説明

NMDAレセプターモジュレータ及びその用途

NMDAレセプター活性の改変における増強された効力を有する化合物を提供する。そのような化合物は、それを必要とする患者に、有効量の開示された化合物を投与することを含む、例えば、記憶喪失又は学習障害を伴う障害等の認知障害、うつ病、強迫性障害又は精神分裂症、外傷後ストレス障害、アルコール依存症又は習慣性薬物中毒を治療する方法を提供する。また、開示された化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的に許容される組成物も、ここに提供され、そのような組成物は、患者に経口投与するために適するかもしれない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許出願第61/098,088号(2008年9月18日出願)の優先権を享受し、その全趣旨を参照することによりここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
N−メチル−d−アスパルテート(NMDA)レセプターは、とりわけ興奮性アミノ酸のグルタミン酸及びグリシン並びに合成化合物NMDAに反応性を示すシナプス後のイオンチャネル型のレセプターである。NMDAレセプターは、レセプター関連のチャンネルを通してシナプス後神経細胞に、2価及び1価の双方のイオン流をコントロールする(Foster et al, Nature 1987, 329:395-396; Mayer et al, Trends in Pharmacol. Sci. 1990, 11:254-260)。NMDAレセプターは、特定のニューロン建築及びシナプス連結性を発生する際に結び付けられ、経験依存シナプス改変に関与しているかもしれない。さらに、NMDAレセプターは、長増強及び中枢神経系疾患に関与しているとも考えられている。
【0003】
NMDAレセプターは、例えば、記憶取得、保持及び学習等の多くの高い認識機能の基礎をなすシナプス柔軟性並びに痛みの特定の認識経路及び認知において、主な役割を果たす(Collingridge et al., The NMDA Receptor, Oxford University Press, 1994)。さらに、NMDAレセプターのいくらかの特性は、それらが意識そのものの基礎をなす脳で情報処理に関与しているかもしれないことを示唆する。
【0004】
NMDAレセプターは、それが広い範囲のCNS障害に関与していると思われるため、特定の関心を呼んでいる。例えば、脳卒中又は外傷に起因する脳虚血の間、過量の興奮性アミノ酸のグルタミン酸が、損害を受けた又は酸素に乏しいニューロンから放出される。この過剰なグルタミン酸は、それらのリガンド依存性イオンチャネルを開くNMDAレセプターに結合し、次に、カルシウム流が、タンパク質分解及び細胞死をもたらす生化学カスケードを活性化させる高濃度の細胞内カルシウムを生じる。この現象は、興奮性毒性として知られているが、低血糖症及び心停止から癲癇にわたる他の障害を伴う神経学的損傷の原因となると考えられている。さらに、ハンティングトン、パーキンソン及びアルツハイマー病の慢性神経変性との類似した関係を示している予備レポートがある。NMDAレセプターの活性化は、脳卒中後痙攣の原因となることが示され、癲癇の特定のモデルにおいて、NMDAレセプターの活性化が、発作の発生のために必要であることが示された。動物麻酔剤PCP(フェンシクリジン)によるNMDAレセプターCa++チャンネルの阻害が、精神分裂症に類似したヒトでの精神異常の症状を発生させるため、NMDAレセプターの神経精神病学的関係も認められた(reviewed in Johnson, K. and Jones, S., 1990)。さらに、NMDAレセプターは特定の種類の空間学習にも関係している。
【0005】
NMDAレセプターは、シナプス後膜に埋設されたいくつかのタンパク質鎖からなると考えられている。ここまでに発見されたサブユニットの最初の2つのタイプは大きな細胞外領域を形成し、それは、多くのアロステリック結合部位を含み、孔又はチャンネルを形成するようにいくつかの膜内外領域が輪になり、折り重ねられ、Ca++及びカルボキシルターミナル領域に浸透する。細胞外表面にあるタンパク質の領域(アロステリック部位)に種々のリガンドを結合させることによって、チャンネルの開閉が調節される。リガンドの結合は、開通しているか、部分的に開通しているか、部分的に閉まっているか、閉まっているチャネルに最終的に反映されるタンパク質の全体的な構造において、構造的変化に影響を及ぼすと考えられている。
【0006】
NMDAレセプター化合物は、アロステリック部位を通してNMDAレセプターに対する二重の(アゴニスト/アンタゴニスト)作用を及ぼすかもしれない。これらの化合物は、「部分的アゴニスト」と典型的に呼ばれる。主要なサイト・リガンドが認められる場合、部分的アゴニストは、リガンドの一部を置き換え、よって、レセプターを通してCa++流を減少させる。主要なサイト・リガンドがない場合又は少ない場合、部分的なアゴニストは、レセプターチャンネルを通してCa++流を増大させるために作用する。
【0007】
NMDAレセプターのグリシン結合部位に結合することができる新規で、より特異的/強力な化合物に対する要求が、当該分野において存在し続け、医薬的な利益を提供する。さらに、そのような化合物の経口投与可能な形態に対して、医学分野において、要求が存在し続ける。
【発明の概要】
【0008】
少なくとも一部では、NMDAモジュレータ(例えば、NMDAの部分アゴニスト)である化合物がここに提供され、例えば、式Iで表される化合物及びその薬学的に許容される塩、立体異性体ならびにN−酸化物をここに開示する。


式中、
Tは、独立して、CR、nは0、1、2又は3;
Aは、任意に存在し、フェニル又はピリジンから選択され、Aは、Raから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、水素、ヒドロキシ、-S(O)−C〜Cアルキル、−SO、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、フェニル、R又は


