体の形成によって修飾することができる。このような部分には、IL−15受容体複合体のβ鎖またはγ鎖へのIL−15の結合を妨害する一方で、IL−15Rαに対するIL−15の高親和性を維持することができるIL−15分子上の特定の部位にPEG、mPEG、デキストラン、PVP、PVA、ポリアミノ酸(ポリ−L−リジンまたはポリヒスチジンなど)、アルブミン、およびゼラチンが含まれる。さらに、IL−15を、IL−15受容体複合体のβ鎖またはγ鎖へのIL−15の結合を妨害する一方で、IL−15Rαに対するIL−15の高親和性を維持することができる部位で特異的にグリコシル化することができる。抱合に好ましい基は、PEG、デキストラン、およびPVPである。PEGが本発明での使用に最も好ましく、PEGの分子量は、好ましくは、約1,000〜約20,000である。IL−15の抱合での使用には分子量約5000が好ましいが、他の分子量のPEG分子も適切であろう。種々のPEG形態が本発明での使用に適切である。例えば、in vivoで水素結合に感受性を示すエステル結合が得られるコハク酸スクシンイミジルPEG(SS−PEG)、in vivoでウレタン結合が得られ、加水分解に対して安定な炭酸スクシンイミジルPEG(SC−PEG)、in vivoで安定なエーテル結合が得られるプロピオン酸スクシンイミジルPEG(SPA−PEG)、ビニルスルホンPEG(VS−PEG)、およびマレイミドPEG(Mal−PEG)の形態(全てShearwater Polymers,Inc.(Huntsville,Ala)から市販されている)を使用することができる。一般に、SS−PEG、SC−PEG、およびSPA−PEGは、ポリペプチド中のリジン残基と特異的に反応するのに対して、VS−PEGおよびMal−PEGはそれぞれ遊離システイン残基と反応する。しかし、Mal−PEGは、アルカリpHでリジン残基と反応する傾向がある。好ましくは、SC−PEGおよびVS−PEGが好ましく、SC−PEGは、そのin vivo安定性およびリジン残基との特異性のために最も好ましい。
【0041】
PEGの巨大な分子サイズを活用するために、戦略上重要な部位内でPEG部分をIL−15に結合させることができる。米国特許第6,177,079号に記載のように、タンパク質中に天然に存在するリジン残基またはシステイン残基の使用または部位特異的PEG化によってPEG部分をIL−15に結合させることができる。1つの部位特異的PEG化法は、システイン残基またはリジン残基を特定のアミノ酸位置でIL−15に移入するタンパク質操作法による。IL−15に抱合したPEG鎖の巨大な分子サイズは、IL−15受容体複合体のβおよび/またはγサブユニットに結合するがαサブユニットに結合しないIL−15領域を遮断すると考えられる。PEGをIL−15を含む塩基性溶液に添加する添加反応によって抱合することができる。典型的には、(1)約pH9.0およびSC−PEGのリジン残基に対する分子比が約1:1〜100:1またはそれ以上、または(2)約pH7.0およびVS−PEGのシステイン残基に対する分子比が約1:1〜100:1またはそれ以上のいずれかでPEG化する。
【0042】
あるいは、本発明のアンタゴニストは、IL−15受容体複合体の任意のβまたはγサブユニットへのIL−15の結合を妨害するIL−15に対するモノクローナル抗体の形態を取ることができる。本発明の1つの態様内で、IL−15(その誘導体が含まれる)およびIL−15などのこれらのタンパク質の一部またはフラグメントを使用して、IL−15に特異的に結合する抗体を調製することができる。本発明の文脈内で、用語「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、そのフラグメント(F(ab’)2およびFabフラグメントなど)、および組換えによって産生された結合パートナーが含まれると理解すべきである。当業者は、モノクローナル抗体または結合パートナーの親和性を容易に決定することができる(Scatchard,Ann.N.Y.Acad.Sci.,51:660−672(1949))を参照のこと)。このようなモノクローナル抗体の特定の例には、M110、M111、およびM112と指定されたクローンによって産生される抗体(IgG1モノクローナル抗体である)が含まれる。ハイブリドーマ産生モノクローナル抗体であるM110、M111、およびM112を、1996年3月13日にAmerican Type Culture Collection,Rockville,Md.,USA(ATCC)に寄託し、アクセッション番号HB−12061、HB−12062、およびHB−12063をそれぞれ割り当てられた。ブダペスト条約の条項に従って全ての寄託を行った。
【0043】
一般に、IL−15に対するモノクローナル抗体を、以下の手順を使用して米国特許第6,177,079号に記載のように生成することができる。簡潔に述べれば、精製IL−15、そのフラグメント、合成ペプチド、またはIL−15を発現する細胞を使用し、それ自体が公知の技術(例えば、米国特許第4,411,993号に記載の技術)を使用して、IL−15に対するモノクローナル抗体を生成することができる。マウスを、フロイント完全アジュバントまたはRIBIアジュバント(RIBI Corp.,Hamilton,Mont.)に乳化した免疫原としてIL−15で免疫化し、10〜100μgの範囲の量で皮下または腹腔内に注射する。10〜12日後、免疫化動物を、フロイント不完全アジュバントに乳化したさらなるIL−15で追加免疫する。その後、1週間〜2週間ごとの免疫化スケジュールで定期的に追加免疫する。眼窩後出血またはテールチップ(tail−tip)切除によって血清サンプルを定期的に採取し、ドットブロットアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、またはCTLL−2細胞上のIL−15活性の阻害によってIL−15抗体を試験する。
【0044】
適切な抗体力価の検出後、陽性動物に、IL−15を含む生理食塩水をさらに静脈内注射する。3〜4日後、動物を屠殺し、脾細胞を採取し、脾細胞をマウス骨髄腫細胞株(例えば、NS1またはP3x63Ag8.653(ATCC CRL 1580))と融合する。融合物はハイブリドーマ細胞を生成し、これらを、非融合骨髄腫細胞および骨髄腫ハイブリッドの増殖を阻害するためのHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン)選択培地を含む多マイクロタイタープレート中にプレートする。
【0045】
