説明

N−置換モノマーおよびポリマー

アミド基を含むモノマー繰り返し単位の複数を含む生体適合性、生体吸収性ポリマーであり、前記アミド基がN−置換され、N−置換されていない同じポリマーと較べてN−置換基およびN−置換の程度が溶融粘度、溶液粘度、または双方を減少させるのに効果的である、ポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2006年10月17日に出願され、「N−置換モノマーおよびポリマー」なるタイトルの米国仮出願第60/852,471号に対して優先権を主張するものであり、その内容は全体として参照によって引用される。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野
本発明はN−置換モノマーおよびポリマー、そのようなモノマーおよびポリマーの製造方法、ならびに医療用具のような、種々の用途にそれらを用いる方法に関する。
【0003】
関連分野の記載
米国特許第5,099,060号のチロシン由来モノマーは重合して、より高い融液または溶液粘度を有し、その結果加工性が低くなるポリマーを形成する。結果として、ポリマーの製造には、より高い温度、より高い圧力、または双方を必要とするが、そのような温度や圧力はあまり経済的ではなく、ポリマーまたは(生物的または薬剤成分のような)他の添加剤を劣化させる可能性もある。
【0004】
そのようなより高い融液または溶液粘度は、米国特許第4,980,449号のポリイミノカーボネート、米国特許第5,099,060号のポリカーボネート、米国特許第5,216,115号のポリアリレート、米国特許第5,658,995号のポリ(アルキレンオキシド)ブロックコポリマー、米国特許第5,912,225号および6,238,687号のリン含有ポリマー、米国特許第6,120,491号のアニオン性ポリマー、米国特許第6,284,862号のポリ(アミドカーボネート)およびポリ(エステルアミド)、米国特許第6,475,477号の放射線不透過(radio−opaque)ポリマーならびに米国特許第6,602,497号のポリエステルのようなチロシン由来のポリマーでも起こりうる。全ての前述の特許の開示は、全体として参照によって本明細書に引用される。
【0005】
より簡便に、より低い温度および/または圧力で、溶融加工および/または溶液加工できる、より低い溶融粘度を有するポリマーの要求が存在する。
【発明の概要】
【0006】
発明の要約
上記要求は、本発明によって達成される。チロシン由来ポリカーボネートおよび他の生体適合性ポリマー中に存在するアミド結合が鎖間水素結合に関与し、ポリマー鎖間の水素結合が融液または溶液粘度を増加させるので、水素結合はポリマーの温度加工性を阻害することを見出した。同様に、ペプチド結合を有するモノマーおよびポリマー中の水素結合による効果は、アミド窒素上の水素原子をメチルまたは他のアルキル基で置換することによって顕著に減少しうるという発見に到達した。
【0007】
アミド水素を非水素結合置換基で置換すると、有機溶媒中のポリマー溶解性が増加し、溶融粘度が減少し、そしてポリマーガラス転移も同じように減少する程度にまで、分子間相互作用のこの源を除去する、または大幅に減ずることが、驚くべきことに見出された。ポリマー特性におけるこれらの変化は、大変意味深いので、元は加工ができないポリマーが、溶媒キャスト、湿式および融解紡糸、圧縮成形、押出および射出成形を含む、種々の製造技術によって加工されうる。
【0008】
したがって、ポリマーのN−置換型は、熱/酸化分解がより少ない状態で、(例えば、ポリマーガラス転移またはTgに対して)より低い温度で加工されうる。これは、ポリマーにとって温度加工処理の窓を開けるものであり、例えばより高いTgポリマーを既存の加工温度で加工することができ、同じようなTgポリマーは、より低い温度で加工することが可能となる。
【0009】
同様に、ジクロロメタンのような比較的非極性溶媒に溶解させたポリマーは、より低い溶液粘度、高い固形濃度で加工することができる。
【0010】
したがって、本発明の一実施態様によれば、アミド基を含むモノマー繰り返し単位の複数を有し、この際、アミド基はN−置換され、N−置換基およびN−置換の程度が、N−置換されていない同じポリマーと比較して、溶融粘度、溶液粘度、または双方を減少させるのに効果的である、生体適合性、生体吸収性のポリマーが提供される。一実施態様によれば、N−置換基およびN−置換の程度は、N−置換されていない同じポリマーと比較して、溶融粘度、溶液粘度、または双方に対して、少なくとも約5%、他の実施態様では、少なくとも10%減少させる効果を発揮する。他の実施態様によれば、N−置換基は、C〜Cアルキル基である。さらに他の実施態様によれば、N−置換基はメチル基である。他の実施態様によれば、本発明は、1以上の化学式(I)の繰り返し単位を有するポリマーを含む:
【0011】
【化1】

【0012】
この際、化学式(I)中、XおよびXはそれぞれ独立して、BrおよびIから選択され;化学式(Ia)中、ylおよびy2はそれぞれ独立して、0または1〜4の整数であり、Rは、置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖または分岐の48までの炭素原子を含む脂肪族基;置換または非置換の、48までの炭素原子を含む芳香族基;および48までの炭素原子を含む芳香脂肪族基(araliphatic)、この際、脂肪族部分は直鎖または分岐であり、そして飽和または不飽和であり;そして、Rは2〜8のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含み、ここでヘテロ原子のうち2つがN−置換されたポリマー骨格アミド基を形成する。Rがポリ(アルキレンオキシド)基を含む場合、追加のヘテロ原子が存在する。
【0013】
特別な態様で規定されていない限り、N−置換アミンは、30までの炭素原子を含む、飽和または不飽和の、直鎖または分岐の、置換または非置換の脂肪族基;30までの炭素原子を含む、置換または非置換の芳香族基;および30までの炭素原子を含む、置換または非置換の芳香脂肪族基、ここで、脂肪族部分は、直鎖または分岐鎖であり、そして飽和または不飽和である。一実施態様によれば、R基は、約18〜約36の炭素原子を含む。他の実施態様によれば、N−置換基は、C〜Cのアルキル基である。さらに他の実施態様によれば、N−置換基はメチル基である。
【0014】
一実施態様によれば、Rは、ペンダントカルボン酸基またはペンダントカルボン酸エステルもしくはN−置換アミドを有する。一実施態様によれば、Rは、ペンダントN−置換第3級アミンである。一実施態様によれば、Rは、ペンダントカルボン酸基またはペンダントカルボン酸エステルもしくはN−置換アミドおよびペンダントN−置換第3級アミンの双方を有する。他の実施形態によれば、化学式(I)中のRは:
【0015】
【化2】

【0016】
であり、ここで、R13およびR14は、それぞれ独立して、0〜8の炭素原子を含み、(−CHR−CH=CH−(CHR−)および(−CHR(−CHNQ(−CHRから独立して選択され、この際、RはHまたは低級アルキル基であり、各eは、独立して、0から6であり、各fは、独立して、0から8であり、そしてgは0または1であり;Rは場合により置換された分岐または非分岐のC−C30のアルキル、および場合により置換されたC〜C3Oのアリール基から選択され;QはC(=Z)−Rであり、この際、ZはOまたはSであり;Qは−N(RまたはN(R)であり;Rは、H、治療的活性部分(a therapeutically active moiety)、ポリ(アルキレンオキシド)、X−C〜C18アルキル、X−アルケニル、X−アルキニル、−X−シクロアルキル、−X−ヘテロシクリル(heterocyclyl)、−X−アリールおよび−X−ヘテロアリールから選択され;Xは単結合、O、S、およびN−アルキルから選択され;XはO、SおよびN−アルキルから選択され;そしてXは、単結合、低級アルキル、O、SおよびN−アルキルから選択される。
【0017】
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリール基は、他で規定される場合を除き、30までの炭素原子を含む。一実施態様によれば、該基は、18までの炭素原子を含む。低級アルキル基は、他で規定される場合を除き、直鎖または分岐であり、6までの炭素原子を含む。アルキル、アルケニルおよびアルキニル基はまた、直鎖または分岐であり、0〜8のヘテロ原子を含み、そして低級アルキル基はまた0、1または2のヘテロ原子も含む。ヘテロ原子は、独立して、O、SおよびN−低級アルキルから選択される。ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基はまた、O、SおよびN−低級アルキルから選択される1〜8のヘテロ原子も含む。
【0018】
一実施態様によれば、ポリ(アルキレンオキシド)R基としては、分子量100〜10、000のアルキル末端ポリ(アルキレンオキシド)が挙げられ、例えば、メトキシ末端ポリエチレングリコール(PEG)、メトキシ末端ポリプロピレングリコール(PPG)、ならびにメトキシ末端PEGおよびPPGブロックコポリマーが挙げられる。他の実施態様によれば、ポリ(アルキレンオキシド)基は、約400から約4000の分子量を有する。他の実施態様によれば、ポリ(アルキレンオキシド)は、約1000〜約2000の分子量を有するポリ(エチレングリコール)である。
【0019】
他の実施態様によれば、置換基パターンが化学的に実現可能である限り、1または双方の芳香族環が独立して、ハロゲン、低級アルキル、カルボキシル、ニトロ、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホニルから選択される1〜4の置換基で置換されていてもよい。2つ以上のニトロ置換基を含む置換基のいかなる組み合わせも潜在的に爆発性があり、これらの教示から特別に除外される。臭素またはヨウ素で十分に置換された芳香族環を多数有するモノマーおよびポリマーは、本質的に放射線不透化性である。好適な放射線不透化性モノマーおよびポリマー中で、好ましくは少なくとも1上の、より好ましくはフェノール性酸素に対して双方の環位置がオルト上で、化学式(I)中、ylおよびy2の合計が0より大きくなるように、少なくとも一のモノマー芳香族環がヨウ素で置換される。好適には、双方の芳香族環が双方のオルト位でヨウ素に置換される。
【0020】
さらに他の実施形態によれば、化学式(I)中のRは:
【0021】
【化3】

【0022】
から選択され、この際、RおよびRは、化学式IIについて上述したものと同様であり:aおよびbは0から8の範囲であり、ZおよびZはそれぞれ独立してOまたはSである。より具体的な実施態様によれば、a=1およびb=2である。
【0023】
本発明に係るポリマーとしては化学式(Ia)の構造を有する、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミノカーボネート、ポリホスファゼンおよびポリリン酸エステルが挙げられる;
【0024】
【化4】

【0025】
この際、X、X、yl、y2およびR、ならびにこれらの実施態様は、化学式(I)について上述したものと同様であり、Aは下記から選択される:
【0026】
【化5】

【0027】
この際、R10は、H、C〜C30アルキル、アルケニルまたはアルキニルおよびC〜C30ヘテロ−アルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニルから選択され、R12は、C〜C30アルキル、アルケニルまたはアルキニル、C〜C30ヘテロアルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル、C〜C30ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルケニルアリールまたはヘテロアルキニルアリール、C〜C30アルキルアリール、アルケニルアリールまたはアルキニルアリール、およびC〜C30ヘテロアリールから選択される。
【0028】
一実施態様において、Rは分岐または非分岐のC〜Cアルキルである。具体的な実施態様においては、Rはメチルである。一実施態様において、Qは下記構造を有する置換基である:
【0029】
【化6】

【0030】
この際、上記置換基中のtは、独立して0から約18の範囲である。
【0031】
化学式(I)の繰り返し単位を含むポリマーは、他の繰り返し単位と共重合することができる。一実施形態において、化学式(I)の繰り返し単位を含むポリマーは、さらに、化学式(III)の繰り返しポリアルキレンオキシドブロック単位を含む:
【0032】
【化7】

