説明

LED用リードフレーム、LEDモジュール及びその製造方法

【課題】単位面積当たりのLEDチップの搭載数を多くできる。
【解決手段】LEDモジュール1は、パッド基部に対して直交する方向に配列した複数のパッド部6bと、リード基部に対して直交する方向に配列した複数のリード部7bとが、対向して非接触で互い違いに配列されたリードフレームを有する。パッド部6bとリード部7bの間に充填樹脂を充填して成形すると共に複数のパッド部とリード部を囲むように充填樹脂でリフレクター10を形成した。各パッド部6bにその長手方向に複数のLEDチップ4を搭載させ、各LEDチップ4に電力を供給する金属ワイヤーをリード部7bに接続させて、複数のLEDチップ4を並列接続した。リフレクター10内の複数のLEDチップ4と金属ワイヤーを封止する透明封止樹脂を充填した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップ(Light Emitting Diode)を搭載するLED用リードフレームとLED用リードフレーム基板、そしてLED用リードフレームを備えたLEDモジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ウエハープロセスで製造される半導体集積回路(LSI、IC)や発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の電子素子は、厚みが1mm以下で大きさも1cm程度以下と小さく、また電力を供給して電気信号を入出力するための微細な端子を備え、端子数は数十から数千に至る場合もある。
【0003】
従って、これらの電子素子は、電子素子に形成された端子と同じピッチの端子を一方の面に有し、簡単で強固に外部装置に接続できる程度にまで拡大されたピッチの端子を他方の面に備える特別な基板に搭載して使用に供される。外部との電気接続は、この特別の基板の他方の面に形成された拡大されたピッチを有する端子を介してなされる。
【0004】
ここで本発明に関する電子素子としてのLEDチップやSiダイオードは、例えば電力を印加するだけの、端子を2個有する2端子型の電子素子であり、端子数が数百にも及ぶLSIやICに較べると端子数は少なく、当該電子素子(LEDやSiダイオード)を搭載する基板のサイズの問題を度外視すれば微細配線形成に伴う困難はほとんどない。
従って、2端子のLEDチップを搭載する特別な基板としては、LSIやIC用に開発されたセラミック基板、プリント基板、リードフレーム等をほとんどそのままの形で利用することができる。
【0005】
セラミック基板は電気特性は良好であり、熱膨張率が低く信頼性も優秀であるが、価格が高いという欠点がある。また、セラミックは、熱伝導性が樹脂よりは勝るが金属よりは劣るので、LEDチップに生じた熱を放散するために、一定の厚みの金属からなる放熱板をLEDチップに接する形で備える必要があるため、薄くて軽くすることが難しいという問題もある。LEDチップを液晶表示装置のバックライトとして使用する場合には、薄く、更に望ましくは軽くすることが特に重要な因子である。
【0006】
また、2端子のLEDチップを搭載する電子素子搭載用の基板として、プリント基板を用いた場合には、プリント基板の基材であるエポキシ樹脂やガラスエポキシ樹脂が、セラミックや金属に較べると熱抵抗が高いという問題があり、それを解消するため、基板の内層にCu(銅)、あるいはAl(アルミ)等の金属板を挿入したプリント基板を採用せざるを得ない。
また、LEDチップから発せられた光を光源として効率よく利用するため、LEDチップから発せられた光を反射させ、その反射光を利用することも有るが、高光反射率を確保するために、LEDチップの背部の基板表面に光反射性のセラミックインクを塗布する工程を必要とし、いずれの処理も高価格化を伴うものである。
【0007】
これに対し、電子素子搭載用に用いられるリードフレームは、多端子の電子素子の搭載には向かないが、板状の鉄−ニッケル等の合金薄板、銅−ニッケル−錫等の合金薄板からなるリードフレーム用金属材料を、塩化第二鉄等のエッチャントを用いてエッチング加工するか、金型による打ち抜き加工によって製造することが可能なため極めて廉価に得ることが出来る。
【0008】
一個のLEDチップを搭載するためのリードフレームとしては、計3個のアイランドを備えたものが知られている。このリードフレームは、LEDチップが搭載される主表面としてのパッド部(アイランド部)と、LEDチップと電気的接続をとるための、相互に電気的に絶縁されてパッド部(アイランド部)とも電気的に絶縁された二つのリード用アイランドとの計3個のアイランドを備えるものである。
