説明

N−アシル−L−アスパラギン酸を利用した方法および製造物

本発明は、炎症、炎症性疾患および炎症状態の治療のための、また、増殖性疾患および増殖性状態の治療のための治療方法および治療薬を提供する。本発明は、さらに、切り出された細胞、組織、器官において、炎症を抑制するための方法および製造物を提供する。本発明は、さらに、動物の口の組織の処理のための口内ケア用の方法および製造物を提供する。最後に、本発明は、動物の皮膚の処理のためのパーソナルケア用の方法および製造物を提供する。上記各方法および各製造物は、N−アシル−L−アスパラギン酸、そのエステル、またはその製剤的に許容可能な塩を利用している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−アシル−L−アスパラギン酸、そのエステル、またはその製薬的許容可能な塩を利用した方法および製造物に関する。好ましい実施形態では、本発明は、炎症、炎症性疾患および炎症状態、並びに増殖性疾患および増殖性状態の治療のための治療方法および治療薬に関する。他の実施形態においては、本発明は、切り出された細胞、組織、器官を処理するための生産物および方法に関する。さらに他の実施形態では、本発明は、動物の口の治療のための生産物および方法に関する。4番目の実施形態においては、本発明は、身体の手入れ、特に動物の皮膚の治療のための生産物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症とは、種々な、傷、感染、ストレスに対する、身体における、順次生じる、一連の各反応の結果である。
【0003】
上記炎症性の反応は、ストレスへの反応、感染を回避すること、傷を治すことにとって重要である。しかしながら、炎症は、ダメージでもある。実際、炎症は、多くの疾患や不調における、発病過程の重要な構成要素である。
【0004】
その上、例えば癌といった多くの疾患での炎症の存在は、病気の予後において、好ましからざる徴候となる。最後に、極端な場合、炎症は、適切に処理されないと、結果として命を脅かす反応になる可能性も有している。炎症や、炎症性の疾患や状態に対する治療のための要求が、現在においても引き続き存在している。
【0005】
増殖性の疾患や状態は、癌や、血管新生由来の疾患や状態(例えば、腫瘍増殖、腫瘍転移、黄斑変性症)を含む。増殖性の疾患や状態に対する治療のための要求も、現在においても引き続き存在している。
【0006】
本発明の要旨
本発明の一実施形態では、炎症の治療の方法を提供する。上記方法は、上記治療を必要とする動物に対し、下記の式Iに示す化合物を、その効果的な量にて投与するステップを有する。
【0007】
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよい。さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として投与してもよい。
【0008】
本発明の他の実施形態では、炎症性疾患および炎症状態の治療のための方法を提供する。上記方法は、上記治療を必要とする動物に対し、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、その効果的な量にて投与するステップを有する。
【0009】
本発明のさらに他の実施形態では、増殖性疾患および増殖性状態の治療のための方法を提供する。上記方法は、上記治療を必要とする動物に対し、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、その効果的な量にて投与するステップを有する。
【0010】
本発明のさらに他の実施形態では、皮膚の疾患および皮膚の状態の治療のための方法を提供する。上記方法は、上記治療を必要とする動物に対し、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、その効果的な量にて投与するステップを有する。
【0011】
本発明のさらに他の実施形態は、製剤組成を提供する。上記製剤組成は、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩と、製剤的に許容可能な担体とを有する。
【0012】
本発明のさらに他の実施形態は、動物から除去された細胞、組織、または器官を処理するための方法を提供する。上記方法は、上記細胞、組織、または器官を、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の有効量を含む、溶液または媒体に接触させるステップを有する。
【0013】
本発明のさらに他の実施形態は、動物から除去された細胞、組織、または器官を接触させるための溶液または媒体を提供する。上記溶液または媒体は、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態は、動物から除去された細胞、組織、または器官を上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩と接触させるためのキット(用具一式)を提供する。上記キットは、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を保持するためのコンテナを含む。
【0015】
本発明のさらに他の実施形態では、動物の口の組織の治療のための方法を提供する。上記方法は、上記組織を、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の効果的な量に対して接触させるステップを有する。
【0016】
本発明のさらに他の実施形態では、動物の口の病気または状態を治療する方法を提供する。上記方法は、上記動物に対し、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、その効果的な量にて投与するステップを有する。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態では、動物の一つまたは複数の歯を白くする方法を提供する。上記方法は、上記動物の口の組織に対し、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の効果的な量を接触させるステップを有する。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態では、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を有する、歯の手入れ用製品と、上記歯の手入れ用製品を有するキットとを含む。上記歯の手入れ用製品は、歯の手入れ用器具であっても、歯の手入れ用組成物であってもよい。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態では、動物における皮膚部分の治療のための方法を提供する。上記方法は、上記動物における皮膚部分を、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、その効果的な量にて接触させるステップを有する。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態では、身体の手入れ用製品と、上記身体の手入れ用製品を有するキットとを含む。上記身体の手入れ用製品は、身体の手入れ用器具であっても、身体の手入れ用組成物であってもよい。
【0021】
(本発明の好ましい実施形態の詳細な説明)
A.化合物
本発明は、下記の式Iに示す化合物、または、上記式Iにて示される化合物における製剤的に許容可能な塩を利用した生産物および方法を提供する。式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよい。
【0022】
より好ましい化合物としては、N−アセチル−L−アスパラギン酸(NAA)または上記NAAにおける製剤的に許容可能な塩が挙げられる。
【0023】
本明細書では、上記アルキル基は、直鎖または分鎖の飽和炭化水素を意味するもので、好ましくは、1−30の炭素原子を含み、より好ましくは1−20の炭素原子を含むもの(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基など)が用いられる。
【0024】
本明細書では、上記アリール基は、少なくとも1つの芳香環を有する芳香族(例えば、フェニル基)を意味するものとして用いられている。
【0025】
本明細書では、上記アルキルアリール基は、上記アリール基を結合して有するアルキル基(例えば、−CH265、または、−CH3CH(C65)CH3)を意味するものとして用いられている。
【0026】
本明細書では、上記アリールアルキル基は、上記アルキル基を結合して有するアリール基(例えば、−C65−CH3)を意味するものとして用いられている。
【0027】
本明細書では、上記シクロアルキル基は、少なくとも1つの環を含む飽和環状炭化水素を意味するもの(例えば、シクロヘキシル基)として用いられている。
【0028】
本明細書では、上記ハロゲン原子は、臭素、塩素、フッ素、ヨウ素の各原子を意味するものとして用いられている。好ましいものとして、低級アルキル基を、1−2の塩素原子、または1−3のフッ素原子と置換したものが挙げられる。
【0029】
本明細書では、上記低級アルキル基は、1−3の炭素原子を含むアルキル基を意味するものとして用いられている。
【0030】
本明細書では、上記極性基は、一般に、水溶液内にて荷電される置換基(例えば、−OH、−COOH、および−NH2)を意味するものとして用いられている。
【0031】
上記式(I)の各化合物は、多くの化学会社からの市販品が利用可能のものであり、また、従来公知に方法により合成可能なものである。上記式(I)によりカバーされる各化合物の多くのものの各市販品の供給元として、シグマアルドリッチ社(St. Louis, MO)、ローディアファーマ社(RhodiaPharma Solutions, Cranbury, NJ)、スペクトラム化成品社(Spectrum Chemicals & Laboratory Products Inc., Gardena, CA)、バイオトレンド社(BIOTREND Chemikalien GmbH, Cologne, Germany)、デグサ社(Degussa AG, Marl, Germany)、ケモス社(CHEMOS GmbH, Regenstauf, Germany)、DSL化成品社(DSL Chemicals (Shanghai) Co. , Ltd., Shanghai, China)、およびラボデポ社(The Lab Depot, Inc. , Alpharetta, GA.)が挙げられる。
【0032】
上記式(I)の各化合物の有用な調製方法としては、例えば、ボダンスキーらの(Bodansky and Bodansky, The Practice of Peptide Synthesis, pages 63-66 (2nd ed. , Springer-Verlag, 1994))、ムーアらの(Moore et al., Archives of Biochemistry and Biophysics, 413(1) : 1-8 (May 2003))、およびリシュッツらの(Liwschitz et al.,J. Chem. Soc. C, 223-225 (1971))の各文献の各記載、並びに米国特許公報第5,399,570号、米国特許公報第5,756,465号、および米国特許公報第6,200,969号の各記載が挙げられる。
【0033】
上記式Iにて示される各化合物における製剤的に許容可能な各塩は、無機塩基または有機塩基(例えば、製剤的に許容可能な陽イオン金属の水酸基、炭酸塩、または重炭酸塩)から誘導される、従来からの無毒な塩を含む。上記各塩は、例えば、上記化合物塩基を、遊離酸にて中和することによるといった、従来公知に方法にて調製される。
【0034】
B.治療方法と製剤組成物
本発明は、特定の各病気および各病的な状態を治療するための各治療方法および各製剤組成物を提供する。上記各治療方法および各製剤組成物は、上記式Iにて示される各化合物、または上記各化合物における製剤的に許容可能な各塩を利用するものである。
【0035】
本明細書では、上記治療は、病気または状態の病状または重症度を、全体的にまたは部分的に低減することを意味する。上記低減には、上記病気または状態を治すこと、および、上記病気または状態を、全体的にまたは部分的に防止することを含む。
【0036】
特に、上記式Iにて示される各化合物、または上記各化合物における製剤的に許容可能な各塩は、炎症を抑制することに使用できる。したがって、上記式Iにて示される各化合物、または上記各化合物における製剤的に許容可能な各塩は、炎症を治療することに使用できる。好ましい実施形態では、上記式Iにて示される各化合物、または上記各化合物における製剤的に許容可能な各塩は、口の組織、粘膜、皮膚の一部、呼吸器系の一部、または胃腸管の炎症を治療することに使用できる。さらに好ましい実施形態では、上記式Iにて示される各化合物、または上記各化合物における製剤的に許容可能な各塩は、口の組織、粘膜、または皮膚の部分の炎症を治療することに使用できる。
【0037】
本明細書では、上記抑制は、全体的にまたは部分的に低減すること、および、全体的にまたは部分的に防止することを含む。上記一部の記載は、一部および複数の部分に関しており、一以上の部分を含む。
【0038】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、炎症性の病気または炎症性の状態を治療することにも使用できる。上記炎症性の病気または炎症性の状態は、炎症を引き起こすもの、または、炎症に起因するもの、または、炎症を含むもの、または、炎症によって悪化したものである。
【0039】
好ましい実施形態では、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、口、皮膚、呼吸器系、または胃腸管における、炎症性の病気または炎症性の状態を治療することに使用される。
【0040】
より好ましい実施形態では、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、口、または皮膚における、炎症性の病気または炎症性の状態を治療することに使用される。
【0041】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩により治療され得る炎症性の病気または炎症性の状態を特定したものは、急性呼吸窮迫症候群、アレルギー、関節炎、喘息、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症)、気管支炎、癌、大腸炎、クローン病、嚢胞性線維症、気腫、心内膜炎、歯肉炎、歯根膜炎、胃炎、感染症(バクテリア、ウイルス、酵母、真菌、および寄生虫)、炎症性腸感染症、炎症性の皮膚病(後述を参照)、網膜虚血、複合器官機能不全症候群、多臓器不全、腎炎、神経組織変成性疾病(例えば、アルツハイマー病、筋組織欠損性の側索硬化症、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、老年性痴呆)、膵臓炎、乾癬、呼吸器系のウイルス感染症、敗血症、ショック、全身性炎症反応症候群、外傷、潰瘍性大腸炎、他の炎症性疾、および他の炎症性の状態を含む。
【0042】
炎症、および炎症性の病気または炎症性の状態への治療に加えて、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、増殖性の各病気および増殖性の病的な各状態を治療することに使用できる。増殖性の病気および増殖性の状態は、各細胞の増殖を引き起こす、または、各細胞の増殖に起因する、または、各細胞の増殖を含む、または、各細胞の増殖によって悪化する、病気や状態である。上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩によって治療される増殖性の病気および増殖性の状態を特定したものとしては、癌、血管の増殖性疾患、メサンギウム細胞増殖性疾患および繊維症の病気が挙げられる。
【0043】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩により治療可能な癌を特定したものとしては、悪性腫瘍、肉腫、脳腫瘍、頭頸部癌、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、膀胱癌、甲状腺癌、肝癌、肺癌、骨肉腫、皮膚癌、白血病、リンパ腫および白血病が挙げられる。
【0044】
血管の増殖性疾患は、血管新生由来の病気およびその状態を含む。血管新生由来の病気およびその状態は、血管新生を生じさせる、または、血管新生に起因する、または、血管新生を含む、または、血管新生により悪化する、または、血管新生に依存している、病気またはその状態である。血管新生は、体内において新たな血管の形成のプロセスである。上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、血管新生を抑制するものである。
【0045】
本発明により治療可能な血管新生由来の病気およびその状態を特定したものとしては、新生物性の病気(例えば、腫瘍(例えば、膀胱、脳、胸、頚部、結腸、直腸、腎臓、肺、子房、膵臓、前立腺、胃および子宮の各腫瘍)およびその転移腫瘍)、良性腫瘍(例えば、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、および発熱性肉芽腫)、肥大(例えば、甲状腺ホルモンによって引き起こされた心臓肥大)、結合性組織障害(例えば、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化(症))、乾癬、眼血管新生性疾患(例えば、糖尿病性網膜症、末熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植後拒絶反応、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖症、またはルベオーシス)、心疾患、大脳の血管疾患、子宮内膜症、ポリープ症、肥満症、糖尿病関連疾患、血友病性関節、および免疫疾患(例えば、慢性炎症、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症)および移植拒絶反応)が挙げられる。
【0046】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、胚着床に必要な血管新生を抑制するために使用できるので、産児制限の方法を提供している。
【0047】
メサンギウム細胞増殖性疾患は、メサンギウム細胞の異常増殖によりもたらされる疾患に関する。メサンギウム細胞増殖性疾患は、糸球体腎炎、糖尿病腎症、悪性腎硬化症、血栓性微小血管障害症候群および糸球体症のような腎臓病を含む。
【0048】
繊維症の疾患は、細胞外マトリックスの異常な形成に関する。繊維症の疾患の例は肝硬変症、肺線維症(特発性肺線維症を含んで)、およびアテローム性動脈硬化症を含む。
【0049】
他の増殖性の疾患は、乾癬、皮膚癌および表皮増殖症である。乾癬は、炎症、表皮の異常増殖および細胞分化の減少によって特徴づけられる。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、皮膚の各病気およびそれらの状態を治療することに使用できる。
【0051】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩により治療され得る、皮膚の各病気およびそれらの状態を特定したものとしては、にきび、皮膚炎、湿疹、角化症、弾性線維症、乾癬、感染症(例えば、麻疹と水痘)、やけど、日焼け、アレルギー反応(例えば、発疹と蕁麻疹)、皮膚に関する他の炎症性疾患あるいは炎症性状態、および皮膚癌を含む。
【0052】
本発明の好ましい他の実施形態では、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、口の各病気およびそれらの状態を治療するために使用できる。上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩により治療され得る、口の各病気およびそれらの状態としては、白斑症、扁平苔癬、感染症、他の炎症性疾患および状態、および口腔癌が挙げられる。
【0053】
歯肉炎および歯根膜炎のような、多くの他の口の炎症性疾患およびその状態は、歯医者により、または歯医者の監視下において治療される。上記口の炎症性疾患およびその状態の治療は、後述する、口内ケア用具および口内ケア方法の記載箇所にて詳述される。
【0054】
本発明の好ましいさらに他の実施形態では、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、粘膜の各病気およびそれらの状態、または粘膜に関与した各病気およびそれらの状態を治療するために使用できる。それらのような各病気およびそれらの状態は、アレルギー症、感染症、および炎症性の病気やその状態を含む。
【0055】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、上述した各病気およびそれらの状態を治療するために使用できる。上記治療を実施するために、上記化合物またはその塩は、上記のような病気およびその状態の治療を必要としている動物に投与される。好ましくは、上記動物は、うさぎ、ヤギ、犬、猫、馬、あるいは人間のそのような哺乳動物である。最も好ましくは、上記動物は、人間である。
【0056】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩の、効果的な投与形態、投与方法、投与量は、経験的に決定できる。そのような決定は、従来技術の範囲内である。上記投与量、病気やその状態の重症度、投与ルート、上記化合物の排泄率、上記治療の時間、上記動物に投与される他の薬剤の同定、上記動物の年齢や大きさや種、医学や獣医学の分野において他の公知な因子は、治療されるべき病気やその状態によって変更されることは当業者にとって明らかである。
【0057】
