説明

P4サブユニットとしてサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾンを有するFXA阻害剤、この製造方法、及びこの薬学的組成物並びに誘導体

本発明はサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有する新規なオキサゾリジノン誘導体、この薬学的に許容される塩、この製造方法及びこれを含有する薬学的組成物に関するものである。前記サイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体又はこの薬学的に許容される塩は、因子Xaの抑制に基づいた抗凝固剤として血栓塞栓症及び腫瘍の治療に有用に使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有する新規なオキサゾリジノン誘導体、この薬学的に許容される塩、この製造方法及びこれを含有する薬学的組成物に関するものである。
【0002】
【化1】

【0003】
前記式において、A環は下記構造からなる群より選ばれる残基である。
【0004】
【化2】

【0005】
化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有する新規なオキサゾリジノン誘導体の抗血栓及び抗凝固効果は、因子Xaとして知られている活性化された凝固プロテアーゼ又は因子Xa、因子IXa或いはトロンビンのような他の活性化されたセリンプロテアーゼの阻害に起因する。
【背景技術】
【0006】
血液凝固因子は血漿中に分布し、カスケード方式で作用して血液凝固を引き起す第1凝固因子から第13凝固因子までの数多くの種類の因子を有する。各血液凝固因子が血液凝固に関与するメカニズムを図1に示した。
【0007】
図1に示したように血液凝固は非常に精巧であり、複雑かつ順次的な反応によりなされる。一般的に非活性化された前駆物質が活性化された特定の血液凝固因子(凝固因子の最後に“a”がついたもの)により活性化される。以後、次の血液凝固因子が活性化される。これら活性化された血液凝固因子の大部分は、セリンプロテアーゼ(serine protease)系列の酵素である。これらは傷部位で活性化された血小板の表面に付いて順次に血液凝固因子を活性化させ、最終的にフィブリン血栓(fibrin clot)を造り出して止血を促す。
【0008】
トロンビンは凝固カスケードの最終段階に関与する多機能性凝固因子である。トロンビンの前駆物質であるプロトロンビンは、Va因子、Xa因子、Ca++、及びリン脂質(phospholipids; PL)から構成されたプロトロンビナーゼ複合体(Prothrombinase complex)により活性化され、これがフィブリノーゲンをフィブリンに変換させる。生成されたフィブリンは、凝固して付着した血小板(aggregated platelet)を包んで血液凝固を引き起こす。最終的に、フィブリンはXIIIa因子により架橋結合(crosslinking)されて安定化したフィブリン血栓を生成する。
【0009】
プロトロンビナーゼ複合体(Prothrombinase complex)が形成されるためにはX因子がXa因子に活性化されなければならないが、これは主としてXase複合体により媒介される。内因性経路を通じて生成されたVIIIa因子、IXa因子、Ca++及びリン脂質(PL)又は外因性経路を通じて生成されたVIIa因子、組織因子(TF)及びCa++がXase複合体として作用する。
【0010】
トロンビンはまた、V因子とVIIIa因子を活性化させる。トロンビンが過多生成されると、血管自体が詰まる可能性がある。これを避けるために、トロンビンは血液凝固抑制作用を稼動させる。即ち、トロンビンは、トロンボモジュリン(thrombomodulin)に結合してプロテインC(protein C)を活性化させる。前記活性化されたプロテインC(activated protein C; APC)はプロテインS(protein S)と結合した後、Va因子とVIIIa因子を非活性化させる。
【0011】
実際に因子Xa自体はセリンプロテアーゼであり、複雑な血液凝固の過程に関与する。因子Xaはプロトロンビナーゼ複合体の必須構成源として、プロトロンビンのトロンビンへの転換のための触媒として作用する。トロンビンは、フィブリノーゲンをフィブリンモノマーに転換させ、前記生成されたフィブリンモノマーは血栓の形成及び安定化に関与する。したがって、トロンビンの過多又は不適切な生成は血栓塞栓症を誘発する可能性がある。よって、トロンビン自体又はトロンビン生成の阻害は、血栓の形成に関与するフィブリンの生成を減少させて血栓塞栓症を予防することができる。
【0012】
要約すると、因子Xaの阻害はトロンビンの形成を阻害して血栓塞栓症を予防又は緩和することができる。本発明において化学式Iで表される化合物、及びこの薬学的に許容される塩は、因子Xaを阻害することによって究極的に前記論理に従って血栓塞栓症(MI、脳卒中、PE等)を予防することができる。
【0013】
因子Xa阻害剤として知られている化合物中において、アンチスタシン(antistasin, ATS)とダニ抗凝固ペプチド(tick anticoagulant peptide, TAP)が代表的な蛋白質阻害剤である。ATS(119個のアミノ酸から構成される)はヒルから分離された天然ペプチドであって、因子Xaに対して0.05nMのKi値を有する。TAPはまた60個のアミノ酸からなり、因子Xaに対して0.5nMのKi値を有するダニから分離されたペプチドである。ところが、前記阻害剤は臨床用途に制限があり、ヘパリンやその硫酸化多糖類(sulfated polysaccharide)誘導体が極めて制限的に臨床に使用されている。
【0014】
低分子化合物が血液凝固阻害剤、特にWO9529189に記述されている因子Xa阻害剤として開発された。一方、WO9933800はインドール部分を有する因子Xa阻害剤について記述している。また、多様な因子Xa阻害剤が発見されており開発中にある。例えば、窒素原子を有するヘテロ環化合物(WO2004058743)、イミダゾール誘導体(WO2004050636)、パラゾール誘導体(WO2004056815)、インドール-2-カルボキサミド誘導体(WO2003044014)、オキシベンザミド誘導体(WO2002051831)、クアニジン/アミジン誘導体(WO2002046159)、アミノ-ビサイクリックピラジノン/ピリジノン誘導体(WO2004002405)等がある。
FXa 阻害剤として臨床的に有用であるために、これら分子は高い抗血栓効果、血漿と肝における高い安定性、他の関連セリンプロテアーゼ(トロンビン、トリプシン、カテプシンG等)に対する適切な選択性、低い毒性、及び満足し得る生体利用率(bioavailability)を有していなければならない。
本発明と類似したオキサゾリジノンを有する最も先駆の化合物はリバロキサバン(Rivaroxaban)(化学式A)であって、現在臨床第3相が進行中である。化学式Bで表される幾つかのオキサゾリジノン誘導体がWO 01/47917に記述されている。ところが、このような化合物のうち一部は制限された溶解度を有し、この問題の特定例はバロキサバンである。バロキサバンの溶解度は8mg/Lに過ぎない。前記溶解度は、可変性と低い溶出を含む実際の限界を引き起こすことがある。これらの問題は高溶解性部分を導入することにより解決され得る。
【0015】
【化3】

【0016】
WO 2004/83174は、アピキサバン(Apixaban)を含むパラゾール誘導体の用途について記述している。これら阻害剤の一部は、化学式Cで表されるサイクリックアミドキシム及びスルホニルアミジン誘導体である。
【0017】
しかしながら、因子Xa阻害剤としてオキサゾリジノンスキャホールド(scaffold)内へのサイクリックアミドキシムやサイクリックアミドラゾンの特定の導入について記述している本発明と類似した先行技術はない。
【0018】
【化4】

【0019】
FXa阻害剤及びトロンビン阻害剤に対する最近の研究の主な傾向は、アミジン機能を具現することである。アミジン機能、いわゆるP1グループはS1ポケットの下部に位置したAsp189に結合するように設計される。FXaとトロンビンはいずれもP1部位であって、天然基質内のアルジニン残基を認識する。アルジニンのグアニジンを代替するアミジングループ(グアニジン誘導体を含む)は、非常に親水性が高い。したがって、アミジン機能を有する阻害剤は吸収が十分でなく、一旦吸収されるとしてもアミジンの高い内因性極性により非常に素早く消える(Drugs of the Future, 1999, 24(7), 771.)。
【0020】
アミジン自体は強い塩基性特性(PKa:約12.5)を有する。生理的条件における陽電荷により、アミジン阻害剤は一般的に低い吸収度を示す。よって、低い塩基性を有する代替物に替えることが必要である。代表的な例として、ピリジン誘導体、アミドラゾン(amidrazone)、サイクリックアミン(cyclic amine)、アルキルアミン誘導体、アミノベンズイソキサゾール(aminobenzisoxazole)等が挙げられる(US 6958356)。また、この問題を解決するための根本的に別のアプローチがあり、これはアミドキシムを含む。アミドキシムはアミジン構造にヒドロキシルグループを追加することで簡単に合成され、生体内において弱いN-O結合が容易にアミジンに還元される点に基づいた前駆薬物である。このアプローチはアミドキシムのPKa(8-9)がアミジンに比して顕著に低い点を利用する。キシメラガトラン(ximelagartran)は、同じ類型の前駆薬物のまた別の例である。この傾向は、FXa阻害剤の研究においてだけでなくトロンビン阻害剤の研究においても観察される。ところが、このような試みの大部分は期待するほどは好ましくないものと判明した。三番目の試みとして中性P1グループが導入される。他の薬物とは異なり、FXa及びトロンビン阻害剤は血液中の濃度が高ければ高いほど、好ましい効能を示す傾向がある。さらに、血液中の血清蛋白質に結合しない自由薬物(free drug)の濃度が非常に重要である。中性P1グループ阻害剤の場合、蛋白質結合が高く期待値よりは好ましくない効能を示す。
【0021】
このような問題を解決するために、本願発明者らは中性グループをP1部位に固定する代わりに、別の部位に相対的に極性のある基を導入した。前記論理と一致するように、薬効を改善させるために下記のような幾つかの別の重要な因子を導入した: 1)水溶解度の実質的な改善; 2)低い血漿蛋白質結合、薬物の自由濃度が高い場合、FXa 結合親和力(binding affinity)が相対的に低いにも拘らずPT分析における効能が増加する。
【0022】
本発明において、極性基(polar group)の導入のために選ばれた部位は、阻害剤のP4サブサイト(sub-site)であり、その理論的な背景は下記のとおりである。FXaのS4部位は、Tyr99、Phe174、及びTrp215により3面が囲まれた ‘U' 形態の結合部位を有している。この結合部位は芳香族アミノ酸側鎖でのみ構成されており、Leu99、Ile174、及びTrp215で囲まれたトロンビンとは異なる。前記差異は薬物の設計に利用される。
【0023】
FXaのS4ポケットは陽イオン残基と相互作用を十分に行い、通常的に“π-カチオン相互作用(π-cation interaction)”と呼ばれる。実際に幾つかの阻害剤はP4部位に陽電荷を帯びるように設計及び合成される。本発明においては、上記で言及したとおり水溶解度を改善させ、蛋白質結合を減らして薬効を増進させるために、サイクリックアミドキシム又はアミドラゾンがP4部位に導入される。サイクリック形態を選択した理由は、一般的に吸収に否定的効果を示すNH結合の数を減らすことにより吸収を改善させることができると判断したところにある。最近の研究によると、薬物が水素結合受容体(Hydrogen bond acceptor, HBA)よりも水素結合供与体(hydrogen bond donor, HBD)が少なければ少ないほどさらに有利である。Lipinski's Ruleによると、HBAは10個まで許容するが、HBDは5個以内に限られ(Adv. Drug Delivery Rev., 2001, 46, 3-26)、特に新薬の場合、平均HBD数が約 2個であって、これはHBDがさらに厳格に制限されるということを示す(J. Med. Chem. 2004, 47, 6338-48)。アミドキシムやアミドラゾングループ自体は塩基性の特性を有しており、塩状態より容易に分離-精製-保管が可能であり、その結果、水溶解度が増加するものと予想される。
【0024】
要約すると、本発明者は、P4部位にアミドキシム又はアミドラゾンを導入した。HBDの数を減らすために、本発明者はサイクリック形態の機能を使用してより薬物-親和性阻害剤を製造した。
【0025】
本発明の化学式Iの化合物は、前記言及した長所を有するものと実際に確認された。2×PT値及びKiと共に、水溶解度及び蛋白質結合の水準が提示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
これに対し、本発明者は、有用な特性を有するサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有する新規なオキサゾリジノン誘導体化合物を合成し、これは薬学的製剤の製造に適用され得る。特にサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体は、FXa阻害効果を示して血栓症、心筋梗塞、動脈硬化、炎症、卒中、狭心症、血管成形術後の再発性狭窄症及び間歇性跛行のような血栓塞栓症の治療及び予防に使用され得る。また、本発明によるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体化合物は、血液凝固カスケードにおいて凝固因子である因子VIIa、因子IXa及びトロンビンの阻害剤として作用し得る。
【0027】
本発明の目的は、因子Xa-阻害特性を示すサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有する新規なオキサゾリジノン誘導体又はこれらの薬学的に許容される塩を提供するものである。
【0028】
本発明の別の目的は、サイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体又はこれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含む抗凝固用薬学的組成物を提供することである。
【0029】
本発明のまた別の目的は、サイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体又はこれらの薬学的に許容される塩を有効成分として含有する血栓症、心筋梗塞、動脈硬化、炎症、卒中、狭心症、再発性狭窄症、間歇性跛行、静脈血栓症、肺塞栓症、動脈血栓症、心筋虚血又は血栓塞栓症の治療又は予防のための薬学的組成物を提供することである。
【0030】
さらに、本発明のまた別の目的は、サイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体又はこれらの薬学的に許容される塩及び血栓溶解剤を併用使用することを特徴とする冠状動脈疾患、大脳動脈疾患及び末梢動脈疾患の治療又は予防のための薬学的組成物を提供することである。
【0031】
また、本発明のまた別の目的は、サイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体又はこれらの薬学的に許容される塩のインビトロにおける血液、血漿及び血液製品の保存のための抗凝固剤としての用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は、化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有する新規なオキサゾリジノン誘導体又はこの薬学的に許容される塩、この製造方法及びこれを含有する薬学的組成物に関するものである。
【0033】
【化5】