Engvallら、Immunochem.8:871,1971および米国特許第4,703,004号に開示の技術を適合させたELISAによって、精製IL−15に対する反応性についてハイブリドーマ細胞をスクリーニングする。好ましいスクリーニング技術は、Beckmannら、(J.Immunology 144:4212,1990)に記載の抗体捕捉技術である。陽性ハイブリドーマ細胞を、同系Balb/cマウスに腹腔内注射して、高濃度の抗IL−15モノクローナル抗体を含む腹水を産生することができる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を、種々の技術によって、in vitroでフラスコまたはローラーボトル中にて成長させることができる。マウス腹水中に産生されたモノクローナル抗体を、硫酸アンモニウム沈殿およびその後のゲル排除クロマトグラフィによって精製することができる。あるいは、IL−15への結合に基づいてアフィニティクロマトグラフィを行うことができるので、プロテインAまたはプロテインGへの抗体の結合に基づいたアフィニティクロマトグラフィを使用することもできる。
【0046】
本明細書中で参考として援用される開示および材料を使用して他の抗体を調製することができ、これらは本発明で有用である。ヒト化抗体の生成のために使用される手順を、米国特許第4,816,567号、同第6,500,931号、およびWO 94/10332号(全て本明細書中で参考として援用される)に見出すことができる。ヒト抗体の生成手順(ヒト抗体タンパク質をコードするポリヌクレオチドを発現するマウスまたは他の哺乳動物の使用など)は、例えば、米国特許第6,075,181号;同第6,111 ,166号;同第6,673,986号;同第6,680,209号;および同第6,682,726号(全て本明細書中で参考として援用される)に開示されている。マイクロボディ(microbody)の生成手順を、WO 94/09817号に見出すことができ、トランスジェニック抗体のさらなる生成手順を、英国特許第2 272 440号(全て本明細書中で参考として援用される)に見出すことができる。
【0047】
本発明の方法で使用されるさらなるアンタゴニストには、IL−15Rαサブユニットに対するアンタゴニストが含まれる。このようなアンタゴニストは、例えば、米国特許第5,591,630号(本明細書中で参考として援用される)に開示されている。
【0048】
モノクローナル抗体がアンタゴニストであることを決定するために、スクリーニングアッセイの使用が好ましい。この目的にはCTLL−2増殖アッセイが好ましい。Gillis and Smith,Nature 268:154(1977)(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。簡潔に述べれば、モノクローナル抗体、PEG化IL−15、およびIL−15ムテインのアンタゴニスト活性を、修正CTLL−2細胞Hチミジン組み込みアッセイを使用して評価することができる(Gillisら、,Id.)。アンタゴニストを96ウェル平底組織培養プレート(Costar,Cambridge,Mass.)中の最終体積50μlのDMEM培地(5%FCS、NEAA、NaPyruvate、HEPES(pH7.4)、2−me、PSGを補足)で連続希釈することができる。次いで、サンプルの連続希釈後および細胞の添加前に、最適以下の(suboptimal)量のIL−15(最終濃度20〜40pg/ml)を全てのアッセイウェル(5μl/ウェル)に添加する。洗浄したCTLL−2細胞を添加し(50μl中に約2000個/ウェル)、プレートを、10%CO大気の加湿雰囲気下にて37℃で24時間インキュベートする。これの後に、0.5μCiのH−チミジン(25Ci/mMol,Amersham,Arlington Heights,III)と5時間インキュベートした。次いで、培養物をガラス繊維フィルターで回収し、多検出ダイレクトβカウンター(Matrix 96,Packard Instrument Company,Meridien,Conn.)またはβシンチレーションカウンターのいずれかによるavalancheガスイオン化によって計数する。アッセイによって得た1分あたりの数(CPM)を、阻害率に変換し、滴定した各アンタゴニストサンプルの阻害率の値を使用して、単位/mlでのアンタゴニスト活性を計算する。
【0049】
CTLL阻害アッセイで40pg/mlのIL−15を中和するのに必要な濃度を示すデータを、以下の表Iに示す。以下の表IIは、CTLLおよびCTLL阻害アッセイにおけるIL−15活性(アゴニスト活性)およびIL−15アンタゴニスト活性を示す。
【0050】
【表1】

OD=280nmでの光学密度の吸光度;減衰係数1.35、AAA=アミノ酸分析、PEGf−s−IL15+PEG化フラッグサルIL−15。
【0051】
【表2】

Q156C=Cysと置換したGln156
Q156S=Serと置換したGln156
D56C=Cysと置換したAsp56
D56S=Serと置換したAsp56
NA:アッセイせず。
【0052】
本発明のアンタゴニストは、上記および以下により詳述するように、GC起源のB細胞腫瘍および胚中心でのB細胞増殖の阻害が望ましい状態の治療で使用される。
【0053】
上記のように、本発明の別の実施形態は、本発明のIL−15ムテインをコードする核酸を使用する。このような核酸は、配列番号1の144〜486および配列番号2の144〜486のヌクレオチド配列を有するRNAまたはcDNAのいずれかを含む。IL−15ムテインをコードするcDNAを含む発現ベクターおよびこのような発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞が本発明の範囲内にさらに含まれる。形質転換宿主細胞は、標準的な手順を使用して組換え発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされている細胞である。発現した哺乳動物IL−15は、宿主細胞および宿主細胞に挿入された遺伝子構築物の性質に依存して、宿主細胞内に存在し、そして/または培養上清に分泌されるであろう。任意の上記IL−15アンタゴニストを含む薬学的組成物は、本発明に含まれる。
【0054】
IL−15のアンタゴニストの投与。本発明は、適切な希釈剤またはキャリア中に有効量のIL−15アンタゴニストを含む薬学的組成物の使用方法を提供する。本発明のIL−15アンタゴニストを、薬学的に有用な組成物の調製のために使用される公知の方法にしたがって処方することができる。IL−15アンタゴニストを、唯一の活性材料(active material)として、もしくは他の公知の活性材料とともにのいずれかで、薬学的に適切な希釈剤(例えば、Tris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、乳化剤、可溶化剤、アジュバント、および/またはキャリアと混合物に組み合わせることができる。適切なキャリアおよびその処方物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th ed.1980,Mack Publishing Co.に記載されている。さらに、このような組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)、金属イオンと複合体形成しているか、高分子化合物(ポリ酢酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなど)に組み込まれているか、リポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単層または多層小胞、赤血球ゴースト、またはスフェロブラストに組み込まれているIL−15アンタゴニストを含み得る。このような組成物は、IL−15アンタゴニストの物理的状態、可溶性、安定性、in vivo放出速度、in vivoクリアランス速度に影響を与える。IL−15アンタゴニストを、組織特異的受容体に対する抗体、リガンド、または抗原に抱合するか、組織特異的受容体のリガンドにカップリングすることもできる。
