説明

PC鋼撚り線の接続構造およびその施工方法

【課題】容易に施工できるPC鋼撚り線の接続構造を提供する。
【解決手段】本発明PC鋼撚り線の接続構造は、第一(第二)PC鋼撚り線20A(20B)を把持する第一(第二)ウェッジ30A(30B)と、第一(第二)ウェッジがはめ込まれるテーパー孔を有する第一(第二)ソケット40A(40B)と、第一・第二PC鋼撚り線の端部同士を突き合わせた状態で、両ソケットとを連結するカップラースリーブ50と、カップラースリーブの周囲を覆い、同スリーブとの間に充填材の充填空間を形成するカップラーシース60とを備える。カップラースリーブ50の一端側の内周には、第一ソケットの雄ねじ部42Aに螺合する雌ねじ部を有し、他端側には、第二ソケット40Bが当て止めされる底部を有し、その底部は第二PC鋼撚り線20Bが引き出される貫通孔を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPC鋼撚り線の接続構造およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PC鋼撚り線の端部同士を連結する接続構造として、特許文献1に記載の技術が知られている。この接続構造は、接続する各PC鋼撚り線の端部をウェッジとチャックボディ(ソケット)で定着すると共に、そのチャックボディ同士を接続ジョイントで連結している。PC鋼撚り線の端部を把持した各ウェッジは、チャックボディのテーパー孔にはめ込まれる。各チャックボディの一端側はウェッジのはめ込み箇所より突出した筒状部を有し、その筒状部の内面に雌ねじが形成されている。一方、接続ジョイントは、その両端部の外周に雄ねじが形成された円柱状部材である。この接続ジョイントの一端側に形成された雄ねじと他端側に形成された雄ねじとは逆ねじに形成されている。両PC鋼撚り線の接続は、PC鋼撚り線をウェッジを介して把持したチャックボディを突き合わせて配置し、それらチャックボディの間に接続ジョイントを配置して同ジョイントを一方向に回転させ、その雄ねじにチャックボディの雌ねじをねじ結合させることで行っている。
【0003】
また、このような接続構造の外周はカップラーシースに覆われ、同シースとチャックボディや接続ジョイントとの間に形成される空隙に遅延硬化性エポキシ樹脂が充填される。通常、このカップラーシースには、その主要部に透明のプラスチック筒が用いられ、プラスチック筒の両端部に金属製の端部封止管が取り付けられる。この端部封止管のうち、一方の端部封止管には樹脂の注入孔が一つ形成され、他方の端部封止管には樹脂の排出孔が一つ形成されている。樹脂の充填は、注入孔から樹脂を注入し、その樹脂を排出孔から流出させることで行なう。その際、エポキシ樹脂の充填状況はプラスチック筒の外部から確認できる。
【0004】
その他、特許文献2に示すように、各チャックボディの外周を円筒状のカップラーで連結する接続構造もある。この接続構造のチャックボディは、その外周に雄ねじを有する。一方、カップラーは、その各端部の内周面に互いに逆ねじに形成された雌ねじを有する。そして、PC鋼撚り線をウェッジを介して把持したチャックボディを突き合わせて配置し、それらチャックボディの間に配置したカップラーを一方向に回転させ、カップラーの雌ねじにチャックボディの雄ねじをねじ結合させることでPC鋼撚り線の接続を行っている。
【0005】
【特許文献1】特許第3183403号公報
【特許文献2】特開2004-100444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来の接続構造では、次のような問題があった。
【0007】
(1)接続構造の構成部品の製作および接続構造の施工が煩雑である。
上述したいずれの接続構造においても、チャックボディの双方および接続ジョイント(カップラー)の両端側にねじ加工が必要である。特に、接続ジョイント(カップラー)の各端部に設けられたねじは互いに逆ねじに形成しておく必要がある。また、透明のプラスチック筒と金属製の端部封止管との接合も異種材料の接合であり手間とコストがかかる。さらに、施工時、一方のチャックボディ、接続ジョイント(カップラー)および他方のチャックボディを正確に同軸に配置し、かつ接続ジョイント(カップラー)を回転させて同時に双方のチャックボディとのねじ結合を開始させる必要がある。ところが、この施工作業が容易ではなく、各チャックボディと接続ジョイント(カップラー)とのねじ結合が時間的にずれて開始されることがある。その場合、先にねじ結合を開始したチャックボディが接続ジョイント(カップラー)の適正な位置にねじ結合された時、遅れてねじ結合されたチャックボディは接続ジョイント(カップラー)と適正な位置にねじ結合できない状態となってしまう。その場合、一旦接続ジョイント(カップラー)とチャックボディを分離して、再度両者のねじ結合をやり直すしかない。
【0008】
(2)カップラーシース内に空気溜りが生じることがある。