【0034】
前記式において、A環は下記構造からなる群より選ばれる残基であり、
【0035】
【化6】

【0036】
R1乃至R12は独立して水素、(C1-C7)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C6-C12)アリルであるか酸素、硫黄及び窒素からなる群より選ばれる1個乃至4個のヘテロ原子を含有する(C4-C12)へテロアリルであり、R3とR4は(C3-C5)アルキレンで連結されて環を形成し、前記アルキレンの炭素原子はカルボニルに置換され得、前記R1乃至R12のアルキル、シクロアルキル、アリル又はヘテロアリルは(C1-C7)アルキル、ハロ(C1-C7)アルキル、(C1-C7)アルコキシ及びハロゲンからなる群より選ばれるいずれかに置換され得、
R13は水素、(C1-C7)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ホルミル、(C1-C7)アルキルカルボニル、(C1-C7)アルコキシカルボニル又は(C6-C12)アリルである。
【0037】
本発明において、「アリル」は一つの水素を除去することにより芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルであって、単一又は融合環系の各環に6乃至12個、好ましくは6乃至10個の環原子を含有する。正確にはフェニル、ナフチル、ビフェニル及びインデニルを含むが、これに限定されない。
【0038】
本発明において、「ヘテロアリル」は芳香族環骨格原子としてN、O及びSからなる群より選ばれる1乃至4個のヘテロ原子を含有し、残りの芳香族環骨格原子が炭素であるアリルグループを指し、5乃至6員単環へテロアリル、及び少なくとも一つのベンゼン環と縮合された多環式ヘテロアリルであり、部分的に飽和されることもある。
【0039】
本発明のサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体は、下記の化学式II乃至化学式XIから選ばれる。
【0040】
【化7】

【0041】
【化8】

【0042】
【化9】

【0043】
前記式において、R1乃至R12は独立して水素、(C1-C7)アルキル又は(C3-C7)シクロアルキルであり、R13は水素、(C1-C7)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ホルミル又は(C1-C7)アルキルカルボニルであり、mは1乃至3の整数である。
【0044】
本発明のサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体の一つの例として、前記化学式II乃至化学式XIにおいて、R1乃至R12が独立して水素、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、R13は水素、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ホルミル又はアセチルであり、mは1の整数である。
【0045】
本発明のサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体は下記の化合物で例示され得るが、これに限定されない。
【0046】
【化10】

【0047】
【化11】

【0048】
本発明において、化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体の製造方法が反応式1乃至反応式5に例示されている。ところが、下記の方法が本発明の化学式Iのサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体の製造方法を限定する訳ではなく、下記方法の変形が許容されるということと本発明の基準に含まれるということが当業者にとって自明である。特に言及しない限り、一つの反応式内の置換体は化学式Iにおいて定義されたとおりである。
【0049】
下記反応式1乃至反応式5に示されているように、化学式Iのサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体の製造方法は、化学式Iの環化合物Aの構造にしたがって変形される。先ず、サイクリックアミドキシム化合物は反応式1の化合物B1とB2、反応式4の化合物Eのように合成した。また、サイクリックアミドラゾン化合物は、反応式1の化合物C1とC2、反応式2の化合物D1及び反応式5の化合物Fのように合成した。
【0050】
【化12】

【0051】
反応式1に示したように、化学式Iのサイクリックアミドキシム化合物B1とB2、及びサイクリックアミドラゾン化合物C1とC2の合成は、4-シアノアニリン(1)と2-(((S)-オキシラン-2-ニル)メチル)tert-ブチルオキシカルボニル(2)を反応させて化合物3を生成することにより行った。以後、1,1-カルボニルジイミダゾールとDMAPを利用してオキサゾリジノン環化合物4を合成し、塩酸で処理してboc保護基を除去した。5-クロロチオフェン-2-カルボン酸と縮合反応をさせ、HClで処理した。最終的に、この反応後の生成物をジアミン化合物と反応させて化学式Iのサイクリックアミドキシム化合物B1とB2、及びサイクリックアミドラゾン化合物C1とC2を生成した。
【0052】
化合物3の合成において、反応式2の方法と類似するように、2-(((S)-オキシラン-2-ニル)メチル)tert-ブチルオキシカルボニル(2)の代わりに反応式2の2-(((S)-オキシラン-2-イル)メチル)イソインドリン-1,3-ジオン(9)を利用してフタルイミドで保護されたアミン化合物を生成することができる。反応式1に2-(((S)-オキシラン-2-ニル)メチル)tert-ブチルオキシカルボニル(2)を利用した方法が記述されており、反応式2に2-(((S)-オキシラン-2-イル)メチル)イソインドリン-1,3-ジオン(9)を利用した方法が記述されている。
【0053】
化学式Iのサイクリックアミドラゾン化合物D1とD2は、二重結合の位置に従って分類され得、反応式2と反応式3により合成された。
【0054】
【化13】

【0055】
先ず、4-ニトロアニリン(6)をbocグループで保護してから、パラジウム触媒を利用して水素化した。以後、2-(((S)-オキシラン-2-イル)メチル)イソインドリン-1,3-ジオン(9)を利用してアミノアルコール化合物10を合成した。カルボニルジイミダゾールを利用してオキサゾリジノン環を造り、化合物11を得た。ヒドラジンでフタルイミド保護基を取り除き、5-クロロチオフェン-2-カルボン酸と縮合反応させて化合物13を合成した。化合物13を塩酸で処理してboc保護基を取り除いた後、bocで保護されたアミナールと反応させて化合物14を合成した。NaNO2を利用してニトロソ基を導入し、Znで還元させてヒドラジン化合物15を合成した。化合物15をオルトギ酸エステルと反応させてサイクリックアミドラゾン化合物D1を合成した。
【0056】
また、別のサイクリックアミドラゾン化合物D2を反応式3により合成した。
【0057】
【化14】

【0058】
前記反応式2に示した化合物14において、R7が水素である化合物14aを合成した後、アミノ基を導入し(15a)、再度アルキル基を導入した(16)。オルトギ酸エステルを利用して環化反応を誘導し、サイクリックアミドラゾン化合物D2を合成した。
【0059】
化合物Iのサイクリックアミドキシム化合物Eを反応式4により合成した。
【0060】
【化15】

【0061】
4-フルオロニトロベンゼンから製造した化合物17をメタンスルホニルクロライドと反応させて化合物18を製造し、ヒドロキシフタルイミドと反応させて化合物19を合成した。ヒドラジンでフタルイミド保護基を取り除いてから、bocグループで保護して化合物21を合成した。化合物21のニトロ基を亜鉛を利用して還元させて化合物22を製造し、2-(((S)-オキシラン-2-イル)メチル)イソインドリン-1,3-ジオン(9)を利用して反応式2のような方法で反応させて化合物26を合成した。化合物26を塩酸処理した後、オルトエステルと反応させて化合物Eを合成した。
【0062】
化合物Iのサイクリックアミドラゾン化合物Fを反応式5により合成した。
【0063】
【化16】

【0064】
4-フルオロニトロベンゼンから製造した化合物17をtbs(tert-ブチルジメチルシリル)基で保護した後、bocでアミン部分を保護して化合物27を合成した。パラジウム触媒を利用してアミンを製造し、Cbz-Clと反応させて化合物28を製造した。化合物28をグリシジルブチレートと反応させて化合物29を製造した。アルコール基をアミンに替えて化合物30を合成した。この化合物をクロロチオフェンカルボン酸と反応させて化合物31を製造し、メタンスルフォニルクロライドと反応させた。この反応後の生成物をヒドラジンで処理して化合物33を得た。化合物33をオルトエステルと反応させて化合物Fを合成した。
【0065】
本発明の化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体は医学において、特に血栓症、心筋梗塞、動脈硬化、炎症、卒中、狭心症、血管成形後の再発性狭窄症、間歇性跛行、静脈血栓症、肺塞栓症、動脈血栓症、心筋虚血、血栓症に基づいた不安定狭心症及び発作のような血栓塞栓症の治療及び予防のための薬学的活性成分として使用され得る。
【0066】
本発明の化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体又はこれらの薬学的に許容される塩は、冠状動脈疾患、大脳動脈疾患又は末梢動脈疾患を含む粥状硬化性疾患の予防又は治療に使用され得る。心筋梗塞を治療するために、サイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体は、血栓溶解剤(例えば、アルテプラーゼ(alteplase)、テネクテプラーゼ(tenecteplase)等)と共に使用され得る。また、前記化合物は血栓溶解、経皮経管血管成形術(PTCA)及び冠状動脈バイパス手術以後の再閉塞の予防に使用され得る。
【0067】
本発明の化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体又はこれらの薬学的に許容される塩は、手術後に再血栓形成の予防のために使用され得る。また、人口臓器或いは血液透析と関連して抗凝固剤として使用され得る。前記化合物は、カテーテル及び生体内に使用される医療補助器具を洗浄するのに使用され得る。また、血液、血漿、及び他の血液製品の生体外保存のための抗凝固剤組成物として使用され得る。本発明の前記化合物はまた、癌(転移性癌を含む)、関節炎を含む炎症性疾患及び糖尿病のような二次的病変を引き起こす血液凝固関連疾病の治療に効果的である。
【0068】
本発明の化学式Iで表される、サイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体は、薬学的に許容可能な塩の形態で使用され得る。薬学的に許容可能な塩の場合、好ましくは薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)を利用して製造された酸付加塩である。無機酸又は有機酸のどちらであっても薬学的に許容される場合、遊離酸が使用され得る。無機遊離酸の例には、塩酸、ブロム酸、硫酸及びリン酸を含む。利用可能な有機遊離酸の例には、クエン酸、酢酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、グリコン酸、スクシン酸、4-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ガラクツロン酸、エンボン酸、グルタミン酸、及びアスファルト酸がある。本発明のオキサゾリジノン誘導体は、塩の水和物を含有し得る。特に前記塩が吸湿性を有する場合、好ましくは結晶性水和物の形態で使用される。
【0069】
本発明の化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体は、生体内での吸収性又は溶解度を増加させるために前駆薬物として製剤化され得、水和物又は溶媒和物の形態で使用され得る。例えば下記に示したように、生体に吸収された簡単に離脱し得る基を付けたり化合物を塩の形態で、正確には少なくとも一つの水和物や溶媒和物の形態で製造することができる。前記前駆薬物及び塩の水和物又は溶媒和物もまた本発明の範囲に属する。
【0070】
【化17】

