説明

Janusキナーゼ阻害薬としてのシクロブタンおよびメチルシクロブタン誘導体

本発明は、例えば、炎症性疾患および自己免疫疾患、ならびに癌および骨髄増殖性疾患を含む、JAK関連疾患の処置に有用なJanusキナーゼ(JAK)阻害薬である、シクロブタンおよびメチルシクロブタン誘導体、ならびにそれらの塩、組成物、および使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、「Janusキナーゼ阻害薬としてのシクロブタンおよびメチルシクロブタン誘導体」という発明の名称で2010年2月18日に出願された、米国仮出願番号第61/305,630号の優先権を主張する。その明細書を通して引用されている任意の特許、特許出願および参考資料の内容は、その全体が出典明示により本明細書の一部となる。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、シクロブタンおよびメチルシクロブタン誘導体、ならびにそれらの塩、組成物、および使用方法に関する。これらの化合物は、例えば、炎症性疾患および自己免疫疾患、ならびに癌および骨髄増殖性疾患を含む、JAK関連疾患の処置に有用なJanusキナーゼ(JAK)阻害薬である。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景技術)
プロテインキナーゼ(PKs)は、とりわけ、細胞増殖、生存および分化、臓器形成および形態形成、新血管形成、組織修復および再生を含む、種々の重要な生体内作用を調節する酵素の一群である。プロテインキナーゼは、タンパク質(または基質)のリン酸化を触媒することによって、種々の生物学的状況における基質の細胞内活性を調節して、それらの生理作用を発揮する。正常な組織/臓器における機能に加えて、種々のプロテインキナーゼはまた、癌を含む、種々のヒト疾患においてより特異的な役割を果たす。プロテインキナーゼのサブセット(発癌性プロテインキナーゼとも称される)は、調節されない場合、腫瘍形成および成長を引き起こし、さらに腫瘍維持および進行に寄与しうる。これまで、発癌性プロテインキナーゼは、癌処置介入および薬剤開発のための最大かつ最も魅力的な標的タンパク質群の一つを表している。
【0004】
Janusキナーゼ(JAK)ファミリーは、免疫反応に関与する細胞の増殖および機能のサイトカイン依存性調節において役割を果たす。現在、4種の既知の哺乳動物JAKファミリーメンバーが存在している:JAK1(Janusキナーゼ−1としても周知)、JAK2(Janusキナーゼ−2としても周知)、JAK3(Janusキナーゼ、白血球;JAKL;L−JAKおよびJanusキナーゼ−3としても周知)およびTYK2(プロテイン−チロシンキナーゼ2としても周知)。JAKタンパク質は、サイズが120〜140kDaの範囲であり、7種類の保存されたJAKホモロジー(JH)ドメインを含む;これらの1つは機能的触媒キナーゼドメインであり、他は制御機能を果たすおよび/またはSTATに対するドッキング部位として機能する可能性のある偽キナーゼドメインである。
【0005】
JAKキナーゼのレベルでシグナル伝達を阻害することは、数例挙げると、炎症性疾患、自己免疫疾患、骨髄増殖性疾患、およびヒト癌の処置法の開発に有望である。JAKキナーゼの阻害はまた、皮膚免疫疾患、例えば、乾癬、および皮膚感作に罹患している患者において治療上の利益になると想定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、キナーゼ、例えば、Janusキナーゼを阻害する新規または改良された薬剤は、癌および他の疾患を処置するための新規かつより効果的な医薬品を開発するために絶えず必要である。本明細書に記載の化合物、塩、および組成物は、これらの必要性および他の目的の対象とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要約)
本発明は、3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルである化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。ある実施態様において、上記の化合物は、R型またはS型エナンチオマーである。
【0008】
さらに、本発明は、3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチルシクロブチル)プロパンニトリルである化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。さらに、本発明は、R型およびS型エナンチオマーならびにcis型およびtrans型幾何異性体を含む、上記の化合物の種々の立体異性体を含む。
【0009】
さらに、本発明は、本明細書に記載のシクロブチルまたはメチルシクロブチル化合物のいずれかのリン酸塩を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、本明細書に記載の化合物またはその医薬上許容される塩および少なくとも1種の医薬上許容される担体を含む組成物を提供する。
【0011】
さらに、本発明は、患者におけるJAK関連疾患または障害の処置方法であって、治療上有効な量の本明細書に記載の化合物またはその医薬上許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0012】
さらに、本発明は、治療に用いるための、本明細書に記載の化合物またはそれらの医薬上許容される塩を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、治療に用いるための医薬の調製のための、本明細書に記載の化合物またはそれらの医薬上許容される塩の使用を提供する。
【0014】
本発明はまた、患者における自己免疫疾患の処置方法であって、治療上有効な量の本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法を提供する。一の実施態様において、自己免疫疾患は、皮膚疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性関節炎、I型糖尿病、紅斑性狼瘡、炎症性腸疾患、クローン病、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、心筋炎、または自己免疫性甲状腺疾患である。別の実施態様において、自己免疫疾患は、関節リウマチである。また別の実施態様において、自己免疫疾患は、皮膚疾患、例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚感作、皮膚炎、皮膚発疹、接触性皮膚炎またはアレルギー性接触感作である。
【0015】
別の態様において、本発明は、患者における癌の処置方法であって、治療上有効な量の本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法を提供する。一の実施態様において、癌は、固形腫瘍である。別の実施態様において、癌は、前立腺癌、腎臓癌、肝臓癌、乳癌、肺癌、甲状腺癌、カポジ肉腫、キャッスルマン病または膵臓癌である。また別の実施態様において、癌は、骨髄腫、白血病または多発性骨髄腫である。
【0016】
また別の態様において、本発明は、患者における骨髄増殖性疾患の処置方法であって、治療上有効な量の本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法を提供する。一の実施態様において、骨髄増殖性疾患(MPD)は、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、原発性骨髄線維症(PMF)、骨髄化生を伴う骨髄線維症(MMM)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、好酸球増加症候群(HES)、特発性骨髄線維症(IMF)、全身性肥満細胞疾患(SMCD)、または真性赤血球増加症/本態性血小板血症後の骨髄線維症(Post−PV/ET MF)である。
【0017】
別の態様において、本発明は、患者における炎症性疾患の処置方法であって、治療上有効な量の本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は、患者における臓器移植拒絶反応の処置方法であって、治療上有効な量の本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0019】
また別の態様において、本発明は、患者におけるドライアイの処置方法であって、治療上有効な量の本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な記載)
本発明は、とりわけ、JAK阻害化合物:3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(式I)およびその医薬上許容される塩を提供する。
【化1】

【0021】
さらに、本発明は、化合物、(R)−3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(式I−R)および(S)−3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(式I−S)またはそれらの医薬上許容される塩を提供する。
【化2】

【0022】
さらに、本発明は、JAK阻害化合物、3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル(式II)およびその医薬上許容される塩を提供する。
【化3】

【0023】
さらに、本発明は、式IIで示される化合物のcis型およびtrans型異性体を提供する。これらのcis型およびtrans型異性体は、以下のものである:
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((trans)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル(式II−trans);および
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((cis)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル(式II−cis)。
【化4】

【0024】
さらに、本発明は、式IIで示される化合物のR型およびS型エナンチオマーを提供する。これらのR型およびS型異性体は、以下のものである:
(3R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル(式II−R);および
(3S)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル(式II−S)。
【化5】

【0025】
さらに、本発明は、式IIで示される化合物のR/trans、R/cis、S/trans、およびS/cis異性体を提供する。これらの異性体は、以下のものである:
(3R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((trans)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル(式II−R/trans)、
(3S)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((trans)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル(式II−S/trans)、
(3R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((cis)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル(式II−R/cis)、および
