説明

NKG2DおよびUL16受容体に対するタンパク質リガンドならびにその使用

RAET1/ULBPファミリーのタンパク質の新規なメンバー(RAET1G)を同定および特性決定し、これが高親和性でUL16およびNKG2D受容体に結合することを示す。RAET1Gは、正常組織では限られた発現を示すが、腫瘍では高レベルで発現し、そして癌細胞では異なった様式でスプライシングされて可溶性タンパク質を産生するようである。RAET1Gはまた、セリアック病のような炎症性疾患においてアップレギュレーションされる。RAET1Gは癌状態および炎症性疾患をはじめとする疾患状態に対する新規なマーカーとして用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞表面受容体NKG2DおよびウイルスリガンドUL16と相互作用するタンパク質リガンドに関する。
【背景技術】
【0002】
C型レクチン様受容体NKG2Dには、マウスおよびヒトの両方で、多数の確定されたMHCクラスI関連リガンドがある。マウスリガンドとしては、レチノイン酸早期転写産物1(Rae−1)ファミリー、副組織適合抗原H60、および最近同定されたMULT1が挙げられる(Cerwenkaら、(2000) Immunity 12, 721-727; Diefenbachら、(2000) Nat. Immunol. 1, 119-126; Carayannopoulosら(2002), J. Immunol 169, 4079-4083)。ヒトリガンドとしては、MHCクラスI鎖関連遺伝子MICAおよびMICB(Bauerら(1999) Science 285, 727-729)ならびにUL16結合性タンパク質ULBPファミリー(Cosmanら(2001) Immunity 14, 123-133)が挙げられる。
【0003】
MICタンパク質は古典的MHCクラスI分子のものと構造的に類似する3個のαドメインを有するが、ペプチドとは結合せず、β2マイクログロブリンと会合することもない。H60、ULBP1〜3およびRae−1ファミリーはMHC様α1α2ドメインのみを有している。ヒトULBPおよびマウスRae−1タンパク質は、これらは膜貫通(TM)領域を所有するのではなく、膜にGPIアンカーで係留される点で、その他のNKG2Dリガンドとは異なる。
【0004】
NKG2Dはホモダイマーとして細胞表面に存在する。多様なリガンドはNKG2D結合部位内の5個の保存された「ホットスポット」のみに結合する(McFarlandら、Immunity (2003) 19, 803-812; McFarlandら、Structure (2003) 11, 411-422)。NKG2DはNK細胞だけに限定されず、活性化されたCD8T細胞、γδT細胞、および活性化されたマクロファージ上でも発現する(Jamieson ら(2002) Immunity 17, 19-29)。
【0005】
NKG2Dリガンドの発現についてはあまり分かっていない。MICは上皮起源の腫瘍上に発現することが多く(Grohら(1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 6879-6884)、また腫瘍上のNKG2Dリガンドのアップレギュレーションは悪性腫瘍細胞の免疫認識および排除の機構の1つであるものと見られる。NKG2D依存性ナチュラルキラー細胞細胞毒性に対する腫瘍の感受性の研究から、ナチュラルキラー細胞媒介細胞毒性におけるNKG2Dの関与は、各種の組織型の標的細胞腫瘍上でのMICAおよびULBPの発現ならびに表面密度と厳密に相関することが示されている(Pendeら(2002)Cancer Res., 62, 6178-6186)。マウスモデルでは、NKG2Dリガンドでトランスフェクトした移植腫瘍細胞が、in vivoにおいて強力な抗腫瘍免疫および腫瘍細胞の拒絶を引き起こした(Diefenbachら(2000) Nat. Immunol. 1, 119-126; Cerwenkaら(2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 11521-11526; Diefenbachら(2001) Nature 413, 165-171; Girardiら(2001) Science 294, 605-609)。NKG2Dリガンドは、サイトメガロウイルス(Grohら(2001) Immunol. 2, 255-260)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(Dasら(2001) Immunity 15, 83-93)および大腸菌(Tiengら(2002) Proc. Natl. Acac. Sci. 99, 2977-2982)をはじめとする病原体に対する免疫応答においても働くと見られる。
【0006】
非肥満性糖尿病(NOD)マウスでは、NK細胞機能はNK細胞上のNKG2Dリガンドの発現によって傷害される(Ogasawaraら、(2003) Immunity 18, 41-51)。関節リウマチでは、NKG2D受容体の、そのリガンドとの相互作用が傷害される(Grohら、(2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100, 9452-9457)。
【0007】
ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)によるUnique Long(UL)16糖タンパク質の発現は、hCMVがNKG2Dのそのリガンドとの結合を妨害することによって免疫認識を回避するメカニズムであると見られる(Cosmanら(2001) Immunity 14, 123-133; Welteら(2003) Eur. J. Immunol. 33, 194-203)。すべてのヒトMICおよびULBPタンパク質が標的となるわけではない。MICB、ULBP1、およびULBP2はUL16に結合するが、MICAおよびULBP3は結合しない。同様に、各種のマウスリガンドがNKG2Dに対して多様な親和性を有する(Carayannopoulosら(2002) J. Immunol. 169, 4079-4083; O'Callaghanら(2001) Immunity 15, 201-211; Carayannopoulosら(2002) Eur. J. Immunol. 32, 597-605)。MICおよびULBPタンパク質は種々の系統の細胞上で互いに独立に発現することができ、このことは重複しない機能とも相容れるものである(Pendeら(2002)Cancer Res. 62, 6178-6186)。
【0008】
多数のULBP関連遺伝子(「RAE1様転写産物」(RAET1))が染色体6p24.2−q25.3上のクラスター中に同定されている(Radosavljevicら(2002) Genomics 79, 114-123)。このクラスターはULBP1〜3とは異なる、RAET1Eなどのいくつかの新規な遺伝子を含んでいる(US2003/0195337)。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0195337号明細書
【非特許文献1】Cerwenkaら, (2000) Immunity 12, 721-727
【非特許文献2】Diefenbachら, (2000) Nat. Immunol. 1, 119-126
【非特許文献3】Carayannopoulosら, (2002), J. Immunol 169, 4079-4083
【非特許文献4】Bauerら, (1999) Science 285, 727-729
【非特許文献5】Cosmanら, (2001) Immunity 14, 123-133
【非特許文献6】McFarlandら, (2003) Immunity 19, 803-812
【非特許文献7】McFarlandら, (2003) Structure 11, 411-422
【非特許文献8】Jamiesonら, (2002) Immunity 17, 19-29
【非特許文献9】Grohら, (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 6879-6884
【非特許文献10】Pendeら, (2002) Cancer Res. 62, 6178-6186
【非特許文献11】Cerwenkaら, (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 11521-11526
【非特許文献12】Diefenbachら, (2001) Nature 413, 165-171
【非特許文献13】Girardiら, (2001) Science 294, 605-609
【非特許文献14】Grohら, (2001) Immunol. 2, 255-260
【非特許文献15】Dasら, (2001) Immunity 15, 83-93
【非特許文献16】Tiengら, (2002) Proc. Natl. Acac. Sci. 99, 2977-2982
【非特許文献17】Ogasawaraら, (2003) Immunity 18, 41-51
【非特許文献18】Grohら, (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100, 9452-9457
【非特許文献19】Welteら, (2003) Eur. J. Immunol. 33, 194-203
【非特許文献20】O'Callaghanら, (2001) Immunity 15, 201-211
【非特許文献21】Carayannopoulosら, (2002) Eur. J. Immunol. 32, 597-605
【非特許文献22】Radosavljevicら, (2002) Genomics 79, 114-123
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、「RAET1G」と命名された、RAET1/ULBPファミリーのタンパク質の新規なメンバーの同定および特性決定に関する。RAET1Gは本明細書中で、現在までに報告されているどのULBPファミリータンパク質よりも顕著に高い親和性でUL16およびNKG2D受容体と結合することが示される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様では、図1もしくは図2のアミノ酸配列と少なくとも87%の配列同一性または少なくとも87%の配列類似性を有するアミノ酸配列を含んでなるか、あるいは当該配列からなるポリペプチドをコードする、単離された核酸が提供される。
【0011】
図1のアミノ酸配列(RAETG1)はデータベース番号AAO22238.1、GI:37728026のものであり、これはデータベース番号AY172579.1、GI:37728025の配列によってコードされる。
【0012】
図2のアミノ酸配列(RAETG2)はデータベース番号AAO22239.1、GI:37728028のものであり、これはデータベース番号AY172580.1、GI:37728027の配列によってコードされる。
【0013】
前記ポリペプチドは図1のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性もしくは類似性、少なくとも95%の配列同一性もしくは類似性、または少なくとも98%の配列同一性もしくは類似性を有するアミノ酸配列を含むか、あるいは当該配列からなっていてもよい。一部の好ましい実施形態では、該ポリペプチドは図1および/もしくは図2のアミノ酸配列を含むかまたは当該配列からなる。
【0014】
好ましくは、該ポリペプチドは1種以上のRAET1G機能を有する。例えば、該ポリペプチドは、好ましくは高親和性(すなわち、360nM以下)で、UL16(コード配列 AY297445、AY297445.1、GI:31616608;タンパク質配列 AAP55721;AAP55721.1;GI:31616609)および/またはNKG2D(コード配列 AF461811、AF461811.1、GI:18182679;タンパク質配列 AAL65233、AAL65233.1、GI:18182680)と結合する。
【0015】
本明細書に記載する単離された核酸は、図3もしくは図4の核酸配列と約85%を超える、約90%を超える、または約95%を超える配列同一性を共有していてもよい。
【0016】
該核酸は図3もしくは図4に示す配列を含むかまたは該配列からなっていてもよいし、示された配列の突然変異体、変異体、誘導体または対立遺伝子であってもよい。該配列は変更(示された配列の1個または数個のヌクレオチドについての1ヵ所または数ヶ所の付加、挿入、欠失および置換)によって、示されたものとは異なっていてもよい。核酸配列の変更の結果、遺伝的コードより明らかであるように、タンパク質レベルでのアミノ酸の変更を生じるか、または生じない場合がある。
【0017】
例えば、核酸は、図3または図4に示される配列とは異なるが、それでも同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列を含み得る。
【0018】
配列同一性については以下にさらに詳細に記載する。
【0019】
