説明

LEDバックライトの白色調整装置

【課題】LEDバックライトの白色調整に要する時間を短縮することが可能なLEDバックライトの白色調整装置を提供すること。
【解決手段】複数のLEDからなる光源が同一平面上に複数個配設され、光源の各LEDの発色光によって生成される白色光を表示パネルの背面側から照射するLEDバックライトの白色調整装置であって、LEDバックライトの発光面に対向して略平行に配置される受光板と、光源からの光を受光する光センサと、該光センサの検出値に基づいて輝度および/または色度が前記LEDバックライトの発光面内において均一になるように調整する調整手段とを備えると共に、光センサは、受光板の受光面上に各光源と一対一で対向するように複数個配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルなどの光透過型の表示パネルの背面側に配されてその表示パネルに光を照射するLEDバックライトの白色調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平面型の表示装置の例として、たとえば光透過型の液晶表示パネルを備える液晶表示装置などは、一般的に液晶表示パネルの背面側にバックライトが配置される。このバックライトは、光源として冷陰極管などの蛍光ランプを備え、この蛍光ランプから発せられる光の特性を調整して液晶表示パネルの背面側に光を照射する装置である。照射された光は、液晶表示パネルを透過することにより、この液晶表示パネルの前面側に画像が可視状態に表示される。
【0003】
このようなバックライトに組み込まれる光源としては、上述した蛍光ランプの他に、近年では発光ダイオード(LED)も用いられるようになってきている。
【0004】
図3は、LEDを光源として用いるバックライトの概略構成を示した図である。このLEDバックライト20には、赤色LED22R、緑色LED22G、青色LED22Bからなる光源22が縦横に複数個配設されており、各LED22R,22G,22Bによる発色光の混合によって白色光が生成されるようになっている。
【0005】
また、各光源22からの光は、光拡散板23で拡散されることで各光源22の点状のイメージが消されており、光拡散板23から出射される光は面内の輝度が均一な状態にされて、図示しない液晶表示パネルなどの光透過型の表示パネルに照射されるようになっている。
【0006】
このような複数のLED22R,22G,22Bから構成される光源22は、同じロットで製造されたものでも輝度や色度にバラツキが大きいという問題があるため、通常は、各光源22から発せられる白色光の輝度や色度が均一になるように図示されるような白色調整装置30を用いて調整することが行われている。
【0007】
この白色調整装置30は、撮像手段31と調整手段32を備えている。撮像手段31は、いわゆる二次元色度輝度計と呼ばれるもので、赤、緑、青の三刺激値(三色表色系において試料の色刺激に等色するために必要な3個の原刺激の量)を得ることができる分光透過特性を有した光学フィルタである赤色フィルタ33R,緑色フィルタ33G,青色フィルタ33Bと、二次元画像撮影が可能なモノクロCCDカメラ34とを備えている。
【0008】
この場合、これら3つの色フィルタ33R,33G,33Bは回転板35に取り付けられており、測定時に各フィルタ33R,33G,33Bを順次切り替えてLEDバックライト20の発光面20aをモノクロCCDカメラ34で撮像することにより、二次元の三刺激値画像(二次元画像)を得ることができるようになっている。尚、図示しないが、回転板35とモノクロCCDカメラ34との間には、通常、透過率が例えば100%〜1.5%を有する複数枚の減光フィルタ(Neutral Density Filter:NDフィルタともいう)が回転板35と同様の構造で取り付けられたものが配置されており、モノクロCCDカメラ34に入射される光量の強さに応じて必要な減光フィルタを光路上に挿入できるようになっている。
【0009】
また、調整手段32は、撮像手段31によって撮像された二次元画像から得られる輝度および色度に基づき各光源22が備える赤色LED22R,緑色LED22G,青色LED22Bの発光時間等を調整して再設定する処理を実行する。このような処理は、LEDバックライト20の発光面20a内において輝度および色度が所定の値となるまで、つまり各光源22から発せられる白色光の輝度および色度が均一になるまで繰り返し実行され、これによりLEDバックライト20の白色調整(ホワイトバランス調整)が行われている。通常、このようなLEDバックライト20の白色調整は、測定の精度を上げるため外部から光が入らない暗室で行われている。尚、本発明に関連する先行技術文献としては下記特許文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−329591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような撮像手段31を用いた白色調整装置30では、3つの色フィルタ33R,33G,33Bを順次切り替えてLEDバックライト20が備える各光源22からの光を個別に検出するようにしていたので、撮像に時間を要してしまうという問題があり、その結果、LEDバックライト20の白色調整に要する時間の増大を招いていた。
