説明

MIMO送信装置、受信装置およびシステム

【課題】生成多項式を用いた符号化により複数の系列信号が生成され、MIMO−OFDM伝送方式によりOFDM信号が伝送されるシステムにおいて、誤り訂正復号による誤り訂正の効果を充分に得ることを可能とする。
【解決手段】端末装置100は、複数の生成多項式を用いて符号化を行い、複数の系列信号を生成する内符号符号化部113と、符号化部113により生成された複数の系列信号のそれぞれを、複数の送信系統に均等に分配する送信信号分配部114とを備える。これにより、特定の送信アンテナ101のRF部の性能が劣化している場合や、特定の伝搬路特性が劣化している場合であっても、OFDM信号を受信する基地局装置200において、符号化により生成されたそれぞれの系列信号の誤りには系列間において偏りがない。したがって、通常のSISO伝送の場合と同様に、誤り訂正復号による誤り訂正の効果を充分に得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル信号の無線伝送技術に係り、特に、畳み込み符号化などの複数の生成多項式を用いた符号化により生成した信号を、複数の送信アンテナから送信し、複数の受信アンテナにて受信するMIMO(Multiple Input Multiple Output)−OFDM信号伝送技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、取材現場などから放送スタジオや中継局まで、ニュース映像やイベントの実況映像などの番組素材を伝送するシステムとして、無線により番組素材の映像信号を伝送する映像無線伝送システムが知られている。この映像無線伝送システムに用いられる装置のうち代表的なものには、FPU(Field Pick−up Unit)装置、ワイヤレスカメラなどがある。その中でも、ワイヤレスカメラによってハイビジョンテレビ信号を低遅延かつ高い回線信頼性で無線伝送することを目的とした新しい映像無線伝送システムの開発が注目されている。この新たな映像無線伝送システムでは、複数の送受信アンテナを用いて同一周波数上で複数のOFDM信号の伝送を行うMIMO−OFDM伝送方式を用いることが検討されている。
【0003】
MIMO−OFDM伝送方式は、同一周波数上に複数のOFDM信号を送信することにより、空間分割多重伝送を実現するものである(例えば、特許文献1,2を参照)。これにより、伝送速度を送信アンテナ数の倍数分(ただし、受信アンテナは、送信アンテナの同数以上の数が必要である。)に拡大することができ、伝送品質を向上させ、また受信アンテナ数を増やすことで受信ダイバーシティ効果による所用C/Nを低下させることができる。
【0004】
このようなMIMO−OFDM伝送方式を用いたワイヤレスカメラの開発では、映像信号を途切れることなく伝送することが特に重要になっている。このため、復調方式には、同一周波数上で混信してMIMO−OFDM伝送される複数のOFDM信号を高い精度で分離するための信号分離方式が必要になる。そこで、ミリ波モバイルカメラに用いる復調方式として、復調結果から誤差距離を算出し、その誤差距離から尤度を生成して軟判定ビタビ復号を行う軟判定復調方式が検討されてきた(本出願と同一の出願人によりされた、本出願時に未公開の特許出願(特願2007−192126号公報)を参照)。
【0005】
ここで、MIMO−OFDM伝送方式を用いた無線映像伝送システムの送信装置に用いられる畳み込み符号化方式では、複数の生成多項式を用いた畳み込み符号化などにより生成された信号が送信系統の信号として処理され送信されるようになっている。このため、この畳み込み符号化方式は、各送信系統の信号に対して均等に誤りが発生した場合に、受信装置で施す軟判定ビタビ復号などの誤り訂正復号によって誤りを最大限訂正できるように最適設計されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−345500号公報
【特許文献2】特開2005−124125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、MIMO−OFDM伝送方式を用いた無線映像伝送システムを構成する端末装置(送信装置)が、複数の生成多項式を用いた符号化により生成した信号を送信系統の信号として送信アンテナからそれぞれ独立して送信する際に、各送信系統のRF部(局部発信機およびミキサ)において周波数ズレまたは電力レベルの違いなどにより性能差がある場合や、各送信アンテナから受信アンテナまでの間の伝搬路応答にばらつきがある場合があり得る。これらの場合には、複数の生成多項式により生成した信号に対して誤りが発生することになり、その誤りには各生成多項式により生成した送信信号の間に偏りが生じていることになる。例えば、複数の生成多項式により2つの信号X,Yを生成し、信号Xを第1の送信アンテナから送信し、信号Yを第2の送信アンテナから送信する場合、信号X,Yの送信系統が異なり、信号Xに発生する誤りと信号Yに発生する誤りが異なるから、信号間に偏りが生じることになる。したがって、送信装置により送信された信号を受信する基地局装置(受信装置)は、偏った誤りを含む送信系統の信号をそれぞれ受信するため、生成多項式毎に偏った誤り信号をビタビ復号することとなる。このため、ビタビ復号による誤り訂正の効果が充分に得られないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の生成多項式を用いた符号化により複数の系列の信号が生成され、MIMO−OFDM伝送方式によりOFDM信号が伝送されるシステムにおいて、誤り訂正復号による誤り訂正の効果を充分に得ることが可能なMIMO送信装置、受信装置およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明によるMIMO送信装置は、生成多項式を用いた符号化により系列信号を生成し、複数の送信系統のOFDM信号を生成して前記送信系統に対応したそれぞれの送信アンテナから前記OFDM信号を送信するMIMO送信装置において、複数の生成多項式を用いて符号化を行い、複数の系列信号を生成する符号化部と、前記符号化部により生成された複数の系列信号のそれぞれを、前記複数の送信系統に均等に分配する分配部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明によるMIMO送信装置は、前記分配部が、前記複数の系列信号のそれぞれを、前記複数の送信系統に均等に分配し、さらに、前記複数の系列信号を、同一の送信系統内に均等に分配する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明によるMIMO送信装置は、1系統の信号を複数の系統の信号に変換するシリアル/パラレル変換部と、前記シリアル/パラレル変換部により変換された1系統の信号を入力して符号化を行う、前記入力する1系統の信号にそれぞれ対応した複数の前記符号化部と、前記符号化部により生成された複数の系列信号を1つの系列信号に変換する、前記符号化部にそれぞれ対応した複数のパラレル/シリアル変換部と、前記複数のパラレル/シリアル変換部により変換されたそれぞれの系列信号を入力する前記分配部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明によるMIMO送信装置は、前記符号化部が、複数の生成多項式を用いて符号化を行い、予め設定されたパンクチュアー化パターンに従った複数の系列信号を生成し、前記パンクチュアー化パターンは無信号状態の信号を生成するように設定されている、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明によるMIMO送信装置は、前記分配部が、切替部および切替タイミング記録部を備え、前記切替タイミング記録部が、前記分配部が入力した複数の系列信号を複数の送信系統の信号として出力するためのタイミングを含む切替情報が記録されており、前記切替情報に基づいた切替信号を出力し、前記切替部が、前記符号化部により生成された複数の系列信号を保存し、前記切替タイミング記録部からの切替信号に従って、前記保存した系列信号を読み出して、前記複数の送信系統に均等に分配するための切り替えを行う、ことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明によるMIMO受信装置は、生成多項式を用いた符号化により複数の系列信号を生成し、前記複数の系列信号のそれぞれを複数の送信系統に均等に分配し、複数の送信アンテナからOFDM信号として伝送するMIMO通信システムにおけるMIMO受信装置であって、受信した前記OFDM信号を前記送信系統毎の信号に復調する復調部と、前記復調部により復調された送信系統毎の信号を切り替えて分配し、元の前記系列信号に戻す分配