本発明の核酸は図3および/または図4に示す配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするか、あるいは図3および/または図4に示す配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする相補体を有するものでもよい。好適な条件とは、例えば約80〜90%同一な配列に対して、0.25M NaHPO、pH 7.2、6.5% SDS、10%デキストランスルフェート中、42℃で一晩のハイブリダイゼーションおよび0.1×SSC、0.1% SDS中、55℃での最終洗浄を含む。約90%を超える同一性の配列に対しては、好適な条件とは、0.25M NaHPO、pH 7.2、6.5% SDS、10%デキストランスルフェート中、65℃で一晩のハイブリダイゼーションおよび0.1×SSC、0.1% SDS中、60℃での最終洗浄を含む。好ましくは、核酸は上記のようなRAET1G活性を有するポリペプチドをコードする。
【0020】
本発明はまた、本明細書に記載する核酸配列の断片、例えば図3もしくは図4のヌクレオチド配列の断片をも包含する。好適な断片は、891ヌクレオチド未満、例えば10、20、30、40または50ヌクレオチドから800、870、880または891ヌクレオチドからなっていてもよい。こうした断片は下記のようなRAET1Gポリペプチドをコードするか、またはオリゴヌクレオチドプローブもしくはプライマーとして有用であり得る。
【0021】
本発明の別の態様では、上記の核酸配列の1つ、例えば図3もしくは4の核酸配列によってコードされる、単離されたRAET1Gポリペプチドが提供される。
【0022】
ポリペプチドは図1および/もしくは図2に示すアミノ酸配列を含むかまたは該配列からなるか、あるいはそれらの変異体、対立遺伝子、誘導体もしくは突然変異体でもよい。
【0023】
本明細書に記載するRAET1Gポリペプチドの変異体、対立遺伝子、誘導体もしくは突然変異体としては、例えば該タンパク質をコードする核酸の操作により、または該タンパク質自体の変化により、該タンパク質のアミノ酸配列を変えることによって変更されたポリペプチドが挙げられる。このような本来のアミノ酸配列の誘導体は、1個または数個のアミノ酸についての1ヵ所または数ヶ所の挿入、付加、欠失もしくは置換を含み得るが、これが該ポリペプチドの定性的活性(例えば該ポリペプチドのUL16受容体および/またはNKG2D受容体との結合性)を根本的に変化させないものであり得る。
【0024】
変異体、対立遺伝子、誘導体もしくは突然変異体は、図1の配列との約87%を超える、約90%を超える、または約95%を超える配列同一性を共有するアミノ酸配列を含み得る。該配列は図1および/または図2のアミノ酸配列との約87%を超える、または約90%を超える、配列類似性を共有するものでもよい。好ましくは、RAET1Gポリペプチドのアミノ酸配列変異体、対立遺伝子、誘導体または突然変異体はUL16受容体および/またはNKG2D受容体に対する結合親和性を保持しているものである。
【0025】
配列類似性および同一性は、通常はアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group, Madison, WI)に準拠して規定される。GAPではNeedlemanおよびWunschアルゴリズムを使用して、2つの完全配列をアライメントし、このとき一致数を最大にし、かつギャップの数を最少にする。一般的には、デフォルトのパラメータを使用し、ギャップ生成ペナルティ=12、ギャップ伸長ペナルティ=4とする。
【0026】
GAPの使用が好ましいが、例えば以下の他のアルゴリズムを使用してもよい:BLAST(Altschulら(1990) J. Mol. Biol. 215, 405-410の方法を使用)、FASTA(Pearson and Lipman(1988) Proc. Natl. Acad. USA 85, 2444-2448の方法を使用)、またはSmith−Watermanアルゴリズム(Smith and Waterman (1981) J. Mol Biol. 147, 195-197)、あるいはAltschulら(1990、上掲)のTBLASTNプログラム。これらは一般的にデフォルトのパラメータを利用する。特に、psi−Blastアルゴリズム(Nucl. Acids Res. (1997) 25, 3389-3402)を使用することができる。配列同一性および類似性は、GenomequestTMソフトウェア(Gene-IT, Worcester MA USA)を使用して判定することもできる。
【0027】
類似性とは「保存的変異」、すなわち、イソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンなどの疎水性残基同士の置換、またはアルギニンとリジン、グルタミン酸とアスパラギン酸、もしくはグルタミンとアスパラギンなどの、極性残基同士の置換を許容するものである。当該アミノ酸配列変異体は、1アミノ酸、2、3、4、5〜10、10〜20、20〜30、30〜50、もしくは50アミノ酸を超える挿入、付加、置換または欠失によって、本明細書に記載の確かめられたポリペプチド配列と異なっていてもよい。
【0028】
配列の比較は、文脈上それ以外を指定する場合を除き、本明細書に記載する対応する配列の全長にわたって行う。
【0029】
RAET1Gポリペプチドには、完全長ポリペプチド(例えば図1および/または図2の全長配列)よりも少ないアミノ酸残基からなるポリペプチド断片が包含される。このような断片は、少なくとも110アミノ酸、より好ましくは少なくとも160アミノ酸、より好ましくは少なくとも200アミノ酸、より好ましくは少なくとも250アミノ酸、より好ましくは少なくとも297アミノ酸からなっていてもよい。このような断片は297アミノ酸以下、または250アミノ酸以下、または160アミノ酸以下、または110アミノ酸以下からなっていてもよい。
【0030】
好ましくは、本明細書に記載するポリペプチドは、図1または図2の配列中の少なくとも残基83から202に相当するα1およびα2ドメインを含んでなる。
【0031】
該ポリペプチドはまた、図1もしくは図2の配列中の少なくとも残基227−242に相当する膜貫通ドメイン、および/または図1もしくは図2の配列中の少なくとも残基243−297もしくはそれ未満に相当する細胞質ドメインを含むことができる。
【0032】
本明細書に記載するポリペプチドはさらに、図1または図2のアミノ酸配列の位置163に相当する位置にプロリン残基を含むことができる。
【0033】
本出願では、アミノ酸残基を、図1の配列中のそれらの位置を参照して記載する。その他のRAET1Gポリペプチド中の対応する残基は、各ポリペプチドのアミノ酸配列に差異があるので、異なる位置および数である場合があることが理解されるであろう。これらの差異は、例えば、N末端ドメインの長さの変動によって起こり得る。RAET1Gポリペプチド中の対応する残基は、それらの全体としての配列の前後関係により、ならびにα1およびα2ドメインとの関係でのそれらの位置によって、容易に認識し得るものである。
【0034】
本明細書に記載するポリペプチドは可溶性または不溶性であり、例えばポリペプチドは膜にアンカーされているか、または膜内にあってもよい。
【0035】
好ましくは、ポリペプチドはRAET1Gの機能を有し、UL16受容体および/またはNKG2D受容体と高親和性で結合する。RAET1GポリペプチドのUL16および/またはNKG2D受容体に対する親和性は、例えば表面プラズモン共鳴をはじめとする、種々の標準的な技法のいずれによっても決定することができる。
【0036】
受容体との高親和性結合とは一般的に、マイクロモル未満の親和性での結合である。中程度〜低親和性結合とは一般的に、マイクロモルまたは数十マイクロモルの親和性での結合である。
【0037】
本明細書に記載するRAET1Gポリペプチドは、NKG2Dに対する親和性が1.68μMであるULBP1などの、他のNKG2Dリガンドの結合親和性に匹敵するか、より好ましくはそれよりも高い親和性で結合する。
【0038】
RAET1Gポリペプチドはまた、RAET1G配列に対して異種性の付加的なアミノ酸残基を含んでいてもよい。例えば、上記のRAET1Gポリペプチドが融合タンパク質の一部として含まれていて、この場合に異種アミノ酸残基によってこの融合タンパク質がUL16および/またはNKG2D受容体との結合親和性の他に機能を有することができるようになっていてもよい。例えば、この付加的な機能が所望の性質をもたらすか、または所望の性質を有する作用因子が該融合タンパク質と協働することを可能にする。
【0039】
一部の実施形態では、RAET1Gポリペプチドをコンジュゲートとして機能性部分に化学的に連結させてもよい。RAET1Gポリペプチドとコンジュゲートさせることができる機能性部分としては、ポリペプチド、非ペプチジル化合物、細胞およびウイルス粒子が挙げられる。機能性部分は、例えば細胞毒性活性または結合活性を有していてもよい。
【0040】
当業者であれば、本明細書に記載した技法および当該技術分野で周知のその他の技法を使用して、例えばコードする核酸からの発現によって、大量のポリペプチドおよびペプチドを産生させることができる。
【0041】
RAET1Gポリペプチドの生成方法は以下のステップを含む:
(a) RAET1Gポリペプチドをコードする核酸からの発現を引き起こし、それによりRAET1Gポリペプチドを組換え的に産生させるステップ;および
(b) RAET1G活性について組み換え産生ポリペプチドを試験するステップ。
【0042】
好適な核酸配列としては、上記のRAET1Gポリペプチドをコードする核酸配列が含まれる。
【0043】
ポリペプチドは、コードする核酸からの発現による産生(これについては以下を参照のこと)後に、(例えば抗体などを使用して)単離および/または精製することができる。こうして、ポリペプチドを、(これが天然に存在するポリペプチドならば)天然に結合している不純物を含まないかまたは実質的に含まないで、提供することができる。ポリペプチドは、その他のポリペプチドを含まないか実質的に含まないで提供することができる。
【0044】
RAET1Gポリペプチドの精製を容易にするために、融合ポリペプチドを作製することができる。例えば、6個のヒスチジン残基を組換えタンパク質のN末端またはC末端のいずれかに組み込む。このようなヒスチジンタグは、ニッケルまたはコバルトのいずれかの金属イオンを含有する市販のカラム(Clontech, Palo Alto, CA, USA)を使用することによるタンパク質の精製のために使用することができる。
【0045】
組換え産生させたポリペプチドを単離し、かつ/あるいは、RAET1Gポリペプチドをこの受容体とともにインキュベート、および表面プラズモン共鳴を使用した結合親和性の定量によるUL16受容体および/またはNKG2D受容体との結合親和性の測定によって、RAET1G活性について試験することができる。
【0046】
上記の単離された核酸、例えばRAET1Gポリペプチドをコードする核酸を、ベクター中に含めることができる。好適なベクターとして、プロモーター配列、ターミネーター断片、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および適当なその他の配列などの適切な調節配列を含むものを選定するか、またはそのように構築することができる。ベクターは適宜、プラスミド、ウイルス、例えばファージもしくはファージミドとすることができる。さらなる詳細については例えば以下を参照されたい:Molecular Cloning: a Laboratory Manual: 第2版, Sambrook ら、1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press。例えば核酸構築物の調製、突然変異誘発、シーケンシング、細胞中へのDNAの導入および遺伝子発現における核酸の操作、ならびにタンパク質の分析についての多くの公知の技法およびプロトコールが、以下に詳細に記載されている:Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら編, John Wiley & Sons, 1992。
【0047】
多岐にわたる各種宿主細胞中でのポリペプチドのクローニングおよび発現のためのシステムが周知である。好適な宿主細胞としては、細菌、哺乳動物および酵母などの真核細胞、ならびにバキュロウイルスシステムが挙げられる。異種ポリペプチドの発現のための当該技術分野で利用可能な哺乳動物細胞株としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、仔ハムスター腎細胞、COS細胞およびその他多くが挙げられる。一般的な好ましい細菌宿主は大腸菌である。
【0048】
本発明の別の態様では、上記のRAET1Gポリペプチドをコードする異種核酸を含有する宿主細胞が提供される。
【0049】
宿主細胞、特に癌細胞である宿主細胞は、例えば宿主生物中での癌細胞に対する免疫応答を刺激することにより、癌状態の治療に有用であるものと見られる。
【0050】
核酸を宿主細胞のゲノム(例えば染色体)中に組み込むことができる。組み込みは、標準的な技法により、ゲノムとの組換えを促す配列を含めることによって、促進することができる。核酸は細胞内の染色体外ベクター上にあってもよい。
