説明

LEDモジュール

【課題】LED素子の実装部を着脱可能な気密封止構造とすることにより信頼性を確保すると共に、放熱構造とすることにより発光効率や寿命の低下を抑制することが可能なLEDモジュールを提供することにある。
【解決手段】外側面に雄ネジ部15を有すると共に一端部側の平面状のLED素子実装部14にLED素子11が実装されてなる略筒状の金属製口金16を有する本体10と、雌ネジ部33及び光透過部31を有するカバー30を、雌ネジ部33に雄ネジ部15を螺合することにより一体化して気密空間40を形成し、気密空間40内に位置するLED素子11からの出射光をカバー30の光透過部31を透過して外部に照射するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDモジュールに関するものであり、詳しくは、LED素子を気密封止してなるLEDモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の照射装置としては、例えば、以下のような構成からなるものが開示されている。
【0003】
それは、図10に示すように、ガラスビード80に気密に貫通固定された一対のリード端子81、82に、熱伝導率の低い(金属に比べて)セラミックやガラス等の絶縁性材料からなり表面に導体パターン83、84が形成された板状の基板85を貫通固定し、導体パターン83、84とリード端子81、82を熱圧着することにより電気的な接続を図っている。
【0004】
そして、ガラスビード80で気密封止された気密容器86内で、基板85の導体パターン84上にLEDチップ87をダイボンディングし、LEDチップ87の電極と導体パターン85をボンディングワイヤ88を介して電気的に接続したものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、図11に示すように、一対のリード90が気密に貫通固定されると共に外面に雄ネジ91が設けられた筒状支持部92が気密に固定されたステム93に、光透過部94に透明体からなるレンズ95が設けられると共に内周壁に雌ネジ96が設けられた円筒状のキャップ97が、筒状支持部92の雄ネジ91にキャップ97の雌ネジ96が螺合されて嵌め合わされ、キャップ97の周縁と筒状支持部92を接合材98で溶接することによりステム93とキャップ97で構成されるパッケージの気密性を維持するようにしたものもある。
【0006】
そして、ステム93上に、上面に絶縁膜99を介して導体層100、101が形成されたサブマウント102が固定され、ドーム構造の発光ダイオードチップ103をサブマウント102上に搭載することにより発光ダイオードチップ103の電極とサブマウント102の導体層100、101が接触して電気的に接続されると共に、導体層100、101とリード90の上端をボンディングワイヤ104で接続して電気的な導通を図っている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−108936号公報
【特許文献2】特開昭63−81992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1に開示されたLEDは、ガラスビードで気密封止する際に、ガラス加工時の熱がリード端子を伝導されて導電性接着剤等からなるダイボンディング材やLED素子に移り、場合によっては600〜700℃程度の温度上昇を招くことになる。そのため、これらの材料の耐熱性次第では熱劣化を生じる可能性がある。
【0009】
特許文献1では、このリード端子の熱伝導に起因する温度上昇を抑制するために、リード端子とダイボンディング材、LEDチップを熱伝導率の低いセラミックやガラス等の絶縁性材料からなる基板を介して配置しているが、リード端子により伝導されたガラス加工時の熱の影響を完全に排除することはできない。
【0010】
また、特許文献2に開示された発光ダイオード装置は、雄ネジが設けられた筒状支持部が固定されたステムと雌ネジが設けられたキャップの螺合構造によって、発光ダイオードチップとキャップに設けられたレンズとの距離を調整して光結合を最良の状態に保つのが目的であり、LEDチップに対する放熱構造が考慮されておらず、LEDチップの点灯時の自己発熱によるLEDチップ自体の温度上昇により、発光効率の低下や寿命の低下を招くことになる。
