説明

MBR+ROシステムの構造および運転方法。

【課題】MBR装置とその後段にあるRO膜からなる水処理方法、及び水処理装置を提供する。
【解決手段】被処理水12を曝気しつつ間欠的にろ過して得られる処理水14を貯水し、貯水された前記処理水14をRO膜26に供給してろ過する水処理方法であって、前記被処理水12のろ過を間欠停止したのち貯水された前記処理水14を前記RO膜26を経由して循環させ、前記被処理水12のろ過を間欠開始したのち前記処理水14をろ過してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水の処理方法及び処理装置に係り、特に間欠的に駆動するMBR装置の後段にあるRO膜に対する処理水の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の活性汚泥法は最初沈殿池、反応タンク、最終沈殿池、塩素接触タンクを有す標準活性汚泥法が主であった。この標準活性汚泥法に膜分離技術を適用した水処理方式が膜分離活性汚泥法(Memblane Bioreactor;MBR)であり、最終沈殿池、や塩素接触タンクが省略可能となるばかりでなく、処理水の再利用等に適応した処理水を確保できた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−44612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、MBR装置は連続運転を基本とした運転方式であり、民間排水等では排水を連続で確保することが難しい場合が多い。このため、後段に設置するRO膜に処理水を連続供給することができないため、MBR装置の停止時にRO膜に微生物が発生することで、処理水側(入口)と二次処理水側(出口)の差圧が上昇し、膜の薬品洗浄を定期的に行う必要性、及び膜の寿命が短くなる等の問題を抱えていた。
【0004】
また、MBR装置が停止すると、RO膜の膜透過の指標となるFI値(ファウリングインデックス)が上昇する現象が確認されている。このため、MBR装置が運転すると、FI値の高い処理水がRO膜に流入するという新たな問題も確認されている。
【0005】
そこで本発明は上記問題点に注目し、RO膜の処理水側と二次処理水側の差圧を抑制し、かつFI値の上昇を抑制した処理水をRO膜に供給するMBR装置とRO膜からなる水処理方法、及び水処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る水処理方法は、第1には、被処理水を曝気しつつ間欠的にろ過して得られる処理水を貯水し、貯水された前記処理水をRO膜に供給してろ過する水処理方法であって、前記被処理水のろ過を間欠停止したのち貯水された前記処理水を前記RO膜を経由して循環させ、前記被処理水のろ過を間欠開始したのち前記処理水をろ過することを特徴としている。
【0007】
第2には、被処理水を曝気しつつ間欠的にろ過して得られる処理水を貯水し、貯水された前記処理水をRO膜に供給してろ過する水処理方法であって、前記処理水のろ過により貯水された前記処理水の水位が低くなった場合は前記処理水を前記RO膜を経由して循環させ、前記被処理水のろ過を間欠開始して貯水された前記処理水の水位が高くなった場合は、前記処理水をろ過することを特徴としている。
【0008】
第3には、前記被処理水の曝気量は、前記被処理水の溶存酸素濃度が高くなった場合には低くし、前記溶存酸素濃度が低くなった場合には元に戻すことを特徴としている。
【0009】
第4には、前記処理水の前記RO膜への流量は、前記処理水の循環時において低下させ、前記処理水のろ過時において元に戻すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水処理方法。
第5には、前記処理水の循環時に前記処理水がろ過されて得られる副二次処理水は、前記処理水に戻すことを特徴としている。
【0010】
一方、本発明に係る水処理装置は、第1には、被処理水を間欠的にろ過して処理水を排出するMBR装置と、前記被処理水を曝気する曝気手段と、前記処理水をろ過して濃縮水と二次処理水とに分離するRO膜と、前記処理水を貯水する貯水槽と、貯水された前記処理水を前記RO膜に供給するポンプと、一端が前記RO膜の濃縮水排出側に接続され、切り替え端が前記濃縮水を排出する第1経路と、貯水された前記処理水を前記RO膜を経由して循環させる第2経路とにそれぞれ接続され、前記第1経路及び前記第2経路とを相互に切り替え可能な三方弁と、前記被処理水のろ過を間欠停止したのち前記三方弁を前記第2経路側に切り替え制御し、前記被処理水のろ過を間欠開始したのち前記三方弁を第1経路側に切り替え制御する制御手段と、を有することを特徴としている。
【0011】
第2には、被処理水を間欠的にろ過して処理水を排出するMBR装置と、被処理水を曝気する曝気手段と、前記処理水を貯水する貯水層と、前記処理水をろ過して濃縮液と二次処理水とに分離するRO膜と、貯水された前記一次処理水を前記RO膜に供給するポンプと、一端が前記RO膜の濃縮液排出側に接続され、切り替え端が前記濃縮水を排出する第1経路と、貯水された前記処理水を前記RO膜を経由して循環させる第2経路とにそれぞれ接続され、前記第1経路及び前記第2経路とを相互に切り替え可能な三方弁と、前記処理水のろ過により前記貯水槽の水位が低くなった場合に前記三方弁を前記第2経路側に切り替え制御し、前記循環により前記貯水槽の水位が高くなった場合に前記三方弁を第1経路側に切り替え制御する制御手段と、を有することを特徴としている。
【0012】
