説明

NAADP活性を調節するためのピリジニウム化合物の治療薬としての使用

本発明はニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出の調節;哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクの調節;脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療;ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療;哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、及びT細胞のうちの1又は複数における疾患の治療;の1又は複数において使用するための医薬品の製造における式(I)の化合物又はその薬学的に許容できる塩の使用(式中、R1は、カルボニル基を有し、R2は、ヒドロカルビル基であり、場合によって、複素環は、さらに置換されている)に関する。


(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療薬に関する。
【0002】
排他的ではないが、本発明は特に、ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸(nicotinic acid adenine dinucleotide phosphate)により制御される、貯蔵からの細胞内カルシウムの放出の調節;哺乳動物細胞でのカルシウムスパイク(spike)の調節;脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療;ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウムの放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療;及び/又は哺乳動物細胞でのカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療のための化合物及び組成物などの治療薬に関する。
【背景技術】
【0003】
カルシウムは、卵子の最初の受精に始まり、毎日の機能を経て、細胞死まで、細胞内で重要な役割を果たす。カルシウムがこのような顕著な特異性を正確にはどのように発揮するかについては、集中的な研究の対象である。
【0004】
イノシトール1,4,5−トリスリン酸(IP)及びcADP−リボース(cADPr)は、細胞内貯蔵からのCa2+放出のメディエイターとして十分に認められている。しかしながら、第3の推定上のCa2+可動化物質であるニコチン酸−アデニンジヌクレオチドリン酸(NAADP)の役割のほうが最近まで、より議論の対象であった。
【0005】
細胞内メッセンジャーとして考えられるすべてのCa2+可動化分子の内、NAADPは最も強力である。通常、細胞質でのナノモル濃度が、細胞内貯蔵からのCa2+の放出をもたらす。例えば、ウニの卵子において、主要なNAADP感受性Ca2+プールは、本質的に、非小胞体性(non-endoplasmic reticular)であることを示す証拠が得られた。
【0006】
NAADPは初め、ウニの卵子ミクロソームでCa2+放出活性を示すNADP中の汚染物質として発見された。NAADPの合成は、酵素反応の調節を必要とし、NADPの非リン酸化リボース環上で、ニコチンアミドのニコチン酸への交換が生じる。後者のメカニズムは、細胞表面からリサイクルされる間にCD38が存在しうるエンドソームコンパートメントに適しているような低いpHで促進される。NADP中の非荷電アミドがNAADP中の負に荷電されているカルボキシル官能基に交換されることにより、Ca2+を応答性の貯蔵から可動化する有力な(ナノモル親和性)能力がNAADPにもたらされる。
【0007】
NAADPは、複数の細胞タイプで、細胞内Ca2+貯蔵を可動化する。例えば、NAADPは、哺乳動物のTリンパ球、膵臓、腎臓及び心臓細胞を含む高等生物からの多くの系のCa2+を可動化する。膵臓腺房細胞が初めに報告されたが、NAADPは、コレシストキニン誘発Ca2+シグナルを開始させることが判明した。同様に、膵臓β細胞でも、NAADP感受性Ca2+貯蔵は、インスリン及びグルコースにより活性化されるCa2+シグナリングを仲介する際に重要な役割を果たす。
【0008】
NAADP+は特異的及び用量依存的に、ヒトT細胞におけるCa2+シグナリングを刺激することも知られている(国際公開第02/11736号パンフレット)。
【0009】
証拠は、NAADPが、イノシトールトリスリン酸及びリアノジン/環状ADPリボースに感受性を有するものとは別の細胞内Ca2+チャネルを活性化することを示唆している。無損傷細胞での最近の研究によって、NAADP、イノシトールトリスリン酸及び環式ADPリボースにより仲介されるCa2+放出経路の間の機能性カップリングが証明された。したがって、NAADPは、細胞質Ca2+シグナルを形作る際の重要な決定子である。
【0010】
NAADPのための特異的結合位置は、ウニの卵子標本で同定され(J. Biol. Chem (1996) 271 8531-8516; Biochem J. (2000) 352, 725-729)、この結合位置がNAADP誘発Ca2+可動化に関している証拠も得られている。
【0011】
カルシウムシグナリングの協調におけるNAADP受容体の役割は、Trends Biochem Sci. (2001) 26 (8): 482-9及びCell Calcium (2002) 32 (5-6): 343-54に総説されている。
【特許文献1】国際公開第02/11736号パンフレット
【非特許文献1】J. Biol. Chem (1996) 271 8531-8516; Biochem J. (2000) 352, 725-729
【非特許文献2】Trends Biochem Sci. (2001) 26 (8): 482-9
【非特許文献3】Cell Calcium (2002) 32 (5-6): 343-54
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
Ca2+可動化分子としてのNAADPの重要性にもかかわらず、NAADP結合部位に選択的に影響を及ぼす小分子は現在存在しない。したがって、治療薬としてこのような活性を利用するいかなる化合物の例も存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は一部では、NAADPにより制御される特定貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節する化学実体の開発をベースとする。通常、これらの分子は、<500のRMMを有する小分子であり、細胞透過性である。有利なことに、これら及び関連化合物は、新規の薬剤として、バイオアッセイのためのプローブとして使用することができる。
【0014】
これらの分子は、容易に利用可能な小さい化学的ツールを提供することにより、この生体経路のさらなる特徴付けに伴う技術的問題を解決するために役立つ。現在まで、該分野に従事している科学者は、細胞透過性分子を利用することができず、このことが、生物学的研究を妨害してきた。
【0015】
本発明の態様及び実施形態を、添付の請求項並びに以下の記載及び検討に示す。これらの態様は、別の章見出しで示す。しかしながら、各章見出しでの教示は、特定の章見出しに必ずしも限定されないことは理解されたい。
【0016】
本発明の態様には、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出の調節、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクの調節、
脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療
の1又は複数において使用するための医薬品の製造における式(I)の化合物又はその薬学的に許容できる塩の使用:
【0017】


(I)
[上式中、
R1は、カルボニル基を有し、
R2は、ヒドロカルビル基であり、
場合によって、複素環、さらに置換されている]。
【0018】
任意選択の環置換基(R3とも称される)の例には、1又は複数のH、置換又は非置換のアリール(例えばC1〜C15アリール)、C1〜C20アルキル、X(例えば、F、Cl、Br、I)、OY、NY(n=1、2又は3)、SY、COY(Yは、H、置換又は非置換のアリール(例えばC1〜C15アリール)、C1〜C20アルキルである)が含まれる。したがって、請求項に示されている式中、R3は、1又は複数の置換基を示し、置換基はそれぞれ独立して、H、置換又は非置換アリール、C1〜C20アルキル、F、Cl、Br、I、OY、NY(n=1、2又は3)、SY、COY、CONY(z=2)、C(O)OY(Yは独立して、H、置換又は非置換のアリール及びC1〜C20アルキルから選択される)を表す。R3は、1又は複数のH、C1〜C15アリール、C1〜C20アルキル、X(例えば、F、Cl、Br、I)、OY、NY(n=1、2又は3)、SY、COY(Yは、H、C1〜C15アリール、C1〜C20アルキル)から選択することができる。
【0019】
任意選択の環置換基R3は、置換又は非置換アリール基を含んでもよい。置換アリール基は、1又は複数の独立して選択される置換基をアリール環系上に含む。特に、置換アリール基は、1又は複数のヒドロキシ;アルキル、特に低級(C〜C)アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル及び他のペンチル異性体並びにn−ヘキシル及び他のヘキシル異性体);アルコキシ、特に低級(C〜C)アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシなど);アルキニル(例えばエチニル);又はハロゲン(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)置換基を含んでもよい。好ましくは、アリール環系は、C3〜C15アリール環系である。好ましくは、アリール環系は、C6〜C15アリール環系である。
【0020】
本明細書中に定義されている化合物又はその薬学的に許容できる塩を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合された形態で含む薬剤組成物。
【0021】
医薬品中において使用するための、本明細書中に定義されている式(I)の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
【0022】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
【0023】
本明細書中に定義されている化合物を含む医薬品。
【0024】
細胞内カルシウム放出を調節する薬剤を同定するためのアッセイ法であって、
(a)薬剤を用意するステップと;
(b)NAADP受容体を用意するステップと;
(c)前記薬剤とNAADP受容体とを接触させるステップと;
(d)細胞内カルシウム放出のレベルを測定するステップとを含み、
(i)薬剤の存在下での細胞内カルシウム放出のレベルと;(ii)薬剤不在下での細胞内カルシウム放出のレベルとの差が、細胞内カルシウム放出を調節し、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出の調節、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクの調節、
脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療
の1又は複数において使用することができる薬剤を示すアッセイ法。
【0025】
(a)本明細書中に定義されているアッセイ法を行うステップと;
(b)細胞内カルシウム放出を調節しうる1又は複数の薬剤を同定するステップと;
(c)1又は複数の同定された薬剤を大量に調製するステップとを含むアッセイ法。
【0026】
(a)本明細書中に定義されているアッセイ法を行うステップと;
(b)細胞内カルシウム放出を調節しうる1又は複数の薬剤を同定するステップと;
(c)1又は複数の同定された薬剤含む薬剤組成物を調製するステップとを含む方法。
【0027】
本明細書に定義されているアッセイ方法により同定可能な、好ましくは同定された薬剤。
【0028】
本明細書に定義されている方法により調製された薬剤組成物。
【0029】
治療及び/又は予防が必要な患者に、本明細書に定義されている化合物、本明細書に定義されている組成物或いは本明細書に定義されている医薬品の有効量で患者に投与することを含む、ヒト又は動物患者における疾患を治療及び/又は予防する方法。
【0030】
本明細書に定義されている1又は複数の化合物と薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤又は担体と混合することを含む、薬剤組成物を調製する方法。
【0031】
少なくとも1個のコンパートメントが、本明細書に定義されている1又は複数の化合物、本明細書に定義されている組成物或いは本明細書に定義されている医薬品を含有する、1又は複数のコンパートメントを含む薬剤パック。
【0032】
本明細書に定義されている化合物、本明細書に定義されている組成物或いは本明細書に定義されている医薬品を含む容器で、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出の調節、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクの調節、
脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療
の1又は複数において使用するためにラベルが付されている容器。
【0033】
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出の調節、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクの調節、
脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞)及びT細胞のうちの1又は複数における疾患の治療
の1又は複数において使用するための医薬品の製造における式(I)の化合物の使用であって、
前記化合物は、細胞透過性であり;
前記化合物は、約500未満の相対分子量(relative molecular mass)を有し;
前記化合物は、NAADPのニコチン基の模倣物質であり、前記NAADPは、式(II):
【0034】


(II)
を有する使用が含まれる。
【0035】
他の態様では、NAADPのニコチン基の模倣物質である前記化合物は、式(A):
【0036】


(A)
[上式中、
R1及びR2は、環置換基であり;
R1及びR2は、式(I)の化合物と同様に定義され;
R3は、本明細書中と同様に定義される]を有する。
【0037】
式(A)の化合物に加えて、本発明は、その薬学的に許容できる塩にも関する。
【0038】
本発明の化合物のいくつかの好ましい態様
好ましくは、前記化合物は、細胞透過性である。
【0039】
好ましくは、前記化合物は、約500未満の相対分子量(RMM)を有する。
【0040】
好ましくは、R1は、−C(O)R4であり、R4は、−OH、−O−ヒドロカルビル又は−O−N(R5)(R6)であり、R5及びR6はそれぞれ独立して、H又はヒドロカルビルから選択される。
【0041】
好ましくは、R1は、カルボニル基を含むヒドロカルビル基又はCOOHである。
【0042】
好ましくは、R2は、ヒドロカルビル、ヒドロカルビル−N、ヒドロカルビル−N(R7)(R8)又はヒドロカルビル−C(O)−N(R9)(R10)であり、R7、R8、R9及びR10はそれぞれ独立して、H又はヒドロカルビルから選択される。
【0043】
好ましくは、R2は、カルボニル基を含むヒドロカルビル基である。
【0044】
好ましくは、R2は、アミド基を含むヒドロカルビル基である。
【0045】
好ましくは、R2は、−ヒドロカルビル−C(O)N(H又はヒドロカルビル)(H又はヒドロカルビルを含む基である。
【0046】
好ましくは、R2は、−CHC(O)O)N(H又はヒドロカルビル)(H又はヒドロカルビル)を含む基である。
【0047】
好ましくは、R2は、−CHC(O)NHを含む基である。
【0048】
好ましくは、前記化合物は、NAADPのニコチン基の模倣物質であり、前記NAADPは、式(II)を有する:
【0049】


(II)
【0050】
好ましくは、本発明は、自己免疫疾患(甲状腺炎、膵島炎、多発性硬化症、インベクティティス(invectitis)、睾丸炎、重症筋無力症、関節リウマチ又はエリテマトーデスなど)又は移植拒絶或いはII型糖尿病、或いは心不整脈の治療;又はヒト又は動物での免疫障害を治療又は予防のうちの1又は複数において使用するための医薬品の製造における前記化合物の使用に関する。
【0051】
好ましくは、本発明は、甲状腺炎、膵島炎、多発性硬化症、インベクティティス、睾丸炎、重症筋無力症、関節リウマチ、エリテマトーデス、移植拒絶、II型糖尿病又は心不整脈の治療のうちの1又は複数において使用するための医薬品の製造における前記化合物の使用に関する。
【0052】
本発明の化合物のいくつかの追加の態様
式(I)の化合物の環構造は、他のヒドロカルビル基などでさらに置換されていてもよい。例えば、このような置換基は、ハロ基及び/又はヒドロカルビル基であってよい。
【0053】
本発明のいくつかの例示的化合物
本発明の例示的化合物には、次のものが含まれる(これらは塩の形態として示すが、非塩形態も、他の塩形態と同様に含まれる)。
【0054】



