説明

IP電話装置、IP電話システムおよび設定確認方法

【課題】IP電話装置の内部設定を容易且つ間違い無く行なえるIP電話システムを提供する。
【解決手段】複数の電話装置の設定を記憶管理する電話システムのデータベースを用いて接続されたIP電話装置の発着呼を管理する主装置と、ネットワーク設定情報と電話装置設定情報とを記憶保持する外部記憶装置と、外部記憶装置との接続に使用する第1のインタフェース部と、ネットワークとの接続に使用する第2のインタフェース部とを有するIP電話装置とを備え、外部記憶装置を第1のインタフェース部に接続して、内部設定を自動的に行なう場合に、IP電話装置は、外部記憶装置からネットワーク設定情報及び電話装置設定情報を取得し、取得したネットワーク設定情報及び電話装置設定情報に基づいて、ネットワーク設定及び電話装置設定を実施し、設定に基づき第2のインタフェース部を介して主装置にアクセスして、設定した内容の確認を実施することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)電話システムに関し、詳しくは、IP電話装置の設定及びその確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ビジネスにおいて、多くのIP電話装置(IP電話端末)を、主装置において管理するIP電話システムが使用されている。
主装置は、管理するIP電話システム内のIP電話装置に関するデータベースを用い、例えば、外線及び内線の発着呼管理や、電話帳機能の提供、短縮ダイヤル機能の提供などを行なっている。このような主装置を用いるIP電話システムでは、IP電話システムの導入(立ち上げ)時や、IP電話装置の追加時、IP電話装置の設定変更時等に、管理者(設置者)等によって、多くの設定が必要である。
【0003】
IP電話システムに関連する技術は、例えば、特許文献1及び2に記載されている。
特許文献1には、LAN(Local Area Network)への接続に使用するインタフェース部を有するIP電話装置と、そのIP電話装置が接続されるIP電話システムが記載されている。また、特許文献1には、IP電話装置のネットワーク設定と、管理装置(主装置)へのIP電話装置の登録と、IP電話装置の初期設定(内部設定)が必須であることが記載されている([0003]〜[0005]参照)。
特許文献2には、IP電話機がネットワーク設定をサーバ群より自動取得して実施するIP電話システムが記載されている。また、複数のIP電話装置を収容して外線との交換を行なう主装置が記載されている。
尚、特許文献1及び特許文献2に記載されたIP電話システムは、共に、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を用いてIP電話装置にIPアドレスを割当てている。他方、現行のIP電話システムには、DHCPを用いずに、固定IPアドレスを用いることもある。
【0004】
【特許文献1】特開2005−277694号公報
【特許文献2】特開2006−339803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的なIP電話システムでは、導入の際に次のような課題がある。
IP電話装置の設置および接続のため、管理者がIP電話装置一台一台に対して、手動で多くのネットワーク設定を行わなければならないという課題がある。即ち、IP電話装置をネットワークに接続する為に、DHCPサーバ等のネットワーク管理サーバや、主装置等のIP電話装置管理サーバのロケーション情報(IPアドレスやゲートウェイアドレス等)などを、ネットワーク設定情報として、IP電話装置に設定する必要がある。また、必要に応じてネットワークIDとパスワードもIP電話装置に設定する必要がある。
そのため、特許文献1には、DHCPサーバを用いてネットワーク設定を行うことが記載されている。また、特許文献2のIP電話システムでは、DHCPサーバとFTPサーバとを用いて、ネットワーク設定等を行なっている。
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載されたIP電話システムでは、DHCPを使用する為、固定IPアドレスを使用できない。また、サブネットマスクやDNSなどを、IP電話装置毎に緻密に設定できない。
また、IP電話装置と内線番号等の割当は、パーソナルコンピュータなどを用いて人為的に割振られる為、設置台数が増えるごとに人為的な誤設定の確率が上がる問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、IP電話システムに接続するIP電話装置の詳細なネットワーク設定を自動的に設定できるIP電話システムを提供することにある。