【0033】
この際、Bは、−O−((CHR−O)−であり;各Rは独立して、HまたはC〜Cアルキルであり;pは、約1から約4の範囲の整数であり;qは、約5から約3000の範囲の整数であり;そしてAは、式(Ia)中のAと同様である。ブロック共重合体の一実施態様は、約0.1〜約25%のアルキレンオキシドのモル分率を含む。他の実施態様は、約0.5〜約10%のアルキレンオキシドのモル分率を含む。わらに他の実施態様は、約1〜約5%のアルキレンオキシドのモル分率を含む。
【0034】
本発明に係るN−置換ポリマーは、全体の開示が本明細書に参照により引用される、上記の米国特許第5,099,060号によって開示される方法により調製される化学式(I)の構造に対応するジフェノールから重合される。ポリマーは、N−置換されていないジフェノールを用いて重合されうる。本発明に係るポリマーは、N−置換モノマーのモル分率が約1〜約50%である実施態様を含む。他の実施態様は、約5〜約25%のN−置換モノマーのモル分率を有するポリマーを提供する。さらに他の実施態様は、約7.5〜約12.5%のN−置換モノマーのモル分率を有するポリマーを提供する。
【0035】
N−置換ジフェノール化合物は、したがって、本発明に係る新規で有用な化合物を表す。したがって、本発明は、N−置換されたアミド基を有するジフェノール化合物もまた含む。一実施態様は、N−置換基がC〜Cアルキル基である、ジフェノール化合物を含む。他の実施態様は、化学式(IV)の構造を有するジフェノール化合物を含む:
【0036】
【化8】

【0037】
この際、X、X、yl、y2およびR、およびこれらの実施態様は、化学式(I)について上述したものと同様である。
【0038】
ジフェノールの一実施態様によれば、化学式IVモノマーが下記のジチロシンのN−メチル化によって形成される下記のN、N−ジメチルジチロシンのようなN−置換ジチロシンであるようにRは選択される:
【0039】
【化9】

【0040】
ジチロシンおよびその製造は、文献で報告されており、また本明細書で開示されている手順によって、ジチロシンはN−置換されうる。本発明は、本発明のN−置換ジチロシンから重合される化学式Iおよび化学式Iaポリマーもまた含む。
【0041】
一般に、本発明に係るポリマーは、優れた物理特性および溶融加工性を有し、押出および射出成形のような従来のポリマー形成技術によって特別な用途に対して異なる3次元構造に形作ることができる。チロシン由来ジフェノール化合物から重合されるポリマーを開示する初期の特許で開示されている溶媒キャスティングおよび圧縮成形技術もまた用いられうる。したがって、本発明の他の実施態様によれば、本発明のポリマーから形成される、血液接触性または組織埋め込み型医療用具が提供される。好適には、用具は、熱処理により形成される。そのような用具としてはヘルニア修復用具が挙げられる。
【0042】
本発明のこの態様の一実施態様によれば、医療機器は、体内腔の治療用ステントである。好適なステントは、用具の位置を導くための蛍光透視鏡画像を用いることができるように、本発明に係る放射線不透過性ポリマーから構成される、またはポリマーで被覆される。本発明の一実施態様による好適な放射線不透過性、生体吸収性のステントは、ステント配置の間に、ステントをX線透視法により本質的に見えるようにするために、十分なハロゲン原子を有する生体吸収性のポリマーから形成される。
【0043】
本発明の本実施形態の他の実施態様によれば、医療用具は塞栓治療製品である。本発明に係る塞栓治療製品は、本発明の生体適合性の、生体吸収性ポリマーの粒子製剤である。好適な実施態様では、ポリマーは、塞栓治療製品が本質的に放射線不透過性となるようにするために、十分な数のハロゲン原子を有する。
【0044】
本発明のポリマーがまた特に有用である他の具体的な用途としては、新しい組織を構築するために分離細胞群が移植されうる、再生医療の足場が挙げられる。Bulletin of the Material Research Society、Special Issue on Tissue Engineering(Guest Editor;Joachim Kohn)、21(11)、22−26(1996)中に記載されているような細胞の接着および成長を準備するために、Mikos et al.、Biomaterials、14、323−329(1993)またはSchugens et al.、J.Biomed.Mater.Res.、30、449−462(1996)または米国特許第6,103,255号によって記載されているような多孔質の装置中にポリマーが形成される。したがって、本発明の他の実施態様は、本発明によるポリマーから形成される、インビトロまたはインビボどちらかで細胞の接着および増殖のための多孔質構造を有する組織足場を提供する。
【0045】
他の具体的な用途として、眼の薬物送達用装置を含む、薬剤的に活性な部分を徐放を目的としてポリマーマトリクス内に混合させた、埋め込み型薬物送達装置が挙げられる。したがって、本発明の一実施態様において、Gutowska et al.、J.Biomater.Res.、29、811−21(1995)およびHoffman、J.Controlled Release、6、297−305(1987)によって述べられているように、部位特異的なまたは全身性のドラッグデリバリーシステムとして、ポリマーは、生物学的または薬剤的活性化合物の治療的に有効であるのに十分な量と組み合わされている。さらに、本発明の他の実施態様は、本発明のポリマーと組み合わせて、生物学的または生理学的に活性な化合物の治療的に有効な量を含む、埋め込み型ドラッグデリバリー装置を必要とする患者の体内に埋め込むことによる、部位特異的または全身性のドラッグデリバリーのための方法を提供する。
【0046】
本発明によるポリマーは、良好なフィルム形成特性を有して製造されうる。ポリ(アルキレンオキシド)ブロックコポリマー部位を有する本発明のポリマーに観察される重要な現象は、水性溶媒中でポリマーゲルまたはポリマー溶液の温度依存性相転移である。温度が上昇するにつれ、ポリマーゲルは崩壊状態(collapsed state)へと相転移するが、一方で、ポリマー溶液はある温度で、またはある温度範囲内で沈殿する。ポリ(アルキレンオキシド)部位を有する本発明のポリマー、特に、加熱の際、約30から40℃で相転移を起こすポリマーは、薬物放出用の生体材料および医療用埋め込み材料として用いられうる。具体的な用途としては、接着防止および組織再生用のフィルムおよびシートが挙げられる。
【0047】
したがって、本発明の他の実施態様において、本発明に係るポリマーのポリ(アルキレンオキシド)ブロックコポリマーは、Urry et al.、Mat.Res. Soc.Symp.Proc、292、253−64(1993)によって記載されているように、手術接着を防止するバリアーとして用いられる、むき出しの損傷組織に対して適用するためのシートまたは被膜へと形作られうる。したがって、本発明の他の実施態様は、本発明のポリマーの放射線不透過性ポリ(アルキレンオキシド)ブロックコポリマーのシートまたは被膜を損傷組織間のバリアーとして挿入することによる、損傷組織間の接着形成を防止するための方法を提供する。
【0048】
ポリ(アルキレンオキシド)部位は本発明のポリマーの表面接着を減少させる。ポリ(アルキレンオキシド)のモル分率が増加するにつれ、表面接着は減少する。したがって、細胞接着に抵抗性で、血液と接触する表面上への血栓を形成しないコーティングとして有用である本発明のポリ(アルキレンオキシド)部位を含むポリマーコーティングが準備されうる。かようなポリマーは、またこのコーティングにおいて、また他の医療用途においても同様に、バクテリア接着に抵抗性である。したがって、本発明は、本発明のポリ(アルキレンオキシド)ブロックコポリマーでコートされた表面を有する、血液接触性装置および医療インプラントを含む。
【0049】
被覆された表面は、好適にはポリマーの表面である。本発明に係る方法は、ポリ(アルキレンオキシド)ブロックコポリマー部位を含む本発明のポリマーで被覆された表面を有する血液接触性装置または医療インプラントを患者の体内に埋め込むことを含む。
【0050】
細胞挙動を変えるためのポリマーコーティングの能力を調整するために、本発明のブロックコポリマー中のポリ(アルキレンオキシド)部位のモル分率を変えることによって、ポリマーの親水性/疎水性比を低くすることができる。ポリ(アルキレンオキシド)のレベルが増加すると、細胞の接着、移動および増殖が阻害される一方、ペンダントフリーカルボン酸基の量が増加すると、細胞の接着、移動および増殖が促進される。したがって、本発明のさらなる他の実施態様によれば、生細胞、組織、または生細胞を含む体液を本発明のポリマーと接触させることによって、細胞の接着、移動および増殖を制御する方法が提供される。
【0051】
ペンダントフリーカルボン酸基を通じて、薬を含む、生物学的、薬剤的活性化合物の誘導体を、カルボン酸ペンダント鎖に結合している共有結合によって、ポリマー骨格にくっつけることができる。これは、薬剤およびポリマー骨格間の共有結合の加水分解によって、生物学的または薬剤的活性化合物の持続的な放出を提供する。したがって、本発明はまた、Rが、ポリマー骨格に共有結合している生物学的に、または薬剤的に活性な化合物である、ポリマーの実施態様も包含する。
【0052】
また、ペンダントカルボン酸基を有する本発明のポリマーは、pHに依存した溶出速度を有する。これは、さらに胃の酸性環境中で薬のような生物学的に、薬剤的に活性な化合物が分解することから保護するために、ポリマーが胃腸の薬剤放出キャリアにおいてコーティングとして用いられることを可能とする。ペンダントカルボン酸基を比較的高い濃度で有する本発明のコポリマーは、酸性環境下で安定であり、水溶性であるが、中性または塩基性環境下に曝されると、急速に溶解/分解する。それに反して、エステルに対する酸比が低いコポリマーは、より疎水的であり、塩基性または酸性環境下のどちらでも急速に分解/吸収しないであろう。したがって、本発明の他の実施態様は、生物学的に、薬剤的に活性な化合物が、フリーカルボン酸基を有する本発明のポリマーで物理的に被覆されている、制御されたドラッグデリバリーシステムを提供する。
【0053】
本発明の他の特徴は、本発明の原理およびこれらを実現するために目下熟考されたベストモードを開示する下記の説明および特許請求の範囲中で指摘されるであろう。
【0054】
好適な実施態様の詳細な説明
本発明は、モノマーおよびモノマーから重合されるポリマーの新規なクラスを導入し、ここにおいて、新しいモノマーを形成するためにアミノ酸またはアミノ酸構造誘導体が一緒に結合し、次いで、化学式(I)で示される新規で有用なポリマーを形成するために、重合される。化学式IVのジフェノールモノマーは、J.P.GreensteinおよびM.Winitz、Chemistry of the Amino Acids、(John Wiley&Sons、New York 1961)およびBodanszky、Practice of Peptide Synthesis(Springer−Verlag、New York、1984)中で開示されているように下記のペプチド化学の標準的手順で準備される。
【0055】
具体的には、双方の開示が参照により本明細書に組みこまれる、米国特許第5,587,507号および米国特許第5,670,602号に開示されている手順にしたがって、ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で、カルボジイミドを介するカップリング反応である。適切なカルボジイミドがその中に開示されている。好適なカルボジイミドは、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCl.HCl)である。粗モノマーは、最初は、50%酢酸および水から、次いで、酢酸エチル、ヘキサンおよびメタノールの20:20:1比から、2回再結晶され、または、代わりに、塩化メチレン:メタノールの100:2の混合物を移動相として用いてシリカゲル上のフラッシュ・クロマトグラフィーが用いられる。
【0056】
チオアミドモノマー(Z=S)は、A.Kjaer(Acta Chemica Scandinavica、6、1374−83(1952))によって開示される方法を用いて準備されうる。モノマーまたはポリマー中のアミド基もまた、その構造が下記(Kaleta、Z.、et al.、Org.Lett.、8(8)、1625−1628(2006))に示されるラヴェッソン試薬(fLR)のフルオラス(fluorous)アナログを使って、チオアミド基に変換されうる。第二の方法によれば最初にモノマーが形成され、次いで、アミド基がチオアミド基へ転換するので、第二の方法が好適である。
【0057】
【化10】