(3S)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((cis)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル(式II−S/cis)。
【化6】

【0026】
上記の化合物は、本明細書において「本発明の化合物」と称される。本明細書などにおいて、化合物の名称と化合物の構造の間に相違が存在する場合には、該化学構造が統制する。
【0027】
さらに、本発明は、上記の化合物のいずれかの医薬上許容される塩を提供する。ある実施態様において、医薬上許容される塩はリン酸塩である。
【0028】
本明細書に記載の化合物は非対称である(例えば、1つまたはそれ以上の立体中心を有する)。特に明記しない限り、あらゆる立体異性体、例えば、エナンチオマーおよびジアステレオマーが対象である。非対称に置換された炭素原子を含有する本発明の化合物は、光学活性形態またはラセミ形態で単離されうる。光学活性形態の調製方法は、当該技術分野において周知である、例えば、ラセミ混合物の分解または立体選択的合成によるものである。幾何異性体はまた、本明細書に記載の化合物において存在することができ、そのようなあらゆる安定な異性体が本発明において考慮されている。本発明の化合物のcis型およびtrans型幾何異性体は記載されており、異性体の混合物としてまたは実質的に分離された異性体として単離されうる。立体異性(例えば、光学および/または幾何異性)能を有する化合物が、特異的R/Sまたはcis/trans立体配置を考慮せずにその構造または名称において示される場合には、そのようなあらゆる異性体が考慮されていることが意図とされている。例えば、上記の式IおよびIIは、分子がかかる異性を可能にする範囲でR型およびS型異性体ならびにcis型およびtrans型異性体の両方を含むものと理解される。
【0029】
ラセミ混合物の分解、または光学および/または幾何異性体の混合物の分離は、クロマトグラフ法(例えば、キラルカラムクロマトグラフィー)または分別再結晶を含む当該技術分野にて周知の種々の方法のいずれかによって実施されうる。
【0030】
本発明の化合物はまた、互変異性体を含みうる。互変異性体は、プロトンの同時移動と一緒に単結合と隣接した二重結合とが置き換わることから生じる。互変異性体には、同一の実験式および全電荷を有する異性体プロトン化状態であるプロトトロピー互変異性体が含まれる。プロトトロピー互変異性体の例として、ケトン−エノール対、アミド−イミド酸対、ラクタム−ラクチム対、アミド−イミド酸対、エナミン−イミン対、およびプロトンが複素環系の2またはそれ以上の位置を占有しうる環状形態、例えば、1H−および3H−イミダゾール、1H−、2H−および4H−1,2,4−トリアゾール、1H−および2H−イソインドール、ならびに1H−および2H−ピラゾールが挙げられる。
【0031】
本発明の化合物および塩は、水和物および溶媒和物を形成するために、他の分子、例えば、溶媒および水分子と一緒に見出されうる。
【0032】
本発明の化合物および塩はまた、その中に存在する原子のあらゆる同位体を含みうる。同位体には、原子番号は同一であるが、原子数が異なる原子が含まれる。例えば、水素の同位体には、トリチウムおよびジュウテリウムが含まれる。
【0033】
ある実施態様において、本発明の化合物およびその塩は、実質的に単離される。「実質的に単離される」は、化合物が形成されるかまたは検出される状況から化合物が少なくとも部分的にまたは実質的に分離されることを意味する。部分分離には、例えば、本発明の化合物または塩が豊富な組成物が含まれうる。実質的分離には、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%の本発明の化合物またはその塩が含まれうる。
【0034】
「医薬上許容される」なる語句は、正しい医学的判断の範囲内にあって、適当な効果/リスク比に比例する、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わない人間および動物の組織に接触させて用いるのに適当な化合物、塩、物質、組成物および/または剤形を示すために本明細書にて用いられる。
【0035】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物の医薬上許容される塩を含みうる。本明細書に用いられる、「医薬上許容される塩」なる語句は、親化合物が存在する酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾されている、開示された化合物の誘導体を示す。医薬上許容される塩の例として、限定されるものではないが、塩基残基、例えば、アミンの鉱酸または有機酸塩;酸残基、例えば、カルボン酸残基のアルカリまたは有機塩などが挙げられる。本発明の医薬上許容される塩には、例えば、無毒性無機または有機酸から形成された親化合物の慣習的な無毒性塩が含まれる。本発明の医薬上許容される塩は、慣習的な化学的方法によって塩基または酸部分を含有する親化合物から合成されうる。一般的には、かかる塩は、水中または有機溶媒中、またはその2種の混合液中で遊離酸または塩基形態のこれらの化合物を化学量の適当な塩基または酸と反応させることによって調製されうる。適当な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418およびJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)にて見出され、その各々はその全体が出典明示により本明細書の一部となる。
【0036】
方法
本発明の化合物および塩は、1種またはそれ以上のJanusキナーゼ(JAK)の活性を阻害しうる。本発明の化合物が結合および/または阻害するJAKには、任意のメンバーのJAKファミリーが含まれる。本発明の化合物は、JAK1およびJAK2の両方の活性を阻害する。
【0037】
本発明の別の態様は、治療上有効な量または用量の本発明の化合物もしくは塩またはその医薬組成物を処置が必要な個体に投与することによって個体(例えば、患者)におけるJAK関連疾患または障害を処置する方法に関連する。JAK関連疾患には、過剰発現および/または異常な活性レベルを含む、JAKの発現または活性に直接的または間接的に付随している任意の疾患、障害または病態が含まれうる。JAK関連疾患には、JAK活性を調節することによって予防、緩和、または治療されうる任意の疾患、障害または病態も含まれうる。
【0038】
JAK関連疾患の例として、例えば、臓器移植拒絶反応(例えば、同種移植拒絶反応および移植片対宿主病)を含む、免疫系に関与する疾患が挙げられる。
【0039】
JAK関連疾患のさらなる例として、自己免疫疾患、例えば、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節炎、乾癬性関節炎、I型糖尿病、紅斑性狼瘡、乾癬、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、自己免疫性甲状腺疾患などが挙げられる。ある実施態様において、自己免疫疾患は、自己免疫性水疱性皮膚疾患、例えば、尋常性天疱瘡(PV)または水疱性類天疱瘡(BP)である。
【0040】
JAK関連疾患のさらなる例として、アレルギー状態、例えば、喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎および鼻炎が挙げられる。JAK関連疾患のさらなる例として、ウイルス疾患、例えば、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HTLV 1、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)およびヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)が挙げられる。
【0041】
JAK関連疾患または病態のさらなる例として、皮膚疾患、例えば、乾癬(例えば、尋常性乾癬)、アトピー性皮膚炎、皮膚発疹、皮膚炎、皮膚感作(例えば、接触性皮膚炎またはアレルギー性接触性皮膚炎)が挙げられる。例えば、いくつかの医薬品を含む特定の物質は、局所的に適用される場合、皮膚感作を引き起こしうる。ある実施態様において、望ましくない感作を引き起こす薬剤と一緒の本発明の少なくとも1種のJAK阻害薬の共投与または連続投与は、かかる望ましくない感作または皮膚炎を処置するのに有用でありうる。ある実施態様において、皮膚疾患は、少なくとも1種の本発明のJAK阻害薬の局所投与によって処置される。
【0042】
さらなる実施態様において、JAK関連疾患は、固形腫瘍(例えば、前立腺癌、腎臓癌、肝臓癌、膵臓癌、胃癌、乳癌、肺癌、頭頸部癌、甲状腺癌、グリア芽腫、カポジ肉腫、キャッスルマン病、メラノーマなど)、血液癌(例えば、リンパ腫、白血病、例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(AML)または多発性骨髄腫)、および皮膚癌、例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)および皮膚B細胞リンパ腫によって特徴付けられるものを含む癌である。皮膚T細胞リンパ腫の例として、セザリー症候群および菌状息肉腫が挙げられる。
【0043】
さらに、JAK関連疾患には、変種JAK2、例えば、偽キナーゼドメイン中に少なくとも1つの変異を有するもの(例えば、JAK2V617F)の発現によって特徴付けられるものが含まれうる。
【0044】
さらに、JAK関連疾患には、骨髄増殖性疾患(MPD)、例えば、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄化生を伴う骨髄線維症(MMM)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、好酸球増加症候群(HES)、全身性肥満細胞疾患(SMCD)などが含まれうる。ある実施態様において、骨髄増殖性疾患は、原発性骨髄線維症(PMF)または真性赤血球増加症/本態性血小板血症後の骨髄線維症(Post−PV/ET MF)である。
【0045】
さらなるJAK関連疾患には、炎症および炎症性疾患が含まれる。炎症性疾患の例として、眼の炎症性疾患(例えば、虹彩炎、ブドウ膜炎、強膜炎、結膜炎、または関連疾患)、気道の炎症性疾患(例えば、鼻および鼻腔、例えば、鼻炎もしくは副鼻腔炎を含む上気道または気管支炎、慢性閉塞性肺疾患などを含む下気道)、炎症性菌疾患、例えば、心筋炎、および他の炎症性疾患が挙げられる。
【0046】
本明細書に記載のJAK阻害薬は、さらに虚血再かん流傷害または炎症性虚血性事象に付随する疾患もしくは病態、例えば、脳卒中または心停止を処置するために用いられうる。本明細書に記載のJAK阻害薬は、さらに拒食症、悪液質、または疲労、例えば、癌から生じるものまたは癌に付随するものを処置するために用いられうる。本明細書に記載のJAK阻害薬は、さらに再狭窄、強皮症、または線維症を処置するために用いられうる。本明細書に記載のJAK阻害薬は、低酸素症またはアストログリオーシスに付随する病態、例えば、糖尿病性網膜症、癌、または神経変性などを処置するために用いられうる。例えば、Dudley,A.C.ら.Biochem.J.2005,390(Pt 2):427−36およびSriram,K.ら.J.Biol.Chem.2004,279(19):19936−47.Epub 2004 Mar 2を参照のこと。本明細書に記載のJAK阻害薬は、アルツハイマー病を処置するために用いられうる。
【0047】
本明細書に記載のJAK阻害薬は、さらに他の炎症性疾患、例えば、全身性炎症反応症候群(SIRS)および敗血性ショックを処置するために用いられうる。
【0048】