また、本発明の別の目的は、IP電話システムに接続するIP電話装置の設定と確認を容易にできるIP電話システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明のIP電話システムは、複数の電話装置の設定を記憶管理する電話システムのデータベースを用いてネットワークに接続されたIP電話装置の発着呼を管理する主装置と、ネットワーク設定情報と電話装置設定情報とを記憶保持する外部記憶装置と、前記外部記憶装置との接続に使用する第1のインタフェース部と、ネットワークとの接続に使用する第2のインタフェース部とを有するIP電話装置とを備え、前記外部記憶装置を前記第1のインタフェース部に接続して、内部設定を自動的に行なう場合に、前記IP電話装置は、前記外部記憶装置からネットワーク設定情報及び電話装置設定情報を取得し、前記取得した前記ネットワーク設定情報及び前記電話装置設定情報に基づいて、ネットワーク設定及び電話装置設定を実施し、設定に基づき前記第2のインタフェース部を介して前記主装置にアクセスして、設定した内容の確認を実施することを特徴とする。
【0009】
本願発明のIP電話装置は、発着呼を管理する主装置にネットワークを介して接続されたIP電話装置であって、外部記憶装置との接続に使用する第1のインタフェース部と、ネットワークとの接続に使用する第2のインタフェース部と、内部設定を行なう場合に、前記第1のインタフェース部を介して接続されたネットワーク設定情報と電話装置設定情報とを記憶保持する外部記憶装置から、ネットワーク設定情報及び電話装置設定情報を取得して設定処理すると共に、設定したネットワーク設定情報に基づき、前記第2のインタフェース部を介して前記主装置にアクセスし、設定した内容の確認を実施する制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、IP電話システムに接続するIP電話装置の詳細なネットワーク設定を自動的に設定できるIP電話システムを提供できる。
また、本発明によれば、IP電話システムに接続するIP電話装置の設定と確認を容易にできるIP電話システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図1ないし図5に基づいて説明する。
【0012】
図1は、実施の一形態のIP電話システムを示す概略図である。図1を参照すると、本実施の一形態としての構成は、主装置1と、パーソナルコンピュータ2と、IP電話装置3ないし5と、外部記憶装置6とから成っている。
【0013】
主装置1は、電話装置設定情報や登録情報を含む電話装置データベース7を内蔵して、IP電話システム用ネットワーク13を経由して接続されるIP電話装置の管理を行なう。尚、IP電話用ネットワーク13への接続は、物理的な接続と、論理的な接続の両方が必要であり、論理的な接続にはネットワーク設定が必要である。
【0014】
IP電話用ネットワーク13については、有線LANや無線LANで構成してもよいし他のIP電話を実現できるネットワークで構成しても良い。また、図1に示す様に有線と無線の混成でもよい。
【0015】
電話装置データベース7には、接続されたIP電話装置を個別に管理する為、IP電話装置の内線番号、IPアドレス、MACアドレス、その他IP電話装置データなど、多くの情報が格納される。その他IP電話装置データとは、例えばIP電話装置の種別や、オプション設定、利用者情報、短縮ダイアルの設定などである。
【0016】
パーソナルコンピュータ(パソコン)2は、設定データベース8を内蔵し、設定データベース8を用いてIP電話システムに接続されるIP電話装置群のネットワーク設定情報や電話装置設定情報等の編集と管理を行なう。また、パソコン2は、外部記憶装置用インタフェース部9を具備する。外部記憶装置用インタフェース部9は、例えば、USB規格やSDカード規格など、使用する外部記憶装置の規格に沿ったインタフェースである。
【0017】
ネットワーク設定情報とは、IP電話装置毎のネットワーク接続に必要な設定情報であり、例えばホスト名や、IPアドレス、ゲートウェイアドレス、サブネットマスク、プロトコル、ポート番号、DNSアドレスなどである。
電話装置設定情報とは、IP電話装置に設定されるIP電話システム内で用いる情報であり、例えば、内線番号や、IP電話装置がIP電話システムに接続する為の電話システムサーバのアドレス、認証ID、パスワード、オプション設定、利用者情報、短縮ダイアルの設定など、各種機能を有効にする設定情報である。また、IP電話装置のMACアドレスを記録しても良い。
【0018】