カップラーシースの主要部に透明のプラスチック筒を用いれば、樹脂の充填状況が目視にて確認できる。しかし、プラスチック筒は、必ずしも強度が十分ではない。例えば、プラスチック筒に樹脂の排出孔を設けると、カップラーシース内に樹脂を充填する際、樹脂の充填圧により排出孔周辺に亀裂が発生する虞がある。そのため、通常、排出孔は金属製の端部封止管に一つ設けられているだけであり、その結果、カップラーシース内のうち、特に排出孔から離れた箇所に空気溜りが生じることがある。その場合、カップラーシースを一旦取り外して、再度樹脂の充填をやり直す必要があり、その作業が非常に面倒である。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、容易に施工できるPC鋼撚り線の接続構造とその施工方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、カップラーシース内に空気溜りが生じることなく樹脂を充填することができるPC鋼撚り線の接続構造とその施工方法を提供することにある。
【0011】
さらに、本発明の別の目的は、カップラーシース内に樹脂を充填する際、カップラーシースの損傷を抑制できるPC鋼撚り線の接続構造とその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明PC鋼撚り線の接続構造は、第一PC鋼撚り線を把持する第一ウェッジと、第一ウェッジがはめ込まれるテーパー孔を有する第一ソケットと、第二PC鋼撚り線を把持する第二ウェッジと、第二ウェッジがはめ込まれるテーパー孔を有する第二ソケットと、第一PC鋼撚り線と第二PC鋼撚り線の端部同士を突き合わせた状態で、第一ソケットと第二ソケットとを連結するカップラースリーブと、カップラースリーブの周囲を覆い、同スリーブとの間に充填材の充填空間を形成するカップラーシースとを備える。この第一ソケットは、その外周に雄ねじ部を有する。カップラースリーブの一端側の内周には、前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有する。そして、カップラースリーブの他端側には、第二ソケットが当て止めされる底部を有し、その底部は第二PC鋼撚り線が引き出される貫通孔を備える。
【0013】
この構成によれば、第一ソケットとカップラースリーブとの結合をねじ部の螺合により行い、第二ソケットとカップラースリーブとの結合はカップラースリーブの底部に第二ソケットを当て止めすることで行う。そのため、カップラースリーブの回転は、第一ソケットと結合する際だけ行えば良く、第二ソケットと結合する際には行う必要がないため、施工性に優れる。
【0014】
また、カップラーシースを金属製とすることで、同シース内に充填材を充填する状況を外部から観察することはできないが、透明プラスチック製のカップラーシースに比べてはるかに高強度とすることができる。そのため、充填材の排出孔をカップラーシースに複数形成しても、充填材の充填圧力などにより排出孔の周辺に亀裂が生じることがない。
【0015】
上記の本発明接続構造において、カップラーシースの天側に、前記充填材の排出孔を複数備えることが好ましい。
【0016】
カップラーシース内には、充填材が充填される。通常、カップラーシースは筒状に形成されており、その径方向の一方側に充填材の注入孔が形成されている。そのため、カップラーシースの径方向の他方側に充填材の排出孔を形成し、この排出孔を天側とすれば、排出孔から充填材が排出されたことで、カップラーシース内に充填材が充填されたことを確認できる。そして、カップラーシースに排出孔を複数設けることで、各排出孔から確実に空気を排出させ、カップラーシース内に空気溜りが生じないようにすることができる。
【0017】
また、上記の本発明接続構造において、充填材には遅延硬化型樹脂が好適に利用できる。
【0018】
遅延硬化型樹脂は、カップラーシース内に樹脂を充填した後、速やかに硬化するのではなく、一定期間経過後に硬化する樹脂である。このような遅延硬化型樹脂をカップラーシース内に充填することで、樹脂が硬化するまでの間、PC鋼撚り線を緊張することができる。そのため、緊張作業およびその準備に十分な時間を確保することができる。
【0019】
一方、本発明PC鋼撚り線の接続構造の施工方法は、次の工程を備える。
【0020】
(1)第一PC鋼撚り線が第一ウェッジで把持され、その第一ウェッジが第一ソケットにはめ込まれた状態とする工程。
(2)第二PC鋼撚り線が第二ウェッジで把持され、その第二ウェッジが第二ソケットにはめ込まれた状態とする工程。
(3)第一PC鋼撚り線と第二PC鋼撚り線の端部同士を突き合わせた状態でカップラースリーブにて第一ソケットと第二ソケットとを連結する工程。
(4)カップラースリーブの外側にカップラーシースをはめ込む工程。
(5)カップラーシース内に充填材を充填する工程。
【0021】
この施工方法において、前記連結工程は、カップラースリーブの一端側と第一ソケットとをねじ結合し、かつカップラースリーブの他端側と第二ソケットとを当て止めすることで行う。そして、前記充填工程は、複数の排出孔を有するカップラーシースを用い、各排出孔から充填材の排出が確認された後に順次排出孔に蓋をする過程を含む。