【0051】
宿主細胞中への核酸の導入は、(特にin vitro導入について)限定するものではないが一般的に「形質転換」と称されるものであるが、これにはあらゆる利用可能な技法を使用することができる。真核細胞については、好適な技法としては以下ものが挙げられる:リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン、エレクトロポレーション、リポソーム媒介トランスフェクション、およびレトロウイルスその他のウイルス(例えばワクシニアもしくは昆虫細胞用のバキュロウイルス)を使用する形質導入。細菌細胞については、好適な技法として、塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレーションおよびバクテリオファージを使用するトランスフェクションが挙げられる。
【0052】
当該技術分野で周知のように、目的の核酸を含有するクローンを特定する際に、抗生物質耐性または感受性遺伝子などのマーカー遺伝子を使用することができる。
【0053】
導入の後、例えば宿主細胞(これらの細胞は形質転換された細胞の子孫である可能性が高いが、実際に形質転換された細胞も含まれる)を、該遺伝子を発現する条件下で培養することによって、該核酸の発現が引き起こされるかまたは可能となり、それによりコードされたポリペプチドが産生される。該ポリペプチドが適切なシグナルリーダーペプチドと組み合わせて発現される場合は、細胞から培養培地中に分泌される場合がある。
【0054】
発現による産生後、ポリペプチドを場合に応じて宿主細胞および/または培地から単離し、かつ/あるいは精製し、RAET1G活性について試験し、その後所望によって、例えば1種以上の別の成分を含有する組成物、1種以上の製薬上許容される賦形剤、ビヒクルまたは担体を含有する医薬組成物などの製剤化において使用することができる(例えば以下を参照のこと)。
【0055】
他の実施形態では、例えば細胞表面で発現したポリペプチドを含んでなる宿主細胞を単離および/または精製し、そして例えば癌もしくは他のRAET1Gが媒介する状態の治療のための医薬組成物に製剤化することができる。
【0056】
本発明の別の態様では、RAET1Gポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体が提供される。
【0057】
抗体は、当該技術分野で標準的な技法を使用して取得することができる。抗体の生成方法には、該タンパク質またはその断片によって哺乳動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、ウマ、ヤギ、ヒツジまたはサル)を免疫することが含まれる。抗体は免疫した動物から当該技術分野で既知の多様な技法のいずれかを使用して取得し、かつ好ましくは対象となる抗原への抗体の結合性を使用して、スクリーニングすることができる。例えばウエスタンブロッティング法または免疫沈降を使用することができる(Armitageら、(1992) Nature 357, 80-82)。動物からの抗体および/または抗体産生細胞の単離には、その動物を屠殺するステップを伴う場合がある。
【0058】
ペプチドによる哺乳動物の免疫の別法または補助法として、発現させた免疫グロブリン可変性ドメインの組換え産生ライブラリーから、例えば表面に機能的免疫グロブリン結合ドメインを呈示するラムダバクテリオファージまたは繊維状バクテリオファージを使用して、あるタンパク質に特異的な抗体を取得することができる。例えばWO92/01047を参照されたい。ライブラリーはそのタンパク質(または断片)のいずれによっても免疫されたことがない生物から取得した配列から構築した、ナイーブな(naive)ものでもよく、あるいは目的の抗原に曝露した生物から取得した配列を使用して構築したものでもよい。
【0059】
本発明の抗体は多数の方法で修飾することができる。実際、用語「抗体」は、必要な特異性がある結合ドメインを有するどんな結合性物質をも包含するものと解釈すべきである。例えば、本発明は、抗体断片、抗体の誘導体、機能的等価物および相同体を包含し、合成分子、および抗原もしくはエピトープとの結合が可能になるようにその形状が抗体のものを模倣している分子も含まれる。
【0060】
RAET1Gポリペプチドに特異的に結合する抗体は、例えば、個体が癌などの疾病状態にあるかどうかを判定するのに有用である。
【0061】
本明細書で、RAET1Gは正常組織では限られた発現を示すが、腫瘍、特に上皮由来の腫瘍では高レベルでの発現を示すことが明らかにされている。したがって、RAET1Gは腫瘍の診断および進行度判断において腫瘍細胞マーカーとして有用であると見られる。
【0062】
本明細書に提示するデータから、セリアック病ではRAET1Gの発現が小腸中で増大していることが示される。RAET1Gの発現はクローン病などのその他の腸の炎症性疾患でも増大するようである。
【0063】
個体での癌状態または炎症性疾患の特定方法は以下のステップを含む:
個体から取得したサンプル中のRAET1Gポリペプチドの発現を判定するステップ。
【0064】
対照と比較して試験サンプル中で増大したRAET1Gポリペプチドの発現は、個体が該状態または疾患を有することの指標となり得る。
【0065】
RAET1Gポリペプチドの発現は、サンプル中のRAET1Gポリペプチドの存在または量を確認することによって判定することができる。
【0066】
本明細書中で、癌細胞はRAET1G転写産物を異なる様式でスプライシングして、末端切断されたRAET1Gポリペプチドを産生するが、これはRAET1Gの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを欠損している(すなわち可溶性RAET1Gポリペプチドである)ことが示される。
【0067】
個体での癌状態の特定方法は以下のステップを含む:
個体から取得したサンプル中の可溶性RAET1Gポリペプチドの発現を判定するステップ。
【0068】
対照と比較して試験サンプル中で増大した可溶性RAET1Gポリペプチドの発現は、個体が該状態または疾患を有することの指標となり得る。
【0069】
可溶性RAET1Gポリペプチドの発現は、サンプル中の可溶性RAET1Gポリペプチドの存在または量を確認することによって判定することができる。
【0070】
好適な対照は当業者に周知であり、例えば、健康な個体から取得したサンプルが挙げられる。健康な個体から取得したサンプルは、該状態を特定しようとしている個体とは別の個体から取得してもよいし、または同一の個体から異なる時点で取得したサンプルでもよい。
【0071】
癌状態としては、例えばT細胞白血病などの白血病状態、または上皮癌が含まれるが、上皮癌としては、腎臓、肝臓、肺、食道、卵巣(漿液性癌)、皮膚の癌、子宮の内膜性癌および/または子宮の扁平上皮癌が挙げられる。炎症性疾患としてはセリアック病またはクローン病が挙げられる。
【0072】
RAET1Gポリペプチドの存在または量は、サンプルを本明細書に記載の抗体と接触させることによって、直接的に決定することができる。
【0073】
可溶性RAET1Gポリペプチドは、完全長RAET1G配列のアミノ酸1−213を含んでなるかまたは該アミノ酸からなる。
【0074】
サンプルは、例えば疾患または悪性腫瘍が疑われる組織由来の組織生検サンプルであるか、あるいは例えば血液、血清または血漿由来の生物学的液体サンプルである。生物学的サンプルは、場合によっては、抗体と接触させる前に濃縮および/または単離された細胞を含んでなる。
【0075】
サンプル上での抗体の反応性は任意の適切な手段によって判定することができる。個々のレポーター分子によるタグ付けが、可能なものの1つである。レポーター分子は検出可能な、かつ好ましくは測定可能なシグナルを直接的または間接的に生成する。レポーター分子の連結は直接的または間接的なもので、例えばペプチド結合を介した共有結合、または非共有結合でもよい。ペプチド結合を介した連結は、抗体およびレポーター分子をコードする遺伝子融合物の組換え発現の結果であり得る。結合性を判定する様式は本発明の主眼ではなく、当業者はその好みおよび一般的知識にしたがって好適な様式を選択することができる。
【0076】
例えば、抗体のRAET1Gポリペプチドとの結合を判定および/または定量するためには、例えばHPLCまたはELISAをはじめとする、種々の通常用いられる技法が利用可能である。
【0077】
本明細書に記載する抗体は、本明細書に記載する方法を使用して個体の癌状態を検出するためのキットの成分にもなる。
【0078】
他の実施形態では、サンプル中の可溶性RAET1Gをコードする核酸のレベルを測定することによって、間接的に可溶性RAET1Gポリペプチドの発現を判定することができる。
【0079】
個体での癌状態を特定する方法は、以下のステップを含む:
個体から取得したサンプル中の可溶性RAET1Gポリペプチドをコードする核酸の存在または量を確認するステップ。
【0080】
可溶性RAET1Gポリペプチドをコードする核酸は、図1のアミノ酸配列のRAET1G配列をコードする核酸を包含する。好適な核酸は例えば、図3の配列を含んでなるかまたは該配列からなるもの、あるいはそれらの対立遺伝子もしくは変異体である。
【0081】
核酸、特にRNAの存在もしくは量は、例えばRT−PCRまたはノーザンブロッティングをはじめとする、任意の都合のよい技法によって確認することができる。
【0082】
本発明はまた、RAET1Gのモジュレーターおよび/またはこれとUL16および/もしくはNKG2D受容体との相互作用のモジュレーター(例えばインヒビター)を取得するか、あるいは特定するための方法における、本明細書中に記載のRAET1Gポリペプチドの使用をも包含する。
【0083】
RAET1Gポリペプチドのモジュレーターを取得および/または特定するための方法は:
(a) RAET1Gポリペプチドと試験化合物とを接触させるステップ;および
(b) RAET1Gポリペプチドと試験化合物との相互作用を測定するステップ
を含む。
【0084】
他の実施形態では、RAET1Gポリペプチドのモジュレーターを取得および/または特定するための方法は:
(a) 試験化合物の存在下に、RAET1Gポリペプチドと、UL16またはNKG2Dポリペプチドとを接触させるステップ;および
(b) UL16またはNKG2DポリペプチドとRAET1Gポリペプチドとの間の相互作用を測定するステップ
を含む。
【0085】
試験化合物の存在下および非存在下で、相互作用または結合性を測定することができる。試験化合物の非存在下と比較しての試験化合物の存在下での相互作用または結合性における差は、該試験化合物がRAET1G活性のモジュレーターであることの指標となる。
【0086】
ポリペプチドを、該ポリペプチドが試験化合物の非存在下で互いに相互作用または結合する条件で、接触させてもよい。RAET1Gポリペプチドはその反応培地中、単離された形態でもよいが、細胞膜上に含まれていてもよい。
【0087】
本明細書に記載するRAET1Gモジュレーターを取得または特定するための方法は、in vivo細胞ベースアッセイでも、in vitro非細胞ベースアッセイでもよい。in vitroアッセイでは、RAET1Gポリペプチドを単離し、固体の支持体上に固定するか、膜上に含ませる場合がある。in vivoアッセイのための好適な細胞タイプとしては、CHO、HeLaおよびCOS細胞などの哺乳動物細胞が挙げられる。
【0088】
本明細書に記載する方法の厳密な形式は、当業者が日常用いる技能および知識を使用して変更することができる。
【0089】
本発明のin vitroまたはin vivoアッセイのためには、完全長RAET1G、UL16またはNKG2Dポリペプチドの全体を使用する必要はない。当業者に公知のいずれかの好適な方法により、完全長タンパク質の活性を保持する本明細書に記載のポリペプチド断片を作製して、そして使用することができる。
【0090】
例えば、RAET1GポリペプチドまたはUL16とNKG2D受容体の一方もしくは両方を固体支持体に固相化し、その後他方と接触させることによって、結合親和性をin vitroで研究することができる。結合親和性は、次に表面プラズモン共鳴などの標準的な技法によって測定することができる。RAET1Gポリペプチドまたは受容体を検出可能な標識で標識してもよい。好適な検出可能な標識としては35S−メチオニンが挙げられ、これを組換え産生ペプチドおよびポリペプチドに取り込ませることができる。組換え産生させるペプチドおよびポリペプチドは、抗体で標識することが可能なエピトープを含有する融合タンパク質として発現させることもできる。
【0091】
本明細書に記載する方法を、例えば酵母または哺乳動物細胞株などの細胞株中、in vivoで実施することができる。この場合、当該ポリペプチドまたはペプチドを、該細胞中に導入された1種以上のベクターから発現させる。
【0092】