設定データベース8は、IP電話システムの管理者によって、パソコン2を用いて作成される。
【0019】
外部記憶装置6は、外部記憶装置用インタフェース部9の規格に準拠した外部記憶装置である。外部記憶装置6には、設定データベース8のデータを設定データベース12として外部記憶装置6の記憶領域(図示せず)にコピー可能である。記憶領域は、記録できるデータサイズがパソコン2の設定データベース8のサイズよりも大きいものを用意する。記憶領域には、設定データベース8のコピーである設定データベース12が格納される。
外部記憶装置6は、パソコン2によって作成された設定データベース8を記憶領域にコピーすることで、設定データベース12として設定内容の持ち運びを容易にすると共に、IP電話装置からの設定内容へのアクセスを可能にする。
外部記憶装置6は、例えば、USBメモリやSDカードなどのフラッシュメモリを用いた外部記憶装置が好適である。しかし、外部記憶装置としてHDDや、短距離無線通信規格(例えばBluetooth(登録商標)やIrDA)に準拠した外部記憶装置を用いることも可能である。尚、外部記憶装置6は、汎用品に限定するものではない。例えば、既存の規格のコネクタ形状を変更したものでも良い。この場合は、IP電話装置群の外部記憶装置用インタフェース部も同様に変更すれば良い。
【0020】
IP電話装置3は、外部記憶装置6との接続に使用する第1のインタフェース部である外部記憶装置用インタフェース部10と、ネットワークとの接続に使用する第2のインタフェース部であるネットワーク用インタフェース部11とを有する。また、IP電話装置3は、第1のインタフェース部10を介して外部記憶装置6を接続可能であり、接続した外部記憶装置6の設定データベース12にアクセス可能である。
IP電話装置3は、ハンドセットや、液晶画面等を用いた表示部14、ボタン等を利用した操作部15などの入出力部を具備している。IP電話装置4、IP電話装置5も、IP電話装置3と同様に外部記憶装置用インタフェース部を備えたIP電話装置である。
【0021】
図2は、IP電話装置3の構成を示す機能ブロック図である。
IP電話装置3は、各種演算処理や制御を行う制御部20、情報を記憶保持する記憶部21、外部記憶装置用インタフェース部10、ネットワーク用インタフェース部11を有する。また、IP電話装置3は、一般的なIP電話と同様に、ROM、コーデック、入出力部を備える。
【0022】
制御部20は、IP電話システムの導入時やIP電話装置の移設時などの場合でIP電話装置の内部設定を行なう場合に、外部記憶装置用インタフェース部10に接続される外部記憶装置6から、ネットワーク設定情報及び電話装置設定情報等が記憶される設定データベース12にアクセスして情報を取得し、取得した情報に基づいて、記憶部21に設定情報を記録したりして設定処理する。
その後、設定したネットワーク設定情報に基づき、ネットワーク用インタフェース部11を介して主装置1にアクセスし、設定した内容の確認を実施する。
【0023】
このとき、制御部20は、外部記憶装置6に、ネットワーク設定情報や電話装置設定情報と共に登録フラグが設定されていた場合には、登録フラグを参照して、未登録の情報を用いて内部設定を行なうようにしても良い。
【0024】
制御部20は、主装置1にアクセスして行なう設定した内容の確認として、主装置1に対して、設定した電話装置設定情報等を通知するようにしても良い。
【0025】
このとき、主装置1は、新規に接続したIP電話装置3の内線番号等の設定内容が未だ電話装置データベース7に登録がなければ、その設定内容を登録し、登録したIP電話装置に対し、登録完了の信号を送信するようにする。
登録完了の信号を受信したIP電話装置3は、外部記憶装置6にアクセスして設定データベース12内の自内線番号項目の登録フラグに登録完了のフラグを立てると共に、IP電話装置の設定を完了した旨を表示部14に表示する。その後、外部記憶装置6が取り外されると、IP電話装置3は、設定された情報に基づくIP電話として動作を開始する。
【0026】
他方、主装置1に新規に接続したIP電話装置3の設定内容(内線番号やIPアドレス等)が既に別のIP電話装置によって電話装置データベース7に登録されていた場合、主装置1は、干渉するIP電話装置があることを、IP電話装置3に通知する。一例としては、干渉するIP電話装置が登録されている場合に、主装置1は、IP電話装置3に対して、既に登録されているIP電話装置の電話装置データベースに格納されている情報を送信する。
【0027】
また、制御部20は、主装置1にアクセスして行なう設定した内容の確認として、主装置1に記憶保持されている電話システムのデータベース(電話装置データベース7)を参照して、干渉する登録データの有無を確認するようにしても良い。