【0022】
上記の本発明方法によれば、第一ソケットとカップラースリーブとはねじ結合をする必要があるが、第二ソケットとカップラースリーブとは当て止めにて連結される。そのため、第二ソケットをカップラースリーブ内にはめ込むだけで第二ソケットとカップラースリーブとの結合が行える。
【0023】
また、カップラーシースに複数の排出孔を設け、各孔から充填材が排出されることで同シース内に充填材が充填されたことを容易に確認でき、かつ同シース内に空気溜りが生じることを効果的に回避することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明PC鋼撚り線の接続構造は、第一ソケットとカップラースリーブとの結合はねじ結合により行い、第二ソケットとカップラースリーブとの結合はカップラースリーブの底部に第二ソケットを当て止めすることで行う。そのため、カップラースリーブの回転は、第一ソケットと結合する際だけ行えば良く、第二ソケットと結合する際には行う必要がないため、施工性に優れる。
【0025】
また、PC鋼撚り線の接続構造の施工方法によれば、ねじ結合するのは第一ソケットとカップラースリーブだけでよく、第二ソケットとカップラースリーブは、単にはめ込んで当て止めするだけでよい。そのため、カップラースリーブに対して第一ソケットと第二ソケットの両方がねじ結合できるように両ソケットとカップラースリーブの位置関係に注意しながら慎重にカップラースリーブを回転させる必要がなく、接続構造の施工性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の接続構造・施工方法の構成要件をより詳しく説明する。
【0027】
第一PC鋼撚り線および第二PC鋼撚り線は、ポストテンション工法に用いられる緊張材とする。代表的には、複数の素線を撚り合わせたPC鋼撚り線の外周に遅延硬化型樹脂を塗布し、その樹脂の外側をプラスチックシースで覆ったアフターボンド(商品名)が好適に利用できる。遅延硬化型樹脂の具体例としては、特開平1-260083号公報に示される熱硬化型のエポキシ樹脂や、特開2000-281967号公報に示される湿気硬化型のエポキシ樹脂が挙げられる。その他、PC鋼撚り線として、複数の素線を撚り合わせたPC鋼撚り線の外周にグリースなどの潤滑剤を塗布し、その潤滑剤の外側をプラスチックシースで覆ったアンボンドPC鋼撚り線などの利用も考えられる。
【0028】
第一(第二)ウェッジは、第一(第二)PC鋼撚り線を把持する。一般に、ウェッジは複数の分割片を組み合わせることで円錐状に形成される。通常、2つあるいは3つの分割片を組み合わせてウェッジは構成される。本発明では、第一ウェッジと第二ウェッジは同一構成のものが利用できる。第一・第二ソケットは、このウェッジがはめ込まれてPC鋼撚り線に貫通されるテーパー孔を有し、このテーパー孔に第一(第二)PC鋼撚り線を把持する第一(第二)ウェッジをはめ込むことで、このPC鋼撚り線の緊張力を支圧する。本発明に用いられるソケットのうち、一方のソケット(第一ソケット)の外周には後述するカップラースリーブとねじ結合する雄ねじが設けられている。また、他方のソケット(第二ソケット)の外周には雄ねじが設けられていない。この二次側の第二ソケットの一方の端面、つまりテーパー孔の太径側端面にはウェッジ押さえを固定するためのボルト孔を設けることが好ましい。通常、第二PC鋼撚り線の端部はコンクリート構造物に定着されていない状態で接続構造の施工が行われる。そのため、予め工場で第二PC鋼撚り線の端部を第二ウェッジで把持し、そのウェッジを第二ソケットにはめ込んだ状態として出荷した場合、第二ウェッジの端面にウェッジ押さえを設け、そのウェッジ押さえを上記ボルト孔にねじ込まれるボルトで締め付けることにより、第二ウェッジが第二ソケットから脱落することを防止できる。
【0029】
なお、ウェッジがソケットにはめ込まれた状態とするとは、施工現場でPC鋼撚り線にウェッジとソケットを装着して組み立てることの他、予め工場でPC鋼撚り線をウェッジで把持し、そのウェッジをソケットにはめ込んだ状態として持ち込むことも含む。
【0030】
カップラースリーブは、一端が開口され、他端に底部を有して、その底部にPC鋼撚り線の貫通孔が形成された筒状体とする。開口側端部の内面には、第一ソケットの雄ねじがねじ結合される雌ねじが形成されている。底部はカップラースリーブの周面と一体となるように切削加工で形成してもよいし、筒状の周面部と円盤状の底部を独立して形成し、周面部に底部をねじ結合することでカップラースリーブを構成してもよい。
【0031】
カップラーシースは、カップラースリーブを覆う形状とすればよい。代表的には、一端側が開放され、他端側に底部を有し、その底部にPC鋼撚り線の貫通孔が形成された筒状体が挙げられる。さらに、この底部に充填材の注入孔を形成し、筒状体の周面に充填材の排出孔を複数形成することが好ましい。その際、注入孔は底部の外周縁側に寄せて設け、排出孔は筒状体径方向における注入孔の設置箇所と対向する位置に設けることが好適である。この構成により、注入孔を地側、排出孔を天側としてカップラーシース内に充填材の充填を行えば、排出孔から空気を効果的に排出して空気溜まりの発生を防止でき、かつこの排出孔から充填材が流出されたことで充填が完了したことを認知することができる。