試験化合物がRAET1GポリペプチドとUL16もしくはNKG2Dポリペプチドとの間の相互作用をモジュレートする能力は、いわゆるツーハイブリッドアッセイを使用して測定することができる。例えば、場合に応じて、RAET1GポリペプチドまたはUL16もしくはNKG2Dポリペプチドの断片を含有するポリペプチドまたはペプチド、あるいは開示したそれらのペプチジルアナログまたは変異体を、酵母転写因子GAL4のものなどの核酸結合性ドメインと融合させることができる。GAL4転写因子は2つの機能性ドメインを含んでなる。これらのドメインとは、DNA結合ドメイン(GAL4DBD)およびGAL4転写活性化ドメイン(GAL4TAD)である。一方のポリペプチドまたはペプチドをこれらのドメインの一方に融合させ、そして他方のポリペプチドまたはペプチドを対応する相手方に融合させることによって、対象となる2つのポリペプチドまたはペプチドが相互作用する場合にのみ、機能的GAL4転写因子が復元される。こうして、ポリペプチドまたはペプチドの相互作用を、GAL4 DNA結合サイト(該レポーター遺伝子の転写を活性化させることができる)に連結可能なレポーター遺伝子の使用によって、測定することができる。このアッセイ形式は以下の文献に記載されている:Fields and Song, 1989, Nature 340; 245-246。このタイプのアッセイ形式は、哺乳動物細胞および酵母の両方で使用することができる。
【0093】
核酸結合性ドメインと転写活性化ドメインの他の組み合わせが当該技術分野で利用可能であるが、LexAのDNA結合ドメインとVP60転写活性化ドメインなどが好ましい。
【0094】
一部の実施形態では、RAET1G、UL16もしくはNKG2Dポリペプチドまたはペプチドを(例えば)LexA DNA結合ドメインとの融合物として用い、そしてその相手方、(例えば)UL16、NKG2DもしくはRAET1Gポリペプチドまたはペプチドを(例えば)VP60との融合物として使用し、そして第3の発現カセットを含める。これは別個の発現ベクター上のものでもよく、ここから、ペプチド、あるいは多様かつ/またはランダムな配列のペプチドのライブラリーを発現させることができる。レポーター遺伝子発現の低下(例えばβガラクトシダーゼの場合、青色の減弱)は、(例えば)RAET1G/受容体の相互作用を阻止するペプチドの存在の結果である。なぜならば、βガラクトシダーゼ遺伝子の転写活性化には相互作用が必要とされるからである。試験物質がペプチジルではなく、前記第3の発現カセット内のコード核酸から発現しない場合は、外因性にもたらされる試験物質を用いる同様のシステムを使用することができる。
【0095】
ツーハイブリッドアッセイを使用して2つのポリペプチドまたはペプチド間の相互作用を妨害する物質を探索する場合には、酵母細胞ではなく、哺乳動物細胞を使用するのが好ましいようである。この場合も同一の原理があてはまり、また適切な方法は当業者に周知である。
【0096】
RAET1G、UL16および/またはNKG2Dポリペプチドはある細胞または種々の細胞群の上および/または中に存在していてよい。これは例えば形質転換によって細胞中に導入された1以上の発現ベクターから該ポリペプチドを発現させることによって、達成することができる。
【0097】
好適なUL16ポリペプチドとしては、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)UL16(登録番号AY297445)またはその変異体、相同体、突然変異体、対立遺伝子もしくは誘導体が挙げられる。UL16の変異体、対立遺伝子、誘導体、相同体、または突然変異体は、HCMV UL16の配列との約70%を超える、約80%を超える、約90%を超える、または約95%を超える配列同一性を有する配列からなるものとすることができる。
【0098】
好適なNKG2D受容体としては、ヒトNKG2D受容体(登録番号AF481811)またはその変異体、相同体、突然変異体、対立遺伝子もしくは誘導体が挙げられる。NKG2Dの変異体、対立遺伝子、誘導体、相同体、または突然変異体は、ヒトNK細胞NKG2D受容体の配列と約70%を超える、約80%を超える、約90%を超える、または約95%を超える配列同一性を有する配列からなるものとすることができる。
【0099】
本発明のアッセイに添加することができる試験物質または化合物の量は、通常、使用する化合物のタイプに応じて試行錯誤によって決定されるであろう。典型的には、約0.001nMから1mMまたはそれより大きな濃度、例えば0.01nM〜100μM、例えば0.1〜50μM、約10μMなどの推定上のインヒビター化合物を使用することができる。細胞ベースのアッセイを使用する場合、試験物質または化合物はRAET1Gポリペプチドに到達できるように、望ましくは膜透過性である。
【0100】
試験化合物は薬物スクリーニングプログラムで使用される天然または合成化合物とすることができる。特性決定されているか特性決定されていない数種類の成分を含有する植物抽出物を使用することもできる。
【0101】
コンビナトリアルライブラリー技術(Schultz, (1996) Biotechnol. Prog. 12, 729-743)では、ポリペプチドの活性をモジュレートする能力について、潜在的に膨大な数の異なる物質を試験するための、効率的な方法が提供されている。
【0102】
試験化合物の1つのクラスを、RAET1G、UL16および/またはNKG2Dポリペプチドから誘導することができる。5〜40アミノ酸、例えば6〜10アミノ酸の膜透過性ペプチド断片を、かかる相互作用または活性をモジュレートするそれらの能力について試験することができる。
【0103】
ペプチドは、十分確立された、標準的な液相、または好ましくは固相ペプチド合成方法にしたがって、完全または部分的に化学合成によって生成することもできる。一般的な説明については、広く入手可能である(例えば以下のものを参照のこと:J.M. Stewart and J.D. Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 第2版, Pierce Chemical Company, Rockford, Illinois (1984), in M. Bodanzsky and A. Bodanzsky, The Practice of Peptide Synthesis, Springer Verlag, New York (1984); および Applied Biosystems 430A Users Manual, ABI Inc., Foster City, California)。ペプチドは溶液中で、液相方法によるか、または固相、液相および溶液化学のいずれかの組み合わせにより調製することができる。例えば、最初に各々のペプチド部分を完成させ、次に、所望かつ適切ならば存在する保護基の除去後、各々の炭酸もしくはスルホン酸またはそれらの反応性誘導体の反応によって残基Xを導入することによる。ペプチドのモジュレーター特性は、C末端への以下の基の1つの付加によって強化することができる:クロロメチルケトン、アルデヒドおよびボロン酸。これらの基はセリン、システインおよびトレオニンプロテアーゼのための遷移状態アナログである。ペプチド断片のN末端をカルボベンジルでブロックすることによって、アミノペプチダーゼを阻害し、安定性を改善することができる(Proteolytic Enzymes, 第2版, R. Beynon and J. Bond編, Oxford University Press 2001)。
【0104】
特定の分子形状、サイズおよび荷電特性を有する潜在的インヒビター化合物を提供するために、他のモジュレーター化合物候補を、ポリペプチドまたはペプチド断片の三次元構造のモデリングおよび理論的薬物設計の使用に基づくものとしてもよい。これについて以下にさらに詳細に記載する。
【0105】
RAET1Gポリペプチドに対する抗体は別のクラスの推定上のモジュレーター化合物を形成することができる。候補抗体を特性決定し、それらの結合領域を決定して、相互作用のモジュレーションを担う単鎖抗体およびそのフラグメントを提供することができる。
【0106】
上記の方法を使用して化合物を同定後、該化合物を単離し、かつ/または合成することができる。
【0107】
RAET1Gおよび/またはUL16もしくはNKG2Dなどの受容体と相互作用し、かつ/あるいはRAET1Gの活性をモジュレートする能力を有するとして、1種以上の一次スクリーニングを用いて(例えば無細胞系で)特定された薬物について、さらに1種以上の二次スクリーニングを用いて評価または研究することができる。例えば生物学的活性を、NK細胞の細胞毒性アッセイで試験することができる。RAET1Gの活性をモジュレートすることが見出された試験化合物を、NK細胞の細胞毒性を阻害する活性について試験することができる。
【0108】
上記の通りに化合物を特定した後、方法として、製薬上の特性を最適化するための化合物の修飾がさらに含まれる場合がある。
【0109】
生物学的に活性であるとして特定された「リード」化合物の修飾は製薬の開発のための公知のアプローチであり、活性化合物の合成が困難または高価であるか、あるいは特定の投与方法には不適当である場合(例えば、ペプチドは消化管内でプロテアーゼによって迅速に分解される傾向にあるので、経口組成物のための活性成分としてはあまり好適でない)には、望ましいものである。標的とする特性について多数の分子をランダムにスクリーニングすることを回避するため、公知の活性化合物の(例えば模倣体を製造するための)修飾を使用することができる。
【0110】
製薬上の特性を最適化するための「リード」化合物の修飾は、通常いくつかのステップを含む。最初に、標的特性を確認するのに決定的かつ/または重要な、その化合物の特定の部分を決定する。ペプチドの場合、これは、該ペプチド内のアミノ酸残基の体系的変換により、例えば個々の残基を順に置換することにより実施することができる。該化合物の活性領域を構成するこれらの部分または残基は、「薬理作用団」として知られている。
【0111】
薬理作用団が明らかになった後、その構造を、一連の情報源(例えば分光分析、X線回折データおよびNMR)からのデータを使用し、例えば立体化学構造、結合性、サイズおよび/または荷電などの物理学的性質にしたがってモデル化する。
【0112】
このモデル化プロセスでは、コンピュータ解析、類似性マッピング(原子間の結合ではなく、薬理作用団の荷電および/または体積をモデル化するもの)その他の技法を使用することができる。
【0113】
このアプローチの変法では、リガンドおよびその結合相手の三次構造をモデル化する。これは、そのリガンドおよび/または結合相手が結合時にコンホメーションを変化させる場合に特に有用であり、これによりリード化合物の最適化の際に該モデルがこれを考慮に入れることが可能になる。
【0114】
次に薬理作用団を模倣する化学基をグラフトすることが可能な鋳型分子を選択する。鋳型分子およびそれにグラフトする化学基は、リード化合物の生物学的活性を維持したままで、修飾化合物が合成し易く、おそらく薬理学的に許容され、かつin vivoで分解しないものとなるように、都合よく選択することができる。このアプローチによって見出された修飾化合物をその後スクリーニングして、それらが標的特性を持つかどうか、またはそれをどの程度まで発揮するかを明らかにすることができる。修飾化合物にはリード化合物のミメティクスも含まれる。
【0115】
次に、さらに最適化または修飾を実施することによって、in vivoまたは臨床試験のための1種以上の最終化合物に到達することができる。
【0116】
試験化合物を製造するか、かつ/または医薬、医薬組成物もしくは薬物などの組成物の調製(すなわち製造または製剤化)において使用することができる。これらは、例えば本明細書で別記する目的のいずれかのために、個体に投与することができる。
【0117】
本発明の方法には、前記試験化合物を以下に記載する製薬上許容される賦形剤、ビヒクルまたは担体とともに医薬組成物中に製剤化することが含まれる。
【0118】
本発明の別の態様では、以下のステップを含む医薬組成物の製造方法が提供される:
i)本明細書に記載の方法を使用して、RAET1Gポリペプチドの活性をモジュレートする化合物を特定するステップ;および
ii)特定された化合物を製薬上許容される担体と混合するステップ。
【0119】
組成物と製薬上許容される担体との製剤化については以下にさらに記載する。
【0120】
本発明の別の態様では、例えばRAET1Gに媒介される状態の治療のための医薬組成物の調製方法が提供され、該方法は以下のステップを含む:
i)RAET1Gポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストである化合物を特定するステップ;
ii)特定された化合物を合成するステップ;および
iii)該化合物を医薬組成物中に組み込むステップ。
【0121】
特定された化合物は、通常用いられる化学的合成方法論を使用して合成することができる。合成経路の開発および最適化の方法は当業者に周知である。
【0122】
化合物は上記のようにして修飾および/または最適化することができる。
【0123】
化合物の医薬組成物への組み込みには、合成された化合物と製薬上許容される担体または賦形剤を混合することが含まれる。
【0124】
本発明の別の態様では、本明細書に記載する方法によって単離および/または取得される、RAET1G活性のモジュレーター(例えばインヒビター)またはかかるモジュレーターを含んでなる組成物が提供される。
【0125】
好適なモジュレーターとしては、上記のような低分子量化学物質、ペプチド断片、抗体またはミメティクスが挙げられる。
【0126】
本発明の別の態様では、本明細書に記載のモジュレーターおよび製薬上許容される賦形剤、ビヒクルもしくは担体を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0127】
