説明

LNG貯蔵タンク及びこれを用いた蒸発ガス処理方法

【課題】 本発明は、LNG貯蔵タンク及びこれを用いた蒸発ガス処理方法に関するものであって、内部で発生した蒸発ガスを別途で処理することなく、内部の圧力を安全な状態に維持することができるように構成したLNG貯蔵タンク及びこれを用いた蒸発ガス処理方法を提供することにその目的がある。
【解決手段】 このために、本発明のLNG貯蔵タンクは、断熱壁を備え、且つ内部で発生する蒸発ガスによる圧力上昇を許容するために、蒸発ガスによる圧力上昇分に耐えられる強度を有するよう設計されており、また、本発明の蒸発ガス処理方法は、LNG貯蔵タンク内に発生する蒸発ガスを処理せず、蒸発ガスの発生によるLNG貯蔵タンク内の圧力上昇を許容して、LNG貯蔵タンク内に蒸発ガスを蓄積する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LNG貯蔵タンク及びこれを用いた蒸発ガス処理方法に関し、更に詳しくは、天然ガスを液状に貯蔵するLNG貯蔵タンク及びこれを用いた蒸発ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、天然ガス(Natural Gas、以下、NGという)は、生産地で極低温に液化された液化天然ガス(Liquefide Natural Gas、以下、LNG)状にされた後、LNG運搬船により目的地まで遠距離輸送された後、LNG浮遊式貯藏及び再気化装置(FSRU、Floating Storage and Regasification Unit)または陸上の荷役ターミナルを経りながら再気化されて消費先に供給される。
【0003】
LNG再気化船(RV, LNG Regasification Vessel)によってLNGが輸送される場合には、LNGがLNG浮遊式貯藏及び再気化装置または陸上の荷役ターミナルを経らなくてLNG再気化船自体で再気化されて消費先に直接供給される。
【0004】
天然ガスの液化温度は、常圧約−163℃の極低温であることから、LNGは、その温度が、常圧−163℃より高いと蒸発してしまう。LNG運搬船の場合を例を挙げて説明すれば、LNG運搬船のLNG貯蔵タンクは断熱処理が施されているものの、外部の熱がLNGに伝達され続き、LNG運搬船によりLNGを輸送する途中で、LNGがLNG貯蔵タンク内で持続的に気化し、LNG貯蔵タンク内に蒸発ガス(Boil-Off Gas)が発生する。
【0005】
このように、LNG貯蔵タンク内に蒸発ガスが発生すると、LNG貯蔵タンクの圧力が上昇し、危険になる。
【0006】
従来では、LNG貯蔵タンクの圧力を安全な状態に維持するため、LNG貯蔵タンクで発生した蒸発ガスをLNG運搬船の推進燃料として使用していた。
【0007】
LNG貯蔵タンクで発生した蒸発ガスをボイラーで燃焼し、発生するスチームにより駆動されるスチームタービン推進方式は、推進効率が低いという問題点があった。
【0008】
また、LNG貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを圧縮し、ディーゼルエンジンの燃料として使用する二元燃料ディーゼル電気推進システム(dual fuel diesel electric propulsion system)は、スチームタービン推進方式に比べて、効率は高くなるが、中速エンジンと電気推進装置が複雑であるため、装備のメンテナンスに苦労する。また、このような方式は、蒸発ガスを燃料として供給しなければならないことから、液体圧縮に比べて、設置費及び運転費の高い気体圧縮方法の適用が余儀なくされる。
【0009】
なお、このように蒸発ガスを推進用燃料として使用する方式は、どんな場合でも一般船舶に使用される2行程(サイクル)の低速ディーゼルエンジンの効率に及ばない
【0010】
一方、LNG貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを再液化し、再びLNG貯蔵タンクに復帰させる方式もある。ところが、このように蒸発ガスを再液化する方式は、LNG運搬船において、複雑なシステムの蒸発ガス再液化装置を設置しなければならないという問題点がある。
【0011】
また、推進装置で燃料として使用できるか、蒸発ガス再液化装置で処理できる量以上の蒸発ガスが発生する場合には、剰余の蒸発ガスをガス燃焼器などで焼却して処理しなければならないので、剰余の蒸発ガスの処理のためのガス燃焼器などの別途の装備がさらに必要となる問題点がある。
【0012】
一方、LNG貯蔵タンクに断熱壁を設けず、LNG貯蔵タンク内で蒸発ガスを200気圧(ゲージ圧)内外の高圧に維持することでLNG貯蔵タンク内の蒸発ガスの発生を抑制する技術が知られている(特許文献1乃至特許文献5)。ところが、このように、LNG貯蔵タンクがその内部に蒸発ガスを200気圧内外の高圧に収容できるためには、LNG貯蔵タンクをかなり分厚くしなければならないので、製造コストが増加するだけではなく、蒸発ガスを200気圧内外の高圧に維持するための高圧ポンプなどの別途の装備が更に必要となる問題点がある。