【0071】
化学式Iで表されるオキサゾリジノン誘導体化合物、その水和物、その溶媒和物又はその薬学的に許容される塩の治療的投与量は、治療効果をもたらすように使用された特定の化合物、投与方法、治療の対象、及び治療する疾患等を考慮して決定され得るが、化学式Iで表されるオキサゾリジノン誘導体の好ましい投与量は、一日に0.1-20mg/kg(体重)である。前記一日の投与量は、1日の有効投与量の範囲内で一日に1回(一度に)又は適切に分割して一日に数回投与され得る。剤形に応じて経口投与、非経口投与(注射)又は局所投与が可能である。本発明の薬学的組成物は、錠剤、粉末剤、乾燥シロップ、噛める錠剤、顆粒剤、カプセル剤、軟質カプセル剤、丸剤、ドリンク剤、舌下剤等のような経口投与用として製剤化され得る。錠剤に製剤化される本発明の組成物は、生体利用性を有する有効投与量の錠剤を切断する任意の方法又は経路により患者に投与され得、これは経口経路であり得る。また、前記投与方法又は経路は治療する疾病の特性、段階及びその他事情に応じて決定され得る。本発明の組成物が錠剤として形成された場合、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。前記賦形剤の含量及び性質は、選ばれた錠剤の溶解度及び化学的特性、投与経路並びに標準薬剤実務により決定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】血液凝固メカニズムを示す図式である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本発明の前記及び他の目的と特徴は、添付の図面と共に下記本発明の説明から明確になるはずである。
【0074】
下記実施例に示したように、本発明の現実的な、また現時点における好ましい具体例を提示する。
【0075】
しかしながら、当業者であれば本発明の内容を考慮して本発明の範疇内で変形及び改善することが可能であることを認識するはずである。
【0076】
製造例1:化合物5の製造
【0077】
【化18】

【0078】
<1-1>化合物3の製造
4-アミノベンゾニトリル(1)(5g, 42.30mmol)及び2-(((S)-オキシラン-2-ニル)メチル)tert-ブチルオキシカルボニル(2)(8.79g, 50.78mmol)を2-イソプロピルアルコール(20 mL)に入れた後、12時間還流撹拌した。撹拌後の物質を減圧濃縮した後、カラムで移動させて表題の化合物3を白色固体として得た(7.30g, 25.1mmol, 59%)。
【0079】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ=7.41(d, J =8.4Hz, 4H)、6.59(d, J =8.4Hz, 1H)、4.95(br s, 1H)、4.80(br s, 1H)、3.97-3.93(m, 1H)、3.31-3.15(m, 5H)、1.46(s, 9H)
<1-2>化合物4の製造
前記で得た化合物3(7.30g, 25.05mmol)、1,1-カルボニルジイミダゾール(4.87g, 30.06mmol)及びジメチルアミノピリジン(1.53 g, 12.52 mmol)をテトラヒドロフラン(70 mL)に順次添加した後、12時間還流撹拌した。撹拌後の物質を減圧濃縮した後、エチルアセテート(300mL)に溶かした。1N-塩酸水溶液(50mL)、重炭酸ナトリウム水溶液(50 mL)で順次に洗浄した後、洗浄後の物質を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。濃縮後の物質をジエチルエーテル(100mL)で洗浄し、化合物4を白色固体として得た(6.60g, 20.8mmol, 83%)。
【0080】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ= 7.67(s, 4H)、4.95(br s, 1H)、4.82-4.79(m, 1H)、4.07(dd, J =8.8, 8.8Hz, 1H)、3.94(dd, J =8.8, 6.8Hz, 1H)、3.56-3.54(m, 2H), 1.38(s, 9H)
<1-3>化合物5の製造
前記で得た化合物4(6g, 18.90 mmol)をエチルアセテート(10 mL)に入れて1,4-ジオキサンに溶解された4N-塩酸(60mL)を入れた後1時間常温で撹拌した。生成された固体を減圧濾過し、エチルアセテート(20mL)及びジエチルエーテル(30mL)で順次に洗浄した。結果的にBocが取り除かれたアミン化合物の塩酸塩を白色固体として得た(4.60g, 18.1 mmol, 95.9%)。
【0081】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ=8.36(br s, 3H)、7.90(d, J =8.8Hz, 2H)、7.73(d, J =8.8Hz, 2H)、5.03-4.96(m, H)、4.25(dd, J =9.2, 9.2Hz, 1H)、3.92(dd, J =9.2, 6.4Hz, 1H)、3.28-3.25(m, 2H)
前記アミン化合物(4.60g, 18.13mmol)、HOBt(2.75g, 19.94mmol)、EDC(4.17g, 21.75mmol)、5-クロロチオフェン-2-カルボン酸(3.20g, 19.04mmol)、及びトリエチルアミン(triethylamine)(5.70mL, 39.88mmol)を順次的にN,N-ジメチルホルムアミド(50 mL)に添加した後、常温で12時間撹拌した。撹拌後の物質を蒸留水(800mL)に徐々に添加した後、生成された固体を減圧濾過した。濾過後の物質をジエチルエーテル(100mL)で洗浄し、化合物5を白色固体として得た(5.70g, 15.8mmol, 87%)。
【0082】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ=8.93(t, J =5.2Hz, 1H)、7.81(d, J =9.2Hz, 2H)、7.69(d, J =9.2Hz, 2H)、7.63(d, J =4.0Hz, 1H)、7.15(d, J =4.0Hz, 1H)、4.86-4.81(m, 1H)、4.17(dd, J =9.2, 9.2Hz, 1H)、3.83(dd, J =9.2, 5.2Hz, 1H)、3.57(dd, J =5.2, 5.2Hz, 2H); LCMS: C16H12ClN3O3Sに対して362(M+H+)
製造例2:化合物13の製造
【0083】
【化19】

【0084】
<2-1>化合物7の製造
4-ニトロアニリン(20g, 145mmol)をアセトニトリル(20 mL)に溶かした後、ジ-t-ブチルジカーボネート(63.2g, 290mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(3.54g, 29mmol)を滴加し、16時間還流撹拌した。反応溶液を常温で冷ました後、減圧濃縮して二つのboc保護基を有する褐色の固体化合物を得た(49g, 145mmol, 100%)。
【0085】
1H NMR(600MHz, CDCl3) δ= 8.25(d, J =9Hz, 2H)、7.36(d, J =9 Hz, 2H)、1.45(s, 18H)
このようにして得た化合物(49g, 145mmol)をメタノール(200 mL)に溶かした後、炭酸カリウム(60g, 434mmol)を滴加して16時間還流撹拌した。撹拌後の溶液を常温で冷ました後、減圧濃縮した。濃縮後の溶液に対してカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/エチルアセテート, 6/1)を行って表題の化合物7をうすい黄色の固体として得た(17.6g, 73.9mmol, 51%)。
【0086】
1H NMR(600MHz, CDCl3) δ=8.18(d, J =9Hz, 2H)、7.53(d, J =9Hz, 2H)、6.93(br s, 1H)、1.54(s, 9H)
<2-2>化合物8の製造
化合物7(17.6g, 73.9mmol)をエチルアセテート(200mL)に溶かした後、パラジウム/チャコール(10wt%, 3.9g)を入れて水素風船下で撹拌した。16時間後、この反応溶液をセライトを通過させて濾過し、減圧濃縮して表題の化合物8をうすい桃色の固体として得た(15.4g, 73.9mmol, 100%)。
【0087】
1H NMR(600MHz, CDCl3) δ= 7.12(br s, 2H)、6.62(d, J =9 Hz, 2H)、6.31(br s, 1H)、3.53(br s, 2H)、1.50(s, 9H)
<2-3>化合物10の製造
化合物8(13.5g, 65.1mmol)を2-プロパノール(170 mL)に溶かした後、(S)-グリシジルフタルイミド(9)(14.6g, 71.9mmol)を滴加して12時間反応させた。以後、(S)-グリシジルフタルイミド(9)(2.65g, 13.0mmol)をさらに入れて再度4時間還流撹拌した。この反応溶液を常温で冷ました後、減圧濃縮した。n-ヘキサン(500mL)で再結晶させて表題の化合物10を黄色の固体として得た(26.8g, 65.1mmol, 100%)。
【0088】
1H NMR(600MHz, CDCl3) δ=7.89-7.84(m, 2H)、7.78-7.73(m, 2H)、7.15(br, 2H)、6.63(d, J =8Hz, 2H)、6.26(br, 1H)、4.18-4.12(m, 1H)、4.05(br, 1H)、3.94-3.86(m, 2H)、3.25(dd, J =13, 4.5Hz, 1H)、3.15(dd, J =13, 6.6Hz, 1H)、2.84(d, J =4.8 Hz, 1H)、1.50(s, 9H)
<2-4>化合物11の製造
化合物10(26.8g, 65.1mmol)をテトラヒドロフラン(200mL)に溶かした後、1,1-カルボニルジイミダゾール(15.9g, 98.1mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(1.59g, 13.0mmol)を滴加し、16時間還流撹拌した。この反応溶液を常温で冷ました後、減圧濃縮した。飽和アンモニウムクロライド水溶液(200mL)を入れた後、エチルアセテート(250mL×2)で抽出した。集められた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後減圧濃縮した後減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(n-へキサン/エチルアセテート/ジクロロメタン、1/1/1)を行って表題の化合物11をうすい黄色の固体として得た(20.0g, 45.7mmol, 70%)。
【0089】
1H NMR(600MHz, CDCl3) δ= 7.91-7.87(m, 2H)、7.79-7.74(m, 2H)、7.43(d, J =9 Hz, 2H)、7.36(d, J =9Hz, 2H)、6.48(br s, 1H)、5.00-4.95(m, 1H)、4.15(dd, J =14, 7 Hz, 1H)、4.11(t, J =9 Hz, 1H)、3.97(dd, J =14, 6 Hz, 1H)、3.89(dd, J =9, 6 Hz, 1H)、1.52(s, 9H)
<2-5>化合物12の製造
化合物11(15.3g, 35.0mmol)をエタノール(200mL)に溶かした後、ヒドラジン水和物(3.40mL, 70.0mmol)を入れて3時間還流撹拌した。この反応溶液を常温に冷ました。生成された白色の固体を濾過して取り除き、濾液を減圧濃縮した。ジクロロメタン(100mL)を加えてから生成された固体を濾過して取り除いた。濾液を減圧濃縮した。この過程を2回繰り返して得られた物質を乾燥させて表題の化合物12を白色の固体として得た(10.0g, 32.5mmol, 93%)。
【0090】
1H NMR(600 MHz, CDCl3) δ= 7.45(d, J =9Hz, 2H), 7.37(d, J =9 Hz, 2H), 6.65 (br s, 1H), 4.67-4.63(m, 1H), 4.03(t, J =9 Hz, 1H), 3.82(dd, J =9, 7Hz, 1H), 3.09(dd, J =14, 4Hz, 1H), 2.98(dd, J =14, 6Hz, 1H), 1.52(s, 9H)
<2-6>化合物13の製造
化合物12(3.63g, 11.8mmol)をクロロホルム(50mL)に溶かした後、5-クロロチオフェンカルボン酸(2.30g, 14.1mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(0.30g, 13.0mmol)を加えた。温度を0℃に下げて、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(2.20mL, 14.1mmol)を加えてから、2時間常温で撹拌した。この反応溶液を減圧濃縮し、n-ヘキサン/ジエチルエーテル(1/1, 200mL)溶液において再結晶させて表題の化合物13を白色の固体として得た(5.0g, 11.1mmol, 94%)。
【0091】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ=9.30(s, 1H)、8.95(t, J =6Hz, 1H)、7.67(d, J =4Hz, 1H)、7.45-7.36(m, 4H)、7.17(d, J =4Hz, 1H)、4.82-4.74(m, 1H)、4.11(t, J =9Hz, 1H)、3.77(dd, J =9, 6Hz, 1H)、3.57(t, J =5.6Hz, 2H)、1.45(s, 9H)
製造例3:化合物16aの製造
【0092】
【化20】