から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル又はフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
Xは、CH又はNであり;
及びR’は、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、C〜Cアルキル、アミド、アミン又はC〜Cアルケニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
及びR’は、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、C〜Cアルキル、アミド、アミン、C〜Cアルコキシ又はC〜Cアルケニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、H、R、−S(O)、S(O)−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、ヒドロキシ又はフェニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
及びR’は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケニル、シアノ、アミノ、フェニル及びヒドロキシからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル又はフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、−C(O)−C〜Cアルキル又はC(O)−O−C〜Cアルキルから選択され、C〜CアルキルはRbから選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい;
は、H、−C(O)−C〜Cアルキル又はC(O)−O−C〜Cアルキルから選択され、C〜CアルキルはRaから選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい;
Raは、それぞれ独立して、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、フェニル、C〜Cアルキル及C〜Cアルコキシから選択され、
Rbは、それぞれ独立して、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、フェニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ及び−NH−Rから選択され、
は、それぞれ独立して、−C(O)−C〜Cアルキル及びC(O)−O−C〜Cアルキルから選択される。
【0009】
また、開示された化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的に許容される組成物も、ここに提供される。例えば、そのような組成物は、患者に経口投与するために適するかもしれない。
【0010】
それを必要とする患者に、有効量の開示された化合物を投与することを含む、例えば、記憶喪失又は学習障害を伴う障害等の認知障害を治療する方法。
例えば、それを必要とする記憶喪失又は学習障害を治療又は改善する方法を、ここに提供する。
ある実施形態では、有効量の開示された化合物を投与することを含む、それを必要とする患者の神経障害性疼痛を治療する方法を提供する。
【0011】
有効量の開示された化合物を投与することを含む、それを必要とする患者のうつ病、強迫性障害又は精神分裂症を治療する方法も、ここに開示する。他の実施形態では、有効量の開示された化合物を投与することを含む、それを必要とする患者の外傷後ストレス障害、アルコール依存症又は習慣性薬物中毒を治療する方法もここに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1A〜1Dは、開示化合物(AK52)が、シェーファー側副CAlシナプスで、シナプス後NMDAレセプター媒介興奮性シナプス後流(e.p.s.c.s)を二相的に変化させ、選択的にLTPの誘導を増強させることを示す。1A:CAlピラミッド状ニューロンにおけるシェーファー側副誘導e.p.s.c.sのNMDA成分のAK52(1μM、実線バー)による顕著な減少の経時変化、各点は、5つの細胞のe.p.s.c.peNRXe振幅の平均+SEMである。1B:CAlピラミッド状ニューロンにおけるシェーファー側副誘導e.p.s.c.sのNMDA成分のAK52の1/10の濃度(100nM、グレイバー)による増強の経時変化、各点は、5つの細胞のe.p.s.c.peNRXe振幅の平均+SEMである。1C:未処理スライスの対照(白丸、n=8)と比較した、1μM(黒丸、n=10)及び100nMのNRX−10,052(黒菱形、n=6)での前処理スライスにおけるシェーファー側副−CAIシナプスでの低周波刺激実施(2Hz/10分、矢印で開始)によって誘発されたLTDの経時変化、各点は、nスライスの正常化細胞外フィールドEPSP傾斜の平均+SEMである。1D:未処理スライスの対照(白丸、n=15)と比較した、1μM(黒丸、n=10)又は100nMのNRX−10,052(黒菱形、n=8)での前処理スライスにおけるシェーファー側副−CAIシナプスでの高周波刺激実施(3×100Hz/500m秒、矢印)によって誘導されたLTP比較実験の経時変化、各点は、nスライスの正常化フィールドepsp傾斜の平均+SEMである。
【図2】図2A〜2Eは、開示化合物Bの低濃度が、シェーファー側副CAlシナプスで、薬理学的に分離したシナプス後NMDAレセプター媒介興奮性シナプス後流(e.p.s.c.s)を顕著に増強させ、LTPを増強させ、一方、20倍の高濃度がNMDAe.p.s.c.sを減少させることを示す。2A:CAlピラミッド状ニューロンにおいて記録された、シングルショックシェーファー側副誘導の薬理学的に分離したNMDAe.p.s.c.sの化合物B(50nM、実線バー)による顕著な増強の経時変化。2B:記録された、バースト誘発(4パルス/100Hz)NMDAe.p.s.c.s.の化合物による増強の経時変化(50nM、実線バー)。2C:CAlピラミッド状ニューロンにおいて記録された、シングルショックシェーファー側副誘導のNMDAe.p.s.c.s.の化合物B(1μM、実線バー)による顕著な減少の経時変化。2D:CAlピラミッド状ニューロンにおいて記録された、バースト誘発(4パルス/100Hz)シェーファー側副誘導NMDAe.p.s.c.s.の化合物B(1μM、実線バー)による減少の経時変化。2E:対照、未処理(白丸)と比較した、50nM化合物B(黒丸)によるCAIピラミッド状ニーロンでのシナプスにおける高周波(100Hz/500m秒×3、実線矢印)シェーファー側副刺激誘導LTPの増強、各点は、n細胞のe.p.s.c.s.peNRX振幅の平均+SEMである。
【図3】図3A〜3Cは、開示化合物(AK51)の100nM及び1μM濃度の双方が、シェーファー側副CAlシナプスで、薬理学的に分離したシナプス後NMDAレセプター媒介(e.p.s.c.s)を増強させ、LTPを増強させることを示す。3A:CAlピラミッド状ニューロンにおいて記録された、シングルショックシェーファー側副誘導の薬理学的に分離したNMDAe.p.s.c.sのNRX−10,051(100nM、実線バー)による顕著な増強の経時変化(n=x)。3B:CAlピラミッド状ニューロンにおいて記録された、シングルショックシェーファー側副誘導の薬理学的に分離したNMDAe.p.s.c.sのAK51(1μM、実線バー)によ増強の経時変化(n=y)。3C:対照、未処理スライス(白丸)と比較した、100nM()及び1μM(黒丸)のAK5151によるCAIピラミッド状ニーロンでのシナプスにおける高周波(100Hz/500m秒×3、実線矢印)シェーファー側副刺激誘導LTPの増強。3D:対照、未処理スライス(白丸、n=8)と比較した、1μM(黒丸、n=10)又は100nMのNRX−10,051(黒菱形、n=6)で前処理したスライスにおけるシェーファー側副−CAIシナプスでの低周波刺激実施(2Hz/10分、矢印で開始)によって誘導されたLTDの経時変化、各点は、n細胞のe.p.s.c. peNRX振幅の平均+EMである。
【図4】開示化合物がNMDA流及びLTPを増強させることを示す。 A:全細胞記録下で記録された、CAlピラミッド状ニューロンの正常化され、薬理学的に分離したNMDAレセプター依存性流における100nMのAK51(実線バー)の20分バスアプリケーション作用の経時変化。 B:全細胞記録下で記録された、CAlピラミッド状ニューロンの正常化され、薬理学的に分離したNMDAレセプターゲート流における1μMのAK51(実線バー)の20分バスアプリケーション作用の経時変化。 C:高周波シェーファー側副刺激(矢印、2×l00Hz/500ミリ秒)によって誘導された、細胞外興奮性シナプス後電位傾斜(平均+SEM、fEPSP)の長期増強(LTP)の大きさにおける、未処理対照スライス(白丸、n=6)と比較した100nMのAK51(実線バー、黒丸、n=8)のバスアプリケーション作用の経時変化。 D:高周波シェーファー側副刺激(矢印、2×l00Hz/500ミリ秒)によって誘導された、fEPSP傾斜(平均+SEM)のLTPの大きさにおける,未処理対照スライス(白丸、n=6)と比較した1μMのAK51(実線バー、黒丸、n=8)のバスアプリケーション作用の経時変化。E:低周波シェーファー側副刺激(矢印、2Hz/10分)によって誘導されたfEPSP傾斜(平均+SEM)の長期抑制の大きさにおける、未処理対照スライス(白丸、n=8)と比較した1μMのAK51(実線バー、黒丸、n=10)のバスアプリケーション作用の経時変化。
【図5】開示化合物を用いたラットのT−迷路試験の結果を示す。
【図6】ラットにおけるホルマリン神経性疼痛の結果を示す。
【図7】開示化合物の一異性体、AK−55−AがNMDA流及びTLPを強力に増強させ、一方、AK−55−Bは増強しないことを示す。
【図8】GC/MSによる定量化を示し、AK−51及び[2H7]プロリン内部標準の曲線下面積を示し、Wood et al. Journal of Chromatography B, 831, 313-9 (2005)の方法に基づくTBDMS誘導体化に従った、選択的イオンモニタリングによるGC/MSで分析した。この化合物のアッセイの量的範囲は、0.312pmol〜10pmolカラムであった。SIMのために利用されるイオンは、241.2(この化合物)及び350.3(ジューテロ化したプロリン)であった。R2=0.9998(二次非直線回帰)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、概して、NMDA、例えば、NMDAアンタゴニスト又は部分アゴニストを改変することができる化合物並びに組成物及び/又は開示の化合物を用いる方法に指向する。
【0014】
以下の定義が、本開示の記載をとして用いられる。
【0015】
ここで用いられる用語「アルケニル」は、炭素数2から12、2から10又は2から6の直鎖又は分岐の基(ここでは、それぞれC〜C12アルケニル、C〜C10アルケニル又はC〜Cアルケニル)等の少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和の直鎖又は分岐炭化水素を指す。アルケニル基としては、限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、2−エチルヘセニル、2−プロピル−2−ブテニル、4−(2−メチル−3−ブテン)ペンテニ等が挙げられる。
【0016】
ここで用いられている用語「アルコキシ」は、酸素に結合したアルキル基(−O−アルキル)を指す。アルコキシとしては、限定されないが、それぞれ炭素数1から12、1から8又は1から6のアルキル基を有する基が挙げられ、それぞれ、C〜C12アルコキシ、C〜Cアルコキシ又はC〜Cアルコキシを指す。アルコキシ基としては、限定されないが、メトキシ、エトキシ等が挙げられる。同様に、アルケノキシ基としては、限定されないが、ビニロキシ、アリロキシ、ブテノキシ等が挙げられる。
【0017】
ここで用いられている用語「アルキル」は、直鎖又は分岐の炭化水素基を指す。アルキル基としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−3−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等が挙げられる。
【0018】
アルキル、アルケニル及びアルキニル基は、特に断りのない限り、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、アミノ、ハロゲン及び−C(O)アルキルからン選択される1以上で置換されていてもよい。一実施形態では、アルキル、アルケニル及びアルキニル基は、置換されておらず、つまり、非置換である。
【0019】
ここで使用されている用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和直鎖又は分岐の炭化水素基を指す。アルキニル基としては、限定されないが、エチニル、プロピニル及びブチニルが挙げられる。
【0020】
