説明

L−3,4−ジヒドロキシ−6−[18F]フルオロ−フェニルアラニン及び2−[18F]フルオロ−L−チロシン及びそれらのα−メチル化誘導体の前駆体の製造方法、前駆体、この前駆体からのL−3,4−ジヒドロキシ−6−[18F]フルオロ−フェニルアラニン及び2−[18F]フルオロ−L−チロシン及びそれらのα−メチル化誘導体の製造方法

本発明は、L−3,4−ジヒドロキシ−6−[18F]フルオロ−フェニルアラニン及び2−[18F]フルオロ−L−チロシン及びそれらのαメチル化誘導体、前駆体、並びにこの前駆体からL−3,4−ジヒドロキシ−6−[18F]フルオロ−フェニルアラニン及び2−[18F]フルオロ−L−チロシン及びそれらのαメチル化誘導体を製造する方法に関する。本発明では、L−3,4−ジヒドロキシ−6−[18F]フルオロ−フェニルアラニン及び2−[18F]フルオロ−L−チロシンの自動化された合成を可能にする、式(3)の化合物が提供される。生成物のエナンチオマー純度は98%以上である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L−3,4−ジヒドロキシ−6−[18F]フルオロ−フェニルアラニン及び2−[18F]フルオロ−L−チロシン及びそれらのα−メチル化誘導体の前駆体の製造方法、前駆体、並びにそれぞれの前駆体からL−3.4−ジヒドロキシ−6−[18F]フルオロ−フェニルアラニン及び2−[18F]フルオロ−L−チロシン及びそれらのα−メチル化誘導体を製造する方法に関する。
【0002】
芳香族アミノ酸、特にL−3,4−ジヒドロキシ−6−[18F]フルオロ−フェニルアラニン(=[18F]FDOPA)のPETポテンシャルは20年前から知られており、これらは、中でも、パーキンソン病の患者の診断に、並びに加えて近年では腫瘍診断(アミノ酸輸送)に国際的に臨床的にも定着している。全体としては、神経学的及び腫瘍学的な用途のために、容易に製造可能な[18F]フルオライドとの反応によって[18F]FDOPAの合成のための簡単な方法に対する大きな関心が変わらずに存在する。
【0003】
2001年から、“A new nucleophilic asymetric synthesis of 6−[18F]Fluoro−DOPA”(6−[18F]フルオロ−DOPAの新規の求核非対称的合成法)というタイトルのT.Tierling、K.Hamacher及びH.H.Coenenの発表が知られており、これは、J.Label.Compds.Radiopharm.44,Suppl.1(非特許文献1)に刊行されており、そしてそこには、[18F]FDOPA−前駆体の製造方法及びそれを反応させてL−6−[18F]フルオロ−DOPAとすることが記載されている。その方法では、先ず、一つの前駆体を、K18Fクリプタンドでの求核置換によって複数種の前駆体に転化し、次いで[18F]FDOPAに転化する。生成物は、85%のエナンチオマー純度で得られる。
【0004】
現在の多段階の求核合成経路は、時間及び装置への高い支出を前提とする。これまで知られている直接的な求核標識法では、Tierling、Hamacher及びCoenenの合成法の場合と同じようにわずか85%のエナンチオマー純度しか得ることができない。求電子反応混合物は、放射性核種の製造に比較的高いコストを掛けながら約10倍低い活性度量での放射合成しか可能にしない。というのも、求電子放射フッ素化に必要な元素状[18F]Fの反応速度は、同じ照射コストにおいてかなりより低いからである。
【0005】
多段階の求核法は、自動化が困難であり、障害を起こしやすい。従来技術から既知の[18F]FDOPA−及び[18F]FTyr−前駆体の製造方法は、比較的低い放射化学収量を与え、そして高コストである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J.Label.Compds.Radiopharm.44,Suppl.1
【非特許文献2】S.Lee、S Oh、D.Chi、S.Kang、H.Kil、J Kim、D.MoonのNuc.Med.Biol.,2007;34:345−351
【非特許文献3】Nuc.Med.Biol..2004;31:179−189
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、本発明の課題は、高い放射化学的収量をもたらしかつ高いエナンチオマー純度を与える、[18F]FDOPA、[18F]FTyr及びそれらのαメチル化誘導体の製造方法、並びにそれらの前駆体、及び該前駆体の製造方法を提供することである。更に該方法は、自動化された合成作業に適したものであるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、独立形式請求項の特徴を用いて本発明に従い解決される。
【0009】
本発明の方法及び前駆体を用いて、今や、[18F]FDOPA、[18F]FTyr及びそれらのα−メチル化誘導体を、三つの放射活性工程だけでエナンチオマー的に純粋に製造することが可能である。この合成は自動化して行うことができ、98%以上のエナンチオマー純度を与える。
【0010】
図は、本発明の前駆体の製造方法、並びに目的の化合物である[18F]FDOPA及び[18F]FTyr及びそれらのαメチル化誘導体の製造方法の反応式を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】該前駆体の製造のための一般反応式を示す。
【図2】具体的な反応工程を示した該前駆体合成の一つの反応式を示す。
【図2a】該前駆体の合成のための具体的な実施例を示す。
【図3】[18F]FDOPA及びそのαメチル化誘導体の製造のための一般工程を示す。
【図3a】[18F]FDOPA及びそのαメチル化誘導体の模範的な製造法を示す。
【図3b】[18F]FDOPAの製造工程(例)を示す。
【図4】[18F]FTyr及びそのαメチル化誘導体の製造のための一般工程を示す。
【図4a】[18F]FTyr及びそれのαメチル化誘導体の模範的な製造法を示す。
【図4b】L−[18F]FTyrの製造工程を示す(例)。
【0012】
式1は、[18F]FDOPA及びそのαメチル化誘導体の構造を示す。この式中、HはHまたはCHである。
【0013】
【化1】

