説明

N−(2,2−ジメチルプロピル)−6−(3−フルオロ−5−((3−イソオキサゾリルアミノ)カルボニル)−2−メチルフェニル)−3−ピリジンカルボキサミド

本発明は、新規化合物、その調製方法、本化合物を含んでなる組成物、ならびにp38キナーゼ活性により仲介される症状または疾患の治療におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドおよびその多形体、ならびに、p38キナーゼ活性により仲介されるまたはp38キナーゼの活性により産生されるサイトカインにより仲介される症状または疾患を治療するための医薬としての、特にp38キナーゼ阻害剤としての、その使用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO 03/068747はp38キナーゼの阻害剤となるニコチンアミド誘導体を開示する。
【発明の開示】
【0003】
本発明によると、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミド、すなわち
【化1】

【0004】
は、強力なp38キナーゼ阻害活性を有するとともに、それを医薬として開発するのに特に適した薬物動態プロファイルを示すことが今回見出された。
【0005】
本発明は、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を提供する。
【0006】
本発明の一実施形態では、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドを提供する。
【0007】
本明細書で用いる「製薬上許容可能」という用語は、製薬に使用するのに適した化合物を意味する。医薬用に適した本発明の化合物の塩および溶媒和物は、対イオンまたは会合している溶媒が製薬上許容されるものである。しかしながら、製薬上許容可能ではない対イオンまたは会合溶媒を有する塩および溶媒和物もまた本発明の範囲に包含され、例えば、本発明の化合物およびその製薬上許容される塩および溶媒和物の調製において中間体として使用される。
【0008】
本明細書で用いる「製薬上許容される誘導体」という用語は、受容者に投与した場合に、本発明の化合物またはその活性な代謝物もしくは残留物を(直接または間接的に)提供することのできる、本発明の化合物のあらゆる製薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを意味する。当業者は過度の実験を要することなくかかる誘導体を認識することができる。しかしながら、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 第5版, 第1巻: Principles and Practiceの教示を参照されたい(かかる誘導体を教示する範囲を参照することによりそれを本明細書に組み入れる)。一実施形態において、製薬上許容される誘導体は塩および溶媒和物である。さらなる実施形態において、製薬上許容される誘導体は塩である。
【0009】
本発明の化合物は、製薬上許容される塩の形態とすることができ、かつ/または製薬上許容される塩として投与することができる。適当な塩の総説についてはBergeら, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19を参照されたい。
【0010】
典型的には、製薬上許容される塩は、所望の酸を用いて容易に調製することができる。前記塩は、溶液から沈殿させて濾過により回収することが可能であり、または溶媒を蒸発させて回収することも可能である。
【0011】
本発明の化合物の塩には、例えば、酸と本発明の化合物中に存在する塩基性窒素原子との反応により生じる酸付加塩が含まれる。「製薬上許容される塩」という用語により包含される塩は、本発明の化合物の無毒性の塩を言う。適当な付加塩は無毒性の塩を形成する酸により形成され、その例は、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、カンシル酸塩(camsylate)、エジシレート、エストレート、エシレート、グルタミン酸塩、臭化水素塩、塩酸塩、ヨウ化水素塩、イセチオン酸、マレイン酸塩、メシレート、ナプシレート、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、トシレートおよびトリフルオロ酢酸塩である。
【0012】
有機化学の技術分野の当業者ならば、多くの有機化合物が、それらの反応に用いたまたはそれらの沈殿もしくは結晶化に用いた溶媒と複合体を形成することができると理解するであろう。こういした複合体は「溶媒和物」として知られている。本明細書で用いる「溶媒和物」という用語は、溶質(本発明ではN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体)と溶媒から形成されるさまざまな化学量論的量の複合体を指す。かかる溶媒は、本発明においては、溶質の生物学的活性を妨害するものであってはならない。適当な溶媒の例としては水、メタノール、クロロホルム、エタノールおよび酢酸が挙げられる。一実施形態において、用いる溶媒は製薬上許容される溶媒である。適当な製薬上許容される溶媒の例としては、水、エタノールおよび酢酸が挙げられる。一実施形態において、用いる溶媒は水である。水との複合体は「水和物」として知られている。本発明の化合物の溶媒和物は本発明の範囲に包含される。
【0013】
本明細書で用いる「プロドラッグ」という用語は、体内で、薬効を有するその活性型へと(例えば血液中での加水分解により)変換される化合物を言う。製薬上許容されるプロドラッグは、T. Higuchi and V. Stella, Prodrugs as Novel Delivery Systems, A.C.S. Symposium Series; Edward B. Roche, 編, Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987の第14巻に、およびD. Fleisher, S. Ramon and H. Barbra “Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs”, Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 19(2) 115-130に記載されており、参照によりその各々を本明細書に組み入れる。
【0014】
プロドラッグは、共有結合型の運搬体であり、プロドラッグが患者に投与されると、生体内でN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドを放出する。プロドラッグは一般的に、官能基に修飾を施すことにより調製されるが、こうした修飾はルーチン操作によりまたはin vivoで切断されて親化合物を生じるように行う。
【0015】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体のすべての多形体は本発明の範囲内にある。
【0016】
製薬上活性な化学物質の異なる多形体は、その安定性、溶解度、溶解速度および究極的にはバイオアベイラビリティなどの特性の点で互いに異なりうることが理解されよう。さらに、製薬上活性な化学物質の多形体は、種々の従来型の分析技術を用いて特徴付けおよび区別をすることができると理解されよう。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの結晶体(多形体1)であって、図1に示される粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じXRPDパターン(ここで前記XRPDパターンは2θ角に関して表され、本明細書に記載の方法を用いて、銅Kα線を使用する回折装置により得られる)、および/または図6に示される示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラム(ここで前記DSCは、本明細書に記載の方法を用いて、ゆるく蓋をしたアルミニウムパンを用いて毎分10°の走査速度で行われる)を特徴とする、上記結晶体を提供する。多形体1のXRPDは、3.0±0.1、6.0±0.1および13.5±0.1に特徴的な2θ角ピークを示す。多形体1の融点は187℃±2℃である。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの結晶体(多形体2)であって、図2に示される粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じXRPDパターン(ここで前記XRPDパターンは2θ角に関して表され、本明細書に記載の方法を用いて、銅Kα線を使用する回折装置により得られる)および/または図7に示される示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラム(ここで前記DSCは、本明細書に記載の方法を用いて、ゆるく蓋をしたアルミニウムパンを用いて毎分10°の走査速度で行われる)を特徴とする、上記結晶体を提供する。多形体2のXRPDは、16.8±0.1および25.6±0.1に特徴的な2θ角ピークを示す。多形体2の融点は203℃±2℃である。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの結晶体(多形体3)であって、図3に示される粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じXRPDパターン(ここで前記XRPDパターンは2θ角に関して表され、本明細書に記載の方法を用いて、銅Kα線を使用する回折装置により得られる)を特徴とする、上記結晶体を提供する。多形体3のXRPDは9.2±0.1、9.4±0.1および10.8±0.1に特徴的な2θ角ピークを示す。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの結晶体(多形体4)であって、図4に示される粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じXRPDパターン(ここで前記XRPDパターンは2θ角に関して表され、本明細書に記載の方法を用いて、銅Kα線を使用する回折装置により得られる)を特徴とする、上記結晶体を提供する。多形体4のXRPDは12.2±0.1、12.3±0.1および28.2±0.1に特徴的な2θ角ピークを示す。
【0021】
さらなる態様において、本発明は、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの結晶体(多形体5)であって、図5に示される粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じXRPDパターン(ここで前記XRPDパターンは2θ角に関して表され、本明細書に記載の方法を用いて、銅Kα線を使用する回折装置により得られる)を特徴とする、上記結晶体を提供する。多形体5のXRPDは16.1±0.1および26.5±0.1に特徴的な2θ角ピークを示す。
【0022】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの多形体1〜5は、本明細書に記載の方法を用いて調製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の化合物は、標準的な化学を含めて、種々の方法により調製することができる。例示的な一般合成方法を以下で説明し、その後本発明の具体的化合物を実施例において調製する。
【0024】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドは、式(I)
【化2】

【0025】
[式中、Xは脱離基、例えば塩素である]
の化合物と、式(II)
【化3】

【0026】
のアミンとを、アミド形成のための条件下で反応させることにより調製することができる。
【0027】
適当なアミド形成条件は当技術分野でよく知られており、例えば、式(I)の化合物と式(II)のアミンとをトリエチルアミンのような塩基とDCMのような溶媒の存在下で反応させることを含む。
【0028】
式(I)の化合物は、式(III)
【化4】

【0029】
[式中Yはハロゲン、例えば塩素である]
の化合物と、式(IVA)または(IVB)
【化5】

【0030】
[式中、R1は保護基、例えばメチルのようなC1-6アルキルである]
の化合物とを、触媒(例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)の存在下で反応させ、その後、基OR1 を脱離基に変換することにより調製することができる。
【0031】
式(III)の化合物は、式(V)
【化6】

【0032】
[式中、Yは上に定義したとおりである]
の化合物と、式(VI)
【化7】

【0033】
のアミン化合物とを、アミド形成条件下で反応させることにより、式(V)の化合物の溶液(例えばジクロロメタンに溶解したもの)を、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムの存在下で、式(VI)のアミンで処理することにより、容易に調製することができる。
【0034】
式(IVA)の化合物は、式(VII)
【化8】

【0035】
[式中、Zはハロゲン、例えばヨウ素である]
の化合物と、ビス(ピナコラート)ジボロン、Pd(dppf)Cl2および酢酸カリウムとを、DMFのような溶媒中で反応させることにより調製することができる。
【0036】
式(IVB)の化合物は、例えば、上に定義した式(VII)の化合物と、塩化イソプロピルマグネシウムおよびトリイソプロピルボラートとを、THFのような溶媒中で反応させることにより調製することができる。
【0037】
別法として、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドは、上に定義した式(III)の化合物と、式(VIIIA)または(VIIIB)
【化9】