本明細書に記載のJAK阻害薬は、痛風および例えば、前立腺肥大症または良性前立腺過形成による前立腺サイズの増大を処置するために用いられうる。
【0049】
本明細書に記載のJAK阻害薬ならびにIL−6/STAT3シグナル伝達に影響を及ぼしうる他のJAK阻害薬は、さらに炎症関連増殖性疾患を処置するために用いられうる。炎症は、ある種の癌の発症に関連することが示されている。例えば、炎症性腸疾患、例えば、潰瘍性大腸炎に罹患している患者は、結腸直腸癌を発症する危険性がかなり高いことが示されている。これらの種類の炎症関連癌は、大腸炎関連癌(CAC)と称されている。複数の研究は、IL−6/STAT3シグナル伝達がCACの促進に関与することを示している。例えば、STAT3腸上皮細胞が欠損しているマウスは、CACの動物モデルにおける腫瘍のサイズおよび発生を低下させた。Brombergら,「Inflammation and cancer:IL−6 and STAT3 complete the link」,Cancer Cell,15:79−80(2009)。同様の結果は、野生型マウスより少なくかつ小さい腺腫を発症したIL−6欠損マウスで得られた。Grivennikovら,「IL−6 and STAT3 are required for survival of intestinal epithelial cells and the development of colitis−associated cancer」,Cancer Cell,15:103−111(2009)。Bollrathら,「gp130−Mediated STAT3 activation in enterocytes regulatres cell survival and cell−cycle progression during colitis−associated tumorigenesis」,Cancer Cell,15:91−102(2009);およびKortylewskiら,「Regulation of the IL−23 and IL−12 balance by Stat3 signaling in the tumor microenvironment」,Cancer Cell,15:114−123(2009)も参照のこと。
【0050】
したがって、ある実施態様において、本発明のJAK阻害薬およびIL−6/STAT3シグナル伝達に影響を及ぼすものは、炎症関連癌を処置するために用いられうる。ある実施態様において、癌は炎症性腸疾患に付随する。ある実施態様において、炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎である。ある実施態様において、炎症性腸疾患はクローン病である。ある実施態様において、炎症関連癌は大腸炎関連癌である。ある実施態様において、炎症関連癌は結腸癌または結腸直腸癌である。ある実施態様において、癌は胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、腺癌、小腸癌、または直腸癌である。本明細書にて提供される化合物に加えて、炎症関連癌の処置に用いられうるJAK阻害薬の例として、US2006/0106020;US2006/0183906;US2007/0149506;US2007/0135461;US2008/0188500;US2008/0312258;US2008/0312259;およびU.S.Ser.No.12/270,135に記載のものが挙げられる。
【0051】
JAK阻害薬は、炎症関連癌の処置における潜在的有効性について動物モデルにて試験されうる。例えば、CACは、Grivennikovら,「IL−6 and STAT3 are required for survival of intestinal epithelial cells and the development of colitis−associated cancer」,Cancer Cell,15:103−111(2009)に要約される方法によって処置された(例えば、JAK阻害薬で)または未処置のマウスにおいて誘導されうる。疾患の進行は、体重の測定および直腸出血および下痢の兆候のモニタリングによって追跡されうる。動物の屠殺後、遠位結腸の一部は分析のために取り除かれる。
【0052】
ある実施態様において、本明細書に記載のJAK阻害薬は、さらにドライアイ障害を処置するために用いられうる。本明細書に用いられる、「ドライアイ障害」は、「不快感、視覚障害、および眼表面の潜在的損傷を伴う涙液層の不安定化の症状を生じる涙液および眼表面の多因子疾患。涙液層の浸透圧の増加および眼表面の炎症を伴う。」としてドライアイを定義している、Dry Eye Workshop(DEWS)の最近の公式報告に要約される病態を包含することを意図とする。Lemp,「The Definition and Classification of Dry Eye Disease: Report of the Definition and Classification Subcommittee of the International Dry Eye WorkShop」,The Ocular Surface,5(2),75−92 April 2007、その全体が出典明示により本明細書の一部となる。ドライアイはまた、乾性角結膜炎と称される場合もある。ある実施態様において、ドライアイ障害の処置は、ドライアイ障害の特定の症状、例えば、眼の不快感、視覚障害、涙液層の不安定化、涙液の高浸透圧、および眼表面の炎症の改善に関与する。ドライアイの処置のためのJAK阻害薬の使用は、2009年10月1日に出願された、米国シリアル番号第12/571,834号(出典明示により本明細書の一部となる)にて提供される。
【0053】
さらなる態様において、本発明は、結膜炎、ブドウ膜炎(慢性ブドウ膜炎を含む)、脈絡膜炎、網膜炎、毛様体炎、強膜炎、上強膜炎、または虹彩炎の処置方法;角膜移植、LASIK(レーザー光線による近視手術)、レーザー屈折矯正角膜切除術、またはLASEK(レーザー光線による角膜上皮下切除術)に付随する炎症または疼痛の処置方法;角膜移植、LASIK、レーザー屈折矯正角膜切除術、またはLASEKに付随する視力の低下の抑制方法;または治療上有効な量の式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩もしくはN−オキシドを患者に投与することを含む、それを必要とする患者における移植拒絶反応の抑制方法を提供する。ある実施態様において、該化合物、またはその医薬上許容される塩もしくはN−オキシドは、角膜移植、LASIK、レーザー屈折矯正角膜切除術、およびLASEKから選択される処置を受けようとしている患者に対し術前に投与される。ある実施態様において、該化合物、またはその医薬上許容される塩もしくはN−オキシドは、処置中および処置後の炎症または疼痛を抑制または軽減する。ある実施態様において、該化合物、またはその医薬上許容される塩もしくはN−オキシドは、処置の約1日〜約2日前に投与される。ある実施態様において、該化合物、またはその医薬上許容される塩もしくはN−オキシドは、角膜移植、LASIK、レーザー屈折矯正角膜切除術、およびLASEKから選択される処置を受けている患者に対し術後に投与される。ある実施態様において、視力の低下を抑制することは、視力の低下を軽減することを意味する。ある実施態様において、術後または術前の処置は、処置後の瘢痕化および線維性集塊の量を軽減する。ある実施態様において、視力の低下を抑制することは、患者が視力を保つことを意味する。ある実施態様において、移植拒絶反応を抑制することは、該化合物、またはその医薬上許容される塩もしくはN−オキシドが免疫抑制薬であるため、角膜移植のあらゆる拒絶反応を抑制することを意味する。
【0054】
一の実施態様において、本発明は、対象における癌の処置方法であって、3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、対象における骨髄線維症の処置方法であって、3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、対象における関節リウマチ(RA)の処置方法であって、3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、対象における真性赤血球増加症(PV)の処置方法であって、3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、対象における本態性血小板血症(ET)の処置方法であって、3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、対象における固形腫瘍の処置方法であって、3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、対象における乾癬の処置方法であって、3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0055】
一の実施態様において、本発明は、対象における癌の処置方法であって、3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル、その異性体、その医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、対象における骨髄線維症の処置方法であって、3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、対象における関節リウマチ(RA)の処置方法であって、3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、対象における真性赤血球増加症(PV)の処置方法であって、3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、対象における本態性血小板血症(ET)の処置方法であって、3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、対象における固形腫瘍の処置方法であって、3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、対象における乾癬の処置方法であって、3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル、その異性体、またはその医薬上許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0056】
本明細書に用いられる、「接触させること」なる語は、インビトロ系またはインビボ系において所定の部分を集めることをいう。例えば、JAKと本発明の化合物を「接触させること」には、JAKを有する、個体または患者、例えば、ヒトへの本発明の化合物の投与、ならびに例えば、JAKを含有する細胞調製物または精製品を含有するサンプルに本発明の化合物を導入することが含まれる。
【0057】
本明細書に用いられる、「個体」または「患者」なる語(交互に用いられる)は、哺乳動物を含む、任意の動物、好ましくは、マウス、ラット、他の齧歯動物、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、および最も好ましくは、ヒトをいう。
【0058】
本明細書に用いられる、「治療上有効な量」なる語句は、研究者、獣医、医師または他の臨床医によって組織、系、動物、個体またはヒトにおいて求められている生物学的または医学的反応を引き起こす活性化合物または医薬物質の量をいう。
【0059】