【0014】
式2は、[18F]FTyr及びそれのαメチル化誘導体の構造を示す。式中、XはHまたはCHである。
【0015】
【化2】

【0016】
式(3)は前駆体の構造を示す。式中、XはHまたはCHである。
【0017】
【化3】

【0018】
以下、本発明を、それの一般形態について記載する。
【0019】
上記式及び図において、置換基R、Xとして以下の基を挙げることができる。
= Br、I。
= ベンジル(Bn)、メチル(Me)。
= テトラヒドロピラニル(THP)、メチルチオメチル(MTM)、メトキシメチル(MOM)、TBDMS、TBDPS、一般的にシリル保護基。
= (S)−BOC−BMI: (S)−1−(tert.−ブトキシカルボニル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−イミダゾリジノン; (S)−Cbz−BMI: (S)−1−(ベンゾイルカルボニル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−ミダゾリジノン、
(S)−BDI: (S)−tert.−ブチル2−tert.−ブチル−4−メトキシ−2,5−ジヒドロイミダゾール−1−カルボキシレート、
メチル−(S)−BOC−BMI: (2S,5R)−tert.−ブチル−2−tert.−ブチル−3,5−ジメチル−4−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシレート、
メチル−(S)−Cbz−BMI: (S)−1−(ベンゾイルカルボニル)−2−tert.−ブチル−3,5−ジメチル−4−イミダゾリジノンまたは
メチル−(S)−BDI: (S)−tert.−ブチル−2−tert.−ブチル−5−メチル−4−メトキシ−2−ヒドロイミダゾール−1−カルボキシレート。
式の書き方:
【0020】
【化4】