【0032】
このカップラーシースは金属製とする。その金属の代表例としては鋼が挙げられる。鋼は市販の鋼管などを利用することで容易に入手でき、切削・塑性加工・溶接などによりカップラーシースを容易に構成できる。特に、鋼でカップラーシースを構成すれば、そのシースに充填材の排出孔を複数形成しても、充填材の充填圧力で排出孔周辺に亀裂が生じることもない。排出孔は、カップラーシースの軸方向に均等に分散して形成することが好ましい。複数の排出孔を均等に分散配置することで、カップラーシース内に樹脂を充填した際、内部の空気を確実に排出し、空気溜まりの発生を防止することができる。従って、カップラーシース内部における充填材の充填状況を外部から目視できなくても何ら支障はない。
【0033】
カップラーシース内への充填樹脂としては、遅延硬化型の樹脂が好適に利用できる。具体的には、上述した熱硬化型のエポキシ樹脂や、湿気硬化型のエポキシ樹脂が挙げられる。PC鋼撚り線としていわゆるアフターボンドを用いた場合、樹脂の硬化遅延程度が、アフターボンドに用いられた遅延硬化樹脂と同等であることが好ましい。それにより、アフターボンドの樹脂の遅延硬化状態とカップラーシース内の樹脂の遅延硬化状態を合わせることができる。
【実施例1】
【0034】
本発明の実施例を図に基づいて説明する。
【0035】
[接続構造]
(全体構成の概要)
本例の接続構造は、図1に示すように、既にコンクリート構造物Cにアンカープレート10を介して緊張・定着された一次側(左側)のPC鋼撚り線20Aに、未だコンクリート構造物に緊張・定着されていない二次側(右側)のPC鋼撚り線20Bを接続する。その際、一次側の第一PC鋼撚り線20Aの端部を第一ウェッジ30Aと第一ソケット40Aで定着し、二次側の第二PC鋼撚り線20Bの端部を第二ウェッジ30Bと第二ソケット40Bで定着する。そして、両PC鋼撚り線20A,20Bの端部を突き合わせた状態とし、第一ソケット40Aと第二ソケット40Bとをカップラースリーブ50で連結し、さらに同スリーブ50の外側をカップラーシース60で覆っている。このカップラーシース60内には、遅延硬化型エポキシ樹脂(図示せず)が充填される。以下、この接続構造の各部を説明する。
【0036】
(アンカープレート)
第一PC鋼撚り線20Aの緊張力は、第一ウェッジ30A、第一ソケット40Aを介してアンカープレート10で支圧される。アンカープレート10は、その表面がコンクリート構造物Cの表面と面一になるように部分的にコンクリート中に埋設された厚みのある鋼片である。本例では、アンカープレート10を部分的にコンクリート中に埋設しているが、埋設しない場合は、コンクリート面上にアンカープレート10を配置する。このアンカープレート10は、正方形で、その中心部に第一PC鋼撚り線20Aが貫通する貫通孔11を有する。この貫通孔11と第一PC鋼撚り線20Aとの間には、スペーサ70Aが介在され、第一PC鋼撚り線20Aと貫通孔11を同軸状に保持する。このスペーサ70Aは、図2に示すように、2つの半円筒部材を組み合わせた高密度ポリエチレン製の筒状部材である。また、アンカープレート10の表面には、カップラーシース60を固定するためのボルト151がねじ結合されるねじ孔12が形成されている(図1)。
【0037】
(PC鋼撚り線)
第一PC鋼撚り線20A、第二PC鋼撚り線20Bのいずれもアフターボンド(商品名)を用いている。アフターボンドは、複数の素線を撚り合せたPC鋼撚り線21A,21Bの外側に遅延硬化型エポキシ樹脂22A,22Bを塗布し、その樹脂22A,22Bの外側をプラスチックシース23A,23Bで覆った緊張材である。第一(第二)PC鋼撚り線20A(20B)のうち、第一(第二)ウェッジ30A(30B)で把持される箇所は、プラスチックシース23A,23Bが除去されてPC鋼撚り線21A,21Bが露出されている。また、プラスチックシース23A,23Bは、コンクリートとの付着を高めるために、表面に凹凸が形成されている。上記の遅延硬化型エポキシ樹脂22A,22Bは、数年かけて硬化する。そのため、第一(第二)PC鋼撚り線20A(20B)が出荷されてから相当程度長期間にわたってエポキシ樹脂22A,22Bは未硬化の状態にあり、その間に各PC鋼撚り線20A(20B)の緊張・定着を行うことができる。
【0038】
(ウェッジ)
第一PC鋼撚り線20Aは第一ウェッジ30Aで、第二PC鋼撚り線20Bは第二ウェッジ30Bで把持される。各ウェッジ30A,30Bは、図3に示すように、2つの分割片を組み合わせることでほぼ円錐台状に構成される。分割片を組み合わせたとき、その中心部にはPC鋼撚り線の把持孔31A,31Bが形成される。いずれの分割片も、内面にはPC鋼撚り線21A,21Bを強固に把持するための雌ねじ面32A,32Bが形成されており、かつ太径側端面から細径側端面に至る途中までの間にスリット33A,33Bが形成されている。このスリット33A,33Bは、ウェッジ30A,30Bがソケット40A,40Bに圧入された際、スリット33A,33Bの間隔が狭まるように変形することで、確実にPC鋼撚り線21A,21Bを把持することに寄与する。ここでは、第一ウェッジ30Aと第二ウェッジ30Bは全く同じ構成・サイズのものを用いている。