一般に、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩の好適な、1日の投与量は、治療効果を生み出すのに効果的な最小投与量である。しかしながら、1日の投与量は、医学者または獣医者の関与により、健全な医学的判断の範囲内にて決定される。所望によって、1日での効果的な投与は、1日の間、適切な間隔にて、2回、3回、4回、5回、6回またはより多くの回数での分割投与量での投与が可能である。上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩の投与は、容認できる反応が達成されるまで、続けられるべきであろう。
【0058】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、上記治療のための上記動物の患者に対して、どのような好適な投与ルートによっても投与され得る。投与ルートは、経口で、鼻腔から、直腸から、膣内から、非経口的に(例えば、静脈内への、脊髄内への、腹腔内への、皮下への、あるいは筋肉内への)、くも膜下槽内へ、経皮的に、頭蓋内に、大脳内に、および、局所(頬側および舌下を含む)である。
【0059】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、部分的な投与の何れかの形式によって投与されることが好ましい。本明細書では、上記部分的な投与は、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩を、病気やその状態の部分、またはその近くでの高い投与量を提供するための投与法および/または特に製剤設計によって、上記化合物または塩を投与することを意味している。
【0060】
部分的な投与の各例は、局所投与(上記化合物またはその塩を含む、例えば、ローション剤、クリームあるいは軟膏の、皮膚の病気やその状態を治療するための上記皮膚への適用、または、呼吸器系の病気やその状態の治療のための吸入器を用いた、上記化合物またはその塩の投与)、鼻腔内への投与(例えば、鼻の病気やその状態を治療するための鼻スプレイでの、上記化合物またはその塩の投与)、眼への投与(例えば、眼の病気やその状態の治療のための、点眼薬、または眼の内部への注射による、上記化合物またはその塩の投与)、膣内投与、直腸内投与、腫瘍内投与、および口腔内への部分的な投与(例えば、口や喉の病気やその状態の治療のための、うがい薬やシロップ剤での上記化合物またはその塩の投与、または、胃腸管の病気やその状態の治療のための、上記式Iの化合物(好ましくは、上記化合物の組織からの吸収を防止するために、R2は、長鎖アルキル基(6以上の炭素数)、水素原子、または、極性置換基にて置換)、または上記化合物の製剤的に許容可能な塩)である。上記部分的な投与の最も好ましいモードは、口腔内への部分的な投与、または、局所投与である。
【0061】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、単独にて投与されることが可能である一方、製剤(組成物)として投与されることが好ましい。本発明に係る上記製剤組成物は、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩を活性成分として含み、それに加えて、製剤的に許容可能な担体を1以上と、必要に応じて、1以上の他の化合物、薬剤、または他の材料を含んでもよい。
【0062】
担体は、それぞれ、上記製剤の他の成分と両立できると意味で許容されるものであり、かつ、上記動物に対し有害でないものである必要がある。製剤的に許容可能な担体は、従来から公知である。選択された投与ルート(投与法)と無関係に、本発明の化合物は、当業者にとって公知な従来方法(例えば、レミントンの薬学を参照)により、製剤的に許容可能な投与形態にて製剤される。
【0063】
口腔内への投与のために好適な、本発明の製剤は、カプセル剤、カシェ剤、ピル、タブレット、散剤、果粒剤、あるいは水性液体、非水性液体中の溶液あるいはサスペンションとして、あるいは水の中の油か油の中の水のエマルジョン溶液、あるいはエリキシルかシロップ、あるいはパスティーユ剤(ゼラチンとグリセリンのような不活性のベースあるいはスクロースおよびアラビアゴムを使用して)およびそれらと同種のものといった各形態をしていてもよい。
【0064】
上記各形態は、それぞれ、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩の所定量が活性成分として含む。また、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、大きな丸薬、舐剤、またはペーストとして投与されてもよい。
【0065】
口腔内への投与(カプセル、タブレット、ピル、糖衣錠、粉剤、顆粒剤など)のための本発明の固体での投与形態では、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体と混合される。上記担体としては、クエン酸ナトリウム、二カルシウムリン酸塩、および/または、下記のうちの何れかの製剤用材が挙げられる。
【0066】
製剤用材としては、(1)デンプン、ラクトース、蔗糖、グルコース、マンニトール、および/または、ケイ酸のような、充填材あるいは希釈材、(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、蔗糖、および/またはアラビアゴムといった結合材、(3)グリセロールのような水分量調節剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、ポテトあるいはタピオカのデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムといった崩壊剤、(5)パラフィンのような溶解遅延材、(6)第四アンモニウム化合物のような吸収加速材、(7)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートのような湿潤材、(8)カオリンおよびベントナイト粘土のような吸収材、(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物といった滑沢材、並びに(10)着色剤が挙げられる。
【0067】
カプセル剤、タブレットおよびピルの場合には、製剤組成物がさらにバファーを含んでもよい。同様のタイプの固形の上記製剤組成物は、ラクトース、乳糖、高分子量ポリエチレングリコールおよびその他同種のものを、賦形剤として使用して、柔らかい、および硬いゼラチン・カプセル剤内の充填材として使用されてもよい。
【0068】
タブレットは、圧縮によって形成されても、あるいは、必要に応じて1つ以上の副成分を備えて金型成形により形成されてもよい。圧縮によるタブレットは、バインダー(例えば、ゼラチンあるいはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢材、不活性の希釈材、防腐剤、崩壊剤(例えば、ナトリウムデンプングリコレートあるいは架橋されたカルボキシルメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、あるいは分散剤を使用して調製されてもよい。金型成形によるタブレットは、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩の粉末と、その粉末を湿らせる不活性な希釈液体との混合物を、適切な機械にて金型成形することにより形成されてもよい。
【0069】
タブレット、および糖衣錠、カプセル剤、ピルおよび顆粒剤のような本発明の医薬品組成物の他の固体の剤形は、必要に応じて、製剤分野では公知である、腸溶材コーティングまたは他のコーティングといった、コーティングやシェルを備えて調製されて得られてもよい。
【0070】
上記固形の各剤形は、さらに、所望の放出速度曲線を得るために、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、リポソームおよび/あるいはミクロスフェアといった他のポリマーマトリクスを種々な混合割合にて使用して、活性成分の徐放性または放出性制御を付与されるように製剤化されてもよい。
【0071】
製剤組成物は、例えば、バクテリアを保持するフィルタを通す、ろ過により除菌されてもよい。製剤組成物は、必要に応じて、乳白材を含んでもよく、また、上記活性成分のみを放出する組成、または、好ましくは胃腸管の特定部位での放出のみ、または、必要に応じて、徐放させる組成であってもよい。使用され得る、埋め込まれる組成物の例は、重合性物やワックス類を含む。上記活性成分は、マイクロカプセル化された形態であってもよい。
【0072】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩の経口投与のための液体の投与形態は、製剤的に許容可能な、エマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、サスペンション、シロップ剤、およびエリキシル剤を含む。
【0073】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩に加えて、上記液体の投与形態は、当業者にとって公知な、不活性な希釈材、可溶化剤、エマルジョン化材を含んでもよい。上記希釈材としては、例えば、水あるいは他の溶剤が挙げられる。上記エマルジョン化材としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実、落花生、コーン、胚芽、オリーブ、キャスターおよびゴマの各油類)、グリセロール、テトラヒドロフリールアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0074】
不活性な希釈材の他に、上記口腔内への組成物は、さらに補助材を含んでもよい。補助材としては、湿潤材、乳化・懸濁剤、甘味料、着香料、着色材、香料、および保存料を挙げることができる。
【0075】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩に加えて、懸濁液は、沈殿防止剤を含んでもよい。沈殿防止剤として、例えば、エトキシル化されたイソステアリルアルコール、ポリオキシエチレン・ソルビトールおよびソルビタン・エステル、ミクロ結晶化セルロース、アルミニウムメタ水酸化物、ベントナイト、寒天およびトラガント、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0076】
直腸内および膣内への投与のための、本発明の医薬組成物の製剤は、坐薬として示されてもよい。座薬は、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩を、1つ以上の適切な非刺激性の賦形剤あるいは担体と混合して調製されてもよい。賦形剤あるいは担体としては、例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、坐薬用ワックスあるいはサリチラートが挙げられる。賦形剤あるいは担体は、室温で固体である、しかし体温では液体である。したがって、賦形剤あるいは担体は、直腸内または腔内の中で溶けて、活性成分を放出する。
【0077】
膣内への投与に好適な本発明の製剤物は、当業者にとって適切と知られている担体を有した、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、および、泡状あるいはスプレー状の各製剤物も含む。
【0078】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩の、局所への、または経皮的な投与のための投与形態は、粉末剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶液剤、貼付剤、滴下剤と吸入薬を含む。上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、滅菌条件下にて、製剤的に許容可能な担体と、およびバッファと、必要により高圧ガスと混合されてもよい。
【0079】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ゲル剤は、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩に加えて、賦形剤を含んでいてもよい。上記賦形剤としては、動物油、植物脂、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、亜鉛華、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0080】
粉末剤およびスプレイ剤は、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩に加えて、賦形剤を含んでいてもよい。上記賦形剤としては、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド・パウダーまたはそれらの混合物が挙げられる。スプレイ剤は、さらに、従来からの高圧ガスを含むことができる。上記高圧ガスとしては、クロロフルオロ炭化水素、揮発性の不飽和の、ブタンとプロパンのような炭化水素が挙げられる。
【0081】
経皮的な貼付剤は、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩を、身体に対し制御された配給を可能となるというさらなる有利な点を備えている。そのような投与形態は、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩を、エラストマーのマトリクス材などのような適切なメディア中に、溶解する、分散する、あるいは他の方法にて統合することにより作製できる。
【0082】
吸収促進剤が、皮膚を通過する、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩の移動量を増加させるために使用されてもよい。上記移動量の率は、移動量率の制御用メンブレンをさらに用いること、および上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩をポリマーのマトリックスまたはゲルに分散すること、の何れか一方によって制御される。
【0083】
医薬品製剤は、吸入または通気による投与、あるいは鼻腔内、眼内への投与に好適なものを含む。投与のために、上部(鼻音)あるいは下部(呼吸器系)への吸入による投与のために、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、吸入器、噴霧器あるいは気圧調節されたパック、あるいはエアゾルスプレーを配送する他の便利な手段から、好便に供給される。
【0084】
気圧調節されたパックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素あるいは他の適切なガスのような適切な推進薬としての高圧ガスを含んでもよい。気圧調節されたエーロゾルの場合には、その投与単位が、測定された量を供給するためのバルブを設けることにより決定されてもよい。
【0085】
例えば、あるいは、吸入または通気による投与については、上記組成物は、乾燥粉末の形態をとってもよい。上記粉末の形態としては、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩の粉末と、ラクトースまたはデンプンのような適切な基体粉末との混合物が挙げられる。上記粉末の組成物は、投与単位の形態にて提示されてもよい。上記投与単位としては、例えば、カプセル中またはカートリッジ中、あるいは、例えば、ゼラチンまたはブリスターパックが挙げられる。上記粉末の組成物は、吸入器、注入器あるいは測定された投与量の吸入を用いることによって、上記投与単位により投与されてもよい。
【0086】
鼻腔内への投与のために、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、プラスチックボトルの噴霧器あるいは定量吸入器を用いて、点鼻薬または液体スプレイにより投与されてもよい。噴霧器の例としては、ミストメータ(Wintrop)およびメディヘイラー(Riker)が挙げられる。
【0087】
点眼薬や点鼻薬といった点滴薬は、1つ以上の分散剤、可溶化剤あるいは沈殿防止剤をさらに含む水性または非水性の基材により製剤化されてもよい。液体のスプレーは、加圧されたパックから好便に実現される。点滴薬は、一滴ずつの点滴部によりキャップされたボトル、あるいは特に形成されたフタにより液状内容物を一滴ずつ実現するように形成されたプラスチックボトルによって実現され得る。
【0088】
非経口的投与に好適な、本発明の医薬品組成物は、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩に対し、さらに1以上の製剤的に許容可能で、無菌、等張性の水性あるいは非水性溶液、分散材、懸濁剤またはエマルジョン化材が組み合わされていてもよく、また、無菌の粉末剤が組み合わされていてもよい。粉末剤は、使用直前に、無菌注射剤溶液あるいは分散物へ再構成されるものであってもよい。粉末剤は、酸化防止剤、バッファー、治療が意図された患者の血液に対し等張性の製剤を供給する溶質、または、懸濁剤あるいは増粘剤を含んでいてもよい。
【0089】
本発明の医薬品組成物中で使用されてもよい好適な水性あるいは非水性の担体の例は、水、エタノール、多価アルコール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびその他同種のもの)、およびそれらの好適な混合物、さらに、オリーブオイルのような植物油、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機酸エステルである。適切な流動性は、例えばレシチンのようなコーティング材の使用によって、または、分散の場合にの必要とされた粒径の管理、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0090】
これらの組成物は、さらに界面活性剤、乳化剤および分散剤のような補助剤を含んでいてもよい。組成物中に、糖類、塩化ナトリウムおよびその他同種といったものを、等張性用材として含むことも望ましい場合もある。さらに、注射可能な医薬品形態に関する、遅延させた吸収は、アルミニウムモノステアレートおよびゼラチンのような吸収遅延材の含有によって生じさせてもよい。
【0091】
ある場合には、薬の効果を持続させるために、皮下あるいは筋肉内への注射部位からの薬の吸収を遅くすることが望ましい。上記吸収を遅くすることは、水への溶解度が小さい、結晶性の、あるいはアモルファスな物質の懸濁液の使用によって遂行されてもよい。その後、薬の吸収速度は、次には、結晶サイズおよび結晶形態により決まることがある溶解速度に依存する。上記非経口的投与における、吸収を遅くすることは、代わりに、油性の賦形剤中に薬を溶かすか懸濁することにより遂行される。
【0092】
注射可能なデボー剤型(持続性剤型、持効性剤型)の形式は、ポリラクチド−ポリグリコライドのような生分解性高分子中における、薬のミクロカプセルマトリックスの形成により作製される。ポリマーに対する薬の比率、特に、ポリマーの性質により、薬物放出の割合はコントロールすることができる。他の生分解性高分子の例は、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)を含む。注射可能なデボー剤型は、体組織に拒絶されない、ポソームあるいはミクロエマルジョン中に、薬を取り込むことにより調製されてもよい。注射可能な材料は、バクテリアの保持するフィルターによる、ろ過によって、例えば除菌されてもよい。
【0093】
上記製剤は、投与単位あるいは複数の投与単位が封入される容器、例えば、アンプル、バイアルの状態にて提示されたものでもよく、または、使用の直前に、無菌の液体キャリア(例えば注射用水)の追加だけを必要とする、凍結乾燥された状態で保存されたものでもよい。即席の注射溶液や注射懸濁液は、上に記述されたタイプの無菌の粉末剤、顆粒剤およびタブレットから調製されてもよい。
【0094】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、単独で投与されてもよく、また、1つ以上の他の医薬品、化合物あるいは他の材料と組み合わせて投与されてもよい。例えば、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、さらに、1つ以上の抗炎症用化合物を組み合わせて投与されてもよい。抗炎症用化合物としては、ステロイドを含むもの、非ステロイドの抗炎症の化合物(例えば、アスピリン、イブプロフェンなど)、または、各米国特許出願番号09/678,202、09/922,234および10/186,168、各PCT出願、WO01/25265、WO02/11676およびWO02/64620に記述された各抗炎症用化合物が挙げられる。上記各米国特許出願および各PCT出願の各開示内容は、本明細書では、参照によって本明細書に組込まれる。
【0095】
C. 取り出された細胞、組織および器官
動物から除去された組織または器官は、その炎症を防止するために、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩にける、効果を示す含量の溶液に接触させてもよい(組織または器官を上記溶液中に載置することによって、および/または、上記溶液で器官(例えば腎臓)内を潅流することによって)。上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩の効果を示す含量は、経験的に決定することができる。そのような決定は、当業者にとって範囲内である。取り出された組織または器官は、続いて、患者への移植のために、あるいは、研究用(例えば、各薬物を選別するために、潅流された肝臓を使用すること)に使用されてもよい。上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、単独にて投与されても、他の化合物、他の薬物、他の材料と組み合わせて投与されてもよい。
【0096】