【0012】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、LEDバックライトの白色調整に要する時間を短縮することが可能なLEDバックライトの白色調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため本発明は、複数のLEDからなる光源が同一平面上に複数個配設され、前記光源の各LEDの発色光によって生成される白色光を表示パネルの背面側から照射するLEDバックライトの白色調整装置であって、前記LEDバックライトの発光面に対向して略平行に配置される受光板と、前記光源からの光を受光する光センサと、該光センサの検出値に基づいて輝度および/または色度が前記LEDバックライトの発光面内において均一になるように調整する調整手段とを備えると共に、前記光センサは、前記受光板の受光面上に前記各光源と一対一で対向するように複数個配設されていることを要旨とするものである。
【0014】
このような構成のLEDバックライトの白色調整装置によれば、複数のLEDからなる光源が同一平面上に複数個配設されたLEDバックライトの発光面に対向して略平行に配置される受光板の受光面上には、光源からの光を受光する光センサが、各光源と一対一で対向するように複数個配設されているので、このような受光板をLEDバックライトの発光面に対向して配置するだけで、簡便に各光源の光を一括して検出することができる。これにより、LEDバックライトの白色調整に要する時間を従来よりも短縮することが可能である。
【0015】
この場合、前記光センサは、複数の色フィルタ付フォトダイオードからなる構成にすれば、例えば市販されている汎用の複数の色フィルタ付フォトダイオードからなる光センサを用いることで、安価に白色調整装置を構成することができる。また、このような複数の色フィルタ付フォトダイオードからなる光センサを用いれば、従来のCCDカメラが備えるCCイメージセンサよりも光検出に要する時間を短縮することができる。
【0016】
また、互いに対向配置された前記受光板と前記LEDバックライトとの間の外周には、外部から光が入り込まないように遮光する遮光部材が設けられている構成にすれば、従来のような暗室で白色調整を行う必要がなくなり、簡便に白色調整の作業を行うことが可能になる。
【0017】
更に、前記遮光部材が前記受光板に一体的に設けられている構成にすれば、LEDバックライトに受光板を対向配置させるだけで、簡便に外部から光が入り込まないように遮光することができる。
【0018】
そして、前記受光板には、該受光板の受光面が前記LEDバックライトの発光面に対して所定の位置に配置されるように位置決めする位置決め部が設けられている構成にすれば、LEDバックライトの各光源と受光板の各光センサを、例えば、一対一で真向かいになるように位置決めすることができると共に、各光源と各光センサとの間の距離も一定にすることができ、再現性良く簡便に各光源に対して各光センサを所定の位置に対向配置させることが可能になる。また、前記位置決め部が、前記遮光部材に設けられている構成にすれば、受光板の受光面が前記LEDバックライトの発光面に対して所定の位置に配置されるように位置決めされると共に、対向配置された受光板とLEDバックライトとの間に外部から光が入り込まないように遮光することが可能である。
【0019】
更に、前記受光板の受光面には反射防止処理が施されている構成にすれば、LEDバックライトの各光源からの光が受光板の受光面で反射することによる迷光の発生が抑制されるので、このような迷光による影響を排除して各光源に一対一に対向配置された各光センサによる検出精度を向上させることができる。この場合、前記受光板の受光面に施される反射防止処理を、黒色艶消し塗装とした構成にすれば、簡便に受光板の受光面に反射防止処理を施すことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るLEDバックライトの白色調整装置によれば、LEDバックライトの発光面に対向して略平行に配置される受光板の受光面上には、LEDバックライトの各光源と一対一で対向するように光センサが複数個配設された受光板を、LEDバックライトの発光面に対向して配置するだけで、簡便に各光源の光を一括して検出することができることにより、LEDバックライトの白色調整に要する時間を従来よりも短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るLEDバックライトの白色調整装置の概略構成を示した図である。