第3には、前記MBR装置には、前記被処理水の溶存酸素濃度を測定するDOメータが配設されるとともに、前記制御手段は、前記DOメータに接続され、溶存酸素濃度が高くなった場合には前記曝気装置の出力を低下させ、前記溶存酸素濃度が低くなった場合には前記曝気装置の出力を元に戻す制御を行うことを特徴としている。
【0013】
第4には、前記制御手段は、前記ポンプに接続されるとともに、前記制御手段は、前記被処理水のろ過を間欠停止したのち前記ポンプの出力を低下させ、前記被処理水のろ過を間欠開始したのち前記ポンプの出力を元に戻す制御を行うことを特徴としている。
【0014】
第5には、前記RO膜の二次処理水排出側には、一端が前記二次処理水排出側に接続され、切り替え端が前記二次処理水を排出する第3経路と前記第2経路に接続する分岐経路とにそれぞれ接続され、前記第3経路及び前記分岐経路とを相互に切り替え可能な第2三方弁が配設されるとともに、前記制御手段は、前記三方弁の第2経路側への切り替え時に前記第2三方弁を前記分岐経路側に切り替え制御し、前記三方弁の第1経路への切り替え時に第2三方弁を第3経路側に切り替え制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る水処理方法、及び水処理装置によれば、MBR装置において被処理水のろ過が停止した場合に、すでに貯水された処理水をRO膜を経由して循環させるので、RO膜の表面は処理水によるフラッシングが行われるため、RO膜の膜洗浄を行うことができ、FI値の上昇を抑制することができる。
【0016】
MBR装置で被処理水をろ過して得られる処理水の流量よりも、RO膜へ供給される処理水の流量が多いため、RO膜により処理水をろ過し続けると処理水が枯渇し、RO膜の膜表面に残留する処理水において微生物の繁殖等によりRO膜が目詰まりを起こし、結果的にFI値を上昇させることとなる。しかし本発明によれば、処理水を貯水する貯水槽の水位に応じて処理水をろ過する工程と、貯水された処理水をRO膜を経由して循環させる工程とに切り替え可能であるため、RO膜に供給される処理水の枯渇を防止してFI値の上昇を抑制することができる。
【0017】
MBR装置の被処理水のろ過が停止している間は、被処理水は曝気装置による曝気のみ行われている。この曝気によりMBR装置内の被処理水の溶存酸素濃度が上昇するため、前記被処理水のろ過が再開されたのちの処理水の溶存酸素濃度は高くなり、これによりRO膜の膜面に微生物が繁殖しやすい状況等が発生し、結果的にFI値が上昇することを発明者は見出した。しかし、本発明によれば、被処理水の溶存酸素濃度が高くなった場合は、曝気の出力を低下させ、溶存酸素濃度が低くなった場合には曝気の出力を元に戻すので、曝気によるMBR装置のMF膜の物理洗浄を阻害することを防止しつつ、被処理水及び処理水の溶存酸素濃度の上昇を抑制してFI値の上昇を抑制することができる。
【0018】
処理水をRO膜の膜面において加圧されてろ過することにより、RO膜を透過しない濃縮水とRO膜を透過する二次処理水とに分離されるが、処理水の加圧を解除してもRO膜において副二次処理水がろ過される場合があり、このとき処理水を上述のように循環させても処理水が貯水される処理槽の水位が低下する。しかし本発明によれば、上述次処理水の循環時において前記処理水の供給量を低下させるため、副二次処理水のろ過される量を抑制し、処理槽の水位の低下を抑制することができ、さらにろ過される副二次処理水を処理水の循環経路に戻すことで、処理水の循環時における処理水のロスをなくし、RO膜を経由して循環する処理水の枯渇を防止してFI値の上昇を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0020】
図1に本実施形態に係る水処理装置の概略図を示す。本実施形態にかかる水処理方法は、被処理水12を曝気しつつ間欠的にろ過して得られる処理水14を貯水し、貯水された前記処理水14をRO膜26に供給してろ過する水処理方法であって、前記被処理水12のろ過を間欠停止したのち貯水された前記処理水14を前記RO膜26を経由して循環させ、前記被処理水12のろ過を間欠開始したのち前記処理水14をろ過するものであり、これを具現化する本実施形態に係る水処理装置10は、被処理水12を間欠的にろ過して処理水14を排出するMBR装置16と、前記被処理水12を曝気する曝気手段である曝気装置18と、前記処理水14を貯水する貯水槽20と、貯水された前記処理水14をろ過して濃縮水22と二次処理水24とに分離するRO膜26と、貯水された前記処理水14を前記RO膜26に供給するポンプであるROポンプ28と、一端が前記RO膜26の濃縮水排出側に接続され、切り替え端が前記濃縮水22を排出する第1経路30と、貯水された前記処理水14を前記RO膜26を経由して循環させる第2経路32とにそれぞれ接続され、前記第1経路20及び前記第2経路32とを相互に切り替え可能な三方弁34と、前記被処理水12のろ過を間欠停止したのち前記三方弁34を前記第2経路32側に切り替え制御し、前記被処理水12のろ過を間欠開始したのち前記三方弁34を第1経路30側に切り替え制御する制御手段である制御回路36と、を有する構成である。
【0021】
また本実施形態に係る水処理方法は、前記処理水14のろ過により前記処理水14の水位が低くなった場合は前記処理水14を前記RO膜26を経由して循環させ、前記被処理水12のろ過を間欠開始して水位が高くなった場合は、前記処理水14をろ過するものであり、これを具現化する本実施形態に係る水処理装置10は、一端が前記RO膜26の濃縮液排出側に接続され、切り替え端が前記濃縮水22を排出する第1経路30と、貯水された前記処理水14を前記RO膜26を経由して循環させる第2経路30とにそれぞれ接続され、前記第1経路30及び前記第2経路32とを相互に切り替え可能な三方弁34と、前記処理水14のろ過により前記貯水槽20の水位が低くなった場合に前記三方弁34を前記第2経路32側に切り替え制御し、前記循環により前記貯水槽20の水位が高くなった場合に前記三方弁34を第1経路30側に切り替え制御する制御手段である制御回路36と、を有する構成である。