【0021】
= 求核性脱離基、例えばF、Br、Cl、NO、−NR: R=アルキル、例えばCH、C
X = HまたはCH
【0022】
図1に、式3に従う[18F]FDOPA及び[18F]FTyrの前駆体を製造することができる一般反応式を示す。
【0023】
本発明の前駆体の合成の準備では、式aの化合物が反応工程iに従い生成物bへとハロゲン化される。
【0024】
ハロゲンとしては、特に臭素またはヨウ素を使用することができる。
【0025】
ハロゲン化は、−20℃〜−80℃、好ましくは−50℃〜−80℃、特に好ましくは−78℃、すなわちドライアイスの温度で行うことができる。
【0026】
好ましくは、ハロゲン化は、緩衝剤を添加して行われる。
【0027】
緩衝剤としては、例えば酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0028】
溶剤としては、メタノール、エタノールまたは酢酸を緩衝剤無しで使用することができる。
【0029】
別の工程iiでは、式bの化合物は、そのカルボン酸基の所で保護、好ましくはエステル化される。好ましくは、エステル化は、メチル基を用いて行うことができる。このためには、例えば、メチル化剤としてトリメチルシリルジアゾメタンを使用することができる。
【0030】
この際、溶剤として、メタノールまたはクロロホルムからなる群から選択される少なくとも一種の成分を使用することができる。
【0031】
好ましくは、メタノールとクロロホルムからなる混合物が使用される。この際、1/5の混合比率が特に好ましい。
【0032】
反応は室温で行うことができる。
【0033】
代替的に、エチルエステルへのエステル化も行うことができる。
【0034】
式cの化合物のエステルのOH基には、工程iiiにおいて保護基を供することができる。
【0035】
保護基としては、ベンジル基またはメチル基を使用することができる。保護基としてのメチル基の導入は、ヨウ化メチルまたは臭化メチルとの反応によって行うことができる。
【0036】
ベンジル基の導入は臭化ベンジルまたはヨウ化ベンジルを用いて行うことができる。
【0037】
溶剤の選択は基本的に自由である。しかし、例えばアセトンまたはハロゲン化された炭化水素、例えばクロロメタン、塩化メチレンまたはクロロホルムを使用することができる。
【0038】
反応は好ましくは還流下に行われる。
【0039】
好ましくは、反応は塩基の存在下に、例えば炭酸カリウムまたはアミン、例えば第一、第二もしく第三アミン、またはNaHの存在下に行われる。
【0040】
溶剤の選択は自由である。例えば、アセトンまたはハロゲン化された炭化水素、例えばクロロメタン、塩化メチレンもしくはクロロホルムを使用できる。
【0041】
好ましくは、反応は、塩基、例えば炭酸カリウムの存在下に行われる。
【0042】
上記製造法を用いて、前駆体の本発明の製造方法のための反応体としての化合物dを模範的に製造することができる。しかし、dには、他の合成経路を取ることもできる。
【0043】
化合物dのエステル基はここで本発明に従い還元される。この還元は、例えば、水素化物、特に好ましくは水素化リチウムアルミニウムを用いて行うことができる。
【0044】
好ましくは、水素化は室温で行われる。
【0045】
溶剤としては、エーテル、例えばジエチルエーテルもしくはTHFを使用することができる。好ましくは、ジエチルエーテルが溶剤として使用される。
【0046】
生ずるアルコールeは、工程vにおいて、保護基で保護される。保護基としては、THP、MTMまたはMOMを使用できる。このためには、p−トルエンスルホン酸を触媒として加えることができる。
【0047】
がメチル基の場合には、Rには第三ブチルジメチルシリル−(TBDMS)を使用できる。
【0048】
溶剤としては、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランを使用できる。
【0049】
反応温度は、好ましくは0〜室温、例えば17℃〜25℃である。
【0050】
次の工程viでは、化合物fにおいて、置換基Rがホルミル基に置換される。
【0051】
この際、ホルミル化は、例えばアニリド、ホルミルピリジンまたはジメチルホルムアミドを用いて、金属化剤、例えばsec−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムまたはマグネシウムの存在下に、行うことができる。
【0052】
溶剤としては、テトラヒドロフランまたは例えば他のエーテルを使用することができる。
【0053】
反応は、−20℃〜−80℃、好ましくは−50℃〜−80℃、特に好ましくは−78℃で、すなわちドライアイスの温度で行うことができる。
【0054】
得られた化合物gは、次の工程viiにおいてアルコールhに還元される。
【0055】
還元剤としては、例えば、水素化金属、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムを使用することができる。
【0056】
適当な溶剤は、特に、水素化ホウ素ナトリウムの使用の場合には、メタノールまたは他のアルコールである。
【0057】
好ましくは反応は室温で行われる。
【0058】
アルコールhは、次の反応viiiにおいて化合物iへとハロゲン化またはトシル化される。
【0059】
このためには、好ましくは、テトラブロモメタンを、酸素補足剤としてのトリフェニルホスフィンの存在下に使用することができる。
【0060】
溶剤としては、ジクロロメタンまたは一般的にハロゲン化された炭化水素を使用することができる。
【0061】
好ましい温度は0℃〜約4℃である。
【0062】
化合物iは、反応工程ixにおいてキラルなアミノ酸試薬と反応させる。このためには、化合物iを、(S)−BOC−BMI:(S)−1−(tert.−ブトキシカルボニル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−イミダゾリジノン、(S)−Cbz−BMI: (S)−1−(ベンゾイルカルボニル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−イミダゾリジノン、(S)−BDI: (S)−tert.−ブチル2−tert.−ブチル−4−メトキシ−2,5−ジヒドロイミダゾール−1−カルボキシレート、メチル−(S)−BOC−BMI: (2S,5R)−tert.−ブチル−2−tert.−ブチル−3,5−ジメチル−4−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシレート、メチル−(S)−Cbz−BMI: (S)−1−(ベンゾイルカルボニル)−2−tert.−ブチル−3,5−ジメチル−4−イミダゾリジノンまたはメチル−(S)−BDI: (S)−tert.−ブチル−2−tert.−ブチル−5−メチル−4−メトキシ−2−ヒドロイミダゾール−1−カルボキシレートと反応させる。この反応は、リチウムジイソプロピルアミンの存在下に行うことができる。
【0063】
溶剤としては、テトラヒドロフランまたはエーテル、好ましくはジエチルエーテル、それらの少なくとも一つの成分を使用することができる。
【0064】
生ずる化合物jは、工程xにおいて、OR基のところで解保護される。このためには、例えば、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸を使用することができる。しかし、保護基の除去には任意の既知の方法を使用することができ、例えば酸またはMgBrの使用が可能である。
【0065】
溶剤としては、アルコール、例えばエタノールなどが挙げられる。
【0066】
反応生成物kはアルデヒドに酸化される。
【0067】
このためには、既知の穏和な酸化方法を使用できる。
【0068】
反応は、−20℃〜−80℃、−30℃〜−80℃または好ましくは−50℃〜−80℃の範囲で行われる、典型的には、約−78℃のドライアイス温度で行う。
【0069】
このためには、模範的には、スワーン酸化を行うことができる。この反応は、オキサリルクロライド、ジメチルスルホキシドを用いてトリエチルアミンの存在下に行われる。
【0070】
溶剤としては、ハロゲン化された炭化水素、例えばジクロロメタンを使用できる。
【0071】
反応生成物は、式3の本発明の前駆体である。
【0072】
【化5】