【0011】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、LED素子の実装部を着脱可能な気密封止構造とすることにより信頼性を確保すると共に、放熱構造とすることにより発光効率や寿命の低下を抑制することが可能なLEDモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、外側面に雄ネジ部を有すると共に一端部側の平面状のLED素子実装部にLED素子が実装されてなる略筒状の金属製口金と、雌ネジ部及び光透過部を有するカバーと、を備え、前記雌ネジ部に前記雄ネジ部を螺合して一体化された前記カバーと前記口金とで気密空間が形成され、該気密空間内に前記LED素子が位置すると共に前記LED素子からの出射光が前記カバーの光透過部を透過して外部に照射されることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記カバーに1つ以上の雌ネジ部が形成され、前記雌ネジ部の夫々に前記口金の雄ネジ部が螺合されて前記カバーと前記口金が一体化されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項1又は請求項2において、前記カバーは少なくとも光透過部に蛍光材料が塗布されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項4に記載された発明は、請求項1から請求項3のいずれかにおいて、前記カバーの雌ネジ部と前記口金の雄ネジ部は、その間にシールテープを介在させて螺合していることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項5に記載された発明は、請求項1から請求項4のいずれかにおいて、前記カバーの前記雌ネジ部は金属材料で形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のLEDモジュールは、外側面に雄ネジ部を有すると共に一端部側の平面状のLED素子実装部にLED素子が実装されてなる略筒状の金属製口金を有する本体と、雌ネジ部及び光透過部を有するカバーを、雌ネジ部に雄ネジ部を螺合することにより一体化して気密空間を形成し、気密空間内に位置するLED素子からの出射光をカバーの光透過部を透過して外部に照射するようにした。
【0018】
その結果、全てのLED素子が周囲環境からの悪影響を排除され、耐湿、耐候性に優れた信頼性の高い構造となっている。また、LED素子の自己発熱による温度上昇が抑制され、LED素子の温度上昇に起因する発光効率の低下や寿命の低下を防止することができる。更に、また、カバーに対して着脱可能に一体化された本体を他の種類の本体(例えば、発光色の異なるLED素子を実装した本体)と交換することにより、見え方の異なるLEDモジュールを簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1のLEDモジュールの構成図である。
【図2】LEDモジュールのカバーの一部を切除した側方から見た図である。
【図3】LEDモジュールのカバーを取り除いて上方から見た図である。
【図4】本体の縦断面図である。
【図5】実施例2のLEDモジュールのカバーの一部を切除した側方から見た図である。
【図6】実施例3のLEDモジュールのカバーの一部を切除した側方から見た図である。
【図7】図6の底面図である。
【図8】実施例4のLEDモジュールのカバーの一部を切除した側方から見た図である。
【図9】LEDモジュールのカバーの一部を切除した上方から見た図である。
【図10】従来例の説明図である
【図11】他の従来例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の好適な実施形態を図1〜図9を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明に係わる実施例1のLEDモジュールの構成図、図2はLEDモジュールのカバーの一部を切除した側方から見た図、図3はLEDモジュールのカバーの一部を切除した上方から見た図、図4は本体の縦断面図である。
【0022】
LEDモジュール1は、発光源のLED素子11を実装した本体10と、カバー30が互いに着脱可能に一体化され、一体化された本体10とカバー30により形成された気密空間40内にLED素子11が位置する構成となっている。
【0023】
