説明

MEMSパッケージおよびMEMS実装方法

【課題】製造コストを抑制できる簡素な構成で、可動部を有する半導体素子を配線基板に対して高い密度で配置するとともに電気的に接続することを実現する。
【解決手段】可動部(112b、112c)を有し主面の縁領域に端子(116a)が形成された半導体素子(11)と、半導体素子の主面に主面が対向するカバー(111a、111b)と、半導体素子の端子よりも内側に位置し半導体素子とカバーとの間に空隙を形成する封止部(118、119)と、を備え、半導体素子の端面が配線基板(13)の主面に対向した状態において配線基板の主面に形成された端子(132,133)と半導体素子の端子(116a)とが接合されることによって、半導体素子が配線基板に固定されるとともに配線基板の主面に形成された端子と半導体素子の端子とが電気的に接続される、MEMSパッケージ(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)パッケージおよびMEMS実装方法に関し、特に可動部を有する半導体素子を配線基板に対して垂直に取り付けるとともに電気的に接続する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の半導体素子をスタックするなどして実装密度を高める技術が知られている(特許文献1、2、3、4、5参照)。特許文献1には、複数の半導体素子をスタックするとともに、半導体素子の貫通電極によって複数の半導体素子を接続する技術が開示されている。特許文献2、3には、スペーサーを介して複数の半導体素子を配線基板上にスタックし、それぞれの半導体素子に接合した金属ワイヤを半導体素子の側面に沿って折り曲げ、金属ワイヤが接続された側面配線を介して各半導体素子と配線基板とを接続する技術が開示されている。特許文献4には、可動部を有する半導体素子をそれぞれにフリップチップ実装した複数の基板を立体的に結合する技術が開示されている。特許文献5には、半導体素子を配線基板に対して垂直に取り付けるとともに電気的に接続する技術が開示されている。特許文献5によると、側面に層間接続配線が露出したビルドアップ基板に半導体素子を取り付け、ビルドアップ基板の層間接続配線を側面配線基板に接続することで、実装密度が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−313594号公報
【特許文献2】特開2009−27039号公報
【特許文献3】特開2009−26969号公報
【特許文献4】特開2008−141128号公報
【特許文献5】特開2001−237362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように貫通電極を半導体素子に形成すると製造コストが増大する。特許文献2、3に記載されているように半導体素子に接合した金属ワイヤを半導体素子の側面に沿って折り曲げる場合、小型化および低コスト化が困難であるとともに、金属ワイヤの折り曲げに伴う応力が問題になる。特許文献4には、立体的に結合された複数の基板が配線基板にどのように接続されるかについての記載はない。特許文献5に記載されているようにビルドアップ基板を用いて半導体素子を配線基板に対して垂直に取り付けるとともに接続する場合、半導体素子毎にビルドアップ基板が必要になることが小型化および低コスト化の障壁となる。
【0005】
本発明はこれらの問題に鑑みて創作されたものであって、製造コストを抑制できる簡素な構成で、可動部を有する半導体素子を配線基板に対して高い密度で配置するとともに電気的に接続することを実現することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するためのMEMSパッケージは、可動部を有し主面の縁領域に端子が形成された半導体素子と、前記半導体素子の前記主面に主面が対向するカバーと、前記半導体素子の端子よりも内側に位置し前記半導体素子と前記カバーとの間に空隙を形成する封止部と、を備え、前記半導体素子の端面が配線基板の主面に対向した状態において前記配線基板の主面に形成された端子と前記半導体素子の端子とが接合されることによって、前記半導体素子が前記配線基板に固定されるとともに前記配線基板の主面に形成された端子と前記半導体素子の端子とが電気的に接続される。
【0007】