【0038】
の化合物とを、触媒(例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)の存在下で反応させることにより調製することができる。
【0039】
式(VIIIA)および(VIIIB)の化合物は、式(IVA)および(IVB)の化合物と類似の方法で調製することができる。
【0040】
例えば、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドを調製するための1つの方法は、以下のスキーム1に示す反応を含む。
【化10】

【0041】
例えば、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドを調製するためのさらなる方法は、以下のスキーム2に示す反応を含む。
【化11】

【0042】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドを調製するためのさらに別の方法は、以下のスキーム3に示す反応を含む。
【化12】

【0043】
本発明の化合物をそのままの化学物質として投与することも可能ではあるが、前記化合物およびその製薬上許容される誘導体は、医薬組成物の形態(例えば薬剤が、意図する投与経路および標準的な製薬上の慣例に応じて選択された適当な製薬上の賦形剤、希釈剤および/または担体と混合される場合など)として都合よく投与される。
【0044】
したがって、本発明の別の態様においては、本発明者らは、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を、1種以上の製薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体と共に含んでなる医薬組成物を提供する。前記賦形剤、希釈剤または担体は、製剤の他の成分と適合可能であり、かつ受容者に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。
【0045】
さらなる態様によると、本発明は、活性成分としてN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を1以上の製薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体と共に含んでなる、治療に用いるための、特にp38キナーゼの阻害剤により改善されやすい症状を患っているヒトまたは動物被験者の治療に用いるための、医薬組成物を提供する。
【0046】
本発明はまた、治療に有効な量のN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体、ならびに製薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体(その組み合わせも含む)を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0047】
本発明はさらに、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を、製薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体と一緒に混合することを含む、医薬組成物の調製方法も提供する。
【0048】
医薬組成物はヒトおよび動物の医療に利用することができ、典型的には任意の1以上の製薬上許容される賦形剤、希釈剤または担体を含む。治療用の許容される担体もしくは希釈剤は製薬の技術分野ではよく知られており、それらは例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro編1985)に記載されている。選定する製薬上の賦形剤、希釈剤もしくは担体は、意図する投与経路および標準的な製薬上の慣例に応じて選択することができる。医薬組成物は、賦形剤、希釈剤もしくは担体として、またはこれらに加えて、どのような適当な結合剤、滑沢剤、懸濁化剤、コーティング剤および可溶化剤を含んでもよい。
【0049】
保存剤、安定化剤、色素、さらには香味剤も医薬組成物中に含めることができる。保存剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。抗酸化剤および懸濁化剤も使用可能である。
【0050】
いくつかの実施形態においては、本発明の薬剤は、シクロデキストリンと併用して使用可能である。シクロデキストリンは薬剤分子と包接複合体および非包接複合体を形成することが知られている。薬剤−シクロデキストリン複合体の形成は、薬剤分子の溶解度、溶解速度、バイオアベイラビリティおよび/または安定性特性を改変しうる。薬剤−シクロデキストリン複合体は、一般に、ほとんどの剤形および投与経路に有用である。薬剤との直接的な複合体形成の代わりに、シクロデキストリンを助剤として、例えば担体、希釈剤または可溶化剤として使用することもできる。α-、β-およびγ-シクロデキストリンが最も普通に使用され、適当な例はWO 91/11172、WO 94/02518およびWO 98/55148に記載されている。
【0051】
本発明の化合物は、錠剤形成および他のタイプの製剤に適した粒子サイズを得るために、湿式粉砕のような公知の製粉方法を用いて粉砕することができる。本発明の化合物の微粉化(ナノ粒子)製剤は、当技術分野で公知の方法により調製可能であり、例えばWO 02/00196 (SmithKline Beecham)を参照されたい。
【0052】
異なるデリバリーシステムに応じて異なる組成物/製剤の要件がありうる。例として、本発明の医薬組成物は、ミニポンプを用いてもしくは粘膜経路により、例えば鼻腔用スプレーもしくは吸入用エアロゾルまたは摂取可能な溶液として送達するように、または非経口的に送達するように(例えば静脈内、筋肉内もしくは皮下経路により送達すべく、該組成物を注射可能な形態として製剤化する)、製剤化することができる。あるいは製剤を両方の経路で送達するように設計することもできる。
【0053】
薬剤を胃腸粘膜からの粘膜経路で送達する場合には、それが胃腸管を通過している間、安定な状態で存在する必要がある。例えば、薬剤はタンパク質分解に抵抗性であり、酸性pHでも安定であり、かつ胆汁の界面活性効果に抵抗性でなければならない。
【0054】
適当であれば、前記医薬組成物は、吸入により、坐剤もしくはペッサリーの形態で、ローション剤、溶液剤、クリーム剤、軟膏剤もしくは散剤の形態で局所的に、皮膚パッチの使用により、デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤を含有する錠剤の形態で経口的に、または、単独もしくは賦形剤と混合したカプセル剤もしくは腔坐剤(ovule)として、または香味剤もしくは着色剤を含有するエリキシル剤、溶液剤もしくは懸濁液剤の形態で投与するか、またはこれらを非経口的に、例えば静脈内、筋肉内、もしくは皮下より注射することができる。非経口投与のためには、前記組成物は無菌水溶液の形態で使用するのが最良であり、該溶液は他の物質(例えば該溶液を血液と等張にするのに十分な塩類または単糖類)を含みうる。口腔または舌下投与のためには、前記組成物を、通常の方法で製剤化することのできる錠剤またはロゼンジ剤の形態で投与することもできる。
【0055】
投与(送達)経路としては、限定するものではないが、次の経路が挙げられる:経口(例えば錠剤、カプセル剤、または摂取可能な溶液として)、局所、粘膜(例えば鼻腔用スプレーまたは吸入用エアロゾルとして)、鼻腔、非経口(例えば注射可能な形態により)、胃腸、脊髄内、腹腔内、筋肉内、静脈内、子宮内、眼内、皮内、頭蓋内、気管内、膣内、脳室内、大脳内、皮下、眼(ophthalmic)(硝子体内もしくは眼房内を含む)、経皮、直腸、口腔、硬膜外および舌下。前記組成物が2種以上の活性成分を含む場合には、それらの成分は異なる経路により投与可能であると理解すべきである。
【0056】
本発明の化合物ならびにその製薬上許容される塩および溶媒和物は、どのような適当な様式での投与のために製剤化してもよい。それらは例えば、局所投与もしくは吸入による投与のため、または経口、経皮もしくは非経口投与のために製剤化することができる。前記の医薬組成物は、本発明の化合物およびその製薬上許容される誘導体の制御放出に影響を及ぼすことのできるような形態でありうる。一実施形態において、本発明の薬剤は、全身的に、例えば経口、口腔または舌下により送達される。さらなる実施形態では、投与(およびそれに対応する製剤化)の方法は経口投与である。
【0057】
経口投与のためには、前記医薬組成物は、例えば、錠剤(舌下錠を含む)およびカプセル剤(いずれも徐放性および持続放出型製剤を含む)、腔坐剤(ovule)、丸剤、粉剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、乳濁液剤、溶液剤、シロップ剤または懸濁液剤の形態であり、その形態で投与可能であり、これらは即時-、遅延-、調節-、持続-、パルス型-または制御放出適用のための許容される賦形剤を用いて慣用法により調製される。
【0058】
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態での経口投与のためには、活性な薬剤成分を、経口用の、無毒性の製薬上許容される不活性担体(例えばエタノール、グリセロール、水など)と組み合わせることができる。前記の錠剤はまた、賦形剤(例えば微晶質セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウムおよびグリシン)、崩壊剤(例えばデンプン、好ましくはコーンスターチ、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよび特定の複合ケイ酸塩)、ならびに顆粒化結合剤(例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアカシアなど)を含みうる。さらに、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルク)を含めてもよい。
【0059】
同様の種類の固形組成物も、ゼラチンカプセル中の充填剤として使用可能である。この意味での賦形剤の例としてはラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁液剤および/またはエリキシル剤のためには、前記薬剤を、種々の甘味剤もしくは香味剤、着色剤もしくは色素と、乳化剤および/または懸濁化剤と、ならびに希釈剤(例えば水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリン)と、ならびにこれらの組み合わせと一緒にすることもできる。
【0060】
粉剤は、化合物を適当に微細な大きさに細かく砕き、同じ様に細かく砕いた製薬上の担体(可食性の炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールなど)と混合することにより調製する。香味剤、保存剤、分散化剤、および着色料も存在してよい。
【0061】
カプセル剤は、上記のように粉末混合物を調製し、成形ゼラチンシースに充填することにより製造することができる。流動化剤および滑沢剤、例えばコロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固形ポリエチレングリコールなどを粉末混合物に添加してから充填作業を行ってもよい。カプセル剤を摂取したときの医薬のアベイラビリティを向上させるために、崩壊剤または可溶化剤(例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム)を添加することもできる。
【0062】
さらに、所望または必要であれば、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤を前記混合物に組み入れることもできる。適当な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコースもしくはβ-ラクトースのような天然の糖、トウモロコシ甘味料、天然ゴムおよび合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントもしくはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。こうした剤形に利用される滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられるがこれらに限らない。
【0063】
錠剤は例えば、粉末混合物を調製し、顆粒またはスラッグを形成し、滑沢剤および崩壊剤を加え、ついで打錠することにより製剤化する。粉末混合物は適当に細かく砕いた化合物を上に記載の希釈剤または基剤と、さらに任意成分として結合剤(例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン)、溶解遅延剤(例えばパラフィン)、吸収促進剤(例えば四級塩)、および/または吸収剤(例えばベントナイト、カオリン、またはリン酸二カルシウム)と混合することにより調製する。粉末混合物は、結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液、またはセルロース材料もしくはポリマー材料の液剤などを使用して湿らせ、ついでふるいを強制通過させることにより顆粒化することができる。顆粒化の代替方法として、粉末混合物を打錠機にかけることも可能であり、その結果得られるのは不完全に形成されたスラッグであり、これを破壊して顆粒とする。顆粒は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたはミネラルオイルを添加することにより滑らかにして、錠剤成形金型への粘着を防止することができる。次に滑らかにした混合物を打錠する。本発明の化合物はまた、自由流動性の不活性担体と混合して、顆粒化またはスラッグ形成工程を経ることなく、直接打錠することができる。シェラックのシーリングコート、糖またはポリマー材料のコーティング、およびワックスの光沢コーティングからなる透明または半透明の保護コーティングを施してもよい。異なる単位用量を区別するためにこれらのコーティングに着色料を添加してもよい。
【0064】
経口用の流動液剤(例えば溶液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤)は、その所定量があらかじめ決められた量の化合物を含有するように、単位投与剤形に調製することができる。シロップ剤は、化合物を適当に香味付けした水溶液に溶解することにより調製することができ、またエリキシル剤は無毒性のアルコール性ビヒクルを使用することにより調製する。懸濁液剤は、化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることにより配合することができる。可溶化剤や乳化剤(例えばエトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエステル)、保存剤、香味添加剤(例えばペパーミント油もしくはサッカリン)などを添加してもよい。
【0065】
適当であれば、経口投与用の単位投与製剤をマイクロカプセル化することもできる。製剤はまた、放出が延長されるまたは持続するように調製することができ、これは例えば微粒子材料をポリマーやワックスなどでコーティングしたり、その中に包埋することにより行う。
【0066】
本発明の化合物はまた、リポソーム送達システム、例えば小さな一枚膜リポソーム、大きな一枚膜リポソームおよび多重膜リポソームの形態で投与することができる。リポソームは種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどから形成することができる。
【0067】
本発明の化合物はまた、リポソームエマルジョン送達システム、例えば小さな一枚膜リポソーム、大きな一枚膜リポソームおよび多重膜リポソームの形態で投与することができる。リポソームは、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンから形成することができる。
【0068】
本発明の化合物はまた、モノクローナル抗体を個々のキャリアー(これに該化合物分子がカップリングされる)として使用することにより送達することができる。本発明の化合物はまた、標的化可能な薬物キャリアーとしての可溶性ポリマーにカップリングさせることもできる。かかるポリマーとしてはポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチル-アスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンが挙げられる。その上、本発明の化合物は、薬物の制御放出をもたらすのに有用な生分解性ポリマーの一群、例えばポリ乳酸、ポリε-カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋型または両親媒性ブロックコポリマーにカップリングさせることもできる。
【0069】
本発明には、0.1〜99.5%、例えば0.5〜90%のN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を、製薬上許容される担体と組み合わせて含有する医薬組成物が含まれる。
【0070】
同様に、前記組成物は、鼻、眼、耳、直腸、局所、静脈内(ボーラスおよび輸液の両方)、腹腔内、関節内、皮下または筋肉内、吸入もしくは吹送用の剤形として投与可能であり、いずれも製薬の技術分野の当業者に周知の剤形を使用する。
【0071】
経皮投与のためには医薬組成物を、経皮用パッチ、例えば経皮用のイオントフォレシスパッチという形態で提供することができる。
【0072】
本発明の化合物を非経口投与するときには、かかる投与の例としては、薬剤を、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内もしくは皮下の1以上にて、および/または注入技術を用いて投与することが挙げられる。非経口投与のためには、医薬組成物を注射または連続輸液(例えば静脈内、脈管内または皮下)として与えることができる。組成物は、油または水性ビヒクル中の、懸濁液剤、溶液剤もしくは乳濁液剤の形態であってもよく、また、処方剤(例えば懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤)を含みうる。注射による投与のためには、これらは単位用量提供物の形態または複数回用量提供物の形態であってもよく、場合により添加された保存剤を含みうる。あるいは非経口投与のために、活性成分は、適当なビヒクルを用いて用時調製される粉剤形態であってもよい。非経口投与のためには、化合物は、無菌水溶液の形態で使用するのが最良であり、該溶液は他の物質(例えば該溶液を血液と等張にするのに十分な塩類またはグルコース)を含みうる。水溶液は必要であれば適当に緩衝されるべきである(例えば3〜9のpHに)。無菌条件下での適当な非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技術により容易に行われる。
【0073】
本発明の組成物は、直接注射により投与することができる。
【0074】
本発明の化合物はまた、デポー製剤として製剤化することができる。かかる長期作用型製剤は、インプラント(例えば皮下もしくは筋肉内)または筋肉内注射により投与することができる。したがって例えば、本発明の化合物は、適当なポリマー材料もしくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性の誘導体として、例えば難溶性の塩として、製剤化することができる。
【0075】