【0055】
利点
本発明は、いくつかの利点を有する。これらの利点は、次の記載により明らかになるであろう。
【0056】
例えば、商業的に有用な化合物、組成物及び方法を提供するので、本発明は有利である。
【0057】
例えば、NAADP結合部位に選択的に影響を及ぼす商業的に有用な化合物、組成物及び方法を提供するので、本発明は有利である。
【0058】
例えば、治療薬として使用することができる商業的に有用な化合物、組成物及び方法を提供するので、本発明は有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
置換基
本発明の化合物は、本明細書に示されている環系の置換基以外の置換基を有することができる。さらに、本明細書の環系は一般式として示されているが、そのまま解釈されるべきである。所定の環員に特に示されている置換基が存在しないことは、環員が、Hがその唯一の例である何らかの成分で置換されていてもよいことを示している。環系は、1又は複数の不飽和を含有してもよく、例えば、いくつかの態様では、環系の1又は複数の環は、芳香族である。環系は、炭素環であってもよいし、1又は複数のヘテロ原子を含有してもよい。
【0060】
好ましくは、本発明の化合物は、本明細書に示されている構造を有する。
【0061】
本発明の化合物、特に、本発明の環系化合物は、本明細書に示されているもの以外の置換基を含有してもよい。例えば、これらの他の置換基は、1又は複数のハロ基、1又は複数のO基、1又は複数のヒドロキシ基、1又は複数のアミノ基、1又は複数のイオウ含有基、1又は複数のオキシヒドロカルビル基などのヒドロカルビル基のうちの1又は複数であってよい。
【0062】
通常、本化合物の環系は、様々な非干渉置換基を含有してもよい。特に、環系は、1又は複数のヒドロキシ、アルキル、特に低級(C〜C)アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル及び他のペンチル異性体並びにn−ヘキシル及び他のヘキシル異性体、アルコキシ、特に、低級(C〜C)アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど、アルキニル、例えば、エチニル或いはハロゲン、例えば、フルオロ置換基を含有してもよい。
【0063】
化合物
「化合物」との用語は、その化合物の異性体形(立体異性体及び/又は幾何及び/又は光学異性体並びにこれらの混合物)、化学的誘導体、模倣物質、溶媒和物及び塩を包含するものを意味する。
【0064】
ヒドロカルビル
本発明の文脈では、本明細書において使用される「ヒドロカルビル基」との用語は、少なくともC及びHを含み、場合によって、1又は複数の他の適切な置換基を含んでもよい基を意味する。このような置換基の例には、ハロ、アルコキシ、ニトロ、アルキル基、環式基などが含まれうる。置換基が環式基であってよいことに加えて、置換基の組合せが環式基を形成してもよい。ヒドロカルビル基が1個を上回るCを含む場合には、これらの炭素は、相互に必ずしも結合していなくてもよい。例えば、少なくとも2個の炭素が、適切な元素又は基を介して結合していてもよい。したがって、ヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含有してもよい。適切なヘテロ原子は、当技術分野の専門家には明らかであり、例えば、イオウ、窒素及び酸素を含む。ヒドロカルビル基の非限定的例は、アシル基である。
【0065】
典型的なヒドロカルビル基は、炭化水素基である。この場合、「炭化水素」との用語は、直鎖、分枝鎖又は環式であってよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基のいずれか1つを意味する。炭化水素との用語にはさらに、場合によって置換されている基も含まれる。炭化水素が、置換基を有する分枝鎖構造である場合、その置換は、炭化水素主鎖か、分枝鎖の上であってよいか;或いは、置換は、炭化水素主鎖と分枝鎖との上であってよい。
【0066】
本発明のいくつかの態様では、1又は複数のヒドロカルビル基は独立して、場合によって置換されているアルキル基、場合によって置換されているハロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルキルアリールアルキル基及びアルケン基から選択される。
【0067】
本発明のいくつかの態様では、1又は複数のヒドロカルビル基は独立して、C〜Cアルキル基及びC〜Cアルキル基などのC〜C10アルキル基から選択される。典型的なアルキル基には、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル及びCアルキルが含まれる。
【0068】
いくつかの態様では、好ましくは、ヒドロカルビル基は、カルボニル基を含む。さらに好ましくは、カルボニル基は、式COOHを有する。
【0069】
いくつかの態様では、好ましくは、ヒドロカルビル基は、アミド基を含む。さらに好ましくは、アミド基は、式CHC(O)NHを有する。
【0070】
さらに好ましくは、式(I)の化合物のR2基は、アミド基を含むヒドロカルビル基である。
【0071】
さらに好ましくは、式(I)の化合物のR1基は、カルボニル基を含むヒドロカルビル基である。
【0072】
最も好ましくは、式(I)の化合物のR2基は、式CHC(O)NHのアミド基を含むヒドロカルビル基である。
【0073】
最も好ましくは、式(I)の化合物のR1基は、式COOHのカルボニル基を含むヒドロカルビル基である。
【0074】
本発明のいくつかの態様では、1又は複数のヒドロカルビル基は独立して、1又は複数のオキシヒドロカルビル基から選択することができる。
【0075】
オキシヒドロカルビル
本明細書において使用される「オキシヒドロカルビル」基との用語は、少なくともC、H及びOを含み、場合によって1又は複数の他の適切な置換基を含んでもよい基を意味する。このような置換基の例には、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、アルキル基、環式基などが含まれうる。置換基が環式基であってよいことに加えて、置換基の組合せが、環式基を形成してもよい。オキシヒドロカルビル基が1個を上回るCを含む場合には、これらの炭素は相互に必ずしも結合していなくてもよい。例えば、少なくとも2個の炭素が、適切な元素又は基を介して結合していてもよい。したがって、オキシヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含有してもよい。適切なヘテロ原子は、当技術分野の専門家には明らかであり、例えば、イオウ及び窒素を含む。
【0076】
本発明の一実施形態では、オキシヒドロカルビル基は、オキシ炭化水素基である。
【0077】
この場合、「オキシ炭化水素」との用語は、直鎖、分枝鎖又は環式であってよいアルコキシ基、オキシアルケニル基、オキシアルキニル基又はオキシアリール基のいずれか1つを意味する。オキシ炭化水素との用語にはさらに、場合によって置換されている基も含まれる。オキシ炭化水素が、置換基を有する分枝鎖構造である場合、その置換は、炭化水素主鎖か、分枝鎖の上であってよいか;或いは、置換は、炭化水素主鎖と分枝鎖との上であってよい。
【0078】
立体及び幾何異性体
本発明の化合物/薬剤のうちの数種は、立体異性体及び/又は幾何異性体として存在しうる。例えば、これらは、1又は複数の不斉及び/又は幾何中心を有することがあり、したがって、2種又はそれ以上の立体異性体及び/又は幾何形態で存在しうる。本発明は、これらの化合物の個々の立体異性体及び幾何異性体並びにこれらの混合物すべての使用を考えている。請求項中において使用されている用語は、前記形態が適切な機能活性を保持しているならば(同じ程度である必要はないが)、これらの形態を包含する。
【0079】
溶媒和物
さらに本発明は、本発明の化合物/薬剤の溶媒和物形態の使用を含む。請求項中において使用されている用語は、これらの形態を包含する。
【0080】
プロドラッグ
前記のように、さらに本発明は、本発明の化合物/薬剤のプロドラッグ形態の使用を含む。請求項中において使用されている用語は、これらの形態を包含する。プロドラッグの例には、一定の保護基を有し、そのままでは薬理学的活性を有しなくてもよいが、一定の条件下では、投与(経口又は非経口など)された後に、体内で代謝されて、薬理学的に活性な本発明の化合物を生じる実体が含まれる。
【0081】
例えば、"Design of Prodrugs", H. Bundgaard, Elsevier, 1985(この開示は、参照により本明細書に援用される)に記載されているような「プロ成分(pro-moiety)」として知られている一定の成分を、本発明の化合物の適切な官能基に置くこともできることは認められるであろう。このようなプロドラッグも、本発明の範囲内に含まれる。
【0082】
本発明によるプロドラッグの例は次のものである:
【0083】

【0084】
このプロドラッグは、活性化のために光を必要とする。
【0085】
模倣物質
本発明の一実施形態では、化合物/薬剤は、模倣物質であってよい。
【0086】
本明細書において使用する場合、「模倣物質」との用語は、これらに限られないが、参照薬剤と同じ質的活性又は作用を有するペプチド、ポリペプチド、抗体又は他の有機化学物質を含む化学物質に関する。
【0087】
好ましい実施形態では、化合物は、NAADPのニコチン基の模倣物質であり、前記NAADPは、式(II)を有する。
【0088】
化学誘導体
本発明の一実施形態では、化合物/薬剤は、誘導体であってよい。
【0089】
本明細書において使用する「誘導体」との用語には、化合物/薬剤の化学的修飾が含まれる。このような化学修飾の例は、ハロ基、アルキル基、アシル基又はアミノ基による水素の置換であろう。
【0090】
化学修飾
本発明の一実施形態では、化合物/薬剤は、化学的に修飾された化合物/薬剤であってよい。
【0091】
化合物/薬剤の化学的修飾により、薬剤とターゲットとの水素結合相互作用、電荷相互作用、疎水相互作用、ファンデルワールス相互作用又は双極子相互作用を増強又は低減することができる。
【0092】
一般的なアッセイ技術
一態様では、本発明により同定された化合物/薬剤は、他の化合物を開発するためのモデル(例えば、テンプレート)として作用しうる。このような試験において使用される化合物/薬剤は、溶液中で遊離であってよいか、固体支持体に付着させることができるか、細胞表面に担持させることができるか、細胞内に位置してよい。試験される化合物と薬剤との結合複合体の活性喪失又は形成を、測定することができる。
【0093】
本発明のアッセイはスクリーニングであってもよく、それによって多くの薬剤が試験される。一態様では、本発明のアッセイ方法は、高処理量スクリーニングである。
【0094】
薬物スクリーニングに関する技術は、1984年9月13日に刊行されたGeysenの欧州特許第84/03564号明細書に記載されている方法をベースとすることができる。まとめると、数多くの様々な小ペプチド試験化合物を、プラスチック製のピン又はいくつかの他の表面などの固体支持体上で合成する。ペプチド試験化合物を、適切な化合物又はその断片と反応させ、洗浄する。次いで、結合した実体を、当技術分野でよく知られている適切に適合された方法などにより検出する。精製された化合物を、薬物スクリーニング技術において使用するためのプレートに直接コーティングすることができる。或いは、非中和抗体を使用して、ペプチドを捕捉し、固体支持体の上にそれを固定化することができる。
【0095】
さらに本発明は、競合薬物スクリーニングアッセイの使用も意図しており、化合物/薬剤と結合しうる中和抗体は特に、本発明による化合物との結合に関して、試験化合物と特異的に競合する。
【0096】
スクリーニングのための他の技術は、その物質に対して適切な結合親和性を有する化合物/薬剤の高処理量スクリーニング(HTS)を可能にし、国際公開第84/03564号パンフレットに詳述されている方法をベースとしている。
【0097】
本発明のアッセイ方法は、試験化合物の小規模及び大規模スクリーニングの両方に、さらには定量アッセイに適していると考えられる。
【0098】
宿主細胞
本発明に関して、「宿主細胞」との用語には、NAADP受容体などのターゲットを本発明の化合物/薬剤のために含んでもよい細胞が含まれる。
【0099】
したがって、宿主細胞を、本発明のターゲットであるか、それを発現するポリヌクレオチドで形質転換するか、トランスフェクションすることができる。好ましくは、前記ポリヌクレオチドは、ターゲットであるか、ターゲットを発現しうるポリヌクレオチドを複製及び発現するためのベクターに担持される。前記ベクターと相容性であるように、細胞を選択するが、これは例えば、前核細胞(例えば、細菌)、真菌、酵母又は植物細胞であってよい。
【0100】
グラム陰性菌大腸菌は、異種遺伝子発現のための宿主として広く使用されている。しかしながら、大量の異種タンパク質は、細胞内部に蓄積する傾向がある。大腸菌細胞内タンパク質のバルクから所望のタンパク質を後で精製することは場合によっては、困難である。
【0101】
大腸菌とは異なり、バチルス族からの細菌は、培地へとタンパク質を分泌することができるので、異種宿主として非常に適している。宿主として適している他の細菌は、ストレプトマイセス及びシュードモナス属からのものである。
【0102】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの性質及び/又は発現されるタンパク質のさらなる処理に関する要望に応じて、酵母又は他のカビなどの真核宿主が好ましいこともある。通常、酵母細胞のほうが、カビ細胞よりも好ましい。それというのも、これらは、操作が容易であるためである。しかしながら、数種のタンパク質は、酵母細胞からはわずかしか分泌されないか、場合によっては、適正に処理されない(例えば、酵母中での高グリコシル化)。これらの例では、異なるカビ宿主生物を選択すべきである。
【0103】
本発明の範囲内の適切な発現宿主の例は、アスペルギルス種(欧州特許出願公開第0184438号明細書及び欧州特許出願公開第0284603号明細書に記載されているものなど)及びトリコデルマ種などのカビ;バチルス種(欧州特許出願公開第0134048号明細書及び欧州特許出願公開第0253455号明細書に記載されているものなど)、ストレプトミセス種及びシュードモナス種などの細菌;並びにクルイベロミセス種(欧州特許出願公開第0096430号明細書及び欧州特許出願公開第0301670号明細書)及びサッカロミセス種などの酵母である。例えば、典型的な発現宿主は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニガー バー・ツベニシス(Aspergillus niger var. tubigenis)、アスペルギルス・ニガー バー・アワモリ(Aspergillus niger var. awamori)、アスペルギルス・アクレアチス(Aspergillus aculeatis)、アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・オルザエ(Aspergillus orvzae)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、クロヴェロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)及びサッカロマイセス・セレビシエから選択することができる。
【0104】
本発明の組換え発現産物に最適な生物学的活性を与えることが必要な場合には、酵母、カビ及び植物宿主細胞などの適切な宿主細胞を使用することにより、翻訳後修飾(例えば、ミリストイル化、グリコシル化、短縮、ラピデーション(lapidation)及びチロシン、セリン又はトレオニンリン酸化)することができる。
【0105】
生物
本発明に関して、「生物」との用語には、本発明によるターゲット及び/又はそれから得られる産物を有しうる生物が含まれる。生物の例には、カビ、酵母又は植物が含まれうる。
【0106】
本発明に関して、「トランスジェニック生物」との用語には、発明によるターゲット及び/又はそれから得られる産物を含む生物が含まれる。
【0107】
宿主細胞/宿主生物の形質転換
前記したように、宿主生物は、前核生物でも真核生物でもよい。適切な前核宿主の例には、大腸菌及び枯草菌が含まれる。前核宿主の形質転換に関する教示は、当技術分野でよく記録されており、例えば、Sambrook et al (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition, 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press)及びAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1995), John Wiley & Sons. Inc.参照。
【0108】
前核細胞宿主を使用する場合には、ヌクレオチド配列を適切に修飾した後に、イントロンの除去などによる形質転換が必要であることもある。
【0109】
他の実施形態では、トランスジェニック生物は、酵母であってもよい。これに関連して、酵母はさらに、異種遺伝子発現のためのビヒクルとしても幅広く使用されている。サッカロマイセス・セレビシエ種は、異種遺伝子発現に関するその使用を含む工業使用において長い歴史を有する。サッカロマイセス・セレビシエでの異種遺伝子の発現は、Goodey et al (1987, Yeast Biotechnology, D R Berry et al, eds, pp401-429, Allen and Unwin, London)及びKing et al (1989, Molecular and Cell Biology of Yeasts, E F Walton and G T Yarronton, eds, pp107-133, Blackie, Glasgow)により総説されている。
【0110】
いくつかの理由により、サッカロマイセス・セレビシエは、異種遺伝子発現に介して十分に適している。第1に、これは、ヒトに対して非病原体であり、特定の内毒素を産生することはない。第2に、これは、市場利用の数百年にわたって様々な目的のために安全に使用された長い歴史を有する。このことは、幅広い一般容認性をもたらしている。第3に、この生物に関する広い市場用途及び研究により、遺伝学及び生理学に関して、さらに、サッカロマイセス・セレビシエの大規模発酵特性に関して豊富な知識が得られている。
【0111】
サッカロマイセス・セレビシエにおける異種遺伝子発現の原理及び遺伝子産物の分泌の総説は、E Hinchcliffe E Kenny (1993, "Yeast as a vehicle for the expression of heterologous genes", Yeasts, Vol 5, Anthony H Rose and J Stuart Harrison, eds, 2nd edition, Academic Press Ltd)により得られる。
【0112】
その維持のために宿主ゲノムとの組換えを必要とする組み込みベクター及び自律複製プラスミドベクターを含む、酵母ベクターのうちのいくつかのタイプを利用することができる。
【0113】
トランスジェニックサッカロミセスを調製するためには、ヌクレオチド配列を、酵母中での発現のために設計されたコントラクトに挿入することにより、発現コントラクトを調製する。異種発現のために使用されるコントラクトのうちのいくつかのタイプが開発されている。それらのコントラクトは、ヌクレオチド配列に融合された酵母中で活性なプロモーターが含まれ、通常は、GAL1プロモーターなどの酵母由来のプロモーターが使用される。通常、SUC2シグナルペプチドをコードする配列などの酵母由来のシグナル配列が使用される。酵母中で活性なターミネーターが発現系を終了させる。
【0114】
酵母を形質転換するために、いくつかの形質転換プロトコルが開発されている。例えば、Hinnen et al (1978, Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA 75, 1929); Beggs, JD (1978, Nature, London, 275, 104)及びIto, H et al (1983, J Bacteriology 153, 163-168)の教示に従うと、本発明によるトランスジェニックサッカロミセスを調製することができる。
【0115】
様々な選択マーカーを使用して、形質転換された酵母細胞を選択する。形質転換のために使用されるマーカーには、いくつかのLEU2、HIS4及びTRP1などの栄養素要求性マーカー並びにアミノグリコシド抗生物質マーカー、例えばG418などの優性抗生物質抵抗性マーカーがある。
【0116】
他の宿主生物は、植物である。遺伝子修飾された植物の構築における基本的な原理は、遺伝情報を植物ゲノムに挿入して、挿入された遺伝物質の安定な維持を得ることである。遺伝情報を挿入することに関して、いくつかの技術が存在し、その際、2つの主要な原理は、遺伝情報の直接的な導入及びベクター系を使用することによる遺伝情報の導入である。一般的な技術の総説は、Potrykus (Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol [1991] 42: 205-225)及びChristou (Agro-Food-Industry Hi-Tech March/April 1994 17-27)による論文に見ることができる。植物形質転換に関するさらなる教示を、欧州特許出願公開第0449375号明細書に見ることができる。
【0117】
したがって、さらに本発明は、ターゲットであるか、ターゲットを発現しうるヌクレオチド配列で宿主細胞を形質転換する方法を提供する。ヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、コードされるタンパク質の発現に適した条件下で培養することができる。組換え細胞により生じたタンパク質は、細胞表面で示されうる。望ましい場合には、当技術分野の専門家には理解されるであろうが、コード配列を含む発現ベクターを、特定の前核細胞又は真核細胞膜を介してコード配列の分泌を指示するシグナル配列と共に設計することができる。他の組換え構成は、コード配列を、可溶性タンパク質の精製を容易にするポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列につなぐことができる(Kroll DJ et al (1993) DNA Cell Biol 12: 441-53)。
【0118】
発現ベクター
ターゲットとして使用するか、ターゲットを発現するためのヌクレオチド配列を、複製可能な組換えベクターに導入することができる。
【0119】
ベクターを使用して、相容性の宿主細胞中で、及び/又はそこから、ヌクレオチド配列を複製及び発現させることができる。プロモーター/エンハンサー及び他の発現調節シグナルを含む対照配列を使用して、発現を制御することができる。前核プロモーター及び真核細胞で機能するプロモーターを使用することもできる。組織特異的又は刺激特異的プロモーターを使用することもできる。前記2個又はそれ以上の異なるプロモーターからの配列要素を含むキメラプロモーターを使用することもできる。
【0120】
使用される配列及び/又はベクターに応じて、ヌクレオチド配列の発現により宿主組換え細胞により産生されるタンパク質は、分泌されるか、細胞内に保持されうる。コード配列を、特定の前核細胞又は真核細胞膜を介しての配列コード物質の分泌を指示するシグナル配列と共に設計することもできる。
【0121】
融合タンパク質
例えば、抽出及び精製を容易にするために、ターゲットアミノ酸配列は、融合タンパク質として生じさせることができる。融合タンパク質パートナーの例には、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6xHis、GAL4(DNA結合及び/又は転写活性ドメイン)及び(−ガラクトシダーゼが含まれる。融合タンパク質配列の除去を可能にするために、融合タンパク質パートナーと、該当するタンパク質配列の間に、前核細胞分離部位が含まれていると、便利である。好ましくは、融合タンパク質は、ターゲットの活性を妨害しない。
【0122】
融合タンパク質は、本発明の物質に融合する抗原又は抗原決定基を含んでもよい。この実施形態では、融合タンパク質は、免疫系の全身刺激をもたらすという意味においてアジュバントとして作用しうる物質を含む、天然には生じない融合タンパク質であってもよい。抗原又は抗原決定基は、物質のアミノ又はカルボキシ末端に結合しうる。
【0123】
本発明の他の実施形態では、アミノ酸配列を、融合タンパク質をコードする異種配列に結合させることもできる。例えば、物質活性に影響を及ぼしうる薬剤に関してペプチドライブラリをスクリーニングするために、市販の抗体により認識される異種エピトープを発現するキメラ物質をコードすることは、有用である。
【0124】
リポーター
幅広いリポーターを、簡便に検出可能なシグナル(例えば分光学)をもたらす好ましいリポーターと共に、本発明のアッセイ方法(さらにスクリーニング)において使用することができる。例えば、Pharmacia Biotech (Piscataway、NJ)、Promega (Madison、WI)及びUS Biochemical Corp (Cleveland、OH)などのいくつかの会社が、アッセイ手順のための市販キット及びプロトコルを供給している。適切なリポーター分子又は標識には、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発酵剤又は発色剤、さらに、基質、補因子、阻害剤、磁気粒子などが含まれる。このような標識の使用を教示している特許には、米国特許A第3817837号明細書;米国特許A第3850752号明細書;米国特許A第3939350号明細書;米国特許A第3996345号明細書;米国特許A第4277437号明細書;米国特許A第4275149号明細書;及び米国特許A第4366241号明細書が含まれる。
【0125】
アッセイ方法
さらなる態様では、本発明は、細胞内カルシウム放出を調節する薬剤を同定するためのアッセイ法に関し、この方法は、(a)薬剤を用意するステップと;(b)NAADP受容体を用意するステップと;(c)前記薬剤とNAADP受容体とを接触させるステップと;(d)細胞内カルシウム放出のレベルを測定するステップとを含み、(i)薬剤の存在下での細胞内カルシウム放出のレベルと;(ii)薬剤不在下での細胞内カルシウム放出のレベルとの差が、細胞内カルシウム放出を調節し、ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出の調節;哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクの調節;脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療;ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療;哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療の1又は複数において使用することができる薬剤を示す。
【0126】
薬剤
前記のように、本発明のアッセイ法を使用して、細胞内カルシウム放出を調節する1又は複数の薬剤を同定することができる。
【0127】
前記のように、「薬剤」との用語は、単一の実体又は実体の組合せに関してよい。
【0128】
薬剤は、有機化合物又は他の化学物質であってよい。薬剤は、天然でも人工でもよいが、適切な源から得られるか、産生される化合物であってよい。
【0129】
薬剤は、アミノ酸分子、ポリペプチド又はその化学誘導体或いはこれらの組合せであってよい。
【0130】
薬剤は、センス又はアンチセンス分子であってもよいポリヌクレオチド分子であってもよい。
【0131】
薬剤は、抗体でも、その一部であってもよい。
【0132】
薬剤は、ペプチド、さらに有機小分子などの他の化合物を含んでもよい化合物ライブラリから設計されるか、得られる。
【0133】
例えば、薬剤は、天然物質、例えば細菌、カビ又は動物(特に哺乳動物)細胞又は組織など生物学的材料から製造された生体高分子又は抽出物、有機又は無機分子、合成薬、半合成薬、構造的又は機能的模倣物質、ペプチド、ペプチド模倣物質、誘導化剤、全タンパク質から分離されたペプチド、合成により合成されたペプチド(例えばペプチドシンセサイザを使用して、又は組換え技術などにより)又はこれらの組合せ、組換え剤、抗体、天然又は非天然薬剤、融合タンパク質又はその同等物並びにその突然変異、誘導体又は組合せであってよい。
【0134】
薬剤は、有機化合物であってよい。通常、有機化合物は、2つ又はそれ以上のヒドロカルビル基を含んでもよい。この場合、「ヒドロカルビル基」との用語は、少なくともC及びHを含み、場合によって、1又は複数の他の適切な置換基を含んでもよい基を意味する。このような置換基の例には、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−、アルキル基、環式基などが含まれる。置換基が環式基であってよいことに加えて、置換基の組合せが、環式基を形成してもよい。ヒドロカルビル基が1個を超えるCを含む場合、これらの炭素は、必ずしも相互に結合していなくてもよい。例えば、少なくとも2個の炭素が、適切な元素又は基を介して結合していてもよい。したがって、ヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含んでもよい。適切なヘテロ原子は、当技術分野の専門家には明らかであろうが、例えば、イオウ、窒素及び酸素である。薬剤は、少なくとも1個の環式基を含んでもよい。環式基は、非縮合多環式基などの多環式基であってもよい。薬剤は、他のヒドロカルビル基に結合している少なくとも1個の前記環式基を含んでもよい。
【0135】
薬剤は、ハロ基を含んでもよい。
【0136】
薬剤は、1又は複数のアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキレン及びアルケニレン基を含んでもよく、これらは、非分枝鎖でも分枝鎖でもよい。
【0137】
薬剤は、酸付加塩又は塩基塩などの薬学的に許容できる塩或いはその水和物を含む溶媒和物の形態であってもよい。適切な塩に関する総説に関しては、Berge et al, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19参照。
【0138】
薬剤は、他の治療特性を示すこともある。
【0139】
薬剤を、1又は複数の他の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて使用することもできる。
【0140】
特に好ましい態様では、薬剤は、細胞透過性であり、約500未満の相対分子量を有し;NAADPのニコチン基の模倣物質であり、前記NAADPは、下式を有する:
【0141】


