説明

MRIシステム

【課題】アーチファクトを容易に除去できるMRIシステムを提供する。
【解決手段】コイル感度分布データ決定部441は、コイル感度分布データが収集済みである場合、操作者29の操作に応じて、画像のアーチファクトの除去に、収集済みのコイル感度分布データを用いるか、新たなコイル感度分布データを用いるかを決定する。コイル感度分布データ決定部441は、新たなコイル感度分布データを用いると決定した場合、新たなコイル感度分布データを収集する命令をMR装置制御手段21に送る。アーチファクト除去部442は、収集済みのコイル感度分布データ又は新たなコイル感度分布データを用いて、アーチファクトを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーチファクトを除去することが可能なMRI(Magnetic
Resonance Imaging)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、折返しアーチファクトを防止する幾つかの方法が知られている。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開09-000508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特開09-000508号公報の方法を用いても、オペレータが設定ミスなどをしてしまうと、折返しアーチファクトが生じることがある。折り返しが発生した場合、従来では、再度撮影を行っており、患者やオペレータに負担が掛かるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑み、アーチファクトを容易に除去できるMRIシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題を解決する本発明の第1のMRIシステムは、
被検体からデータを収集し、収集したデータから画像を再構成するMRIシステムであって、
上記被検体からデータを収集するデータ収集手段と、
上記データ収集手段によってコイル感度分布データが収集済みの場合、操作者の操作に応じて、収集済みのコイル感度分布データを用いて上記画像のアーチファクトを除去するアーチファクト除去手段と、
を有している。
また、本発明の第2のMRIシステムは、
被検体からデータを収集し、収集したデータから画像を再構成するMRIシステムであって、
上記被検体からデータを収集するデータ収集手段と、
上記データ収集手段によってコイル感度分布データが収集されていない場合、操作者の操作に応じて、上記データ収集手段がコイル感度分布データを収集するようにデータ収集手段を制御するデータ収集制御手段と、
上記データ収集制御手段が収集したコイル感度分布データを用いて上記画像のアーチファクトを除去するアーチファクト除去手段と、
を有している。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、操作者が、収集済みのコイル感度分布データを用いて画像のアーチファクトを除去できると判断した場合、収集済みのコイル感度分布データを用いることにより、画像のアーチファクトが除去される。また、コイル感度分布データが収集されていない場合は、コイル感度分布データを収集し、収集したコイル感度分布データを用いることにより、画像のアーチファクトが除去される。したがって、本スキャンをやり直す必要がなく、アーチファクトの除去された画像を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。尚、本発明は、発明を実施するための最良の形態に限定されるものではない。
【0008】
図1は、本発明の第1の実施形態のMRIシステム1のブロック図である。
【0009】
MRIシステム1は、MR装置10(データ収集手段の一例)と、制御装置20と、操作装置30とを有している。
【0010】
MR(Magnetic Resonance)装置10は、マルチプル受信コイル12を有している。MR装置10は、マルチプル受信コイル12を用いて被検体11の頭部11aからデータを収集し、収集したデータを制御装置20に送る。
【0011】
制御装置20は、MR装置10の動作を制御するMR装置制御手段21と、MR装置10からのデータを処理し、画像を再構成するデータ処理手段22とを有している。再構成された画像は、操作装置30に送られる。
【0012】
操作装置30は、制御装置20に命令を送ったり、画像にアーチファクトが発生した場合、操作者29の操作に応じて、アーチファクトを除去する処理を行う。操作装置30は、モニタ31と、キーボード32と、マウス33と、操作部34とを有している。
【0013】
図2は、操作部34の機能ブロックを示す図である。
【0014】
操作部34は、アーチファクト除去手段44と、表示制御手段45とを有している。アーチファクト除去手段44は、コイル感度分布データ決定部441と、アーチファクト除去部442とを有している。
【0015】
コイル感度分布データ決定部441は、MR装置10によってコイル感度分布データが収集済みの場合、操作者29の操作に応じて、画像のアーチファクトの除去に、収集済みのコイル感度分布データを用いるのか、新たなコイル感度分布を用いるのかを決定する。コイル感度分布データ決定部441は、新たなコイル感度分布データを用いると決定した場合、新たなコイル感度分布データを収集する命令をMR装置制御手段21に送る。