ここで使用されている用語「アミド」は、−RaC(O)N(Rb)−、−RaC(O)N(Rb)Rc−又は−C(O)NRbRcを形成する基を指し、ここで、Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立して、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、水素、ヒドロキシ、ケトン及びニトロから選択される。アミドは、炭素、窒素、Ra、Rb又はRcを通して他の基と結合していてもよい。アミドは、環状であってもよく、例えば、Rb及びRc、Ra及びRb又はRa及びRcは、結合して、3〜10員環又は5〜6員環等の3〜12員環を形成してもよい。
用語「カルボキサミド」は、−C(O)NRbRc構造を指す。
【0021】
ここで使用されている用語「アミン」又は「アミノ」は、−NRdReを形成する基を指し、ここで、Rd及びReは、独立して、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ヘテロアリール及びヘテロシクリルから選択される。アミノは、環状でもよく、例えば、Rd及びReは結合してNとともに、例えば、モルホリノ又はピペリジニル等の3〜12員環を形成してもよい。アミノは、また、いずれかのアミノ基の対応する4級アンモニウム塩、例えば、−[N(Rd)(Re)(Rf)]であってもよい。アミノ基としては、アミノアルキル基が挙げられ、ここで、Rd、Re及びRfの少なくとも1つはアルキル基である。一実施形態では、Rd及びReはハロゲン又はアルキルである。
【0022】
ここで使用されている用語「ハロ」又は「ハロゲン」又は「ハル」は、F、Cl、Br又はIを指す。
ここで使用されている用語「ハロアルキル」は、1以上のハロゲン原子で置換されているアルキル基を指す。
【0023】
ここで使用されている用語「複素環」又は「複素環基」は、当該分野で認識されており、飽和又は部分的に不飽和の3〜10員環構造、あるいは、3〜7員環構造を指し、それらの環構造は、1〜4個の窒素、酸素及び硫黄等のヘテロ原子を含む。複素環は、モノ−、ビ−又は他の多環系であってもよい。複素環は、1以上のアリールに縮合してもよく、部分的に不飽和又は飽和環であってもよい。複素環基は、例えば、ビオチニル、クロメニル、ジヒドロフリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジチアゾリル、ホモピペリジニル、イミダゾリジニル、イソキノリル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オキソラニル、オキサゾリジニル、フェノキサンテニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピロゾリジニル、ピラゾリニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジン−2−オニル、ピロリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリル、チアゾリジニル、チオラニル、チオモルホリニル、チオピラニル、キサンテニル、ラクトン、ラクタム(例えば、アゼチジノン及びピロリジノン)、スルタム、スルトン等が挙げられる。複素環は、アルカノイル、アルコキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミジノ、アミン、アリール、アリールアルキル、アジド、カルバメート、カルボネート、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、イミノ、ケトン、ニトロ、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、スルフェート、フルフィド、フルホアミド、スルホニル及びチオカルボニル等の置換基で1以上の位置で置換されていてもよい。一実施形態では、複素環基は、置換されていない、つまり、複素環基は非置換である。
【0024】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、当該分野で認識されており、上述した飽和複素環を指す。ここで使用されている用語「ヘテロシクロアルコキシ」は、アルコキシに結合した複素環を指す。用語「ヘテロシクリルオキシアルキル」は、アルキル基に結合した酸素(−O−)に結合した複素環を指す。
【0025】
ここで使用されている用語「ヒドロキシ」及び「ヒドロキシル」は、−OH基を指す。
【0026】
「薬学的に又は薬理的に許容できる」は、必要に応じて、動物又はヒトに投与した際、副作用、アレルギー又は他の有害な反応をもたらさない分子実体及び組成物を含む。ヒトへの投与及び製造は、生物学標準のFDAによって要求されている無菌性、発熱性、一般的な安全及び純度標準を満たさなければならない。
【0027】
本開示において使用されているように、用語「部分的なNMDAレセプターアゴニスト」は、NMDAジレセプターのグリシン結合部位と結合することができる化合物として定義され、低濃度で、NMDAレセプターアゴニストは、実質的にアゴニストの働きをし、高濃度で、実質的にアンタゴニストの働きをする。これらの濃度は、「部分的なアゴニスト」それぞれ及びごとに実験的に決定される。
【0028】
ここで使用される「薬学的に許容されるキャリヤー」又は「賦形剤」としては、生理的に相溶性のすべての溶媒、分散メディア、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張性及び吸収遅延剤等が挙げられる。一実施形態では、キャリヤーは非経口投与に適している。あるいは、キャリヤーは、静脈又は腹膜内、筋肉内、舌下、経口投与に適しているかもしれない。薬学的に許容されるキャリヤーは、無菌の注射可能な溶液又は分散剤の即時の調製のために、滅菌水溶液又は分散剤及び無菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のそのようなメディア及び剤の使用は、周知の技術である。いかなる従来のメディア又は剤でも、活性な化合物と相溶性でない以外は、本発明の医薬組成物で、その使用が意図される。補助的な活性化合物も、組成物に取り込んでもよい。
【0029】
ここで使用される用語「薬学的に許容される塩」は、本発明で使用される化合物において存在していてもよい酸性又は塩基性の塩類を指す。
実際に塩基性の発明の組成物に含まれる化合物は、種々の無機又は有機の多種多様な塩類を形成することができる。そのような塩基性化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために用いることができる酸は、無毒の酸付加塩を形成し、つまり、薬学的に許容されるアニオンを含む塩、限定されないが、例えば、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレアート、ゲンチシン酸塩、フマル酸エステル、グルコン酸塩、グルカロネート、サッカラート、ギ酸塩、ベンゾアート、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びパモエート(つまり、1,1−メチレンビス(2−ヒドロキシ−3−ナフテート)塩類が挙げられる。
アミノ部分を含む本発明の組成物に含まれる化合物は、上記の酸に加えて、種々のアミノ酸とともに薬学的に許容される塩類を形成することができる。
実際に酸性の本発明の組成物に含まれる化合物は、種々の薬理的に許容できるカチオンで塩基性塩類を形成することができる。そのような塩類としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩及び、特に、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウム及び鉄の塩類を含む。
【0030】
本開示の化合物は、1以上のキラル中心及び/又は二重結合を含んでいてもよく、従って、立体異性体(例えば、幾何学的異性体、鏡像異性体又はジアステレオマー等)として存在していてもよい。ここで使用される時、用語「立体異性体」は、幾何学的な異性体、鏡像異性体又はジアステレオマーの全てからなる。これらの化合物は、不斉炭素原子の周りの置換基の構成に従い、「R」又は「S」によって示すことができる。本発明は、これらの化合物の種々の立体異性体及びそれらの混合物を含む。立体異性体は、鏡像異性体及びジアステレオマーの混合物を含む。鏡像異性体又はジアステレオマーの混合物は、命名法において「(±)」と称することができるが、当業者は、その構造が暗にキラル中心を意味するかもしれないと認識するであろう。
【0031】
本発明の化合物の個々の立体異性体は、非対称又はステレオジエンを含む市販の原料からの合成、又はラセミ混合物を製造し、その後に当業者によく知られた分離方法によって製造することができる。これらの分離方法としては、(1)エナンチオマー混合物のキラル補助基への結合、再結晶又はクロマトグラフィーによるジアステレオマーの得られた混合物の分離及び補助基からの光学活性純粋生成物の単体分離、(2)光学活性剤分解剤を用いた塩形成又は(3)キラルクロマトグラフィカラムでの光学エナンチオマー混合物の直接分離等が挙げられる。立体異性体混合物は、例えば、キラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高速液体クロマトグラフィー、キラル塩複合体としての化合物の結晶化又はキラル溶媒中での化合物の結晶化等の公知の方法によってそれらの構成立体異性体に分離することもできる。立体異性体は、よく知られた非対称合成方法によって、求積法的に純粋な中間体、試薬及び触媒から得ることもできる。
【0032】
幾何学異性体が、本発明の化合物中に存在してもよい。シンボル「 」は、ここに記載されているように、一重、二重又は三重結合であってもよい結合を意味する。本発明は、炭素−炭素二重結合の周りの置換基の配置又は炭素環の回りの置換基の配置から得られる種々の幾何学異性体及びそれらの混合物を含む。炭素−炭素二重結合の周りの置換基は、「Z」又は「E」として表され、ここで、「Z」及び「E」は、IUPAC標準に従って使用される。特に明記しない限り、二重結合を表す構造は、「E」及び「Z」異性体の双方を含む。
【0033】
炭素−炭素二重結合の周りの置換基の配置は、選択的に「シス」又は「トランス」を指すことができ、ここで、「シス」は、二重結合の同じ側における置換基を表し、「トランス」は、二重結合の反対側の置換基を表す。
炭素環の回りの置換基の配置は、選択的に「シス」又は「トランス」を指すことができ、ここで、「シス」は、環の面の同じ側における置換基を表し、「トランス」は、環の面の反対側の置換基を表す。
置換基が環の面の同じ側及び反対側の双方に配置する化合物の混合物は、「シス/トランス」と称する。
【0034】
ここに開示される化合物は、水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒で溶媒和及び非溶媒和した形態で存在することができ、本発明は、溶媒和及び非溶媒和した双方の形態を包含することを意図する。一実施形態では、化合物はアモルファス体である。一実施形態では、化合物は多形体である。さらなる実施形態では、化合物は結晶体である。
【0035】
本発明は、1以上の原子が、自然界で通常見出される原子量又は質量数と異なる原子量又は質量数で置き換えられたものを除いて、ここで引用されたそれらと同一である本発明の化合物において同位体でラベルされたものを含む。本発明の化合物に取り込むことができる同位元素としては、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Cl等、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位元素を含む。
【0036】
特定の同位体でラベルされた開示の化合物(例えば、H及び14Cでラベルされたもの)は、化合物及び/又は基質組織分布分析において利用される。トリチウム化(すなわち、H)及び炭素-14(つまり14C)同位元素は、特に製造及び検出感度の容易のために好ましい。さらに、重水素(すなわち、H)等のより重い同位元素での置換は、より大きな代謝安定性をもたらし(例えば、生体内半減期の増加又は投薬量条件の減少)、特定の治療的利点を有するかもしれず、それゆえ、ある条件下で好ましい。同位体でラベルされた本発明の化合物は、非同位体ラベル化試薬を、同位体ラベル化試薬に置換することによって、ここでの実施例で開示されたそれらに類似した以下の手順によって、通常、製造することができる。
【0037】
本開示において使用されるように、「NMDA」はN−メチル−d−アスパラギン酸塩と定義される。
【0038】
本明細書において、用語「治療的に有効量」は、研究者、獣医、医者又は他の臨床医によって探求されている組織、システム、動物又はヒトの生物学的又は医学的な反応を誘発するであろう目的化合物の量を意味する。本発明の化合物は、病気を治療するために、治療的に有効量で投与される。あるいは、治療的に有効量の化合物は、動向(例えば、学習)、生理的反応(例えば、LTP誘導)又は神経障害性疼痛の抑制を最大限増強させるために必要とされる量として定義した量のような、望ましい治療的及び/又は予防効果を達成するために必要とされる量である。
【0039】
化合物
開示の化合物は、式Iによって表されるもの及びそれらの薬学的に許容される塩、立体異性体及びN−酸化物を含む。