【0073】
更なる反応において、式3の前駆体を、[18F]FDOPAまたは[18F]FTyrに転化することができる。
【0074】
このためには、式3の前駆体のフッ素原子または他の求核性脱離基を18Fによって置換する。
【0075】
このフッ化物化は標準的な方法で行うことができる。この際、相間移動触媒であるクリプトフィックス−カリウムオキシレートまたはテトラブチルアンモニウム炭酸水素塩を[18]フッ化物のためのアニオン活性化剤として使用することができる。
【0076】
18F−フッ化された中間生成物は、更に別の工程で分離し、そして[18F]FDOPA及びそのαメチル化誘導体の場合には酸化してエステルにする。
【0077】
分離は、固相抽出法に従い行うことができる。このためには、反応混合物を逆相カートリッジ(Reverse−phase−Kartusche)により精製する。
【0078】
アルデヒド基の酸化は、mCPBA、または過酢酸もしくは過ホウ酸塩を用いて行うことができる。溶剤としては、ハロゲン化された炭化水素、例えばクロロホルムまたは塩化メチレンを使用することができる。
【0079】
18F]FTyrまたはそのαメチル化誘導体の場合には、酸化する代わりに、脱カルボニル化が行われる。
【0080】
脱カルボニル化のための適当な触媒は、好ましくは、I.、II.、VI.、VII.及びVIII.亜族の一種またはそれ以上の遷移金属、例えばクロム、マンガン、ニッケル、銅または亜鉛を、しかしより好ましくは白金族金属の群からの一種またはそれ以上の金属、特にロジウムを含むことが有利である。この際、キャリア上に存在する固形の触媒を有する不均一系で、または液状相中での均一系で行うことができる。
【0081】
均一液状系で作業することが可能かまたはキャリアの含浸が可能な可溶性ロジウム錯体は、例えば、ロジウム(I)−錯体、例えばClRh(PPh("ウィルキンソン触媒")、ClRh(CO)(PPh、[ClRh(CO)、acacRh(CO)(PPh)、acacRh(CO)、(C)Rh(C14)及び(C)Rh(PPh)であり、この際、Phはフェニルを表し、acacはアセチルアセトネートを表し、C14はシクロオクテンを表し、Cはシクロペンタジエニルを表し、そしてCはアリルを表す。また、ロジウム(II)−またはロジウム(III)−錯体、例えばロジウム(II)−アセテート、ロジウム(II)−2,4−ジフルオロベンゾエート、Rh(acac)、RhCl'xH0、Rh(N0及び(C)RhCl(PPhも適切である。これらのロジウム錯体に、配位子として作用し得る化合物、例えばホスファン、ホスフィットまたはアミンを有利に加えることもできる。
【0082】
更に別の工程において、得られたエステルは加水分解に付される。この際に[18F]FDOPAまたは[18F]FTyrもしくはそれらのαメチル化誘導体が得られる。
【0083】
加水分解は、水性で好ましくは濃縮化されたHIもしくはHBr中で、またはKI及びHBrを含む溶液中で行うことができる。
【0084】
生成物の分離はHPLCにより可能である。
【0085】
本発明の更なる対象は、式3の化合物であり、ここでXはHまたはCHであり、Rは求核性脱離基、例えばF、Br、Cl、NO、−NRであり、Rはアルキル、例えばCH、Cであり、Rはベンジル(Bn)、メチル(Me)であり、そしてRは、(S)−BOC−BMI: (S)−1−(tert.−ブトキシカルボニル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−イミダゾリジノン、(S)−Cbz−BMI: (S)−1−ベンゾイルカルボニル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−ミダゾリジノン、(S)−BDI: (S)−tert.−ブチル2−tert.−ウチル−4−メトキシ−2,5−ジヒドロイミダゾール−1−カルボキシレート、メチル−(S)−BOC−BMI: (2S,5R)−tert.−ブチル−2−tert.−ブチル−3,5−ジメチル−4−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシレート、メチル−(S)−Cbz−BMI: (S)−1−(ベンゾイルカルボニル)−2−tert.−ブチル−3,5−ジメチル−4−イミダゾリジノンまたはメチル−(S)−BDI: (S)−tert.−ブチル−2−tert.−ブチル−5−メチル−4−メトキシ−2−ヒドロイミダゾール−1−カルボキシレートである。
式の書き方:
【0086】
【化6】