本明細書に用いられる、「処置すること」または「処置」なる語は、(1)疾患を予防すること;例えば、疾患、病態または障害に罹患しやすいかもしれないが、疾患の病状または症状をまだ経験または示していない個体における疾患、病態または障害を予防すること;(2)疾患を抑制すること;例えば、疾患、病態または障害の病状または症状を経験または示している個体における疾患、病態または障害を抑制すること;および(3)疾患を軽減すること;例えば、疾患、病態または障害の病状または症状を経験または示している個体における疾患、病態または障害を軽減すること(すなわち、病状および/または症状を回復に向かわせること)、例えば、疾患の重症度を減少させることの1つまたはそれ以上をいう。
【0060】
「使用」なる語には、それぞれ、以下の本発明の実施態様のいずれか1つまたはそれ以上が含まれる:疾患の処置における使用;疾患の処置に用いるための医薬組成物の製造のための使用、例えば、医薬の製造における使用;これらの疾患の処置における本発明の化合物の使用方法;これらの疾患の処置のための本発明の化合物を有する医薬製剤;およびこれらの疾患の処置に用いるための本発明の化合物;特に明記されていない場合、適当な方法。特に、本発明の化合物の使用が好ましい、治療される疾患は、JAKキナーゼの活性に付随する疾患から選択される。
【0061】
組み合わせ療法
1種またはそれ以上のさらなる医薬物質、例えば、化学療法剤、抗炎症剤、ステロイド類、免疫抑制剤、ならびにBcr−Abl、Flt−3、RAFおよびFAKキナーゼ阻害薬、例えば、WO2006/056399に記載されるもの、または他の治療剤などは、JAK関連疾患、障害または病態の処置のために本発明の化合物または塩と組み合わせて用いられうる。1種またはそれ以上のさらなる医薬物質は、同時にまたは連続して患者に投与されうる。
【0062】
化学療法剤の例として、プロテアソーム阻害薬(例えば、ボルテゾミブ)、サリドマイド、レブラミド、およびDNA損傷物質、例えば、メルファラン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、エトポシド、カルムスチンなどが挙げられる。
【0063】
ステロイドの例として、コルチコステロイド、例えば、デキサメタゾンまたはプレドニゾロンが挙げられる。
【0064】
Bcr−Abl阻害薬の例として、U.S.Pat.No.5,521,184、WO04/005281、およびWO2005/123719に開示される属および種の化合物およびその医薬上許容される塩が挙げられる。
【0065】
適当なFlt−3阻害薬の例として、WO03/037347、WO03/099771、およびWO04/046120に開示された化合物およびそれらの医薬上許容される塩が挙げられる。
【0066】
適当なRAF阻害薬の例として、WO00/09495およびWO05/028444に開示された化合物およびそれら医薬上許容される塩が挙げられる。
【0067】
適当なFAK阻害薬の例として、WO04/080980、WO04/056786、WO03/024967、WO01/064655、WO00/053595、およびWO01/014402に開示された化合物およびそれらの医薬上許容される塩が挙げられる。
【0068】
ある実施態様において、1種またはそれ以上の本発明の化合物は、特にイマチニブまたは他のキナーゼ阻害薬に耐性を示す患者を処置するためにイマチニブを含む1種またはそれ以上の他のキナーゼ阻害薬と組み合わせて用いられうる。
【0069】
ある実施態様において、1種またはそれ以上の本発明のJAK阻害薬は、癌の処置において化学療法剤と組み合わせて用いられ、その毒性作用の増悪を伴うことなく、化学療法剤単独での反応と比べて処置反応を潜在的に改善しうる。多発性骨髄腫の処置に用いられるさらなる医薬物質の例として、例えば、限定するものではないが、メルファラン、メルファラン+プレドニゾロン[MP]、ドキソルビシン、デキサメタゾン、およびベルケイド(ボルテゾミブ)が挙げられうる。さらに、多発性骨髄腫の処置に用いられるさらなる物質には、Bcr−Abl、Flt−3、RAFおよびFAKキナーゼ阻害薬が含まれる。相加または相乗効果は、本発明のJAK阻害薬とさらなる物質の組み合わせの望ましい結果である。さらに、物質、例えば、デキサメタゾンに対する多発性骨髄腫細胞の耐性は、本発明のJAK阻害薬での処置により可逆的でありうる。該物質は、単一または連続剤形において本発明化合物と組み合わせられうるか、または該物質は、別々の剤形として同時にまたは連続して投与されうる。
【0070】
ある実施態様において、コルチコステロイド、例えば、デキサメタゾンは、デキサメタゾンが連続的とは対照的な断続的に投与される場合、少なくとも1種のJAK阻害薬と組み合わせて患者に投与される。
【0071】
あるさらなる実施態様において、1種またはそれ以上の本発明のJAK阻害薬と他の治療剤との組合せは、骨髄移植または幹細胞移植前、移植中および/または移植後に患者に投与されうる。
【0072】
ある実施態様において、少なくとも1種のさらなる治療剤は、ドライアイ障害および眼の他の障害の処置に関連して用いられうる。ある実施態様において、さらなる治療剤は、フルオシノロンアセトニド(Retisert(登録商標))、またはメキソロン(AL−2178,Vexol,Alcon)である。ある実施態様において、さらなる治療剤は、シクロスポリン(Restasis(登録商標))である。ある実施態様において、さらなる治療剤は、コルチコステロイドである。ある実施態様において、トリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、コルチゾン、プレドニゾロン、またはフルメトロンである。
【0073】
ある実施態様において、さらなる治療剤は、Dehydrex(商標)(Holles Labs)、シバミド(Civamide)(Opko)、ヒアルロン酸ナトリウム(Vismed,Lantibio/TRB Chemedia)、シクロスポリン(ST−603,Sirion Therapeutics)、ARG101(T)(テストステロン,Argentis)、AGR1012(P)(Argentis)、エカベトナトリウム(Senju−Ista)、ゲファルナート(Santen)、15−(s)−ヒドロキシエイコサテトラエン酸(15(S)−HETE)、セビレミン(cevilemine)、ドキシサイクリン(doxycline)(ALTY−0501,Alacrity)、ミノサイクリン、iDestrin(商標)(NP50301,NascentPharmaceuticals)、シクロスポリンA(Nova22007,Novagali)、オキシテトラサイクリン(ズラマイシン,MOLI1901,Lantibio)、CF101((2S,3S,4R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−[6−[(3−ヨードフェニル)メチルアミノ]プリン−9−イル]−N−メチル−オキソラン−2−カルバミル,Can−Fite Biopharma)、ボクロスポリン(LX212またはLX214,Lux Biosciences)、ARG103(Agentis)、RX−10045(合成レゾルビンアナログ,Resolvyx)、DYN15(Dyanmis Therapeutics)、リボグリタゾン(DE011,Daiichi Sanko)、TB4(RegeneRx)、OPH−01(Ophtalmis Monaco)、PCS101(Pericor Science)、REV1−31(Evolutec)、ラクリチン(Senju)、レバミピド(Otsuka−Novartis)、OT−551(Othera)、PAI−2(University of Pennsylvania and Temple University)、ピロカルピン、タクロリムス、ピメクロリムス(AMS981,Novartis)、エタボン酸ロテプレドノール、リツキシマブ、シクアホソル四ナトリウム(INS365,Inspire)、KLS−0611(Kissei Pharmaceuticals)、デヒドロエピアンドロステロン、アナキンラ、エファリズマブ、ミコフェノール酸ナトリウム、エタネルセプト(Embrel(登録商標))、ヒドロキシクロロキン、NGX267(TorreyPines Therapeutics)、またはサリドマイドから選択される。
【0074】
ある実施態様において、さらなる治療剤は、血管新生阻害剤、コリン作動薬、TRP−1受容体モジュレーター、カルシウムチャネル阻害薬、ムチン分泌促進剤、MUC1刺激薬、カルシニューリン阻害薬、コルチコステロイド、P2Y2受容体アゴニスト、ムスカリン受容体アゴニスト、別のJAK阻害薬、Bcr−Ablキナーゼ阻害薬、Flt−3キナーゼ阻害薬、RAFキナーゼ阻害薬、およびFAKキナーゼ阻害薬、例えば、WO2006/056399に記載されたものなどである。ある実施態様において、さらなる治療剤は、テトラサイクリン誘導体(例えば、ミノサイクリンまたはドキシサイクリン)である。
【0075】
ある実施態様において、さらなる治療剤(複数)は、鎮痛点眼薬(「人口涙液」としても周知)であり、それには、限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセリン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、またはカルボキシメチルセルロースを含有する組成物が含まれる。人工涙液は、涙液層の低下した水分および潤滑の能力を補うことによってドライアイの処置に有用でありうる。ある実施態様において、さらなる治療剤は、粘液溶解薬、例えば、N−アセチル−システインであり、それは、涙液層の粘性を低下させるためにムコタンパク質と相互作用しうる。
【0076】
ある実施態様において、さらなる治療剤には、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、麻酔薬、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症剤を含む抗炎症剤、および抗アレルギー剤が含まれる。適当な医薬の例として、アミノグリコシド、例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、ネチルマイシン、およびカナマイシン;フルオロキノロン、例えば、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、ロメフロキサシン、レボフロキサシン、およびエノキサシン;スルホンアミド;ポリミキシン;クロラムフェニコール;ネオマイシン;パロモマイシン(paramomomycin);コリスチメタート;バシトラシン;バンコマイシン;テトラサイクリン;リファンピンおよびその誘導体(「リファンピシン」);シクロセリン;β−ラクタム;セファロスポリン;アンフォテリシン;フルコナゾール;フルシトシン;ナタマイシン;ミコナゾール;ケトコナゾール;コルチコステロイド;ジクロフェナク;フルルビプロフェン;ケトロラック;スプロフェン;コモリン(comolyn);ロドキサミド;レボカバスチン;ナファゾリン(naphazoling);アンタゾリン;フェニラミン(pheniramimane)またはアザライド系抗生物質が挙げられる。
【0077】
医薬処方物および剤形
医薬品として用いる場合、本発明の化合物および塩は、医薬組成物の形態で投与されうる。これらの組成物は、医薬分野における周知の手法で調製され、局所または全身処置が望ましいかどうかおよび処置される領域に応じて、種々の経路によって投与されうる。投与は、局所投与(経皮投与、表皮投与、眼投与ならびに鼻腔内投与、膣内投与および直腸輸送を含む粘膜への投与を含む)、肺投与(例えば、ネブライザーによる投与を含む、粉末またはエアロゾルの吸入または注入による投与;気管内投与または鼻腔内投与)、経口投与または非経口投与でありうる。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋肉内注射または注入;または頭蓋内、例えば、髄腔内または脳室内投与が含まれる。非経口投与は、単回ボーラス投与の形態でありうるか、または例えば、持続注入ポンプによるものでありうる。局所投与のための医薬組成物および処方物には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴剤、坐剤、スプレー、液体および粉末が含まれうる。慣習的な医薬担体、水性、粉末状または油性基剤、増粘剤などは、必要であってもよくまたは望ましくてもよい。被覆されたコンドーム、グローブなども有用でありうる。