【0058】
アミドをTHF中1:1モル比で試薬と処理すると、クロマトグラフィーまたは他の方法によって精製後、>88%の収率で対応するチオアミドができる。
【0059】
チオシン由来アミドモノマーの対応するチオアミドへの転換の際、AcO/ピリジンで処理することによって、IDTEに対して示されるように、フェノール基をジアセチルエステルに転換することによって、モノマーのフェノール基が最初に保護される。O−保護されたIDTEは、次いで、fLRと反応させ、続いて、図式に示したように、チチオアミド−IDTEへと塩基加水分解する。転換もまた、同様の手順を用いてポリマー上で行われうる。
【0060】
【化11】

【0061】
本発明のN−置換モノマーおよびポリマーは、市販のN−置換出発原料を米国特許第5,099,060号公報に開示されるモノマーのようなアミド基を有するモノマーの出発原料に置換することによって、または非N−置換出発原料を用いて米国特許第5,099,060号公報にしたがって準備されるモノマーのような、アミド基を含むN−置換モノマーによって準備されうる。かような転換を達成する、科学文献中に記載されている数々の方法が存在する。例えば、アミド基の酸性水素は、パラホルムアルデヒドでモノマーまたはポリマーを反応させ、次いで、Pd/C/H2を用いて、またはシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いて水素化することによって、モノマー中のアルキル基で置換されていてもよい。
【0062】
本明細書で提供されるのは、化学式AA−1のN−アルキル/N−アリールモノマー前駆体を製造する方法である。本明細書の開示によって導かれる当業者は、上述したポリマーに対応するN−アルキル化/N−アリール化モノマーを製造するために、本明細書で述べられるモノマー前駆体を形成するN−アルキル化/N−アリール化の段階を用いることができる。
【0063】
N−置換モノマーの準備
【0064】
【化12】

【0065】
化学式AA−1のモノマー前駆体は、化合物生成の容易さ、出発原料の商業的入手性などと比較して選択された特定の経路を有するいくつかの分岐する合成経路を経て、容易に準備される。ある実施形態において、化学式AA−1の化合物は、Audia et al.に対する米国特許第6.096,782号;Aurelio et al.(Aurelio et al.“Synthetic Preparation of N−Methyl−α−amino Acids”、Chem.Rev.、2004、5823−5846);Fukuyama et al.(Fukuyama et al.“2、4−Dinitrobenzenesulfonamides:A Simple and Practical Method for the Preparation of a Variety of Secondary Amines and Diamines”、Tet.Lett.、1997、5831−5834);およびMa et al.(Ma et al.、.”Cul−Catalyzed Coupling Reaction of β−Amino Acids or Esters with Aryl Halides at Temperature Lower Than That Employed in the Normal Ullmann Reaction.Facile Synthesis of SB−214857"、Org.Lett.、3(16)、2001、2583−2586)(各文献の内容は、全体として参照によって本明細書に組み込まれる)中に開示されているように合成することができる。例えば、化学式AA−1のモノマー前駆体は、下記スキーム8および9中で示されるように、合成されうる。化学式AA−1の前駆体を合成する他の非限定的方法は、下記に示される。文献中の改質されたアミノ酸のユビキタス(ubiquitousness)は、当業者をN−改質アミノ酸を準備するための多様な追加の方法に導くであろう。
【0066】
一実施態様において、化学式AA−1のモノマー前駆体中、可変なRは、保護されたまたは保護されていないアミノ酸側鎖である。例えば、Rは、アラニン、システイン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンの側鎖でありうる。例となる実施態様において、Rは、フェノール性ヒドロキシ(phenolic hydroxy)が保護されるチロシンの側鎖でありうる。例えば、トリプトファンのフェノール性ヒドロキシ基は、下記化学式AA−Wの前駆体中で示されているようにメチルエーテルとして保護されうる。
【0067】
【化13】

【0068】
一実施態様において、化学式AA−1のモノマー前駆体において、可変なRは、置換されてもよいアルキルまたはアリール置換基でありうる。例えば、Rは、分岐または非分岐のC〜C30アルキルまたは置換されてもよいC〜C30アリールでありうる。
【0069】
一実施態様において、化学式AA−1のモノマー前駆体は、8−Aによって与えられる:
【0070】
【化14】

【0071】
この際、可変Xは、Cl、Br、I、トシル基、メシレート、トリフラートなどでありうる。
【0072】
合成スキーム:N−アルキルモノマー前駆体
スキーム8経路1
一実施態様において、置換反応を経て、モノマー前駆体AA−1のN−置換基Rを導入する方法(この際、RおよびRは上記で定義され、Xは、上述のように定義される、Cl、Br、トシル基、またはメシレートでありうる)が、スキーム8経路1中で示されているように達成されうる。例えば、化合物8−Aにおいて、全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第3,598,859号中に記載されているように、モノマー前駆体AA−1を提供するために、可変Xは、良好な脱離基であり、適切なアリールまたはアルキルアミン(8−B)で置換されうる。さらに、8−Aの適切なエステル誘導体は、この方法で用いられうる。
【0073】
【化15】

【0074】
ある実施形態において、適切な条件下での化学式8−Bの第1級アリール、またはヘテロアリールアミンとの8−AのカップリングによりAA−1が提供されうる。この反応は、例えば、米国特許第3,598,859号によって述べられている。一実施形態において、8−A(この際XはCl、Br、またはIである)の概化学量論当量を水、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのような適切な不活性溶媒中で8−Bと結合させることによって、反応は進行する。反応によって産生される酸を除去するために、反応は、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどのような適切な塩基の過剰量を用いる。反応は、典型的には1から約24時間内で起こる反応完了まで、好適には約25℃から約100℃で行われる。反応完了まで、AA−1は、沈殿、クロマトグラフィー、ろ過などのような従来の方法によって分離されうる。
【0075】
スキーム8経路2
一実施態様において、モノマー前駆体AA−1のN−置換基Rを導入する方法は、スキーム8経路2で示されるように、還元性アミノ化反応を経て達成されうるが、この際、R、RおよびXは上記のように定義される。α−ケトエステル 8−Cは、米国特許第3,598,859号で記載されているようにAA−1を提供するために、還元性アミノ化条件下、適切なアリールまたはアルキルアミン(8−B)で処理することができる。
【0076】
【化16】

【0077】
例えば、例示的な実施態様において、化学式8−Cのα−ケトエステルおよび化学式8−Bのアルキルまたはアリールアミンの概化学量論量は、メタノール、エタノールなどのような溶媒中で結合され、イミン形成(図示せず)を提供する条件下で反応しうる。N−アリールまたはN−アルキルアミノ酸エステル8−Dを形成するために、原位置(in situ)で形成されたイミンは、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、炭素上のH/パラジウムなどのような適切な還元剤によって従来の条件下で還元されうる。典型的な一実施態様において、N−アリールまたはN−アルキルアミノ酸エステル8−Dを提供するために、還元剤は、ワンポット法でin situイミン還元を許容する最初の反応溶媒中に組み込まれる炭素上のH/パラジウムである。続くエステル8−Dの加水分解は、モノマー前駆体AA−1を提供しうる。例えば、エステルは、湿潤ベーシックメタノール(wet basic methanol)を用いて、加水分解されうる。
【0078】
スキーム8経路3
一実施態様において、モノマー前駆体AA−1のN−置換基Rを導入する方法は、スキーム8経路3に示されるように、化学式8−Eの化合物のアルキル化反応および続く転換を経て達成されうる。ある実施態様において、RおよびXは、上記のように定義され、Rは分岐または非分岐のC〜C30アルキルあるいは置換されてもよいC〜C30アリールであり、RはH、C〜Cアルキルまたはアリール(CH)−であり、そして、RはCFC(O)−、Cbz−(カルボベンジルオキシ)、Boc−(tert−ブトキシカルボニル)、トシル−(トルエンスルホニル)またはノシル−(2−ニトロベンゼンスルホニルまたは2−ニトロベンゼンスルホニル)基、2、4−ジニトロベンゼンスルホニルなどからなる群から選択されうる。下記に示すように、化学式8−EのN−置換化合物を、8−Gを提供するために適切な条件下アルキル化剤(8−B)で処理することができ、続いて8−Gの変換は、モノマー前駆体AA−1を提供することができる。
【0079】
【化17】

【0080】
例えば、例となる実施態様において、Aurelio et al.は、N−メチルアミノ酸を製造する方法を開示するが、これらの方法は、一般的にN−メチル、N−エチル、N−ベンジルなどのような、追加のN−置換アミノ酸を準備するために用いられうる。
【0081】
一実施態様において、8−E(この際、Rは、Cbz−またはBoc−であり;RはHであり;そしてRは、Meまたは−CHフェニルである)をDMF中AgO存在下ヨウ化メチルで処理すると、8−E(この際、Rはメチルであり、Rはメチルである)が提供される。メチルエステルの続いての加水分解およびカルバメート型保護基の除去により、N−メチルアミノ酸AA−1が提供される。この方法は、化学式AA−1のN−エチルアミノ酸を提供するために、ヨウ化メチルに代えてヨウ化エチルを用いて修飾してもよい。また、内容が参照によって本明細書に組み込まれる、Das et al.(Das、 et al.、’W−methylation of N−acyl oligopeptides"、Biochem.Biophys.Res.Commun.1967、29、211)、の手順に従って、N−メチルポリマーを提供するために、この方法をポリマーに適用してもよい。
【0082】
一実施態様において、8−E(この際、Rは、Cbz−またはBoc−であり;RはHであり;そしてRは、Meまたは−CHフェニルである)を水素化ナトリウムで処理し、次いで80℃24時間、DMF/THF中でヨウ化メチルを添加すると、8−E(この際、Rはメチルであり、Rはメチルである)が提供される。続いて、メタノール/THF中で水酸化ナトリウムを用いてメチルエステルを加水分解し、次いでカルバメート型保護基を除去することにより、N−メチルアミノ酸AA−1が提供される。この方法は、化学式AA−1のN−エチルアミノ酸を提供するために、ヨウ化メチルに代えてヨウ化エチルを用いて修飾してもよい。他の実施態様において、この同じ手順が、Rがメチルである8−Eをアルキル化するために用いられうる。
【0083】
一実施態様において、全体として参照によって内容が本明細書に組み込まれる、Belagali et al.(Belagali et al.”A Highly Efficient Method of N−methylation For The Amino−Acid Derivatives”、Indian J.Chem.Sect.B、1995、34(1)、45)の手順に従って、8−E(この際、Rは、Boc−であり;RはHであり;そしてRは、Meまたは−CHフェニルOHである)を、THF中ヘキサメチルジシラザンナトリウムで処理し、次いでヨウ化メチルを添加すると、8−E(この際、Rはメチルであり、Rはメチルである)が提供される。続いてメチルエステルを加水分解し、次いでカルバメート型保護基を除去することにより、N−メチルアミノ酸AA−1が提供される。この方法は、化学式AA−1のN−エチルアミノ酸を提供するために、ヨウ化メチルに代えてヨウ化エチルを用いることに改変されてもよい。他の実施態様において、この同じ手順が、Rがメチルである8−Eをアルキル化するために用いられうる。
【0084】
一実施態様において、Fukuyama et al.の手順に従って、DMF中KCOで8−E(この際、Rは、ノシルであり;Rはメチルであり;そしてRは、−CHフェニルである)を処理し、次いでR−X(この際、R−Xは、ヨウ化プロピルである)を添加すると、8−E(この際、Rはプロピルであり、Rはメチルである)が提供される。続いてメチルエステルを加水分解し、次いでカルバメート型保護基を除去することにより、N−プロピルアミノ酸AA−1が提供される。この方法は、化学式AA−1のN−エチルアミノ酸を提供するために、ヨウ化プロピルに代えてヨウ化エチルを用いることに改変されてもよい。
【0085】
スキーム8経路4
典型的な実施形態において、Fukuyama et al.の手順に従って、8−GAを提供するために、化学式(8−EA)のアミノ酸エステルのDMF溶液をKCOの存在下、臭化エチルで処理することができる。続いて、AA−1Aを提供するために、2,4−ジニトロベンゼンスルホニル基が除去され、エステル基が加水分解されうる。例えば、AA−1Aを提供するために、DMF中、チオフェノ−ルおよびKCOで8−GAの処理を行い、次いで、メタノール/THF中NaOHを用いてメチルエステルの加水分解を行うことによって、2,4−ジニトロベンゼンスルホニル基を除去することができる。N−置換β−アミノ酸(AA−IA)は当業者に周知の方法によってN−置換β−アミノエステルに転換されうる。例えば、N−置換β−アミノ酸は、対応するエチルまたはメチルN−アリールβ−アミノエステルを提供するために、エタノールまたはメタノールのような溶媒中HClで処理することができる。
【0086】
【化18】