部と、前記分配部により元に戻された系列信号に対し、前記符号化に対応した復号を行う復号部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明によるMIMO受信装置は、前記分配部が、切替部および切替タイミング記録部を備え、前記切替タイミング記録部が、前記分配部が入力した複数の送信系統毎の信号を元の系列信号として出力するためのタイミングを含む切替情報が記録されており、前記切替情報に基づいた切替信号を出力し、前記切替部が、前記復調部により復調された送信系統毎の信号を保存し、前記切替タイミング記録部からの切替信号に従って、前記保存した送信系統の信号を読み出して、前記元の系列信号に戻すための切り替えを行う、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明によるMIMO受信装置は、生成多項式を用いた符号化により複数の系列信号を生成し、前記複数の系列信号のそれぞれを複数の送信系統に均等に分配し、複数の送信アンテナからOFDM信号として伝送するMIMO通信システムにおけるMIMO受信装置であって、受信した前記OFDM信号を軟判定復調し、誤り訂正復号のために用いるメトリックを、前記複数の送信系統の信号が取り得る値毎に生成する復調部と、前記復調部により生成されたメトリックを、前記複数の系列信号が複数の送信系統に均等に分配されたことに対応させて、前記複数の系列信号が取り得る値毎のメトリックに切り替えて分配する分配部と、前記分配部により切り替えて分配されたメトリックに基づいて、誤り訂正復号を行う復号部と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるMIMO受信装置は、前記分配部が、メトリック切替部および切替タイミング記録部を備え、前記切替タイミング記録部が、前記複数の系列信号が複数の送信系統に均等に分配される前の状態に対応させたメトリックを得るためのタイミングを含む切替情報が記録されており、前記切替情報に基づいた切替信号を出力し、前記切替部が、前記復調部により生成された、前記複数の送信系統の信号が取り得る値毎のメトリックを保存し、前記切替タイミング記録部からの切替信号に従って、前記保存したメトリックを読み出して、前記複数の系列信号が取り得る値毎のメトリックに切り替える、ことを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明によるMIMO通信システムは、前記MIMO送信装置と前記MIMO受信装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、複数の生成多項式を用いた符号化により生成した複数の系列の信号を、各送信系統に均等に分配するようにした。例えば、複数の生成多項式を用いた符号化により系列Xの信号および系列Yの信号を生成し、第1の送信系統および第2の送信系統によりそれぞれの送信アンテナから送信する場合、第1の送信系統から送信される系列Xの信号数と第2の送信系統から送信される系列Xの信号数とが同じになるように、かつ、第1の送信系統から送信される系列Yの信号数と第2の送信系統から送信される系列Yの信号数とが同じになるように、均等に分配するようにした。これにより、MIMO送信装置により送信された信号を送信系統毎に受信するOFDM受信装置において、送信系統間の信号の誤りには偏りがあったとしても、符号化により生成されたそれぞれの系列間の信号の誤りには偏りがないから、誤り訂正復号による誤り訂正の効果を充分に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。実施例1は、2本の送信アンテナを備えた端末装置と4本の受信アンテナを備えた基地局装置とにより構成される無線映像伝送システムによって、符号化率1/2の畳み込み符号化を行いMIMO−OFDM伝送を行うワイヤレスカメラシステムの例である。また、実施例2は、実施例1と同じ構成の無線映像伝送システムによって、1/2以外の符号化率の畳み込み符号化を行いMIMO−OFDM伝送を行う例である。また、実施例3は、3本または4本の送信アンテナを備えた端末装置により構成される無線映像伝送システムによって、MIMO−OFDM伝送を行う例である。いずれの実施例においても、端末装置が、複数の生成多項式により2つの系列の信号を生成し、2つの系列の信号を各送信系統(実施例1,2では2つの送信系統、実施例3では3または4つの送信系統)に均一に分配し、送信系統に対応した送信アンテナからそれぞれ送信する。そして、基地局装置が、端末装置からの信号を受信し、端末装置における均一に分配した処理に対応した処理を行い、元の信号に復元する。なお、端末装置は、所定の符号化率で畳み込み符号化したOFDM信号を送信する送信装置であり、基地局装置は、端末装置から送信されたOFDM信号を受信して復号する受信装置である。
【実施例1】
【0021】
まず、実施例1について説明する。実施例1の無線映像伝送システムは、2本の送信アンテナを備えた端末装置と4本の受信アンテナを備えた基地局装置とにより構成されるワイヤレスカメラシステムであり、符号化率1/2の畳み込み符号化を行いMIMO−OFDM伝送を行う。なお、OFDM信号の伝送形式は、ARIB STD−B43の規定に従うものとする。
【0022】
図1は、MIMO−OFDM伝送方式を用いた無線映像伝送システムの構成例を示す図である。この無線映像伝送システムは、2本の送信アンテナ101(送信アンテナ#1および#2)を備えた端末装置100と、4本の受信アンテナ201(受信アンテナ#1、#2、#3および#4)を備えた基地局装置200との間でMIMO−OFDM伝送を行うワイヤレスカメラシステムである。端末装置100は自由に移動することができ、2本の送信アンテナ101から同一周波数で異なるOFDM信号を送信する。なお、基地局装置200は、端末装置100により送信されたOFDM信号を混信状態で受信し、OFDM信号に含まれるパイロット信号を用いて、送信アンテナ101と受信アンテナ201との間の全ての伝搬路特性を推定する。詳細については、前述の特許文献2を参照されたい。
【0023】
〔端末装置〕
次に、図1に示した端末装置100について説明する。図2は、端末装置100の構成例を示すブロック図である。この端末装置100は、符号化部110、2系統のOFDM信号生成部120、2系統の局部発信機およびミキサ130、並びに2本の送信アンテナ101を備えている。
【0024】
符号化部110は、端末装置100側で撮影した映像信号を入力し、その映像信号に対してエネルギー拡散、誤り訂正符号化およびインタリーブなどの符号化を行い、2系列の異なる信号に分離する。OFDM信号生成部120は、符号化部110により符号化され2系列に分離された信号に、キャリア変調、フレーム構成、IFFT処理、GI信号付加などの処理を行い、直交化したOFDM信号を生成する。2系統の局部発信機およびミキサ130は、OFDM信号生成部120により直交化されたOFDM信号にIF周波数変換を行うRF部である。そして、2送信系統のOFDM信号は、送信アンテナ101からそれぞれ送信される。
【0025】
次に、図2に示した符号化部110について説明する。図3は、符号化部110の構成例1を示すブロック図である。この符号化部110−1は、外符号符号化部111、外インタリーブ部112、内符号符号化部113、送信信号分配部114および2系統の内インタリーブ部115を備えている。
【0026】
外符号符号化部111は、データフレーム同期が施されたデータ信号に対してリードソロモン符号の符号化を行う。外インタリーブ部112は、外符号符号化部111により外符号化された信号に対して畳み込みインタリーブを行う。
【0027】
内符号符号化部113は、外インタリーブ部112により畳み込みインタリーブされた信号に対して符号化率1/2の畳み込み符号化を行い、2系列の信号を生成する。図5は、内符号符号化部113の構成例を示すブロック図である。この内符号符号化部113は、符号化率1/2の畳み込み符号化を行う機能を有しており、外インタリーブ部112から信号を入力し、原符号の生成多項式(G1=171oct、G2=133oct)を用いて、拘束長7および符号化率1/2のパンクチュアー化パターンに従って、2系列の信号(生成多項式系列X,Y)を生成する。この畳み込み符号化処理は、生成多項式により生成された2つの生成多項式系列X,Yの信号に対し、系列間(生成多項式系列X,Y間)で均等に誤りが発生した場合に、最適な誤り特性を示すように設計されている。なお、内符号符号化部113における畳み込み符号化については既知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0028】