(II)
【0142】
活性成分の組合せを投与する場合には、これらを、同時に、別々に、連続して投与することができる。
【0143】
薬学的塩
本発明の化合物及び/又は薬剤は、薬学的に許容できる塩として投与することができる。通常、薬学的に許容できる塩は、適切に所望の酸又は塩基を使用して容易に調製することができる。この塩は、溶液から沈殿させることができ、濾過により集めるか、溶媒の蒸発により回収することができる。
【0144】
薬学的に許容できる塩は、当技術分野の専門家にはよく知られており、例えば、Berge et al, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19(1977)に挙げられているものが含まれる。適切な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から生じ、それには、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩が含まれる。
【0145】
1又は複数の酸性部分が存在する場合には、適切な薬学的に許容できる塩基付加塩を、非毒性塩を形成する塩基から生じさせることができ、これらには、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛及びジエタノールアミンなどの薬学的に活性なアミンの塩が含まれる。
【0146】
本発明の化合物及び/又は薬剤は、多形で存在しうる。
【0147】
加えて、本発明の化合物及び/又は薬剤は、1又は複数の不斉炭素原子を含有することがあり、したがって、2種又はそれ以上の立体異性形で存在する。化合物及び/又は薬剤がアルケニル又はアルケニレン基を含む場合には、シス(E)及びトランス(Z)異性が生じることもある。本発明は、化合物及び/又は薬剤の個々の立体異性体並びに適切な場合には、その個々の互変異性形をそれらの混合物と共に含む。
【0148】
ジアステレオ異性体或いはシス及びトランス異性体の分離は、慣用の技術により、例えば、薬物又はその適切な塩又は誘導体の立体異性体混合物の分別結晶化、クロマトグラフィー又はHPLCにより達成することができる。化合物及び/又は薬剤の個々の鏡像異性体を、対応する光学的に純粋な中間体からか、適切なキラル支持体を使用して対応するラセミ化合物をHPLC処理することによるか、対応するラセミ化合物と適切な光学活性な酸又は塩基とを適切に反応させることにより生じるジアステレオ異性体塩を分別結晶化することなどによる分離により調製することもできる。
【0149】
本発明はさらに、化合物及び/又は薬剤或いはその薬学的に許容できる塩の適切な同位体バリエーションのすべてを含む。本発明の化合物及び/又は薬剤或いはその薬学的に許容できる塩の同位体バリエーションは、その中の少なくとも1個の原子が、同じ原子番号を有するが、自然界に通常は見いだされる原子質量とは別の原子質量を有する原子で置換されているものと定義される。本発明の化合物及び/又は薬剤或いはその薬学的に許容できる塩に導入することができる同位体の例には、それぞれH、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F及び36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、イオウ、フッ素及び塩素の同位体が含まれる。化合物及び/又は薬剤或いはその薬学的に許容できる塩の一定の同位体バリエーション、例えば、H又は14Cなどの放射性同位体がその中に導入されているものは、薬物及び基質組織分布研究で役立つ。調製及び検出可能性の簡単さにおいて、トリチウム化、即ちH及び炭素−14、即ち14C同位体が特に好ましい。さらに、ジュウテリウム、即ちHなどの同位体での置換は、より高い代謝安定性から生じる一定の治療的利点をもたらし、例えば、in vivo半減期を高めるか、用量必要量を減らすので、場合によっては、好ましいことがある。本発明の化合物及び/又は薬剤並びにそれらの薬学的に許容できる塩の同位体バリエーションは通常、適切な試薬の適切な同位体バリエーションを使用する慣用の手順により調製することができる。
【0150】
本発明は、本発明の化合物及び/又は薬剤の良性イオン形の使用も含む(適切な場合に)。
【0151】
請求項中において使用される用語は、前記形態を1又は複数包含する。
【0152】
処方物
当技術分野で知られている技術を使用して1又は複数の適切な担体、希釈剤又は賦形剤と混合することなどにより、本発明の成分を薬剤組成物に処方することができる。
【0153】
薬剤組成物
本発明は、治療的有効量の1又は複数の本発明の化合物及び/又は薬剤並びに薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤(これらの組合せを含む)を含む薬剤組成物を提供する。
【0154】
薬剤組成物は、ヒト医学及び獣医学におけるヒト又は動物で利用するためであってよく、通常、1又は複数の薬学的に許容できる希釈剤、担体又は賦形剤のいずれかを含有する。治療用途のために許容できる担体又は希釈剤は、薬学分野でよく知られており、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。薬学的担体、賦形剤又は希釈剤の選択は、所定の投与経路及び標準的な薬学的実施に関して選択することができる。薬剤組成物は、担体、賦形剤又は希釈剤として、又はそれらに加えて、適切な結合剤、滑剤、懸濁剤、コーティング剤、可溶化剤を含有してもよい。
【0155】
適切な担体の例には、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが含まれる。適切な希釈剤の例には、エタノール、グリセロール及び水が含まれる。
【0156】
適切な結合剤の例には、デンプン、ゼラチン、グルコースなどの天然の糖、無水ラクトース、フリーフローラクトース、ベータラクトース、トウモロコシ甘味料、アラビアゴム、トラガカント又はアルギン酸ナトリウムなどの天然及び合成ゴム、カルボキシメチルセルロース及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0157】
適切な滑剤の例には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。
【0158】
防腐剤、安定剤、染料、さらに香料を薬剤組成物に加えることもできる。防腐剤の例には、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが含まれる。抗酸化剤及び懸濁剤を使用することもできる。
【0159】
様々な輸送系に応じて、様々な組成物/処方物要求が存在しうる。例えば、本発明の薬剤組成物は、ミニポンプを使用して、又は粘膜経路により、例えば、鼻スプレー又は吸入のためのエアロゾル又は摂取可能な溶液として、又は輸送のために、組成物を注射可能な形態により処方する非経口で、例えば、静脈内、筋肉内、皮下経路により投与されるように処方することができる。或いは、処方物を、いくつかの経路により投与するように設計することもできる。
【0160】
組成物を胃腸粘膜を介して粘膜投与すべき場合には、胃腸管を通過する間に安定なままでなければならない;例えば、タンパク分解に対して耐性を有し、酸性pHで安定であり、胆汁の界面活性作用に対して耐性を有さなければならない。
【0161】
適切な場合には、薬剤組成物を吸入により、座薬又はペッサリーの形態で、局所的にローション、溶液、クリーム、軟膏又は散布剤の形態で、皮膚パッチの使用により、経口でデンプン又はラクトースなどの賦形剤を含有する錠剤の形態で、又は単独か、賦形剤と混合されているカプセル又は膣座剤で、又は、香料又は着色剤を含有するエリキシル、溶液又は懸濁液の形態で投与することができるか、これらは、非経口で、例えば、静脈内又は筋肉内又は皮下注射することができる。非経口投与では、組成物を、他の物質、例えば、血液と等張性の溶液をもたらすために十分な塩又は単糖を含有してもよい無菌の水溶液の形態において使用することが最良である。頬又は舌下投与では、組成物を、慣用の方法で処方することができる錠剤又はロゼンジの形態で投与することができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、1又は複数の化合物及び/又は薬剤を、シクロデキストリンと組み合わせて使用することもできる。シクロデキストリンは、薬物分子と包接複合体及び非包接複合体を形成することが知られている。薬物−シクロデキストリン複合体の形成により、薬物分子の可溶性、溶解速度、生物学的利用率及び/又は安定特性が調節されうる。薬物−シクロデキストリン複合体は通常、多くの剤形及び投与経路において使用することができる。薬物との直接的な複合化の代わりに、シクロデキストリンを、補助添加物として、例えば、担体、希釈剤又は可溶化剤として使用することもできる。α−、β−及びγ−シクロデキストリンが、最も一般に使用されており、適切な例は、国際公開A第91/11172号パンフレット、国際公開A第94/02518号パンフレット及び国際公開A第98/55148号パンフレットに記載されている。
【0163】
薬剤組成物は、1又は複数の付加的な薬学的に活性な化合物及び/又は薬剤を含有してもよい。
【0164】
化学的合成方法
本発明の化合物及び/又は薬剤を、化学的合成技術により調製することができる。
【0165】
本発明の化合物及び/又は薬剤を合成する間、不安定な官能基を保護及び脱保護する必要があることは、当技術分野の専門家には明らかであろう。このことは、例えば、"Protective Groups in Organic Synthesis", T W Greene and P G M Wuts, John Wiley and Sons Inc. (1991)及びP. J. Kocienskiによる"Protecting Groups", Georg Thieme Velag (1994)に記載されている慣用の技術により達成することができる。
【0166】
いくつかの反応の間、一定の条件下では、例えば、塩基反応性基を含む光学中心を有する基質との反応で、塩基を使用すると、存在する立体中心をエピマー化されうる。当技術分野でよく知られている反応順序、条件、試薬、保護/脱保護レジームなどを選択することにより、このような起こりうる問題を回避することができるはずである。
【0167】
本発明の化合物/薬剤及び塩を、慣用の方法により分離及び精製することができる。
【0168】
治療
「治療」との用語と同様に、「療法」との用語には、治癒効果、緩和効果及び予防効果が含まれる。
【0169】
好ましくは、治療との用語には、少なくとも治癒的治療及び/又は待機的治療が含まれる。
【0170】
治療は、ヒト又は動物に施すことができる。
【0171】
一態様では、本発明は、疾患を治療するための医薬品の製造における式(I)の化合物(式中、R1は、カルボニル基を有し;R2はヒドロカルビル基であり;場合によって、前記環は、さらに置換されている)又はその薬学的に許容できる塩の使用に関する。
【0172】
組合せ薬剤
本発明の化合物/薬剤を、1又は複数の他の薬学的に活性な薬物などの1又は複数の他の活性な薬剤と組み合わせて使用することもできる。
【0173】
投与
本発明の成分を単独で投与することもできるが、通常は、例えば、成分が、所定の投与経路及び標準的な薬学的実施に関して選択された適切な薬学的賦形剤、希釈剤又は担体と混合されている場合には、薬剤組成物として投与することができる。
【0174】
例えば、即時、遅延、調節、持続、パルス性又は制御放出適用のための、香料又は着色剤を含有してもよい錠剤、カプセル、膣座剤、エリキシル、溶液又は懸濁液の形態で、組成物を投与することができる(例えば経口又は局所で)。
【0175】
薬剤組成物が錠剤である場合、錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム及びグリシンなどの賦形剤、デンプン(好ましくは、トウモロコシ、馬鈴薯又はタピオカデンプン)、グリコール酸ナトリウムデンプン、クロスカルメロースナトリウムなどの崩壊剤及び一定の複合体ケイ酸塩及びポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン及びアラビアゴムなどの顆粒結合剤を含有してもよい。付加的に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル及びタルクなどの滑剤が含まれていてもよい。
【0176】
同様のタイプの固体組成物を、ゼラチンカプセル中の充填剤として使用することもできる。これに関して好ましい賦形剤には、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖、又は高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液及び/又はエリキシルでは、化合物/薬剤を様々な甘味料又は着香剤、着色料又は染料と、乳化剤及び/又は懸濁剤と、水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリンなどの希釈剤、並びにこれらの組合せと組み合わせることができる。
【0177】
投与(輸送)経路には、これらに限られないが、経口(例えば、錠剤、カプセル又は摂取可能な溶液として)、局所、粘膜(例えば、鼻スプレー又は吸入用のエアロゾルとして)、鼻、非経口(例えば、注射形態により)、胃腸管、脊髄内、腹腔内、筋肉内、静脈内、子宮内、眼内、真皮内、頭蓋内、気管内、膣内、脳室内、大脳内、皮下、眼(硝子体内又は房内を含む)、経皮、直腸、頬、膣、硬膜外、舌下のうちの1又は複数が含まれる。
【0178】
組成物が1種を上回る化合物/薬剤を含有する場合、薬剤のすべての成分を、同じ経路で投与する必要はないことは理解されるであろう。同様に組成物が1種を上回る活性成分を含有する場合、これらを、異なる経路で投与することができる。
【0179】
本発明の成分を非経口で投与する場合、このような投与の例には、成分の静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内又は皮下投与及び/又は注入技術の1又は複数の使用が含まれる。
【0180】
非経口投与では、他の物質、例えば、溶液を血液と等張性にするために十分な塩又はグルコースを含有してもよい無菌水溶液の形態で、成分を使用するとよい。水溶液は、必要な場合には、適切に緩衝されるべきである(好ましくは、3から9のpHに)。当技術分野の専門家によく知られている標準的な薬学的技術により、無菌条件下での適切な非経口処方物の調製を容易に行うことができる。
【0181】
前記のように、本発明の成分を鼻腔内又は吸入により投与することができ、簡便には、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134A(商標))又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227EA(商標))などのヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素又は他の最適なガスを使用する加圧容器、ポンプ、スプレー又はネブライザーから、乾燥粉末吸入器又はエアロゾルスプレー形態で輸送する。加圧エアロゾルの場合には、計測された量を輸送するバルブを用意することにより、用量単位を決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレー又はネブライザーは、活性化合物の溶液又は懸濁液を含有してよく、例えば、付加的に滑剤、例えばトリオレイン酸ソルビタンを含有してもよい溶媒としてのエタノールと噴射剤との混合物を使用する。吸入器又は注入器において使用するためのカプセル及びカートリッジ(例えばゼラチン製)を、薬剤とラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含有するように処方することができる。
【0182】
或いは、本発明の成分を、座薬又はペッサリーの形態で投与することもできるし、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏又は散布剤の形態で局所施与することもできる。本発明の成分を、例えば、皮膚パッチを使用することにより、真皮又は経皮投与することもできる。これらを、肺又は直腸経路により投与することもできる。さらにこれらを、眼経路により投与することもできる。眼用途では、化合物/薬剤を、等張性でpH調節されている無菌生理食塩水中の超微粉砕懸濁液として、又は好ましくは、場合によっては塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤と組み合わされた等張性でpH調節されている無菌生理食塩水中の溶液として処方することができる。或いは、これらを、ワセリンなどの軟膏中に処方することもできる。
【0183】
皮膚への局所投与では、本発明の成分を、例えば、1又は複数の次のもの:鉱油、流動パラフィン、白色パラフィン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ろう及び水との混合物中に懸濁又は溶解されている1又は複数の活性化合物/薬剤を含有する適切な軟膏として処方することができる。或いは、これは、例えば1又は複数の次のもの:鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルろう、ケテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水の混合物に懸濁又は溶解されている適切なローション又はクリームとして処方することができる。
【0184】
本発明の好ましい実施形態では、薬剤組成物を経口投与する。
【0185】
用量レベル
通常、医師が、個々の対象に最も適しているであろう実際の用量を決定する。特定の患者に特異的な用量レベル及び投与頻度は変動し、使用される1又は複数の特異的化合物/薬剤の活性、その化合物/薬剤の代謝安定性及び作用期間、年齢、体重、全身健康、性別、食事、投与方法及び時間、排泄速度、薬物の組合せ、特定の状態の重度並びに個々に受ける治療を含む様々な因子に左右される。
【0186】
熟練した医師であれば、例えば、患者の年齢、体重及び状態に応じて、特定の患者に最適な投与経路及び用量を容易に決定することができるので、記載の投与経路及び用量は、単なるガイドとする。
【0187】
他の療法
本発明の化合物/薬剤すら組成物は、他の重要な医学的意味を有することもあることは理解されるであろう。
【0188】
例えば、本発明の化合物、組成物又は薬剤は、国際公開A第99/52890号パンフレットに挙げられている障害を治療する際に役立ちうる。
【0189】
加えて、又は或いは、本発明の化合物、組成物又は薬剤は、国際公開第A98/05635号パンフレットに挙げられている障害を治療する際に役立ちうる。参照を容易にするために、そのリストの一部をここに示す。II型糖尿病を含む糖尿病、肥満、がん、炎症又は炎症性疾患、皮膚障害、熱、心臓血管作用、出血、凝固及び急性相応答、悪液質、食欲不振、急性感染、HIV感染、ショック状態、移植片対宿主反応、自己免疫疾患、再灌流障害、髄膜炎、偏頭痛及びアスピリン依存性抗血栓症;腫瘍成長、浸潤及び展開、血管形成、転位、悪性腫瘍、腹水及び悪性胸水;脳虚血、虚血性心疾患、変形性関節症、関節リウマチ、骨粗鬆症、喘息、多発性硬化症、神経変性、アルツハイマー病、アテローム硬化症、脳卒中、脈管炎、クローン病及び潰瘍性大腸炎;歯周炎、歯肉炎;乾癬、アトピー性皮膚炎、慢性潰瘍、表皮水疱症;角膜潰瘍、網膜疾患及び外科手術創傷治癒;鼻炎、アレルギー性結膜炎、湿疹、アナフィラキシー;再狭窄、うっ血性心不全、子宮内膜症、アテローム硬化症又は内硬化症(endosclerosis)。
【0190】
加えて、又は或いは、本発明の化合物、組成物又は薬剤は、国際公開A第98/07859号パンフレットに挙げられている障害を治療する際に役立ちうる。参照を容易にするために、そのリストの一部をここに示す:サイトカイン及び細胞増殖/分化活性;免疫抑制又は免疫刺激活性(例えば、ヒト免疫不全ウイルス感染を含む免疫不全の治療;リンパ球成長の調節;がん及び多くの免疫疾患の治療及び移植拒絶を予防又は腫瘍免疫を誘発するために);血液新生の調節、例えば、骨髄又はリンパ球疾患の治療;骨、軟骨、腱、靱帯及び神経組織の成長の促進、例えば、創傷治癒、火傷、潰瘍及び歯周疾患及び神経変性の治療で;卵胞刺激ホルモンの阻害又は活性化(受精能の調節);走化性/ケモキネティック活性(例えば、損傷又は感染部位への特定細胞種の固定);止血及び血栓活性(例えば、血友病及び脳卒中を治療するために);抗炎症活性(例えば、敗血症ショック又はクローン病を治療するために);抗菌剤として;例えば代謝又は行動の調節剤;鎮痛薬として;特定の欠乏障害の治療;例えば乾癬の治療で、ヒト医学又は獣医学医薬品において。
【0191】
加えて、又は或いは、本発明の組成物は、国際公開A第98/09985号パンフレットに挙げられている障害を治療する際に役立ちうる。参照を容易にするために、そのリストの一部をここに示す:マクロファージ阻害及び/又はT細胞阻害活性、したがって抗炎症活性;抗免疫活性、即ち、炎症を伴わない応答を含む、細胞及び/又は体液性免疫応答に対する阻害作用;細胞外マトリックス成分及びフィブロネクチンに付着するマクロファージ及びT細胞の能力の阻害、さらに、T細胞でのfas受容体発現のアップレギュレーション;関節リウマチを含む関節炎、高過敏性を伴う炎症、アレルギー反応、喘息、全身エリテマトーデス、コラーゲン疾患及び他の免疫疾患、アテローム硬化症に随伴する炎症、動脈硬化、アテローム硬化性心疾患、再灌流障害、心拍停止、心筋梗塞、血管炎症障害、呼吸窮迫症候群又は他の心肺疾患、消化性潰瘍に随伴する炎症、潰瘍性大腸炎及び他の胃腸管疾患、肝線維症、肝硬変又は他の肝臓疾患、甲状腺炎又は他の腺疾患、腎炎又は他の腎及び泌尿器疾患、耳炎又は他の耳鼻咽喉疾患、皮膚炎又は他の皮膚疾患、歯周疾患又は他の歯科疾患、精巣炎又は睾丸副睾丸炎、不妊、睾丸(orchidal)外傷又は他の免疫関連精巣疾患、胎盤機能不全、胎盤不全、習慣性流産、子癇、子癇前症及び他の免疫及び/又は炎症関連婦人科学的疾患、後部ブドウ膜炎、中間ブドウ膜炎、前部ブドウ膜炎、結膜炎、脈絡網膜炎、ブドウ膜網膜炎、視神経炎、眼内炎症、例えば、網膜炎又は類嚢胞黄斑浮腫、交感性眼炎、強膜炎、色素性網膜炎、変性フォンダス(fondus)疾患の免疫及び炎症成分、眼外傷の炎症成分、感染により誘発された眼炎症、増殖性硝子体網膜症、急性虚血性視神経症、例えば緑内障濾過手術後の過剰瘢痕化、眼移植片に対する免疫及び/又は炎症反応及び他の免疫及び炎症関連眼疾患、自己免疫疾患に随伴する炎症、中枢神経系(CNS)又は他の臓器の両方において、免疫及び/又は炎症抑制が有効である状態又は疾患、パーキンソン病、パーキンソン病の治療からの合併症及び/又は副作用、AIDS関連認知症、複合HIV関連脳疾患、ドヴィック病、シデナム舞踏病、アルツハイマー病及び他の変性疾患、CNSの状態又は障害、脳卒中の炎症成分、小児麻痺後症候群、精神医学的障害の免疫及び炎症成分、脊髄炎、脳炎、亜急性硬化性全脳炎、脳心筋炎、急性ニューロパシー、亜急性ニューロパシー、慢性ニューロパシー、ギヤン−バレー症候群、シデナム舞踏病、重症筋無力症、偽脳腫瘍、ダウン症候群、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、CNS圧迫又はCNS外傷の炎症性成分又はCNS感染、筋萎縮及びジストロフィーの炎症性成分並びに免疫及び炎症関連疾患、中枢及び辺縁神経系の状態又は障害、外傷後炎症、敗血症ショック、感染病、手術、脊髄移植又は他の移植合併症の炎症性合併症又は副作用及び/又は例えば、ウイルス担体の感染による遺伝子治療の副作用、炎症性及び/又は免疫合併症及び副作用或いは、AIDSに随伴する炎症を含む望ましくない免疫反応及び炎症の阻害、体液性及び/又は細胞免疫応答の抑制又は阻害、単球又はリンパ球の量を減らすことによる単球又は白血球増殖性疾患、例えば白血病の治療又は緩和、角膜、骨髄、臓器、水晶体、ペースメーカー、天然又は人工皮膚組織などの天然又は人工細胞、組織及び臓器の移植の際の移植片拒絶の予防及び/又は治療。
【0192】
好ましい態様では、状態又は疾患は、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出の調節、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクの調節、
脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療
からなるリストから選択される。
【0193】
好ましい態様では、状態又は疾患は、
ヒト又は動物での自己免疫疾患(甲状腺炎、膵島炎、多発性硬化症、インベクティティス、睾丸炎、重症筋無力症、関節リウマチ又はエリテマトーデス)又は移植片拒絶又はII型糖尿病又は心不整脈の治療或いは免疫障害の治療又は予防
からなるリストから選択される。
【0194】
一般的な組換えDNA方法技術
他に記載のない限り、本発明は当技術分野の通常の専門家の能力の範囲内である化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の慣用の技術を使用する。このような技術は文献に説明されている。例えば、J. Sambrook, E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Books 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F. M. et al. (1995 and periodic supplements; Current Protocols in Molecular Biology, ch. 9, 13, and 16, John Wiley & Sons, New York, N. Y.); B. Roe, J. Crabtree, and A. Kahn, 1996, DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons; J. M. Polak and James O'D. McGee, 1990, In Situ Hybridization: Principles and Practice; Oxford University Press; M. J. Gait (Editor), 1984, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, Irl Press; 及びD. M. J. Lilley and J. E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology; DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology, Academic Press参照。これらの全般的なテキストの各々は本明細書に参照として援用される。
【0195】
次で、本発明を実施例を用いてさらに記載するが、これは、本発明を実施する際に、当技術分野の通常の専門家の助けとなることを意図したものであって、本発明の範囲を制限することを意図したものではまったくない。
【実施例】
【0196】
材料及び方法
薄層クロマトグラフィー(TLC)を、記載されている溶媒を用いてプレコーティングされているプレート(Merck TLC aluminum sheets silica 60 F254)で行った。UVランプを254nmにおいて使用して、化合物を検出した。Sorbisil c60シリカゲルを使用して、フラッシュクロマトグラフィーを実施した。
【0197】
H及び13C NMRスペクトルをJEOL GX270又は400分光計のいずれかで記録した。他に記載のない限り、化学シフトを残留プロトン化溶媒に対するppmで測定した。
【0198】
Reichert Jung Thermo Galen Koflerブロックを使用して、融点を決定し、修正しなかった。質量スペクトルを、マトリックス単体として3−ニトロベンジルアルコール(NBA)を用いる陽性及び陰性高速原子衝撃(FAB)を使用して、University of Bath Mass Spectrometry Serviceで記録した。
【0199】
細胞内カルシウムの測定
亜細胞フラクション:生理学的温度で、細胞ホモジネート又は亜細胞フラクションを蛍光計(Perkin-Elmer LS-50B)で506nm励起及び526nm発光において使用して、fluo-3(3μM)を用いて、カルシウム濃度を測定した。
【0200】
無損傷細胞:カルシウム反応性染料の注射又は加水分解エステル誘導体を、無損傷細胞中でレーザー走査共焦点顕微鏡(TCS NT、Leica)によりイメージングし、イメージを、ソフトウェアNIH Imageで処理して、各イメージ(F)を刺激前に得られたイメージ(Fo)で割ることにより自己比を生じさせた。
【0201】
一般的な反応スキーム
【0202】