【0093】
<3-1>化合物14aの製造
化合物13(16.5g, 36.5mmol)をジクロロメタン(150mL)に溶かした後、塩酸(150mL, 4 M 1,4-ジオキサン溶液)を入れて常温で1時間撹拌した。この反応溶液を減圧濃縮し、乾燥させて白色の固体化合物を得た(14.1g, 36.3mmol, 99%)。
【0094】
1H NMR(600MHz, DMSO-d6) δ=9.07(t, J =6Hz, 1H)、7.73(d, J =3.6Hz, 1H)、7.63 (d, J =9Hz, 2H)、7.37(d, J =9Hz, 2H)、7.20(d, J =3.6Hz, 1H)、4.88-4.83(m, 1H)、4.18(t, J =9Hz, 1H)、3.87(dd, J =9, 6Hz, 1H)、3.61(t, J =5.4Hz, 2H)
このようにして得た化合物(3.0g, 7.73mmol)にメタノール(40mL)とN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)を入れた後、N-Boc-2-アミノアセトアルデヒド(1.48g, 9.30mmol)とソジウムシアノボロハイドライド(486mg, 7.73mmol)を加えて常温で16時間撹拌した。飽和アンモニウムクロライド水溶液(20mL)を撹拌後の溶液に入れた後、溶媒を減圧濃縮した。飽和アンモニウムクロライド水溶液(50mL)を加えた後、エチルアセテート(50mL×2)で抽出した。集められた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/エチルアセテート, 1/2→1/4)を行って表題の化合物14aを白色の固体として得た(2.76g, 5.58mmol, 72%)。
【0095】
1H NMR(400MHz, CDCl3) δ=7.30(d, J =4Hz, 1H)、7.18(d, J =9Hz, 2H)、7.00(t, J =6Hz, 1H)、6.80(d, J =4Hz, 1H)、6.53(d, J =9Hz, 2H)、4.84-4.74(m, 2H)、4.04(br, 1H)、3.98(t, J =9Hz, 1H)、3.81(ddd, J =14.4, 6, 3Hz, 1H)、3.74(dd, J =9, 6Hz, 1H)、3.66(dt, J =14.8, 9 Hz, 1H)、3.36-3.26(m, 2H)、3.18(t, J =6 Hz, 2H), 1.41(s, 9H)
<3-2>化合物15aの製造
化合物14a(1.0g, 2.0mmol)を酢酸(10mL)に溶かし、亜硝酸ナトリウム(NaNO2)(170mg, 2.46mmol)を蒸留水(2mL)に溶かした溶液を0℃で徐々に滴加してから、30分間撹拌した。以後、亜鉛アマルガム(亜鉛650mgを0.5%の酢酸水銀(II)水溶液で洗浄し、再び蒸留水で洗浄後直ちに使用)を滴加し、5時間0℃で撹拌した。飽和炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を徐々に加えた後、エチルアセテート(50mL×2)で抽出した。集められた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/エチルアセテート, 1/2→1/4)を行って表題の化合物15aをうすい黄色の固体として得た(450mg, 0.88mmol, 45%)。
【0096】
1H NMR(600MHz, CDCl3) δ=7.34(d, J =3.6Hz, 1H)、7.32(d, J =8.4Hz, 2H)、6.96(d, J =8.4Hz, 2H)、6.90(br, 1H)、6.87(d, J =3.6Hz, 1H)、4.94(br s, 1H)、4.87-4.81(m, 1H)、4.05(t, J =9Hz, 1H)、3.90-3.83(m, 1H)、3.80(dd, J =9, 6Hz, 1H)、3.75-3.67(m, 1H)、3.68(br s, 2H)、3.44(br, 4H)、1.41(s, 9H)
<3-3>化合物16aの製造
化合物15a(150mg, 0.29mmol)をメタノール(3mL)に溶かした後、ホルマリン(0.10mL, 37wt.%水溶液)を滴加し、常温で1時間撹拌した。撹拌後の溶液を減圧濃縮させた後、蒸留水(15mL)で希釈してジクロロメタン(15mL×2)で抽出した。集められた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後減圧濃縮してうすい黄色の固体110mgを得た。この固体をメタノール(3mL)とテトラヒドロフラン(1mL)に溶かした後、温度を0℃に下げた。ソジウムボロハイドライド(160mg, 4.22mmol)を加えた。酢酸を利用してpHを5に調節し、反応温度を徐々に50℃まで上げた。10時間後、この反応溶液を減圧濃縮して2 N塩酸水溶液(30 mL)で希釈し、ジクロロメタン(25mL×2)で抽出した。集められた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後減圧濃縮してから、カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/エチルアセテート, 1/1→1/3)を行って表題の化合物16aを白色の固体として得た(15mg, 0.029mmol)。
【0097】
製造例4:化合物15bの製造
【0098】
【化21】

【0099】
<4-1>化合物14bの製造
製造例3の化合物14aの合成において説明したとおり、化合物13をジクロロメタンに溶かした後、塩酸(4 M 1,4-ジオキサン溶液)を入れて常温にて1時間撹拌した。撹拌後の溶液を減圧濃縮して得た白色の固体化合物(500mg, 1.29mmol)を得た。メタノール(10mL)とN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)を入れた後、N-Boc-N-メチル-2-アミノアセトアルデヒド(268mg, 1.55mmol)とソジウムシアノボロハイドライド(81mg, 1.29mmol)を加えて常温で16時間撹拌した。飽和アンモニウムクロライド水溶液(3mL)を撹拌後の溶液に入れた後、溶媒を減圧濃縮した。飽和アンモニウムクロライド水溶液(30mL)を再び加えた後、エチルアセテート(30m×2)で抽出した。集められた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/エチルアセテート, 1/2→1/4)を行って表題の化合物14bを白色の固体として得た(544mg, 1.07mmol, 83%)。
【0100】
1H NMR(600MHz, CDCl3) δ=7.31(d, J =4Hz, 1H)、7.24(d, J =9Hz, 2H)、6.89(d, J =4Hz, 2H)、6.65(br, 1H)、6.59(d, J =9Hz, 1H)、4.85-4.79(m, 1H)、4.04(t, J =9Hz, 1H)、3.90(ddd, J =16.6, 7, 3Hz, 1H), 3.79(dd, J =9, 6Hz, 1H), 3.74-3.67(m, 1H)、3.54-3.39(m, 2H), 3.26(t, J =6Hz, 2H)、2.88(s, 3H)、1.46(s, 9H)
<4-2>化合物15bの製造
化合物14b(405mg, 0.80mmol)を酢酸(3mL)に溶かし、蒸留水(0.5mL)に溶かした亜硝酸ナトリウム(NaNO2)(66mg, 0.96mmol)を0℃にて徐々に滴加してから、30分間撹拌した。以後、亜鉛(130mg, 1.99mmol)を滴加して3時間0℃で撹拌した。飽和炭酸ナトリウム水溶液(30mL)に徐々に加えた後、エチルアセテート(30mL×2)で抽出した。集められた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/エチルアセテート, 1/2→1/4)を行って表題の化合物15bをうすい褐色の固体として得た(81mg, 0.15mmol, 19%)。
【0101】
製造例5:化合物26の製造
【0102】
【化22】