【0028】
制御部20は、設定の確認の結果、干渉するIP電話装置がある場合に、設定したネットワーク設定情報や電話装置設定情報を初期化するようにしても良い。
例えば、先に例示したように、主装置1から、干渉するIP電話装置の情報を受信した場合、IP電話装置3は、既登録されているIP電話装置のネットワーク設定データを表示部に表示すると同時に既登録されているIP電話装置の設定を『リセットする』か『そのままにする』かを表示し、操作部で操作者に選択させる。『そのままにする』を選択すると、IP電話装置3の設定情報をリセットして初期状態に戻し、ネットワーク設定等を手動で設定するのかそれとも設定データベースに基づき自動で他の設定を行うか再度操作者に選択させるようにすればよい。
【0029】
他方、既登録されているIP電話装置の設定を『リセットする』を選択すると、主装置に対して既登録されているIP電話装置をリセットするよう要求信号を出すようにすればよい。
即ち、制御部20は、設定の確認の結果、干渉するIP電話装置がある場合に、干渉相手のIP電話装置である既登録IP電話装置の設定を初期化する要求を主装置1に通知するようにしても良い。
【0030】
このとき、要求信号を受けた主装置1は、該当IP電話装置(リセットするように指示されたIP電話装置)に設定リセット信号を送信し、同時的に電話装置データベースの該当IP電話装置情報をクリアする。このとき、設定リセット信号を受信したIP電話装置は、指定された内部設定をリセットする。
また、主装置1は、リセット信号送信後、リセットした旨の信号を、IP電話装置3に通知する。
【0031】
リセットした旨の信号を受信したIP電話装置3は、該当IP電話装置をリセットしたこととIP電話装置の設定を完了した旨を表示部に表示する。また、IP電話装置3は、外部記憶装置にアクセスして設定データベース12内の自設定内容の登録フラグに登録完了のフラグを立てる。
その後、外部記憶装置6が取り外されると、IP電話装置3は、設定された情報に基づくIP電話として動作を開始する。
【0032】
ここで、IP電話システム導入を例示して、IP電話装置3の動作を説明する。
IP電話システム導入の際は、パソコン2で作成した設定データベース8を外部記憶装置6の記憶領域に設定データベース12としてコピーすることで、IP電話装置3が外部記憶装置6の設定データベース12を参照可能にし、IP電話装置3の内部設定を実施する。
【0033】
外部記憶装置6が接続されたIP電話装置3は、ネットワーク設定を手動で設定するのか、それとも設定データベースに基づき自動でネットワーク設定を行うのか選択可能にする。操作者が操作部15を用いて操作を行なって手動設定が選択された場合には、IP電話装置3は、IPアドレス等のネットワーク設定を、操作部15を介して手動で入力された情報に従い設定処理する。
【0034】
他方、自動で設定を行なう選択をされた場合は、IP電話装置3は、設定データベースに記録されている設定内容を内部設定する。また、設定データベースに複数の設定内容が記録されている場合には、操作者に選択させるようにすれば良い。
【0035】
一例としては、自動ネットワーク設定が選択された場合には、IP電話装置3は、操作部15から入力された内線番号(操作者によって指定された内線番号)に一致する、外部記憶装置6の設定データベースにある内線番号の登録フラグを確認し、未登録であれば、対応する設定内容(ネットワーク設定情報と電話装置設定情報)を自動的に取得して記憶部21に設定保存する。他方、内線番号が登録済みであれば、IP電話装置3は、入力した内線番号は登録済みである旨を表示部14に表示して、ネットワーク設定を手動で設定するか自動で設定するかの選択に戻る。
尚、操作者によって指定される内線番号に変えて、IP電話装置3のMACアドレスに基づき、ネットワーク設定を自動設定しても良い。
【0036】
上記動作でネットワーク設定を終えたIP電話装置3は、ネットワークに接続するとともにIP電話システムの主装置1に接続して、内容の確認を実施する。(尚、このときもIP電話装置3に外部記憶装置6が接続された状態である。)
【0037】
IP電話装置3は、電話装置データベース7と設定データベース12間で矛盾がないか確認を実施し、結果を設定データベース12に反映する。このとき、電話装置データベース7と設定データベース12の間で矛盾がある場合はIP電話装置3を操作して、主装置1に矛盾があったIP電話装置に対し設定データを無効とするコマンドを送付して矛盾を取り除いてもよいし、自己の設定を初期化して矛盾を取り除いてもよい。
【0038】