あるいは前記組成物は、局所適用のために、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、眼軟膏剤、点眼剤、点耳剤、洗口剤、含浸型包帯および縫合糸ならびにエアロゾルの形態に製剤化することができ、また、適当な慣用の添加剤(例えば保存剤、薬剤浸透性を助けるための溶媒、ならびに軟膏剤およびクリーム剤中の皮膚軟化剤を含む)を含有しうる。かかる局所用製剤はまた、適合性の慣用の担体、例えばクリームまたは軟膏の基剤、およびローション用のエタノールまたはオレイルアルコールを含みうる。かかる担体は、製剤の約1重量%〜約98重量%を構成することができ、より一般的には、それらは、最大で製剤の約80重量%を構成する。
【0076】
皮膚への局所的な塗布のために、本発明の薬剤は、例えばミネラルオイル、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ロウおよび水の1種以上を含む混合物中に、懸濁または溶解した活性化合物を含有する、適当な軟膏剤へと製剤化することができる。
【0077】
あるいは、本発明の薬剤は、例えばミネラルオイル、ソルビン酸モノステアレート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水の1種以上を含む混合物中に懸濁または溶解させた、適当なローション剤またはクリーム剤として製剤化することもできる。
【0078】
吸入による投与のために、本発明の化合物は、適当な推進剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン、例えばテトラフルオロエタンもしくはヘプタフルオロプロパン、二酸化炭素または他の適当な気体を用いて、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾルスプレー提供物の形態で送達するのが好都合である。加圧エアロゾルの場合には、単位投与量は計量した量を送達するためのバルブを装着することにより決定することができる。吸入器または吹送器用の例えばゼラチン製のカプセルおよびカートリッジは、本発明の化合物とラクトースもしくはデンプンのような適当な粉末基剤との粉末ミックスを含むように製剤化することができる。
【0079】
あるいは、本発明の化合物は、坐剤もしくはペッサリーの形態で投与するか、またはそれは、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、溶液剤、クリーム剤、軟膏剤、または散剤の形態で局所適用することができる。
【0080】
本発明の化合物はまた、肺または直腸経路により投与可能である。それはまた、眼球の経路からも投与可能である。眼に使用する場合には、前記化合物を、等張性でpH調整済みの滅菌生理食塩水中に微粉化懸濁液剤として、あるいは等張性でpH調整済みの滅菌生理食塩水中に溶液剤として、場合により塩化ベンザルコニウムのような保存剤と併用して、製剤化することができる。あるいはまた、本発明の化合物をワセリンのような軟膏中に製剤化することもできる。
【0081】
医薬組成物は一般的には、特定の1以上の症状の治療または予防に有効な量を投与する。ヒトにおける初期投与は、症状(所定の状態についての症状)の臨床的なモニタリングを伴う。一般に、本組成物は、少なくとも約100μg/kg(体重)の活性薬剤の量で投与される。たいていの場合は、1日当たり約20mg/kg(体重)を超えない量で1回以上投与する。例えば、たいてい場合、用量は1日当たり約100μg/kg〜約5mg/kg(体重)でありうる。特に哺乳動物、とりわけヒトへの投与では、活性薬剤の1日量レベルは、0.1mg/kg〜10mg/kgであり、典型的には約1mg/kgであると予測される。最適量は、適応症、その重症度、投与経路、合併症などを考慮しながら、各治療様式および適応症のための標準方法により決定されると理解される。いずれにしても個体に最も適した実際の投与量を決定するのは医師であり、その量は、使用する具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用持続時間、個体の年齢、体重、全身的な健康状態、性別、食事、投与の方式および時間、排出速度、併用薬剤、その特定症状の重症度、および各個体の応答により変化する。選定した実際の用量の有効性は容易に確認することができ、例えば選定した用量の投与後の臨床症状または標準的な抗炎症徴候を測定することにより行う。上記の投与量は平均的なケースの例である。もちろん、より高いまたは低い用量範囲が有益な個々の場合も考えられ、かかる範囲も本発明の範囲内にある。本発明により処置される症状もしくは疾患状態については、被験者の1日量レベルを長期間にわたり一定に保つことが(例えば維持療法において)特に有益でありうる。ヒトへの経口および非経口投与の場合、前記薬剤の1日量レベルは1回量または分割量でありうる。
【0082】
別の態様では、本発明は、治療に用いるためのN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を提供する。
【0083】
本発明の化合物はセリン/トレオニンキナーゼp38の阻害剤であり、そのためp38キナーゼにより仲介されるサイトカイン産生の阻害剤でもある。「セリン/トレオニンキナーゼp38の阻害剤」という用語の意味には、以下に説明するアッセイに従ってATPからのリン酸基をタンパク質基質へと転移させるp38の能力を妨害する化合物が含まれる。
【0084】
本発明の化合物は、p38の1以上のアイソフォーム、例えばp38α、p38β、p38γおよび/またはp38δに選択的でありうると理解される。一実施形態において、本発明の化合物はp38αおよびp38βアイソフォームを選択的に阻害する。p38アイソフォームに対する化合物の選択性を決定するためのアッセイは例えばWO 99/61426、WO 00/71535およびWO 02/46158に記載されている。
【0085】
知られているように、p38キナーゼ活性は(局所的にまたは全身的に)上昇することがあり、p38キナーゼは誤って一時的に活性となったり発現されることがあり、p38キナーゼは不適切な部位で発現されたり活性となることがあり、p38キナーゼは構成的に発現されることがあり、もしくはp38キナーゼ発現は不規則なことがあり、同様にp38キナーゼ活性により仲介されるサイトカイン産生は不適切な時期、不適切な位置で起こることがあり、または該産生は有害なほど高レベルで生じることがある。
【0086】
したがって、本発明は、p38キナーゼ活性により仲介される、またはp38キナーゼの活性により産生されるサイトカインにより仲介される症状または疾患状態の治療方法であって、それを必要とする被験者に、治療に有効な量のN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を投与することを含む、上記方法を提供する。前記化合物は、単一の結晶形または複数の多形結晶の混合物として、または非晶形として投与することができる。
【0087】
本発明はまた、被験者(例えばヒト)におけるp38キナーゼ活性により仲介されるサイトカイン産生の阻害方法であって、サイトカイン産生阻害を必要とする被験者に、治療量またはサイトカインを阻害する量の本発明の化合物を投与することを含む、上記方法を提供する。前記化合物は、単一の結晶形または複数の多形結晶として、または非晶形として投与することができる。
【0088】
本発明は、治療に有効な量の本発明の化合物を提供することによりこうした症状を治療する。「治療に有効な量の」とは、症状を改善するもしくは症状を軽減する量、サイトカインを減少させる量、サイトカインを抑制する量、キナーゼを調節する量および/またはキナーゼを阻害する量の化合物を意味する。かかる量は、標準的手法、例えばサイトカインレベルを測定するまたは臨床症状の改善を観察することにより、容易に決定できる。例えば臨床医は、抗炎症治療の承認された測定値スコアをモニタリングすることができる。治療に言及した場合には、確立された症状の急性の治療または予防だけでなく、その改善も含まれると理解される。
【0089】
本発明の化合物は、p38キナーゼの阻害もしくは調節を必要とする、またはp38仲介サイトカイン産生の阻害もしくは調節を必要とする、あらゆる被験者に投与することができる。特に、前記化合物は哺乳動物に投与することができる。かかる哺乳動物としては、例えばウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、イヌ、ネコ、霊長類、例えばチンパンジー、ゴリラ、アカゲザルおよびヒトが挙げられる。一実施形態において前記哺乳動物はヒトである。
【0090】
したがって、本発明は、ヒトまたは動物被験者を治療するまたはその症状を軽減する方法であって、例えば、慢性関節リウマチ、変形性関節症、喘息、乾癬、湿疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、成人呼吸窮迫症候群、慢性肺炎症、慢性閉塞性肺疾患、慢性心不全、珪肺症、内毒素血症、毒素性ショック症候群、炎症性腸疾患、結核症、アテローム性動脈硬化症、抑鬱症、不安、睡眠障害、統合失調症、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、てんかん、多発性硬化症、動脈瘤、発作、過敏性腸症候群、筋肉変性、骨吸収疾患、骨粗鬆症、糖尿病、再灌流障害、移植片対宿主反応、同種移植拒絶反応、敗血症、全身性悪液質、感染症または悪性腫瘍に続発する悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)に続発する悪液質、マラリア、ハンセン病、感染性関節炎、リーシュマニア症、ライム病、糸球体腎炎、痛風、乾癬性関節炎、ライター症候群、外傷性関節炎、風疹性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、急性髄膜炎、通風性関節炎、脊椎炎、および非関節炎型の炎症性症状、例えば、ヘルニア型/破裂型/逸脱型の椎間板症候群、滑液包炎、腱炎、腱滑膜炎、繊維筋肉痛症候群および靱帯のねんざや局所的な骨格筋のねんざに伴う他の炎症性疾患、疼痛(例えば炎症および/または外傷に伴うもの)、大理石骨病、再狭窄、血栓症、血管新生、または癌(乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌もしくは多発性骨髄腫を含む)を罹患している前記被験者に、治療に有効な量のN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を投与することを含む前記方法を提供する。
【0091】
本発明のさらなる態様は、慢性関節リウマチ、喘息、乾癬、慢性肺炎症、慢性閉塞性肺疾患、慢性心不全、全身性悪液質、糸球体腎炎、クローン病、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかんまたは癌(乳癌、結腸癌、肺癌および前立腺癌を含む)を罹患しているヒトまたは動物被験者の治療方法であって、前記被験者に治療に有効な量のN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を投与することを含む前記方法を提供する。
【0092】
本発明のさらなる態様は、慢性関節リウマチ、喘息、乾癬、慢性肺炎症、慢性閉塞性肺疾患、慢性心不全、全身性悪液質、糸球体腎炎、クローン病または癌(乳癌、結腸癌、肺癌および前立腺癌を含む)を罹患しているヒトまたは動物被験者の治療方法であって、前記被験者に治療に有効な量のN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を投与することを含む前記方法を提供する。
【0093】
本発明のさらなる態様は、慢性関節リウマチ、喘息、慢性肺炎症、慢性閉塞性肺疾患、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病またはてんかんを罹患しているヒトまたは動物被験者の治療方法であって、前記被験者に、治療に有効な量のN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を投与することを含む前記方法を提供する。
【0094】
本発明のさらなる態様は、何らかの種類の疼痛(慢性疼痛、無痛覚症の急激な発症、神経筋疼痛、頭痛、癌性疼痛、変形性関節症および慢性関節リウマチに伴う急性および慢性の炎症性疼痛、術後の炎症性疼痛、神経因性疼痛、糖尿病性神経障害、三叉神経痛、ヘルペス後疼痛、炎症性神経障害および偏頭痛性疼痛を含む)を患っているヒトまたは動物被験者の治療方法であって、前記被験者に治療に有効な量のN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を投与することを含む前記方法を提供する。
【0095】
本発明のさらなる態様は、抑鬱症(双極性障害および気分障害を含む)、不安(パニック発作、恐怖症、および強迫性障害を含む)、睡眠障害(過眠症、睡眠発作、サーカディアンリズム障害を含む)または統合失調症(妄想型、解体型、緊張型、鑑別不能型、および残遺型の亜型を含む)を罹患しているヒトまたは動物被験者の治療方法であって、前記被験者に、治療に有効な量のN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を投与することを含む前記方法を提供する。
【0096】
本発明のさらなる態様は、慢性関節リウマチを患っているヒトまたは動物被験者の治療方法であって、前記被験者に、治療に有効な量のN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を投与することを含む前記方法を提供する。
【0097】
本発明のさらなる態様は、慢性閉塞性肺疾患を患っているヒトまたは動物被験者の治療方法であって、前記被験者に、治療に有効な量のN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を投与することを含む前記方法を提供する。
【0098】
本発明のさらなる態様は、p38キナーゼ活性により仲介されるまたはp38キナーゼの活性により産生されるサイトカインにより仲介される症状または疾患状態の治療に使用するためのN-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体を提供する。
【0099】
本発明のさらなる態様は、p38キナーゼ活性により仲介されるまたはp38キナーゼ活性により産生されるサイトカインにより仲介される症状または疾患状態の治療用の医薬の製造における、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体の使用を提供する。
【0100】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドおよびその誘導体は、上記症状の治療のために、単独でまたは他の治療薬と併用して使用することができる。したがって本発明による併用療法は、N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1種の他の活性薬剤の投与を含む。
【0101】
本発明の化合物またはその製薬上許容される塩もしくは溶媒和物と、他の活性薬剤とは、同時にまたは別々に投与することができ、別々に投与する場合には、それを個別にまたは連続的に任意の順序で行う。同じ製剤中に一緒にする場合には、上記2種の化合物は安定であり、かつ互いにおよび製剤の他の成分と適合性である必要があると理解されたい。別々に製剤化する場合、それらは、この種の化合物について当技術分野で知られている方法で、任意の簡便な製剤として提供することができる。本発明の化合物またはその製薬上許容される塩もしくは溶媒和物および他の活性薬剤のそれぞれの量と相対的な投与タイミングは、所望の併用療法効果をあげるべく選択するものとする。適当な用量は当業者に自明である。治療に必要な本発明の化合物の量は、治療される症状の性質および患者の年齢と状態に応じて変化し、最終的には主治医または獣医の裁量により決定される。
【0102】
慢性関節リウマチ治療では、他の化学療法薬または抗体薬との併用が想定される。慢性関節リウマチ治療のための、本発明の化合物ならびにその塩および溶媒和物と併用して使用可能な活性薬剤の適当な例としては、次のものが挙げられる:免疫抑制剤(例えばアムトルメチングアシル、ミゾリビンおよびリメキソロン)、抗TNFα剤(例えばエタネルセプト、インフリキシマブ、ジアセレイン(diacerein))、チロシンキナーゼ阻害剤(例えばレフルノミド)、カリクレイン拮抗薬(例えばサブレウム(subreum))、インターロイキン11アゴニスト(例えばオプレルベキン)、インターフェロンβ1アゴニスト、ヒアルロン酸アゴニスト(例えばNRD-101(Aventis))、インターロイキン1受容体アンタゴニスト(例えばアナキンラ)、CD8アンタゴニスト(例えば塩酸アミプリロース)、βアミロイド前駆タンパク質アンタゴニスト(例えばリューマコン)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤(例えばシペマスタト(cipemastat))、ならびに他の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)(例えばメトトレキサート、スルファサラジン、シクロスポリンA、ヒドロキシクロロキン、オーラノフィン、金チオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウムおよびペニシラミン。
【0103】
COPD療法においては、他の治療上の活性薬剤、例えば、β2 アドレナリン受容体アゴニスト、抗ヒスタミン、抗アレルギー薬、抗炎症薬(ステロイドも含む)、抗コリン作用性薬剤または抗感染薬との組み合わせが想定される。COPD療法のために、本発明の化合物ならびにその塩および溶媒和物と併用して使用することのできる活性薬剤の適当な例としては次のものが挙げられる:β2−アドレナリン受容体アゴニスト(例えばサルメテロール(例えばラセミ化合物または単独のエナンチオマー、例えばR体エナンチオマー)、サルブタモール、フォルモテロール、サルメファモール、フェノテロールもしくはテルブタリンおよびその塩、例えばサルメテロールのキシナホ酸塩、サルブタモールの硫酸塩もしくは遊離塩基またはフォルモテロールのフマル酸塩)、抗炎症性ステロイド(例えばプロピオン酸フルチカゾンおよびブデソニド)、抗コリン作用性薬剤(例えば臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウムもしくは臭化チオトロピウム)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(例えばロイコトリエンアンタゴニスト(例えばモンテルカスト))、iNOS阻害剤、トリプターゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、β-2インテグリンアンタゴニスト、アデノシンa2aアゴニスト、ケモカインアンタゴニスト(例えばCCR3アンタゴニスト)および5-リポキシゲナーゼ阻害剤、または抗感染薬(例えば抗生物質もしくは抗ウイルス剤)。
【実施例】
【0104】
以下の実施例は、本発明の例示的な実施形態であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。試薬は市販のものを入手するか、または文献に記載の方法に従って調製する。
【0105】
LCMSは、カラム(3.3cm×4.6mm ID、3um ABZ+PLUS)を使用し、3mL/分の流速、5μLの注入量、室温、および215〜330nmのUV検出範囲で行った。溶媒A: 10mM 酢酸アンモニウム水溶液+0.1%ギ酸。溶媒B: 95%アセトニトリル+0.05%ギ酸。勾配: 0% A/0.7分、0〜100% A/3.5分、100% A/1.1分、100〜0% A/0.2分。
【0106】
中間体1: 3-フルオロ-5-ヨード-4-メチル安息香酸
【化13】