【0103】
<5-1>化合物18の製造
4-フルオロニトロベンゼン(5.2g, 37mmol)をアセトニトリル(40mL)に溶かした後、2-アミノエタノール(5.2g, 85mmol)を入れて一晩中還流撹拌した。撹拌後の溶液を常温で冷ましてから減圧蒸留し、エチルアセテートに溶かした後、水、1N HC1、食塩水で順次に洗浄した。洗浄後の物質を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濾過した後、減圧蒸留して化合物17を得た。化合物17(15g, 82.33mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(27mL, 164mmol)をジクロロメタン(150mL)に溶かし、メタンスルホニルクロライド(9.5mL)を0℃で徐々に入れた後、常温で2時間撹拌した。反応完了後、この反応溶液にジクロロメタン(800mL)を入れた。この反応物を重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)で洗浄し、減圧濃縮して化合物18を黄色の固体として得た(22mg, 82.00mmol, 99%)。
【0104】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 8.12(d, J =9.2Hz, 2H)、6.60(d, J =9.2Hz, 2H)、4.45(t, J =5.6Hz, 2H)、3.63(t, J =5.6Hz, 2H)、3.06(s, 3H)
LCMS: C8H10N2O3Sに対して183(M+H+)
<5-2>化合物19の製造
化合物18(22g, 82.00mmol)、ヒドロキシフタルイミド(17.4g, 107.04mmol)、トリエチルアミン(17.3mL, 123.5mmol)をアセトニトリル(300mL)に入れた後、6時間還流撹拌した。反応完了後、反応溶液にジクロロメタン(1000mL)を入れた。この反応物を0.5N-塩酸水溶液(500mL)、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(500mL)で洗浄し、減圧濃縮して化合物19を黄色の固体として得た(26g, 79.44mmol, 97%)。
【0105】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 8.12(d, J =9.2Hz, 2H)、7.88(m, 2H)、7.87(m, 2H)、6.65(d, J =9.2Hz, 2H)、5.83(br s, 1H)、4.45(t, J =4.8Hz, 2H)、3.56(m, 2H)、
LCMS: C16H13N3O5に対して328(M+H+)
<5-3>化合物20の製造
化合物19(79.44mmol)及びヒドラジン(20mL)をエタノールに入れた後、2時間還流撹拌した。撹拌後の物質を常温に冷却して濾過した後、減圧濃縮して化合物20を得た(19g, 未精製)。この化合物は、精製せずに次の反応に使用した。
【0106】
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.94(d, J =9.6Hz, 2H)、7.34(t, J =5.6Hz, 1H)、6.69(d, J =9.5Hz, 2H)、3.68(t, J =5.2Hz, 2H)、3.37(m, 2H)
LCMS: C8H11N3O3に対して198(M+H+)
<5-4>化合物21の製造
化合物20(19g)、炭酸ナトリウム(21g, 198mmol)をジオキサン(200mL)及び蒸留水(200mL)に溶かした後、ジ-tert-ブトキシカルボニル(26g、119mmol)を徐々に入れてから常温で4時間撹拌した。反応完了後、この反応物を減圧濾過して蒸留水(1000mL)で洗浄し、乾燥させて化合物21を黄色の固体として得た(26g, 未精製)。
【0107】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 8.10(d, J =9.2Hz, 2H)、6.54(d, J =9.2Hz, 2H), 5.50(s, 1H)、5.04(s, 1H)、3.91(t, J =5.2Hz, 2H)、3.45(m, 2H)、1.43(s, 9H)
LCMS: C13H19N3O5に対して298(M+H+)
<5-5>化合物22の製造
化合物21(13g、40mmol)、酢酸(132mL)及び濃縮塩酸(10mL, 300mmol)をテトラヒドロフラン(200mL)に溶かした後、0℃で亜鉛(26g, 400mmol)を入れてから2時間撹拌した。20%のアンモニア水溶液(200mL)を0℃で徐々に入れ、ジメチレンクロライド(500mL)を加えた。有機層を分離し、減圧濃縮して化合物22を白色固体として得た(6.5g, 24.31mmol, 61%)。
【0108】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 7.17(s, 1H)、6.60(d, J =8.4Hz, 2H)、6.60(d, J =8.4Hz, 2H)、4.03(t, J =4.8Hz, 2H)、3.30(t, J =4.8Hz, 2H)、1.47(s, 9H)
LCMS: C13H21N3O3に対して268(M+H+)
<5-6>化合物23の製造
化合物22(6.5g, 24.31mmol)及び(S)-グリシジルフタルイミド(3.95g,19.45mmol)をイソプロピルアルコール(100mL)に入れた後、6時間還流撹拌した。反応完了後、反応物を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーを利用して化合物23を白色固体として得た(9g、未精製)。
【0109】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 7.85(m, 2H)、7.79(m, 2H)、6.33(d, J =9.2Hz, 2H)、6.21(d, J =9.2Hz, 2H)、4.07(m, 3H)、3.58-3.31(m, 6H)、1.46(s, 9H)
LCMS: C24H30N4O6に対して471(M+H+)
<5-7>化合物24の製造
化合物23(9g, 未精製)及びカルボジイミダゾール(3.5g、29.16mmol)をテトラヒドロフラン(150mL)に入れた後、12時間還流撹拌した。反応完了後、この反応物を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーを行って化合物24を白色固体として得た(1.6g、3.22mmol)。
【0110】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 7.88(m, 2H)、7.75(m, 2H)、7.28(d, J =8.8Hz, 2H)、6.55(d, J =8.8Hz, 2H)、4.95(m, 1H)、4.17-3.82(m, 6H)、3.37(t, J =5.2Hz, 2H)、1.46(s, 9H)
LCMS: C25H28N4O7に対して497(M+H+)
<5-8>化合物25の製造
化合物24(1.6g, 3.22mmol)及びヒドラジン(1.6mL、32.20mmol)をエチルアルコール(30mL)に入れた後、2時間還流撹拌した。撹拌後の物質を常温に冷却し、濾過した後減圧濃縮して化合物25を得た(1.3g, 未精製)。この化合物は、精製せずに次の反応に使用した。
【0111】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 7.33(d, J =8.8Hz, 2H)、6.66(d, J =9.2Hz, 2H)、4.63(m, 1H)、4.03(m, 3H)、3.77(dd, J =6.4 2.0Hz, 1H)、3.34(t, J =5.2Hz, 2H)、3.03(m, 2H)、1.49(s, 9H)
LCMS: C17H26N4O5に対して367(M+H+)
<5-9>化合物26の製造
化合物25(1.3g, 3.22mmol)、5-クロロチオフェン-2-カルボン酸(0.68g, 4.19mmol)及びPyBOP;(ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム)(2.5g, 4.83mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に入れた後、0℃でジイソプロピルエチルアミン(1.06mL, 6.44mmol)をゆっくりと入れてから1時間撹拌した。反応完了後、反応溶液にエチルアセテート(300mL)を入れた。この反応物を蒸留水(200mL)で2回洗浄し、減圧濃縮して化合物26を白色固体として得た(1.6g, 3.13mmol)。
【0112】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ10.05(s, 1H)、8.97(t, J =5.6Hz, 1H)、7.70(d, J =4.0Hz, 1H)、7.20(m, 3H)、6.60(d, J =8.4Hz, 2H)、4.76(m, 1H)、4.07(t, J =8.8Hz, 1H)、3.83(t, J =5.6Hz, 2H)、3.74(m, 1H)、3.57(t, J =5.2Hz, 2H)、3.21(t, J =5.6Hz, 2H)、1.40(s, 9H)
LCMS: C22H27ClN4O6Sに対して511(M+H+)
実施例1:化合物100の製造
【0113】
【化23】

【0114】
製造例1で得た化合物5(5.0g, 13.8mmol)を無水メタノール(200mL)に入れた後、0℃で塩酸ガスを30分間発泡(bubbling)させた。メタノール(100mL)を添加した後、塩酸ガスを再び30分間発泡させてから、常温で2時間撹拌した。撹拌後の反応物を減圧濃縮して残量の塩酸を取り除いた。酢酸(120mL)と2-(N-メチルアミノ)エチル-ヒドロキシルアミン塩酸塩を(3.5g, 27.6mmol)を添加した後、一晩中還流させた。還流後の溶液を減圧蒸留した後エチルアセテートに溶かし、NaHCO3 飽和水溶液で洗浄してからカラムクロマトグラフィーを利用して分離し白色固体の表題の化合物100を得た(1.85g, 4.3mmol, 31%)。
【0115】
1H NMR(400MHz, CDCl3) δ 7.54(d, J =9.0Hz, 2H)、7.44(d, J =9.0Hz, 2H)、7.34 (d, J =4.2Hz, 1H)、6.89(br t, 1H)、4.80(m, 1H)、4.12(t, J =4.8Hz, 2H)、4.04(t, J =9.0Hz, 1H)、3.85-3.80(m, 2H)、3.69-3.64(m, 1H)、3.45(t, J =4.8Hz, 2H)、2.76 (s, 3H)
LCMS: C19H19ClN4O4Sに対して435(M+H+)
実施例2:化合物101の製造
【0116】
【化24】

【0117】
製造例1で得た化合物5(0.1g, 0.27mmol)と(アミノエチル)ヒドロキシルアミン(62mg, 0.8mmol)を使用して実施例1と同一の方法で化合物101を白色固体として得た(17mg, 0.04mmol, 14%)。
【0118】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 8.98(t, J =6.0Hz, 1H)、7.68(d, J =4.0Hz, 1H)、7.63(d, J =8.8Hz, 2H)、7.57(d, J =8.8Hz, 2H)、7.19(d, J =4.0Hz, 1H)、 7.07(s, 1H)、4.85(m, 1H)、4.19(t, J =8.8Hz, 1H)、3.86-3.81(m, 3H)、3.61(t, J =5.2Hz, 2H)、3.38(m, 2H); LCMS: C18H17ClN4O4Sに対して421(M+H+)
実施例3:化合物102の製造
【0119】
【化25】

【0120】
製造例1で得た化合物5(100 mg, 0.27 mmol)とO-[2-(2-エチルアミノ)-エチル]-ヒドロキシルアミン(15mg, 0.139mmol)を使用して実施例1と同一の方法で白色固体として表題の化合物102を得た(30 mg, 48%)。
【0121】
1H NMR(400MHz, CDCl3) δ 7.52(d, J =8.4Hz, 2H), 7.42(d, J =8.4Hz, 2H)、7.37(d, J =3.6Hz, 1H)、7.28-7.22(m, 1H)、6.85(d, J =3.6Hz, 1H)、4.82-4.71(m, 1H)、4.11(t, J =4.4Hz, 2H)、3.98(t, J =8.8Hz, 1H)、3.83-3.72(m, 2H)、3.66-3.56(m, 1H)、3.43(t, J =4.4Hz, 2H)、3.01(q, J =7.2Hz, 2H)、, 1.03(t, J =4.4Hz, 3H)
LCMS: C20H21ClN4O4Sに対して449(M+H+)
実施例4:化合物103の製造
【0122】
【化26】

【0123】
製造例1で得た化合物5(100mg, 0.27mmol)とO-[2-(2-シクロプロピルアミノ)-エチル]- ヒドロキシルアミン(27mg, 0.23mmol)を使用して実施例1と同一の方法で白色固体として表題の化合物103を得た(31 mg, 29%)。
【0124】
1H NMR(400MHz, CDCl3) δ 7.52(d, J =7.6Hz, 2H), 7.46(d, J =7.6Hz, 2H)、7.38(d, J =3.6Hz, 1H)、7.23-7.18(m, 1H)、6.87(d, J =3.6Hz, 1H)、4.85-4.72(m, 1H)、4.06(t, J =4.4Hz, 2H)、4.02(t, J =8.4Hz, 1H)、3.85-3.74(m, 2H)、3.68-3.55(m, 1H)、3.53(t, J =4.4Hz, 2H)、2.62-2.51(m, 1H)、0.51-0.32(m, 4H); LCMS: C21H21ClN4O4Sに対して461(M+H+)
実施例5:化合物104の製造
【0125】
【化27】

【0126】
製造例1で得た化合物5(100mg, 0.27mmol)とN-メチル-O-(2-アミノエチル)ヒドロキシルアミンジヒドロクロライド(180.0mg, 1.104mmol)を使用して実施例1と同一の方法で白色固体として表題の化合物104を得た(63.7mg, 0.146mmol, 58%)。
【0127】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 9.07(t, J =6.4 Hz, 1H), 7.70(d, J =4.4 Hz, 1H), 7.54(m, 4H), 7.14(d, J =4.4 Hz, 1H), 4.80(m, 1H), 4.15(t, J =8.8 Hz, 1H), 3.86 (dd, J =8.8 Hz, 8.8 Hz, 1H), 3.81(t, J =4.8 Hz, 2H), 3.55-3.48(m, 4H), 2.82 (s, 3H); LCMS: C19H19ClN4O4Sに対して435(M+H+)
実施例6:化合物105の製造
【0128】
【化28】

【0129】
実施例1で得た化合物5(80.0mg, 0.221mmol)とN-エチル-O-(2-アミノエチル)ヒドロキシルアミンジヒドロクロライド(300.0mg, 1.69mmol)を使用して実施例1と同一の方法でうすい黄色の固体として表題の化合物105を得た(9.1mg, 0.020mmol, 9%)。
【0130】
1H NMR(600MHz, DMSO-d6) δ 9.37(br, 1H), 7.88(m, 1H), 7.79(d, J =6.0Hz, 2H)、7.73(d, J =5.6 Hz, 2H)、7.20(d, J =4.2 Hz, 1H)、4.91(m, 1H)、4.24(t, J =8.7 Hz, 1H)、4.05(dd, J =8.7 Hz, 8.7Hz, 1H)、3.66(t, J =4.8 Hz, 2H)、3.63-3.54(m, 4H), 2.81(q, J =7.2 Hz, 2H), 1.24(t, J =7.2 Hz, 3H); LCMS: C20H21ClN4O4Sに対して449 (M+H+)
実施例7:化合物106の製造
【0131】
【化29】