【0039】
(ソケット)
第一(第二)PC鋼撚り線20A(20B)を把持した第一(第二)ウェッジ30A(30B)は、第一(第二)ソケット40A(40B)にはめ込まれる。いずれのソケット40A(40B)も、鋼製の円筒ブロック状のもので、ウェッジ30A(30B)がはめ込まれるテーパー孔41A,41Bが形成されている。このテーパー孔41A,41Bは、一端側に太径開口部を、他端側に細径開口部を有する貫通孔である。緊張された第一PC鋼撚り線20Aの緊張力は第一ウェッジ30Aを第一ソケット40Aのテーパー孔41Aに圧入させる。それに伴い、第一ウェッジ30Aが強固に第一PC鋼撚り線20Aを把持する。
【0040】
第一ソケット40Aは、図4に示すように、その外周に雄ねじ42Aが形成されている。この雄ねじ42Aは後述するカップラースリーブ50の雌ねじ52とねじ結合される。本例では、第一ソケット40Aの軸方向中間部の外周に雄ねじ42Aを形成している。
【0041】
一方、第二ソケット40Bは、図1に示すように、その外周に雄ねじが形成されていない。つまり、従来から用いられているソケットを第二ソケット40Bに転用することが可能である。ただし、次述するゴムスペーサ兼押さえ板80を第二ソケット40Bに固定するために、一端面(太径開口部側端面)におけるテーパー孔41Bを挟んで対向する位置にボルト孔42Bを形成している。
【0042】
(ゴムスペーサ兼押え板)
二次側の第二PC鋼撚り線20Bは緊張・定着していない状態で一次側の第一PC鋼撚り線20Aと連結される。そのため、二次側の第二PC鋼撚り線20Bは、第二ウェッジ30B、第二ソケット40Bが組み合わされた状態で工場から出荷される。その際、第二ウェッジ30Bが第二ソケット40Bからずれたり脱落したりしないよう、押え板81を第二ウェッジ30Bの太径側端面に当接させている。押え板81は鋼製の円盤体で中央に第二PC鋼撚り線20Bの貫通孔を有し、第二ウェッジ30Bの太径側外径よりも小さな内径と同太径側外径よりも大きな外径を備えている。また、この押え板81は、貫通孔を挟んだ対向位置に、一対のボルト孔が形成されている。このボルト孔を貫通し、かつ二次側の第二ソケットのボルト孔42Bにねじ結合するボルト152で押え板81を締め付けることにより、第二ウェッジ30Bのずれや脱落を防止する。
【0043】
さらに、押え板81における第一ソケットと対向する表面には、ゴムスペーサ82が一体化されている。このゴムスペーサ82は押え板81よりも厚い短円筒ブロック体で、その中央に両PC鋼撚り線21A,21Bが突き合わされた状態で差し込まれる貫通孔を備え、さらに押え板81のボルト孔につながるボルト孔が形成されている。このゴムスペーサ82は、一次側の定着具(ウェッジ30Aおよびソケット40A)と二次側の定着具(ウェッジ30Bおよびソケット40B)との間に形成される空間に位置することで、その空間内の空気量を減らす。それにより、カップラースリーブ50内部の防錆性を高める。その他、ゴムスペーサ82は、その貫通孔に両PC鋼撚り線21A,21Bの端部をはめ込むことで、一次側のPC鋼撚り線21Aの端部に二次側のPC鋼撚り線21Bを同軸に位置合わせするためのガイドとしての機能も有する。さらに、ゴムスペーサ82は、二次側の第二PC鋼撚り線20Bが工場出荷されてから施工までの間、PC鋼撚り線21Bの端部を保護する役割も兼ねる。
【0044】
(カップラースリーブ)
上記の第一ソケット40Aと第二ソケット40Bとはカップラースリーブ50で連結される。カップラースリーブ50は、図1および図5に示すように、一端が開放し、他端に底部51を有すると共に、その底部に第二PC鋼撚り線20Bの貫通孔511を有する筒状体である。ここでは、鋼製のブロックを切削加工してカップラースリーブ50の周面および底部51を一体としている。
【0045】
この周面における一端側の内周面には開口にまで及ぶ雌ねじ52が形成されている。この雌ねじ52は第一ソケットの雄ねじ42Aにねじ結合することで、カップラースリーブ50と第一ソケット40Aとを連結する。
【0046】
一方、底部に設けた貫通孔511は、第二PC鋼撚り線のシース23Bの外径よりは大きな内径であるが、第二ソケット40Bの外径よりは十分小さな内径である。そして、カップラースリーブ50の周面の内径は、第二ソケット40Bの外径よりも若干大きな寸法となっている。そのため、第二ウェッジ30Bで第二PC鋼撚り線20Bの端部を把持し、このウェッジ30Bを第二ソケット40Bにはめ込んで、その状態の第二ソケット40Bの外側にカップラースリーブ50をはめ込めば、第二ソケット40Bとカップラースリーブ50の底部51とは当て止めされることになる。それにより、第一ソケット40Aと第二ソケット40Bとはカップラースリーブ50を介して連結されることになり、結果的に第一PC鋼撚り線20Aと第二PC鋼撚り線20Bとは接続されることになる。
