説明

OAS1遺伝子内の突然変異

非ヒト霊長類におけるOAS1タンパク質の改変アミノ酸配列、及びそれに関連する遺伝子を提供する。本発明は特に、オリゴアデニレートシンセターゼ遺伝子(OAS1)の突然変異を同定するためのヒト遺伝的スクリーニング方法であって、核酸試料中のOAS1突然変異を検出することを含み、、該突然変異は、コードされたOAS1タンパク質内に少なくとも1つのアミノ酸改変をもたらす、方法を提供する。本発明はまた、Genbankアクセッション番号NP_002525.1と相同なカルボキシル末端であるOAS1タンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むオリゴアデニレートシンセターゼ1タンパク質であって、該アミノ酸配列が363位にアミノ酸改変を有する、タンパク質を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
I.技術分野
本発明は、ヒト又は非ヒト霊長類のオリゴアデニレートシンセターゼ遺伝子内の突然変異を検出する方法、及び少なくとも1つのアミノ酸改変を有するOAS1タンパク質に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
今日までに、感染に対する自然抵抗性がヒト集団に存在する幾つかの疾患が同定されている。Alter and Moyer, J. Acquir. Immune Defic. Syndr. Hum Retrovirol. 18 Suppl. 1: S6−10 (1998)では、注射薬物使用者等の高リスク群において、90%ものC型肝炎ウイルス感染(HCV)率が報告されている。しかしながら、残りの10%が明らかに感染に対して抵抗性を有する機序は、文献で明らかにされていない。HCV感染において役割を果たすタンパク質には、2−プライム、5−プライムオリゴアデニレートシンセターゼが含まれる。OASは、そのアデノシンの2−プライム、5−プライムオリゴマー(2−5A)の合成を触媒する能力により特徴付けられる、インターフェロン誘導にタンパク質である。Hovanessian, et al., EMBO 6: 1273−1280 (1987)では、インターフェロン処理ヒト細胞が、40(OAS1)、46(OAS1)、69、及び100kDのタンパク質に相当する幾つかのOASを含むことが見出されている。Marie, et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 160:580−587 (1989)では、p69に対して高い特異性を有するポリクローナル抗体、69−kDOASが生成されている。Marie and Hovanessian, J. Biol. Chem. 267: 9933−9939 (1992)では、抗p69抗体を使用したインターフェロン処理ヒト細胞発現ライブラリーのスクリーニングにより、部分OAS2 cDNAが単離されている。又、部分cDNAを伴う更なるライブラリーがスクリーニングされ、2つのOAS2アイソフォームをコードするcDNAが回収されている。より小さいアイソフォームは、3−プライム未翻訳領域の長さが異なる2つのmRNAによりコードされている。
【0003】
ノーザンブロット分析により、OAS2がヒト細胞内で4つのインターフェロン誘導mRNAとして発現することが明らかにされている。予想されるOAS2タンパク質は、共通する683−アミノ酸配列と、異なる3−プライム末端を有する。in vitroでの転写/翻訳産物のSDS−PAGEによれば、2つのアイソフォームは、69及び71kDの分子量を有する。何れのアイソフォームもin vitroでOAS活性を示した。配列解析では、OAS2が、プロリンリッチな推定リンカー領域により分離される2つのOAS1相同ドメインを含むことが示されている。N及びC末端ドメインは、OAS1とそれぞれ41%及び53%同一である。
【0004】
非特許文献1では、蛍光in situハイブリダイゼーション及びマッピングされたクローンの包含により、OAS1、OAS2及びOAS3遺伝子が、12q24.2上の130−kb領域に密集していることが判明している。2−5Aは、RNアーゼIに結合してこれを活性化し、このRNアーゼIがウイルス及び細胞RNAを分解して、細胞タンパク質合成の阻害やウイルス複製の障害を招く。
【0005】
OASLと呼ばれる第四のヒトOAS遺伝子は、酵素活性を有さない点で、OAS1、OAS2及びOAS3とは異なる。OASL遺伝子は、ユビキチンのタンデム反復と相同の164アミノ酸C末端ドメインに縮合したOAS単位から構成される2ドメインタンパク質をコードする(非特許文献2;非特許文献3)。
【0006】
このようなウイルス複製及びウイルス感染を阻害する役割から、当該技術分野ではOAS1活性に関連するウイルス複製を抑制する方法及び組成物が必要とされており、特に、HCV複製を抑制する阻害剤ベースの治療法が必要とされている。
【非特許文献1】Hovanian, et al., Genomics 52: 267−277 (1998)
【非特許文献2】Eskildsen, et al., Nuc. Acids Res. 31 :3166−3173, 2003
【非特許文献3】Kakuta, et al., J. Interferon & Cytokine Res. 22:981−993, 2002
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、オリゴアデニレートシンセターゼ1遺伝子内の突然変異として特徴付けられる場合がある、C型肝炎抵抗性に関連する突然変異の検出に関する。
【0008】
一実施形態においては、遺伝的スクリーニング方法が想定される。この方法は、全オリゴアデニレートシンセターゼ1(OAS1)形態(配列番号1を含むがこれに限定されない)の1位、24位、25位、28位、31位、36位、47位、53位、54位、64位、69位、74位、104位、108位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、127位、130位、139位、142位、160位、161位、162位、166位、175位、179位、226位、242位、246位、248位、250位、254位、274位、279位、282位、284位、288位、289位、292位、295位、314位、315位、及び335位の1つ以上におけるアミノ酸改変の原因となるオリゴアデニレートシンセターゼ1遺伝子突然変異の存在に関して、ヒト又は非ヒト霊長類から単離した核酸試料を試験することからなる。
【0009】
更なる実施形態においては、遺伝的スクリーニング方法が想定される。この方法は、Genbankアクセッション番号NP_002525.1と相同のカルボキシル末端である全オリゴアデニレートシンセターゼ1形態(配列番号3を含むがこれに限定されない)の363位におけるアミノ酸改変の原因となるオリゴアデニレートシンセターゼ1遺伝子突然変異の存在に関して、ヒト又は非ヒト霊長類から単離した核酸試料を試験することからなる。
【0010】
尚更なる実施形態においては、遺伝的スクリーニング方法が想定される。この方法は、Genbankアクセッション番号NP_058132.1と相同のカルボキシル末端である全オリゴアデニレートシンセターゼ1形態(配列番号2を含むがこれに限定されない)のアミノ酸347位、350位、352位、353位、354位、356位、357位、361位、363位、364位、365位、369位、371位、373位、374位、375位、378位、379位、382位、388位、389位、又は394位の1つ以上におけるアミノ酸改変の原因となるオリゴアデニレートシンセターゼ1遺伝子突然変異の存在に関して、ヒト又は非ヒト霊長類から単離した核酸試料を試験することからなる。
【0011】
尚更なる実施形態においては、遺伝的スクリーニング方法が想定される。この方法は、Genbankアクセッション番号NP_001027581.1と相同のカルボキシル末端である全オリゴアデニレートシンセターゼ1形態(配列番号4を含むがこれに限定されない)のアミノ酸347位、361位、364位、372位、384位、385位、又は399位の1つ以上におけるアミノ酸改変の原因となるオリゴアデニレートシンセターゼ1遺伝子突然変異の存在に関して、ヒト又は非ヒト霊長類から単離した核酸試料を試験することからなる。
【0012】
更なる実施形態において、本発明は、全オリゴアデニレートシンセターゼ1(OAS1)形態(配列番号1を含むがこれに限定されない)の1位、24位、25位、28位、31位、36位、47位、53位、54位、64位、69位、74位、104位、108位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、127位、130位、139位、142位、160位、161位、162位、166位、175位、179位、226位、242位、246位、248位、250位、254位、274位、279位、282位、284位、288位、289位、292位、295位、314位、315位、及び335位に少なくとも1つのアミノ酸改変を有するタンパク質、並びにウイルス感染、好ましくはフラビウイルス感染、最も好ましくはC型肝炎感染に対する抵抗性の診断物を調製するための該タンパク質の使用を提供する。特定の実施形態において、診断物は抗体である。
【0013】
更なる実施形態において、本発明は、Genbankアクセッション番号NP_002525.1と相同のカルボキシル末端である全オリゴアデニレートシンセターゼ1形態(配列番号3を含むがこれに限定されない)の363位にアミノ酸改変を有するOAS1タンパク質、並びにウイルス感染、好ましくはフラビウイルス感染、最も好ましくはC型肝炎感染に対する抵抗性の診断物を調製するための該タンパク質の使用を提供する。特定の実施形態において、診断物は抗体である。
【0014】
更なる実施形態において、本発明は、Genbankアクセッション番号NP_058132.1と相同のカルボキシル末端である全オリゴアデニレートシンセターゼ1形態(配列番号2を含むがこれに限定されない)の347位、350位、352位、353位、354位、356位、357位、361位、363位、364位、365位、369位、371位、373位、374位、375位、378位、379位、382位、388位、389位、及び394位に少なくとも1つのアミノ酸改変を有するOAS1タンパク質、並びにウイルス感染、好ましくはフラビウイルス感染、最も好ましくはC型肝炎感染に対する抵抗性の診断物を調製するための該タンパク質の使用を提供する。特定の実施形態において、診断物は抗体である。
【0015】
尚更なる実施形態において、本発明は、Genbankアクセッション番号NP_001027581.1と相同のカルボキシル末端である全オリゴアデニレートシンセターゼ1形態(配列番号4を含むがこれに限定されない)の347位、361位、364位、372位、384位、385位、又は399位に少なくとも1つのアミノ酸改変を有するOAS1タンパク質、並びにウイルス感染、好ましくはフラビウイルス感染、最も好ましくはC型肝炎感染に対する抵抗性の診断物を調製するための該タンパク質の使用を提供する。特定の実施形態において、診断物は抗体である。
【0016】
尚更なる実施形態において、本発明は、ウイルス、好ましくはフラビウイルス、最も好ましくはC型肝炎ウイルスによる感染を予防又は阻止するための治療化合物であって、本発明に基づき少なくとも1つのアミノ酸改変を有するタンパク質である、治療化合物を提供する。他の実施形態において、治療化合物は、該タンパク質をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNA又はRNA)である。
【0017】
尚更なる実施形態において、本発明は、ウイルス、好ましくはフラビウイルス、最も好ましくはC型肝炎ウイルスによる感染を予防又は阻止するための治療化合物であって、開示される1つ以上のアミノ酸改変を有する、本発明のOAS1によりコードされるタンパク質である、治療化合物を提供する。
【0018】
尚更なる実施形態において、本発明は、ウイルス、好ましくはフラビウイルス、最も好ましくはC型肝炎ウイルスによる感染を予防又は阻止するための治療化合物であって、本発明の少なくとも1つの突然変異の有益な効果を模倣する、治療化合物を提供する。治療化合物は、小分子、タンパク質、ペプチド、DNA若しくはRNA分子、又は抗体であってもよい。
【0019】
尚更なる実施形態において、本発明は、癌、好ましくは前立腺癌を予防又は処置する治療化合物であって、本発明の少なくとも1つの突然変異を有するOAS1遺伝子でコードされるタンパク質である、治療化合物を提供する。他の実施形態において、治療化合物は、該タンパク質をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNA又はRNA)である。
【0020】
尚更なる実施形態において、本発明は、癌、好ましくは前立腺癌を予防又は処置する治療化合物であって、本発明の少なくとも1つのアミノ酸改変を有するOAS1タンパク質である、治療化合物を提供する。
【0021】
尚更なる実施形態において、本発明は、癌、好ましくは前立腺癌を予防又は処置する治療化合物であって、本発明の少なくとも1つの突然変異の有益な効果を模倣する、治療化合物を提供する。治療化合物は、小分子、タンパク質、ペプチド、DNA若しくはRNA、又は抗体であってもよい。
【0022】
更なる実施形態において、治療化合物は、OAS1又はタンパク質全体の少なくとも1つのサブ領域若しくはサブ機能の活性を阻害することができ、このような化合物は、OAS1ポリヌクレオチドに特異的に結合可能なアンチセンス分子、リボザイム、及びRNAi分子により、並びにOAS1タンパク質及びポリペプチドに特異的に結合可能な抗体及びフラグメントにより表される。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、OAS1の阻害剤を提供する。本発明の阻害剤には、アンチセンス分子、リボザイム、RNAi、抗体又は抗体フラグメント、タンパク質又はポリペプチド、及び小分子が含まれるが、これらに限定されない。代表的なアンチセンス分子は、本発明の少なくとも1つのアミノ酸改変を有するOAS1をコードするポリヌクレオチドの少なくとも10、15又は20個の連続したヌクレオチドを含むか、或いは本発明の少なくとも1つのアミノ酸改変を有するOAS1をコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする少なくとも10、15又は20個の連続したヌクレオチドを含む。
【0024】
尚更なる実施形態において、本発明のアミノ酸改変を有するOAS1ポリペプチドにより画定されたタンパク質領域に特異的に結合するOAS1の阻害剤が想定される。本発明の阻害剤には、抗体、抗体フラグメント、小分子、タンパク質、又はポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
尚更なる実施形態において、本発明の少なくとも1つのアミノ酸改変を有するOAS1タンパク質をコードするポリヌクレオチドに特異的に結合又はハイブリダイズする、アンチセンス又はRNAi分子を含むOAS1阻害剤が想定される。
【0026】
更なる実施形態においては、薬学的に許容される担体中に1種以上のOAS1阻害剤を含む組成物が提供される。
【0027】
更なる実施形態は、OAS1遺伝子発現又は生物学的活性を低下させる方法を提供する。
【0028】
更なる実施形態は、本発明により開示される少なくとも1つの突然変異を有するOAS1遺伝子の所定の形態の発現を特異的に増大又は低下させる方法を提供する。
【0029】
本発明は、少なくとも1つの改変ヌクレオシド間結合を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0030】
本発明は更に、ホスホロチオエート結合を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0031】
尚更に、本発明は、少なくとも1つの改変糖部分を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0032】
本発明は、2’−O−メチル糖部分である少なくとも1つの改変糖部分を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドも提供する。
【0033】
本発明は更に、少なくとも1つの改変核酸塩基を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0034】
尚更に、本発明は、5−メチルシトシンである改変核酸塩基を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0035】
本発明は又、キメラオリゴヌクレオチドであるアンチセンス化合物も提供する。
【0036】
本発明は、ヒト細胞又は組織におけるヒトOAS1の発現を阻害する方法であって、in vivoにて細胞又は組織を、ヒトOAS1をコードする核酸分子を標的とする8〜35ヌクレオチド長のアンチセンス化合物又はリボザイムと接触させて、OAS1の発現が阻害されるようにすることを含む、方法を提供する。
【0037】
本発明は更に、本発明に基づき少なくとも1つの突然変異を有することにより画定されるOAS1の特定の形態のin vivoにおける発現を、アンチセンス若しくはRNAi化合物又はリボザイムを使用して低下又は増大させる方法も提供する。
【0038】
本発明は更に、癌細胞の増殖を調節する方法であって、in vivoにて癌細胞を、ヒトOAS1をコードする核酸分子を標的とする8〜35ヌクレオチド長のアンチセンス化合物又はリボザイムと接触させて、ヒトOAS1の発現が阻害されるようにすることを含む、方法も提供する。
【0039】
尚更に、本発明は、OAS1ポリヌクレオチドの標的領域の同定も提供する。本発明は又、in situハイブリダイゼーションによりOAS1ポリヌクレオチドを同定するための標識プローブも提供する。
【0040】
本発明は、HCV感染を予防又は阻止する医薬品を調製するための、本発明に基づくOAS1阻害剤の使用を提供する。
【0041】
本発明は更に、OAS1阻害剤を、OAS1タンパク質の特定の領域、又はタンパク質の特定の機能に指向させることも提供する。
【0042】
本発明は又、生理学的に許容される担体又は希釈剤と混合して本発明に基づくアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、OAS1の発現を阻害する薬学的組成物を提供する。
【0043】
本発明は更に、OAS1 RNAを特異的に開裂可能なリボザイム、及び該リボザイムを含有する薬学的組成物も提供する。
【0044】
本発明は又、OAS1の活性を低下させるか、又はOAS1 mRNAの発現を低下させる若しくは防止することができる、OAS1の小分子阻害剤も提供する。
【0045】
本発明は更に、2’−5’オリゴアデニレートの合成を除いたタンパク質の特定の機能、例えばC型肝炎ウイルスNS5Aタンパク質のようなその他のタンパク質との相互作用を変更するOAS1の阻害剤も提供する。
【0046】