【特許文献1】韓国特許公開第2001−0014021号
【特許文献2】韓国特許公開2001−0014033号
【特許文献3】韓国特許公開2001−0083920号
【特許文献4】韓国特許公開2001−0082235号
【特許文献5】韓国特許公開2004−0015294号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明は、このような従来の技術の問題点を解決するために案出したものであって、内部で発生した蒸発ガスを別途で処理することなく、内部の圧力を安全な状態に維持することができるように構成したLNG貯蔵タンク及びこれを用いた蒸発ガス処理方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明のLNG貯蔵タンクは、断熱壁を備え、且つ内部で発生する蒸発ガスによる圧力上昇を許容するために、蒸発ガスによる圧力上昇分に耐えられる強度を有するよう設計されている。
【0015】
また、本発明の蒸発ガス処理方法は、LNG貯蔵タンク内に発生する蒸発ガスを処理せず、蒸発ガスの発生によるLNG貯蔵タンク内の圧力上昇を許容して、前記LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク内に蒸発ガスを蓄積する。
【発明の効果】
【0016】
上述したように、本発明によると、LNG運搬船の場合、LNG運搬船の運航時に、蒸発ガスの発生による圧力上昇を許容するよう設計されたLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク内に蒸発ガスを蓄積し、LNG運搬船の目的地への到着時に、荷役ターミナルで前記蓄積された蒸発ガスを処理するように構成されているので、推進システムが任意に選定できるだけではなく、推進システムとLNG貯蔵システムとが独立して、システムの単純化が具現できる。
【0017】
また、本発明によると、LNG運搬船で、従来の蒸発ガス処理のために必要な各種装備(ボイラー/スチームタービン、再液化装置、ガスを使用するエンジン、または燃料供給用圧縮機など)が不要となる。また、推進用装備として最も効率の良いと知られている一般汎用エンジンを使用することができる。
【0018】
また、LNG運搬船で、従来の蒸発ガス処理用エンジンや再液化装置がある場合でも、非常に効率良く使用することができる。特に、LNGの運搬中に発生する蒸発ガスが消耗量より多い場合でも、蒸発ガスを損失することなく保存することができ、経済性及び效率性を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付した図面を参照して本発明に関する望ましい実施形態を詳しく説明する。
【0020】
本発明のLNG貯蔵タンクはLNG運搬船、LNG浮遊式貯藏及び再気化装置(FSRU)、陸上の荷役ターミナル、LNG再気化船(RV)などのLNG貯蔵タンクに適用される。
【0021】
本実施形態では、LNG運搬船に適用されるLNG貯蔵タンクを例にして説明する。
【0022】
図1は、本発明によるLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク内での流入熱量の吸収に関する概念を示すものであって、従来では、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク内の圧力を一定の範囲内で維持することによって、外部からの流入熱がほとんど蒸発ガスの発生に寄与し、また、このように発生した蒸発ガスの全てがLNG運搬船で処理されることに対し、本発明では、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク内の圧力上昇を許容することによって、圧力上昇による飽和温度の上昇により、タンク内のLNG及び天然ガス(Natural Gas、以下、NGという)の顕熱の増加分により殆どの流入熱量が吸収されるので、蒸発ガスの発生が大幅に減少することになる。例えば、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクの圧力が、初期0.06気圧から0.7気圧になると、飽和温度は約6℃上昇する。
【0023】
図2は、本発明の望ましい実施形態によるLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクを概略的に示している。断熱壁が設けられているLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1の場合、正常的にLNGを積載した時、出発の際には、内部の圧力が0.06気圧(ゲージ圧)程度であり、LNG運搬船の運航の間に蒸発ガスが発生し内部の圧力が次第に増加する。例えば、LNG生産地でLNGを積載すると、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1の内部の圧力が0.06気圧になり、LNG運搬船が出発して約15乃至20日間運航してから目的地に到着すると、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1の内部の圧力が0.7気圧にまで上昇する。