【0047】
その他、本例では、カップラースリーブ50の底部外周面に4つの係合穴512を形成している。この係合穴512は底部外周を4等分する位置に設けられたカップラースリーブ50の中心側に延びる円穴である。カップラースリーブ50を第一ソケット40Aにねじ込む際、この係合穴512に適宜な器具(図示せず)をはめ込むことで、その器具を、同スリーブ50を回転させるためのハンドルとして利用する。
【0048】
(カップラーシース)
そして、カップラースリーブ50により連結された一次側定着具と二次側定着具は、図1、図6に示すカップラーシース60で覆われる。このカップラーシース60はカップラースリーブ50の外径よりも大きな内径を持つ金属製の筒状部材である。その一端側は開口し、他端側には底部62が設けられて、その底部62に第二PC鋼撚り線が引き出される貫通孔621が形成されている。カップラースリーブ50をカップラーシース60で覆った場合、両者の間に空間が形成され、その空間に遅延硬化型エポキシ樹脂が充填される。ここでは、周面61を構成するパイプ材、底部62を構成する端面板、アンカープレート10にカップラーシース60を結合させるためのフランジ面63、第二PC鋼撚り線20Bが引き出される引き出し管64、およびエポキシ樹脂の注入管65を全て鋼で構成して、これら各部を溶接することでカップラーシース60を構成している。
【0049】
この周面61には、エポキシ樹脂の排出孔611が形成されている。本例では、カップラーシースの軸方向の4箇所に均等に分散して配列されたねじ孔を排出孔611としている。周面61と底部62とは、注入孔651を地側とした場合に、排出孔611が天側となるように溶接されている。この排出孔611には、カップラースリーブに樹脂充填後、短ボルト153(図1)がねじ込まれて蓋とされる。
【0050】
底部62となる端面板は、周面61の二次側開口に溶接される円環状の鋼板である。この端面板の中央には第二PC鋼撚り線20Bの貫通孔621が形成され、外周縁寄りの位置には注入孔651を形成する円孔622が形成されている。また、端面板には、貫通孔621と同軸に鋼製の引き出し管64が、円孔622と同軸に注入管65が溶接されている。そして、引き出し管64と第二PC鋼撚り線20Bの間には、図2に示したスペーサ70Aと同様のスペーサ70B(図1)が介在され、引き出し管64と第二PC鋼撚り線20Bの同軸性が保持される。このスペーサ70Bは、止水材の機能も兼ねている。
【0051】
一方、フランジ面63は、周面61の一次側開口に設けられている。このフランジ面63は矩形の鋼板631と矩形のゴム板632を接合して構成され、鋼板631が周面61の開口端面に溶接されている。このゴム板632は、カップラーシース60とアンカープレート10の密着性を高めることに利用される。また、フランジ面63の中央には、内径が周面61の内径と等しい円孔が形成されている。さらに、フランジ面63の四隅には、アンカープレート10にカップラーシース60を固定するためのボルト151の挿通孔633が形成されている。
【0052】
[組立手順]
以下、上記の接続構造の組立手順を図7〜図12に基づいて説明する。
【0053】
まず、一次側の第一PC鋼撚り線20Aをアンカープレート10の貫通孔11に挿通し、この貫通孔11と第一PC鋼撚り線20Aの間にスペーサ70Aを介在して、同撚り線20Aを貫通孔11に対して同軸状に保持する。その状態で、これらPC鋼撚り線20Aとアンカープレート10を型枠(図示せず)の所定位置に配置し、コンクリートを打設・硬化させる(図7)。
【0054】
次に、第一PC鋼撚り線20Aの端部を緊張し、その端部を第一ウェッジ30Aと第一ソケット40Aでアンカープレート10に定着する(図8)。つまり、アンカープレート10から露出した第一PC鋼撚り線20Aの端部におけるシースと遅延硬化型エポキシ樹脂とを除去し、露出したPC鋼撚り線21Aの外側に第一ソケット40Aをはめ込み、同PC鋼撚り線21Aを第一ウェッジ30Aで把持する。続いて、PC鋼撚り線21Aを緊張して、その状態で第一ウェッジ30Aを第一ソケット40Aのテーパー孔に圧入して第一PC鋼撚り線20Aの定着を行う。この定着が完了したら、第一ウェッジ30Aから引き出されるPC鋼撚り線21Aの余長を所定の長さに切断する。
【0055】
一方、二次側の第二PC鋼撚り線20Bは、予め工場にて、順次カップラーシース60およびカップラースリーブ50を第二PC鋼撚り線20Bにはめ込んでおき、一旦、それらを第二PC鋼撚り線20Bの端部から離れた位置に逃がしておく。さらに第二ウェッジ30B、第二ソケット40B、ゴムスペーサ兼押え板80を第二PC鋼撚り線20Bの端部に組み合わせておく(図9)。この状態で、第二ウェッジ30Bは第二ソケット40Bに固定された押え板81により当て止めされて、テーパー孔からの脱落が防止される。その際、第二ウェッジ30Bから露出するPC鋼撚り線は、ゴムスペーサ82の貫通孔における軸方向の半分程度まではめ込まれた状態とされている。また、第二ソケット40Bはカップラースリーブ50の内側にはめ込まれているだけであるため、カップラースリーブ50は第二ソケット40Bに対して自由に回転できる状態となっている。