また、一個のLEDチップを搭載するためのリードフレームとして、計2個のアイランドを備えたものも知られている。すなわち、パッド部と一方のリード用アイランドとを共通にした共通アイランドと、他方のリード用アイランドとの計2個のアイランドを備えるものである。
【0009】
図7に示すLEDモジュール40は、2個のアイランドを有するリードフレーム41を使用した一例の断面図である。リードフレーム41のパッド部41aには、その主表面側にLEDチップ44が搭載され、その裏面はLEDチップ44から発生するジュール熱を外部に放散させる。なお、裏面には放熱効率を高めるための放熱板が装着されていてもよい。また、下記特許文献1〜4には、LED等の電子素子を担持体へ搭載する技術、蓄熱を防止するための放熱技術が記載されている。
LEDチップ44は、LEDチップ搭載部と一体となった一方の電極であるパッド部41a上に固定され且つ金属ワイヤー45により電気的に接続されており、他方の電極となるリード用アイランド41bとは別の金属ワイヤー45で電気的に接続されている。
【0010】
また、LEDチップ44を囲んで傾斜する樹脂を有するリフレクター43がリードフレーム41の上に形成され、リフレクター43の内部はLEDチップ44と金属ワイヤー45を覆うように封止樹脂46が充填されている。リフレクター43の内側には金属膜などからなる反射膜48が形成されることもある。リードフレーム41を構成する二つのアイランド41a、41bは、短絡しないようにスリット42により分離され充填用絶縁樹脂49が充填されている。
リードフレーム41は、図7から理解できるように、金属部分だけに着目すれば互いに絶縁された複数の板状の金属片からなるアイランド41a、41bで構成されている。
【0011】
ところで、LEDチップ44は単体で使用される以外に、発光量(発光密度)を増やしたり、発光色の調整のために複数のLEDチップを平面的に近接して複数並べて使用したい場合がある。特に、液晶表示装置用のバックライトとしては、光強度が強くなるように複数個のLEDチップを面状に配列して備えた、軽くて薄い光源が特に求められている。
LEDチップを照明光源として用いたLED電球では、40〜50個のLEDチップ(素子)を同時に点灯させることで白熱電球等と置き換えることができ、しかもこれら白熱電球等と比較して消費電力を著しく低減できて省エネ効果が高いことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−347600号公報
【特許文献2】特開2004−172160号公報
【特許文献3】特開2007−220925号公報
【特許文献4】特開2003−8071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来、LED電球を製造する場合、例えば図8に示すように単体のリードフレーム41を多数個連接し、各リードフレーム41上に1または2個のLEDチップ44を実装したものを用いている。LEDチップ44を複数個密集させる場合には、通常は図7に示したような個別に樹脂充填と封止加工がされたLEDモジュール40、或いはさらにケーシング加工を施した1個のLEDモジュール40を縦横に複数個配列させて、図8に示すように一体化する構成を採用することがほとんどであった。
【0014】
また、図8に示すLED電球用のリードフレームは、1つの基板に図7に示すような1つ(または2つ)のLEDモジュール40を実装したリードフレーム41となるため、リードフレーム41の裏面で複数のリードフレーム41同士をはんだ付けすることで複数のLEDチップ44の電球を接続した構造を採用せざるを得なかった。
この場合、発光に資するLEDチップ44の個数が複数のリードフレーム41の占有面積に対して少なくて嵩張るにも関わらず、発光密度が低いという問題がある。
【0015】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたもので、単位面積当たりのLEDチップの搭載数を多くできるLED用リードフレーム及びLED用リードフレーム基板、LEDモジュール及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によるLEDリードフレームは、パッド基部に対して交差する方向に延びて所定間隔で配列されたLEDチップ搭載用の1または複数のパッド部と、リード基部に対して交差する方向に延びて所定間隔で配列された1または複数のリード部とが、非接触で互い違いに配列されてなることを特徴とする。