【0016】
また、コイル感度分布データ決定部441は、コイル感度分布データが収集されていない場合、操作者29の操作に応じて、コイル感度分布データを収集することを決定する。コイル感度分布データ決定部441は、コイル感度分布データを収集すると決定した場合、コイル感度分布データを収集する命令をMR装置制御手段21に送る。
【0017】
アーチファクト除去部442は、コイル感度分布データ決定部441が収集済みのコイル感度分布データを用いると決定した場合、収集済みのコイル感度分布データを用いて画像のアーチファクトを除去する。また、アーチファクト除去部442は、新たなコイル感度分布データが収集された場合、新たなコイル感度分布データを用いて画像のアーチファクトを除去する。
【0018】
表示制御手段45は、データ処理手段22で再構成された画像や、アーチファクトが除去された画像がモニタ31に表示されるように、モニタ31を制御する。
【0019】
上記のように構成されたMRIシステム1によって、画像のアーチファクトを容易に除去することができる。次に、MRIシステム1が画像に発生したアーチファクトをどのように除去するかについて説明する。
【0020】
図3は、MRIシステム1の処理フローを示す図である。
【0021】
ステップS11では、被検体11の頭部11aからデータを収集する前に、頭部11aのデータに空間感度分布に応じた重付けを行うためのコイル感度分布データを収集する。
【0022】
図4は、コイル感度分布データの収集範囲を概略的に示す図である。
【0023】
撮像領域FOV1は、被検体11の頭部11aが収まるように設定されている。コイル感度分布データの収集範囲Fcoilは、撮像領域FOV1内において空間感度分布に応じた重付けを確実に行うことができるように、撮像領域FOV1よりも広範囲に設定されている。MR装置制御手段21(図1および図2参照)は、コイル感度分布データの収集範囲Fcoilからコイル感度分布データが収集されるように、MR装置10を制御する。コイル感度分布データを収集した後、ステップS12に進む。
【0024】
ステップS12では、被検体11の頭部11aからデータが収集されるように、MR装置制御手段21がMR装置10を制御する。被検体11の頭部11aのデータは、マルチプル受信コイル12によって収集され、制御装置20のデータ処理手段22に送られる。データ処理手段22は、マルチプル受信コイル12からのデータを処理し、画像を再構成する。画像が再構成された後、ステップS13に進む。
【0025】
ステップS13では、表示制御手段45(図2参照)が、モニタ31に再構成画像が表示されるように、モニタ31を制御する。
【0026】
図5は、モニタ31の表示画面310に表示された画像の一例を示す図である。
【0027】
モニタ31の表示画面310の右側には、画像311が表示されており、表示画面310の左側には、2つのボタン312および313が表示される。図5に示すような画面が表示された後、ステップS14に進む。
【0028】
操作者29は、表示された画像311(図5参照)を見て、アーチファクトが発生しているかどうかを確認する。操作者29が、アーチファクトが発生しているのでアーチファクトを除去したいと考えた場合、アーチファクトを除去する処理が実行できるように、画像311の左側にはアーチファクト除去実行ボタン312が表示される。操作者29がマウス33の操作でアーチファクト除去実行ボタン312をクリックすると、アーチファクトの除去に必要な動作が実行される。一方、操作者29がアーチファクト除去実行ボタン312をクリックしない場合、ステップS15に進み、キャンセルボタン313がクリックされたか否かが判断される。操作者29は、アーチファクトの除去が不要であると判断した場合は、キャンセルボタン313をクリックする。キャンセルボタン313がクリックされると、プログラムは終了する。したがって、アーチファクト除去実行ボタン312又はキャンセルボタン313がクリックされるまでは、ステップS14とS15のループが繰り返し実行される。
【0029】
図5に示す画像311を参照すると、画像311には、アーチファクトは発生していない。したがって、操作者29は、アーチファクトを除去する処理は不要であると判断し、キャンセルボタン313をクリックする。したがって、プログラムが終了する。
【0030】
図5に示す画像311では、被検体11の頭部11aが、撮影領域FOV1(図4参照)に収まっている。しかし、例えば、操作者29の設定ミスなどが原因で、撮影領域がFOV1ではなく、FOV2(図4参照)に設定されていた場合、画像にアーチファクトが発生する。
【0031】
図6は、撮影領域がFOV2に設定された場合に表示画面310に表示される画像411を示す図である。
【0032】
図6を参照すると、画像411に折返しアーチファクト411aが発生している。この場合、操作者29は、折返しアーチファクト411aを除去する処理が必要であると判断し、アーチファクト除去実行ボタン312をクリックする。操作者29がアーチファクト除去実行ボタン312をクリックすると、ステップS16に進み、表示制御手段45(図2参照)の制御によって、モニタ31は以下のような画面を表示する(図7参照)。