尚、登録完了フラグの変更があった外部記憶装置6内の設定データベース12は、再度パソコンに外部記憶装置を接続することでパソコン内の設定データベース8に変更内容のコピーを行うことができ、パソコンで設定状況の管理に使用できる。
【0039】
ここで、設定データベースと電話装置データベースとの一例を示し、実施の一形態を説明する。
【0040】
図3は、設定データベース8のテーブル構成を可視的に示す図である。図に示すように設定データベース8は、内線番号を基準にしてネットワーク設定情報と、電話装置設定情報を格納する。また、内線番号それぞれに登録フラグの項目があり、初期値を『0』として、使用済みの内線番号を『1』にする。
図3に示す例では、内線番号0001から5個の設定内容が登録フラグ『0』として記載されている。
【0041】
図4は、電話装置データベース7のテーブル構成を可視的に示す図である。図に示すように、電話装置データベース7には、主装置1に接続しているIP電話装置の内線番号、IPアドレス、MACアドレス、その他IP電話装置データが格納されている。
【0042】
なお、上記実施例では、電話装置データベース7、設定データベース8及び設定データベース12において基準となるパラメータを内線番号としているが、内線番号を基準とせずに他の項目を基準としても良い。例えば、固定IPアドレスやMACアドレス、設定データの番号などが挙げられる。
【0043】
次に、IP電話装置の設定動作時の動作例を示し、IP電話システム全体の動作を説明する。尚、図3、4に示したデータベース情報を使用するものとする。
【0044】
図5は、設定動作時のIP電話装置3の動作を示すフローチャートである。IP電話装置3は、操作者によって設定処理を開始される。
【0045】
設定処理開始後、IP電話装置3は、処理1で図1に示した外部記憶装置6の接続の有無を判断する。このとき、関係ない外部記憶装置(設定データベースが記憶されていない外部記憶装置)が接続されも設定処理を開始しないように、外部記憶装置に設定データベース12の存在を合わせて判断する。
【0046】
外部記憶装置6が接続されていない場合(Noの場合)、IP電話装置3は、手動入力モードに移行して自動設定処理を終了する。
【0047】
外部記憶装置6が接続されている場合(Yesの場合)、IP電話装置3は、処理2及び処理3に進みネットワーク設定を自動で行うか手動で行うかを操作者に選択させる。ここで、ネットワーク設定を自動で行う場合、操作者は、処理3で自動設定することを、IP電話装置3に入力する。
【0048】
IP電話装置3は、処理4により手動での設定が選択された場合(Noの場合)、手動入力モードに移行して自動設定処理を終了する。他方、処理4により自動での設定が選択された場合(Yesの場合)、IP電話装置3は、処理5に進み、操作者にIP電話装置3の設定予定の内線番号を入力させる。
【0049】
IP電話装置3は、処理6で外部記憶装置6の設定データベース12に入力された内線番号があるか否かを判断する。
【0050】
IP電話装置3は、入力された内線番号がない場合(Noの場合)には処理5の内線番号処理に戻り、内線番号が在る場合(Yesの場合)には次処理に進む。
【0051】
内線番号が存在した場合、IP電話装置3は、処理7で設定データベース12の登録フラグを確認する。IP電話装置3は、入力された内線番号の登録フラグが『1』であれば(Noの場合)入力した内線番号は登録済みである旨表示(処理12)し、処理開始時に戻る。他方、入力された内線番号の登録フラグが『0』であれば(Yesの場合)、IP電話装置3は、処理8に進み、設定データベース12の内線番号に対応する設定データを、記憶部21に記録保存して、処理9でネットワーク接続設定を実行する。
【0052】
IP電話装置3は、処理10で、設定データ(例えば電話システムサーバアドレス)を用いて、主装置1に接続(ネットワーク設定の完了を通知)する。また、IP電話装置3は、必要に応じて調査に必要となる電話装置設定情報(内部設定した内容)を送信する。
【0053】
主装置1は、IP電話装置3の接続を受けて、電話装置データベース7を参照し、IP電話装置3が設定した内線番号等が、既に登録済みか否か調査(確認)し、IP電話装置3に通知する。調査(確認)は、予め電話装置データベースに、登録されるだろう電話装置設定情報が記録されていた場合に、実際にIP電話装置に登録されて、IP電話装置から送信された電話装置設定情報の全て又は一部の一致(妥当性)を見ればよい。
【0054】
このとき主装置1は、新規に接続したIP電話装置の内線番号等の設定データが未だ電話装置データベース7に登録がなければそのまま登録し、登録したIP電話装置に対し、登録完了の信号を送信する。尚、この調査は、IP電話装置3が電話装置データベース7に直接アクセスして調査(確認)するようにもできる。