本発明の別の態様では、ヒトまたは動物身体の治療における使用のための、上記のようなRAET1Gポリペプチドもしくはその断片、またはRAET1Gポリペプチドもしくはその断片をコードする核酸、あるいは抗体、細胞またはモジュレーターが提供される。
【0128】
本発明の別の態様では、RAET1Gにより媒介される障害を有する個体の治療用の組成物の製造における、RAET1Gポリペプチドもしくはその断片、RAET1Gポリペプチドもしくはその断片をコードする核酸、本明細書に記載の抗体、本明細書に記載の宿主細胞、または本明細書に記載の方法によって取得されるモジュレーターの使用が提供される。
【0129】
RAET1Gにより媒介される障害としては、病原体感染症、癌状態または免疫障害が挙げられる。
【0130】
病原体感染症としては、結核菌もしくは大腸菌感染症などの細菌感染症、またはヒトサイトメガロウイルス感染症などのウイルス感染症が挙げられる。
【0131】
癌状態としては、肺癌、消化管癌、腸癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、脳腫瘍、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、黒色腫、リンパ腫または白血病が挙げられる。
【0132】
免疫系の状態としては、セリアック病、関節リウマチ、狼蒼、強皮症、シェーグレン症候群および多発性硬化症などの自己免疫疾患、糖尿病、または炎症性腸症候群、潰瘍性大腸炎およびクローン病などの炎症性腸疾患が挙げられる。拒絶を低減または防止することもまた、移植手術を受けた患者にとっては有用である。
【0133】
個体に与えるものが本発明の細胞、ポリペプチド、抗体、ペプチド、核酸分子、小分子または医薬として有用なその他の化合物のいずれであっても、投与は好ましくは「予防上有効量」または「治療上有効量」(場合に応じる、ただし、予防は治療とみなすこともできる)とし、この量は個体に利益を与えるのに十分なものである。投与する実際の量、ならびに投与の速度および経時変化は、治療する対象の性質および重篤度によって変わるであろう。治療の処方、例えば投与量その他の決定は一般的実務者その他の医師の責任の範囲内である。
【0134】
組成物は、治療対象の状態に応じて、単独で、または他の治療と組み合わせて同時もしくは順次的に、投与することができる。
【0135】
本発明の医薬組成物、および本発明にしたがった使用のための医薬組成物は、活性成分に加えて、製薬上許容される賦形剤、担体、バッファー、安定剤その他の当業者に周知の物質を含有しうる。かかる物質は無毒でなければならず、また活性成分の効力を妨害するものであってはならない。担体その他の物質の厳密な性質は投与経路によって変わるであろう。投与経路は、経口、または注射(例えば経皮、皮下もしくは静脈注射)によるものであり得る。
【0136】
経口投与用の医薬組成物は錠剤、カプセル、粉末または液状形態とすることができる。錠剤にはゼラチンなどの固体担体またはアジュバントを含有させることができる。液状医薬組成物には一般的に水、石油、動物もしくは植物油、鉱物油または合成油などの液状担体を含有する。生理食塩溶液、デキストロースその他の糖類溶液またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコールを含有させることもできる。
【0137】
静脈内、皮膚もしくは皮下注射、または患部への注射については、活性成分はパイロジェンフリーであり、かつ好適なpH、等張性および安定性を有する、非経口的に許容される水溶液の形態とする。当業者は、例えば塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、または乳酸加リンゲル注射液などの等張ビヒクルを使用して、好適な溶液を調製する能力が十分ある。必要に応じて、防腐剤、安定剤、バッファー、抗酸化剤および/またはその他の添加剤を含有させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0138】
ここで本発明の態様を、例として、限定を含まず、以下に説明する添付図面および実験例を参照して説明する。当業者にはこれ以外の態様および実施形態が明らかであろう。本明細書中に示すすべての文献は参照により本明細書中に組み入れるものとする。
【0139】
図1は、RAET1G2ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
図2は、RAET1Gポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
図3は、RAET1Gポリペプチドの完全長アミノ酸配列をコードする核酸配列を示す(コード配列(CDS)ヌクレオチド69−1072)。
図4は、図1に示した配列のアミノ酸残基1−214からなる、オルタナティブスプライシングを受けたRAET1Gポリペプチドをコードする核酸配列を示す(コード配列はnt1−642)。
図5は、染色体6q24.2−q25.3上のRAET1クラスター中の発現遺伝子の配置を示す。
図6は、マウスおよびヒトNKG2Dリガンドの系統樹を示す。マウスリガンドは接頭字「m」によって特定される。
図7は、RAET1G、ULBP2、RAET1E、およびULBP3の配列アライメントを示す。推定上のTM領域は太字とし、シグナルペプチド配列には下線を付してある。記号は以下を表す:提案上のαヘリクス(黒色円筒)、310ヘリクス(灰色円筒)およびβストランド(灰色矢印)。
図8は、RAET1GおよびRAET1G2のエクソン構造を示す。
図9は、COS−7細胞中のRAET1タンパク質の細胞表面発現を示す。左から右へ:擬トランスフェクト細胞、ULBP2、RAET1GおよびRAET1Eトランスフェクト細胞。上段パネルではFITCアイソタイプ対照で、下段パネルでは抗flag抗体で染色されている。
図10は、抗flag抗体で染色したトランスフェクト細胞を表示するヒストグラムを示す:細胞のみ(黒色実線)、ULBP2(灰色実線)、RAET1G(灰色点線)およびRAET1E(黒色点線)。
図11は、NKG2D−Fc細胞と、COS−7細胞で表面発現したRAET1との結合性を示す。左から右へ:擬トランスフェクト細胞、ULBP2、RAET1GおよびRAET1Eトランスフェクト細胞。上段パネルではFITCアイソタイプ対照で、下段パネルではNKG2D−Fc−抗ヒトFc−FITCで染色されている。
図12は、NKG2Dで染色したトランスフェクト細胞を表示するヒストグラムを示す:細胞のみ(黒色実線)、ULBP2(灰色実線)、RAET1G(灰色点線)およびRAET1E(黒色点線)。
図13は、新規RAET1分子でトランスフェクトしたCOS−7細胞の、異なるエフェクター:標的比での比溶解%を示す。トランスフェクト細胞を、CD3CD56NKG2Dヒトナチュラルキラーリンパ球(黒色四角)またはCD3CD56NKG2Dヒトナチュラルキラーリンパ球およびNKG2D特異的モノクローナル抗体(白色円)のいずれかとともにインキュベートした。RAET1E、最上段パネル;RAET1G、中段パネル;ベクターのみ、下段パネル。
図14は、速度論的解析で使用したBIACoreプロットを示す。パネル1および2は、示した希釈率での、NKG2D−FcへのRAET1GおよびRAET1Eそれぞれの結合性を示す。パネル3および4は、UL16−FcへのRAET1GおよびRAET1Eの結合性を示す。
【0140】
表1は、ヒトRAET1/ULBPタンパク質のNKG2DおよびUL16との結合性についての、速度論的結合性データを示す。
表2は、マウスおよびヒトNKG2Dリガンドについての公開されたデータのまとめを示す。
表3は、組織マイクロアレイの組成を示す。ドナーサンプルの数をカッコ内に示す。
表4は、腫瘍組織でのRAET1G染色の分布を示す。
【実施例】
【0141】
実験
材料および方法
ULBPファミリーの分子クローニング
EST配列(AW510737、BE711112、BF513861)およびゲノムDNA(コンティグ NT_023451.10)のアライメントによって、RAET1Gの5’末端を予測した。予測された配列は2つのIMAGEクローン(3070730および2911855)とマッチした。IMAGEクローン3070730は末端切断された3’末端を有し、停止コドンを欠いていた。EST AA583860から正しい3’末端を予測し、PCRによって確認した。Signal PV1.1を用いてシグナルペプチドを予測し、予測した膜貫通領域をTMpredによって検出した(K. Hofmann & W. Stoffel (1993) Biol. Chem. Hoppe-Seyler 374,166)。エクソン構造を、GCGプログラム(Wisconsin package)version 10.3を用いて解析した。
【0142】
RAET1L(NM_130900.1)、RAET1E(AY176317)、RAET1G(AY172579)、ULBP1(NM_0225218.1)、ULBP2(NM_025217.2)、ULBP3(NM_024518.1)、MICA(BC016929)、MICB(NM_005922.1)およびMULT1(AK020784)の全体的アミノ酸配列または局部ドメインに基づき、ClustalW(Higgins Dら (1994) Nucleic acids Res. 22:4673-4680)およびPileUpを使用して、アライメントを実施した。プログラムMEGA version2.1(Kumar, S.ら (2001). Bioinformatics, 17, 1244-5)によって、UPGMA(相加平均による単純グループ対比法)系統樹を構築した。1回について1000サンプルに基づくブートストラップ検定によって、分枝の正当性を評価した。
【0143】
I.M.A.G.Eクローンコレクション(HGMP, Hinxton, Cambs, UK)から以下のクローンを取得した:RAET1G: IMAGE番号3070730、2911855、RAET1E:3464637、ULBP2:4747126(Genbank登録番号BF513861、AW 510737、BE545401、BG675590)。
【0144】
BigDyeおよびABI377シーケンサーを使用して、DNAシーケンシングを実施した。分析にはSequence Navigatorソフトウェアを使用した。完全長受容体構築物をFlagエピトープ融合物としてベクターp3XFLAG−CMVTM−9(Sigma)中にクローニングした。Topoクローニングキット(Invitrogen)および製造元の説明書を使用して、PCR断片のTopoクローニングを実施した。
【0145】
RT−PCR
組織分布を決定するために使用したPCRプライマー:
1G For 5’ AGCCCCGCGTTCCTTCTA
Rev 5’ TGTATACAAGGCAAGAGGGGC
1E For 5’ TATCCCTGACTTCTAGCCCT
Rev 5’ GCCACTCACCATTTTGCCAC
GAPDH For 5’ ACCACAGTCCATGCCATCAC
Rev 5’ TCCACCACCCTGTTGCTGTA
【0146】
細胞株RNAについては以前に記載されたようにして作製した(Allcockら、(2003) Eur. J. Immunol. 33, 567-577)。産物の予測サイズは以下の通りである:RAET1Gについて935bp、RAET1G2について835bp、およびRAET1Eについて810bp。各cDNAについて対照反応としてGAPDHを使用した。
【0147】
トランスフェクションおよびフローサイトメトリー
リポフェクトアミン2000(Invitrogen)および製造元の標準的プロトコールを使用して、CV−1細胞およびMDCK細胞への一過性トランスフェクションを実施した。続いて、細胞増殖培地に1mg/mlのG418(Gibco)を添加することによるG418耐性細胞の選別によって、MDCKおよびCV1細胞の安定発現細胞株を得た。
【0148】
Becton FACScalibur装置でフローサイトメトリーを実施した。完全長受容体の検出は、FITCとコンジュゲート化したFLAG(登録商標)エピトープに対するモノクローナル抗体(Sigma)により行った。NKG2Dの結合性の検出は、ヒトFc融合物により、抗ヒトIgG FITCコンジュゲート化ポリクローナル抗体(Dako)を使用して行った。
【0149】
NK細胞の細胞毒性アッセイ
単核細胞の標準的Ficoll単離を使用して末梢血からヒトナチュラルキラー(NK)リンパ球を単離し、続いて抗CD3−FITCおよび抗CD56−CyChrome(Becton Dickinson UK)モノクローナル抗体で染色した。染色された細胞をMoFloセルソーター(Cytomation)で分析し、CD3CD56リンパ球集団を単離した。これらの細胞を、ペニシリンおよびストレプトマイシン、10%ヒトAB血清ならびに100U/ml組換えインターロイキン−2を含有するRPMI1640培地中で、37℃、5%COにて3日間、インキュベートした。フローサイトメトリー分析で、このNK細胞のポリクローナル集団が一様にCD3CD56NKG2Dであることが証明された。
【0150】