本発明は更に、グリコシル化及びリン酸化を含むがこれらに限定されない、OAS1の翻訳後改変を変更する化合物も提供する。
【0047】
本発明は更に、オリゴアデニレートシンセターゼ遺伝子突然変異を同定するヒト遺伝的スクリーニング方法であって、(a)増幅条件下で、ヒトのゲノムDNAの試料をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー対により処理して、本発明に基づくOAS1遺伝子の少なくとも1つの突然変異を含むヒトゲノムDNAの領域を増幅し、前記処理によって前記領域を含む増幅産物が生成される;及び(b)手順(a)の増幅産物中で、本発明のヌクレオチド位置におけるヌクレオチド突然変異の存在を検出することにより、前記突然変異を同定することを含む、方法も提供する。
【0048】
本発明は又、ヒトC型肝炎感染抵抗性疾患において、オリゴアデニレートシンセターゼ遺伝子(OAS1)の遺伝子によりコードされるOAS1タンパク質内の本発明のアミノ酸改変に対応するヌクレオチド位置における、野生型ヌクレオチドの非野生型ヌクレオチドによる置換を含む突然変異を含有する対立遺伝子を検出する方法であって、(a)PCR緩衝液中で、前記ヒトのゲノムDNAの試料をオリゴアデニレートシンセターゼ遺伝子に特異的なPCRプライマー対と混合することによって、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)混合物を形成し;(b)PCR混合物を複数回のPCRサーモサイクルに供してオリゴアデニレートシンセターゼ遺伝子増幅産物を生成し;(c)手順(b)で生成した産物を、前記突然変異を検出可能なプローブによりハイブリダイゼーション条件下で処理することを含む、方法にも関する。
【0049】
又、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、阻害的低分子RNA(RNAi)、タンパク質、ポリペプチド、抗体、及び小分子からなる群から選択される単離されたOAS1阻害剤も提供される。この単離された阻害剤は、本発明のアミノ酸置換に関連するOAS1遺伝子突然変異に対応するポリヌクレオチド配列の少なくとも15個の連続した核酸を含む、アンチセンス分子又はその相補体である場合がある。
【0050】
この単離されたOAS1阻害剤は、抗体及び抗体フラグメントからなる群から選択される場合がある。又、薬学的に許容される担体中に少なくとも一種のOAS1阻害剤の治療有効量を含有する組成物も提供される。
【0051】
本発明は又、哺乳動物細胞におけるOAS1の発現を阻害する方法であって、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、タンパク質、RNAi、ポリペプチド、抗体、及び小分子からなる群から選択されるOAS1阻害剤を該細胞に投与することを含む、方法も提供する。
【0052】
本発明は更に、対象におけるOAS1遺伝子の発現を阻害する方法であって、前記OAS1遺伝子由来の選択された標的核酸配列の全て又は一部に特異的にハイブリダイズするのに有効な量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、薬学的に有効なビヒクル中で、該対象に投与することを含む、方法にも関する。
【0053】
尚更に、本発明は、感染を受けやすいヒト対象においてフラビウイルスによる感染を予防する方法であって、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、RNAi、タンパク質、ポリペプチド、抗体、及び小分子からなる群から選択されるOAS1阻害剤を該ヒト対象に投与することを含み、、前記OAS1阻害剤が前記フラビウイルスによる感染を防止する、方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
発明の詳細な説明
本発明は、オリゴアデニレートシンセターゼ1遺伝子内の新規の突然変異、ウイルス感染に対する感受性又は抵抗性の診断のためのこれらの突然変異の使用、本発明に基づく突然変異を有する遺伝子によりコードされるタンパク質、並びにタンパク質、抗体、及び関連する核酸を使用したウイルス感染の予防又は阻止に関する。これらの突然変異は、フラビウイルス、特にC型肝炎ウイルスによる感染に対する担体の抵抗性と相関する。
【0055】
現在の医学研究の多くは、疾患の原因となる、又は疾患に寄与する突然変異及び欠損を同定することに焦点を当てている。このような研究は、疾患状態を目標とする化合物及び処置方法を誘導するように設計されている。人が感染病原体及びその他の危険因子に暴露されても健康なままでいられる遺伝子の影響を研究することは、これまであまり関心が持たれていなかった。本発明は、特定のヒト対象集団を確認及び分析して、疾患に対する抵抗性を付与する遺伝子異形又は突然変異を発見する、本発明者等が開発したプロセスの成功例を示している。特定の疾患又は生物学的病態に対して自然抵抗性を有する亜集団部分を同定することで、薬剤介入、診断的評価、又は予防接種等の予防に好適な標的である遺伝子及びタンパク質の同定が更に可能となる。
【0056】
亜集団部分は以前に同時係属出願第10/972,135号にて同定及び開示されており、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する反復する暴露にもかかわらず血清陰性のままであった個人を含んでいた一方、コホートは感染されていた(血清陽性)。試験した集団は、反復輸血を受けた血友病患者と、共有の針及び他の危険因子を介して暴露された静脈内薬物使用者とを含んでいた。
【0057】
本開示は、実施例1に記載の通り、非ヒト霊長類のOAS1遺伝子内で同定された突然変異を提供する。
【0058】
出願第10/972,135号には、HCV感染;定義;発明の実施様式;ポリヌクレオチド分析;ポリヌクレオチドプライマーの調製;ポリメラーゼ連鎖反応;核酸配列解析;膜固定化標的配列の検出;塩基置換検出のための走査技法;OAS1機能を回復及び/又は向上させる治療薬;OAS1機能を阻害するための治療薬;リボザイム;RNAi;タンパク質及びポリペプチド;小分子;OAS1阻害剤の効力を評価する方法;並びに薬学的組成物に関する開示が提供されている。出願第10/972,135号は、全体が参考として本明細書に組み入れられている。
【0059】
本発明のポリペプチドは、それらの天然の機能の一部として、送達ベクター又は発現ビヒクルの不在下で、細胞膜を通して形質導入して、それらの抗ウイルス効果を仲介することができる。塩基性の、正電荷を帯びたタンパク質の細胞形質導入の特性は以前に記載されており、当業者に周知である(Ryser and Hancock, Science. 1965 Oct 22;150(695):501−3)。
【0060】
ポリペプチドが溶液製剤として調製され、注入により投与される場合、溶液は、140ミリモルの塩化ナトリウム及び10ミリモルのカルシウムをpH7.4で含有する等張の塩溶液が好ましい。注入は、例えば治療有効量で、好ましくは投与経路、患者の健康等を考慮の上、一日約1μg/kg体重〜約5mg/kg体重の用量で投与される場合がある。
【0061】
本発明のポリペプチド(一種以上)は、好適な薬学的担体と組み合わせて使用される場合がある。このような組成物は、治療有効量のタンパク質、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含有する。それらの担体には、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストローズ、水、グリセリン、エタノール、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。製剤は、投与様式に適切である必要がある。
【0062】
本発明のポリペプチド(一種以上)は、ポリペプチド(一種以上)の活性、細胞分布、又は細胞取り込みを高めるように、ポリペプチドを1つ以上の部分に化学的に結合させるか、又はコンジュゲートすることにより改変することもできる。このような部分又はコンジュゲートには、例えば、米国特許第5,514,758号、米国特許第5,565,552号、米国特許第5,567,810号、米国特許第5,574,142号、米国特許第5,585,481号、米国特許第5,587,371号、米国特許第5,597,696号及び米国特許第5,958,773号に開示される通り、脂質(例えばコレステロール)、コール酸、チオエーテル、脂肪鎖、リン脂質及びその誘導体、ポリアミン、ポリエチレングリコール(PEG)、パルミチル部分等が含まれる。
【0063】
本発明のポリペプチドは、C型肝炎感染の場合は肝細胞を含むが、これらに限定されない、特定の疾患に関して特定の細胞型を標的とするように改変される場合がある。当業者が理解できる通り、標的目標を達成する好適な方法が記載されており、これらにはリポソーム標的指向化、受容体仲介のエンドサイトーシス、及び抗体−抗原結合が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、アシアロ糖タンパク質受容体は、ポリペプチド(一種以上)にガラクトース部分を付加することにより、肝細胞を標的とするのに使用される場合がある。別の一実施形態において、マンノース部分はポリペプチド(一種以上)にコンジュゲートされて、マクロファージ及び幹細胞上に見出されるマンノース受容体を標的とする場合がある。当業者が理解する通り、複数の送達及び標的方法が組み合わせられる場合がある。例えば、本発明のポリペプチド(一種以上)は、リポソーム内に封入されることにより肝細胞を標的とする場合があり、これらのリポソームは、ガラクトースにコンジュゲートしてアシアロ糖タンパク質受容体を標的とする。
【0064】
本発明は、本発明の薬学的組成物の1種以上の成分で満たした1つ以上の容器を含む医薬パック又はキットも提供する。このような容器(1つ又は複数)と関連して、製造業者、医薬又は生物学的製品の使用又は販売を規制する政府機関により規定された形態の警告を備えてもよく、これはヒト投与に関する製造業者、使用又は販売の政府機関による認可を示している。更に、本発明のポリペプチドは、他の治療化合物と共に使用してもよい。
【0065】
本発明ポリペプチド(一種以上)が医薬として使用される場合、それらは好適なビヒクル中で哺乳動物に付与されてもよい。本発明のポリペプチドが、上述したように医薬として使用される場合、これらは例えば、投与経路、患者の健康等を考慮して、一日約10μg/kg体重〜約10mg/kg体重の治療的有効用量で付与される。付与される量は、ウイルス、好ましくはフラビウイルス、最も好ましくはRSV及びHCVによる感染を防止又は阻止し、癌、炎症、糖尿病、又は他の疾患を予防又は処置するのに十分であることが好ましい。
【0066】
タンパク質、それらのフラグメント若しくは他の誘導体、又はそれらの類似体、又はそれらを発現する細胞は、免疫原として使用され、それの抗体を生成してもよい。これらの抗体は、例えば、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、一本鎖、Fabフラグメント、又はFab発現ライブラリーの生成物であってもよい。当該技術分野で周知の種々の手順を使用して、ポリクローナル抗体を生成してもよい。
【0067】
本発明のポリペプチド(一種以上)に対して生成された抗体遺伝子は、ポリペプチドを直接動物に注入するか、又はポリペプチドを動物、好ましくは非ヒト動物に投与することにより獲得してもよい。このように獲得した抗体を、次にポリペプチド自体に結合させる。この方法で、ポリペプチドのフラグメントのみをコードする配列でも、天然ポリペプチドの全てに結合する抗体の生成に使用してもよい。更に、このような多数のポリペプチドに特異的な抗体のパネルが使用されてもよい。
【0068】
モノクローナル抗体の調製には、連続的細胞株培養により生成される抗体を提供する任意の技法が使用されてもよい。例としては、ヒトモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマ技法(Kohler and Milstein, 1975, Nature, 256:495−597)、トリオーマ技法、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kozbor, et al., 1983, Immunology Today 4:72)、及びEBV−ハイブリドーマ技法 (Coe, et al., 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc. pp. 77−96)が含まれる。
【0069】
一本鎖抗体の生成に関して記載される記述は(米国特許第4,946,778号)、本発明の免疫原性ポリペプチドに対する一本鎖抗体の生成に適用してもよい。
【0070】
本発明のタンパク質配列の位置特定及び活性に関する方法、例えばタンパク質のイメージング、適切な生理学的試料中のタンパク質レベルの測定、及び同様物に、抗体を使用してもよい。
【0071】
本発明は、図1〜5のポリペプチドとは1〜34個のアミノ酸が異なるポリペプチドを提供し、このような相違には、置換、挿入、削除、改変アミノ酸又はアミノ酸誘導体の組み込み、及びポリペプチドのC末端又はN末端に対するアミノ酸の追加又は削除が含まれてもよい。本発明は、ウイルス感染、新生物、癌、糖尿病の処置、並びに細胞の増殖及び分化、並びに組織再生の促進を含むが、これらに限定されない、これらのポリペプチドの治療及び予防的使用を提供する。本発明は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び該ポリヌクレオチドのポリペプチド製造における使用、遺伝子療法としての使用、診断ツールとしての使用等を含むが、これらに限定されない使用を提供する。
【0072】
薬学的組成物
本発明は、活性成分としてのポリペプチドを含む、治療用途のための薬学的組成物を提供する。これらの組成物は、本発明の方法で使用されてもよい。一般的に、哺乳動物又は対象において、ウイルス感染、癌、新生物、炎症又は他の疾患を阻害する薬学的組成物は、本発明の実施に必要な、上述した有効量の少なくとも一種のポリペプチド、又は同一の効果を有することが示された該ポリペプチドのフラグメントと、薬学的、生理学的に許容される担体若しくは希釈剤とを含有する。本発明によれば、薬学的組成物は、複数の図1〜5のポリペプチドの組み合わせから構成されてもよい。薬学的組成物は更に、連続する分子内に1つ以上の図1〜5の改変を含む単一のポリペプチドから構成される場合もある。
【0073】
組成物は、経口、皮下、又は静脈内、動脈内、筋内、腹腔内、及び鼻腔内投与を含む非経口、並びに必要に応じてくも膜下腔内及び注入技法にて投与されてもよい。薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバント及びビヒクル、並びにインプラント担体は一般的に、本発明の活性成分と反応しない、不活性な、無毒の固体又は液体充填剤、希釈剤又は封入材を指す。ポリペプチド取り込みを促進するために、組成物中にカチオン性脂質を含んでもよい。化合物のインプラントも有用である。一般的に、薬学的組成物は無菌である。
【0074】
本発明は、例えば蛍光、化学発光又は放射性分子等の、検出可能な標識が結合したポリペプチドの組成物に関する。
【0075】
他の例は、公知の材料を使用して、公知の技法により調製される場合がある薬学的組成物であり、参考として本明細書に組み入れられているRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (1990, Mack Publishing Co., Easton, Pa. 18042) pp. 1435−1712を参照されたい。一般的に、製剤は、種々の要因、例えば投与、安定性、産生上の問題、及びその他の要因に依存するであろう。図1〜5のポリペプチドは、注入もより、又は吸入を介して経肺投与により投与されてもよい。腸溶性剤形も利用可能な場合があり、従って経口投与が有効な場合がある。本発明のポリペプチドは、送達のためにリポソーム又は他のマイクロ担体内に挿入されてもよいし、徐放用にゲル又は他の組成物中に調製されてもよい。好ましい組成物は、該組成物が属する用途に応じて変動するが、一般的に本発明のポリペプチドに関しては、好ましい薬学的組成物は、皮下注入又は吸入を介した経肺投与用に調製される。しかし、各投与タイプのための特定の製剤は、特定のポリペプチドの特徴に依存するであろう。
【0076】
本発明のポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートの治療的製剤は、通常、1種以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤を含有する組成物で投与される。それらの薬学的組成物は、それ自体公知の、保管上十分に安定した、又ヒト又は動物に対する投与に好適なポリペプチド医薬を形成する方法で調製される場合がある。
【0077】
本発明のポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートは、「それ自体」で、及び/又はその塩形態で使用されてもよい。好適な塩には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムとの塩、並びに例えば亜鉛塩が含まれるが、これらに限定されない。これらの塩又は複合体は、結晶及び/又は非晶質構造として存在する場合がある。
【0078】
「薬学的に許容される」とは、使用する用量及び濃度が、それを投与される患者に任意の有害な作用を起こさない担体又は賦形剤を意味する。このような薬学的に許容される担体及び賦形剤は、当該技術分野で周知である(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A. R. Gennaro, Ed., Mack Publishing Company (1990);Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins, S. Frokjaer and L. Hovgaard, Eds., Taylor & Francis (2000); and Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd edition, A. Kibbe, Ed., Pharmaceutical Press (2000)を参照)。
【0079】
本発明の組成物は、単独で、又は他の治療薬と共に投与される場合がある。例えば、リバビリン及びインターフェロンαは、組み合わせで使用された場合、HCV感染の処置に有効であることが示されている。それらの組み合わせにおける効力は、何れかの薬物製品が単独で使用された場合の効果を上回る。本発明の組成物は、単独で、又はインターフェロン、リバビリン、並びに/若しくはウイルス標的(ウイルスプロテアーゼ、ウイルスポリメラーゼ、ウイルス複製複合体アセンブリー)及び宿主標的(ウイルス処理に必要な宿主プロテアーゼ、ウイルス標的のリン酸化に必要な宿主キナーゼ、例えばNS5A、及びウイルスIRESの効率的な利用に必要な宿主因子の阻害剤)の両方に対して開発された種々の小分子との組み合わせで投与される場合がある。例えばIL−2、IL−12、IL−23、IL−27、又はIFN−γ等のサイトカインが共投与される場合がある。これらの薬剤は、同一の薬学的組成物の一部として組み込んでも、又は本発明のポリペプチド若しくはコンジュゲートとは別に、同時に若しくは他の処置計画に従って投与されてもよい。更に、本発明のポリペプチド、ポリペプチドコンジュゲート又は組成物は、その他の治療法のアジュバントとして使用される場合がある。
