説明

In−Ga−Zn系酸化物スパッタリングターゲット及びその製造方法

【課題】異常放電やノジュールの発生が少ない、In−Ga−Zn系酸化物のスパッタリングターゲットを提供する。
【解決手段】2θ=7.0°〜8.4°、30.6°〜32.0°、33.8°〜35.8°、53.5°〜56.5°、56.5°〜59.5°、14.8°〜16.2°、22.3°〜24.3°、32.2°〜34.2°、43.1°〜46.1°、46.2°〜49.2°及び62.7°〜66.7°の領域A〜Kに回折ピークを有する酸化物Aと、InGaZnOとを含有するスパッタリングターゲット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物半導体や透明導電膜等の酸化物薄膜作製用のスパッタリングターゲット(ターゲット)に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化インジウム、酸化亜鉛及び酸化ガリウムからなる非晶質の酸化物膜は、可視光透過性を有し、かつ、導電体又は半導体から絶縁体まで広い電気特性を有するため、透明導電膜や半導体膜(例えば、薄膜トランジスタ(TFT)等に用いられる)として着目されている。
特に、野村、細野等によって発表されて以来(非特許文献1)、In−Ga−Zn系酸化物半導体が注目されてきた。
【0003】
上記酸化物膜の成膜方法としては、スパッタリング、PLD(パルスレーザーデポジション)、蒸着等の物理的な成膜、及びゾルゲル法等の化学的な成膜が検討されている。この中でも、比較的低温で大面積に均一に成膜できることから、実用レベルではスパッタリング法による成膜が中心に検討されている。スパッタリング等の物理的成膜で酸化物薄膜を成膜する際は、均一に、安定して、効率よく(高い成膜速度で)成膜するために、酸化物焼結体からなるターゲットを用いることが一般的である。
【0004】
スパッタリングに用いられるターゲットは、導電性が高く、異常放電やノジュールの発生が少ないものが望まれるが、そのようなIn−Ga−Zn系のターゲットの製造は容易ではない。その理由は、ターゲットの製造条件や成分の配合によってターゲットの性質や状態が変わり、導電性が変化したり、ノジュールや異常放電の発生のしやすさが変化したりするためである。
【0005】
異常放電やノジュールが少ないIn−Ga−Zn系のターゲットを得るためには、ターゲット組成中のZnGaで表されるスピネル相を低減することが極めて有効であることが見出されている(特許文献1)。この特許文献1では、Inの原料粉末の比表面積を10m/g以下とし、さらに、原料粉末の比表面積差が粉砕工程の前後で2.0m/g以上となるまで粉砕することで、スピネル相の低減を達成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009/151003号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】K.Nomura et al, Nature 432,488(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、異常放電やノジュールの発生が少ない、In−Ga−Zn系酸化物のスパッタリングターゲットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが鋭意研究した結果、新たな結晶構造を有する新規の酸化物とホモロガス結晶構造を有するInGaZnOを含有する酸化物混合体は、ZnGa相の生成が確認されず、異常放電やノジュールも少なく、酸化物半導体用途の薄膜を成膜するスパッタリングターゲットとして良好であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下のスパッタリングターゲット等が提供される。
1.下記酸化物Aと、InGaZnOとを含有するスパッタリングターゲット。
酸化物A:X線回折測定(Cukα線)により得られるチャートにおいて、下記のA〜Kの領域に回折ピークが観測される酸化物。
A.2θ=7.0°〜8.4°
B.2θ=30.6°〜32.0°
C.2θ=33.8°〜35.8°
D.2θ=53.5°〜56.5°
E.2θ=56.5°〜59.5°
F.2θ=14.8°〜16.2°
G.2θ=22.3°〜24.3°
H.2θ=32.2°〜34.2°
I.2θ=43.1°〜46.1°
J.2θ=46.2°〜49.2°
K.2θ=62.7°〜66.7°
2.ZnGaで表されるスピネル構造のX線回折測定(Cukα線)によるピークが、最大ピークの3%以下である1に記載のスパッタリングターゲット。
3.インジウム元素(In)、ガリウム元素(Ga)及び亜鉛元素(Zn)の原子比が、下記式(1)及び(2)を満たす1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