本発明によると、カバーと封止部とによって半導体素子の可動部を保護することができる。そして半導体素子の端子は封止部より外側に露出する。したがって、封止された半導体素子の端面が配線基板の主面に対向する状態において、露出している半導体素子の端子と配線基板の端子とを接合することができる。すなわち、半導体素子の端子と配線基板の端子とを接合することによって、封止された半導体素子を配線基板に固定し、同時に、配線基板と半導体素子とを電気的に接続することができる。したがって本発明によると、金属ワイヤやビルドアップ基板といった接続部材を用いることなく、半導体素子と配線基板とを電気的に接続することができるため、製造コストを抑制できる。また本発明によると、半導体素子毎にパッケージ基板(本明細書において、パッケージ基板とは密封された内部の配線要素と外部の配線要素とを電気的に接続するための配線要素を備える基板である。)を備える必要がなく、またパッケージ基板の主面に備わる端子と配線基板の端子とを接続する必要がないため、可動部を有する半導体素子を配線基板に対して高い密度で配置することができる。なお、本明細書において"主面"と"端面"の用語は次の意味において用いられる。すなわち、板状の物体の表面全体が、互いに表裏の関係にあっていずれの"端面"よりも広い2つの"主面"と、2つの"主面"の間をつなぎ環状に連続しそれぞれが"主面"よりも狭い複数の"端面"とで構成されているという認識を前提として、"主面"と"端面"の用語を用いる。
【0008】
(2)上記目的を達成するためのMEMSパッケージにおいて、前記半導体素子は、前記半導体素子の前記主面と平行な方向に曲がる前記可動部を有するとともに1軸モーションセンサとして機能し、それぞれの前記可動部の曲がる方向が直交するように前記配線基板に複数の前記半導体素子が固定されてもよい。
この構成を採用すると、簡素な構造で歩留まり高く製造できる1軸のモーションセンサを組み合わせて2軸以上のモーションセンサを安価に構成できるとともに、1軸モーションセンサを構成するそれぞれの半導体素子が配線基板に配置される領域の総面積が、それぞれの半導体素子の主面を配線基板に対向させる場合に比べて小さくなるため、実装密度を高めることができる。
【0009】
(3)上記目的を達成するためのMEMSパッケージにおいて、前記半導体素子の主面の縁領域は、前記半導体素子の端面に向かって落ち込む傾斜面であってもよい。
この構成を採用すると、半導体素子の端子まわりの空間が広がるため、半導体素子の端子に配線基板の端子を接合することが容易になる。
【0010】
(4)上記目的を達成するためのMEMS実装方法は、可動部を有し主面の縁領域に端子が形成された半導体素子と、前記半導体素子の前記主面に主面が対向するカバーと、前記半導体素子の端子よりも内側に位置し前記半導体素子と前記カバーとの間に空隙を形成する封止部と、を備えるMEMSモジュールを準備する工程と、主面に端子が形成された配線基板を準備する工程と、前記半導体素子の端面が前記配線基板の主面に対向する姿勢で前記半導体素子および前記カバーを前記配線基板に取り付けるとともに前記配線基板の主面に形成された端子と前記半導体素子の端子とを電気的に接続する工程と、を含む。
【0011】
本発明によると、製造コストを抑制できるとともに、可動部を有する半導体素子を配線基板に対して高い密度で配置することができる。
【0012】
(5)上記目的を達成するためのMEMS実装方法において、前記配線基板に取り付けられた前記半導体素子および前記カバーの全体を封止する工程をさらに含んでもよい。
この構成を採用すると、半導体素子の可動部の密閉性が向上するとともに、遮光性が高まることによって光電変換ノイズを抑制できる。
【0013】
(6)上記目的を達成するためのMEMSパッケージにおいて、前記配線基板に取り付けられた前記半導体素子および前記カバーと、前記配線基板との間の空隙を封止する工程をさらに含んでもよい。
この構成を採用すると、半導体素子および配線基板の端子の変性を防止できるとともに、半導体素子と配線基板との接合強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1Aは第一実施形態にかかる斜視図。図1Bは第一実施形態にかかる断面図。図1Cおよび図1Dは第一実施形態にかかる部分断面図。
【図2】図2A、図2Bおよび図2Cは第一実施形態にかかる平面図。
【図3】第一実施形態にかかる斜視図。
【図4】第一実施形態にかかる斜視図。
【図5】図5Aおよび図5Bは第二実施形態にかかる部分断面図。
【図6】第三実施形態にかかる断面図。
【図7】第四実施形態にかかる断面図。
【図8】図8Aは第五実施形態にかかる断面図であって、図8Bに示す8A−8A線断面を示している。図8Bは第五実施形態にかかる平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら以下の順に説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
1.第一実施形態
図1Aおよび図1Bは本発明によるMEMSパッケージの第一実施形態としての3軸加速度センサ1を示している。3軸加速度センサ1は、3つの加速度センサユニット10、11、12と、加速度センサユニット10、11、12が取り付けられた配線基板13とを備えている。加速度センサユニット10、11、12はそれぞれが1軸加速度センサを構成しているMEMSモジュールである。加速度センサユニット10、11、12のそれぞれが加速度を検出する方向は互いに直交しているため、3軸加速度センサ1は3軸の加速度成分を検出することができる。加速度センサユニット10、11、12のそれぞれは、2つのカバーと、2つのカバーと封止部とによって封止された半導体素子とを備えている。