本体10は、一端を開口12とし、他端を略平面状で中央部に貫通孔13を有するLED素子実装部14とすると共に、外周側面に雄ネジ部15を設けた口金16を有しており、口金16内には絶縁性樹脂17が充填されて充填部17aが形成されると共に、充填部17aから延びて貫通孔13から突出する突出部17bが形成されている。
【0024】
口金16は熱伝導性が良好なAl(アルミニュウム)やCu(銅)などの金属材料で形成され、略平面状のLED素子実装部14上には複数のLED素子11が所定の位置にダイボンディングされている。この場合、LED素子11は一対の電極(図示せず)が同一面側に設けられた構造を有している。
【0025】
そして、これらLED素子11に電力を供給するために、絶縁性樹脂17内を気密に貫通して両端部18a、18bの夫々が充填部17a及び突出部17bから外部に導出された第1の電極リード18と、一端部19bが口金16に接続されて充填部17a内を気密に貫通して他端部19aが該充填部17aから外部に導出された第2の電極リード19が配設されている。
【0026】
複数のLED素子11の夫々の一対の電極(アノード電極及びカソード電極)のうち、一方の電極はLED素子11がダイボンディングされた口金16のLED素子実装部14にボンディングワイヤ20を介して電気的に接続され、他方の電極は第1の電極リード18の、絶縁性樹脂17の突出部17bから導出された端部18bにボンディングワイヤ21を介して電気的に接続されている。
【0027】
つまり、第1の電極リード18はボンディングワイヤ21を介してLED素子11の一対の電極の一方に電気的に接続され、第2の電極リード19は口金16及びボンディングワイヤ20を介してLED素子11の他方の電極に電気的に接続されている。
【0028】
カバー30はドーム状の光透過部31と円筒状の筒部32からなり、そのうち光透過部31は、後述するように、LED素子11からの照射光が透過する領域となるのでガラス、透光性セラミック、透光性樹脂などの透光性を有する材料で形成され、場合によっては光拡散効果を狙って光拡散手段が施されることもある。光拡散手段は例えば、ガラスの場合はすりガラスを用い、樹脂の場合は拡散剤を混入したり表面にシボ加工を施すことで実現できる。
【0029】
一方、筒部32は、ガラス、セラミック及び金属等の材料が用いられ、内側面には、本体10の口金16に設けられた雄ネジ部15に螺合する雌ネジ部33が設けられている。
【0030】
なお、光透過部31と筒部32を透光性を有する材料で一体に形成することも可能である。
【0031】
そして、本体10の口金16の雄ネジ部15とカバー30の筒部32の雌ネジ部33が螺合されて本体10とカバー30が一体化され、一体化された本体10とカバー30により形成された気密空間40内にLED素子11が位置している。そのため、LED素子11が周囲環境からの悪影響を極力排除され、耐湿、耐候性に優れた信頼性の高い構造となっている。
【0032】
このように構成されたLEDモジュール1において、外部電源(図示せず)から第1の電極リード18の端部18bと第2の電極リード19の端部19bの間に電圧を印加すると、第1の電極リード18に電気的に接続されたLED素子11の一方の電極と第2の電極リード19に電気的に接続されたLED素子11の他方の電極の間に電圧が印加され、各LED素子11が発光してその光がカバー30の光透過部31を透過して外部に照射される。
【0033】
このとき、LEDモジュール1からの照射光の色調をLED素子11の発光光とは異なる色調としたい場合、LED素子11の発光光で励起されて波長変換された光を放出する蛍光材料をカバー30の光透過部31の面(特に内面)に塗布することで実現できる。
【0034】
例えば、青色光を発光する青色LED素子11を発光源としLEDモジュール1の照射光を白色光としたい場合、青色LED素子11から出射された青色光に励起されて青色光の補色となる黄色光に波長変換する黄色蛍光材料をカバー30の光透過部31の内面に塗布することにより、青色LED素子11から出射された青色光の一部と青色LED素子11から出射された青色光の一部が黄色蛍光材料を励起することにより波長変換された黄色光との加法混色で白色に近い色調の照射光を得ることができる。
【0035】