【0022】
MBR装置16は排水等の被処理水12に対して微生物による硝化処理及び脱窒処理を行い、前記被処理水12をろ過して処理水14を排出するものである。MBR装置16は嫌気槽38と好気槽40とに仕切られた処理槽42と、前記嫌気槽40に外部から被処理水12を導入する調整槽44と、好気槽40内に配設され被処理水12をろ過して処理水14を固液分離するMF膜46と、好気槽40において被処理水12を好気処理するとともにMF膜46の物理洗浄を行う曝気手段である曝気装置18と、MF膜46の後段に配設され、MF膜46の処理水排出側から吸引して固液分離された処理水14を排出するMBR処理水ポンプ48と、好気槽40にある被処理水12を嫌気槽38に供給する供給ポンプ50とから構成されている。
【0023】
調整槽44は処理槽42の嫌気槽38に被処理水12を供給するために一時的に蓄えておくものであり、調整ポンプ52により固形物等を固液分離する微細目スクリーン54を経由して嫌気槽38に被処理水12を供給している。また調整槽44には被処理水12の水位を測定する第1水位計56が配設され、後述の制御回路36の入力端子に接続されている。第1水位計56は被処理水12の水位が調整槽44において最も低い水位L1と、最も高い水位H1を感知するセンサよって形成されているため、第1水位計56は調整槽44における被処理水12の水位がL1以下の場合(水位L1として検知)、H1以上(水位H1として検知)であることを識別可能であり、水位L1、水位H1のいずれかに係る調整槽水位データを後述の制御回路36の入力端子に出力することができる。
【0024】
MF膜46は孔径がミクロンオーダーで被処理水12中に含まれる懸濁質やコロイド粒子を固液分離する精密ろ過膜である。またMF膜46の下部にある嫌気槽内には曝気手段である曝気装置18が配設され、被処理水12中でMF膜46に目掛けて気泡を排出する排出口18aを有する配管18bと、前記配管48bに空気を供給するブロワ18cにより構成されている。よって曝気装置18による気泡の放出量の制御はブロワ18cの出力を制御することにより行われ、その制御は後述の制御回路36からの出力電流を調整することにより行われる。
【0025】
MBR装置16はMF膜46の物理洗浄を促すため定期的な間隔でMBR処理水ポンプ48を停止しMF膜46の曝気を行っている。よって曝気された被処理水12はこの間はろ過されないので結果的に被処理水12中の溶存酸素濃度は上昇することになる。しかし曝気装置18は後述の制御回路36からの出力電流の調整によりMBR処理水ポンプ48の停止時にはその出力(気泡の放出量)を低下させることができるため、MF膜46の物理洗浄をするととともに、溶存酸素濃度の上昇を抑制することができる。
【0026】
また処理槽42には被処理水12の水位を計測する第2水位計58が配設され、これが後述の制御回路36の入力端子に接続されている。また第2水位計58は処理槽42において最も低い水位L2、最も高い水位H2を感知するセンサによって形成されているため、処理槽42における被処理水12の水位がL2以下(水位L2として検知)、L2とH2との間(水位M2として検知)、H2以上(水位H2として検知)であることを識別可能であり、水位L2、水位M2、水位H2のいずれかに係る処理槽水位データを後述の制御回路36の入力端子に出力することができる。なお水位L2はMF膜の上端と同じ高さ、もしくはそれ以上の高さに設定しておく(図1参照)。これによりMF膜46が水面から露出し、膜面から空気を吸い込むことによるMF膜46及びMBR処理水ポンプ48の破損を防止することができる。
【0027】
さらに好気槽40には被処理水12の溶存酸素濃度を測定するDOメータ60が配設され、DOメータ60は後述の制御回路36の入力端子に接続され、溶存酸素濃度データを制御回路36の入力端子に出力することができる。
【0028】
貯水層20はMBR装置16から排出された処理水14を貯水するものであり、貯水槽20には第3水位計62が配設されている。第3水位計62は最も低い水位L3、最も高い水位H3を感知するセンサによって形成されているため、処理水14の水位がL3以下(水位L3として検知)、H3以上(水位H3として検知)であることを識別可能であり、水位L3、水位H3のいずれかに係る貯水槽水位データを後述の制御回路36の入力端子に出力することができる。よって後述の制御回路36は第3水位計62による水位に基づいて、貯水された処理水14をRO膜26においてろ過するか、RO膜26を経由して循環させるか、の判断を行うことができる。
【0029】
貯水槽20とRO膜26との間に介装されたポンプであるROポンプ28は、貯水槽20に貯水された処理水14を一定の流量(一定の圧力)でRO膜26に供給することができる。またROポンプ28の後段にはROポンプ28が供給する処理水14の圧力を測定する圧力計64が配設され、圧力計64は制御回路36の入力端子に接続されている。よって後述の制御回路36は圧力計64で測定された圧力をもとに出力電流を調整してRO膜26へ供給する処理水14の流量(圧力)を調整することができる。
【0030】
