説明

PARPおよびチューブリン重合阻害剤としてのテトラヒドロフェナントリジノンおよびテトラヒドロシクロペンタキノリノン

【化1】


本発明は式(I)の化合物(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびYは定めた意味を有する)、それらのチューブリン重合の阻害剤としての使用、およびそれらのPARP阻害剤としての使用、ならびに式(I)の該化合物を含んでなる製薬学的組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はPARPおよびチューブリン重合の阻害剤に関し、そして化合物および開示される化合物を含有する組成物を提供する。さらに、本発明は、例えば薬剤としての開示されるPARPおよびチューブリン重合阻害剤の使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
核酵素ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1(PARP−1)は、PARP酵素ファミリーのメンバーである。この増加するファミリーの酵素は、例えば、PARP−1、PARP−2、PARP−3およびVault−PARPのようなPARP;ならびに例えば、TANK−1およびTANK−2のようなタンキラーゼ(Tankyrase:TANK)からなる。またPARPは、ポリ(アデノシン5’−ジホスホ−リボース)ポリメラーゼまたはPARS(ポリ(ADP−リボース)シンテターゼ)とも呼ばれる。
【0003】
タンキラーゼ(TANK)はヒトのテロメア複合体の構成分として同定された。また、それらは紡錘体の調節および小胞輸送(trafficking)に役割を有することも提案されており、そして種々の他の細胞プロセスに関与するタンパク質のための足場(scaffolds)として働く可能性がある。染色体の維持と安定性のために必須であるテロメアは、特殊な逆転写酵素であるテロメラーゼによって維持される。TANKは、シグナル伝達と細胞骨格タンパク質の両方のいくつかの特徴をもつ(ADP−リボース)転移酵素である。それらは、基質タンパク質のポリ−ADPリボシル化を触媒するPARPドメイン、ある種のシグナル伝達分子と共有されるステライル(sterile)のアルファモチーフ、および細胞骨格タンパク質アンキリン(ankyrin)にも存在する16〜24個のアンキリンリピート(repeat)を含有するANKドメインを含有する。ANKドメインはテロメアタンパク質、テロメアリピート結合因子−1(TRF−1)を含む種々のタンパク質と相互作用する。したがってこれらのタンパク質は、TRF1相互作用性アンキリン関連ADP−リボースポリメラーゼ(TANK)と命名された。
【0004】
TANKの1つの機能は、TRF−1のADPリボシル化である。ヒトのテロメア機能は、2つのテロメア特異的DNA結合タンパク質、TRF−1およびTRF−2を含むテロメア会合タンパク質の複合体により調節される。TRF−2は染色体末端を保護し、そしてTRF−1はテロメアの長さを調節する。ADPリボシル化は、テロメアDNAに結合するTRF−1の能力を阻害する。TRF−1のこのポリ−ADPリボシル化は、テロメアからTRF−1を遊離し、これによりテロメア複合体を開き、そしてテロメラーゼへの接近を可能にする。したがってTANKはテロメアの長さのポジティブレギュレーターとして機能して、テロメラーゼによるテロメアの伸長を可能にする。
【0005】
TANKの他の役割は、それらが相互作用するタンパク質であるインスリン応答性アミノペプチダーゼ、Mc11タンパク質(これはBcl−2ファミリーのメンバーである)、エプスタイン−バー核抗原−1、核および分裂装置タンパク質および細胞質および異質染色質因子TAB182との同一性、およびその様々な細胞下での局在性(核孔、ゴルジ装置および分裂中心体)により示唆されている。
【0006】
タンキラーゼ−2(TANK−2)は、TANK1に見いだされるN−末端HPSドメイン(His、ProおよびSer残基のホモポリマー性反復配列からなる)を欠く点で
タンキラーゼ1(TANK−1)とは異なる。しかし両タンパク質が類似の細胞下での局在性を有し、互いに会合し、そして多くの同じタンパク質に結合すると仮定すれば、タンキラーゼ−2は恐らくタンキラーゼ−1と幾つか重複する機能を有するだろう。
【0007】
PARP−1は、3種のドメイン:2個の亜鉛フィンガーを含有するN末端DNA結合ドメイン、自己修飾(automodification)ドメインおよびC末端触媒ドメインからなる116kDaの主要な核タンパク質である。この酵素は、ポリ(ADP−リボース)、200以上のADP−リボース単位からなることができる分枝ポリマーを合成する。ポリ(ADP−リボース)のタンパク質アクセプターは、直接的または間接的にDNAの完全性を維持することに関与している。それらには、ヒストン、HMGタンパク質、トポイソメラーゼ、DNAおよびRNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、Ca2+およびMg2+依存エンドヌクレアーゼおよび一本鎖切断修復(single−strand break−repair)および塩基除去修復(base−excision repair)因子を含む。PARPタンパク質は、多数の組織、最も注目されるのは免疫系、心臓、脳および生殖系細胞で高レベルで発現される。正常な生理学的条件下では、最小のPARP活性が存在する。しかしDNAの傷害は500倍までPARPの即時活性化を引き起こす。生じるポリ(ADP−リボース)生産は3つの結果を招く:第1にDNA傷害が誘導するヒストンH1およびH2BのN−およびC−末端尾のポリ(ADP−リボシル)化、またはこれらタンパク質と遊離もしくはPARP−1結合ポリ(ADP−リボース)との選択的相互作用が、30nmのクロマチンファイバーの弛緩に貢献し、そして切断への接近が増す;第2に、これがDNA傷害の発生および程度のシグナルを出すので、細胞は損傷の程度に従って適応応答を確立することができる(DNA修復または細胞の自殺);第3にこの生産が一本鎖切断修復および塩基除去修復因子の迅速な集合を媒介する。
【0008】
一本鎖切断(SSB)はすべての細胞で自然に起こる。PARP−1活性の不存在下では、これらSSBは複製中に複製フォークの破壊を導く可能性がある二本鎖切断(DSB)に転換されるかもしれない。DSBはそれらのエピジェネティックマーク(epigenetic mark)であるコアヒストンバリアントH2AX(γH2AX)のリン酸化により同定される。DSBでγH2AX−依存的様式で起こるクロマチンの大変迅速な局所的脱凝縮は、PARP−1により局所的に媒介されるポリ(ADP−リボース)生産に寄与することができる。
【0009】
ステロイドまたは熱ショックのような発育的または環境的合図が、PARP−1の活性化およびクロマチンからヒストンのポリ(ADP−リボース)依存的剥奪を誘導し、これによりクロマチン構造の解放が許され、これはDNA切断の不存在下での転写活性化を可能とすることができる。
【0010】
広範なPARP活性化は、大きなDNA傷害を蒙っている細胞におけるNADの深刻な枯渇をもたらす。ポリ(ADP−リボース)の短い半減期は、急速なターンオーバー速度をもたらす。一旦ポリ(ADP−リボース)が形成されると、それは、ホスホジエステラーゼおよび(ADP−リボース)タンパク質リアーゼと一緒に、構成的に活性なポリ(ADP−リボース)グリコヒドロラーゼ(PARG)によって急速に分解される。PARPおよびPARGは、大量のNADをADP−リボースに変換するサイクルを形成する。1時間以内に、PARPの過剰刺激は正常レベルの20%未満までNADおよびATPの低下を引き起こす恐れがある。そのようなシナリオは、酸素の喪失が細胞のエネルギー生産を既に劇的に危うくしている虚血においては特に有害である。再灌流中、続いて起こる遊離ラジカルの産生は、組織傷害の主要な原因であると考えられる。虚血と再灌流の間の多くの器官において典型的に存在するATP低下の一部は、ポリ(ADP−リボース)ターンオーバーによるNAD枯渇に結び付けられるであろう。このようにPARPま
たはPARG阻害は、細胞のエネルギーレベルを保持し、それによって発作後の虚血組織の生存を強化することが期待される。
【0011】
上に示したように、数種のPARPの細胞での局在性により、細胞分割の調節におけるポリ(ADP−リボシル)化の生理学的役割も示唆される。
【0012】
TANK−1は有糸分裂紡錘体会合ポリ(ADP−リボース)の重合に必要と思われる。TANK−1のポリ(ADP−リボシル)化活性は紡錘体の双極性の正確な形成および維持に重要であるにちがいない。さらにTANK−1のPARP活性は、分裂後期前の正常なテロメア分離に必要であることが示された。タンキラーゼのPARP活性を妨害することにより異所性の有糸分裂を生じ、これは恐らく紡錘体チェックポイント活性化による一時的な細胞周期の静止、続いて細胞死を発生させる。したがってタンキラーゼの阻害は、増殖している腫瘍細胞に細胞傷害性効果を有することが期待される。
【0013】
PARP−1およびPARP−2は中心体に局在し、ここでそれらは動原体タンパク質と相互作用する。マウスのParp−2遺伝子の除去により、動原体欠損と関連する重大なDNA−傷害が誘導する染色体不分離(mis−segregation)を引き起こし、これはPARP−2が挟動原体ヘテロクロマチンの完全性に重要な保護的機能を有することを示している。さらにPARP−1は中心体と会合し、DNA−傷害の監視ネットワークを有糸分裂の忠実性のチェックポイントと結び付けている。
【0014】
DNA鎖の切断部の修復におけるPARPの中心的役割は、特に、電離放射線によって直接的に、あるいはメチル化剤、トポイソメラーゼI阻害剤、およびシスプラチンおよびブレオマイシンのような他の化学療法剤によって誘導されるDNA損傷の酵素的修復後に間接的に生じる場合には、十分に確立されている。「ノックアウト」マウス、トランス−ドミナント(trans−dominant)インヒビッションモデル(DNA結合性ドメインの過発現)、アンチセンスおよび低分子量阻害剤を用いる種々の研究は、DNA傷害の誘導後の修復および細胞生存におけるPARPの役割を証明した。PARP酵素活性の阻害は、DNA傷害処理に対する腫瘍細胞の感受性の増強をもたらすであろう。
【0015】
PARP阻害剤は、多分、DNA鎖切断の再連結を防ぐそれらの能力によって、そしていくつかのDNA傷害シグナル伝達経路に影響を与えることによって、(低酸素の(hypoxic))腫瘍細胞を放射線増感する(radiosensitizing)のに効果的であり、そして放射線療法後にDNAの潜在的に致死的および致死以下の損傷から腫瘍細胞の回復を防ぐのに効果的であると報告された。
【0016】
特許文献1は腫瘍細胞に及ぼす電離放射線線または化学治療薬の致死的効果を増強するために使用される数種のイソキノリン類について検討している。非特許文献1(「6−(5−フェナントリジノン)、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤の培養腫瘍細胞に及ぼす効果」)は、PARP活性の阻害、腫瘍細胞増殖の低下、および腫瘍細胞がアルキル化剤で同時処理された時の顕著な相乗効果について検討している。
【0017】
当該技術分野に関する総説は、非特許文献2、3および4により公開された。
【0018】
PARP−1の損失は、相同的組換え自体のプロセスを直接調節することはない相同的組換えにより修復されるDNA損傷の形成を増加する。家族性の乳癌は通常、BRCA1またはBRCA2の対立遺伝子のうちの1つの遺伝的欠失と関連している。BRCA1およびBRCA2は相同的組換えに重要である。残る機能的BRCA1またはBRCA2の対立遺伝子が幾つかの細胞で失なわれる可能性があり、これにより腫瘍形成に貢献する。このように生じる腫瘍はBRCA1またはBRCA2欠失(例えばBRCA2−/−)で
あり、これに対して体細胞は機能的BRCAタンパク質を保持している(BRCA2+/−)。BRCA1−またはBRCA2−欠失のバックグラウンドでのPARP活性の阻害は、通常、姉妹染色分体交換により修復されるDNA損傷の生成をもたらし、染色分体の逸脱および生存能の喪失を引き起こす。BRCA−欠失細胞の急性の感受性を仮定すれば、比較的低レベルのPARP−1阻害剤だけが治療的効果を生じるために必要とされるのかもしれない。これは通常は必須ではないDNA修復タンパク質の阻害剤が腫瘍を処置するために単独の作用物質として使用できる別の例である。
【0019】
非特許文献5の総説によれば、最近の研究ではPARP阻害剤は、様々なレベルでDNAの修復を妨害するので、主に癌の細胞死を強化することが示された。さらに最近の研究では、PARP阻害剤は増殖因子の発現を阻害するか、または増殖因子が誘導する細胞の増殖応答を阻害するいずれかにより脈管形成を阻害することも示された。これらの知見はインビボでPARP阻害剤の抗癌効果の様式に関連付けられるかもしれない。
【0020】
また非特許文献6は、PARP阻害剤がVEGFまたは胎盤成長因子が誘導する移動を排除し、そして細胞に基づく系で細管状ネットワークの形成を妨げ、そしてインビボでの脈管形成を損なうことを示す。またこの研究は、PARP−1ノックアウトマウスで増殖因子が誘導する脈管形成が欠失していることも示す。この研究の結果、抗脈管形成のためにPARPを標的とする証拠が提供され、癌の処置において新たな治療的関連性がPARP阻害剤の使用に加えられた。
【0021】
本発明のPARP阻害剤はチューブリン重合の途絶と結び付けられる抗癌活性も示す。
【0022】
チューブリンは、αおよびβチューブリンと呼ばれる2つの関連タンパク質のヘテロ二量体からなる。チューブリンは、重合して微小管と呼ばれる構造物を形成する。微小管は高度に動的な細胞骨格要素であり、そして有糸分裂、細胞の運動性、細胞の形状、細胞内オルガネラ輸送および細胞−細胞相互作用を含む、真核生物細胞における多くのプロセスにおいて決定的役割を演じる。
【0023】
適切な細胞分裂が起きるためには、微小管が重合および解重合できることが必須である。有糸分裂紡錘体における微小管は、非分裂細胞におけるそれよりも動的であり、したがって、微小管動力学に影響する作用物によって標的とすることができる。微小管の重合/解重合を改変することにより、これらの作用物は、有糸分裂紡錘体の形成に影響を与え、細胞周期のG2/M期における分裂細胞を休止し、そして最後には、アポトーシス細胞死をもたらす。新生物細胞は高い増殖速度を有するので、それらは、これらの抗有糸分裂作用物によって標的とすることができる。
【0024】
チューブリン結合性薬物の3つの主な種類、すなわちコルヒチン類似体、Vinca(ツルニチニチソウ)アルカロイドおよびタキサン類が同定されており、これらの各々は、β−チューブリン分子上の特異的結合部位を保持する。パクリタキセル(Paclitaxel)および関連タキサン類は、微小管の安定化、すなわちそれらが再構築できないように究極的に微小管構造の凍結をもたらすプロセスに作用する薬物の種類を表す。有糸分裂におけるその後の休止は、細胞死を惹起するアポトーシスメカニズムを誘導する。第2の化合物類、コルヒチン類似体ならびにその他の数種の化合物は、コルヒチンと同じβ−チューブリン上の部位に結合し、そして重合と微小管形成を破壊する。第3の化合物類、ビンブラスチンおよび他の数種のビンカ(vinca)関連薬物は、Vinca部位に結合し、微小管形成を阻害し、そして微小管を不安定化させる。
【0025】
また、チューブリンは、癌性腫瘍のような血管の異常形成(新生血管形成)に依存するか、またはそれからもたらされる疾患状態を処置するための標的である。これらの場合に
は、血管内皮細胞の細胞骨格が微小管の解重合を通して破壊されるが、これは微小管を形成するためのチューブリンの重合を阻害することからもたらされる。微小管の長さは、解重合対重合の割合に依存する。重合の阻害による微小管の解重合は、内皮細胞の形態における変化をもたらし、これが血流の封鎖または閉鎖を引き起こす。癌性腫瘍の場合には、病的組織への血流が停止されて、腫瘍から酸素および栄養物を奪って壊死的細胞死をもたらす。新生血管系はこれらの作用物に対してより感受性である、何故ならば、それらは、アクチンに基づく細胞骨格構造によってまた支持される正常で健全な血管内皮細胞よりも微小管細胞骨格に一層依存しているからである。チューブリンのコルヒチン結合部位を標的とする多数のチューブリン重合の阻害剤では、血管標的様相が抗増殖様相よりも低いインビボ濃度において達成することができる。このようにチューブリンのコルヒチン結合性ドメインを標的とする作用物は、潜在的に二重様式、すなわち抗有糸分裂と抗血管性の作用物となることができる。
【0026】
現在処置できないか、または処置がうまくいかない腫瘍に対する効力、多剤耐性腫瘍に対する効力、および最少の副作用を含む有効かつ効能のある抗癌療法に対する必要性が継続して存在する。本発明は、癌を処置するためにPARP活性を阻害し、かつチューブリンに結合する化合物、組成物、およびそのようにする方法を提供する。本発明の化合物および組成物は、それらが、二重の作用様式(PARP阻害およびチューブリン結合)を有する点において、先行技術とは異なる。さらにそれらは高いTANK阻害活性を有し、強化された抗癌効果を生じ、これにより特に単剤処置に有用となる。また、それらは、化合物による処置の一次効果がDNA損傷の条件下で細胞死を惹起するものである、化学療法および放射線療法の有効性を強化する点でも有用である。
【0027】
背景となる先行技術
2003年12月11日に公開された特許文献2は、細胞増殖関連障害の処置のための2−オキソ−1,3,4−トリヒドロキナゾリニル誘導体を開示する。
【0028】
2005年10月2日に公開された特許文献3は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としてのフェナントリジノンを開示する。
【0029】
2005年6月16日に公開された特許文献4は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての6−アルケニルおよび6−フェニルアルキル置換2−キノリノンおよび2−キノキサリノンを開示する。
【0030】
2005年6月16日に公開された特許文献5は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての6−フェニルアルキル置換2−キノリノンおよび2−キノキサリノンを開示する。
【0031】
2005年6月16日に公開された特許文献6は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての6−置換2−キノリノンおよび2−キノキサリノンを開示する。
【0032】
2005年6月30日に公開された特許文献7は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての置換6−シクロヘキシルアルキル置換2−キノリノンおよび2−キノキサリノンを開示する。
【0033】
2005年10月2日に公開された特許文献8は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての置換ピリドンを開示する。
【0034】
2005年12月15日に公開された特許文献9は、癌および脈管形成の二重低分子阻害剤を開示する。
【0035】
2006年1月12日に公開された特許文献10は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としてのキナゾリノン誘導体を開示する。
【0036】
2006年1月12日に公開された特許文献11は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としてのフタラジン誘導体を開示する。
【0037】
2006年1月12日に公開された特許文献12は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としてのキナゾリンジオン誘導体を開示する。
【0038】
2006年1月12日に公開された特許文献13は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての置換2−アルキルキナゾリノン誘導体を開示する。
【0039】
2007年3月1日に公開された特許文献14は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としてのインデノイソキノリノン類似体を開示する。
【0040】
2007年8月23日に公開された特許文献15は、有力なPARP阻害剤としてのピラゾロキノリノンを開示する。
【0041】
2008年9月12日に公開された特許文献16は、PARPおよびTANK阻害剤としてのキノリン誘導体を開示する。
【0042】
非特許文献6は、脈管形成を減じるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害またはPARP−1遺伝子欠失に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】米国特許第5,177,075号明細書
【特許文献2】国際公開第03/101985号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第1487800号明細書
【特許文献4】欧州特許第1687277号明細書
【特許文献5】欧州特許第1709011号明細書
【特許文献6】欧州特許第1709012号明細書
【特許文献7】欧州特許第1694653号明細書
【特許文献8】国際公開第2005/097750号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2005/117876号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2006/003146号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2006/003147号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2006/003148号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2006/003150号パンフレット
【特許文献14】国際公開第2007/025009号パンフレット
【特許文献15】国際公開第2007/095628号パンフレット
【特許文献16】国際公開第2008/107478号パンフレット
【非特許文献】
【0044】
【非特許文献1】Weltin et al.,Oncol Res.,6:9,399−403(1994)
【非特許文献2】Li and Zhang,IDrugs 2001,4(7):804−812
【非特許文献3】Ame et al.,Bioassays 2004,26:882−883
【非特許文献4】Nguewa et al.,Progress in Biophysic & Molecular Biology 2005,88:143−172
【非特許文献5】Horvath and Szabo,Drug News Perspect 20(3),April 2007,171−181
【非特許文献6】Tentori et al,Eur.J.Cancer,2007,vol.43(14)2124−2133
【発明の概要】
【0045】
発明の説明
本発明は、立体化学的異性体形を含む式(I):
【0046】
【化1】