【0087】
スキーム8経路5
また、典型的な実施形態において、化学式(8−EB)のtert−ブチルアミノ酸エステルのDMF溶液は、8−GBを提供するために、KCO存在下、臭化エチルで処理することができる。続いて、tert−ブチルエステルAA−1Bを提供するために、2,4−ジニトロベンゼンスルホニル基を除去することができる。例えば、AA−1Bを提供するために、DMF中、チオフェノ−ルおよびKCOで8−GBの処理を行うことによって、2,4−ジニトロベンゼンスルホニル基を除去することができる。
【0088】
【化19】

【0089】
N−アリールモノマー前駆体
スキーム9
一実施形態において、モノマー前駆体AA−1は合成することができ、この際、スキーム9に示されるように、例えばRはアリール基であり、Xは塩化物、臭化物、またはヨウ化物である。例えば、化学式AA−1のモノマー前駆体は、Ma et al.の手順のようなウルマン反応(Ullmann reaction)によって合成することができる。
【0090】
【化20】

【0091】
例となる実施態様において、スキーム9に示されるように、アミノエステル9−Aは9−Bに転換しうる。例えば、DMF中、ヨウ化フェニル、CuIおよびKCOの存在下、100℃。一実施態様において、9−Dを提供するために、アミノエステル9−Cは、DMF中100℃でヨウ化フェニル(8−F)、CuIおよびKCOで処理することができる。N−アリールβ−アミノ酸(9−D)は、当業者に公知の方法で、N−アリールβ−アミノエステルに転換することができる。例えば、N−アリールβ−アミノ酸は、対応するエチルまたはメチルN−アリールβ−アミノエステルを提供するために、エタノールまたはメタノールのような溶媒中でHClで処理することができる。
【0092】
【化21】

【0093】
これらの合成方法において、出発原料は不斉中心(例えば、アラニン)を含み、ラセミ化合物の出発原料が用いられる場合には、得られる生成物はジアステレオマーまたはR、Sエナンチオマーの混合物である。また、出発原料のキラル異性体を用いることができ、用いられる反応プロトコールがこの出発原料をラセミ化しない場合には、キラル生成物が得られる。かような反応プロトコールは、合成の間、不斉中心の反転を含むことができる。
【0094】
したがって、特に示されない限り、本発明の生成物は、(2以上の不斉中心が存在する場合には)ジアステレオマーの、または(ただ一つの不斉中心が存在する場合には)R、Sエナンチオマーの混合物となる。しかしながら、好適には、キラル生成物が望まれる場合には、キラル生成物はL−アミノ酸誘導体に相当する。あるいは、一のまたは他の立体異性体を得るために、R、S混合物からジアステレオマーまたはエナンチオマーを分離する精製技術を用いてキラル生成物を得ることができる。かような技術は、本分野で公知である。
【0095】
本発明に係るポリマーは、アミド基を含むモノマー繰り返し単位の複数を含み、この際、アミド基はN−置換され、N−置換基およびN−置換の程度は所望の加工方法によって加工可能なポリマーを提供するのに有効である。好ましくは、N−置換モノマーの最小限の量が用いられる。最小限の量は、同じ注入成形用ポリマーを製造するために、約25モルパーセントまで規定の溶媒中で溶解する非溶解ポリマーを提供するために、1〜3モルパーセントの範囲でありうる。これは過度の実験を要することなく、当業者によって容易に決定されうる。
【0096】
1〜6炭素原子を有するN−アルキル置換基が好適であり、N−メチル置換基を有していることがより好ましい。
【0097】
モノマー化合物は、次いで、医療用途の組織適合生体分解性ポリマーを形成するために重合される。加水分解で安定で非分解性と従来考えられているポリマーを合成するプロセスを含む、ジフェノールモノマーを用いた従来の重合プロセスにおいてジフェノールモノマーを用いることができる。
【0098】
これには、開示が本明細書に参照によって組み込まれる、米国特許第5,658,995号に開示されているように、ポリ(アルキレンオキシド)とこれらとのランダムブロックコポリマーと同様に、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリホスファジンポリホスホネートおよびポリエステルが含まれる。
【0099】
ポリマー構造が表される種々のポリマー化学式の提示は、立体異性体を含むホモポリマーおよびヘテロポリマーを含みうることもまた理解される。全てがモノマーの同じ型から構成されるポリマーを呼ぶために本明細書ではホモポリマーが用いられる。コポリマーとも称される、2以上の異なる型のモノマーから構成されるポリマーを呼ぶために本明細書ではヘテロポリマーが用いられる。ヘテロポリマーまたはコポリマーは、ブロック、ランダムおよび交互(alternating)として知られる種類のものであってもよい。さらに、種々のポリマー式の提示に関して、本発明の実施態様による生成物は、ホモポリマー、ヘテロポリマーおよび/またはこれらのポリマーの混合物から構成されうる。
【0100】
ポリイミノカーボネートは、開示が参照によって組み込まれる米国特許第4,980,449号によって開示される適切な方法の一を経て、ジヒドロキシおよびジフェノールモノマーから合成される。ある方法によれば、ジヒドロキシまたはジフェノール化合物の一部が、適切なジシアネートに転換し、次いで、ジヒドロキシまたはジフェノール化合物およびジシアネートの等モル量が、金属アルコキシドまたは金属水酸化物のような強塩基触媒の存在下で重合される。
【0101】
化学式Iのモノマー化合物は、−O−C(=O)−O−結合を有するポリカーボネートを形成するために、ホスゲンで反応させてもよい。方法は、基本的にポリカーボネート中にジオールを重合させる従来の方法である。適切なプロセス、関連する触媒および溶媒は、本分野で公知であり、教示が参照によって本明細書に組み込まれる、Schnell、Chemistry and Physics of Polycarbonates、(Interscience、 New York 1964)中で教示される。
【0102】
本発明のポリカーボネートポリマーを製造するために用いられる他の方法は、開示が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,120,491号、および6,475,477号である。ポリカーボネートは、0.1Mピリジンまたはトリエチルアミンを含むメチレンクロライド中に化学式Iのモノマーを溶解させることによっても製造することができる。約10〜約25重量%、好ましくは約20重量%の濃度でホスゲンのトルエン溶液を、一定速度、典型的には約2時間を越えて、シリンジポンプまたは他の方法を用いて、添加する。反応混合物を、テトラヒドロフラン(THF)および水を用いて攪拌することによって急冷し、その後、ポリマーをイソプロパノール(IPA)で沈殿させることによってポリマーを分離する。AMBERLYST 15のような強酸樹脂とともにTHFポリマー溶液を攪拌することによって、(有効であれば)残余のピリジンを次いで除去する。
【0103】
脂肪族の、または芳香族のポリ(エステルアミド)を形成するために、米国特許第5,216,115号によって開示されているカルボジイミドを介するプロセス中で、4−(ジメチルアミノ)ピリジニウム−p−トルエンスルフォネート(DPTS)を触媒として用いて、化学式IVのモノマー化合物を直接的に脂肪族の、または芳香族のジカルボン酸で反応させてもよい。米国特許第5,216,115号の開示は、参照によって組み込まれる。本発明の一実施態様によるジカルボン酸は、化学式Vの構造を有する:
【0104】
【化22】

【0105】
この際、脂肪族コポリマーに対しては、Rは、飽和または不飽和、置換または非置換の18まで、好ましくは2〜12の炭素原子を含むアルキル基から選択され、場合によっては、8までのN、O、PまたはS原子を含んでいてもよい。芳香族のコポリマーに対しては、Rは、24までの好ましくは13から20の炭素原子を含むアリールおよびアルキルアリール基から選択され、場合によっては、8までのN、O、PまたはS原子を含んでいてもよい。N−ヘテロ原子は、ポリマーTgおよび溶融粘度を下げるためにN−置換されていてもよい。
【0106】
該プロセスにより、−O−C(=O)−R−C(=O)−O−結合を有するポリマーが形成される。出発原料として用いられるジカルボン酸が、重要な天然素材の代謝物か、高い生体適合性化合物のどちらかであるように、Rは選択されうる。脂肪族のジカルボン酸出発原料は、したがって、クレブス回路として知られる細胞内呼吸経路の中間体ジカルボン酸を含む。ジカルボン酸としては、α−ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸およびオキサロ酢酸が挙げられる(化学式IIIのRはそれぞれ、−CH−CH−C(=O)−、−CH−CH−、−CH=CH−および−CH−C(=O)−である)。
【0107】
他の天然素材の脂肪族のジカルボン酸は、ビートジュース中に見出されるアジピン酸(Rは(−CH−)である)である。さらに他の生体適合性の脂肪族ジカルボン酸は、大規模に研究され、Laurencin et al、J.Biomed.Mater.Res.、24、1463−81(1990)によってポリ(ビス(p−カルボキシ−フェノキシ)プロパン−コ−セバシン酸無水物)の臨床評価の一部として無毒であることが見出されたセバシン酸(Rは(−CH−)である)である。
【0108】
他の生体適合性の脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸(Rは単結合である)、マロン酸(Rは−CH−である)、グルタル酸(Rは(−CH−)である)、ピメリン酸(Rは(−CH−)である)、スベリン酸(Rは(−CH−)6である)およびアゼライン酸(Rは(−CH−)である)が挙げられる。したがって、Rは、(−CH−)を表わし、この際、Qは0から8である。適切な芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸およびビス(p−カルボキシ−フェノキシ)プロパンのようなビス(p−カルボキシ−フェノキシ)アルカンである。
【0109】
もまた化学式VIの構造を有する:
【0110】
【化23】

【0111】
この際、aは1から3であり、mは1から500、000であり、Rは水素または1〜4の炭素原子を含む低級アルキル基である。Rは好ましくは水素であり、aは好ましくは1であり、mは好ましくは約10から約100、より好ましくは約10から約50である。
【0112】
化学式VIの二塩基酸は、周知の方法にしたがって、ポリ(アルキレンオキシド)の酸化によって形成される。かような化合物の一例は、市販されているビスカルボキシメチルポリ(エチレングリコール)である。
【0113】
は化学式VIIの構造を有しうる:
【0114】
【化24】