式中、
Tは、独立して、CR、nは0、1、2又は3;
Aは、任意に存在し、フェニル又はピリジンから選択され、Aは、Raから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、水素、ヒドロキシ、-S(O)−C〜Cアルキル、−SO、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、フェニル、R又は

から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル又はフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
Xは、CH又はNであり;
及びR’は、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、C〜Cアルキル、アミド、アミン又はC〜Cアルケニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
及びR’は、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、C〜Cアルキル、アミド、アミン、C〜Cアルコキシ又はC〜Cアルケニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、H、R、−S(O)、S(O)−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、ヒドロキシ又はフェニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
及びR’は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケニル、シアノ、アミノ、フェニル及びヒドロキシからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル又はフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、−C(O)−C〜Cアルキル又はC(O)−O−C〜Cアルキルから選択され、C〜CアルキルはRbから選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい;
は、H、−C(O)−C〜Cアルキル又はC(O)−O−C〜Cアルキルから選択され、C〜CアルキルはRaから選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい;
Raは、それぞれ独立して、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、フェニル、C〜Cアルキル及C〜Cアルコキシから選択され、
Rbは、それぞれ独立して、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、フェニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ及び−NH−Rから選択され、
は、それぞれ独立して、−C(O)−C〜Cアルキル及びC(O)−O−C〜Cアルキルから選択される。
【0040】
例えば、開示された化合物は、以下によって表されたものを含んでいてもよい。

式中、
は、−C(O)−C〜Cアルキルであり、C〜Cアルキルは、NH又は−N−カルボベンジルオキシで1つの炭素に置換されており、異なる炭素にヒドロキシが置換されている。例えば、Rは、−C(O)−O−C〜Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル)であってもよく、ここでC〜Cアルキルはフェニルで置換されている。
【0041】
例えば、Rは、カルボベンジルオキシであってもよいし、以下で表されるものであってもよい。

式中、Xは、Nであってもよく、
’は、Hであってもよく、及び
は、−C(O)−C〜Cアルキル(例えば、エチル、プロピル、n−ブチル又はt−ブチル)であってもよく、ここで、C〜Cアルキルは、NH又は−N−カルボベンジルオキシで1つの炭素に置換されており、異なる炭素にヒドロキシが置換されている。
【0042】
一実施形態では、Rは、フェニル(任意に上記のように置換されていてもよい)であるか、Hであってもよい。一実施形態では、Rは、−C(O)−C〜Cアルキル(例えば、エチル、プロピル、n−ブチル又はt−ブチル)であってもよく、任意に、NHが1つの炭素に置換されており、異なる炭素にヒドロキシが置換されていてもよい。
【0043】
いずれかの意図するR基は、C〜Cアルキル(例えば、R、R、R)であり、このアルキルは、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル又はt−ブチルからなる群から選択されてもよく、C〜Cアルキルは、F、Cl又はBrからなる群から選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい。
【0044】
そのような化合物は、異なって異性化されていてもよい。一実施形態では、以下のように表すことができる。

【0045】
他の実施形態では、式IIで表される化合物及びそれらの薬学的に許容される塩、立体異性体及びN−酸化物が意図される。

式中、
は、水素、ヒドロキシ、-S(O)−C〜Cアルキル、−SO、C〜Cアルキル、R又は

から選択され、
Xは、CH又はNであり;
及びR’は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、C〜Cアルキル、アミド、アミン又はC〜Cアルケニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、H、R、−S(O)、S(O)−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、ヒドロキシ又はフェニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケニル、シアノ、アミノ、フェニル及びヒドロキシからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケニル、シアノ、アミノ、フェニル及びヒドロキシからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい;
は、−C(O)−C〜Cアルキル又はC(O)−O−C〜Cアルキルから選択され、C〜CアルキルはRbから選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい;あるいは、
及びRは、式IIと一緒になって、

は、H、−C(O)−C〜Cアルキル又はC(O)−O−C〜Cアルキルから選択され、C〜CアルキルはRaから選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい;
Raは、それぞれ独立して、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、フェニル、C〜Cアルキル及C〜Cアルコキシから選択され、
Rbは、それぞれ独立して、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、フェニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ及び−NH−Rから選択され、
は、それぞれ独立して、−C(O)−O−C〜Cアルキル及びC(O)−C〜Cアルキルから選択される。
【0046】
例示の実施形態では、式I、II、Ia又はIbのR基は、以下からなる群から選択されてもよい。

【0047】
例示化合物としては、以下が挙げられる。


及び

【0048】
以下の群から選択される化合物及びそれらの薬学的に許容される塩、立体異性体又はN−酸化物がここに開示される。




【0049】
本開示の化合物及びそれらの製剤は、いずれか1以上の化合物のD−異性体及びL−異性体又はラセミ混合物(D−及びL−異性体の双方)を含むことを意図する。さらに、化合物の製剤は、ここで記載されたアナログの1以上のL−異性体:D−異性体のいずれの組み合わせ比も含むことを意図する。D−及び/又はL−異性体アナログ形態のより大きな比を含む開示の化合物のこれらの及び他の製剤は、開示の化合物又は化合物の混合物のラセミ製剤に比較して、より増強された治療特性を有するかもしれない。例えば、開示の化合物は、鏡像異性体、例えば、以下であってもよい。