【0047】
[式中、
YはCHまたはCH−CHであり;
はアリールまたはHetであり;
ここでアリールはフェニルまたはナフタレニルであり;
ここでHetはチエニル、ピロリル、ピロリニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、フラニル、ピペリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピペラジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリジニル、アザインドリジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、クロマニル、プリニル、キノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサゾリニル、ナフチリジニルまたはプテリジニルであり;
アリールまたはHet上の2個の炭素原子は
−O−CH−CH−O− (a−1)、
−CH−O−CH−O− (a−2)、
−O−CH−CH−CH− (a−3)、
−O−CH−CH−NR− (a−4)、
−O−CR−O− (a−5)、
−O−CH−CH− (a−6)、
−CH−N−CH−CH− (a−7)、
−(CH− (a−8)または
−(CH− (a−9)
から選択される二価の基で架橋されることができ(すなわち、二もしくは三環系部分を形成する);
各アリール、Het、架橋化アリールまたは架橋化Hetは、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシカルボニル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルアミノ、メチルエチルアミノ、アミノC3−6シクロアルキル、ハロC1−6アルキル、トリハロC1−6アルキル、C1−
アルキルカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル、C2−6アルケニルカルボニル、オキシム、C1−6アルキルオキシム、アミドキシム、−C≡C−CHO−CH、−C≡C−CHN(CH、−C≡C−Si(CH、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC2−6アルケニル、ヒドロキシC2−6アルキニル、シアノC1−6アルキル、シアノC2−6アルケニル、アミノカルボニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニルC2−6アルケニル、C1−6アルキルスルホニルC2−6アルキニル、−PO(OC1−6アルキル)、−B(OH)、−S−CH、SF、C1−6アルキルスルホニル、−NR、−C1−6アルキルNR、−OR、−C1−6アルキルOR、−CONR、ピペリジニルC1−6アルキル、ピペラジニルC1−6アルキル、C1−6アルキルピペラジニルC1−6アルキル、モルホリニルC1−6アルキル、ピペリジニル、ピペラジニル、C1−6アルキルピペラジニル、モルホリニル、フェニル、チエニル、ピラゾリル、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、ピリミジニル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリルC2−6アルキニル、C1−6アルキルイミダゾリルC2−6アルキニル、シアノピリジニル、フェニルC1−6アルキル、フェニルC2−6アルケニル、モルホリニルC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシフェニル、トリハロC1−6アルキルフェニル、メチルピラゾリル、ハロピリミジニルまたはジメチルアミノピロリジニルからそれぞれ独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基により置換されることができ;あるいは
は式
【0048】
【化2】

【0049】
式中、XはCH、NHまたはN−CHであり;
式中、XはCH、C=O、O、NHまたはN−CHであり;
式中、R10はフェニル、ピリジニル、ピリダジニルまたはピリミジニルであり、ここで各フェニル、ピリジニル、ピリダジニルまたはピリミジニルは、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルキル、アミノ、ポリハロC1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシからそれぞれ独立して選択される1もしくは2個の置換基により置換されることができる、
の基であるか;あるいは
は式
【0050】
【化3】

【0051】
式中、XはCHまたはNである、
の基であり;
はメチル、エチル、プロピルまたはC3−6シクロアルキルであり;
各RおよびRは、水素、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、メチルオキシから独立して選択され;あるいはRおよびRはそれらに結合している炭素原子と共にシクロプロピル環または式C(=O)の基を形成し;
各RおよびRは水素、ハロ、C1−6アルキルオキシ、シアノ、C1−6アルキル
、−OCHCHNR、−CHOCHCHNR、−OCHCHCHNRから独立して選択され;
は水素、メチルまたはフルオロであり;
各RおよびRは、水素、ハロ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、カルボニル、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ジヒドロキシC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、トリハロC1−6アルキル、フェニルC1−6アルキル、(ジC1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニル、モルホリニルC1−6アルキル、モルホリニルカルボニル、ピペラジニルC1−6アルキル、C1−6アルキルピペラジニルC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキル、チオモルホリニルC1−6アルキル、C3−6シクロアルキルメチル、ピリジニル、ピリミジニル、フェニル、ハロフェニル、オキサニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキルまたはC1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキルから独立して選択される]
の化合物、それらのN−オキシド形、それらの製薬学的に許容され得る付加塩、およびそれらの溶媒和物に関する。
【0052】
また本発明の式(I)の化合物および中間体は、それらの互変異性体形でも存在することができる。そのような形態は上記式で明白には示していなくても本発明の範囲に包含されることを意図する。式(I)の化合物の互変異性体形は、例えばエノール基がケト基に転換された(ケト−エノール互変異性体形)式(I)の化合物も含んでなることを意味する。
【0053】
中の複素環式環系が−CH−、−CH=または−NH−部分を含む場合はいつでも、置換基または分子の残りの部分は各炭素または窒素原子に結合することができ、この場合1もしくは両方の水素原子を置き換えることができる。
【0054】
前記定義および今後使用する多くの用語をこれから説明する。これらの用語は時には、そのままで、または合成用語でも使用される。
【0055】
前記定義および今後使用するように、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードに対する総称であり;C1−6アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、1−メチルエチル、2−メチルプロピル、2−メチル−ブチル、2−メチルペンチルなどと定義し;ハロC1−6アルキルは1個のハロ置換基を含有するC1−6アルキル、例えばフルオロメチルと定義する;トリハロC1−6アルキルは3個の同一もしくは異なるハロ置換基を含有するC1−6アルキル、例えばトリフルオロメチルと定義する;基または基の一部としてのポリハロC1−6アルキルは、例えば2、3、4もしくは5個のハロ原子のような1もしくは複数で置換されたC1−6アルキル、例えば1もしくは複数のフルオロ原子で置換されたメチル、例えばジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチル、1,1−ジフルオロ−エチル,1,1−ジフルオロ−2,2,2−トリフルオロ−エチル等と定義する。ポリハロC1−6アルキルの定義において、1より多くのハロゲン原子がC1−6アルキル基に結合する場合、それらは同じでも異なってもよい;C2−6アルケニルは、二重結合、特に1個の二重結合を含有し、そして2〜6個の炭素原子を有する例えばエテニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル等のような直鎖および分枝鎖炭化水素基と定義する;C2−6アルキニルは、三重結合、特に1個の三重結合を含有し、そして2〜6個の炭素原子を有する例えばエチニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、3−ヘキシニル等のような直鎖および分枝鎖炭化水素基と定義する;C3−6シクロアルキルには3〜6個の炭素を有する環式炭化水素基、例えばシクロプロピル、シ
クロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。
【0056】
用語「製薬学的に許容され得る付加塩」は、製薬学的に許容され得る酸または塩基付加塩を意味する。先に言及し、またはこれから述べる製薬学的に許容され得る酸または塩基付加塩は、式(I)の化合物が形成できる治療に活性のある無毒の酸および無毒の塩基付加塩形態を含んでなることを意味する。塩基性を有する式(I)の化合物は、適当な酸により該塩基形態を処理することによりそれらの製薬学的に許容され得る酸付加塩に変換できる。適当な酸は無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩化水素酸もしくは臭化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸等;あるいは有機酸、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸等を含む。
【0057】
酸性を有する式(I)の化合物は、適当な有機または無機塩基により該酸形態を処理することによりそれらの製薬学的に許容され得る塩基付加塩に変換できる。適当な塩基性の塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えば、ベンザシン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、およびアミノ酸、例えばアルギニン、リジンなどとの塩を含む。
【0058】
治療上の使用には、式(I)の化合物の塩は、対イオンが製薬学的に許容され得るものである。しかし製薬学的に許容されない酸および塩基の塩でも、例えば製薬学的に許容され得る化合物の調製または精製に用途を見いだすことができる。製薬学的に許容されてもされなくてもすべての塩が本発明の範囲に含まれる。
【0059】
式(I)の化合物の四級アンモニウム塩は、式(I)の化合物の塩基性窒素と適切な四級化剤、例えば場合により置換されてもよいアルキルハライド、アリールハライドまたはアリールアルキルハライド、特にヨウ化メチルおよびヨウ化ベンジルとの反応により形成することができる該化合物と定義する。良い脱離基を持つ他の反応体を使用してもよく、それらは例えばアルキルトリフルオロメタンスルホン酸塩、アルキルメタンスルホン酸塩およびアルキルp−トルエンスルホン酸塩である。四級アンモニウム塩は少なくとも1つの正に荷電した窒素を有する。製薬学的に許容され得る対イオンにはクロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロ酢酸塩および酢酸塩イオンを含む。式(I)の化合物の四級アンモニウム塩は、本発明の範囲内に含まれる。
【0060】
用語、溶媒和物は水和物および式(I)の化合物が形成することができる溶媒付加形態、およびそれらの製薬学的に許容され得る付加塩を含んでなる。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラート等である。
【0061】
先に使用されたような、またはこれから使用する用語、式(I)の化合物の立体化学的異性体は、同じ結合配列によって結合された同じ原子から作成されるが、相互交換不可能である異なる三次元構造を有する、式(I)の化合物が保持できるすべての可能な化合物と定義する。他に言及または示さない限り、化合物の化学的名称は、該化合物が保持できるすべての可能な立体化学的異性体の混合物を包含する。該混合物は、該化合物の基本分子構造のすべてのジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーを含んでもよい。式(I)の化合物のすべての立体化学的異性体は、純粋な形態または互いの混合物の両方で本発明の範囲に含まれるものとする。
【0062】
特に興味深いのは立体化学的に純粋な式(I)の化合物である。
【0063】
本明細書で言及する化合物および中間体の純粋な立体異性体形は、該化合物または中間体と同じ基礎分子構造の他のエナンチオマー形またはジアステレオマー形を実質的に含まない異性体と定義する。特に用語「立体化学的に純粋」とは、少なくとも80%の立体異性体過剰率(stereoisomeric excess)(すなわち最少80%の一異性体および最大20%のもう一方の可能な異性体)から、最大100%の立体異性体過剰率(すなわち100%の一異性体およびもう一方の異性体はなし)を有する化合物または中間体に関し、より特別には90%から最高100%の立体異性体過剰率を有する化合物または中間体、さらにより特別には94%から最高100%の立体異性体過剰率を有し、そして最も特別には97%から最大100%の立体異性体過剰率を有するものである。用語「エナンチオマー的に純粋(enantiomerically pure)」および「ジアステレオマー的に純粋(diastereomerically pure)」とは同様に理解されるべきであるが、その場合は問題の混合物中でそれぞれのエナンチオマー過剰率、ジアステレオマー過剰率に関する。
【0064】
化合物が1つのキラル中心を有し、そしてこの化合物の2つのエナンチオマーが分離されている場合、図面中のアスタリスク“*”は、エナンチオマーの絶対的立体化学は決定されなかったことを意味する。
【0065】
式(I)の化合物のN−オキシド形は、1個または数個の3級窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化された式(I)の化合物、特に、1もしくは複数のピペリジンまたはピペラジン窒素がN−オキシド化されたそれらのN−オキシドを含むことを意味する。
【0066】
式(I)の化合物は、三価の窒素をそのN−オキシド形に変換するための技術的に知られている手順に従い、対応するN−オキシド形に転換することができる。該N−酸化反応は一般に式(I)の出発材料を適切な有機もしくは無機ペルオキシドと反応させることにより行うことができる。適切な無機ペルオキシドには例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属ペルオキシド、例えばナトリウムペルオキシド、カリウムペルオキシドを含んでなり;適切な有機ペルオキシドはペルオキソ酸、例えばベンゼンカルボペルオキソ酸もしくはハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロ−ペルオキシドを含むことができる。適切な溶媒には例えば水、低級アルコール、例えばエタノール等、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタンおよびそのような溶媒の混合物である。
【0067】
本発明は本発明の化合物に存在する原子の任意の同位体を含むことも意図する。例えば水素の同位体にはトリチウムおよびジューテリウムがあり、そして炭素の同位体にはC−13およびC−14がある。
【0068】
今後使用する場合はいつでも、用語「式(I)の化合物」は、それらのN−オキシド形、製薬学的に許容され得る酸または塩基付加塩、溶媒和物、およびすべての立体異性体形を含むことを意味する。
【0069】
興味深い化合物の第1群は、1もしくは複数の以下の制限が適用される式(I)の化合物からなる:
a)YがCH−CHであり;
b)アリールがフェニルであり;
c)Hetがピリジニル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリルまたはインダソリルでありd)各アリールまたはHetが、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオ
キシカルボニル、C1−6アルキルNRまたは−ORからそれぞれ独立して選択される1もしくは2個の置換基により置換されることができ;
e)XがCHまたはN−CHであり;
f)XがCH、C=OまたはOであり;
g)R10がシアノにより置換されることができるフェニルであり;
h)Rがメチルであり;
j)RおよびRが水素であり;
k)RおよびRが水素であり;
l)Rが水素であり;または
m)各RおよびRが水素、ハロ、C1−6アルキルまたはトリハロC1−6アルキルから独立して選択される。
【0070】
興味深い化合物の第2群は、Rがピリジニルまたはピリミジニルである式(I)の化合物からなる。
【0071】
興味深い化合物の第3群は、1もしくは複数の以下の制限が適用される式(I)の化合物、または式(I)の興味深い化合物の上記群の1つからなる:
a)YがCH−CHであり;
b)Rがフェニル、ピリジニルまたはピリミジニルであり;
c)各フェニル、ピリジニルまたはピリミジニルは、ハロ、シアノまたはC1−6アルキルオキシからそれぞれ独立して選択される1もしくは2個の置換基により置換されることができ;
e)XがCHであり;
f)XがOであり;
g)R10がシアノにより置換されたフェニルであり;
d)Rがメチルであり;
e)RおよびRが水素であり;
h)RおよびRが水素であり;または
i)Rが水素である。
【0072】
好適な化合物の群は、YがCH−CHであり;アリールがフェニルであり;Hetがピリジニル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリルまたはインダソリルであり;各アリールまたはHetが、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、−C1−6アルキルNRまたは−ORからそれぞれ独立して選択される1もしくは2個の置換基により置換されることができ;XがCHまたはN−CHであり;XがCH、C=OまたはOであり;R10がシアノにより置換されることができるフェニルであり;Rがメチルであり;RおよびRが水素であり;RおよびRが水素であり;Rが水素であり;そして各RおよびRが水素、ハロ、C1−6アルキルまたはトリハロC1−6アルキルから独立して選択される式(I)の化合物からなる。
【0073】
さらに好適な化合物の群は、YがCH−CHであり;Rがフェニル、ピリジニルまたはピリミジニルであり;各フェニル、ピリジニルまたはピリミジニルは、ハロ、シアノまたはC1−6アルキルオキシからそれぞれ独立して選択される1もしくは2個の置換基により置換されることができ;XがCHであり;XがOであり;R10がシアノにより置換されたフェニルであり;Rがメチルであり;RおよびRが水素であり;RおよびRが水素であり;そしてRが水素である式(I)の化合物からなる。
【0074】
最も好適な化合物は、Co.No.6、Co.No.5b、Co.No.7、Co.No.4およびCo.No.17
【0075】
【表1】