本発明によるLED用リードフレームによれば、LEDチップを搭載するためのパッド部と金属ワイヤー等の電気的接続部材によってLEDチップに電力を供給するためのリード部とを並べて配設することで、複数のLEDチップと各LEDチップに電力を供給するための電気的接続部材をパッド部とリード部を介して並列に接続することができるから、リードフレームにパッド部とリード部の数に応じてLEDチップと電気的接続部材を多数並列に配列して集積することができる。
【0017】
本発明によるLEDモジュールは、パッド基部に対して交差する方向に延びて所定間隔で配列された1または複数のパッド部と、リード基部に対して交差する方向に延びて所定間隔で配列された1または複数のリード部とが、非接触で互い違いに配列されたリードフレームと、パッド部の延在方向に搭載された複数のLEDチップと、これらのLEDチップに電力を供給するためにリード部にそれぞれ電気的に接続された電気的接続部材と、パッド部及びリード部の間の開口部分に充填して連結すると共に複数のLEDチップ及び電気的接続部材を囲むようにリフレクターを形成した第一の樹脂と、リフレクターで囲われた複数のLEDチップ及び電気的接続部材を封止する第二の樹脂と、を備えたことを特徴とする。
本発明によるLEDモジュールによれば、パッド部とリード部が非接触で互い違いに配列され、各パッド部に複数のLEDチップを搭載すると共に各LEDチップに電力を供給する電気的接続部材をリード部に接続できるため、パッド部とリード部の延在方向に多数のLEDチップと金属ワイヤー等の電気的接続部材を密集させてそれぞれ搭載できて、リードフレームの各パッド上に複数のLEDチップを集積して実装できる。
【0018】
また、パッド部に搭載された複数のLEDチップは電気的接続部材によって並列に接続されていることが好ましい。
パッド部とリード部に並列に接続された複数のLEDチップのいずれかに故障が生じたとしても他のLEDチップは遮断されることなく駆動可能であり、光源として継続して使用できる。
【0019】
また、LEDチップはLED電球であることが好ましい。
本発明に係るLEDモジュールによれば、リードフレームの各パッド部に複数のLEDチップを集積して実装できるため、LEDチップをLED電球として高密度で発光でき、小型で高輝度の光源を得られる。そのため、例えば液晶表示装置のバックライトとして用いる等、各種用途の光源として使用できる。
【0020】
また、本発明によるLED用リードフレーム基板は、複数のLED用リードフレームが多面付けされていて互いに連結されてなることを特徴とする。
本発明によれば、パッド部とリード部を互い違いに配列させた裁断単体のリードフレームを形成できると共に、裁断単体からなる複数のリードフレームをタイバー等によって互いに連結して集積され多面付けされたリードフレーム基板を形成でき、これをタイバー等の連結部分でダイシングすることで複数のリードフレームを効率よく製造できる。
【0021】
本発明によるLEDモジュールの製造方法は、パッド基部に対して交差する方向に延びて所定間隔で配列された1または複数のパッド部と、リード基部に対して交差する方向に延びて所定間隔で配列された1または複数のリード部とが、非接触で互い違いに配列されたリードフレームを形成する工程と、第一の樹脂によってリードフレームの開口部分を充填すると共にリフレクターを形成する工程と、1または複数のパッド部にそれぞれ複数のLEDチップを搭載すると共にこれらLEDチップに電力を供給するために電気的接続部材をリード部にそれぞれ電気的に接続する工程と、複数のLEDチップと電気的接続部材を第二の樹脂でモールドする工程とを備えたことを特徴とする。
本発明によるLEDモジュールの製造方法によれば、銅板等の金属板をエッチング等によって、1または複数のパッド部と1または複数のリード部が非接触で互い違いに配列されたLED用リードフレームを形成し、各パッド部に複数のLEDチップを集積して搭載すると共にリード部と電気的接続部材で電気的に接続することができるから、1または複数のパッド部とリード部の組合せによって多数のLEDチップを並列に且つ密集した状態で集積できる。
【発明の効果】
【0022】
上述のように、本発明に係るLED用リードフレーム及びLEDモジュールによれば、