【0033】
図7は、アーチファクト除去実行ボタン312(図6参照)がクリックされた場合にモニタ31が表示する表示画面310を示す図である。
【0034】
表示画面310には、コイル感度分布データが収集済みであることを意味する収集済みボタン314と、コイル感度分布データが収集されていないことを意味する未収集ボタン315とが表示される。図7に示す画面が表示された後ステップS17に進む。
【0035】
ステップS17では、操作者29は、収集済みボタン314か未収集ボタン315をクリックする。本実施形態では、ステップS11でコイル感度分布データが既に収集されている。したがって、操作者29は、収集済みボタン314をクリックする。収集済みボタン314がクリックされると、ステップS18に進む。
【0036】
ステップS18では、表示制御手段45(図2参照)が、モニタ31に以下のような画面を表示する(図8参照)。
【0037】
図8は、収集済みボタン314(図7参照)がクリックされた場合にモニタ31が表示する表示画面310を示す図である。
【0038】
表示画面310には、2つのボタン316および317が表示される。ボタン316は、収集済みのコイル感度分布データを用いてアーチファクトを除去することを意味するボタンである。一方、ボタン317は、新たにコイル感度分布データを収集し、収集した新たなコイル感度分布を用いてアーチファクトを除去することを意味するボタンである。図8に示す画面が表示された後ステップS19に進む。
【0039】
操作者29は、収集済みのコイル感度分布データを用いてアーチファクト411aを除去するのか、新たにコイル感度分布データを収集し、収集した新たなコイル感度分布を用いてアーチファクト411aを除去するのかを判断する。操作者29は、収集済みのコイル感度分布データを用いてアーチファクト411aを除去すると判断した場合、ボタン316をクリックする。一方、操作者29は、新たにコイル感度分布データを収集し、収集した新たなコイル感度分布を用いてアーチファクト411aを除去すると判断した場合、ボタン317をクリックする。
【0040】
図8の表示画面310に表示されている画像411に発生しているアーチファクトは、折返しアーチファクト411aである。折返しアーチファクト411aは、ステップS11で既に収集したコイル感度分布データを用いて除去することができる。したがって、操作者29は、収集済みのコイル感度分布データを用いてアーチファクト411aを除去すると判断し、ボタン316をクリックする。ボタン316がクリックされると、ステップS19から、ステップS21に進む。
【0041】
ステップS21では、コイル感度分布データ決定部441(図2参照)は、ボタン316がクリックされたことに応答して、アーチファクト除去部442(図2参照)に、収集済みのコイル感度分布データを用いて画像のアーチファクトを除去する命令を送る。アーチファクト除去部442は、この命令に応答して、ステップS11で収集済みのコイル感度分布データを用いて画像411の折返しアーチファクト411aを除去する。コイル感度分布データを用いて折返しアーチファクト411aを除去する演算方法は、既知の技術であるので、この演算方法についての説明は省略する。アーチファクト除去部442の演算処理によって、画像411から、折返しアーチファクト411aが除去される。
【0042】
尚、上記の説明では、ステップS11において、既にコイル感度分布データが収集されているので、ステップS17において、操作者29は、収集済みボタン314(図7参照)をクリックしている。しかし、ステップS11が実行されていない場合は、ステップS17において、操作者29は、未収集ボタン315(図7参照)をクリックする。未収集ボタン315がクリックされると、ステップS17から、ステップS24に進む。ステップS24では、モニタ31に、コイル感度分布データの収集範囲Fcoil(図4参照)を設定するのに必要なパラメータ入力画面が表示される。操作者29は、パラメータ入力画面に必要なパラメータ値を入力し、その後、コイル感度分布データを収集する命令をMR装置制御手段21に送る。したがって、ステップS24において、コイル感度分布データが収集される。コイル感度分布データが収集されると、ステップS24から、ステップS21に進み、アーチファクト除去部442(図2参照)は、ステップS24で収集したコイル感度分布データを用いて、画像411から折返しアーチファクト411aを除去する。したがって、ステップS17において、収集済みボタン314と未収集ボタン315のいずれのボタンがクリックされても、画像411から折返しアーチファクト411aが除去される。
【0043】
画像411から折返しアーチファクト411aが除去された後、ステップS22に進む。
【0044】
ステップS22では、表示制御手段45(図2参照)の制御によって、モニタ31は、折返しアーチファクト411aが除去された画像を表示する(図9参照)。
【0045】
図9は、折返しアーチファクト411aが除去された画像411’を表示するモニタ31の表示画面310の一例を示す図である。
【0046】
折返しアーチファクト411aが除去された画像411’の左側には、次の撮影を続行するための撮影続行ボタン318と、撮影を終了する終了ボタン319とが表示される。図9の画面が表示された後、ステップS23に進む。