組織および器官の取り扱い好適な多くの、公知な各溶液に対し、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩を統合させることが可能である。上記公知な各溶液に関しては、例えば、Hauet et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 297,946-953 (2001)、Hauet et al., J. Pharmacol. Exp.Ther., 292,254-260 (2000)、Dunphy et al.,Am. J. Physio, 276, H1591-H1598 (1999)、Muhlbacher et al., Transplant Proc., 31,2069-2070 (1999)、Watts et al., J. Mol. Cell.Cardiol., 31,1653-1666 (1999)、Suzer et al., Pharniacol. Res., 37,97-101(1998)、Collins et al., Kidney Int'l, 42, Suppl. 38,S-197-S-202 (1992)、Paller, Ren. Fail., 14,257- 260 (1992)、Baron et al., J. Surg. Res., 51,60-65 (1991)、Hisatomi et al. , Transplantation, 52,754-755 (1991)、Belzer et al., Transplantation, 45,673-76(1988)、各US特許番号:4, 798, 824, 4, 873,230, 4,879, 283,5, 514,536, and 5,710, 172、およびPCT application WO98/35551にそれぞれ記載されたものが挙げられる。上記各記載は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0097】
例えば、心臓のフラッシングおよび冷蔵のための溶液は、セルシオ(登録商標)溶液(サングスタット・メディカル(フリーモント(CA))から入手可能)である。セルシオ(登録商標)溶液の内容は下記の表Aに示す通りである。下記の表Aに記載のラクトビオ酸は、4−(β−D−ガラクトシド)−D−グルコン酸ともいう。
【0098】
【表1】

【0099】
腎臓の保存のための一般に認められた標準溶液は、次の組成を有しているウィスコンシン大学溶液(バー・ラボラトリーズから市販されている、商品名:ViaSpan(登録商標))であり、その組成は下記の表Bに示す通りである。
【0100】
【表2】

【0101】
上記溶液は、水酸化ナトリウムか塩酸の何れかにより、pHが7.4に調節される。最終溶液は、ナトリウム濃度が29 mM、カリウム濃度が125 mM、mOsm/Lが320±10となっている。
【0102】
使用の直前に、最終溶液を製剤化するために、上記最終溶液に対し、ペニシリンG 200,000ユニット、レギュラーインスリン 40ユニットおよびデクサメタゾン16mgを無菌的に添加する。
【0103】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、上記2つ各溶液の何れかに、また、上記各溶液の変形例に、また、従来公知の他の数多くの溶液に一つに、また、将来開発されるであろう溶液に使用可能である。上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、溶液の形態であってもよく、また、別々に供給(例えば、凍結乾燥の形態)されて使用時に合わせる使用法も包含してもよい。
【0104】
動物から分離された細胞を、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩を含む媒体中に保存、または培養することが可能である。好適な数多くの上記媒体が知られている。
【0105】
上記媒体中への、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩の効果的な添加量は、経験的に決定することができる。その決定は、当業者の範囲内である。上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、上記媒体に含まれていてもよく、また、別々に供給(例えば、凍結乾燥の形態)されて使用時に合わせる使用法も包含してもよい。上記細胞は、それが必要な患者(例えば、遺伝子療法のために)に投与されてもよく、あるいは研究用に使用されてもよい。
【0106】
本発明は、さらに、動物から除去された細胞、組織あるいは器官を、上記式Iの化合物または上記化合物における製剤的に許容可能な塩と接触させるためのキットを提供する。上記キットは、取り出された細胞、組織あるいは器官を保存するのに有用な、試薬および他のアイテムを、保持する1つ以上の容器の組み合わせをパッケージしたものである。
【0107】
上記キットは、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩を保持する容器を含む。好適な容器は、ボトル、バッグ、バイアル、試験管、注射器、および当業者にとって公知な他の包装容器を含む。例えば、上記キットは、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩を有するバイアルを含んでもよい。
【0108】
上記キットは、さらに、当業者にとって公知である、細胞、組織あるいは器官のための包装容器、希釈材、バッファー、空の注射器、管材料、ガーゼ・パッド、消毒剤の溶液などのようなコマーシャルとユーザの見地から望ましいかもしれない他のアイテムを含んでいてもよい。上記キットは、さらに、上記キットを細胞、組織あるいは器官を、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩に接触させるように上記キットを使用するための取り扱い説明書も含むだろう。
【0109】
D. 口内ケア用品および口内ケア方法
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩は、口内ケア用品の形態において、動物に投与することも可能なものである。口内ケア用品は、口内ケア用組成物および口内ケア用具を含む。
【0110】
本発明に係る口内ケア用組成物は、洗浄剤、リンス剤、うがい薬、溶液剤、点滴剤、乳剤、懸濁剤、液体剤、ペースト剤、ゲル剤、軟膏剤(クリーム剤)、スプレー剤、粉末剤、タブレット、ガム、トローチ剤、ミント剤、フィルム剤、貼付剤、および、歯を白くする組成を含む。本発明に係る口内ケア用組成物は、消費者と患者による使用を意図した組成、および歯の専門家(例えば、歯科衛生士、歯科医、および口腔外科医)によって用いるための組成を含む。
【0111】
本発明に係る口内ケア用組成物は、上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩を活性成分として有し、さらに、1以上の製剤的に許容可能な担体を共に混合して有してもよい。本発明に係る口内ケア用組成物は、口内ケア用組成物に従来から用いられている他の成分および/または他の活性成分を含む、1上の許容可能な成分を含んでいてもよい。それぞれの担体および成分は、製剤中の他の成分と両立でき、かつ、上記動物に対し有害でないとの意味で許容されるものである必要がある。
【0112】
口内ケア用組成物に用いられる、製剤的に許容可能な担体を含む、好適な成分、および口内ケア用組成物の製造方法および使用方法については、当業者にとって公知である。それらについては、例えば、US特許第4,847,283号公報、US特許第5,032,384号公報、US特許第5,043,183号公報、US特許第5,180,578号公報、US特許第5,198,220号公報、US特許第5,242,910号公報、US特許第5,286,479号公報、US特許第5,298,237号公報、US特許第5,328,682号公報、US特許第5,407,664号公報、US特許第5,466,437号公報、US特許第5,707,610号公報、US特許第5,709,873号公報、US特許第5,738,840号公報、US特許第5,817,295号公報、US特許第5,858,408号公報、US特許第5,876,701号公報、US特許第5,906,811号公報、US特許第5,932,193号公報、US特許第5,932,191号公報、US特許第5,951,966号公報、US特許第5,976,507号公報、US特許第6,045,780号公報、US特許第6,197,331、US特許第6,228,347、US特許第6,251,372号公報、US特許第6,350,438号公報、PCT出願番号WO 95/32707号、PCT出願番号WO 96/08232号、PCT出願番号WO 02/13775号、およびEP特許出願番号471,396号を参考として下さい。上記のすべての各開示の全体は、本明細書に参照によって組込まれる。
【0113】
口内ケア用組成物に用いられる従来の成分は、水、アルコール、湿潤材、界面活性材、増粘剤、研磨材、香料、甘味材、抗菌物質、虫歯予防薬、プラーク形成防止薬、歯石形成防止薬、pH調節剤および他に多くのものを含む。
【0114】
口内ケア用組成物に用いられる水は、好ましくは、イオン濃度が低いものであるべきであり、有機不純物に無いものでもあるべきである。
【0115】
アルコールは、無毒性である必要がある。好ましいアルコールはエタノールである。エタノールは、溶剤であり、抗菌物質として、および、収れん剤としても機能するものである。
【0116】
口内ケア用組成物に好適に用いられる湿潤材は、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、マンニトールおよびラクチトールのような食用の多価アルコールを含む。湿潤材は、ペースト剤のような口内ケア用組成物が空気に曝されて硬化すること防止する補助となるものであり、口内ケア用組成物に、湿っている感じを口に付与するものであり、望ましい甘味を与えてもよい。
【0117】
界面活性材は、陰イオン性、非イオン性、両イオン性、両性イオン性、および陽イオン性の合成の各界面活性剤を含む。
【0118】
陰イオン性界面活性剤は、アルキル基のラジカルの中に8−20の炭素原子を有しているアルキル硫酸塩の水溶性塩(アルキル硫酸ナトリウムなど)、8−20の炭素原子のスルホン化された脂肪酸のモノグリセリドの水溶性塩(ラウリル硫酸ナトリウムとココナッツ・モノグリセリド・スルフォナートナトリウムなど)、サルコシン(ラウロイルサルコシン、ミリストイルサルコシン、パルミトイルサルコシン、ステアリルサルコシンおよびオレオイルサルコシンのナトリウム塩またはカリウム塩など)、タウレート、高級アルキルスルホ酢酸塩(ラウリルスルホ酢酸ナトリウムなど)、イセチオン酸(ラウロイルイセチオン酸ナトリウムなど)、ラウレスカルボン酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物を含む。好ましい陰イオン性界面活性剤はサルコシンである。それは、サルコシンが炭水化物の分解による口内での酸生成を抑制するからである。
【0119】
非イオン性界面活性剤は、ポロクサマー(商品名プルロニックにて市販)、ポリオキシエチレン・ソルビタン・エステル(商品名トゥイーンにて市販)、脂肪族アルコールエトキレート、ポリエチレンオキシドのアルキルフェノールの縮合物、エチレンオキシドの脂肪酸の縮合物、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、多価アルコール、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドの脂肪族アルコール縮合物、長鎖の第三級アミンオキシド、長鎖の第三級フォスフィンオキシド、長鎖のジアルキル・スルホキシド、およびそれらの混合物を含む。
【0120】
両イオン性界面活性剤は、ベタイン(コカミドプロピルベタインなど)、第2級および第3級の脂肪族アミンの誘導体(脂肪族のラジカルは、1つの直鎖あるいは枝鎖を有し、脂肪族置換基の一つは、約8−18の炭素原子を含み、1つは陰イオンの水可溶性にするグループ(カルボン酸塩、スルフォナート、硫酸塩、リン酸塩あるいはフォスフォン酸塩など)を備える)、およびそれらの混合物を含む。
【0121】
両性イオン性界面活性剤は、脂肪族の第四級アンモニウム、ホスホニウムおよびスルフォニウム化合物の誘導体を含む。脂肪族のラジカルは、1つの、直鎖あるいは分枝鎖を有し、脂肪族の置換基のうちの1つは約8−18の炭素原子を含み、1つは陰イオンの水可溶性にするグループ(カルボキシ、スルフォナート、硫酸塩、リン酸塩あるいはフォスフォン酸塩のような)を含む。
【0122】
陽イオン性界面活性剤は、8−18の炭素原子の長鎖を一つ備えたアルキル基を有する脂肪族の第四アンモニウム化合物(ラウリルトリメチルアンモニウム塩化物、塩化セチルピリジウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ジイソブチルフェノキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、ココナッツアルキルトリメチルアンモニウム亜硝酸塩、塩化エチルピリジニウムフッ化物など)を含む。ある特定の陽イオン界面活性剤は、さらに抗生物質として機能することもある。
【0123】
増粘剤は、カルボキシビニルポリマーおよびポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、ラポナイト、水溶性塩のセルロースエーテル(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースのナトリウム塩)、天然ゴム(カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびトラガカントゴムなど)、重合体のポリエーテル化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、ペンタエリトリトールのアルキルエーテル、スクロースのアルキルエーテル、またはカルボマー(商品名カルボポール(登録商標)にて市販)にて架橋されたアクリル酸のホモポリマー、スターチ、ラクチドとグリコライドの各モノマーの共重合体(約1,000−120,000の平均分子量の共重合体)、コロイダルケイ酸アルミニウムマグネシウム、および微粉末シリカを含む。増粘剤は、口内ケア用組成物に対し、所望の粘度を付与するのに十分な量が加えられるだろう。
【0124】
研磨材は、シリカ(ゲル剤と沈殿物を含んで)、アルミナ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、二カルシウムリン酸塩、三カルシウムリン酸塩、ハイドロキシアパタイト、ピロ燐酸カルシウム、トリメタフォスフェート、不溶性ポリメタ燐酸(不溶性のポリメタ燐酸ナトリウム、ポリメタ燐酸カルシウムなど)、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、樹脂製の研磨材料(尿素とホルムアルデヒドの縮合物のような)、熱硬化樹脂の粒子(好適な樹脂は、メラミン、フェノール樹脂、尿素、メラミン尿素、メラミン・ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド、架橋されたエポキシド、架橋されたポリエステル)、およびそれらの組み合わせを含む。シリカの研磨材が、歯エナメルあるいは象牙質を過度に擦り減らさずに、優れた歯の洗浄性能および研磨性能を提供するので、好ましい。
【0125】
香料は、ペパーミント油、スペアミント油、ウインターグリーン油、クローブ、メントール、ジハイドロアネトール、エストラゴール、サリチル酸メチル、オイカリプトール、カシア、1−メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、オランダセリ油、メントン、オクサノン、アルファ・イリソン、アルファ・イオノン、アニス、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグアエトール、シナモン、バニリン、エチルバニリン、チモール、リナロール、リモネン、酢酸イソアミル、ベンズアルデヒド、酪酸エチル、フェニルエチルアルコール、スイートバーチ、シンナムアルデヒド、シンナムアルデヒド・グリセロール・アセタール(CGAとして知られている)およびそれらの混合物を含む。
【0126】
甘味材は、スクロース、グルコース、サッカリン、デキストロース、レブロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、果糖、麦芽糖、キシリトール、サッカリン塩、タウマチン、アスパルテーム、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン、アセサルファーム、シクラメート塩、それらの混合物を含む。
【0127】
香料および甘味材に加えて、口内ケア用組成物は、必要に応じた成分として、清涼剤、唾液促進薬、昇温材、および局部麻酔薬を含んでもよい。
【0128】
清涼剤は、カルボキサミド、メントール、パラメンタンカルボキサミド、イソプロピルブタナミド、ケタール、ジオール、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、メントングリセロールアセタール、メンチル乳酸塩、およびそれらの混合物を含む。
【0129】
唾液促進薬は、ジャムバグ(高砂製)を含む。昇温材は、トウガラシ、およびニコチネートのエステル(ベンジルニコチネートなど)を含む。局部麻酔薬は、ベンゾカイン、リドカイン、クローブ油、およびエタノールを含む。
【0130】
抗菌剤およびプラーク形成防止剤は、トリクロサン、サンギナリン、血根草(の根)、第四級アンモニウム化合物、塩化セチルピリジウム、テトラデシルピリジニウム塩化物、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム塩化物、塩化ベンザルコニウム、ビスクナイド、クロルヘキシジン、クロルヘキシジンジグルコネート、ヘキセチジン、オクテニジン、アレクシジン、ハロゲン化されたビスフェノール化合物を、2,2’−メチレンビス−(4−クロロ−6−ブロムフェノール)、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)―フェノール、サリチルアニリド、臭化ドミフェン、デルモフィノール、オクタピノール、他のピペラジノ誘導体、ナイシン、亜鉛−第一錫のイオン材、抗生物質(オーギメチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、およびメトロナイダゾールなど)、それらの同族体や塩、およびそれらの混合物を含む。
【0131】
虫歯防止薬は、フッ化ナトリウム、フッ化スズ、フッ化カリウム、アミンフッ化物、インジウムフッ化物、モノフルオロ燐酸ナトリウム、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、ストロンチウム塩、およびストロンチウムポリアクリレートを含む。
【0132】
歯石形成防止薬は、ピロリン酸塩を含む。ピロリン酸塩としては、ジアルカリ金属ピロリン酸塩およびテトラアルカリ金属ピロリン酸塩(例えば、ピロリン酸ニ水素ニナトリウム、ピロ燐酸四ナトリウムおよびピロ燐酸五カリウム、それらの水和物、または非水和物)が挙げられる。
【0133】
ピロリン燐酸塩塩に代えて、またはピロリン燐酸塩塩に加えて、使用できる他の歯石形成防止薬は、合成の陰イオンのポリマー(ポリアクリレート、無水マレイン酸無水物の共重合体、無水マレイン酸の共重合体、および無水マレイン酸メチルビニルエーテルの共重合体など)、ポリアミノプロパンスルホン酸、クエン酸亜鉛三水和物、ポリリン酸塩(トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸など)、ポリホスホン酸塩(ジソディウムエタン−1−ハイドロキシ−1,1−ジホスホン酸塩(EHDP)、メタンジスホスホン酸、および2−フォスフォノブタン−1,2,4−トリカルボキシル酸)、およびポリペプチド(ポリアスパラギン酸およびポリグルタミン酸など)を含む。
【0134】
本発明に係る口内ケア用組成物のpHは、酸性でない方が好ましい。それゆえ、本発明に係る口内ケア用組成物のpHは、約6.5より大きく、好ましくは約7.0〜約8.5、より好ましくは約7.2〜7.6である。このことから、pHの調整剤、および/またはバッファーは、口内ケア用組成物に含まれてもよい。pHの調整剤は、所望のpHを達成する化合物であればどのようなものでもよく、また、所望のpHを達成する複数の各化合物の混合物でもよい。
【0135】
好適なpHの調整剤は、有機や無機の酸や塩基を含む。例えば、安息香酸、クエン酸、水酸化カリウム、および水酸化ナトリウムなどである。
【0136】
バッファーは、所望されたpHを達成し、維持するように、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸エステル塩、重炭酸塩塩(例えば、重炭酸ナトリウム(さらに重曹として知られている)のようなアルカリ金属重炭酸塩)、グルコン酸塩、酒石酸塩、硫酸塩、クエン酸(クエン酸ナトリウムのような)、安息香酸塩、硝酸塩(硝酸ナトリウムや硝酸カリウムなど)、およびそれらの組み合わせを含む。するおよび維持することために。
【0137】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩に加えて、本発明の口内ケア用組成物は、さらに、1以上の、抗炎症剤、酸化防止剤、および/またはメタル捕捉用化合物を含んでもよい。
【0138】
好適な抗炎症剤は、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アスピリン、ケルトロラック、ナプロキセン、インドメタシン、ピロキシカム、メクロフェナム酸、ステロイド、およびそれらの混合物を含む。
【0139】
好適な酸化防止剤は、超酸化物不均化酵素、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、エブセレン、グルタチオン、システイン、N−アセチル−システイン、ペニシラミン、アロプリノール、オキシプリノール、アスコルビン酸、α−トコフェロール、トロロックス(水溶性のα−トコフェロール)、ビタミンA、β−カロチン、および脂肪酸結合蛋白質、フェノザン、プロブコール、シアニダノール−3、ジメルカプトプロパノール、インダパミド、エモキシピリン、ジメチルスルホキシドおよび他のものを含む。酸化防止剤の参考として、ダスらの(Methods Enzymol., 233, 601-610 (1994))や、ストーらの(J. Basic Clin. Physiol. Pharmacol., 6, 205-228 (1995))の各文献が挙げられる。