【0024】
本発明のLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクは、断熱壁を備え、且つこのような蒸発ガスの発生による圧力上昇を考慮して設計されたものであって、即ち、蒸発ガスの発生による圧力上昇分に耐えられる強度を有するよう設計されたものである。従って、LNG運搬船の運航の間にLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1の内部で発生した蒸発ガスは、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1に蓄積される。
【0025】
例えば、本発明の実施形態によるLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1は、断熱壁を備え、望ましくは、 0.4乃至2気圧(ゲージ圧)の圧力に耐えられるよう設計し、さらに望ましくは、0.6乃至1.5気圧(ゲージ圧)の圧力に耐えられるよう設計する。このような本発明によるLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1は、最初の設計に際し、分厚く設計するか、または既存従来の一般LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクにおいて、構造上の変化を大きくすることなく、単に補強材を追加して適宜に補強をすることだけでも充分実現可能であるので、製作コストの面で経済的である。
【0026】
一方、断熱(放熱)壁を備えている従来の技術によるLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクとしては、以下のように様々なものが知られている。従って、図1では、断熱壁の図示を省略している。
【0027】
まず、LNG運搬船の内部に設置されるLNG貯蔵タンクは、インディペンデント型(Independent Type)とメンブレイン型(Membrane Type)とに分けられる。これは、断熱材に貨物の荷重が直接的に作用するかどうかによる分類であり、その具体的な内容は下の通りである。
【0028】
下記の[表1]において、一名GTT NO 96−2型とGTT Mark III型は、1995年にGaz Transport(GT)社とTechnigaz(TGZ)社が、GTT(Gaztransport&Technigaz)社に改名され、GT型は、GTT NO 96−2型に、TGZ型は、GTT Mark III型に改称されている。
(表 1)
LNG貯蔵タンクの分類

【0029】
上述のGT型及びTGZ型のタンク構造は、米国特許第6,035,795号、米国特許第6,378,722号、米国特許第5,586,513、米国特許公開第2003−0000949号と、韓国特許公開2000−0011347号、韓国特許公開2000−0011346号などに記載されている。
【0030】
韓国特許第499710号及び第0644217号には、他の概念としての断熱壁が開示されている。
【0031】
様々な形態の断熱壁を有するLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクが、従来に開示されているが、これらは、できるだけLNGの気化を抑制するためのものである。
【0032】
上述のように、様々な形態の断熱機能を有するLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクに対して、本発明を適用することが可能である。このようなLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクの殆どは、0.25気圧以下の圧力に耐えられるよう設計されており、0.2気圧以下になるよう蒸発ガスを燃料として消耗するか再液化し、その以上の圧力に到逹すると、安全弁を通して外気に排出する。
【0033】
加えて、本発明によるLNG貯蔵タンクは、温度及び圧力の局所的な上昇を減少させることでLNG貯蔵タンクの圧力を減少させるように構成されたものであって、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクの下部における相対的に低温のLNGを、相対的に高温のLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクの上部に噴射し、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクの上部における相対的に高温の蒸発ガスを、相対的に低温のLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクの下部に噴射して、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクの温度分布を均一に維持させる。