【0107】
3-フルオロ-4-メチル安息香酸(182g)をトリフルオロメタンスルホン酸(1.12L)に添加し、次いでこの溶液を窒素下で−20℃に冷却した。反応温度を−18〜−19℃に維持しながらヨードスクシンイミド(266g)を75分にわたり少量ずつ添加し、次いでこの反応を−20℃にて4時間にわたり撹拌した。ヨードスクシンイミド (54.8g)を少しずつ添加し、次いでこの反応を−20℃にて一晩撹拌した。ヨードスクシンイミド(19g)を添加し、その後さらに−20℃にて24時間撹拌した。この反応を−5℃に加温した後、この懸濁体を氷(3kg)とチオ硫酸ナトリウム溶液(10%)の撹拌混合物に注ぎ込んだ。この混合物を濾過し、固形物を焼結機で部分的に乾燥させた。固形物を酢酸エチル(5L)とチオ硫酸ナトリウム水溶液(10%、1.5L)とに分配し、次いで有機相をチオ硫酸ナトリウム溶液(10%)で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、その後真空下で約600mLへと濃縮した。得られたスラリーを4時間静置し、固形物を濾過により回収し酢酸エチルで洗浄し、乾燥し、表題の化合物(215g)を得た。LC-MS: Rt 3.75分。
【0108】
中間体2: 3-フルオロ-5-ヨード-4-メチル安息香酸メチル
【化14】