【0047】
操作者29は、撮影を続行するか、それとも撮影を終了するかを判断する。操作者29は、撮影を続行すると判断した場合、撮影続行ボタン318をクリックする。撮影続行ボタン318がクリックされると、ステップS11に戻る。一方、操作者29は、撮影を終了すると判断した場合、終了ボタン319をクリックする。終了ボタン319がクリックされると、プログラムが終了する。
【0048】
上記のように、画像411に発生した折返しアーチファクト411a(図6参照)は、収集済みのコイル感度分布データを用いて除去される。したがって、本スキャン(ステップS12)を再度行わなくても、折返しアーチファクト411aが除去された画像411’を得ることができ、本スキャンを再度行う手間を省くことができる。
【0049】
尚、近年、コイル感度分布データを用いて折返しを除去する方法として、Parallel Imaging法が普及している。Parallel Imaging法では、k空間上のデータ間隔を間引くことが原因で発生する折返しを、コイル感度分布データを用いて除去しているが、Parallel Imaging法で撮影しても、撮影中に被検体が動くことが原因で、画像にアーチファクトが発生することがある。本発明は、撮影中に被検体が動くことが原因で画像に発生するアーチファクトを除去することもできる。以下では、Parallel Imaging法で撮影する場合に、被検体が動くことが原因で画像に発生したアーチファクトをどのように除去するかについて、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0050】
先ず、ステップS11において、コイル感度分布データを収集する。
【0051】
図10は、ステップS11でコイル感度分布データを収集しているときの被検体11の頭部11aの位置を示す図である。
【0052】
撮像領域FOV1は、被検体11の頭部11aが収まるように設定されている。コイル感度分布データの収集範囲Fcoilは、撮像領域FOV1内において空間感度分布に応じた重付けを確実に行うことができるように、撮像領域FOV1よりも広範囲に設定されている。MR装置制御手段21(図1および図2参照)は、コイル感度分布データの収集範囲Fcoilからコイル感度分布データが収集されるように、MR装置10を制御する。コイル感度分布データを収集した後、ステップS12に進む。
【0053】
ステップS12では、Parallel
Imaging法により、被検体11の頭部11aを撮影する。しかし、本スキャン開始前に被検体11が動いてしまうことによって、被検体11の頭部11aの位置が、ステップS11でコイル感度分布データを収集したときの頭部11aの位置からずれることがある(図11参照)。
【0054】
図11は、本スキャン開始前に被検体11の頭部11aの位置がずれた様子を示す図である。
【0055】
ステップS11でコイル感度分布データを収集したときの頭部11aの位置は、破線で示されており(図10参照)、被検体11が本スキャン開始前に動いた後の頭部11aの位置は、実線で示されている。被検体11の頭部11aが、破線の位置から実線の位置にずれた状態で、本スキャンが実行されると、ステップS13において、以下のような画像が表示される(図12参照)。
【0056】
図12は、被検体11の頭部11aが破線の位置から実線の位置にずれた場合に、モニタ31の表示画面310に表示される画像511を概略的に示す図である。
【0057】
表示画面310には、画像511が表示されている。破線511cは、ステップS11においてコイル感度分布データを収集したときの頭部11aの位置である。画像511は、白抜きで示された画像部分511aと、斜線で示された画像部分511bとを有している。画像部分511aは、破線511cで囲まれた領域に重なる部分であり、画像部分511bは、破線511cで囲まれた領域の外側の部分である。画像部分511aは、コイル感度分布データによる空間感度分布の重付けが行われる部分であるので、比較的鮮明に表示される。しかし、画像部分511bは、コイル感度分布データを収集したときの頭部11aの位置からずれているので、不鮮明に表示される。このように、被検体11の頭部11aが動いた場合、画像511には、体動アーチファクトが発生する。図12に示す画像511が表示された後、ステップS14に進む。
【0058】
操作者29は、画像511の体動アーチファクトを除去するために、アーチファクト除去実行ボタン312をクリックする。ボタン312がクリックされると、ステップS14から、ステップS16に進み、表示制御手段45(図2参照)の制御によって、モニタ31は以下のような画面を表示する(図13参照)。
【0059】
図13は、アーチファクト除去実行ボタン312(図12参照)がクリックされた場合にモニタ31が表示する表示画面310を示す図である。
【0060】
表示画面310には、コイル感度分布データが収集済みであることを意味する収集済みボタン314と、コイル感度分布データが収集されていないことを意味する未収集ボタン315とが表示される。図13に示す画面が表示された後ステップS17に進む。
【0061】