【0078】
本発明はまた、1種またはそれ以上の医薬上許容される担体(賦形剤)と組み合わせて活性成分として、1種またはそれ以上の上記の本発明の化合物を含有する医薬組成物を含む。本発明の組成物の製造において、活性成分は、典型的には、賦形剤と混合されるか、賦形剤によって希釈されるかまたは例えば、カプセル、サシェ、ペーパー、または他の容器の形態でかかる担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として機能を果たす場合、それは、ビヒクル、担体または活性成分のための媒体として機能する、固体、半固体、または液体物質でありうる。したがって、組成物は、錠剤、ピル、散剤、ロゼンジ、サシェ、カシェー、エリキシル剤、懸濁液、乳液、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体培地における)、例えば、最大10重量%の活性成分を含有する軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射溶液、および滅菌包装散剤の形態でありうる。
【0079】
処方物の調製において、活性化合物は、他の成分と組み合わせる前に適当な粒子径を得るために破砕されうる。活性化合物が実質的に不溶性であるならば、それは、200mesh未満の粒子径に破砕されうる。活性化合物が実質的に水溶性であるならば、粒子径は、処方物における実質的に均一な分布を得るために破砕することによって調整されうる、例えば、約40mesh。
【0080】
本発明の化合物は、錠剤形成および他の処方形態に適当な粒子径を得るために既知の破砕製法、例えば、湿式破砕を用いて破砕されうる。本発明の化合物の微粉化(ナノ粒子)製剤は、当該技術分野にて周知の製法によって調製されうる、例えば、国際特許出願番号WO2002/000196を参照のこと。
【0081】
適当な賦形剤のいくつかの例として、乳糖、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。加えて、処方物には、潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;保存剤、例えば、メチル−およびプロピルヒドロキシ−安息香酸塩;甘味剤;および香味剤が含まれる。本発明の組成物は、当該技術分野にて周知の製法を用いて患者に投与した後に活性成分の速放、徐放または遅延放出を提供するように処方されうる。
【0082】
組成物は、単位剤形で処方され得、その各剤形は、約5〜約1000mg(1g)、より一般的には、約100〜約500mgの活性成分を含有する。「単位剤形」なる語は、単回投与量としてヒト対象および他の動物に適当な物理的に別々の単位をいい、その各単位は、適当な医薬賦形剤と共に、所望の治療効果をもたらすために算出された所定量の活性物質を含有する。
【0083】
活性化合物は、広い投与量範囲にわたって効果的であり得、一般的には、医薬上有効な量で投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は通常、治療されている病態、選択された投与経路、実際の投与化合物、個体患者の年齢、体重および反応、患者の症状の重症度などを含む、関連の事情に応じて、医師によって決定されると理解されるであろう。
【0084】
固体組成物、例えば、錠剤を調製するために、主要な活性成分は、本発明の化合物の均一混合物を含有する固体予備処方組成物を形成するために医薬賦形剤と合される。これらの予備処方組成物が均一であると見なされる場合、活性成分は、典型的には、組成物が同等に有効な単位剤形、例えば、錠剤、ピルおよびカプセルに容易に細分されるように組成物全体に均一に分散される。次いで、該固体予備処方物は、例えば、約0.1〜約1000mgの本発明の活性成分を含有する上記の種類の単位剤形に細分される。
【0085】
本発明の錠剤またはピルは、持続性作用の利点をもたらす剤形を得るために被覆されうるかあるいは配合されうる。例えば、錠剤またはピルは、内部投与成分および外部投与成分を含み得、後者は前者を覆う外層の形態である。2種の成分は、胃中の分解に耐性であって、内部成分を完全な状態で十二指腸に到達させるかまたは放出を遅延させるのに有用である腸溶性層によって分離されうる。種々の物質は、かかる腸溶性層またはコーティングのために用いられ得、かかる物質には、多数のポリマー酸およびポリマー酸とかかる物質、例えば、セラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースとの混合物が含まれる。
【0086】
本発明の化合物および組成物が経口投与または注射による投与のために組み込まれうる液体形態には、水性溶液、適当には、フレーバーシロップ、水性または油性懸濁液、および食用油、例えば、綿実油、ゴマ油、ヤシ油またはラッカセイ油を有するフレーバーエマルジョン、ならびにエリキシル剤および同様の医薬ビヒクルが含まれる。
【0087】
吸入または注入のための組成物には、医薬上許容される水性もしくは有機溶媒、またはその混合液中溶液または懸濁液、および散剤が含まれる。液体または固体組成物は、上記の適当な医薬上許容される賦形剤を含有しうる。ある実施態様において、組成物は、局所または全身作用のために経口または鼻腔呼吸経路によって投与される。組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧されうる。噴霧された溶液は噴霧器から直接吸い込まれうるかあるいは噴霧器はフェイスマスクテント、または間欠的陽圧呼吸機器に取り付けられうる。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、適当な手法で処方物を輸送するデバイスから経口または鼻腔投与されうる。
【0088】
患者に投与される化合物または組成物の量は、投与されているもの、投与目的、例えば、予防または治療、患者の状態、投与の手法などに応じて変化しうる。治療的用途において、組成物は、疾患の症状またはその合併症を治療または少なくとも部分的に抑制するのに十分な量で疾患にすでに罹患している患者に投与されうる。有効な用量は、治療を受けている病態ならびに因子、例えば、疾患の重症度、患者の年齢、体重および一般的状態などに応じてかかりつけ医師の判断によって決定するであろう。
【0089】
患者に投与される組成物は、上記の医薬組成物の形態でありうる。これらの組成物は、慣習的な滅菌技法によって滅菌されうるか、または滅菌濾過されうる。水性溶液は、そのままで使用するために包装されうるかまたは凍結乾燥され得、該凍結乾燥された製剤は、投与前に滅菌水性担体と組み合わせられる。化合物製剤のpHは、典型的には、3〜11、より好ましくは5〜9および最も好ましくは7〜8であろう。特定の前記の賦形剤、担体、または安定化剤の使用は、医薬の塩の形成をもたらすと理解されるであろう。
【0090】
本発明の化合物の治療的投与量は、例えば、処置される特定の用途、化合物の投与方法、患者の健康および状態、および処方医の判断に応じて変化しうる。医薬組成物における本発明の化合物の割合または濃度は、投与量、化学的特性(例えば、疎水性)、および投与経路を含む多数の因子に応じて変化しうる。例えば、本発明の化合物は、非経口投与のために約0.1〜約10%w/vの化合物を含有する水性生理学的バッファー溶液中に提供されうる。いくつかの典型的な用量範囲は、約1μg/kg〜約1g/kg体重/日である。ある実施態様において、用量範囲は、約0.01mg/kg〜約100mg/kg体重/日である。用量は、疾患または障害の進行のタイプおよび程度、特定患者の全体的な健康状態、選択された化合物の生物効果比、賦形剤の処方、およびその投与経路などの可変因子に依存する可能性がある。有効な用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から得られる用量反応曲線から予測されうる。
【0091】
ある実施態様において、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩は、眼組成物として投与される。したがって、ある実施態様において、該方法は、該化合物またはその医薬上許容される塩および眼科学的に許容される担体の投与を含む。ある実施態様において、眼組成物は、液体組成物、半固体組成物、インサート、フィルム、微粒子またはナノ粒子である。眼組成物は、2009年10月1日に出願された、米国シリアル番号第12/571,834号(出典明示により本明細書の一部となる)に記載されている。
【0092】
さらに、明確にするために別々の実施態様の文脈中に記載されている、本発明のある特徴が、単一の実施態様において組み合わせて提供されうるも明らかである。逆に、簡潔にするために単一の実施態様の文脈中に記載されている、本発明の種々の特徴はまた、別々にまたは任意の適当な小結合において提供されうる。
【0093】
本明細書に記載のものに加えて、本発明の種々の修飾は、明細書から当業者に明らかになるであろう。本願に引用される各参考資料は、その全体が出典明示により本明細書の一部となる。
【0094】
本発明は、実施例によってより詳細に記載されている。以下の実施例は、説明するためのものであって、いかなる方法によっても本発明を限定することを意図とするものではない。原則的に同一の結果を得るために変更または修飾されうる種々の重要性の低いパラメータを当業者であれば容易に理解するであろう。
【実施例】
【0095】
実施例
実施例1
(RまたはS)−3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル
【化7】

工程1.シクロブタンカルボキシアルデヒド
ジメチルスルホキシド(34.6mL、0.488mol)の塩化メチレン(100mL)中溶液を、−78℃にて塩化メチレン(700mL、10mol)中塩化オキサリル(20.6mL、0.244mol)に加えた。10分後、塩化メチレン(100mL)中シクロブチルメタノール(Aldrich、17.5g、0.203mol)を加え、得られた混合物を−78℃にて30分間撹拌した。次いで、トリエチルアミン(140mL、1.0mol)の塩化メチレン(100mL)中溶液を加え、混合物を室温(rt)まで徐々に昇温させた温度にて5時間撹拌した。水でクエンチした後、混合物を分離した。有機層を水(x2)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、濾過した。濾液を蒸留し、86−92℃の画分を回収して、アルデヒドを得た(18.6g、54.4%)。
【0096】
工程2.3−シクロブチルアクリロニトリル
0℃にて、1.00Mカリウムtert−ブトキシドのテトラヒドロフラン(116mL、0.116mol)中溶液に、ジエチルシアノメチルホスホネート(Aldrich、19.7mL、0.122mol)のテトラヒドロフラン(200mL)中溶液を滴下した。反応物を室温に昇温させ、次いで、再度0℃に冷却した。反応混合物にシクロブタンカルボキシアルデヒド(工程1参照、18.6g、0.110mol)のテトラヒドロフラン(100mL)中溶液を加えた。反応物を、室温(rt)まで昇温させ、室温にて一晩撹拌した。水でクエンチした後、混合物をエーテルで抽出した。合した有機層を、水、ブラインで洗浄し、乾燥させて、蒸発乾固した。粗混合物を、ヘキサン中0〜40%EtOAcで溶出する、シリカゲルに付して精製して、所望の生成物を得た(5.30g、44.7%)。C10N(M+H)+について算出されたLCMS:m/z=108.1;実測値:108.1.