1または複数のパッド部とリード部が非接触で互い違いに配列され、パッド部にLEDチップを搭載すると共にLEDチップに電力を供給するために電気的接続部材をリード部に接続するため、狭い面積内に多数のLEDチップと電気的接続部材を密集させて配列させることができる。そのため、LED用リードフレーム上の単位面積当たりのLEDチップの搭載数を多く設置できて集積化して実装できる。
また、本発明に係るLEDモジュールによれば、リードフレームのパッド部に多数のLEDチップを集積して実装できるため、LEDチップをLED電球として集積状態で発光できるため、小型で高輝度の光源を得られる。
【0023】
また、本発明によるLEDモジュールの製造方法によれば、1または複数のパッド部とリード部が非接触で互い違いに配列されたリードフレームを形成し、パッド部に複数のLEDチップを集積して搭載すると共にリード部と電気的接続部材で電気的に接続することができるから、多数のLEDチップを密集した状態で実装できる。
【0024】
また、本発明によるLED用リードフレーム基板によれば、複数のリードフレームを多面付けすることで多連のLED用リードフレームを同時に製造することができ、その後にダイシングによって分離できるため、LEDモジュールの製造効率がよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態によるLEDモジュールの平面図である。
【図2】図1に示すLEDモジュールのA−A線要部拡大断面図である。
【図3】略櫛歯状のパッド部材とリード部材とを互い違いに組み合わせたリードフレームの平面図である。
【図4】複数のリードフレームを集積して形成したリードフレーム基板の全体図である。
【図5】図1に示すLEDモジュールをリードフレーム基板に多面付けした状態を示す平面図である。
【図6】実施形態によるLEDモジュールの製造工程を示す要部断面図であり、(a)は基板をエッチングしたパッド部とリード部からなるリードフレームを示す図、(b)は充填樹脂によってパッド部とリード部を連結すると共にリフレクターを形成した図、(c)はパッド部にLEDチップを搭載して金属ワイヤーでリード部に接続した状態を示す図、(d)はリフレクター内に透明封止樹脂を充填してLEDチップを封止したLEDモジュールを示す図である。
【図7】図8に示す従来のLEDモジュールのB−B線要部縦断面図である。
【図8】図7に示すLEDモジュールを複数接続した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態によるLED用リードフレームとLEDモジュールについて図面を参照して詳細に説明する。
図1及び図2に示すLEDモジュール1は、LED発光素子用リードフレーム(以下、単にリードフレームと称する)2と、リードフレーム2の上面に樹脂モールドした第一の樹脂としての絶縁性の充填樹脂3と、リードフレーム2上に搭載されたLEDチップ4とを備えている。LEDチップ4はこの実施形態では例えばLED電球を構成する。
【0027】
リードフレーム2は、図3に示すように、略櫛形を形成したパッド部材6と略櫛形を形成したリード部材7とが対向して配設されて構成されている。パッド部材6は例えば幅広のパッド基部6aに対して略直交する方向にLEDチップ4を搭載するための例えば短冊状のパッド部6bが所定間隔で複数配列されて櫛形に一体形成されている。リード部材7は例えば幅広のリード基部7aに対して略直交する方向に例えば短冊状のパッド部7bが所定間隔で複数配列されて櫛形に一体形成されている。
リードフレーム2は、板状の金属板、例えば鉄−ニッケル等の合金薄板、或いは銅−ニッケル−錫等の合金薄板からなっている。リードフレーム2は、この金属合金製の板状の基材を例えば第二塩化鉄等のエッチャントを用いてエッチングすることにより形成される。或いは、金型による打ち抜き加工で製造してもよい。
【0028】
リードフレーム2は、図3に示すようにパッド部材6のパッド部6bとリード部材7のリード部7bとが対向して互いに非接触で互い違いに噛み合うように配設されている。そして、各パッド部6bには複数のLEDチップ4が搭載可能とされている。
また、リードフレーム2のパッド部材6とリード部材7は充填樹脂3がパッド部6bとリード部7bとの間の開口に充填されて樹脂モールドされて一体化されている。しかも、充填樹脂3にはリードフレーム2に搭載される複数のLEDチップ4を囲うように例えば略四角枠形状をなす土手を形成してリフレクター10が形成されている。このリフレクター10で囲われた凹部はキャビティ11を構成し、その内面は外側に傾斜する反射面を構成する。
【0029】