送信信号分配部114は、内符号符号化部113により生成された2系列の信号X,Yを入力し、入力した各系列の信号X,Yを2つの送信系統に振り分けて分配する。送信信号分配部114の詳細については後述する。内インタリーブ部115は、送信信号分配部114により分配された2つの送信系統の信号をそれぞれ入力し、ビットインタリーブ、周波数インタリーブおよび時間インタリーブの処理を行い、2つの送信系統の信号Tx1,Tx2を後段のOFDM信号生成部120のマッピング部(図示せず)にそれぞれ出力する。
【0029】
図4は、図2に示した符号化部110の他の構成例2を示すブロック図である。この符号化部110−2は、外符号符号化部111、外インタリーブ部112、シリアル−パラレル変換部116、2系統の内符号符号化部113、2系統のパラレル−シリアル変換部117、送信信号分配部114および2系統の内インタリーブ部115を備えている。外符号符号化部111、外インタリーブ部112、内符号符号化部113、送信信号分配部114および内インタリーブ部115は図3に示したものと同様であるから、説明を省略する。
【0030】
シリアル−パラレル変換部116は、外インタリーブ部112により畳み込みインタリーブされたシリアル信号を2系統のパラレル信号に変換し、2系統の内符号符号化部113にそれぞれ出力する。また、内符号符号化部113は、シリアル−パラレル変換部116から信号を入力し、符号化率1/2の畳み込み符号化を行い、2系列の信号を生成してパラレル−シリアル変換部117に出力する。パラレル−シリアル変換部117は、内符号符号化部113から2系列の信号を入力し、2系列の信号を1系統のシリアル信号に変換して送信信号分配部114に出力する。なお、図4に示すように、符号化部110−2が、シリアル−パラレル変換部116において外インタリーブ部112により出力された信号をシリアル−パラレル変換し、内符号符号化部113においてそれぞれの系列の信号に畳み込み符号化を行う場合においても、図3に示した送信信号分配部114を適用することができる。
【0031】
〔送信信号分配部〕
次に、図3および図4に示した送信信号分配部114について説明する。図6は、送信信号分配部114の構成例を示すブロック図である。この送信信号分配部114は、送信信号切替タイミング記録部118および送信信号切替部119を備えている。
【0032】
送信信号切替タイミング記録部118は、送信信号切替部119が内符号符号化部113により生成された信号を各送信系統に振り分けるためのタイミングを記録している。例えば、送信信号切替部119が1ビット毎のタイミングで信号を振り分ける場合は、送信信号切替タイミング記録部118が、1ビット毎のタイミングで切替信号を送信信号切替部119に出力する。
【0033】
送信信号切替部119は、メモリおよび切替スイッチなどで構成され、内符号符号化部113により符号化率1/2の畳み込み符号化された2系列の信号を入力して一時的にメモリに保存し、送信信号切替タイミング記録部118から切替信号を入力し、その切替信号に従って、一時的に保存した信号を読み出して2つの送信系統に分配して出力する。
【0034】
以下、具体的に説明する。内符号符号化部113は、符号化率1/2の畳み込み符号化により、1ビットの入力信号に対して2ビットの信号を生成し、第1の系列から前記2ビットの信号のうちの1ビットの信号X1を出力し、第2の系列から信号X1に対応した他の1ビットの信号Y1を出力する。つまり、内符号符号化部113は、入力信号に対してシンボル毎に、2ビットの信号X1およびY1、X2およびY2、・・・をそれぞれ生成し、第1の系列から信号X1,X2,・・・を出力し、第2の系列から信号Y1,Y2,・・・を出力する。
【0035】
送信信号切替部119は、内符号符号化部113の第1の系列から信号X1,X2,・・・を入力すると共に、第2の系列から信号Y1,Y2,・・・(信号X1,X2,・・・にそれぞれ対応している)を入力する。そして、送信信号切替部119は、第1の系列の信号X1,X2,・・・および第2の系列の信号Y1,Y2,・・・をそれぞれメモリに保存する。そして、送信信号切替部119は、送信信号切替タイミング記録部118から1ビット毎の切替信号を入力し、1ビット間隔で系列の信号を切り替え(入れ替え)、第1の送信系統の信号として信号X1,Y2,X3,Y4,・・・を出力し、第2の送信系統の信号として信号Y1,X2,Y3,X4,・・・を出力する。つまり、信号X1および信号Y2をそのままの系列および系統の信号として出力し(第1の系列の信号X1を第1の送信系統の信号として出力し、第2の系列の信号Y1を第2の送信系統の信号として出力し)、信号X2と信号Y2とを切り替えて(入れ替えて)出力する(第1の系列の信号X2を第2の送信系統の信号として出力し、第2の系列の信号Y2を第1の送信系統の信号として出力する)。つまり、1ビット間隔で入力した信号を切り替えて(入れ替えて)出力する。
【0036】
このように、図6に示した送信信号分配部114によれば、内符号符号化部113により符号化率1/2の畳み込み符号化された2系列の信号を、所定のタイミングで切り替えるようにした。これにより、内符号符号化部113において各生成多項式により生成された2系列の信号におけるそれぞれの系列の信号が、送信信号分配部114によって2つの送信系統の信号に偏ることなく均等に分配され、OFDM信号として各送信アンテナ101から送信される。
【0037】
なお、ここでは、送信信号切替タイミング記録部118から1ビット毎のタイミングの切替信号を送信信号切替部119に出力するようにしたが、2ビット毎のタイミングの切替信号であってもよいし、3ビット毎のタイミングの切替信号であってもよい。また、PN(Pseudo Noise:擬似雑音)符号系列などに従った、よりランダムなタイミングの切替信号であってもよい。要するに、送信信号切替部119が、一時的に保存した信号を読み出して2つの送信系統に均等に分配して出力できればよい。
【0038】
〔基地局装置200〕
次に、図1に示した基地局装置200について説明する。図7は、基地局装置200の構成例を示すブロック図である。この基地局装置200は、4本の受信アンテナ201、4系統の局部発信機およびミキサ(図示せず)、4系統のOFDM信号復調部210、MIMO復調部220、受信信号分配部230、デインタリーブ部240および誤り訂正復号部250を備えている。
【0039】
4本の受信アンテナ201は、各送信アンテナ101と各受信アンテナ201との間の伝搬路を経由して同一周波数上で混信したOFDM信号を受信する。4系統の局部発信機およびミキサ(図示せず)は、受信したOFDM信号の周波数変換を行う。
【0040】
4系統のOFDM信号復調部210は、局部発信機およびミキサにより周波数変換されたOFDM信号に対し、ガード相関によるシンボル同期、GI信号除去、FFT処理、フレーム分離、伝搬路応答推定などを行う。そして、4系統のOFDM信号復調部210は、シンボル同期などの処理後のデータ、および伝搬路推定した結果(伝搬路応答推定結果)をMIMO復調部220に出力する。
【0041】
MIMO復調部220は、4系統のOFDM信号復調部210からデータおよび伝搬路応答推定結果をそれぞれ入力し、4系統のデータおよび伝搬路応答推定結果を用いて、後段の誤り訂正復号部250における処理のために、混信して受信されたデータの分離および復調を行う。
【0042】
受信信号分配部230は、MIMO復調部220によりMIMO復調された信号を入力し、端末装置100の送信信号分配部114による分配処理が行われる前の信号と同じ状態になるように、その信号を並び替えて分配する。
【0043】
デインタリーブ部240は、受信信号分配部230により分配された信号にデインタリーブを行う。誤り訂正復号部250は、デインタリーブ部240により処理された信号に誤り訂正復号を行う。このようにして、基地局装置200は、端末装置100により送信されたOFDM信号を受信し、元の映像信号を生成する。
【0044】
〔受信信号分配部〕
次に、図7に示した受信信号分配部230について説明する。受信信号分配部230は、MIMO復調部220により生成されたOFDM信号の復調信号または誤り訂正復号に用いるメトリックを入力する。以下、入力した復調信号またはメトリックを、端末装置100の送信信号分配部114による分配処理が行われる前と同じ状態に戻す、いわゆる分配処理について説明する。
【0045】
図8は、図7に示した受信信号分配部230の構成例1を示すブロック図である。この受信信号分配部230−1は、MIMO復調部220により硬判定結果として生成されたOFDM信号の復調信号を入力して分配する(切り替える)機能を有し、受信信号切替タイミング記録部231および受信信号切替部232を備えている。
【0046】