【0055】
本発明のIL−15アンタゴニストを、局所、非経口、直腸、または吸入によって投与することができる。用語「非経口」には、皮下注射、静脈内、筋肉内、槽内への注射、または注入技術が含まれる。これらの組成物は、典型的には、有効量のIL−15アンタゴニストを単独または有効量の任意の他の活性材料と組み合わせて含む。組成物中に含まれるこのような投薬量および所望の薬物濃度は、多数の要因(意図する用途、患者の体重および年齢、ならびに投与経路が含まれる)によって種々に変化し得る。動物試験によって予備用量を決定することができ、ヒト投与のための投薬量を当該分野で許容された慣習にしたがって増減することができる。
【0056】
好ましくは、抗IL−15抗体を、低タンパク質用量(20〜100mgタンパク質/投与など)で、1回または繰り返し非経口投与する。あるいは、抗IL−15抗体を、30〜90mgタンパク質/投与、40〜80mgタンパク質/投与、または50〜70mgタンパク質/投与の用量で投与する。
【0057】
本発明の抗IL−15抗体の成分、免疫抱合体、および融合タンパク質を、薬学的に有用な組成物を調製するための公知の方法にしたがって配合し、それにより、治療タンパク質を薬学的に許容可能なキャリアとの混合物に組み合わせることができる。レシピエント患者がその投与に耐えることができる場合、組成物は、「薬学的に許容可能なキャリア」であるといわれる。滅菌リン酸緩衝化生理食塩水は、薬学的に許容可能なキャリアの一例である。他の適切なキャリアが当業者に周知である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Ed.(1995)を参照のこと。
【0058】
治療目的のために、抗体成分(または免疫抱合体/融合タンパク質)および薬学的に許容可能なキャリアを、治療有効量で患者に投与する。投与量が生理学的に有意である場合、抗体成分の組成物(任意選択的に免疫抱合体/融合タンパク質を含む)と薬学的に許容可能なキャリアとの組み合わせを、「治療有効量」で投与するという。その存在によってレシピエント患者の生理学的性質が検出可能に変化する場合、薬剤は生理学的に有意である。本文脈では、その存在によって標的腫瘍細胞の成長が阻害される場合、薬剤は生理学的に有意である。
【0059】
リンパ腫治療のために、現在使用されている抗リンパ腫療法(放射線療法、化学療法、および/または生物学的療法が含まれる)と組み合わせてGC−B細胞のIL−15刺激の阻害を行うことができる。生物学的療法は、一般に、インターフェロン療法およびモノクローナル抗体から構成される。インターフェロン療法は、NHLで研究された最初の生物学的治療であった。無痛性リンパ腫の治療のために欧州で広く使用されているが、米国ではまれにしか使用されていない。インターフェロン維持療法使用についてのデータにより、無疾患生存の延長が示唆されるが、一貫した全延命効果は示唆されない(Hagenbeekら、,Blood 92(Suppl.1:315a,1998)。したがって、無痛性リンパ腫患者におけるインターフェロン療法の役割は、臨床評価段階にある。したがって、本明細書中に記載のIL−15療法を、インターフェロン療法の補助として使用することができる。モノクローナル抗体は、B細胞リンパ腫の治療にも使用される。B細胞リンパ腫治療で現在使用されているか調査中のいくつかのモノクローナル抗体には、リツキシマブ(Rituxan);CAMPATH−1H(ヒト化IgG1);トシツモマブ(Bexxarr);イブリツモマブチウキセタン(Zevalin);エピラツズマブ;ベバシズマブ;およびLym−1(Oncolym)が含まれる。これらの療法は、主に、CD20、CD22、CD52、およびVEGF(血管内皮成長因子)をターゲティングする。これらのうちでGC中でIL−15またはIL−15刺激B細胞成長を特異的にターゲティングするものは存在しない。
【0060】
上記の本発明は、以下の実施例を参照してより容易に理解される。実施例は、例示の目的で記載するものであり、本発明を制限することを意図しない。
【実施例】
【0061】
(実施例のための材料と方法)
抗体
抗IL−15mAb(M110およびM111:IgG;M112:IgG2b)を、一般に、米国特許第5,795,966号に記載のように生成した。簡潔に述べれば、Balb/cマウスを、10μgのヒト(h)IL−15フラッグを含むRIBIアジュバント(Ribi Corp,Hamilton,MT)で2回追加免疫した。最後の追加免疫から3ヶ月後、1匹の動物に3μgのhIL−15を含むPBSで静脈内に追加免疫した。3日後、脾臓を取り出し、50%PEG(Sigma,St.Louis,MO)を使用してAg8.653と融合した。融合細胞を、HAT上清を含むDMEM(Sigma)を含む96ウェルプレートにプレートした。抗体捕捉アッセイによってハイブリドーマ上清をスクリーニングした。簡潔に述べれば、96ウェルプレートに、10μg/mlのヤギ抗マウスIgで一晩コーティングした。3%BSAでのブロッキング後、50μlの細胞上清を各ウェルに添加した。1時間後、プレートを、0.05%Tween20を含むPBSで洗浄した。ヨウ化hIL−15をプレートに1時間添加した。洗浄後、プレートを、phosphoimagerプレートに3時間曝露した。陽性を検出するための類似のスクリーニングを使用して、陽性細胞を2回クローン化した。
【0062】
IL−15遮断活性を決定するためにCTLL−2細胞増殖アッセイも行った。これらのmAbの特異性は、以前に試験し、使用されている(米国特許第5,795,966号;Tinhofer,I.ら、2000.Blood 95:610.;Musso,T.ら、1999.Blood 93:3531)。アイソタイプコントロールのためのマウスIgG(MOPC 21)およびIgG2b(MOPC 141)を、Sigmaから得た。抗IL−15mAb(MAB247、マウスIgG)、ヤギポリクローナル抗IL−15およびヤギ正常コントロールIgを、R&D systems(Minneapolis,MN)から得た。PE抱合抗CD20 mAbおよびFITC抱合ヤギ抗マウスAbを、BD Pharmingen(San Diego,CA)から得た。DRC1 mAb(マウスIgG)を、DAKO(Carpinteria,CA)から得た。Alexa 594抱合ヤギ抗マウスAbを、Molecular Probes(Eugene,OR)から得た。FITC抱合ロバ抗ヤギAbを、Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.(West Grove,PA)から得た。