【0087】
【化7】

【0088】
該新規標識前駆体の使用によって、エナンチオマー的に純粋な式3の生成物(ee≧98%)の製造を、三つの放射活性工程しか持たない求核性合成法を介して首尾良く行うことができる。それにより、自動化されたルーチンな合成が実現可能である。放射化学的収率は22%である。最終生成物である[18F]FDOPA及び[18F]FTyrもまた98%以上のエナンチオマー純度で得ることができる。
【0089】
本発明の方法及び式3の前駆体は、自動化して行うことができる合成を可能にする。
【0090】
自動化された合成作業のための装置は、一般的に、供給槽を含む。この供給槽には、導管を介してそれと接続された貯留槽から、制御下に反応物が装填される。供給槽の充填及び排液は、一般的に、加圧または減圧状態を生むことによって行われる。模範的には、商業的に入手可能な装置であるTRACERlab FX F−Nが挙げられ、これは、反応物のための貯留槽、ガラス状炭素からなる供給槽及びマグネットスターラー並びに抜き出し可能な針の他に、活性度検出器、並びに冷却トラップを有する減圧システムを備える。この装置は、[18O]水処理と、並びに分取(praeparative)HPLC、二つのHPLC溶離液及びHPLC流量コントロールを有する固相抽出ユニット、HPLC用のUV及び放射活性度検出器、各画分のための収容容器、固相抽出並びにHPLC−溶剤再循環系とを有する。類似の装置が、S.Lee、S Oh、D.Chi、S.Kang、H.Kil、J Kim、D.MoonのNuc.Med.Biol.,2007;34:345−351(非特許文献2)中の“One−step high−radiochemical−yield synthesis of [18F]FP−CIT using a protic solvent system”(プロトン性溶剤系を用いた[18F]FP−CITのワンステップ放射化学収量合成)から、更にChen X、Park r、Shahinian AH等の“18F−labeled RGD peptide: initial evaluation for imaging brain tumor angiogenesis”(18F標識RGDペプチド: 脳腫瘍血管形成の結像のための初期評価)/Nuc.Med.Biol..2004;31:179−189(非特許文献3)から知られている。
【0091】
本発明の前駆体は、このような装置の完全に自動化された反応を可能とし、ここで、式3の前駆体の18Fフッ化物化が行われ、その後、最終生成物への加工、すなわち[18F]FDOPAまたは[18F]FTyrへの加工が行われる。[18F]FDOPA及び[18F]FTyrは98%以上のエナンチオマー純度で得られる。
【実施例】
【0092】
例1:
図1に従う合成は、以下の反応物を用いて行うことができる:
i) メタノール、酢酸ナトリウム、臭素
ii) メタノール、クロロホルム、トリメチルシリルジアゾメタン
iii) アセトン、炭酸カリウム、ヨウ化メチル
iv) ジエチルエーテル、水素化リチウムアルミニウム
v) ジクロロメタン、ジヒドロピラン、p−トルエンスルホン酸
vi) テトラヒドロピラン、sec−ブチルリチウム、ジメチルホルムアミド
vii) メタノール、水素化ホウ素ナトリウム
Viii) ジクロロメタン、テトラブロモメタン、トリフェニルホスフィン
ix) テトラヒドロピラン、リチウムジイソプロピルアミン、(S)−Boc−BMI
x) エタノール、ピリジウニウム−p−トルエンスルホン酸
xi) ジクロロメタン、オキサリルクロライド、ジメチルスルホキシド、トリエチルアミン
【0093】
具体例
5−ブロモ−4−フルオロ−2−ヒドロキシ安息香酸
1g(6.4mmol)の4−フルオロ−2−ヒドロキシ安息香酸及び2.2g(26.88mmol)の酢酸ナトリウムを10mlの無水メタノール中に溶解し、そして−70℃に冷却する。10mlのメタノール中の0.33ml(6.4mmol)の臭素を加えた後、この反応溶液を室温に加温し、溶剤を減圧下に除去しそしてその残留物を希塩酸中に入れる。生じた沈殿物を吸引濾過し、水で洗浄しそして酢酸エチルエステル中に入れる。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶剤を減圧下に除去して、純粋な生成物が得られる。
形態: 無色固形物
収量: 1.23g(5.2mmol; 82%)
Rf: 0.50(クロロホルム/メタノール=2:1+0.1%TEA)
【0094】
メチル5−ブロモ−4−フルオロ−2−ヒドロキシベンゾエート
10mlの水不含ジクロロメタン及び2mlの無水メタノール中に、1.23g(5.2mmol)の5−ブロモ−4−フルオロ−2−ヒドロキシ安息香酸を溶解し、3.4ml(6.76mmol)のトリメチルシリルジアゾメタンと混合し、そして30分間室温で攪拌する。揮発性の成分を減圧下に除去し、そして生成物が純粋な形で得られる。
形態: 無色固形物
収量: 1.27g(5.1mmol; 99%)
Rf: 0.85(ジエチルエーテル/ペトロールエーテル=1:2)
メチル−2−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−4−フルオロベンゾエート
100mlのアセトン中の12.7g(51mmol)のメチル−5−ブロモ−4−フルオロ−2−ヒドロキシベンゾエート、6.7ml(56.1mmol)のベンジルブロマイド及び14.01g(102mmol)の炭酸カリウムの懸濁液を、12時間還流下に加熱する。冷却後、炭酸カリウムを濾過し、そしてアセトンで洗浄し、溶剤を減圧下に除去し、そして粗製生成物を、ジエチルエーテル/ペトロールエーテル1:3を使用してシリカゲル上でカラムクロマトグラフィにより精製する。
形態: 無色固形物
収量: 13.14g(38.76mmol; 76%)
Rf: 0.58(ジエチルエーテル/ペトロールエーテル=1:3)