【0097】
工程3.(R)−3−シクロブチル−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルおよび(S)−3−シクロブチル−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]−メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル
4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(米国公開番号US2007/0135461を参照のこと、15.6g、0.050mol)のアセトニトリル(124mL、2.37mol)中溶液に、3−シクロブチルアクリロニトリル(5.30g、0.050mol)、次いで、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(3.70mL、0.025mol)を加えた。得られた混合物を室温にて一晩撹拌し、次いで、蒸発乾固した。混合物を、ヘキサン中0〜60%EtOAcで溶出する、シリカゲルに付して精製し、ラセミ混合物として所望の生成物を得た(16g、76%)。C2231OSi(M+H)+について算出されたLCMS:m/z=423.2;実測値:423.0。ラセミ混合物を、キラルHPLC(カラム:ChiralCel OJ−H,30x250mm,5μm;移動相:30%エタノール/70%ヘキサン;流速:24mL/分)で分離して、2種のエナンチオマーを得た。キラル分析HPLC上(カラム:ChiralCel OJ−H,4.6x250mm,5μm;移動相:30%エタノール/70%ヘキサン;流速:0.8mL/分):第1ピークの保持時間:6.6分;第2ピークの保持時間:8.1分。
【0098】
工程4.(RまたはS)−3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル
スターラーバー、コンデンサー、および窒素入口を備えている500mL丸底フラスコ中に、アセトニトリル(55mL)、水(4.8mL)および(RまたはS)−3−シクロブチル−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(工程3におけるキラル分離からの第2ピーク、2.8g、6.6mmol)を加えた。リチウムテトラフルオロボレート(7.50g、0.078mol)を加えた。得られた混合物を、一晩還流温度に昇温させ、室温に冷却し、5分かけて少しずつ3.00Mの水中水酸化アンモニウム(9.78mL)を加え、pHを9〜10に調整した。30分後、得られた混合物を、RP−HPLC(XBridge C18 30x100mmカラム、注入量5mL(約50mg/注入)、0.15%NHOHを含有するアセトニトリル/水の勾配で溶出、流速60mL/分)に付して精製し、遊離塩基として所望の生成物を得た(1.51g、77.96%)。C1617(M+H)+について算出されたLCMS:m/z=293.2;実測値:293.1。H NMR(300MHz,CDOD)δ8.65(1H,s),8.59(1H,s),8.34(1H,s),7.50(1H,d,J=3.6Hz),6.94(1H,d,J=3.6Hz),4.69(1H,m),3.07〜2.97(3H,m),2.21(1H,m),1.97〜1.84(5H,m)ppm。ee98.8%。
他のエナンチオマーは、工程3におけるキラル分離から得られる第1ピークに相当する化合物で出発して同一手法にて調製されうる。
【0099】
実施例2
(3Rまたは3S)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((trans)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル リン酸塩
【化8】

工程1.3−メチレンシクロブタンカルボン酸
コンデンサーを取り付けた丸底フラスコに、3−メチレンシクロブタンカルボニトリル(BePharma、10.0g、0.107mol)を加えた。フラスコに、水酸化カリウム(24.1g、0.365mol)のエタノール(112mL)および水(88mL)中溶液を加え、混合物を100℃に加熱した。約2時間後、アンモニアの発生が終了し、溶媒を減圧下で蒸発乾固した。固体を水(75mL)に溶解し、氷浴中で冷却し、濃塩酸で約1のpHに酸性化した。得られた上層を、ジクロロメタンで2回抽出した。有機層を合し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機溶媒を除去して、所望の粗生成物を得た(11.8g、97.67%)。
【0100】
工程2.N−メトキシ−N−メチル−3−メチレンシクロブタンカルボキサミド
3−メチレンシクロブタンカルボン酸(工程1、5.88g、52.4mmol)の塩化メチレン(100mL)中混合物に、塩化オキサリル(Aldrich、5.33mL、62.9mmol)、次いで、触媒量のジメチルホルムアミド(DMF)を加えた。反応物を室温にて2時間撹拌し、次いで、蒸発乾固した。粗酸塩化物を、塩化メチレン(200mL)に溶解した。得られた溶液に、N,O−ジメチルヒドロキシアミン塩酸塩(Aldrich、6.14g、62.9mmol)、次いで、トリエチルアミン(TEA)(21.9mL、0.157mol)を0℃にて滴下した。反応物を室温にて一晩撹拌し、TEA HCl塩を濾去した。濾液を1N HClで、次いで、水性重炭酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させて、蒸発乾固した。粗アミド(7.30g、89.7%)を、次の工程において直接用いた。C14NO(M+H)+について算出されたLCMS:m/z=156.1;実測値:156.3。
【0101】
工程3.3−メチレンシクロブタンカルバルデヒド
リチウムテトラヒドロアルミネート(2.18g、57.5mmol)のエーテル(200mL)中懸濁液に、N−メトキシ−N−メチル−3−メチレンシクロブタンカルボキサミド(工程2、7.14g、46.0mmol)のテトラヒドロフラン(75mL)中溶液を−15℃にて滴下した。反応物を、0〜−15℃にて30分間撹拌し、次いで、水性硫酸水素カリウムでクエンチした。得られた混合物を、エーテルで抽出した。合した有機層を、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。粗生成物(6.70g、151.5%)を、次の工程において直接用いた。
【0102】
工程4.3−(3−メチレンシクロブチル)アクリロニトリル
0℃にて、1.00Mのカリウムtert−ブトキシドのテトラヒドロフラン(48.3mL、48.3mmol)中溶液に、ジエチルシアノメチルホスホネート(Aldrich、8.19mL、50.6mmol)のテトラヒドロフラン(80mL)中溶液を滴下した。反応物を、室温に昇温させ、次いで、0℃に冷却した。反応混合物に、3−メチレンシクロブタンカルバルデヒド(工程4、4.42g、46.0mmol)のテトラヒドロフラン(40mL)中溶液を加えた。反応物を、室温に昇温させ、次いで、室温にて一晩撹拌した。水でクエンチした後、混合物をエーテルで抽出した。合した有機層を、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ、蒸発乾固した。粗混合物(5.90g、107.7%)を次の工程において直接用いた。
【0103】
工程5.3−(3−メチレンシクロブチル)−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル
4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(米国公開番号US2007/0135461参照、7.25g、23.0mmol)のアセトニトリル(57.4mL)中溶液に、粗3−(3−メチレンシクロブチル)アクリロニトリル(工程4、2.74g、23.0mmol)、次いで、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(3.44mL、23.0mmol)を加えた。得られた混合物を、室温にて週末にわたって撹拌し、次いで、蒸発乾固した。残渣を、ヘキサン中0〜80%EtOAcで溶出する、シリカゲルに付して精製し、所望の生成物を得た(6.0g、60.1%)。C2331OSi(M+H)+について算出されたLCMS:m/z=435.2;実測値:435.4。
【0104】
工程6.(3Rまたは3S)−3−((trans)−3−メチルシクロブチル)−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル
3−(3−メチレンシクロブチル)−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(工程5、4.0g、9.2mol)の100mLのメタノール中混合物を、水素のバルーン圧下で1時間、0.6gの10%Pd/Cの存在下において水素化した。触媒を濾去した後、濾液を蒸発乾固し、ヘキサン中0〜100%EtOAcで溶出する、シリカゲルに付して精製し、trans−およびcis−異性体の混合物として所望の生成物を得た。C2333OSi(M+H)+について算出されたLCMS:m/z=437.3;実測値:437.4。生成物をキラルHPLCカラムに付して2回精製した。最初のHPLC分離(カラム:ChiralCel OD−H、30x250mm、5μm;移動相:15%エタノール/85%ヘキサン;流速:28mL/分)により、2つの画分、AおよびBを得た。画分Aは、1種のエナンチオマーのcis/trans混合物であった。保持時間:10.51分。画分Bは、保持時間が13.05分と13.92分である2種の非分離ピークを示す、他のエナンチオマーのcis/trans混合物であった。第1画分(A)は、さらなるキラルHPLC分離(カラム:ChiralPak IA,20x250mm,5μm;移動相:10%エタノール/90%ヘキサン;流速:15mL/分)に付して、2つのピーク、A1およびA2を得た(1のピークはcisに相当し、もう一方はtransに相当する)。キラル分析HPLCによれば(カラム:ChiralPak IA、4.6x250mm、5μm;移動相:15%エタノール/85%ヘキサン;流速:1.0mL/分):第1ピーク(A1)保持時間:11.79分;第2ピーク(A2)保持時間:12.78分。第2画分(B)は、キラルHPLC分離(カラム:ChiralPak IA,20x250mm、5μm;移動相:15%エタノール/85%ヘキサン;流速:15mL/分)に付して、2つのピーク、B1およびB2を得た(各ピークは、800mg、19.9%)。その後、B1はNOEによりcis異性体であることが示され、B2は他のエナンチオマーのtrans異性体であることが示された。キラル分析HPLCによれば(カラム:ChiralPak IA,4.6x250mm,5μm;移動相:15%エタノール/85%ヘキサン;流速:1.0mL/分):第1ピーク(B1)保持時間:12.48分および第2ピーク(B2)保持時間:14.16分。
【0105】
工程7.(3Rまたは3S)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((trans)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル
スターラーバー、コンデンサーおよび窒素入口を備えている500mL丸底フラスコ中に、アセトニトリル(9.69mL)、水(0.84mL)および3−((trans)−3−メチルシクロブチル)−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(0.60g、1.4mol)(前工程におけるキラル分離からのB2(すなわち、第2画分のピーク2))を得た。リチウムテトラフルオロボレート(1.31g、13.7mmol)を加えた。混合物を一晩還流温度に昇温させ、次いで、室温にて5分かけて少しずつ7.2Mの水中水酸化アンモニウム(0.71mL、5.1mmol)を加えて、pHを9−10に調整した。反応物を室温にて2時間撹拌した。固体を濾去し、濾液をRP−HPLC((XBridge C18 30x100mmカラム、注入量5mL(約50mg/注入)、0.15%NHOHを含有するアセトニトリル/水の勾配で溶出、流速60mL/分)に付して精製し、遊離塩基として所望の生成物を得た。C1719(M+H)+について算出されたLCMS:m/z=307.2;実測値:307.4。H NMR(500MHz,DMSO−d)δ12.08(1H,s),8.78(1H,s),8.68(1H,s),8.36(1H,s),7.59(1H,d,J=3.0Hz),6.99(1H,d,J=3.0Hz),4.78(1H,m),3.12(2H,m),2.88(1H,m),2.30(1H,m),2.06(1H,m),1.88(1H,m),1.74(1H,m),1.44(1H,m),1.08(3H,d,J=7.0Hz)ppm。ee93.3%。
他のエナンチオマーは、工程6の画分Aに相当する化合物で出発して同一方法によって調製されうる。
【0106】
工程8.(3Rまたは3S)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((trans)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル リン酸塩