【0016】
図1Aおよび図1Bに示すように、加速度センサユニット12は、板状のカバー121a、121bと板状の半導体素子122とを備えている。半導体素子122は、図2Cに示す環状の支持部122aと、支持部122aの内側に位置する錘部122bと、支持部122aと錘部122bとを連結している板状の梁部122cとを有する。支持部122aと錘部122bと梁部122cとは、表面に絶縁層が形成されたシリコン基板を異方的にエッチングすることによって一体に形成されている。このため支持部122aと錘部122bと梁部122cの図2Cにおける紙面垂直方向の幅(図1Bにおける水平方向の幅)は同一である。
【0017】
梁部122cは図2Cにおける水平方向の幅が図2Cにおける紙面垂直方向の幅よりも十分狭い。このため、図2Cにおける水平方向に生ずる加速度に応じて錘部122bに作用する慣性力によって梁部122cは図2Cにおける水平方向に撓む。このように錘部122bおよび梁部122cは半導体素子122の可動部を構成している。
【0018】
梁部122cと支持部122aの境界近傍には歪み検出素子127a、127bが設けられている。歪み検出素子127a、127bはピエゾ抵抗素子や圧電素子からなる。歪み検出素子127a、127bは梁部122cの端面すなわち半導体素子122の主面に設けられ、互いに離間している。
【0019】
歪み検出素子127a、127bのそれぞれからはアルミニウムなどからなるリード126が引き出されている。リード126の端部は端子126aを形成している。端子126aは半導体素子122の主面の縁領域に位置するバンプとして構成される。バンプのみをアルミニウムなどの金属材料で形成するとともに、バンプと歪み検出素子127a、127bとを接続する導線については不純物の高濃度ドーピングによって形成しても良い。例えば、歪み検出素子としての歪みゲージと導線とを絶縁層上に形成されたポリシリコン層に対する不純物の高濃度ドーピングによって形成した後に、アルミニウムの膜形成とパターニングによってバンプを形成しても良い。
【0020】
リード126が形成されている半導体素子122の一方の主面に対して裏側にあたる他方の主面には、図1Bに示す結合パッド124が複数設けられている。これらの結合パッド124は端子126aと同じ側の縁領域に形成されている。結合パッド124は端子126aと同一材料からなる。
【0021】
図1Aおよび図1Bに示すように、カバー121a、121bおよび半導体素子122の主面は互いに平行である。半導体素子122の一方の主面にカバー121aの一方の主面が対向し、半導体素子122の他方の主面にカバー121bの一方の主面が対向している。カバー121aと半導体素子122との間には空隙が形成されている。この空隙は半導体素子122とカバー121aとを結合している環状の封止部128の厚みによって形成されている。同様に、カバー121bと半導体素子122との間には、環状の封止部129によって空隙が形成されている。封止部128、129は、ポリイミド等の樹脂からなり、それぞれ支持部122aを一周するように環状に形成されている。
【0022】
カバー121aの半導体素子122と対向する主面には、端子126aと対向する位置に結合パッド125aが設けられている。カバー121bの半導体素子122と対向する主面には、結合パッド124と対向する位置に結合パッド125bが設けられている。結合パッド125a、125bは端子126aと同一材料からなる。
【0023】
リード126が形成されている半導体素子122の主面に結合している封止部128は、端子126aよりも結合パッド125aよりも内側において支持部122aを一周している。このため端子126aおよび結合パッド125aは加速度センサユニット12の外側に露出している。リード126が形成されている半導体素子122の一方の主面に対して裏側にあたる他方の主面に結合している封止部129は、結合パッド124、125bよりも内側において支持部122aを一周している。このため結合パッド124、125bは加速度センサユニット12の外側に露出している。
【0024】
図1A、図1Bおよび図2に示すようにリード106、116、126のレイアウトを除いて、加速度センサユニット10、11、12の構成は共通している。加速度センサユニット10、11、12は、それぞれの半導体素子の端子106a、116a、126aが近傍に設けられている辺が配線基板13と対向するとともに、それぞれの梁部102c、112c、122cが加速度に応じて曲がる方向(図1Bの矢印参照)が直交するように配線基板13に固定されている。具体的には以下の通りである。