RO膜26は水を通しイオンや塩類など水以外の不純物は透過しない性質をもつ逆浸透膜である。RO膜26は一定の圧力に耐えうる中空の筐体(不図示)の内部を2つの領域に仕切るように配設され、筐体(不図示)の一方の領域(不図示)には処理水導入口66、濃縮水排出口68が形成され、他方の領域(不図示)には二次処理水排出口70が形成されている。また濃縮水排出口68側には筐体(不図示)内に導入された処理水14の圧力を一定に保つ背圧弁72が配設されている。よって処理水14は背圧弁72により設定された設定圧力を有して筐体(不図示)内に導入され、設定圧力から処理水14に含まれる溶質の浸透圧を減じて得られる透過圧により、処理水14はRO膜26を透過しない濃縮水22とRO膜26を透過する二次処理水24とに分離される。また背圧弁72は三方弁34の切り替えと連動させ、三方弁34が第2経路32側に切り替え制御されるときに設定圧力を解除するように構成する。これにより処理水14に掛かる圧力を低下させ、濃縮水22と二次処理水24とに分離せず、RO膜26の膜面に処理水14を高速で流してフラッシングを行い、膜面の洗浄を行うことができる。
【0031】
RO膜26の濃縮水排出口68側の後段には三方弁34が配設されている。三方弁34は一端が前記RO膜26の濃縮水排出口68側の後段に接続され、切り替え端が濃縮水22を系外へ排出する第1経路30と、貯水された処理水14を前記RO膜26を経由して循環させるフラッシングラインである第2経路32とにそれぞれ接続され、第1経路30及び第2経路32とを相互に切り替え可能である。三方弁34の切り替えは後述の制御回路36により行うことができる。第1経路30は濃縮水22を系外に排出する配管であるが、第2経路32は三方弁34と貯水槽20とを接続する配管であり、三方弁34に流れてきた処理水14を貯水槽20に導くものである。これにより処理水14は貯水槽20とRO膜26を経由した循環が可能となる。また第2経路32は途中で分岐経路74が配設され、分岐管74は後述の第2三方弁76に接続される。
【0032】
処理水14をRO膜26に対して加圧してろ過することにより、処理水14はRO膜26を透過しない濃縮液22とRO膜26を透過する二次処理水24とに分離されるが、加圧を行わない場合であってもRO膜26の種類によっては処理水14をろ過して副二次処理水78が分離されることがある。よって、処理水14の循環時に前記処理水14がろ過されて分離される副二次処理水78を前記処理水14に戻すため、RO膜26の二次処理水排出口70側の後段には第2三方弁76が配設されている。第2三方弁76は一端がRO膜26の二次処理水排出口70側の後段に接続され、切り替え端が二次処理水24を系外に排出する第3経路80と、第2経路32に合流する分岐経路74とにそれぞれ接続されているため、第2経路32及び第3経路80とを相互に切り替え可能である。第2三方弁76の切り替えは三方弁34に連動させて行うことができる。すなわち、三方弁34の第2経路32側への切り替え時に第2三方弁76を第2経路32側に切り替え制御し、前記三方弁34の第1経路30への切り替え時に第2三方弁76を第3経路80側に切り替え制御すればよい。よって第2三方弁76の切り替えにより副二次処理水78は処理水14に戻すことが可能となり、貯水槽20の水位の低下を防止することができる。
【0033】
図2に制御回路の概略図を示す。制御回路36は、調整槽44の水位、処理槽42の水位、被処理水12の溶存酸素濃度、貯水層20の水位、及びRO膜26に供給される処理水14の圧力を把握して、調整ポンプ52、MBR処理水ポンプ48、曝気装置18、ROポンプ28、三方弁34を適宜制御するものである。制御回路36の入力端子として、調整槽44の水位を識別する第1水位計56に接続された調整槽水位データ入力端子36a、処理槽42に配設された被処理水12の水位を識別する第2水位計58に接続された処理槽水位データ入力端子36b、被処理水12の溶存酸素濃度を測定するDOメータ60に接続された溶存酸素濃度データ入力端子36c、貯水槽20の水位を識別する第3水位計62に接続された貯水槽水位データ入力端子36d、及び被処理水12の圧力を測定する圧力計64に接続された圧力データ入力端子36eが配設されている。一方、制御回路36の出力端子としては、調整ポンプ52に接続して駆動させる調整ポンプ駆動端子36f、MBR処理水ポンプ48に接続して駆動させるMBR処理水ポンプ駆動端子36g、曝気装置18(ブロワ18c)に接続して駆動させる曝気装置駆動端子36h、ROポンプ28に接続して駆動させるROポンプ駆動端子36i、三方弁34に接続して切り替え駆動させる三方弁駆動端子36jが配設されている。各駆動機器は出力電流を停止させると駆動が停止し、三方弁34は出力電流を停止するとそれぞれ第1経路側に切り替わるものとする。
【0034】
ここで制御回路36は、調整槽44において第1水位計56が識別する水位L1、水位H1をそれぞれ示す調整槽水位データと同一内容の識別データを有し、入力端子から入力された調整槽水位データと照合し、水位L1を示す調整槽水位データと内容が一致する場合は調整ポンプ52の出力電流を停止し、水位H1を示す調整槽水位データと内容が一致する場合は調整用ポンプ52に出力電流を出力する。このとき後述のフローにより処理槽水位データは水位H1を示しておらず、処理槽42は満水とはなっていないので被処理水12が処理槽42から溢れることはない。
【0035】
また制御回路36は、処理槽42において第2水位計58が識別する水位L2、水位M2、及び水位H2をそれぞれ示す処理槽水位データと同一内容の識別データを有し、入力端子から入力された処理槽水位データと照合し、水位L2を示す処理槽水位データと内容が一致する場合は調整ポンプ52を駆動させる出力電流を出力し、MBR処理水ポンプ50への出力電流を停止し、水位M2を示す処理槽水位データと内容が一致する場合は調整ポンプ52及びMBR処理水ポンプ48を駆動させる出力電流を出力し、水位H2を示す処理槽水位データと内容が一致する場合は調整ポンプ52への出力電流を停止させるとともに、MBR処理水ポンプ48を駆動させる出力電流を出力する。