【0109】
3-フルオロ-5-ヨード-4-メチル安息香酸(中間体1、28g)と塩化チオニル(40mL)の混合物を3時間にわたり加熱還流し、次いでこの反応を冷まし、その後過剰の塩化チオニルをDCM (3×50mL)と共沸させて真空下で除いた。残った油状物をDCM (50mL)に溶解し、次いで氷/水で冷却しているDCM (150mL)中の乾燥メタノール(30mL)とトリエチルアミン(20mL)の溶液に撹拌しながら滴下した。この反応を室温で一晩撹拌し、DCM (100mL)で希釈し、次いで水(200mL)、塩酸(2M、2×200mL)、水(200mL)および塩水(100mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、真空下で乾燥状態まで減少させた。残留する油状物を、シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーにかけ、DCM/ヘキサン(10〜20%DCM)で溶出することにより精製して、表題の化合物(30.3g)を得た。
NMR: CDCl3 δH 8.27, (1H, s) 7.65,(1H, dd) 3.92,(3H, s) 2.41,(3H, d)。
【0110】
中間体3: 3-フルオロ-4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)安息香酸メチル
【化15】

【0111】
DMF (300mL)中の3-フルオロ-5-ヨード-4-メチル安息香酸メチル(中間体2、30.3g)の溶液に酢酸カリウム(50.5g)を添加した。この混合物にビス(ピナコラート)ジボロン(39.4g)を添加し、その後混合物を脱気した。この混合物にPd(dppf)Cl2 (0.85g)を添加し、次いで反応を80〜85℃にて18時間にわたり加熱し、冷却した後、真空下でDMFを除いた。残留物を酢酸エチル(400mL)と水(250mL)とに分配し、その後水層をさらに酢酸エチル(300mL)で抽出した。合わせた有機相を塩酸(2M、3×150mL)、塩化リチウム水溶液(10%、2×200mL)および塩水(200mL)で洗浄し、その後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。酢酸エチルを真空下で蒸発させ、残留物をDCM (100mL)で細かくすりつぶした。白色の沈殿物を濾過により回収しDCMで洗浄した。固形物をアセトニトリルから再結晶化して、表題の化合物(5.42g)を得た。このときのDCM画分を真空下で乾燥状態まで減少させ、DCM (70mL)を用いて細かくすりつぶし、さらなる生成物を得た(3.32g)。DCM画分をシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにかけ、シクロヘキサン中の10%酢酸エチルで溶出することによりさらに精製した。合わせた生成物画分をアセトニトリル(200mL)から再結晶化して、さらなる表題化合物を得た(14.7g)。(合計収量23.44g)。LC-MS: Rt 3.84分。
【0112】
中間体4: 6-クロロ-N-(2,2-ジメチルプロピル)-3-ピリジンカルボキサミド
【化16】

【0113】
ジクロロメタン(400mL)中のネオペンチルアミン(125mL)の溶液を、炭酸ナトリウム (175g)で処理し、この撹拌混合物を5℃に冷却した。ジクロロメタン(400mL)中の塩化クロロニコチニル(175g、Avocado社より)の懸濁物を少しずつ添加し、この混合物を1時間にわたり撹拌し、室温へと加温し、その後さらに2時間撹拌した。この混合物を水とジクロロメタンとに分配し、相を分離させ、水層をジクロロメタンで再度抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後真空下で濃縮して表題の化合物 (216.9g)を得た。LC-MS: Rt 2.67分。
【0114】
中間体5: 3-(5-{[(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]カルボニル}-2-ピリジニル)-5-フルオロ-4-メチル安息香酸
【化17】

【0115】
炭酸水素ナトリウム水溶液(1M、41mL)とイソプロパノール(55mL)の混合液中の、3-フルオロ-4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)安息香酸メチル(中間体3、3.89g)、6-クロロ-N-(2,2-ジメチルプロピル)-3-ピリジンカルボキサミド(中間体4、3.00g)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(305mg)の懸濁物を、アルゴン気流を用いて20分にわたり脱気した。次いでフラスコを密封し一晩85℃にて加熱し、次いで室温にて24時間にわたり撹拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液(1M、15mL)を添加し、この混合物を真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム水溶液(1M)とに分配し、層を分離させ、次いで水相を塩酸(2M)で中和した。生じた沈殿物を濾過により回収し、水で洗浄し、次いで乾燥させて少量の表題の化合物(0.74g)を得た。有機層を水および塩水で洗浄し、乾燥させ、次いで濃縮してメチルエステル(4.38g)を得た。このエステルをメタノール(30mL)中に懸濁し、水酸化ナトリウム水溶液(2M、20mL)を添加し、次いでこの混合物を一晩室温にて撹拌した。真空下で溶媒を除き、次いで残留物を水とジクロロメタンとに分配した。水層を分離し、塩酸(2M)を用いて約pH5に酸性化させた。冷却により生じた沈殿物を濾過により回収し、水で洗浄し、次いで乾燥させて表題の化合物(2.77g)を得た。
TLC: (シリカ) ジクロロメタン:メタノール9:1 Rf =0.15。
【0116】
中間体6: 3-フルオロ-5-ヨード-N-3-イソオキサゾリル-4-メチルベンズアミド
【化18】

【0117】
塩化チオニル(10.4mL)を3-フルオロ-5-ヨード-4-メチル安息香酸(中間体1、10g)に加え、次いでこの混合物を95℃にて1.75時間にわたり撹拌した。塩化チオニルを真空下で除き、残留物をトルエンと共沸させ、次いで残留物を乾燥ジクロロメタン(100mL)中に溶解させた。乾燥ジクロロメタン(250mL)中の3-イソオキサゾールアミン(3.6g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(12.4mL)および4-ジメチルアミノピリジン(4.36g)の溶液を室温にて45分にわたり撹拌し、その後これに前記酸塩化物溶液を約20分にわたり添加した。この反応混合物を室温にて3時間にわたり撹拌し、水を添加し、次いでこの混合物を酢酸エチルと塩酸(1M)とに分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで再度抽出し、合わせた有機抽出物を炭酸水素ナトリウム水溶液(1M)、次いで塩水で洗浄し、乾燥させ、その後真空下で濃縮して表題の化合物をクリーム色の固形物(11.9g)として得た。LC-MS: Rt 1.80分。
【0118】
中間体7: {3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}ボロン酸
【化19】

【0119】
乾燥テトラヒドロフラン(250mL)中の3-フルオロ-5-ヨード-N-3-イソオキサゾリル-4-メチルベンズアミド(中間体6、13.8g)の溶液を、窒素下で−12℃にて9分にわたり、テトラヒドロフラン中の塩化イソプロピルマグネシウムの溶液(2M、49.8mL)で処理した。この反応混合物を0℃に加温し、1.75時間にわたり撹拌し、−10℃に冷却し、その後5分にわたりトリイソプロピルボレート(13.8mL)で処理した。冷却浴を外し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。水(50mL)を添加し、次いでこの混合物を真空下で約150mLへと濃縮し、その後残留物を濃塩酸で酸性化(pH 1)し、白色の析出物を得た。この混合物を酢酸エチル(×2)で抽出し、有機層を乾燥し真空下で濃縮した。得られた固形物をエーテル(約150mL)で細かくすりつぶし、その後濾過により回収して、表題の化合物を淡い桃色の固形物として得た(5.31g)。LC-MS: Rt 1.28分。
【0120】
実施例1: N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミド
【化20】