受信信号切替タイミング記録部231は、受信信号切替部232がMIMO復調部220からの復調信号を並び替えて分配し、端末装置100の送信信号分配部114による分配処理が行われる前の状態(2つの系列の信号)に戻すためのタイミングを記録している。例えば、端末装置100の送信信号分配部114における送信信号切替部119が1ビット毎のタイミングで信号を振り分ける場合は、受信信号切替タイミング記録部231が、1ビット毎のタイミングで切替信号を出力する。
【0047】
受信信号切替部232は、メモリおよび切替スイッチなどで構成され、MIMO復調部220により硬判定結果として生成されたOFDM信号の復調信号を入力して一時的に保存し、受信信号切替タイミング記録部231から切替信号を入力し、その切替信号に従って、一時的に保存した信号を読み出して切り替え、端末装置100の送信信号分配部114による分配処理が行われる前の状態に戻す。すなわち、受信信号切替部232は、端末装置100の送信信号分配部114に対応した処理、すなわち、2つの送信系統の信号を、内符号符号化部113の各生成多項式により生成された2つの系列の信号になるように、ビット毎に切り替える。
【0048】
図9は、図7に示した受信信号分配部230の構成例2を示すブロック図である。この受信信号分配部230−2は、MIMO復調部220により生成された誤り訂正復号に用いるメトリックを入力して分配する(切り替える)機能を有し、受信信号切替タイミング記録部233およびメトリック切替部234を備えている。
【0049】
MIMO復調部220により生成される誤り訂正復号に用いるメトリックについて、ミリ波モバイルカメラで用いられている軟判定復調方式を例に説明する。ここでは、送信アンテナ#1から送信された信号x1および送信アンテナ#2から送信された信号x2に対し、(x1,x2)=(0,0)のときの尤度をメトリックΔn_00、(x1,x2)=(0,1)のときの尤度をメトリックΔn_01、(x1,x2)=(1,0)のときの尤度をメトリックΔn_10、(x1,x2)=(1,1)のときの尤度をメトリックΔn_11として表す。nはシンボル番号を示す。
【0050】
図7に示したMIMO復調部220は、シンボル毎にこれらのメトリックΔn_00,Δn_01,Δn_10,Δn_11を生成する。なお、MIMO復調部220によるメトリック生成処理の詳細については後述する。
【0051】
図9に示す受信信号切替タイミング記録部233は、メトリック切替部234がMIMO復調部220からのメトリックを切り替えて、端末装置100の送信信号分配部114による分配処理が行われる前の状態のデータに対応したメトリックを出力するためのタイミングを記録している。
【0052】
例えば、端末装置100の送信信号分配部114における送信信号切替部119が偶数番目のシンボルの信号を切り替える場合(図6で説明した例では、2番目の信号X2,Y2を切り替えると共に4番目の信号X4,Y4を切り替える場合)を想定する。受信信号切替タイミング記録部233は、2シンボル目(2番目の信号X2,Y2)のメトリックのうちのΔ2_01の値とΔ2_10の値を切り替えることを示す切替信号を出力する。また、受信信号切替タイミング記録部233は、4シンボル目(4番目の信号X4,Y4)のメトリックのうちのΔ4_01の値とΔ4_10の値を切り替えるための切替信号を出力する。この場合、切替信号は、Δn_01の値とΔn_10の値を切り替えるための信号となる。Δn_00の値およびΔn_11の値をそのまま使用するのは、端末装置100の送信信号分配部114において、信号Xn=0,Yn=0のデータの切り替えが行われたとしてもデータは同じであるから、切り替えが行われなかったことと同じになるからであり、信号Xn=1,Yn=1の場合も同様だからである。つまり、Δn_00の値およびΔn_11の値はそのまま使用される。
【0053】
メトリック切替部234は、メモリおよび切替スイッチなどで構成され、MIMO復調部220により生成されたメトリックを入力して一時的に保存し、受信信号切替タイミング記録部233から切替信号を入力し、その切替信号に従って、一時的に保存したメトリックを読み出して切り替え、端末装置100の送信信号分配部114による分配処理が行われる前の状態のデータに対応したメトリックを出力する。この場合、メトリックΔ_01の値とメトリックΔn_10の値とを切り替えて出力する。
【0054】
図17は、メトリック切替部234の処理を説明する図である。メトリック切替部234は、端末装置100の送信信号分配部114における送信信号切替部119が偶数番目のシンボルの信号を切り替える場合、図17に示すような処理を行う。偶数番目である2シンボル目において、MIMO復調部220が(x1,x2)=(1,0)のときのメトリックの値Δ2_10 を生成した場合、切り替えを行う前の状態の信号に対応させるためには、このメトリックは、(x1,x2)= (0,1)のメトリックΔ2_01にすべきである。よって、メトリック切替部234は、受信信号切替タイミング記録部233からの切替信号に従って、図17に示すように、メトリックΔ2_01とΔ2_10とを切り替えて出力する。一方、(x1,x2)=(0,0)および(x1,x2)=(1,1)のメトリックについては、切り替えを行う前の状態の信号と切り替えを行った後の状態の信号とは同じであるから、同じメトリックになり、切り替えは行わない。
【0055】
このように、図8および図9に示した受信信号分配部230−1,230−2によれば、受信信号切替部232およびメトリック切替部234が、MIMO復調部220からの信号(復調信号またはメトリック)を、受信信号切替タイミング記録部231,233からの切替信号に従って切り替えるようにした。これにより、受信信号分配部230−1,230−2は、端末装置100の送信信号分配部114において切り替え処理を行う前の状態の信号に対応した復調信号またはメトリックを出力することができる。
【0056】
以上のように、実施例1の無線映像伝送システムによれば、2本の送信アンテナ101を備えた端末装置100と、4本の受信アンテナ201を備えた基地局装置200との間でMIMO−OFDM伝送を行う場合に、端末装置100が、内符号符号化部113において1系統の信号に符号化率1/2の畳み込み符号化を行って2系列の信号を生成し、送信信号分配部114において、前記2系列の信号を偏りがなく均等に2つの送信系統に分配するように、入力した2系列の信号を切り替えて2つの送信系統の信号として出力するようにした。また、基地局装置200が、受信信号分配部230−1,230−2において、端末装置100の送信信号分配部114による分配処理(切り替え処理)を行う前の状態の信号に対応させるために、MIMO復調部220により出力された復調信号またはメトリックを切り替え、誤り訂正復号部250において誤り訂正復号を行うようにした。これにより、内符号符号化部113において複数の生成多項式を用いた符号化により生成した信号を、各送信系統に均等に分配することができる。そして、特定の送信アンテナ101のRF部の性能が劣化している場合、または特定の送信アンテナ101と受信アンテナ201との間の伝搬路特性が劣化している場合であっても、端末装置100により送信された信号を受信する基地局装置200において、符号化により生成されたそれぞれの系列間の信号の誤りには偏りがない。これにより、通常のSISO伝送の場合と同様に、復号による誤り訂正の効果を充分に得ることができる。
【0057】
〔MIMO復調部/メトリック生成〕
ここで、図7に示したMIMO復調部220がメトリックを生成する場合について詳細に説明する。図18は、MIMO復調部220がメトリックを生成する場合の構成例を示すブロック図である。図19は、図18に示すMIMO復調部220の処理を説明するフロー図である。なお、ここに説明するメトリック生成手法は例示であり、本発明はこの手法に限定されるものではない。
【0058】
このMIMO復調部220は、QR分解部2201、全変調候補点記録部2202、x1候補点生成及びx2誤差距離演算部2203、候補点x1’誤差距離演算部2204、誤差距離合成部2205、メモリ部2206およびビタビブランチメトリック算出部2207を備えている。
【0059】
QR分解部2201は、伝搬路推定結果を入力し、QR分解を行い、行列Qおよび行列Rを算出する(ステップS1)。伝搬路推定結果である伝搬路行列Hを以下に示す。
【数1】

ここで、伝搬路行列Hの要素hijは、送信アンテナjから受信アンテナiへの伝搬路の周波数応答特性を示す。以下の式によりQR分解を行い、直交行列Qおよび上三角行列Rを算出する。
H=Q・R (Q:直交行列,R:上三角行列) ・・・(2)
【0060】