【0076】
およびそれらのN−オキシド形、それらの製薬学的に許容され得る付加塩およびそれらの溶媒和物;特にそれらの製薬学的に許容され得る付加塩およびそれらの溶媒和物;さらに特別にはそれらの製薬学的に許容され得る付加塩である。
【0077】
式(I)の化合物は、以下に記載する一般法に従い調製することができる。出発材料および中間体の幾つかは既知の化合物であり、そして市販されているか、または当該技術分野で一般的に知られている通常の反応手順に従い調製することができる。
【0078】
幾つかの調製法をこれからさらに詳細に記載する。式(I)の最終化合物を得るための他の方法は、実施例に記載する。
【0079】
式(I)の化合物は技術的に既知の方法に従い、式(II)の中間体を適切な試薬、例えば塩酸で、ジオキサンのような反応に不活性な溶媒中で処理することより式(II)の中間体を加水分解することにより調製できる。
【0080】
【化4】

【0081】
あるいは式(I)の化合物は、過剰な塩基、例えば2−メチル−2−プロパノール、カ
リウム塩またはリチウムジイソプロピルアミドを、式(III)の中間体に、式(IV)の中間体(式中、Haloはクロロ、ブロモである)の存在下で、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはジメチルホルムアミドのような適切な溶媒中にて加えることにより調製することができる。
【0082】
【化5】

【0083】
また本発明は立体化学的異性体形を含む式(II):
【0084】
【化6】

【0085】
[式中、
YはCHまたはCH−CHであり;
はアリールまたはHetであり;
ここでアリールはフェニルまたはナフタレニルであり;
ここでHetはチエニル、ピロリル、ピロリニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、フラニル、ピペリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピペラジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリジニル、アザインドリジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、クロマニル、プリニル、キノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサゾリニル、ナフチリジニルまたはプテリジニルであり;
アリールまたはHet上の2個の炭素原子は
−O−CH−CH−O− (a−1)、
−CH−O−CH−O− (a−2)、
−O−CH−CH−CH− (a−3)、
−O−CH−CH−NR− (a−4)、
−O−CR−O− (a−5)、
−O−CH−CH− (a−6)、
−CH−N−CH−CH− (a−7)、
−(CH− (a−8)または
−(CH− (a−9);
から選択される二価の基で架橋されることができ(すなわち、二もしくは三環系部分を形成する);
各アリール、Het、架橋化アリールまたは架橋化Hetは、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシカルボニル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルアミノ、メチルエチルアミノ、アミノC3−6シクロアルキル、ハロC1−6アルキル、トリハロC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル、C2−6アルケニルカルボニル、オキシム、C1−6アルキルオキシム、アミドキシム、−C≡C−CHO−CH、−C≡C−CHN(CH、−C≡C−Si(CH、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC2−6アルケニル、ヒドロキシC2−6アルキニル、シアノC1−6アルキル、シアノC2−6アルケニル、アミノカルボニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニルC2−6アルケニル、C1−6アルキルスルホニルC2−6アルキニル、−PO(OC1−6アルキル)、−B(OH)、−S−CH、SF、C1−6アルキルスルホニル、−NR、−C1−6アルキルNR、−OR、−C1−6アルキルOR、−CONR、ピペリジニルC1−6アルキル、ピペラジニルC1−6アルキル、C1−6アルキルピペラジニルC1−6アルキル、モルホリニルC1−6アルキル、ピペリジニル、ピペラジニル、C1−6アルキルピペラジニル、モルホリニル、フェニル、チエニル、ピラゾリル、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、ピリミジニル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリルC2−6アルキニル、C1−6アルキルイミダゾリルC2−6アルキニル、シアノピリジニル、フェニルC1−6アルキル、フェニルC2−6アルケニル、モルホリニルC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシフェニル、トリハロC1−6アルキルフェニル、メチルピラゾリル、ハロピリミジニルまたはジメチルアミノピロリジニルからそれぞれ独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基により置換されることができ;あるいは
は式
【0086】
【化7】

【0087】
式中、XはCH、NHまたはN−CHであり;
式中、XはCH、C=O、O、NHまたはN−CHであり;
式中、R10はフェニル、ピリジニル、ピリダジニルまたはピリミジニルであり、ここで各フェニル、ピリジニル、ピリダジニルまたはピリミジニルは、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルキル、アミノ、ポリハロC1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシからそれぞれ独立して選択される1もしくは2個の置換基により置換されることができる、
の基であるか;あるいは
は式
【0088】
【化8】

【0089】
式中、XはCHまたはNである、
の基であり;
はメチル、エチル、プロピルまたはC3−6シクロアルキルであり;
各RおよびRは、水素、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、メチルオキシから独立して選択され;あるいはRおよびRはそれらに結合している炭素原子と共にシクロプロピル環または式C(=O)の基を形成し;
各RおよびRは水素、ハロ、C1−6アルキルオキシ、シアノ、C1−6アルキル、−OCHCHNR、−CHOCHCHNR、−OCHCHCHNRから独立して選択され;
は水素、メチルまたはフルオロであり;
各RおよびRは、水素、ハロ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、カルボニル、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ジヒドロキシC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、トリハロC1−6アルキル、フェニルC1−6アルキル、(ジC1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニル、モルホリニルC1−6アルキル、モルホリニルカルボニル、ピペラジニルC1−6アルキル、C1−6アルキルピペラジニルC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキル、チオモルホリニルC1−6アルキル、C3−6シクロアルキルメチル、ピリジニル、ピリミジニル、フェニル、ハロフェニル、オキサニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキルまたはC1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキルから独立して選択される]
の中間体、それらのN−オキシド形、それらの製薬学的に許容され得る付加塩、およびそれらの溶媒和物に関する。
【0090】
興味深い、好適な、さらに好適な、そして最も好適な化合物の群は、式(I)の化合物について定義された群に従い、式(II)の化合物に関して定義することができる。
【0091】
式(II)の中間体は、2−メチル−2−プロパノール、カリウム塩を式(V)の中間体に、式(VI)の中間体(式中、Wはクロロ、ブロモもしくはメシレートのような脱離基である)の存在下、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中で加えることにより調製することができる。
【0092】
【化9】

【0093】
式(III)の中間体は、式(V)の中間体を塩酸のような適切な試薬に、反応に不活性な溶媒、例えばジオキサンの存在下で処することにより調製することができる。
【0094】
【化10】

【0095】
式(V)の中間体は、2−メチル−2−プロパノール、カリウム塩およびトシルメチルイソシアニドの混合物(ジメチルスルフォキシド中)を、式(VIII)の中間体(メタノールのような適切な溶媒中)に加えることにより調製することができる。
【0096】
【化11】

【0097】
式(VIII)の中間体は、式(IX)の中間体を、例えばn−ブチルリチウムのような有機リチウム試薬を用いて、反応に不活性な溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で処理し、そして続いて該中間体を式(X)を中間体と反応させることより調製することができる。
【0098】
【化12】

【0099】
また式(VIII)の中間体は、式(XI)の中間体を、二酸化マン癌のような適切な酸化剤の存在下、ジオキサンのような適切な溶媒中で、あるいは四酸化マン癌カリウムおよびトリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミンの存在下、ジクロロメタンをような適切な溶媒中で転換させることにより調製することができる。
【0100】
【化13】

【0101】
式(XI)の中間体は、式(IX)の中間体を、例えばn−ブチルリチウムのような有機リチウム試薬を用いて、反応に不活性な溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で処理し、そして続いて該中間体を式(XII)の中間体と反応させることにより調製することができる。
【0102】
【化14】

【0103】
式(IX)の中間体は、メタノール中のメタノールナトリウム塩を、メタノールのような適切な溶媒中の式(XIII)の中間体(式中、Haloはクロロまたはブロモを独立して意味する)に加えることにより調製することができる。
【0104】
【化15】

【0105】
式(XIII)の中間体は、式(XIV)の中間体を、適切なハロゲン化剤、例えばオキシ塩化リンと、適切な温度、好ましくは還流で反応させることにより調製することができる。
【0106】
【化16】