【0055】
IP電話装置3は、処理11の調査(確認)で電話装置データベース7に登録がなければ(No)、処理13に進み、設定した内線番号に対する設定データベース12の該当登録フラグを『1』に変更し、自動設定の処理を終了する。
【0056】
他方、IP電話装置3は、既に電話装置データベース7に内線番号等の登録がある場合(Yes)には、処理14に進む。
【0057】
IP電話装置3は、処理14で、主装置1から既登録された対象のIP電話装置情報を取得し、取得した情報を表示部14に表示する。
【0058】
IP電話装置3は、処理15で、既登録IP電話装置設定のリセットを行うか否かの選択の為の表示を行なうと共に、処理16で、操作者によるリセットの可否の選択を受け付け、処理17でリセットの可否を判断する。
【0059】
このとき、操作者は、既登録IP電話装置設定のリセットの可否を判断して、何れかを入力する。
【0060】
リセットを行なわない場合(Noの場合)、IP電話装置3は、処理18に進み、処理8で保存した設定データをリセットして処理開始に戻る。
【0061】
他方、リセットを実施する場合(Yesの場合)、IP電話装置3は、処理19に進み、主装置1に既登録IP電話装置設定のリセット要求を通知する。
【0062】
主装置1が要求に基づき既登録IP電話装置のリセットを実施すると、その結果が送信されてくるので、IP電話装置3は、処理20により受信し、処理21で既登録IP電話装置設定のリセットを操作者に通知し、処理13に進む。
【0063】
IP電話装置3は、処理13で設定データベース12内の処理8で保存した設定データに対応する登録フラグを『1』にして、自動設定処理を終了する。
【0064】
このように、本実施の一形態のIP電話システムは、設定内容(データ)を外部記憶装置6に保存して、IP電話装置のネットワーク設定を外部記憶装置6から入力することにより簡単にIP電話装置の設定ができる。
【0065】
また、主装置1に登録される設定が重複しないようチェックして、特定のIP電話装置に対し設定データを無効にできるので、設定データの管理が容易且つ誤り無く可能になる。
【0066】
これは、IP電話装置への内線番号等の割当を人為的に行なう場合に、設置台数の増加とともに増える誤設定による登録を無くせる。加えて、誤設定の修正を容易に行なえる。
【0067】
また、DHCPを用いずに、ネットワーク設定を行うことも可能となる為、例えば、固定IPアドレスの設定や、フロア毎のサブネットマスクの設定などの詳細な設定が可能となる。
【0068】
以上説明したように、本発明によれば、ネットワーク設定情報をデータベース化して外部記憶装置に保存しているので、外部記憶装置用インタフェース部を具備したIP電話装置が容易にデータベースを参照して、ネットワーク設定及び電話装置設定を実施できる。
【0069】
また、主装置の電話装置データベース上の登録データとIP電話装置の設定データを比較しているので、ネットワーク設定の重複を防ぐことが可能となる。
【0070】
更に、IP電話装置がネットワーク設定の為に参照したデータベースのフラグを変更しているので、内部設定の重複を防ぐことが可能となる。
【0071】
更に、データベースのフラグを変更しているのでIP電話システム導入時などにパソコンから電話装置設置状況の管理が容易に出来ることにある。
【0072】
即ち、本発明によれば、IP電話システムに接続するIP電話装置の詳細なネットワーク設定を自動的に設定できるIP電話システムを提供できる。
【0073】
また、本発明によれば、IP電話システムに接続するIP電話装置の設定と確認を容易にできるIP電話システムを提供できる。
【0074】
尚、上記説明では、IP電話装置は、外部記憶装置が挿された後、操作者の選択行為によって、自動又は手動で設定を開始することとして記載したが、外部記憶装置が挿されたことを認識した場合に、自動的に設定を開始するようにしても良い。
【0075】
また、IP電話装置は、外部記憶装置のシリアルNoなどを用いて、特定の外部記憶装置のみを識別するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施の一形態のIP電話システムを示す概略図である。
【図2】IP電話装置3の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】設定データベース8のテーブル構成を可視的に示す図である。
【図4】電話装置データベース7のテーブル構成を可視的に示す図である。