x1候補点生成及びx2誤差距離演算部2203は、QR分解部2201により算出された行列Qおよび行列Rを入力し、送信信号x2を全候補点Sとみなしてして送信信号x1の全候補点x1’を演算し、また、送信信号x2の復調信号と全候補点Sとの間の誤差距離Δ2を演算する(ステップS2〜ステップS4)。ここで、第1の送信アンテナ#1から送信される信号を送信信号x1とし、第2の送信アンテナ#2から送信される信号を送信信号x2とする。以下、送信信号x1の全候補点x1’および送信信号x2の誤差距離Δ2の演算手法について説明する。
【0061】
行列Qは直交行列であるから、送信信号Xと受信信号Yとの間の関係は以下の通りとなる。
Y=HX=(Q・R)X
Y={(Q・Q)・R}X=RX ・・・(3)
ここで、受信アンテナ#1〜#4で受信する受信信号をY=[y1,y2,y3,y4](Tは転置を表す。)とし、送信アンテナ#1,#2から送信される送信信号をX=[x1,x2]とする。
【0062】
行列Rは上三角行列であるから、式(3)を以下の式で表すことができる。
【数2】

ここで、行列Rの要素は複素数である。x1候補点生成及びx2誤差距離演算部2203は、式(4)および全変調候補点記録部2202に記録された全変調候補点Sを用いて、送信信号x1の全候補点x1’および送信信号x2の誤差距離Δ2を、以下の式により算出する。
【数3】

ここで、全変調候補点Sは、例えば16QAMの変調方式におけるコンスタレーションで示される全ての点のことをいう。図20は、電波産業会(Association of Radio Industries and Businesses)で定められるテレビ番組素材伝送用の無線素材伝送システムの規格(ARIB STD−B33)に準拠した場合の、16QAMで表される送信信号の配置を示す図である。このコンスタレーション配置は、16QAMの変調方式における送信信号x1,x2のとり得る配置を示している。
【0063】
式(5)において、送信信号x1の全候補点x1’は、式(4)の送信信号x2に全変調候補点Sを代入して得られた16点の値である。また、送信信号x2の誤差距離Δ2は、式(4)により求められるx2(=y2’/R22)と、送信信号x2の全変調候補点Sとの間における16点の距離の値となる。
【0064】
候補点x1’誤差距離演算部2204は、x1候補点生成及びx2誤差距離演算部2203により算出された送信信号x1の全候補点x1’を入力し、この送信信号x1の全候補点x1’と、この候補点x1’の表す4ビット信号の順序に従って各ビットで定められた基準点との間の誤差距離(送信信号x1の誤差距離Δ1)を算出する(ステップS5)。具体的には、候補点x1’誤差距離演算部2204は、送信信号x1の全候補点x1’を表す4ビット信号の各ビットの信号点と、“0”の値をとる場合および“1”の値をとる場合のそれぞれに定めた基準点との誤差距離を、以下の式により算出する。ただし、以下の式では、ARIB STD−B33において定義される受信信号の振幅Z(=√10)による除算は省略してある。
【0065】
(A)送信信号x1の全候補点x1’を表す4ビット信号のうちの1ビット目の信号点と基準点との間の誤差距離
dist_x1_10=abs(abs(Re(x1’)-2)-1) (1ビット目”0”を基準)・・・(6)
dist_x1_11=abs(abs(Re(x1’)+2)-1) (1ビット目”1”を基準)・・・(7)
(B)送信信号x1の全候補点x1’を表す4ビット信号のうちの2ビット目の信号点と基準点との間の誤差距離
dist_x1_20=abs(abs(Im(x1’)-2)-1) (2ビット目”0”を基準)・・・(8)
dist_x1_21=abs(abs(Im(x1’)+2)-1) (2ビット目”1”を基準)・・・(9)
(C)送信信号x1の全候補点x1’を表す4ビット信号のうちの3ビット目の信号点と基準点との間の誤差距離
dist_x1_30=abs(abs(Re(x1’))-3) (3ビット目”0”を基準)・・・(10)
dist_x1_31=abs(abs(Re(x1’))-1) (3ビット目”1”を基準)・・・(11)
(D)送信信号x1の全候補点x1’を表す4ビット信号のうちの4ビット目の信号点と基準点との間の誤差距離
dist_x1_40=abs(abs(Im(x1’))-3) (4ビット目”0”を基準)・・・(12)
dist_x1_41=abs(abs(Im(x1’))-1) (4ビット目”1”を基準)・・・(13)
ここで、Reは実数部、Imは虚数部、absは絶対値をそれぞれ示し、各式において、それぞれ16個の誤差距離が算出される。
【0066】
図21は、コンスタレーション配置において、16QAMで表される4ビット信号の分布を示す図である。ここで、横軸は実数(real)または同相成分を表し、縦軸は虚数(imag)または直交成分を表す。図21に示すように、x1_10は1ビット目が“0”のときの領域、x1_11は1ビット目が“1”のときの領域、x1_20は2ビット目が“0”のときの領域、x1_21は2ビット目が“1”のときの領域、x1_30は3ビット目が“0”のときの領域、x1_31は3ビット目が“1”のときの領域、x1_40は4ビット目が“0”のときの領域、x1_41は4ビット目が“1”のときの領域である。
【0067】
送信信号x1の全候補点x1’を表す4ビット信号のうちの1ビット目について、それが“0”であるか“1”であるかは、送信信号x1の全候補点x1’における実数部の値が正であるか負であるかにより決定される。式(6)の誤差距離は、1ビット目“0”を基準にしたものであり、その実数部が1または3であるから、基準点を(2+0j)として算出される。一方、式(7)の誤差距離は、1ビット目“1”を基準にしたものであり、その実数部が−1または−3であるから、基準点を(−2+0j)として算出される。
【0068】
また、送信信号x1の全候補点x1’を表す4ビット信号のうちの2ビット目について、それが“0”であるか“1”であるかは、送信信号x1の全候補点x1’における虚数部の値が正であるか負であるかにより決定される。式(8)の誤差距離は、2ビット目“0”を基準にしたものであり、基準点を(0+2j)として算出される。一方、式(9)の誤差距離は、2ビット目“1”を基準にしたものであり、基準点を(0−2j)として算出される。
【0069】
また、送信信号x1の全候補点x1’を表す4ビット信号のうちの3ビット目について、式(10)の誤差距離は、3ビット目“0”を基準にしたものであり、基準点を(3+0j)または(−3+0j)として算出される。一方、式(11)の誤差距離は、3ビット目“1”を基準にしたものであり、基準点を(1+0j)または(−1+0j)として算出される。
【0070】
また、送信信号x1の全候補点x1’を表す4ビット信号のうちの4ビット目について、式(10)の誤差距離は、4ビット目“0”を基準にしたものであり、基準点を(0+3j)または(0−3j)として算出される。一方、式(11)の誤差距離は、4ビット目“1”を基準にしたものであり、基準点を(0+1j)または(0−1j)として算出される誤差距離である。
【0071】
誤差距離合成部2205は、x1候補点生成及びx2誤差距離演算部2203により算出された送信信号x2の誤差距離Δ2(16個)を入力し、候補点x1’誤差距離演算部2204により算出された送信信号x1の誤差距離Δ1(16×8=128個)を入力し、送信信号x2の誤差距離Δ2と、それに対応する(その誤差の16個の信号点に対応する)送信信号x1の誤差距離Δ1とを足し合わせ、送信信号x1および送信信号x2の合成誤差距離Δ12を、ビットの状態毎に以下のように算出する(ステップS6)。
(A)1ビット目の合成誤差距離
Δ12_x1_10=dist_x1_10+Δ2 ・・・(14)
Δ12_x1_11=dist_x1_11+Δ2 ・・・(15)
(B)2ビット目の合成誤差距離
Δ12_x1_20=dist_x1_20+Δ2 ・・・(16)
Δ12_x1_21=dist_x1_21+Δ2 ・・・(17)
(C)3ビット目の合成誤差距離
Δ12_x1_30=dist_x1_30+Δ2 ・・・(18)
Δ12_x1_31=dist_x1_31+Δ2 ・・・(19)
(D)4ビット目の合成誤差距離
Δ12_x1_40=dist_x1_40+Δ2 ・・・(20)
Δ12_x1_41=dist_x1_41+Δ2 ・・・(21)
【0072】
メモリ部2206は、誤差距離合成部2205により合成された送信信号x1および送信信号x2の合成誤差距離Δ12を、所定のデータ量分一時的に記録する(図19の処理フローではこのステップは省略してある。)。
【0073】
ビタビブランチメトリック算出部2207は、メモリ部2206に記録されたビットの状態毎の合成誤差距離(16×8=128個)を入力し、各ビットにおいて、送信信号x1の候補点x1’および送信信号x2の候補点x2’がとり得る4つのパターン(x1,x2)=(0,0),(0,1),(1,0),(1,1)について、該当する合成誤差距離群を選択し、その中から最小値をとる合成誤差距離を選択し、それを各パターンのメトリックとして出力する(ステップS7)。