【0115】
この際、a、mおよびR、ならびにこれらの好適な種類は、化学式VIについて上述したのと同様である。Rは、単結合、または直鎖および分岐の、18までの炭素原子を含むアルキルおよびアルキルアリール基である。
【0116】
化学式VIIのジカルボン酸は、化学式Vの構造を有するジカルボン酸を有するポリ(アルキレンオキシド)ビス−官能性であり、この際、Rは化学式Vで上述したのと同様であり、好適には12までの炭素原子を含む。
【0117】
ジカルボン酸を有し、ビス官能性である化学式VIIのポリ(アルキレンオキシド)は、(ジシクロヘキシルカルボジイミドのようなカップリング剤によって介される)ジカルボン酸、ピリジンまたはトリエチルアミン存在下の無水物(例えば、無水コハク酸)あるいはトリエチルアミンのような酸受容体存在下のジカルボン酸クロリド(例えば、アジピン酸クロリド)のいずれかの過剰量とともに非官能性のポリ(アルキレンオキシド)を反応させることによって準備される。
【0118】
米国特許第6,475,477号、また同時継続で共同所有された米国特許第10/592,202号(双方の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる)の開示にしたがって製造される放射線不透過性ジフェノール化合物から製造されるポリマーのような、少なくとも一の臭素またはヨウ素−置換芳香族環を有する本発明の化学式IVのモノマー性出発原料から製造されるポリマーは、放射線不透過性である。本発明のヨウ素化および臭素化ジフェノールモノマーはまた他のポリマー性生体材料に対する放射線不透過性、生体適合性の非毒性添加物として用いることもできる。
【0119】
本発明の臭素およびヨウ素置換芳香族モノマーは、過度の実験を要することなく、上記で参照した特許化された特許および継続出願(現在は公開されている)により導かれる当業者によって容易に用いることができる公知のヨウ素化および臭素化技術によって準備される。本発明のハロゲン化芳香族モノマーの原料となる、ハロゲン化芳香族化合物は、オルト指向性(ortho−directed)ハロゲン化を受ける。「オルト指向性」なる用語は、フェノキシアルコール(phenoxy alcohol)基に対してハロゲン原子の配向性を指定するために本明細書で用いられる。
【0120】
ポリ(アルキレンオキシド)を有する本発明の化学式Iポリマーのランダムまたはブロックコポリマーは、開示が参照によって組み込まれる米国特許第5,658,995号に開示されている方法にしたがって準備することができる。ポリ(アルキレンオキシド)は好ましくは通常ユニットあたり約10,000未満の分子量を有するポリ(エチレングリコール)ブロック/ユニットである。より一般的には、ポリ(エチレングリコール)ブロック/ユニットは、ユニットあたり約4000未満の分子量を有する。分子量は好適にはユニットあたり約1000〜約2000である。
【0121】
ブロックコポリマー中のポリ(エチレングリコール)ユニットのモル分率は、0を超えて1未満であり、通常は0を超えて約0.5までである。より好ましくは、モル分率は約0.25未満であり、より好ましくは約0.1未満である。より好適なバリエーションにおいて、モル分率は約0.001を超えて約0.08までの範囲であり、最も好ましくは、約0.025〜約0.035である。
【0122】
特に示さない限り、本明細書に記載されたモル分率は、ポリマー中のポリ(アルキレングリコール)および非−グリコールユニットの全モル量に基づく。
【0123】
出願人は、ハロゲン化の程度およびフリーなカルボン酸ユニットのモル分率が増加するにつれ、ポリマーのガラス転移温度が大きくなることも見出した。最終用途に対して所望の範囲内にポリマーのガラス転移温度を維持するために、ヨウ素化のレベルがより高い、および/またはフリーのカルボン酸ユニットのモル分率がより高いポリマー中でポリ(アルキレンオキシド)の重量パーセンテージがより高いものが通常用いられる。ポリマー溶融特性に不利に影響を与えることなく、ポリ(アルキレンオキシド)の量を下げる、または除去するように、N−アルキル化はポリマーガラス転移温度を低下させるための代替的方法を提供する。したがって、本発明は、発明ポリマーの物理的−機械的特性を微調整するために、ポリマー化学者が自由に使えるより多くの道具を提供する。
【0124】
化学式Iのポリマーは、さらなる補正をすることなく溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を使ってポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)から算出される、約20,000を越える、好ましくは約80,000を超える重量平均分子量を有する。
【0125】
本発明のポリマーは、ペンダントフリーカルボン酸基(R=OH)を有する化学式IVのモノマーから重合されるポリマーを含むように規定される。しかしながら、コモノマーを有するフリーカルボン酸基の交差反応なしに、ペンダントフリーのカルボン酸基を有する対応するモノマーから、ペンダントフリーカルボン酸基を有するポリマーを重合することはできない。したがって、ペンダントフリーカルボン酸基を有する本発明によるポリマーは、Rがベンジルまたはtert−ブチル基である化学式IVの構造を有する本発明のベンジルおよびtert−ブチルエステルモノマーのホモポリマーおよびコポリマーから準備される。
【0126】
開示が参照によって本明細書に組みこまれる、同時継続で共同所有された米国特許第6,120,491号によって開示される、パラジウム触媒水素化分解反応によるベンジル基の選択的除去を通じて、ベンジルエステルホモポリマーおよびコポリマーは、対応するフリーカルボン酸ホモポリマーおよびコポリマーに転換しうる。
【0127】
参照によって本明細書に組みこまれる、上記で参照した米国特許出願第10/592,202号によって開示される酸分解方法によるtert−ブチル基の選択的除去を通じて、tert−ブチルエステルホモポリマーおよびコポリマーは、対応するフリーカルボン酸ホモポリマーおよびコポリマーに転換しうる。
【0128】
ポリマー骨格が不安定であるとより厳しい加水分解技術を用いることができないため、触媒的水素化分解または酸分解が必要となる。
【0129】
同様にポリマーから製造される装置の分解/吸収性を調整するために、本発明にしたがって、本発明のポリマー中のフリーカルボン酸ユニットのモル分率は、本発明にしたがって調整されうることを出願人は見出した。例えば、ポリ(DTE−コ−35mol%DTカーボネート)、(約35%のフリーカルボン酸ユニットを含むチロシン由来のポリカーボネート)は、約15日間で90%吸収される一方、フリーカルボン酸の量がより低いポリカーボネートは、生体内で望ましくより長い耐用期間を有するであろうことを出願人は見出した。さらに、好適なモル分率の範囲内でポリマー中のフリーカルボン酸の量を同様に調整することによって、得られるポリマーを異なる装置寿命が求められる種々の用途に適用することができる。一般的には、フリーカルボン酸ユニットのモル分率が高くなるにつれ、生体内の装置の寿命がより短くなり、より短い寿命であることが求められる用途にそのような装置がより適するようになる。6ヶ月以上の寿命が求められる実施態様においては、フリーカルボン酸ユニットの現在の好適な範囲であるポリマーが求められる傾向にある。
【0130】
本発明はまた、全体として参照により本明細書に組み込まれる、Pacetti、米国特許出願公開第2006−0115449号のモノマーおよびポリマーのN−置換型も含み、本明細書で開示されるN−置換方法にしたがって準備される。
【0131】
重合後、全てが組織適合性モノマー由来の、有益な物理的、化学的特性を有する有用な多様な物品を製造するために、本発明の好適な実施形態にしたがってポリマーの適切な試案は、合成ポリマーの分野で一般的に用いられる多様な公知の方法のいずれによっても達成することができる。有用な物品は、押出し、圧縮成形、射出成形、溶媒キャスト、回転成形、湿式紡糸、これらの2以上の組み合わせなどのような従来のポリマー成形技術によって成形することができる。ポリマーから製造された成形物品は、とりわけ医療インプラント用途に対する分解性生体材料として有用である。かような用途しては、代用血管およびステントとして成形品を使用することが挙げられる。
【0132】
ステント製造加工は、レーザーカッティング、エッチング、機械カッティング、または他の方法および得られたカット部をステントに集積することを経るポリマーの切断押出シートのような製造の2次元法、または固体形状からの装置の3次元製造の同様な方法を含んでいてもよい。他の実施態様において、本発明のポリマーまたは金属のような他の材料から構成される埋込型装置、特にステントの表面上のコーティング中にポリマーは形成される。そのようなコーティングは、ディッピング法、吹き付け塗装、これらの組み合わせのような技術を通じてステント上に形成されうる。さらに、ステントは、繊維材料、硬化材料、積層材、および/または織布の少なくとも一から構成されることができる。本発明のポリマーが用いられるステント製品および製造の詳細は、開示が参照によって本明細書に組み込まれる、2004年9月27日に提出された同時継続で共同所有された米国特許出願第10/952,202号中に開示されている。装置の蛍光位置を可能とするためにステントは本発明の放射線不透過性ポリマーから製造されることが好ましい。
【0133】
本発明の実施形態にしたがって好適なポリマーに関連する特性の有益性が高い組み合わせは、ステント以外の、多様な医療装置、特に好適には放射線不透過性、生体適合性で生体吸収性の機会が多く存在する埋込型医療装置を製造するために用いられるのに非常に適している。例えば、ある実施形態において、ポリマーは、整形外科、再生医療、歯科用途、創縫合、胃ラップバンド(lap bands)、ドラッグデリバリー、ガン治療、他の心臓血管用途、胆管、食道、膣、肺−気管/気管支のような、非心臓血管ステントなどの用途の埋込型装置を製造するときに用いられるのに適していることを出願人は見出した。また、ポリマーは、創縫合、骨および/または軟骨への組織の接着、止血(ホメオスタシス)、卵管結紮、外科的接着抑制などにおいて使用されるのに適しているステープルおよびクリップと同様に、例えば、ガン組織の除去の際の組織除去および器官除去の領域を追跡するために用いられる埋込型放射線不透過性ディスク、プラグおよび他の装置を製造するときに使用されることが適している。本発明のポリマーは、医療装置、特に埋込型医療装置に対する種々のコーティングを製造するときの使用に非常に適していることも、出願人は見出した。
【0134】
さらに、好適な実施形態において、本発明のポリマーは、前十字靱帯(ACL)、腱板/回旋筋カップ(rotator cup)、および他の骨格変形の矯正、予防、再生および修復を含む用途において用いられる、例えば、放射線不透過性生分解性スクリュー(インターフェアレンススクリュー(interference screw))、放射線不透過性生分解性縫合糸アンカーなどを含む種々の外科的装置を製造する際に有利に用いられる。
【0135】
本発明のポリマーから有利に形成されうる他の用具として、再生医療において用いられる用具が挙げられる。適切な用具の例として、(血管移植片、神経再生において用いられる移植片またはインプラントのような)再生医療の足場(scaffold)および移植片が挙げられる。本発明のポリマーはまた内部の傷を閉じるために用いられるのに有効な種々の道具を形成するために用いられうる。例えば、種々の外科的、化粧用途および心臓創縫合の際に使用される生分解性縫合糸、クリップ、ステープル、鋭い(barbed)またはメッシュ縫合糸、埋込型組織支持体などに成形されうる。
【0136】
歯科用途において使用される多様な装置は、本発明の好適な態様にしたがって有利に形成される。例えば、外科医/歯科医が簡単なX線画像によってかようなインプラントの位置および連続機能を確かめることができるように、誘導組織再生に対する装置、義歯装着者に対する歯茎補充、および上顎−顔骨格の再生に対する装置は、放射線不透過性であるから有利である。
【0137】
本発明のポリマーは、また肥満の治療に用いられる胃のラップバンドの製造においても有用である。放射線不透過性ラップバンドの製造は、ヒトの体内において装置をより効果的にモニタリングすることができ、肥満の治療により効果的となる。
【0138】
血管内ステントおよび非心血管ステントに加えて、本発明のポリマーは、他の心血管および血管用具において有用である。例えば、弁、腱索交換、弁形成リング、弁修復パッチ、代用血管、血管チューブ、中隔欠損用パッチ、動脈および静脈接近閉塞装置(プラグ)などが、心臓弁、チューブなどの交換修復において用いられるために形成されうる。また、粗表面/繊維性層(ベローズポンプ(bellow pump))のような人工心臓の一部が本発明のポリマーから形成されうる。
【0139】
腫瘍および例えば子宮筋腫、腫瘍(すなわち、化学塞栓術)、出血(例えば、出血を伴う外傷の間)および動静脈奇形のような血管奇形を治療するために一時的に治療目的で行われる血液供給制限またはブロック、瘻孔ならびにカテーテルまたはシリンジを使って運搬される動脈瘤用の、生体吸収性の、本質的に放射線不透過性であるポリマー性塞栓治療製品の製造において、本発明のポリマーはまた有用である。本発明のポリマーが用いられる塞栓治療製品および製造方法の詳細は、参照によって開示が組み込まれる、2004年9月27日に出願され、同時継続で共同所有された米国特許出願第10/952,274号に開示されている。塞栓治療の治療方法は、全身性であるよりむしろそれらの局所的性質により、運搬および治療のX線モニタリングを達成するために本発明の放射線不透過性ポリマーから製品が加工されることが好適である。
【0140】
さらに、本発明のポリマーは、幅広い範囲の治療薬の運搬装置の製造においても有用である。例えば、前に定義したような調合薬(すなわち、薬)および/または生物剤を含む、および生体分子、遺伝物質、および処理生体物質などを含む、幅広い範囲の治療法とともにかような装置を用いてもよい。ガン、血管内問題、歯の問題、肥満、感染などの治療において治療薬を運搬するための装置を含む、治療薬を体内へ運搬することができる輸送システムは多数作ることができる。
【0141】