【0036】
さらに制御回路36は、貯水槽20において第3水位計62が識別する水位L3、水位H3をそれぞれ示す貯水槽水位データと同一内容の識別データを有し、入力端子から入力された貯水槽水位データと照合し、水位L3を示す貯水槽水位データと内容が一致する場合は三方弁34を第2経路32側に制御する出力電流を出力し、水位H3を示す貯水槽水位データと内容が一致する場合は三方弁34への出力電流を停止する。
【0037】
本実施形態において、処理水14のRO膜26への流量は、処理水14の循環時において低下させ、処理水のろ過時において元に戻す構成を有している。よって、制御回路36は曝気装置18及びROポンプ28をそれぞれ停止状態から一定の出力の範囲で可変させて駆動させる出力電流が出力可能である。このとき出力電流を停止すると各駆動装置の駆動は停止し、最大にすると最大出力になる応答をするものとする。また制御回路36は適正溶存酸素濃度範囲を示すデータを有し、入力端子から入力される溶存酸素濃度データと比較して、前記溶存酸素濃度データが適正溶存酸素濃度範囲より高い場合は、曝気装置18への出力電流を低下させ、逆に低くなった場合には曝気装置18への出力電流を増加させる調整を行う。ここで適正溶存酸素濃度範囲とは、曝気装置18から放出され、MF膜46を物理洗浄するのに最低限必要な量の気泡によって被処理12水に溶け出した溶存酸素濃度を下限とし、後段のRO膜26のFI値を上昇させない溶存酸素濃度の最大値を上限とするものである。
【0038】
制御回路36は三方弁34を第2経路32側に切り替える出力電流を出力するときは、ROポンプ28への出力電流を調整し、三方弁34への出力電流を停止するときは、ROポンプ28へ所定の出力電流を出力する。ここで、三方弁34及びこれに連動する第2三方弁76が切り替わるには一定の時間を有するため、三方弁34及び第2三方弁76が切り替わる前にROポンプ28への出力電流を停止して一定時間後にROポンプ28へ所定の出力電流または調整された出力電流を出力している。これにより切り替え時の三方弁34及び第2三方弁76に処理水14からの圧力等の負荷がかからないようにしている。また制御回路36は処理水14の第2経路32の循環時の所定圧力を示すデータを有している。よって制御回路36は圧力計64から入力された圧力データに基づいて上記ROポンプ28の流量(圧力)を調整して、処理水14が循環時の所定圧力以下となるように出力電流を調整することができる。
【0039】
制御回路36はタイマーが内蔵されMBR処理水ポンプ48の駆動を一定の間欠運転時間(18分)及び間欠停止時間(2分)のもとで間欠的に運転・停止させることができる。間欠停止時間は通常2分であるが、制御回路に接続された変更回路(不図示)を手動操作により駆動させて間欠停止時間を変更させることができる(例えば3時間)。そして制御回路36はMBR処理水ポンプ48の駆動の停止・開始の時間間隔より充分短い時間間隔のクロック周波数をベースとして内蔵されたシーケンスに従って各入力端子からのデータを適宜取得し、各データの組み合わせにより各出力端子への出力電流を適宜制御している。
【0040】
上記識別データ、溶存酸素濃度範囲を示すデータ、及び循環時の所定圧力を示すデータは一定の規則に従って掛け合わされてひとつの複合データが構築されて制御回路36に内蔵されたメモリ(不図示)に書き込まれ、制御回路36は前記メモリ(不図示)から前記複合データを読み出して各データを解読するものとする。
【0041】
以上の構成のもと、本実施形態に係る水処理方法、及び水処理装置の動作フローについて説明する。まずは被処理水のろ過のフローを説明する。図3に被処理水のろ過のフロー図を示す。制御回路36に電源(不図示)を投入する。すると制御回路36はメモリ(不図示)に格納された複合データを読み出してデータを解読し、制御回路36により制御される各機器の駆動条件を取得する。そして入力された各機器からのデータを制御回路に内蔵されたシーケンスに従って取得し、メモリに格納された識別データ等と所定の入力端子から入力されたデータの内容を照合して、前記データに一致する識別データ等に付随する出力電流を出力している。そして制御回路36は調整ポンプ52、供給ポンプ50、MBR処理水ポンプ48、及びROポンプ28を所定の出力でON(駆動)するとともに(工程1)、入力端子から処理槽水位データを取得し、これが水位M2を示す場合はMBR処理水ポンプ48のONを維持し同時にタイマーを駆動させMBR処理水ポンプ48を間欠運転し(工程1)タイマーが間欠停止となったらMBR処理水ポンプ48をOFFとする(工程7)。また水位H2を示す場合はMBR処理水ポンプ48のONを維持し調整ポンプ52をOFF(駆動停止)とする(工程2、工程5)。そして処理槽水位データが水位L2となるまでこの状態を維持し(工程3)、調整槽水位データが水位L1となるまで調整槽水位データを取得しつづける(工程4)。調整槽水位データが水位L1となったら調整ポンプ52をOFFとし(工程5)、処理槽水位データが水位L2となるまでこの状態を維持し(工程6)、処理槽水位データが水位L2となったらMBR処理水ポンプ48をOFFとする(工程7)。
【0042】
ここで、被処理水12の溶存酸素濃度の上昇は、MBR処理水ポンプ48がONのときは生じないがMBR処理水ポンプ52がOFFとなった後に生じる。よって溶存酸素濃度の測定及びこれに伴う曝気装置18の出力調整はMBR処理水ポンプ48がOFFになった後に行うことになる。一方、MBR処理水ポンプ48がONになったあとはMF膜46の物理洗浄を促すため曝気装置18の出力を所定の出力に戻す必要がある。
【0043】