【図2】図1の白色調整装置の処理の手順を示したフローチャートである。
【図3】従来用いられてきたLEDバックライトの白色調整装置の概略構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係るLEDバックライトの白色調整装置の実施の形態ついて、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
まず、本発明に係る白色調整装置によって白色調整が行われるLEDバックライトについて説明する。図1に示されるようにLEDバックライト20は、浅底の箱形状を有するシャーシ21を備えており、このシャーシ21の内側には赤色LED22R、緑色LED22G、青色LED22Bからなる光源22が、シャーシ21の底面21aに縦横に均等になるように複数個配設されている。この光源22が有する各LED22R,22G,22Bのそれぞれの発色光の混合によって白色光が生成されるようになっている。
【0024】
また、シャーシ21の前面には光拡散板23が設けられており、各光源22から出射された光は、光拡散板23で拡散されることで各光源22の点状のイメージが消されるようになっている。この光拡散板23から出射される光は面内の輝度が均一な状態にされて、図示しない液晶表示パネル等の光透過型の表示パネルの背面に照射することができる。
【0025】
また、LEDバックライト20は、LED点灯回路24を備えている。LED点灯回路24は、光源22が有する各LED22R,22G,22Bを点灯させるLED駆動回路25と、メモリ26を備えている。
【0026】
メモリ26には各LED22R,22G,22Bを点灯駆動するためのLED制御データが書き込まれて保存されており、LED駆動回路25はこのメモリ26の保存されているLED制御データを読み出して各LED22R,22G,22Bを点灯駆動する。この場合、メモリ26は、LED制御データを書き換えることが可能なRAM(Random Access Memory)を備えている。尚、後述する白色調整装置1による調整が完了したときのLED制御データを書き込み保存できるようなROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)もメモリ26が備えている構成にしても良い。
【0027】
LED駆動回路25は、メモリ26に書き込まれているLED制御データに基づき、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号を生成し、これを各光源22が有する各LED22R,22G,22Bにそれぞれ出力する。出力されたPWM信号は、各光源22が有する各LED22R,22G,22Bに接続された図示しないスイッチング素子をオンオフさせて、各光源22が有する各LED22R,22G,22Bを点灯(点滅)させる。
【0028】
各光源22が有する各LED22R,22G,22Bは、LED駆動回路25から出力されるPWM信号の周期Tに対して設定されたパルス幅、つまり各LED22R,22G,22Bをオンさせる時間(オンデューティ時間)tの期間において点灯されるようになっており、このオンデューティ時間tを変化させることで、各光源22が有する各LED22R,22G,22Bの発色光の光量を調整することができる。
【0029】
この場合、メモリ26に書き込まれているLED制御データは、各光源22が有する各LED22R,22G,22Bに設定されているオンデューティ時間tをPWM信号の周期Tで割ったオンデューティ比D(D=t/T)についてのデータである。
【0030】
LEDバックライト20の各光源22が有する各LED22R,22G,22Bのそれぞれのオンデューティ比Dは独立して設定することが可能になっており、例えば、一個の光源22が有する各LED22R,22G,22Bすべての発色光の光量を増減させたり、一個の光源22が有する緑色LED22Gだけの発色光の光量を増減させたりすることが可能になっている。これにより、LEDバックライトの発光面20a内における輝度および色度が均一になるように、各光源22が有する各LED22R,22G,22Bを調整することができる。
【0031】