ある実施態様において、本明細書で記載した前述の装置(用具)は、(これらの他の機能性に加えて)治療運搬装置としての用途に適用することができる。制御された治療運搬システムを準備してもよく、該システム内では、生物学的にまたは薬剤活性剤および/または受動剤(passive agent)のような治療薬が、本発明のポリマーマトリクス内に物理的に埋め込まれている、または分散されている、あるいは物理的に本発明のポリマーと混合されている。制御された治療薬運搬システムは、またコーティングとしてこれらのポリマーを使用していない、またはコーティングに対して他のポリマーまたは物質を用いる、(本発明の少なくとも一のポリマーから構成される)生体吸収性ステント装置のような埋込型医療装置の表面に治療薬を直接適用することによって準備されてもよい。
【0142】
本発明のポリマーのQペンダント基は、また治療薬の共有結合によって誘導体化されてもよい。Qがフリーカルボン酸、カルボン酸アミド、ヒドロキシル基などを定義するかどうかによって、そして誘導体化されていない治療薬に存在する部分によって、共有結合は、アミド結合かエステル結合でありうる。通常、治療薬は、第1級または第2級アミン、ヒドロキシル、ケトン、アルデヒド、またはカルボン酸基で誘導体化される。化学的結合手順は、開示が参照によって組み込まれる、米国特許第5,219,564号および5,660,822号;Nathan et al.、Bio.Cong.Chem.、 4、54−62(1993)およびNathan、Macromolecules、25、4476(1992)に記載されている。治療薬は、初めモノマーに共有結合し、次いで、モノマーが重合する、または、重合が最初に行われ、次いで治療薬の共有結合が起こる。
【0143】
複合体中で治療薬が活性である場合、加水分解で安定な複合体が利用される。複合体中で治療薬が不活性である場合には、加水分解できる複合体が利用される。
【0144】
当業者に公知の従来の技術を使って、本発明のポリマーで運搬される治療薬を物理的に混合することによって治療薬運搬化合物が形成されてもよい。この治療薬運搬実施態様に対して、ポリマーは治療薬の共有結合に対するペンダント基を有する必要はない。
【0145】
ポリマー複合体の形態またはポリマーおよび治療薬の物理的混合物の形態であるかどうかにかかわらず、治療薬を含む本発明のポリマー組成物は、全身性運搬が望まれる場合と同様、局所的運搬が望まれる適用に対して適している。実質的に従来の、当業者にとって公知の手順によって、これらを必要とする患者の体内にポリマー複合体および物理的混合物が埋め込まれうる。
【0146】
したがって、薬剤溶出ステントのように、その中に物理的に混合された、またはそこへ共有結合した治療薬を本発明のポリマーが有する、本発明の治療薬運搬システムから加工される、またはシステムで被覆されることによって、埋め込み側に対して治療薬を運搬することにも役立つように、埋込型医療装置は、加工されうる。塞栓治療粒子もまた、治療薬の運搬用に加工されうる。
【0147】
本発明のポリマーに共有結合する生物学的、または薬剤的活性治療薬の例としては、アシクロビル、セフラジン、メルファレン(malphalen)、プロカイン、エフェドリン、アドリアマイシン、ダウノマイシン、プルンバギン、アトロピン、キニーネ、ジゴキシン、キニジン、生物的活性ペプチド、クロリン(chlorin) e.sub.6、セフラジン、セファロチン、プロリンおよびシス−ヒドロキシ−L−プロリンのようなプロリン類似体、メルファレン(malphalen)、ペニシリン V、アスピリンおよび他の非ステロイド性抗炎症薬、ニコチン酸、ケノデオキシコール酸、クロラムブシル、抗がん剤および再狭窄を阻害する抗増殖剤を含む抗増殖剤、エストロゲンのようなホルモンなどが挙げられる。本発明の目的に対して、細胞接着メディエーター、生物的活性リガンドなどを含むように生物学的に活性な化合物が追加で規定される。
【0148】
本発明で記載される発明はまた本発明のポリマー−治療薬のコンビネーションを含む、多様な薬の剤形を含む。コンビネーションは、従来の手段による、埋込み用に巨大なマトリクスであってもよいし、投与のために細かい粒子であってもよく、この際、剤形としては、例えば、錠剤、カプセル、経口液体および溶液、ドロップ、点滴製剤および懸濁液、エマルション、経口用パウダー、吸入溶液または粉末、エアロゾール、局所用溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、ローション、軟膏、経皮溶液などの従来知られている剤形が挙げられる。
【0149】
剤形は、2以上の薬剤的に許容できるキャリアーを含んでいてもよい。そのような材料は、用いられる投与量および濃度で受け手に対して毒性がなく、そのような材料としては、希釈剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、封入材料、浸透促進剤、溶媒、皮膚軟化剤、増粘剤、分散剤、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩および他の有機酸塩のようなバッファー、アスコルビン酸のような抗酸化剤、防腐剤、ポリアルギニンのような低分子量(約10残基未満)ペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンのようなタンパク質、ポリ(ビニルピロリドン)のような他の親水性ポリマー、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンのようなアミノ酸、単糖類、二糖類、およびセルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む他の糖質、EDTAのようなキレート剤、マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール、ナトリウムのような対イオン、および/またはtween、プルロニックまたはPEGのようなノニオン性活性剤が挙げられる。
【0150】
本発明のポリマー複合体および物理的混合物中に組み込まれる治療薬は、生理的に許容されるキャリアー、賦形剤、安定化剤などの中に供給され、そして、本発明中で製造されるポリマー製剤に捕捉して徐放または持続放出製剤中に供給されうる。ポリマー複合体および物理的混合物とともに、液体キャリアーおよび水性分散液の希釈剤もまた使用に適している。
【0151】
本発明のポリマー−治療薬のコンビネーションを用いて、治療を必要とする対象、通常は哺乳類、に対して、最大限の効果を提供しうる投与量を投与することができる。投与量および投与方法は、対象により異なり、治療される哺乳類のタイプ、性別、体重、食事、併用している薬剤、全身状態、用いられる特定の化合物、これらの化合物が用いられる特定の使用、および医療の分野の当業者が認識しうる他の因子のような因子に依存する。本発明のポリマー−治療薬のコンビネーションは、治療薬活性を維持する、またはポリマーの完全性を維持するのに適した状況下での保存のために準備され、室温または冷蔵温度での貯蔵に一般的には適している。
【0152】
エアロゾル製剤は、通常、鼻または口の吸入に適しており、一般的には圧縮空気である圧縮ガスと組み合わせて、パウダーまたは溶液形態中で存在しうる。また、エアロゾルは局所的に用いられてもよい。一般的には、適切な投与量を一日に一回、適宜一日に3〜4回まで病変部に適用することを可能とするために、局所製剤は製剤化されうる。
【0153】
選択される特定の化合物によって、ある状況では好適となる、薬剤の比較的安定な運搬を提供する経皮運搬も選択されうる。経皮運搬は、アルコール性媒体、場合によっては活性剤のような浸透促進剤、および他の任意成分とともに、典型的には、溶液中の化合物の使用を含む。マトリックスおよび容器型経皮運搬システムは、適切な経皮システムの例である。剤形において従来の局所治療とは異なる経皮運搬は、患者に対する治療薬の全身投与量を運搬する。
【0154】
本発明のポリマー−薬物製剤は、小単層ベシクル、大単層ベシクルおよび多重膜ベシクルのような、リポソームデリバリーシステムの形態で投与されてもよい。リポソームは、本明細書で記載されている適切な投与経路のいずれかで用いられうる。例えば、リポソームは、経口で、非経口で、経皮で、または吸入により投与できるように、製剤化されうる。治療薬の毒性は、患部への選択的運搬によって減少することができる。例えば、治療薬がカプセル化されたリポソームであり、静脈注入されるならば、用いられるリポソームは血管細胞によって運搬され、局所的に高い濃度の治療薬が血管壁内で長持間放出され、結果として、治療薬の活性を向上させる。カプセル化されたリポソーム治療薬は、好ましくは非経口で、特には静脈注射によって投与される。
【0155】
治療薬の放出のために特定の部位へ、リポソームは標的化される。これは、活性部位で治療薬が治療的に有効である投与量を提供するのに必要な量をしばしば超えること、そしてその結果の、より高い投与量に関連する毒性および副作用を未然に防ぐであろう。
【0156】
運搬剤が上述の治療薬と同じ適格基準を満たす限り、本発明のポリマーに組み込まれた治療薬は、所望の標的に対して全身的な運搬を促進する剤を望ましくはさらに組み込みうる。治療薬分子が連結する抗体、抗体フラグメント、成長因子、ホルモンまたは他の標的分子とともに、運搬される活性治療薬は、このように組み込まれうる。
【0157】
本発明のポリマー−治療薬のコンビネーションは、弁、ステント、管、人工装具などのような成形品にも形成されうる。
【0158】
治療的に有効な投与量は、インビトロまたはインビボの方法のどちらかにより決定されうる。本発明の各特定の化合物に対して、所望の最適な投与量を決定するために個々の決定がなされうる。治療的に有効な投与量の範囲は、投与経路、治療対象および患者の状態によって当然に影響されるであろう。種々の適切な投与経路に対して、吸収効率は、薬理学において周知の方法により、各薬物に対して個々に決定されなければならない。したがって、最適な治療効果を得るために求められるように、治療専門家が投与量をタイター(titer)し、投与の経路を修正することが必要とされるであろう。有効な投与量レベルを決定する、すなわち、所望の結果を達成するために必要とされる投与量レベルは、当業者の範囲内であろう。典型的には、化合物の適用は、より低い投与量レベルで開始され、所望の効果が達成されるまで、投与量レベルを増加させていく。治療される治療的状態によって、有利な側面を決定するために、本発明の製剤からの放出速度は、本分野における所定の技術内で変更される。
【0159】
典型的な投与量は、約0.001mg/k/g〜約1,000mg/k/gの範囲、好ましくは約0.01mg/k/g〜約100mg/k/gであり、より好ましくは約0.10mg/k/g〜約20mg/k/gの範囲でありうる。有利には、本発明の化合物は、一日に何回か投与され、他の投与計画もまた有効でありうる。
【0160】
本発明の方法を行う際、ポリマー−治療薬のコンビネーションは、単独で用いてもよいし、他の治療または診断薬を組み合わせて用いてもよい。本発明の化合物は、インビボ、通常、ヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、ネコおよびネズミのような霊長類のような哺乳類において、またはインビトロで利用することができる。
【0161】
治療薬運搬の適用において、本発明の放射線不透過性、生体吸収性のポリマーを用いることの一つの主な利点は、治療薬の放出および埋込み型治療運搬システムの存在のモニタリングが容易にできることである。ポリマーマトリクスの放射線不透化性は、共有結合するハロゲン原子によるため、放射線不透化性のレベルは、埋め込みの後、所定時間依然埋込部位に存在する分解された治療剤運搬マトリクスの残存量に直接的に関連する。好適な実施態様において、分解治療運搬システムからの治療放出速度は、ポリマー再吸収性の速度と関連する。そのような好適な実施態様において、放射線不透過性の残余の程度を直接的、量的に測定することにより、埋め込まれる治療運搬システムからの治療的放出のレベルをモニターする方法を主治医に提供するであろう。
【0162】
下記非限定的実施例は、本発明の特定の実施態様を説明する。全ての部およびパーセンテージは、他に記載がない限り、モルパーセントにより、特に示さない限り、全ての温度は摂氏である。他に示さない限り、全ての溶媒はHPLCグレードであり、全ての他の試薬は、分析グレードのものであり、入荷したままで用いた。
【実施例】
【0163】
実施例1−N−アルキル置換
圧力容器中で、化合物8−EBをKCO(2当量(equiv))とともにDMF中に室温で溶解させ、次いで、シリンジで臭化エチル(1.1当量)で滴下処理した。圧力容器を次いでシールし、反応物を60℃まで加熱し、30分おいて反応物を室温にまで冷却し、TLC(薄層クロマトグラフィー)またはLC/MSによってチェックした。反応物を水で急冷し、水層を抽出した。有機層を、NaSOを用いて乾燥し、ろ過し、減圧下溶媒を除去して、8−GBを得た。中間物8−GBは、過剰量のKCO存在下、DMF中に溶解し、次いでチオフェノールを添加し、TLCによって示されるように反応が終了するまで室温で混合物を攪拌した。固体をろ過により除去し、減圧下溶媒を除去した。粗混合物を次いで触媒であるNaOHの存在下、湿潤(wet)メタノール/THF中に溶解し、エステルの加水分解が完了次第、減圧下溶媒を除去した。残余を水に溶解し、pH5にまで酸性にし、酢酸エチルで抽出し、AA−IBを得た。
【0164】
実施例2−N−アリール置換
DMF(5mL)中、ヨウ化フェニル(1mmol)およびβ−アミノエステル(9−C)(1mmol)溶液に対して、窒素下、炭酸カリウム(2.5mmol)、水0.1mL、およびCuI(0.1mmol)を添加する。窒素雰囲気下、100℃で48時間混合物を攪拌した後、冷却した溶液を真空下で濃縮する。残余を水に溶解し、pH5にまで酸性にし、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層をクロマトグラフィーによって濃縮し、精製し、対応するN−アリールβ−アミノ酸(9−D)を得る。
【0165】
N−アリールβ−アミノ酸(9−D)は、当業者に知られる方法により、N−アリールβ−アミノ酸に転換しうる。例えば、対応するエチルまたはメチルN−アリールβ−アミノエステルを得るためにN−アリールβ−アミノ酸は、エタノールまたはメタノールのような溶媒中でHClと処理することができる。
【0166】
実施例3−N−置換モノマー
モノマーPP−IA:
【0167】
【化25】