in vitro非放射性細胞毒性アッセイ(Sheehyら、(2001) J. Imunological Methods 249, 99-110)によって、新規ヒトRAET1分子がナチュラルキラー細胞媒介溶解を誘発する能力を評価した。自発的放出を測定するために、標識した標的細胞のみの4ウェルを設け、各標識標的細胞について、エフェクターと標的の種々の比率で2組ずつ評価した。モノクローナル抗体のブロッキングのために、NKG2D特異的モノクローナル抗体の存在下でNK細胞エフェクターを30分間室温でインキュベートした後、標識した標的細胞を添加した。次に、エフェクターと標的細胞の各比率についての比溶解パーセントを、比溶解%=100−残存%を使用して算出した。
【0151】
組換えタンパク質の生成
ULBPおよびRAET1E/Gの細胞外ドメインの可溶性組換え型を6−ヒスチジンN末端融合物として産生させた。これらは、pGMT7(Vales-Gomez ら、(1999) EMBO J. 18, 4250-4260)から誘導したベクターであるpT7Hisを使用して、大腸菌BLR(DE3)中の封入体として生成し、6Mグアニジン塩酸塩で不溶性タンパク質を抽出した。Ni−NTA樹脂(Qiagen)を使用し、PBSに連続希釈した後、PBS+250mMイミダゾールを使用して溶出させることによって、精製およびin situ再フォールディングを実施した。リン酸カルシウムトランスフェクションを使用して、293T細胞からNKG2D−Fc融合タンパク質を生成した。融合はpCDNA3.0において、ヒトIgG1ヒンジ−CH2−CH3ドメインに対してC末端で行った。UL16Fc融合物は、SignalpIgplus(Sigma)中、ヒトIgG1 CH2−CH3に対するN末端融合物として生成した。プロテインAセファロース(登録商標)(Pharmacia)を使用して、組換えタンパク質を精製した。すべての場合において、溶出したタンパク質を、粗粒ゲルろ過マトリックス(PD10カラム、Pharmacia)を通過させることによって、PBSに移した。SDS−PAGEおよびウエスタンブロット分析で、発現したFc融合物の完全性を確認した。Laemmliのプロトコールに基づく12%アクリルアミドゲル上のSDS−PAGEによって、Hisタグ付きタンパク質のMWおよび純度を確認した。ウエスタンブロッティングは、Immobilon−Pメンブレン(Milllipore)へのウェットブロットトランスファーとして実施した。検出では抗ヒト−FcHRPコンジュゲート化抗体(Dako)を使用した。
【0152】
表面プラズモン共鳴(SPR)
BIACore2000装置でSPRを実施した。ランニングバッファー、センサーチップおよび表面カップリング試薬はBIACoreのものとした。NHS/EDC化学反応を使用して、抗ヒトIgG(Dako)をCM5表面にカップリングさせた。次にこの表面を、Fc融合によりNKG2DおよびUL16結合のために使用した。1.5μgのNKG2DもしくはUL16−Fc融合物、またはFc−非融合対照を抗IgGに結合させた後、サンプルを20μl/分で注入した。表面の再生には10mM HCl 5μlを使用した。各ULBPの希釈系列をNKG2D、UL16およびFc対照に適用し、結合のレベルを測定した。各測定のために、NKG2D、UL16およびULBP/RAET1タンパク質についてそれぞれ2つの別個のバッチを使用したが、各バッチから同等のデータが得られた。BIAEvaluation 3.1ソフトウェアを使用して、速度論的解析を実施した。各NKG2Dリガンド希釈系列について、解離速度計測および統合グローバルフィッティングを実行した。
【0153】
抗体の製造
RAET1Gに対するポリクローナル抗体を、該タンパク質の細胞質ドメインの一部分に相当する2種類のペプチドを使用して、ウサギで生起させた。ペプチドは以下のものである:
(i) CNNGAARYSEPLQVSIS; および
(ii) CSHGHHPQSLQPPPHPP
【0154】
ペプチドを製造し、Southampton Polypeptides(University of Southampton, UK)のオボアルブミンにカップリングさせた。Harlan Seralabs(Place, UK)から入手したウサギにおいて、オボアルブミンと別々にカップリングさせた両方のペプチドの組み合わせを使用して、抗血清を生起させた。カプリル酸/硫酸アンモニウム沈殿法によって、このポリクローナル抗体を精製した。
【0155】
モノクローナル抗体を取得するため、6−Hisタグ付き組換えRAET1Gを使用して、マウスを免疫した。免疫クールの経過後、マウス脾臓の融合体からハイブリドーマクローンを取得した。これらのクローンを最初にELISAによって活性についてスクリーニングした。次にこれらを、ウエスタンブロットによる免疫源の検出能力について、スロットブロットによってスクリーニングした。最初のクローニングステップからRAET1Gに対する優良な抗血清が得られ、これはELISAにより良好な応答をもたらし、かつK562(赤白血病)およびHT1080(線維肉腫)細胞株由来の溶解物についてのウエスタンブロットにより50kDa(RAET1Gの予想分子量)のバンドを示すものである。このことは、この抗体の特異性を示している。
【0156】
免疫組織化学
2種類のパラフィンワックス組織マイクロアレイ(Kononen J. ら、Nat Med 1998; 4:844-847)上で、免疫組織化学試験を実施した。第1は、指示通りの組織選択を使用して調製し(Simon R.ら、Biotechniques 2004;36: 98-105)、各ホルマリン固定ドナー組織からの2×0.6mm直径のコアをレシピエントアレイに移した。大部分が正常組織である該マイクロアレイは、表3に列挙するように、172個のドナーサンプルからの合計342個のコアを含むものとした。すべてのサンプルは、Local Research Ethics Committeeの倫理認証を得て、Medical Solutions plcから取得した。腫瘍中のRAET1G抗体の組織分布を評価するため、35種類の上皮癌サンプル(表3)からの1mmのコアを含んでなる、市販のパラホルムアルデヒド固定組織マイクロアレイ(Petagen Inc、販売コードA201(1))の切片も免疫染色した。
【0157】
小腸内でのRAET1G抗体の組織分布を評価するため、10種類の結腸および小腸サンプルからの1mmのコアを含んでなる市販のパラホルムアルデヒド固定組織マイクロアレイ(Petagen Inc、販売コードA201(1))の切片も免疫染色した。
【0158】
Ventana Medical Systems DiscoveryTMシステムを使用して、自動化免疫組織化学試験を実施した。切片を脱ワックスし、低強度細胞コンディショナー1(Trisホウ酸/EDTA、pH8.0)で前処理し、その後10μg/mlのウサギ抗RAET1G抗体中、37℃で20分間、インキュベートした。検出のため、アビジン/ビオチンブロッキングの後、1/100に希釈したビオチン化ヤギ抗ウサギ(DakoCytomation)を用いて37℃で8分間処理した。次にストレプトアビジン/ビオチン/ペルオキシダーゼキット(Ventana, DAB MAPTM)を使用して、ビオチン化抗体を検出した。自動化ヘマトキシリンカウンター染色後、手動脱水洗浄および樹脂性マウント材にマウントすることで、プロトコールを完了した。
【0159】
各免疫組織化学試験中、対照を含めた。組織コアの抗原性維持を確認するため、陽性対照として抗リゾチームおよび抗ビメンチン抗体を使用した。これらの対照はすべての組織コアにおいて陽性染色を示した。組織中に存在するいずれの染色像も検出試薬の非特異的相互作用によるものでないことを確認するため、スライドをRAET1G抗体無しでも処理した。
【0160】
Ariol SL−50自動画像キャプチャーおよびシステム(Applied Imaging Inc)を使用し、×20対物レンズを使用して、染色した組織マイクロアレイの画像を自動的に取得した。
【0161】
結果
RAET1GはTM領域を有する
当初の分析では、ULBP/RAETクラスターにはGPI連結分子をコードする6個の発現遺伝子が予想された(Radosavljevic ら、(2002) Genomics 79, 114-123)。本発明者らはこれらの配列の詳細な解析を実施し、RAET1EおよびRAET1G中に潜在的なTM領域を同定した。RAET1E、RAET1GおよびULBP2をコードする遺伝子(それぞれRAET1E、RAET1GおよびRAET1H)をさらに解析し、保存されたエクソン構造を明らかにした。ここで、エクソン1はシグナルペプチドおよびタンパク質の開始部分をコードし、エクソン2および3はα1およびα2ドメインを包含し、そしてエクソン4は疎水性配列をコードしていた。ULBPの場合は、このエクソンはGPIアンカー領域および3’UTRをコードしていたが、RAET1GおよびRAET1Eの両者では、該配列がTM、および短い細胞質領域(CYT)に合致した。RAET1G中のエクソン5は推定上の細胞質ドメインの残りをコードしていた。RAET1H中の同等のエクソンはサイレントであった。
【0162】
発現遺伝子産物の配列を解明するため、本発明者らはRAET1EおよびRAET1Gに相当するクローンを完全にシーケンシングした(Radosavljevicら(2002) Genomics 79, 114-123)。本発明者らは、RAET1Gが最初の4つのエクソンにわたってULBP2と非常に類似していることを確認した。そのアミノ酸配列と既存のマウスおよびヒトNKG2Dリガンドのものとの比較により、RAET1GがULBP2と最も密接に関連性があることが示された(全体で85%の類似性)。α1およびα2ドメインで、最高レベルのアミノ酸(aa)同一性があった。その他の翻訳配列はTMおよび100aaCYTをコードしていた(図7)。同様に、RAET1E配列の解析では、これが2つのαドメイン、次に疎水性TM、続いて20アミノ酸の細胞質ドメインをコードすることが示された。RAET1Eはこのクラスターで最も相違しているメンバーであり、その他のリガンドとは<43%の同一性を共有するが、一方ULBP1〜3は互いに55〜60%までの同一性を共有していた。European Bioinformaticsサーバー(EBI, Hinxton, UK)を使用するClustalWアライメントと、その後のULBP3の既知の結晶構造との比較を実施することによって、保存されたアミノ酸配列をα1およびα2ドメインの主要な構造エレメントとアライメントした。ULBP3の主要構造の特徴をタンパク質配列のアライメント中で強調表示している(図7)。
【0163】
RAET1Gと同様に、マウスNKG2DリガンドであるMULT1も長いCYTを有していた。この2つのタンパク質の細胞質領域間では顕著な配列類似性は見られなかった。RAET1Gの細胞質ドメインは、BLASTまたはPrositeによって検索した場合には、いずれのタンパク質またはドメインとも相同性を示さなかった。本発明者らはRAET1EおよびRAET1GのCYT領域中の公知のシグナル伝達モチーフを検索した。典型的な免疫チロシンインヒビターモチーフ(ITIM)または免疫チロシン活性化モチーフ(ITAM)は同定されなかった。RAET1Gの細胞質ドメイン中にプロリンに富むPxPxxP領域があり、これは共通SH3キナーゼ結合性モチーフに相当する(Kay ら、(2000) FASEB J. 14, 231-241)。この下流に、MICAの側底部ターゲティングに寄与しているものと類似した2組の疎水性残基があった(Suemizu ら、(2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 2971-2976)。
【0164】
図6はマウスおよびヒトリガンドの系統樹を示す。ヒトおよびマウスNKG2Dは約60%同一であるが、それらのリガンドは25〜35%の同一性を示し、実質的に異なっている。したがって、GPIアンカー型またはTM領域などいくつかの類似な特徴は示すものの、実質的な重複および変異は、マウスとヒト間の種別形成後に起こっている。
【0165】
RAET1Gのオルタナティブスプライシング
IMAGEクローン2911855の配列は、エクソン4の開始部分での100bpの欠失以外は、RAET1Gと同一線形であった。この配置は、第2の潜在的スプライシング開始点を3’側に100bp移動しているこの境界でのオルタナティブスプライシングに合致するものである。RAET1Gのこの欠失型の翻訳により、該オルタナティブスプライシングがフレームシフトおよびタンパク質配列の早すぎる終結をもたらすことが示された。フレームシフトの結果、TM領域前での終結が引き起こされるため、この末端切断型タンパク質は可溶性であると予測される。このスプライス型をRAET1G2と命名し、そのオルタナティブ配列の終結部を図7中のRAET1Gの配列の下に示す。RAET1GおよびRAET1G2についてのエクソン構造を図8に示す。
【0166】
RAET1G/1G2およびRAET1Eの発現パターン