【0107】
式(XIV)の中間体は、式(XV)の中間体を酸性媒質、好ましくは硫酸中で加熱することにより調製することができる。
【0108】
【化17】

【0109】
また式(I)の化合物またはそれらの中間体は、技術的に既知の反応または官能基変換を介して互いに転換することができる。幾つかのそのような変換は既に前述されている。他の例は、カルボン酸エステルの対応するカルボン酸またはアルコールへの加水分解;アミドの対応するカルボン酸またはアミンへの加水分解;ニトリルの対応するアミドへの加水分解であり;イミダゾールまたはフェニル上のアミノ基は、技術的に既知のジアゾ化反応と、続く水素によるジアゾ基の置換の結果、水素により置換されてもよい;アルコールはエステルおよびエーテルに転化することができる:1級アミンは2級または3級アミンに転換されることができる;二重結合は対応する単結合に水素付加され得る;フェニル基上のヨード基は適当なパラジウム触媒の存在下で一酸化炭素の挿入によりエステル基に転化することができる;フェニル基上のヨード基はC2−6アルキニル基またはそれらの誘導体(例えば−C≡C−Si(CHもしくはヒドロキシC2−6アルキニル)に、適切なパラジウム触媒の存在下で適切なC2−6アルキニル化合物またはそれらの誘導体との反応により転換されることができる;フェニル基上の−C≡C−Si(CH基は、適切な塩基の存在下で−C≡CHに転換されることができる。
【0110】
本発明では幾つかの式(I)の化合物および幾つかの中間体は、不斉炭素原子を含むことができる。該化合物および該中間体の純粋な立体化学的異性体は、既知の手順を応用することにより得ることができる。例えばジアステレオ異性体は選択的結晶化またはクロマトグラフィー技術のような物理的方法、例えば向流分配、液体クロマトグラフィー等のような方法により分離することができる。エナンチオマーは、ラセミ混合物から最初に該ラセミ混合物を、例えばキラル酸のような適切な分割剤によりジアステレオマー塩または化合物の混合物に転換し;次いでジアステレオマー塩または化合物の該混合物を、例えば選択的結晶化、超臨界流体クロマトグラフィーまたはクロマトグラフィー技術、例えば液体クロマトグラフィー等の技術により物理的に分離し;そして最後に該分離したジアステレオマー塩または化合物を対応するエナンチオマーに転換することにより得ることができる。純粋な立体化学的異性体も、介入する反応が立体特異的に起これば、適切な中間体および出発材料の純粋な立体化学的異性体形から得ることができる。
【0111】
また本発明は医薬として使用するための;特にチューブリン重合が媒介する障害、PARPが媒介する障害またはTANKが媒介する障害の処置に使用するための、腫瘍の増殖の抑制に使用するための、細胞の異常な増殖の抑制に使用するための上記定義の式(I)の化合物に関する。
【0112】
本発明の化合物は、以下の実験の部から分かるように、PARP阻害およびチューブリン重合阻害特性を有する。
【0113】
本明細書では用語「PARP」は、ポリ−ADP−リボシル化活性を有するタンパク質を意味するように使用する。この用語の意味の中では、PARPは、parp遺伝子によってコードされるすべてのタンパク質、その変異体、およびその選択的にスプライスされた(alternatively spliced)タンパク質を包含する。さらに、本明細書で使用する用語「PARP」は、PARP類似体、同族体および他の動物のオルソログを含む。
【0114】
用語「PARP」には、限定するものではないがPARP−1を含む。この用語の意味の中には、PARP−2、PARP−3、Vault−PARP(PARP−4)、PARP−7(TiPARP)、PARP−8、PARP−9(Bal)、PARP−10、PARP−11、PARP−12、PARP−13、PARP−14、PARP−15、PARP−16、TANK−1、TANK−2およびTANK−3を含むことができる。
【0115】
用語「PARP阻害剤」または「PARPの阻害剤」は、PARPまたはTANKと相互作用でき、そしてその活性、より詳細にはその酵素活性を阻害することができる化合物を同定するために使用される。PARPまたはTANK酵素活性を阻害するということは、PARPまたはTANKがポリ(ADP−リボース)を生成する能力あるいは基質のポリ(ADP−リボシル)化を誘導する能力を減じることを意味する。好ましくはそのような阻害は特異的であり、すなわちPARP阻害剤は、幾つかの他の無関係な生物学的効果を生成するために必要な阻害剤の濃度よりも低い濃度で、PARPがポリ(ADP−リボース)を生成する能力あるいは基質のポリ(ADP−リボシル)化を誘導する能力を減じる。
【0116】
用語「チューブリン重合阻害特性を有する化合物」または「チューブリン重合阻害剤」は、
−微小管を安定化し、微小管の解重合を阻害し、微小管を安定化し、または微小管構造をフリーズ(freeze)する
−微小管の重合を途絶し、そして微小管の形成を途絶する、または
−微小管を不安定化し、そして微小管の形成を防止する
化合物を同定するために使用される。
【0117】
本発明の化合物はTANK特異的PARP阻害剤である。用語「TANK特異的PARP阻害剤」は、TANKメンバー(例えばTANK−2)の酵素活性を、他のPARP酵素(例えばPARP−1のような)の阻害を生じるために必要とされる阻害剤の濃度よりも低い濃度で減じる化合物を同定するために使用される。
【0118】
また本発明は、動物、特にヒトの任意の疾患および障害を処置するための医薬の調製において、本明細書に記載する化合物の使用を意図するものである。
【0119】
また本発明はPARP、TANKまたはチューブリン重合が媒介する障害を処置する医薬の製造に、式(I)の化合物の使用を意図するものである。
【0120】
PARP結合特性に鑑みて、本発明の化合物は、参照化合物またはトレーサー化合物として使用することができ、この場合は、この分子の原子の1個が、例えば、放射性同位体により置換されてもよい。
【0121】
また本発明は、製薬学的に許容され得る担体および有効成分として治療に有効な量の本発明の化合物を含んでなる製薬学的組成物を含んでなる。
【0122】
本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効成分として有効量の特定化合物が塩基または酸付加塩の形態で製薬学的に許容され得る担体と完全な混合物で合わせられるが、この担体は、投与に望ましい調製物の形態に応じて、広範な種類の形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、好ましくは、経口的、直腸内、経皮的、または非経口的注射による投与に適当な単位剤形であることが望ましい。例えば、経口剤形の組成物の調製には任意の通常の製薬学的媒体を使用することができ、例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤および溶液のような経口液状調製物の場合には、水、グリコール、油、アルコール等:あるいは散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、固形担体、例えば澱粉、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等である。投与の容易さから、錠剤およびカプセル剤が、最も有利な経口単位剤形を表し、この場合には、固形の製薬学的担体が使用されることは明らかである。非経口組成物では、他の成分が例えば溶解性を助けるために含まれてもよいが、担体は通常、少なくとも大部分は無菌水を含んでなるだろう。例えば、注射用溶液剤は、担体が生理食塩水、グルコース溶液もしくは生理食塩水とグルコース溶液の混合液を含んでなる状態で調製することができる。また注射用懸濁剤も調製することができ、この場合には適当な液状担体、沈殿防止剤等が使用されてもよい。経皮投与に適する組成物では、担体は場合により浸透促進剤および/または適当な湿潤剤を、場合によりわずかな比率の任意の性質の適切な添加物と組み合わせて含んでなり、この添加物は皮膚に対して重大な悪影響を及ぼさない。該添加物は、皮膚への投与を容易にし、かつ/または所望の組成物の調製に役立ち得る。これらの組成物は種々の方法、例えば経皮パッチ剤として、スポットオン剤として、軟膏剤として投与されてもよい。前述の製薬学的組成物を、投与の容易性および用量の均一性のために単位剤形に調合することが有利である。本明細書および請求の範囲において使用される単位剤形は、単位投薬用量として適当な物理的に分割された単位を指し、各単位は必要な製薬学的担体と一緒に所望の治療効果を生むように計算された有効成分を予め決定された量で含有している。そのような単位剤形の例は、錠剤(刻み目をつけたり、コーティングされた錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末包装剤、ウェーファー剤、注射用液剤もしくは懸濁剤、ティースプーン量剤(teaspoonfuls)、テーブルスプーン量剤(tablespoonfuls)等、およびそれらの分割された集合物である。
【0123】
本発明の化合物は、壊死またはアポトーシスによる細胞の傷害または死から生じる組織の損傷を処置または予防することができ;巣状虚血、心筋梗塞および再灌流傷害の後を含む神経または心臓血管組織の損傷を回復することができ;PARP活性によって惹起されるか、または悪化する種々の疾患または状態を処置することができ;細胞の寿命または増殖能力を拡大または増強でき;老化した細胞の遺伝子発現を改変することができ;細胞を放射線増感および/または化学増感することができる。一般に、PARP活性の阻害はエネルギー損失から細胞を救済して、神経細胞の場合は、ニューロンの不可逆的減極を防ぎ、その結果、神経保護を提供する。
【0124】
前記理由から、本発明は、さらに壊死またはアポトーシスによる細胞の傷害または死から生じる組織の損傷を処置または予防するため、NMDAの毒性によって媒介されないニューロンの活性を生じさせるため、NMDAの毒性によって媒介されるニューロンの活性を生じさせるため、虚血および再灌流傷害から生じる神経組織の損傷、神経学的障害および神経変性疾患を処置するため;血管卒中を予防または処置するため;心臓血管障害を処
置または予防するため;他の状態および/または障害、例えば年齢に関連する筋肉変性、AIDSおよび他の免疫老化疾患、炎症、痛風、関節炎、動脈硬化症、悪液質、癌、複製老化が関与する骨格筋の変性疾患、糖尿病、頭部外傷、炎症性腸障害(例えば大腸炎およびクローン病)、筋ジストロフィー、骨関節炎、骨粗鬆症、慢性および/または急性疼痛(例えば神経病性疼痛)、腎不全、網膜虚血、敗血症ショック(例えば内毒素ショック)、および皮膚の老化を処置するため;細胞の寿命および増殖能力を拡大するため;老化細胞の遺伝子発現を改変するため;(低酸素の)腫瘍細胞を化学増感および/または放射線増感するために、PARP活性を阻害するのに十分な量の先に同定された化合物の治療学的有効量を投与する方法に関する。また、本発明は、先に同定された化合物の治療学的有効量を動物、特にヒトに投与することを含んでなる、該動物の疾患および状態の処置に関する。特に本発明は、先に同定された化合物の治療学的有効量を動物、特にヒトに投与することを含んでなる、該動物の神経学的障害を処置、予防または抑制する方法に関する。神経学的障害は、肉体的傷害または疾病状態によって惹起される末梢神経病、外傷性脳傷害、脊髄に対する物理的損傷、脳損傷に伴う卒中、巣状虚血、全虚血、再灌流傷害、脱髄疾患および神経変性に関連する神経学的障害からなる群から選択される。
【0125】
また本発明は、PARP活性を阻害するため、壊死またはアポトーシスによる細胞の傷害または死から生じる組織の傷害を処置、予防または抑制するため、動物の神経学的障害を処置、予防または抑制するための式(I)の化合物の使用を意図するものである。
【0126】
用語「神経変性を防止する」とは、神経変性疾患を有すると新たに診断された患者の、または新たに変性疾患を発症する危険性がある患者の神経変性を防止する能力、およびすでに神経変性疾患に罹患しているか、またはその症状を有する患者のさらなる神経変性を防止する能力を含む。
【0127】
本明細書で使用する用語「処置」は、動物、特にヒトにおける疾患および/または状態の任意の処置に関し、そして(i)疾患および/または状態にかかり易いがまだそれを有すると診断されてない患者において、疾患および/または状態が発生することを防止する;(ii)疾患および/または状態を抑制する、すなわちその進行を止める;(iii)疾患および/または状態を軽減する、すなわち疾患および/または状態の退化を惹起することを含む。好ましくは用語「処置」は(ii)または(iii)を意味する。
【0128】
本明細書で使用する用語「放射線増感剤」は、電離放射線に対する細胞の感受性を増大し、かつ/または電離放射線により処置できる疾患の処置を促進するために治療に有効なな量で動物に投与される分子、好ましくは低分子量分子と定義する。電離放射線により処置できる疾患には、新生物形成疾患、良性および悪性腫瘍および癌細胞を含む。本明細書に列挙していない他の疾患の電離放射線処置もまた本発明により意図される。
【0129】
本明細書で使用する用語「化学増感剤」は、化学療法に対する細胞の感受性を増強し、かつ/または化学療法剤により処置できる疾患の処置を促進するために治療に有効なな量で動物に投与される分子、好ましくは低分子量分子と定義する。化学療法により処置できる疾患には、新生物形成疾患、良性および悪性腫瘍および癌細胞を含む。本明細書に列挙していない他の疾患の化学療法処置もまた本発明により意図される。
【0130】
本発明は、有効量の本発明の化合物を投与することにより、形質転換した細胞を含む細胞の異常な成長を阻害する方法を提供する。細胞の異常な成長とは、正常な調節メカニズムに依存しない細胞の成長を指す(例えば接触阻害の喪失)。これには腫瘍細胞の成長を成長の静止、最終分化および/または癌細胞のアポトーシスを引き起こすことにより直接的に、そして腫瘍の新脈管形成を阻害することにより間接的に両方で阻害することを含む。
【0131】
本発明の化合物、組成物および方法は、壊死またはアポトーシスによる細胞死または傷害から生じる組織損傷を処置または防止するために特に有用である。
【0132】
本発明の化合物は「抗癌剤」であることもでき、この用語は「抗腫瘍細胞増殖剤」および「抗新生物形成剤」も包含する。
【0133】
また本発明は、有効量の本発明の化合物を処置が必要な個体、例えば哺乳動物(そしてさらに詳細にはヒト)に投与することにより、腫瘍の増殖を阻害する方法を提供する。
【0134】
例えば発明の方法は、癌を処置し、そして癌の腫瘍細胞を化学増感および/または放射線増感するためにも有用である。
【0135】
本発明の化合物により抑制され得る腫瘍の例には、成人および小児の腫瘍を含み、限定するわけではないが小細胞肺癌および非小細胞肺癌を含む肺癌(例えば腺癌)、膵臓癌(例えば膵外分泌癌のような膵臓癌腫)、結腸癌(例えば結腸腺癌および結腸腺腫のような結腸直腸癌)、食道癌、口腔偏平上皮癌、舌癌、胃癌、肝臓癌、鼻咽腔癌、リンパ系統の造血系腫瘍(例えば急性リンパ性白血病、B−細胞白血病、バーキットリンパ腫)、非ホジキンリンパ腫(例えばマントル細胞リンパ腫)、ホジキン病、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML)または慢性骨髄性白血病(CML))、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、濾胞性甲状腺癌、骨髄異形成症候群(MDS)、間葉系起源の癌、柔組織肉腫、脂肪肉腫、消化管間質肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、間葉軟骨肉腫、リンパ肉腫、繊維肉腫、横紋筋肉腫、メラノーマ、奇形癌腫、神経芽腫、脳腫瘍、髄芽腫、神経膠腫、皮膚の良性腫瘍(例えばケラトアカントーマ)、乳癌(例えば進行した乳癌)、腎臓癌、腎芽細胞腫、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、膀胱癌、進行した疾患およびホルモン難治性前立腺癌を含む前立腺癌、精巣癌、骨肉腫、頭頸部癌、上皮癌、多発性骨髄腫(例えば難治性の多発性骨髄腫)、中皮腫がある。本発明の化合物で処置できる特定の癌は、乳癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、急性骨髄性白血病(AML)である。
【0136】
本発明の別の観点として、特に医薬、より具体的には癌または関連する疾患の処置に使用するための式(I)のPARP阻害剤またはチューブリン結合特性を有する化合物と、別の抗癌剤との組み合わせ物が想定される。
【0137】
前記状態の処置には、本発明の化合物は1もしくは複数の他の医薬、より詳細には他の抗癌剤または癌治療における補助剤と組み合わせて有利に用いることができる。抗癌剤または補助剤(治療における支持剤:supporting agent)の例は、限定するわけではないが:
− 白金配位化合物、例えば場合によりアミホスチン(amifostine)、カルボプラチンまたはオキサリプラチン(oxaliplatin)と組み合わせたシスプラチン;
− タキサン化合物、例えばパクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合粒子(Abraxane(商標))またはドセタキセル;
− トポイソメラーゼI阻害剤、例えばカンプトテシン化合物、例えばイリノテカン、SN−38、トポテカン、トポテカンhcl;
− トポイソメラーゼII阻害剤、例えば抗腫瘍性エピポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシン誘導体、例えばエトポシド、リン酸エトポシドまたはテニポシド;
− 抗腫瘍性ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンクリスチンまたはビノレルビン;
− 抗腫瘍性ヌクレオシド誘導体、例えば5−フルオロウラシル、ロイコボリン、ゲムシ
タビン、ゲムシタビンhcl、カペシタビン、クラドリビン(cladribine)、フルダラビン(fludarabine)、ネララビン(nelarabine);
− アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタードまたはニトソロウレア、例えば場合によりメスナ(mesna)、ピポブロマン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テロゾロミド(telozolomide)、ウラシルと組み合わせたシクロホスファミド、クロラムブシル、カルムスチン、チオテパ、メファラン(メルファラン)、ロムスチン、アルトレタミン(altretamine)、ブスルファン、ダカルバジン、エストラムスチン、イフォスファミド(ifosfamide);
− 抗腫瘍性アントラサイクリン誘導体、例えば場合によりデクスラゾキサン(dexrazoxane)、ドキシル(doxil)、イダルビシン、ミトザントロン、エピルビシン(epirubicin)、エピルビシンhcl、バルルビシン(valrubicin)と組み合わせたダウノルビシン、ドキソルビシン;
−IGF−1受容体を標的とする分子、例えばピクロポドフィリン(picropodophilin);
−テトラカルシン(tetracarcin)誘導体、例えばテトラカルシンA;
−グルココルチコイデン(glicocorticoiden)、例えばプレドニソン;−抗体、例えばトラスツズマブ(HER2抗体)、リタキシマブ(CD20抗体)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、ゲムツズマブオゾガマイシン(ozogamicin)、セツキシマブ(cetuximab)、ペルツズマブ(pertuzumab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、アレムツズマブ(alemtuzumab)、エクリズマブ(eculizumab)、イブリツモマブ チウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、ノフェツモマブ(nofetumomab)、パニツムマブ(panitumumab)、トシツモマブ(tositumomab)、CNTO328;
− エストロゲン受容体拮抗薬または選択的エストロゲン受容体モジュレーター、またはエストロゲン合成の阻害剤、例えばタモキシフェン、フルベストラント(fulvestrant)、トレミフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)、ファスロデックス(faslodex)、ラロキシフェンまたはレトロゾール(letrozole);
− アロマターゼ阻害剤、例えばエキセメスタン、アナストロゾール、レトラゾール(letrazole)、テストラクトンおよびボロゾール(vorozole);
− 分化誘導薬、例えばレチノイド、ビタミンDまたはレチノイン酸およびレチノイン酸代謝遮断薬(RAMBA)、例えばアキュタン(accutane);
− DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばアザシチジンまたはデシタビン(decitabine);
−葉酸拮抗薬、例えば プレメトレキセド(premetrexed)二ナトリウム;
−抗生物質、例えばアンチノマイシン(antinomycin)D、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、カルミノマイシン(carminomycin)、ダウノマイシン、レバミゾール、プリカマイシン(plicamycin)、ミトラマイシン;
−代謝拮抗物質、例えばクロファラビン(clofarabine)、アミノプテリン、シトシンアラビノシドまたはメトトレキセート、アザシチジン、シタラビン、フロクスウリジン、ペントスタチン、チオグアニン;