【0168】
は、化学式AA−1のモノマー前駆体から合成されうる。スキーム10に示されるような例となる実施態様において、重合前駆体10−Cは、AA−1Bから合成することができる。3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(10−A)のヨード化は、3−(4−ヒドロキシ−3、5−ジヨードフェニル)プロパン酸を提供する。続いての10−BのAA−1Bとのカップリング、続いてのフェノール保護基の除去は、重合前駆体10−Cを提供する。例えば、クロロイオダイドとともに3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(10−A)を処理すると、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨードフェニル)プロパン酸(10−B)が得られる。N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)を用いて、10−BをAA−1Bとカップリングさせ、次いでフェノール保護基を脱保護することにより、重合前駆体10−Cを得ることができる。メチル保護基の除去は、塩化メチレン(DCM)中、三臭化ホウ素(BBr)を用いて達成されうる。重合前駆体10−Cは、合成スキーム1−6中で記載される方法にしたがって、ポリマー形態に転換されうる。当業者にとって非常に明白である適切な改変とともに、スキーム10の方法にしたがって、追加のモノマーサブユニットは、化学式AA−1のモノマー前駆体から合成されうる。
【0169】
【化26】

【0170】
実施例4−ジ−ヨード化芳香族ヒドロキシ酸の準備
KIC1の2M溶液を文献手順を使って準備した。2Lビーカー中で、DAT166.2g(1.0モル)および2−プロパノール800mLを攪拌した。得られた溶液に対して、ピリジン158g(2.0モル)およびKIClの2M溶液の1L(2.0モル)を添加した。1時間の攪拌の後、水3Lを反応混合物に添加し、沈殿する生成物をろ過により回収し、水で洗った。さらなる精製のため、粗生成物を水酸化ナトリウムの80g(2.0モル)を含む水4L中に溶解し、ろ過した。ろ過物を室温にまで冷却し、酢酸でpH5.5にまで酸性化した。生成物をろ過により分離し、一部の水で洗い、次いで、真空下乾燥し、3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(IDAT)の375g(90%収率)を得た。同様の手順を使って、4−ヒドロキシフェニル酢酸および4−ヒドロキシ安息香酸を対応するジ−ヨウ素化化合物へとヨウ素化した。
【0171】
実施例5−IDAT−NMeTyr−OMeモノマーの合成
ジフェノール性モノマーは、l−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)をカップリング剤として使って実施例1の3−(3,5−ジヨード−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(IDAT)をN−メチルチロシンメチルエステルHCl塩(NMeTM.HCl)(Bache Biosciences、Inc.King of Prussia、ペンシルバニア州)とカップリングさせることによって準備した。詳細には、IDAT1.6g(3、8mmol)、NMeTM.HCl 0.99g(4.02mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール54mg(0.40mmol)およびテトラヒドロフラン20mLを50mL丸底フラスコ中、0〜5℃で攪拌した。次いで、フラスコに対して、EDC(0.81g、4.2mmol)を添加した。
【0172】
反応混合物を0〜5℃で1時間、次いで室温で3時間攪拌した。THFの大部分を蒸発させ、反応混合物を50mLの酢酸エチルおよび50mLの0.2M HClとともに攪拌した。分液漏斗を使って層を分離した。有機層を3×25mL0.2M HCl、3×25mL 5%重炭酸ナトリウム溶液、および25mL 20%NaClで洗った。次いで、油を得る場合には有機層を濃縮した。生成物は、H NMRおよび元素分析によってN−メチルIDTEと同定された。HPLCにより、単純なチロシンエステルを用いた場合でさえ通常存在する少量の副生成物とともに、期待された保持時間のピークが表れた。
【0173】
実施例6−NMe−IDTEの重合
米国特許第5,099,060号によって開示される標準的なホスゲン化(phosgenation)手順を用いて、ポリカーボネートを形成するために、実施例2のジフェノール性モノマーNMe−IDTEを重合した。
【0174】
実施例7−N−アルキルチロシンエステルのモノマーの合成
N−アルキルチロシンエステル由来のジフェノール性モノマーの製造は、N−エチルIDTEの合成によって例示される。詳細には、IDATの1.6g(3.8mmol)、N−エチルチロシンエチルエステルHCl塩(NEtTE.HCl−全体の開示が参照によって組み込まれる、Aureilo、et al.、Chem.Rev.104、5823−46(2004)に開示される方法によって準備される)の1.10g(4.02mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾールの54mg(0.40mmol)およびテトラヒドロフランの20mLを50mL丸底フラスコ中で0〜5℃で攪拌する。次いで、フラスコに、EDC(0.81g、4.2mmol)を添加する。反応混合物を0〜5℃で1時間、次いで、室温で3時間攪拌する。THFの大部分を蒸発させ、反応混合物を50mL酢酸エチルおよび50mL 0.2MHClとともに攪拌する。層は、分液漏斗を用いて分離する。有機層を3×25mL 0.2MHCl、3×25mL 5%重炭酸ナトリウム溶液および25mL20%NaClで洗う。油が得られる場合には、次いで有機層を濃縮する。生成物は、H NMR、元素分析およびHPLCによって特徴づけられる。
【0175】
実施例8−チオアミド合成およびN−アルキル化
シュレンク管中に、ジアセチル−IDTE(693mg、1.0mmol)、fLR(1.13g、1.0mmol)、およびTHF20mLを添加する。オイルバス中55℃で4時間シュレンク管を加熱する。次いで、反応混合物にアルミナ10gを添加し、溶媒を蒸発によって除去した。粗生成物をフルオラス(fluorous)逆相シリカがパックされたショートカラムで精製した。次いで、希釈水酸化ナトリウムを用いて生成物を加水分解し、次いで酸性化し、IDTE−チオアミドが得られる。次いで、化合物は、実施例7にしたがってN−メチル化される。
【0176】
好適な実施形態の説明は、請求項によって規定される本発明の限定というよりは説明としてみなされるべきである。容易に認識されうるように、上述の特徴の数多くの組み合わせが請求項に係る本発明から解離することなく利用されうる。そのようなバリエーションは、本発明の精神と範囲から解離するものとみなされず、全てのそのような改良は、下記の請求項の範囲内に含まれることを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミド基を含むモノマー繰り返し単位の複数を含む生体適合性、生体吸収性ポリマーであり、前記アミド基がN−置換され、N−置換されていない同じポリマーと較べてN−置換基およびN−置換の程度が溶融粘度、溶液粘度、または双方を減少させるのに効果的である、ポリマー。
【請求項2】
前記N−置換基およびN−置換の程度が、少なくとも約5%溶融粘度、溶液粘度、または双方を減少させるのに効果的である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記N−置換基およびN−置換の程度が、少なくとも約10%溶融粘度、溶液粘度、または双方を減少させるのに効果的である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
前記N−置換基がC〜Cアルキル基を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記N−置換基がメチル基を含む、請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
下記化学式:
【化1】