【0080】
本発明において「患者」には、ヒト及びその他の哺乳動物の両方が含まれる。従って、これらの方法は、ヒトの治療及び獣医学的用途の両方に適用される。
【0081】
本発明のポリペプチド又はコンジュゲートを含有する薬学的組成物は、種々の剤形に、例えば液剤、ゲル、凍結乾燥、又は圧縮固体として調製される場合がある。好ましい剤形は、処置される特定の適応症に依存し、当業者には明白であろう。
【0082】
本発明の製剤は、経口で、皮下に、静脈内に、脳内に、鼻腔内に、経皮で、腹腔内に、筋内に、肺内に、くも膜下腔内に、経膣で、経直腸で、眼内に、又はその他何れかの許容される方法を含むが、これらに限定されない種々の方法にて投与されてもよい。製剤は、注入により連続的に投与されてもよいが、例えばポンプ(例えば、皮下浸透圧ポンプ)又はインプラント等の当該技術分野で周知の技法を使用したボーラス注入も許容される。場合により、製剤は、液剤又はスプレーとして直接適用される場合がある。
【0083】
薬学的組成物の例は、非経口投与のために構成された液剤である。多くの場合、医薬液剤製剤は、迅速使用に適した液体形態で提供されるが、これらの非経口製剤は、凍結又は凍結乾燥形態で提供されてもよい。前者の場合、組成物は、使用前に解凍する必要がある。後者の形態は、凍結乾燥製剤が一般的にその液体の対応物と比較してより安定であるため、多くの場合、当業者が認識するように、より幅広い保管状態下で組成物中に含まれる活性化合物の安定性を高めるために使用される。このような凍結乾燥製剤は、使用前に、例えば無菌注射用蒸留水、又は無菌生理食塩水溶液等の、薬学的に許容される1種以上の好適な希釈剤の添加により再構成される。
【0084】
非経口製剤は、適宜、所望の純度を有するポリペプチドを、当該技術分野で一般的に使用されている1種以上の薬学的に許容される担体、賦形剤又は安定剤(その全ては「賦形剤」と称される)、例えば緩衝剤、安定化剤、保存剤、等張剤、非イオン性洗浄剤、酸化防止剤及び/又は他の種々の添加剤と混合することにより、凍結乾燥剤又は水溶液として保管されるよう調製される場合がある。
【0085】
緩衝剤は、生理学的状態に近い範囲のpHの維持を補助する。緩衝剤は一般的に、約2mM〜約50mMの範囲の濃度にて存在する。本発明と共に使用するのに好適な緩衝剤には、有機酸及び無機酸の両方、並びにそれらの塩、例えばクエン酸緩衝液(例えば、クエン酸一ナトリウム−クエン酸二ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸一ナトリウム混合物等)、コハク酸緩衝液(例えば、コハク酸−コハク酸一ナトリウム混合物、コハク酸−水酸化ナトリウム混合物、コハク酸−コハク酸二ナトリウム混合物等)、酒石酸緩衝液(例えば、酒石酸−酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸−酒石酸カリウム混合物、酒石酸−水酸化ナトリウム混合物等)、フマル酸緩衝液(例えば、フマル酸−フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸−フマル酸二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム−フマル酸二ナトリウム混合物等)、グルコン酸緩衝液(例えば、グルコン酸−グルコン酸ナトリウム混合物、グルコン酸−水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸−グルコン酸カリウム混合物等)、シュウ酸緩衝液(例えば、シュウ酸−シュウ酸ナトリウム混合物、シュウ酸−水酸化ナトリウム混合物、シュウ酸−シュウ酸カリウム混合物等)、乳酸緩衝液(例えば、乳酸−乳酸ナトリウム混合物、乳酸−水酸化ナトリウム混合物、乳酸−乳酸カリウム混合物等)、及び酢酸緩衝液(例えば、酢酸−酢酸ナトリウム混合物、酢酸−水酸化ナトリウム混合物等)が含まれる。更なる可能性としては、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、及びトリス等のトリメチルアミン塩がある。
【0086】
保存剤は、微生物増殖を遅延させるために添加され、一般的に約0.2%〜l%(w/v)の量で添加される。本発明と共に使用するのに好適な保存剤には、フェノール、ベンジルアルコール、メタクレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ハロゲン化ベンズアルコニウム(例えば、塩化、臭化又はヨウ化ベンズアルコニウム)、塩化ヘキサメトニウム、アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール及び3−ペンタノールが含まれる。
【0087】
等張剤(isotonicifiers)は、液体組成物の等張性を確保するために添加され、これには、多価糖アルコール、好ましくは三価又はそれ以上の糖アルコール、例えばグリセリン、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトールが含まれる。多価アルコールは、他の成分の相対量を考慮の上、0.1重量%〜25重量%、一般的に1%〜5%の量で存在してもよい。
【0088】
安定剤は、その機能において、増量剤から、治療薬を可溶化する、又は変性若しくは容器壁に対する付着を防止する補助をする添加剤までの範囲にわたる賦形剤の広いカテゴリーを指す。代表的な安定剤は、多価糖アルコール(上記に列挙した);例えばアルギニン、リシン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン等のアミノ酸、例えばイノシトール等のシクリトールを含む、例えば乳糖、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイニシトール(myoinisitol)、ガラクチトール、グリセロール及び同様物等の有機糖又は糖アルコール;ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー;例えば尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α−モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウム等の含硫黄還元剤;低分子量ポリペプチド(即ち、<10残基);例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタンパク質;例えばポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;例えばキシロース、マンノース、果糖及びブドウ糖等の単糖類;例えば乳糖、麦芽糖及びショ糖等の二糖類;例えばラフィノース等の三糖類、並びに例えばデキストラン等の多糖類であってもよい。安定剤は、通常、活性タンパク質の重量に基づき0.1〜10、000重量部の範囲内で存在する。
【0089】
(「湿潤剤」としても既知の)非イオン性界面活性剤又は洗浄剤は、治療薬の可溶化を補助し、治療ポリペプチドを撹拌により誘導される凝集から保護するために、並びにポリペプチドを変性させずに製剤をせん断表面応力に暴露することを可能にするために存在する場合がある。好適な非イオン性界面活性剤には、ポリソルベート(20、80等)、ポリオキシマー(polyoxamer)(184、188等)、プルロニック(登録商標)ポリオール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(Tween(登録商標)−20、Tween(登録商標)−80等)が含まれる。
【0090】
更なる種々の賦形剤には、増量剤又は充填剤等(例えば、澱粉)、キレート化剤(例えば、EDTA)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)及び共溶媒が含まれる。
【0091】
活性成分は、例えばコアセルベーッション技法又は界面重合により調製された、例えばヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン又はポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル等のマイクロカプセル内に、コロイド状薬物送達系(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)内に、又はマクロエマルジョン内に封入されてもよい。このような技法については、Remington’s Pharmaceutical Sciences(前掲)に開示される。
【0092】
本発明の一態様において、組成物は、例えば水性組成物等の液体組成物であり、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体を含む。
【0093】
in vivoでの投与用に使用される非経口製剤は、無菌でなければならない。これは、例えば無菌濾過膜を介した濾過により容易に達成することができる。
【0094】
徐放製剤の好適な例には、ポリペプチド又はコンジュゲートを含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが含まれ、該マトリックスは、フィルム又はマイクロカプセル等の好適な形態を有する。徐放マトリックスの例には、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸、L−グルタミン酸とL−グルタミン酸エチルのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えばProLease(登録商標)テクノロジー又はLupron Depot(登録商標)(乳酸−グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射用マイクロスフェア)、並びにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。例えばエチレン−酢酸ビニル及び乳酸−グリコール酸等のポリマーが、分子を100日間まで又はそれ以上の長期間放出できる一方、あるハイドロゲルは、タンパク質をより短期間放出する。封入したポリペプチドが体内に長時間残留する場合、ポリペプチドは、37℃で水分に暴露される結果、変性又は凝集し、その結果生物学的活性を損失し、又免疫原性に変化が起こる場合がある。関与する機序に応じて合理的な戦略を考案してもよい。例えば、凝集機序がチオ−ジスルフィド交換を介した分子内S−S結合形成であると見出された場合、スルフヒドリル残基の改変、酸性溶液からの凍結乾燥、含水率の制御、適切な添加剤の使用、及び特定のポリマーマトリックス組成物の開発により、安定化が達成されてもよい。
【0095】
本発明の実施に、ペプチド及びペプチドコンジュゲートの経口投与が意図される。経口投与に関して、薬学的組成物は固体又は液体形態、例えばカプセル剤、錠剤、縣濁剤、乳剤又は液剤の剤形であってもよい。薬学的組成物は、好ましくは、所定量の活性成分を含有する用量単位の形態で形成される。ヒト又はその他の哺乳動物のための好適な一日用量は、患者の状態及びその他の要素に応じて大きく異なる場合があるが、当業者が日常的な方法を使用して決定することができる。
【0096】
経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、坐剤、散剤及び顆粒を含む場合がある。これらの固体剤形において、活性化合物は、少なくとも一種の不活性希釈剤、例えばショ糖、乳糖、又は澱粉と混合される場合がある。このような剤形は、通常実施されている通り、更なる物質、例えば滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムを含む場合もある。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、剤形は、緩衝剤を含む場合もある。錠剤及び丸剤は、更に腸溶コーティングと共に調製されてもよい。
【0097】
ポリペプチド又はコンジュゲートは、例えば乳糖、ショ糖、澱粉粉末、アルカン酸のセルロースエステル、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸及び硫酸のナトリウム塩及びカルシウム塩、アカシア、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリジン、及び/又はポリビニルアルコール等のアジュバントと共に混合され、従来の投与のために錠剤化又はカプセル化される場合がある。或いは、これらは、生理食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、油(例えばトウモロコシ油、ラッカセイ油、綿実油若しくはゴマ油)、トラガカントゴム、及び/又は種々の緩衝液中に溶解される場合もある。その他のアジュバント及び投与様式は、医薬技術分野で周知である。担体又は希釈剤は、例えばモノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の時間遅延材料を、単独で若しくはロウと共に、又は当該技術分野で周知の他の材料と共に含む場合がある。
【0098】
薬学的組成物は、例えば滅菌等の従来の医薬手術を受ける、及び/又は従来のアジュバント、例えば本発明者等の他の箇所で開示される保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤、充填剤等を含有する場合がある。
【0099】
経口投与用の液体剤形には、当該技術分野で通常使用されている不活性希釈剤、例えば水を含有する、薬学的に許容される乳剤、液剤、縣濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤が含まれる場合がある。このような組成物は、例えば湿潤剤、甘味剤、矯味矯臭剤、及び香料等のアジュバントを含む場合もある。
【0100】
本発明の一部として、経肺投与に好適な製剤が意図される。ジェット又は超音波の何れかの噴霧器と共に使用するのに適した製剤は、通常、溶液1mL当たり約0.01〜25mg、好ましくは約0.1〜10mgの濃度で水に溶解したポリペプチド又はコンジュゲートを含有するであろう。製剤は緩衝液及び単糖(例えば、タンパク質安定化及び浸透圧の調整のため)、並びに/又はヒト血清アルブミンを、濃度0.1〜10mg/mlの範囲で含む場合もある。使用される場合がある緩衝液の例には、酢酸ナトリウム、クエン酸塩及びグリシンがある。緩衝液は、溶液のpHを3〜9の範囲内に調整するのに好適な組成及びモル濃度を有することが好ましいであろう。一般的に、本目的には、1mM〜50mMの緩衝液モル濃度が適切である。使用される場合がある糖の例には、通常製剤の1重量%〜10重量%の範囲の量の乳糖、麦芽糖、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、及びキシロースがある。
【0101】
噴霧器製剤は又、エアゾル形成の際の溶液の噴霧により生じるタンパク質の表面誘導凝集を低減又は防止するために、界面活性剤を含有する場合がある。例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル及びアルコール、並びにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の、従来の種々の界面活性剤を使用することができる。量は一般的に、製剤の0.001重量%〜4重量%の範囲にわたるであろう。本発明の目的において、特に好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタンである。
【0102】
本発明の液体粒子の好適な分散を生成する特定の製剤及び方法は、参考として本明細書に組み入れられているWO94/20069、米国特許第5,915,378号、米国特許第5,960,792号、米国特許第5,957,124号、米国特許第5,934,272号、米国特許第5,915,378号、米国特許第5,855,564号、米国特許第5,826,570号及び米国特許第5,522,385号に記載される。
【0103】
定量吸入器と共に使用される製剤は、一般的に微粉を含むであろう。この粉末は、液体コンジュゲート製剤を凍結乾燥した後、摩砕することによって産生される場合があり、又、例えばヒト血清アルブミン(HSA)等の安定剤も含有する場合がある。通常、0.5%(w/w)を超えるHASが添加される。更に、必要に応じて、製剤に1種以上の糖又は糖アルコールが添加される場合がある。その例には、乳糖、麦芽糖、マンニトール、ソルビトール、ソルビトース、トレハロース、キシリトール、及びキシロースが含まれる。製剤に添加される量は、存在するコンジュゲートの約0.01〜200%(w/w)、好ましくは約1〜50%の範囲にわたってもよい。この製剤は、次に凍結乾燥され、所望の粒径に摩砕される。
【0104】
適切な粒径にされた粒子を、次に、界面活性剤の補助により噴射剤中に浮遊させる。噴射剤は、この目的のために使用される任意の従来の材料、例えばクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、又はトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタノール、及び1、1、1、2−テトラフルオロエタンを含むハイドロカーボン、又はそれらの組み合わせであってもよい。適切な界面活性剤には、トリオレイン酸ソルビタン及び大豆レシチンが含まれる。オレイン酸も又界面活性剤として有用な場合がある。次に、この混合物を送達デバイスに投入する。本発明における使用に適した市販の定量吸入器の例は、Glaxo Inc.(米国ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク)製のVentolin定量吸入器である。
【0105】
粉末吸入器用の製剤は、ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートを含有する乾燥微粉を含み、例えば乳糖、ソルビトール、ショ糖、又はマンニトール等の増量剤も、吸入器からの粉末の分散を促進する量で、例えば製剤の50重量%〜90重量%含む場合もある。粉末の粒子は、密度約1g/cmの粒子に対応する肺内での空気力学的特性を有し、10μm未満、好ましくは0.5〜5μm、最も好ましくは1.5〜3.5μmの平均粒径を有する必要がある。本明細書の教示に従った使用に適した粉末吸入器の例は、Fisons Corp.(米国マサチューセッツ州ベッドフォード)製のSpinhaler粉末吸入器である。これらの吸入器用の粉末は、米国特許第5,997,848号、米国特許第5,993,783号、米国特許第5,985,248号、米国特許第5,976,574号、米国特許第5,922,354号、米国特許第5,785,049号及び米国特許第5,654,007号に開示される方法により生成及び/又は送達される場合がある。