RAET1G/1G2およびRAET1Eの発現プロフィルを確かめるため、特異的なPCRプライマーを設計した。いくつかの腫瘍細胞株はRAET1EまたはRAET1Gに対するmRNAを含有しており、該遺伝子は別系統の細胞中でそれぞれ独立して発現していた。これはMICAおよびMICBとは対照的である。その場合は、発現は上皮起源の細胞に限定されているものと見られ、これらが互いに独立に発現するかどうかは不明である(Bahramら(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. 91, 6259-6263; Groh ら、(1998) Science 279, 1737-1740)。T細胞白血病由来株であるHSB−2は末端切断型RAET1G転写産物を発現していた。Topoクローニングを使用して、このcDNA産物をクローニングしたが、シーケンシングを行うと、これはIMAGEクローン2911855中のスプライス型であるRAET1G2と同一であった。可溶性タンパク質をコードするスプライス変異体の発現は、腫瘍のNK細胞およびT細胞認識の傷害における可溶性NKG2Dリガンドの役割を提案すれば、重要である可能性がある(Groh ら、(2002) Nature 419, 734-738)。試験した限定された範囲の正常ヒト組織はRAET1E、またはスプライス型のRAET1G2の発現を示さなかった。RAET1Gは結腸では強く発現していたが、スクリーニングしたその他の組織中では発現していなかった。喉頭cDNAライブラリーからも、RAET1GとマッチするESTが同定された。
【0167】
RAET1G mRNAおよびタンパク質の発現
20種類の正常ヒト組織のパネルについてのRT−PCRを使用して、RAET1G mRNAが結腸のみで検出されたが、これは正常ヒト組織中でのこの遺伝子の限られた発現に合致するものである。
【0168】
RAET1Gタンパク質の発現について調べるために、そのCYT由来のペプチドに対してポリクローナル抗体を生起させた。この試薬は細胞溶解物のウエスタンブロット分析によって、特異的であることが示された。RAET1EまたはRAET1GのいずれかでトランスフェクトしたK562細胞、Raji細胞、およびCV1細胞の溶解物をプローブした。K562細胞およびそのRAET1Gトランスフェクト産物については予測される分子量である50KDa(グリコシル化されたもの)に相当するバンドが得られたが、その他の細胞株では得られなかった。これは上記の細胞株からのRT−PCRデータと相関する。したがって、完全長RAET1G転写産物は、その著しく長いCYTを含めて、成熟タンパク質に翻訳されることが可能である。
【0169】
免疫組織化学試験による正常組織内のRAET1Gの分布
正常上皮細胞タイプの限定された集団において、RAET1G抗体の結合性が見られた。腎臓では、5つのドナーサンプルの1つにおいて、腎尿細管の少数に強い点状の染色像が観察され、同時にその他のいくつかの細管では一様でより弱い細胞質染色像が見られた。後者の染色像は試験抗体を除外した対照中、およびその他の腎サンプル中でも観察されたため、非特異的なものである。甲状腺の全サンプルでは一部の濾胞内層細胞中に中程度の染色強度の一様な細胞質染色像が存在したが、結腸では、5サンプルのうちの2つのみで強い点状染色像が観察され、このことは、RAET1G発現は個体間で差異があるらしいことを示している。下垂体前葉では、この領域が完全に再現されていた4サンプルで内分泌細胞の強い一様な細胞質染色像が観察された。残りの下垂体サンプルは主として中間部からの組織で構成されていた。この組織は染色されなかったが、散在する下垂体前葉由来の内分泌細胞は強い細胞質染色像を示した。甲状腺、結腸および下垂体では、試験抗体を除外した対照プレパラートでは染色が観察されず、このことは染色が特異的であったことを示している。これらのデータはmRNA分布に一致するものであり、正常な生理状態での該分子の非常に限られた発現を意味している。
【0170】
腫瘍中のRAET1G発現
腫瘍サンプルでは、上皮染色像のより広範囲の分布が観察された(表4)。試験抗体を除外して処理したサンプル中では同等の染色像のなんらの徴候も見られなかったため、この染色像は特異的なものと考えられる。RAET1Gの発現を示した腫瘍としては以下が含まれた:結腸、肺、直腸および胃の腺癌;肺、食道、皮膚および子宮の扁平上皮癌、子宮の内膜性癌、甲状腺の濾胞癌、肝臓の肝細胞癌および胆管癌、腎細胞癌、ならびに卵巣の粘液性癌および漿液性癌。これらの腫瘍のいくつかでは、全サンプルが染色の徴候を示したが、その他では、一部のサンプルのみが染色された。染色の数、強度および分布も、陽性サンプル間で差異があった。
【0171】
腫瘍サンプル内での染色像の分布は特に注目された。扁平上皮癌サンプルでは、一様な細胞質染色パターンが観察された。このタイプの染色像は肝細胞癌サンプルの1つおよび卵巣の漿液性癌でも観察された。その他の陽性染色腫瘍中では、局所的で主として点状の細胞染色像が記録された。結腸および直腸の腺癌、肝細胞癌(1サンプル)、肝臓の胆管癌、卵巣の粘液性癌、腎細胞癌、甲状腺の濾胞癌および子宮の内膜性癌では、この染色像は頂端部にあるか(apical)、または腫瘍細胞の辺縁部に存在した。肺および胃の腺癌では、この染色像は細胞質小胞の境界部に伴っていたが、直腸腺癌では、細胞破片または腫瘍腺の内腔に存在する分泌タンパク質も染色された。子宮扁平上皮癌の1サンプルでは、細胞間染色像のみが観察された。
【0172】
セリアック病でのRAET1G発現
セリアック病は、患者自身の腸上皮に対するT細胞性免疫応答によってもたらされる、比較的一般的な自己免疫状態である。最近になってNKG2Dがセリアック病での絨毛萎縮に関連付けられ(Hueら、2004)、ここで、腸内リンパ球がNKG2Dを介して上皮細胞を死滅させ得ることが示されている。本発明者らのRAET1Gに対するポリクローナル血清を使用して、正常対照の小腸の上皮細胞でのその発現を、セリアック病患者のものとの直接的な比較において調べた。
【0173】
健康な小腸サンプルでは、いくらかの低レベルな点状染色像が観察され、これによりRAET1Gの細胞内分布が明らかに示された。セリアック病の個体由来のサンプルでは、細胞の細胞質全体、そしておそらくは細胞表面にも、より強い染色像が観察された。このことは、RAET1Gがセリアック病個体の小腸の細胞中でアップレギュレートされていることを示し、また活発なセリアック病患者の絨毛萎縮におけるRAET1G/NKG2D相互作用の役割についての示唆を与えるものである。したがって、RAET1Gはセリアック病の病変組織の単なるマーカーではなく、組織ダメージの直接の原因であるものと思われる。
【0174】
細胞表面で発現したRAET1EおよびRAET1GはNKG2Dと結合する
RAET1E、RAET1GおよびULBP2に対する完全長cDNAを、N末端にFlagタグを付けた融合タンパク質としてクローニングした。CV−1細胞の一過性トランスフェクションにおいてこれらは細胞表面に到達し、そしてフローサイトメトリーで抗Flag抗体を用いて検出された(図9および図10)。フローサイトメトリーによると、組換え可溶性Fc融合タンパク質として発現したNKG2Dは、ULBP2、RAET1GおよびRAET1Eで一過性にトランスフェクトしたCOS−7細胞に結合した(図11および図12)。
【0175】
RAET1EおよびRAET1GはNKG2Dを介してNK細胞の細胞毒性を誘発することができる
COS−7細胞中で発現したRAET1EおよびRAET1Gは、NK細胞による細胞毒性を引き起こした。NKG2D抗体は完全にこの活性をブロックする。2種類のリガンドと非トランスフェクト細胞とについての相対的死滅データを図13に示す。
【0176】
ULBPファミリーとNKG2DおよびUL16との結合相互作用
ULBP1、ULBP2、ULBP3、RAET1EおよびRAET1Gの組換え可溶性型を、NKG2Dとの結合性について、BIACore2000装置を使用した表面プラズモン共鳴によって分析した。同様に、組換えULBP1、RAET1EおよびRAET1Gの結合性をUL16に対しても測定した。各ULBPタンパク質の希釈系列を、抗ヒトIgG表面に結合させたNKG2D−Fc、UL16−FcまたはFc融合体対照に通した。最少の結合性はFc対照表面で見られた。速度論的グローバルフィッティング解析に使用した曲線の例を図14に示し、速度論的パラメータを表1に示す。表2はマウスおよびヒトリガンドについて他者が以前に測定したパラメータを示している(Radaev ら、(2002) J. Immunol. 169, 6279-6285; O'Callaghan ら、(2001) Immunity 15, 201-211; Carayannopoulosら(2002) Eur. J. Immunol. 32, 597-605; Carayannopoulosら(2002) J. Immunol. 169, 4079-4083)。
【0177】
表1に示すデータは、Fc融合およびhisタグ付きタンパク質の両方について、少なくとも2回の反復実験と、少なくとも2種の別個の発現から導いたものである。バッチ間の変動はほとんど見られず、表1のすべての速度論的データおよび親和性データは再現性があった。
【0178】
ヒトおよびマウスリガンドの相補物内の親和性の範囲は同程度であり、類似するパターンにしたがう。GPIと連結したマウスリガンドであるRae1α〜δは、膜貫通ドメインを有するリガンドであるH60およびMULT1よりも、顕著に低い親和性を有する(表2)。同様に、3種類のヒトGPIアンカー型ULBPは、NKG2Dに対して、MICAよりも、またTMアンカー型RAET1EおよびRAET1G分子よりも、低い親和性を有する。
【0179】
RAET1EおよびRAET1GはNKG2Dに対して他のヒトNKG2Dリガンドよりも高い親和性を有し、それぞれ39nMおよび356nMであった。UL16は、試験した3種類のヒトリガンドに対して、変動性はあるものの高親和性で結合したが、RAET1GはUL16に対して、RAET1EまたはULBP1のいずれよりも著しく高い親和性を有し、また結合速度(on-rate)も大きく、Kはそれぞれ504nMおよび243nMに比較して、75.6nMであった。
【0180】
配列類似性を共有してはいるが、ULBP/RAET1遺伝子は、それらの共通する受容体に対する親和性について大きな多様性を示す。ULBP2およびRAET1Gはαドメインにおいて93%のアミノ酸類似性を有するが、これらがNKG2Dと20倍も異なる親和性で結合することは注意を引く。二者の間での注目すべき差異の1つは、ULBP2に比較してRAET1Gでは、α2ドメインのヘリックスの開始点である163位で、アラニンがプロリンに置換されていることである。
【0181】
MIC腫瘍を有する患者の血清中の可溶性MICの存在は、リンパ球の表面NKG2Dの減少と関連付けられ、このことは、NKG2Dを保有するNKおよびT細胞の応答性を傷害することによる免疫回避の経路であり得る(Pende D.ら(2002)Cancer Res. 62 6178-86)。MICAはメタロプロテアーゼによる切断によって腫瘍の細胞表面から消失することが提唱されており(Salih ら、(2002) J. Immunol. 169, 4098-4102)、TM含有リガンドであるRAET1Gの場合もこれがあてはまると考えられる。T細胞白血病株HSB−2中に検出されたRAET1Gの可溶性スプライス型も同様の役割を有すると見られる。
【0182】
本明細書および以前の研究(Cosman ら、(2001) Immunity 14, 123-133; Pendeら、(2002)Cancer Res. 62, 6178-6186)で示されたULBP/RAET遺伝子の発現パターンは、1個の標的細胞上にNKG2Dに対する複数のリガンドが発現し得ることを示している。それらのリガンドは明らかに、独立に発現することも可能である。該データは、別種の組織上で別種のNKG2Dリガンドが発現することと矛盾がない。MIC産物は一般的に上皮細胞で発現する。ULBP/RAET1は上皮細胞で発現することができるが、非上皮起源の細胞株でも発現し、このことは例えばリンパ系悪性腫瘍およびリンパ球に感染するウイルスに対する免疫応答における、MICA/Bとは別個の役割についての論理的根拠を提供するものである。本発明者らは、NKG2Dに対するヒトULBP/RAET1タンパク質の親和性には顕著な多様性があるが、2つのグループを形成することを示す。マウスデータに関しては、GPIアンカー型タンパク質はNKG2Dに対して中程度から低い親和性を有するが、RAET1GなどのCYTドメインを所有するリガンドは高い親和性を有する。大きな結合速度で駆動される高親和性は、感染の早期シグナルが必要な場合に重要であると見られる。この場合、感染細胞に対処するためには、会合する受容体との迅速な結合がその除去のために必須である。
【0183】
RAET1Gは側底面にターゲティングされるようであり、ここでその高速結合性および高親和性が細菌の攻撃に対しての第一線での良好な指標となり得る。腸の上皮表面などの極性細胞層では、NKG2Dリガンドのアンカー手段の差異が、同一の細胞内での分布の差異、可能なシグナル伝達経路の差異、したがってリンパ球にとっての異なる利用性をもたらす。細胞上のリガンドの分布が、細菌の攻撃、形質転換、またはリンパ球の働きを変え得るであろう。別々の組織および細胞ドメインにおけるNKG2Dリガンドの相対的分布は、NKG2Dが介在する免疫認識を理解する上での土台を成すものと見られる。
【0184】