また、黄色蛍光材料の代わりに、青色LED素子11から出射された青色光に励起されて緑色光に波長変換する緑色蛍光材料と赤色光に波長変換する赤色蛍光材料との混合蛍光材料をカバー30の光透過部31の内面に塗布することにより、青色LED素子11から出射された青色光の一部と青色LED素子11から出射された青色光の一部が緑色蛍光材料を励起することにより波長変換された緑色光と青色LED素子11から出射された青色光の一部が赤色蛍光材料を励起することにより波長変換された赤色光との加法混色で白色の照射光を得ることもできる。
【0036】
なお、昼光色(電球色)のような赤み成分の多い白色光を照射光としたい場合は、青色光に励起されて赤色光に波長変換する赤色蛍光材料を多く塗布することで可能となる。このように、LED素子と蛍光材料を適宜に組み合わせることにより、白色光や白色光に近い色調の光、或いはそれ以外の種々な色調の光を得ることができる。
【0037】
ところで、LED素子11は発光と同時に発熱も伴う。そこで、LED素子11の発光時の熱は、LED素子11がダイボンディングされた、熱伝導性が良好な金属材料からなる口金16に伝達され、口金16の雄ネジ部15からカバー30の雌ネジ部33を介してカバー30全体に伝達され、カバー30から大気中に放散される。
【0038】
この時、口金16と大気との間に位置する熱伝導部材はカバー30のみである。そのため、口金16からカバー30の外周面に至る熱伝導経路における熱抵抗は比較的低く、LED素子11からの発熱は効率良く外部に放散される。その結果、LED素子11の自己発熱による温度上昇が抑制され、LED素子11の温度上昇に起因する発光効率の低下や寿命の低下を防止することができる。
【0039】
特に、カバー30の筒部32を金属材料で形成した場合は、LED素子11からの発熱は金属材料からなる口金16、及び同じく金属材料からなる筒部32を順次伝導されて外部に放散される。そのため、LED素子11からの発熱に対する放熱効率が極めて高く、LED素子11の自己発熱による温度上昇が大幅に抑制されてLED素子11の温度上昇に起因する発光効率の低下や寿命の低下を大いに防止することができる。
【0040】
また、本体10とカバー30による気密構造は螺合構造によるものであり、製造工程においてガスバーナー等による高温の気密封止工程を伴わない構造となっている。そのため、製造工程中にLED素子11に高熱が加わることがなく、熱ダメージを全く受けることがない。その結果、LEDモジュール1のLED素子11を含めた構成部材の熱劣化が防止され、信頼性の高いLEDモジュール1を実現することができる。
【0041】
なお、各LED素子11は、外部環境に直接晒されるのを防止するために透光性を有する樹脂で樹脂封止されることが一般的であるが、本発明においては、LED素子11が本体10とカバー30で形成された気密空間40内に位置するために、必ずしも樹脂封止する必要がない。
【0042】
LED素子11を樹脂封止しない場合は、LED素子11からの熱及び光による封止樹脂の熱劣化及び光劣化がなく、光源としての経時的な性能劣化を抑制することができる。
【実施例2】
【0043】
図5(LEDモジュールのカバーの一部を切除した側方から見た図)に示す実施例2に係わるLEDモジュール1は、図1〜図4で示す上述の実施例1のLEDモジュール1に対して、本体10とカバー30で形成される気密空間40の気密性を更に向上させる構造としたものであり、具体的には、本体10の口金16の雄ネジ部15とカバー30の雌ネジ部33の間にシールテープ34を介在させることにより、雄ネジ部15と雌ネジ部33をシールテープ34を介して螺合する構造となっている。
【0044】
これにより、雄ネジ部15と雌ネジ部33を直接螺合するときに両者間(螺合部35)に生じる微細な間隙がシールテープ34で埋められ、気密空間40の気密性が更に向上する。その結果、LED素子11に対する周囲環境からの悪影響が徹底して排除され、耐湿、耐候性に極めて優れた信頼性の高い構造となっている。LEDモジュール1をこのような構造とすることにより、環境条件の厳しい屋外においても高い信頼性の下で使用することが可能となる。
【実施例3】
【0045】
図6(LEDモジュールのカバーの一部を切除した側方から見た図)及び図7(底面図)に示す実施例3に係わるLEDモジュール1は、実装時に第1の電極リード18を略中心軸とする回転方向の位置決めを簡単に且つ正確に行うことができる構造としたものであり、具体的には、カバー30の開口端部30aを塞ぐように平板状の底板36が設けられた構造となっている。
【0046】