0.25≦Zn/(In+Ga+Zn)≦0.55 (1)
0.15≦Ga/(In+Ga+Zn)<0.33 (2)
4.インジウム元素(In)及び亜鉛元素(Zn)の原子比が、下記式(3)を満たす3に記載のスパッタリングターゲット。
0.51≦In/(In+Zn)≦0.68 (3)
5.インジウム元素(In)及びガリウム元素(Ga)の原子比が、下記式(4)を満たす3に記載のスパッタリングターゲット。
In/(In+Ga)≦0.58 (4)
6.インジウム化合物とガリウム化合物の原料粉を混合して500℃以上1200℃以下で焼成した後、亜鉛化合物の原料粉を混合して1100℃以上1600℃以下で焼成して製造した1〜5のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
7.抵抗が10mΩcm以下、相対密度95%以上である1〜6のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
8.1〜7のいずれかに記載スパッタリングターゲットを用いて作製された酸化物薄膜。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異常放電やノジュールの発生が少ない、In−Ga−Zn系酸化物のスパッタリングターゲットが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】酸化物AのピークA〜Kを示すX線回折チャートである。
【図2】酸化物AのX線回折チャート、InGaO(ZnO)(JCPDS:40−0252)及びIn(ZnO)(JCPDS:20−1442)の結晶構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のスパッタリングターゲットは、インジウム元素(In)、ガリウム元素(Ga)及び亜鉛元素(Zn)を含む、In−Ga−Zn系酸化物焼結体からなり、下記の2つの結晶構造を有することを特徴とする。
結晶構造1:下記で規定される酸化物A
結晶構造2:ホモロガス結晶構造を有するInGaZnO
【0013】
上記酸化物Aは、本発明者らが新規に発見した結晶構造であり、後述する実験例に記載の方法により、ほぼ単一成分として酸化物Aが得られることを本発明者らが見出している。このX線回折測定により得られるチャートにより、本発明の酸化物Aの同定が可能である。
【0014】
図1に、実験例1で製造した酸化物AのX線回折測定(Cukα線)より得られたチャートを示す。図1に示されるように、酸化物Aは下記に記載した回折ピークが観測される。尚、横軸は2θであり、縦軸は強度である。
A.2θ=7.0°〜8.4°(好ましくは7.2°〜8.2°)
B.2θ=30.6°〜32.0°(好ましくは30.8°〜31.8°)
C.2θ=33.8°〜35.8°(好ましくは34.5°〜35.3°)
D.2θ=53.5°〜56.5°(好ましくは54.1°〜56.1°)
E.2θ=56.5°〜59.5°(好ましくは57.0°〜59.0°)
F.2θ=14.8°〜16.2°(好ましくは15.0°〜16.0°)
G.2θ=22.3°〜24.3°(好ましくは22.8°〜23.8°)
H.2θ=32.2°〜34.2°(好ましくは32.7°〜33.7°)
I.2θ=43.1°〜46.1°(好ましくは43.6°〜45.6°)
J.2θ=46.2°〜49.2°(好ましくは46.7°〜48.7°)
K.2θ=62.7°〜66.7°(好ましくは63.7°〜65.7°)
【0015】
酸化物Aは、2θが30.6°〜32.0°(上記領域B)及び33.8°〜35.8°(上記領域C)の位置に観測される回折ピークの一方がメインピークであり、他方がサブピークであることが好ましい。
尚、メインピークの定義は、2θが5〜80°の範囲で最も強度(高さ)の強いピークであり、サブピークの定義は、2番目に強度の強いピークのことである。メインピークが重なる場合は、他のピークからメインピークの強度を逆算することが可能である。
【0016】
本発明において、X線回折の測定条件は、例えば以下の通りである。
装置:(株)リガク製Ultima−III
X線:Cu−Kα線(波長1.5406Å、グラファイトモノクロメータにて単色化)
2θ−θ反射法、連続スキャン(1.0°/分)
サンプリング間隔:0.02°
スリット DS、SS:2/3°、RS:0.6mm
【0017】
新規な結晶であることは、X線回折測定(Cukα線)により得られるチャートにおいて上記のピークが観測される酸化物結晶が、JCPDS(Joint Committee of Powder Diffraction Standards)カードにはないことにより判断した。
【0018】