[上式中、R1、R2及びR3は、前記と同様に定義される]。
【0203】
I ニコチン酸誘導体の調製
ニコチン酸メチルエステル
【0204】


メタノール(85mL)中のニコチン酸(5g、40.6mmol)及び濃硫酸(17mL)を14時間環流させた。次いで、水(50mL)を加え、この水溶液を飽和NaHCO(約300ml)で中和し、クロロホルム(3×50mL)で抽出し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下に蒸発させると、淡黄色の液体が得られ、これを放置すると、白書の固体(4.8g、88%)として結晶化し(融点34〜36℃)、これは、δ(400MHz,CDCl)9.23(1H,d,J 1.6,H2)、9.78(1H,dd,J 4.9及び1.6,H4)、8.29(1H,m,H6)、7.40(1H,m,H5)及び3.96(3H,s,CH)を示した。
【0205】
5−ブロモ−ニコチン酸メチルエステル(実施例1)
【0206】


5−ブロモ−ニコチン酸(300mg、1.5mmol)をメタノール(6ml)及び濃HSO(1.1ml)に加えた。次いで、この反応混合物を環流まで一晩加熱した。冷却した後に、濃NaHCO溶液約5mlを加えて、pHを7〜8に調節した。次いで、生成物をDCM(20ml)で抽出した。溶媒を除去すると、生成物が白色の固体として収率81%で得られた。
IR:3450、3047、1722、1577、1419、1311、1107、1016、955、764、688;H NMR(270MHz,CDCl):9.12(s,1H,H−2)、8.85(m,1H,H−6)、8.44(m,1H,H−4)、3.99(s,3H,CH);13C NMR(100.4MHz,CDCl):164.4(CO)、154.4(C2)、148.7(C6)、139.6(C4)、127.4(C3)、120.7(C5)、52.9(CH);MS:m/z(FAB)216.2(M)。
【0207】
ニコチン酸1−(2−ニトロ−フェニル)−エーテルエステル
【0208】


1−(2−ニトロフェニル)エタノール(618mg、3.7mmol)の無水ジクロロメタン(18mL)溶液に、ニコチン酸(500mg、4.1mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(838mg、4.1mmol)及びDMAP(45mg、0.37mmol)を加えた。反応を室温で一晩攪拌し、この後、尿素を濾過した。濾液をクロロホルム(20ml)で希釈し、飽和NaHCO(15ml)及びブライン(15mL)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下に蒸発させた。残留物をシリカゲル(ヘキサン:EtOAc 7:3)で精製すると、所望のエステルが淡黄色のオイル(910mg、81%)として得られ、これは、δ(270MHz,CDCl)9.16(1H,d,J 1.5,H2)、8.70(1H,dd,J 4.8及び1.8,H6)、8.21(1H,m,H)、7.88(1H,dd,J 8.4及び1.1,CH)、7.65(1H,dd,J 8.1及び1.8,H4)、7.56(1H,dt,J 7.5及び1.1,CH)、7.40〜7.30(2H,m,2×CH)、6.51(1H,q,J 6.4,CH)及び1.71(3H,t,J 6.4,CH)。δ(65MHz,CDCl)164.3(C=O)、153.2、150.7(両CH)、137.3(C)、137.0、133.6、128.5、126.9(全CH)、125.6(C)、124.4、123.3(両CH)、69.2(CH)及び21.9(CH)。1 C隠蔽。m/z[FAB]273.1(M+H,100%)[実測値273.0871 M+H。C1413の計算値273.0873]を示した。
【0209】
5−(4−メトキシ−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル
【0210】