[2−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−4−フルオロフェニル]メタノール
100mlの水不含ジエチルエーテル中の13.14g(38.76mmol)のメチル−2−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−4−フルオロベンゾエートの溶液に、アルゴン雰囲気下に、23.25ml(23.25mmol)の水素化リチウムアルミニウム溶液(ジエチルエーテル中1M)をゆっくりと滴下する。その後、還流下に60分間加熱し、冷却し、反応溶液を氷水中に注ぎ入れ、そして沈殿物が溶解するまで酸性化する。この反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、塩化ナトリウムで洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶剤を除去した後、純粋な生成物が得られる。
形態: 無色固形物
収量: 10.25g(32.95mmol; 85%)
Rf: 0.58(ジエチルエーテル/ペトロールエーテル=1:3)
【0095】
2−[2−(ベンジルオキシ)5−ブロモ−4−フルオロベンジルオキシ]テトラヒドロ−2H−ピラン
ジクロロメタン中の10.25g(32.95mmol)の[2−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−4−フルオロフェニル]メタノール及び1.9ml(20.5mmol)の3,4−ジヒドロ−2H−ピランの溶液を、0℃で、スパチュラ先端量のトルエンスルホン酸一水和物と混合し、そして45分間攪拌する。この反応溶液をジエチルエーテルと混合し、そして塩化ナトリウム−及び炭酸ナトリウム溶液並びに水及びもう一度塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶剤を減圧下に除去する。
形態: 無色油状物
収量: 12.76g(32.29mmol; 98%)
Rf: 0.75(ジエチルエーテル/ペトロールエーテル=1:2)
【0096】
4−(ベンジルオキシ)−2−フルオロ−5−[テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ]メチル)ベンズアルデヒド
12.76g(32.29mmol)の2−[2−(ベンジルオキシ)5−ブロモ−4−フルオロベンジルオキシ]テトラヒドロ−2H−ピランを、70mlの無水テトラヒドロフラン中に溶解し、−78℃でアルゴン雰囲気下に24.2ml(33.9mmol)のsec−BuLi(シクロヘキサン中1.4M)とゆっくりと混合し、そして45分間攪拌する。3.5ml(45.21mmol)のジメチルホルムアミドを添加した後、反応溶液を更に60分間室温で攪拌する。水を添加した後に、ジエチルエーテルで抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして溶剤を減圧下に除去する。粗製生成物をジエチルエーテル/ペトロールエーテル1:3を用いてシリカゲル上でのクロマトグラフィに付す。
形態: 無色固形物
収量: 4.33g(12.59mmol; 39%)
Rf: 0.53(ジエチルエーテル/ペトロールエーテル=1:3)
【0097】
[4−ベンジルオキシ−2−フルオロ−5−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシメチル)−フェニル]メタノール
50mlの水不含メタノール中の4.33g(12.59mmol)の4−(ベンジルオキシ)−2−フルオロ−5−[テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ]メチル)ベンズアルデヒドの溶液を攪拌下に少しづつ0.71g(18.89mmol)の水素化ホウ素ナトリウムと混合し、そして30分間室温で攪拌する。水の添加後、ジエチルエーテルで抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして溶剤を減圧下に除去する。
形態: 無色油状物
収量: 4.27g(12.34mmol; 98%)
Rf: 0.43(ジエチルエーテル/ペトロールエーテル=1:1)
【0098】
2−(2−ベンジルオキシ−2−ブロモメチル−4−フルオロ−ベンジルオキシ−テトラヒドロ−ピラン
100mlの無水ジクロロメタン中の4.27g(12.34mmol)の[4−ベンジルオキシ−2−フルオロ−5−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシメチル)−フェニル]メタノール及び5.11g(15.42mmol)のテトラブロモメタンの氷で冷却した溶液に、4.53g(17.27mmol)のトリフェニルホスフィンを10分間かけてゆっくりと加え、そして45分間攪拌する。この反応溶液をペンタンと混合し、沈殿物を吸引濾過し、そしてジクロロメタンで洗浄する。濾液を5%炭酸水素ナトリウム溶液、水及び塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥する。溶剤を除去した後、その残留物を、ジエチルエーテル/ペトロールエーテル1:5を用いてシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィにより精製する。
形態: 無色油状物
収量: 1.95g(4.77mmol; 39%)
Rf: 0.67(ジエチルエーテル/ペトロールエーテル=1:5)
【0099】
tert.−ブチル−5{4−(ベンジルオキシ)−2−フルオロ−5−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ベンジル−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−オキソイモダゾリジン−1−カルボキシレート