次に、本発明に係るLEDバックライトの白色調整装置について説明する。図1に示されるように白色調整装置(ホワイトバランス調整装置)1は、複数個の光センサ2と、これら光センサ2が縦横に配設された受光板6と、各光センサ2から出力される光検出値に基づいて新たに作成したLED制御データを、LEDバックライト20のLED点灯回路24が備えるメモリ26に書き込む調整手段9とを備えている。
【0032】
光センサ2は、赤色フィルタ付きフォトダイオード、青色フィルタ付きフォトダイオード、青色フィルタ付きフォトダイオードからなる一組の光センサである。この場合、光センサ2は、3個のフォトダイオード3,4,5を備え、これら3個フォトダイオード3,4,5の各受光面側に赤、緑、青の各波長光を選択的に透過(分光透過)させる赤色フィルタ3r,緑色フィルタ4g,青色フィルタ5bが配置されている。
【0033】
したがって、LEDバックライト20が備える光源22の各LED22R,22G,22Bの発色光の混合により生成された白色光が、各色フィルタ3r,4g,5bを介することにより、赤、青、緑の各波長成分を有する光に分離して各フォトダイオード3,4,5に入射されると、赤、緑、青の各波長成分を有する光の強度(三刺激値)に一括に光電変換されて検出されるようになっている。
【0034】
このような光センサ2が備える色フィルタ3r,4g,5bとしては、国際照明委員会(CIE)で定義されている等色関数(CIE1931RGB表色系)に近似する分光透過特性を有する3種類のR、G、Bフィルタや、同じく国際照明委員会(CIE)で定義されている等色関数(CIE1931XYZ表色系)に近似する分光透過特性を有する3種類のX、Y、Zフィルタなどが適用可能である。
【0035】
受光板6は、遮光性を有する樹脂製または金属製の板部材からなり、図示されるようにLEDバックライト20の白色調整時には、その受光面6aがLEDバックライト20の発光面20aに対して略平行になるように配置される。
【0036】
この場合、LEDバックライト20が備える光源22の個数と同数の光センサ2が、受光板6の受光面6aに均等になるように縦横に配設されると共に、図示されるように受光板6をLEDバックライト20の発光面2aに向かい合うように配置した際には、各光源22と各光センサ2は一対一で真向かいになるように対向配置されることになっている。
【0037】
また、受光板6の受光面6aは、黒色艶消し塗装などにより反射防止処理が施されている。このように受光面6aに反射防止処理を施すことで、LEDバックライト20の各光源22からの光が受光面6aで反射することによる迷光の発生が抑制されるので、このような迷光による影響を排除して各光源22に一対一に対向配置された各光センサ2による検出精度を向上させることができる。
【0038】
更に、LEDバックライト20の白色調整のために対向配置された受光板6と、LEバックライト20との間の外周には、外部から光が入り込まないようにするフード形状を有する遮光部材7が設けられている。この場合、遮光部材7は、受光板6に一体的になるように取付固定されており、受光板6をLEDバックライト20に対向配置させると、遮光部材7の前端部7aが、LEDバックライト20のシャーシ21の外周面に嵌合するようになっている。
【0039】
このように遮光部材7を設けることにより、LEDバックライト20と受光板6との間には、外部から光が入り込まないので、従来のような暗室で白色調整を行う必要がなくなり、簡便に白色調整の作業を行うことが可能になる。
【0040】
また、遮光部材7の前端部7aには段部7bが形成されており、この段部7bが、LEDバックライト20のシャーシ21に当接するようになっている。したがって、遮光部材7が一体的に設けられた受光板6を、LEDバックライト20に装着した際には、段部7bによって、LEDバックライト20の発光面20aに対して受光板6の受光面6aが所定の位置に位置決めされるようになっている。
【0041】
このように受光板6に位置決め部(段部7b)を設けることで、LEDバックライト20の各光源22と受光板6の各光センサ2は、一対一で真向かいになるように位置決めされると共に、各光源22と各光センサ2との間の距離も一定にすることができ、再現性良く簡便に各光源22に対して各光センサ2を所定の位置に対向配置させることが可能になっている。
【0042】
尚、この遮光部材7の内側の面にも、黒色艶消し塗装などにより反射防止処理が施されていると良い。この場合も、LEDバックライト20の各光源22からの光が遮光部材7の内側の面で反射することによる迷光の発生が抑制されるので、このような迷光による影響を排除して各光源22に一対一に対向配置された各光センサ2による光検出精度を向上させることができる。
【0043】