【0132】
実施例1で得た化合物5(100 mg, 0.27 mmol)と2-(1-メチルヒドラジニル)-N-エチルエタンアミン(93mg, 0.8mmol)を使用して実施例1と同一の方法で白色固体の表題の化合物106を得た(20mg, 0.04mmol, 16%)。
【0133】
1H NMR(600MHz, DMSO-d6) δ 8.99(t, J =5.4Hz, 1H)、7.69(d, J =3.6Hz, 1H)、7.53(d, J =8.4Hz, 2H)、7.36(t, J =8.4Hz, 2H)、7.19(d, J =3.6Hz, 1H)、4.84(m, 1H)、4.19(t, J =9.6Hz, 1H)、3.86(dd, J =8.4 6.6Hz, 1H)、3.61(t, J =5.4Hz, 2H)、3.31(m, 2H)、2.92(m, 2H)、2.80(br s, 2H)、2.59(s, 3H)、0.94(t, J =7.2Hz, 1H)(2 equivalent acetic acid by NMR)
LCMS: C21H24ClN5O3Sに対して462(M+H+)
実施例8:化合物107の製造
【0134】
【化30】

【0135】
NaH(3.3g, 87.01mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(30mL)に入れて15分間撹拌した。tertブチルカルバザート(5g, 37.83mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶かし、0℃で徐々に入れた。ジブロモプロパン(7.6g, 37.83mmol)を0℃で入れた後、常温にて3時間撹拌した。撹拌後の物質を0℃に冷却し、蒸留水(50mL)で洗浄した。反応完了後、この反応物をエチルアセテート(500mL)に溶かした後、重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)で3回洗浄した。カラムクロマトグラフィーを行って化合物107aをオイル形態で得た(2.4g, 13.93mmol, 36.7%)。
【0136】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 3.85(s, 1H)、3.45(t, J =7.2Hz, 2H)、3.04(t, J =6.4Hz, 2H)、2.03(m, 2H)、1.49(s, 9H); LCMS: C8H16N2O2に対して173(M+H+)
化合物107a(1.5g, 8.71mmol)、N-2-ブロモフタルイミド(2.33g, 8.71mmol)及び炭酸カリウム(1.32g, 9.58mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に入れた後、100℃で12時間撹拌した。撹拌後の物質をエチルアセテート(200mL)に溶かし、重炭酸ナトリウム水溶液(30mL)で3回洗浄した。カラムクロマトグラフィーを行って化合物107bをオイル形態で得た(1.7g, 4.92mmol, 56.2%)。
【0137】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 7.89(m, 2H)、7.74(m, 2H)、3.94(t J =4.4Hz, 2H)、3.90(t, J =5.2Hz, 2H)、3.11(t, J =6.0Hz, 2H)、3.06(t, J =4.4Hz, 2H)、2.01(m, 2H)、1.48(s, 9H); LCMS: C18H23N3O4に対して346(M+H+)
化合物107b(0.5g, 1.45mmol)を4M-HCl(in dioxane)(5mL)に入れた後、0.5時間撹拌した。撹拌後の物質を減圧濃縮し、メチルアルコール(5mL)及びメチルアミン(4mL)を入れて1時間還流撹拌した。この反応物を減圧濃縮して化合物107cを得、これ以上精製せずに次の反応に使用した。
【0138】
LCMS: C5H13N3に対して116(M+H+)
製造例1で得た化合物5(100mg, 0.27mmol)を無水メチルアルコール(10mL)に添加後、0℃で塩酸ガスを30分間発泡させ、常温にて2時間撹拌させた。撹拌後の物質を減圧濃縮して残量の塩酸を取り除いた。無水メチルアルコール(10mL)及び化合物107c(300mg, 0.8mmol)を順次に添加した後、常温にて12時間撹拌し、減圧濃縮した。以後、prep TLCを行って白色固体の表題の化合物107を得た(60mg, 0.13mmol, 48%)。
【0139】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 9.12(t J =5.6Hz, 1H)、7.77-7.64(m, 5H)、7.14(d, J =4.4Hz, 1H)、4.84(m, 1H)、4.18(t, J =8.8Hz, 1H)、3.90(dd J =8.8, 6.0Hz, 1H)、3.70(t, J =6.8Hz, 1H)、3.65(t, J =6.8Hz, 1H)、3.59-3.52(m, 3H)、3.25(m, 1H)、3.11(m, 1H)、2.95(m, 1H)、2.65(m, 1H)、2.55(m, 1H)、2.08(m, 2H); LCMS: C21H22ClN5O3Sに対して460(M+H+)
実施例9:化合物108の製造
【0140】
【化31】

【0141】
tert-ブチルカルバザート(t-butyl carbazate)(2.5g, 18.91mmol)、N-(ブロモエチル)フタルイミド(5.25g, 20.80mmol)及び炭酸カリウム(3.14g, 22.70mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(30mL)に入れた後、90℃にて12時間撹拌した。反応完了後、反応物をエチルアセテート(250mL)に溶かしてから、重炭酸ナトリウム溶液(150mL)で3回洗浄した。減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーを行って白色固体の化合物108aを得た(1g, 3.2mmol, 19%)。
【0142】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 7.85(m, 2H)、7.73(m, 2H)、6.49(s, 1H)、4.12(s, 1H)、3.83(t, J =3.6Hz, 2H)、3.05(m, 2H)、1.46(s, 9H); LCMS: C15H19N3O4に対して306(M+H+)
化合物108a(0.9g, 2.95mmol)及び炭酸カリウム(1.03g, 7.4mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶かした後、3-ブロモプロパノイルクロライド(0.7g, 3.6mmol)を入れてから、90℃で5時間撹拌した。エチルアセテート(100mL)を入れた後、重炭酸ナトリウム溶液(30mL)で洗浄した。減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーを行って化合物108bをオイル形態で得た(230mg, 0.64mmol, 22%)。
【0143】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 7.85(m, 2H)、7.73(m, 2H)、6.49(s, 1H)、4.12(s, 1H)、3.83(t, J =3.6Hz, 2H)、3.05(m, 2H)、1.46(s, 9H); LCMS: C18H21N3O5に対して360(M+H+)
化合物108b(230mg, 0.64mmol)を4M-HCl(ジオキサン溶液)(2mL)に入れた後、1時間撹拌した。撹拌後の物質を減圧濃縮し、メチルアルコール(5mL)及びメチルアミン(2mL)を入れた後、1時間撹拌した。撹拌後の物質を減圧濃縮して化合物108c(103mg, 0.64mmol)を得、これ以上精製せずに次の反応に使用した。
【0144】
LCMS: C5H11N3Oに対して130(M+H+)
製造例1で得た化合物5(0.1g, 0.27mmol)と化合物108c(103mg, 0.64mmol)を使用して実施例1と同一の方法で白色固体の表題の化合物108を得た(26mg, 0.05mmol, 19%)。
【0145】
1H NMR(600MHz, DMSO-d6) δ 9.09(t, J =4.8Hz, 1H)、7.79(d, J =8.4Hz, 2H)、7.72-7.71(m, 3H)、7.19(d, J =4.2Hz, 1H)、4.89(m, 1H)、4.24(t, J =9.0Hz, 1H)、4.12(t, J =7.8Hz, 2H)、3.94-3.89(m, 3H)、3.62(m, 2H)、3.53(t, J =4.8Hz, 2H)、2.80(t, J = 8.4Hz, 2H)、3.59-3.52(m, 3H)、3.25(m, 1H)、3.11(m, 1H)、2.95(m, 1H)、2.65(m, 1H)、2.55(m, 1H)、2.08(m, 2H); LCMS: C21H20ClN5O4Sに対して474(M+H+)
実施例10:化合物109の製造
【0146】
【化32】

【0147】
製造例3で得た化合物15a(450mg, 0.88mmol)をジクロロメタン(10 mL)に溶かした後、塩酸(4 M 1,4-ジオキサン溶液)(10 mL)を入れて常温で1時間撹拌した。この反応物を減圧濃縮させ、乾燥させてうすい黄色の固体化合物を得た(425mg, 0.88mmol, 100%)。この化合物(392mg, 0.81mmol)を酢酸(4mL)に溶かし、オルトギ酸トリメチル(2 mL)を入れた後、還流撹拌した。10時間後、溶媒を全て蒸発させ、カラムクロマトグラフィーを(ジクロロメタン/メタノール(v/v) 20/1→12/1)を行ってうすい黄色の固体として表題の化合物109を得た(215 mg, 5.12 mmol, 63%)。
【0148】
1H NMR(400MHz, CDCl3) δ 7.35(d, J =9.2Hz, 2H)、7.33(d, J =4.4Hz, 1H)、7.14 (d, J =9.2 Hz, 2H)、7.01(t, J =6.4Hz, 1H)、6.88(s, 1H)、6.85(d, J =4.4Hz, 1H)、4.87-4.79(m, 1H)、4.06(t, J =9Hz, 1H)、3.86(ddd, J =14.4 ,6, 3Hz, 1H)、3.81(dd, J =9, 6.4Hz, 1H)、3.69(dt, J =14.4, 6Hz, 1H)、3.62-3.58(m, 2H)、3.55-3.51(m, 2H); LCMS: C18H18ClN5O3Sに対して420 (M+H+)
実施例11:化合物110の製造
【0149】
【化33】

【0150】
製造例3で得た化合物15aを使用して実施例10のオルトギ酸トリメチルの代わりにオルト酢酸トリエチルを使用し、実施例10と類似した方法で表題の化合物110を合成した。
【0151】
1H NMR(600 MHz, CDCl3) δ 7.36(d, J =9Hz, 2H)、7.30(d, J =4Hz, 1H)、7.17(d, J =9Hz, 2H)、6.90(d, J =4.2Hz, 1H)、6.49(br t, 1H)、4.85-4.80(m, 1H)、4.28 (br, 1H)、4.08(t, J =9Hz, 1H)、3.95-3.90(m, 1H)、3.79(t, J =7.8Hz, 1H)、3.72-3.67(m, 1H)、3.62-3.57(m, 2H)、3.49-3.44(m, 2H)、1.98(s, 3H); LCMS: C19H20ClN5O3Sに対して434 (M+H+)
実施例12:化合物111の製造
【0152】
【化34】

【0153】
製造例3で得た化合物15aを使用して、実施例10においてオルトギ酸トリメチルの代わりにオルトプロピオン酸トリエチルを使用し、実施例10と類似した方法で表題の化合物111を合成した。
【0154】
1H NMR(600MHz, CDCl3) δ 7.35(d, J = 9Hz, 2H)、7.30(d, J =4.2Hz, 1H)、7.18 (d, J =9Hz, 2H)、6.90(d, J =4.2Hz, 1H)、6.53(br t, 1H)、4.85-4.80(m, 1H)、4.27 (br, 1H)、4.08(t, J =9Hz, 1H)、3.92(ddd, J =14.4 ,6.6, 3Hz, 1H)、3.79(t, J = 7.8Hz, 1H)、3.72-3.67(m, 1H)、3.62-3.57(m, 2H)、3.50-3.44(m, 2H)、2.26(q, J =7.8Hz, 2H)、1.20(t, J =7.8Hz, 3H); LCMS: C20H22ClN5O3Sに対して448 (M+H+)
実施例13:化合物112の製造
【0155】
【化35】