【図5】設定動作時のIP電話装置3の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1 主装置
2 パーソナルコンピュータ
3、4、5 IP電話装置
6 外部記憶装置
7 電話装置データベース
8 設定データベース
9 外部記憶装置用インタフェース部
10 外部記憶装置用インタフェース部(第1のインタフェース部)
11 ネットワーク用インタフェース部(第2のインタフェース部)
12 設定データベース
13 IP電話用ネットワーク
20 制御部
21 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発着呼を管理する主装置にネットワークを介して接続されたIP電話装置であって、
外部記憶装置との接続に使用する第1のインタフェース部と、
ネットワークとの接続に使用する第2のインタフェース部と、
内部設定を行なう場合に、前記第1のインタフェース部を介して接続されたネットワーク設定情報と電話装置設定情報とを記憶保持する外部記憶装置から、ネットワーク設定情報及び電話装置設定情報を取得して設定処理すると共に、
設定したネットワーク設定情報に基づき、前記第2のインタフェース部を介して前記主装置にアクセスし、設定した内容の確認を実施する制御部とを
備えることを特徴とするIP電話装置。
【請求項2】
請求項1記載のIP電話装置であって、
前記制御部は、
前記外部記憶装置に、ネットワーク設定情報及び/又は電話装置設定情報と共に登録フラグが設定されていた場合に、
前記登録フラグを参照して、未登録のネットワーク設定情報及び/又は電話装置設定情報の内部設定を行なう
ことを特徴とするIP電話装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のIP電話装置であって、
前記制御部は、前記主装置にアクセスして行なう設定した内容の確認として、前記主装置に対して、設定した電話装置設定情報を通知することを特徴とするIP電話装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のIP電話装置であって、
前記制御部は、前記主装置にアクセスして行なう設定した内容の確認として、前記主装置に記憶保持されている電話システムのデータベースを参照して、干渉する登録データの有無を確認することを特徴とするIP電話装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れかに一記載のIP電話装置であって、
前記制御部は、設定の確認の結果、干渉するIP電話装置がある場合に、設定したネットワーク設定情報及び/又は電話装置設定情報を初期化する
ことを特徴とするIP電話装置。
【請求項6】
請求項1ないし4の何れかに一記載のIP電話装置であって、
前記制御部は、設定の確認の結果、干渉するIP電話装置がある場合に、干渉相手のIP電話装置(既登録IP電話装置)の設定を初期化する要求を前記主装置に通知する
ことを特徴とするIP電話装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れかに一記載のIP電話装置であって、
前記第1のインタフェース部は、フラッシュメモリを用いる外部記憶装置を接続するインタフェース部であり、
前記第2のインタフェース部は、有線又は無線LANに接続するためのインタフェース部である
ことを特徴とするIP電話装置。
【請求項8】
複数の電話装置の設定を記憶管理する電話システムのデータベースを用いてネットワークに接続されたIP電話装置の発着呼を管理する主装置と、
ネットワーク設定情報と電話装置設定情報とを記憶保持する外部記憶装置と、
前記外部記憶装置との接続に使用する第1のインタフェース部と、ネットワークとの接続に使用する第2のインタフェース部とを有するIP電話装置と
を備え、
前記外部記憶装置を前記第1のインタフェース部に接続して、内部設定を自動的に行なう場合に、
前記IP電話装置は、
前記外部記憶装置からネットワーク設定情報及び電話装置設定情報を取得し、
前記取得した前記ネットワーク設定情報及び前記電話装置設定情報に基づいて、ネットワーク設定及び電話装置設定を実施し、
設定に基づき前記第2のインタフェース部を介して前記主装置にアクセスして、設定した内容の確認を実施する
ことを特徴とするIP電話システム。
【請求項9】
請求項8記載のIP電話システムであって、
前記IP電話装置は、
前記外部記憶装置に、ネットワーク設定情報及び/又は電話装置設定情報と共に登録フラグが設定されていた場合に、
前記登録フラグを参照して、未登録のネットワーク設定情報及び/又は電話装置設定情報の内部設定を行ない、
全ての自動設定処理が完了後、前記登録フラグを登録済みに変更する