【0121】
手法1
ジクロロメタン(3mL)中の3-(5-{[(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]カルボニル}-2-ピリジニル)-5-フルオロ-4-メチル安息香酸(中間体5、350mg)の懸濁物に塩化オキサリル(258mg、2.03mmol)を滴下し、次いでこれを氷浴中で0℃にて撹拌した。N,N-ジメチルホルムアミド(4、5滴)を添加し、この混合物を0℃にて10分間撹拌した。次いで冷却浴を取り外し、撹拌をさらに15分継続した。この反応混合物を真空下で室温にて濃縮し、その後残留物をジクロロメタン(4mL)中に溶解させた。3-イソオキサゾールアミン(94mg)とトリエチルアミン(0.28mL)を添加し、次いでこの反応混合物を室温にて一晩撹拌した。水(5mL)を加えて層を分離させた。水層をジクロロメタンで再度抽出し、合わせた有機抽出物を塩水(5mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過して濃縮した。粗生成物(400mg)を乾燥フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル:ヘキサン1:1)により精製して表題の化合物 (165 mg)を得た。
TLC: (シリカ) ヘキサン:酢酸エチル 7:8 Rf =0.14。
【0122】
手法2a
密閉バイアルに入れたイソプロパノール(7mL)中の{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}ボロン酸(中間体7、0.5g)、6-クロロ-N-(2,2-ジメチルプロピル)-3-ピリジンカルボキサミド(中間体4、0.43g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(44mg)および炭酸水素ナトリウム水溶液(1M、3.78mL)の混合物を、マイクロ波オーブン内で110℃にて20分間加熱した。冷却した混合物を水と酢酸エチルとに分配し、相を分離させ、次いで水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をシリカによるカラムクロマトグラフィーにかけ、ジクロロメタン/酢酸エチル(100:0〜50:50)で溶出することにより精製して、表題の化合物を灰白色の固形物(0.44g)として得た。LC-MS: Rt 3.14分, MH+ 411。
【0123】
手法2b
6-クロロ-N-(2,2-ジメチルプロピル)-3-ピリジンカルボキサミド(中間体4、9.0g)を、窒素パージしたイソプロパノール(130mL)中の{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}ボロン酸(中間体7、7.72g)に添加した。炭酸水素ナトリウム水溶液(1M、68mL)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.78g)を添加し、この反応混合物を80℃にて3時間撹拌した。冷却した混合物を水と酢酸エチルとに分配し、相を分離させ、その後水層を酢酸エチルで再度抽出した。合わせた有機抽出物を水および塩水で洗浄し、乾燥させ、次いで真空下で濃縮した。残留物をシリカによるカラムクロマトグラフィーにかけ、ジクロロメタン/酢酸エチル(3:1)で溶出することにより精製して、淡黄色の固形物を得た。酢酸エチルからの再結晶化により、表題の化合物を白色固形物(4.9g)として得た。LC-MS: Rt 3.13分, MH+ 411。
【0124】
手法3
本発明の化合物を、上に記載したスキーム3に従い、以下の方法でも製造した。
【0125】
3-フルオロ-5-ヨード-4-メチル安息香酸の調製
3-フルオロ-4-メチル安息香酸(1当量)および塩化カリウム(0.01当量)をトリフルオロメタンスルホン酸(7容)に加え、次いで得られた溶液を−20℃に冷却した。N-ヨードスクシンイミド(1.3当量)を3時間にわたり少しずつ添加し、この混合物を−20℃にて11時間撹拌した。次いでこの混合物を1.5時間かけて20℃へと加温し、この温度で1時間静置した。得られた反応混合物を水(22容)と10%亜硫酸ナトリウム水溶液(7.5容)の混合物に5〜+15℃で1.75時間かけて添加した。
【0126】
得られた懸濁物を濾過し、ケークを水(3×3容)で洗浄した。この固形生成物を窒素流下で乾燥させた後に、固形物を酢酸エチル(13.6 容)に溶解させ、得られた溶液を10%硫酸ナトリウム水溶液(2×4容)で洗浄し、この水層を酢酸エチル(5容)で洗浄して逆抽出した。合わせた酢酸エチル溶液を塩水(4.9容)で洗浄し、次いで約3.5容へと濃縮した。得られた懸濁物を0〜5℃に1時間かけて冷却した。固形物をフィルター上に回収し、次いで真空下で45〜50℃にて乾燥させて表題の化合物を得た。
【0127】
2度目の生成物回収を行うために、結晶化用の液体にメチルシクロヘキサン(2容)を添加し、3.3容へと濃縮し、メチルシクロヘキサン(3.3容)をさらに添加した。得られた懸濁物を1時間かけて−3℃へと冷却し、固形物をフィルター上に回収し、その後フィルター上で乾燥させた。合計回収率62% th。
【0128】
3-フルオロ-5-ヨード-4-メチル安息香酸メチルの調製
3-フルオロ-5-ヨード-4-メチル安息香酸(1当量)をメタノール(6.6容)中に溶解させ、次いで98%硫酸(0.375容)を用いて20℃で処理した。この溶液を50℃に加熱し、この温度で15時間撹拌し、その後溶液を20℃に冷却した。
【0129】
この溶液の容積を、真空蒸留により初期容積の25%へと減少させた。20℃に冷却した後、TBME(5.5容)を、次いで8%NaHCO3水溶液(9.4容)を15分にわたり添加しpHを7〜8とした。10分間の撹拌後に、層を分離させ、水層をさらにTBME(5.5容)で抽出した。10分間の撹拌後に、層を分離させ、有機層を合わせて撹拌し、水(4.6容)で洗浄した。10分間の撹拌後に、層を分離させ、有機層を濃縮して45〜50℃で乾燥させ、表題の化合物を得た。収率:約100% th。
【0130】
{3-フルオロ-2-メチル-5-[(メチルオキシ)カルボニル]フェニル}ボロン酸の調製
3-フルオロ-5-ヨード-4-メチル安息香酸メチル(1当量)をTHF(2.9容)中に20℃にて溶解させ、次いでこれを−25℃に冷却した。THF中の塩化イソプロピルマグネシウム2M (1.3当量、2.22容)を−25℃にて25分にわたり添加し、次いでこの混合物を−25℃でさらに1時間撹拌した。得られた溶液を10分にわたり−25℃にて、THF(6.59容)中のトリイソプロピルボレート(2当量、1.56容)の溶液に添加した。オレンジ色の溶液を1時間にわたり−25〜−21℃にて撹拌し、ついでこれを2時間かけて+20℃へと加温した。
【0131】
この混合物を0℃に冷却し、次いで7.1%HCl水溶液(4.2容)に0〜5℃にて添加した。この混合物を約30分かけて20℃へと加温し、その後さらに20℃で30分間撹拌した。結果としてpHは<3となるはずである。層を分離し、TBME(6容)を水層に添加した。この混合物を15分間撹拌し、層を分離させた。合わせた有機層を塩水(3.75容)で洗浄し、次いで層を分離させた。有機層を水(2.9容)で洗浄し、次いでこの混合物を15分間撹拌し、層を分離させた。
【0132】
有機層を55℃にて真空下で濃縮し、その容積の25%にした。次いでヘプタン(6.6容)を加えた。この混合物を55℃にて真空下で濃縮し、その容積の30%となし、次いでこの混合物を25℃に冷却し、その後さらに30分かけて0℃に冷却した。この温度で2時間撹拌した後、析出した物質を濾過し、濾過ケークを冷ヘプタン(2容)で洗浄した。濾過ケークをフィルター上で2時間にわたり20℃にて乾燥させ、表題の化合物を得た。収率:約76%th。
【0133】
3-(5-{[(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]カルボニル}-2-ピリジニル)-5-フルオロ-4-メチル安息香酸メチルの調製
IPA(9容)中の{3-フルオロ-2-メチル-5-[(メチルオキシ)カルボニル]フェニル}ボロン酸(1当量)、および6-クロロ-N-(2,2-ジメチルプロピル)-3-ピリジンカルボキサミド(1.05当量)の混合物に、20℃にて、7.4%NaHCO3水溶液(4.4容)を添加して懸濁物を得、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.01当量、0.045 wt)を添加した。この懸濁物を1時間にわたり80℃に加熱し、この温度で17時間撹拌した。
【0134】
この混合物を20℃に冷まし、次いで水(1.7容)を添加した。この混合物をその容積の50%へと真空下で濃縮した。20℃に冷却後に、酢酸エチル(6.4容)を加えた。この混合物を10分間撹拌し、次いで層を分離させた。水層を酢酸エチル(6.4容)で再度抽出した。合わせた有機層を水(5容)、および塩水(2.5容)で洗浄し、次いで有機層を真空下で濃縮して表題の化合物を得た。収率:95%th。
【0135】
3-(5-{[(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]カルボニル}-2-ピリジニル)-5-フルオロ-4-メチル安息香酸の調製
3-(5-{[(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]カルボニル}-2-ピリジニル)-5-フルオロ-4-メチル安息香酸メチル(1当量)、THF(4容)および水(2.5wt)を20℃にて撹拌し、次いで水(2容)中の水酸化リチウム(2当量)の水溶液を5〜7℃にて15分にわたり添加した。30分かけて20℃へと加温した後、この混合物を13時間にわたり20℃にて撹拌した。この混合物中のTHFの約85%を真空蒸留により除去し、次いでジクロロメタン(10容)と水(1.7容)を加えた。この混合物を5分間撹拌し、その後、層を分離させた。水層をジクロロメタン(1.7容)で再度洗浄し、次いで相を分離させた。5℃にて水層を5M HCl(2当量)で酸性化し、懸濁物を得て、これをさらに5℃で30分間撹拌した。
【0136】
析出した生成物を濾過により回収し、その後ケークを冷水(2容)で洗浄し、次いで窒素流を流しながらフィルター上で乾燥させた。
【0137】
湿ったケークをアセトン(4容)中で1時間にわたり加熱還流し、次いで3時間かけて0℃に冷却した。固形生成物を濾過により回収し、次いで冷アセトン(0℃、2×0.8容)で洗浄した。固形物をフィルター上で窒素流下に乾燥させ、表題の化合物を得た。収率: 76%th。
【0138】
6-クロロ-N-(2,2-ジメチルプロピル)-3-ピリジンカルボキサミドの調製
塩化6-クロロ-3-ピリジンカルボニル(1当量)を反応器に入れてジクロロメタン (2.27容)中で溶解させた。この溶液を供給タンクに移した。炭酸ナトリウム(1.66当量)、ジクロロメタン(5.11容)およびネオペンチルアミン(1.07当量)の混合物を撹拌し、次いで0℃に冷却した。ジクロロメタン(2.27容)中の塩化6-クロロ-3-ピリジンカルボニル(1当量)の溶液を90分にわたり添加した。さらに15分間0〜5℃にて撹拌後、この懸濁物を16時間にわたり20℃に加温した。
【0139】
水(9.7容)を添加し、その後有機層を分離させ、次いで水層をジクロロメタン(2.84容)で抽出した。合わせた有機層を塩水(2.84容)で洗浄した。この混合物を真空下で濃縮し、その後、約35℃にてヘプタン(16.5容)を加えた。得られた懸濁物を0〜5℃へと1時間にわたり冷却し、次いで0℃で2時間撹拌した。この固形物を濾過し、次いで冷ヘプタン(2.84容)で洗浄し、その後20°で乾燥させて表題の化合物を得た。収率: 95%。
【0140】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの調製
ジクロロメタン(22容)中の3-(5-{[(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]カルボニル}-2-ピリジニル)-5-フルオロ-4-メチル安息香酸(1当量)の溶液を蒸留して、溶媒の50%を除去した。DMF(0.034容)を加え、この混合物を0℃に冷却した。塩化チオニル(2.5当量)を0〜8℃にて10分かけて添加し、その後懸濁物を50℃に加熱し、この温度で15時間撹拌した。塩化チオニルを真空蒸留により部分的に除去し、次いでトルエン(6容)を添加し、8.5容の塩化チオニル/トルエン混合液を真空下で蒸留し、次いでこの混合物を20℃に冷まして、ジクロロメタン(22容)を添加した。
【0141】
3-イソオキサゾールアミン(1.2当量)、ジクロロメタン(1容)、DIPEA(1当量)およびDMAP(1当量)の混合物を0℃に冷却し、次いで前記ジクロロメタン中の酸塩化物溶液を0〜5℃にて1時間かけてゆっくり添加した。この混合物を20℃に加温し、次いでこの温度で16時間撹拌した。
【0142】
この混合物を1M 硫酸(4容)と共に5分間撹拌してpHを1とし、次いで層を分離させ、有機層を水(9容)で洗浄し、次いでメタノール(3.5容)を有機層に加え、その後これを飽和NaHCO3水溶液(8容)で洗浄してpHを9とした。次いで有機層を水(10容)で洗浄した。
【0143】
合わせた水層をジクロロメタン(10容)とメタノール(0.85容)の溶液で抽出し、次いで合わせた有機層を真空下で初期容積の30%へと濃縮した。この濃縮物を0℃に冷却し、次いでこの温度で2時間撹拌した。析出した生成物を濾過し、冷ジクロロメタン(4.5容)で洗浄した。濾過ケークを窒素下にフィルター上で乾燥させた。
【0144】
粗生成物をアセトン(9容)で加熱還流し、次いでこの溶液に水(9容)を5分かけて加えた。さらに25分間、50〜60℃にて撹拌した後、この混合物を徐々に5℃へと3時間かけて冷却した。析出した生成物を濾過し、冷水(2.5容)で洗浄し、次いで真空下で50℃にて乾燥させて表題の化合物を得た。収率: 61% th。
【0145】
実施例2: N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの多形体の調製
多形体1
上に説明した手法1〜3から得られた結晶質生成物を、実施例3に記載の方法の1以上により特徴付けし、これを多形体1と命名した。
【0146】
多形体2
300mgの多形体1の化合物を合計6.5mLのクロロホルム(4.5mLを最初に添加し、その後さらに2mLを加えた)中に懸濁し、次いで、得られた懸濁物を、1時間区切りの0℃から40℃への温度サイクリングに約72時間供することにより、本発明の化合物の溶媒和物(以後、「クロロホルム溶媒和物」と呼ぶ)を調製した。
【0147】
次に、オリンパスBX41顕微鏡を介して観察するLinkum LT350高温載物台を用いて、前記のクロロホルム溶媒和物に対して高温(hot stage)顕微鏡実験を行った。サンプルを10℃/分にて200℃まで加熱し、その時点で加熱を停止し、サンプルを約10分かけて周囲温度へと冷ました。次いで、前記の融解・冷却した物質に対して偏光顕微鏡検査を行った。物質は明らかに融解物から晶出しており、この晶出物質を酢酸エチル1mL中の多形体1物質約75mgのスラリーに種結晶として播き、それを一晩60℃に保った。固形物を濾過して取り出し、実施例3に記載の方法を用いて特徴付けした。これらのデータは、この多形を無水多形体2と命名するのに十分なものであった。
【0148】
多形体3
示差走査熱量測定型の温度サイクリング実験を、前記クロロホルム溶媒和物のサンプルに対して行った。該サンプルを、ピンホール(針穴)のない蓋を備えたアルミニウムパン中に用意し、10℃/分で204℃に加熱し、約200秒にわたり周囲温度へと冷まし、その後10℃/分で250℃まで加熱した。得られた物質を、実施例3に記載の方法により特徴付けした。こうしたデータは、この多形を無水多形体3と命名するのに十分なものであった。
【0149】
多形体4
約1.5mLの酢酸エチル中に、約100mgの多形体1の希薄なスラリーを60℃にて形成させた。次いで得られたスラリーを約30秒間にわたり70℃へと加熱した。透明な溶液が形成され、この溶液をこの温度で約10分保った。次いでこの溶液を50℃に冷まし、その後、上記のように調製した2,3mgの多形体3を種結晶として加えた。次いでこの溶液を40℃へと冷まし、次いで10分後に30℃に冷ました。得られた固形物を濾過により分離し、実施例3に記載の方法により特徴付けした。こうしたデータは、この多形を無水多形体4と命名するのに十分なものであった。
【0150】
多形体5
示差走査熱量測定型の温度サイクリング実験を、上記のように調製した多形体4のサンプルに対して行った。サンプルをピンホールのない蓋を備えたアルミニウムパン中に用意し、10℃/分で217℃へと加熱し、約200秒にわたり周囲温度へと冷まし、次いで10℃/分で250℃まで加熱した。得られた物質を実施例3に記載の方法により特徴付けした。こうしたデータは、この多形を無水多形体5と命名するのに十分なものであった。
【0151】
実施例3: N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの多形体の特徴付け
粉末X線回折(XRPD)
図1〜5はそれぞれ、多形体1〜5のそれぞれの回折パターンを示し、これらは、PANalytical X’Celerator検出器を備えたPANalytical X’Pert Pro 回折装置(モデルPW3040/60、シリアル番号DY1850)で銅Kα線を用いて得られたものである。サンプルをゼロバックグランドホルダー上に分散させ、次いで以下の取得パラメーターを用いて2〜40°2θを走査した:45mA、40kV、0.017°2θステップ、32秒ステップ時間。分析中はサンプルを25 rpmで回転させた。
【0152】
本発明の化合物の特定の多形体の同定は、主に、観察された2θ角に基づき、相対ピーク強度に基づくものではないと理解されたい。表1は、多形体1〜5の各々について観察された主要角度2θピークを示し、そこでは特徴的なピークを灰色に塗って示してある。誤差の範囲は、各々のピーク割当てについて約±0.1である。
【表1】