次に曝気装置18の出力を下げる方向で調整し(工程8)、溶存酸素濃度を測定し(工程9)、被処理水12の溶存酸素濃度が適正溶存酸素濃度範囲となるように溶存酸素濃度を繰り返し測定しつつ(工程9)、曝気装置18の出力を調整する(工程8)。そして調整槽水位データが水位H1となるまでこの状態を維持し(工程10)、水位H1となったら調整ポンプ52をONとする(工程11)。このとき、溶存酸素濃度の低下は曝気装置18の出力を低下させることのみならず、調整ポンプ52がONのままであるため、好気処理されていない被処理水12が処理槽42の好気槽40にまで供給されることによっても低下することになる。よって今度は曝気装置18の出力を上げる方向で調整し(工程12)、溶存酸素濃度を測定し(工程13)、被処理水12の溶存酸素濃度が適正溶存酸素濃度範囲となるように溶存酸素濃度を繰り返し測定しつつ(工程12)、曝気装置18の出力を調整する(工程13)。次にタイマーが間欠開始となり、かつ処理槽水位データが水位M2となるまでこの状態を維持し(工程14)、両方の条件が満たされたらMBR処理水ポンプ48をONとし(工程15)、全ポンプがONとなる(工程1)。
【0044】
次に処理水のろ過の及び循環のフローを説明する。図4に処理水のろ過及び循環のフロー図を示す。まず、MBR処理水ポンプ48がONとなる(工程1)。このとき三方弁は第1経路側が開となるように切り替わる(工程2)。そして貯水槽水位データを取得し、水位H3となるまで、かつ三方弁34が切り替わるまでこの状態を維持し(工程3)、両方の条件が満たされたらROポンプ28を所定の出力でONとする(工程4)。このとき三方弁34は第1経路側が開であり、これに連動する第2三方弁76は第3経路側が開となっており、同様に背圧弁72も加圧可能状態となっているため、処理水14はRO膜26に加圧されてろ過され、濃縮水22と二次処理水24とに分離される。そして貯水槽水位データを取得し、水位L3となるまで上述の状態を維持し(工程5)、水位L3となったらROポンプ28をOFFとする(工程6)。この時点でMBR処理水ポンプ48がONであれば(工程7)貯水槽水位データを取得し、水位H3となるまで待ち(工程3)、水位H3となったらROポンプ28を所定の出力でONする(工程4)。
【0045】
ここで、ROポンプ28の処理水の供給量は、MBR処理水ポンプ48の処理水の排出量よりも多いため、MBR処理水ポンプ48が間欠停止するとき(工程7)はROポンプ28も停止している。MBR処理水ポンプ48が間欠停止すると、三方弁34を第2経路側に切り替える(工程8)。これにより処理水14はRO膜26等を経由して循環することができる。
【0046】
次に三方弁の切り替えのための一定時間が経過したのちROポンプを駆動する(工程9)。このとき、三方弁34は第2経路側が開であり、これに連動する第2三方弁76は第2経路側が開となっており、同様に背圧弁72も加圧解除状態となっているため、切り替え時にRO膜26近傍にあった濃縮水22とROポンプ28により次々と供給される処理水14は所定圧力の下、貯水槽20、RO膜26、フラッシングラインである第2経路32を経由して循環することになる。
【0047】
そして圧力計により圧力を測定し処理水の圧力が循環時の所定圧力以下か否かを判別し(工程10)、循環時の所定圧力以下であれば、タイマーによりMBR処理水ポンプ48が駆動するまでこの状態を維持し(工程10、工程1)、循環時の所定圧力以上であれば、ROポンプの出力を低下させ(工程11)、処理水の圧力が循環時の所定圧力より低くなるまでROポンプの圧力を下げ続け(工程12、工程11)、循環時の所定圧力以下であれば、タイマーによりMBR処理水ポンプ48が駆動するまでこの状態を維持する(工程10、工程1)。
【0048】
処理水がRO膜26等を経由して循環しているときは、RO膜26を流れる処理水14に対して背圧弁72に起因する圧力は解除されているが、RO膜26において二次処理水(副二次処理水78)が分離されることがある。さらにRO膜26を流れる処理水14の圧力をROポンプの出力の調整により減少させても副二次処理水78が分離されることがある。しかし副二次処理水78は第2三方弁76によりフラッシングラインである第2経路32に導かれるため、第2経路32を流れる処理水14は結果的に減少しないことになる。
【0049】
このように水処理装置10は、調整槽44から被処理水12を処理槽42に供給し、被処理水12を硝化処理及び脱窒処理して後段のRO膜26に対するFI値の上昇を抑制しつつ間欠的にろ過して処理水14を排出して貯水槽20に供給し、貯水槽20の水位に応じて処理水14をRO膜26によりろ過して二次処理水24を排出する経路、あるいは処理水14をRO膜26を経由して循環する経路を選択して効率よく被処理水12の処理を行うことができる。
【0050】
したがって、本実施形態に係る水処理方法、及び水処理装置10によれば、MBR装置16において被処理水12のろ過が停止した場合に、すでに貯水された処理水14をRO膜26を経由して循環させるので、RO膜26の表面は処理水によるフラッシングが行われるため、RO膜の膜洗浄を行うことができ、FI値の上昇を抑制することができる。
【0051】
MBR装置16で被処理水12をろ過して得られる処理水14の流量よりも、RO膜26へ供給される処理水14の流量が多いため、RO膜26により処理水14をろ過し続けると処理水14が枯渇し、RO膜26の膜表面に残留する処理水14において微生物の繁殖等によりRO膜26が目詰まりを起こし、結果的にFI値を上昇させることとなる。しかし本実施形態によれば、処理水14を貯水する貯水槽20の水位に応じて処理水14をろ過する経路と、貯水された処理水14をRO膜26を経由して循環させる経路とに切り替え可能であるため、RO膜26に供給される処理水14の枯渇を防止してFI値の上昇を抑制することができる。