【0063】
サイトカインおよび試薬
使用した培養培地は、10%FCS(Life Technologies,Inc.,Grand Island,NY)、2mMグルタミン、100U/mlペニシリンG、および100μg/mlストレプトマイシン(Irvine Scientific)を補足したIMDM(Irvine Scientific,Santa Ana,CA)およびRPMI 1640(Sigma)であった。使用したサイトカインは、IL−2(Hoffman−La Roche,Inc.,Nutley,NJ)およびIL−4(Schering−Plough Schering Corporation,Union,NJ)であった。組換え三量体ヒトCD40リガンド(L)およびIL−15を、以前に記載のように調製した(Grabstein,K.H.ら、1994.Science 264:965.;Armitage,R.J.ら、1995.J Immunology 154:483.;Morris,A.E.ら、1999.J Biol Chem 274:418.)。PercollおよびFicollを、Pharmacia LKB Biotechnology(Uppsala,Sweden)から得て、BSAをSigmaから得た。
【0064】
FDCクラスターの免疫蛍光染色
ヒト扁桃FDCを以前に記載のように単離した(Kim,H.−S.ら、1994.J.Immunology 153:2951.)。単離細胞を、スライドガラス上で700rpmで5分間サイトスピンした(Cytosine2(登録商標)、Shandon,Pittsburgh,PA)。サイトスピンスライドを、冷アセトン(−20℃)で5分間固定し、必要になるまで−70℃で保存した。スライドを、PBSにて室温で10分間水和し、湿室中にて25℃で1時間遮断溶液(DAKO)とインキュベートした。スライドを、適量のヤギ抗IL−15AbまたはコントロールヤギIgにて4℃で一晩染色した。次いで、スライドを、3回洗浄し、FITC抱合抗ヤギIgと室温で1時間インキュベートした。同時染色のために、DRC−1 mAb(図1AおよびC)またはPE抱合抗CD20mAb(図1B)を、一次Abと共に添加した。DRC−1染色を、二次Alexa−594抱合抗マウスAb染色によって視覚化した。単一FDC染色(図1D)のために、スライドを、核対比染色のためにDAPI溶液(Molecular Probes)中でインキュベートし、次いで、マウス抗IL−15またはコントロールmAbで染色し、その後、FITC抱合ヤギ抗マウスAbで染色した。スライドを洗浄し、退色防止蛍光封入剤(Molecular Probes)を使用してマウントした。解析顕微鏡(Axiovert 200M;Carl Zeiss Microimaging,Inc.,Thornwood,NY)にて画像を収集した。slidebookソフトウェア(version 1.6.587;Intelligent Imaging Innovations,Denver,CO)およびAdobe Photoshop 7.0(Adobe systems,Inc.,San Jose,CA)を使用して画像を処理した。
【0065】
フローサイトメトリー分析
FDC/HK細胞を、以前に記載のように10%FCS RPMI培地中で培養した(Kim,H.−S.ら、1994.J.Immunology 153:2951)。4〜9世代のFDC/HK細胞を、実験に使用した。FACS分析のために、FDC/HK細胞を、無酵素細胞分離液(Specialty Media,Philipsburg,NJ)を使用して回収した。以前に記載の増幅手順を修正した表面IL−15検出のために全FACS染色を行った(Jung,J.ら、2000.Eur.J.Immunology 30:2437)。簡潔に述べれば、細胞を冷FACS緩衝液(0.05%FCS、0.01%NaNを含むPBS)中で洗浄し、その後に適切な濃度の抗IL−15mAb(B247)と4℃で15分間インキュベートした。冷FACS緩衝液での洗浄後、Flow−Amp(登録商標)キット(Flow−Amp systems,Cleveland,OH)を使用した増幅手順を、製造者の説明書にしたがって行った。競合研究のために、抗IL−15抗体を、300ng/mlの組換えIL−15と4℃で30分間インキュベートし、その後にFACS染色を行った。サンプルを、FACSCalibur(登録商標)(Becton Dickinson,San Jose,CA)およびCellQuest−Pro(登録商標)プログラムを使用して分析した。蛍光値を対応するコントロールの蛍光値から引くことによって特定の平均蛍光強度(MFI)を得た。
【0066】
IL−15の酸ストリッピングおよび結合
前に結合したIL−15の酸ストリッピングを、記載のように行った(Dubois,S.ら、2002.Immunity 17:537.;Kumaki,S.ら、1996.Eur J Immunology 26:1235.)。簡潔に述べれば、FDC/HK細胞を冷PBSで2回洗浄した後、グリシン緩衝液(25mMグリシン、150mM NaCI(pH3))と4℃で10分間インキュベートした。次いで、細胞を回収し、冷PBSで2回洗浄し、FACS染色に供した。結合実験のために、FDC/HK細胞またはGC−B細胞を回収し、冷PBSで2回洗浄した後、飽和用量のIL−15(100ng/ml)と4℃で30分間インキュベートし、冷PBSで洗浄し、FACS分析のために染色した。
【0067】
CTLL−2細胞アッセイ
CTLL−2細胞(ATCC,Manasas,VA)を、10%FCS、IL−2(30U/ml)、および2−ME(5×10−5M,Sigma)を含むRPMI 1640培地中で維持した。FDC/HK細胞の連続希釈物(2×10細胞/ウェルからなし/ウェルまで)を、96ウェルプレート中で5%COインキュベーターにて1日間培養した。次いで、プレートを、洗浄し、1%パラホルムアルデヒドを含むPBS中にて4℃で1時間固定し、その後に冷PBS中で十分に洗浄した。CTLL−2細胞(5×10細胞/ウェル)を含む維持培地を固定FDC/HK細胞でコーティングした96ウェルプレートに3連で添加し、抗IL−15mAbまたはアイソタイプコントロールmAbと培養した。培養20時間後、細胞を0.5μCiの[H]TdR(20Ci/mM;PerkinElmer Life Sciences,Boston,MA)にてさらに4時間パルスした。培養物を、ガラス繊維フィルター上に回収し、[H]TdR組み込みを、液体シンチレーションカウンター(Rackbeta;LKB instrument,Houston,TX)によって測定した。結果を、3連の培養物の平均cpm±SEMとして示した。
【0068】
RT−PCR