【0106】
治療製品の経肺送達用に設計された機械装置には、噴霧器、定量吸入器、及び粉末吸入器が含まれるが、これらに限定されず、これらは全て当業者に周知である。本発明の実施に好適な市販の装置の特定の例には、Mallinckrodt, Inc.(米国ミズーリ州セントルイス)製のUltravent噴霧器;Marquest Medical Products(米国コロラド州イングルウッド)製のAcorn II噴霧器;Glaxo Inc.(米国ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク)製のVentolin定量吸入器;Fisons Corp.(米国マサチューセッツ州ベッドフォード)製のSpinhaler粉末吸入器、Nektar Therapeutics, Inc.(米国カリフォルニア州サンカルロス)の“standing cloud”装置;Alkermes(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)製のAIR吸入器;及びAradigm Corporation(米国カリフォルニア州ヘイワード)製のAERx経肺薬物送達系がある。
【0107】
本発明は又、本発明のポリペプチド、コンジュゲート、ポリヌクレオチド、発現ベクター、細胞、方法、組成物、及び系、並びに装置を含むキットも提供する。本発明のキットは、場合により、本発明の以下の少なくとも1つを含む:(1)本明細書に記載の器具、システム、システム構成部品、又は器具の構成部品;(2)本発明のポリペプチド若しくはコンジュゲート又はポリヌクレオチド;本発明のポリペプチドをコードするプラスミド発現ベクター;本発明のポリペプチドを発現する細胞を含む少なくとも1つのキット構成部品;又はそれらの任意の構成部品の少なくとも1つを含有する組成物;(3)治療又は予防方法を含む、本明細書に記載の任意の方法を実施するための指示書、(2)に同定された任意の構成部品若しくはそれらの任意の構成部品の任意の組成物の使用指示書;及び/又は本明細書に記載の任意の装置、システム若しくは構成部品を操作するための指示書;(4)前記それらの構成部品又は組成物の少なくとも1つを保持する容器、並びに(5)包装材料。
【0108】
更なる態様において、本発明は、本明細書に記載の任意の方法若しくは試験の実施のための、上記及び本明細書に記載の任意の装置、構成部品、組成物、若しくはキットの使用、及び/又は本発明に記載する任意の試験若しくは方法を実施するための任意の装置、構成部品、組成物、若しくはキットの使用を提供する。
【0109】
化学的改変、コンジュゲート、及び融合
本発明の任意のポリペプチドは、例えば、ポリペプチドの安定化又は検出若しくは精製のために、1つ以上のドメイン又はサブ配列の付加により生じる、より大きいポリペプチド配列、例えば融合タンパク質の一部として存在する場合がある。ポリペプチド精製サブ配列には、例えばエピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列、GST融合物、又はその他何れかの検出/精製サブ配列、又は当該技術分野で周知の「タグ」が含まれる場合がある。これらの追加のドメイン又はサブ配列は、本発明のポリペプチドの活性上に殆ど又は全く影響せず、又は合成後プロセシング手順、例えばプロテアーゼによる処理、インテリンの包含、又は同様物により除去されてもよい。
【0110】
本発明は、Ig分子、例えばヒトIgG Fc(「フラグメント結晶可能」又はフラグメント補体結合)ヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインに縮合した、例えば本明細書に記載した本発明のポリペプチドを含有する融合タンパク質、並びにこのような融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。Fcは、細胞の抗体受容体及び補体のC1q成分に対する結合に関与する抗体の部分である。これらの融合タンパク質及びそれらのコード核酸は、予防及び/若しくは治療薬又は診断ツールとして有用である(例えばChallita−Eid, P., et al. (1998) J. Immunol 160:3419−3426; Sturmhoefel, K., et al. (1999) Cancer Res 59:4964−4972も参照)。本発明は、例えば米国特許第5,876,969号に記載の通り、アルブミン分子、例えばヒト血清アルブミン(HSA)に縮合した本発明ポリペプチドを含む融合タンパク質、及び融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列も含む。Ig及びアルブミン融合タンパク質は、ポリペプチド血清半減期及び/又はin vivoでの機能的半減期の延長、ポリペプチド抗原性の低下、ポリペプチド保管安定性の増大、又はバイオアベイラビリティ、例えばAUCSCの上昇を示し、従って予防及び/又は治療薬として有用な場合がある。
【0111】
本発明の全ポリペプチドは、細胞膜を通して形質導入し、細胞内で治療的機能を達成する固有の能力を有する。従って、本発明は、その他何れかの分子の細胞透過性又は形質導入性を向上させるための、本発明のポリペプチドの使用を提供する。本発明は更に、その他何れかの分子の細胞透過性を向上させるための、本発明のポリペプチドの任意のフラグメント又はサブフラグメントの使用を提供し、このようなフラグメント又はサブフラグメントは、約5アミノ酸長、約10アミノ酸長、例えば15アミノ酸長、例えば約20アミノ酸長、約25アミノ酸長、約30アミノ酸長、例えば35アミノ酸長、約35〜50アミノ酸長、約50〜100アミノ酸長、例えば75アミノ酸長、例えば100〜125アミノ酸長である。
【0112】
本発明の任意のポリペプチドは、1つ以上の改変アミノ酸を含んでもよい。改変アミノ酸は、例えばグリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分にコンジュゲートしたアミノ酸、又は有機誘導体化剤にコンジュゲートしたアミノ酸であってもよい。改変アミノ酸の存在は、例えば、(a)ポリペプチド血清半減期及び/又はin vivoでの機能的半減期の延長、(b)ポリペプチド抗原性の低下、(c)ポリペプチド保管安定性の増大、又は(d)バイオアベイラビリティ、例えばAUCSCの上昇に有利であってもよい。アミノ酸(1つ又は複数)は、例えば、組み換え体生成中(例えば、哺乳動物細胞における発現中、N−X−S/TモチーフにおけるN−結合グリコシル化)に同時翻訳的に、若しくは翻訳後に改変され、又は合成手段により改変される。
【0113】
「コンジュゲート」(又は交換可能に「ポリペプチドコンジュゲート)若しくは「コンジュゲートしたポリペプチド」)という用語は、1つ以上の本発明のポリペプチドが、1つ以上の非ポリペプチド部分に共有結合して形成された、異種起源(複合体の意味において)の分子を示すことを意図する。「共有結合」という用語は、ポリペプチド及び非ポリペプチド部分が、互いに直接共有結合的に連結され、又はさもなくば例えばブリッジ、スペーサー若しくは結合部分(1つ以上)等の介在部分(1つ以上)を介して、互いに間接的に共有結合的に連結されることを意味する。コンジュゲートしたポリペプチドは、関連する濃度及び条件で可溶な、即ち、例えば血液のような生理的流体中に可溶であることが好ましい。本発明のコンジュゲートしたポリペプチドの例には、グリコシル化及び/又はPEG化ポリペプチドが含まれる。「コンジュゲートしていないポリペプチド」という用語は、コンジュゲートしたポリペプチドのポリペプチド部分を指す際に使用される場合がある。
【0114】
「非ポリペプチド部分」という用語は、ポリペプチドの結合基にコンジュゲートできる分子を意味するものとして意図とされる。非ポリペプチド部分の好ましい例には、ポリマー分子、糖部分、脂溶性化合物、又は有機誘導体化剤、特にポリマー分子又は糖部分が含まれる。非ポリペプチド部分は、ポリペプチドの結合基を介してポリペプチドに結合することを理解するであろう。ポリペプチドに結合した非ポリペプチド部分、例えばポリマー分子(1つ又は複数)の数が明白に指定される以外は、ポリペプチドに結合した「非ポリペプチド部分」の全引用、又は本発明に別様に使用される「非ポリペプチド部分」は、ポリペプチドに結合した1つ以上の非ポリペプチド部分を指すものとする。
【0115】
「ポリマー分子」という用語は、複数のモノマーの共有結合により形成された分子として定義され、ここでモノマーの何れもアミノ酸残基ではない。「ポリマー」という用語は、「ポリマー分子」という用語と交換可能に使用される場合がある。
【0116】
「糖部分」という用語は、in vivoで又はin vitroでのグリコシル化、例えばN−又はO−グリコシル化により結合された糖分子を示すことを意図する。「N−グリコシル化部位」は、配列N−X−S/T/Cを有し、ここでXは、プロリンを除く任意のアミノ酸残基であり、Nは、アスパラギンであり、S/T/Cは、セリン、スレオニン又はシステインの何れか、好ましくはセリン又はスレオニン、最も好ましくはスレオニンである。「O−グリコシル化部位」は、セリン又はスレオニン残基のOH基を含む。
【0117】
「結合基」という用語は、関連する非ポリペプチド部分、例えばポリマー分子又は糖部分に結合できるアミノ酸残基の基を示すことを意図する。
【0118】
in vivoでのN−グリコシル化に関して、「結合基」という用語は、N−グリコシル化部位を構成するアミノ酸残基を指すために、従来とは異なるように使用される(配列N−X−S/T/Cを伴う、ここでXは、プロリンを除く任意のアミノ酸残基であり、Nはアスパラギンであり、S/T/Cは、セリン、スレオニン又はシステインの何れか、好ましくはセリン又はスレオニン、最も好ましくはスレオニンである)。N−グリコシル化部位のアスパラギン残基は、グリコシル化中に糖部分が結合する残基であるが、このような結合は、他方のアミノ酸残基にN−グリコシル化部位が存在しない限り達成することができない。従って、非ポリペプチド部分が糖部分で、コンジュゲーションがN−グリコシル化により達成される場合、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列の変更に関連して使用される「非ポリペプチド部分のための結合基を含むアミノ酸残基」という用語は、N−グリコシル化部位を構成する1つ、二つ又は全てのアミノ酸残基が、機能的N−グリコシル化部位のアミノ酸配列への導入、該配列からの除去、又は機能的N−グリコシル化部位のアミノ酸配列内での保持(例えば、既にN−グリコシル化部位の一部を構成するセリン残基の、スレオニン残基との置換により、又はその逆)の何れかにより変更されると理解される。
【0119】
「導入する」(即ち、「導入した」アミノ酸残基、アミノ酸残基の「導入」)」という用語は主に、存在するアミノ酸残基を他のアミノ酸残基と置換することを意味するものとして意図されるが、更なるアミノ酸残基を挿入することを意味する場合もある。
【0120】
「除去する」(即ち、「除去した」アミノ酸残基、アミノ酸残基の「除去」)」という用語は、主に、除去するアミノ酸残基を他のアミノ酸残基で置換する意味を意図するものとして意図されるが、除去するアミノ酸残基の削除(置換することなく)を意味する場合もある。
【0121】
「非ポリペプチド部分のための結合基を含むアミノ酸残基」は、それに対して非ポリペプチド部分が結合する(導入したアミノ酸残基の場合)又は結合したであろう(除去したアミノ酸残基の場合)アミノ酸残基を示すことを意図する。
【0122】
「in vivoでの機能的半減期」という用語は、その通常の意味にて使用され、即ちポリペプチドの生物学的活性の50%が、身体/標的器官内に尚存在する時間、又はポリペプチドの活性が、最初の値の50%となった時間である。in vivoでの機能的半減期は、実験動物、例えばラット、マウス、ウサギ、イヌ又はサルにて測定される場合がある。in vivoでの機能的半減期は、非ヒト霊長類、例えばサルで測定することが好ましい。更に、in vivoでの機能的半減期は、静脈内又は皮下投与された試料に関して測定される場合がある。
【0123】
in vivoでの機能的半減期を測定する代わりに、「血清半減期」、即ちポリペプチドの50%が、排除される前に血漿又は血流内で循環する時間を測定される場合がある。血清半減期の測定は、多くの場合、in vivoでの機能的半減期の測定と比較してより単純であり、血清半減期の大きさは、通常、in vivoでの機能的半減期の大きさの良好な指標となる。或いは、「血清半減期」という用語には、「血漿半減期」、「循環半減期」、「血清クリアランス」、「血漿クリアランス」及び「クリアランス半減期」が含まれる。
【0124】
ポリヌクレオチド及び変異誘発の方法
本発明は、本発明のポリペプチドをコードする核酸及びポリヌクレオチドを含む。本発明は、1つ以上の本発明の任意のポリヌクレオチドを、制限エンドヌクレアーゼ、RNアーゼ、又はDNアーゼで消化することにより(例えば、本明細書の他の箇所で所定の組み換え形式にて実施されるように)生成される組成物;及び機械的手段(例えば、超音波、ボルテックス、及び同様物)を使用して、本発明のポリヌクレオチドの1つ以上をフラグメントにする又はせん断することにより生成される組成物を含み、これは本明細書に記載の方法にて組み換え用の基質の提供に使用してもよい。本発明は、少なくとも1つの任意の本発明のポリヌクレオチドを開裂することにより生成される組成物も提供する。開裂は、機械的、化学的、又は酵素的開裂を含む場合があり;酵素的開裂は、制限エンドヌクレアーゼ、RNアーゼ、又はDNアーゼを使用した開裂を含む場合がある。
【0125】
本発明は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチド三リン酸及び核酸ポリメラーゼの存在下、1つ以上のフラグメント化された本発明のポリヌクレオチドをインキュベートすることからなる方法により生成した組成物も含む。これは、上記した多数の組み換え形式のための組み換え混合物の組成物形態を生じさせる。核酸ポリメラーゼは、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、又はRNA−指向DNAポリメラーゼ(例えば、「逆転写酵素」)であってもよい;ポリメラーゼは、例えば熱安定性のDNAポリメラーゼ(例えば、VENT、TAQ、又は同様物)であってもよい。
【0126】
同様に、複数の本発明の核酸に対応するオリゴヌクレオチドのセットを含む組成物は、組み換え基質として有用であり、本発明の特徴である。利便性のため、これらのフラグメント化、せん断、又はオリゴヌクレオチド合成混合物を、フラグメント化核酸セットと称する。
【0127】
本発明は、少なくとも1つの本発明のポリヌクレオチドに変異導入し又は該ポリヌクレオチドを組み換えて生成したポリペプチドをコードする、単離された又は組み換え核酸も提供する。
【0128】
本発明のポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、及び核酸フラグメントは、公知の合成方法に従った標準的な固相方法により調製されてもよい。一般的に、約100塩基までのフラグメントを個別に合成した後、(例えば、酵素的若しくは化学的連結方法、又はポリメラーゼ仲介による組み換え方法により)連結して、基本的に任意の所望の連続配列を形成する。例えば、本発明のポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドは、例えば一般的に自動化合成法で実施されているように、例えばBeaucage, et al. (1981) Tetrahedron Letters 22:1859− 69に記載される古典的なホスホロアミダイト方法、又はMatthes, et al. (1984) EMBO J 3:801−05に記載される方法を使用して、化学合成により調製してもよい。ホスホロアミダイト方法によれば、オリゴヌクレオチドは、例えば自動化DNA合成機内で合成され、精製され、アニールされ、適切なベクター内に連結及びクローン化される。
【0129】
更に、基本的に任意のポリヌクレオチドは、多数の任意の種々の商業源、例えばOperon Technologies Inc.(米国カリフォルニア州アラメダ)及びその他多数から特注してもよい。同様に、ペプチド及び抗体は、任意の種々の供給源、例えばCeltek Peptides(米国テネシー州ナッシュビル);Washington Biotechnology, Inc.(米国メリーランドボルチモア);Global Peptide Services(米国コロラド州フォートコリンズ)及びその他多数から特注してもよい。
【0130】
本発明の所定のポリヌクレオチドは、ハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用してcDNAライブラリー(例えば、相同核酸を、一般的な反復的配列組み換え(recursive sequence recombination)方法のように組み換えて生成したライブラリー)をスクリーニングし、又はOASポリペプチド及びそれらポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチドのPCR増幅によっても得られる場合がある。cDNAクローンのスクリーニング及び単離の手順は、当業者に周知である。このような技法は、Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymol. Vol. 152, Acad. Press, Inc., San Diego, Calif. (“Berger”);J. Sambrook and D.W. Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition. Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY, (“Sambrook”);及びEM. Ausubel, et al. (1987−2005) Current Protocols in Molecular Biology. Wiley Interscience, New York, NY (“Ausubel”)に記載されている。本発明の数個のポリヌクレオチドは、天然に存在する配列を、例えば変異誘発、反復的配列組み換え(例えば、シャッフリング(shuffling))、又はオリゴヌクレオチド組み換えにより改変することによって得られる。その他の場合、このようなポリヌクレオチドは、インシリコで、又は本明細書に引用する参考文献に記載されるオリゴヌクレオチド組み換え法により形成されてもよい。
【0131】