図1及び図2に示すように、キャビティ11内に配設されたリードフレーム2のパッド部6bとリード部7bは互いに略平行に交互に配列されており、電極部を構成する部分にめっき処理がなされている。各パッド部6bには、LEDチップ4がその長手方向に沿って所定間隔で複数搭載されており、パッド部6bに隣接するリード部7bには各LEDチップ4に電力を供給する電気的接続部材として金属ワイヤー12が電気的に接続されている。
また、LEDチップ4は例えば絶縁部材を介してパッド部6bに搭載され、LEDチップ4に電力を供給する別の金属ワイヤー13によってパッド部6bに電気的に接続されている。或いはLEDチップ3は金属ワイヤー13を設けることなく導電部材を介してパッド部6bに導通状態で搭載されることで、パッド部6bから直接LEDチップ4に電力を供給するようにしてもよい。
【0030】
そして、1本のパッド部6bに所定間隔で搭載された複数のLEDチップ4は金属ワイヤー12を介して隣接するリード部7bに電気的に接続されることで、これら複数のLEDチップ4は電気的に並列に接続された状態になる。
そのため、本実施形態によるLEDモジュール1によれば、図1に示すように例えば各5本のパッド部6bとリード部7bとの間では、多数のLEDチップ4はそれぞれ並列に接続された状態となる。これにより、単一のリードフレーム2の複数のパッド部6bに例えば40〜50個のLEDチップ4が集積化されてLED電球として搭載されている。
【0031】
なお、パッド部6bは、図2に示すように、表面(上面)がLEDチップ4を搭載するための搭載面Aとされており、搭載面Aの反対側の裏面(下面)はパッド部放熱面Bとされている。パッド部放熱面Bは、LEDチップ4から発生する駆動熱やLEDチップ4の周囲環境条件から熱を放散させる放熱部とされている。
リード部7bは、パッド部6bと同様の厚みを有しており、リード部7bの表面(上面)が、LEDチップ4に電気的に接続される接続面Cとされ、接続面Cの反対側の裏面(下面)が、リード部7bにおいて発生する熱を放熱する放熱部として機能するリード部放熱面Dとされている。
【0032】
例えば、パッド部6bの搭載面Aとリード部7bの接続面Cとは、同一の板状基材から形成されるため、特段の加工を行わない限り同一平面とされている。同様に、パッド部6bのパッド部放熱面B及びリード部7bのリード部放熱面Dも同一平面とされている。
また、パッド部6bに実装されるLEDチップ4に対してリード部7bの接続面Cはワイヤーボンディングやチップボンディングによって接続されており、本実施形態では、例えば金線等からなる金属ワイヤー12を介して電気的に接続されている。
なお、パッド部6bとリード部7bの接続面(表面)へのメッキは、銀メッキ、金メッキ、パラジウムメッキ等の中から用途に合わせて自由に選択することができる。また、このように接続面にメッキをするのに先立って、接続面に対して熱拡散性に優れたニッケルメッキ等の下地メッキを行なってもよい。
【0033】
そして、LEDモジュール1では、キャビティ5の略逆四角錐台形状の凹部内には第二の樹脂として透明封止樹脂15が充填され、この透明封止樹脂15によって40〜50個のLEDチップ4及び金属ワイヤー12、13が封止されている。透明封止樹脂15は高光透過率(透過率90〜95%以上)を有する樹脂である。
【0034】
次に、図4は断裁単位として図3に示すリードフレーム2を多面付けした多連リードフレームの構成例を模式的に示す図である。図4に示す多連リードフレーム基板17は断裁単位のリードフレーム2が縦横方向に3枚×3枚ずつ配列され、それぞれタイバー18を介して互いに連結されている。各リードフレーム2は例えばパッド部材6のパッド基部6aとリード部材7のリード基部7aとの間でタイバー18によって連結されている。
そして、多連リードフレーム基板17は一括して加工処理が行われ、図5に示すように、多連のLEDモジュール1が複数形成されることになる。このようにして得られた多連のLEDモジュール19についてタイバー18でダイシングを行うことで個別のLEDモジュール1が得られる。
【0035】
次に、本実施形態によるLEDモジュール1の製造方法について図6により説明する。
まずは、Fe−Ni等の合金薄膜またはCu−Ni−Sn等の金属合金製の板状をなすリードフレーム用金属材料を用意する。この金属材料の上面と裏面にフォトレジスト(感光性樹脂)を塗布してレジスト層を形成し、所定のパターン露光用フォトマスクを用いてフォトレジスト層にパターンを露光し、次いで、現像、必要に応じて硬膜処理をする。
これにより、金属材料の上面にパッド部材6とリード部材7を形成する部分を残してフォトレジストが現像除去されたレジストパターンが形成される。