【0050】
開示の化合物は、NMDAレセプターで有効にカチオンチャネルを開けるために提供されるかもしれず、例えば、カチオンチャネルを開けることをアシストするためにグルタミン酸塩部位に結合又は結びつけるかもしれない。開示の化合物は、アゴニストとしての作用を通してNMDAレセプターを調節する(オンにするか、オフにする)ために用いることができる。
【0051】
ここに記載された化合物は、グリシンサイトNMDAレセプター部分アゴニストであるかもしれない。ここで用いられる部分アゴニストは、低濃度でアナログがアゴニストとして作用し、高濃度でアナログはアンタゴニストとして作用することを意味すると理解されるであろう。グリシン結合は、グルタミン酸塩によって又はグルタミン酸塩の拮抗阻害剤によって阻害されず、さらに、NMDAレセプターのグルタミン酸塩と同じサイトで結合しない。グリシンに対する第2の別の結合部位が、NMDAレセプターに存在する。NMDAレセプターのリガンド依存性イオンチャネルは、よって、少なくともこれらの2つの異なったアロステリック部位に制御下にある。開示の化合物は、NMDAレセプターのグリシン結合部位に結合することが可能かもしれない。ある実施形態では、開示の化合物は、既存のNMDAレセプターグリシンサイト部分アゴニストの活性の10倍以上の性能を備えているかもしれない。例えば、開示の化合物は、GLYX−13と比較して10倍〜20倍の増強された性能を備えているかもしれない。GLYX−13は、以下によって表される。

【0052】
50nMの濃度で海馬CAlピラミッド状ニューロンの培養においてバースト活性化NMDAレセプター依存性シングルニューロンコンダクタンス(INMDA)で測定されるように、例えば、GLYX−13と比較して少なくとも約20倍より強力であるかもしれない化合物が、ここに提供される。他の実施形態において、100nMから1μMの濃度での海馬CAlピラミッド状ニューロンで強化されたシングルショック誘発NMDAレセプター依存性シングルニューロンコンダクタンス(INMDA)を発生させることができる化合物が、ここに提供される。インビトロでの海馬スライスでシェーファー側副−CA−1シナプスでの長期増強(LTP)の大きさによって測定されるように、開示化合物は、GLYX−13と比較して増強された性能を有しているかもしれない。
【0053】
合成ルート
以下のスキームは、開示された化合物及びその中間体を製造するために用いることができる代表的な合成法である。
スキーム1:化合物の製造

スキーム2

【0054】
硝酸セリウムアンモニウム(又は「CAN」)は、式(NHCe(NOの化合物である。この橙赤の水溶性塩は、有機合成の酸化剤として広く使われている。この化合物が、定量分析の標準的な酸化剤として使われる。
【0055】
PMPは、p−メトキシベンジリデンを指し、Cbzは、以下のように表すことができるカルボベンジルオキシ基を指す。

【0056】
組成物
他の面では、開示化合物及び任意に薬学的に許容される賦形剤を含む製剤及び組成物が提供される。ある実施形態では、意図される製剤は、開示化合物の1以上のラセミ混合物を含む。
【0057】
意図された製剤は、種々の使用のためのいずれの形態で製造されていてもよい。限定されないが、化合物は、経口投与、皮下注射又は製薬技術において知られた動物への活性剤の他の投与方法に適した製剤として製造することができる。
【0058】
ここに記載されたように製剤における開示化合物の量は、患者の病気の症状、年齢、性別、体重等の因子によって変化させることができる。用量は、最適な治療反応を与えるように調整することができる。例えば、一丸薬を投与することができ、いくつかに分割した用量を、時間をかけて投与してもよいし、用量を、治療状況の緊急性の必要によって、比例的に減少又は増加させてもよい。投与の容易及び用量の均一性のために、用量単位形態において非経口組成物を処方することが特に有利である。ここで使用される用量単位形態とは、治療される哺乳動物の対象に対する単位用量として適した、物理的に分離した単位を指し、各単位は、必要な薬学的キャリヤーとともに所望の治療効果をもたらすために計算された、活性化合物の所定量を含む。
【0059】
本発明の用量単位形態の詳述は、(a)選択された化合物の特有の特性及び達成すべき特定の治療効果、及び(b)個々における感受性の治療に対する活性化合物等の処方分野における固有の制約によって、直接的に規定される。
【0060】
ここで用いられるように、「薬学的に許容されるキャリヤー」または「賦形剤」は、いずれか及びすべてを含む。
【0061】
治療組成物は、一般に、製造及び保管の条件下で、無菌及び安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム又は高薬物濃度に適する他の秩序構造として製剤化することができる。キャリヤーは、例えば、水、エタノール、多価アルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)及び適当なそれらの混合物を含む溶媒又は分散媒とすることができる。適当な流動性を、例えば、レシチンのようなコーティングを用いて、分散液の場合には、必要な粒径の維持によって及び界面活性剤を用いることによって維持することができる。多くの場合、組成物において、等張剤、例えば、砂糖、多価アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の長期にわたる吸収が、例えば、モノステアリン酸塩類及びゼラチン等の吸収を遅延させる剤を組成物に含有させることによってもたらすことができる。
【0062】
化合物は、例えば、徐放性ポリマーを含む組成物では、徐放性製剤で投与することができる。化合物を、例えば、移植片及びマイクロカプセルに入れられた送達系を含む徐放製剤のような、迅速な化合物の放出を阻止するであろうキャリヤーとともに製造することができる。生分解性、生物適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル類、ポリ乳酸及びポリ乳酸−ポリエチレングリコール共重合体(PLG)等を使用することができる。そのような製剤の製造のための多くの方法が、一般に、当業者に公知である。
【0063】
無菌の注射可能な溶液を、上述した成分を単独で又は組み合わせて適当な溶媒中に必要量取り入れ、次いで、ろ過処理した殺菌を行なうことにより、製造することができる。一般に、分散液は、上述したそれらから、塩基性分散メディウム及び必要な他の成分を含む無菌の賦形剤を活性化合物に取り込むことによって、製造することができる。無菌の注射可能な溶液の製造のための無菌の粉末の場合、好ましい製造方法は、真空乾燥及び凍結乾燥であり、上述した無菌のろ過された溶液からいずれかの所望の添加成分を加えた活性成分の粉末を製造する方法である。
【0064】
本発明の他面によれば、化合物は、化合物の可溶性を増強させる1以上の添加化合物とともに製剤化してもよい。
【0065】
方法
認知障害を治療する及び学習を強化するための方法が提供される。
そのような方法は、それらを必要とする患者に、開示化合物の1以上の薬学的に許容される製剤を投与することを含む。また、老化による記憶欠陥、精神分裂症、特異的学習障害、発作、ポスト脳卒中痙攣、脳虚血、低血糖症、心停止、癲癇、片頭痛並びにハンティントン、パーキンソン及びアルツハイマー病を患った患者を治療する方法が意図される。
【0066】
他の意図する方法は、脳虚血、脳卒中、脳精神的外傷、脳腫瘍、重篤な神経障害性疼痛、慢性神経障害性疼痛、睡眠障害、薬物中毒、躁鬱病、特定の視力障害、エタノール禁断症状、不安並びに記憶及び学習障害の治療を含む。さらにもう一つの面では、鎮痛を増強する方法及び動物への無痛法を提供する。
【0067】
実施例
以下の実施例は、実例となる目的に対してのみ準備されたものであり、開示の範囲を制限することを目的としない。
【0068】
実施例1:ピロリジン誘導スピロβ-ラクタム誘導体の合成
スピロラクタムを合成するために、以下の反応シーケンス(スキームA)を用いた。ヘキサハイドロール、3,5−トリアジン、Cbz−L−プロリン酸及びN−(Cbz)O−(ベンジルエーテル)−L−トレオニン酸塩化物を原料として用いた。
スキームA