本明細書に詳述する通り、本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列、及び少なくともストリンジェントな条件下で、本明細書に定義する配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む。コード配列は、特定のポリペプチド若しくはドメイン、領域、又は前記ポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列を指す。本発明のポリヌクレオチドは、RNA又はDNA形態である場合があり、mRNA、cRNA、合成RNA及びDNA、並びにcDNAを含む場合がある。ポリヌクレオチドは、二本鎖又は一本鎖である場合があり、一本鎖の場合、コード鎖又は非コード(アンチセンス、相補)鎖であってもよい。本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドのコード配列を(i)単離で、(ii)例えば融合タンパク質、プレタンパク質、プレプロタンパク質、若しくは同様物をコードするように、1つ以上の更なるコード配列との組み合わせで、(iii)非コード配列、例えばイントロン、制御要素、例えばプロモーター(例えば、天然に存在する又は組み換え若しくはシャッフルされたプロモーター)、終結要素、若しくは好適な宿主内でのコード配列の発現に有効な5’及び/若しくは3’未翻訳領域との組み合わせで、及び/又は(iv)コード配列が外来遺伝子であるベクター、細胞、若しくは宿主環境内にて含む。
【0132】
本発明のポリヌクレオチドは、当業者に周知の通り、担体、緩衝液、アジュバント、賦形剤、及び同様物の存在下を含む、通常の核酸の組成物製剤との組み合わせでも見出すことができる。ポリヌクレオチドフラグメントは、一般的に少なくとも約200ヌクレオチド塩基、例えば少なくとも約250、300、350、400、450、460、470、又はそれ以上の塩基を含む。本発明のポリヌクレオチドのヌクレオチドフラグメントは、ストリンジェントな条件下で、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする、及び/又は本明細書に記載の本発明のポリペプチドの少なくとも1つの特性を有するアミノ酸配列をコードする場合がある。
【0133】
本発明のポリヌクレオチドは、例えば、一般的に本発明のポリペプチド若しくはそのフラグメントをコードする配列を含むプラスミド発現ベクターの発現を介した該ポリペプチドの組み換え産生(即ち、発現)において;治療薬として;予防薬として;診断ツールとして;免疫原として;アジュバントとして;相補的な若しくは一部相補的な核酸の存在の対する診断プローブ(野生型オリゴアデニレートシンセターゼ核酸の検出を含む)として、更なる反応、例えば新たな及び/若しくは改良された変異体、及び同様物を産生するための反復的配列組み換え反応、又は突然変異反応の基質として等、種々の用途を有する。
【0134】
発現ベクター、製造方法、遺伝子治療
本明細書に、本発明のポリペプチドを産生及び単離するための組み換え方法を記載する。ポリペプチドは、組み換え産生に加えて、固相技法を使用した直接ペプチド合成によっても産生される場合がある(例えばStewart, et al. (1969) Solid−Phase Peptide Synthesis, WH Freeman Co, San Francisco; Merrifield J. (1963) JAm Chem Soc 85:2149−2154を参照)。ペプチド合成は、手動技法又は自動化により実施される場合がある。自動化合成は、例えばApplied Biosystems 43 IA Peptide Synthesizer (Perkin Elmer, Foster City, Calif.)を使用して、製造業者から供給された指示に従って達成される場合がある。例えば、サブ配列を個別に化学合成し、化学的方法を使用して組み合わせて、完全長ポリペプチド又はそのフラグメントを形成する場合がある。或いは、このような配列は、ポリペプチドの産生を専門とする任意数の会社から注文する場合がある。最も一般的には、本発明のポリペプチドは、例えば以下に記載する通り、コード核酸を発現してポリペプチドを回収するにより産生される場合がある。
【0135】
又、本発明のポリペプチドを産生する方法も含まれる。その方法の1つは、コードポリペプチドの生成に有効な調節配列に操作可能に結合した本発明の任意の核酸を細胞集団内に導入し、細胞を培地中で培養してポリペプチドを発現させ、細胞又は培地からポリペプチドを単離することからなる。細胞による取り込み(トランスフェクション)及び/又はポリペプチドの発現を促進するのに十分な量の核酸を使用する。例えば注入、遺伝子ガン、受動的取り込み(passive uptake)を含む当該技術分野で周知の任意の送達方法により、核酸をそれらの細胞に導入する。当業者が理解するように、核酸は、例えばDNAプラスミドベクター、又は当該技術分野で周知の任意のベクターを含む組み換え発現ベクターの一部であってもよい。本発明の核酸又は該核酸を含むベクターは、当該技術分野で周知の標準的な組み換えDNA技術及び単離方法により調製及び処方される場合がある。このような核酸又は発現ベクターは、in vivoで哺乳動物の細胞集団内に導入されるか、又は選択された哺乳動物細胞(例えば、腫瘍細胞)を哺乳動物から取り出して、核酸発現ベクターを、コードされたポリペプチドが十分に取り込まれ且つ発現される量で、それらの細胞集団内にex vivoで導入される場合がある。或いは、核酸若しくは本発明の核酸を含むベクターは、培養した細胞を使用して、in vitroで生成される。一態様において、本発明のポリペプチドを生成する方法は、本明細書に記載の本発明の任意の核酸を含む組み換え発現ベクターを、ベクターの取り込み、及びコードされたポリペプチドの発現が起こる量及び処方にて細胞集団に導入し;本明細書に記載の任意の導入/送達形式により、発現ベクターを哺乳動物内に投与し;そして哺乳動物から、又は哺乳動物の副生物からポリペプチドを単離することからなる。
【0136】
本発明は、本発明のポリペプチドをコードする、「本発明の核酸(又はポリヌクレオチド)」と総称される単離又は組み換え核酸(本明細書でポリヌクレオチドとも称する)を提供する。本発明のポリヌクレオチドは、種々の用途にて有用である。上述の通り、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドの産生に有用である。更に、本発明のポリヌクレオチドは、本願の他の箇所に記載したように、遺伝子治療、DNAワクチン接種、及び免疫療法に有用な発現ベクター内に組み込んでもよい。
【0137】
本発明の任意のポリヌクレオチド(上述のものを含む)は、少なくとも1つの更なるアミノ酸配列、例えば分泌/局在化配列、ポリペプチドの可溶化又は固定化(例えば、細胞表面提示のため)に有用な配列、ポリペプチドの検出及び/又は精製に有用な配列(例えば、例えばエピトープタグ、ポリヒスチジン配列、及び同様物等のポリペプチド精製サブ配列)を含む融合タンパク質をコードする場合がある。別の態様において、本発明は、1つ以上の本発明のポリヌクレオチドを含む細胞を提供する。このような細胞は、本発明のポリヌクレオチドによりコードされる1種以上のポリペプチドを発現する場合がある。
【0138】
本発明は又、本発明の任意のポリヌクレオチドを含むベクターも提供する。このようなベクターは、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、又はウイルスのフラグメントを含む場合がある。このようなベクターは発現ベクターを含む場合があり、所望であれば、核酸は、本明細書及び以下で考察するものを含めたプロモーターに操作可能に結合する。更に、別の態様において、本発明は、賦形剤又は担体と、少なくとも一種の本発明の任意のポリヌクレオチド、又はこのような核酸を含むベクター、細胞、若しくは宿主とを含有する組成物を提供する。このような組成物は、薬学的組成物であってもよく、又賦形剤又は担体は、薬学的に許容される賦形剤又は担体であってもよい。
【0139】
本発明は又、本発明の核酸又はそのフラグメント(例えば、組み換え用の基質としての)の複数を含有する組成物も含む。組成物は、組み換え核酸のライブラリーを含んでもよく、このライブラリーは、上述した核酸の少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも5種、少なくとも10種、少なくとも20種、少なくとも50種、又は少なくとも100種又はそれ以上を含む。核酸は、場合により発現ベクターにクローン化されて、発現ライブラリーを提供する。
【0140】
本発明のポリヌクレオチド及びそのフラグメント、並びにそれらのポリヌクレオチドを含むベクターは、好適な担体、例えば薬学的担体と組み合わせて、治療又は予防用途に使用される場合がある。このような組成物は、治療的及び/又は予防的有効量の化合物、及び薬学的に許容される担体若しくは賦形剤を含有する。それらの担体又は賦形剤には、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストローズ、水、グリセリン、エタノール、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない製剤は、投与様式に適合する必要がある。核酸、ポリペプチド及びタンパク質を投与する方法は、当該技術分野で周知である。
【0141】
ベクター、プロモーター及びその他多くの関連する項目を含む、本発明に有用な分子生物学的技法を記載する一般的な文献には、Berger(前掲);Sambrook (1989)(前掲);及びAusubel(前掲)が含まれる。例えば本発明の相同核酸を産生するための、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、Qβ−レプリカーゼ増幅及びその他のRNAポリメラーゼ媒介技法(例えば、NASBA)を含めた、当業者をin vitro増幅に誘導するのに十分な技法の例については、Berger(前掲);Sambrook(前掲);及びAusubel(前掲);並びにMullis, et al. (1987)米国特許第4,683,202号;PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Innis, et al., eds.) Academic Press Inc. San Diego, Calif. (1990) (“Innis”);Arnheim & Levinson (Oct. 1, 1990) C&EN 36−47;The Journal OfNIH Research (1991) 3:81−94;(Kwoh, et al. (1989) Proc Natl Acad Sci USA 86:1173−1177;Guatelli, et al. (1990) Proc Natl Acad Sci USA 87:1874−1878;Lomeli, et al. (1989) J Clin Chem 35:1826−1831;Landegren, et al. (1988) Science 241:1077− 1080;Van Brunt (1990) Biotechnology 8:291−294;Wu and Wallace (1989) Gene 4:560−569;Barringer, et al. (1990) Gene 89:117−122;及びSooknanan and Malek (1995) Biotechnology 13:563−564に記載されている。in vitroで増幅された核酸をクローニングする改良された方法については、Wallace, et al.,米国特許第5,426,039号に記載されている。大きい核酸をPCRで増幅する改良された方法については、Cheng, et al. (1994) Nature 369:684−685及びその中の参考文献に概説されており、そこでは40キロ塩基(kb)までのPCR単位複製配列が生成されている。当業者であれば、基本的に任意のRNAが、逆転写酵素及びポリメラーゼを使用したPCR伸長及び配列決定を使用して、制限消化に好適な二本鎖に変換されてもよいことを理解するであろう。例えばAusubel(前掲)、Sambrook(前掲)、及びBerger(前掲)を参照されたい。
【0142】
哺乳動物宿主細胞において、例えばウイルスベースの系等の幾つかの発現系が使用される場合がある。アデノウイルスを発現ベクターとして使用する場合、コード配列は、場合により後期プロモーターと三分割リーダー配列とからなるアデノウイルス転写/翻訳複合体内に連結される。ウイルスゲノムの非必須なE1又はE3領域内への挿入は、感染した宿主細胞内で本発明のポリペプチドを発現可能な生存ウイルスを形成する(Logan and Shenk (1984) Proc Natl Acad Sci USA 81:3655−3659)。更に、転写エンハンサー、例えばラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーを使用して、哺乳動物宿主細胞内での発現を増大させる。宿主細胞、媒体、発現系、及び生成方法には、種々の哺乳動物タンパク質のクローニング及び発現に関して公知の方法が含まれる。発現の効率は、使用する細胞系に適切なエンハンサーを含めることにより高めることができる(例えばScharf D., et al. (1994) Results Probl Cell Differ 20:125−62;及びBittner, et al. (1987) Methods in Enzymol 153:516−544を参照)。
【0143】
特定の開始シグナルは、本発明のポリヌクレオチドコード配列及び/又はそのフラグメントの効率的な翻訳を補助してもよい。それらのシグナルは、例えばATG開始コドン及び隣接する配列を含んでもよい。コード配列、その開始コドン及び上流配列が適切な発現ベクター内に挿入される場合、更なる翻訳制御シグナルは必要ないと思われる。しかしながら、コード配列(例えば、成熟タンパク質コード配列)、又はその一部のみが挿入される場合、ATG開始コドンを含む外来核酸転写制御シグナルを提供する必要がある。更に、開始コドンは正確なリーディングフレーム内に存在して、完全なインサートの転写を確保する必要がある。外来転写要素及び開始コドンは、天然及び合成の種々の起源のものであってよい。
【0144】
コンストラクトの宿主細胞内への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン仲介によるトランスフェクション、電気穿孔法、遺伝子又はワクチン接種、注入、又はin vivo、ex vivo若しくはin vitroでの方法に関するその他の通常の技法(例えばDavis, L., Dibner, M., and Battey, I. (1986) Basic Methods in Molecular Biologyを参照)により実施されてもよい。
【0145】
上述の通り、細菌、植物、動物(特に哺乳動物)の細胞、及び古細菌起源の細胞含む多くの細胞の培養及び産生に関する参考文献が数多く入手可能である。例えばSambrook(前掲)、Ausubel(前掲)、及びBerger(前掲)、並びにFreshney (1994) Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique, third edition, Wiley−Liss, New York及びその引用文献;Doyle and Griffiths (1997) Mammalian Cell Culture: Essential Techniques John Wiley and Sons, New York;Humason (1979) Animal Tissue Techniques, fourth edition W.H. Freeman and Company;並びにRicciardelli, et al. (1989) In vitro Cell Dev Biol 25: 1016−1024を参照されたい。植物細胞の培養及び再生に関しては、例えばPayne, et al. (1992) Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons, Inc. New York, N.Y.; Gamborg and Phillips (eds.) (1995) Plant Cell, Tissue and Organ Culture;Fundamental Methods Springer Lab Manual, Springer−Verlag (Berlin Heidelberg New York);及びPlant Molecular Biology (1993) R. R. D. Croy (ed.) Bios Scientific Publishers, Oxford, U.K. ISBN 0 12 198370 6を参照されたい。一般的な細胞培地については、Atlas and Parks (eds.) The Handbook of Microbiological Media (1993) CRC Press, Boca Raton, Fiaに記載されている。細胞培養の詳細については、例えばSigma−Aldrich, Inc.(米国ミズーリ州セントルイス)のLife Science Research Cell Culture Catalogue(“Sigma−LSRCCC”)、及び例えば同様にSigma−Aldrich, Inc.(米国ミズーリ州セントルイス)のPlant Culture Catalogue(“Sigma−PCCS”)及び付録等の市販の文献に記載されている。
【0146】
本発明のポリペプチドは、組み換え細胞培養物から、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー(例えば、本明細書に記載の任意のタギング系を使用して)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、及びレクチンクロマトグラフィーを含む、方法当該技術分野で周知の多数の任意の方法により回収及び精製されてもよい。所望により、成熟タンパク質又はそのフラグメントの構造の完成において、タンパク質再折り畳み手順を使用してもよい。最後に、最終精製手順において高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用してもよい。前掲の言及に加えて、種々の精製方法が当該技術分野で周知であり、例えば、Sandana (1997) Bioseparation of Proteins, Academic Press, Inc.;Bollag, et al. (1996) Protein Methods, 2.suρ.nd Edition Wiley−Liss, New York;Walker (1996) The Protein Protocols Handbook Humana Press, New Jersey;Harris and Angal (1990) Protein Purification Applications: A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, England;Harris and Angal Protein Purification Methods: A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, England;Scopes (1993) Protein Purification: Principles and Practice 3.sup.rd Edition Springer Verlag, New York; Janson and Ryden (1998) Protein Purification: Principles, High Resolution Methods and Applications, Second Edition Wiley−VCH, New York;及びWalker (1998) Protein Protocols on CD−ROM Humana Press, New Jerseyに記載されるものが含まれる。