【0036】
次に、レジストパターンが形成された金属材料の上面に、フォトレジスト非形成部を塩化第二鉄等のエッチャントを用いてエッチング加工処理(ハーフエッチング処理)を行なう。これにより、パッド部材6及びリード部材7となるべき部分の間には、範囲の狭いレジストパターンが配置されていることにより、比較的深度の小さいエッチング部分が形成される。これにより、金属材料の上面に凹凸形状が形成される。裏面にも同様に凹凸形状が形成される。
そして、金属材料は略櫛状のパッド部材6とリード部材7とが、パッド基部6aの複数のパッド部6bとリード基部7aの複数のリード部7bとを互い違いに非接触で配列させた図3に示す形状となる。これをパッド部6bとリード基部7aの長手方向に直交する方向の断面で見ると図6(a)に示す構成になる。
【0037】
次に、トランスファーモールド成形もしくは射出成形によりパッド部材6とリード部材7の間の開口に絶縁性の充填樹脂3を充填して固定すると共に、その周囲に充填樹脂3によってリフレクター10を成形する。これにより、図6(b)に示すように、リードフレーム2の複数のパッド部6bとリード部7bの上面の周囲を充填樹脂3によって内面凹部が略逆四角錐台形状で内面に上方に向けて反射面を拡径させた土手状のキャビティ11を有するリフレクター10が形成される。
【0038】
そして、キャビティ11の反射面で囲まれた領域内に露出するリードフレーム2の複数のパッド部6bの搭載面Aとリード部7bの接続面Cに、耐熱拡散性に優れたNiめっき等の下地めっきを行い、その後に、銀めっき、金めっき、パラジウムめっき等を行う。ここで、LEDモジュール1を外部基板に搭載、接続するために、パッド部6bのパッド部放熱面B及びリード部7bのリード部放熱面Dにも銀めっき、金めっき、パラジウムめっき等を行ってもよい。
【0039】
次に、図6(c)において、リードフレーム2における1のパッド部6bの搭載面AにLEDチップ4をパッド部6bの長手方向に所定間隔で絶縁部材を介して搭載し、各LEDチップ4と隣接するリード部7bの接続面Cとを金属ワイヤー12を用いてワイヤーボンディングする。また、LEDチップ4とパッド部6bの搭載面A上の電極面にも金属ワイヤー13を用いて電気的に接続する。こうしてLEDチップ4及び金属ワイヤー12,13の装着を複数列のパッド部6b及びリード部7bについて順次行う。
次に、図6(d)に示すように、透明封止樹脂15をキャビティ11内に充填して満たし、リードフレーム2の表面のパッド部6b及びリード部7bにおける複数のLEDチップ4及び金属ワイヤー12,13を封止する。
このようにして、図1に示すLEDモジュール1が完成する。
【0040】
上述のように、本実施形態によるリードフレーム2及びLEDモジュール1によれば、リードフレーム2について複数のLEDチップ4を搭載するためのパッド部6bと各LEDチップ4を電気的に接続するためのリード部7bとを交互にそれぞれ櫛形に形成することで、1つのリードフレーム2及びLEDモジュール1で例えば40〜50個の多数のLEDチップ4をリフレクター10内に集積して実装することができる。
そのため、従来のリードフレームやLEDモジュールのように1つまたは2つのLEDチップ毎にリフレクター10で囲って形成したものと比較して、比較的小さい面積で多数のLEDチップ4を高集積化して実装できる。そして、LEDチップ4をLED電球として用いた場合に多数の光源を高密度に集積させて高輝度の光源を製造でき、例えば液晶表示装置のバックライトとして用いることができて小さい面積で高輝度が得られる。
【0041】
また、本実施形態によるリードフレーム2及びLEDモジュール1によれば、略櫛型のパッド部材6及びリード部材7を対向させて櫛の歯に相当する複数のパッド部6bとリード部7bを互い違いに組み合わせたことで、それぞれのパッド部6bとリード部7bに多数のLEDチップ4を並列に接続して駆動することができる。そのため、並列に接続した複数のLEDチップ4のいずれかに故障が生じたとしても他のLEDチップ4は遮断されることなく駆動可能であり、継続して使用できる。
【0042】
また、エッチング技術によって1枚の銅板等の金属板から、櫛形のパッド部材6とリード部材7を互いに噛み合わせてなるリードフレーム2を形成できると共に、断裁単体からなる複数のリードフレーム2をタイバー18によって互いに連結して集積され多面付けされた多連リードフレーム基板17を形成できる。そして、これをタイバー18部分でダイシングすることで複数のリードフレーム2を効率よく製造できる。