5−ブロモ−ニコチン酸メチルエステル(153mg、0.7mmol)にトルエン(1.4ml)及び2MのNaCO(0.7ml)を加え、この懸濁液に、Pd(PPh(24mg)をN下に加えた。次いで、p−メトキシフェニルボロン酸(127.6mg)のメタノール(0.35ml)溶液を加えた。この反応混合物を激しく攪拌し、80℃に6時間加熱した。冷却した後に、粗製生成物をDCM(7ml)及び2MのNaCO(3.5ml+NH0.35ml)に分配した。有機層を除去すると、淡黄色の粗製生成物が得られ、次いでこれを、シリカゲルカラムで精製し、DCMで溶離した。白色の固体が収率41%で得られた。
IR:3036、2956、2844、1716、1609、1518、1443、1427、1309、1111、1026、841;H NMR(270MHz,CDCl):9.13(d,J=1.9,1H,H−2)、8.95(d,J=2.4,1H,H−6)、8.43(m,1H,H−4)、7.55(d,J=5.4,2H,ArH−2及び6)、7.03(d,J=5.4,2H,ArH−3及び5)、3.97(s,3H,CH)、3.86(s,3H,CH);13C NMR(100.4MHz,CDCl):165.6(CO)、160.1(ArC4)、151.4(C6)、148.7(C2)、136.1(C4)、134.7(C5)、129.0(ArC1)、128.3(ArC2及びC6)、125.9(C3)、114.7(ArC3及びC5)、55.6(OCH)、52.7(CH−CO);MS:m/z(FAB)244.3(M+1)。
【0211】
ニコチン酸(100mg、0.812mmol)及び有機ハロゲン化物(0.812mmol)を無水DMF(1.5ml)中で混合し、暗所で50℃で一晩攪拌し、その後、DMFを減圧下に蒸発させた。次いで、生じた生成物を再結晶化させると、対応するピリジニウム塩が得られた。
【0212】
II (ブロモアセチルアミド)アルキル化剤の調製
温度が0℃を上回らないように、−10℃で、アミン(3ml、24mmol)を、臭化2−ブロモアセチル(10ml、12mmol)の攪拌溶液に滴加した。反応が完了したら、冷水を加えて、沈殿した塩を溶かした。有機層を分離し、酢酸水溶液(20ml、1M)、NaOH水溶液(20ml、1M)及び最後に飽和ブラインで順次洗浄した。エーテルを除去した後に、粗製生成物をさらに精製することなく、そのままアルキル化のために使用した。再結晶化又はフラッシュクロマトグラフィーにより、分析データを得た。
【0213】
2−ブロモ−N,N−ジエチル−アセトアミド(2)
後処理の後に、無色のオイルが得られた。H NMR(CDCl):δ3.73(s,2H,−CHCO)3.25(q,4H,J=7.5Hz,−CHCH)、1.24(t,3H,J=7.5Hz,−CH)、1.03(t,3H,J=7.5Hz,−CH)。収率60%。データは、文献[1]と一致する。
【0214】
2−ブロモ−N−ブチル−アセトアミド(3)
この生成物は、室温で固体である。融点30℃。1HNMR(CDCl):δ6.65(brs,1H,NH)、3.81(s,2H,−CH2CO)、3.19(m,2H,N−CH2)、1.41(m,2H,−CH2 CH2)、1.25(m,2H,−CH2 CH3)、0.78(t,3H,−CH3)。収率76%、データは、文献[1]と一致する。
【0215】
2−ブロモ−N−フェニル−アセトアミド(4)
この生成物は、黄色の固体である。融点128〜131。IR:3296、3203、3146、3099、1657、1618、1555、1486、1445、1335、1111;HNMR(CDCl):8.13(brs,1H,NH)7.52(d,2h,J=2.7Hz,ArH2,6)、7.34(m,2H,ArH3,5)、7.17(m,1H,ArH4)、4.00(s,2H,−CHCO)。MS:m/z(FAB)213.9(M+1)。
【0216】
2−ブロモ−N−シクロヘキシル−アセトアミド(5)
この生成物は、白色の微細粉末である。収率90%。融点:106〜108。IR:3284、3072、2937、2919、2853、1645、1551、1446、1328、1210、1155、1089;H NMR(CDCl):6.33(brs,1H,NH)、3.84(s,2H,−CHCO)、3.74(m,1H,N−CH)、1.10〜1.92(m,10H,環−H)。13C NMR(CDCl):164.7(CO)、49.6(CH)、33.4(2CH)、30.2(CH−Br)、26.1(2CH)、25.3(CH)。MS:m/z(FAB)220(M+1)。
【0217】
2−ブロモ−N−(4−エチル−フェニル)−アセトアミド(6)
この生成物は、黄色の固体である。融点131〜132。H NMR(CDCl):8.07(br,1H,NH)、7.40(d,2H,J=8.4Hz,ArH)、7.15(d,2H,J=8.4Hz,ArH)、4.00(s,2H,−CHCO)、2.59(q,2H,J=7.67Hz,−CHCH)、1.18(t,3H,J=7.67Hz,−CH)。MS:m/z(FAB)242.0(M+1)。
【0218】
2−ブロモ−N−(2−ブロモフェニル)−アセトアミド(7)
粗製生成物を、シリカゲルカラムに掛け、DCM:ヘキサン 10:1で溶離した。黄色の固体が収率52%で得られた。
融点96〜98。IR:3184、3107、1653、1609、1591、1542、1472、1422、1315、700;H NMR(CDCl):8.15(s,br,1H,NH)、7.77(m,1H,H−3)、7.43(d,J=7.83,1H,H−5)、7.23(m,2H,H−2,3)、4.00(s,2H,CH);13C NMR(CDCl):164.3(C=O)、138.1(C−1)、130.3(C−3)、128.2(C−5)、123.0(C−4)、122.6(C−2)、118.5(C−6);MS(FAB):m/z 293(M+1)。
【0219】
2−ブロモ−N,N−ジブチルアセトアミド(8)
融点:オイル。IR:2959、2932、2872、1648、1460、1376、1209、1098;H NMR(CDCl):3.77(s,2H,CO−CH)、3.23(m,4H,2NCH)、1.48(m,4H,2CH)、1.25(m,4H,2CH)、0.86(m,6H,2CH);13C NMR(CDCl):166.3(CO)、48.8(CH)、46.2(CH)、31.5(CH−Br)、29.7(CH)、27.0(CH)、20.5(2CH)、14.27(CH)、14.19(CH);MS m/z(FAB)250(M+1)、170(M−Br)、128(M−BrCOCH)。
【0220】
2−ブロモ−N,N−ジシクロヘキシルアセトアミド(9)
粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM:ヘキサン 12:1)により精製した。白色の固体が収率40%で得られた。分析データを、DCMからの結晶化により得た。
融点122〜124、IR:3466、2933、2869、2857、1637、1467、1371、1113、1000;H NMR(CDCl):3.80(s,2H,CO−CH)、2.41(m,2H,2CH)、1.17〜1.86(m,20H,環−H);13C NMR(CDCl):162.6(CO)、56.3(N−C)、31.0(CH)、29.4(CH)、29.1(Br−CH)、26.5〜25.2(環−C)。MS:m/z(FAB)302.0(M)。
【0221】
2−ブロモ−N−デシルアセトアミド(10)
フラッシュクロマトグラフィー(DCM:ヘキサン 10:1)により精製すると、無色のオイルが得られた。収率81%。
融点:オイル、IR:3282、2920、2852、1640、1560、1471、1436、1214;H NMR(CDCl):6.49(s,brs,1H,NH)、3.86(s,2H,CH−Br)、3.25(m,2H,CH)、2.15(s,アセトンピーク)、1.52(m,2H,CH)、1.24(m,14H,7CH)、0.86(m,3H,CH);13C NMR(CDCl):165.4(CO)、40.7(CH−Br)、32.3(CH−N)、29.7〜29.9(6CH)、27.2(CH)、23.1(CH)、14.6(CH);
【0222】
2−ブロモ−N−メチル−N−フェニルアセトアミド(11)
後処理の後に、黄色の固体が得られた。収率80%、融点:43〜45。IR:1646、1595、1498、1385、1298、1120、1043、882、771;H NMR(CDCl):7.28(m,5H,Ar−H)、3.87(s,2H,CH)、3.29(s,3H,CH)。MS:m/z(FAB)228(M+1)。
【0223】
2−ブロモ−N−(3−メトキシベンジル)アセトアミド(12)
粗製生成物をシリカゲルカラムに掛け、DCM:ヘキサン 10:1で溶離した。黄色の固体が収率72%で得られた。
融点79〜80。IR:3289、3048、1641、1543、1489、1441、1296、1200、1158、1049、999、890、784、697;H NMR(CDCl):7.24〜6.83(m,4H,Ar−H)、4.40(s,2H,Br−CH)、3.86(s,2H,CO−CH)、3.77(s,3H,CH)。13C NMR(CDCl):165.8(CO)、159.9(C−O)、139.1(C)、130.0(C5)、120.0(C6)、113.6(C2)、113.3(C4)、55.6(OCH)、44.4(COCH)、29.4(Br−CH);MS m/z(FAB)257.9(M+1)、178.0(M−Br)。
【0224】
2−ブロモ−N,N−ジプロピルアセトアミド(13)
後処理の後に、黄色のオイルが収率65%で得られた。
IR:3451、2966、2876、1645、1456、1381、1302、1207、1098、896、744;H NMR(CDCl):3.81(s,2H,CH−Br)、3.24(m,4H,2CH)、1.55(m,4H,2CH)、0.86(m,6H,2CH);13C NMR(CDCl):166.5(CO)、50.3(CH)、47.7(CH)、26.2(CH−Br)、22.2(CH)、20.4(CH)、11.2(2CH)。MS m/z(FAB)222(M+1)。
【0225】
2−ブロモ−N,N−ジオクチルアセトアミド(14)
フラッシュクロマトグラフィー(DCM:ヘキサン 9:1)により、粗製生成物を精製した。黄色のオイルが収率81%で得られた。
IR:2925、2855、1649、1460、1376、及び1101。H NMR(CDCl):3.80(s,2H,CH−Br)、3.26(m,4H,2CH)、1.54(m,4H,2CH)、1.25(m,20H,CH)、0.84(m,6H,2CH);13C NMR(CDCl):166.3(CO)、49.1(CH)、46.5(CH)、27.6(CH−Br)、32.2〜23.0(CH)、14.6(2CH)。Ms m/z(FAB)362(M+1)。
【0226】
[C]ニコチン酸メチルエステルのN−アルキル化(実施例2)
ニコチン酸メチルエステル(500mg、3.65mmol)、ハロゲン化物(3.65mmol)及びヨウ化ナトリウム(3.65mmol)をDMF又はアセトニトリル中、暗所で、50℃で24時間攪拌した。次いで、溶媒を減圧下に蒸発させ、メタノール/エーテルから結晶化させた。
【0227】
1−[(2−ブロモ−フェニルカルバモイル)−メチル]−3−メトキシカルボニル−ピリジニウム(25)
融点:171〜172、IR:3225、3173、3057、3015、1743、1687、1596、1549、1307、780、740;H NMR(DMSO):10.97(s,brs,1H,NH)、9.68(s,1H,H−2)、9.26(d,J=6.2,1H,H−6)、9.11(d,J=8.1,1H,H−4)、8.38(dd,J=6.2及び8.1,1H,H−5)、7.92(s,1H,H−3’)、7.32〜7.50(m,3H,ArH)、5.78(s,2H,CH)、3.99(s,3H,CH);13C NMR(DMSO):164.1(COOMe)、162.6(CO−N)、150.4(C−2)、148.1(C−6)、146.6(C−4)、131.7(C−N)、129.8(C−3’)、128.5(C−5’)、127.3(C−2’)、122.3(C−5)、122.2(C−6’)、63.2(CH−CO)、54.4(CH);MS:m/z(FAB)351.1(M+1)。
【0228】
ヨウ化ジエチルカルバモイルメチル−3−メトキシカルボニル−ピリジニウム(実施例3)
【0229】


ニコチン酸メチルエステル及び2−クロロ−N,N’−ジエチルアセトアミドをDMF中で、標準プロトコル下に反応させると、鮮明な黄色の固体(363mg、26%)(融点163〜165℃)が得られ、これは、δ(270MHz,DO)9.30(1H,s,H2)、9.07(1H,d,J 8.2,H6)、8.90(1H,d,J 6.2,H4)、8.19(1H,m,H5)、5.75(2H,s,py−CH)、3.96(3H,s,OCH)、3.41(2H,q,J 7.2,CH)、3.84(2H,q,J 7.2,CH)、1.23(3H,t,J 7.2,CH)及び1.05(3H,t,J 7.2,CH)。δ(65MHz,DO)164.3(C=O)、149.2,147.6,146.8(全CH)、130.6(C)、128.3(CH)、62.1(py−CH)、54.1(OCH)、42.3,41.9(両CH)、13.2及び12.1(両CH)。m/z[FAB]251.1(M,100%)[実測値251.1405 M+。C1319Iの計算値251.1395]。IR(KBr)1731(C=Oエステル)及び1653(C=Oアミド)を示した。
【0230】
ヨウ化1−(2−カルバモイル−エチル)−3−メトキシカルボニル−ピリジニウム(実施例4)
【0231】


ニコチン酸メチルエステル及び3−クロロプロピオンアミドをアセトニトリル中、標準プロトコル下に反応させると、淡黄色の固体(266mg、22%)が得られ(融点98〜100℃)、これは、δ(270MHz,DO)9.48(1H,s,H2)、9.08(1H,d,J 6.2,H6)、9.03〜8.99(1H,m,H4)、8.21〜8.16(1H,m,H5)、4.94(2H,t,J 6.4,py−CH)、4.01(3H,s,OCH)及び3.09(2H,t,J 6.4,CH−CO)。δ(65MHz,DO)173.7、168.5(両C=O)、148.1、146.2(両CH)、131.0(C)、130.9、128.6(両CH)、58.2(py−CH)、54.3(OCH)及び35.4(CH)。m/z[FAB]209.1(M,100%)[実測値209.0935 M+。C1013Iの計算値209.0926]。IR(KBr)1736(C=Oエステル)及び1674(C=Oアミド)を示した。
【0232】
ヨウ化1−(3−シアノ−プロピル)−3−メトキシカルボニル−ピリジニウム(実施例5)
【0233】


ニコチン酸メチルエステル及び4−クロロブチロニトリルをDMF中、標準プロトコル下に反応させると、淡黄色の固体(219mg、18%)(融点167〜170℃)が得られ、これは、δ(270MHz,DO)9.48(1H,s,H2)、9.08(1H,d,J 6.4,H6)、9.01(1H,dt,J 8.2及び1.5,H4)、8.20〜8.17(1H,m,H5)、4.79(2H,t,J 7.4,py−CH)、3.98(3H,s,OCH)、2.64(2H,t,J 7.4,CH−CN)及び2.40(2H,q,J 7.4,CH)。163.4(C=O)、147.9,146.4,146.2(全CH)、131.3(C)、129.1(CH)、60.9(py−CH)、54.2(OCH)、26.3及び14.1(両CH)。m/z[FAB]205.0(M,100%)[実測値205.0977 M+。C1114Iの計算値205.0972]を示した。
【0234】
ヨウ化1−(2−ジエチルアミノ−エチル)−3−メトキシカルボニル−ピリジニウム(実施例6)
【0235】


ニコチン酸メチルエステル及び塩化ジエチルアミノエチル塩酸塩をDMF中、標準的なプロトコル下に反応させると、淡黄色の固体(60mg、5%)が得られ(融点172〜174℃)、これは、δ(270MHz,DO)9.53(1H,s,H2)、9.13(1H,d,J 6.2,H6)、9.05(1H,d,J 8.2,H4)、8.25〜8.25(1H,m,H5)、5.12(2H,t,J 7.7,py−CH)、3.95(3H,s,OCH)、3.82(2H,t,J 7.7,CH−N)、3.30(4H,q,J 7.4,2×CH−Me)及び1.25(6H,t,J 7.4,2×CH)。m/z[FAB]237.2(M,100%)[実測値237.1601 M+。C1321Iの計算値237.1603]を示した。
【0236】
ヨウ化1−(2−シアノ−エチル)−3−メトキシカルボニル−ピリジニウム(実施例7)
【0237】


ニコチン酸メチルエステル及び3−クロロプロピオニトリルをDMF中、標準的なプロトコル下に反応させると、淡黄色の固体(88mg、8%)が得られ、これは、δ(270MHz,DO)9.54(1H,s,H2)、9.11(1H,d,J 6.2,H6)、9.05(1H,d,J 8.2,H4)、8.25〜8.20(1H,m,H5)、4.99(2H,t,J 6.4,py−CH)、3.97(3H,s,OCH)及び3.29(2H,t,J 6.4,CH−CN)。m/z[FAB]191.0(M,100%)[実測値191.0820 M+。C1011Iの計算値191.0821]を示した。
【0238】
ヨウ化1−(1−カルバモイル−エチル)−3−メトキシカルボニル−ピリジニウム(実施例8)
【0239】


ニコチン酸メチルエステル及び2−クロロプロピオンアミドをDMF中、標準的なプロトコル下に反応させると、黄色の固体(363mg、26%)が得られ、これは、δ(270MHz,DO)9.34(1H,s,H2)、9.03〜8.96(2H,m,H6及びH4)、8.16〜8.11(1H,m,H5)、5.66(1H,q,J 7.2,py−CH)、3.91(3H,s,OCH)及び1.88(3H,d,J 7.2,CH)。δ(65MHz,DO)163.1(C=O)、147.5,147.0,145.8(全CH)、130.7(C)、128.5(CH)、69.2(py−CH)、54.2(OCH)及び18.2(CH)。m/z[FAB]209.0(M,100%)[実測値209.0929 M+。C1013Iの計算値209.0927]を示した。
【0240】
1−シクロヘキシル−3−メトキシカルボニル−5−(4−メトキシ−フェニル)−ピリジニウム
【0241】