【0074】
以上、MIMO復調部220によるメトリック生成手法について説明したが、本発明は、MIMO復調部220が軟判定結果としてメトリックを生成する場合だけでなく、硬判定結果として復調信号を生成する場合についても適用があることは言うまでもない。
【実施例2】
【0075】
次に、実施例2について説明する。実施例2の無線映像伝送システムは、図1から図9までに示した実施例1と同じ構成の無線映像伝送システムによって、1/2以外の符号化率の畳み込み符号化を行いMIMO−OFDM伝送を行う。実施例1と実施例2とを比較すると、実施例1は符号化率1/2で畳み込み符号化を行うのに対し、実施例2は1/2以外の符号化率で畳み込み符号化を行う点で相違する。
【0076】
実施例2の無線映像伝送システムも実施例1と同様に、端末装置100に備えた複数の送信アンテナ101から独立してOFDM信号を送信する場合には、特定の生成多項式により生成した信号が特定の送信アンテナ101から偏って送信することがないようにする。具体的には、実施例2の端末装置100も、実施例1における送信信号分配部114および受信信号分配部230を備えることにより、2つの生成多項式により生成した信号を均等に分配し、送信アンテナ#1,#2から送信する。
【0077】
図10は、ARIB STD B−31により規定される内符号の符号化率、パンクチュアー化パターンおよび伝送信号系列を示す図である。図10に示す符号化率、パンクチュアー化パターンおよび伝送信号系列は、図2に示した符号化部110を実施例2に用いる場合に適用される。
【0078】
図10において、パンクチュアー化パターンの「1」は信号を生成することを示し、「0」は信号を生成しないことを示している。「0」の場合の信号は無信号状態になる。つまり、パンクチュアー化パターンには、内符号符号化部113が生成する生成多項式系列X,Yの信号の有無が設定されている。例えば、符号化率2/3の場合、図10に示すパンクチュアー化パターン(X:10,Y:11)は、内符号符号化部113が、2シンボルの信号に対し、生成多項式系列Xの信号X1、および生成多項式系列Yの信号Y1,Y2を生成することを示している。送信1系統および受信1系統の通常のSISO(Single−Input Single−Output)伝送の場合、生成した信号はメモリに蓄えられ、図10の伝送信号系列で示す順番で信号の伝送が行われる。
【0079】
〔送信信号分配部による信号分配処理〕
以下、端末装置100の符号化部110における送信信号分配部114による信号分配処理について説明する。送信信号分配部114は、以下の(1)〜(4)の処理を行い、内符号符号化部113からの各系列の信号を均等に分配して出力する。
【0080】
(1)生成多項式により生成される信号(生成多項式系列X,Y)の数がそれぞれ送信アンテナ数の倍数となるように、パンクチュアー周期を設定する。
【0081】
(2)前記(1)におけるパンクチュアー周期毎に、生成多項式により生成される信号(生成多項式系列X,Y)が全ての送信アンテナ101から少なくとも1回は出力されるように、信号を各送信アンテナ101に割り当てる。
【0082】
(3)前記(2)において、生成多項式により生成される信号(生成多項式系列X,Y)を各送信系統およびシンボル方向に(時間方向に)同じ信号数になるように割り当てる。また、ある送信シンボルから次の送信シンボルに渡って連続して特定の送信アンテナ101から出力されないように、信号を各送信アンテナ101に割り当てる。
【0083】
(4)前記(3)において、同じ生成多項式から出力された信号が同じ送信シンボルに複数存在する場合は、その信号を任意の送信アンテナ101に割り当てる。
【0084】
図11は、2送信系統における送信信号分配例1を示す図である。この分配例は、2つの生成多項式により生成された信号が片方の送信アンテナ101に偏って送信されないようにするための例である。具体的に、図11は、図10に示したARIB STD B−31に規定されたパンクチュアー化パターンに従って、生成多項式系列Xが送信アンテナ#1から送信される数と送信アンテナ#2から送信される数とが同じになるように、かつ、生成多項式系列Yが送信アンテナ#1から送信される数と送信アンテナ#2から送信される数とが同じになるように、前記信号分配処理に従って信号を分配した例である。
【0085】
図11において、パンクチュアー化パターンの欄における縦の点線は、パンクチュアー化パターンの1周期の範囲を示し、送信信号の分配例の欄における括弧内の信号は、Tx1およびTx2に分配する信号を入れ換えることが可能であることを示している(前記信号分配処理(4)を参照)。
【0086】
図11によれば、例えば符号化率2/3の場合、パンクチュアー周期はパンクチュアー化パターンの2周期分が設定される(前記信号分配処理(1)を参照)。また、送信アンテナ#1から送信される送信系統の信号Tx1の数はXの信号が1個でありYの信号が2個であり、送信アンテナ#2から送信される送信系統の信号Tx2の数はXの信号が1個でありYの信号が2個である。したがって、均等に分配されていることがわかる(前記信号分配処理(2)(3)を参照)。
【0087】
この場合、送信信号分配部114の送信信号切替部119は、入力した生成多項式系列X,Yの信号をメモリに保存し、送信信号切替タイミング記録部118からの切替信号を入力し、その切替信号に従って、図11に示す送信信号の分配例に示す送信系統Tx1,Tx2の信号を出力する。具体的に、符号化率2/3の場合について説明する。送信信号切替部119は、パンクチュアー化パターンの2周期分のパンクチュアー化周期において、生成多項式系列Xの信号X1,X3を入力してメモリ(Xメモリ)に保存し、生成多項式系列Yの信号Y1,Y2,Y3,Y4をメモリ(Yメモリ)に保存する。一方、送信信号切替タイミング記録部118は、第1シンボルでは、Xメモリから信号X1を読み出して送信系統Tx1から出力すると共に、Yメモリから信号Y1を読み出して送信系統Tx2から出力するための切替信号を送信信号切替部119に出力する。また、送信信号切替タイミング記録部118は、第2シンボルでは、Yメモリから信号Y2を読み出して送信系統Tx1から出力すると共に、Xメモリから信号X3を読み出して送信系統Tx2から出力するための切替信号を送信信号切替部119に出力する。また、送信信号切替タイミング記録部118は、第3シンボルでは、Yメモリから信号Y3を読み出して送信系統Tx1から出力すると共に、Yメモリから信号Y4を読み出して送信系統Tx2から出力するための切替信号(この場合、信号Y3を送信系統Tx2から出力し、信号Y4を送信系統Tx1から出力するための切替信号であってもよい。)を送信信号切替部119に出力する。そして、送信信号切替部119は、送信信号切替タイミング記録部118から切替信号を入力し、図11の送信信号の分配例に示すように、生成多項式系列X,Yの信号を送信系統Tx1,Tx2にそれぞれ均等に分配する。
【0088】
このように、端末装置100の送信信号分配部114は、図11に示すように、生成多項式系列Xおよび生成多項式系列Yの信号を、送信アンテナ#1から送信される送信系統の信号Tx1、および送信アンテナ#2から送信される送信系統の信号Tx2に分配するようにした。その際に、生成多項式系列Xの信号をTx1に分配する信号数とTx2に分配する信号数とが等しく、かつ、生成多項式系列Yの信号をTx1に分配する信号数とTx2に分配する信号数とが等しくなるようにした。これにより、端末装置100において、畳み込み符号化により生成された各系列の信号を各送信系統に偏りなく分配することができる。
【0089】
図12は、2送信系統における送信信号分配例2を示す図である。この分配例は、図11に示した分配例と同様に、生成多項式系列XおよびYの信号が片方の送信アンテナ101に偏って送信されないようにするための例である。具体的に、図12は、図10に示したパンクチュアー化パターンを変更して、生成多項式系列Xが送信アンテナ#1から送信される数と送信アンテナ#2から送信される数とが同じになるように、かつ、生成多項式系列Yが送信アンテナ#1から送信される数と送信アンテナ#2から送信される数とが同じになるように、前記信号分配処理に従って信号を分配した例である。これに加えて、さらに、送信アンテナ#1から送信される生成多項式系列Xの数と生成多項式系列Yの数とが同じになり、送信アンテナ#2から送信される生成多項式系列Xの数と生成多項式系列Yの数とが同じになるように、前記信号分配処理に従って信号を分配した例である。
【0090】
図12によれば、符号化率2/3および7/8の場合において、ARIB STD B−31に規定されたパンクチュアー化パターンを変更することにより、生成多項式系列XおよびYの数が送信系統において全て等しくなっていることがわかる。この点で、図11と異なっている。これにより、図11に示した送信信号分配例1の場合よりもさらに、復号による誤り訂正の効果を得ることができる。