【0153】
示差走査熱量測定(DSC)
DSCは、冷凍冷蔵装置を備えた、TA Instruments Q1000 (装置番号: 970001.901, シリアル番号: 1000-0126)またはM2920 (装置番号: 915001.901, シリアル番号: M2920-234) 示差走査熱量測定器のいずれかを用いて行った。サンプルを、ゆるく蓋をしたアルミニウムパン中で、10℃/分の加熱速度で25℃から350℃へと加熱した。多形体1および多形体2は、それぞれ明確に区別される吸熱融解と、その後の熱分解を示す。
【0154】
多形体1および2のDSCサーモグラムを表2に詳しく示す。
【表2】

【0155】
誤差の範囲は、ピーク最大値については約±2℃であり、融解熱については±5 J/gである。
【0156】
略記号
Aq 水性
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
Et エチル
H 時間
iPr イソプロピル
Me メチル
Min 分
NIS N-ヨードスクシンイミド
Pd(dppf)Cl2 ジクロロメタンを含む[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]
ジクロロパラジウム(II)錯体(1:1)
Pd(PPh3)4 テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
TBME Tert-ブチルメチルエーテル
THF テトラヒドロフラン
【0157】
生物学的実施例
p38阻害剤としての本発明の化合物の活性は、以下のアッセイにより確認することができる。
【0158】
アッセイ1: 蛍光異方性キナーゼ結合アッセイ
キナーゼ酵素、蛍光リガンドおよび可変濃度の試験化合物を、以下の条件下で熱力学的平衡に達するように一緒にインキュベートした。すなわち、試験化合物の不在下では、蛍光リガンドが有意に(>50%)酵素結合され、十分な濃度(>10×Ki)の強力な阻害剤の存在下では、未結合型の蛍光リガンドの異方性が結合型の値とは測定可能な程度に異なるような条件である。
【0159】
キナーゼ酵素の濃度は、好ましくは2×Kfとすべきである。必要になる蛍光リガンドの濃度は、使用する器具ならびに蛍光および物理化学的特性に依存する。用いる濃度はキナーゼ酵素の濃度よりも低くしなければならず、好ましくはキナーゼ酵素濃度の半分より少なくする。
【0160】
組換えヒトp38αはGSTタグ付きタンパク質として発現させた。このタンパク質を活性化するために、3.5μMの未活性化p38αを、50mM Tris-HCl pH7.5、0.1mM EGTA、0.1% 2-メルカプトエタノール、0.1mM バナジン酸ナトリウム、10mM MgAc、0.1mM ATP中で200nM MBP-MKK6 DDと共に30℃で30分間インキュベートした。活性化の後にp38αを再度精製し、標準フィルター結合アッセイを用いて活性を評価した。
【0161】
典型的なプロトコルは以下のようなものである:
全ての成分を62.5mM HEPES, pH7.5、1.25mM CHAPS、1mM DTT、12.5mM MgCl2の組成のバッファー中に溶解するが、このときの最終濃度は12nMのp38αおよび5nMの蛍光リガンドとする。この反応混合物30μLを、NUNC 384ウェル黒色マイクロタイタープレート上の、1μLの各種濃度の試験化合物(0.28nM〜16.6μM最終)またはDMSOビヒクル(3%最終)を入れたウェルに加え、30〜60分にわたり室温で平衡化する。蛍光異方性をMolecular Devices Acquest (励起485nm/発光535nm)で読み取る。
【0162】
定義: Ki = 阻害剤結合の解離定数
Kf = 蛍光リガンド結合の解離定数
蛍光リガンドは次の化合物:
【化21】