−アポトーシス誘導剤および血管新生抑制剤、例えばBcl−2阻害剤、例えばYC137、BH312、ABT737、ゴシポール、HA14−1、TW37またはデカン酸;−チューブリン−結合剤、例えばコンブレスタチン(combrestatin)、コルヒチンまたはノコダゾール(nocodazole);
− キナーゼ阻害剤(例えばEGFR(上皮増殖因子受容体)阻害剤、MTKI(マルチターゲットキナーゼ阻害剤)、mTOR阻害剤)、例えばフラボペリドール(flavoperidol)、イマチニブ(imatinib)メシル酸、エルロチニブ(erlo
tinib)、ゲフィチニブ(gefitinib)、ダサチニブ(dasatinib)、ラパチニブ(lapatinib)、二トシル酸ラパチニブ、ソラフェニブ(sorafenib)、スニチニブ(sunitinib)、リンゴ酸スニチニブ、テムシロリムス(temsirolimus);
−ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばチピファルニブ(tipifarnib);
− ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、例えば酪酸ナトリウム、サブエロイルアニリドヒドロキサミン酸(SAHA)、デプシペプチド(FR901228)、NVP−LAQ824、R306465、JNJ−26481585、トリコスタチン(trichostatin)A、ボリノスタット;
− ユビキチン−プロテアソーム経路の阻害剤、例えばPS−341、MLN.41またはボルテゾミブ;
− ヨンデリス(Yondelis);
− テロメラーゼ阻害剤、例えばテロメスタチン(telomestatin);
− マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤、例えばバチマスタット(batimastat)、マリマスタット(marimastat)、プリノスタット(prinostat)またはメタスタット(metasta);
−組換えインターロイキン、例えばアルデスロイキン(aldesleukin)、デニロイキン ディフィティトックス(denileukin difititox)、インターフェロン アルファ2a、インターフェロン アルファ2b、ペグインターフェロン
アルファ2b;
−MAPK阻害剤;
−レチノイド、例えばアリトレチノイン(alitretinoin)、ベキサロテン(bexarotene)、トレチノイン(tretinoin);
−三酸化ヒ素
−アスパラギナーゼ
−ステロイド、例えばプロピオン酸ドロモスタノロン、酢酸メゲストロール、ナンドドロン(デカノエート、フェンプロピオネート)、デキサメタゾン;
−性腺刺激ホルモン放出ホルモン作用薬または拮抗薬、例えばアバレリックス(abarelix)、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、酢酸ロイプロリド;
−サリドマイド、レナリドミド(lenalidomide);
−メルカプトプリン、ミトーテン、パミトロネート、ペガデマーゼ(pegademase)、ペガスパルガーゼ(pegaspargase)、ラスブリカーゼ(rasburicase);
−BH3ミメティックス、例えばABT−737;
−MEK阻害剤、例えばPD98059、AZD6244、CI−1040;
−コロニー刺激因子類似体、例えばフィルグラスチム(filgrastim)、ペグフィルグラスチム(pegfilgrastim)、サルグラモスチム(sargramostim)、エリスロポエチンまたはそれらの類似体(例えばダルベポエチン(darbepoetin)アルファ);インターロイキン11;オプレルベキン(oprelvekin);ゾレドロネート(zoledronate)、ゾレドロン酸(zoledronic acid);フェンタニル;ビスホスホネート;パリフェルミン(palifermin)である。
【0138】
用語「白金配位化合物」は本明細書では、イオンの形態の白金を提供する任意の腫瘍細胞成長阻害白金配位化合物を表すために使用される。白金配位化合物は、処置の過程で1〜500mg/体表面積の平方メートル(mg/m)、例えば50〜400mg/mの投薬用量で有利に投与され、特にシスプラチンに関しては約75mg/mの投与用量で、そしてカルボプラチンに関しては約300mg/mで有利に投与される。
【0139】
用語[タキサン化合物]はタキサン環系を有し、特定の種のイチイの木(Taxus)からの抽出物に関連するか、またはそれから誘導される化合物の一クラスを示す。タキサン化合物は、処置の過程で50〜400mg/体表面積の平方メートル(mg/m)、例えば75〜250mg/mの投薬用量で有利に投与され、特にパクリタキセルに関しては約175〜250mg/mの投与用量で、そしてドセタキセルに関しては約75〜150mg/mで有利に投与される。
【0140】
用語「トポイソメラーゼ阻害剤」は、真核細胞中のDNA位相を変えることができる酵素を示すために使用される。それらは重要な細胞機能および細胞増殖に必須である。真核細胞には2種のトポイソメラーゼ、すなわちI型およびII型がある。トポイソメラーゼIは約100,000の分子量のモノマー酵素である。この酵素はDNAに結合し、そして一時的な単鎖分解を誘発し、二重らせんを解き(または解かせ)、引き続いてDNA鎖から解離する前にその分解を再シールする。トポイソメラーゼIIはDNA鎖分解物の導入または遊離ラジカルの形成に関与する、同様な作用機序を有する。
【0141】
用語「カンプトテシン化合物」は中国の木のカンプトテシンアクミナタ(Camptothecin acuminata)およびインドの木のノタポヂテフェチダ(Nothapodytes foetida)に由来する非水溶性アルカロイドである親カンプトテシン化合物に関連するか、またはそれから誘導される化合物を表すために使用される。カンプトテシン化合物は、処置の過程で0.1〜400mg/体表面積の平方メートル(mg/m)、例えば1〜300mg/mの投薬用量で有利に投与され、特にイリノテカンに関しては約100〜350mg/mの投与用量で、そしてトポテカンに関しては約1〜2mg/mで有利に投与される。
【0142】
用語「ポドフィロトキシン化合物」はマンドレークの植物から抽出される、親ポドフィロトキシンに関連するか、またはそれから誘導される化合物を示すために使用される。抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は、処置の過程で30〜300mg/体表面積の平方メートル(mg/m)、例えば50〜250mg/mの投薬用量で有利に投与され、特にエトポシドに関しては約35〜100mg/mの投与用量で、そしてテニポシドに関しては約50〜250mg/mで有利に投与される。
【0143】
用語「抗腫瘍ビンカアルカロイド」はツルニチソウ(Vinca rosea)の抽出物に関連するか、またはそれから誘導される化合物を示すために使用される。抗腫瘍ビンカアルカロイドは、処置の過程で2〜30mg/体表面積の平方メートル(mg/m)の投薬用量で有利に投与され、特にビンブラスチンに関しては約3〜12mg/mの投与用量で、ビンクリスチンに関しては約1〜2mg/mの投薬用量で、そしてビノレルビン(vinorelbine)に関しては約10〜30mg/mの投薬用量で有利に投与される。
【0144】
抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は、処置の過程で200〜2500mg/体表面積の平方メートル(mg/m)、例えば700〜1500mg/mの投薬用量で有利に投与され、特に5−FUに関しては200〜500mg/mの投与用量で、ゲムシタビンに関しては約800〜1200mg/mの投薬用量で、そしてカペシタビンに関しては約1000〜2500mg/mで有利に投与される。
【0145】
用語「アルキル化剤」は生理学的条件下で、DNAのような生物学的に必須の高分子にアルキル基を与える能力を有するという共通の特徴をもつ広範な化学物質の群を包含する。大部分はナイトロジェンマスタードおよびニトロソ尿素のような、より重要な物質では、活性なアルキル化部分は、複雑な分解反応(その幾つかは酵素による)後にインビボで生成される。アルキル化剤の最も重要な薬理学的作用は、細胞増殖、とりわけDNA合成
および細胞分裂に関与する基本的メカニズムを乱すものである。急速に増殖している組織中のDNA機能および完全性を阻害するアルキル化剤の能力が、それらの治療的応用および多数のそれらの毒性の基礎を提供する。ナイトロジェンマスタードまたニトロウレアのようなアルキル化剤は、処置の過程で100〜500mg/体表面積の平方メートル(mg/m)、例えば120〜200mg/mの投薬用量で有利に投与され、特にシクロホスファミドに関しては約100〜500mg/mの投与用量で、クロラムブシルに関しては約0.1〜0.2mg/mの投薬用量で、カルムスチンに関しては約150〜200mg/mの投薬用量で、そしてロムスチンに関しては約100〜150mg/mの投薬用量で有利に投与される。
【0146】
用語「抗腫瘍アントラサイクリン誘導体」は、グリコシド結合により結合された稀有な糖のダウノスアミンをもつテトラサイクリン環構造を有することを特徴とする、カビ真菌のStrep.peuticus var.caesiusから得られる抗生物質およびそれらの誘導体を含んでなる。抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は、処置の過程で10〜75mg/体表面積の平方メートル(mg/m)、例えば15〜60mg/mの投薬用量で有利に投与され、特にドキソルビシンに関しては約40〜75mg/mの投与用量で、ダウノルビシンに関しては約25〜45mg/mの投薬用量で、そしてイダルビシンに関しては約10〜150mg/mの投薬用量で有利に投与される。
【0147】
原発性乳癌におけるヒト上皮増殖因子受容体2タンパク質(HER2)の増幅は、特定の患者について良くない臨床予後と関連することが示された。トラストズマブはHER2受容体の細胞外ドメインに高い親和性および特異性で結合する、高度に精製された組み換えDNA由来ヒト化モノクローナルIgG1カッパ抗体である。
【0148】
多数の乳癌はエストロゲン受容体を有し、そしてこれらの腫瘍の成長はエストロゲンにより刺激され得る。用語「エストロゲン受容体アンタゴニスト」および「選択的エストロゲン受容体モジュレーター」は、エストロゲン受容体(ER)に結合するエストラジオールの競合的阻害剤を示すために使用される。選択的エストロゲン受容体モジュレーターはERに結合すると、受容体の三次元形態に変化を誘発し、DNA上のエストロゲン反応性要素(ERE)に対するその結合をモジュレートする。
【0149】
閉経後の女性においては、循環エストロゲンの主要な生成源は、末梢組織におけるアロマターゼ酵素による、副腎および卵巣のアンドロゲン(アンドロステンジオンおよびテストステロン)のエストロゲン(エストロンおよびエストラジオール)への転化からである。アロマターゼ阻害または不活性化を介するエストロゲンの剥奪はホルモン依存性乳癌をもつ何人かの閉経後患者に対して有効な選択的処置である。
【0150】
用語「分化剤」は種々の方法で、細胞増殖を阻害し、そして分化を誘発することができる化合物を包含する。ビタミンDおよびレチノイドは、広範な正常および悪性の細胞型の成長および分化の調節に重要な役割を果たすことが知られている。レチノイン酸代謝遮断剤(RAMBA)は、レチノイン酸のチトクロームP450−媒介異化作用を阻害することにより内在レチノイン酸のレベルを増加する。
【0151】
DNAメチル化の変化はヒト新生物における最も一般的な異常の1つである。選択される遺伝子のプロモーター内のメチル化亢進(hypermethylation)は通常、関与する遺伝子の不活性化を伴なう。用語「DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤」は、DNAメチルトランスフェラーゼの薬理学的阻害および腫瘍サプレッサーの遺伝子発現の再活性化を介して作用する化合物を示すために使用される。
【0152】
用語「キナーゼ阻害剤」は細胞周期の進行およびプログラムされた細胞死(アポトーシ
ス)に関与するキナーゼの強力な阻害剤を含んでなる。
【0153】
用語「ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤」はRasおよび他の細胞内タンパク質のファルネシル化を抑制するように設計された化合物を示すために使用される。それらは悪性細胞の増殖および生存に影響を及ぼすことが示されている。
【0154】
用語「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」または「ヒストンデアセチラーゼの阻害剤」は、ヒストンデアセチラーゼと相互作用し、そしてその活性を阻害する、より詳細にはその酵素活性を阻害することができる化合物を同定するために使用する。ヒストンデアセチラーゼの酵素活性を阻害することとは、ヒストンデアセチラーゼがヒストンからアセチル基を除去する能力を減じることを意味する。
【0155】
用語「ユビキチン−プロテアソーム経路の他の阻害剤」とは、細胞周期調節タンパク質を含むプロテアソーム中の細胞性タンパク質の標的化された破壊を阻害する化合物を同定するために使用する。
【0156】
用語「テロメラーゼ阻害剤」とは、テロメラーゼの活性を標的とし、減少させ、または阻害する化合物、特にテロメラーゼ受容体を阻害する化合物を指す。
【0157】
用語「マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤」とは、限定するわけではないが、コラーゲンペプチドミメティックおよび非ペプチドミメティック阻害剤を含む。
【0158】
本発明の化合物は、「放射線増感剤」および/または「化学増感剤」として使用することができる。
【0159】
放射線増感剤は、電離放射線の毒性作用に対する癌細胞の感受性を増強することが知られている。放射線増感剤の作用様式に関する幾つかのメカニズムは、次のことを含む文献で示唆された:低酸素下で酸素を模倣するか、さもなくば生物還元剤のように挙動する低酸素細胞の放射線増感剤(例えば、2−ニトロイミダゾール化合物および二酸化ベンゾトリアジン化合物);非低酸素細胞の放射線増感剤(例えば、ハロゲン化ピリミジン)はDNA塩基の類似体であることができ、そして癌細胞のDNA中に優先的に取り込まれ、それによってDNA分子の放射誘導破壊を促進し、かつ/または正常なDNA修復メカニズムを妨げる;ならびに種々の他の潜在的作用機構が疾患の処置における放射線増感剤について仮定されてきた。
【0160】
現在、多くの癌の処置プロトコールは、x線の放射と組み合わせて放射線増感剤を使用する。x線活性化放射線増感剤の例には、限定するわけではないが、次のものがある:メトロニダゾール、ミソニダゾール、デスメチルミソニダゾール、ピモニダゾール、エタニダゾール、ニモラゾール、マイトマイシンC、RSU1069、SR4233、EO9、RB6145、ニコチンアミド、5−ブロモデオキシウリジン(BUdR)、5−ヨードデオキシウリジン(IUdR)、ブロモデオキシシチジン、フルオロデオキシウリジン(FudR)、ヒドロキシ尿素、シスプラチン、およびそれらの治療学的に有効な類似体および誘導体。
【0161】
癌の光力学的療法(PDT)は、増感剤の放射線活性化物として可視光線を使用する。光力学的放射線増感剤の例には、限定するわけではないが次のものがある:ヘマトポルフィリン誘導体、フォトフリン、ベンゾポルフィリン誘導体、錫エチオポルフィリン、フェオボルビド−a、バクテリオクロロフィル−a、ナフタロシアニン、フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、およびそれらの治療学的に有効な類似体および誘導体。
【0162】
放射線増感剤は、治療学的に有効な量の1もしくは複数の他の化合物と一緒に投与してもよく、それらには限定するわけではないが:標的細胞への放射線増感剤の取り込みを促進する化合物;標的細胞への治療剤、栄養物および/または酸素の流動を制御する化合物;さらなる放射の有無によらず腫瘍に作用する化学療法剤;あるいは癌もしくは他の疾患を処置するための他の治療学的に有効な化合物を含む。放射線増感剤と一緒に使用してもよい追加の治療剤の例には、限定するわけではないが、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、5’−アミノ−5’−デオキシチミジン、酸素、カルボゲン、赤血球輸血、ペルフルオロカーボン(例えば、Fluosol 10DA)、2,3−DPG、BW12C、カルシウムチャンネル遮断剤、ペントキシフィリン、抗血管形成化合物、ヒドラルアジンおよびLBSOを含む。放射線増感剤と一緒に使用できる化学療法剤の例には、限定するわけではないが、アドリアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、インターフェロン(アルファ、ベータ、ガンマ)、インターロイキン2、イリノテカン、パクリタキセル、トポテカン、およびそれらの治療学的に有効な類似体および誘導体を含む。
【0163】
化学増感剤は、治療学的に有効な量の1もしくは複数の他の化合物と一緒に投与してもよく、それらは、限定するわけではないが、標的細胞への化学増感剤の取り込みを促進する化合物;標的細胞への治療剤、栄養物および/または酸素の流動を制御する化合物;腫瘍に作用する化学増感剤または癌または他の疾患を処置するための他の治療学的に有効な化合物を含む。
【0164】
また式(I)の化合物は、PARP、そしてより詳細にはPARP−1受容体またはタンキラーゼ受容体を検出または同定するために使用することもできる。その目的のために、式(I)の化合物は、標識されることができる。該標識は放射性同位体、スピンラベル、抗原標識、酵素標識蛍光基または化学発光基からなる群から選択することができる。
【0165】
また本発明は、例えば腫瘍細胞の増殖を阻害するために医学的治療で使用する本発明の組み合わせ物に関する。
【0166】
また本発明は、腫瘍細胞の増殖を阻害するための本発明の組み合わせ物に関する。
【0167】
また本発明は、ヒト個体における腫瘍細胞の増殖を阻害する方法に関し、この方法は個体に有効量の本発明の組み合わせ物を投与することを含んでなる。
【0168】
さらに本発明は、有効量の本発明の組み合わせ物を投与することにより、形質転換した細胞を含む細胞の異常な増殖を阻害する方法を提供する。
【0169】
他の医薬およびチューブリン結合特性を有するPARP阻害剤とを、同時に(例えば別個に、または単一の組成物で)、またはいずれかの順序で順次に投与してもよい。後者の場合、2つの化合物は有利なまたは相乗効果が確実に達成されるために十分な一定の期間内に、そして一定の量および様式で投与される。組み合わせ物の各化合物について、好適な投与の方法および順序、および個々の投薬用量および計画は、投与する特定の他の薬剤およびPARP阻害剤、それらの投与経路、処置する特定の腫瘍および処置する特定の宿主に依存すると考えられる。投与の最適な方法および順序および投薬用量および計画は、常法を使用して、そして本明細書に説明する情報の観点から当業者が容易に決定できる。
【0170】
当業者は、これ以降に提示される試験結果から有効量を容易に決定できるであろう。一般に、有効量は0.001mg/kg〜100mg/kg体重、そして特に0.005mg/kg〜10mg/kg体重であると考えられる。必要な用量は、1日を通して適当な間隔で2、3、4またはそれ以上の副用量として投与することが適当であるかもしれない
。該副用量は、例えば単位剤形あたり0.05〜500mg、そして特に0.1mg〜200mgの有効成分を含有する単位剤形として調合することができる。
【0171】
投与の正確な用量および頻度は、使用する特定の式(I)の化合物、処置する特定の状態、処置する状態の重篤度、特定患者の年齢、体重、性別、障害の程度および全般的な身体条件、ならびに当業者に周知であるような個体が摂取できる他の投薬法に依存する。さらにそのような毎日の有効量は、処置する個体の応答に依存して、かつ/または本発明の化合物を処方する医師の評価に依存して減少または増加させることができることは明白である。
【0172】
投与様式に依存して、製薬学的組成物は好ましくは0.05〜99重量%、より好ましくは0.1〜70重量%、さらにより好ましくは0.1〜50重量%の有効成分、および1〜99.95重量%、より好ましくは30〜99.9重量%、さらにより好ましくは50〜99.9重量%の製薬学的に許容され得る担体を含んでなる(すべてのパーセンテージは組成物の総重量に基づく)。
【0173】
以下の実施例は本発明を具体的に説明する。
【実施例】
【0174】
実験の部
今後、“DMF”はN,N−ジメチルホルムアミドと定義し、“DCM”はジクロロメタンと定義し、“DIPE”はジイソプロピルエーテルと定義し、“DMSO”はジメチルスルフォキシドと定義し、“EtOAc”は酢酸エチルと定義し、“MeOH”はメタノールと定義し、“THF”はテトラヒドロフランと定義する。
【0175】
1つのキラル中心を有する化合物の幾つかは、その中のステレオジェン炭素原子の絶対立体化学配置を実験的に決定しなかった。このような場合、さらに実際の立体化学配置を参照することなく最初に単離された立体化学的異性体を「エナンチオマーA」と、そして2番目に単離されたものを「エナンチオマーB」と命名した。しかし「エナンチオマーA」および「エナンチオマーB」形のその実際の立体化学的配置は、例えばX線回折のような技術的に周知な方法を使用して当業者により明白に特性決定されることができる。単離法を以下に詳細に記載する。
【0176】
A.中間化合物の調製
実施例A1
a)中間体1の調製
【0177】
【化18】