水不含ジエチルエーテル中の1.22g(4.77mmol)BOC−MBIの溶液に、−78℃でアルゴン雰囲気下に、3.2ml(4.77mmol、THF中1.5M)のLDAを加え、そして40分間攪拌する。1.95g(4.77mmol)の2−(2−ベンジルオキシ−5−ブロモメチル−4−フルオロ−ベンジルオキシ−テトラヒドロ−ピランを加えた後、反応溶液を18時間室温で攪拌し、飽和NHCl溶液と混合し、そしてジエチルエーテル及び水中に入れる。水性相をジエチルエーテルで2度抽出する。一緒にした有機抽出物をNaSO上で乾燥し、そして溶剤を減圧下に減少させる。次いで残留物を、ジエチルエーテル/ペトロールエーテル2:1を用いてシリカゲル上でのクロマトグラフィに付す。
形態: 無色の泡
収量: 0.75g(1.29mmol; 27%)
Rf: 0.69(ジエチルエーテル/ペトロールエーテル=2:1)
【0100】
tert.−ブチル−5−[4−ベンジルオキシ−2−フルオロ−5−(ヒドロキシメチル)ベンジル]2−tert.−ブチル−3−メチル−4−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシレート
0.75g(1.29mmol)のtert.−ブチル−5{4−(ベンジルオキシ)−2−フルオロ−5−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ベンジル−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−オキソイモダゾリジン−1−カルボキシレートを30mlのエタノール中に溶解し、28mg(0.13mmol)のPPTSと混合し、そして18時間55℃で攪拌する。冷却後、溶剤を除去し、残留物をジエチルエーテル中に入れ、有機相を塩化ナトリウム溶液で洗浄し、そして硫酸マグネシウム上で乾燥する。溶剤を減圧下に除去し、そして残留物を、ジエチルエーテル/ペトロールエーテル5:1を使用してシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィにより精製する。
形態: 無色の泡
収量: 0.60g(1.20mmol; 93%)
Rf: 0.78(ジエチルエーテル/ペトロールエーテル=2:1)
【0101】
tert.−ブチル−5−(4−ベンジルオキシ−2−フルオロ−ホルミルベンジル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシレート
アルゴン雰囲気下に、1mlのジクロロメタン中の0.11ml(1.32mmol)のオキサリルクロライドを−60℃で0.2ml(2.88mmol)のジメチルスルホキシドとゆっくりと混合しそして10分間攪拌する。5mlのジクロロメタン中の0.60g(1.20mmol)のtert.−ブチル−5−[4−ベンジルオキシ−2−フルオロ−5−(ヒドロキシメチル)ベンジル]2−tert.−ブチル−3−メチル−4−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシレートを加えた後、更に15分間攪拌し、反応溶液を0.83ml(6mmol)のトリエチルアミンと混合し、室温までゆっくりと加温し、そして5mlの水を加えた後に更に10分間攪拌する。水性相を分離しそしてジクロロメタンで抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶剤を減圧下に除去し、そして残留物をジエチルエーテル/ペトロールエーテル2:1を用いてシリカゲル上でのクロマトグラフィに付す。
形態: 無色の泡
収量: 0.42g(0.85mmol; 71%)
Rf: 0.78(ジエチルエーテル/ペトロールエーテル=2:1)
【0102】
活性合成
マグネチックスターラーバーを備えた先が円錐形の反応容器(レクチバイアル、5ml)中に、[18F]フッ化物水溶液の乾燥のために、0.9mlの無水アセトニトリル(DNA合成用、Merk社)中の130μlの炭酸水素テトラブチルアンモニウムを一緒に加える。この反応器をスクリューキャップによってシリコーンセプタムで密閉し、このシリコーンセプタムに、減圧及びアルゴン引き込み用の二つの使い捨てカニューレを刺し通す。次いでこの溶液を減圧下に80℃の温度で蒸発乾固する。この共沸乾燥をそれぞれ0.8mlアセトニトリルを用いて二度繰り返し、最後に装置を5分間排気する。反応器をアルゴンでガス処理した後、120℃の温度を調整し、23μmolのtert.−ブチル−5−(4−ベンジルオキシ−2−フルオロ−ホルミルベンジル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシレートを0.8mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に入れ、そしてツベルクリン注射器を用いて反応容器中に移す。18F標識のこの反応混合物を、8分間の反応時間の後に、溶剤及び相間移動触媒の分離のために、9mlの水中に入れ、そしてLiChrolut(登録商標)RP−18eカードリッジ(500mg)に通す。このカートリッジを5mlの水ですすいだ後、これを、強いアルゴン流で2分間乾燥する。固定された有機成分を、反応器中で1.5mlのアセトニトリルを用いて溶離し、そして共沸的に乾燥する。1mlのクロロホルム中の22mg(92μmol、77%濃度)のmCPBAを加えた後、20分間60℃で攪拌し、次いで溶剤を除去する。残留物を1mlの48%HBrと混合し、そして30分間150℃に加熱する。冷却後、HBr相を1mlの水中に入れ、そして生成物を準分取(semipraeparative)HPLCを用いて精製する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(3)の化合物。
【化1】