更に酸化物Aの詳細な説明として、図2に、酸化物AのX線回折チャート、InGaO(ZnO)(JCPDS:40−0252)で示される結晶構造及びIn(ZnO)(JCPDS:20−1442)で示される結晶構造を示す。酸化物AのX線回折チャートは、InGaO(ZnO)(JCPDS:40−0252)で示される結晶構造及びIn(ZnO)(JCPDS:20−1442)で示される結晶構造に類似している。しかしながら、酸化物AはInGaO(ZnO)特有のピーク(上記領域Aのピーク)、及びIn(ZnO)特有のピーク(上記領域D及びEのピーク)を有する。従って、InGaO(ZnO)ともIn(ZnO)とも異なる新たな周期性を有していると判断できる。即ち、酸化物Aは、InGaO(ZnO)及びIn(ZnO)とは異なる。
【0019】
上記領域Bのピークについて、このピークはIn(ZnO)とInGaO(ZnO)のメインピークの間、即ち、31°付近と32°付近の間にある。従って、InGaO(ZnO)のメインピークよりも低角側にシフトしており(格子間距離が広がっていると思われる)、In(ZnO)のメインピークよりも高角側にシフトしている(格子間距離が狭まっていると思われる)。
【0020】
酸化物Aにおいては、X線回折測定により特有の回折パターンを示していれば、酸化物の酸素が過剰であっても不足(酸素欠損)していても構わない(酸素元素の原子比が化学量論比からずれていてもよい)。酸化物の酸素が過剰であると、ターゲットとしたときに抵抗が高くなりすぎるおそれがあるため、酸素欠損を持っていることが好ましい。
【0021】
InGaZnOで表されるホモロガス結晶構造は、JCPDS(Joint Committee of Powder Diffraction Standards)カードNo.38−1104に登録があるため、参照することで特定することができる。
尚、InGaZnOの結晶型は、InGaO(ZnO)と表記される場合もある。
【0022】
InGaZnOは結晶構造X線回折パターンで構造が判断でき、酸素が過剰であったり不足(酸素欠損)であっても構わない(化学量論比通りでもずれていてもよい)が、酸素欠損を有していることが好ましい。酸素が過剰であるとターゲットにしたときに抵抗が高くなりすぎるおそれがある。
【0023】
X線回折から求めたパターンが同じ(構造が同じ)であれば、X線回折から求めた格子定数は、JCPDSカードNo.38−1104のものと異なっていても構わない。
【0024】
同様に、X線回折から求めたパターンが同じ(構造が同じ)であれば、ピーク位置は、JCPDSカードNo.38−1104のものと異なっていても構わない。尚、低角側にシフトしていることは、InGaO(ZnO)のGaサイトにInが固溶置換しているか、格子間に原子が挿入されている等の状態が推定される。
【0025】
上記記載のX線回折ピークで、結晶相の同定が困難な場合はEPMAやμ−XRD(微小部X線回折)等の手法を組み合わせることにより、結晶相を同定することができる。
【0026】
酸化物AよりもInGaZnO相を多く含有している方が、導電性が低くなる可能性が高いため好ましい。
【0027】
本発明のスパッタリングターゲットは、前述の結晶構造1及び結晶構造2以外の結晶構造を含有していてもよく、含有する結晶構造としてはIn等の導電性が高い結晶相がより好ましく、ZnGaで表されるスピネル構造が含まれないことが好ましい。
【0028】
各結晶の含有率は、X線回折チャートの回折ピークの強度比から算出できる。
【0029】
本発明のスパッタリングターゲットの元素組成について、インジウム元素(In)、ガリウム元素(Ga)及び亜鉛元素(Zn)の原子比が、下記式(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
0.25≦Zn/(In+Ga+Zn)≦0.55 (1)
0.15≦Ga/(In+Ga+Zn)<0.33 (2)
【0030】
上記式(1)について、Znの原子比が0.25未満であるとInGaZnOで表される結晶相が生成しにくく、0.55超であると酸化物Aが生成しにくい。
Znの原子比は、0.30〜0.50であることが好ましく、0.32〜0.47であることがより好ましく、特に0.35〜0.45であることが好ましい。この範囲の場合、酸化物AとInGaZnOで表されるホモロガス構造をともに含んだターゲットを作製しやすい。
【0031】
上記式(2)について、Gaの原子比が0.15未満である薄膜は、導電膜となり易くTFT駆動させることが難しい。一方、0.33以上だと、薄膜トランジスタ(半導体薄膜)を作製した際に移動度が低下するおそれがある。
Gaの原子比は、0.18〜0.30であることが好ましく、さらに0.20〜0.28であることが好ましい。
【0032】
スパッタリングターゲットの元素組成は、さらに、インジウム元素(In)及び亜鉛元素(Zn)の原子比が、下記式(3)を満たすことが好ましい。下記式(3)について、インジウムの比率が0.51以上であると得られる薄膜トランジスタの移動度の向上が期待できる。