【0034】
図2において、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1の下部には、LNG用ポンプ11と蒸発ガス用噴射ノズル21とが設置されており、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1の上部には、LNG用スプレイ13と蒸発ガス用圧縮機23とが設置されている。LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1の下部における相対的に低温のLNGは、LNG用ポンプ11により上部におけるLNG用スプレイ13に供給されて、相対的に高温のLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1の上部に噴射し、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1の上部の相対的に高温の蒸発ガスは、蒸発ガス用圧縮機23により下部の蒸発ガス用噴射ノズル21に供給されて、相対的に低温のLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1の下部に噴射して、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1の温度分布を均一に維持させることによって、蒸発ガスの発生量を減らすことができる。
【0035】
また、LNGを生産する生産ターミナルでLNGを過冷状態にしてLNG運搬船に船積すると、運送中に発生する蒸発ガス(圧力上昇)をさらに減らすことができる。生産ターミナルでLNGを過冷状態にして積載すると、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクの圧力が負圧(0気圧以下)になることがあるが、これを防止するために窒素を充填することができる。
【0036】
以上のようなLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクを用いて、蒸発ガスを処理する方法を説明すると、次の通りである。
【0037】
LNG運搬船の運航時に、本発明によるLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1は、蒸発ガスを処理せずに、これによるタンク内部の圧力上昇を許容することによって、これによるタンク内部の温度上昇による殆どの熱流入量をタンク内部のLNG及びNGの上昇された熱エネルギーとして蓄積し、LNG運搬船が目的地に到着すると、荷役ターミナルでLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1に蓄積されている蒸発ガスを処理する。
【0038】
図3は、本発明の望ましい実施形態によるLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクを用いて、荷役ターミナルで蒸発ガスを処理するための構成を概略的に示している。
【0039】
荷役ターミナルには、複数の荷役ターミナル用のLNG貯蔵タンク2と多段圧縮機3と再凝縮器4と気化器5とが設置されている。
【0040】
発生した蒸発ガスは、荷役ターミナルで多段圧縮機3により多段に圧縮され、消費者に供給される。ここで、一つの圧縮機3により圧縮された蒸発ガスは、再凝縮器4で再凝縮され、さらに気化器5で気化されて、消費者に供給されることもある。
【0041】
荷役ターミナルにおいて、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクから荷役ターミナル用のLNG貯蔵タンクへのLNGの荷役時、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクの圧力が荷役ターミナル用のLNG貯蔵タンクの圧力より大きいので、荷役ターミナル用のLNG貯蔵タンク内に圧力の高いLNGが流入されると、蒸発ガスがさらに発生する。これを最小化するために、LNG運搬船のLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクからLNGを荷役ターミナルの高圧送出ポンプの入口に直接連結して、供給先に供給する方案がある。
【0042】
LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1に貯蔵されているLNGは、荷役ターミナルの荷役ターミナル用のLNG貯蔵タンク2に供給されず、再凝縮器4に供給されて蒸発ガスを再凝縮した後、気化器5で気化され、消費者に直接供給される。
【0043】
一方、荷役ターミナルに再凝縮器が設置されていない場合には、LNGを高圧ポンプ(P)の吸入口に直接供給することもできる。
【0044】