【0056】
次に、ゴムスペーサ82の貫通孔に第一ウェッジ30Aから露出する一次側のPC鋼撚り線20Aの端部をはめ込んで第一PC鋼撚り線20Aと第二PC鋼撚り線20Bを突き合わせた状態で同軸に配置する。さらに、その状態でカップラースリーブ50を回転させる。カップラースリーブ50の回転は、係合孔512に適宜な器具をはめ込んで、その器具をハンドルとすることで容易に行える。この回転に伴い、雌ねじ52を第一ソケット40Aの雄ねじ42Aにねじ結合させる(図10)。このねじ結合により第一ソケット40Aとカップラースリーブ50が連結され、かつ第二ソケット40Bがカップラースリーブ50の底部51に当て止めされることで、第一PC鋼撚り線20Aと第二PC鋼撚り線20Bが付き合わされた状態で連結されたことになる。併せて、予め第二PC鋼撚り線20Bの外側にはめ込んでいたカップラーシース60をPC鋼撚り線20Bの軸方向にスライドして、アンカープレート10への取り付けを行う。
【0057】
カップラーシース60のアンカープレート10への取り付けは、フランジ面63をアンカープレート10に当接し、このフランジ面63をボルト151で締め付けることで行う(図11)。併せて、カップラーシースの引き出し管64と第二PC鋼撚り線20Bとの間にスペーサ70Bを介在して引き出し管64と第二PC鋼撚り線20Bの同軸性を保持する。さらに、引き出し管64の外周面から開口部を経て第二PC鋼撚り線20Bの表面にまたがるようにテーピング110を施して止水を行う。
【0058】
次に、エポキシ樹脂の注入孔651に注入ホース100を連結し、このホース100から注入孔651を介してカップラーシース60内にエポキシ樹脂(図示せず)を充填する(図12)。樹脂はカップラーシース60の下方から上方に向かって充填され、それに伴って排出孔611からカップラーシース60内の空気を排出する。そして、排出孔611から樹脂があふれ出たことをもってカップラーシース60内が樹脂で充満されたことを確認できる。樹脂があふれ出た排出孔611から順次短ボルト153を排出孔611にねじ結合して、排出孔611を封止する。このとき、短ボルト153は、その先端がカップラーシース60に接触しないような長さにすることで、カップラースリーブ50がカップラーシース60内で短ボルト153の先端に押されて傾かないようにすることができる。
【0059】
全ての排出孔611の封止が完了したら、注入ホース100を切断して、その切断端を封止する。この状態で、カップラーシース60内には遅延硬化型のエポキシ樹脂が充填されているため、この樹脂が硬化するまでの期間の間、第二PC鋼撚り線20Bを他端側(図12の右側)から緊張することができる。
【0060】
[作用・効果]
以上説明したように、本発明接続構造によれば、第一ソケットとカップラースリーブとはねじ結合をする必要があるが、第二ソケットとカップラースリーブとは当て止めにて連結される。そのため、第二ソケットをカップラースリーブ内にはめ込むだけで第二ソケットとカップラースリーブとの結合が行える。また、カップラーシースは、同時に二つの部材とねじ結合する必要がないため、第一ソケットとのねじ結合作業も比較的容易に行える。
【0061】
カップラーシースは鋼で構成されているため高い強度を有する。そのため、このシースに複数の排出孔を形成しても、樹脂充填時の充填圧力で排出孔に亀裂が生じることもない。
【0062】
さらに、カップラーシースに複数の排出孔を形成することで、同シース内の空気を確実に排出することができ、空気溜りの発生を防止することができる。
【0063】
<変形例1>
上記の実施例1では、排出孔の蓋として短ボルト153を用いたが、その代わりに樹脂ブロックを用いてもよい。例えば、短円筒状のポリエチレンブロックを排出孔611にハンマーなどで叩き込む。このポリエチレンブロックによる蓋であれば、叩き込むだけでよく、蓋の取り付け作業性に優れる。また、一旦蓋を取り付けた後、ポリエチレンブロックにドライバーを押圧して回転することで、叩き込まれたポリエチレンブロックを取り外すことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明PC鋼撚り線の接続構造およびその施工方法は、プレストレストコンクリート構造物の構築などに好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明接続構造の概略断面図である。
【図2】本発明接続構造に用いるスペーサを示し、(A)はその端面図、(B)はその側面図である。
【図3】本発明接続構造に用いるウェッジを示し、(A)はその正面図、(B)はその右側面図である。
【図4】本発明接続構造に用いる第一ソケットを示し、(A)はその正面図、(B)はその右側面図である。
【図5】本発明接続構造に用いるカップラースリーブを示し、(A)はその部分縦断面図、(B)はその右側面図である。