5−(4−メトキシ−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル(40)(50mg、0.2mmol)に2−ブロモ−N−シクロヘキシルアセトアミド(115mg、0.5mmol)を加えた。この混合物に、DMF(1ml)をN下に加え、次いで、60℃で一晩加熱した。溶媒を除去した後に、残留物をメタノール(0.5ml)に溶かし、次いで、エーテル(20ml)を加えて、生成物を結晶化させた。黄色のオイルが得られた(40mg)。
IR:3436、2929、1738、1652、1557、1450、1346、1260;H NMR(270MHz,CDCl):9.66(s,1H,H−2)、9.46(m,1H,H−6)、9.15(m,1H,H−4)、8.62(m,1H,NH)、7.93(m,2H,ArH−2及び6)、7.16(m,2H,ArH−3及び5)、5.58(s,2H,CH−CO)、4.01(s,3H,CH)、3.85(s,3H,CH−CO)、1.79〜1.22(m,11H,環−H)
【0242】
N−アルキル化ニコチン酸メチルエステルの加水分解(実施例9)
対応するニコチン酸メチルエステル(0.4mmol)を48%HBr水溶液(0.2mL)に溶かし、60℃で一晩攪拌し、次いでこれを、減圧下に蒸発させた。茶色の残留物に、アセトニトリルを加えた。沈殿物を濾過し、アセトニトリルで洗浄すると、所望のN−アルキル化ニコチン酸が残った。
【0243】
ヨウ化3−カルボキシ−1−ジエチルカルバモイルメチル−ピリジニウム(実施例10)
【0244】


ヨウ化ジエチルカルバモイルメチル−3−メトキシカルボニル−ピリジニウムを標準的なプロトコル下に反応させると、所望の生成物が白色の固体(104mg、74%)(融点97〜100℃)として得られ、これは、δ(270MHz,DO)9.19(1H,s,H2)、8.99(1H,d,J 8.2,H6)、8.82(1H,d,J 6.2,H4)、8.13(1H,m,H5)、5.71(2H,s,py−CH)、3.37(2H,q,J 7.2,CH)、3.32(2H,q,J 7.2,CH)、1.20(3H,t,J 7.2,CH)及び1.02(3H,t,J 7.2,CH)。δ(65MHz,DO)164.4(C=O)、148.9、147.7、147.1(全CH)、131.7(C)、128.3(CH)、62.1(py−CH)、42.3、41.9(両CH)、13.1及び12.1(両CH)。m/z[FAB]237.1(M,100%)[実測値237.1250 M+。C1217Iの計算値237.1239]。IR(KBr)3150(OH)及び1652(C=Oアミド)を示した。
【0245】
ヨウ化1−(2−カルバモイル−エチル)−3−カルボキシ−ピリジニウム(実施例11)
【0246】


ヨウ化1−(2−カルバモイル−エチル)−3−メトキシカルボニル−ピリジニウムを標準的なプロトコル下に反応させると、所望の生成物が白色の固体(120mg、84%)(融点170〜173℃)として得られ、これは、δ(270MHz,DO)9.38(1H,s,H2)、9.02(1H,d,J 6.2,H6)、8.91(1H,d,J 7.9,H4)、8.12〜8.06(1H,m,H5)、4.87(2H,t,J 6.2,py−CH)及び3.13(2H,t,J 6.2,CH−CO)。δ(65MHz,DO)173.7、164.8(両C=O)、147.8、146.6、146.4(全CH)、132.4(C)、128.5(CH)、57.5(py−CH)及び34.5(CH)。m/z[FAB]196.1(M,100%)[実測値196.0611 M+。C11Iの計算値196.0609]。IR(KBr)3154(OH)及び1648(C=Oアミド)を示した。
【0247】
ヨウ化3−カルボキシ−1−(2−ジエチルアミノ−エチル)−ピリジニウム(実施例12)
【0248】


ヨウ化1−(2−ジエチルアミノ−エチル)−3−メトキシカルボニル−ピリジニウムを標準的なプロトコル下に反応させると、所望の生成物が白色の固体(41mg、84%)(融点210〜212℃)として得られ、これは、δ(270MHz,DO)9.60(1H,s,H2)、9.06(1H,d,J 6.2,H6)、8.97(1H,d,J 8.2,H4)、8.20〜8.15(1H,m,H5)、5.11(2H,t,J 7.7,py−CH)、3.83(2H,t,J 7.7,CH−N)、3.33(4H,q,J 7.4,2×CH−Me)及び1.26(6H,t,J 7.4,2×CH)。δ(65MHz,DO)164.8(C=O)、147.3、146.4、146.4(全CH)、132.4(C)、129.2(CH)、55.6(py−CH)、50.3、48.2(両CH)及び34.5(CH)を示した。
【0249】
[D]ニコチン酸のアルキル化(実施例13)
ニコチン酸(100mg、0.812mmol)及び有機ハロゲン化物(0.812mmol)を無水DMF(1.5mL)中で混合し、50℃で、暗所で一晩攪拌し、その後、DMFを減圧下に蒸発させた。次いで、生じた生成物を再結晶化させると、対応するピリジニウム塩が得られた。
【0250】
3−カルボキシ−1−ジエチルカルバモイルメチル−ピリジニウム(15)
メタノール/エーテルから結晶化させた後に、黄色のオイルが得られた。収率21%。
IR(KBr)νmax 3429、3072、2981、2934、1729、1659、1219、1135、1036、811、748cm−1 H NMR(DO):9.06(d,1H,J=7.5Hz,H2)、8.87(m,1H,H6)、8.74(m,1H,H4)、8.03(m,1H,H5)、5.68(s,2H,−CHCO)、3.33(q,4H,J=7.5Hz,−CHCH)、1.19(t,3H,J=7.5Hz,−CH)、1.00(t,3H,J=7.5Hz,−CH)。MS:m/z(FAB)237(M+1)。
【0251】
1−ブチルカルバモイルメチル−3−カルボキシ−ピリジニウム(16)
融点190〜194。IR(KBr)νmax:3235、3078、2958、2931、2873、2750、2494、1727、1672、1558、1394、1351、1131、848cm−1H NMR(DO):9.25(s,1H,H2)、8.96(d,1H,J=5.3Hz,H6)、8.85(d,1H,J=5.9Hz,H4)、8.13(m,1H,H5)、5.43(s,2H,−CHCO)、3.16(m,2H,N−CH)、1.40(m,2H,−CHCH)、1.20(m,2H,−CHCH)、0.77(t,3H,−CH)。13C NMR(DO):167.9(CO−O)、165.2(CO−N)、148.1(C3)、147.0(C6)、146.7(C2及びC4)、128.1(C5)、62.2(CH−N)、39.9(CH)、30.5(CH)、19.7(CH)、13.2(CH);MS:m/z(FAB)237.0(M+1)。
【0252】
3−カルボキシ−1−フェニルカルバモイルメチル−ピリジニウム(17)
融点148〜149。IR(KBr)νmax 3393、3277、3080、3019、1699、1637、1599、1558、1498、1446、1350、1311、1258、737、690cm−1H NMR(DO):9.18(s,1H,H2)、8.90(d,1H,J=6.6Hz,H6)、8.83(d,1H,J=5.4Hz,H4)、8.07(m,1H,H5)、7.25(m,5H,ArH)、5.59(s,2H,−CHCO)。13C NMR(DO):163.8(CO−O)、163.5(CO−N)、148.2(C6)、147.9(C2及びC4)、146.2(C3)、127.8(C5)、138.9(ArC1)、129.6(ArC3及びC5)、119.8(ArC2及びC6)、124.6(ArC4);MS:m/z(FAB)257.1(M+1)。
【0253】
3−カルボキシ−1−シクロヘキシルカルバモイルメチル−ピリジニウム(18)
融点188〜192。IR(KBr)νmax:3244、3073、2931、1709、1679、1530、1389、1240、1210、1120、837cm−1 H NMR(DO)9.32(s,1H,H2)、9.00(d,1H,J=5.2Hz,H6)、8.84(d,1H,J=4.5Hz,H4)、8.23(m,1H,H5)、5.50(s,2H,−CHCO)、3.65(m,1H,N−CH)、1.87〜1.25(m,11H,環−H)。13C NMR(DO):163.6(CO−O)、163.5(CO−N)、149.7(C6)、147.9(C2)、146.4(C4)、131.0(C3)、128.3(C5)、62.5(CH−CO)、39.7(CH)、33.1(2CH)、25.9(CH)、25.2(2CH)。MS:m/z(FAB)263.3(M+1)。
【0254】
3−カルボキシ−1−[(4−エチル−フェニルカルバモイル)−メチル]−ピリジニウム(19)
融点210〜214。IR(KBr)νmax:3424、3243、3190、3063、2962、2930、1717、1697、1608、1543、1392、1257、1125、834、670cm−1H NMR(DO):9.29(s,3.52,H2)、8.98(d,1H,J=8.7,H6)、8.91(d,1H,J=6.5,H4)、8.14(m,1H,H5)、7.28(d,2H,J=8.1Hz,ArH2,6)、7.18(d,2H,J=8.1Hz,ArH3,5)、5.60(s,2H,−CHCO)、2.49(q,2H,J=7.67Hz,−CHCH)、1.06(t,3H,J=7.67Hz,−CH)。13C NMR(DO):163.6(CO−O)、163.4(CO−N)、149.9(C6)、148.3(C2)、146.7(C4)、140.0(C3)、136.5(ArC1)、131.1(ArC4)、128.4(C5)、128.8(ArC3及びC5)、119.8(ArC2及びC6)、63.1(CH−CO)、28.5(CH)、16.5(CH)。MS:m/z(FAB)285.1(M+1)。
【0255】
3−カルボキシ−1−[(2−ブロモ−フェニルカルバモイル)−メチル]−ピリジニウム(20)
融点216〜218。IR:3177、3055、2743、1727、1687、1608、1588、1477、1253、1130、850;H NMR(DO):9.36(s,1H,H−2)、9.04(d,J=8.1,1H,H−6)、8.99(d,J=5.6,1H,H−4)、8.23(m,1H,H−5)、7.68(s,1H,H−3’)、7.31(m,3H,H−4’,5’,6’)、5.70(s,2H,CH−CO)、13C NMR(DMSO)163.5(CO−OH)、163.0(CO−NH)、147.5(C−2)、145(C−6)、139.3(C−3)、131.1(C−4)、130.0(ArC1)、127.8(C−5)、126.6(ArC3)、121.6(ArC2)、120.9(ArC4)、116.0(ArC6);MS m/z(FAB)335.1(M+1)。
【0256】
3−カルボキシ−1−ジブチルカルバモイルメチル−ピリジニウム(21)
融点;非結晶。IR:2924、2854、1720、1459、1377、1215;H NMR(DO)9.26(s,1H,H−2)、9.10(m,1H,H−6)、8.90(m,1H,H−4)、8.24(m,1H,H−5)、5.82(s,2H,COCH)、3.44(m,4H,2CH)、1.72(m,2H,CH)、1.54(m,2H,CH)、1.40(m,2H,CH)、1.30(m,2H,CH)、0.92(m,6H,2CH);13C NMR(DO):164.3(CO−O)、163.6(CO−N)、149.9(C−6)、148.2(C−2)、146.5(C−4)、131.0(C−3)、127.8(C−5)、62.0(CH−CO)、47.3(CH)、46.6(CH)、30.9(CH)、30.1(CH)、20.5(CH)、20.4(CH)、14.7(CH)、14.6(CH);MS:m/z(FAB)293(M+1)。
【0257】
3−カルボキシ−1−[(3−メトキシ−ベンジルカルバモイル)−メチル]−ピリジニウム(22)
融点194〜196。IR(KBr):3217、1722、1675、1588、1556、1397、1259、1129、713.3;H NMR(DO):9.33(s,1H,H−2)、9.07(d,J=7.8,1H,H−6)、8.96(d,J=6.2,1H,H−4)、8.24(m,1H,H−5)、7.37(m,1H,ArH−2)、6.98(m,3H,ArH−4,5,6)、5.62(s,2H,CH−CO)、4.47(s,2H,CH−N)、3.84(s,3H,CH);13C NMR(DO):164.2(CO−O)、163.1(CO−N)、158.2(ArC3)、148.9(C6)、147.4(C2)、145.9(C4)、139.0(C3)、130.4(ArC1)、129.4(ArC5)、127.7(C5)、119.5(ArC6)、113.2(ArC4)、112.3(ArC2);MS:m/z(FAB)301.0(M+1)。
【0258】
3−カルボキシ−1−ジプロピルカルバモイルメチル−ピリジニウム(23)
メタノール及びエーテルからの結晶化の後に、黄色のオイルが得られた。
融点:オイル。IR:3392、2964、2875、1729、1649、1458、1430、1385、1243、1207;H NMR(DO):9.23(s,1H,H−6)、9.04(d,J=8.1,1H,H−2)、8.87(d,J=5.1,1H,H−4)、8.20(m,1H,H−5)、5.80(s,2H,CH−CO)、3.34(m,4H,2CH)、1.71(m,2H,CH)、1.54(m,2H,CH)、0.92(t,J=7.4,CH)、0.82(t,J=7.4,CH)。13C NMR(DO):164.7(CO−O)、164.6(CO−N)、148.6(C6)、147.4(C2)、146.8(C4)、132.1(C3)、128.1(C5)、62.1(CH−CO)、49.4(CH)、48.9(CH)、21.4(CH)、20.4(CH)、10.9(CH)、10.7(CH);MS:m/z(FAB)266.3(M+1)。
【0259】
3−カルボキシ−1−デシルカルバモイルメチル−ピリジニウム(24)
融点185〜186。IR:3229、3079、2924、1726、1679、1554、1394、1225、1130、846、723;H NMR(DMSO):9.53(s,1H,H−2)、9.19(d,J=5.4,1H,H−6)、9.03(d,J=8.1,1H,H−4)、8.70(s,brs,1H,NH)、8.31(m,1H,H−5)、5.57(s,2H,CH−CO)、3.13(m,2H,CH−N)、1.24〜1.61(m,16H,8CH)、0.83(m,3H,CH);13C NMR(DMSO):164.5(CO−O)、163.6(CO−N)、149.7(C−6)、147.9(C−2)、146.4(C−4)、131.1(C−3)、128.8(C−5)、62.4(CH−CO)、32.2(CH−N)、29.9(CH)、29.8(CH)、29.7(CH)、29.6(2CH)、27.2(CH)、23.0(CH)、14.9(CH);MS m/z
【0260】
臭化1−アリル−3−カルボキシ−ピリジニウム(実施例14)
【0261】


ニコチン酸(100mg、0.812mmol)及び臭化アリル(70μL、0.812mmol)を通常のプロトコル下に反応させると、黄色の固体が得られ、これをメタノールから再結晶化させると、所望の4級化生成物が白色の固体 (165mg、83%)として得られ、これは、δ(400MHz,DO)9.20(1H,s,H2)、8.81(2H,d,J 5.8,2×CH)、8.0(1H,d,J 8.2,H5)、5.91〜6.01(1H,m,:CH)、5.37(2H,app t,J 10.5,:CH)及び5.11(2H,d,J 6.2,CH−N)。δ(100MHz,DO)161.0(C=O)、142.7,141.9,141.6(全CH)、128.8(C−COH)、125.5,124.2(両CH)、119.4(:CH)及び59.7(CH)。m/z[ES]164.0(M,55%)を示した。
【0262】
ヨウ化1−プロピル−3−カルボキシ−ピリジニウム(実施例15)
【0263】


ニコチン酸(100mg、0.812mmol)及び2−ヨードプロパン(80μL、0.812mmol)を通常のプロトコル下に反応させると、黄色の固体が得られ、これをメタノールから再結晶化させると、所望の4級化生成物が白色の固体 (181mg、76%)(融点162〜165℃)として得られ、これは、δ(400MHz,DO)9.30(1H,s,H2)、8.91〜8.96(2H,m,2×CH)、8.10〜8.17(1H,m,H5)、4.61(2H,t,J 7.4,CH−N)、2.03(2H,六重線,J 7.4,CH)及び0.92(3H,t,J 7.4,CH)。δ(100MHz,DO)165.1(C=O)、146.2、144.8、142.9(全CH)、133.1(C−COH)、127.7(CH)、63.0(CH−N)、23.5(CH)及び8.9(CH)。νmax/cm−1 3396(COH)及び1636(C=O)。m/z[ES]167(M,80%)を示した。
【0264】
臭化1−ベンジル−3−カルボキシ−ピリジニウム(実施例16)
【0265】


ニコチン酸(100mg、0.812mmol)及び臭化ベンジル(0.1mL、0.812mmol)を通常のプロトコル下に反応させると、黄色の固体が得られ、これを水から再結晶化させると、所望の4級化生成物が白色の固体 (219mg、92%)(融点203〜205℃)として得られ、これは、δ(400MHz,DO)9.30(1H,s,H2)、8.80(1H,d,J 5.9,H4)、8.75(1H,d,J 8.2,H6)、8.01(1H,m,H5)、7.43(5H,m,ArH)及び5.82(2H,s,CH)。δ(100MHz,DO)166.1(C=O)、146.3、145.9、145.5(全CH)、132.6(C−COH)、130.2、129.8、129.3、128.5(全CH)及び65.0(CH)。νmax/cm−1 3416(COH)及び1668(C=O)。m/z[FAB]214.2(M+H,100%)を示した。
【0266】
ヨウ化1−カルバモイルメチル−3−カルボキシ−ピリジニウム(実施例17)
【0267】