【表1】

【0069】
実施例2:化合物及び中間体の合成
スピロラクタム3
C4非置換スピロラクタム3の合成を、トリアジン2に由来するメチレンイミンのシュタウディンガー反応によって、行なった。塩化Cbz−L−プロリン酸に由来するケテンとメチレンイミンとの[2+2]−サイクル付加反応を、以下のように実行した。
ケテンを45分間、−40℃にて、トリエチルアミンで酸塩化物の脱塩化水素反応によって生成し、次いで、トリアジン2と三フッ化ホウ素エーテル酸塩(トリアジンを脱重合する)とのジクロロメタン溶液を加えた。12時間後、30〜50%の収率で、対応するスピロラクタム3を、鏡像異性体の混合物として得た。CANの存在下、スピロラクタム3からのPMP基の酸化除去によって、N非置換誘導スピロラクタム4を得、Pd(OH)/Cによる処理と同時に、対応するスピロラクタム中間体5を得た。
【0070】
スピロラクタム4を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製した後、93%の純度(HPLC)で得た。スピロラクタム5を、20%から70%の酢酸エチルシクロヘキサンで勾配溶出を用いたシリカゲルにおけるクロマトグラフィーの後、90%より大の純度(NMRによって)で、50%の収率で得た。
【0071】
実施例3:中間体化合物への合成経路
トリアジン2
0°に冷却した酢酸エチル/水(1:1)の混合物(500mL)中のp−アニシジン(24.6g、200mmol)の溶液に、ホルムアルデヒド(37%)の水溶液(17mL)を添加した。反応混合物を、0℃で3時間攪拌し、次いで、室温で1時間攪拌し、有機層を分離し、水洗(50mL)し、NaSOで乾燥した。溶媒を、真空下で除去し、白色固体を得た。この固体を、ジエチルエーテルで一回洗浄し、97%の収率で、純粋なトリアジン2の26.3g(固体を一晩、40℃で乾燥)を得た。
【0072】
スピロラクタム中間体3
−40℃に冷却した乾燥ジクロロメタン(65mL)の中の塩化N−ベンジルカルボニルL−プロリン酸(5g(18.7mmol))の攪拌溶液に、乾燥トリエチルアミン(10.4mL、74.7mmol)を滴加した。溶液は黄色になり、ケテンが生成したことを確認した。
【0073】
−40℃で45分後、先にCHCl(35mL)に混合された、トリアジン2(2.52g、6.16mmol)及びBFOEt(2.37mL、18.7mmol)の紫の溶液を滴加した。混合物を、一晩かけてゆっくり室温に暖め、次いで、NaHCOの飽和溶液でクエンチした。水層を、CHCl(20mL)で二回抽出し、合わせられた有機層を、塩水(20mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。次いで、溶液を濃縮し、100%シクロヘキサンから20%酢酸エチル/シクロヘキサンの勾配溶出を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、37%の収率で、7.01gの純粋生成物を得た。
【0074】
スピロラクタム中間体4
−10℃で、アセトニトリル(49mL)中のスピロラクタム3(2.4g、6.55mmol)の攪拌溶液に、先に水(30mL)に溶解したCAN(10.8g、19.6mmol)を1時間かけて滴加した。添加が完了した後、混合物を45分間攪拌した(TLCは、原料が残留していないことを示した)。反応混合物を、酢酸エチル(100mL)及び飽和NaHCO(50mL)で希釈した。有機層に、水(100mL)及び固体ナトリウム重亜硫酸塩(20eq)を添加した。有機層を、塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。次いで、溶液を濃縮し、100%/シクロヘキサンから50%酢酸エチル/シクロヘキサンの勾配溶出を用いたシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製し、50%の収率で0.87gの純粋な生成物を得た。
【0075】
スピロラクタム中間体5(AK−51)
4の0.5gを、20mLの酢酸エチルに溶解し、50mgの10%Pd(OH)−C触媒を含有するH(1気圧)下に、カニューレによってフラスコに移した。混合物を、50PSiにて、H下、一晩攪拌し、次いで、触媒をセライトによってろ過して除去した。有機層を濃縮し、シリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製し、50%の収率で120mgの生成物を得た。
【0076】
塩化N−(Cbz)−O−(ベンジルエーテル)−L−トレオニン酸7
乾燥エーテル(27mL)中のN−(Cbz)−O−(ベンジルエーテル)−L−トレオニン(0.95g、2.7mmol)の攪拌溶液に、PC15(0.61g、2.9mmol)を添加し、混合物を、室温で3時間攪拌した。次いで、室温にて、高真空で、溶媒を除去した。トルエンを添加し、上記のように除去した。いかなる精製もすることなく、粗白色固体をカップリング反応に使用した。
【0077】
スピロラクタム中間体8及び9
乾燥THF(4mL)中のスピロラクタム4(200mg、0.76mmol)の攪拌溶液に、−78℃にてBuLi(ヘキサン中、0.32mL、0.80mmol)を滴加した。添加終了後、混合物を、−78℃にて1時間攪拌した。THF(4mL)中のN−(Cbz)−O−(ベンジルエーテル)−L−トレオニン酸塩化物7を添加した。混合物を、−78℃から室温で、一晩攪拌した。
【0078】
反応混合物を、飽和NHCl(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(10mL)を添加した。水層を2回酢酸エチルで抽出した。合わせられた有機層を、MgSOで乾燥し、濃縮して、0.44gの粗生成物を得た。粗生成物を、100%のCHCl2から2%のMeOH/CHClの勾配でシリカゲルを通して溶出し、44%から73%の純度の範囲の画分を得た。この反応を、0.28gのスピロラクタム4で繰り返し、純度50%から73%にわたるクロマトフラフィー後の画分を得た。
【0079】
実施例4:NMDAレセプター結合アッセイ
分析組織の製造:
ランサム及びエステック(1988)によって先に示されたように、粗シナプス膜を、ラット前脳(雄性スピローグ-ドーリーラット)から調製し、内因性アミノ酸を除去するために、広範囲にわたって洗浄した。手短にいうと、粗シナプス膜を、5mMのトリス−HCIバッファ(pH7.4)の20容量中で再懸濁するか([H]TCP結合実験で用いるために)、5mMのトリス-アセテートバッファ(pH7.4)の20容量中で再懸濁し([H]グリシン結合試験に用いるために)、ポリトロンを用いてホモジナイズした(Virtis shear; Virtis, NY, U.S.A.)。次いで、膜を、20分間、48,000gで遠心分離にかけることによってペレット化した。この操作を二回繰り返し、ホモジェネートを、同じバッファ中に、−70℃で保存した。各使用の前に、ホモジェネートを、室温で解凍し、ペレット化し、さらに4回洗浄した。[H]グリシン実験のために、まず、ペレットを0.04%のトリトンX−100を含む5nMトリス-アセテートバッファ中で、30分間、25℃でインキュベートし、次いで、ホモジネーション及び遠心分離によって4回洗浄した。最後に洗浄した膜を、5nMトリス−HCIバッファ又は5mMトリス-アセテートバッファのいずれかの中で、2〜3mg/mlの濃度で再懸濁した。
【0080】
TCP結合アッセイ
選択的[H]TCP結合の測定を、先に記載されたように行なった(Haring et al, 1986, 1987; Kloog et al, 1988a)。最終的な反応混合物は、5mMトリス−HCIバッファ200μl中の50〜100μgの膜タンパクからなり、[H]TCP又は[H]TCPのいずれかと、NMDAレセプターリガンド又はmAbの適当な濃度を含んでいた。反応を、膜を反応混合物に添加することによって開始した。特に明記しない限り、結合実験は1時間、25℃の非平衡状態下で行なった。100μMのラベルしていないPCPを含む、平行したサンプルで、非選択的結合を測定した。結合反応は、1時間、0.1%のポリエチレンイミンで前処理されたワットマンGF/Bガラスフィルタで、濾過することによって測定した。
【0081】
H]TCPのその膜結合部位からの分離を、120分間、20nMの[H]TCPでレセプターを平衡させた後、測定した。分離反応は、NMDAレセプターリガンド又はmAbの存在又は非存在下で、100μMの非標識PCPの添加によって開始した。さらなる時間のインキュベーションを要した後、反応を即座に終了させた(0時)。
【0082】
3つの化合物の作用を、1)海馬CAIピラミッド状ニューロン中のNMDAレセプター依存性シングルューロン・コンダクタンス(INMDA)において及び2)長期増強(LTP)及び長期抑制(LTP)の大きさを、シェーファー側副CAlシナプスで、インビトロの海馬スライスにおいて試験した。GLYX−13は、バースト活性化INMDA及びLTPの低濃度(1〜10μM)での増強を示し、同時にLTD及びシングルパルス誘発INMDAの減少を示すことが報告されている。100倍高濃度の100μMのGLYX−13は、LTD及びバースト突発INMDAを減少させるように変わり、LTDにはもはや影響を及ぼさない。
【0083】