【0178】
4−シクロヘキサ−1−エニル−モルホリン(0.0265モル)の溶液(25mLのDCM中)を、室温で1−ブロモ−3−イソシアナトベンゼン(0.0252モル)の溶液(30mlのDCM中)に滴下した。この混合物を室温で15時間撹拌し、そして蒸発乾固して11g(91%)の中間体1が得られ、これをさらに精製せずに次の反応工程に使用した。
b)中間体2の調製
【0179】
【化19】

【0180】
中間体1(0.0252モル)の溶液(40mLの濃硫酸中)を、100℃で30分間撹拌し、次いで室温に冷却し、氷水に注ぎ、そして再度、室温で1時間30分撹拌した。沈殿を濾過し、水、ジエチルエーテル中で洗浄し、そして乾燥して8.4gの中間体2が得られた。
c)中間体3の調製
【0181】
【化20】

【0182】
中間体2(0.0017モル)の溶液(2mLの96%硫酸中)を、100℃で15分間撹拌し、次いで慎重に氷水に注ぎ、濾過し、水で2回洗浄し、そして乾燥して0.441g(93%)の中間体3が得られ、これをさらに精製せずに次の反応工程に使用した。d)中間体4aの調製
【0183】
【化21】

【0184】
中間体3(0.023モル)の溶液(100mLのオキシ塩化リン中)を撹拌し、そして完全に溶解するまで還流し、10分間静置し、室温に冷却し、激しく撹拌しながら室温で大変ゆっくりと(1時間にわたり)水に注いだ。固体を濾過し、そして乾燥して5.07g(74%)の中間体4a(融点:84℃)が得られた。
e)中間体4の調製
【0185】
【化22】

【0186】
ナトリウムメトキシド(0.101モル)の溶液を、中間体4a(0.0253モル)の溶液(100mLのメタノール中)に室温で加えた。生じた混合物を撹拌し、そして15時間還流し、室温に冷却し、そして水に注いだ。混合物をDCMで抽出し、有機層を分離し、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固して6.1g(83%)の中間体4が得られた。
f)中間体5の調製
【0187】
【化23】

【0188】
トリブチル(1−エトキシビニル)スズ(0.018モル)、次いでジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(0.0008モル)を、中間体4(0.016モル)の溶液(29mLの乾燥トルエン中)に不活性雰囲気下で加えた。混合物を撹拌し、そして80℃に18時間加熱し、室温に冷却し、そしてセライト(celite)で濾過した。有機層を2M HCl、次いでブラインでpHが7になるまで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/EtOAcを95/5から80/20)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて1.3g(31%)の中間体5が得られた。
g)中間体6の調製
【0189】
【化24】

【0190】
カリウム;2−メチル−プロパン−1−オラート(0.023モル)、次いでMeOH(2.4mL)を10℃でp−トルエンスルホニルメチルイソシアニド(0.012モル)の溶液(12mLのDMSO中)にN流下で数部に分けて加えた。混合物を10℃で15分間撹拌した。中間体5(0.0051モル)の溶液(1.3mLのDMSO中)を加えた。混合物を10℃で1時間15分撹拌し、そしてDCMおよびEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:石油エーテル/EtOAcを90/10から50/50)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.923g(38%)の中間体6が得られた(油)。
h)中間体7の調製
【0191】
【化25】

【0192】
水素化ナトリウム(油中60%分散物)(0.0005モル)を、0℃で中間体6(0.0003モル)の溶液(1.4mLのDMF中)にN流下でゆっくりと加えた。混合物を5分間撹拌した。ブロモメチル−ベンゼン(0.0005モル)を加えた。混合物を室温で18時間撹拌した。水素化ナトリウム(0.0005モル)を再度加えた。混合物
を3時間撹拌し、飽和塩化アンモニウムでクエンチし、そしてEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:石油エーテル/EtOAcを95/5から90/10)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.159g(99%)の中間体7が得られた。
i)中間体7aおよび7bの調製
【0193】
【化26】

【0194】
中間体7(0.28g、0.0008モル)を、そのエナンチオマーにキラルなシリカゲルでの超流動体(superfluid)クロマトグラフィーにより分割した(Chiralpak(商標)、溶出液:CO/EtOH/iPrOH/イソプロピルアミン:70/15/15/0.3)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.115g(29%)の中間体7a(エナンチオマーA)および0.120g(30%)の中間体7b(エナンチオマーB)が得られた。
【0195】
実施例A2
中間体8の調製
【0196】
【化27】

【0197】
水素化ナトリウム(油中60%分散物)(0.0006モル)を、0℃で中間体6(0.0004モル)の溶液(1.7mLのDMF中)に、N流下で数部に分けて加えた。混合物を5分間撹拌した。3−ブロモメチル−ベンゾニトリル(0.0006モル)を加えた。混合物を室温で18時間撹拌した。水素化ナトリウム(0.0006モル)を再度加えた。混合物を3時間撹拌し、飽和塩化アンモニウムでクエンチし、そしてEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/EtOAc 80/20)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.0963g(52%)の中間体8(油)が得られた。
【0198】
実施例A3
中間体9の調製
【0199】
【化28】

【0200】
カリウム;2−メチル−プロパン−2−オラート(0.0011モル)を、5℃で中間体6(0.0006モル)および1−ブロモメチル−3−フルオロベンゼン((0.0008モル)の溶液(5mLのTHF中)に、N流下で数部に分けて加えた。混合物を室温で5時間撹拌し、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/EtOAc 95/5)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.33g(78%)の中間体9が得られた。
【0201】
実施例A4
中間体10の調製
【0202】
【化29】

【0203】
中間体6(0.0009モル)の混合物(2mLの3N HClおよび2mLの1,4−ジオキサン中)を80℃で4時間撹拌し、次いで室温に冷却し、そして10%KCOで塩基性とした。沈殿を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して0.08g(35%)の中間体10が得られた。
【0204】
実施例A5
中間体11の調製
【0205】
【化30】

【0206】
カリウム;2−メチル−プロパン−2−オラート(0.0015モル)を、5℃で中間体6(0.0007モル)および6−ブロモメチルピリジン−2−カルボニトリル((0.0011モル)の混合物(5mLのTHF中)に、N流下で数部に分けて加えた。混合物を室温で5時間撹拌し、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させて0.25gの中間体11が得られ、これをさらに精製せずに次の反応工程で使用した。
【0207】
実施例A
中間体12の調製
【0208】
【化31】

【0209】
カリウム;2−メチル−プロパン−2−オラート(0.0011モル)を、10℃で中間体6(0.00056モル)および1−ブロモメチル−3−トリフルオロメトキシ−ベンゼン(0.0008モル)の溶液(10mLのTHF中)に、N流下で数部に分けて加えた。混合物を室温で5時間撹拌し、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固して0.245g(99%)の中間体12が得られた。
【0210】
実施例A7
中間体13の調製
【0211】
【化32】

【0212】
カリウム;2−メチル−プロパン−2−オラート(0.0011モル)を、10℃で中間体6(0.0006モル)および1−ブロモメチル−3−メトキシ−ベンゼン(0.0008モル)の溶液(5mLのTHF中)に、N流下で数部に分けて加えた。混合物を室温で5時間撹拌し、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固して0.215g(99%)の中間体13が得られた。
【0213】
実施例A
中間体14の調製
【0214】
【化33】

【0215】
カリウム;2−メチル−プロパン−2−オラート(0.0011モル)を、10℃で中間体6(0.0006モル)および3−クロロメチル−1−メチル−1H−インダゾール(0.0008モル)の溶液(5mLのTHF中)に、N流下で数部に分けて加えた。混合物を室温で5時間撹拌し、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をジエチルエーテルから結晶化した。沈殿を濾過し、そして乾燥して0.15g(65%)の中間体14が得られた。
【0216】
実施例A9
中間体15の調製
【0217】
【化34】

【0218】
カリウム;2−メチル−プロパン−2−オラート(0.0017モル)を、10℃で中間体6(0.0006モル)および2−クロロメチル−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール(0.0008モル)の溶液(5mLのTHF中)に、N流下で数部に分けて加えた。混合物を室温で5時間撹拌し、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM100次いでDCM/MeOH/NHOH 98/2/0.2;3〜5μm)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて、0.114g(49%)の中間体15が得られた。
【0219】
実施例A10
中間体16の調製
【0220】
【化35】

【0221】
カリウム;2−メチル−プロパン−2−オラート(0.0049モル)を、10℃で中間体6(0.0024モル)および3−ブロモメチル−安息香酸メチルエステル(0.0036モル)の溶液(20mLのTHF中)に、N流下で数部に分けて加えた。混合物を室温で5時間撹拌し、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/EtOAc 80/20:15〜40μm)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて、0.392g(39%)の中間体16が得られた。
【0222】
実施例A11
中間体17の調製
【0223】
【化36】

【0224】
中間体16(0.0009モル)の溶液(3mLの乾燥THF中)を、5℃で水素化リチウムアルミニウム(0.0009モル)の溶液(4mLの乾燥THF中)にN流下で加えた。混合物を5℃で1時間撹拌した。EtOAc次いで水をゆっくりと加えた。沈殿をセライトの層を通す濾過により取り出した。濾液をEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固して0.29g(66%)の中間体17が得られた。
【0225】
実施例A12
a)中間体18の調製
【0226】
【化37】

【0227】
塩化チオニル(0.09mL)を、5℃で中間体17(0.0006モル)の溶液(3mLのDCM中)に滴下した。混合物を5℃で1時間撹拌し、次いで室温で3時間撹拌し、そして蒸発乾固して、0.22g(95%)の中間体18が得られ、これをさらに精製せずに次の反応工程に使用した。
b)中間体19の調製
【0228】
【化38】

【0229】
中間体18(0.0005モル)、イソインドール−1,3−ジオン(0.0011モル)およびKCO(0.0011モル)の混合物(3mLのDMF中)を、100℃で4時間撹拌し、次いで室温に冷却し、水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固して0.32gの
中間体19が得られ、これをさら精製せずに次の反応工程に使用した。
c)中間体20の調製
【0230】
【化39】

【0231】
ヒドラジン一水和物(0.0019モル)を、中間体19(0.0006モル)の溶液(4mLのエタノール中)に滴下した。混合物を80℃で4時間撹拌し、冷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水そしてブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOHを98/2/0.2から88/12:1.2;3〜5μm)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣(0.034g)をDCMおよびジエチルエーテルに溶解し、0.03g(13%)の中間体20(融点:80℃)が得られた。
【0232】
実施例A13
中間体21の調製
【0233】
【化40】

【0234】
カリウム;2−メチル−プロパン−2−オラート(0.0011モル)を、10℃で中間体6(0.0006モル)および4−(2−ブロモ−エトキシ)−ベンゾニトリル(0.0008モル)の溶液(5mLのTHF中)に、N流下で数部に分けて加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/シクロヘキサン 80/20:3〜5μm)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて、0.12g(52%)の中間体21が得られた。
【0235】
実施例A14
a)中間体22の調製
【0236】
【化41】

【0237】
中間体6(0.0019モル)の溶液(1mLの1,2−ジメトキシ−エタン中)を、10℃でカリウム;2−メチル−プロパン−2−オラート(0.0022モル)の溶液(3mLの1,2−ジメトキシ−エタン中)に、N流下で滴下した。溶液を室温で1時間撹拌した。ジブロモメタン(0.0028モル)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、冷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固して0.5g(74%)の中間体22が得られ、これをさらに精製せずに次の反応工程に使用した。
b)中間体23の調製
【0238】
【化42】

【0239】
中間体22(0.0014モル)およびフタルイミド、カリウム誘導体(0.0017モル)の混合物(10mLのDMF中)を140℃で一晩撹拌し、冷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固して、0.44g(74%)の中間体23が得られ、これをさらに精製せずに次の反応工程に使用した。
c)中間体24の調製
【0240】
【化43】

【0241】
中間体23(0.001モル)およびヒドラジン一水和物(0.01モル)の混合物(10mLのエタノール中)を、80℃で3時間撹拌し、次いで室温に冷却し、冷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固して、0.3g(98%)の中間体24(油)が得られた。
d)中間体25の調製
【0242】
【化44】

【0243】
ジ−tert−ブチル−ジカーボネート(0.0011モル)を、10℃で中間体24(0.001モル)の溶液(14mLのTHF中)に、N流下で加えた。混合物を室温で5時間撹拌し、冷水に注ぎ、そしてDCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM100次いでDCM/MeOH/NHOH
99/1/0.1;3.4μm)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発乾固して、0.197g(47%)の中間体25(油)が得られた。
e)中間体26の調製
【0244】
【化45】

【0245】
水素化ナトリウム(0.0006モル)を、10℃で中間体25(0.0005モル)の溶液(3mLのDMF中)にN流下で加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。ヨードメタン(0.0005モル)を加えた。溶液を室温で4時間撹拌し、冷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固して、0.14g(71%)の中間体26(油)が得られた。
f)中間体27の調製
【0246】
【化46】

【0247】
トリフルオロ酢酸(0.0168モル)を、室温で中間体26(0.0003モル)の溶液(8mLのDCM中)に加えた。この混合物を室温で4時間撹拌し、冷水に注ぎ、NHOHで塩基性とし、そしてDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM100からDCM/MeOH/NHOH
98/2/0.1)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発乾固して0.07g(71%)の中間体27(油)が得られた。
g)中間体28の調製
【0248】
【化47】

【0249】
塩化ベンゾイル(0.0002モル)を、10℃でトリエチルアミン(0.0002モル)および中間体27(0.0001モル)の溶液(1.5mLのDCM)にN流下で加えた。混合物を10℃で3時間撹拌し、冷水に注ぎ、そしてDCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固して0.074gの中間体28が得られた。
【0250】
実施例A15
中間体29の調製
【0251】
【化48】

【0252】
4−ブロモメチル−ベンゾニトリル(0.0002モル)を10℃で中間体27(0.0001モル)およびトリエチルアミン(0.0002モル)の溶液(2mLのDCM中)にN流下で加えた。混合物を10℃で3時間撹拌し、次いで室温に冷却し、冷水に注ぎ、そしてDCMで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固して、0.026g(42%)の中間体29(油)が得られた。
【0253】
実施例A16
中間体30の調製
【0254】
【化49】

【0255】
カリウム;2−メチル−プロパン−2−オラート(0.0011モル)を、10℃で中間体6(0.00056モル)および1−ブロモメチル−3−クロロベンゼン(0.0008モル)の溶液(10mLのTHF中)に、N流下で数部に分けて加えた。混合物を室温で5時間撹拌し、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固して0.245g(99%)の中間体30が得られた。
【0256】
B.化合物の調製
実施例B1
a)化合物1の調製
【0257】
【化50】

【0258】
3NのHCl(620μL)を、中間体7(0.0003モル)の溶液(2.5mLの1,4−ジオキサン中)に加えた。混合物を80℃で18時間撹拌し、次いで室温に冷却し、NaOH(0.1M)でクエンチし、そしてEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:石油エーテル/EtOAc 50/50)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.0238g(22%)の化合物1が得られた。
b)化合物2および3の調製
【0259】
【化51】

【0260】
中間体7b(0.0004モル)の溶液(3mLの3N HClおよび3mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で5時間撹拌し、次いで室温に冷却した。沈殿を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして真空下で乾燥して0.09g(78%)の化合物3(融点250℃;[α]20=+89.87(DMF;c=0.375)が得られた。
【0261】
中間体7a(0.0003モル)の溶液(3mLの3N HClおよび3mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で5時間撹拌し、次いで室温に冷却した。沈殿を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして真空下で乾燥して0.083g(75%)の化合物2(融点245℃;[α]20=−94.78(DMF;c=0.35)が得られた。
【0262】
実施例B2
化合物4の調製
【0263】
【化52】

【0264】
3NのHCl(620μL)を、中間体8(0.0002モル)の溶液(2.5mLの1,4−ジオキサン中)に加えた。混合物を80℃で18時間撹拌し、次いで室温に冷却し、NaOH(0.1M)でクエンチし、そしてEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:シクロヘキサン/EtOAc 25/75)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.01g(14%)の化合物4を得た。
【0265】
実施例B3
a)化合物5の調製
【0266】
【化53】

【0267】
中間体9(0.0006モル)の混合物(2mLの3N HClおよび4mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で5時間撹拌し、次いで室温に冷却し、濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして真空下で乾燥した。残渣および濾液を一緒に混合し、そしてEtOAcおよび10%KCO中に溶解した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をジエチルエーテルから結晶化させた。沈殿物を濾過し、そして乾燥して0.049gの中間体5(融点:217℃)が得られた。
b)化合物5aおよび5bの調製
【0268】
【化54】

【0269】
中間体9(0.0009モル)の溶液(6mLの3N HClおよび6mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で4時間撹拌し、次いで室温に冷却した。沈殿を濾過し、水、そしてジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥した。残渣をカラムクロマトグラフィーによりそのエナンチオマーに分割した(溶出液:MeOH 100)。2つの画分を集め、
そして溶媒を蒸発させた。エナンチオマーAはジエチルエーテルから結晶化した。沈殿を濾過し、そして乾燥させて、0.102g(32%)の化合物5a(融点226℃;[α]20=+90.7(DMF;c=0.34)が得られた。エナンチオマーBはジエチルエーテルから結晶化した。沈殿を濾過し、そして乾燥して、0.098g(31%)の化合物5b(融点222℃;[α]20=−82.09(DMF;c=0.335)が得られた。
【0270】
実施例B4
化合物6の調製
【0271】
【化55】