【0025】
加速度センサユニット12の外側に露出している端子126a、結合124、パッド125a、125bと、配線基板13の主面に形成された端子131、132とが結合部135によって結合される。結合部135は、半田、導電ペースト、金属バンプ等の導電性材料からなり、加速度センサユニット12の端子126aと配線基板13の端子131とを電気的に接続する。また、加速度センサユニット12と配線基板13との電気的な接続に寄与しない結合パッド124,125a、125bを結合部135によって配線基板13の端子131、132と結合することで、加速度センサユニット12と配線基板13との結合強度を高めている。
【0026】
加速度センサユニット11の外側に露出している端子116a、結合パッド(図示省略)と、配線基板13の主面に形成された端子132、133とが結合部135によって結合される。結合部135は、加速度センサユニット11の端子116aと配線基板13の端子132、133とを電気的に接続する。また、加速度センサユニット11と配線基板13との電気的な接続に寄与しない結合パッド(図示省略)同士を結合部135によって結合することで、加速度センサユニット11と配線基板13との結合強度を高めている。
【0027】
加速度センサユニット10の外側に露出している端子106a、結合パッド104、105a、105bと、配線基板13の主面に形成された端子133、134とが結合部135によって結合される。結合部135は、半田、導電ペースト、金属バンプ等の導電性材料からなり、加速度センサユニット10の端子106aと配線基板13の端子134とを電気的に接続する。また、加速度センサユニット10と配線基板13との電気的な接続に寄与しない結合パッド104、105a、105bを結合部135によって結合することで、加速度センサユニット10と配線基板13との結合強度を高めている。以上、加速度センサユニット10、11、12を配線基板13に固定するとともに電気的に接続する形態について説明した。
【0028】
次に3軸加速度センサ1の製造方法について説明する。
はじめに半導体素子102、112、122と、カバー101a、101b、111a、111b、121a、121bとを準備する。半導体素子102、112、122は、シリコン基板のDeep−RIE(Reactive Ion Etching)を用いて同じ厚さの支持部102a、112a、122a、梁部102c、112c、122cおよび錘部102b、112b、122bを同時にパターニングする点を除いては、公知の1軸加速度センサの製造方法によって製造される。カバー101a、101b、111a、111b、121a、121bは、セラミックス、ガラス、ガラスセラミックス、シリコン、金属、樹脂などからなる板を切り分けることによって製造される。
【0029】
次に半導体素子102と、カバー101a、101bとを封止部108、109によって結合し、加速度センサユニット10を準備する。具体的には、半導体素子102と、カバー101a、101bとをポリイミドなどの熱硬化性樹脂によって気密に接合する。また同様に、半導体素子112と、カバー111a、111bとを封止部118、119によって気密に結合し、加速度センサユニット11を準備する。また同様に、半導体素子122と、カバー121a、121bとを封止部128、129によって気密に結合し、加速度センサユニット12を準備する。なお、半導体素子102、112、122と、カバー101a、101b、111a、111b、121a、121bとの結合は、ウエハから半導体素子102、112、122、カバー101a、101b、111a、111b、121a、121bの個片を切り分ける前の工程で実施することができる。そしてウエハ状態で封止部108、109、118、119、128、129によって結合された半導体素子とカバーとを同時に個片に切り分けることによって、加速度センサユニット10、11、12を得ても良い。
【0030】
次に端子131、132、133、134が形成された配線基板13を準備する。配線基板13は周知のプリント配線基板の製造方法によって製造することができる。
【0031】
次に半導体素子102、112、122の端面が配線基板13の主面に対向する姿勢で加速度センサユニット10、11、12を配線基板13に取り付ける。具体的にはまず、図1Cに示すように、配線基板13の端子131、132の表面に半田、導電ペースト等からなる結合部135を形成する。次に半導体素子122の端子126aが近傍に形成されている端面を配線基板13の端子131、132が形成されている主面に対向させる。次に図1Dに示すように、端子126aと結合パッド125aとが露出している半導体素子122とカバー121aとの間の空隙に結合部135を押し入れることによって、端子126aと結合パッド125aとに結合部135を接触させる。このとき、端子135の表面に形成された結合部135と結合パッド124、126bとも接触する。その後、加熱して結合部135を硬化させると、配線基板13に加速度センサユニット12が固定されるとともに電気的に接続される。同様に、加速度センサユニット10、11は、端子132、133、134の表面に形成された結合部135によって配線基板13に固定されるとともに電気的に接続される。