化合物Bは、GLYX−13と比較して能力において、20倍の増強を示した。50nMのこの化合物は、シングルショック(IA)及びバースト誘発(IB)INMDAの双方において著しく増強し、LTP(IE)の大きさを2倍にした。これに対して、1μMのNRX−10,050は、シングルショック(IC)及びバースト誘発(ID)INMDAの双方を著しく減少させ、100μMのGLYX−13に類似する(図2参照)。
【0084】
AK−51は、化合物Bよりも低い効力を示したが、その刺激作用において広い濃度範囲を示した(図3)。100nM(2A)及び1μMのNRX−10,051の双方は、シングルショック誘導INMDAを増強し、一方、1μMのNRX−10,051は、LTP(2D)の大きさを2倍にし、その一方で、LTD(2E)を変化させなかった。
【0085】
AK−52は、低濃度(100nM、3A)で、シングルショック誘導INMDAの穏やかな増強を生じさせたのみであり、それは1μMの濃度(3B)でINMDAの顕著な減少に変化させた。100nMのAK−52は、化合物B及びAK−51の大きさと同様のLTPの増強をもたらしたが、これは、LTDを変化させることなく、1μM濃度でLTPにおけるわずかであるが有意な減少をもたらした。
【0086】
これらの3つの化合物は、GLYX−13と比較して効力において約20倍の増強を示した。化合物Bは、低濃度(50nM)でのINMDAの最も強力な増強剤である。INMDAのAK−51増強は小さいが、AK−51が10倍に増強された(100nMから1μM)とき、この作用が残存した。AK−52はINMDAの最も弱い増強剤であり、この作用はINMDAの明らかな減少により迅速に転換した。
【0087】
これらの化合物は、ほぼ2倍と、同程度LTPの大きさを増強した。GLYX−13は、同時にLTPを増強し、LTDを減少させることができた唯一の化合物であった。AK−52は、INMDAを減少させる濃度でさえ、LTDに影響を及ぼさなかった。GLYX−13は、NR2A/Bサブユニットを含むNMDAレセプターによって媒介されるINMDAを選択的に増強することができ、これらのレセプターは、シナプス外に局所化しており、LTPを誘発するニューロン性バーストによってより強力に活性化する。テストされた化合物の全てが、LTP及びINMDAに影響を及ぼす効力を有するが、LTDにおける作用がより小さいことは、GLYX−13よりNMDAレセプターグリシンサイトを含むNR2A/Bに対して選択的に増強することを示唆する。
【0088】
実施例5:T−迷路学習
雄性の3ヵ月齢のフィッシャー344Xブラウン・ノルウェーFlクロスラット(FBNFl)を、この研究のために使った。T−迷路を、迷路を包囲する黒いフレキシガラスからなるアーム(45cm長×10cm幅×10cm高)で構築した。ワイヤメッシュで一列に並べられた2つのプラスチック・ビン・キャップを、食物報酬(チェリオス、100mg/ピース)が置かれた各々のゴールアームの終端に固定した。トレーニングの開始前に、動物は、それらの自由な食餌体重の約85%まで、食物を徐々に減らされた。トレーニング開始前の3日間、連続して、動物を、迷路中の至る所に配置した食物で、T−迷路に慣れさせた。トレーニング1日目に、動物に対して、右アーム選択に対して報酬を与え、10のうち9の連続した正しい選択の基準に訓練した。
トレーニング2日目に、動物に対して、左アーム選択に対して報酬を与え、10のうち9の連続した正しい選択の基準に訓練した。
以降のテスト日に、動物に、胃管栄養法(4", 16-ga; Braintree Scientific, Braintree MA)によるブラインド法で、テスト開始60分前に、AK51(0.3、1、3、10、30mg/kgのp.o.)又はDMSO賦形剤を注射した(1mg/ml、シグマ、セイント・ルイスMO)(1グループにつきn=8〜9、)。テストの1回目に、両アームに食物を餌としてつけ、以降の20回に対して、二者択一の選択(先の動物の選択の反対)にのみ報酬を与えた(〜30秒の試験間間隔)。基準(5連続正しい選択)に対する試験の数を、各々の動物について算出した。データを、ANOVAによって分析し、個々の薬服用量に対する賦形剤(α=0.05)と比較するフィッシャーPLSD事後試験を行なった。
【0089】
図5は、食物を奪った3ヵ月齢のラットにおいて、二者択一のT−迷路作業(20回)での基準に対する平均(+SEM)試験を示す。テスト開始の60分前に、DMSO賦形剤(1グループにつきn=8〜9)中の0、0.3、1、3、10又は30mg/kgのAK051を、経口で、動物に注入した。***P<0.001、**P<0.01、フィッシャーPLSD事後対賦形剤。
【0090】
実施例6:神経性疼痛のホルマリンテスト
実験を、前述のとおり行った(Abbott et al. Pain, 60, 91- 102, 1995; Wood et al., Neuroreport, 19, 1059-1061 2008)。雄性の3ヵ月齢のフィッシャー344Xブラウン・ノルウェーFlクロスラット(FBNF1)を、この研究のために使った。テスト開始前に、動物を、2日間連続で毎日、10分間テストチャンバ(30×30×60cmの不透明なプレキシガラス)に慣れさせた。試験日において、動物に、胃管栄養法(4", 16-ga; Braintree Scientific, Braintree MA)によるブラインド法で、テスト開始60分前に、ホルマリンを注射した(1グループにつきn=8〜9)。動物を、ホルマリン注射の10分前に、テストチャンバに入れた。
ホルマリン注射のために、ラットを、マニュアルで拘束し、左の後足の足底の表面上の側部足蹠に、1.5%のホルマリンを皮下注入した(26ga針で50μL、シグマ、セイント・ルイスMO)。ホルマリン注射後、ラットをテストチャンバに入れた。動物を、50分のポストホルマリン注射のために、斜軸式鏡を用いて、下からビデオテープに録画した。後相(ポストホルマリン注射の30〜50分)の間、注射された足をリッキング(なめる)に費やした総時間及び注射された足の畏縮(フリンチ)の総数を、双方の測定のための高い(r>0.9)内/間評価者信頼性の訓練された実験者によって、ブラインド方法によりオフラインで測定した。すべての動物を、テストの直後にCOによって安楽死させた。データを、ANOVAによって分析し、その後、個々の薬服用量に対する賦形剤(α=0.05)と比較するフィッシャーPLSD事後試験を行なった。図6は、内部足底のホルマリン注射(1.5%のホルマリン50μL)後の後相反応(30〜50分)におけるフリンチの%減少で規定した平均%(+SEM)無痛消失を示す。
【0091】
実施例7:学習及び記憶を増強する経口製剤
AK−51の経口製剤を、ジメチルスルホキシド(DMSO)で調製した。全ての用量を、300μlの容量で投与した。次いで、動物に、以下のように、体重に基づいて規定された用量を動物に与えるために計算された容量で、胃管栄養法によって経口投与した(挿入された給送針で口から強制的に供給)。0.0mg/kg(300μLのDMSO中(賦形剤))、0.3mg/kg(300μLのDMSO中)、1.0mg/kg(300μLのDMSO中)、3.0mg/kg(300μLのDMSO中)、10.0mg/kg(300μLのDMSO中)、30.0 mg/kg(300μLのDMSO中)。
【0092】
動物に、上述したような1つの用量で、試験開始前60分に注入した。次いで、二者択一のT−迷路作業(20回)を、動物の学習反応を評価するために用いた。このプロトコルは、実施例5で詳述する。手短にいうと、T−迷路は、選択作業である。対照のラットを、「T」のベースに置いた。短時間の遅れの後、それは、迷路を探検し、右又は左アームに入ることを選択した。選択を、自発的な二者択一、手がかり報酬を含む種々の基準に従って又は文献の指示に従って、記録した。 この研究において使われた基準に基づいて、T−迷路を、学習及び記憶をテストするために用いた。迷路の一端に置かれた食物を、各動物テストに対して、陽性強化因子として使った。
【0093】
AK−51の1.0mg/kg用量を経口で与えられた動物は、T−迷路テストにおいて学習反応の統計的に有意な強化を示した(P<0.001)。非ペプチドアナログNRX−10,051の3.0mg/kg用量を経口で与えられた動物は、T−迷路テストにおいて学習反応の統計的に有意な強化を示した(P<0.01)。
【0094】
実施例8:異性体
AK−55の2つの異なる異性体を、実施例4のように、NDMA結合アッセイに使用した。他のものは増強しないが、AK−55の1つの異性体は、NMDAを強力に増強する。 図7Aは、全細胞記録(平均+SEM、n=6)下でのCAlピラミッド状のニューロンにおける、正常化され、薬理的に分離されたNMDAレセプター依存性流の1μMのAK55(実線バー)の15分のバスアプリケーション作用の経時変化を示す。Bは、全細胞記録(平均+SEM(n=7)下でのCAlピラミッド状のニューロンにおける、正常化され、薬理的に分離されたNMDAレセプター依存性流の1μMのAK55(実線バー)の15分のバスアプリケーション作用の経時変化を示す。Cは、高周波シェーファー側副刺激(2×l00Hz/500ミリ秒)によって誘導された細胞外興奮性シナプス後電位スロープの長期増強(LTP)(平均+SEMfEPSP)の大きさにおける、未処理の対照スライス(白丸、n=8)と比較した1μMのAK6(実線バー、黒丸)のバスアプリケーション作用の経時変化を示す。
【0095】
実施例9:生化学的分析
表Bは、AK51と種々のターゲットに対する結合アッセイの結果を示す。
【表B】