【0147】
生物のin vivoでの形質導入及び発現に好適な多数のウイルスベクターが公知である。このようなベクターには、レトロウイルスベクター(例えば、Miller, Curr Top Microbiol Immunol (1992) 158:1−24;Salmons and Gunzburg (1993) Human Gene Therapy 4:129−141;Miller et al. (1994) Methods in Enzymology 217:581−599を参照)及びアデノ関連ベクター(Carter (1992) Curr Opinion Biotech 3:533−539;Muzcyzka (1992) Curr Top Microbiol Immunol. 158:97−129に概説)が含まれる。使用される他のウイルスベクターには、例えばJolly (1994) Cancer Gene Therapy 1:51−64;Latchman (1994) Molec Biotechnol 2:179−195;及びJohanning, et al. (1995) Nucl Acids Res 23: 1495−1501に概説されるようなアデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター及びシンドビスウイルスベクターが含まれる。
【0148】
一態様においては、ポックスウイルスベクターが使用されてもよい。ポックスウイルスベクターは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列をトランスフェクトされ、免疫応答の増大、例えば増大した又は改善されたT細胞増殖が所望される予防、治療及び診断用途に有用である。例えばBerencsi, et al., J Infect Dis (2001)183(8): 1171−9;Rosenwirth, et al., Vaccine 2001 February 8;19(13−14):1661−70;Kittlesen, et al., J Immunol (2000) 164(8):4204−ll;Brown, et al., Gene Ther 2000 7(19): 1680−9;Kanesa−thasan, et al., Vaccine (2000) 19(4−5):483−91;Sten (2000) Drug 60(2):249−71に考察されるウイルスベクターを参照されたい。それらのベクター及び許容される賦形剤を含有する組成物も、本発明の特徴である。
【0149】
遺伝子治療及び遺伝子ワクチンは、慢性感性症(例えば、HIV感染、ウイルス肝炎)、並びに癌及び数種の形態、例えば酵素欠損症等の先天性欠陥を含む非感染性疾患と戦う方法を提供し、このような方法は、本発明のポリヌクレオチド、例えばそれらのポリヌクレオチドを含むベクター及び細胞と共に使用されてもよい。in vivo、ex vivo及びin vitroで細胞内に核酸及びベクターを導入するための手法が幾つか使用されており、これらは本発明のポリヌクレオチド、及びそのポリヌクレオチドを含むベクターと共に使用されてもよい。これらの手法には、リポソームベースの遺伝子送達(Debs and Zhu (1993) WO 93/24640及び米国特許第5,641,662号;Mannino and Gould−Fogerite (1988) BioTechniques 6(7):682−691;Rose, 米国特許第5,279,833号;Brigham (1991) WO 91/06309;並びにFeigner, et al. (1987) Proc Natl Acad Sci USA 84:7413− 7414;Brigham, et al. (1989) Am J Med Sci 298:278−281;Nabel, et al. (1990) Science 249:1285− 1288;Hazinski, et al. (1991) Am J Resp Cell Molec Biol 4:206−209; 並びにWang and Huang (1987) Proc Natl Acad Sci USA 84:7851−7855);例えば癌を処置するためのアデノウイルスベクター仲介による遺伝子送達(例えばChen, et al. (1994) Proc Natl Acad Sci USA 91:3054−3057; Tong, et al. (1996) Gynecol Oncol 61:175−179; Clayman, et al. (1995) Cancer Res. 5:1−6; O’Malley, et al. (1995) Cancer Res 55:1080−1085; Hwang, et al. (1995) Am J Respir Cell MoI Biol 13:7−16; Haddada, et al. (1995) Curr Top Microbiol Immunol. 1995 (Pt. 3): 297−306; Addison, et al. (1995) Proc Natl Acad Sci USA 92:8522−8526; Colak, et al. (1995) Brain Res 691:76−82; Crystal (1995) Science 270:404−410; Elshami, et al. (1996) Human Gene Ther 7:141−148; Vincent, et al. (1996) J Neurosvrg 85:648−654を参照)、並びにその他多数が含まれる。レトロウイルスゲノムの一部として治療ポリヌクレオチド配列を内部に有する複製欠損性レトロウイルスベクターも、特にシンプルMuLVベクターに関して使用されている。例えばMiller, et al. (1990) MoI Cell Biol 10:4239 (1990); Kolberg (1992) JNIH Res 4:43, and Cornetta, et al. (1991) Hum Gene Ther 2:215を参照されたい。リガンド特異的な、陽イオンベースの輸送系に結合した核酸輸送系(Miller, et al. (1990) MoI Cell Biol 10:4239 (1990); Kolberg (1992) JNIH Res 4:43, and Cornetta, et al. (1991) Hum Gene Ther 2:215)も使用されている。裸DNA発現ベクターも記載される(Nabel, et al. (1990)(前掲))。一般的に、これらの手法は、本発明のポリペプチドをコードする核酸を適切なベクター内に組み込むことにより、本発明に適応させてもよい。
【0150】
本発明の核酸を患者内に導入することにより、本発明に適用可能な遺伝子治療プロトコルを記載する一般的な文献には、例えば、Robbins (1996) Gene Therapy Protocols, Humana Press, New Jersey;及びJoyner (1993) Gene Targeting: A Practical Approach, IRL Press, Oxford, Englandが含まれる。
【0151】
抗ウイルス処置
本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドは、ウイルス感染を処置又は予防するために、治療的又は予防的に使用される場合がある。代表的なウイルスには、例えば、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、及びウシウイルス性下痢症ウイルス等のフラビウイルス科ファミリーのウイルス;例えば、B型肝炎ウイルス等のヘパドナウイルス科ファミリーのウイルス;例えば、脳心筋炎ウイルスィルス、ヒトライノウイルス、及びA型肝炎ウイルス等のピコルナウイルス科ファミリーのウイルス;例えば、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルス、ヒトTリンパ球好性ウイルス、及びラウス肉腫ウイルス等のレトロウイルス科ファミリーのウイルス;例えば、SARSコロナウイルス等のコロナウイルス科ファミリーのウイルス;例えば、狂犬病ウイルス及び水疱性口内炎ウイルス等のラブドウイルス科ファミリーのウイルス、例えば、呼吸器多核体ウイルス及びパラインフルエンザウイルス等のパラミクソウイルスファミリーのウイルス、例えば、ヒトパピローマウイルス等のパピローマウイルス科ファミリーのウイルス、並びに例えば、単純ヘルペスウイルス等のヘルペスウイルス科ファミリーのウイルスが含まれるが、これらに限定されない。
【0152】
本発明の別の目的は、本発明のポリペプチドに結合した1つ以上の非ポリペプチド部分を含むコンジュゲートを提供することにあり、該コンジュゲートは抗ウイルス特性を示し、又場合により、例えば非コンジュゲートポリペプチドと比較して延長した血清半減期及び/若しくはin vivoでの機能的半減期、並びに/又は低下した抗原性等の他の所望の特性を示す。このようなコンジュゲートの数個は、ウイルスに感染した細胞からのウイルスの排除において、参照オリゴアデニレートシンセターゼと比較して高い効力を示す場合がある。このようなコンジュゲートの数個は更に、参照オリゴアデニレートシンセターゼと比較して低い毒性を有する場合がある。
【0153】
本発明の別の目的は、ウイルス感染細胞内でのウイルス複製を阻害する方法を提供することにある。該方法は、前記細胞内でウイルス複製を阻害するのに有効な量の本発明のポリペプチド又はコンジュゲートを、ウイルス感染細胞に投与することからなる。本発明は、ウイルス感染細胞内でのウイルスのコピー数を低下させる方法も提供する。該方法は、ウイルス感染細胞に、前記細胞内でウイルスのコピー数を低下させるのに有効な量の本発明のポリペプチド又はコンジュゲートを投与することからなる。細胞は、培地中に存在するか、又はさもなくば哺乳動物から単離される場合もあれば(即ち、in vitro若しくはex vivoで)、又はin vivoで、例えば対象内、哺乳動物内、霊長類内、若しくはヒト内で培養される場合もある。
【0154】
抗癌及び炎症処置
本発明のポリペプチドは、所定の細胞型及び細胞系にアポトーシスを起こす、又は前記細胞系若しくは細胞型の増殖を遅延させることができることが示されている。代表的な実施形態において、このような細胞系又は細胞型には、前立腺及び乳房由来のものが含まれる。
【0155】
本発明は、細胞集団の増殖を阻害する方法であって、細胞集団を、細胞集団の増殖を低下させるのに有効な量の本発明のポリペプチドと接触させることを含む、方法を提供する。細胞集団は、培地中に存在するか、又はさもなくば哺乳動物から単離される場合もあれば(即ち、in vitro若しくはex vivoで)、又はin vivo、例えば対象内、哺乳動物対象内、霊長類対象内、若しくはヒト対象内に存在する場合もある。
【0156】
本発明は、本発明のポリペプチド及びポリヌクレオチドを使用した癌及び新生物疾患の処置を提供する。代表的な癌及び新生物疾患には:副腎皮質癌、AIDS関連の癌、例えば、カポシ肉腫、AEDS関連のリンパ腫、肛門癌、星状細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、例えば肝外のもの、膀胱癌、骨癌、例えば骨肉腫及び悪性線維性組織球腫、脳幹グリア細胞腫、脳腫瘍、例えばグリア細胞腫、星状細胞腫、悪性グリア細胞腫、上衣細胞腫、髄芽腫、及び神経芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視覚路及び視床下部グリア細胞腫、乳癌、気管支腺腫、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、中枢神経系リンパ腫、子宮頸癌、白血病、例えば有毛細胞白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病及び慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫ファミリー、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼癌、例えば、眼球内黒色腫及び網膜芽細胞種、胆嚢癌、胃癌、妊娠性トロホブラスト腫瘍、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性CNSリンパ腫、上咽頭癌、島細胞癌、腎(腎細胞)癌、喉頭癌、口唇及び口腔癌、肝臓癌、肺癌、例えば非小細胞及び小細胞肺癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、メルケル細胞癌、中皮腫、転移性扁平上皮性頸部癌、多発性内分泌腫瘍、多発性骨髄腫、形質細胞新生物、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、鼻腔及び副鼻腔癌、例えば胚細胞及び上皮等の卵巣癌、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、前立腺癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、セザリー症候群、例えば黒色腫及び扁平上皮癌等の皮膚癌、睾丸癌、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺癌、移行細胞癌、絨毛性腫瘍、尿道癌、子宮癌、経膣癌、外陰癌、並びにウィルムス腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0157】
本発明は更に、本発明のポリペプチド及びポリヌクレオチドを使用した、自己免疫疾患及び炎症の処置を提供する。前記自己免疫及び炎症性疾患には:対象の喘息、クローン病、ギラン・バレー症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、視神経炎、乾癬、関節リウマチ、バセドウ病、橋本病(甲状腺炎)、Ord’s甲状腺炎、糖尿病、真性糖尿病、ライター症候群、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、肝硬変、肝線維症、抗リン脂質抗体症候群、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、側頭動脈炎、急性散在性脳脊髄炎、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、セリアック病、天疱瘡、多発性関節炎、温式自己免疫性溶血性貧血、高安動脈炎、冠動脈疾患、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性筋硬直症、強皮症、尋常性白斑、外陰部痛、シャーガス病、サルコイドーシス、慢性疲労症候群、急性呼吸促迫症候群、腱炎、滑液包炎、リウマチ性多発筋痛症、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、心血管系疾患、慢性胆嚢炎、気管支拡張症、例えば、珪肺症等の塵肺症、変形性関節症、アテローム性動脈硬化症、自律神経障害、強直性脊椎炎、急性前部ぶどう膜炎、全身性エリトマトーデス、インスリン依存性糖尿病、尋常性天疱瘡、実験的アレルギー性脳脊髄炎、実験的自己免疫性ぶどう膜炎、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、急性リウマチ熱、混合型本態性クリオグロブリン血症、若年性関節リウマチ、変性関節疾患、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、神経痛、滑膜炎、糸球体腎炎、血管炎、インフルエンザの続発症として起こる炎症、通常の風邪及び他のウイルス感染、痛風、接触性皮膚炎、腰部及び頸部疼痛、月経困難症、頭痛、歯痛、ねんざ、筋挫傷、筋炎、火傷、外傷、並びに外科及び歯科手順後の疼痛及び炎症が含まれるが、これらに限定されない。
【0158】
細胞増殖及び組織再生の処理
本発明のポリペプチドは、特定の細胞型及び細胞系、例えばHuh7肝臓癌細胞及びMRC5胎児肺線維芽細胞内の分裂促進、細胞増殖促進プログラムを刺激することが示されている。この分裂促進プログラムは、本発明のポリペプチドを使用して処理した細胞及び細胞系の発現マイクロアレイ解析及び細胞生存率試験により同定される。本発明は、対象又は哺乳動物由来の組織及び細胞を使用した、細胞増殖及び組織再生をin vitro、in vivo及びex vivoで刺激するための、本発明のポリペプチドの使用を提供する。
【0159】
本発明のポリペプチドの誘導体
本発明は、図1〜5の任意のポリペプチドとは1〜34アミノ酸が異なるポリペプチドを提供する。このような相違には、置換、挿入、削除、改変アミノ酸又はアミノ酸誘導体の組み込み、及びポリペプチドのC末端又はN末端に対するアミノ酸の追加又は削除が含まれる場合がある。1つ以上のアミノ酸置換は、例えば以下に記載する置換群(例えば保存的置換群)に従って本発明のポリペプチドおいて行われる場合がある。或いは又は更に、非ポリペプチド部分のための結合基を含むアミノ酸残基を導入又は削除する1つ以上のアミノ酸置換が、ポリペプチドにおいて行われる場合がある。例としては、1つ以上のN−グリコシル化部位(1つ以上)の導入、1つ以上のシステイン残基(1つ以上)若しくはリシン残基(1つ以上)の導入、1つ以上のN−グリコシル化部位(1つ以上)の除去、及び/又は1つ以上のリシン(1つ以上)若しくはヒスチジン(1つ以上)の除去が含まれる。このようなポリペプチドの数個は、オリゴアデニレートシンセターゼ活性を示す。保存的置換群には:第1群:アラニン(A)グリシン(G)セリン(S)スレオニン(T)、第2群:アスパラギン酸(D)グルタミン酸(E)、第3群:アスパラギン(N)グルタミン(Q)、第4群:アルギニン(R)リシン(K)ヒスチジン(H)、第5群:イソロイシン(I)ロイシン(L)メチオニン(M)バリン(V)、及び第6群:フェニルアラニン(F)チロシン(Y)トリプトファン(W)が含まれる。アミノ酸のその他の置換群が想定されてもよい。例えば、アミノ酸は、同様の機能又は化学的構造若しくは組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、含硫黄)によって分類されてもよい。例えば、脂肪族群は:グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)を含む場合がある。保存的置換と考えられるアミノ酸を含むその他の群には:芳香族:フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);含硫黄:メチオニン(M)、システイン(C);塩基性:アルギニン(R)、リシン(K)、ヒスチジン(H);酸性:アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)が含まれる。アミノ酸の更なる群分けについては、Creighton (1984) Proteins, W.H. Freeman and Companyも参照されたい。本明細書のポリペプチド配列のリストは、上記の置換群と共に、全ての保存的に置換されたポリペプチド配列の明白なリストを提供する。