0.51≦In/(In+Zn) (3)
【0033】
スパッタリングターゲットの元素組成は、さらに、インジウム元素(In)及びガリウム元素(Ga)の原子比が、下記式(4)を満たすことが好ましい。下記式(4)について、インジウムの比率が0.58以下であると薄膜のキャリア濃度のコントロールが容易となることが期待できる。
In/(In+Ga)≦0.58 (4)
【0034】
ターゲット又は酸化物薄膜に含まれる各元素の原子比は、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP−AES)により含有元素を定量分析して求めることができる。
具体的に、ICP−AESを用いた分析では、溶液試料をネブライザーで霧状にして、アルゴンプラズマ(約6000〜8000℃)に導入すると、試料中の元素は熱エネルギーを吸収して励起され、軌道電子が基底状態から高いエネルギー準位の軌道に移る。この軌道電子は10−7〜10−8秒程度で、より低いエネルギー準位の軌道に移る。この際にエネルギーの差を光として放射し発光する。この光は元素固有の波長(スペクトル線)を示すため、スペクトル線の有無により元素の存在を確認できる(定性分析)。
【0035】
また、それぞれのスペクトル線の大きさ(発光強度)は試料中の元素数に比例するため、既知濃度の標準液と比較することで試料濃度を求めることができる(定量分析)。
定性分析で含有されている元素を特定後、定性分析で含有量を求め、その結果から各元素の原子比を求める。
【0036】
本発明のスパッタリングターゲットは、実質的にIn、Ga、Znの酸化物からなっており、本発明の効果を損なわない範囲で、In、Ga、Zn以外の他の金属元素、例えば、Sn、Ge、Si、Sc、Ti、Zr、Hf等、さらに不可避な不純物を含んでいてもよい。
「実質的」とは、スパッタリングターゲットの95重量%以上100重量%以下(好ましくは98重量%以上100重量%以下)がIn、Ga、Znの酸化物であることを意味する。
【0037】
本発明のターゲットは、例えば、各金属元素を含有する原料粉末を焼結することにより製造できる。具体的には、InとGaを焼成した後、ZnOを混合し焼成して得られる。原料酸化物は、得られるターゲットが上記式(1),(2)を満たすように配合する。
以下各工程について説明する。
【0038】
(1)配合工程
配合工程で、本発明の酸化物に含有される金属元素の化合物を混合する。
原料としては、インジウム化合物の粉末、ガリウム化合物の粉末、亜鉛化合物の粉末等の粉末を用いる。インジウムの化合物としては、例えば、酸化インジウム、水酸化インジウム等が挙げられる。ガリウムの化合物としては、例えば、酸化ガリウム、水酸化ガリウム等が挙げられる。亜鉛の化合物としては、例えば、酸化亜鉛、水酸化亜鉛等が挙げられる。各々の化合物として、焼結のしやすさ、副生成物の残存のし難さから、酸化物が好ましい。
【0039】
酸化物を使用する場合、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛の比表面積(BET比表面積)は、通常各々3〜18m/g、3〜18m/g、3〜18m/gであり、好ましくは各々7〜16m/g、7〜16m/g、3〜10m/gであり、より好ましくは各々7〜15m/g、7〜15m/g、4〜10m/gであり、特に好ましくは各々11〜15m/g、11〜15m/g、4〜5m/gである。比表面積が小さすぎると焼結体中に各々の元素の凝集体が成長する、原料粉末の結晶型が残存する、想定外の結晶型が生成し性状が変化する、等のおそれがある。比表面積が大きすぎると想定外の結晶型が生成し性状が変化する、分散不良を起こし外観不良や特性のムラが生じる、等のおそれがある。
【0040】
原料の純度は、通常2N(99質量%)以上、好ましくは3N(99.9質量%)以上、特に好ましくは4N(99.99質量%)以上である。純度が2Nより低いと耐久性が低下したり、液晶側に不純物が入り、焼き付けが起こるおそれがある。
原料の一部として金属亜鉛(亜鉛末)を用いることが好ましい。亜鉛末を用いるとホワイトスポットの生成を低減することができる。
【0041】
本発明では、まずインジウム化合物とガリウム化合物を混合し焼成した後、亜鉛化合物を混合する。原料の混合は、通常の混合粉砕機、例えば、湿式ボールミルやビーズミル又は超音波装置を用いて、均一に混合・粉砕することが好ましい。
【0042】
(2)仮焼工程
本発明では、仮焼工程で、上記工程で得たインジウム化合物とガリウム化合物の混合物を仮焼する。この仮焼によりInとGaが十分に混じり合いZnGaで表されるスピネル相の生成が抑えられる。
【0043】