【0140】
好適なメタル捕捉用化合物は、メタルを拘束するペプタイド、および/または非ペプチドのキレート化剤を含む。メタルを拘束するペプチド、および非ペプチドのキレート化剤は、公知であり、好ましいものは、PCT出願WO 01/25265号およびPCT出願WO 02/64620号に記述されており、それらの完全な開示は、参照によって本明細書に組込まれる。
【0141】
さらに他のメタル捕捉用化合物は、ポリエチレンポリアミン(テトラエチレントリアミン(トリエンチン))である。係属中の、US特許出願番号10/840,943およびPCT出願番号PCT/US04/14208(両方とも2004年5月7日に出願)を参照してください。
【0142】
本発明の口内ケア用組成物は、追加の治療効果のためにプロテアーゼ阻害剤(ある特定のプロテアーゼは炎症性のプロセスに関係する。また、他のプロテアーゼが口内での組織破壊に関与している)を有利な点として含んでもよい。好適なプロテアーゼ阻害剤は、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤を含む。上記両者は、US特許第6,403,633号公報、US特許第6,350,438号公報、US特許第6,066,673号公報、US特許第5、622,984号公報、US特許第4,454,338号公報に記述されている。上記各公報の完全な開示が参照によって本明細書に組込まれる。
【0143】
他の多くの公知の各成分は、口内ケア用組成物に組み込んでもよい。それらは、沈殿防止剤(多糖類など、US特許第5,466,437号公報を参照ください)、活性成分の投与を増強する高分子化合物(ポリビニルメチルエーテルとマレイン酸無水物との共重合体など、上記投与を増強する高分子は、ドイツ特許出願番号942,643号、US特許第5,466,437号公報を参照ください)、口内組織への口内ケア用組成物を強く継続して付着させる材料(それは、持続された局所の治療効果を有し、天然ゴム、植物抽出物、動物抽出物(例えばゼラチンなど)、天然および合成のポリマー、スターチ誘導体(US特許第5,032,384号公報、US特許第5,298,237号公報、およびUS特許第5,466,437号公報を参照ください)を含む。
【0144】
上記公知の各成分は、さらに、油、ワックス、シリコーン、着色剤(FD&C染料など)、変色系、保存剤(メチルパラベン、プロピルパラベンおよび安息香酸ナトリウムなど)、乳白剤(二酸化チタンなど)、植物抽出物、可溶化剤(プロピレングリコールなど、US特許第5,466,437号公報を参照ください)、酵素(デキストラナーゼ、および/またはムターゼ、アミログルコシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼを備えたグルコースオキシダーゼ、およびノイラミニダーゼ)、合成あるいは天然重合体、歯を白くする薬剤(約0.1重量%から約10重量%までの過酸化物、歯を白くする薬剤については後で詳述)、アルカリ金属重炭酸塩(重炭酸ナトリウム(さらに重曹として知られている)など、重量で約0.01%から約30%まで)、減感剤(カリウム塩(例えば、硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、酒石酸カリウム、重炭酸カリウム、またシュウ酸カリウム)およびストロンチウム塩)、鎮痛薬(リドカインまたはベンゾカインなど)、抗カビ剤、抗ウィルス剤などを含む。
【0145】
上述された各成分、公知の他の各成分、あるいは将来開発されるだろう各成分を利用して、種々様々の異なる口内ケア用組成物は調製され得ることが認識されるだろう。上記口内ケア用組成物に含まれる、上記式Iの化合物または上記化合物における製剤的に許容可能な塩の効果的な含有量、各成分の適切な選択や組み合わせは、従来公知の技術や、本明細書に記載のガイダンスに基づき、当業者の技術範囲内である。
【0146】
上記式Iの化合物、または上記化合物における製剤的に許容可能な塩が統合された口内ケア用組成物の幾つかの実施例を以下に示す。上記口内ケア用組成物の異なるタイプのものや、上記口内ケア用組成物の異なる成分や、異なる含有量の各変形例については、従来公知の知識や、本明細書に記載の本発明に関するガイダンスを利用して、当業者によれば明らかであろう。
【0147】
歯の衛生品は、歯磨き用ペースト、歯磨き用ゲル、歯磨き用パウダーおよび液体の歯科衛生品を含む。歯磨き用ペーストおよび歯磨き用ゲルは、一般に歯の研磨材、界面活性材、増粘剤、湿潤材、香料、甘味剤、着色材および水を含む。歯磨き用ペーストおよび歯磨き用ゲルは、さらに乳白剤、虫歯作用薬、歯石形成防止薬、薬を白くする成分、および他のオプション成分を含んでもよい。
【0148】
歯磨き用ペーストまたは歯磨き用ゲルは、一般に、約5%から約70%まで、好ましくは、約10%から約50%までの研磨材、約0.5%から約10%までの界面活性剤、約0.1%から、約10%までの増粘剤、約10%から約80%までの湿潤剤、約0.04%から約2%までの香料、約0.1%から約3%までの甘味剤、約0.01%から約0.5%までの着色剤、約0.01%から約0.5%までの着色剤、約0.05%から0.3%までの虫歯治療薬、約0.1%から約13%までの歯石形成防止薬、約2%から約45%までの水を含む。
【0149】
歯磨き用パウダーは、当然のことながら、全て、実質的に非液体の各組成成分を含み、一般に、約70%から約99%までの研磨材を含む。
【0150】
液体の歯科衛生品は、水、エタノール、湿潤剤、界面活性剤、増粘剤、研磨材(研磨材が含まれている場合、沈殿防止剤(例えば、高分子量の多糖類)は含まれる必要があり、その点についてはUS特許第5,466,437号公報を参照のこと)、抗菌物質、虫歯予防薬、香料、および甘味剤を含む。
【0151】
一般的な、液体の歯科衛生品は、約50%から約85%までの水、約0.5%から20%までのエタノール、約10%から約40%までの湿潤剤、約0.5%から約5%までの界面活性剤、約0.1%から約10%までの増粘剤を含むだろう。
【0152】
液体の歯科衛生品は、約10%から約20%までの研磨剤、約0.3%から約2%までの沈殿防止剤、約0.05%から約4%までの抗菌剤、約0.0005%から約3%までの虫歯予防薬、約0.1%から約5%までの香料、約0.1%から約5%までの甘味料を含んでもよい。
【0153】
ゲル剤は、上述した、歯の衛生品用ゲル、非研磨用のゲル、歯肉下用のゲルを含む。非研磨用のゲル、歯肉下用のゲルは、一般に、増粘剤、湿潤剤、香料、甘味剤、着色剤および水を含む。そのようなゲル剤は、さらに1以上の虫歯予防薬、および/または歯石形成防止薬を含んでもよい。
【0154】
上記ゲル剤は、一般に、約0.1%から約20%までの増粘剤、約10%から約55%までの湿潤剤、約0.04%から約2%までの香料、約0.1%から約3%までの甘味料、約0.01%から約0.5%までの着色剤、またバランス用の水を含む。
【0155】
上記ゲル剤は、約0.05%から約0.3%までの虫歯防止薬、約0.1%から約13%までの歯石形成防止薬も含んでよい。
【0156】
クリーム剤は一般に増粘剤、湿潤剤および界面活性剤を含んでおり、香料、甘味剤(着色剤)を含んでいてもよい。一般に、クリーム剤は、約0.1%から約30%までの増粘剤、0%から約80までの湿潤剤、約0.1%から約5%までの界面活性剤、約0.04%から約2%までの香料、約0.1%から約3%までの甘味料、約0.01%から約0.5%までの着色剤、2%から約45%までの水を含むだろう。
【0157】
口の使用にふさわしい軟膏剤は記述される、U.S.は番号4,847、283、5,855,872および5,858の特許を取る、408. の開示の全ては、参照によって本明細書に統合される。
【0158】
軟膏剤は、一般に、脂肪、油、ワックス、パラフィン、シリコーン、プラスチベース、アルコール、水、湿潤剤、界面活性剤、増粘剤、タルク、ベントナイト、亜鉛華、アルミニウム化合物、保存剤、抗ウイルス性化合物および他の成分の内、1つ以上を含む。
【0159】
例えば、軟膏剤は、約80%から約90%までのペトロラタム、および約10%から約20%のエタノールあるいはプロピレングリコールを含んでもよい。別の例として、軟膏剤は、約10%のペトロラタム、約9%のラノリン、約8%のタルク、約32%のたら肝油、および約40%の亜鉛華を含んでもよい。3番めの例として、軟膏剤は、約30%から約45%までの水、約10%から約30%までのオイル(例えば、ペトロラタムまたは鉱油)、約0.1%から約10%までの乳化剤(例えば、ワックスNF)、約2%から約20%までの湿潤剤(例えば、プロピレングリコール)、約0.05%から約2%の保存剤(例えば、メチルパラベンおよびプロピルパラベン)、および約10%から約40%までのステロール・アルコールを含んでもよい。
【0160】
口内洗浄液、すすぎ薬、うがい薬およびスプレーは、一般に、水、エタノール、および/または湿潤剤を含んでおり、界面活性剤、香料、甘味料および着色剤を好ましくはさらに含んでいる、また増粘剤および1つ以上の、歯石形成防止薬、および/または虫歯治療薬を含んでいてもよい。
【0161】
典型的な組成は、約0%から約80%までの湿潤剤、約0.01%から約7%までの界面活性剤、約0.03%から約2%までの香料、約0.005%から約3%までの甘味料、約0.001%から約0.5%までの着色剤、バランスを備えるための水、を含んでいる。
【0162】
別の典型的な組成は含んでいる、約5%から約60%までの、好ましくは、約5%から約20%までのエタノール、約0%から約30%までの、好ましくは、約5%から約20%までの湿潤剤、約0%から約2%のまでの乳化剤、約0%から約0.5%までの甘味料、約0%から約0.3%までの香料、バランスを備えるための水、を含んでいる。
【0163】
さらに他の典型的な組成は、約45%から約95%までの水、約0%から約25%までのエタノール、約0%から約50%までの湿潤剤、約0.1%から約7%までの界面活性剤、約0.1%から約3%までの甘味料、約0.4%から約2%までの香料、約0.001%から約0.5%までの着色剤を含んでいる。
【0164】
上記各組成は、さらに、約0.05%から約3%までの虫歯治療薬、および約0.1%から約0.3%までの歯石形成防止薬を含んでもよい。
【0165】
溶液剤は、一般に、水、防腐剤、香料および甘味料を含んでおり、増粘剤および/または界面活性剤を含んでいてもよい。
【0166】
溶液剤は、約85%から約99%までの水、約0.01%から約0.5%までの防腐剤、約0%から約5%までの増粘剤、約0.04%から約2%までの香料、約0.1%から約3%までの甘味料、および約0%から約5%までの界面活性剤を含んでもよい。
【0167】
トローチ剤およびミント剤は、一般に、基材、香料および甘味料を含む。基材は、キャンディー基材(硬い砂糖キャンディー)、グリセリン化ゼラチンあるいはそれに形状を付与するのに十分な粘性を備えた砂糖と組み合わせでもよい。US特許第6,350、438号公報、レミングトン、およびThe Science And Practice Of Pharmacy, 19h edition (1995)を参照ください。トローチ剤の組成は、一般に、さらに1つ以上の賦形剤(例えば、圧縮可能な砂糖)および滑沢剤を含む。
【0168】
チューインガム、咀嚼錠および噛むことのできるトローチ剤は、US特許第6,471,991号公報、US特許第6、296,868号公報、US特許第6,146、661号公報、US特許第6、060,078号公報、US特許第5,869、095号公報、US特許第5、709,873号公報、US特許第5,476、647号公報およびUS特許第5,312、626号公報、PCT出願WO84/04453およびPCT出願WO 99/02137、リーバーマンらの(Pharmaceutical Dosage Forms, 2"d ed. (1990))の各記載を参照ください。上記各記載の内容については、参照により本明細書に統合される。
【0169】
1例として、圧縮された咀嚼錠は、1つの、水崩壊性の、圧縮可能な炭水化物(例えば、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、デキストロース、スクロース、キシリトール、ラクトースおよびそれらの混合物など)、バインダー(セルロース、セルロースの誘導体、ポリビニルピロリドン、デンプン、変性デンプンおよびそれらの混合物など)および必要に応じて、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクおよびワックスなど)、甘味料、着色剤、香料、界面活性剤、防腐剤および他の成分を含む。上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む、上記全ての各成分は、乾燥状態にて混合され、タブレットに圧縮成形される。
【0170】
別の例として、咀嚼錠は、コアを包む外側層に包まれたコアを含んでもよい。上記コアは、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含んでもよく、必要に応じて、ゼリー基材あるいはチューワブル基材に他の活性成分を含んでもよい。上記外側層は、チューワブル基材であってもよい。上記ゼリー基材は、ペクチン、ソルビトール、マルチトール、イソマルト、液状グルコース、砂糖、クエン酸および/または香料を含んでもよい。上記コアおよび外側層のチューワブル基材は、ゴム、ソフトキャンディー、ヌガー、カラメルあるいは飴玉でもよい。上記タブレットは、コアと外側層の押し出しによって形成されるロープを形成し、続いて、そのロープを切ることにより形成されている。
【0171】
チューインガムの組成は、一般に、ガム基材、香料、および甘味料を含む。好適なガム基材は、ジェルトン、ゴム、ラテックス、チクルおよびビニライト樹脂剤を含み、望ましくは、従来からの可塑剤あるいは軟化剤と共に含む。
【0172】
可塑剤はトリアセチン、クエン酸アセチルトリブチル、ジエチルセバシテート、クエン酸トリエチル、ジブチルセバシテート、コハク酸ジブチル、フタル酸ジエチル、およびアセチル化モノグリセリドを含む。
【0173】
約50%から約99%までのガム基材、約0.4%から約2%までの香料、および約0.01%から約20%までの甘味料を含む。
【0174】
上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩および他の活性成分は、ガム基材内に、加温したガム基材内に練りこみによってあわせられてもよいし、上記ガム基材の外表面にコーティングされてもよい。
【0175】
口内にて固体形状を形成する、フィルム剤、シート剤、およびゲル剤は、ラクチド/グリコライド共重合体から形成される。ラクチド/グリコライド共重合体は、US特許第5,198,220号公報、US特許第5,242,910号公報およびUS特許第6,350,438号公報に記載されている。口内にて用いるのに好適なフィルム剤のポリマーは、PCT特許出願WO 95/32707号に記述されている。
【0176】
歯と義歯のような硬い歯の表面に付着し、口の中で分解する貼付剤は、US特許第6,197,331号に記述されている。これらの材料はすべて、それらに含まれる活性成分を口内へゆっくりと放出する。活性成分をゆっくりと放出する他の組成(ペースト剤、ゲル剤、軟膏剤、液体剤およびフィルム剤を含んで)は、すでに公知である。それらについては、例えば、US特許第5,032,384号公報、US特許第5,298,237号公報、US特許第5,466,437号公報、US特許第5,709,873号公報およびUS特許第6,270,781号公報を参照ください。
【0177】
歯を白くする組成は、歯の白化剤を含むだろう。歯の白化剤は、過酸化物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過炭酸塩、過ホウ酸塩あるいは過酸化水素を有する錯化合物を含む。歯の白化剤は、また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過酸化物塩を含む。最も一般に用いられている、歯の白化剤は過酸化カルバミドである。
【0178】
他の一般に用いられている歯の白化剤は、過酸化水素、ペルオキシ酢酸および過ホウ酸ナトリウムである。歯の白化剤は活性酸素と過酸化水素を遊離する。歯の白化剤は、歯の白化用組成物内にて、濃度約0.1%から約90%までである。一般に、歯の白化用組成物中の過酸化カルバミドの濃度は、約10%から約25%まである。
【0179】
多くの歯を白くする組成物が、水溶液、ゲル剤、ペースト剤、液体、フィルム、ストライプ、一物系、二物系、歯の白化剤を活性化する成分を含む従来技術の中で知られている。上記成分は、電磁波エネルギー、または熱エネルギーの吸収体を含むことによって、例えば、実質的に共役結合した炭化水素のような、電磁波が放射されると、漂白剤を活性化するといったものである。
【0180】
それらについては、US特許第5,302,375号公報、US特許第5,785,887号公報、US特許第5,858,332号公報、US特許第5,891,453号公報、US特許第5,922,307号公報、US特許第6,322,773号公報、US特許第6,419,906号公報、PCT出願WO 99/37236号、PCT出願WO01/89463、およびPCT出願WOの02/07695を参照してください。それらの開示の全ては、参照によって本明細書に統合される。
【0181】
さらに、他の多くの口内ケア用組成物(例えば、練り歯磨き)および用具(例えば、デンタルフロス)が、歯の白化剤を含む。
【0182】
歯を白くする組成物の使用、あるいは歯の白化剤を含む多くの口内ケア用組成物や用具のうちの1つの使用は、口内組織の炎症を引き起こす場合がある。上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、歯を白くする組成物、または、歯の白化剤を含む他の歯を白くする組成物や用具に含有させることにより、上記炎症を抑制できる。

代わりに、歯を白くする組成物を使用する前または後、あるいは歯の白化剤を含む多くの口内ケア用組成物や用具を使用する前または後に、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を用いても、上記炎症を抑制できる。
【0183】
例えば、歯は、歯のトレーかトラフによって、歯に対して、歯の白化用組成物を適用することにより一般に白くなる。上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、上記トレーかトラフに使用される歯を白くする組成物内に含有させてもよい。
【0184】
代わりに、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む、別の組成物を、歯を白くする組成物の適用が完了した後に、清浄化された、または異なるトレーかトラフにより上記歯に適用させてもよい。
【0185】
さらに代わりに、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む、口内洗浄液またはリンス剤を、歯を白くする組成物の前/後に、上記歯をリンスするのに適用させてもよい。
【0186】
歯を白くする組成物を歯に適用するために、近年、開発された製品は、フレキシブルストライプである。それについては、US特許第5,891,453号公報およびUS特許6,419,906号公報を参照してください。上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩は、上記のようなストライプに含有させることができる。
【0187】
例えば、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、歯を白くする組成物に含有させた後、上記ストライプに適用させてもよい。または、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む、ゲル剤や溶液剤を、それらの製造時にあるいは患者への使用前に、上記ストライプに適用してもよい。
【0188】
さらに他の変形例としては、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩をを含む歯を白くする組成物と、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含むストライプとを、双方を同時に患者に与えてもよいし、上記双方を順番に用いてもよい。
【0189】
本発明の口内ケア用組成物は、単一相であっても、複数相であってもよい。複数相は、各成分のいくつかが互いに支障を生じる場合、各成分のいくつかがが不安定な場合、または書く成分が使用時に混合されるのがベストな場合に用いられる。それゆえ、各相のひとつが、各成分のいくつかを含むと、各成分の残りが、新たな一つ以上の相に含まれることになる。
【0190】
複数相は、複数の別々の各組成物であってもよい。その場合、複数の別々の各組成物は、多くの個別の収納容器、あるいは単一の収納容器中の多くの各コンパートメントの中で提供されるだろう。また、複数相は使用時に組み合わせられるだろう。
【0191】
代わりとして、複数相は、いくつかの各成分をカプセル化することにより形成されてもよい。その場合、複数相は、単一の収納容器に収納されてもよい。複数相の口内ケア用組成物については、US特許第5,302,375号公報、US特許第5,906,811号公報、US特許第5,976,507号公報、US特許第6,6,350,438号公報およびPCT出願番号WO 99/37236号に記載されている。
【0192】
また、本発明は、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む口内ケア用具を提供する。本発明の口内ケア用具は、消費者と患者による使用を意図した用具、および歯の専門家(例えば、歯科衛生士、歯科医、および口腔外科医)によって用いるための用具を含む。
【0193】
本発明の口内ケア用具は、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む、外科の材料(縫合糸とスポンジのような)、フロス、テープ剤、チップ、ストライプ、ファイバー、小楊枝あるいはラバーチップ、人工歯根、および歯の装具(歯の上にフィットしカバーする、必要に応じて、歯周組織の上にフィットしカバーするトレーおよびトラフのようなもの)を含む。上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩は、上記各用具に対して、付着させたり、吸収させたり、結合させたり、添付させたり、補足させたり、コートさせたり、または他の方法にて統合させたりされる。