【0272】
カリウム;2−メチル−プロパン−2−オラート(0.0008モル)を、10℃で中間体10(0.0003モル)および2−(クロロメチル)−4,6−ジメトキシピリミジン(0.0008モル)の溶液(5mLのTHF中)に、N2流下で数部に分けて加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をDIPEから結晶化した。沈殿を濾過し、そして乾燥して0.056g(43%)の化合物6(融点:193℃)が得られた。
【0273】
実施例B5
a)化合物7の調製
【0274】
【化56】

【0275】
中間体11(0.0006モル)(3mLの3N HClおよび3mLの1,4−ジオキサン中)の溶液を、80℃で4時間撹拌し、次いで室温に冷却し、10%KCOで塩基性とし、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をDIPEから結晶化させた。沈殿物を濾過し、そして乾燥して0.16g(66%)の化合物7(融点:210℃)が得られた。
【0276】
実施例B6
a)化合物8の調製
【0277】
【化57】

【0278】
中間体30(0.0005モル)(3mLの3N HClおよび1.3mLの1,4−ジオキサン中)の溶液を、80℃で4時間撹拌し、次いで室温に冷却した。沈殿を濾過し、水、そしてジエチルエーテルで洗浄し、そして真空下で乾燥して0.11g(52%)の化合物8(融点:235℃)が得られた。
【0279】
実施例B7
化合物9の調製
【0280】
【化58】

【0281】
カリウム;2−メチル−プロパン−2−オラート(0.0016モル)を、10℃で中間体10(0.0008モル)および2,6−ジクロロ−4−クロロメチル−ピリジン(0.001モル)の溶液(15mLのTHF中)に、N流下で数部に分けて加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH 98/2;15〜40μm)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させて0.07g(21%)の化合物9(融点:212℃)が得られた。
【0282】
実施例B8
化合物10の調製
【0283】
【化59】

【0284】
中間体12(0.0005モル)の溶液(5mLの3N HClおよび5mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で一晩撹拌し、次いで室温に冷却し、氷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をジエチルエーテルから結晶化した。沈殿を濾過し、そして乾燥して0.077g(32%)の化合物10(融点:186℃)が得られた。
【0285】
実施例B9
化合物11の調製
【0286】
【化60】

【0287】
中間体13(0.0005モル)の溶液(5mLの3N HClおよび5mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で一晩撹拌し、次いで室温に冷却した。沈殿を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして真空下で乾燥して、0.127g(61%)の化合物11(融点:209℃)が得られた。
【0288】
実施例B10
化合物12の調製
【0289】
【化61】

【0290】
中間体14(0.0003モル)の溶液(2mLの3N HClおよび2mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で5時間撹拌し、次いで室温に冷却した。沈殿を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして真空下で乾燥して、0.057g(53%)の化合物12(融点:256℃)が得られた。
【0291】
実施例B11
化合物13の調製
【0292】
【化62】

【0293】
中間体15(0.0003モル)の溶液(3mLの3N HClおよび3mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で5時間撹拌し、次いで室温に冷却し、10%KCOで塩基性とし、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をジエチルエーテルから結晶化した。沈殿を濾過し、そして真空下で乾燥させて、0.065g(61%)の化合物13(融点:260℃
)が得られた。
【0294】
実施例B12
化合物14の調製
【0295】
【化63】

【0296】
中間体16(0.00007モル)の溶液(0.51mLの3N HClおよび0.51mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で4時間撹拌し、次いで冷水に注ぎ、10%KCOで塩基性とし、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をDCMおよびジエチルエーテルに溶解した。沈殿を濾過し、乾燥して、0.016g(56%)の化合物14(融点:126℃)が得られた。
【0297】
実施例B13
化合物15の調製
【0298】
【化64】

【0299】
中間体17(0.00007モル)の溶液(0.51mLの3N HClおよび0.51mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で3時間撹拌し、次いで室温に冷却し、10%KCOで塩基性とし、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をDIPEから結晶化した。沈殿を濾過し、そして乾燥させて、0.0025g(9%)の化合物15(融点:131℃)が得られた。
【0300】
実施例B14
化合物16の調製
【0301】
【化65】

【0302】
ヒドラジン一水和物(0.0019モル)を、中間体19(0.0006モル)の溶液(4mLのエタノール中)に滴下した。混合物を80℃で4時間撹拌し、冷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水そしてブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出液:DCM/MeOH/NHOHを98/2/0.2から88/12/1.2;3.4μm)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残渣をDCMおよびジエチルエーテルに溶解した。沈殿を濾過し、そして乾燥させて0.0173g(7%)の化合物16(融点:80℃)が得られた。
【0303】
実施例B15
化合物17の調製
【0304】
【化66】

【0305】
中間体21(0.0003モル)の溶液(4mLの3N HClおよび4mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で4時間撹拌し、次いで室温に冷却し、そして10%KCOで塩基性とした。沈殿を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して0.069g(59%)の化合物17(融点:169℃)が得られた。
【0306】
実施例B16
化合物18の調製
【0307】
【化67】

【0308】
中間体28(0.0002モル)の溶液(1.7mLの3N HClおよび1.7mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で4時間撹拌し、冷水に注ぎ、そしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をDIPEから結晶化した。沈殿を濾過し、そして乾燥して0.032g(44%)の化合物18(融点:248℃)が得られた。
【0309】
実施例B17
化合物19の調製
【0310】
【化68】

【0311】
中間体29(0.00007モル)の溶液(1mLの3N HClおよび1mLの1,4−ジオキサン中)を、80℃で4時間撹拌し、冷水に注ぎ、10%KCOで塩基性とし、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固した。残渣をDCMおよびジエチルエーテルに溶解した。沈殿を濾過し、そして乾燥して0.025g(87%)の化合物19(融点:254℃)が得られた。表F−1は、上記実施例の1つに従い調製された化合物を列挙する。
【0312】
【表2】

【0313】
【表3】

【0314】
分析の部
LCMS
LCMS一般法
HPLC測定は、Gilson215オートサンプラーおよび下記の各方法において指定されるカラムを含んでなる、Watersダイオード−アレイ検出器(DAD)とともにWaters 1512ポンプを使用して実施された。カラムからの流液はMS分光計に分配された。イオン化は、化合物の種類に応じて、エレクトロスプレーまたはAPCI(大気圧化学的イオン化)のいずれかであった。
【0315】
典型的なエレクトロスプレー条件は、キャピラリーニードル電圧3.5kVおよびコーン電圧25Vを使用する。ソース温度は120から150℃の間の温度(正確な温度は、化合物毎に決定された)に維持された。
【0316】
典型的なAPCI条件は、コロナ放電電流17μA、コーン電圧25V、脱溶媒和(desolvation)温度350℃を使用し、そしてソース温度は140から160℃の間の温度(正確な温度は、化合物毎に決定された)に維持された。
【0317】
マススペクトルは、例えば、0.1秒のドゥエルタイム(dwell time)を使用して1秒で、100から650または必要ならば1000までスキャンすることによって得られた。窒素がネブグライザーガスとして使用された。
【0318】
LCMS法
一般法に加えて:逆相HPLCは、Waters Xterra MS 5μ C18カラム(4.6x100mm:ガードカートリッジ付)において流速2ml/分により実施された。2つの移動相(移動相A:超純粋中に10mM重炭酸アンモニウムを含む水;移動相B;アセトニトリル)を使用して、3.5分で95%Aから95%Bまでの勾配状態を流速2ml/分により作動させ、そして2分間保持した。典型的には、2μlから7μlの間の注入容量を含め使用した。
【0319】
【表4】

【0320】
C.薬理学的実施例
C.1.PARP−1阻害活性についてのインビトロのシンチレーション近接アッセイ(Scintillation Proximity Assay(SPA)
本発明の化合物は、SPA技術(GE healthcareに対する所有権)に基づくインビトロアッセイで試験した。
【0321】
原理的には、このアッセイはビオチン化された標的タンパク質、すなわちヒストンのポリ(ADP−リボシル)化の検出のための十分に確立されたSPA技術に頼るものである。このリボシル化は、ニックDNA活性化PARP−1酵素およびADP−リボシルドナーとしての[H]−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド([H]−NAD)を用いて誘導される。
【0322】
ヒストン(II−A型、供給元;Sigma)は、Amershamのビオチン化キットを用いてビオチン化し、そして一定分量に分けて−20℃で保存した。100mg/mlのSPAポリ(ビニルトルエン)(PVT)ビーズ(供給元;Amersham)の保存液はPBS中に作成した。61.6nMの[H]−NADの保存液は、[H]−NAD(0.1mCi/ml、供給元;Perkin Elmer)をインキュベーションバッファー(50mM Tris/HCl,pH8;0.2mM DTT;4mM MgCl)に添加することにより作成した。4mM NAD(供給元;Sigma)の溶液が作成された。ヒトPARP−1酵素は、Trevigenから得た。ビオチン化ヒストンおよびPVT−SPAビーズを混合し、そして室温で30分間プレインキュベーションした。PARP−1酵素(濃度はロットに依存する)をニックDNAと混合し、そして混合液は4℃で30分間プレインキュベーションした。このヒストン/PVT−SPAビーズ溶液とPARP−1酵素/DNA溶液とを等部で混合し、そしてこの混合液75μlをDMSO中の化合物1μlおよび[H]−NADの25μlと一緒に96ウェルのミクロタイタプレート中に1ウエル当たり添加した。インキュベーション混合液における最終濃度は、ビオチン化ヒストンについて2μg/ml、PVT−SPAビーズについては2mg/ml、ニックDNAについては0.25μg/mlそしてPARP−1酵素については0.1〜0.2μg/mlであった。室温で20分間、混合液をインキュベーションした後、反応は、水中4mM NADを100μl添加(最終濃度2mM)することによって終了させ、そしてプレート液を混合した。ビーズは遠心(10分、800rpm)により沈降させ、そしてプレートはシンチレーションカウンティングのためにTopCountNXT(商標)(Packard)に移され、値が1分当たりのカウント(cpm)として表された。各実験では、対照(PARP−1酵素および化合物なしのDMSOを含有する)、ブランクインキュベーション(DMSOを含有するがPARP−1酵素、DNAまたは化合物は含有しない)、およびサンプル(PARP−1酵素、DNAおよびDMSOに溶解した化合物を含有する)を並行して実施した。試験した全化合物はDMSOに溶解され、最終的にさらにそれで希釈した。用量応答曲線が作成され、ここで化合物は10−5Mから3×10−9Mの間の濃度で試験された。各試験では、ブランク値が対照とサンプル値の両方から引き算された。対照サンプルが最高のPARP−1酵素活性を示した。各サンプルでは、cpm量は、対照の平均cpm値のパーセントとして表された。適当であれば,IC50値(PARP−1酵素活性を対照の50%まで低下させるのに要する薬物の濃度)は、丁度50%レベルの上下の実験点間の直線補間を用いて算出した。ここでは、試験化合物の効果は、pIC50(IC50値の負のlog値)として表される。参照化合物として、4−アミノ−1,8−ナフタルイミドがSPAアッセイを確認するために包含された。試験した化合物は種々の濃度で阻害活性を示した(表2参照)。
【0323】
C.2.TANK−2阻害活性についてのインビトロのシンチレーション近接アッセイ(SPA)
本発明の化合物は、Ni Flashプレート(96または384ウェル)を用いたSPA技術に基づくインビトロアッセイで試験した。
【0324】
原理的には、このアッセイは、ADP−リボシルドナーとして[H]−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド([H]−NAD)を用いたTANK−2タンパク質の自己ポリ(ADP−リボシル)化の検出のためのSPA技術に頼るものである。
【0325】
100nMの[H]−NAD/NADの保存液(0.1mCi/ml、供給元;Perkin Elmer)および25μM NAD(Sigma)は、アッセイバッファー(60mM Tris/HCl,pH7.4;0.9mM DTT;6mM MgCl)中に作成された。TANK−2酵素は、欧州特許第1238063号明細書に記載されるように作成された。60μlのアッセイバッファーが、DMSO中1μlの化合物、20μlの「H]−NAD/NADおよび20μlのTANK−2酵素(最終濃度8μg/ml)と一緒に96ウェルのNiコートフラッシュプレート(Perkin Elmer)中に1ウエル当たり添加された。室温で120分間の混合液のインキュベーション後、反応は60μlの停止液(6mlのHO中42.6mgのNAD)を添加することにより終了した。プレートをプレートシーラーで覆い、そしてシンチレーションカウンティングのためにTopCountNXT(商標)(Packard)に置いた。値は1分当たりのカウント(cpm)として表した。各実験では、対照(TANK−2酵素および化合物なしのDMSOを含有する)、ブランクインキュベーション(DMSOを含有するがTANK−2酵素または化合物は含有しない)およびサンプル(TANK−2酵素およびDMSOに溶解された化合物を含有する)を並行して実施した。試験した全化合物はDMSOに溶解し、最終的にさらにそれで希釈した。第1の例では、化合物は10−5Mの濃度で試験された。化合物が10−5Mで活性を示した場合、用量応答曲線が作成され、ここで化合物は10−5M〜3×10−8Mの間の濃度で試験された。各試験では、ブランク値が対照とサンプル値の両方から引き算された。対照サンプルが最高のTANK−2酵素活性を示した。各サンプルでは、cpm量は、対照の平均cpm値のパーセントとして表された。適当であれば、IC50値(TANK−2酵素活性を対照の50%まで低下させるのに要する薬物の濃度)は、丁度50%レベルの上下の実験点間の直線補間を用いて算出された。ここでは、試験化合物の効果は、pIC50(IC50値の負のlog値)として表された。参照化合物として、3−アミノベンズアミドおよび4−アミノ−1,8−ナフタルイミドがSPAアッセイを確認するために包含された。ここではアッセイは96ウェルプレートを用いて記載された。384ウェルプレートを用いるアッセイでは,同じ最終濃度が使用され、そして容量が調整された。96ウェルプレートの結果が利用できる場合、これらの結果は表2に組み入れらたが、他の場合は384ウェルプレートからの結果を示した。
【0326】
実施例C.4.抗増殖活性の検出
ATCCから得られたヒト結腸癌腫HCT116細胞は、2mM L−グルタミン、50μg/mlのゲンタマイシンおよび10%の熱失活胎児ウシ血清が補足されたMcCoy’s 5A培地で培養された。
【0327】
ATCCから得られたヒト前立腺癌PC−3細胞は、1mMピルビン酸ナトリウム、1.5g/L重炭酸ナトリウム、50μg/mlのゲンタマイシン、非必須アミノ酸類および10%胎児ウシ血清が補足されたHAM’S F12培地で培養された。
【0328】
アラマーブルー(Alamar Blue)アッセイにおいて使用される試薬
レサズリンはAldrich(Prod.No.199303)から購入した。フェロシアン化ナトリウム、フェリシアン化カリウム、KHPOおよびKHPOは、Sigma(それぞれ、Prod.No.P9387,P8131,P5655およびP8281)から購入した。
【0329】
リン酸カリウムバッファー0.1M(PPB)は次のとおり作成された:2.72gのKHPOおよび13.86gのKHPOを、500mlのmilli−Q HOに溶解し、pHをpH7.4に調整し、そして容量はmilli−Q HOにより1リットルとした;このバッファーは濾過滅菌され、そして室温で保存された。レサズリン保存液(PPB−A)は、15mlのPBS中に45mgのレサズリンを溶解することによって新たに調製した。30mMフェリシアン化カリウム(PPB−B)は、100mlのPPB中に0.987gのフェリシアン化カリウムを溶解することにより調製した。30mMフェロシアン化カリウム(PPB−C)は、100mlのPPB中に1.266gのフェロシアン化カリウムを溶解することにより調製した。
【0330】
PPB−A、PPB−BおよびPPB−Cの混合液は、それぞれの溶液の等量を混合することにより調製した。レサズリン作業溶液(ここでは、「アラマーブルー(Alamar Blue)」液と呼ばれる)は、PPB中に該混合液を20x(容量/容量)に希釈し、そして濾過滅菌することにより調製した;アラマーブルー液は4℃で最大2週間保存できるであろう。
【0331】
アラマーブルーのアッセイ手順
384ウェルプレートにおける実験には、細胞は、透明な底をもつ黒色のFalcon384ウェル培養プレート(Life Technologies,Merelbeke,Belgium)中で、45μl培養基中に4.5x10細胞/mlの密度で接種された。細胞は24時間プラスチックに接着させられた。試験する化合物は、予備希釈(培養基中1/50)され、そして5μlの予備希釈化合物がこのウェルに添加された。4日間のインキュベーション後、10μlのアラマーブルー液が各ウェルに添加され、そして細胞は37℃でさらに4時間(HCT116)または24時間(PC−3)インキュベーションされた。蛍光強度は、Fluorescenceプレートリーダー(Fluorskan,Labsystem、540nm励起および590nm発光)で各ウェルについて測定された。
【0332】
抗増殖活性は、処理 対 対照(未処理細胞)条件下で、残存する生存細胞のパーセンテージとして計算された。実験において、各実験条件についての結果は3並行ウェルの平均である。適当であれば、実験は反復されて完全な濃度−応答曲線が確立された。適当な場合、IC50値(細胞の増殖を対照の50%まで下げるために必要な薬剤濃度)が、級別データに関するプロビット解析を用いて算定された(Finney,D.J.,Probit Analyses,2nd Ed.Chapter 10,Graded Responses,Cambridge University Press,Cambridge 1962)。ここでは、試験化合物の効果は、pIC50(IC50値の負のlog値)として表される(表3参照)。
【0333】
実施例C.5 重合アッセイ
チューブリン重合アッセイは、Bonne,D.et al.(J.Biol.Chem.1985,260:2819−25)により最初に記述されたアッセイの適応である。アッセイキットはCytoskeleton,Inc.(カタログ番号BK011)から購入し、そしてアッセイは次の改変をして供給元により記述されるように行った。アッセイは、384ウェルの黒色Proxiplate(Perkin Elmmer)で実施され、容量はそれに応じて適合された。反応は10μlの最終容量で実施された。化合物は、氷上96ウェルPPプレート(Corning)中の反応混合液の25μlに添加され、そしてこの混合液の10μlが、Fluoroskan Ascentプレートリーダー(Thermo Scientific)で37℃に予備加温された384ウェルProxiplateの2並列中に分配された。蛍光測定値は1時間の間1分毎に採られた。各ウェルの最大傾斜が決定され(4連続点を通しての直線回帰)、そして重合が化合物の不在下で観察される重合のパーセンテージとして算出された。化合物は、化合物の不在下で観察される重合に比較して、20μMで50%より高い阻害を示す化合物について、最初に20μM、次いで5μMの濃度で測定された。結果は、次のように定義されるスコアとして表F−2で報告される:20μMにおいて0〜50%阻害を示す化合物はスコア1として報告され;5μMにおいて50%より高い阻害を示す化合物はスコア3として報告される。スコア2の化合物は、20μMにおいて50%より高い阻害、そして5μMにおいて50%未満の阻害を示す化合物として定義される。
【0334】
実施例C.6.Eb1 コメット(Comet)(微小管破壊)アッセイ
Eb1 コメットアッセイは、間接的な免疫蛍光を使用する、重合中の微小管のプラス末端におけるEb1タンパク質の検出に依存する(Mimori−Kiyosue,2000)。解重合または安定化を介する微小管動力学の破壊は、成長する微小管末端からのEb1の非局在化(delocalization)をもたらし、そしてこれが細胞質のフォーカス(foci)を含有するEb1の消失によって可視化される。
【0335】
簡単に説明すると、アメリカンタイプカルチャーコレクションから得られたヒト前立腺癌PC3細胞が、供給者(ATCC)によって推奨されるHAM’sF12培地で、96ウェルプレート(Greiner,cat.no.655090)にて増殖された。細胞はDMSO中に溶解された化合物(0.6%の最終DMSO濃度)により37℃で1時間処理された。次いで、培養基が吸引によって除去され、そして細胞は冷メタノール(−20℃)の添加によって固定された。−20℃で15分のインキュベーション後、細胞は0.5%TritonX−100を含有するDPBS(Gibco)により2回洗浄された。マウスEb1抗体(BD Transduction Laboratories,cat.no.610534)が細胞に添加(1%BSAを含有するDPBS中1/250希釈)され、そして室温で一夜インキュベーションされた。続いて、抗体が除去され、そして細胞がDPBS、0.5%TritonX−100で2回洗浄された。Alexa488蛍光染料(Molecular Probes)に結合された2次ヤギ抗マウス抗体が、DPBS,1%BSA中、1/500希釈で添加され、そして37℃で1時間インキュベーションされた。細胞はDPBS、0.5%TritonX−100で2回、次いで0.5%TritonX−100を含有するDPBSにより洗浄され、そして1/5000Hoechst33342(Molecular Probes)が添加された。Eb1フォーカスの可視化に基づく顕微鏡法は、20X対物レンズを使用してIN Cell Analyser 1000(Amersham Biosciences)を用いて実施された。化合物に依存する微小管破壊が、Eb1フォーカスの消失によって可視的に測定された。最低活性濃度(LAC)は、Eb1フォーカスが処理細胞の少なくとも50%において不在であった濃度として決定された。ここで試験した化合物の効果は、pLACとして表される(LAC値の負のlog値)(表3参照)。
【0336】
【表5】