【0160】
一態様において、本発明は、図5に示すポリペプチドの任意の1つに対して各々少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性)を有する配列を含む、単離された又は組み換えポリペプチドを提供する。場合により、ポリペプチドは、オリゴアデニレートシンセターゼ活性を示す。
【0161】
配列(ポリペプチド又は核酸)が別の配列と類似する程度は、二つの配列に関する類似する構造的及び機能的性質の指標を提供する。従って、本発明の文脈において、任意の所定の典型配列に類似した配列を有する配列は、本発明の特徴である。詳細には、以下に定義する配列同一性百分率は、本発明の特徴である。配列関係を決定する方法は種々のものが使用でき、これには、手動アラインメント並びにコンピュータ補助による配列アラインメント及び解析が含まれる。配列アラインメントを実施するための種々のコンピュータプログラムが入手可能であり、又はアラインメントは、当業者により手動で準備できる。
【0162】
上述の通り、本発明に使用するポリペプチド及び核酸の配列は、同一である必要はないが、本発明のポリペプチド又は核酸の対応する配列に実質的に同一であってもよい。例えば、本発明のポリペプチドは、種々の変化を受けてもよく、それには例えば保存的又は非保存的な1つ以上のアミノ酸の挿入、削除、及び/又は置換が含まれ、この場合、例えばこのような変化によって、それらの使用、例えばそれらの治療若しくは予防的使用若しくは投与、又は診断的用途における特定の利点がもたらされる可能性がある。本発明の核酸は、例えば、特定のコドンが同一若しくは異なるアミノ酸をコードして、静的変更(本明細書に定義する)若しくは非静的変更を起こす1つ以上のコドン内での1つ以上の核酸の1つ以上の置換、又は配列内で1つ以上の核酸(若しくはコドン)の1つ以上の削除のような種々の変化も受けてもよい。核酸は、前記1つ以上のコドンが尚同一のアミノ酸(1つ又は複数)をコードする一方で、発現系(例えば、細菌又は哺乳動物)において最適な発現を提供するコドンの1つ以上を含むように変更することもできる。このような核酸変化によって、それらの治療若しくは予防的使用若しくは投与、又は診断的用途において所定の利点がもたらされる場合がある。核酸及びポリペプチドは、対応する本発明の核酸又はポリペプチドの配列と実質的に同一の(以下に定義する)配列を含む限り、幾つかの方法で変更してもよい。
【0163】
複数の核酸又はポリペプチド配列の文脈において、「同一の」又は「同一性」という用語は、配列比較アルゴリズムを使用して測定して、又は視覚検査により、最大類似性に関して比較及びアラインした場合に、同一であるか、又は同一のアミノ酸残基若しくはヌクレオチドに関して特定の百分率を有する複数の配列を意味する。
【0164】
対象配列の参照(即ち、クエリー)配列に対する「配列同一性百分率」(「同一性%」)は、対象配列が、比較する長さにわたり、クエリー配列に対して特定した百分率で同一(即ち、ポリペプチド配列に関してアミノ酸対アミノ酸で、又はポリヌクレオチド配列に関してヌクレオチド対ヌクレオチドで)であることを意味する。
【0165】
本発明のポリペプチドを形成するための部位指向性変異誘発
本発明のポリペプチドは、部位指向性変異誘発の任意の標準的な方法を使用して操作してもよい。本発明のポリペプチドに対応する核酸配列は、特定のオリゴヌクレオチドプライマー及びhigh fidelity DNAポリメラーゼを使用して合成される。標的配列は、メチル化コンピテント大腸菌株から単離した二本鎖プラスミド上に含まれる。所望の突然変異を含む相補的オリゴヌクレオチドを合成し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用して精製する。サーマルサイクラーを使用して、二本鎖プラスミドテンプレートの変性(94℃で30秒間)、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング(55℃で1分間)、及びhigh fidelityポリメラーゼ(68℃で1分間/kbプラスミド長)を使用したプライマーの伸長の交互のサイクルのための温度を制御する。約15サイクル後、新たに合成したDNAと投入したDNAの混合物をメチル化残基に特異的な制限酵素(Dpn I)で処理して、親プラスミドを消化する。得られたDNAを、化学的又は電気的にコンピテントな細菌株内に導入して、所望の突然変異を含むプラスミドをスクリーニング及び単離する。プラスミドDNAを形質転換体から単離し、蛍光色素−転写終結配列決定を介してスクリーニングして突然変異配列を確認する。
【0166】
バルク薬物製品の発現、発酵、及び精製
λDE3の溶原菌を含み、従ってlacUV5プロモーターの制御下でT7 RNAポリメラーゼ遺伝子の染色体コピーを保有する大腸菌株を、1つ以上の本発明のポリペプチドに対応する核酸配列をコードするIPTG誘導性プロモーターを含む細菌発現ベクターで形質転換する。培養物を、34μg/mLクロロアンフェニコール及び15μg/mLカナマイシンで補充したルリア培地中にて37℃で増殖させる。OD600が>0.4に到達したら、温度を18℃に低下させ、細胞を0.5mM IPTGで17時間誘導する。次に、細菌細胞を50mM NaHPO、pH8、300mM NaCl、20mMイミダゾール、10%グリセリン、0.1%NP40、2mM DTT及びプロテアーゼ阻害剤(VWR)を含有する緩衝液中に再懸濁し、Gaulinホモジナイザーで溶解し、タンパク質精製前に遠心分離して細胞残屑を除去する。
【0167】
一実施形態において、本発明のポリペプチドは、アミノ末端にてポリヒスチジンタグを使用して精製されてもよい。ポリヒスチジンタグの親和性精製にニッケルカラムを使用し、例えば4Lの大腸菌により生成した溶解物に5mLカラムを使用する。溶解物をカラムに投入した後、緩衝液A(50mM NaHPO、300mM NaCl、30%グリセリン、20mMイミダゾール、2mM DTT、pH7.5)で洗浄する。次に、7%緩衝液B(50mM NaHPO、300mM NaCl、30%グリセリン、2Mイミダゾール、2mM DTT、pH6.8)への3.2カラム容積の手順溶出を実施する。次に、100%緩衝液Bへの3カラム容積の勾配を実施する。次に、本発明のポリペプチドを緩衝液C(50mM NaHPO、150mM NaCl、40%グリセリン、1mM EDTA、2mM DTT、pH6.8)中にゲル濾過してもよく、陽イオン交換カラムに投入して更に精製する。タンパク質を投入した後、カラムを緩衝液Cで洗浄し、次に75%の緩衝液D(50mM NaHPO、1M NaCl、40%グリセリン、1mM EDTA、2mM DTT、pH6.8)へ手順溶出し、次に5カラム容積勾配の100%緩衝液Dへ手順溶出する。次に、タンパク質を緩衝液E(50mM NaHPO、300mM NaCl、40%グリセリン、1mM EDTA、2mM DTT、pH6.8)中にゲル濾過し、−20℃で保管する。
【0168】
ポリヒスチジンタグを欠いたポリペプチド、ポリアルギニンタグを有するポリペプチド、システイン含有量が低下されたポリペプチド、薬物候補を熱的により安定化するよう設計されたアミノ酸配列変更を有するポリペプチド、薬物候補の特定の活性を増大又は低下させる改変を有するポリペプチド:を含むが、これらに限定されない本発明のポリペプチドの異なる実施形態は、代替の精製戦略を必要とし得る。ポリヒスチジンタグを欠くポリペプチド薬物候補の実施形態は、例えば、陽イオン交換カラムに直接適用される場合がある。更なる手順、例えば疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用が、タンパク質を緩衝液F(50mM NaHPO、300mM NaCl、1M(NHOSO、30%グリセリン、1mM EDTA、2mM DTT、pH6.8)に入れ、10カラム容積を100%緩衝液Eへ勾配させて溶出することにより利用される場合がある。他の親和性カラム又はサイズカラムを使用して、ポリペプチド薬物候補の異なる実施形態を精製する場合がある。
【0169】
緩衝液の交換、薬物候補の濃縮、及び薬物候補の精製に、代替の技法を使用することができる。これらには、薬物候補の濃縮、及び緩衝液の交換のための超濾過、タンジェンシャルフロー濾過、及び透析が含まれるが、これらに限定されない。(NHSO又は数種の他の化学薬品による薬物候補の沈殿等の技法を使用してもよい。尿素又は数種の他の変性剤を使用した薬物候補の変性と、それらの再折り畳みも使用される場合がある。
【0170】
本発明のポリペプチドは、塩を含有する賦形剤により安定化され;300mM NaClで安定な溶液は、150mM NaClで沈殿を開始する。このため、塩濃度を安定化させる賦形剤混合物が好まれると思われ、それらはリン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムが含まれてもよいが、これらに限定されない。
【0171】
例えばアルギニン等のアミノ酸ベースの賦形剤の添加は、本発明のポリペプチドを安定化させることが証明されている。ショ糖の10%溶液は、本発明のポリペプチドを1mg/mLにて安定化させ、2%w/vアルギニンの添加は、ポリペプチドの数個の実施形態を3mg/mLにて安定化させる。この理由から、ヒスチジン、グルタミン、グリシン及びヒトアルブミンを含むが、これらに限定されない他のアミノ酸ベースの化合物を賦形剤として使用する場合がある。
【0172】
例えばグリセリン等の賦形剤の添加は、本発明のポリペプチドを安定化させる。例えば、一実施形態において、ポリペプチドは、最大濃度を有する。10%グリセリン(v/v)により1mg/mLの最大濃度を有し;40%グリセリンでは、薬物候補は12mg/mLまで安定である。マンニトール、キシリトール及びソルビトール等のポリオール含むが、これらに限定されない、同様の化学的性質を有する化合物を含有する賦形剤混合物が想定される。例えばショ糖等の二糖類は、10%w/vにて安定化させることが見出されている;麦芽糖及びトレハロースを含むが、これらに限定されない他の二糖類を使用してもよい。本発明においては、単糖類が使用されてもよい。本発を実施する際には、ポリソルベート、ポリエチレングリコール及び同様の化合物も使用されてよい。
【0173】
当業者が理解するように、保管中のポリペプチドの安定性を確保するために、酸化防止剤及び保存剤も使用し得る。クエン酸ナトリウムを含むが、これに限定されない抗酸化剤は、長期間保管中に本発明のポリペプチドを安定化し得る。ベンジルアルコールを含むがこれに限定されない保存剤も、保管時にポリペプチドを安定化させる場合があり、最終的な賦形剤混合物に使用される場合がある。
【0174】
ポリペプチドのオリゴアデニレートシンセターゼ活性の測定
本発明のポリペプチドのオリゴアデニレートシンセターゼ活性は、以前に公開されている方法に従って測定される(Justesen, J.,, et al., Nuc Acids Res. 8:3073−3085,1980)。即ち、タンパク質を、200mM Tris−HCl、pH7.8、50mM Mg(OAc)、1mM DTT、0.2mM EDTA、2.5mM ATP、α[32P]ATP、0.5mg/ml BSA、及び10%グリセリンを含有する緩衝液中の200μg/mlポリイノシン酸:ポリシチジン酸で活性化する。反応を37℃で30分間〜24時間進行させ、90℃で3分間加熱して終了させる。2〜4μlの反応混合物を、PEI−セルロース薄層プレート上にスポットする。乾燥後、プレートを0.4M Tris−HCl、30mM MgCl、pH8.7で展開する。プレートを乾燥し、ホスファイメジャー解析により視覚化する。或いは、反応混合物を更に0.05U/μlウシ腸ホスファターゼと共にインキュベートして、末端リン酸を除去してもよい。0.76M KHPO、pH3.6展開緩衝液系を使用して薄層クロマトグラフィー分離を実施する。次に、プレートを乾燥し、ホスファイメジャー解析により可視化する。
【0175】
ポリペプチドの抗ウイルス活性の測定
本発明のポリペプチドの、細胞毒性ウイルスから培養細胞を保護する能力を、ハツカネズミ脳心筋炎ウイルス(EMCV、ATCC株VR−129B)感染モデルを使用して証明する。in vitroでの他のウイルス感染モデルには、例えばウシウイルス性下痢症ウイルス、西ナイルウイルス、及びGBV−Cウイルス等のフラビウイルス、例えば呼吸器多核体ウイルス等の他のRNAウイルス、並びにHCVレプリコン系(例えば、Blight, KJ.,, et al., 2002. J. Virology, 76:13001−13014)が含まれるが、これらに限定されない。抗ウイルス試験には、ウイルス複製にコンピテントな任意の適切な培養細胞が使用されてもよい。
【0176】
ヒトHuh7肝臓癌細胞を、96ウェル培養プレート内に1×10細胞/ウェルの密度で播種し、完全培地(10%ウシ胎児血清を含有するDMEM)中で一晩インキュベートする。翌朝、0〜10μMタンパク質又は等量のタンパク質希釈緩衝液を含有する完全培地で培地を交換する。所望であれば、α−インターフェロンを濃度100IU/mlにて添加する。ウイルス感染の前に、細胞を2〜8時間前処理する。前処理後、完全培地中のEMCウイルス希釈物を含む等容積の培地をウェルに添加する。本明細書に記載の実験において、50〜500の範囲のプラーク形成単位(pfu)をウェル毎に添加する。
【0177】
ウイルス感染を一晩(約18時間)進行させ、任意の入手可能な細胞生存率又は細胞毒性試薬を使用して、生存細胞の割合を計算する。本明細書に記載の結果は、生存細胞中のテトラゾリウム化合物[3−(4、5−ジメチル−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩;MTS]の、着色ホルマザン化合物への変換を測定する細胞生存率試験を使用して獲得される。MTSのホルマザンへの変換は、96−ウェルプレートリーダー内で492nmの吸光度にて検出する。得られた吸光度を直接プロットして細胞生存率を見積もるか、又は対照−処理試料により正規化して処理後の生存細胞の百分率を計算する。
【0178】

ポリペプチドのペグ化(Pegylation);スルフヒドリル
ジチオスレイトール(diothiothreitol)(DTT)−フリー精製ポリペプチドを活性化mPEG−MAL(Nektar Therapeutics)と共に0.5〜10:1モル比で混合することにより、本発明のポリペプチドに対するポリエチレングリコール(PEG)のコンジュゲーションを実施した。反応は室温で5分間〜2時間進行し、2mM DTTを加えてクエンチした。コンジュゲーションは、線状20kDa及び分岐状40kDa PEG(図6A及び図6B)を使用して、複数のシステイン部位に生じた。非ペグ化形態と、1つ以上のPEGを含む形態とは、当業者に周知の通り、種々のクロマトグラフの方法体系を使用して互いに分離してもよい。本発明の代表的な実施形態において、異なるPEG形態の単離に、イオン交換カラム、疎水性相互作用カラム、ゲル濾過及びサイズ排除クロマトグラフィーを各々単独で又は互いに組み合わせて使用してもよい。
【0179】
ポリペプチドのペグ化;N−末端
本発明のポリペプチドは、N−末端アミンにてペグ化することができる。20mMナトリウムシアノボロヒドリド(cyanobororohydride)を含有するpH5の50mM NaHPO、300mM NaCl、30%グリセリン、1mM EDTA、2mM DTT中の、氷浴内で撹拌しているポリペプチドに、5倍過剰量のmPEGブチルALD−40Kを加える。反応を10時間まで進行させた後、50倍過剰量のグリシンを加えてクエンチする。反応生成物をSDS−PAGEで解析する。
【0180】
以下の実施例は、説明のために提供し、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0181】
実施例1
非ヒト霊長類OAS1タンパク質のアミノ酸改変
非ヒト霊長類由来のOAS1遺伝子を配列決定して、ヒトOAS1遺伝子に見出される突然変異と比較した。このような突然変異は、OAS1遺伝子及びタンパク質の進化に関する更なる洞察を提供する。進化的に保存されたアミノ酸は、OAS1機能又は酵素活性に重要な又は決定的な部位を暗示する。逆に、例えばヒトのみにて最近変異したOAS1アミノ酸部位、又は霊長類全体で複数のアミノ酸置換を示すアミノ酸部位は、機能又は酵素活性に比較的決定的ではない部位を示す。OAS1タンパク質の特定のモチーフ内の豊富な変位部位は、機能的ドメインの改変に対する耐性と相関する。このような部位及びモチーフは、タンパク質機能又は特定の活性を改善するよう最適化されている。同様に、OAS1の様な免疫又はウイルス防御機能を伴う遺伝子及びタンパク質の突然変異は、ウイルス感染による歴史的な挑戦から生じたものと仮定される。これに基づき、霊長類OAS1タンパク質の突然変異は、抗ウイルス効力を向上させ、ヒト治療OAS1タンパク質を最適化する機会であるとることが仮定される。
【0182】
代表的な実施形態において、OAS1内の特定の部位における祖先霊長類アミノ酸は、タンパク質特定の活性又は抗ウイルス効力を最適化するために、OAS1タンパク質のヒト治療形態に回復させる場合がある。別の実施形態において、必ずしも先祖から保存された訳ではない非ヒト霊長類OAS1にて同定された代替的アミノ酸を、OAS1のヒト治療形態と置換して、タンパク質特定の活性又は抗ウイルス効力を向上させる。天然霊長類タンパク質、及び霊長類−ヒトハイブリッド形態の両方をコードするDNA及びmRNA配列は新規であり、実用性を有している。その実用性の数個の例は:それら各々のDNA又はmRNA対応物を検出する薬剤として;治療タンパク質の製造における発現ベクターとしての使用;及び各mRNAに結合する新規化合物の検出である。
【0183】
図1は、OAS1(配列番号1)の治療形態を示す。この形態を改変して更なる治療形態を提供する。図2に示す少なくとも1つのアミノ酸改変を使用して、実施する.図2に示す通り、有用な改変は、配列番号1及びOAS1の他の形態からの開始メチオニンの除去である。図3に示す通り、更なる改変を実施する。図2及び図3に示した先行する改変は、図5に示す他の治療OAS1アイソフォームにも適用される。図3は、Genbankアクセッション番号NP_002525.1と相同のカルボキシル末端であるOAS1タンパク質の特定の改変(例えば、配列番号3)、Genbankアクセッション番号NP_0058132.1と相同のカルボキシル末端であるOAS1タンパク質の特定の改変(例えば、配列番号2)及びGenbankアクセッション番号NP_001027581.1と相同のカルボキシル末端であるOAS1タンパク質の特定の改変(例えば、配列番号4)も示す。図4に、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、及びマカクを含む非ヒト霊長類内で同定された代表的な突然変異を列挙する。図5に、本発明の診断及び治療目的に有用な、更なるヒト及び非ヒト霊長類OAS1アイソフォーム、又本発明に記載した特定の霊長類の突然変異を列挙する。