IL−15Rα、IL−2Rα、IL−2Rβ、およびIL−2Rγの発現を試験するために、RNeasyキット(Qiagen,Valencia,CA)を使用して細胞から全RNAを抽出した。1μgアリコートのRNAを、ランダムオリゴ−dTおよびM−MLV RT(Invitrogen−Gibco,Carlsbad,CA)を使用して転写した。相補DNAを、200μMの各dNTP、500nMのプライマー、および2.5U Taqポリメラーゼを含む25μlの反応混合物中で増幅した。各cDNAサンプルの増幅を、以下の条件下で行った:94℃で50秒間の変性、57℃で50秒間のアニーリング、72℃で50秒間の伸長。ヒトGAPDHを使用して、同等のサンプルローディングを確実にした。ネガティブコントロールとして機能させるために偽PCRを行った。増幅PCR産物を、1.5%アガロースゲルにて分離し、臭化エチジウム染色によって視覚化した。使用プライマーを以下に示す:IL−15Rαについては、5’−GTCAAGAGCTACAGCTTGTAC−3’(配列番号3)および5’CATAGGTGGTGAGAGCAGTTTTC−3’(配列番号4);IL−2Rαについては、5’−AAGCTCTGCCACTCGGAACACAAC−3’(配列番号5)および5’−TGATCAGCAGGAAAACACAGC−3’(配列番号6);IL−2Rβについては、5’−ACCTCTTGGGCATCTGCAGC−3’(配列番号7)および5’−CTCTCCAGCACTTCTAGTGG−3’(配列番号8);IL−2Rγについては、5’−CCAGAAGTGCAGCCACTATC−3’(配列番号9)および5’−GTGGATTGGGTGGCTCCAT−3’(配列番号10);GAPDHについては、5’−CCCTCCAAAATCAAGTGGGG−3’(配列番号11)および5’−CGCCACAGTTTCCCGGAGGG−3’(配列番号12)。
【0069】
ヒト扁桃GC−B細胞の調製および培養
記載のように(Choe,J.ら、1996.J.Immunology 157:1006)、GC−B細胞を、MACS(Miltenyi Biotec Inc.,Auburn,CA)によって扁桃B細胞から精製した。CD20およびCD38の発現によって評価したところ、純度は95%超であった。GC−B細胞細胞(2×10細胞/ウェル)を、照射FDC/HK細胞(2×10細胞/ウェル、5,000Rad)、CD40L(100ng/ml)、IL−2(30U/ml)、およびIL−4(50U/ml)の存在下にて24ウェルプレート中で培養した。IL−2を含まない培養物の総回収率が非常に低いので、図5Bのための実験を除いて感度を増大させるためにIL−2を含めた(Choe,J.ら、1996.J.Immunology 157:1006)。ブロッキング実験のために、抗IL−15またはアイソタイプコントロールmAb(他で示さない限り、10μg/ml)を30分間インキュベートし、その後にGC−B細胞を添加した。いくつかのブロッキングmAbおよび対応するコントロールmAbは、使用濃度で0.00002%未満のアジ化ナトリウムを含んでおり、これは、in vitro培養系で毒性を示し始めるアジ化ナトリウム濃度の1/100であった。さらなる実験のために(図5B)、IL−15(1〜100ng/ml)を30分間添加し、その後にGC−B細胞を添加した。細胞分裂実験のために、GC−B細胞を、CFSE(Sigma、5μM/mlを含むPBS)にて37℃で10分間標識した。FCSを添加して染色を停止させ、次いで、標識した細胞を培養培地で洗浄した。培養後、CFSE強度を、FACSCalibur(登録商標)によって測定し、ModFit LT(登録商標)ソフトウェア3.0(Verity Software House,Inc.Topsham,ME)によって分析した。回収した生存細胞を、トリパンブルー排除法によって計数した。
【0070】
(実施例1 IL−15は、FDCによって産生されたが、B細胞によって産生されなかった)
胚中心中のIL−15の細胞供給源を同定するために、新たに単離したFDC−B細胞クラスターのIL−15に対する特異的Abでの染色によって、IL−15のin vivo発現を試験した(図1)。FDCクラスターは、巨大な細胞質を有する典型的なFDCおよび10個を超えるB細胞からなる細胞凝集体であった(Li,L.ら、2000.Journal of Experimental Medicine 191:1077)(図1A〜C)。IL−15はFDCクラスター中で発現し、in vivoでのIL−15の存在が示唆された(図1AおよびB)。FDCクラスター中のIL−15の細胞供給源を決定するために、FDC特異的マーカーであるDRC−1 mAbまたはB細胞特異的マーカーである抗CD20mAbを、それぞれヤギ抗IL−15Abで同時染色した(Li,L.ら、2000.Journal of Experimental Medicine 191:1077.;Naiem,M.ら、1983.J.Clin.Pathol.36:167.)。抗IL−15Ab(緑色)は、DRC−1mAbで同時染色されたが(赤色;同時染色:黄色、図1A)、抗CD20mAbで同時染色されず(赤色、図1B)、このことは、DRC−1陽性FDCがIL−15を産生し、B細胞は産生しないことが示唆された。ヤギコントロールAbおよびDRC−1Abで同時染色されたサンプルで同時染色されなかったので、染色はIL−15に特異的であった(図1C)。いくつかのFDC(10〜20%)はB細胞とクラスター形成しなかったが、その豊富な細胞質および頻繁な二重仁(double nuclei)によって同定することができる(van Nierop,K.ら、2002.Semin Immunology 14:251)(図1D)。これらの単一FDCは、マウス抗IL−15mAb(MAB247)によって染色されたIL−15も発現し、上記結果が確認された。同様に、マウスコントロールmAbおよびDAPIで染色されたサンプル中で緑色の染色は認められなかったが、青色核染色のみが認められた(1D挿入図)。
【0071】
(実施例2 IL−15は、IL−15Rαに結合したFDC/HK細胞の表面上に存在した)
多数のFDCの特徴(GC−B細胞の生存および増殖を支持する能力が含まれる)を共有することが示されている初代FDC細胞株FDC/HKによるIL−15の産生(Li,L.ら、,Semin.Immunol.14:259,2002;Kim,H.−S.ら、,J.Immunol.155:1101,1995)を調査した。ELISA(アッセイ感度は19pg/ml以上)によってFDC/HK細胞(2×10細胞/ml)の培養上清中にIL−15が検出されなかったので、IL−15の表面発現を、報告されている方法を使用して研究した(Morris,A.E.ら、1999.J Biol Chem 274:418;Kim,H.−S.ら、1994.J.Immunology 153:2951;Naiem,M.ら、1983.J.Clin.Pathol.36:167;Bulfone−Paus,S.ら、1997.Nat Med 3:1124)。トリアミン増幅法(Flow−Amp(登録商標))を使用した高感度の表面FACS染色法を使用して、IL−15を検出した。図2Aに示すように、IL−15はFDC/HK細胞上で検出されたのに対して、GC−B細胞は陰性であった(図2A)。これらの結果は、FDC−B細胞クラスターに関する以前のIF染色データと一致する。FDC/HK上でのIL−15の特異的染色を、可溶性IL−15との競合によって検証した。抗IL−15mAbを過剰量のIL−15でプレインキュベートした場合、FDC/HK細胞の表面上でのIL−15の染色は、アイソタイプコントロールの染色まで完全に減少した。これらの結果は、3つの個別の実験で再現された。