上述したように、荷役ターミナルに荷役ターミナル用の貯蔵タンク2を複数個設置した場合、LNG運搬船のLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク1からLNGを複数の荷役ターミナル用の貯蔵タンク2に均等分配して荷役すると、蒸発ガスの発生が荷役ターミナルの複数のLNG貯蔵タンク2に分散し、それぞれのLNG貯蔵タンク2ら内での蒸発ガスの発生による影響が最小化されるので、蒸発ガスを荷役ターミナルのそれぞれのLNG貯蔵タンク2自体内で処理することができる。
【0045】
また、本発明によると、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクが、従来の設計圧力以上で運転されるので、LNGの荷役時において、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク内にフラッシュガス(flash gas)が発生することを防止するようにLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク内の圧力を維持するために、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク内に蒸発ガスまたはNGを満たす過程が不要となる。また、貯蔵圧力が本発明のLNG運搬船用の貯蔵タンクの圧力に対応するように、従来のLNGターミナル用の貯蔵タンクまたはLNG浮遊式貯藏及び再気化装置(FSRU)用の貯蔵タンクを改造するか、新規のLNGターミナル用の貯蔵タンクまたはLNG浮遊式貯藏及び再気化装置(FSRU)用の貯蔵タンクを建設することになると、LNG運搬船からLNGを荷役する時、蒸発ガスがさらに生成されることがないので、従来の荷役方法をそのまま適用しても問題がない。
【0046】
また、従来の運転方法は、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクの圧力を低下するために、発生する蒸発ガスの全量を消耗するか再液化する方法であったが、本発明によると、蒸発ガスの一定の部分のみを消耗するか再液化して、LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクの圧力を維持することができるので、蒸発ガスを推進燃料として使用するか再液化するよう構成されたLNG運搬船も本発明を適用することが可能である。
【0047】
本発明によると、LNG運送の際において、LNG貯蔵タンクに対する圧力の制約が小くなり、蒸発ガス処理の装備の有無及び選定に柔軟性が大きくなるので、本発明の適用を蒸発ガス処理の装備を設けずに運航することに限定しない。
【0048】
本発明によると、LNG浮遊式貯藏及び再気化装置(FSRU)の場合、蒸発ガスの管理柔軟性が大きくなるので再凝縮装置の設置が不必要であるだ。
【0049】
本発明によると、LNG再気化船(RV)の場合、上述したLNG運搬船及びLNG浮遊式貯藏及び再気化装置(FSRU)の長所を全て持つことができる。.
【0050】
以上、本発明を特定の実施形態を中心に説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨及び添付の特許請求の範囲から逸脱することなくさまざまな改良、変更、又は修正などを行うことができ、従って、上述した説明及び図面は、本発明の技術的思想を限定するものではなく、本発明を例示するものと理解すべきであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の望ましい実施形態によるLNG運搬船用のLNG貯蔵タンク内での流入熱量の吸収に関する概念を示す図である。
【図2】本発明の望ましい実施形態によるLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクを概略的に示す図である。
【図3】本発明の望ましい実施形態によるLNG運搬船用のLNG貯蔵タンクを用いて、荷役ターミナルで蒸発ガスを処理するための構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク
2 荷役ターミナル用の貯蔵タンク
3 圧縮機
4 再凝縮器
5 気化器
P 高圧ポンプ
11 LNG用ポンプ
13 LNG用スプレイ
21 蒸発ガス用噴射ノズル
23 蒸発ガス用圧縮機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱壁を備え、且つ内部で発生する蒸発ガスによる圧力上昇を許容するために、蒸発ガスによる圧力上昇分に耐えられる強度を有するよう設計されたことを特徴とするLNG貯蔵タンク。
【請求項2】
0.3乃至2気圧(ゲージ圧)の圧力に耐えられるよう設計されたことを特徴とする請求項1に記載のLNG貯蔵タンク。
【請求項3】
0.6乃至1.5気圧(ゲージ圧)の圧力に耐えられるよう設計されたことを特徴とする請求項1に記載のLNG貯蔵タンク。
【請求項4】
一般LNG貯蔵タンクに補強材を追加して製作されたことを特徴とする請求項1に記載のLNG貯蔵タンク。
【請求項5】
内部の温度分布を均一に維持させることを特徴とする請求項1に記載のLNG貯蔵タンク。