【0194】
それら口内ケア用具や化合物を統合する方法については、各US特許第5,709,873、5,863,202、5,891,453、5,967,155、5,972,366、5,980,249、6,026,829、6,080,481、6,102,050、6,350,438、6,419,906の各公報、PCT出願WO 02/13775号およびEP出願752833に記載されている。それらの各記載の完全な開示は、参照によって本明細書に組込まれる。
【0195】
例えば、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩は、バインダー(ワックスまたはポリマー)に組み入れることができ、また、デンタルフロス上にコートされてもよい。デンタルフロスは、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む液体槽の中に浸漬して、上気化合物を浸透させるかコートしてもよい。
【0196】
固体状態(凍結乾燥)の上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、歯への適用に好適なポリマーフィルム剤に統合させることもできる。
【0197】
溶液またはゲル状態の上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、歯への適用に好適な、柔軟なストライプに統合させることもできる。
【0198】
縫合糸や、他の外科材料は、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む溶液の中に浸漬し、続いて、上記溶液の溶媒を除去して、上気化合物を縫合糸や、他の外科材料に関係付け(結合される、捕捉される、コートされる)ようになる。
【0199】
上記の各例については、各US特許第5,891,453、5,967,155、5,972,366、6,026,829、6,080,481、6,102,050および6,419,906号を参照ください。
【0200】
さらに、食糧、咀嚼物および玩具といった、動物のための口内ケア用製品が、本発明の範囲内で含まれている。好適な製品は、US特許第4,386,350号に記述されている。
【0201】
上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、動物の口の組織を治療するために使用できる。口とは、本明細書では、リップにより外部的に、および内部的に舌、ゴムおよび歯を囲む咽頭によって、つながる口腔を意味する。それゆえ、口の組織は、リップ、舌、ゴム、頬側組織、口蓋および歯を含む。
【0202】
単一の組織、多くの組織、1つ以上の組織の部分、すべて、あるいは、実質的に、口の組織のすべて(すなわち先のものの組み合わせ)は、本発明に従って治療されてもよい。
【0203】
上記口の組織を治療するために、上記組織を、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩に接触させる。例えば、上記組織を、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む、口内ケア用組成物に接触させてもよい。
【0204】
上記組織を口内ケア用組成物に接触させる方法は、当業者にとっては公知である。適切な方法は、溶液(例えば、口内洗浄液、すすぎ薬、スプレー、液体の歯の衛生品あるいは他の溶液)で組織をすすぐこと、歯の衛生品(例えば、練り歯磨き、歯磨き用ゲル、粉末)を用いて歯をブラッシングすること、組織に対し非研磨溶液、ゲル、ペースト、クリームあるいは軟膏を直接適用する(アプリケーターの使用を備えた、あるいはその使用のない)こと、トローチ剤、ミントあるいはタブレットを噛むか含ませるか、チューインガム、および局所適用の他の多くの手段を含む。
【0205】
組織に、溶液、ゲル剤、ペースト剤、クリーム剤および軟膏剤のような口内ケア用組成物を適用することに好適なアプリケーターは、スワブ、スティック、プラスチックパドル、滴瓶、注射器、ストライプ(US特許第5,891,453号公報およびUS特許第6,419,906号公報に記載のような)、フィンガー、歯のトレー、あるいは応用例(US特許第5,863,202号公報、およびUS特許第5,980,249号公報、およびEP特許出願第752833号)を含む。その応用例は、例えば、ゲルまたは溶液の状態にて歯へ浸漬すること、および必要に応じて、歯周組織へ浸漬することを含む。
【0206】
その上、上記口の組織を治療するために、上記組織を、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む、口内ケア用具に接触させてもよい。上記口の組織を口内ケア用具に接触させる方法は、当業者にとっては公知である。例えば、縫合糸は、抜歯に起因する外科的創傷、または傷を閉じるためにそれらの近くに使用することができ、デンタルフロスは、歯のかすとりに使用されるなどである。
【0207】
組織の治療は予防療法になりえる。例えば、組織は、予防的な口のケア摂生の一部として治療されてもよい。上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、口内のケア用組成物、あるいは、練り歯磨き、歯ゲル、口内洗浄液またはすすぎ薬、あるいはデンタルフロスといった口内ケア用具ないに統合できる。それはそのような摂生の中で使用され、1日当たり規則的に、好ましくは少なくとも一度使用されるだろう、より好ましくは、1日当たりの二度または三度である。
【0208】
さらに他の代替案では、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、予防的な口のケア摂生の中で使用された、他の組成および用具とは別々に使用される個別の口のケア組成物あるいは用具に含有させてもよい。例えば、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、口内洗浄液またはすすぎ薬、ゴム、トローチ剤あるいは咀嚼錠内に、組み入れることができる。それらは、規則的に、1日当たり好ましくは少なくとも一度使用され、より好ましくは少なくとも、二度または三度である。
【0209】
組織も、外科と抜歯を含む様々な歯の取り扱いに関して予防的に治療されてもよい。例えば、外科手術が行なわれた組織、手術が行なわれているエリアあるいはその近くの組織、治療の容易さのために、口の組織の全て組織あるいは実質的に全ての組織(または各組織)を、手術に先立って、手術中に、手術の後に、あるいはそれらを組み合わせにて、処理(治療)することができる。
【0210】
同様に、抜歯のために、抜かれる歯を取り巻く組織(または各組織)、隣接した組織、あるいは治療の容易さのために、口の組織の全て、あるいは実質的に全てを、それの抜歯の前、抜歯の間、抜歯の後、またはそれらの組み合わせにおいて治療することもできる。
【0211】
例えば、上記口を、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む溶液にて、外科手術前、抜歯前にすすぐこともできる。外科手術や、抜歯により生じた傷(書く傷)を、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩が統合された縫合糸により縫合することもでき、および/または、上記口を、外科手術や、抜歯の後、直ちにおいて、および/または、時間をおいて、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を含む溶液にてすすぐこともよい。
【0212】
最後に、上に記述されているように、組織は、恐らく、動物の歯の白化に関連して予防的に治療されてもよい。
【0213】
上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、口の病気やその状態を治療するのに用いてもよい。上記病気やその状態とは、炎症および炎症性の疾患や状態といったものである。上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩にて治療可能な、特定の病気やその状態とは、歯肉炎、歯根膜炎、感染症(細菌感染、ウイルス感染、酵母菌感染および真菌感染)、潰瘍、口唇ヘルペス、外科手術または抜歯に伴うアフタ性口内炎および炎症である。
【0214】
癌のような口の他の病気およびその状態の治療は、より一般的には、歯科医ではなく、医師の監督の下により実行される。
【0215】
従って、これら病気とその状態の治療は、上述された治療の方法および医薬品の検討の上にて取り扱われた。しかしながら、本発明の口内ケア用製品の使用、および本発明の医薬品の使用は、共に、口の状態の上記病気およびその状態のタイプの治療に有益に違いない。
【0216】
動物の口の組織を治療するために必要な、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の投与量は、治療は予防的か、あるいは病気またはその状態の治療か、治療される病気あるいはその状態の同定、病気あるいはその状態の重症度、使用される口内ケア用組成物のタイプ、治療の期間、動物に投与されたたの医薬品の同定、動物の年齢、サイズおよび種に、および医学および獣医学の分野にて既知の要素などによって依存して、変わることについては、当業者によって理解されることである。
【0217】
一般に、本発明の化合物の適切な一日量は、治療効果を生むのに有効な最低用量になるだろう。上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、約0.000001%から約20%まで含む口内ケア用組成物の、1日当たり1回以上の使用が、有効な1日の投与量を提供するだろうと期待される。
【0218】
しかしながら、使用される実際の毎日の投与量、1日当たりの治療の数および治療の長さは、正しい医学の判断の範囲内において、関与する歯科医か獣医によって決定されるだろう。
【0219】
本発明は、さらに本発明に従って口内ケア用製品を含むキットを提供する。口内ケア用製品が口内ケア用組成物である時に、キットは、さらに、動物の口の組織に口内ケア用組成物を、ゲルまたは溶液の状態にて適用するためのアプリケーターを含んでいてもよい。アプリケーターとしては、スワブ、スティック、プラスティック製のパドル、滴瓶、注射器、ストライプ(US特許第5,891,453号公報およびUS特許第6,419,906号公報に記載のような)あるいは歯のトレー、その応用例(US特許第5,863,202号公報、およびUS特許第5,980,249号公報、およびEP特許出願番号752833)といった、歯に浸漬させる、および必要に応じて、歯周組織に浸漬させるものである。
【0220】
キットは、さらに意図した使用に必要とされた発明の口内ケア用組成物の量を投薬し、および/または測定するための、カップ、バイアルあるいは他の用具を含むことが可能である。もちろん、キットは、本発明に従って口内ケア用組成物および口内ケア用具の両方を含むことができる。
【0221】
口内ケア用組成物および/または本発明の用具に加えて、キットは、さらに歯の白化用組成物のような、別のタイプの口内ケア用組成物あるいは用具を、また、歯の白化剤を含んで、ストライプや口内ケア用組成物などを適用するためのアプリケーター含むことができる。本発明に係るキットは、さらにキットおよび/または発明の口内ケア用製品を使用するための取り扱い説明書を含み、他の所望のアイテムも含んでもよい。
【0222】
E.パーソナルケア製品および方法
上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、パーソナルケア製品にて動物に投与することができる。パーソナルケア製品はパーソナルケア用組成物およびパーソナルケア用具を含む。本発明のパーソナルケア用組成物およびパーソナルケア用具は、消費者と患者による使用のために意図された組成および用具、並びに専門家(例えば、皮膚科医、美容院と温泉地)によって用いるために意図された組成および用具を含む。
【0223】
パーソナルケア用組成物は、化粧品、スキンクリームおよびローション剤、フェースおよびボディのモイスチャライザー、日やけ止めクリームおよびローション剤、オイル、洗浄剤、すすぎ薬、溶液剤、目薬、乳剤、液体剤、ゲル剤、軟膏剤、スプレー、粉末剤、脱臭剤、シャンプー、頭皮治療組成物、リップグロス、リップバーム、ニキビ治療薬、鎮痛薬などを含む。
【0224】
本発明のパーソナルケア用組成物は、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩と、製剤的に許容可能な担体とを含む。パーソナルケア用組成物はさらに1つ以上の他の許容可能な成分を含んでもよい。他の許容可能な成分は、他の活性成分、および/または、パーソナルケア用組成物において従来から使用されている他の成分を含む。
【0225】
担体および成分は、それぞれ、式Iの化合物およびその化合物の薬学的に許容可能な塩の化合物、および組成の他の成分と支障なく共存できて、動物にとって有害でない意味にて「許容可能」でなければならない。
【0226】
パーソナルケア用組成物、およびパーソナルケア用組成物を製造し使用する方法で使用される適切な成分は、当技術において公知である。
【0227】
スキンケア用組成物に使用するに好適な種々様々の担体は、当技術分野において公知である。例えば、エマルジョン担体(水の中の油、油の中の水、水の中の油の中の水、およびシリコン・エマルジョン中の水の中の油を含む)を使用することができる。それらのエマルジョンは、広い範囲の粘度をカバーできる(例えば、100センチポアズ(cps)から200,000cpsまで)。
【0228】
他の好適な担体は、油剤、アルコールおよびシリコーン(例えば、鉱油、エタノール、イソプロパノール、ジメチコーン、シクロメチコーンおよび同種のもの)のような無水の液体溶剤、水性の単一相液体溶剤(例えば、水性アルコール溶媒の系)、または、上記の無水の単一相溶媒、水性の単一相溶剤の増粘したバージョン(例えば、溶解力のあるものの粘性が適切なゴム、樹脂剤、ワックス、ポリマー、塩およびその他同種のものの添加によって固体か半固体を形成することにより上記溶剤の粘度を増加させた場合)を含む。
【0229】
担体は、好ましくは、約50重量%から約99重量%までの、より好ましくは約75重量%から約99重量%までの、最も好ましくは約85重量%から約95重量%までの、スキンケア用組成物を含む。
【0230】
さらに、ヘアケア用組成物で使用するに好適な種々様々の担体は、当該分野において公知である。上記担体としては、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、およびイソプロパノール)並びにそれらの混合物を使用することができる。
【0231】
上記担体は、さらにアセトン、炭化水素(例えば、イソブタン、ヘキサン、デセン)、リナロール、エステル(例えば、酢酸エチル、フタル酸ジブチル)、揮発性のシリコーン誘導体(例えば、フェニルペンタメチルジシロキサン、メトキシプロピルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、クロロプロピルペンタメチルジシロキサン、ハイドロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロテトラシロキサン、シクロメチコーンおよびジメチコーンといったシロキサン類、並びにそれらの混合物)、を含む種々様々の追加の材料を含むことができる。
【0232】
低粘性であるヘアケア用製品は、さらに乳化剤(好ましくは、組成の約0.01重量%から約7.5重量%までのレベルの)を利用するものでもよい。
【0233】
上記担体は、約0.5重量%から約99.5%重量までの、好ましくは約5.0重量%から約99.5重量%までの、より好ましくは約10.0重量%から約98.0重量%までのヘアケア用組成物を含むものである。
【0234】
上記式Iの化合物およびその化合物の薬学的に許容可能な塩の化合物、並びに上記担体に加えて、本発明のパ−ソナルケア用組成物は、種々様々の追加の成分を含むことができる。それら追加の成分は、これらの追加の成分は、薬学的な活性成分(例えば、ニキビ防止活性成分、鎮痛性の活性成分、かゆみ止めの活性成分(麻酔の活性成分および抗菌の活性成分))、他の活性成分(例えば、紫外線を遮蔽する活性成分(日陰でのタンニング活性成分)、白くなる活性成分、ふけ抑制活性成分、制汗性の活性成分および脱臭の活性成分を含む)、コンディショナー、湿潤剤、モイスチャライザー、界面活性剤、シックナー、皮膚軟化薬、およびパーソナルケア用組成物の中で一般に使用される他の成分を含む。
【0235】
上述されたように、上記式Iの化合物およびその化合物の薬学的に許容可能な塩の化合物に加えて、本発明のパーソナルケア用組成物に含むことができる活性成分は、ニキビ防止活性成分、鎮痛性の活性成分、かゆみ止めの活性成分、麻酔の活性成分および抗菌の活性成分を含む。上記組成物に含めるべき、これらの成分の量の決定は、当業者にとって知られていおり、経験的に決定することができる。
【0236】
好適な投与量は、例えば、特定の活性成分、皮膚を通した活性成分の浸透能、投与される組成物の量、治療される特別の条件、動物の年齢および健康状態、その状態の重症度、治療の期間、同時治療の性質、および同様な各要素により変化するものである。
【0237】
ニキビ防止活性成分は、角質溶解薬(サリチル酸、硫黄、乳酸、グリコール酸、ピルビン酸、尿素、レゾルシノ-ル、N−アセチルシステインといった)、レチノイド(アスレノイック酸およびその誘導体)、抗生物質および抗菌性物質(過酸化ベンゾイル、オクトピロックス、エリスロマイシン、亜鉛、テトラサイクリン、トリクロサン、アゼライン酸およびその誘導体、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、酢酸エチル、クリンダマイシンとメクロサイクリン)、セボスタ-ト(フラボノイドなど)、アルファとベータのヒドロキシ酸および胆汁酸塩(アシムノール硫酸塩およびその誘導体、デオキシコール酸塩、およびコール酸など)を含む。
【0238】
鎮痛性の活性成分は、サリチル酸誘導体(サリチル酸メチルなど)、トウガラシ属の種および誘導体(カプサイシンなど)、ステロイド(ヒドロコルチゾンなど)および非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)を含む。非ステロイド系抗炎症薬は、次のカテゴリーから選ぶことができる。そのカテゴリ−は、プロピオン酸誘導体(アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノクサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルポプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミクロプロフェン、チオクサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェンおよびブクロ酸)、酢酸誘導体、フェナミック酸の誘導体、ビフェニルカルボン酸の誘導体およびオキシカム類である。
【0239】
かゆみ止めの活性成分は、メスヂリジンおよびトリメプラジンの薬学的に許容可能な塩を含む。
【0240】
麻酔の活性成分は、リドカイン、ブピバカイン、クロロプロカイン、ジブカイン、エチドカイン、メピバカイン、テトラカイン、ディクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、プラモキシンおよびフェノールの製剤的に許容可能な塩を含む。
【0241】
抗生物質(抗菌性、抗真菌剤、抗原生動物剤、そして抗ウイルス性)活性成分は製剤的に許容可能な塩のP−ラクタムおよびキノロン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、アミカシン、トリクロサン、ドキシサイクリン、カプレオマイシン、クロルヘキシジン、クロールテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クリンダマイシン、エタンブトール、メトロニダゾール、ペンタミジン、ゲンタミシン、カナマイシン、リネオマイシン、メタサイクリン、メテナミン、ミノサイクリン、ネオマイシン、硫酸ネチルマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ミコナゾール、アマンファディン、オクトピロックス(パラクロロメタキシレノール)、ナイスタチン、トルナフタートおよびクロトリマゾールを含む。
【0242】
紫外線遮蔽剤は、2−エチルヘキシル−p−メトキシケイヒ酸および2−エチルヘキシル−N,N−ジメチル−p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、オクトクリレン、オキシベンゾン、ホモメチルサリチラート、オクチルサリチラート、4,4’−メトキシ−t−ブチルベンゾイルメタンおよび4−イソプロピルジベンゾイルメタン、3−ベンジリデンカンファー、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化鉄、およびそれらの混合物を含む。
【0243】
追加の紫外線遮蔽剤は、単一の分子内に、2つの異なる各紫外線吸収スペクトル(一つは、WAの範囲を主に吸収し、他は、UVB範囲の中で主に吸収する)を示す2つの別個の各光吸収分子団を有するものである。
【0244】
そのような例としては、4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸の2,4−ジハイドロベンゾフェノンのエステル、4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸の4−ハイドロキシジベンゾイルメタンのエステル、4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸の2−ハイドロキシ−4−(2−ハイドロキシエトキシ)ベンゾフェノンのエステル、4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸の4−(2−ハイドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンのエステル、およびそれらの混合物が挙げられる。さらに追加の好適な紫外線遮蔽剤については、それらが記述されたPCT特許出願番号WO 03/013468号を参照してください。