【0072】
表面IL−15は、別の膜型のIL−15分子の存在(Musso,T.ら、1999.Blood 93:3531)または分泌IL−15の再結合(Dubois,S.ら、2002.Immunity 17:537.;Schluns,K.S.ら、2004.Blood 103:988.)に起因したかもしれなかった。以前に記載のように酸処理を使用して(Dubois,S.ら、2002.Immunity 17:537)、グリシン緩衝液(pH3.0)での処理後に、FDC/HK細胞の表面からIL−15をコントロールmAbでの染色レベルまで完全に除去した(図2C)。この結果は、別の膜型のタンパク質よりもむしろ分泌IL−15の再結合を示す。
【0073】
IL−15Rαは高親和性でIL−15に結合するので(Giri,J.G.ら、1995.Embo J 14:3654)、FDC/HK細胞中のIL−15Rαの存在を試験した。RT−PCR実験では、IL−15Rαの特異的結合がFDC/HK細胞およびポジティブコントロールプラスミドのcDNAから増幅されたのに対して、内部ネガティブコントロールとしての機能を果たすために含めたIL−2Rαの特異的結合は増幅されなかった(図2C)。この結果は、FDC/HK細胞がIL−15RαのmRNAを発現することを示す。
【0074】
(実施例3 FDC/HK表面上の膜結合IL−15は生物学的に活性である)
FDC/HK細胞上の表面結合IL−15の生物活性を試験するために、IL−2およびIL−15依存性CTLL−2細胞アッセイを使用した。可溶性IL−15がELISAによって検出されなかったにもかかわらず、FDC/HK細胞を1%パラホルムアルデヒドで固定して、可溶性IL−15による偽陽性の結果を排除した。培養物中に存在する固定FDC/HK細胞数に比例してCTLL−2細胞によるトリチウム化チミジンの組み込みが増加した(図3A)。FDC/HK細胞と対応するCTLL−2細胞との比が4:1で、cpm値はネガティブコントロールのほぼ3倍であった(7,500に対して21,000)。固定FDC/HK細胞コントロールウェルを使用しないCTLL−2細胞の比較的高いバックグラウンド増幅(7,500cpm)は、アッセイ感度を増加させるために添加した最適以下の用量のIL−2に帰し得る。結果は、再結合IL−15が細胞表面上で機能的に活性であるという以前の報告と一致する(Morris,A.E.ら、1999.J Biol Chem 274:418.;Kim,H.−S.ら、1994.J.Immunology 153:2951.;Naiem,M.ら、1983.J.Clin.Pathol.36:167.;Bulfone−Paus,S.ら、1997.Nat Med 3:1124.)。FDC/HK細胞から放出される可溶性IL−15の可能な効果を試験するために、最も高濃度のFDC/HK細胞(2×10/ウェル)由来の培養上清を、同一培養物に添加した。コントロール培地の培養物とFDC/HK細胞培養物上清の培養物との間にcpm値の有意差は存在せず、培養上清中にIL−15が存在しないことを示し、これは、ELISAの結果と一致する。
【0075】
CTLL−2細胞に対する刺激効果がIL−15によって媒介されることを確認するために、IL−15に対する特異的遮断mAbおよびアイソタイプコントロールmAbを培養物に添加した。図3Bに示すように、抗IL−15mAbの添加により、固定FDC/HK細胞によって増強されたCTLL−2細胞の増殖が完全に遮断されるのに対して、コントロールmAbは効果がなかった。
【0076】
(実施例4 GC−B細胞は、IL−15シグナル伝達の受容体成分を発現するが、高親和性結合の受容体成分を発現しない)
FDCによるIL−15の産生は、IL−15がおそらくGC−B細胞上でのGC反応において生物機能を有するかもしれないことを意味していた。したがって、本発明者らは、GC−B細胞におけるIL−15シグナル伝達に必要な特異的受容体の発現プロフィールを試験した(図4A)。IL−15RαmRNA(高親和性結合の受容体成分)の発現はRT−PCRで実質的にごくわずかであり、これは、新たに単離したGC−B細胞(ネガティブコントロール)におけるIL−2RαのmRNAへの類似のわずかな結合を示していた。対照的に、IL−2RβおよびIL−2RγのmRNA(シグナル伝達の主成分)の発現は、新たに単離されたか培養されたかにかかわらず、GC−B細胞で明白であり、in vivoおよびin vitroの両方でのGC−B細胞におけるIL−15またはIL−2のシグナル伝達受容体成分の存在が示唆された。
【0077】
IL−15RαmRNAの非存在を、GC−B細胞のFACS染色におけるIL−15Rαタンパク質検出の失敗およびIL−15結合の欠如によっても確認した(図4B)。強いIL−15結合を示したFDC/HK細胞と対照的に、過剰なIL−15とのインキュベーション後のGC−B細胞表面上に有意なIL−15結合は検出されず、表面上にIL−15Rαが存在しないことが証明された。可溶性IL−15はその分裂促進シグナルを伝達するためのIL−15αが必要であるので(Lu,J.ら、,Clin.Cancer Res.8:3877,2002)、結果により、GC−B細胞が可溶性IL−15に応答することができないことが示唆される。この結論は、FDC/HK細胞の非存在下での可溶性IL−15がGC−B細胞回収率の顕著な相違を示さなかったという所見と一致する。
【0078】
(実施例5 IL−15はGC−B細胞増殖を増加させる)
上記のように、GC−B細胞を、FDC/HK細胞およびサイトカインと共に培養した。異なる量の抗IL−15mAbを添加した場合、GC−B細胞増殖は用量依存性様式で顕著に阻害され(図4A)、IL−15がGC−B細胞増殖を増強することが示唆された。10日目に、抗IL−15mAb(10μg/ml)を含む培養物中の生存GC−B細胞数は、アイソタイプコントロールmAbを含む培養物の17%であった。しかし、IL−15の遮断は、表面マーカーおよびIg分泌によって測定される培養細胞の分化に影響を与えなかった。この結果は、4つの個別の実験で再現された。IL−15に対する他のmAb(クローンM111、M112、およびMAB247)を使用した実験でも類似の阻害が認められた。
【0079】