また、多面付けされた複数のリードフレーム2についてそれぞれ充填樹脂3でパッド部6bとリード部7bを連結すると共にリフレクタ−10を形成して、その内側に多数のLEDチップ4を実装することで、多連のLEDモジュール17を製造することができ、その後にダイシングによって分離できるため、LEDモジュール1の製造効率がよい。
【0043】
なお、本発明は上述の実施形態によるリードフレーム2、LEDパッケージ1及びその製造方法に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上述の実施形態によるリードフレーム2はパッド部6bとリード部7bをそれぞれ複数形成したが、1本ずつでもよい。この場合でも1本のパッド部6bの長手方向に複数のLEDチップ4を搭載できる。
また、LEDパッケージ1の製造方法では、充填樹脂3でリードフレーム2を固定した後、パッド部6bとリード部7bをめっき(後めっき)したが、これに代えて、充填樹脂3でリードフレーム2を固定する前にパッド部6bとリード部7bをめっき(先めっき)してもよい。
【0044】
また、上述の実施形態によるLEDモジュール1では、リードフレーム2が略四角形状であるために、充填樹脂3で形成するリフレクター10を内面が略四角錐台形状をなす略四角形枠状に形成したが、リフレクター10の形状は円形など適宜形状のものを採用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 LEDモジュール
2 リードフレーム
3 充填樹脂
4 LEDチップ
6 パッド部材
6b パッド部
7 リード部材
7b リード部
10 リフレクター
11 キャビティ
12、13 金属ワイヤー
15 透明封止樹脂
17 多連リードフレーム基板
18 タイバー
19 多連のLEDモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッド基部に対して交差する方向に延びて所定間隔で配列されたLEDチップ搭載用の1または複数のパッド部と、リード基部に対して交差する方向に延びて所定間隔で配列された1または複数のリード部とが、非接触で互い違いに配列されてなることを特徴とするLED用リードフレーム。
【請求項2】
パッド基部に対して交差する方向に延びて所定間隔で配列された1または複数のパッド部と、リード基部に対して交差する方向に延びて所定間隔で配列された1または複数のリード部とが、非接触で互い違いに配列されたリードフレームと、
前記パッド部の延在方向に搭載された複数のLEDチップと、
これらのLEDチップに電力を供給するためにリード部にそれぞれ電気的に接続された電気的接続部材と、
前記パッド部及びリード部の間の開口部分に充填して連結すると共に前記複数のLEDチップ及び電気的接続部材を囲むようにリフレクターを形成した第一の樹脂と、
前記リフレクターで囲われた前記複数のLEDチップ及び電気的接続部材を封止する第二の樹脂と、を備えたことを特徴とするLEDモジュール。
【請求項3】
前記パッド部に搭載された複数のLEDチップは並列に接続されている請求項2に記載されたLEDモジュール。
【請求項4】
前記LEDチップはLED電球である請求項2または3に記載されたLEDモジュール。
【請求項5】
請求項1に記載された複数の前記LED用リードフレームが多面付けされていて互いに連結されてなることを特徴とするLED用リードフレーム基板。
【請求項6】
パッド基部に対して交差する方向に延びて所定間隔で配列された1または複数のパッド部と、リード基部に対して交差する方向に延びて所定間隔で配列された1または複数のリード部とが、非接触で互い違いに配列されたリードフレームを形成する工程と、
第一の樹脂によって前記リードフレームの開口部分を充填すると共にリフレクターを形成する工程と、
前記1または複数のパッド部にそれぞれ複数のLEDチップを搭載すると共に該LEDチップに電力を供給するために電気的接続部材を前記リード部にそれぞれ電気的に接続する工程と、
前記複数のLEDチップと電気的接続部材を第二の樹脂でモールドする工程と
を備えたことを特徴とするLEDモジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−182297(P2012−182297A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43997(P2011−43997)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】