【0245】
一般に、紫外線遮蔽剤(日焼け止め)は、上記組成物の、約0.5重量%から約20%重量まで含まれるであろう。正確な含有量は、選ばれた紫外線遮蔽剤および所望の日焼け防止指数(SPF)に依存して変わるだろう。SPFは、日焼けに対する日焼け止めの効果を示すのに一般に用いられている測定値である。連邦官報(43巻、166号、38206頁−38269頁、1978年8月25日発行)を参照してください。
【0246】
日陰でのタンニング活性成分は、ジヒドロキシアセトン、グリセルアルデヒド、インドールおよびそれらの誘導体、および同種のものを含む。
【0247】
皮膚を漂白する活性成分は、ヒドロキノン、アスコルビン酸、コウジ酸およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む。
【0248】
ふけ防止活性成分は、ジンクピリチオン、オクトピロックス、二硫化セレン、硫黄、コールタールおよびその他同種のものを含む。
【0249】
制汗性の活性成分は、アルミニウム、ジルコニウムおよび亜鉛の無機塩および有機塩など収れん性を備えた金属塩、およびそれらの混合物を含む。
【0250】
消臭の活性成分は、静菌薬(例えば、2,2’−メチレンビス(3、4、6−トリクロロフェノール)、2、4、4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ(ジフェニルエーテル)(さらにトリクロサンとして知られている)、フェノールスルホン酸亜鉛、2、2’−チオビス(4−6−ジクロロフェノール)、p−クロロ−m−キシレノール、ジクロロ−m−キシレノール、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−パルミトイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシン、N−ミリスチルグリシン、N−ラウロイルサルコシンカリウム、クロロハイドロキシ乳酸のアルミニウム塩、および同種のもの)を含む。
【0251】
上記組成物に有用なコンディショニング剤(特にヘアケア用組成物)は、炭化水素、シリコーン油およびカチオン性物質を含む。上記炭化水素は、直鎖あるいは分枝鎖の何れかであり、また、約10から約16までの炭素原子を含むことができるものである。
【0252】
上記炭化水素の好適な例は、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカンおよびそれについての混合物を含む。シリコーンのコンディショニング剤は、環式または線形のポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、アルキルフェニルシリコーン、およびシリコーンのコ多価アルコールを含む。
【0253】
カチオンのコンディショニング剤は第四級アンモニウム塩(例えば、アルキル基が12−22の炭素原子を有しているジアルキル・ジメチル・アンモニウム塩(例えば、塩化ジタロージメチルアンモニウム、メチル硫酸ジタロージメチルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウムおよびジ(水素化されたタロー)塩化アンモニウムのような)、およびジカチオニック(タロープロパンジアンモニウム二塩化物など)、第4級イミダゾリニウム塩(例えば、12−22の炭素原子を含むアルキル基を含むイミダゾリニウム塩(RT1、1−メチル−1[(ステアロイルアミド)エチル]−2−ヘプタデシル−4,5−ジハイドロイミダゾリニウム塩化物、1−メチル−1−[(パルミトイルアミド)エチル]−2−オクタデシル−4,5−ジハイドロイミダゾリニウム塩化物、およびメチル硫酸1−メチル−1−[(タローアミド)エチル]−2−タロー−イミダゾリニウム)など)、および脂肪族アミン(例えば、ステアリルアミン塩酸塩、ソヤアミン塩酸塩およびステアリルアミン蟻酸塩)の塩を含む。
【0254】
湿潤剤およびモイスチャライジング剤は、尿素、グアニジン、グリコール酸およびグリコレート塩(例えば、アンモニウム、および第4級のアルキル基のアンモニウム)、乳酸、乳酸塩の塩(例えば、アンモニウムおよび第4級のアルキル基のアンモニウム)、種々な形態のアロエベラ(例えば、アロエベラのゲル)、多価アルコール(例えば、ソルビトール、グリセロール、ヘキサトリオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコールおよび同種のもの、ポリエチレングリコール、砂糖、デンプン、砂糖とデンプンの誘導体(例えば、アルコキシル化されたグルコース)、ヒアルロン酸、ラクトアミドモノエタノールアミン、アセトアミドモノエタノールアミンおよびそれらの混合物)を含む。湿潤剤およびモイスチャライジング剤は、一般に、上記組成物に対して、約0.1重量%から約20重量%までのレベルにて存在している。
【0255】
界面活性材は、陰イオン性、非イオン性、両イオン性、両性イオン性、および陽イオン性の合成の各界面活性剤を含む。
【0256】
好適な陰イオン界面活性剤は、アルキル基のグリセリル・エーテル・スルフォナート、アンモニウム・ラウリル硫酸塩、アンモニウムラウレス硫酸塩、トリエチルアミン・ラウリル硫酸塩、トリエチルアミンラウレス硫酸塩、トリエタノールアミン・ラウリル硫酸塩、トリエタノールアミンラウレス硫酸塩、モノエタノールアミン・ラウリル硫酸塩、モノエタノールアミンラウレス硫酸塩、ジエタノールアミン・ラウリル硫酸塩、ジエタノールアミンラウレス硫酸塩、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムラウレス硫酸塩(カリウム・ラウリル硫酸塩)など、長連鎖硫酸塩、スルフォナート、イソエチオネート、カルボン酸塩、タウレートおよびスルフォサルシネート、カリウムラウレス硫酸塩、ナトリウム・ラウリルサルコシン、ナトリウム・ラウロイルサルコシン酸塩、ラウリル・サルコシン、ココイルサルコシン、アンモニウムココイル硫酸塩、アンモニウム・ラウロイル硫酸塩、ナトリウムココイル硫酸塩、ナトリウム・ラウロイル硫酸塩、カリウムココイル硫酸塩、カリウム・ラウリル硫酸塩、トリエタノールアミン・ラウリル硫酸塩、モノエタノールアミンココイル硫酸塩、モノエタノールアミン・ラウリル硫酸塩、ナトリウム・トリデシル・ベンゼン・スルフォナートおよびナトリウム・ドデシル・ベンゼン・スルフォナートを含む、
陽イオン界面活性剤については、US特許第5,916,548号公報に開示されたもの参照して下さい。
【0257】
非イオン性界面活性剤は、有機的な疎水性の化合物で、アルキレンオキシド・グループ(自然界において親水性)の縮合によって生産された化合物を含む。それは自然界における脂肪族アルキル基の芳香薬でもよい。
【0258】
両性・両性イオンの界面活性剤は、アミドカルボキシルベタインなどベタイン、アルキル基のベタイン、アミドプロピルベタイン、アミドプロピルスルタインおよびスルフォベタインを含む。
【0259】
追加の両性・両性イオンの界面活性剤は、脂肪族の第四級アンモニウムおよびスルフォニウム化合物の誘導体を含む。その中で脂肪族のラジカルは直鎖あるいは枝分れ鎖でもよい、そして、脂肪族の置換分のうちの1つは、約8−18炭素原子および1つの陰イオンの水可溶性とする置換基を有する(例えば、カルボキシル基、スルフォナートまたは硫酸塩)。
【0260】
さらに両性・両性イオンの界面活性剤は、脂肪族の第二級・第三級アミンの誘導体を含む。その中で脂肪族のラジカルは直鎖あるいは枝分れ鎖でもよい。そして、脂肪族の置換分のうちの1つは、RT1、8−18の炭素原子および1つ陰イオンの水溶性の付与基(例えば、カルボキシ、スルフォナートか硫酸塩)を含むものである。例としては、3−ドデシル−アミノプロピオン酸ナトリウム、3−ドデシル−アミノプロパン酸ナトリウム、およびN−アルキル基のタウリンが挙げられる。
【0261】
界面活性剤の界面活性剤またはそれらの混合物は、上記組成物に対して、一般に、約0.2重量%から約30重量%までのレベルにて含有されている。
【0262】
増粘剤はカルボン酸ポリマー(US特許第5,916,548号公報に記述され、その完全な開示は参照によって本明細書に組込まれる)を含む。これらの架橋重合体は、アクリル酸、代用されたアクリル酸および塩に由来した1つ以上のモノマー、およびこれらのアクリル酸および代用されたアクリル酸のエステルを含む。そこでは架橋剤は2つ以上の炭素−炭素二重結合を含み、多価アルコールに由来する。
【0263】
そのようなポリマーの特定の例はカルボマーである。それは、スクロースあるいはペンタエリスリトール(B・F・グッドリッチからのカルボポールl900シリーズとして利用可能)のアリル・エーテルを備えたアクリル酸の架橋されたホモポリマー、および共重合体、アクリル酸の1つ以上のモノマーを備えたC30のアルキル基のアクリル酸塩、メタクリル酸あるいはそれらの短鎖(C14アルコール)エステル(そこでは架橋剤はスクロースまたはペンタエリスリトール(さらに、アクリル酸塩のC10−30のアルキル基のアクリル酸塩の架橋ポリマーおよびB・F・グッドリッチから購入可能なカルボポール1342、ペムレンTR−1およびペムレンTR−2として知られた)のアリル・エーテルである)のうちの1つである。
【0264】
他の増粘剤は、キサンタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチル・セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルキル基変性後のヒドロキシアルキル・セルロース(例えば、長連鎖アルキルを、セチルヒドロキシエチルセルロースのようなヒドロキシエチルセルロースを変性したもの)およびケイ酸アルミニウムマグネシウムを含む。
【0265】
これらの増粘剤は、一般に、上記組成物に対し、約0.025重量%から約1重量%までのレベルにて含有される。
【0266】
パーソナルケア用組成物で使用するに好適な乳化剤は、種々様々の非イオンの乳化剤、カチオンの乳化剤、陰イオン・両性イオンの乳化剤のいずれかでありえる。適切な乳化剤の例は、グリセリンのエステル、プロピレングリコールのエステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールの脂肪酸エステル、ソルビトールのエステル、ソルビタン無水物のエステル、カルボン酸共重合体、グルコースのエステルおよびエーテル、エトキシル化されたエーテル、エトキシル化されたアルコール、脂肪酸アミド、アシルラクチル酸、石鹸、およびそれらの混合物を含む。
【0267】
特定の適切な乳化剤は、ポリエチレングリコール20、ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリエチレングリコール−5−ソヤステロール、ステアレス−20、セテアレス−20、PPG−2−メチルグルコースエーテルジステアレート、セテス−10、ポリソルベート80、ポリソルベート60、グリセリルステアリン酸、PEG−100のステアリン酸塩およびそれらの混合物を含む。乳化剤は、一般に、上記組成物に対して、約0.1重量%からの約10重量%までのレベルにて含有される。
【0268】
皮膚軟化薬は、揮発性・不揮発性のシリコーン油、高度に枝分かれさせられた炭化水素、非極性なカルボン酸、アルコール・エステル、およびそれらの混合物を含む。皮膚軟化薬は、一般に、上記組成物に対して、約1重量%から約50重量%までのレベルにて含有される。
【0269】
様々な追加の成分をパーソナルケア用組成物に含むことができる。これらの追加の成分は、ビタミンおよびその誘導体(例えば、アスコルビン酸、ビタミンE、トコフェリルアセテート、レチン酸、レチノール、レチノイドなど)、pH調節剤(口内ケア用製品に関する前述の記載を参照)、ポリクオテリウム、鉱油、樹脂、ゴム、塗膜形成能のためのポリマー、および組成物(エイコセンとビニルピロリドンの共重合体など)、懸濁剤(例えば、エチレングリコールジステアレートなど)、保存剤、皮膚浸透援助剤、酸化防止剤、キレート化剤、金属イオン封鎖剤および審美的な構成要素(例えば、香水、着色、芳香油、皮膚感付与剤、収れん剤および皮膚無痛化剤)およびその他同種のものを含む。
【0270】
審美的な構成要素の特定の例は、パンテノールとその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ちょうじ油、メントール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、メンチル乳酸塩、アメリカマンサク留出物、アラントインとビスアバロールを含む。
【0271】
技術あるいはどれが開発されるだろうかの中で既知の、上記の記述された成分および他の成分を利用して、種々様々の異なるパーソナルケア用組成物を調製することができることは認識されるだろう。
【0272】
特定のパーソナルケア用組成物に含めるべき、適切な成分および成分の組み合わせを選び、かつ上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の有効な量を決定することは、当該分野における熟練内にある。
【0273】
本発明はさらにパーソナルケア用具を提供する。パーソナルケア用具は外科の材料(縫合糸とスポンジなど)、包帯、スポンジ、布、スワブ、パッドおよび拭くことを含む。本発明のパーソナルケア用具は、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、付着させて、吸収させて、吸着させて、結合させて、添付されて、捕捉されて、含浸されて、コートされて、さらに他方法により統合されて有している。
【0274】
上記用具は、例えば、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の溶液に浸漬し、続いて、上記溶液の溶媒を除去することにより、上記用具は上記化合物を、付着、吸収、吸着、結合、添付、捕捉、含浸、コートにより備えることができる。詳細については、前述の口内ケア用具の調製の記載を参照して下さい。
【0275】
本発明は、さらに皮膚のケアおよび治療のための方法を提供する。上記方法は、動物の皮膚に対し、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の化合物の有効な量を接触させることを含む。
【0276】
例えば、皮膚は、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の化合物を含むパーソナルケア用組成物にて接触されてもよい。皮膚をパーソナルケア用組成物と接触させる方法については公知である。好適な方法は、清浄液で皮膚を洗い、すすぎで皮膚をすすぎ、溶液、ゲル、クリーム、ローション剤あるいは皮膚(アプリケーターの使用を備えた、あるいはその使用のない)上の軟膏を適用し、頭皮と接触するシャンプーで毛を洗うことといった局所適用の他の多くの手段を含む。
【0277】
パーソナルケア用組成物の適用に好適なアプリケーターは、綿ボール、ガーゼ・パッド、布巾、クロス、スワブ、滴瓶、注射器あるいはフィンガーを含む。さらに、上記皮膚を、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の化合物を含むパーソナルケア用具にて接触させてもよい。皮膚とパーソナルケア用具とを接触させる方法は公知である。例えば、縫合糸は外科的創傷を閉じるために使用することができる。上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の化合物を含浸させた布巾やパッドは、皮膚を清潔にするために使用される。上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の化合物を含む包帯を、皮膚などに用いることができる。
【0278】
皮膚の治療は予防療法になりえる。例えば、皮膚は、予防的なスキンケア摂生の一部として取り扱われてもよい。上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の化合物を、そのような摂生に用いられるパーソナルケア用組成物またはパーソナルケア用具に統合させてもよく、また、予防的なスキンケア摂生の中で使用された、他の組成および用具とは別々に使用される個別のパーソナルケア用組成物あるいはパーソナルケア用具に含ませてもよい。予防的な摂生は、規則正しく実行される(例えば、毎月、あるいは毎日)。
【0279】
皮膚も、外科手術、皮膚剥離法および化学品による皮膚剥離を含む、様々な皮膚科学の操作に関して予防的に取り扱われてもよい。例えば、手術が行なわれることになっている皮膚のエリアについて、手術前、手術中、手術後、またはそれらの組み合わせのとき取り扱われ、治療することができる。
【0280】
例えば、皮膚を、手術前に、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の化合物を含む溶液にて、すすぐことができる。外科手術により生じた傷を、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の化合物を含む縫合糸にて閉じることもできる。および/または、上記皮膚を、上記溶液にて、外科手術の後に直ちにすすいでもよく、手術後に所定の間隔にて繰り返しすすいでよい。
【0281】
上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の化合物を含むパーソナルケア用製品は、皮膚の病気やその状態の治療に用いることができる。治療可能な、特定の病気やその状態については、本発明に係る、上述した治療方法や医薬品製剤に関する記述において示されている。医薬品製剤および/またはパーソナルケア用組成物またはパーソナルケア用具により、病気やその状態が治療されうるのは評価されるであろう。
【0282】
パーソナルケア用製品を用いて組成物に含めるべき、動物の皮膚の治療に必要な、上記の式Iに示す化合物またはその製剤的に許容可能な塩の投与量は、治療は予防的か、あるいは病気またはその状態の治療か、治療される病気あるいはその状態の同定、病気あるいはその状態の重症度、使用されるパーソナルケア用組成物またはパーソナルケア用具のタイプ、治療の期間、動物に投与されたたの医薬品の同定、動物の年齢、サイズおよび種に、および同様な要素などによって依存して、変わることについては、当業者によって理解されることである。
【0283】
本発明は、さらに本発明に従ったパーソナルケア製品を含むキットを提供する。パーソナルケア生成物がパーソナルケア用組成物である時に、キットは、さらに、スワブ、綿ボール、布巾、パッド、プラスティック製のパドル、スクィーズボトル、ポンプ・ボトル、滴瓶あるいは注射器のようなパーソナルケア用組成物の適用のためにアプリケーターを含んでいてもよい。
【0284】
キットは、さらに、意図した使用に必要とされた発明のパーソナルケア用組成物の量を投薬し、かつ/または測定するための、カップ、バイアルあるいは他の用具を含むことができる。もちろん、キットは、本発明に従ったパーソナルケア用組成物およびパーソナルケア用具の両方を含むことができる。
【0285】
本発明に係る、パーソナルケア用組成物および/またはパーソナルケア用具に加えて、キットは、さらに別のタイプのパーソナルケア用組成物あるいはパーソナルケア用具を含むことができる。
【0286】
本発明に係る、キットは、さらにキットおよび/または本発明のパーソナルケア用製品を使用するための取り扱い説明書を含み、他の所望のアイテムも含んでもよい。
【0287】
実施例1
N−アセチルL−アスパルギン酸(NAA)は、ミエリン合成および浸透調節にとって重要なことを示されたが、脳の中のNAAのハイ・レベルのための生物学の論理的基礎は、未知のままである。
【0288】
本実施例において、人間の星状膠細胞行(STTG)は、NAAで処理され、続いて、イオノマイシンまたはIL−1(3)で刺激されて活性化された。上記活性化の後の炎症反応は、プロスタグランジンE2(PGE2)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)タンパク質、および活性化されたNFlcBのような炎症のメジエーターの測定により調べられた。
【0289】
イオノマイシン−刺激されたSTTG細胞の中のPGE2レベルは、10mMのNAA濃度および20mMのNAA濃度で、それぞれ76%および95%減少した。
【0290】
グルタミン酸受容体アンタゴニスト(L−AP−4およびL−グルタミン酸ジエチル・エステル)も、STTG細胞系統中のPGE2レベルを減少させた。
【0291】
NAAは、さらに、IL−1pにて刺激されたSTTG細胞において、COX−2タンパク質、および、活性化されたNFRBの量を減少させたが、刺激されていない細胞に効果がほとんどなかった。NAAは、トータルなCOX−2の活動あるいはCOX−2mRNAに効果がなかった。
【0292】
これらの結果は、NAAが人間のSTTG星状膠細胞行で炎症の状態を変化させることにおいて重要に見えることを実証する。
【0293】
NAAの抗炎症性作用の可能なメカニズムは、キーとなる、前炎症段階の酵素(例えば、COX−2、IlcBotキナーゼなど)のアセチル化の結果、グルタミン酸受容体拮抗作用あるいはカルシウム・キレート化の各結果でありえる。
【0294】
これらの各発見の結果は、脳の内の異常なNAAレベルを示すニューロンの病理学に関して議論される。
【0295】
A.導入部
NAAは、グルタメート(Tsai et al., Prog. Neurobiol., 46: 531-540 (1995); Baslow, J. Neurochem.,68: 1335-1344 (1997); Clark, Dev. Neurosci., 20: 271-276 (1998))に続く、哺乳類の脳で2番めに豊富な遊離アミノ酸である。
【0296】