【0032】
さらに、図3に示す3軸加速度センサ2のように配線基板13と加速度センサユニット10、11、12との間の空隙を樹脂16によって封止しても良い。これにより端子106a、116a、126a、131、132、133、134の変性を防止できるとともに、加速度センサユニット10、11、12と配線基板13との結合強度を高めることができる。またさらに、図4に示す3軸加速度センサ3のように、配線基板13に取り付けられた加速度センサユニット10、11、12の全体を樹脂15によって封止しても良い。これにより、半導体素子102、112、122の密閉性が向上するとともに、遮光性が高まることによって光電変換ノイズを抑制できる。
【0033】
以上説明した本発明の第一実施形態によると、カバー101a、101b、111a、111b、121a、121bと封止部108、109、118、119、128、129とによって半導体素子102、112、122の錘部102b、112b、122bおよび梁部102c、112c、122cを保護することができる。そして、封止された半導体素子102、112、122を結合部135によって配線基板13に固定し、同時に、配線基板13と半導体素子102、112、122とを結合部135によって電気的に接続することができる。金属ワイヤやビルドアップ基板といった接続部材を用いることなく、半導体素子102、112、122と配線基板13とを電気的に接続することができるため、製造コストを抑制できる。また、半導体素子毎にパッケージ基板を備える必要がなく、またパッケージ基板の主面に備わる端子と配線基板の端子とを接続する必要がないため、半導体素子102、112、122を配線基板13に対して高い密度で配置することができる。さらに簡素な構造で歩留まり高く製造できる1軸の加速度センサユニット10、11、12を組み合わせて3軸加速度センサ1を安価に構成できるとともに、1軸モーションセンサを構成するそれぞれの加速度センサユニット10、11、12が配線基板13に配置される領域の総面積が、それぞれの加速度センサユニット10、11、12の主面を配線基板13に対向させる場合に比べて小さくなるため、実装密度を高めることができる。また、結合パッド104,105a、105b、124、125a、125bを設け、半導体素子102、112、122の端子106a、116a、126aとともにこれらを結合部135によって配線基板13の端子131、132、133、134に結合するため、端子106a、116a、126aだけを配線基板13の端子131、132、133、134に結合する場合に比べて配線基板13と半導体素子102、112、122との結合強度が高くなる。
【0034】
2.第二実施形態
図5に示すマイクロコネクタ132aによって配線基板13に加速度センサユニット10、11、12を取り付けても良い。マイクロコネクタ132aは、配線基板13の端子132から突出した先端が鋭利な突起である。このようなマイクロコネクタ132aは、犠牲膜を用いた導電膜の形成とイオンミリングとを用いて形成することができる。イオンミリングでは角部のエッチングレートが高まるため、例えば円柱体に形成された導電膜をイオンミリングによって円錘体に変形することができる。マイクロコネクタ132aの鋭利な先端部の円錐体底面の直径を、半導体素子122とカバー121a、121bとの間の空隙の幅よりも大きくすることにより、図5Bに示すように端子126aと結合パッド125a、124、125bとにマイクロコネクタ132aを固定するとともに電気的に接続することができる。
【0035】
3.第三実施形態
図6に示す3軸加速度センサ4のようにカバー101a、101b、121a、121bの端面の位置を端子106a、116a、126aよりも内側に設定しても良い。これにより結合部135の周囲の空間が広がるため、配線基板13への加速度センサユニット10、11、12の取付が容易になる。
【0036】
4.第四実施形態
図7に示す3軸加速度センサ5のように半導体素子102、112、122の主面の縁領域を端面に向かって落ち込む傾斜面として形成するとともに、その傾斜面に端子106a、116a、126aを形成しても良い。また、カバー101b、111b、121bの主面の縁領域を端面に向かって落ち込む傾斜面として形成するとともに、その傾斜面に結合パッド105b、115b、125bを形成しても良い。これにより結合部135の周囲の空間が広がるため、配線基板13への加速度センサユニット10、11、12の取付が容易になる。端子106a、116a、126aが形成される半導体素子102、112、122、結合パッド105b、115b、125bが形成されるカバー101b、111b、121bの傾斜面は、イオンミリング、サンドブラスト、研削、研磨等によって形成することができる。