【0052】
MBR装置16の被処理水12のろ過が停止している間は、被処理水12は曝気装置18による曝気のみ行われている。この曝気によりMBR装置16内の被処理水12の溶存酸素濃度が上昇するため、前記被処理水12のろ過が再開されたのちの処理水14の溶存酸素濃度は高くなり、これによりRO膜26の膜面に微生物が繁殖しやすい状況等が発生し、結果的にFI値が上昇することを発明者は見出した。しかし、本実施形態によれば、被処理水12の溶存酸素濃度が高くなった場合は、曝気の出力を低下させ、溶存酸素濃度が低くなった場合には曝気の出力を元に戻すので、曝気によるMBR装置16のMF膜46の物理洗浄を阻害することを防止しつつ、被処理水12及び処理水14の溶存酸素濃度の上昇を抑制してFI値の上昇を抑制することができる。
【0053】
処理水14は、RO膜26の膜面において加圧されてろ過されることにより、RO膜26を透過しない濃縮水22とRO膜26を透過する二次処理水24とに分離されるが、処理水14の加圧を解除してもRO膜26において副二次処理水78がろ過される場合があり、これにより処理水14を上述のように循環させても処理水14が貯水される処理槽20の水位が低下する。しかし本実施形態によれば、処理水14の循環時において前記処理水14の供給量を低下させるため、副二次処理水78のろ過される量を抑制し、処理槽20の水位の低下を抑制することができ、さらにろ過された副二次処理水78を処理水14の循環経路に戻すことで、処理水14の循環時における処理水14のロスをなくし、RO膜26を経由して循環する処理水26の枯渇を防止してFI値の上昇を抑制することができる。
【0054】
本願発明者は処理槽における処理水の溶存酸素濃度と、処理水のRO膜に対するFI値との関係を調査した。FI値とは、処理水中の懸濁物質がRO膜への汚れにどれだけ影響を及ぼすかを定量化した指標であって、以下のように測定される。
【0055】
まず、直径47mm、膜の孔径0.45μmのRO膜に対して処理水を206kPaの加圧下でろ過する。そして、はじめの500mlをろ過に要した時間T1を測定し、続けてT分間(通常15分)ろ過した後、さらに500mlをろ過するのに要した時間T2を測定する。こうしてFI値[無次元の定数]は以下のように求められる。
【数1】

【0056】
図5に、様々な溶存酸素濃度[mg/l]を有する処理水のRO膜に対するFI値を[数1]を用いて導出した結果を図中のプロットで示す。図中の縦軸がFI値[無次元の定数]を表し、横軸が溶存酸素(DO)濃度[mg/l]を表している。なお、溶存酸素濃度はDOメータにて測定した。図5に示すように、処理水において溶存酸素濃度が高いほど、FI値が高くなるだけでなくバラつきが多くなるが、溶存酸素濃度が小さいほど、FI値が低くなるだけでなくバラつきも小さくなる。これは溶存酸素濃度を高くすると、RO膜に付着する溶存酸素濃度を呼吸する微生物が繁殖し、逆に溶存酸素濃度を低くすると前記微生物の繁殖が抑制されることが考えられる。よって、処理水のFI値は溶存酸素濃度を変化させることにより、図5の図中に描かれた直線に囲まれた範囲で分布するものと考えられる。
【0057】
一方、本実施形態においては、処理水のFI値は2を超えない程度の水準が望ましい。したがって、図中に描かれた直線を溶存酸素濃度の低い領域に外挿すると、溶存酸素濃度が0.5mg/l以下であれば、FI値の上限が2程度に抑えられる。したがって、溶存酸素濃度を上記の値に維持することで、RO膜に良好なFI値をもつ処理水を供給することができ、RO膜の処理能力及び、寿命を向上させることができると考えられる。
【0058】
また本実施形態において、処理水14をRO膜26でろ過する際、ROポンプ28は処理水14に対して所定圧力として1000〜1200kpa程度の圧力を与え、処理水14をフラッシングラインである第2経路32を循環させているときの所定圧力は300kpa程度の圧力としており、フラッシングを効率よく行うとともに、処理水14の圧力を低下させて副二次処理水78の分離を抑制している。なお、副二次処理水78が分離されるか否かはRO膜26の性能に依存するが、副二次処理水78の分離が起きない場合は、第2三方弁76は省略することができる。
【0059】
本実施形態おいて、タイマーは間欠駆動時間を18分、間欠停止時間を2分としてこれを交互に繰りかえすことを想定し、手動による駆動停止時間は3時間程度を想定しているが、これらに限定されることはなく使用環境に応じて自由に時間間隔を変更できることは言うまでもなく、また上述の適正溶存酸素濃度範囲及び被処理水12に与える圧力も上記の値に限定されず、使用環境に応じて自由に変更できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
間欠的に駆動するMBR装置と後段のRO膜からなる水処理においてもRO膜に対するFI値の上昇を抑制できる水処理方法、及び水処理装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態の水処理装置の概略図である。
【図2】本実施形態の水処理装置の制御回路の概略図である。
【図3】本実施形態の水処理装置における被処理水のろ過のフロー図である。
【図4】本実施形態の水処理装置における処理水のろ過及び循環のフロー図である。