NAAは、主としておよそ10mMの濃度にてニューロン内に局在している(Jacobs et al., Magn. Reson.Med., 46: 699-705 (2001) ; Wang etal.,Magn. Reson.Med., 39: 28-33 (1998); Pouwels et al., NMR Biomed., 10: 73-78 (1997); Soher et al., Mage. Reson.Med., 35: 356-363 (1996); Friedmanet al., AJNRAm. J. Neuroradiol., 19: 1879-1885 (1998))。
【0297】
様々な病理学の条件による脳の中のNAAレベルの摂動は、陽子NMRスペクトロスコピーで検知された。NAA濃度の増加は、アスパルトアシラーゼ(アシラーゼII)(Baslow, Neurochem. Res., 28: 941-953 (2003))のブレークダウンの原因である酵素の不足によりキャナヴァン病の中で測定された。
【0298】
NAA濃度の減少は、ハンチントン舞踏病(Jenkins et al., J. Neurochem., 74: 2108-2119 (2000))、筋萎縮性側索硬化症(Suhy et al., Neurology, 58: 773-779 (2002))、アルツハイマー病(Huang et al., Neurology, 57: 626-632 (2001))、外傷性脳損傷(Friedman et al., AJNR Am. J. Neuroradiol., 19:1879-1885(1998))、虚血性損傷(Konaka et al. , J. Cereb. Blood Flow Metab., 23: 700-708 (2003))、多発性硬化症(Wylezinska et al., Neurology, 60: 1949-1954 (2003))、HIV (Iranzo et al., J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry, 66: 520-523 (1999))、および統合失調症(Yamasue et al., Neuroreport,</RTI> 13: 2133-2137 (2002))で見出された。
【0299】
脳において、NAAは合成されニューロンに格納されるが、膠細胞中で加水分解される(Baslow, Neurochem. Res., 28: 941-953 (2003))。脳間質腔において、NAAの濃度は、ニューロン中の1/100未満である(Sager et al. , J. Neurochem., 68: 675-682 (1997))。したがって、ニューロンから間質腔に向かうNAAの大きな流出は実現される。特定の移送機構によって膠細胞は、ニューロンから放出されたNAAを取り込む。
【0300】
膠細胞では、NAAは、アスパルトアシラーゼによって、酢酸とアスパラギン酸とに分解される。酢酸は、その後、ミエリンリピッドの合成のための酢酸ドナーとして利用される。NAAも、共輸送が給水するニューロンの分子の水ポンプおよびNAAは細胞外に取り出される。
【0301】
NAAは浸透してミエリン合成のために重要なことを示されたが、制限のある知識では、まだ、哺乳類の脳の中にある大きな量のNAAの目的に関して存在する。
【0302】
本願の研究において、STTG星状膠細胞の炎症反応、およびNAAがこのレスポンスに有した影響は検討された。
【0303】
第1に、シクロオキシゲナーゼ−2レベルおよびプロスタグランジン合成でのNAAの結果は研究された。
【0304】
刺激されたSTTG細胞の活性化されたNFKBの生産に対するNAAの影響も調査された。
【0305】
これらの結果は、キャナヴァン病のような多数の脳障害に関連した病理学のうちのいくつかについて説明することができた。
【0306】
B. 材料および方法
プロスタグランディンE2のアッセイ法
人間のSTTG星状膠細胞(CRL−1718 ATTC、ロックヴィル、MA)は、トリプシン/EDTAをサブ培養する前に、密集成長近く(>90%)にてAGM培地(バイオウィッタカー、ウォーカーズヴィル、MD)を含む、75cm2フラスコにて(10%のCO2、37℃)において培養された。
【0307】
細胞は、24ウエルのプレートに、50,000細胞/ウエルにて各ウエルの表面にて、各インヒビターが投与される前において、密集培養の近くで2日間培養された。
【0308】
N−アセチル−アスパルギン酸(NAA、シグマ・オールドリッチ、セントルイス(MO))はAGM培地に溶かされ、7.4のpHに戻された。
【0309】
アスピリンの原液はDMSOに溶かされ、次に、培地中で薄められた。DMSO濃度は細胞を浸す培地の中にて、0.5%未満であった。
【0310】
その後、細胞は、潜在的なプロスタグランジンE2(PGE2)インヒビター(NAA、L−2−アミノの−4−フォスフォノブチル酸[L−AP−4、シグマ・オールドリッチ、セントルイス、MO]、L−グルタミン酸ジエチルエステル[GDE、Nagaraja K.R.ラオからの寛大な贈り物、DMI Synthesisの英国株式会社]、アスピリン、またはデクサメタゾンがそれぞれ投与された。
【0311】
その後、細胞は、潜在的なプロスタグランジンE2(PGE2)インヒビター(NAA、L−2−アミノの−4−フォスフォノブチル酸[L−AP−4、シグマ・オールドリッチ、セントルイス、MO]、L−グルタミン酸ジエチルエステル[GDE、Nagaraja K.R.ラオからの寛大な贈り物、DMI Synthesisの英国株式会社]、アスピリン、またはデクサメタゾンがそれぞれ投与された。
【0312】
1時間の培養後、細胞は、イオノマイシン(シグマ・アルドリッチ製、(セントルイス(MO))と共に、24時間37℃にて培養されることで、刺激され、活性化された。1つのウエルの合計容量は、1mLである。
【0313】
その後、上記ウエル毎から0.5mLの培地を除去し、直ちに、プロスタグランディンE2のイムノアッセイシステム(アマーシャム、ピスカタウェイ(NJ))を用いて、PGE2の含量を測定した。
【0314】
細胞を含む、残るメディアは、細胞滴定濃度試薬(G358A、プロメガ、マディソン(WI))を使用して、細胞活力度の測定ために分析された。
【0315】
COX−2活動度分析
オーレらの方法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98: 14583-14588 (2001) )を変形して用いた。COX−2活動度はPGE2 EIA系を使用して決定された。
【0316】
簡潔に、COX−2(オクスフォード、生物医学的、オクスフォード、MI)は、アラキドン酸(AA)、500μMのフェノールおよび1μMのヘマチン(100mM燐酸緩衝液(pH6.5)中)の存在下にて、5分間37℃で培養された。
【0317】
上記反応は、dH20/MeOH/1Mクエン酸(30: 4: 1)を含む溶液で止められた。COX−2およびAAの添加量の最適化の結果、培養毎に0.05ユニットのCOX−2、および1μMのAAが最適であるとわかった。
【0318】
上記反応は、AAと共の5分間の培養後、停止された。PGE2のレベルは、上述したようにPGE2 EIA系を使用して決定された。
【0319】
COX−2のRT−PCR
STTG細胞を、25cm2のセル培養フラスコにて密集培養に近い状態にて成長させた。細胞は、5mMのまたは10mMのNAAが投与され、4時間あるいは24時間、37℃、10%のCO2の条件下にて培養された。
【0320】
RNAは、Rneasyミニ・キット(Qiagen、バレンシア、CA)を用いて分離され、A260/A280のアッセイを使用して定量された。
【0321】
その後、2μgのRNAは、オムニスクリプト逆転写酵素キット(Qiagen、バレンシア、CA)を使用して、cDNAに変換された。
【0322】
PCRは、ホットスタータックマスター・ミックス(Qiagen、バレンシア、CA)を使用して、次のようにして行なわれた。
【0323】
COX−2は(TCTTTTAATGAGTACCGCAAACG[SEQ ID NO:1])であり、また、リバースプライマーは(TTAGACTTCTACAGTTCAGTCGAACG[SEQ ID NO:2])であり、0.5μMの濃度にて、Qiagen(バレンシア(CA))を使用して、得られた。
【0324】
PCRの熱のサイクラー・プログラムは、1) 15分の95℃の1つの変性サイクル、2) 94℃で30サイクル(30秒の変性)、55℃(30秒のアニーリング)、72℃(30秒の伸び)、3)72℃、10分間の1つの伸長サイクル、を含む。その後、、PCR生成物が、2%(w/v)のアガロースゲルにロードされ、臭化エチジウムで染色された。
【0325】
COX−2のウェスタンブロット法
STTG細胞は、NAAかアスピリンのいずれかで扱われ、1ナノグラム/mlのあるいは2ナノグラム/mlのIL−1β(シグマ・アルドリッチ製(セントルイス(MO))))で直ちに刺激された。
【0326】
37℃、24時間(10%のCO2)の培養後、細胞は溶解された。また、全蛋白量の量はBCA(ピアス(ロックフォード(IL)))によって計られた。
【0327】
その後、0.5mgの溶解産物は1:500のヤギ抗ヒトCOX−2(サンタクルーズ・バイオテクノロジー、サンタクルーズ(CA))およびタンパク質AGビード(ピアス(ロックフォード(IL)))を使用して、1晩、4℃にて免疫沈殿させられた。
【0328】
免疫沈殿させたサンプルは、4−20%のトリスグリシン・ゲル(Invitrogen、カールスバード(CA))にロードされ、また、ニトロセルロース膜に夜通し展開された。上記ニトロセルロース膜は、5%ブロット(サンタクルーズ・バイオテクノロジー、サンタクルーズ(CA))にてブロックされ、また、1:100のヤギ抗ヒトCOX−2(サンタクルーズ・バイオテクノロジー、サンタクルーズ(CA))および1:5,000のラビット反ヤギIgG HRP(サンタクルーズ・バイオテクノロジー、サンタクルーズ(CA))の使用により、COX−2が検知された。
【0329】
上記ニトロセルロース膜は、ECL(アマーシャム製、ピスカタウェイ(NJ))の使用により、視覚化された、またX線フィルムを露光した。
【0330】
NFKB分析
STTG細胞は、NAAで処理され、1ナノグラム/mlのIL−1βで直ちに刺激された。24時間の培養後、細胞は溶解された。また、全蛋白量の量は、BCA(登録商標)タンパク質アッセイキット(ピアス(ロックフォード(IL)))を使用して測定された。
【0331】
その後、10μgのタンパク質溶解産物は、TransAM(登録商標)NFKBファミリー転写因子分析キット(カタログ43296番、アクティブモチーフ、カールスバード(CA))を使用して、NFKBのために分析された。
【0332】
統計的手法
統計的分析はtテスト分析を使用して行なわれた。値は、全て、平均値(mean)±SD(標準偏差)として報告される。
【0333】
C. 結果
PGE2産生へのNAAの効果
N−アセチル・アスパルテート(NAA)は、PGE2形成を測定することによってシクロオキシゲナーゼの阻害能において、アスピリン(COX−1およびCOX−2のインヒビター)およびデクサメタゾーン(COX−2インヒビターのみ)と比較された。
【0334】
STTG細胞は、イオノマイシンを備えた刺激に先立ってインヒビターが投与された。アスピリンとデクサメタゾーンは、刺激されたSTTG細胞(図1)のPGE2産生の不足によって証拠づけられるように、シクロオキシゲナーゼの完全な抑制を実証した。
【0335】
NAAは、PGE2産生において、投与量に対応した減少を示した。5mMのNAAでは、PGE2産生において、56%の減少があった。正常なニューロンのNAA濃度(10mM)では、PGE2産生において、76%の減少が測定された。また、20mMでは、PGE2産生は完全にシャット・ダウン(>95%の抑制)だった。
【0336】
グルタミン酸受容体アンタゴニストの影響
既知のグルタミン酸受容体アンタゴニスト、L−AP−4およびL−グルタミン酸ジエチル・エステル(GDE)は、図2の中で示されるように、イオノマイシンで刺激されたSTTG細胞のPGE2の全放出量を減少させた。
【0337】
等モルの濃度では、GDEがある状態でのPGE2の放出の減少は等モルの濃度でNAAによって引き起こされたほど劇的ではなかった。5mMおよび10mMのGDEで、それぞれSTTG細胞からPGE2の放出において、40%および60%の減少を示した。
【0338】
5mMのNAAの濃度では、PGE2の放出において、60%の減少を引き起こした。その一方で、10mMのNAAの存在下で90%の減少が見られた。
【0339】
COX−2活動度およびmRNAに対するNAAの効果
NAAが、シクロオキシゲナーゼ酵素を直接抑制していたかどうか判断するために、COX−2活動度の分析が、前記のPGE2 EIA系を使用して開発された。
【0340】
COX−2およびアラキドン酸(AA)のために最適化した結果、COX−2が、0.05ユニット/培養の濃度が、また、AAが1μMの濃度が最適であるとわかった。NAAを含む培養にこれらの濃度を適用して、NAAが20mMまでの濃度で、COX−2の活動度(データは図示せず)に効果がなかったことが見出された。
【0341】
NAAの存在下において、COX−2およびmRNAの合計はRT−PCRを使用して測定された。刺激されていないSTTG星状膠細胞は、イオノマイシンによって増加されなかった顕著な量のシグナルを生産した。
【0342】
NAAは、5mMのおよび10mMの濃度で、COX−2およびmRNA(示されないデータ)の合計を減少させなかった。
【0343】
COX−2タンパク質の合計量に対するNAAの効果
COX−2タンパク質の量は、NAAにより処理されたSTTG細胞、およびIL−1βにて刺激されたSTTG細胞のウェスタンブロット法によって計られた。
【0344】
図3は、アスピリンが、STTG細胞のCOX−2タンパク質の産生を休止させることを減少する効果があった、一方、NAAが効果がなかったことを示す。刺激された各STTG細胞においては、アスピリンとNAAの両方が、COX−2タンパク質の合計量を減少させた。
【0345】
NFKBの活性化に対するNAAの効果
活性化されたNFKBの量が、NFKBとの一致結合サイト部位を含むオリゴヌクレオチドにてコートされた96−ウエルのプレートを用いて、定量された。そのサイトは、細胞エキス剤に含まれていた、活性化されたNFKBを特に結合する。
【0346】
1ナノグラム/mlのIL−1βにて刺激された後、STTG細胞は、NFKBの活性度(図4)の7倍の増加を示した。10mMおよび20mMの各濃度では、NAAは、刺激されたSTTG細胞のNFKB産生を17.5%および40%それぞれ減少させた。
【0347】
D.ディスカッション
シクロオキシゲナーゼ(COX)のサブファミリーの酵素は、PGE2を含むプロスタグランジンの産生を規制する。主な2つのイソ型の各COXが記述された。COX−1、ハウスキーピング酵素、およびCOX−2(炎症および外傷(Tegeder et al., FASEB J., 15: 2057-2072 (2001))に応じてupregulatedされた誘導酵素)。
【0348】
シクロオキシゲナーゼは、アラキドン酸、シクロオキシゲナーゼ(Lecomte etal. , J. Biol. Chem., 269: 13207-13215 (1994))の内因性の基板の結合部位にあるセリン残基(COX−1およびCOX−2のためのセリン−530およびセリン−516)のアセチル化の結果、アスピリンによって取消しできずに禁じられることを示された。
【0349】
本願の研究において、生理的濃度のNAAがイオノマイシンに刺激されたSTTG星状膠細胞によって生産されたプロスタグランジンE2(PGE2)の著しい減少を引き起こしたことは最初に発見された。
【0350】
予想通りに、アスピリンは同じ効果があった。したがって、最初の仮説は、NAA(アスピリンの抑制のメカニズムに似ている)によってCOX−2の潜在的なアセチル化に注目した。膠細胞は、アスパルトアシラーゼ(Chakraborty et al. , J. Neurochem., 78: 736-745 (2001))のアクションによる、NAAをアセテートおよびアスパルテートへの分解することができる。このアセテートはCOX−2の触媒活性部位へ拘束することができた。
【0351】
結腸細胞への外因性のPGE2投与は、発癌を促進することが示された、また細胞死(川守ら、発癌、24: 985−990(2003))を縮小する。
【0352】
COX派生のプロスタグランジンも脈管の内皮の生長因子(VEGF)を増加させて、かつそのために癌細胞(Lim, Oncol. Rep. , 10: 1241- 1249 (2003))の血管形成を促進すると示された。さらに、COX−2は、放射線障害(Kyrkanides et al., Brain Res. Mol. BrainRes., 104: 159-169 (2002))によって星状細胞およびミクログリアの培養に著しく引き起こされる。
【0353】
脳の中のNAAのための潜在的な役割は、プロスタグランジンの産生量のコントロールによる反増殖、反脈管形成、抗炎症性の分子としてと思われる。プロスタグランジンは、中枢神経系中の非常に重要な生理的な役割を有している。
【0354】
適切な灌流(Bentzer et al., J. Neurotrauma, 20: 447-461(2003))の促進に加えて、プロスタグランジンは、さらに脳(Rage etal.,J. Neurosci., 17: 9145-9156 (1997))の内のニューロンの信号にとって重要である。
【0355】
本願に係る調査において、ハイ・レベルのNAA(20mM)は、STTG細胞のプロスタグランジン放出の完全な抑制(>95%)を引き起こした。
【0356】
したがって、NAAレベルが脳(例えば、キャナヴァン病)の中で上昇する病理学の状態において、NAAの高いレベルは、完全にプロスタグランジン生産を除去することにより正常なニューロンの機能に有害でもよい。キャナヴァン病において、脳の白質の進行性の海綿状変性は、顕著な特徴である、生理的なサインであり、遺伝性疾患(Matalon et al., FrontBiosci., 5 : D307- D311 (2000))である。この変性は、軸索のミエリン鞘(Baslow et al. , J. Mol. Neurosci., 9: 109-125 (1997))の損失を含む。
【0357】
グルタミン酸受容体のアンタゴニストの役割をするNAAの可能性は、PGE2形成の抑制において、L−AP−4およびL−グルタミン酸ジエチル・エステル(GDE)のような既知のグルタミン酸受容体アンタゴニストの能力を評価することにより間接的に研究された。両方のグルタミン酸受容体アンタゴニストは、本願の研究において、PGE2の産生を抑制した。
【0358】
アキミツら(BrainRes.,861: 143-150 (2000))は、NAAがグルタミン酸受容体に作用することを示唆して、NAAに引き起こされた発作がGDEによって反対されることを実証した。新皮質の星状細胞からのグルタメートのような興奮性アミノ酸のカルシウム依存性のリリースを引き起こすために、本願発明の研究の中で覚醒薬として使用されるカルシウムイオノホアイオノマイシンは、Jeftinija et al. (J. Neurochem.,66: 676-684 (1996) )によって示された。
【0359】
星状細胞の上のレセプターへのグルタメートの結合が、星状細胞の活性化(Porter et al., J. Neurosci., 16: 5073-5081 (1996))を生じる結果となり、および星状細胞からのアラキドン酸のリリース(Stella et al. , J. Neurosci., 14: 568-575 (1994) )を生じさせる。
【0360】
本発明の研究の発見物および他のものの発見物に基づいて、NAAは、恐らく細胞賦活および後のプロスタグランジン形成を制限して、星状細胞のグルタミン酸受容体にそのために作用する。本発明の研究の別の発見は、NAAがSTTG細胞の中でCOX−2タンパク質の合計に有した影響だった。
【0361】
刺激されていないSTTG細胞において、NAAはCOX−2タンパク質レベルを休止させて、合計に効果がなかった。一旦細胞がIL−1βにて刺激されたならば、NAAはCOX−2タンパク質レベルの合計および引き起こされたの量を減少させた。
【0362】
ジョンら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96: 11613-11618 (1999))は、IL−1βが主要な人間の胎児の星状細胞中の細胞間のカルシウム波の伝送を強めることを示した。カルシウムは、情報伝達および細胞から細胞信号での非常に重要な二次伝達物質である。
【0363】
確かに、星状細胞において、細胞間のカルシウムの増加は、パープラとヘイドンによって実証されるような興奮性アミノ酸グルタメートの類別されたリリースへと導く(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97: 8629-8634 (2000))。
【0364】
グルタメートはシナプス伝達を始めるためにそのときニューロン上のそのレセプターに拘束することができる。大脳皮質中の激しい低酸素に続く細胞障害を防ぐために、細胞間のカルシウム・キレート化は、グロールおよびカウピネン(Cell Calcium, 20: 509-514 (1996))によって示された。
【0365】
興味深いことに、NAAは、生理的なpHでは負に荷電するカルボキシル基が2つNAA分子に配置されていて、その2つのカルボキシル基とカルシウムとで1:1にて結合してキレートを作ることができる(Rubin et al., J. Inorg. Biochem., 60: 31-43 (1995))。したがって、本発明の実験結果に関して、STTG細胞のCOX−2タンパク質レベルの減少が、IL−10を刺激したことを説明する潜在的なメカニズムは、NAAがカルシウム(重要な二次電池メッセンジャー)と結合してキレート環を作る能力でありえる。
【0366】
さらに、NAAによるカルシウムのキレート化は、STTG細胞の中で測定されたPGE2の産生の減少に重大である。PGE2の実験については、我々は、イオノマイシンを備えたSTTG細胞を刺激した。ベナスら(J. Neurosci., 17: 1981-1992 (1997))は、外部カルシウムの存在が、培養された星状細胞中のイオノマイシンによる、細胞間のカルシウムウエイブ(波)の誘導に必要だったことを示した。
【0367】