底板36は、カバー30の開口端部30aとほぼ同径の底部36aと底部36aから突出する係止部36bからなっている。そこで、LEDモジュール1を被実装部材に実装するに当たっては、予め被実装部材に被係止部を設けることにより、実装時に被実装部材の被係止部に底板36の係止部36bが係止されて、LEDモジュール1に対する第1の電極リード18を略中心軸とする回転方向の位置決めが行われる。
【0047】
これにより、被実装部材に実装されたLEDモジュール1を照射方向から見たときに、いずれの被実装部材に実装されたLEDモジュール1においても、複数のLED素子11の夫々の位置が、正確に且つ再現性良く同じ位置に配置された状態となる。その結果、複数の被実装部材間において、互いに配光特性や色調のバラツキが少ない照射光を得ることができる。
【実施例4】
【0048】
図8(LEDモジュールのカバーの一部を切除した側方から見た図)及び図9(LEDモジュールのカバーの一部を切除した上方から見た図)に示す実施例4に係わるLEDモジュール50は、複数の本体10と1つのカバー55が着脱可能に一体化され、一体化された複数の本体10と1つのカバー55により形成された気密空間56内に各本体10に実装されたLED素子11が位置する構造となっている。
【0049】
本体10の構造は、実施例1の構造と同様であるので説明は省略する。
【0050】
カバー55は、平板状の光透過部57と本体保持部58からなり、光透過部57はLED素子11からの照射光が透過する領域となるのでガラス、透光性セラミック、透光性樹脂などの透光性を有する材料で形成され、場合によっては光拡散効果を狙って光拡散手段が施されることもある。光拡散手段は例えば、ガラスの場合はすりガラスを用い、樹脂の場合は拡散剤を混入したり表面にシボ加工を施すことで実現できる。
【0051】
一方、本体保持部58は所定の位置に複数の本体保持孔59が設けられており、夫々の本体保持孔59の内周面には本体10の口金16に設けられた雄ネジ部15に螺合する雌ネジ部33が設けられている。
【0052】
そして、本体10の口金16の雄ネジ部15とカバー55の本体保持孔59の雌ネジ部33が螺合されて本体10とカバー55が一体化され、一体化された本体10とカバー55により形成された気密空間56内に各本体10に実装されたLED素子11が位置している。そのため、全てのLED素子11が周囲環境からの悪影響を極力排除され、耐湿、耐候性に優れた信頼性の高い構造となっている。
【0053】
LEDモジュール50をこのような構造とすることにより、平面型の面光源を実現することができる。
【0054】
また、LEDモジュール50からの照射光の色調をLED素子11の発光光とは異なる色調としたい場合、LED素子11の発光光で励起されて波長変換された光を放出する蛍光材料60をカバー55の光透過部57の面(特に内面)に比較的簡単な印刷方式によって塗布することで実現できる。
【0055】
その場合、上述したように、LED素子と蛍光材料を適宜に組み合わせることにより、白色光や白色光に近い色調の光、或いはそれ以外の種々な色調の光を得ることができる。
【0056】
本実施例の放熱効果は、上記実施例1〜実施例3と同様に、LED素子11の発光時の熱は、LED素子11がダイボンディングされた、熱伝導性が良好な金属材料からなる口金16に伝達され、口金16の雄ネジ部15からカバー55の雌ネジ部33を介してカバー55全体に伝達され、カバー55から大気中に放散される。
【0057】
この時、口金16と大気との間に位置する熱伝導部材はカバー55のみである。そのため、口金16からカバー55の外周面に至る熱伝導経路における熱抵抗は比較的低く、LED素子11からの発熱は効率良く外部に放散される。その結果、LED素子11の自己発熱による温度上昇が抑制され、LED素子11の温度上昇に起因する発光効率の低下や寿命の低下を防止することができる。
【0058】
特に、カバー55の本体保持部58を金属材料で形成した場合は、LED素子11からの発熱は金属材料からなる口金16、及び同じく金属材料からなる本体保持部58を順次伝導されて外部に放散される。そのため、LED素子11からの発熱に対する放熱効率が極めて高く、LED素子11の自己発熱による温度上昇が大幅に抑制されてLED素子11の温度上昇に起因する発光効率の低下や寿命の低下を大いに防止することができる。
【0059】