仮焼工程においては、500〜1200℃で、1〜100時間熱処理することが好ましい。500℃未満又は1時間未満の熱処理では、インジウム化合物、ガリウム化合物の熱分解が不十分となる場合がある。一方、1200℃を超えた場合又は100時間を超えた場合には、粒子の粗大化が起こる場合がある。
従って、特に好ましいのは、800〜1200℃で、2〜50時間、熱処理することである。
【0044】
ここで得られた仮焼物は、下記の成形工程及び焼成工程の前に粉砕することが好ましい。粉砕は原料粉の粒径が、体積平均粒径(D50)で好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.5μm以下まで行うとよい。目的は、原料の均一分散化である。粒径の大きい原料粉が存在すると場所による組成むらが生じるおそれがある。場所による組成むらは、スパッタ時の異常放電の原因となる。また、組成むらがターゲットと作製した薄膜の組成のずれの原因となるおそれがある。仮焼物の粉砕の際に、亜鉛化合物を混合して一緒に粉砕することが好ましい。また、仮焼物の粉砕後に亜鉛化合物を混合してもよい。
【0045】
(3)成形工程
成形工程で、仮焼物と亜鉛化合物の混合物を加圧成形して成形体とする。この工程により、ターゲットとして好適な形状に成形する。仮焼物の微粉末を造粒した後、成形処理により所望の形状に成形することができる。
【0046】
成形処理としては、例えば、プレス成形(一軸成形)、金型成形、鋳込み成形、射出成形等が挙げられるが、焼結密度の高いターゲットを得るためには、冷間静水圧(CIP)等で成形するのが好ましい。
尚、単なるプレス成形(一軸プレス)であると圧力にムラ生じて、想定外の結晶型が生成してしまうおそれがある。
また、プレス成形(一軸プレス)後に、冷間静水圧(CIP)、熱間静水圧(HIP)等を行い2段階以上の成形工程を設けてもよい。
【0047】
CIP(冷間静水圧、あるいは静水圧加圧装置)を用いる場合、面圧800〜4000kgf/cmで0.5〜60分保持することが好ましく、面圧2000〜3000kgf/cmで2〜30分保持することがより好ましい。前記範囲内であると、成形体内部の組成むら等が減り均一化されることが期待される。また、面圧が800kgf/cm未満であると、焼結後の密度が上がらないあるいは抵抗が高くなるおそれがある。面圧4000kgf/cm超であると装置が大きくなりすぎ不経済となるおそれがある。保持時間が0.5分未満であると焼結後の密度が上がらないあるいは抵抗が高くなるおそれがある。60分超であると時間が掛かりすぎ不経済となるおそれがある。
【0048】
尚、成形処理に際しては、ポリビニルアルコールやメチルセルロース、ポリワックス、オレイン酸等の成形助剤を用いてもよい。
【0049】
(4)焼成工程
焼成工程は、上記成形工程で得られた成形体を焼成する工程である。焼成は、熱間静水圧(HIP)焼成等によって行うことができる。
【0050】
焼成条件としては、通常、1100〜1600℃において、通常30分〜360時間、好ましくは8〜180時間、より好ましくは12〜96時間焼成する。焼成温度が1100℃未満であると、ターゲットの密度が上がり難くなったり、焼結に時間がかかり過ぎるおそれがある。一方、1600℃を超えると成分の気化により、組成がずれたり、炉を傷めたりするおそれがある。
燃焼時間が30分未満であると、ターゲットの密度が上がり難く、360時間より長いと、製造時間がかかり過ぎコストが高くなるため、実用上採用できない。
焼成は、通常大気雰囲気等の酸素が含まれている常圧雰囲気又は酸素が含まれている加圧雰囲気下で行う。
酸素を含有しない雰囲気で焼成したり、1600℃以上の温度において焼成したりすると、得られるターゲットの密度を十分に向上させることができず、スパッタリング時の異常放電の発生を十分に抑制できなくなる場合がある。
【0051】
焼成時の昇温速度は、通常8℃/分以下、好ましくは4℃/分以下、より好ましくは2℃/分以下である。8℃/分以下であると降温時にクラックが発生しにくい。
また、焼成時の降温速度は、通常4℃/分以下、好ましくは2℃/分以下である。4℃/分以下であると降温時にクラックが発生しにくい。
【0052】
(5)還元工程
還元工程は、上記焼成工程で得られた焼結体のバルク抵抗をターゲット全体で均一化するためのものであり、必要に応じて設けられる工程である
還元方法としては、例えば、還元性ガスによる方法や真空焼成又は不活性ガスによる還元等が挙げられる。
還元性ガスによる還元処理の場合、水素、メタン、一酸化炭素、又はこれらのガスと酸素との混合ガス等を用いることができる。
不活性ガス中での焼成による還元処理の場合、窒素、アルゴン、又はこれらのガスと酸素との混合ガス等を用いることができる。
還元処理時の温度は、通常100〜800℃、好ましくは200〜800℃である。また、還元処理の時間は、通常0.01〜10時間、好ましくは0.05〜5時間である。
【0053】