RAET1GはUL16の標的であることが示されたが、UL16は、NKG2D認識をブロックすることによってウイルス免疫回避を推進する分子であることが提案されている。ULBP1およびRAET1Gの両方が、NKG2Dに対するよりも高い親和性で、かつ非常に大きな結合高速を有してUL16と結合した。RAET1Gは最も高い親和性のUL16結合物質であり、UL16に対する結合速度はNKG2Dに対するよりも10倍速い。このことは、低濃度でのウイルスタンパク質への結合能力の増強をもたらすものと見られる。RAET1GのUL16に対する高速結合および高親和性は、その病原体認識分子としての潜在性を示唆する。この分子が担持するユニークなCYT尾部は、細胞内でのシグナルを伝達して病原体に対する応答に関与する他の分子をモジュレートする潜在能力を提供する。これは、それ自体のシグナル伝達能力についての事実と共に記載された、最初のNKG2Dリガンドである。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】RAET1G2ポリペプチドのアミノ酸配列である。
【図2】RAET1Gポリペプチドのアミノ酸配列である。
【図3】RAET1Gポリペプチドの完全長アミノ酸配列をコードする核酸配列である(コード配列(CDS)ヌクレオチド69−1072)。
【図4】図1に示した配列のアミノ酸残基1−214からなる、オルタナティブスプライシングを受けたRAET1Gポリペプチドをコードする核酸配列である(コード配列はnt1−642)。
【図5】染色体6q24.2−q25.3上のRAET1クラスター中の発現遺伝子の配置を示す模式図である。
【図6】マウスおよびヒトNKG2Dリガンドの系統樹である。
【図7】RAET1G、ULBP2、RAET1E、およびULBP3の配列アライメントである。
【図8】RAET1GおよびRAET1G2のエクソン構造を示す模式図である。
【図9】COS−7細胞中のRAET1タンパク質の細胞表面発現を示すグラフである。
【図10】抗flag抗体で染色したトランスフェクト細胞を表示するヒストグラムである。
【図11】NKG2D−Fc細胞と、COS−7細胞で表面発現したRAET1との結合性を示すグラフである。
【図12】NKG2Dで染色したトランスフェクト細胞を表示するヒストグラムである。
【図13】新規RAET1分子でトランスフェクトしたCOS−7細胞の、異なるエフェクター:標的比での比溶解%を示すグラフである。
【図14】速度論的解析で使用したBIACoreプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1または図2のアミノ酸配列に対して少なくとも87%の配列類似性を有するアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドをコードする、単離核酸。
【請求項2】
前記ポリペプチドが図1のアミノ酸配列を含んでなる、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項3】
前記ポリペプチドが図2のアミノ酸配列を含んでなる、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項4】
前記ポリペプチドがUL16および/またはNKG2D受容体に結合する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の単離核酸。
【請求項5】
図3または図4のヌクレオチド配列との少なくとも85%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を有してなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離核酸。
【請求項6】
ストリンジェントな条件下で図3もしくは図4に示す核酸配列またはその相補体とハイブリダイズする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の単離核酸。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸によりコードされる、単離ポリペプチド。
【請求項8】
少なくとも110アミノ酸からなり、UL16および/またはNKG2D受容体に結合することができる、請求項7に記載の単離ポリペプチドの断片である、単離ポリペプチド。
【請求項9】
ポリペプチド、非ペプチジル化合物、細胞またはウイルス粒子である機能性部分とコンジュゲートした、請求項7または8に記載の単離ポリペプチド。
【請求項10】
前記機能性部分が細胞毒性活性または結合活性を有する、請求項9に記載の単離ポリペプチド。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸を含んでなる組換えベクター。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の異種核酸または請求項11に記載のベクターを含んでなる、宿主細胞。
【請求項13】
細菌細胞または真核細胞である、請求項12に記載の宿主細胞。
【請求項14】
以下のステップ:
(a) 好適な発現システムにおいて請求項1〜6のいずれか1項に記載のRAET1Gポリペプチドをコードする核酸からの発現を引き起こし、それによりRAET1Gポリペプチドを組換え的に産生させるステップ;および
(b) RAET1G活性について、該組換え産生ポリペプチドを試験するステップ
を含む、RAET1Gポリペプチドの生成方法。
【請求項15】
請求項7〜10のいずれか1項に記載のRAET1Gポリペプチドに特異的に結合する、単離抗体。
【請求項16】
個体から取得したサンプル中のRAET1Gポリペプチドの存在または量を確認するステップ
を含む、個体における疾患状態の特定方法。
【請求項17】
前記状態が癌状態である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記状態が炎症性疾患である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記炎症性疾患がセリアック病である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記RAET1Gポリペプチドが可溶性である、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記可溶性RAET1Gポリペプチドが図1のアミノ酸配列からなる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記RAET1Gポリペプチドが図2のアミノ酸配列からなる、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記サンプルを請求項15に記載の抗体と接触させることにより前記ポリペプチドの存在または量を確認する、請求項16〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
個体から取得したサンプル中のRAET1Gポリペプチドをコードする核酸の存在または量を確認するステップ
を含む、個体における疾患状態の特定方法。
【請求項25】
前記状態が癌状態である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記状態が炎症性疾患である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記炎症性疾患がセリアック病である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記核酸が可溶性RAET1Gポリペプチドをコードする、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記核酸が図4のヌクレオチド配列を含んでなる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記核酸が図3のヌクレオチド配列を含んでなる、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記サンプルが、上皮細胞および/または上皮由来細胞を含んでなる、請求項17または25に記載の方法。
【請求項32】
前記上皮細胞または上皮由来細胞が、腎臓、肝臓、肺、食道、卵巣、皮膚および/または子宮由来である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
RAET1Gポリペプチドのモジュレーターの取得および/または特定方法であって、以下のステップ:
(a) RAET1Gポリペプチドと試験化合物とを接触させるステップ;および
(b) RAET1Gポリペプチドと試験化合物との相互作用を測定するステップ
を含む、上記方法。
【請求項34】
RAET1GとUL16および/もしくはNKG2Dとの相互作用をモジュレートする化合物の取得および/または特定方法であって、以下のステップ:
(a) 試験化合物の存在下に、RAET1Gポリペプチドと、UL16またはNKG2Dポリペプチドとを接触させるステップ;および
(b) 試験化合物の添加の前後での、UL16またはNKG2DポリペプチドとRAET1Gポリペプチドとの間の相互作用を測定するステップ
を含む、上記方法。
【請求項35】
試験化合物をRAET1G活性のモジュレーターとして特定するステップを含む、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
試験化合物を単離および/または精製するステップを含む、請求項33〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記試験化合物を合成および/または製造するステップを含む、請求項33〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
製薬上の特性を最適化するために試験化合物を修飾するステップを含む、請求項33〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
試験化合物を製薬上許容される賦形剤、ビヒクルまたは担体と共に医薬組成物に製剤化するステップを含む、請求項33〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
請求項7〜10のいずれか1項に記載のRAET1Gポリペプチドもしくはその断片、または請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸もしくはその断片、または請求項15に記載の抗体を、製薬上許容される賦形剤、ビヒクルまたは担体と共に医薬組成物に製剤化するステップを含む、医薬組成物の製造方法。
【請求項41】
請求項33〜38のいずれか1項に記載の方法により得られる、RAET1G活性のモジュレーター。
【請求項42】
RAET1Gポリペプチドのペプチド断片を含んでなる、請求項41に記載のRAET1G活性のモジュレーター。
【請求項43】
ヒトまたは動物身体の治療における使用のための、請求項7〜10のいずれか1項に記載のRAET1Gポリペプチドもしくはその断片、または請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸もしくはその断片、請求項15に記載の抗体または請求項26もしくは請求項42に記載のモジュレーター。
【請求項44】
RAET1Gに媒介される状態にある個体の治療のための医薬の製造における、請求項7〜10のいずれか1項に記載のRAET1Gポリペプチドもしくはその断片、または請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸もしくはその断片、請求項15に記載の抗体または請求項41もしくは請求項42に記載のモジュレーターの使用。
【請求項45】
前記状態が、病原体感染症、癌状態および免疫障害からなる群より選択される、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
RAET1Gにより媒介される状態を有する個体の治療方法であって、請求項7〜10のいずれか1項に記載のRAET1Gポリペプチドもしくはその断片、または請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸もしくはその断片、請求項15に記載の抗体または請求項41もしくは請求項42に記載のモジュレーターを個体に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項47】
前記状態が、病原体感染症、癌状態および免疫障害からなる群より選択される、請求項46に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−507254(P2008−507254A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553663(P2006−553663)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000572
【国際公開番号】WO2005/080426
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(501484851)ケンブリッジ・エンタープライズ・リミテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】CAMBRIDGE ENTERPRISE LIMITED
【Fターム(参考)】