ニコチン酸(100mg、0.812mmol)及び2−ヨードアセトアミド(150mg、0.812mmol)を通常のプロトコル下に反応させると、黄色のオイルが得られ、これをジクロロメタンから再結晶化させると、所望の4級化生成物が黄色の固体 (175mg、70%)(融点223〜225℃)として得られ、これは、δ(400MHz,DO)9.24(1H,s,H2)、9.0(1H,d,J 8.2,H6)、8.89(1H,d,J 4.8,H4)、8.14〜8.20(1H,m,H5)及び5.56(2H,s,CH)。δ(100MHz,DO)169.5、167.3(両C=O)、149.3、148.6、148.1(全CH)、135.6(C−COH)、129.5(CH)及び63.2(CH)。νmax/cm−1 3379(COH)、1701(CO−NH)及び1665(C=O)。m/z[FAB]181.2(M+H,100%)を示した。
【0268】
ヨウ化3−カルバモイル−1−カルバモイルメチル−ピリジニウム(実施例18)
【0269】


ニコチンアミド(500mg、4.06mmol)及びヨードアセトアミド(764mg、4.06mmol)をDMF中、50℃で一晩攪拌した。次いで、溶媒を蒸発させ、残留物をメタノール/エーテルから結晶化させると、黄色の固体が得られ、これは、δ(270MHz,DO)9.24(1H,s,H2)、8.95〜8.93(2H,m,H4及びH6)、8.23〜8.17(1H,m,H5)及び5.56(2H,s,py−CH)。δ(65MHz,DO)167.3(C=O)、148.2、146.1、145.2(全CH)、133.9(C)、128.3(CH)及び62.0(CH)。m/z[FAB]180.0(M,100%)[実測値180.0780 M+。C10Iの計算値180.0781]を示した。
【0270】
ヨウ化5−ブロモ−1−カルバモイルメチル−3−カルボキシ−ピリジニウム(実施例19)
【0271】


5−ブロモニコチン酸(50mg、0.247mmol)及びヨードアセトアミド(45mg、0.247mmol)をDMF(1mL)中、暗所で、50℃で一晩攪拌した。溶媒を減圧下に蒸発させ、残留物をMeOH/EtOから結晶化させると、所望の生成物が茶色のガム状物(48mg、51%)として得られ、これは、δ(270MHz,DO)9.66(1H,s,H2)、9.46(1H,m,H6)、9.15(1H,m,H4)及び5.58(2H,s,CH)。m/z[FAB]260.0(M,60%)[実測値260.0634 M。C79BrNの計算値260.0648]を示した。
【0272】
ヨウ化1−カルバモイルメチル−3−[1−(2−ニトロフェニル)−エトキシカルボニル]−ピリジニウム(実施例20)
【0273】


ニコチン酸1−(2−ニトロ−フェニル)−エーテルエステル(300mg、1.1mmol)及びヨードアセトアミド(204mg、1.1mmol)を暗所で50℃で一晩攪拌した。次いで、溶媒を減圧下に蒸発させ、残留物をMeOH/エーテルから再結晶化させると、所望の生成物が黄色の固体として得られ、これは、δ(270MHz,DO)9.46(1H,s,H2)、9.14(1H,d,J 8.1,CH)、9.06(1H,d,J 5.9,CH)、8.31〜8.26(1H,m,CH)、8.0(1H,d,J 8.1,CH)、7.85(1H,d,J 8.1,CH)、7.76〜7.70(1H,m,H4)、7.57〜7.52(1H,m,CH)、6.56(1H,q,J 6.3,CH−Me)5.64(2H,s,CH)及び1.82(3H,t,J 6.3,CH)。δ(65MHz,CDCl)161.8(C=O)、149.2、147.3、146.8(全CH)、137.3(C)、135.7(C)、134.5、129.5、128.3、127.6、124.7(全CH)、72.1、61.9及び20.9(CH)。m/z[FAB]273.1(M+H,100%)[実測値273.0871 M+H。C1413の計算値273.0873]を示した。
【0274】
[E]Zincke反応によるピリジニウムの合成
塩化3−カルバモイル−1−(2,4−ジニトロ−フェニル)−ピリジニウム(Zincke塩)
ニコチンアミド(0.5g、4.0mmol)を2,4−ジニトロクロロベンゼン(2.5g、12mmol)と混合した。次いで、この混合物を90℃で2時間加熱した。冷却した後に、残留物をメタノール(3ml)に溶かし、次いで、エーテル(40ml)を加えた。得られた固体を濾過し、再び、メタノール(3ml)に、次いでエーテル(40ml)に再び溶かし、この手順を4回繰り返した。固体を濾過し、真空中で乾燥させた。オレンジ色のフォームが収率76%で得られた。
IR:1690、1616、1543、1347、1202、704;H NMR(270 MHZ,CDOD):9.74(s,1H,H2)、9.39(dd,J 6.2及び1.3,1H,H4)、9.25(dd,J 8.4及び1.3,1H,H6)、9.22(d,J 2.6,1H,ArH)、8.86(dd,J 8.8及び2.6,1H,ArH)、8.42(dd,J 8.4及び6.2,1H,H5)及び8.30(d,J 8.8,1H,ArH)。13C NMR(100.4MHz,DO):165.0(CO)、149(C−2’)、147(C−4’)、147.5(C−4’)、145.7(C−6’)、142.9(C−2’)、138(C−3’)、134.2(C−1’)、131.4(C−5)、131.0(C−6’)、128(C−5’)、122.9(C−3’);MS:m/z(FAB)289(M+1)、273(M−NH)。
【0275】
Zincke反応の手順
アミン(118mg、0.8mmol)を無水メタノール(20ml)に溶かした。この溶液に、Zincke塩(26)(270mg、0.83mmol)を加えた。生じた暗赤色の溶液を室温で5時間攪拌した(色は暗赤色から黄色へ)。溶媒を除去すると、粗製生成物が得られ、次いでこれを、フラッシュクロマトグラフィー又は結晶化により精製した。
【0276】
1−ブチル−3−カルバモイル−ピリジニウム
粗製生成物をメタノール/エーテルから結晶化させた。黄色の固体が収率75%で得られた。融点:205〜207℃(メタノール/エーテルから結晶化させた);IR:1669、1647.8、1457、1403、1204;H NMR(270MHz,DO):9.30(s,1H,H−2)、9.00(d,J=8.1,1H,H−6)、8.87(d,J=8.2,1H,H−4)、8.17(m,1H,H−5)、4.66(m,2H,CH)、2.01(m,2H,CH)、1.38(m,2H,CH)、0.93(m,3H,CH);MS:m/z(FAB)179.0(M+1)。M/z C1015Oの計算値179.1184 実測値179.1178。
【0277】
3−カルバモイル−1−シクロヘキシル−ピリジニウム
粗製生成物を、メタノール及びエーテルから結晶化させた。黄色の固体は収率67%で得られた。融点:275〜276℃(メタノール/エーテルから結晶化させた);IR:3278、3137、2857、1695、1644、1590、1512、1453、1407、1142、679;H NMR(270MHz,DO):9.12(s,1H,H−2)、8.95(d,J=8.1,1H,H−6)、8.77(d,J=8.2,1H,H−4)、8.01(m,1H,H−5)、1.13〜2.05(m,11H,環−H);13C NMR(100.4MHz,DO):163.3(CO)、145.6(C−4)、144.6(C−6)、143.9(C−2)、134.5(C−3)、128.6(C−5)、72.0(C−1’)、33.1(C−2’及びC−6’)、25.8(C−3’及びC−5’)、24.9(C−4’);MS:m/z(FAB)205.0(M+1)。M/z C1217Oの計算値205.1341 実測値205.1339。
【0278】
3−カルボキシ−1−フェニル−ピリジニウム
DCM:メタノール 5:2で溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより、粗製生成物を精製した。黄色の固体が収率83%で得られた。分析データを、メタノール及びエーテルからの結晶化により得た。
融点:235〜237℃(メタノール/エーテルから結晶化させた)、IR:3370、3140、1687、1491、1398、1256、766、680;H NMR(270MHz,DO):9.55(s,1H,H−2)、9.27(d,J=5.5,1H,H−6)、9.06(d,J=8.1,1H,H−4)、8.34(m,1H,H−5)、7.75(s,5H,ArH);13C NMR(100.4MHz,DO):165.7(CO)、146.7(C−4)、144.9(C−6)、144.5(C−2)、134.0(ArC1)、132.0(C−5)、130.6(ArC2及びC6)、128.5(ArC4)、124.2(ArC3及びArC5);MS:m/z(FAB)199.1(M+1)。C1211O 199.0871 実測値199.0871。
【0279】
3−カルバモイル−1−デシル−ピリジニウム
粗製生成物をメタノール及びエーテルから結晶化させた。黄色のオイルが得られ、これを、シリカカラム(DCM:メタノール 5:1)によりさらに精製した。収率66%。
IR:3257、3075、2920、2852、1703、1512、1451、1407、1335、1144、805、679;H NMR(270MHz,DO):9.29(s,1H,H−2)、9.00(d,J=6.0,1H,H6)、8.88(d,J=8.3,1H,H4)、8.17(dd,J=8.3,6.0,1H,H5)、4.78(m,2H,CH−N)、3.33(MeOH)、2.05(m,2H,CH)、1.23(m,14H,7CH)、0.83(m,3H,CH);13C NMR(100.4MHz,DO):165.3(CO)、146.6(C4)、144.3(C2)、143.9(C6)、134.0(C3)、128.6(C5)、62.7(CH−CO)、31.7(CH)、31.2(CH)、29.3(CH)、29.2(CH)、29.1(CH)、28.8(CH)、25.8(CH)、22.6(CH)、13.9(CH);MS:m/z(FAB)263.0(M+1)。M/z C1627Oの計算値263.2123 実測値263.2126。
【0280】
3−カルバモイル−1−(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチル)−ピリジニウム
フラッシュクロマトグラフィー(DCM:メタノール 5:1)の後に、黄色のオイルが収率100%で得られた。
IR:3350、3158、1702、1646、1448、1401、1289、1019、678;H NMR(270MHz,DO):9.27(s,1H,H2)、9.04(d,J=6.2,1H,H−6)、8.94(d,J=8.4,1H,H−4)、8.18(m,1H,H−5)、7.35(m,5H,ArH)、5.45(m,1H,CH−N)、5.12(m,1H,CH−OH)、4.14(m,2H,CH−OH);13C NMR(100.4MHz,DO):165.7(CO)、146.4(C4)、144.9(C2)、144.1(C6)、138.3(ArC1)、133.7(C3)、129.2(ArC3及びC5)、128.2(C5)、126.1(ArC2及びC6)、126.7(ArC4);MS:m/z(FAB)273.1(M+1)。HPLC:10.20(RP−18,WL 254 アセトニトリル/水勾配5〜5%)。M/z C1517の計算値273.1239 実測値273.1238。
【0281】
3−カルボキサミド加水分解のための手順
3−カルバモイル−1−(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチル)−ピリジニウム(200mg、1.02mmol)に濃HCl(3ml)を加えた。次いで、この反応混合物を環流まで2時間加熱し、次いで、室温に一晩維持した。溶媒を除去すると、粗製生成物が得られ、これをアセトンから結晶化させると、黄色の固体が80%を上回る収率で得られた。
【0282】
3−カルボキシ−1−(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチル)−ピリジニウム
IR:1731、1636、1402、1298、1173、H NMR(270MHz,DO):9.27(s,1H,H−2)、9.02(m,2H,H−6及び4)、8.16(m,1H,H−5)、7.54〜7.30(m,5H,ArH)、5.48(m,1H,CH−N)、5.12(m,1H,CH−OH)、4.12(m,2H,CH−OH);13C NMR(100.4MHz,DO):165.6(CO)、146.6(C4)、146.5(C2)、145.3(C6)、138.3(ArC1)、129.2(ArC3及びC5)、128.1(C5)、126.1(ArC2及びC6)79.2(CH−N)、69.8(CH−OH)、60.3(CH−OH);MS:m/z(FAB)274(M+1)。m/z C1516NOの計算値274.1074 実測値274.1077。HPLC:7.45分(RP−18,WL 254 アセトンニトリル/水勾配5〜50%)。
【0283】
3−カルボキシ−1−シクロヘキシル−ピリジニウム
アセトンからの結晶化の後に、黄色の固体が得られた。収率80%。融点:235〜237、H NMR(270MHz,DO):9.56(s,1H,H−2)、9.49(d,J=5.5,1H,H−6)、8.94(d,J=8.1,1H,H−4)、8.28(m,1H,H−5)、4.86(m,1H,CH−1’)、2.14〜1.07(m,11H,環−H);13C NMR(100.4MHz,DO):163.6(CO)、146.5(C−4)、145.9(C−6)、145.6(C−2)、131.8(C−3)、129.1(C−5)、71.9(C−1’)、33.1(C−2’及びC−6’)、25.8(C−3’及びC−5’)、24.8(C−4’);MS:m/z(FAB)206.1(M+1)。
【0284】
溶媒系中でのピリジニウム塩の合成(実施例21)
モデル化合物(III)。
【0285】


(III)
【0286】
ピリジニウム塩の合成を、(a)に示した。
【0287】

(a)溶媒系中でのピリジニウム塩の合成
【0288】
ブロモアセチルアミドをエーテル中、−10℃で収率60〜80%で調製し[1]、次のアルキル化反応をDMF中、60〜70℃で暗所で実施した。
【0289】