したがって、細胞外のカルシウムへのキレート形成へのNAAの能力は、我々の実験の系で検知されたPGE2レベルの減少に寄与することができた。
【0368】
このPGE2の減少は重要である、何故なら、PGE2は、グルタメートのリリースに帰着する星状細胞内のカルシウム・レベルの上昇を引き起こす刺激剤の役割をすることができるからである(Bezzi et al., Nature, 391: 281-285(1998); Sanzgiri et al. , J. Neurobiol., 41: 221-229 (1999))。
【0369】
PGE2レベルの減少に加えて、NAAとアスピリンの間の別の類似点は、NAAが、IL−1βにて刺激されたSTTG細胞の中の活性化されたNFKBの量を減少させることができたことである。
【0370】
多数の文献では、アスピリンが、NFlcB、IlcBosのサブユニットの抑制するリン酸化のために関与しているキナーゼをアセチル化して不活性化することにより、NFKBの活性化を抑制することを実証した(Schwenger et al., Mol.Cell Biol., 18:78-84 (1998))。
【0371】
一旦IKBαがリン酸化されれば、それは迅速に分解され、そのために、活性化されたNFKBを急速にリリースする。NAAにより引き起こされた、STTG細胞内の活性化されたNFKBの減少は、酵素のアセチル化(例えば、COX−2またはIKBαキナーゼ)、カルシウム・キレート化および/またはグルタミン酸受容体拮抗作用によるのか、現在、研究中である。
【0372】
カルシウム・キレート化は、細胞間のカルシウムの増加が炎症性の情報伝達経路の初期のできごとであるので、より魅力的なメカニズムであるように見える。NFKBの活性化およびグルタメート・リリースの両方は星状細胞中のカルシウムの流れから下流側である。プロスタグランジンの産生はさらに下流側である。なぜなら、IL−1βの刺激は、内皮細胞中のCOX−2タンパク質レベルに対し8倍の増加を引き起こすからである(Camachoet al., J. Biol. Chem., 270: 17279-17286 (1995))。
【0373】
脳の中の活性化されたNFKBのダウンレギュレーションは、次には炎症性支持のサイトカイン(TNFa、IL−1およびIL−6)中で減少に結びつく(Friedman etal., J. Biol. Chem., 271: 31115-31120 (1996); Nomoto et al., Neurosurgery, 48: 158-166 (2001); Parker et al.,Br. J. Pharmacol., 136: 312-320 (2002))。
【0374】
本発明の研究の結果は、潜在的にN−アセチル・アスパルテートのための他の重要な役割があることを実証する。ミエリン合成のためのアセチル・ドナーおよび浸透の調整器であることに加えて、NAAは、中枢神経系内の炎症の変調(制御)において重要に見える。NAAが存在する場合、現在の研究からのデータは、明白に刺激されたSTTG星状膠細胞中のプロスタグランディンE2、COX−2およびNFKBのような重要な炎症性の構成要素の減少を実証する。
【0375】
NAA濃度の低下が様々な神経学上の病理学中で観察される時、共通のサインおよび症状は炎症を示すだろう。
【0376】
従って、ハンチントン舞踏病のような異常に低いNAAレベルの内疾病、虚血の損傷などは、炎症性の経路を打ち消すためにNAAの利用により回復できる可能性がある。
【0377】
キャナヴァン病において、NAAの大きな濃度は、恐らく正常細胞機能(例えば、ホメオスタシスのプロスタグランジン生産、細胞から細胞へのシグナルなどを示すこと)の重要な成分の全面的休止によりニューロンのロスに帰着する。
【0378】
本発明の研究の結果は、中枢神経系のあるコンパートメントのNAAのミリモル濃度の存在のための生物学の論理的基礎へある解明を与えて、なぜこれらのレベルの混乱が、観察された、関連する神経学上の欠乏のうちのいくつかに結びつくでもよいかに対するある洞察を示す。
【図面の簡単な説明】
【0379】
【図1】イオノマイシンにより活性化されたSTTG細胞におけるプロスタグランディンE2(PGE2)の生産の阻害率(%)を示すグラフである。PGE2の生産は、N−アセチル−L−アスパラギン酸(NAA)、アスピリン(Asp)またはデキサメタドン(Dex)によりそれぞれ処理されたSTTG細胞において、イオノマイシンにより活性化された状態にて、実施例1に記載のPGE2のエンザイムイムノアッセイ法を用いて分析された。上記細胞は、NAA、AspまたはDexと共に1時間、前培養された後、37℃、10%のCO2の環境下にて、24時間、1μMのイオノマイシンにて処理されて活性化された。PGE2の生産の阻害率(%)は、NAA、AspまたはDexと共存させずに前培養した、イオノマイシン活性化のSTTG細胞との比較により測定された。各データは、3回の個別の各実験値の平均値±SDを示している。図中のアステリスク(*)は、非処理のイオノマイシン活性化のSTTG細胞と、処理済のイオノマイシン活性化のSTTG細胞との間にて顕著な差異を生じていることを示しており、*p<0.01である。図中の、Ionoは、イオノマイシンを示している。
【図2】イオノマイシン活性化のSTTG細胞でのPGE2の放出における、グルタミン酸受容体への各抑制因子およびNAAの効果をそれぞれ示すグラフである。PGE2の生産は、NAA、または可能なグルタミン酸受容体への各抑制因子(AP−4およびGDE)によりそれぞれ処理されたSTTG細胞において、イオノマイシンにより活性化された状態にて、実施例1に記載のPGE2のエンザイムイムノアッセイ法を用いて分析された。上記細胞は、NAA、または可能なグルタミン酸受容体への各抑制因子と共に1時間、前培養された後、37℃、10%のCO2の環境下にて、24時間、1μMのイオノマイシンにて処理されて活性化された。PGE2の生産の阻害率(%)は、NAA、または可能なグルタミン酸受容体への各抑制因子と共存させずに前培養した、イオノマイシン活性化のSTTG細胞との比較により測定された。各データは、3回の個別の各実験値の平均値±SDを示している。図中のアステリスク(*)は、非処理のイオノマイシン活性化のSTTG細胞と、処理済のイオノマイシン活性化のSTTG細胞との間にて顕著な差異を生じていることを示しており、*p<0.01である。上記AP−4は、L−2−アミノ−4−フォスフォノブチル酸を示し、上記GDEは、L−グルタミン酸ジエチルエステルを示す。
【図3】NAAおよびアスピリンにて処理された、IL−1βにより活性化されたSTTG細胞でのトータルCOX−2プロテインのためのウエスタンプロットを示す図面代用写真である。上記細胞は、37℃、10%のCO2の環境下にて、24時間培養された。上記細胞は、以下の各処理剤が、各濃度にてそれぞれ投与され、非処理(レーン1)、200μMのアスピリン(レーン2)、10mMのNAA(レーン3)、1ng/mlのIL−1β(レーン4)、2ng/mlのIL−1β(レーン5)、1ng/mlのIL−1β+200μMのアスピリン(レーン6)、2ng/mlのIL−1β+200μMのアスピリン(レーン7)、1ng/mlのIL−1β+10mMのNAA(レーン8)、または、2ng/mlのIL−1β+10mMのNAA(レーン9)のものである。上記細胞は、溶解され、COX−2プロテインが、トータルで400μgの溶解プロテインから、1晩、免疫沈降された(1:500のヤギの抗ヒトCOX−2)。免疫沈降は、4−20%のトリス−グリセリンゲルにロードされ、1晩にて、ニトロセルロースメンブレン上に転移させて行われた。トータルCOX−2プロテインの含量は、ヤギの抗ヒトCOX−2の抗体(1:100)および1:5000のウサギの抗ヤギのIgGを用いて測定された。上記メンブレンは、化学ルミネッセンス法により視覚化された。
【図4】IL−1βにより活性化されたSTTG細胞における、種々なNFkBレベルでのNAAの効果をそれぞれ示すグラフである。上記細胞は、NAAが投与され、直ちに、1ng/mlのIL−1βにて、37℃、10%のCO2の環境下にて、24時間、培養されることで活性化された。上記細胞は、溶解され、10μgのトータルプロテインが、ELISA法に基づく方法を用いて、活性化された種々なレベルのNFkBが測定された。各データは、3回の個別の各実験値の平均値±SDを示している。各パーセンテージは、活性化されたNFkBの生成の抑制のパーセントである。図中のアステリスク(*)は、非処理のIL−1β活性化のSTTG細胞と、NAAの処理済のIL−1β活性化のSTTG細胞との間にて顕著な差異を生じていることを示しており、*p<0.005である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする動物に対し、下記の式Iに示す化合物を、その効果的な量にて投与するステップを有する炎症の治療方法であって、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として投与してもよい炎症の治療方法。
【請求項2】
上記炎症は、上記動物の、口の組織、粘膜、皮膚の一部、呼吸器系の一部、または胃腸管の炎症である、請求項1記載の炎症の治療方法。
【請求項3】
治療を必要とする動物に対し、下記の式Iに示す化合物を、その効果的な量にて投与するステップを有する炎症病または炎症状態の治療方法であって、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として投与してもよい炎症病または炎症状態の治療方法。
【請求項4】
上記炎症病または炎症状態は、上記動物の、口の組織、粘膜、皮膚の一部、呼吸器系の一部、または胃腸管の炎症病または炎症状態である、請求項3記載の炎症病または炎症状態の治療方法。
【請求項5】
上記炎症病または炎症状態は、急性呼吸窮迫症候群、喘息、気管支炎、気腫、肺線維症あるいは呼吸器系感染である、請求項4記載の炎症病または炎症状態の治療方法。
【請求項6】
上記炎症病または炎症状態は、大腸炎、クローン病、胃炎あるいは炎症性腸感染である、、請求項4記載の炎症病または炎症状態の治療方法。
【請求項7】
治療を必要とする動物に対し、下記の式Iに示す化合物を、その効果的な量にて投与するステップを有する増殖性疾患または増殖性疾患状態の治療方法であって、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として投与してもよい増殖性疾患または増殖性疾患状態の治療方法。
【請求項8】
上記増殖性疾患または増殖性疾患状態は、癌、血管の増殖の障害、メサンギウム細胞増殖障害、繊維症の障害あるいは超増殖の皮膚病である、請求項7記載の増殖性疾患または増殖性疾患状態の治療方法。
【請求項9】
上記増殖性疾患または増殖性疾患状態は、血管由来の疾患またはその状態である、請求項7記載の増殖性疾患または増殖性疾患状態の治療方法。
【請求項10】
上記増殖性疾患または増殖性疾患状態は、眼の血管由来の疾患またはその状態である、請求項7記載の増殖性疾患または増殖性疾患状態の治療方法。
【請求項11】
上記増殖性疾患または増殖性疾患状態は、癌、腫瘍あるいは腫瘍転移である、請求項7記載の増殖性疾患または増殖性疾患状態の治療方法。
【請求項12】
治療を必要とする動物に対し、下記の式Iに示す化合物を、その効果的な量にて投与するステップを有する皮膚病またはその状態の治療方法であって、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として投与してもよい皮膚病またはその状態の治療方法。
【請求項13】
上記皮膚病またはその状態は、ニキビ、アレルギー反応、やけど、癌、皮膚炎、感染症、日焼け、湿疹、乾癬、角化症あるいは弾性線維症である、請求項12記載の皮膚病またはその状態の治療方法。
【請求項14】
動物から除去された、細胞、組織または器官を処理する方法であって、
下記の式Iに示す化合物を、その効果的な量を含む溶液または媒体に上記細胞、組織または器官に接触させるステップを有し、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として用いてもよい細胞、組織または器官を処理する方法。
【請求項15】
上記細胞、組織または器官を、上記化合物または上記製剤的に許容可能な塩を含む溶液または媒体に接触させた後に、動物に移植する、請求項14記載の細胞、組織または器官を処理する方法。
【請求項16】
動物の口の組織を処理する方法であって、
上記組織を、下記の式Iに示す化合物に対し、その効果的な量にて接触させるステップを有し、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として用いてもよい動物の口の組織を処理する方法。
【請求項17】
上記組織は、予防的な口のケア摂生の一部として処理される、請求項16記載の動物の口の組織を処理する方法。
【請求項18】
上記組織は、外科手術の前、外科手術の間、外科手術の後、およびそれらの組み合わせにより処理される、請求項16記載の動物の口の組織を処理する方法。
【請求項19】
上記組織は、抜歯の前、抜歯の間、抜歯の後、およびそれらの組み合わせにより処理される、請求項16記載の動物の口の組織を処理する方法。
【請求項20】
動物の口の病気またはその状態を治療する方法であって、
上記動物に対し、下記の式Iに示す化合物の効果的な量を投与するステップを有し、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として用いてもよい動物の口の病気またはその状態を治療する方法。
【請求項21】
上記病気またはその状態は、炎症または炎症性疾患または炎症性状態である、請求項20記載の動物の口の病気またはその状態を治療する方法。
【請求項22】
上記炎症は、外科手術または抜歯に関係している請求項21記載の動物の口の病気またはその状態を治療する方法。
【請求項23】
上記病気またはその状態は、歯肉炎または歯根膜炎である、請求項20記載の動物の口の病気またはその状態を治療する方法。
【請求項24】
上記病気またはその状態は、感染、アフタ性口内炎、口唇ヘルペスあるいは潰瘍である、請求項20記載の動物の口の病気またはその状態を治療する方法。
【請求項25】
上記病気またはその状態は、癌である、請求項20記載の動物の口の病気またはその状態を治療する方法。
【請求項26】
動物の1以上の歯を白くする方法であって、
上記動物の口の組織に対し、下記の式Iに示す化合物の効果的な量を接触させるステップを有し、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として用いてもよい動物の1以上の歯を白くする方法。
【請求項27】
動物の皮膚の一部を処理する方法であって、
上記皮膚の一部に対し、下記の式Iに示す化合物の効果的な量を接触させるステップを有し、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として用いてもよい動物の皮膚の一部を処理する方法。
【請求項28】
上記皮膚は、予防的なスキンケア摂生の一部として処理される、請求項27記載の動物の皮膚の一部を処理する方法。
【請求項29】
上記化合物は、N−アセチル−L−アスパラギン酸またはその製剤的に許容可能な塩である、請求項1ないし28の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
製剤的に許容可能な担体と、
下記の式Iに示す化合物とを含み、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として用いてもよい製剤組成物。
【請求項31】
上記化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、局所投与のために好適なものである、請求項30記載の製剤組成物。
【請求項32】
上記製剤組成物は、クリーム、ローション剤、軟膏、ゲル、ペースト、パウダー、溶液あるいはスプレーである、請求項31記載の製剤組成物。
【請求項33】
上記化合物またはその製剤的に許容可能な塩を、口内での局所投与のために好適なものである、請求項30記載の製剤組成物。
【請求項34】
上記製剤組成物は、溶液、スプレー、吸入薬、パウダー、シロップあるいは滴剤である、請求項33記載の製剤組成物。
【請求項35】
上記化合物は、N−アセチル−L−アスパラギン酸またはその製剤的に許容可能な塩である、請求項30ないし34の何れか1項に記載の製剤組成物。
【請求項36】
動物から除去された、細胞、組織または器官を接触させるための溶液または媒体であって、
下記の式Iに示す化合物を含み、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として用いてもよい細胞、組織または器官を接触させるための溶液または媒体。
【請求項37】
上記化合物は、N−アセチル−L−アスパラギン酸またはその製剤的に許容可能な塩である、請求項36記載の細胞、組織または器官を接触させるための溶液または媒体。
【請求項38】
下記の式Iに示す化合物を含み、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として用いてもよい口内ケア用製品。
【請求項39】
口内ケア用具である、請求項38記載の口内ケア用製品。
【請求項40】
上記口内ケア用具は、縫合糸、デンタルフロスまたはストライプである、請求項39記載の口内ケア用製品。
【請求項41】
上記口内ケア用具は、ストライプであり、上記ストライプは、さらに歯の白化剤を含む請求項40記載の口内ケア用製品。
【請求項42】
口内ケア用組成物であり、上記組成物は、さらに製剤的に許容可能な担体を含む、請求項38記載の口内ケア用製品。
【請求項43】
上記組成物は、軟膏、クリーム、洗濯、すすぎ、うがい薬、スプレー、溶液、ゲル、ペースト、パウダー、タブレット、ゴム、トローチ剤、ミント、フィルム、パッチあるいは歯を白くする組成物である、請求項42記載の口内ケア用製品。
【請求項44】
下記の式Iに示す化合物を含み、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として用いてもよいパーソナルケア用製品。
【請求項45】
パーソナルケア用具である、請求項44記載のパーソナルケア用製品。
【請求項46】
上記用具は、スポンジ、クロス、布巾、スワブあるいはパッドである、請求項45記載のパーソナルケア用製品。
【請求項47】
上記用具は、包帯、縫合糸あるいは外科用のスポンジである、請求項45記載のパーソナルケア用製品。
【請求項48】
パーソナルケア用組成物であり、上記組成物は、さらに製剤的に許容可能な担体を含む、請求項44記載のパーソナルケア用製品。
【請求項49】
上記組成物は、クリーム、ローション剤、オイルあるいはモイスチャライザーである、請求項48記載のパーソナルケア用製品。
【請求項50】
上記組成物は、化粧品、消臭剤、口紅、リップグロスあるいはリップバームである、請求項48記載のパーソナルケア用製品。
【請求項51】
上記組成物は、シャンプー、コンディショナーあるいは頭皮治療組成である、請求項48記載のパーソナルケア用製品。
【請求項52】
上記組成物は、パウダー、液体、洗濯、すすぎ、溶液、スプレー、目薬、エマルジョン、ゲルあるいは軟膏である、請求項48記載のパーソナルケア用製品。
【請求項53】
上記組成物は、ニキビ防止組成である、請求項48記載のパーソナルケア用製品。
【請求項54】
上記化合物は、N−アセチル−L−アスパラギン酸またはその製剤的に許容可能な塩である、請求項38ないし53の何れか1項に記載のパーソナルケア用製品。
【請求項55】
動物から除去された、細胞、組織または器官を下記の式Iに示す化合物と接触させるためのキットであって、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として用いてもよいキット。
【請求項56】
口内ケア用製品を含むキットであって、
上記口内ケア用製品は下記の式Iに示す化合物を含み、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として用いてもよいキット。
【請求項57】
上記口内ケア用製品は、口内ケア用具である、請求項56記載のキット。
【請求項58】
上記口内ケア用製品は、口内ケア用組成物であり、上記組成物は、さらに製剤的に許容可能な担体を含む、請求項56記載のキット。
【請求項59】
パーソナルケア用製品を含むキットであって、
上記パーソナルケア用製品は下記の式Iに示す化合物を含み、
式Iの化合物は、
1−C(O)−NH−CH2(CH2−COOR2)−COOR2) (I)
であり、R1は、水素原子、低級アルキル基、またはハロゲン原子置換の低級アルキル基であり、R2は、それぞれが互いに同一または相違しており、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。R2は、それぞれが必要に応じて極性基にて置換されていてもよく、さらに、上記投与するステップでは、式Iの化合物の製剤的に許容可能な塩を上記化合物として用いてもよいキット。
【請求項60】
上記パーソナルケア用製品は、パーソナルケア用具である、請求項59記載のキット。
【請求項61】
上記パーソナルケア用製品は、パーソナルケア用組成物であり、上記組成物は、さらに製剤的に許容可能な担体を含む、請求項59記載のキット。
【請求項62】
上記化合物は、N−アセチル−L−アスパラギン酸またはその製剤的に許容可能な塩である、請求項55ないし61の何れか1項に記載のキット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−506767(P2007−506767A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528239(P2006−528239)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/031443
【国際公開番号】WO2005/030083
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(502113644)ディーエムアイ バイオサイエンシズ インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】DMI BIOSCIENCES,INC.
【Fターム(参考)】