なお、上記実施例1〜実施例4において、本体10の口金16に実装するLED素子11を、赤色光を発光する赤色LED素子、緑色光を発光する緑色LED素子、青色光を発光する青色LED素子の組み合わせとし、赤色光、緑色光及び青色光の混色比率を変えることにより、白色光や白色光に近い色調の光、或いはそれ以外の種々な色調の光を得ることができる。
【0060】
したがって、この場合はカバーの光透過部に蛍光材料を塗布することなく所望の色調の光を照射することができる。
【0061】
また、本体10の口金16に実装する各LED素子11を蛍光材料で直接封止することによっても、LED素子11と蛍光材料を適宜に組み合わせることにより、白色光や白色光に近い色調の光、或いはそれ以外の種々な色調の光を得ることができる。この場合もカバーの光透過部に蛍光部材を塗布する必要はない。
【0062】
更に、本体10の口金16の雄ネジ部15とカバー30、55の雌ネジ部33の間にシールテープを介在させてシールテープを介して雄ネジ部15と雌ネジ部33を螺合することにより、気密空間40、56の気密性を一層向上させることができる。
【0063】
なお、LED素子11の一対の電極に電気的に接続されて外部に導出される電極は、上記実施例1〜実施例4に示した構成に限られるものではなく、LEDモジュールが実装される状態を考慮して適宜最適な形態に設計される。
【0064】
本発明のLEDモジュールは、本体の数や配置、カバーの形状寸法等を変えた組み合わせにより、種々の用途、目的に適った形態のものを実現することができる。また、本体とカバーが着脱可能に一体化される構造となっているので、カバーに螺合された本体を他の種類の本体(例えば、発光色の異なるLED素子を実装した本体)と交換することにより、見え方の異なるLEDモジュールを簡単に得ることができる。
【符号の説明】
【0065】
1… LEDモジュール
10… 本体
11… LED素子
12… 開口
13… 貫通孔
14… LED素子実装部
15… 雄ネジ部
16… 口金
17… 絶縁性樹脂
17a… 充填部
17b… 突出部
18… 第1の電極リード
18a… 端部
18b… 端部
19… 第2の電極リード
19a… 端部
19b… 端部
20… ボンディングワイヤ
21… ボンディングワイヤ
30… カバー
30a… 開口端部
31… 光透過部
32… 筒部
33… 雌ネジ部
34… シールテープ
35… 螺合部
36… 底板
36a… 底部
36b… 係止部
40… 気密空間
50… LEDモジュール
55… カバー
56… 気密空間
57… 光透過部
58… 本体保持部
59… 本体保持孔
60… 蛍光材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側面に雄ネジ部を有すると共に一端部側の平面状のLED素子実装部にLED素子が実装されてなる略筒状の金属製口金と、
雌ネジ部及び光透過部を有するカバーと、を備え、
前記雌ネジ部に前記雄ネジ部を螺合して一体化された前記カバーと前記口金とで気密空間が形成され、該気密空間内に前記LED素子が位置すると共に前記LED素子からの出射光が前記カバーの光透過部を透過して外部に照射されることを特徴とするLEDモジュール。
【請求項2】
前記カバーに1つ以上の雌ネジ部が形成され、前記雌ネジ部の夫々に前記口金の雄ネジ部が螺合されて前記カバーと前記口金が一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項3】
前記カバーは少なくとも光透過部に蛍光材料が塗布されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のLEDモジュール。
【請求項4】
前記カバーの雌ネジ部と前記口金の雄ネジ部は、その間にシールテープを介在させて螺合していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項5】
前記カバーの前記雌ネジ部は金属材料で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のLEDモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−89699(P2012−89699A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235598(P2010−235598)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】