ステップS17では、操作者29は、収集済みボタン314か未収集ボタン315をクリックする。本実施形態では、ステップS11でコイル感度分布データが既に収集されている。したがって、操作者29は、収集済みボタン314をクリックする。収集済みボタン314がクリックされると、ステップS18に進む。
【0062】
ステップS18では、表示制御手段45(図2参照)が、モニタ31に以下のような画面を表示する(図14参照)。
【0063】
図14は、収集済みボタン314(図13参照)がクリックされた場合にモニタ31が表示する表示画面310を示す図である。
【0064】
表示画面310には、2つのボタン316および317が表示される。ボタン316は、収集済みのコイル感度分布データを用いてアーチファクトを除去することを意味するボタンである。一方、ボタン317は、新たにコイル感度分布データを収集し、収集した新たなコイル感度分布を用いてアーチファクトを除去することを意味するボタンである。図14に示す画面が表示された後ステップS19に進む。
【0065】
操作者29は、収集済みのコイル感度分布データを用いて画像511に発生したアーチファクトを除去するのか、新たにコイル感度分布データを収集し、収集した新たなコイル感度分布を用いてアーチファクトを除去するのかを判断する。画像511に発生しているアーチファクトは、頭部11aの位置が、図11に示す破線の位置から、実線の位置にずれたことにより発生した体動アーチファクトである。したがって、画像511からアーチファクトを除去するには、頭部11aが図11に示す実線の位置に存在しているときに収集されたコイル感度分布データを用いる必要がある。しかし、ステップS11で収集された収集済みのコイル感度分布データは、頭部11aが図11に示す破線の位置に存在しているときに収集されたデータである。したがって、収集済みのコイル感度分布データを用いても、画像511から体動アーチファクトを除去することはできない。そこで、操作者29は、画像511から体動アーチファクトを除去するためには、頭部11aが図11に示す実線の位置に存在しているときのコイル感度分布データを収集する必要があると判断し、ボタン317をクリックする。ボタン317がクリックされると、ステップS20に進む。
【0066】
ステップS20では、ボタン317がクリックされたことを受けて、コイル感度分布データ決定部441が、MR装置制御手段21に、新たなコイル感度分布データを収集する命令を送る。MR装置制御手段21は、この命令を受けて、新たなコイル感度分布データを収集する。新たなコイル感度分布データを収集している間、被検体11の頭部11aは、図11に示す実線の位置に存在している。したがって、画像511のアーチファクトを除去するのに適したコイル感度分布データが得られる。コイル感度分布データを収集した後、ステップS21に進む。
【0067】
ステップS21では、コイル感度分布データ決定部441(図2参照)は、ボタン317がクリックされたことに応答して、アーチファクト除去部442(図2参照)に、ステップS20で収集された新たなコイル感度分布データを用いて画像511の体動アーチファクトを除去する命令を送る。アーチファクト除去部442は、この命令に応答して、ステップS20で収集された新たなコイル感度分布データを用いて画像511の体動アーチファクトを除去する。コイル感度分布データを用いて画像511の体動アーチファクトを除去する演算方法は、既知の技術であるので、この演算方法についての説明は省略する。アーチファクト除去部442の演算処理によって、画像511から、体動アーチファクトが除去される。その後、ステップS22に進む。
【0068】
ステップS22では、表示制御手段45(図2参照)の制御によって、モニタ31は、体動アーチファクトが除去された画像を表示する(図15参照)。
【0069】
図15は、体動アーチファクトが除去された画像511’を表示するモニタ31の表示画面310の一例を示す図である。
【0070】
図15には、体動アーチファクトが除去された画像511’が表示される。その後、操作者29は、撮影続行ボタン318又は終了ボタン319をクリックする。
【0071】
上記のように、Parallel Imaging法で画像511に体動アーチファクトが発生しても、新たなコイル感度分布データを収集し、収集した新たなコイル感度分布データを用いることによって、画像511から体動アーチファクトが除去される。したがって、本スキャンを再度行わなくても、体動アーチファクトが除去された画像511’を得ることができ、本スキャンを再度行う手間を省くことができる。
【0072】
本実施形態では、頭部11aを撮影しているが、本発明は、被検体11の頭部11a以外の部位を撮影した場合に発生するアーチファクトの除去にも適用することができる。
【0073】
尚、図5〜図9および図12〜図15に、表示画面310が示されているが、図5〜図9および図12〜図15の表示画面310は一例であり、本発明の範囲内で、図5〜図9および図12〜図15とは異なる画面が表示されるようにしてもよい。また、本実施形態では、図5〜図9および図12〜図15に表示されている各種ボタンは、マウス33の操作でクリックされているが、キーボード32の操作で選択されたり、他のポインティングデバイスの操作でクリックおよび/又は選択されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施形態のMRIシステム1のブロック図である。