[式中、XはHまたはCHであり、そしてRは求核性脱離基、例えばF、Br、Cl、NO、−NRであり、Rはアルキル、例えばCH、Cであり、Rは、ベンジル(Bn)またはメチル(Me)であり、そしてRは、(S)−BOC−BMI: (S)−1−(tert.−ブトキシカルボニル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−イミダゾリジノン、(S)−Cbz−BMI: (S)−1−(ベンゾイルカルボニル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−イミダゾリジノン、(S)−BDI: (S)−tert.−ブチル2−tert.−ブチル−4−メトキシ−2,5−ジヒドロイミダゾール−1−カルボキシレート、メチル−(S)−BOC−BMI: (2S,5R)−tert.−ブチル−2−tert.−ブチル−3,5−ジメチル−4−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシレート、メチル−(S)−Cbz−BMI: (S)−1−(ベンゾイルカルボニル)−2−tert.−ブチル−3,5−ジメチル−4−イミダゾリジノンまたはメチル−(S)−BDIまたは(S)−tert.−ブチル−2−tert.−ブチル−5−メチル−4−メトキシ−2−ヒドロイミダゾール−1−カルボキシレートである]
【請求項2】
以下の一般式(3)
【化2】

[式中、XはHまたはCHであり、そしてRは求核性脱離基、例えばF、Br、Cl、NO、−NRであり、Rはアルキル、例えばCH、Cであり、Rはベンジル(Bn)またはメチル(Me)であり、そしてRは(S)−BOC−BMI: (S)−1−(tert.−ブトキシカルボニル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−イミダゾリジノン、(S)−Cbz−BMI: (S)−1−(ベンゾイルカルボニル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−イミダゾリジノン、(S)−BDI: (S)−tert.−ブチル2−tert.−ブチル−4−メトキシ−2,5−ジヒドロイミダゾール−1−カルボキシレート、メチル−(S)−BOC−BMI: (2S,5R)−tert.−ブチル−2−tert.−ブチル−3,5−ジメチル−4−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシレート、メチル−(S)−Cbz−BMI: (S)−1−(ベンゾイルカルボニル)−2−tert.−ブチル−3,5−ジメチル−4−イミダゾリジノンまたはメチル−(S)−BDIまたは(S)−tert.−ブチル−2−tert.−ブチル−5−メチル−4−メトキシ−2−ヒドロイミダゾール−1−カルボキシレートである]
で表される化合物の製造方法であって、工程(iv)において化合物(d)
【化3】

[式中、Rは求核性脱離基、例えばF、Br、Cl、NO、−NRであり、Rはアルキル、例えばCH、Cであり、RはBrまたはIであり、そしてRはベンジル(Bn)またはメチル(Me)である]
を還元して化合物(e)とし、
【化4】

化合物(e)を、更なる工程(v)において化合物(f)に転化し、
【化5】

[式中、Rは保護基、すなわちテトラヒドロピラニル(THP)、メチルチオメチル(MTM)、またはメトキシメチル(MOM)、TBDMS、TBDPS、シリル保護基である]
化合物(f)において、工程(vi)で、基Rをホルミル基で置換し、この際、生成物(g)が生成し、
【化6】

式(g)の化合物を、更なる工程(vii)においてアルコール(h)へと還元し、
【化7】

これを、更なる反応(viii)において、臭素化して、生成物(i)に転化し、
【化8】

この際、Br基の代わりに、トシル化によってトシル基を導入することができ、更なる工程(ix)において、化合物(i)を、(S)−BOC−BMI: (S)−1−(tert.−ブトキシカルボニル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−イミダゾリジノン、(S)−Cbz−BMI: (S)−1−(ベンゾイルカルボニル)−2−tert.−ブチル−3−メチル−4−イミダゾリジノン、(S)−BDI: (S)−tert.−ブチル2−tert.−ブチル−4−メトキシ−2,5−ジヒドロイミダゾール−1−カルボキシレート、メチル−(S)−BOC−BMI: (2S,5R)−tert.−ブチル−2−tert.−ブチル−3,5−ジメチル−4−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシレート、メチル−(S)−Cbz−BMI: (S)−1−(ベンゾイルカルボニル)−2−tert.−ブチル−3,5−ジメチル−4−イミダゾリジノンまたはメチル−(S)−BDIまたは(S)−tert.−ブチル−2−tert.−ブチル−5−メチル−4−メトキシ−2−ヒドロイミダゾール−1−カルボキシレートの群から選択されるキラルな剤Rと反応させて化合物(j)とし、
【化9】

[ここで、式の書き方としてR
【化10】

である]
これを、工程(x)において、そのアルコール官能基の所で解保護して化合物(k)とし、
【化11】

その後、工程(xi)において、アルコール官能基を酸化して式(3)
【化12】

の化合物に転化する、上記方法。
【請求項3】
次の式(1)及び(2)
【化13】

[式中、XはHまたはCHである]
で表される化合物の製造方法であって、式(3)の化合物を18F−フッ化物化し、更なる工程で分離し、式(1)の化合物を製造する場合には酸化し、他方、式(2)の化合物を製造する場合には脱カルボニル化し、得られた生成物を加水分解し、そして分離することを特徴とする、前記方法。
【請求項4】
18F−フッ化物化が、アニオン活性剤としての相間移動触媒を用いて行われることを特徴とする、請求項3の方法。
【請求項5】
18F−フッ化生成物の分離が固相抽出法によって行われることを特徴とする、請求項3または4の方法。
【請求項6】
式(1)の化合物の製造の場合のホルミル基がエステルに酸化されることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一つの方法。
【請求項7】
酸化が、MCPBA、または過酢酸もしくは過ホウ酸塩を用いて行われることを特徴とする、請求項6の方法。
【請求項8】
式(2)の化合物の製造のための18F−フッ化前駆体が触媒を用いて脱カルボニル化されることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一つの方法。
【請求項9】
エステルまたは脱カルボニル化生成物が加水分解されることを特徴とする、請求項3〜8のいずれか一つの方法。
【請求項10】
式(1)または(2)の生成物がHPLCによって分離されることを特徴とする請求項3〜8のいずれか一つの方法。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図4a】
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【図4b】
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【公表番号】特表2011−505392(P2011−505392A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536317(P2010−536317)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001930
【国際公開番号】WO2009/071049
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(390035448)フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (100)
【Fターム(参考)】