【図5】処理水の溶存酸素濃度と、処理水のRO膜に対するFI値との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10………水処理装置、12………被処理水、14………処理水、16………MBR装置、18………曝気装置、20………貯水槽、22………濃縮水、24………二次処理水、26………RO膜、28………ROポンプ、30………第1経路、32………第2経路、34………三方弁、36………制御回路、38………嫌気槽、40………好気槽、42………処理槽、44………調整槽、46………MF膜、48………MBR処理水ポンプ、50………供給ポンプ、52………調整ポンプ、54………微細目スクリーン、56………第1水位計、58………第2水位計、60………DOメータ、62………第3水位計、64………圧力計、66………処理水導入口、68………濃縮水排出口、70………二次処理水排出口、72………背圧弁、74………分岐経路、76………第2三方弁、78………副二次処理水、80………第3経路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を曝気しつつ間欠的にろ過して得られる処理水を貯水し、貯水された前記処理水をRO膜に供給してろ過する水処理方法であって、
前記被処理水のろ過を間欠停止したのち貯水された前記処理水を前記RO膜を経由して循環させ、
前記被処理水のろ過を間欠開始したのち前記処理水をろ過することを特徴とする水処理方法。
【請求項2】
被処理水を曝気しつつ間欠的にろ過して得られる処理水を貯水し、貯水された前記処理水をRO膜に供給してろ過する水処理方法であって、
前記処理水のろ過により貯水された前記処理水の水位が低くなった場合は前記処理水を前記RO膜を経由して循環させ、前記被処理水のろ過を間欠開始して貯水された前記処理水の水位が高くなった場合は、前記処理水をろ過することを特徴とする水処理方法。
【請求項3】
前記被処理水の曝気量は、前記被処理水の溶存酸素濃度が高くなった場合には低くし、前記溶存酸素濃度が低くなった場合には元に戻すことを特徴とする請求項1または2に記載の水処理方法。
【請求項4】
前記処理水の前記RO膜への流量は、前記処理水の循環時において低下させ、前記処理水のろ過時において元に戻すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水処理方法。
【請求項5】
前記処理水の循環時に前記処理水がろ過されて得られる副二次処理水は、前記処理水に戻すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水処理方法。
【請求項6】
被処理水を間欠的にろ過して処理水を排出するMBR装置と、
前記被処理水を曝気する曝気手段と、
前記処理水をろ過して濃縮水と二次処理水とに分離するRO膜と、
前記処理水を貯水する貯水槽と、
貯水された前記処理水を前記RO膜に供給するポンプと、
一端が前記RO膜の濃縮水排出側に接続され、切り替え端が前記濃縮水を排出する第1経路と、貯水された前記処理水を前記RO膜を経由して循環させる第2経路とにそれぞれ接続され、前記第1経路及び前記第2経路とを相互に切り替え可能な三方弁と、
前記被処理水のろ過を間欠停止したのち前記三方弁を前記第2経路側に切り替え制御し、前記被処理水のろ過の間欠開始したのち前記三方弁を第1経路側に切り替え制御する制御手段と、を有することを特徴とする水処理装置。
【請求項7】
被処理水を間欠的にろ過して処理水を排出するMBR装置と、
被処理水を曝気する曝気手段と、
前記処理水を貯水する貯水層と、
前記処理水をろ過して濃縮液と二次処理水とに分離するRO膜と、
貯水された前記一次処理水を前記RO膜に供給するポンプと、
一端が前記RO膜の濃縮液排出側に接続され、切り替え端が前記濃縮水を排出する第1経路と、貯水された前記処理水を前記RO膜を経由して循環させる第2経路とにそれぞれ接続され、前記第1経路及び前記第2経路とを相互に切り替え可能な三方弁と、
前記処理水のろ過により前記貯水槽の水位が低くなった場合に前記三方弁を前記第2経路側に切り替え制御し、前記循環により前記貯水槽の水位が高くなった場合に前記三方弁を第1経路側に切り替え制御する制御手段と、を有することを特徴とする水処理装置。
【請求項8】
前記MBR装置には、前記被処理水の溶存酸素濃度を測定するDOメータが配設されるとともに、前記制御手段は、前記DOメータに接続され、溶存酸素濃度が高くなった場合には前記曝気装置の出力を低下させ、前記溶存酸素濃度が低くなった場合には前記曝気装置の出力を元に戻す制御を行うことを特徴とする請求項6または7に記載の水処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記ポンプに接続されるとともに、前記制御手段は、前記被処理水のろ過を間欠停止したのち前記ポンプの出力を低下させ、前記被処理水のろ過を間欠開始したのち前記ポンプの出力を元に戻す制御を行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項10】
前記RO膜の二次処理水排出側には、一端が前記二次処理水排出側に接続され、切り替え端が前記二次処理水を排出する第3経路と前記第2経路に接続する分岐経路とにそれぞれ接続され、前記第3経路及び前記分岐経路とを相互に切り替え可能な第2三方弁が配設されるとともに、前記制御手段は、前記三方弁の第2経路側への切り替え時に前記第2三方弁を前記分岐経路側に切り替え制御し、前記三方弁の第1経路への切り替え時に第2三方弁を第3経路側に切り替え制御することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−12434(P2010−12434A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176273(P2008−176273)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】