【0037】
5.第五実施形態
図8に示す3軸加速度センサ6のように加速度センサユニット11によって半導体素子102の一方の主面と半導体素子122の一方の主面とを覆っても良い。すなわち、半導体素子102の一方の主面と加速度センサユニット11の端面とを環状の封止部109によって結合し、半導体素子122の一方の主面と加速度センサユニット11の端面とを環状の封止部128によって結合することにより、図1に示すカバー101b、121aを省略しながらも加速度センサユニット10、11、12のそれぞれを封止することができる。
【0038】
6.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0039】
尚、加速度センサユニット10、11、12のそれぞれは、カバー101a、101b、111a、111b、121a、121bおよび封止部108、109、118、119、128、129によって封止されているため、そのままMEMSパッケージとして出荷することもできるし、配線基板13に制御用の半導体素子を加速度センサユニット10、11、12とは別に取り付けた状態でMEMSパッケージとして出荷することもできる。そして本発明は3軸加速度センサ以外にも、角速度センサ等の他の2軸以上のモーションセンサや、圧力センサ、マイクロホン、スピーカーなど、可動部を有しトランスデューサーとして機能する半導体素子を配線基板に対して垂直に取り付ける様々な形態に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1,2,3,4,5,6…3軸加速度センサ…、10,11,12…加速度センサユニット…、13…配線基板、15…樹脂、16…樹脂、101a,101b,111a,111b,121a,121b…カバー、102,112,122…半導体素子、102a…支持部、102b…錘部、102c…梁部、105a,105b…結合パッド、106,116,126…リード、106a…端子、108,109,118,119,128,129…封止部、122a…支持部、122b…錘部、122c…梁部、124,125a,125b…結合パッド、126…リード、126a…端子、107a,107b,117a,117b,127a,127b…歪み検出素子、131,132,133,134…端子、132a…マイクロコネクタ、135…結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部を有し主面の縁領域に端子が形成された半導体素子と、
前記半導体素子の前記主面に主面が対向するカバーと、
前記半導体素子の端子よりも内側に位置し前記半導体素子と前記カバーとの間に空隙を形成する封止部と、
を備え、
前記半導体素子の端面が配線基板の主面に対向した状態において前記配線基板の主面に形成された端子と前記半導体素子の端子とが接合されることによって、前記半導体素子が前記配線基板に固定されるとともに前記配線基板の主面に形成された端子と前記半導体素子の端子とが電気的に接続される、
MEMSパッケージ。
【請求項2】
前記半導体素子は、前記半導体素子の前記主面と平行な方向に曲がる前記可動部を有するとともに1軸モーションセンサとして機能し、
それぞれの前記可動部の曲がる方向が直交するように前記配線基板に複数の前記半導体素子が固定される、
請求項1に記載のMEMSパッケージ。
【請求項3】
前記半導体素子の主面の縁領域は、前記半導体素子の端面に向かって落ち込む傾斜面である、
請求項1または2に記載のMEMSパッケージ。
【請求項4】
可動部を有し主面の縁領域に端子が形成された半導体素子と、前記半導体素子の前記主面に主面が対向するカバーと、前記半導体素子の端子よりも内側に位置し前記半導体素子と前記カバーとの間に空隙を形成する封止部と、を備えるMEMSモジュールを準備する工程と、
主面に端子が形成された配線基板を準備する工程と、
前記半導体素子の端面が前記配線基板の主面に対向する姿勢で前記半導体素子および前記カバーを前記配線基板に取り付けるとともに前記配線基板の主面に形成された端子と前記半導体素子の端子とを電気的に接続する工程と、
を含むMEMS実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−20352(P2012−20352A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158523(P2010−158523)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】