上記の各工程により、上記結晶構造1及び2をともに含む酸化物焼結体が得られる。この酸化物焼結体は、相対密度が高く、抵抗が低く(導電性が高く)、抗折強度が高く、均一性が高く、酸化物半導体や透明導電膜等酸化物薄膜を作製するためのターゲットとして適している。
【0054】
上記の酸化物焼結体を必要に応じて所望の形状に加工する。
加工は、上記の酸化物焼結体をスパッタリング装置への装着に適した形状に切削加工し、また、バッキングプレート等の装着用治具を取り付けるために行う。酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとするには、焼結体を、例えば、平面研削盤で研削して表面粗さRaを5μm以下とする。さらに、スパッタリングターゲットのスパッタ面に鏡面加工を施して、平均表面粗さRaを1000オングストローム以下としてもよい。この鏡面加工(研磨)は機械的な研磨、化学研磨、メカノケミカル研磨(機械的な研磨と化学研磨の併用)等の、既に知られている研磨技術を用いることができる。例えば、固定砥粒ポリッシャー(ポリッシュ液:水)で#2000以上にポリッシングしたり、又は遊離砥粒ラップ(研磨材:SiCペースト等)にてラッピング後、研磨材をダイヤモンドペーストに換えてラッピングすることによって得ることができる。このような研磨方法には特に制限はない。
【0055】
研磨後、ターゲットを洗浄することが好ましい。洗浄処理にはエアーブローあるいは流水洗浄等を使用できる。エアーブローで異物を除去する際には、ノズルの向い側から集塵機で吸気を行なうとより有効に除去できる。尚、以上のエアーブローや流水洗浄では限界があるので、さらに超音波洗浄等を行なうこともできる。この超音波洗浄は周波数25〜300KHzの間で多重発振させて行なう方法が有効である。例えば周波数25〜300KHzの間で、25KHz刻みに12種類の周波数を多重発振させて超音波洗浄を行なうのがよい。
【0056】
得られたスパッタリングターゲットをバッキングプレートへボンディングする。ターゲットの厚みは通常2〜20mm、好ましくは3〜12mm、特に好ましくは4〜10mmである。また、複数のターゲットを一つのバッキングプレートに取り付け、実質一つのターゲットとしてもよい。
【0057】
本発明スパッタリングターゲットは、相対密度が95%以上であることが好ましく、96%以上がより好ましい。95%未満だとターゲットが割れやすかったり、異常放電が発生しやすかったりするおそれがある。
相対密度とは、加重平均より算出した理論密度に対して相対的に算出した密度である。各原料の密度の加重平均より算出した密度が理論密度であり、これを100%とする。
【0058】
ターゲットの抵抗率は、0.01mΩcm以上10mΩcm以下が好ましく、0.1mΩcm以上5mΩcm以下がより好ましく、0.2mΩcm以上3mΩcm以下が特に好ましい。抵抗値が10mΩcmを超えると、長時間DCスパッタリングを続けている場合、異常放電によりスパークが発生し、ターゲットが割れたり、スパークにより飛び出した粒子が成膜基板に付着し、酸化物半導体膜としての性能を低下させたりする場合がある。一方、0.01mΩcmより小さいと、ターゲットの抵抗率がパーティクルの抵抗より小さくなり、飛散してきたパーティクルにより異常放電が起きるおそれがある。
【0059】
本発明のスパッタリングターゲットを用いて、基板等の対象物にスパッタすることにより、酸化物薄膜を成膜することができる。酸化物薄膜は薄膜トランジスタの半導体層、酸化物薄膜層等に好適に使用できる。
成膜時の膜厚としては、1〜45nmが好ましく、3〜30nmがさらに好ましく、5〜20nmが特に好ましい。膜厚が、45nm以下となることにより、移動度が高く、S値が低い半導体となることが期待できる。
【実施例】
【0060】
実験例
(1)酸化物Aの製造
出発原料として、In(アジア物性材料社製:純度4N)、Ga(アジア物性材料社製:純度4N)及びZnO(高純度化学社製:純度4N)を使用した。
これらの原料を原子比で、In:Ga:Zn=37.5:12.5:50.0となるように秤量し、湿式媒体攪拌ミルを使用して混合粉砕した。尚、湿式媒体攪拌ミルの媒体には1mmφのジルコニアビーズを使用した。
そして混合粉砕後、スプレードライヤーで乾燥させた。得られた混合粉末を金型に充填しコールドプレス機にて加圧成形し成形体を作製した。
その後、電気炉にて焼結した。焼結条件は以下の通りとした。得られた焼結体はほぼ単一成分である酸化物Aであった。
昇温速度:2℃/分
焼結温度:1480℃
焼結時間:6時間
焼結雰囲気:酸素流入
降温時間:72時間
【0061】
酸化物Aは上記の方法により得られるが、場合によってはバインダーの添加やプレス成形(一軸プレス)後に、冷間静水圧(CIP)、熱間静水圧(HIP)等を行い2段階以上の成形工程を設けてもよい。
【0062】
(2)酸化物AのX線回折測定
この酸化物Aについて後述する実施例1の条件でX線回折測定をした。チャートを図1に示す。