このような受光板6に配設された各光センサ2が有する各フォトダイオード3,4,5からは、それぞれ受光した赤,緑,青の各波長成分を有する光の強さを示す電流が出力される。各フォトダイオード3,4,5から出力された電流は、図示しないI/V変換回路によって電圧に変換され、この電圧(アナログ値)は、A/D変換回路8によってデジタル値に変換されてから、フォトダイオード3,4,5毎の光検出値として調整手段9に出力される。
【0044】
調整手段9は、例えばPC(Personal Computer)、モニタ、キーボードなどの操作部を備えたもので構成されており、調整部10とメモリ11を備えている。調整手段9は、各光センサ2から出力された光検出値(三刺激値)が、目標とする輝度および色度が得られる設定範囲内の値となるように、各光源22が有する各LED22R,22G,22Bを駆動するLED制御データを新たに作成する処理を実行する。
【0045】
具体的には、調整手段9が備える調整部10は、各光センサ2から出力された光検出値と、メモリ11に記憶されている光センサ基準値とを比較して、これらの値にズレが生じている場合には、そのズレ量に応じた調整LED制御データ(調整オンデューティ比Dデータ)を作成し、これをLEDバックライト20が備えるメモリ26に保存されている初期LED制御データ(初期オンデューティ比Dデータ)と書き換える処理を実行する。この場合、メモリ11は、RAM(Random Access Memory)を備えている。尚、上述した光センサ基準値が保存されているROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)もメモリ11が備えている構成にしても良い。
【0046】
例えば、ある光源22の点灯による白色光が赤みを帯びている場合、つまり赤色LED22Rの発色光の光量が通常よりも大きい場合は、この光源2に一対一に対向して配置されている光センサ2が有する赤色フィルタ3r付きフォトダイオード3の光検出値が通常よりも大きく検出されるので、調整部10は、この赤色LED22Rの発色光の光量を減じるために、この赤色LED22Rに出力されるPWM信号のオンデューティ比Dを下げた調整LED制御データを作成し、これをLED点灯回路24のメモリ26に書き込む処理を実行する。したがって、調整手段9は、このような調整をLEDバックライト20の各光源22から発せられる白色光の輝度と色度が発光面20a内において均一になるまで繰り返し実行する。
【0047】
次に、図2に示されるフローチャートを用いて上述した白色調整装置1が実行する処理の手順について説明する。この場合、図示されるように、ステップS5〜ステップS7によるLEDバックライト20の白色本調整(ホワイトバランス本調整)に先立って、ステップS1〜S4によるLEDバックライト20の白色仮調整(ホワイトバランス仮調整)が調整手段9によって実行されるようになっている。
【0048】
ホワイトバランス仮調整では、先ず、LEDバックライト20の各光源22の赤色LED22Rだけを単色発光させ、これを受光する各光センサ2の赤色フィルタ3rを備えたフォトダイオード3が検出した光検出値を、調整手段9のメモリ11に保存する(ステップS1)。このステップS1では、各光源22の赤色LED22Rは、LED点灯回路24のメモリ26に保存されている赤色LED22Rについての初期のLED制御データ(初期オンデューティ比Dデータ)に基づいてLED駆動回路25から出力されるPWM信号によって発光される。
【0049】
次に、LEDバックライト20の各光源22の緑色LED22Gだけを単色発光させ、これを受光する各光センサ2の緑色フィルタ4gを備えたフォトダイオード4が検出した光検出値を、調整手段9のメモリ11に保存する(ステップS2)。このステップS2では、各光源22の緑色LED22Gは、LED点灯回路24のメモリ26に保存されている緑色LED22Rについての初期のLED制御データ(初期オンデューティ比Dデータ)に基づいてLED駆動回路25から出力されるPWM信号によって発光される。
【0050】
次に、LEDバックライト20の各光源22の青色LED22Bだけを単色発光させ、これを受光する各光センサ2の青色フィルタ5bを備えたフォトダイオード5が検出した検出値を、調整手段9のメモリ11に保存する(ステップS3)。このステップS3では、各光源22の青色LED22Gは、LED点灯回路24のメモリ26に保存されている青色LED22Bについての初期のLED制御データ(初期オンデューティ比Dデータ)に基づいてLED駆動回路25から出力されるPWM信号によって発光される。
【0051】