【0156】
製造例4で得た化合物15bを使用して、前記実施例10と類似した方法で表題の化合物112を合成した。
【0157】
1H NMR(600MHz, CDCl3) δ 7.35(d, J =9Hz, 2H)、7.33(d, J =4.5 Hz, 1H)、7.13(d, J =9Hz, 2H)、6.93(t, J =6Hz, 1H)、6.85(d, J =4.5Hz, 1H)、6.64(s, 1H)、4.86-4.80 (m, 1H)、4.06(t, J =9Hz, 1H)、3.91-3.85(m, 1H)、3.80(dd, J =9, 7Hz, 1H)、3.71-3.65(m, 1H)、3.54(t, J =4.8Hz, 2H)、3.43(t, J =4.8Hz, 2H)、2.90(s, 3H); LCMS: C19H20ClN5O3Sに対して434 (M+H+)
実施例14:化合物113の製造
【0158】
【化36】

【0159】
製造例4で得た化合物15bを使用して前記実施例10においてオルトギ酸トリメチルの代わりにオルト酢酸トリエチルを使用し、前記実施例10と類似した方法で表題の化合物113を合成した。
【0160】
1H NMR(600MHz, CDCl3) δ 7.34(d, J =9Hz, 2H)、7.31(d, J =4Hz, 1H)、7.15(d, J =9Hz, 2H)、6.88(d, J =4Hz, 1H)、6.69(t, J =6Hz, 1H)、4.84-4.78(m, 1H)、4.06(t, J =9Hz, 1H)、3.90(ddd, J =11, 7, 3Hz, 1H)、3.79(dd, J =9, 6.6Hz, 1H)、3.68(dt, J =14.4, 6.6Hz, 1H)、3.52(t, J =5Hz, 2H)、3.44(t, J =5Hz, 2H)、2.93(s, 3H)、2.05 (s, 3H); LCMS: C20H22ClN5O3Sに対して448 (M+H+)
実施例15:化合物113の製造
【0161】
【化37】

【0162】
前記製造例3で得た化合物16aを使用して、前記実施例10と類似した方法で表題の化合物114を白色固体として得た(7.4 mg, 0.014 mmol, 47%)。
【0163】
1H NMR(600MHz, DMSO-d6) δ 9.03(t, J =5.4Hz, 1H)、8.65(s, 1H)、7.68(d, J =3.6 Hz, 1H)、7.55(d, J =8.4Hz, 2H)、7.19(d, J =3.6Hz, 1H)、7.14(d, J =8.4Hz, 2H)、4.88-4.81(m, 1H)、4.17(t, J =9 Hz, 1H)、3.85-3.81(m, 1H)、3.70-3.50(m, 4H)、3.29 (s, 3H)、3.13-3.05(m, 2H); LCMS: C19H20ClN5O3Sに対して434 (M+H+)
実施例16:化合物115の製造
【0164】
【化38】

【0165】
製造例5で得た化合物26(0.20g, 0.39mmol)を4M塩酸(2mL)に入れた後、1時間撹拌した。この反応物を減圧濃縮した後、オルトギ酸トリメチル(2mL)と酢酸(4mL)を入れて12時間還流撹拌した。カラムクロマトグラフィーを行って白色固体の表題の化合物115を得た(11mg, 0.03mmol, 8%)。
【0166】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 7.55(s, 1H)、7.50(d, J =9.2Hz, 2H)、7.42(br s, 1H)、7.39(d, J =4.0Hz, 1H)、7.03(d, J =9.2Hz, 2H)、6.89(d, J =4.0Hz, 1H)、4.86(m, 1H)、4.20(t, J =4.8Hz, 2H)、4.12(m, 1H)、3.87(m, 1H)、3.83-3.74(m, 4H); LCMS: C18H17ClN4O4Sに対して421(M+H+)
実施例17:化合物116の製造
【0167】
【化39】

【0168】
製造例5で得た化合物26を使用して、前記実施例14と類似した方法で表題の化合物116を白色固体として得た。
【0169】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 8.93(t, J =5.6Hz, 1H)、7.63(d, J =4.2Hz, 1H), 7.50 (d, J =8.8Hz, 2H), 7.25(d, J =8.8Hz, 2H)、7.14(d, J =4.2Hz, 1H)、4.79(m, 1H)、4.13(t, J =8.8Hz, 1H)、3.94(t, J =4.6Hz, 2H)、3.79 3.56-3.51(m, 4H)、1.56(s, 3H); LCMS: C19H19ClN4O4Sに対して435(M+H+)
実施例18:化合物117の製造
【0170】
【化40】

【0171】
製造例5で得た化合物26(0.20mg, 0.39mmol)、シクロプロパンカルボニルクロリド(50mg, 0.47mmol)、ピリジン(61mg, 0.78mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(5mg)をメチレンクロライド(5mL)に入れた後、2時間撹拌した。反応完了後、メチレンクロライド(50mL)を入れてから蒸留水(10mL)で2回洗浄した。減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーを行ってアミド化合物を白色固体として得た(150mg, 0.29mmol, 74%)。
【0172】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 9.90(s, 1H)、8.98(t, J =6.0Hz, 1H)、7.69(d, J =4.0Hz, 1H)、7.62(d, J =8.8Hz, 2H)、7.42(d, J =8.8Hz, 2H)、7.19(d, J =4.0Hz, 1H)、4.84(m, 1H)、4.21(t, J =8.8Hz)、3.87(dd, J =9.2, 6.4Hz, 1H)、3.78-3.74(m, 4H)、3.61(t, J =5.6Hz, 2H)、1.22(m, 1H)、0.78(m, 2H), 0.59(m, 2H)
このようにして得た化合物(0.15g, 0.29mmol)を4N塩酸(in dioxane)(2mL)に入れた後、常温で1時間撹拌した。撹拌後の物質を減圧濃縮した。トルエン(5mL)とフォスフォラスオキシクロライド(45mg, 0.29mmol)を入れた後、12時間還流撹拌した。カラムクロマトグラフィーを行って表題の化合物117を白色固体として得た(11mg, 0.03mmol, 10%)。
【0173】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 7.54(d, J =8.8Hz, 2H)、7.31(d, J =4.4Hz, 1H)、7.25(d, J =8.8Hz, 2H)、6.90(d, J =4.4Hz, 1H)、6.55(t, J =4.8Hz, 1H)、4.88 (m, 1H)、4.10(t, J =4.8Hz, 2H)、3.89(m, 2H)、3.79(m, 1H)、3.67(t, J =4.8Hz, 2H)、1.06(m, 1H)、0.93(m, 2H)、0.58(m, 2H); LCMS: C21H21ClN4O4Sに対して461(M+H+)
実施例19:化合物118の製造
【0174】
【化41】

【0175】
反応式5の方法により合成した化合物33を使用して、前記実施例10と類似した方法で表題の化合物118を白色固体として得た。
【0176】
1H NMR(400MHz, chloroform-d1) δ 8.55(s, 1H)、7.52(d, J =8.8Hz, 2H)、7.33(d, J =4.4Hz, 1H)、7.10(s, 1H)、7.05(d, J =8.8Hz, 2H)、6.89(d, J =4.4Hz, 1H)、6.76(t, J =4.8Hz, 1H)、4.88(m, 1H)、4.11(t, J =8.8Hz, 1H)、4.00(t, J =4.8Hz, 2H)、3.91-3.77(m, 3H)、3.74(t, J =4.8Hz, 2H); LCMS: C19H18ClN5O4Sに対して448(M+H+)
実施例20:化合物119の製造
【0177】
【化42】

【0178】
反応式5の方法により合成化した化合物33を使用して、実施例14と類似した方法で表題の化合物119を白色固体として得た。
【0179】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 8.94(br t, 1H)、8.35(s, 1H), 7.64(d, J =4.4Hz, 1H)、7.52(d, J =8.8Hz, 2H)、7.26(d, J =8.8Hz, 2H)、7.14(d, J =4.4Hz, 1H)、4.80(m, 1H)、4.15(t, J =8.4Hz, 1H)、3.81-3.75(m, 3H)、3.58-3.51(m, 4H)、1.75(s, 3H); LCMS: C20H20ClN5O4Sに対して462(M+H+)
実施例21:化合物120の製造
【0180】
【化43】

【0181】
実施例20で合成した化合物119をメタノールに溶かした後、塩酸でジホルミル化(deformylation)させて表題の化合物120を白色の固体として得た。
【0182】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 8.98(br t, 1H)、7.69(d, J =4.4Hz, 1H)、7.52(d, J =8.8Hz, 2H)、7.23-7.19(m, 3H)、4.83(m, 1H)、4.18(t, J =8.4Hz, 1H)、3.84(m, 1H)、3.61-3.55(m, 4H)、3.06(t, J =4.8Hz, 2H)、1.64(s, 3H); LCMS: C19H20ClN5O3Sに対して434(M+H+)
実施例22:化合物121の製造
【0183】
【化44】