【0091】
以上のように、実施例2の無線映像伝送システムによれば、実施例1と同様の構成の下で、端末装置100が、内符号符号化部113において1/2以外の符号化率の畳み込み符号化を行って2系列の信号を生成し、送信信号分配部114において、2系列の信号に偏りがなく均等にするために、内符号符号化部113により出力された信号を分配するようにした。これにより、内符号符号化部113において複数の生成多項式を用いた符号化により生成した信号を、各送信系統に均等に分配することができる。したがって、実施例1と同様に、端末装置100により送信された信号を受信する基地局装置200において、信号の誤りに偏りが生じないから、通常のSISO伝送の場合と同様に、復号による誤り訂正の効果を充分に得ることができる。
【実施例3】
【0092】
次に、実施例3について説明する。実施例3の無線映像伝送システムは、3本または4本の送信アンテナを備えた端末装置を含んで構成され、MIMO−OFDM伝送を行うワイヤレスカメラシステムである。実施例1および実施例2と実施例3とを比較すると、実施例1および実施例2は送信アンテナの数が2本であり送信系統数が2であるのに対し、実施例3は送信アンテナの数が3本または4本であり送信系統数が3または4である点で相違する。
【0093】
実施例3の無線映像伝送システムも実施例1および実施例2と同様に、端末装置100に備えた3本または4本の送信アンテナ101から独立してOFDM信号を送信する場合には、特定の生成多項式により生成した信号が特定の送信アンテナ101から偏って送信することがないようにする。具体的には、実施例3の端末装置100も、実施例1および実施例2における送信信号分配部114および受信信号分配部230と同等の機能を有する分配部を備えることにより、複数の生成多項式により生成した各系列の信号を、送信アンテナ#1〜#3(または#1〜#4)から均等に分配して送信する。
【0094】
〔送信信号分配部による信号分配処理〕
実施例3の送信信号分配部114による信号分配処理は、実施例2にて示した(1)〜(4)の処理と同様である。
【0095】
図13は、3送信系統における送信信号分配例1を示す図である。この分配例は、生成多項式系列XおよびYの信号が、3本のうちのいずれか1本の送信アンテナ101に偏って送信されないようにするための例である。具体的に、図13は、図10に示したARIB STD B−31に規定されたパンクチュアー化パターンに従って、生成多項式系列Xが送信アンテナ#1から送信される数と送信アンテナ#2から送信される数と送信アンテナ#3から送信される数とが同じになるように、かつ、生成多項式系列Yが送信アンテナ#1から送信される数と送信アンテナ#2から送信される数と送信アンテナ#3から送信される数とが同じになるように、前記信号分配処理に従って信号を分配した例である。
【0096】
このように、端末装置100の送信信号分配部114は、図13に示すように、生成多項式系列Xおよび生成多項式系列Yの信号を、送信アンテナ#1から送信される送信系統の信号Tx1、送信アンテナ#2から送信される送信系統の信号Tx2、および送信アンテナ#3から送信される送信系統の信号に分配するようにした。その際に、生成多項式系列Xの信号をTx1に分配する信号数とTx2に分配する信号数とTx3に分配する信号数とが等しく、かつ、生成多項式系列Yの信号をTx1に分配する信号数とTx2に分配する信号数とTx3に分配する信号数とが等しくなるようにした。これにより、端末装置100において、畳み込み符号化により生成された各系列の信号を各送信系統に偏りなく分配することができる。
【0097】
図15は、4送信系統における送信信号分配例1を示す図である。この分配例は、生成多項式系列XおよびYの信号が、4本のうちのいずれか1本の送信アンテナ101に偏って送信されないようにするための例である。具体的に、図15は、図10に示したARIB STD B−31に規定されたパンクチュアー化パターンに従って、生成多項式系列Xが送信アンテナ#1から送信される数と送信アンテナ#2から送信される数と送信アンテナ#3から送信される数と送信アンテナ#4から送信される数とが同じになるように、かつ、生成多項式系列Yが送信アンテナ#1から送信される数と送信アンテナ#2から送信される数と送信アンテナ#3から送信される数と送信アンテナ#4から送信される数とが同じになるように、前記信号分配処理に従って信号を分配した例である。
【0098】
このように、端末装置100の送信信号分配部114は、図15に示すように、畳み込み符号化により生成された各系列の信号を各送信系統に偏りなく分配することができる。
【0099】
図14は、3送信系統における送信信号分配例2を示す図である。この分配例は、図13に示した分配例と同様に、生成多項式系列XおよびYの信号が片方の送信アンテナ101に偏って送信されないようにするための例である。具体的に、図14は、図10に示したパンクチュアー化パターンを変更して、生成多項式系列Xが送信アンテナ#1から送信される数と送信アンテナ#2から送信される数と送信アンテナ#3から送信される数とが同じになるように、かつ、生成多項式系列Yが送信アンテナ#1から送信される数と送信アンテナ#2から送信される数と送信アンテナ#3から送信される数とが同じになるように、前記信号分配処理に従って信号を分配した例である。これに加えて、さらに、送信アンテナ#1〜#3の各送信アンテナから送信される生成多項式系列Xの数と生成多項式系列Yの数とが同じになるように、前記信号分配処理に従って信号を分配した例である。
【0100】
図14によれば、符号化率2/3および7/8の場合において、ARIB STD B−31に規定されたパンクチュアー化パターンを変更することにより、生成多項式系列XおよびYの数が送信系統において全て等しくなっていることがわかる。この点で、図13と異なっている。これにより、図13に示した送信信号分配例1よりもさらに、復号による誤り訂正の効果を得ることができる。
【0101】
図16は、4送信系統における送信信号分配例2を示す図である。この分配例は、図15に示した分配例と同様に、生成多項式系列XおよびYの信号が片方の送信アンテナ101に偏って送信されないようにするための例である。具体的に、図16は、図10に示したパンクチュアー化パターンを変更して、生成多項式系列Xが送信アンテナ#1から送信される数と送信アンテナ#2から送信される数と送信アンテナ#3から送信される数と送信アンテナ#4から送信される数とが同じになるように、かつ、生成多項式系列Yが送信アンテナ#1から送信される数と送信アンテナ#2から送信される数と送信アンテナ#3から送信される数と送信アンテナ#4から送信される数が同じになるように、前記信号分配処理に従って信号を分配した例である。これに加えて、さらに、送信アンテナ#1〜#4の各送信アンテナから送信される生成多項式系列Xの数と生成多項式系列Yの数とが同じになるように、前記信号分配処理に従って信号を分配した例である。
【0102】
図16によれば、符号化率2/3および7/8の場合において、ARIB STD B−31に規定されたパンクチュアー化パターンを変更することにより、生成多項式系列XおよびYの数が送信系統において全て等しくなっていることがわかる。この点で、図15と異なっている。これにより、図15に示した送信信号分配例1よりもさらに、復号による誤り訂正の効果を得ることができる。
【0103】
以上のように、実施例3の無線映像伝送システムによれば、端末装置100が、内符号符号化部113において1系統の信号に所定の符号化率の畳み込み符号化を行って3系列または4系列の信号を生成し、送信信号分配部114において、3系列または4系列の信号に偏りがなく均等にするために、内符号符号化部113により出力された信号を分配するようにした。これにより、内符号符号化部113において複数の生成多項式を用いた符号化により生成した信号を、各送信系統に均等に分配することができる。したがって、実施例1,2と同様に、端末装置100により送信された信号を受信する基地局装置200において、信号の誤りに偏りが生じないから、通常のSISO伝送の場合と同様に、復号による誤り訂正の効果を充分に得ることができる。
【0104】
以上、実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、本発明は、符号化率、送受信アンテナ数、生成多項式の数、送信系統の数を限定するものではなく、前記実施例以外に想定される符号化率、送受信アンテナ数等についても適用がある。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】MIMO−OFDM伝送方式を用いた無線映像伝送システムの構成例を示す図である。