尚、上述したLED点灯回路24のメモリ26に保存されている各LED22R,22G,22Bについての初期LED制御データ(初期オンデューティ比Dデータ)は、予めメモリ26に保存しておいても良く、または、この初期LED制御データを調整手段9のメモリ11に保存しておき、これを調整手段9がホワイトバランス仮調整前にLED点灯回路24のメモリ26に書き込み保存させても良い。また、この初期LED制御データとしては、例えば、各LED22R,22G,22Bにそれぞれ出力されるPWM信号のオンディーティ比Dが同じになるように設定されたデータが用いられる。
【0052】
そして、ステップS1〜S3によって調整手段9のメモリ11に保存された各光センサ2の各フォトダイオード3,4,5で検出された光検出値と、同じくメモリ11に記憶されている光センサ基準値とを比較して、これらの値にズレが生じている場合には、そのズレ量に応じた仮調整LED制御データ(仮調整オンデューティ比Dデータ)を作成し、これをLED点灯回路24のメモリ26に保存されている初期LED制御データ(初期オンデューティ比Dデータ)と書き換えて保存する(ステップS4)。
【0053】
そして、次に、LEDバックライト20の各光源22が有する各LED22R,22G,22Bをすべて発光させ、各光センサ2が有する各フォトダイオード3,4,5で検出された光検出値を、調整手段9のメモリ11に保存する(ステップS5)。このステップS5では、各光源22の各LED22R,22G,22Bは、ステップS1〜S4による仮ホワイトランス調整によってLED点灯回路24のメモリ26に書き込み保存されている各LED22R,22G,22Bについての仮調整LED制御データ(仮調整オンデューティ比Dデータ)に基づいてLED駆動回路25から出力されるPWM信号によって発光されており、これにより各LED22R,22G,22Bのそれぞれの発色光が混合されて白色光が生成されている。
【0054】
そして、次に、このように各光源22からの白色光を受光した各光センサ2から出力された光検出値が、メモリ11に保存されている目標とする輝度および色度が得られる設定範囲内の値となるように、各光源22が有する各LED22R,22G,22Bを駆動するLED制御データを作成する。つまり、各光センサ2の光検出値とメモリ11に記憶されている光センサ基準値とを比較(スペック判定)して(ステップS6)、これらの値にズレが生じている場合には(ステップS6(No))、そのズレ量に応じた本調整LED制御データ(本調整オンデューティ比Dデータ)を作成し、これをLED点灯回路24のメモリ26に保存されている仮調整LED制御データ(仮調整オンデューティ比Dデータ)と書き換えて保存する(ステップS7)。
【0055】
これら本調整であるステップS5、ステップS6(No)、ステップS7を、各光センサ2から出力された光検出値が、メモリ11に保存されている目標とする輝度および色度が得られる設定範囲内の値となる(ステップS6(Yes))まで繰り返す。そして、設定範囲内の値となった場合には(ステップS6(Yes))、本調整を終了する。
【0056】
以上説明したLEDバックライトの白色調整装置1によれば、LED22R,22G,22Bからなる光源22が同一平面上に複数個配設されたLEDバックライト20の発光面20aに対向して略平行に配置される受光板6の受光面6a上には、光源22からの光を受光する光センサ2が、各光源22と一対一で対向するように複数個配設されているので、このような受光板6をLEDバックライト20の発光面20aに対向して配置するだけで、簡便に各光源22の光を一括して検出することができる。これにより、LEDバックライト20の白色調整に要する時間を従来よりも短縮することが可能である。
【0057】
この場合、光センサ2は、色フィルタ付フォトダイオード3,4,5からなる構成なので、例えば市販されている汎用の複数の色フィルタ付フォトダイオードからなる光センサを用いることで、安価に白色調整装置1を構成することができる。また、このような複数の色フィルタ付フォトダイオードからなる光センサを用いれば、従来のCCDカメラが備えるCCイメージセンサよりも光検出に要する時間を短縮することができる。
【0058】
また、互いに対向配置された受光板6とLEDバックライト20との間の外周には、外部から光が入り込まないように遮光する遮光部材7が設けられているので、従来のような暗室で白色調整を行う必要がなくなり、簡便に白色調整の作業を行うことが可能になる。更に、遮光部材7が受光板6に一体的に設けられている構成なので、LEDバックライト20に受光板6を対向配置させるだけで、簡便に外部から光が入り込まないように遮光することができる。
【0059】