他の実験では、IL−2の間接的影響の可能性を排除し、枯渇実験におけるIL−15の効果を検証するためにIL−2を省いた。図4Bに示すように、FDC/HK細胞上の表面IL−15の量は、外因性IL−15とのインキュベーションによってさらに増加した。したがって、コーティングしたFDC/HK細胞を、異なる量のIL−15(1〜100ng)とインキュベートし、その後にIL−15効果を増大させるためにGC−B細胞培養物とインキュベートした。FACSによる表面IL−15のMFIは、添加したIL−15に比例して増加した(100ngについては、図4Bの右のパネル)。培養10日目に回収した細胞数は、用量依存性様式で増加した(図5B)。100ng/mlのIL−15の存在下で、生存GC−B細胞数は、コントロール培養物の2.5倍に増加した。GC−B細胞がIL−15Rαを発現しないならば、これらの結果は、FDC/HK細胞上の表面IL−15がGC−B細胞増殖を増強することを強く示唆したものである。この結果は、4つの個別の実験で再現された。
【0080】
本出願を通して、種々の刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、その全体が本明細書中で参考として援用される。上記の説明は、当業者が本発明の実施を可能にするのに十分であると見なされる。本発明は、本明細書中に記載の実施例によってその範囲が制限されるべきではない。実際、本明細書中に示し、説明した発明に加えて、上記説明から本発明の種々の修正形態が当業者に明らかとなり、この修正形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】IL−15はヒト扁桃FDCで発現するが、B細胞で発現しない。ヒト扁桃FDCクラスターのサイトスピン調製物を、ヤギポリクローナル抗IL−15Ab(AおよびB:緑色)、マウス抗IL−15mAb(D:緑色)、対応するコントロールAb(CおよびDの挿入図:緑色)で染色した。スライドを、FDCについてはFDC特異的DRC−1mAb(AおよびC:赤色)、B細胞については抗CD20mAb(B:赤色)、および核についてはDAPI(D:青色)で同時染色した。元の倍率は400倍である。
【図2】FDC/HK細胞は、IL−15Rαに結合したその表面上にIL−15を発現する。(A)FACSによるIL−15の表面発現。特異的mAbまたはコントロールmAbでの表面FACS染色物を、Flow−Ampキット(それぞれ太線および点線)で増幅した。特異的mAbをIL−15(300ng)と氷上で30分間インキュベートし、その後に細胞を染色することによって競合実験を行い、特異性を確認した(細線)。(B)酸ストリッピング(acid stripping)後の表面IL−15の変化。FDC/HK細胞を、氷上にて冷グリシン緩衝液(pH3.0)中で10分間インキュベートし、次いで特異的AbまたはアイソタイプコントロールAbで染色した(酸処理:太線、未処理:細線、アイソタイプコントロール:点線)。(C)FDC/HK細胞中でのIL−15RαmRNAの発現。IL−15RαおよびIL−2Rα(内部コントロール)のRT−PCRを、同一条件下で同量のFDC/HK細胞mRNAを使用して行った。
【図3】FDC/HK表面上の膜結合IL−15は生物学的に活性である。異なるFDC/HK細胞数(2×10/ウェルからなし/ウェルへの2倍希釈)を、96ウェルプレート中で1日培養し、1%パラホルムアルデヒドで固定した。CTLL−2細胞(5×10細胞/ウェル)を、3連で10%FCS、1U/mlのIL−2、および2−MEを含むRPMI培地中にてFDC/HK細胞をコーティングした96ウェルプレート上で1日培養した。細胞を、0.5μCiの[H]TdR(20Ci/mM)にて少なくとも4時間パルスした。[H]TdRの組み込みを、液体シンチレーションカウンターによって測定した。結果を、3連の培養物の平均cpm±SEMとして示す。(A)一定数のCTLL−2細胞に添加した種々の数のFDC/HK細胞中のCTLL−2細胞の増殖(なし:コーティングしたFDC/HKを含まない10%FCS RPMI培地コントロール;spn:FDC/HK培養上清)。(B)特異的抗IL−15mAb(10μg/ml)による増強されたCTLL−2細胞増殖の阻害。点線は、FDC/HK細胞またはAbを含まない培養CTLL−2細胞のcpm値を示す。これらの結果を、2つの独立した実験で再現した。
【図4】IL−15およびIL−2受容体のGC−B細胞発現。(A)材料と方法に記載のように新たに単離または培養したGC−B細胞由来のmRNAを使用して、RT−PCRを行った((+)コントロール:各遺伝子を含むプラスミド;GCB d0:新たに単離したGCB細胞;GC−B d4:GC−B細胞を4日間培養した;DW:ネガティブコントロールとしての役割を果たす蒸留水)。(B)IL−15結合アッセイのFACSプロフィール。新たに単離したGC−B細胞およびFDC/HK細胞を、飽和用量のIL−15(100ng)と氷上で30分間インキュベートし、次いで抗IL−15mAbで染色した。
【図5】FDC/HK細胞上のIL−15は、FDC/HK細胞およびサイトカインと培養した場合に、GC−B細胞回収率が増加する。(A)抗IL−15mAbの添加量に対応して生存細胞の回収率が減少した。GC−B細胞(2×10細胞/ウェル)を、表示の量の特異的mAbと共にFDC/HK細胞(2×10細胞/ウェル、5,000Rad)、CD40L(100ng/ml)、IL−2(30U/ml)、およびIL−4(50U/ml)を含む24ウェルプレート中で10日間培養した。10日目に細胞を採取し、トリパンブルー排除法によって計数した。(B)生存細胞数は、IL−15の添加量に比例して増加した。表示量のIL−15を、GC−B細胞培養物に添加した。IL−2は、この実験に含まれなかった。4つの個別の実験由来の代表的な結果を示す。
【図6】IL−15により、in vitroでGC−B細胞増殖が増強される。単離GC−B細胞を、CFSE(5μM/ml)で標識し、次いで、FDC/HK細胞とサイトカインとの組み合わせの存在下で、IL−15(100ng/ml)、抗IL−15(10μg/ml)、またはコントロールmAbと6日間培養した。採取した細胞を計数し、FACS分析に供してCFSE強度を測定した。結果を、ModFitソフトウェアを使用して分析した。(A)生存細胞数の比較。(B)各区分中の比率による回収細胞のCFSEプロフィールの比較(D:区分)。
【図7】FDC/HK表面上のIL−15レベルは、GC−B細胞またはTNFαによって増強される。FDC/HK細胞を、以下に示す種々の誘導条件下で10%FCS IMDM培地中にて3日間インキュベートした:培地のみ(培地)、IL−2、IL−4、およびCD40L(24L);GC−B細胞を含むIL−2、IL−4、およびCD40L(24L+GC−B);TNFα(10ng/ml)。採取した細胞を、FACS分析のために染色した。括弧内の数字は、各サンプルのMFIを示す。