【図6】本発明接続構造に用いるカップラーシースを示し、(A)はその正面図、(B)はその右側面図、(C)は平面図である。
【図7】本発明接続構造の組立手順の第一段階を示し、第一PC鋼撚り線とアンカープレートを組み合わせた状態を示す断面図である。
【図8】本発明接続構造の組立手順の第二段階を示し、第一PC鋼撚り線を定着した状態を示す断面図である。
【図9】本発明接続構造の組立手順の第三段階を示し、第一ソケットにカップラースリーブをはめ込む状態を示す断面図である。
【図10】本発明接続構造の組立手順の第四段階を示し、カップラースリーブの外側にカップラーシースをはめ込む状態を示す断面図である。
【図11】本発明接続構造の組立手順の第五段階を示し、カップラーシースをアンカープレートに固定する状態を示す断面図である。
【図12】本発明接続構造の組立手順の第六段階を示し、カップラーシース内に樹脂を充填し、排出孔に蓋をする状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
10 アンカープレート 11 貫通孔 12 ねじ孔
20A 第一PC鋼撚り線 20B 第二PC鋼撚り線
21A、21B PC鋼撚り線 22A、22B 遅延硬化型エポキシ樹脂
23A、23B プラスチックシース
30A 第一ウェッジ 30B 第二ウェッジ
31A、31B 把持孔 32A、32B 雌ねじ面 33A、33B スリット
40A 第一ソケット 40B 第二ソケット
41A、41B テーパー孔 42A 雄ねじ 42B ボルト孔
50 カップラースリーブ
51 底部 52 雌ねじ 511 貫通孔 512 係合穴
60 カップラーシース
61 周面 62 底部 63 フランジ面 64 引き出し管 65 注入管
611 排出孔 621 貫通孔 622 円孔 631 鋼板 632 ゴム板
633 挿通孔 651 注入孔
70A、70B スペーサ
80 ゴムスペーサ兼押え板 81 押え板 82 ゴムスペーサ
100 注入ホース 110 テーピング
151 ボルト 152 ボルト 153 短ボルト
C コンクリート構造物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一PC鋼撚り線を把持する第一ウェッジと、
第一ウェッジがはめ込まれるテーパー孔を有する第一ソケットと、
第二PC鋼撚り線を把持する第二ウェッジと、
第二ウェッジがはめ込まれるテーパー孔を有する第二ソケットと、
第一PC鋼撚り線と第二PC鋼撚り線の端部同士を突き合わせた状態で、第一ソケットと第二ソケットとを連結するカップラースリーブと、
カップラースリーブの周囲を覆い、同スリーブとの間に充填材の充填空間を形成する金属製のカップラーシースとを備え、
前記第一ソケットは、その外周に雄ねじ部を有し、
前記カップラースリーブの一端側の内周には、前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有し、
前記カップラースリーブの他端側には、第二ソケットが当て止めされる底部を有し、その底部は第二PC鋼撚り線が引き出される貫通孔を備えることを特徴とするPC鋼撚り線の接続構造。
【請求項2】
前記カップラーシースの天側に、前記充填材の排出孔を複数備えることを特徴とする請求項1に記載のPC鋼撚り線の接続構造。
【請求項3】
前記充填材が遅延硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のPC鋼撚り線の接続構造。
【請求項4】
第一PC鋼撚り線が第一ウェッジで把持され、その第一ウェッジが第一ソケットにはめ込まれた状態とする工程と、
第二PC鋼撚り線が第二ウェッジで把持され、その第二ウェッジが第二ソケットにはめ込まれた状態とする工程と、
第一PC鋼撚り線と第二PC鋼撚り線の端部同士を突き合わせた状態でカップラースリーブにて第一ソケットと第二ソケットとを連結する工程と、
カップラースリーブの外側にカップラーシースをはめ込む工程と、
カップラーシース内に充填材を充填する工程とを備え、
前記連結工程は、カップラースリーブの一端側と第一ソケットとをねじ結合し、かつカップラースリーブの他端側と第二ソケットとを当て止めすることで行い、
前記充填工程は、複数の排出孔を有するカップラーシースを用い、各排出孔から充填材の排出が確認された後に順次排出孔に蓋をする過程を含むことを特徴とするPC鋼撚り線の接続構造の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−45280(P2008−45280A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219035(P2006−219035)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(302061613)住友電工スチールワイヤー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】