【0063】
実施例1
(1)酸化物焼結体の作製
出発原料として、In(純度4N、アジア物性材料社製)、Ga(純度4N、アジア物性材料社製)及びZnO(純度4N、高純度化学社製)を使用し、原子比でIn:Ga:Zn=42:20:38となるように秤量した。InとGaを、湿式媒体攪拌ミルを使用して混合粉砕し、匣鉢に入れ大気中で900℃、4時間焼成を行った。尚、湿式媒体攪拌ミルの媒体には1mmφのジルコニアビーズを使用した。次に、InとGaの混合焼成物とZnOとを湿式媒体攪拌ミルで混合粉砕した。粉砕後、スプレードライヤーで乾燥させた。得られた混合粉末を金型に充填し、冷間静水圧(CIP)にて面圧2200kgf/cm、5分保持にて加圧成形し成形体を作製した。
その後、電気炉にて焼結した。焼結条件は以下の通りとした。
昇温速度:2℃/分
焼結温度:1400℃
焼結時間:5時間
焼結雰囲気:酸素流入
降温時間:72時間
【0064】
(2)スパッタリングターゲットの作製
焼結後、厚さ6mmの焼結体を厚さ5mm直径4インチに研削、研磨した。この焼結体からターゲット用焼結体を切り出した。焼結体の側辺をダイヤモンドカッターで切断して、表面を平面研削盤で研削して表面粗さRaを0.5μm以下とした。
次に、表面をエアーブローし、さらに周波数25〜300kHzの間で25kHz刻みに12種類の周波数を多重発振させて3分間超音波洗浄し、ターゲットを得た。
【0065】
この後、ターゲットをインジウム半田にて無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングしてターゲットとした。ターゲットの表面粗さはRa≦0.5μmであり、方向性のない研削面を備えていた。
【0066】
(3)ターゲットの評価
得られた酸化物焼結体(ターゲット)について、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0067】
(A)金属元素の比率
誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP−AES、島津製作所社製)で分析した。
【0068】
(B)結晶構造
以下の条件のX線回折測定(XRD)により判定した。
解析結果を表1に示す。表中の○はピークが確認できたことを示し、−はピークが確認できないことを示す。ピークが確認できないとは、最大ピークに対して3%以下のピークのことである。
尚、酸化物Aについては図1のチャートを用いて判定した。
・装置:(株)リガク製Ultima−III
・X線:Cu−Kα線(波長1.5406Å、グラファイトモノクロメータにて単色化)・2θ−θ反射法、連続スキャン(1.0°/分)
・サンプリング間隔:0.02°
・スリット DS、SS:2/3°、RS:0.6mm
【0069】
(C)ターゲットの特性
(a)相対密度
原料粉の密度から計算した理論密度と、アルキメデス法で測定した焼結体の密度から、下記計算式にて算出した。
相対密度=(アルキメデス法で測定した密度)÷(理論密度)×100(%)
【0070】
(b)バルク抵抗率
抵抗率計(三菱化学(株)製、ロレスタ)を使用し四探針法(JIS R1637)に基づき測定、10箇所の平均値を抵抗率値とした。
【0071】
(c)抵抗の均一性
抵抗率計(三菱化学(株)製、ロレスタ)を使用し四探針法(JIS R1637)に基づき測定、10箇所の平均値と標準偏差から、下記計算式にて算出した。
(標準偏差)÷(平均値)×100(%)
【0072】
(D)ターゲットの成膜特性
(a)ノジュール
製造したターゲットをDCスパッタ成膜装置に装着した。0.3PaのAr雰囲気下で、DC出力200Wにて100時間連続スパッタを行い、ターゲット表面に発生するノジュールを目視観察した。
【0073】
(b)異常放電
作製したスパッタリングターゲットを、DCスパッタ装置に装着し、スパッタガスとしてアルゴンを用いて、0.3Pa、DC出力200Wにて、10kWhr連続スパッタを行い、スパッタ中の電圧変動をデータロガーに蓄積し、異常放電の有無を確認した。異常放電の有無は、電圧変動をモニターし異常放電を検出することにより行った。結果を表1に示す。5分間の測定時間中に発生する電圧変動がスパッタ運転中の定常電圧の10%以上あった場合を異常放電とした。
【0074】
実施例2
原料の組成比を原子比でIn:Ga:Zn=50:18:32に変更した他は、実施例1(1)〜(3)と同様にターゲットを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0075】
実施例3
原料の組成比を原子比でIn:Ga:Zn=33:20:47に変更した他は、実施例1(1)〜(3)と同様にターゲットを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0076】