【図2】操作部34の機能ブロックを示す図である。
【図3】MRIシステム1の処理フローを示す図である。
【図4】コイル感度分布データの収集範囲を概略的に示す図である。
【図5】モニタ31の表示画面310に表示された画像の一例を示す図である。
【図6】撮影領域がFOV2に設定された場合に表示画面310に表示される画像411を示す図である。
【図7】アーチファクト除去実行ボタン312がクリックされた場合のモニタ31の表示画面310を示す図である。
【図8】収集済みボタン314がクリックされた場合のモニタ31の表示画面310を示す図である。
【図9】折返しアーチファクト411aが除去された画像411’を表示するモニタ31の表示画面310の一例を示す図である。
【図10】コイル感度分布データを収集しているときの被検体11の頭部11aの位置を示す図である。
【図11】本スキャン中に被検体11の頭部11aの位置がずれた様子を示す図である。
【図12】被検体11の頭部11aが、一点鎖線の位置から実線の位置にずれた場合にモニタ31の表示画面310に表示される画像511を示す図である。
【図13】アーチファクト除去実行ボタン312がクリックされた場合のモニタ31の表示画面310を示す図である。
【図14】収集済みボタン314がクリックされた場合のモニタ31の表示画面310を示す図である。
【図15】体動アーチファクトが除去された画像511’を表示するモニタ31の表示画面310の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1 MRIシステム
10 MR装置
11 被検体
11a 頭部
12 マルチプル受信コイル
20 制御装置
21 MR装置制御手段
22 データ処理手段
30 操作装置
31 モニタ
32 キーボード
33 マウス
34 操作部
341 コイル感度分布データ決定手段
342 アーチファクト除去制御手段
343 アーチファクト除去手段
344 表示制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体からデータを収集し、収集したデータから画像を再構成するMRIシステムであって、
前記被検体からデータを収集するデータ収集手段と、
前記データ収集手段によってコイル感度分布データが収集済みの場合、操作者の操作に応じて、収集済みのコイル感度分布データを用いて前記画像のアーチファクトを除去するアーチファクト除去手段と、
を有するMRIシステム。
【請求項2】
前記アーチファクト除去手段は、
前記操作者の操作に応じて、新たなコイル感度分布データを収集することを決定する、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項3】
前記アーチファクト除去手段が前記新たなコイル感度分布データを収集すると決定した場合、前記データ収集手段が前記新たなコイル感度分布データを収集するように前記データ収集手段を制御するデータ収集制御手段、
を有する請求項2に記載のMRIシステム。
【請求項4】
前記アーチファクト除去手段は、
前記新たなコイル感度分布データが収集された場合、前記新たなコイル感度分布データを用いて画像のアーチファクトを除去する、請求項3に記載のMRIシステム。
【請求項5】
表示手段と、
再構成された画像が前記表示手段に表示されるように、前記表示手段を制御する表示制御手段と、
を有する請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のMRIシステム。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記表示手段に、アーチファクトが除去された前記画像が表示されるように、前記表示手段を制御する、請求項5に記載のMRIシステム。
【請求項7】
被検体からデータを収集し、収集したデータから画像を再構成するMRIシステムであって、
前記被検体からデータを収集するデータ収集手段と、
前記データ収集手段によってコイル感度分布データが収集されていない場合、操作者の操作に応じて、前記データ収集手段がコイル感度分布データを収集するようにデータ収集手段を制御するデータ収集制御手段と、
前記データ収集制御手段が収集したコイル感度分布データを用いて前記画像のアーチファクトを除去するアーチファクト除去手段と、
を有するMRIシステム。
【請求項8】
前記アーチファクトは、折返しアーチファクトである、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載のMRIシステム。
【請求項9】
前記アーチファクトは、体動アーチファクトである、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載のMRIシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−5232(P2010−5232A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169756(P2008−169756)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】