MFIを、特異的mAbの値からコントロールの値を引くことによって計算する(それぞれ、点線および実線)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胚中心起源のB細胞腫瘍を治療する方法であって、薬学的に許容可能なキャリアおよび少なくとも1つのIL−15のアンタゴニストを含む治療組成物を該B細胞腫瘍を有するヒト被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記アンタゴニストが抗IL−15抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗IL−15抗体が、非ヒト霊長類抗体、マウスモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、およびヒト化抗体からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗IL−15抗体を、1用量あたり30〜90mgのタンパク質の投薬量で非経口投与する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記被験体が、1用量あたり50〜90mgのタンパク質の反復非経口投薬量として、抗IL−15抗体を受容する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記抗IL−15抗体が、M110抗体、M111抗体、およびM112抗体からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記アンタゴニストがIL−15のムテインである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記IL−15ムテインが、IL−15Rαサブユニットに結合することができ、IL−15受容体複合体のβサブユニットまたはγサブユニットを介してシグナルを伝達することができない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ムテイン中の配列番号2のIL−15のアミノ酸残基Asp56またはGln156の少なくとも1つが、欠失するか、異なる天然に存在するアミノ酸残基に置換される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ムテインが、化学部分(chemical moiety)に抱合している、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ムテインがポリエチレングリコールに抱合している、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アンタゴニストが可溶性IL−15である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記可溶性IL−15が、化学部分に抱合している、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記可溶性IL−15がポリエチレングリコールに抱合している、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記B細胞腫瘍が、ホジキンリンパ腫;非ホジキンリンパ腫;B細胞リンパ腫;小リンパ球性リンパ腫;マントル細胞リンパ腫;濾胞性リンパ腫;辺縁細胞リンパ腫;単球様B細胞リンパ腫;脾リンパ腫;びまん性大細胞リンパ腫;バーキットリンパ腫;高悪性度バーキット様リンパ腫;リンパ芽球性リンパ腫;およびびまん性大細胞リンパ腫からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記B細胞腫瘍が非ホジキンリンパ腫である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
治療タンパク質または化学療法処置を投与する工程をさらに包含し、該治療タンパク質が、抗体、免疫抱合体、抗体−免疫調節因子融合タンパク質、および抗体−毒素融合タンパク質からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記治療タンパク質または前記化学療法処置を、前記IL−15抗体の投与前に投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記治療タンパク質または前記化学療法処置を、前記抗IL−15抗体の投与と同時に投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記治療タンパク質または前記化学療法処置を、前記抗IL−15抗体の投与後に投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記化学療法処置が、シクロホスファミド、エトポシド、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾン、カルムスチン、ドキソルビシン、メトトレキサート、ブレオマイシン、デキサメタゾン、酪酸フェニル、ブロスタチン−1、およびロイコボリンからなる群より選択される少なくとも1つの薬物の投与からなる、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記治療組成物が、サイトカイン部分をさらに含み、該サイトカイン部分が、インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、インターフェロン−γ、インターフェロン−β、およびインターフェロン−γからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記治療タンパク質が、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ヤマゴボウ抗菌(antibiral)タンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素からなる群より選択される毒素を含む免疫抱合体または抗体−毒素融合タンパク質である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記免疫抱合体または前記抗体−毒素融合タンパク質が、CD19、CD20、およびCD22からなる群より選択される抗原に結合する抗体または抗体フラグメントを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記治療タンパク質が、免疫抱合体または融合タンパク質であり、前記免疫抱合体または融合タンパク質が、インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、およびリンホトキシンからなる群より選択される免疫調節因子部分を含む、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−515896(P2008−515896A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535752(P2007−535752)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/035672
【国際公開番号】WO2007/018564
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(507110969)オクスナー クリニック ファウンデーション (1)
【Fターム(参考)】