実施例4
原料の組成比を原子比でIn:Ga:Zn=28:28:44に変更した他は、実施例1(1)〜(3)と同様にターゲットを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0077】
比較例1
(1)酸化物焼結体の作製
出発原料として、In(純度4N、アジア物性材料社製)、Ga(純度4N、アジア物性材料社製)及びZnO(純度4N、高純度化学社製)を使用した。
これらの原料を原子比でIn:Ga:Zn=33.3:33.3:33.3として秤量し、湿式媒体攪拌ミルを使用して混合粉砕した。尚、湿式媒体攪拌ミルの媒体には1mmφのジルコニアビーズを使用した。
混合粉砕後、スプレードライヤーで乾燥させた。得られた混合粉末を金型に充填し、冷間静水圧(CIP)にて面圧2200kgf/cm、5分保持にて加圧成形し成形体を作製した。
その後、電気炉にて焼結した。焼結条件は以下の通りとした。
昇温速度:2℃/分
焼結温度:1400℃
焼結時間:5時間
焼結雰囲気:酸素流入
降温時間:72時間
【0078】
(2)ターゲットの作製と評価
実施例1(2),(3)と同様に作製し評価した。結果を表1に示す。
【0079】
比較例2
原料の組成比を原子比でIn:Ga:Zn=33.3:33.3:33.3に変更した他は、実施例1(1)〜(3)と同様にターゲットを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
これらの結果より、実施例1〜4のターゲットは異常放電及びノジュールが少なく良好なターゲットとして使用できることが分かる。また、実施例1〜4と比較例2の製造法は、バルク抵抗の低減、抵抗の均一性の向上、異常放電の低減に効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のスパッタリングターゲットは、酸化物薄膜の形成に好適に使用できる。酸化物薄膜は、例えば、薄膜トランジスタの半導体層等に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記酸化物Aと、InGaZnOとを含有するスパッタリングターゲット。
酸化物A:X線回折測定(Cukα線)により得られるチャートにおいて、下記のA〜Kの領域に回折ピークが観測される酸化物。
A.2θ=7.0°〜8.4°
B.2θ=30.6°〜32.0°
C.2θ=33.8°〜35.8°
D.2θ=53.5°〜56.5°
E.2θ=56.5°〜59.5°
F.2θ=14.8°〜16.2°
G.2θ=22.3°〜24.3°
H.2θ=32.2°〜34.2°
I.2θ=43.1°〜46.1°
J.2θ=46.2°〜49.2°
K.2θ=62.7°〜66.7°
【請求項2】
ZnGaで表されるスピネル構造のX線回折測定(Cukα線)によるピークが、最大ピークの3%以下である請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項3】
インジウム元素(In)、ガリウム元素(Ga)及び亜鉛元素(Zn)の原子比が、下記式(1)及び(2)を満たす請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
0.25≦Zn/(In+Ga+Zn)≦0.55 (1)
0.15≦Ga/(In+Ga+Zn)<0.33 (2)
【請求項4】
インジウム元素(In)及び亜鉛元素(Zn)の原子比が、下記式(3)を満たす請求項3に記載のスパッタリングターゲット。
0.51≦In/(In+Zn)≦0.68 (3)
【請求項5】
インジウム元素(In)及びガリウム元素(Ga)の原子比が、下記式(4)を満たす請求項3に記載のスパッタリングターゲット。
In/(In+Ga)≦0.58 (4)
【請求項6】
インジウム化合物とガリウム化合物の原料粉を混合して500℃以上1200℃以下で焼成した後、亜鉛化合物の原料粉を混合して1100℃以上1600℃以下で焼成して製造した請求項1〜5のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
【請求項7】
抵抗が10mΩcm以下、相対密度95%以上である請求項1〜6のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載スパッタリングターゲットを用いて作製された酸化物薄膜。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−237031(P2012−237031A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105720(P2011−105720)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】