【図2】端末装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】符号化部の構成例1を示すブロック図である。
【図4】符号化部の構成例2を示すブロック図である。
【図5】内符号符号化部の構成例を示すブロック図である。
【図6】送信信号分配部の構成例を示すブロック図である。
【図7】基地局装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】受信信号分配部の構成例1を示すブロック図である。
【図9】受信信号分配部の構成例2を示すブロック図である。
【図10】ARIB STD B−31により規定される内符号の符号化率、パンクチュアー化パターンおよび伝送信号系列を示す図である。
【図11】2送信系統における送信信号分配例1を示す図である。
【図12】2送信系統における送信信号分配例2を示す図である。
【図13】3送信系統における送信信号分配例1を示す図である。
【図14】3送信系統における送信信号分配例2を示す図である。
【図15】4送信系統における送信信号分配例1を示す図である。
【図16】4送信系統における送信信号分配例2を示す図である。
【図17】受信信号分配部のメトリック切替部による処理を説明する図である。
【図18】MIMO復調部がメトリックを生成する場合の構成例を示すブロック図である。
【図19】MIMO復調部がメトリックを生成する場合の処理を説明するフロー図である。
【図20】ARIB STD−B33に準拠した場合の、16QAMで表される送信信号の配置を示す図である。
【図21】16QAMで表される4ビット信号の分布を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
100 端末装置
101 送信アンテナ
110 符号化部
111 外符号符号化部
112 外インタリーブ部
113 内符号符号化部
114 送信信号分配部
115 内インタリーブ部
116 シリアル−パラレル変換部
117 パラレル−シリアル変換部
118 送信信号切替タイミング記録部
119 送信信号切替部
120 OFDM信号生成部
130 局部発信機およびミキサ
200 基地局装置
201 受信アンテナ
210 OFDM信号復調部
220 MIMO復調部
230 受信信号分配部
231,233 受信信号切替タイミング記録部
232 受信信号切替部
234 メトリック切替部
240 デインタリーブ部
250 誤り訂正復号部
2201 QR分解部
2202 全変調候補点記録部
2203 x1候補点生成及びx2誤差距離演算部
2204 候補点x1’誤差距離演算部
2205 誤差距離合成部
2206 メモリ部
2207 ビタビブランチメトリック算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成多項式を用いた符号化により系列信号を生成し、複数の送信系統のOFDM信号を生成して前記送信系統に対応したそれぞれの送信アンテナから送信するMIMO送信装置において、
複数の生成多項式を用いて符号化を行い、複数の系列信号を生成する符号化部と、
前記符号化部により生成された複数の系列信号のそれぞれを、前記複数の送信系統に均等に分配する分配部と、を備えたことを特徴とするMIMO送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のMIMO送信装置において、
前記分配部は、前記複数の系列信号のそれぞれを、前記複数の送信系統に均等に分配し、さらに、前記複数の系列信号を、同一の送信系統内に均等に分配する、ことを特徴とするMIMO送信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のMIMO送信装置において、
1系統の信号を複数の系統の信号に変換するシリアル/パラレル変換部と、
前記シリアル/パラレル変換部により変換された1系統の信号を入力して符号化を行う、前記入力する1系統の信号にそれぞれ対応した複数の前記符号化部と、
前記符号化部により生成された複数の系列信号を1つの系列信号に変換する、前記符号化部にそれぞれ対応した複数のパラレル/シリアル変換部と、
前記複数のパラレル/シリアル変換部により変換されたそれぞれの系列信号を入力する前記分配部と、を備えたことを特徴とするMIMO送信装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載のMIMO送信装置において、
前記符号化部は、複数の生成多項式を用いて符号化を行い、予め設定されたパンクチュアー化パターンに従った複数の系列信号を生成し、
前記パンクチュアー化パターンは無信号状態の信号を生成するように設定されている、ことを特徴とするMIMO送信装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のMIMO送信装置において、
前記分配部は、切替部および切替タイミング記録部を備え、
前記切替タイミング記録部は、前記分配部が入力した複数の系列信号を複数の送信系統の信号として出力するためのタイミングを含む切替情報が記録されており、前記切替情報に基づいた切替信号を出力し、
前記切替部は、前記符号化部により生成された複数の系列信号を保存し、前記切替タイミング記録部からの切替信号に従って、前記保存した系列信号を読み出して、前記複数の送信系統に均等に分配するための切り替えを行う、ことを特徴とするMIMO送信装置。
【請求項6】
生成多項式を用いた符号化により複数の系列信号を生成し、前記複数の系列信号のそれぞれを複数の送信系統に均等に分配し、複数の送信アンテナからOFDM信号として伝送するMIMO通信システムにおけるMIMO受信装置であって、
受信した前記OFDM信号を前記送信系統毎の信号に復調する復調部と、
前記復調部により復調された送信系統毎の信号を切り替えて分配し、元の前記系列信号に戻す分配部と、
前記分配部により元に戻された系列信号に対し、前記符号化に対応した復号を行う復号部と、を備えたことを特徴とするMIMO受信装置。
【請求項7】
請求項6に記載のMIMO受信装置において、
前記分配部は、切替部および切替タイミング記録部を備え、
前記切替タイミング記録部は、前記分配部が入力した複数の送信系統毎の信号を元の系列信号として出力するためのタイミングを含む切替情報が記録されており、前記切替情報に基づいた切替信号を出力し、
前記切替部は、前記復調部により復調された送信系統毎の信号を保存し、前記切替タイミング記録部からの切替信号に従って、前記保存した送信系統の信号を読み出して、前記元の系列信号に戻すための切り替えを行う、ことを特徴とするMIMO受信装置。
【請求項8】
生成多項式を用いた符号化により複数の系列信号を生成し、前記複数の系列信号のそれぞれを複数の送信系統に均等に分配し、複数の送信アンテナからOFDM信号として伝送するMIMO通信システムにおけるMIMO受信装置であって、
受信した前記OFDM信号を軟判定復調し、誤り訂正復号のために用いるメトリックを、前記複数の送信系統の信号が取り得る値毎に生成する復調部と、
前記復調部により生成されたメトリックを、前記複数の系列信号が複数の送信系統に均等に分配されたことに対応させて、前記複数の系列信号が取り得る値毎のメトリックに切り替えて分配する分配部と、
前記分配部により切り替えて分配されたメトリックに基づいて、誤り訂正復号を行う復号部と、を備えたことを特徴とするMIMO受信装置。
【請求項9】
請求項8に記載のMIMO受信装置において、
前記分配部は、メトリック切替部および切替タイミング記録部を備え、
前記切替タイミング記録部は、前記複数の系列信号が複数の送信系統に均等に分配される前の状態に対応させたメトリックを得るための切替情報が記録されており、前記切替情報に基づいた切替信号を出力し、
前記切替部は、前記復調部により生成された、前記複数の送信系統の信号が取り得る値毎のメトリックを保存し、前記切替タイミング記録部からの切替信号に従って、前記保存したメトリックを読み出して、前記複数の系列信号が取り得る値毎のメトリックに切り替える、ことを特徴とするMIMO受信装置。
【請求項10】
請求項1から5までのいずれか一項に記載のMIMO送信装置と、請求項6から9までのいずれか一項に記載のMIMO受信装置と、を備えたことを特徴とするMIMO通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2010−124259(P2010−124259A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296248(P2008−296248)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】