(3Rまたは3S)−3−((trans)−3−メチルシクロブチル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(工程7、0.275g、0.898mmol)のイソプロピルアルコール(5.83mL)中溶液に、60℃にて1.0mLイソプロパノール中リン酸(96.8mg、0.987mmol)を加えた。1時間撹拌した後、混合物を室温に冷却した。沈殿物を濾去し、空気乾燥し、次いで、エチルエーテルでリンスして、さらに空気乾燥して、所望のホスフェート生成物を得た(330mg、90.9%)。
【0107】
実施例3
(3Rまたは3S)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((cis)−3−メチルシクロブチル)−プロパンニトリル リン酸塩
【化9】

工程1.(3Rまたは3S)−3−((cis)−3−メチルシクロブチル)−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル
スターラーバー、コンデンサーおよび窒素入口を備えている500mL丸底フラスコ中に、アセトニトリル(8.1mL)、水(0.70mL)および(3Rまたは3S)−3−((cis)−3−メチルシクロブチル)−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(0.50g、1.1mmol)(実施例2、工程6に記載のキラル分離からのB1(すなわち、第2画分のピーク1))を加えた。リチウムテトラフルオロボレート(1.10g、11.4mmol)を加えた。溶液を一晩還流温度に昇温させた。次いで、水酸化アンモニウムの水中溶液(7.2M、0.59mL、4.3mmol)を、室温にて5分かけて少しずつ該溶液に加えて、pHを9〜10に調整した。反応物を室温にて2時間撹拌した。固体を濾去し、濾液をRP−HPLC(XBridge C18 30x100mmカラム、注入量5mL(約50mg/注入)、0.15%NHOHを含有するアセトニトリル/水の勾配で溶出、流速60mL/分)に付して精製し、所望の生成物を得た。C1719(M+H)+について算出されたLCMS:m/z=307.2;実測値:307.4。H NMR(500MHz,DMSO−d)δ12.08(1H,s),8.75(1H,s),8.68(1H,s),8.36(1H,s),7.59(1H,d,J=3.0Hz),6.99(1H,d,J=3.0Hz),4.66(1H,m),3.11(2H,m),2.66(1H,m),2.20(2H,m),1.88(1H,m),1.42(2H,m),0.97(3H,d,J=6.0Hz)ppm。ee99.8%。
他のエナンチオマーは、実施例2、工程6からの画分Aに相当する化合物で出発して同一方法によって調製されうる。
【0108】
工程2.(3Rまたは3S)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((cis)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリル リン酸塩
(3Rまたは3S)−3−((cis)−3−メチルシクロブチル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(工程1、0.23g、0.751mmol)のイソプロピルアルコール(4.87mL)中溶液に、60℃にて1.0mLイソプロパノール中リン酸(80.9mg、0.83mmol)を加えた。混合物を2時間撹拌し、次いで、室温に冷却した。沈殿物を濾去し、空気乾燥し、次いで、エチルエーテルでリンスして、さらに空気乾燥して、所望のホスフェート生成物を得た(300mg、98.8%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ12.08(1H,s),8.75(1H,s),8.65(1H,s),8.34(1H,s),7.58(1H,d,J=2.4Hz),6.97(1H,d,J=2.4Hz),4.63(1H,m),3.09(2H,m),2.64(1H,m),2.18(2H,m),1.86(1H,m),1.40(2H,m),0.96(3H,d,J=6.4Hz)ppm。
【0109】
実施例A:インビトロJAKキナーゼアッセイ
本発明の化合物は、Parkら,Analytical Biochemistry 1999,269,94−104に記載された以下のインビトロアッセイにしたがって、JAK標的の抑制活性について試験された。N末端Hisタグを有するヒトJAK1(a.a.837−1142)、JAK2(a.a.828−1132)およびJAK3(a.a.781−1124)の触媒ドメインを、昆虫細胞中でバキュロウイルスを用いて発現して、精製した。JAK1、JAK2またはJAK3の触媒活性を、ビオチン化ペプチドのリン酸化を測定することによってアッセイした。リン酸化ペプチドを、均一系時間分解蛍光法(omogenous ime esolved luorescence)(HTRF)によって検出した。化合物のIC50は、100mM NaCl、5mM DTT、および0.1mg/mL(0.01%)BSAを有する50mM Tris(pH7.8)バッファー中に酵素、ATPおよび500nMペプチドを含有する反応物中の各キナーゼを測定した。反応物中のATP濃度は、JAK1については90μM、JAK2については30μMおよびJAK3については3μMであった。室温にて1時間反応を実施し、次いで、20μLのアッセイバッファー中45mM EDTA、300nM SA−APC、6nM Eu−Py20で停止した(Perkin Elmer,Boston,MA)。ユーロピウム標識抗体に対する結合が40分間生じ、HTRFシグナルをFusionプレートリーダー上で測定した(Perkin Elmer,Boston,MA)。実施例1、2および3の化合物は、JAK1については2nM未満およびJAK2については1nM未満のIC50値を有することが見出された。
【0110】
実施例B:細胞アッセイ
1種またはそれ以上の本発明の化合物は、以下の細胞アッセイの少なくとも1つにしたがって、JAK標的の抑制活性について試験された。
【0111】
増殖のために、サイトカイン、つまり、JAK/STATシグナル伝達に依存する癌細胞株を、RPMI 1640、10%FBS、および1nG/mLの適当なサイトカイン中で6000細胞/ウェル(96ウェルプレート型)にて播種した。化合物を、DMSO/培地(最終濃度0.2%DMSO)中細胞に加え、37℃、5%COにて72時間インキュベートした。細胞生存における化合物の効果を、CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)、次いで、TopCount(Perkin Elmer,Boston,MA)定量法を用いて評価した。化合物の潜在的な非特異的効果を、同一のアッセイ計測値を有する非JAK誘導細胞株を用いて並行して測定した。すべての実験を繰り返し行った。
【0112】
上記の細胞株はまた、JAKキナーゼまたは潜在的な下流基質、例えば、STATタンパク質、Akt、Shp2、またはErkのリン酸化における化合物の効果を測定するために用いられうる。これらの実験は、一晩のサイトカイン欠乏、次いで、短時間の化合物との前培養(2時間以下)および約1時間以下のサイトカイン刺激にしたがって行われうる。次いで、タンパク質を細胞から抽出し、リン酸化タンパク質と全タンパク質を区別しうる抗体を用いてウエスタンブロット法またはELISAを含む当業者に周知の技法によって分析する。これらの実験は、腫瘍細胞生存生態または炎症性疾患のモジュレーターにおける化合物の活性を調査するために正常細胞または癌細胞を利用しうる。例えば、後者に関しては、サイトカイン、例えば、IL−6、IL−12、IL−23、またはIFNが、STATタンパク質(複数でも可)のリン酸化および潜在的に転写プロフィール(配列またはqPCR技術によって評価された)またはタンパク質、例えば、IL−17の産生および/または分泌をもたらすJAK活性を刺激するために用いられうる。これらのサイトカイン媒介効果を抑制するための化合物の能力は、当業者に周知の技法を用いて測定されうる。
【0113】
本発明の化合物はまた、変種JAK、例えば、骨髄増殖性疾患において見出されるJAK2V617F変種に対するそれらの効力および活性を評価するために設計された細胞モデルにおいて試験されうる。これらの実験は、大抵、野生型または変種JAKキナーゼが異所的に発現される、血液学的系統のサイトカイン依存性細胞(例えば、BaF/3)を利用する(James,C.ら.Nature 434:1144−1148;Staerk,J.ら.JBC 280:41893−41899)。エンドポイントには、細胞生存、増殖、およびリン酸化JAK、STAT、Akt、またはErkタンパク質における化合物の効果が含まれる。
【0114】
本発明のある化合物は、T細胞増殖を抑制するそれらの活性について評価されているかまたは評価されうる。第二サイトカイン(すなわち、JAK)誘導増殖アッセイなどのアッセイが検討され、また、免疫抑制または免疫活性の抑制の単純アッセイも検討されうる。以下は、かかる実験がどのように行われうるかについての概要である。末梢血単核細胞(PBMC)は、Ficoll Hypaque分離法およびを用いてヒト全血サンプルから調製され、T細胞(画分2000)は、水簸によってPBMCから得られうる。新しく単離されたヒトT細胞は、最大2日間37℃で2x10細胞/mlの密度にて培地(10%ウシ胎仔血清、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンが追加されたRPMI 1640)中で保持されうる。IL−2刺激細胞増殖分析について、T細胞を、最初に72時間10μg/mLの最終濃度でフィトヘムアグルチニン(PHA)にて処置する。PBSで1回洗浄した後、96ウェルプレート中で6000細胞/ウェルにて播種し、100U/mLヒトIL−2(ProSpec−Tany TechnoGene;Rehovot,Israel)の存在下において培地中で異なる濃度にて化合物で処置する。プレートを72時間37℃にてインキュベートし、増殖指数を製造推奨プロトコルにしたがってCellTiter−Glo Luminescent試薬を用いて評価する(Promega;Madison,WI)。
【0115】
実施例C:インビボ抗腫瘍効果
本発明の化合物は、免疫不全マウスにおけるヒト腫瘍異種移植モデルにおいて評価されうる。例えば、INA−6形質細胞腫細胞株の腫瘍形成変異体は、SCIDマウスに皮下接種するために用いられうる(Burger,R.ら.Hematol J.2:42−53,2001)。次いで、担癌動物は、薬物処置群またはビヒクル処置群に無作為に分類され得、化合物の異なる用量は、経口、腹腔内、または埋め込み型ポンプを用いる持続注入を含む種々の通常の経路によって投与されうる。キャリバーを用いて徐々に腫瘍成長が起こる。さらに、腫瘍サンプルは、JAK活性および下流シグナル経路における化合物効果を評価するために上記(実施例B)の分析のための処置の開始後いつでも採取されうる。さらに、化合物(群)の選択性は、他の既知のキナーゼ(例えば、Bcr−Abl)によって誘導される異種移植腫瘍モデル、例えば、K562腫瘍モデルを用いて評価されうる。
【0116】
実施例D:マウス皮膚接触遅延型過敏反応試験
本発明の化合物はまた、T細胞誘導性マウス遅延型過敏症試験モデルにおいて(JAK標的の阻害の)それらの効果について試験されうる。マウス皮膚接触遅延型過敏症(DTH)反応は、臨床接触性皮膚炎、および他の皮膚のTリンパ球媒介免疫疾患、例えば、乾癬の有効なモデルであると考えられている(Immunol Today.1998 Jan;19(1):37−44)。マウスDTHは、免疫浸潤、炎症サイトカインの付随増加、およびケラチン生成細胞過剰増殖を含む、多数の特性を乾癬と共有する。さらに、外来において乾癬を処置するのに効果的である多種類の物質はまた、マウスにおけるDTH反応の有効な阻害剤である(Agents Actions.1993 Jan;38(1−2):116−21)。
【0117】
0日目および1日目に、Balb/cマウスを、抗原2,4,ジニトロ−フルオロベンゼン(DNFB)をそれらの切り落とされた腹部に局所適用して過敏にする。5日目に、技術者のマイクロメータを用いて耳の厚さを測定する。該測定値を記録し、基準として用いる。次いで、0.2%の濃度で総量20μL(内耳介に対し10μLおよび外耳介10μL)のDNFBの局所適用によって動物の両耳に投与する。投与の24時間〜72時間後に、耳を再度測定する。試験化合物での処置は、感作および投与期(−1日目〜7日目)にわたって行われたかまたは投与期前および投与期(通常、4日目の午後〜7日目)にわたって行われた。試験化合物の処置(異なる濃度における)は、全身または局所(耳への処置の局所適用)のいずれかで投与された。試験化合物の効果は、処置していない場合に比べて耳の腫れの軽減によって示される。20%以上の軽減をもたらす化合物は有効と考えられた。いくつかの実験において、マウスは投与されているが、過敏ではない(負対照)。
【0118】