【請求項6】
LNG貯蔵タンクの下部における相対的に低温のLNGを、相対的に高温のLNG貯蔵タンクの上部に噴射し、LNG貯蔵タンクの上部における相対的に高温の蒸発ガスを、相対的に低温のLNG貯蔵タンクの下部に噴射するよう構成されたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のLNG貯蔵タンク。
【請求項7】
LNG貯蔵タンクの下部へ蒸発ガスを噴射するための蒸発ガス用圧縮機及び蒸発ガス用噴射ノズルと、LNG貯蔵タンクの上部へLNGを噴射するためのLNG用ポンプ及びLNG用スプレイとを含むことを特徴とする請求項6に記載のLNG貯蔵タンク。
【請求項8】
前記LNG貯蔵タンクはLNG運搬船、LNG浮遊式貯藏及び再気化装置(FSRU)、陸上の荷役ターミナルまたはLNG再気化船(RV)などのLNG貯蔵タンクに適用されることを特徴とする請求項1に記載のLNG貯蔵タンク。
【請求項9】
LNG貯蔵タンク内に発生する蒸発ガスを処理せず、蒸発ガスの発生によるLNG貯蔵タンク内の圧力上昇を許容して、LNG貯蔵タンク内に蒸発ガスを蓄積することを特徴とする蒸発ガス処理方法。
【請求項10】
LNG貯蔵タンク内に発生する蒸発ガスを処理せず、LNG貯蔵タンクへの熱流入量の殆んどが、LNG貯蔵タンクの内部のLNG及びNGの上昇された熱エネルギーとして蓄積されることを許容し、前記LNG運搬船用のLNG貯蔵タンク内に蒸発ガスを蓄積することを特徴とする蒸発ガス処理方法。
【請求項11】
前記LNG貯蔵タンクは、内部圧力が0.3乃至2気圧(ゲージ圧)になることを許容することを特徴とする請求項9に記載の蒸発ガス処理方法。
【請求項12】
前記LNG貯蔵タンクは、内部圧力が0.6乃至1.5気圧(ゲージ圧)になることを許容することを特徴とする請求項9に記載の蒸発ガス処理方法。
【請求項13】
前記LNG貯蔵タンクの内部の温度分布を均一に維持させることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の蒸発ガス処理方法。
【請求項14】
前記LNG貯蔵タンクはLNG運搬船、LNG浮遊式貯藏及び再気化装置(FSRU)、陸上の荷役ターミナルまたはLNG再気化船(RV)のLNG貯蔵タンクに適用されることを特徴とする請求項9に記載の蒸発ガス処理方法。
【請求項15】
LNG運搬船の目的地への到着時に、前記LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクに蓄積された蒸発ガスを荷役ターミナルで処理することを特徴とする請求項8または請求項14に記載の蒸発ガス処理方法。
【請求項16】
前記LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクに蓄積された蒸発ガスを前記荷役ターミナルで多段に圧縮してから消費者に供給することを特徴とする請求項15に記載の蒸発ガス処理方法。
【請求項17】
前記LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクに蓄積された蒸発ガスを前記荷役ターミナルで圧縮してから再凝縮し、さらに気化して消費者に供給することを特徴とする請求項15に記載の蒸発ガス処理方法。
【請求項18】
前記LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクに貯蔵されたLNGを前記荷役ターミナルの荷役ターミナル用の再凝縮器の入口または高圧送出ポンプの吸入側に直接供給し、気化器で気化して、消費者に直接供給することを特徴とする請求項15に記載の蒸発ガス処理方法。
【請求項19】
前記LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクのLNGを複数の荷役ターミナル用のLNG貯蔵タンクに均等分配して、前記複数の荷役ターミナル用のLNG貯蔵タンクを通した後、荷役ターミナル用の再凝縮器の入口または高圧送出ポンプの吸入側に供給し、気化器で気化して、消費者に直接供給することを特徴とする請求項15に記載の蒸発ガス処理方法。
【請求項20】
前記荷役ターミナル用のLNG貯蔵タンク、LNG浮遊式貯藏及び再気化装置(FSRU)、 LNG再気化船(RV)を、その貯蔵圧力が前記LNG運搬船用のLNG貯蔵タンクの貯蔵圧力に対応するよう形成することを特徴とする請求項14に記載の蒸発ガス処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−196682(P2008−196682A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105760(P2007−105760)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(507123523)デウ シップビルディング アンド マリーン エンジニアリング カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】