(b)アミドのリスト
【0290】


(b)ピリジニウム塩のリスト
【0291】
ピリジニウム塩のHPLC(実施例22)
HPLC[2](RP−18;WL254、流速:1ml/分;アセトニトリル/水5〜50%勾配)により、ピリジニウム塩の純度を決定した。結果のいくつかを、図5に示す。
【0292】
生物学的データ(実施例23)
生物学的データを図1から4に示す。これらの実験を、前記の図の説明に記載されているように実施した。
【0293】
無損傷ウニ卵子におけるNPE−NAADPの光分解に応答してのカルシウム放出に対する、外部施与されたCMA008の効果(実施例24)
LYtechinus pictusのウニ卵子を、人工海水(mMで、NaCl435、MgCl40、MgSO4 15、CaCl11、KCl10、NaHCO2.5、EDTA 1)に0.5MのKClシェッド(shed)を体腔内注射することにより得て、90mmナイロンメッシュに通して脱ゼリー化(dejellied)し、次いで、遠心分離により2回洗浄した。微量注射及び顕微鏡検査のために、卵子をポリリシンコーティングされたカバーガラスに移した。オレゴングリーン488BAPTA(1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N9,N9−テトラ酢酸デキストラン;Molecular Probes)を圧力微量注射した(Picospritzer; World Precision Instruments)。励起のためにアルゴンイオンレーザーの488nmラインを使用して、カルシウム反応性染料をレーザー走査共焦点顕微鏡(Leica model TCS NT)によりイメージングし、発光をロングパスフィルタリング(long passfiltered)(515nm)し、光電子増倍管で検出した。ケージドNAADP(29P−(1−(2−ニトロフェニル)エチル)NAADP;分子プローブ)を高速液体クロマトグラフィーによりさらに精製して、少量の汚染性遊離NAADPを除去した。ケージドNAADPを、石英ファイバー光学ケーブルにより走査ヘッドに向けられたアルゴンイオンレーザー(Enterprize model 651; Coherent)からの紫外線(351nm及び364nmライン)で光分解した。光分解の空間的位置を、紫外線レーザーの光通路に置かれているシャッターを介して制御した。これにより、イメージにわたってUVバンドが生じ、バンドの位置及び幅は、制御可能であった。共焦点イメージを、ソフトウェアのNIH Imageで処理すると、ピクセルベースによるピクセルでの各イメージの強度(F)を刺激前に必要なイメージ強度(F)で割ることにより自己比が得られた。F/Fの時間経過を、時間に対してプロットする。結果は、光分解性NPE−NAADPの作用に対する、外部施与されたCMA008の作用を示している。CMA008(10mM)は、無損傷ウニ卵子におけるカルシウム放出に対するNPE−NAADP(1μM)の光分解の作用をブロックし、これは、CMA008の膜透過の観念を支持する。これらの実験のための生物学的データを、図6に示す(前記の図の説明も参照)。
【0294】
単一細胞イメージング測定からの、膵臓腺房細胞におけるCa2+のCCK誘発振動に対する外部施与されたCMA008(ヨウ化1−カルバモイルメチル−3−カルボキシ−ピリジニウム)の作用(実施例25)
膵臓腺房細胞をポリリシンコーティングされた1番ガラスカバーに播種し、細胞を1〜5mMのfura−2アセトキシメチルエステル(Molecular Probes; Leiden、Holland)と共に室温で60分間インキュベーションすることによりカルシウムインジケーターを負荷した。負荷期間の後に、続けて、細胞を洗浄し、室温で緩衝液中に維持し、直ちに使用した。細胞を340nm及び380nm光で交互に励起させ(発光510nm)、12ビットCCDカメラ(MicroMax; Princeton Instruments、NJ)を使用して、クラスター5の比イメージを4〜5秒毎に記録した。
【0295】
すべての実験は室温で行った。CMA008(ヨウ化1−カルバモイルメチル−3−カルボキシ−ピリジニウム)を50%DMSOに溶かした。DMSOの最終濃度は、溶液中0.5%であった(mMでの組成:NaCl140、KCl4.7、CaCl1、MgCl1.13、HEPES10、グルコース10、7.2にpH調節)。CCK誘発カルシウムスパイクの阻害は、CCK(5pM)に関して前施与でも後施与でも、CMA008(1mM)によるNAADP−誘発カルシウム放出の阻害と一致した。これらの実験のための生物学的データを、図7に示す(前記の図の説明も参照)。
【0296】
概要
新規のメカニズムにより、ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される特異的な貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節する新規化学実体が記載されている。これらの小分子は、細胞透過性であり、特に、哺乳動物β細胞でのカルシウムスパイクを調節することが判明した。NAADP仲介カルシウム貯蔵は、脳、心臓、膵臓腺房及びT細胞を含む幅広い哺乳動物細胞に存在する。したがって、これらの化合物及び関連化合物は、新規の治療薬、及びバイオアッセイのためのプローブとして適用することができる。
【0297】
関連生物学的補基質ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)が示すカルボキサミドと異なり、ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸(NAADP)は、ピリジニウムの3位にカルボキシレートを示す。最近、低濃度のNAADP(約100nM)は、cADPR又は1,4,5−InsPなどの他の第2の化学的メッセンジャーにより処理されない個々の細胞内貯蔵からのカルシウムの放出をもたらすことが明らかになった。近縁類似体であるにもかかわらず、NADPは、活性ではない。近縁関連NAADP類似体に関する研究により、ニコチン酸位置での著しい特異性が確認された。著しい特異性は往々にして、リガンドとの強い結合相互作用をもたらすサブサイトを伴い、本発明者らは、小分子類似体は、このようなサブサイトで結合し、天然リガンドと競合することにより、新規の生物学的メカニズムの調節剤として潜在的に作用することを論証した。
【0298】
ニコチン酸の単純なピリジニウム塩を調製したが、これは、ウニホモジネート、さらに哺乳動物膵臓細胞などのモデル系でカルシウム放出を調節することが判明した。本化合物を、細胞外に施与したが、強力な活性が証明され、これらが細胞透過性であることが確認された。
【0299】
これらの新規の分子は、リガンドのニコチン酸部位との結合をもたらすサブサイトでNAADP受容体に結合することにより作用すると考えられている。
【0300】
このような化合物は、受精能、インスリン産生、T細胞活性化、心筋収縮の頻度の制御及び脳細胞の活性化などの多くの重要な生物学的プロセスを制御するために重要なカルシウムシグナルを調節することにより作用する新規の治療薬を開発するための強力なベースをもたらす。
【0301】
本明細書に記載の化学実体は、アッセイのために使用することもできるし、それ自体を、この重要な生物学的経路を遮断及び制御する新規の薬剤へと開発することもできる。異常な細胞内カルシウムシグナリングを特徴とする疾患の例は多く、糖尿病が含まれるが、T細胞の活性化の際のカルシウムの役割により、免疫系を制御する展望が提供されている。NAADP受容体が、脳で活性であることが判明していることは、神経疾患を制御する有望な役割を示唆している。
【0302】
記載の化学実体は潜在的に、異常なNAADP誘発カルシウム放出に基づく疾患を調節するために適用可能である。化合物の一般的な構造は、ニコチン酸/アミド誘導体に関して関連結合部位を特徴とする他の生物学的ターゲットに適用することもできる。
【0303】
参考文献
[1] T. Hamas, D. A. Culkin, J. F. Hartwig, J. Am. Chem. Soc., 2003, 125 (37), 11176-11177.
[2] M. A. Lago, T. T. Nguyen, P. Bhatnagar, Tetrahedron Lett. 1998, 39, 3885-3888.
【0304】
前記明細書に記載のすべての刊行物は、参照により本明細書に援用される。本発明の記載の方法及び系の様々な変更及びバリエーションが、本発明の範囲及び意図から逸脱することなく、当技術分野の専門家には明らかであろう。本発明を好ましい実施形態に関して記載したが、請求の発明を、このような特殊な実施形態に不当に制限すべきでないことを理解されたい。実際に、本発明を実施するために記載の方式を様々に変更することは、化学、分子生物学又は関連分野の専門家には明らかであり、添付の請求項の範囲内であることとする。
【図面の簡単な説明】
【0305】
【図1】0.5%ウニ卵子ホモジネートへの[32P]NAADP結合を示すグラフである。 [32P]NAADP(0.2nM)の拮抗CMA008(ヨウ化1−カルバモイルメチル−3−カルボキシ-ピリジニウム)置換。試料をGluIM(細胞内培地)中で希釈し、示されている濃度のCMA008と共に10分間予備インキュベーションし、次いで、0.2nMの[32P]NAADPを加え、室温でさらに15分間インキュベーションする。試料をWhatman GF/Bフィルターで濾過して、結合及び遊離[32P]NAADPリガンドに分離する。非特異的結合を、10μMのNAADPの存在下にホモジネートをインキュベーションすることにより定義する。n=2。データを、全結合に対するフラクションとして表す。図1中の挿入図は、ニコチン酸を加えても(1mMまで)、[32P]NAADPと卵膜との結合に影響はないことを示している。
【図2】CMA008(ヨウ化1−カルバモイルメチル−3−カルボキシピリジニウム)は、ウニ卵子ホモジネートにおける、NAADP仲介カルシウム放出の阻害を示すグラフである。 試料を、再生系の存在下にGluIM中で2.5%まで希釈し、3時間攪拌しながら、17℃に維持して、貯蔵へのカルシウム取り込みを容易にする。カルシウム放出を、526nmでのFluo−3蛍光の上昇を測定することにより決定した。データを、CMA008(ヨウ化1−カルバモイルメチル−3−カルボキシピリジニウム)の不在下での250nMのNAADPカルシウム放出に対する%として表す。CMA008は、IC50=15.13μMでNAADPカルシウム可動化を阻害する。CMA008は、IP又はcADPR(挿入)による全カルシウム可動化に対して作用を有さず、このことは、NAADP感受性放出メカニズムへのこの化合物の選択性を示している。
【図3】未標識NAADPの上昇濃度の存在下での、[32P]NAADPの拮抗に対するCMA008(ヨウ化1−カルバモイルメチル−3−カルボキシピリジニウム)の効果を示すグラフである。 2.5%のウニ卵子ホモジネートをGluIM中で希釈し、示されている濃度のCMA008と共に室温で10分間予備インキュベーションする(A=100nM、B=1nM、C=10μM)。続いて、[32P]NAADPを加え、試料をさらに室温で15分間インキュベーションした。試料をWhatman GF/Bフィルターで濾過し、結合及び遊離[32P]NAADPリガンドに分離する。CMA008は、BmaxをCMA008の不在下での全特異的結合68.65%±2.7から10μMのCMA008の存在下での46.28%±2.61まで低下させた。1nM及び100nMのCMA008は、Bmaxに対して作用を有しなかった。いずれの試験濃度でも、NAADPに関してIC50では効果はなかった。nは、各点で2から6である。
【図4】膵臓腺房細胞におけるCa2+のCCK誘発振動に対するCMA008(ヨウ化1−カルバモイルメチル−3−カルボキシピリジニウム)の効果を示すグラフである。 膵臓腺房細胞をポリ−リシンコーティングされているナンバー1カバーガラスに播種し、細胞を1〜5μMのfura−2アセトキシメチルエステル(Molecular Proves; Leiden、Holland)と共に室温で60分間インキュベーションすることにより負荷した。負荷期間の後に続いて、細胞を洗浄し、緩衝液中、室温で保持し、即座に使用した。340及び380nm光(発光510nm)で交互に細胞を励起させ、12ビットCCDカメラ(MicroMax; Princeton Instruments、NJ)を使用して、クラスターの比画像を4〜5秒毎に記録した。すべての実験を室温で行った。CMA008(ヨウ化1−カルバモイルメチル−3−カルボキシピリジニウム)を50%DMSOに溶かす。DMSOの最終濃度は、溶液中0.5%である(mMでの組成:NaCl140、KCl4.7、CaC12 1、MgCl2 1.13、HEPES10、グルコース10、pHを7.2に調整)。
【図5】ピリジニウム塩のHPLCを示すグラフである。
【図6】CMA008の外部施与を用いての、無損傷ウニ卵子(カルシウムリポーター染料のカルシウムグリーンデキストランを負荷されている)中にケージドNAADPの脱ケージングに応答してのカルシウム放出の全廃を示すグラフである。 ウニ卵子に、カルシウムリポーター染料のカルシウムグリーンデキストランを含有する溶液をケージドNAADPと共に微量注射した。次いで、488nmの励起波長を使用して、Leica共焦点顕微鏡で、蛍光をイメージングした。対照卵子[図6A参照]では、短時間のUVフラッシュが、一定割合のケージドNAADPを光分解し、多大なカルシウム過渡を誘発した。しかしながら、CMA008(10mM)[図6B参照]を含有する海水と共に卵子をインキュベーションすると、光分解によるNAADPの遊離は、カルシウム放出を誘発することはできなかった。このことは、CMA008は、細胞膜を透過し、NAADP誘発カルシウム放出を阻害することを示している。
【図7】単離されたマウス膵臓細胞におけるコレシストキニン(CCK)誘発カルシウム振動(NAADPシグナリングに依存)の、CM008の外部施与による阻害又は低減を示すグラフである。 痕跡は、Ca2+染料蛍光を示している。 膵臓腺房細胞をマウスから単離し、コラゲナーゼ処理により分散させる。細胞をfura−2AMと共に30分間インキュベーションし、洗浄し、その後、Metafluor系でイメージングした。細胞を340/380nmで交互に励起させ、放射される光を約510nmで集めた。2種の励起波長で放出された光の強度の比を算出し、遊離カルシウム濃度に変換し、時間に対してプロットした。 図7Aでは、ペプチドコレシストキニン(CCK;5pM)を細胞に加えると、アゴニストの継続存在下にカルシウムスパイクの確実な連続が生じる。しかしながら、CMA008(1mM)を浴溶液に加えると(即ち、CCK付加後)、CCK誘発カルシウムスパイクの阻害が生じる。図7Bでは、CMA008(1mM)を初めに、培地に加えると(即ち、CCK付加前)、残りのカルシウムレベルに明らかな作用はない。しかしながら、CCKを適用すると、CCKに対してかなり小さい応答が見られ、その際、頻度はかなり低減される。NAADPは、CCK仲介カルシウムシグナリングのための重要なメッセンジャーであるので、CMA008は、膵臓腺房細胞に入ることができ、その際、NAADP誘発カルシウム放出をブロックしうるようである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出の調節、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクの調節、
脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療
の1又は複数において使用するための医薬品の製造における式(I)の化合物又はその薬学的に許容できる塩の使用


(I)
[上式中、
R1は、カルボニル基を有し、
R2は、ヒドロカルビル基であり、
場合によって、複素環は、さらに置換されている]。
【請求項2】
化合物が、細胞透過性である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
化合物が、約500未満の相対分子量(RMM)を有する、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
R2が、カルボニル基を含むヒドロカルビル基である、請求項1から3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
R2が、アミド基を含むヒドロカルビル基である、請求項1から4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
R2が、CHC(O)NHである、請求項1から5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
R1が、COOHである、請求項1から6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
化合物が、NAADPのニコチン基の模倣物質であり、前記NAADPが、式:


(II)
を有する、請求項1から7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合された形態で含む薬剤組成物。
【請求項10】
組成物が、1又は複数の付加的な薬剤活性化合物を含む、請求項9に記載の薬剤組成物。
【請求項11】
医薬品において使用するための、請求項1から8のいずれかに記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
【請求項12】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
【請求項13】
請求項1から8までのいずれかに記載の化合物を含む医薬品。
【請求項14】
細胞内カルシウム放出を調節する薬剤を同定するためのアッセイ法であって、
(a)薬剤を用意するステップと;
(b)NAADP受容体を用意するステップと;
(c)前記薬剤とNAADP受容体とを接触させるステップと;
(d)細胞内カルシウム放出のレベルを測定するステップとを含み、
(i)薬剤の存在下での細胞内カルシウム放出のレベルと;(ii)薬剤不在下での細胞内カルシウム放出のレベルとの差が、細胞内カルシウム放出を調節し、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出の調節、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクの調節、
脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療
の1又は複数において使用することができる薬剤を示すアッセイ法。
【請求項15】
薬剤が、細胞透過性である、請求項14に記載のアッセイ法。
【請求項16】
薬剤が、約500未満の相対分子量(RMM)を有する、請求項14又は15に記載のアッセイ法。
【請求項17】
薬剤が、NAADPのニコチン基の模倣物質であり、前記NAADPが、式:


(II)
を有する、請求項14から16のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項18】
(a)請求項14から17のいずれかに記載のアッセイ法を行うステップと;
(b)細胞内カルシウム放出を調節しうる1又は複数の薬剤を同定するステップと;
(c)1種又は複数の同定された薬剤を大量に調製するステップとを含むアッセイ法。
【請求項19】
(a)請求項14から17のいずれかに記載のアッセイ法を行うステップと;
(b)細胞内カルシウム放出を調節しうる1又は複数の薬剤を同定するステップと;
(c)1又は複数の同定された薬剤を含む薬剤組成物を調製するステップとを含む方法。
【請求項20】
請求項14から17のいずれかに記載のアッセイ法により同定可能、好ましくは同定された薬剤。
【請求項21】
請求項19に記載の方法により調製された薬剤組成物。
【請求項22】
治療及び/又は予防が必要な患者に、請求項1から8又は11から12のいずれかに記載の化合物、請求項9又は10に記載の組成物或いは請求項13に記載の医薬品の有効量を投与することを含む、ヒト又は動物患者における疾患を治療及び/又は予防する方法。
【請求項23】
請求項1から8又は11から12のいずれかに記載の1種又は複数の化合物を薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤又は担体と混合することを含む、薬剤組成物を調製する方法。
【請求項24】
少なくとも1個のコンパートメントが、請求項1から8又は11から12のいずれかに記載の1又は複数の化合物、請求項9又は10に記載の組成物或いは請求項13に記載の医薬品を含む、1又は複数のコンパートメントを含む薬剤パック。
【請求項25】
請求項1から8又は11から12のいずれかに記載の化合物、請求項9又は10に記載の組成物或いは請求項13に記載の医薬品を含む容器で、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出の調節、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクの調節、
脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療
の1又は複数において使用するためにラベルが付されている、容器。
【請求項26】
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出の調節、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクの調節、
脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞)及びT細胞のうちの1又は複数における疾患の治療
の1又は複数において使用するための医薬品の製造における式(I)の化合物の使用であって、
前記化合物が、細胞透過性であり;
前記化合物が、約500未満の相対分子量を有し;
前記化合物が、NAADPのニコチン基の模倣物質であり、前記NAADPが、式:


(II)
を有する使用。
【請求項27】
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出の調節、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクの調節、
脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
ニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸により制御される貯蔵からの細胞内カルシウム放出を調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞及び膵臓β細胞)、免疫細胞、T細胞、食細胞を含む造血細胞のうちの1又は複数における疾患の治療、
哺乳動物細胞におけるカルシウムスパイクを調節することによる、脳、心臓、膵臓細胞(例えば、膵臓腺房細胞)及びT細胞のうちの1又は複数における疾患の治療
の1又は複数において使用するための医薬品の製造における化合物の使用であって、
前記化合物が、細胞透過性であり;
前記化合物が、約500未満の相対分子量を有し;
前記化合物が、NAADPのニコチン基の模倣物質であり、前記NAADPが、式:


(II)
を有し、
前記化合物が、式(A):


(A)
[上式中、
R1及びR2は、環置換基であり;
R1及びR2は、式(I)の化合物と同様に定義され;
R3は、1又は複数の置換基を表し、置換基はそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のアリール、C1〜C20アルキル、F、Cl、Br、I、OY、NY(n=1、2又は3)、SY、COY、CONY(z=2)、C(O)OY(Yはそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のアリール及びC1〜C20アルキル基から選択される)から選択される]
を有する、使用。
【請求項28】
化合物が、細胞透過性であり;
化合物が、約500未満の相対分子量を有し;
化合物が、NAADPのニコチン基の模倣物質であり、前記NAADPが、式:


(II)
を有し、
前記化合物が、式(A):


(A)
[上式中、
R1及びR2は、環置換基であり;
R1及びR2は、式(I)の化合物と同様に定義され;
R3は、1又は複数の置換基を表し、置換基はそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のアリール、C1〜C20アルキル、F、Cl、Br、I、OY、NY(n=1、2又は3)、SY、COY、CONY(z=2)、C(O)OY(Yはそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のアリール及びC1〜C20アルキル基から選択される)から選択される]
を有する、医薬品において使用するための化合物。
【請求項29】
化合物が、細胞透過性であり;
化合物が、約500未満の相対分子量を有し;
化合物が、NAADPのニコチン基の模倣物質であり、前記NAADPが、式:


(II)
を有し、
前記化合物が、式(A):


(A)
[上式中、
R1及びR2は、環置換基であり;
R1及びR2は、式(I)の化合物と同様に定義され;
R3は、1個又は複数の置換基を表し、置換基はそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のアリール、C1〜C20アルキル、F、Cl、Br、I、OY、NY(n=1、2又は3)、SY、COY、CONY(z=2)、C(O)OY(Yはそれぞれ独立して、H、置換又は非置換のアリール及びC1〜C20アルキル基から選択される)から選択される]
を有する、化合物又はそれを含む薬剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−516964(P2007−516964A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542024(P2006−542024)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005109
【国際公開番号】WO2005/054198
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506190658)ユニバーシティー オブ バース (1)
【Fターム(参考)】