試験化合物の抑制効果(JAK−STAT経路の活性化の抑制)は、免疫組織学的分析によって確認されうる。JAK−STAT経路(複数)の活性化は、機能的転写因子の形成および転位をもたらす。さらに、免疫細胞の流入およびケラチン生成細胞過剰増殖はまた、調査および定量化されうる耳の特異的発現プロフィール変化を提供するであろう。ホルマリン固定およびパラフィン包埋された耳の一部(DTHモデルにおける投与期後に採取)は、リン酸化STAT3(クローン58E12,Cell Signaling Technologies)と特異的に相互作用する抗体を用いて免疫組織化学分析に付される。マウスの耳は、比較のためにDTHモデルにおいて、試験化合物、ビヒクル、またはデキサメタゾン(乾癬の臨床的に有効な処置)で処置されるか、あるいは何ら処置が行われない。試験化合物およびデキサメタゾンは、質的および量的に同様の転写変化をもたらすことができ、試験化合物およびデキサメタゾンの両方とも、湿潤細胞の数を減少させることができる。試験化合物の全身および局所投与の両方とも、抑制効果、すなわち、湿潤細胞の数の減少および転写変化の阻害をもたらしうる。
【0119】
実施例E:インビボ抗炎症活性
本発明の化合物は、単一または複数の炎症反応を再現するために設計された齧歯類モデルまたは非齧歯類モデルにおいて評価されうる。例えば、関節炎の齧歯類モデルは、予防的にまたは治療的に投与された化合物の治療可能性を評価するために用いられうる。これらのモデルには、限定されるものではないが、マウスまたはラットコラーゲン誘導性関節炎、ラットアジュバント誘導性関節炎、およびコラーゲン抗体誘導性関節炎が含まれる。限定されるものではないが、多発性硬化症、I型糖尿病、ブドウ膜網膜炎、甲状腺炎、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、心筋炎、気道感作(喘息)、紅斑性狼瘡、または大腸炎を含無事故免疫疾患はまた、本発明の化合物の治療可能性を評価するために用いられうる。これらのモデルは、研究団体において確立されており、当業者によく知られている(Current Protocols in Immunology,Vol 3.,Coligan,J.E.ら,Wiley Press.;Methods in Molecular Biology:Vol.225,Inflammation Protocols.,Winyard,P.G.and Willoughby,D.A.,Humana Press,2003.)。
【0120】
実施例F:ドライアイ、ブドウ膜炎、および結膜炎の処置のための動物モデル
化合物は、限定されるものではないが、ウサギコンカナバリンA(ConA)涙腺モデル、スコポラミンマウスモデル(皮下または経皮)、ボツリヌスマウス涙腺モデル、または眼の腺機能不全をもたらす多数の自発齧歯類自己免疫モデルのいずれか(例えば、NOD−SCID、MRL/lpr、またはNZB/NZW)を含む、1つまたはそれ以上の当業者に周知のドライアイの前臨床モデルにおいて評価されうる(Barabinoら,Experimental Eye Research 2004,79,613−621およびSchraderら,Developmental Opthalmology,Karger 2008,41,298−312、その各々はその全体が出典明示により本明細書の一部となる)。これらのモデルのエンドポイントには、眼の腺および眼(角膜など)の組織病理および場合によっては、涙液産生を測定する一般的なシルマー試験またはその改良バージョン(Barabinoら)が含まれる。活性は、測定可能な疾患が存在する前または後に開始しうる複数の投与経路(例えば、全身または局所)を介する投与によって評価されうる。
【0121】
化合物は、当業者に周知の1つまたはそれ以上のブドウ膜炎の前臨床モデルにおいて評価されうる。これらには、限定されるものではないが、実験的自己免疫ブドウ膜炎(EAU)おおびエンドトキシン誘導性ブドウ膜炎(EIU)が含まれる。EAU実験は、ウサギ、ラット、またはマウスにおいて実施されてもよく、受動または能動免疫に関与しうる。例えば、多数のレチナール抗原のいずれかは、動物に同一抗原が眼に投与された後に関連の免疫原に対し動物を過敏にするために用いられうる。EIUモデルは、より急性であり、致死未満量でリポ多糖類の局所または全身投与に寄与する。EIUおよびEAUの両モデルのエンドポイントには、眼底検査、とりわけ組織病理学が含まれうる。これらのモデルは、Smithらによって確認されている(Immunology and Cell Biology 1998,76,497−512、その全体が出典明示により本明細書の一部となる)。活性は、測定可能な疾患が存在する前または後に開始しうる複数の投与経路(例えば、全身または局所)を介する投与によって評価されうる。上記のいくつかのモデルはまた、強膜炎/上強膜炎、脈絡膜炎、毛様体炎、または虹彩炎を発症しうるため、これらの疾患の治療的処置のための化合物の潜在的活性を調査するのに有用である。
【0122】
化合物はまた、当業者に周知の1つ又はそれ以上の結膜炎の前臨床モデルにおいて評価されうる。これらには、限定されるものではないが、モルモット、ラットまたはマウスを利用する齧歯類モデルが含まれる。モルモットモデルには、能動または受動免疫を利用するものおよび/または抗原、例えば、オボアルブミンまたはブタクサでの免疫攻撃プロトコルが含まれる(Groneberg,D.A.ら,Allergy 2003,58,1101−1113において確認、その全体は出典明示により本明細書の一部となる)。ラットおよびマウスモデルは、モルモットにおけるものと同様の一般的な設計である(Gronebergによっても確認)。活性は、測定可能な疾患が存在する前または後に開始しうる複数の投与経路(例えば、全身または局所)を介する投与によって評価されうる。かかる研究のエンドポイントには、例えば、眼組織、例えば、結膜の組織学的、免疫学的、生物学的、または分子分析が含まれうる。
【0123】
本明細書に記載のものに加えて、本発明の種々の修飾は、明細書から当業者に明らかになるであろう。本願に引用される各参考資料は、その全体が出典明示により本明細書の一部となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルである化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
(R)−3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルである請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項3】
(S)−3−シクロブチル−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルである請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項4】
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−メチルシクロブチル)プロパンニトリルである化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項5】
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((trans)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリルである請求項4記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項6】
(3R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((trans)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリルである請求項5記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項7】
(3S)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((trans)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリルである請求項5記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項8】
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((cis)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリルである請求項4記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項9】
(3R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((cis)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリルである請求項8記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項10】
(3S)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−((cis)−3−メチルシクロブチル)プロパンニトリルである請求項8記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物のリン酸塩。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩および少なくとも1種の医薬上許容される担体を含む組成物。
【請求項13】
患者における自己免疫疾患の処置方法であって、治療上有効な量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項14】
前記自己免疫疾患が、皮膚疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性関節炎、I型糖尿病、紅斑性狼瘡、炎症性腸疾患、クローン病、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、心筋炎、または自己免疫性甲状腺疾患である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記自己免疫疾患が関節リウマチである、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記自己免疫疾患が皮膚疾患である、請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記皮膚疾患が、アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚感作、皮膚炎、皮膚発疹、接触性皮膚炎またはアレルギー性接触感作である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
患者における癌の処置方法であって、治療上有効な量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項19】
前記癌が固形腫瘍である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記癌が、前立腺癌、腎臓癌、肝臓癌、乳癌、肺癌、甲状腺癌、カポジ肉腫、キャッスルマン病または膵臓癌である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記癌が、リンパ腫、白血病または多発性骨髄腫である、請求項18記載の方法。
【請求項22】
患者における骨髄増殖性疾患の処置方法であって、治療上有効な量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項23】
前記骨髄増殖性疾患(MPD)が、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、原発性骨髄線維症(PMF)、骨髄化生を伴う骨髄線維症(MMM)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、好酸球増加症候群(HES)、特発性骨髄線維症(IMF)、全身性肥満細胞疾患(SMCD)、または真性赤血球増加症/本態性血小板血症後の骨髄線維症(Post−PV/ET MF)である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
患者における炎症性疾患の処置方法であって、治療上有効な量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項25】
患者における臓器移植拒絶反応の処置方法であって、治療上有効な量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項26】
患者におけるドライアイの処置方法であって、治療上有効な量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2013−520436(P2013−520436A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554055(P2012−554055)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2011/025433
【国際公開番号】WO2011/103423
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(505193450)インサイト・コーポレイション (52)
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
【Fターム(参考)】