そして、受光板6には、その受光板6の受光面6aがLEDバックライト20の発光面20aに対して所定の位置に配置されるように位置決めする位置決め部(遮光部材7の段部7b)が設けられているので、LEDバックライト20の各光源22と受光板6の各光センサ2を、例えば、一対一で真向かいになるように位置決めできると共に、各光源22と各光センサ2との間の距離も一定にすることができ、再現性良く簡便に各光源22に対して各光センサ2を所定の位置に対向配置させることが可能になる。
【0060】
更に、受光板6の受光面6aには反射防止処理が施されているので、LEDバックライト20の各光源22からの光が受光板6の受光面6aで反射することによる迷光の発生が抑制され、このような迷光による影響を排除して各光源22に一対一に対向配置された各光センサ2による検出精度を向上させることができる。この場合、このような受光板6の受光面6aへの反射防止処理として、受光面6aに黒色艶消し塗装する構成にすれば、簡便に受光板の受光面に反射防止処理を施すことができる。
【0061】
以上、本発明に係るLEDバックライトの白色調整装置の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、光センサの構成として複数の色フィルタ付フォトダイオードを適用した例を示したが、色フィルタ付フォトトランジスタを適用しても良く、上述した実施の形態には限定されない。
【符号の説明】
【0062】
1:白色調整装置 2:光センサ 3:フォトダイオード
3r:赤色フィルタ 4:フォトダイオード 4g:緑色フィルタ
5:フォトダイオード 5b:青色フィルタ 6:受光板
6a:受光面 7:遮光部材 7a:前端部 7b:段部
8:A/D変換回路 9:調整手段 10:調整部 11:メモリ
20:LEDバックライト 20a:発光面 21:シャーシ
21a:底面 22:光源 22R:赤色LED 22G:緑色LED
22B:青色LED 23:光拡散板 24:LED点灯回路
25:LED駆動回路 26:メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDからなる光源が同一平面上に複数個配設され、前記光源の各LEDの発色光によって生成される白色光を表示パネルの背面側から照射するLEDバックライトの白色調整装置であって、前記LEDバックライトの発光面に対向して略平行に配置される受光板と、前記光源からの光を受光する光センサと、該光センサの検出値に基づいて輝度および/または色度が前記LEDバックライトの発光面内において均一になるように調整する調整手段とを備えると共に、前記光センサは、前記受光板の受光面上に前記各光源と一対一で対向するように複数個配設されていることを特徴とするLEDバックライトの白色調整装置。
【請求項2】
前記光センサは、複数の色フィルタ付フォトダイオードからなることを特徴とする請求項1に記載のLEDバックライトの白色調整装置。
【請求項3】
互いに対向配置された前記受光板と前記LEDバックライトとの間の外周には、外部から光が入り込まないように遮光する遮光部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のLEDバックライトの白色調整装置。
【請求項4】
前記遮光部材が前記受光板に一体的に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のLEDバックライトの白色調整装置。
【請求項5】
前記受光板には、該受光板の受光面が前記LEDバックライトの発光面に対して所定の位置に配置されるように位置決めする位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のLEDバックライトの白色調整装置。
【請求項6】
前記位置決め部が、前記遮光部材に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のLEDバックライトの白色調整装置。
【請求項7】
前記受光板の受光面には反射防止処理が施されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のLEDバックライトの白色調整装置。
【請求項8】
前記受光板の受光面に施される反射防止処理を、黒色艶消し塗装としたことを特徴とする請求項7に記載のLEDバックライトの白色調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−217217(P2010−217217A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60463(P2009−60463)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】