【0184】
実施例2
CDNAの調製及び配列決定
C型肝炎抵抗性表現型を有する患者由来の、培養したリンパ芽球細胞又は繊維芽細胞から、全細胞RNAを精製する。精製手順を、UiomczynsKi, et al., Anal. Biochem., 162:156−159 (1987)に記載の通り実施する。細胞を、4.0Mチオシアン酸グアニジン、pH7.5の0.1M Tris−HCl、及び0.1M β−メルカプトエタノールを含有する10ミリリットル(ml)の変性緩衝液中でホモジナイズして、細胞溶解物を形成する。次に、サルコシン酸ラウリルナトリウムを、0.5%の最終濃度まで、細胞溶解物に混合し、その後、混合物を5000Xgにて室温で10分間遠心分離する。得られた全RNAを含有する上清を5.7M塩化セシウム及びpH7.5の0.01MEDTAのクッション上に積み重ね、遠心分離によりペレット化する。得られたRNAペレットを、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有するpH7.6の10mM Tris−HCl及び1mM EDTA(TE)に溶解する。フェノールクロロホルム抽出及びエタノール沈殿後、260nmで吸光度を測定することにより、精製した全細胞RNAの濃度を概算する。
【0185】
上記で調製した全RNAを第一鎖合成に関する逆転写酵素を使用して、cDNA合成のテンプレートとして使用し、5’及び3’フラグメントと指定された二つの重複フラグメント内のcDNAを増幅するよう設計されたオリゴヌクレオチドプライマーによるPCRを行う。本発明の実施に使用するオリゴヌクレオチドは、Applied Biosystems 381A DNA Synthesizer上で、製造業者の指示に従って合成される。PCRは、当該技術分野で周知の方法を使用して実施される。PCR増幅方法は、米国特許第4,683,192号、米国特許第4,683,202号、米国特許第4,800,159号、及び米国特許第4,965,188号、並びに少なくともPCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification, H. Erlich, ed., Stockton Press, New York (1989);and PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Innis, et al., eds., Academic Press, San Diego, Calif. (1990)を含む数個の教科書に詳細に記載されており、プライマーは、本明細書に開示されるアミノ酸改変領域をコードするヌクレオチド配列に基づく。
【0186】
HCV感染を有する患者と有さない患者のPCR増幅によるDNAから直接決定される配列を解析する。OAS遺伝子のコード領域上流の突然変異の存在は、ウイルス暴露が繰り返されるにもかかわらず、HCVに対して血清陰性である患者にて検出することができる。
【0187】
前記の明細書は、具体的な実施形態及び実施例を含め、本発明を例示することを目的としたものであり、本発明を限定することを目的としたものではない。本発明の真の趣旨及び適用範囲から逸脱することなく、その他多くの変更及び改変を行うことができる。引用した全ての特許、特許文献、及び非特許文献は、参考として本明細書に組み入れられている。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】OAS1タンパク質(配列番号1)の治療形態のアミノ酸配列。
【図2】OAS1の全治療形態において有用なアミノ酸置換を列挙する表。
【図3−1】OAS1の治療形態において有用な霊長類OAS1アミノ酸改変を列挙する表。が付いている箇所は、Genbankアクセッション番号NP_002525.1に相同のカルボキシル末端であるOAS1の形態を指す。+が付いている箇所は、Genbankアクセッション番号NP_0581321に相同のカルボキシル末端であるOAS1の形態を指す。^が付いている箇所は、Genbankアクセッション番号NP_001027581.1に相同のカルボキシル末端であるOAS1の形態を指す。
【図3−2】OAS1の治療形態において有用な霊長類OAS1アミノ酸改変を列挙する表。が付いている箇所は、Genbankアクセッション番号NP_002525.1に相同のカルボキシル末端であるOAS1の形態を指す。+が付いている箇所は、Genbankアクセッション番号NP_0581321に相同のカルボキシル末端であるOAS1の形態を指す。^が付いている箇所は、Genbankアクセッション番号NP_001027581.1に相同のカルボキシル末端であるOAS1の形態を指す。
【図4−1】霊長類OAS1遺伝子の突然変異の位置、及び対応するアミノ酸改変を示す表。
【図4−2】霊長類OAS1遺伝子の突然変異の位置、及び対応するアミノ酸改変を示す表。
【図5−1】ヒト及び非ヒト霊長類形態を含む、本発明の更なるOAS1アイソフォームのリスト。霊長類アイソフォームの突然変異も提供する。これらのアイソフォームは、単独で、又は本発明にて同定された任意の突然変異と共に、診断、治療、及び本明細書に記載のその他の目的に有用である。
【図5−2】ヒト及び非ヒト霊長類形態を含む、本発明の更なるOAS1アイソフォームのリスト。霊長類アイソフォームの突然変異も提供する。これらのアイソフォームは、単独で、又は本発明にて同定された任意の突然変異と共に、診断、治療、及び本明細書に記載のその他の目的に有用である。
【図5−3】ヒト及び非ヒト霊長類形態を含む、本発明の更なるOAS1アイソフォームのリスト。霊長類アイソフォームの突然変異も提供する。これらのアイソフォームは、単独で、又は本発明にて同定された任意の突然変異と共に、診断、治療、及び本明細書に記載のその他の目的に有用である。
【図5−4】ヒト及び非ヒト霊長類形態を含む、本発明の更なるOAS1アイソフォームのリスト。霊長類アイソフォームの突然変異も提供する。これらのアイソフォームは、単独で、又は本発明にて同定された任意の突然変異と共に、診断、治療、及び本明細書に記載のその他の目的に有用である。
【図5−5】ヒト及び非ヒト霊長類形態を含む、本発明の更なるOAS1アイソフォームのリスト。霊長類アイソフォームの突然変異も提供する。これらのアイソフォームは、単独で、又は本発明にて同定された任意の突然変異と共に、診断、治療、及び本明細書に記載のその他の目的に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴアデニレートシンセターゼ遺伝子(OAS1)の突然変異を同定するためのヒト遺伝的スクリーニング方法であって、核酸試料中のOAS1突然変異を検出することを含み、、該突然変異は、コードされたOAS1タンパク質内に少なくとも1つのアミノ酸改変をもたらす、方法。
【請求項2】
1位、24位、25位、28位、31位、36位、47位、53位、54位、64位、69位、74位、104位、108位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、127位、130位、139位、142位、160位、161位、162位、166位、175位、179位、226位、242位、246位、248位、250位、254位、274位、279位、282位、284位、288位、289位、292位、295位、314位、315位、及び335位における少なくとも1つのアミノ酸改変を除いて、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、オリゴアデニレートシンセターゼ1タンパク質。
【請求項3】
Genbankアクセッション番号NP_002525.1と相同なカルボキシル末端であるOAS1タンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むオリゴアデニレートシンセターゼ1タンパク質であって、該アミノ酸配列が363位にアミノ酸改変を有する、タンパク質。
【請求項4】
347位、350位、352位、353位、354位、356位、357位、361位、363位、364位、365位、369位、371位、373位、374位、375位、378位、379位、382位、388位、389位、及び394位における少なくとも1つのアミノ酸改変を除いて、Genbankアクセッション番号NP_058132.1と相同のカルボキシル末端であるOAS1タンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、オリゴアデニレートシンセターゼ1タンパク質。
【請求項5】
347位、361位、364位、372位、384位、385位、及び399位における少なくとも1つのアミノ酸改変を除いて、Genbankアクセッション番号NP_001027581.1と相同のカルボキシル末端であるOAS1タンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、オリゴアデニレートシンセターゼ1タンパク質。
【請求項6】
1位、24位、25位、28位、31位、36位、47位、53位、54位、64位、69位、74位、104位、108位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、127位、130位、139位、142位、160位、161位、162位、166位、175位、179位、226位、242位、246位、248位、250位、254位、274位、279位、282位、284位、288位、289位、292位、295位、314位、315位、335位、347位、350位、352位、353位、354位、356位、357位、361位、363位、364位、365位、369位、371位、373位、374位、375位、378位、379位、382位、388位、389位、及び394位における少なくとも1つのアミノ酸改変を除いて、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、オリゴアデニレートシンセターゼ1タンパク質。
【請求項7】
1位、24位、25位、28位、31位、36位、47位、53位、54位、64位、69位、74位、104位、108位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、127位、130位、139位、142位、160位、161位、162位、166位、175位、179位、226位、242位、246位、248位、250位、254位、274位、279位、282位、284位、288位、289位、292位、295位、314位、315位、335位、及び363位における少なくとも1つのアミノ酸改変を除いて、配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、オリゴアデニレートシンセターゼ1タンパク質。
【請求項8】
1位、24位、25位、28位、31位、36位、47位、53位、54位、64位、69位、74位、104位、108位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、127位、130位、139位、142位、160位、161位、162位、166位、175位、179位、226位、242位、246位、248位、250位、254位、274位、279位、282位、284位、288位、289位、292位、295位、314位、315位、335位、347位、361位、364位、372位、384位、385位、及び399位における少なくとも1つのアミノ酸改変を除いて、配列番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、オリゴアデニレートシンセターゼ1タンパク質。
【請求項9】
配列番号5〜16の何れか1つのアミノ酸配列を有するポリヌクレオチドを含む、オリゴアデニレートシンセターゼ1タンパク質。
【請求項10】
請求項2〜9の何れか1項に記載のポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項11】
哺乳動物においてウイルスによる感染を処置又は予防するための治療組成物であって、請求項2〜9の何れか1項に記載のポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項12】
前記ウイルスがフラビウイルスである、請求項11に記載の治療組成物。
【請求項13】
前記ウイルスがC型肝炎ウイルスである、請求項12に記載の治療組成物。
【請求項14】
哺乳動物において癌を処置するための治療組成物であって、請求項2〜9の何れか1項に記載のポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項15】
前記癌が前立腺癌である、請求項14に記載の治療組成物。
【請求項16】
哺乳動物においてウイルス感染を処置又は予防するための治療化合物であって、請求項2〜9の何れか1項に記載のポリペプチドの活性の阻害剤である、化合物。
【請求項17】
アンチセンス分子である、請求項16に記載の治療化合物。
【請求項18】
RNAi分子である、請求項16に記載の治療化合物。
【請求項19】
リボザイムである、請求項16に記載の治療化合物。
【請求項20】
抗体である、請求項16に記載の治療化合物。
【請求項21】
請求項2〜9の何れか1項に記載のポリペプチドを少なくとも1つ含む、ウイルス感染に対する抵抗性を測定するための診断キット。
【請求項22】
(a)スクリーニング、診断、予後診断、治療的モニタリング、又はそれらの用途の任意の組み合わせのための少なくとも1つのポリペプチドの使用に関する指示書;及び
(b)スクリーニング、診断、予後診断、若しくは治療的使用、又はそれらの任意の組み合わせに関する規制当局の認可を示す標識又は挿入物、
の1つ以上を更に含む、請求項21に記載の診断キット。
【請求項23】
前記少なくとも1つのポリペプチドが検出可能に標識される、請求項21に記載の診断キット。
【請求項24】
哺乳動物対象におけるウイルス疾患を処置する方法であって、該処置を必要とする対象に、請求項11の治療組成物を提供することを含む、方法。
【請求項25】
前記ウイルス疾患が、フラビウイルス科ファミリー、ピコルナウイルス科ファミリー、ヘパドナウイルス科ファミリー、コロナウイルス科ファミリー、パラミクソウイルス科ファミリー、レトロウイルス科ファミリー、ラブドウイルス科ファミリー、パピローマウイルス科ファミリー、及びヘルペスウイルス科ファミリーからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ウイルス疾患が、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、ウシウイルス性下痢症ウイルス、B型肝炎ウイルス、脳心筋炎ウイルスィルス、ヒトライノウイルス、A型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルス、ヒトTリンパ球好性ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、SARSコロナウイルス、狂犬病ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、呼吸器多核体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヒトパピローマウイルス、及び単純ヘルペスウイルスからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
哺乳動物対象における癌を処置する方法であって、該処置を必要とする対象に、請求項14に記載の治療組成物を提供することを含む、方法。
【請求項28】
前記癌が、副腎皮質癌、AIDS関連癌、カポシ肉腫、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、星状細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、脳幹グリア細胞腫、脳腫瘍、グリア細胞腫、星状細胞腫、悪性グリア細胞腫、上衣細胞腫、髄芽腫、神経芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視覚路及び視床下部グリア細胞腫、乳癌、気管支腺腫、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、中枢神経系リンパ腫、子宮頸癌、白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病及び慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫ファミリー、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼癌、眼球内黒色腫、網膜芽細胞種、胆嚢癌、胃癌、妊娠性トロホブラスト腫瘍、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性CNSリンパ腫、上咽頭癌、島細胞癌、腎(腎細胞)癌、喉頭癌、口唇及び口腔癌、肝臓癌、肺癌、非小細胞及び小細胞肺癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、メルケル細胞癌、中皮腫、転移性扁平上皮性頸部癌、多発性内分泌腫瘍、多発性骨髄腫、形質細胞新生物、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、鼻腔及び副鼻腔癌、胚細胞性及び上皮性等の卵巣癌、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、前立腺癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、セザリー症候群、例えば黒色腫及び扁平上皮癌等の皮膚癌、睾丸癌、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺癌、移行細胞癌、絨毛性腫瘍、尿道癌、子宮癌、経膣癌、外陰癌、並びにウィルムス腫瘍からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【公表番号】特表2009−504135(P2009−504135A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510166(P2008−510166)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/016983
【国際公開番号】WO2006/119363
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(506139417)イルミジェン バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】