【0184】
実施例21で合成した化合物120をアイオドメタンと反応させて表題の化合物121を白色固体として得た。
【0185】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 8.98(br t, 1H)、7.69(d, J =4.4Hz, 1H)、7.55(d, J =8.8Hz, 2H)、7.28(d, J =8.8Hz, 2H)、7.19(d, J =4.4Hz, 1H)、4.84(m, 1H)、4.18(t, J =8.4Hz, 1H)、3.84(m, 1H)、3.65-2.92(m, 6H)、2.60(s, 3H)、1.67(s, 3H); LCMS: C20H22ClN5O3Sに対して448(M+H+)
実験例1:因子Xa(FXa)阻害剤の抑制活性
1)試薬及び材料
因子Xa活性の測定に必要な発色性基質(chromogenic substrate)であるS-2765(N-Z-D-Arg-Gly-Arg-pNA.2HCl)をクロモジェニックス(Chromogenics)から購入した。ヒトFXaをエンザイム・リサーチ・ラボラトリーズ(Enzyme Research Laboratories)から購入した。96-ウェルマイクロプレートをコーニング・ライフサイエンス(Corning Life Sciences)から購入した。
【0186】
2)FXa阻害剤の抑制活性
本発明の化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体の抑制活性を下記のように測定した。
【0187】
精製されたヒトFXaに対する化合物の活性を37℃で96ウェルマイクロプレートにおいて発色性基質S-2765(N-Z-D-Arg-Gly-Arg-pNA.2HCl)を利用して測定した。酵素活性は、ヒトFXa(2.6nM)、NaCl(150mM)、PEG-8000(0.1%)、試験化合物希釈液(1% DMSO)、及びS-2765を含有する100mMトリス-HCl 緩衝液(pH 7.8)にて分析した。基質を添加して反応を開始させ、SpectraMax 190(Molecular Devices, USA)を用いて5分間405nmにて持続的に吸光度を観察した。ヒトFXaに対する抑制定数(Ki)をチェン-プルソフ(Chen and Prusoff)方程式[(Ki=IC50/1+[S]/Km)、前記式において[S]は基質の濃度であり、Kmはミカエリス・メンテン(Michaelis-Menten)定数である]にしたがって計算した。Kmは、ラインウィーバー・バーク(Lineweaver-Burk)グラフから決定した。IC50は対照群の初期速度を50%に減速させるのに要する阻害剤の量である。IC50値はグラフィット(GraFit)ソフトウェアバージョン5.0.12(Erithacus Software Ltd., UK)を利用して計算した。
【0188】
前記計算に使用されたKm値は125μMであり、一定の酵素濃度において基質濃度を変化させることにより得られる。
【0189】
実験例2:血液凝固に及ぼす影響
本発明の化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体が血液凝固に及ぼす影響をプロトロンビン時間(prothrombin time, PT)を測定することにより調査した。
【0190】
1)PTの測定
a)凝固測定器(coagulometer)を使用した方法:プロトロンビン時間(PT)をトロンボタイマー4-チャンネル凝固測定器(Thrombotimer 4-channel coagulometer, Behnk Elektronik, Germany)で測定した。シトレート化されたヒト及びラット血漿を分析に使用した。PT測定のために、解凍して間もない血漿100μLを連続希釈した試験化合物又はDMSO 3μLと混合した。37℃で5分間反応させた後、STAネオプラスチン(STA-Neoplastine(Diagnostica Stago))200μLを添加して血漿凝固を開始した。化合物の抗凝固活性を血漿凝固時間を2倍に増加させるのに必要な濃度[2×PT(μM)]で定義した。ヒトの血漿は、大田赤十字血液センターで購入した。ラットの血液は、麻酔して頚動脈又は上大静脈(superior vena cave)から採血した。血液は1/10体積の3.8%のソジウムシトレートを含有するプラスチックチューブで回収した。血漿は4℃で2500gにおいて10分間即時に遠心分離して得た後、-70℃で保管した。
【0191】
b)Spectramaxを使用した方法:本発明による連続希釈された化合物溶液(5uL)をシトレート化された血漿(45μL)と混合させた後、5分後に37℃でSTAネオプラスチン(Diagnostica Stago, France)を添加した。340nmで吸光度を持続的に観察し、PTを前記340nmにおける吸光度が0.1に到達したときの時間(秒)で決定した。化合物の抗凝固活性を血漿凝固時間を2倍に増加させるのに必要な濃度[2×PT(μM)]で定義した。ヒトの血漿は大田赤十字血液センターで購入した。ラットの血液は、麻酔して頚動脈又は上大静脈(superior vena cave)から採血した。血液は1/10体積の3.8%のソジウムシトレートを含有するプラスチックチューブで回収した。血漿は4℃で2500gにおいて10分間即時に遠心分離して得た後、-70℃で保管した。
【0192】
2)ラットにおける動静脈シャントモデル(arteriovenous shunt(AV-shunt) model)を利用した抗血栓効果を測定
本発明の化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体の抗血栓効果をラットにおける動静脈(AV)シャントを利用して評価した。体重200-250g及び約7週齢の絶食したオスのスプラギューダウレイ(Sprague Dawley)ラットをウレタン(1.25g/kg)又はクロラルハイドレート(Chloral hydrate)の腹腔注射により麻酔した。文献[Journal of Thrombosis and Haemostasis (2004)3, 514]を若干変形して、上記したように麻酔されたラットにおいて動静脈(AV)シャントを行った。左側の共通頚動脈と右側頚静脈に200mm長の生理食塩水で充填された2個のチューブ(PE-50, Becton Dickinson, USA)を挿入した。前記ポリエチレンチューブを75mm長の綿糸が入っている50mm長のシリコンチューブ(L/SR16, MasterFlex, USA)を有する8mm長のシリコン管(L/SR16, MasterFlex, USA)を介して連結した。化合物及び運搬体を経口で60分間注入し、シャントを15分間開放した。以後、綿糸を取り除き重量を測定した。エクセル2003(MicrosoftR)を利用して線形回帰分析によりED50 値を計算した。
【0193】
3)ラット尾の出血モデル(Rat tail bleeding model)を利用した出血時間(bleeding time, BT)の測定
体重200-250g及び約7週齢の絶食したオスのスプラギューダウレイ(Sprague Dawley)ラットをペントバルビタールナトリウム(Pentobarbital-Na)(60mg/kg)の腹腔注射により麻酔した。FXa阻害剤又は運搬体を経口で60分間注入し、麻酔されたラット尾の末端から2mm地点を切断して垂直に37℃の食塩水に漬けた。持続的な血流が30秒以上停止するときまでの時間を測定し、最大観察時間は30分とした(それ以上の出血時間は30分の値とする)。
【0194】
上記の方法で測定したラットAVシャントにおけるヒトFXaに対する抑制定数、抗凝固効果(2×PTで表す)及び抗血栓効果(血栓形成の%抑制で表す)が表1に示されている。化合物がラット尾-切断出血時間に及ぼす効果は、表2に要約されている。化学式Aで表されたリバロキサバンを対照薬物として使用した。
【0195】
【化45】

【0196】
[表1]
化学式Iの化合物のラットシャントにおけるヒトFXaに対する抑制定数、抗凝固効果(2×PTで表す)及び抗血栓効果(血栓形成の%抑制で表す)
【0197】
【表1】

【0198】
表1に示されているように、本発明の化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体は、対象薬物であるリバロキサバンとよく似たKi値とPT値を示した。ラットAVシャントモデルにおいて、使用された麻酔剤により抗血栓効果において少しずつ差異が見出されたにも拘らず、抗血栓効果はリバロキサバンと似通っていた。リバロキサバンの最も深刻な副作用は出血である。化学式Iで表される代表的な化合物の出血効果を調査するために、多数の投与量において尾の出血時間を評価した。化合物100、109、及び比較薬物リバロキサバンがラット尾の切断出血時間に及ぼす効果が表2に要約されている。
【0199】
[表2]
化合物100及び109がシャント尾の出血時間に及ぼす効果(n=13)
【0200】
【表2】

【0201】
ラット尾出血モデルにおいて、化合物100は運搬体対照群に比して10mg/kgでも出血時間を延長させなかった。それに対し、リバロキサバンは1.25mg/kgで3倍乃至4倍に出血時間を延長させた。そのため、化学式Iの化合物は前記副作用(出血)を大きく減らすことができるものと確認された。さらに、化学式Iの化合物は、メタンスルホン酸又は塩酸のような酸を利用して塩として製剤化され得るため、水溶解度が改善され得る。水溶解度は下記の実験により測定した。
【0202】
実験例3:水溶解度(aqueous solubility)の測定
本発明の化学式Iのサイクリックアミジン基(100)及びサイクリックアミドラゾン基(109)を有する代表的なオキサゾリジノン誘導体である化合物100及び109の塩酸塩とメタンスルホン酸(MSA)塩の形態で水溶解度を試験したのであり、その結果が表3に示されている。化学式Aで表されるリバロキサバンを比較薬物として使用した。
【0203】
[表3]
塩酸塩及びメタンスルホン酸塩形態の化合物100及び109の水溶解度
【0204】
【表3】

【0205】
表3に示したように、本発明の化学式Iのサイクリックアミドキシム(100)又はサイクリックアミドラゾン(109)基を有するオキサゾリジノン誘導体は、塩の形態で製造することができるという大きな長所を有しているため、対照物質であるリバロキサバンに比して水溶解度が200倍以上優れている。この結果は、本発明の化学式Iのサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体が経口投与及び注射用組成物としての高い活用可能性を有するということを示している。
【0206】
以上において察し見たように、本発明の化学式Iのサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体化合物は、リバロキサバンのような典型的な薬物の深刻な副作用のうちの一つである出血をほとんど示さず、かつリバロキサバンと似通った抑制活性を有するため、経口投与及び注射用組成物としての優れた活用可能性を有している。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明の化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有する新規なオキサゾリジノン誘導体化合物は、本発明において対照物質であるリバロキサバンの深刻な副作用である出血が増加しない非常に安全な薬物であり得、リバロキサバンよりさらに高い水溶解度を有するため、経口投与又は注射用組成物として簡単に開発され得る。
【0208】
本技術分野における専門家であれば、詳細な説明に開示されている観念及び特性の具体例が本発明の同一目的を遂行するために変形させたり、又は別の具体例を設計するための基礎として容易に利用され得ることを認識するはずである。本技術分野の専門家であればまた、そのような同等な具体例が添付された請求項に提示されたような本発明の範疇から外れないことを認識するはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式Iで表されるサイクリックアミドキシム又はサイクリックアミドラゾン基を有するオキサゾリジノン誘導体、この前駆薬物、水和物、溶媒和物、異性質体又は薬学的に許容される塩。
【化1】

(前記化学式Iにおいて、A環は下記構造からなる群より選ばれる残基であり、
【化2】

R1乃至R12は独立して水素、(C1-C7)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C6-C12)アリルであるか酸素、硫黄及び窒素からなる群より選ばれる1個乃至4個のヘテロ原子を含有する(C4-C12)へテロアリルであり、R3とR4は(C3-C5)アルキレンで連結されて環を形成し、前記アルキレンの炭素原子はカルボニルに置換され得、前記R1乃至R12のアルキル、シクロアルキル、アリル又はヘテロアリルは(C1-C7)アルキル、ハロ(C1-C7)アルキル、(C1-C7)アルコキシ及びハロゲンからなる群より選ばれるいずれかに置換され得、
R13は水素、(C1-C7)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ホルミル、(C1-C7)アルキルカルボニル、(C1-C7)アルコキシカルボニル又は(C6-C12)アリルである。)
【請求項2】
前記オキサゾリジノン誘導体が下記化学式II乃至化学式XIから選ばれる、オキサゾリジノン誘導体、この前駆薬物、水和物、溶媒和物、異性質体又は薬学的に許容される請求項1の塩。
【化3】

【化4】

(前記化学式II乃至化学式XIにおいて、
R1乃至R12は相互に独立して水素、(C1-C7)アルキル又は(C3-C7)シクロアルキルであり、R13は水素、(C1-C7)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ホルミル又は(C1-C7)アルキルカルボニルであり、mは1乃至3の整数である。)
【請求項3】
前記R1乃至R12が相互に独立して水素、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、前記R13が水素、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ホルミル又はアセチルであり、mが1の整数である、オキサゾリジノン誘導体、この前駆薬物、水和物、溶媒和物、異性質体又は薬学的に許容される請求項2の塩。
【請求項4】
前記オキサゾリジノン誘導体が下記の化合物から選ばれる、オキサゾリジノン誘導体、この前駆薬物、水和物、溶媒和物、異性質体又は薬学的に許容される請求項3の塩。
【化5】

【化6】

【化7】

【請求項5】
請求項1乃至請求項4のうちいずれかによるオキサゾリジノン誘導体、この前駆薬物、水和物、溶媒和物、異性質体又は薬学的に許容される塩を含む薬学的抗凝固剤組成物。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のうちいずれかによるオキサゾリジノン誘導体、この前駆薬物、水和物、溶媒和物、異性質体又は薬学的に許容される塩を含む、血栓症、心筋梗塞、動脈硬化、炎症、卒中、狭心症、再発性狭窄症、間歇性跛行、静脈血栓症、肺塞栓症、動脈血栓症、心筋虚血又は血栓塞栓症の予防又は治療のための薬学的抗凝固剤組成物。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のうちいずれかによるオキサゾリジノン誘導体、この前駆薬物、水和物、溶媒和物、異性質体又は薬学的に許容される塩、及び血栓溶解剤を含む、冠状動脈疾患、大脳動脈疾患又は末梢動脈疾患の予防又は治療のための薬学的抗凝固剤組成物。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4のうちいずれかによるオキサゾリジノン誘導体、この前駆薬物、水和物、溶媒和物、異性質体又は薬学的に許容される塩を含む、試験管内で血液、血漿及び血液製品の保存のための薬学的抗凝固剤組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2011−526624(P2011−526624A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516114(P2011−516114)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003008
【国際公開番号】WO2010/002115
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(511002733)レゴケム バイオサイエンス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】