この際、XおよびXはそれぞれ独立してBrおよびIから選択され;ylおよびy2はそれぞれ独立して0または1〜4の整数であり、Rは、置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖または分岐の、48までの炭素原子を含む脂肪族基、置換または非置換の、48までの炭素原子を含む芳香族基、および置換または非置換の、48までの炭素原子を含む芳香脂肪族基(この際、脂肪族部分は、直鎖または分岐の、飽和または不飽和である)からなる群から選択され、RはO、SおよびNから選択される2〜8のヘテロ原子(この際、ヘテロ原子のうち2つは、C〜Cアルキル基でN−置換されたポリマー骨格アミド基を形成する)を含む:
の一以上の繰り返し単位を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
が約18〜約36の炭素原子を含む、請求項6に記載のポリマー。
【請求項8】
が:
【化2】

この際、R13およびR14はそれぞれ独立して0〜8の炭素原子を含み、(−CHR−CH=CH−(CHR−)および(−CHR(−CHNQ(−CHRから独立して選択され、この際RはHまたは低級アルキルであり、各eは独立して0から6の範囲であり、各fは独立して0から8の範囲であり、gは0または1であり;RはC〜Cアルキル基であり;QはC(=Z)−Rであり、この際ZはOまたはSであり;Qは−N(Rまたは−N(R)であり、RはH、治療的活性部分、ポリ(アルキレンオキシド)、−X−C−C18アルキル、−X−アルケニル、−X−アルキニル、−X−シクロアルキル、−X−ヘテロシクリル、−X−アリールおよび−X−ヘテロアリールから選択され;Xは、単結合、O、S、およびN−アルキルから選択され;およびXは単結合、低級アルキル、O、SおよびN−アルキルから選択される:である、請求項6に記載のポリマー。
【請求項9】
が、分子量が100から10,000のメトキシ末端ポリ(エチレングリコール)(PEG)、分子量が100から10,000のメトキシ末端ポリ(プロピレングリコール)(PPG)および分子量が100から10,000のメトキシ末端PEGおよびPPGブロックコポリマーから選択されるアルキル末端ポリ(アルキレンオキシド)である、請求項8に記載のポリマー。
【請求項10】
が、約1000〜約2000の分子量を有するポリ(エチレングリコール)である、請求項9に記載のポリマー。
【請求項11】
化学式(I)の一または双方の芳香族環が、ハロゲン、低級アルキル、カルボキシル、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホニルからなる群から独立して選択される、1〜4の官能基で置換される、請求項6に記載のポリマー。
【請求項12】
化学式(I)中のylおよびy2の合計が0を超えるように、化学式(I)の少なくとも一のモノマー芳香族環がヨウ素で置換される、請求項6に記載のポリマー。
【請求項13】
化学式(I)の双方の芳香族環が双方のオルト位でヨウ素置換される、請求項6に記載のポリマー。
【請求項14】
がOHである、請求項8に記載のポリマー。
【請求項15】
が下記構造:
【化3】

この際、tは0〜約18の範囲である:
を有する基である、請求項8に記載のポリマー。
【請求項16】
が:
【化4】

この際、RはC〜Cアルキル基であり;ZはOまたはSであり;aおよびbは独立して0〜8の範囲であり;RはH、治療的に有効な部分、ポリ(アルキレンオキシド)、−X−C−C18アルキル、−X−アルケニル、−X−アルキニル、−X−シクロアルキル、−X−ヘテロシクリル、−X−アリールおよび−X−ヘテロアリールであり;Xは単結合、O、S、およびN−アルキルから選択され;Xは単結合、低級アルキル、O、SおよびN−アルキルから選択される:
から選択される、請求項6に記載のポリマー。
【請求項17】
a=1およびb=2である、請求項16に記載のポリマー。
【請求項18】
化学式(Ia);
【化5】

この際、XおよびXはそれぞれ独立してBrおよびIから選択され;ylおよびy2はそれぞれ独立して0または1〜4の整数であり、Rは、置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖または分岐の、48までの炭素原子を含む脂肪族基、置換または非置換の、48までの炭素原子を含む芳香族基、および置換または非置換の、48までの炭素原子を含む芳香脂肪族基(この際、脂肪族部分は、直鎖または分岐の、飽和または不飽和である)からなる群から選択され、RはO、SおよびNから選択される2〜8のヘテロ原子(この際、ヘテロ原子のうち2つは、C〜Cアルキル基でN−置換されたポリマー骨格アミド基を形成する)を含み、Aは:
【化6】

この際、R10はH、C〜C30アルキル、アルケニルまたはアルキニル、およびC〜C30ヘテロアルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニルから選択され、R12はC〜C30アルキル、アルケニルまたはアルキニル、C〜C30ヘテロアルキル;ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル、C〜C30ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルケニルアリールまたはヘテロアルキニルアリール、C〜C30アルキルアリール、アルケニルアリールまたはアルキニルアリール、およびC〜C30ヘテロアリールから選択される:から選択される;
の構造を有するポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミノカーボネート、ポリホスファゼンまたはポリホスホエステルであることを特徴とする、請求項6に記載のポリマー。
【請求項19】
が約18〜約36炭素原子を含む、請求項18に記載のポリマー。
【請求項20】
が:
【化7】

この際、R13およびR14はそれぞれ独立して0〜8の炭素原子を含み、(−CHR−CH=CH−(CHR−)および(−CHR(−CHNQ(−CHRから独立して選択され、この際RはHまたは低級アルキルであり、各eは独立して0から6の範囲であり、各fは独立して0から8の範囲であり、gは0または1であり;RはC〜Cアルキル基であり;QはC(=Z)−Rであり、この際ZはOまたはSであり;Qは−N(Rまたは−N(R)であり、RはH、治療的活性部分、ポリ(アルキレンオキシド)、−X−C−C18アルキル、−X−アルケニル、−X−アルキニル、−X−シクロアルキル、−X−ヘテロシクリル、−X−アリールおよび−X−ヘテロアリールから選択され;Xは、単結合、O、S、およびN−アルキルから選択され;およびXは単結合、低級アルキル、O、SおよびN−アルキルから選択される:である、請求項18に記載のポリマー。
【請求項21】
下記構造:
【化8】

この際、Bは−O−((CHR−O)−であり;各Rは独立してHまたはC〜Cアルキルであり;pは0から4の範囲の整数であり;qは約5〜約3000の範囲の整数であり;およびAはAと同様である:
を有する繰り返し単位を含む繰り返しポリアルキレンオキシドブロック単位をさらに含む、請求項18に記載のポリマー。
【請求項22】
N−置換されないジフェノールモノマーで共重合されることを特徴とする、請求項6または18に記載のポリマー。
【請求項23】
N−置換されたアミド基を有するジフェノール化合物。
【請求項24】
前記N−置換基がC〜Cアルキル基である、請求項23に記載のジフェノール化合物。
【請求項25】
前記N−置換基がメチル基である、請求項24に記載のジフェノール化合物。
【請求項26】
下記構造:
【化9】

この際、XおよびXはそれぞれ独立してBrおよびIから選択され;ylおよびy2はそれぞれ独立して0または1〜4の整数であり、Rは、置換または非置換の、飽和または不飽和の、直鎖または分岐の、48までの炭素原子を含む脂肪族基、置換または非置換の48までの炭素原子を含む芳香族基、および置換または非置換の48までの炭素原子を含む芳香脂肪族基(この際、脂肪族部分は、直鎖または分岐の、飽和または不飽和である)からなる群から選択され、RはO、SおよびNから選択される2〜8のヘテロ原子(この際、ヘテロ原子のうち2つは、C〜Cアルキル基でN−置換されたポリマー骨格アミド基を形成する)を含む:を有するN−置換ジフェノール化合物。
【請求項27】
が約18〜約36炭素原子を含む、請求項26に記載のポリマー。
【請求項28】
が:
【化10】

この際、R13およびR14はそれぞれ独立して0〜8の炭素原子を含み、(−CHR−CH=CH−(CHR−)および(−CHR(−CHNQ(−CHRから独立して選択され、この際RはHまたは低級アルキルであり、各eは独立して0から6の範囲であり、各fは独立して0から8の範囲であり、gは0または1であり;RはC〜Cアルキル基であり;QはC(=Z)−Rであり、この際ZはOまたはSであり;Qは−N(Rまたは−N(R)であり、RはH、治療的活性部分、ポリ(アルキレンオキシド)、−X−C−C18アルキル、−X−アルケニル、−X−アルキニル、−X−シクロアルキル、−X−ヘテロシクリル、−X−アリールおよび−X−ヘテロアリールから選択され;Xは、単結合、O、S、およびN−アルキルから選択され;およびXは単結合、低級アルキル、O、SおよびN−アルキルから選択される:である、請求項27に記載のジフェノール化合物。
【請求項29】
が、分子量が100から10,000のメトキシ末端ポリ(エチレングリコール)(PEG)、分子量が100から10,000のメトキシ末端ポリ(プロピレングリコール)(PPG)および分子量が100から10,000のメトキシ末端PEGおよびPPGブロックコポリマーから選択されるアルキル末端ポリ(アルキレンオキシド)である、請求項28に記載のジフェノール化合物。
【請求項30】
が、約1000〜約2000の分子量を有するポリ(エチレングリコール)である、請求項29に記載のジフェノール化合物。
【請求項31】
が:
【化11】

この際、RはC〜Cアルキル基であり;ZはOまたはSであり;aおよびbは独立して0〜8の範囲であり;RはH、治療的に有効な部分、ポリ(アルキレンオキシド)、−X−C−C18アルキル、−X−アルケニル、−X−アルキニル、−X−シクロアルキル、−X−ヘテロシクリル、−X−アリールおよび−X−ヘテロアリールであり;Xは単結合、O、S、およびN−アルキルから選択され;Xは単結合、低級アルキル、O、SおよびN−アルキルから選択される:
から選択される、請求項27に記載のジフェノール化合物。
【請求項32】
a=1およびb=2である、請求項31に記載のジフェノール化合物。
【請求項33】
N、N−ジ置換ジチロシンを規定するためにRが選択される、請求項27に記載のジフェノール化合物。
【請求項34】
請求項1に記載のポリマーから製造される血液接触性または組織埋込型医療装置。
【請求項35】
熱加工により形成されることを特徴とする、請求項34に記載の医療装置。
【請求項36】
前記医療装置が前記ポリマーから形成される、請求項34に記載の医療装置。
【請求項37】
医療装置が前記ポリマーで被覆される、請求項34に記載の医療装置。
【請求項38】
前記装置がステントを含む、請求項36または37に記載の医療装置。
【請求項39】
再生医療用多孔質ポリマー足場であることを特徴とする、請求項34に記載の医療装置。
【請求項40】
ヘルニア修復用具であることを特徴とする、請求項34に記載の医療装置。
【請求項41】
塞栓治療製品であることを特徴とする、請求項34に記載の医療装置。
【請求項42】
請求項1に記載のポリマーと組み合わせて、生物学的に、または生理学的に活性な化合物の治療学的有効量を含む埋込型ドラッグデリバリー装置を、必要とする患者の体内に埋め込むことを含む、部位特異的または全身性のドラッグデリバリー方法。
【請求項43】
請求項1に記載のポリマーと組み合わせて、生物学的に、または生理学的に活性な化合物の治療学的有効量を含む、埋込型ドラッグデリバリー装置。
【請求項44】
前記生物学的に、または生理学的に活性な化合物が前記ポリマーに共有結合する、請求項43に記載の埋込型ドラッグデリバリー装置。
【請求項45】
前記生物学的に、または生理学的に活性な化合物が前記ポリマーと物理的に混合される、請求項43に記載の埋込型ドラッグデリバリー装置。

【公表番号】特表2010−507011(P2010−507011A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533493(P2009−533493)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/081571
【国際公開番号】WO2008/082738
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(505421375)ラトガース,ザ ステート ユニバーシティ (9)
【Fターム(参考)】