【0163】
であり、これは5-[2-(4-アミノメチルフェニル)-5-ピリジン-4-イル-1H-イミダゾール-4-イル]-2-クロロフェノールとローダミングリーンから誘導される。
【0164】
アッセイ2: ヒト全血中のTNFα産生
p38マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ(p38)は、TNFαのような炎症性サイトカインの生合成を調節する。したがって、サイトカイン産生の阻害剤としての効力は、LPS刺激白血球でのTNFα産生に及ぼす影響を測定することにより評価できる。分離した白血球ではなく全血でアッセイを行うと、血漿タンパク質および細胞(特に、in vivoで循環している遊離薬物濃度を低下させる可能性の高い赤血球細胞)の存在下での本化合物の全細胞効力の尺度が得られる。このアッセイでは、化合物を1時間にわたりヒト全血とプレインキュベートし、その後、該血液に含まれる白血球からのサイトカイン産生を細菌性リポ多糖(LPS)により刺激する。20時間後に血漿を分離し、TNFの存在についてアッセイする。このアッセイのTNF生成段階のインキュベーション時間をより短くする(4時間)ことも可能だが、20時間アッセイを用いると阻害曲線がより明確に規定されかつ再現可能であり、同様の観察がPDE4阻害剤について報告されている(Brideauら1999, B. J. Pharmacology, 126, 979-988)。TNFアッセイは電気化学発光検出技術を用いたサンドイッチイムノアッセイである。TNFは、ストレプトアビジンコーティング磁気ビーズ上に固定したビオチン化抗TNF抗体により捕捉される。ルテニウム標識二次抗体もTNFに結合し、その後ビーズをフローセルに引き込み、そこでビーズを電極の表面上に捕捉する。電極に近接したルテニウムは励起されて光を放ち、放射された光のレベルはビーズ上に固定されたTNFの量に比例する。次に、最初の全血アッセイ上清中のTNFの濃度を、純正のヒトTNFαを用いて作成した標準曲線から決定することができる。
【0165】
正常なボランティアから採血されたヘパリン処理血液を、0.5または1.0μLの適当に希釈した化合物溶液を含有するマイクロタイタープレートウェルに分配した(100μL)。37℃、5% CO2での1時間のインキュベーション後に、RPMI 1640 (1%L-グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含有)中の25μLのLPS溶液(S. typhosa)を添加した(50ng/mL最終)。このサンプルを37℃、5%CO2下で20時間にわたりインキュベートし、100μLの生理食塩水(0.138% NaCl)を添加し、1300gにて10分の遠心分離後に、PlatemateまたはBiomek FX液体操作ロボットを用いて希釈血漿を回収した。血漿TNFα含量は、IGEN技術を用いた電気化学蛍光アッセイにより決定した。
【0166】
分析は以下に記載する方法のどちらを用いても行うことができる:
分析アッセイ法 (a)
全血アッセイプレートからの50μLの上清を96ウェル型ポリプロピレンプレートに移し、各プレートはまたTNFα標準曲線(0〜30000 pg/mL: R+D Systems、210-TA)を含んでいた。50μLのストレプトアビジンビーズ/ビオチン化抗TNFα抗体混合物、25μLルテニウム標識抗TNFαモノクローナル抗体、および0.1%ウシ血清アルブミンを含有する100μLのPBSを各ウェルに添加し、その後プレートを密閉し、2時間振とうした後に、IGEN機器を用いて読み取った。
【0167】
分析アッセイ法 (b)
TNFアッセイプレート(MSD: cat L41IB-1)を、20μLのヒト血清サイトカイン希釈物(MSD)で一晩ブロッキングした。次いで全血(40μL)またはPBMCアッセイ(20μL)からの上清を加えたが、各プレートはまたTNFα標準曲線(0〜10000または30000 pg/mL: R+D Systems, 210-TA)を含んでいた。20μLのTNFα検出抗体(1μg/mL:MSD)を加え、プレートを振とうしながら2時間にわたり室温でインキュベートした。次いで全血プレートをPBS/Tween 20 (0.05% v/v)で4回洗浄し、ブロット乾燥させた。150μLの2×リードバッファーT (MSD Cat R92TC-1)を全血プレートに加え、また、90μLの2.5×リードバッファーP (MSD Cat R92PC-1)をPBMCプレートに加え、全てのプレートをMSD Sector Imager 6000電気化学発光リーダーで読み取った。
【0168】
結果
実施例に記載した本化合物を上に説明したように試験したところ、それはIC50値が<50 nMであった。
【0169】
本明細書および特許請求の範囲が構成する本出願は、あらゆる後続の出願に対して優先権の基礎として使用することができる。かかる後続の出願の特許請求の範囲は、本明細書に記載のどのような構成または構成の組合せをも対象とすることができる。それらは物、組成物、方法または用途の請求項という形式をとることができ、例として、限定するものではないが、本出願の特許請求の範囲の1以上を含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】多形体1の粉末X線回折(XRPD)パターンを示し、PANalytical X’Celerator検出器を備えたPANalytical X’Pert Pro 回折装置(モデルPW3040/60、シリアル番号DY1850)で銅Kα線を用いて得られたものである。
【図2】多形体2の粉末X線回折(XRPD)パターンを示す。
【図3】多形体3の粉末X線回折(XRPD)パターンを示す。
【図4】多形体4の粉末X線回折(XRPD)パターンを示す。
【図5】多形体5の粉末X線回折(XRPD)パターンを示す。
【図6】多形体1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示し、ゆるく蓋をしたアルミニウムパンを用いて毎分10°の走査速度で得られたものである。
【図7】多形体2の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドまたはその製薬上許容される誘導体。
【請求項2】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される誘導体を、1以上の製薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体と共に含んでなる医薬組成物。
【請求項4】
p38キナーゼ活性により仲介される、またはp38キナーゼの活性により産生されるサイトカインにより仲介される症状または疾患の治療方法であって、それを必要とする被験者に、治療に有効な量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される誘導体を投与することを含む、上記方法。
【請求項5】
治療用である、請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される誘導体。
【請求項6】
p38キナーゼ活性により仲介されるまたはp38キナーゼの活性により産生されるサイトカインにより仲介される症状または疾患の治療用である、請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される誘導体。
【請求項7】
p38キナーゼ活性により仲介されるまたはp38キナーゼの活性により産生されるサイトカインにより仲介される症状または疾患の治療用の医薬の製造における、請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される誘導体の使用。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される誘導体の調製方法であって、以下の工程:
(a) 式(I)
【化1】

[式中、Xは脱離基である]
で表される化合物と、
式(II)
【化2】

で表されるアミンとを、アミド形成のための条件下で反応させること、または
(b) 式(III)
【化3】

[式中、Yはハロゲンである]
で表される化合物と、
式(VIIIA)もしくは(VIIIB)
【化4】


で表される化合物とを、触媒の存在下で反応させること、
を含む上記方法。
【請求項9】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの結晶体(多形体1)であって、図1に示される粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じXRPDパターンおよび/または図6に示される示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを特徴とし、ここで前記XRPDパターンは2θ角に関して表され、銅Kα線を使用する回折装置を用いて得られたものであり、また、前記DSCはゆるく蓋をしたアルミニウムパンを用いて毎分10°の走査速度で行われたものである、上記結晶体。
【請求項10】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの結晶体(多形体2)であって、図2に示される粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じXRPDパターンおよび/または図7に示される示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムと実質的に同じDSCサーモグラムを特徴とし、ここで前記XRPDパターンは2θ角に関して表され、銅Kα線を使用する回折装置を用いて得られたものであり、また、前記DSCはゆるく蓋をしたアルミニウムパンを用いて毎分10°の走査速度で行われたものである、上記結晶体。
【請求項11】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの結晶体(多形体3)であって、図3に示される粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じXRPDパターンを特徴とし、ここで前記XRPDパターンは2θ角に関して表され、銅Kα線を使用する回折装置を用いて得られたものである、上記結晶体。
【請求項12】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの結晶体(多形体4)であって、図4に示される粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じXRPDパターンを特徴とし、ここで前記XRPDパターンは2θ角に関して表され、銅Kα線を使用する回折装置を用いて得られたものである、上記結晶体。
【請求項13】
N-(2,2-ジメチルプロピル)-6-{3-フルオロ-5-[(3-イソオキサゾリルアミノ)カルボニル]-2-メチルフェニル}-3-ピリジンカルボキサミドの結晶体(多形体5)であって、図5に示される粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じXRPDパターンを特徴とし、ここで前記XRPDパターンは2θ角に関して表され、銅Kα線を使用する回折装置を用いて得られたものである、上記結晶体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−543820(P2008−543820A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516410(P2008−516410)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002212
【国際公開番号】WO2006/134382
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】