【0096】
均等物
当業者はここに記述される発明の特定の実施例に多くの均等物を認めるか、ほんの簡単な実験を行なうことにより確認することができる。そのような均等物は、本願の請求項に包含されることを意図する。
【0097】
参照による取り込み
すべての特許の全内容、公開された特許出願、ウェブサイトとこの中の他の引用文献は、参照によって全体としてここに明確に取り入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される化合物及びそれらの薬学的に許容される塩、立体異性体及びN−酸化物。

式中、
Tは、独立して、CR、nは0、1、2又は3;
Aは、任意に存在し、フェニル又はピリジンから選択され、Aは、Raから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、水素、ヒドロキシ、-S(O)−C〜Cアルキル、−SO、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、フェニル、R又は

から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル又はフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
Xは、CH又はNであり;
及びR’は、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、C〜Cアルキル、アミド、アミン又はC〜Cアルケニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
及びR’は、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、C〜Cアルキル、アミド、アミン、C〜Cアルコキシ又はC〜Cアルケニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、H、R、−S(O)、S(O)−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、ヒドロキシ又はフェニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
及びR’は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケニル、シアノ、アミノ、フェニル及びヒドロキシからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、−C(O)−C〜Cアルキル又はC(O)−O−C〜Cアルキルから選択され、C〜CアルキルはRbから選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい;
は、H、−C(O)−C〜Cアルキル又はC(O)−O−C〜Cアルキルから選択され、C〜CアルキルはRaから選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい;
Raは、それぞれ独立して、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、フェニル、C〜Cアルキル及びC〜Cアルコキシから選択され、
Rbは、それぞれ独立して、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、フェニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ及び−NH−Rから選択され、
は、それぞれ独立して、−C(O)−C〜Cアルキル及びC(O)−O−C〜Cアルキルから選択される。
【請求項2】
以下の式で表される請求項1の化合物。

式中、
は、−C(O)−C〜Cアルキルであり、C〜Cアルキルは、NH又は−N−カルボベンジルオキシで1つの炭素に置換されており、異なる炭素にヒドロキシが置換されている。
【請求項3】
は、−C(O)−O−C〜Cアルキルであり、C〜Cアルキルは、フェニルで置換されている請求項1の化合物。
【請求項4】
は、カルボベンジルオキシである請求項3の化合物。
【請求項5】
が以下である請求項1の化合物。

式中、Xは、Nであり、
’は、Hであり、及び
は、−C(O)−C〜Cアルキルであり、C〜Cアルキルは、NH又は−N−カルボベンジルオキシで1つの炭素に置換されており、異なる炭素にヒドロキシが置換されている。
【請求項6】
は、フェニルである請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
は、Hである請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
は、−C(O)−C〜Cアルキルであり、NHが1つの炭素に置換されており、異なる炭素にヒドロキシが置換されている請求項1〜6のいずれか1つの化合物。
【請求項9】
〜Cアルキルは、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル又はt−ブチルからなる群から選択され、C〜Cアルキルは、F、Cl又はBrからなる群から選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
化合物が以下によって表される請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物。

【請求項11】
式IIによって表される化合物及びそれらの薬学的に許容される塩、立体異性体及びN−酸化物。

式中、
は、水素、ヒドロキシ、-S(O)−C〜Cアルキル、−SO、C〜Cアルキル、R又は

から選択され、
Xは、CH又はNであり;
及びR’は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、C〜Cアルキル、アミド、アミン又はC〜Cアルケニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、H、R、−S(O)、S(O)−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、ヒドロキシ又はフェニルからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケニル、シアノ、アミノ、フェニル及びヒドロキシからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい;
は、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケニル、シアノ、アミノ、フェニル及びヒドロキシからなる群から選択され、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びフェニルはRaから選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい;
は、−C(O)−C〜Cアルキル又はC(O)−O−C〜Cアルキルから選択され、C〜CアルキルはRbから選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい;あるいは、
及びRは、式IIと一緒になって、

は、H、−C(O)−C〜Cアルキル又はC(O)−O−C〜Cアルキルから選択され、C〜CアルキルはRaから選択される1、2又は3つの置換基で置換されていてもよい;
Raは、それぞれ独立して、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、フェニル、C〜Cアルキル及C〜Cアルコキシから選択され、
Rbは、それぞれ独立して、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、フェニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ及び−NH−Rから選択され、
は、それぞれ独立して、−C(O)−O−C〜Cアルキル及びC(O)−C〜Cアルキルから選択される。
【請求項12】
基は、以下からなる群から選択される請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。

【請求項13】
以下の式によって表される請求項1の化合物。

【請求項14】
化合物が、以下からなる群から選択される請求項1の化合物。

又は

【請求項15】
100nM〜1μMの濃度で、海馬CAlピラミッド状ニューロンにおいて増強されたシングルショック誘導NMDAレセプター依存性シングルニューロンコンダクタンス(INMDA)を生じさせることができる請求項1〜14のいずれか1つの化合物。
【請求項16】
以下の群から選択される非ペプチジル化合物及びそれらの薬学的に許容される塩、立体異性体及びN−酸化物。





【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1つの化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む認知障害の治療方法。
【請求項18】
認知障害は、記憶損失又は学習障害と関連する請求項17の方法。
【請求項19】
化合物が以下の化合物である請求項19の方法。

【請求項20】
化合物を経口投与する請求項19の方法。
【請求項21】
請求項1〜16のいずれかの化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む薬学的に許容される組成物。
【請求項22】
化合物が患者に対して経口投与するのに適する請求項21の組成物。
【請求項23】
請求項1〜16のいずれか1つの化合物の有効量を投与することを含む、それらを必要とする神経性疼痛を治療する方法。
【請求項24】
請求項1〜16のいずれか1つの化合物の有効量を投与することを含む、それらを必要とする患者における抑鬱症{よくうつしょう}、強迫性障害又は精神分裂症を治療する方法。
【請求項25】
請求項1〜16のいずれか1つの化合物の有効量を投与することを含む、それらを必要とする患者における外傷後ストレス障害、アルコール依存症障害又は習慣性薬物中毒を治療する方法。
【請求項26】
以下で表される化合物及びそれらの薬学的に許容される塩、立体異性体及びN−酸化物。

【請求項27】
請求項26の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−503008(P2012−503008A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527977(P2011−527977)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/057401
【国際公開番号】WO2010/033757
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(511069921)ノーレックス,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】NAUREX,INC.
【住所又は居所原語表記】6636 Antelope CR,Indianapolis,IN 46278
【Fターム(参考)】