【0337】
D.組成物実施例:フィルムコート錠剤
錠剤芯の調製
100gの式(I)の化合物、570gのラクトースおよび200gの澱粉を十分に混合し、その後5gのドデシル硫酸ナトリウムおよび10gのポリビニルピロリドンの溶液(約200mlの水中)を用いて加湿する。湿潤粉末混合物を篩にかけ、乾燥し、そして再度、篩にかける。次いで100gの微晶質セルロースおよび15gの水素化植物油を加える。全体を良く混合し、そして化合物を錠剤に圧縮して、それぞれが10mgの式(I
)の化合物を含んでなる10,000個の錠剤が得られる。
【0338】
コーティング
10gのメチルセルロース溶液(75mlの変性エタノール中)に、5gのエチルセルロース溶液(150mlのジクロロメタン中)を加える。次に75mlのジクロロメタンおよび2.5mlの1,2,3−プロパントリオールを加える。10gのポリエチレングリコールを溶融し、そして75mlのジクロロメタンに溶解する。後の溶液を前の溶液に加え、次いで2.5gのオクタデカン酸マグネシウム、5gのポリビニルピロリドンおよび30mlの濃色懸濁液を加え、そして全体を均一にする。このようにして得られた混合物を用いて錠剤の芯をコーティング装置にて被覆する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
YはCHまたはCH−CHであり;
はアリールまたはHetであり;
ここでアリールはフェニルまたはナフタレニルであり;
ここでHetはチエニル、ピロリル、ピロリニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、フラニル、ピペリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピペラジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリジニル、アザインドリジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、クロマニル、プリニル、キノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサゾリニル、ナフチリジニルまたはプテリジニルであり;
アリールまたはHet上の2個の炭素原子は
−O−CH−CH−O− (a−1)、
−CH−O−CH−O− (a−2)、
−O−CH−CH−CH− (a−3)、
−O−CH−CH−NR− (a−4)、
−O−CR−O− (a−5)、
−O−CH−CH− (a−6)、
−CH−N−CH−CH− (a−7)、
−(CH− (a−8)、または
−(CH− (a−9);
から選択される二価の基で架橋されることができ(すなわち、二もしくは三環系部分を形成する);
各アリール、Het、架橋化アリールもしくは架橋化Hetは、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシカルボニル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルアミノ、メチルエチルアミノ、アミノC3−6シクロアルキル、ハロC1−6アルキル、トリハロC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル、C2−6アルケニルカルボニル、オキシム、C1−6アルキルオキシム、アミドキシム、−C≡C−CHO−CH、−C≡C−CHN(CH、−C≡C−Si(CH、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC2−6アルケニル、ヒドロキシC2−6アルキニル、シアノC1−6アルキル、シアノC2−6アルケニル、アミノカルボニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニルC2−6アルケニル、C1−6アルキルスルホニルC2−6アルキニル、−PO(OC1−6アルキル)、−B(OH)、−S−CH、SF、C1−6アルキルスルホニル、−NR、−C1−6アルキルNR、−OR、−C1−6アルキルOR、−CONR、ピペリジニルC1−6アルキル、ピペラジニルC1−6アルキル、C1−6
ルキルピペラジニルC1−6アルキル、モルホリニルC1−6アルキル、ピペリジニル、ピペラジニル、C1−6アルキルピペラジニル、モルホリニル、フェニル、チエニル、ピラゾリル、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、ピリミジニル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリルC2−6アルキニル、C1−6アルキルイミダゾリルC2−6アルキニル、シアノピリジニル、フェニルC1−6アルキル、フェニルC2−6アルケニル、モルホリニルC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシフェニル、トリハロC1−6アルキルフェニル、メチルピラゾリル、ハロピリミジニルまたはジメチルアミノピロリジニルからそれぞれ独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基により置換されることができ;あるいは
は式
【化2】

式中、XはCH、NHまたはN−CHであり;
式中、XはCH、C=O、O、NHまたはN−CHであり;
式中、R10はフェニル、ピリジニル、ピリダジニルまたはピリミジニルであり、ここで各フェニル、ピリジニル、ピリダジニルまたはピリミジニルは、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルキル、アミノ、ポリハロC1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシからそれぞれ独立して選択される1もしくは2個の置換基により置換されることができる、
の基であるか; あるいは
は式
【化3】

式中、XはCHまたはNである、
の基であり;
はメチル、エチル、プロピルまたはC3−6シクロアルキルであり;
各RおよびRは、水素、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、メチルオキシから独立して選択され;あるいはRおよびRはそれらに結合している炭素原子と共にシクロプロピル環または式C(=O)の基を形成し;
各RおよびRは水素、ハロ、C1−6アルキルオキシ、シアノ、C1−6アルキル、−OCHCHNR、−CHOCHCHNR、−OCHCHCHNRから独立して選択され;
は水素、メチルまたはフルオロであり;
各RおよびRは、水素、ハロ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、カルボニル、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ジヒドロキシC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、トリハロC1−6アルキル、フェニルC1−6アルキル、(ジC1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニル、モルホリニルC1−6アルキル、モルホリニルカルボニル、ピペラジニルC1−6アルキル、C1−6アルキルピペラジニルC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキル、チオモルホリニルC1−6アルキル、C3−6シクロアルキルメチル、ピリジニル、ピリミジニル、フェニル、ハロフェニル、オキサニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキルまたはC1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキルから独立して選択される]
の化合物であって、その立体化学的異性体形を含む化合物、それらのN−オキシド形、それらの製薬学的に許容され得る付加塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項2】
式中、YがCH−CHであり;アリールがフェニルであり;Hetがピリジニル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリルまたはインダソリルであり;各アリールまたはHetが、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、−C1−6アルキルNRまたは−ORからそれぞれ独立して選択される1もしくは2個の置換基により置換されることができ;XがCHまたはN−CHであり;XがCH、C=OまたはOであり;R10がシアノにより置換されることができるフェニルであり;Rがメチルであり;RおよびRが水素であり;RおよびRが水素であり;Rが水素であり;各RおよびRが水素、ハロ、C1−6アルキルまたはトリハロC1−6アルキルから独立して選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式中、YがCH−CHであり;Rがフェニル、ピリジニルまたはピリミジニルであり;各フェニル、ピリジニルまたはピリミジニルは、ハロ、シアノまたはC1−6アルキルオキシからそれぞれ独立して選択される1もしくは2個の置換基により置換されることができ;XがCHであり;XがOであり;R10がシアノにより置換されたフェニルであり;Rがメチルであり;RおよびRが水素であり;RおよびRが水素であり;Rが水素である請求項1または2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
化合物が以下の化合物:
【表1】

それらの製薬学的に許容され得る付加塩またはそれらの溶媒和物から選択される請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
医薬として使用するための請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
製薬学的に許容され得る担体および有効成分として治療に有効な量の請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項7】
製薬学的に許容され得る担体および請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物が完全に混合される請求項6に記載の製薬学的組成物の調製法。
【請求項8】
PARPまたはチューブリン重合が媒介する障害を処置する医薬を製造するための請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物と別の抗癌剤との組み合わせ物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物の調製法であって:
a)式(II)の中間体を適切な試薬と反応に不活性な溶媒中で反応させて、式(I)
【化4】

[定義は請求項1に定義する通りである]
の化合物を形成し;
b)過剰な塩基を、適切な溶媒中で式(IV)の中間体(式中、Haloはクロロまたはブロモである)の存在下で式(III)の中間体に加えるか、
【化5】

[定義は請求項1に定義する通りである]
あるいは所望により式(I)の化合物を技術的に知られている変換に従い互いに転換し、そしてさらに所望により式(I)の化合物を酸での処理により製薬学的に許容され得る酸付加塩に、または塩基での処理により製薬学的に許容され得る塩基付加塩に転換し、あるいは逆に酸付加塩をアルカリでの処理により遊離塩基に転換するか、または塩基付加塩を酸での処理により遊離酸に転換し;そして所望によりそれらの立体化学的異性体形またはN−オキシド形を調製することを特徴とする上記調製法。
【請求項11】
式(II):
【化6】

[式中、
YはCHまたはCH−CHであり;
はアリールまたはHetであり;
ここでアリールはフェニルまたはナフタレニルであり;
ここでHetはチエニル、ピロリル、ピロリニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、フラニル、ピペリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピペラジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリジニル、アザインドリジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、クロマニル、プリニル、キノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサゾリニル、ナフチリジニルまたはプテリジニルであり;
アリールまたはHet上の2個の炭素原子は
−O−CH−CH−O− (a−1)、
−CH−O−CH−O− (a−2)、
−O−CH−CH−CH− (a−3)、
−O−CH−CH−NR− (a−4)、
−O−CR−O− (a−5)、
−O−CH−CH− (a−6)、
−CH−N−CH−CH− (a−7)、
−(CH− (a−8)、または
−(CH− (a−9);
から選択される二価の基で架橋されることができ(すなわち、二もしくは三環系部分を形成する);
各アリール、Het、架橋化アリールもしくは架橋化Hetは、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシカルボニル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルアミノ、メチルエチルアミノ、アミノC3−6シクロアルキル、ハロC1−6アルキル、トリハロC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル、C2−6アルケニルカルボニル、オキシム、C1−6アルキルオキシム、アミドキシム、−C≡C−CHO−CH、−C≡C−CHN(CH、−C≡C−Si(CH、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC2−6アルケニル、ヒドロキシC2−6アルキニル、シアノC1−6アルキル、シアノC2−6アルケニル、アミノカルボニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニルC2−6アルケニル、C1−6アルキルスルホニルC2−6アルキニル、−PO(OC1−6アルキル)、−B(OH)、−S−CH、SF、C1−6アルキルスルホニル、−NR、−C1−6アルキルNR、−OR、−C1−6アルキルOR、−CONR、ピペリジニルC1−6アルキル、ピペラジニルC1−6アルキル、C1−6アルキルピペラジニルC1−6アルキル、モルホリニルC1−6アルキル、ピペリジニル、ピペラジニル、C1−6アルキルピペラジニル、モルホリニル、フェニル、チエニル、ピラゾリル、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、ピリミジニル、オキサジアゾリル、イ
ミダゾリル、イミダゾリルC2−6アルキニル、C1−6アルキルイミダゾリルC2−6アルキニル、シアノピリジニル、フェニルC1−6アルキル、フェニルC2−6アルケニル、モルホリニルC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシフェニル、トリハロC1−6アルキルフェニル、メチルピラゾリル、ハロピリミジニルまたはジメチルアミノピロリジニルからそれぞれ独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基により置換されることができ;あるいは
は式
【化7】

式中、XはCH、NHまたはN−CHであり;
式中、XはCH、C=O、O、NHまたはN−CHであり;
式中、R10はフェニル、ピリジニル、ピリダジニルまたはピリミジニルであり、ここで各フェニル、ピリジニル、ピリダジニルまたはピリミジニルは、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルキル、アミノ、ポリハロC1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシからそれぞれ独立して選択される1もしくは2個の置換基により置換されることができる、
の基であるか; あるいは
は式
【化8】

式中、XはCHまたはNである、
の基であり;
はメチル、エチル、プロピルまたはC3−6シクロアルキルであり;
各RおよびRは、水素、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、メチルオキシから独立して選択され;あるいはRおよびRはそれらに結合している炭素原子と共にシクロプロピル環または式C(=O)の基を形成し;
各RおよびRは水素、ハロ、C1−6アルキルオキシ、シアノ、C1−6アルキル、−OCHCHNR、−CHOCHCHNR、−OCHCHCHNRから独立して選択され;
は水素、メチルまたはフルオロであり;
各RおよびRは、水素、ハロ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、カルボニル、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ジヒドロキシC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、トリハロC1−6アルキル、フェニルC1−6アルキル、(ジC1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニル、モルホリニルC1−6アルキル、モルホリニルカルボニル、ピペラジニルC1−6アルキル、C1−6アルキルピペラジニルC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキル、チオモルホリニルC1−6アルキル、C3−6シクロアルキルメチル、ピリジニル、ピリミジニル、フェニル、ハロフェニル、オキサニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキルまたはC1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキルから独立して選択される]
の化合物であって、その立体化学的異性体形を含む化合物、それらのN−オキシド形、それらの製薬学的に許容され得る付加塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項12】
2−メチル−2−プロパノール、カリウム塩を、式(V)の中間体に式(VI)の中間体(式中、Wは脱離基である)の存在下で適切な溶媒中にて加える、
【化9】

[定義は請求項1に定義する通りである]
ことを特徴とする請求項11に記載の化合物の調製法。

【公表番号】特表2011−515450(P2011−515450A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501234(P2011−501234)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053598
【国際公開番号】WO2009/118382
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】