ことを特徴とするIP電話システム。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のIP電話システムであって、
前記IP電話装置は、前記主装置にアクセスして行なう設定した内容の確認として、前記主装置に対して、設定した電話装置設定情報を通知し、
前記主装置は、通知された電話装置設定情報と前記データベースに登録されている情報とを参照して、干渉するIP電話装置の有無を確認する
ことを特徴とするIP電話システム。
【請求項11】
請求項8又は9に記載のIP電話システムであって、
前記IP電話装置は、前記主装置にアクセスして行なう設定した内容の確認として、前記主装置に記憶保持されている電話システムのデータベースを参照して、干渉するIP電話装置の有無を確認することを特徴とするIP電話システム。
【請求項12】
請求項8ないし11の何れかに一記載のIP電話システムであって、
前記IP電話装置又は前記主装置は、設定の確認の結果、干渉するIP電話装置がある場合に、設定したネットワーク設定情報及び/又は電話装置設定情報を初期化する
ことを特徴とするIP電話システム。
【請求項13】
請求項8ないし11の何れかに一記載のIP電話システムであって、
前記IP電話装置又は前記主装置は、設定の確認の結果、干渉するIP電話装置がある場合に、干渉相手のIP電話装置(既登録IP電話装置)の設定を初期化する
ことを特徴とするIP電話システム。
【請求項14】
請求項8ないし13の何れかに一記載のIP電話システムであって、
前記第1のインタフェース部は、フラッシュメモリを用いる外部記憶装置を接続するインタフェース部であり、
前記第2のインタフェース部は、有線又は無線LANに接続するためのインタフェース部である
ことを特徴とするIP電話システム。
【請求項15】
発着呼を管理する主装置を有するIP電話システムで用いられる外部記憶装置を接続可能なIP電話装置の設定確認方法であって、
前記IP電話装置にネットワーク設定情報と電話装置設定情報とを記憶保持する外部記憶装置を接続して、内部設定を行なう場合に、
前記外部記憶装置からネットワーク設定情報及び電話装置設定情報を取得し、
前記取得した前記ネットワーク設定情報及び前記電話装置設定情報に基づいて、ネットワーク設定及び電話装置設定を実施し、
設定に基づいて前記主装置にアクセスして、設定した情報の確認を実施する
ことを特徴とする設定確認方法。
【請求項16】
請求項15記載の設定確認方法であって、
前記IP電話装置は、前記外部記憶装置に、ネットワーク設定情報及び/又は電話装置設定情報と共に登録フラグが設定されていた場合に、
前記登録フラグを参照して、未登録のネットワーク設定情報及び/又は電話装置設定情報の内部設定を行ない、
全ての自動設定処理が完了後、前記登録フラグを登録済みに変更する
ことを特徴とする設定確認方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の設定確認方法であって、
前記IP電話装置は、前記主装置にアクセスして行なう設定した内容の確認として、前記主装置に対して、設定した電話装置設定情報を通知し、
前記主装置は、通知された電話装置設定情報とデータベースに登録されている情報とを参照して、干渉するIP電話装置の有無を確認する
ことを特徴とする設定確認方法。
【請求項18】
請求項15又は16に記載の設定確認方法であって、
前記IP電話装置は、前記主装置にアクセスして行なう設定した内容の確認として、前記主装置に記憶保持されているデータベースを参照して、干渉するIP電話装置の有無を確認することを特徴とする設定確認方法。
【請求項19】
請求項15ないし18の何れかに一記載の設定確認方法であって、
前記IP電話装置又は前記主装置は、設定の確認の結果、干渉するIP電話装置がある場合に、設定したネットワーク設定情報及び/又は電話装置設定情報を初期化する
ことを特徴とする設定確認方法。
【請求項20】
請求項15ないし18の何れかに一記載の設定確認方法であって、
前記IP電話装置又は前記主装置は、設定の確認の結果、干渉するIP電話装置がある場合に、干渉相手のIP電話装置(既登録IP電話装置)の設定を初期化する
ことを特徴とする設定確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−147837(P2010−147837A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323261(P2008−323261)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】