説明

PVC用潤滑剤としての酸化低分子副生成物ポリエチレンの金属塩

高分子塩、前記高分子塩を含む潤滑剤組成物、およびそのような高分子塩を製造する方法。より具体的には、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、およびそれらの共重合体などの加工性を付与するために潤滑剤を必要とするプラスチックの加工の際の押出成形金型の作業表面用低粘度潤滑剤。金属塩基はワックスが酸化される間に形成される酸官能基と反応して高分子塩を形成し、前記ワックスを中和し鹸化性官能基を鹸化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2009年4月30日出願の米国仮出願第61/174,285号に関連し、その優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は潤滑剤組成物およびその製造方法に関する。より具体的には、本発明は押出成形金型の作業面用の低粘度潤滑剤組成物に関する。本潤滑剤は、加工性を付与するために潤滑剤を必要とするプラスチック、特にポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、およびそれらの共重合体の加工に特に有用である。
【背景技術】
【0003】
PVC、CPVC、PVDCなどのプラスチックは、管および硬質加圧導管の製造を含む種々の用途に長年にわたり広く使用されてきた。これらの材料の中で、PVCは低コストで酸および腐食性の液体や気体に対する非常に優れた耐食性などの有利な特性があるため、硬質管製品の成形には特に好ましい。PVC管はまた内壁が滑らかで流れが妨げられず、堆積物の集積が少ない。PVC管は汚染を伴うことなく、高速で信頼性の高い溶媒溶接による接合を提供し、良好な耐圧性能を示し、取り扱いや設置が簡単である。PVCはそのような望ましい特性を示し、用途が非常に広い重合体であるが、PVCを主成分とする樹脂はまた比較的硬くて脆く、押出成形機、射出成型機、ならびにPVC化合物の加工に用いられる他の装置(例えば顆粒製造機、フレーク製造機、および造粒機)などの製造機による加工が非常に困難である。したがって、良好な機械加工特性および最終製品特性を得るには適切な調合と良好な潤滑剤バランスが非常に重要である。
【0004】
押出成形助剤として潤滑剤システムを使用してPVC、CPVC、PVDCなどのプラスチックの加工を容易にすることが当業者には知られている。潤滑剤は押出成形機・成型機内で融点を制御して最良の加工特性および物性を得るための材料である。そのような潤滑剤は外部用、内部用、または外部・内部両用であってよい。外部潤滑剤は金属表面から良好な離型を提供し個々のPVC粒子と金属表面の間を滑らかにする。それらは通常はアルカン類などの非極性分子であり、普通はパラフィンワックス、鉱油、またはポリエチレンである。外部潤滑剤は通常はPVCと非相溶性であり、溶融を遅らせ、金型、シリンダー、およびネジの熱い溶融体表面をPVCが粘着せずに滑るのを助け、最終製品表面の光沢に寄与する。それらは最終的にはPVC溶融体表面に移動し、重合体および押出成形機の金属表面の間に潤滑を提供し、透明度が重要な要素ではない用途において硬質PVCの加工に主に使われる。外部潤滑剤は主にワックスであり、パラフィンワックスが最も一般的である。パラフィンワックスは軽質潤滑油の製造中に原油から分離される。それらは透明、無臭で、食物との接触のために精製することができる。
【0005】
内部潤滑剤は樹脂粒子間に分子レベルで潤滑を提供しPVCまたは他の熱可塑性物質が溶融状態のときに粒子間の流れを向上させ溶融粘度を下げる。それらは通常は極性分子であり、普通は脂肪酸、脂肪酸エステル、または脂肪酸の金属エステルであり、PVCと相溶性が非常に良い。それらは溶融体の粘度を下げて内部摩擦を減じ、溶融を促進する。外部・内部両用潤滑剤は潤滑剤が含む化学基の組み合わせによって外部・内部両方の潤滑作用を提供する。これらは両方の潤滑剤タイプの化学基を有し、一般にアミド、アルコール、酸、およびエステル基と共に長い炭化水素鎖を有する。PVCに使用される一般的なタイプの外部・内部両用潤滑剤は脂肪酸アミドと酸化ポリエチレンである。これらの材料の中には、溶融前には外部潤滑剤として、溶融後には内部潤滑剤として潤滑作用を行うものもある。この逆に作用するものもある。これらの潤滑剤のそれぞれは所定のPVC化合物における潤滑作用のタイプについて特徴づけがなされなければならない。
【発明の概要】
【0006】
これまでに、脂肪酸金属塩は潤滑剤としての用途がよく知られている。そのような塩は典型的には脂肪酸を酸化カルシウムなどの金属酸化物、金属炭酸塩、または金属水酸化物と反応させて形成される。しかしながらまた、ワックスおよびそのような脂肪酸または脂肪酸金属塩を混合した公知の潤滑剤組成物は、該潤滑剤組成物の粘度の望ましくない増加を招き、製造装置での加工および仕上げを困難にすることが見出された。したがって、低粘度の代替物が望まれる。本発明は当業者のこの要求に対する解決法を提供する。
【0007】
本発明は結合した金属基を有する酸化ワックスを含む高分子化合物を提供し、前記高分子化合物は約0.5mgKOH/g〜約20mgKOH/gの酸価、約5mgKOH/g〜約35mgKOH/gの鹸化価を有し、前記高分子化合物は140℃で約450cps未満の溶融粘度を有する。
【0008】
本発明はまた、
a)少なくとも1種の金属塩基と溶融非酸化ワックスとを混合すること、
b)前記ワックスを少なくとも部分的に酸化することにより酸官能基を生成すること、および、
c)金属塩基を前記生成した酸官能基と反応させることにより、結合した金属基を有する酸化ワックスを含む高分子化合物を製造すること、
を含む高分子化合物の形成方法であって、前記高分子化合物は約0.5mgKOH/g〜約20mgKOH/gの酸価、約5mgKOH/g〜約35mgKOH/gの鹸化価を有し、前記高分子化合物は140℃で約450cps未満の溶融粘度を有する方法を提供する。
【0009】
本発明はさらに、
a)少なくとも部分的に酸化したワックスを準備すること、ここで、前記少なくとも部分的に酸化したワックスは酸官能基を有する、
b)少なくとも1種の金属塩基を前記少なくとも部分的に酸化したワックスに混合すること、および、
c)前記金属塩基を前記酸官能基と反応させることにより、結合した金属基を有する酸化ワックスを含む高分子化合物を製造すること、
を含む高分子化合物の形成方法であって、前記高分子化合物は約0.5mgKOH/g〜約20mgKOH/gの酸価、約5mgKOH/g〜約35mgKOH/gの鹸化価を有し、前記高分子化合物は140℃で約450cps未満の溶融粘度を有する方法を提供する。
【0010】
前記高分子塩はPVC潤滑剤のような押出成形潤滑剤として、それ自身でまたはその他のワックス、エステル、安定剤などと組み合わせて、当業者の必要に応じて使用することができる。そのような潤滑剤はPVC化合物を加工するとき、内部潤滑および外部潤滑を提供するために使用することができる。内的にはそれは良好な溶融体混合および低い加工温度、すなわち低いせん断熱を提供し、外的にはそれはPVC化合物が、押出成形機、射出成型機、顆粒化塔、造粒器、またはPVC化合物を加工するのに使用するその他の装置などの、加工装置の金属表面へ粘着することを防ぐ。本発明の方法は大規模にこれらの製品を製造するのに非常に経済的かつ効率的である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
意外にも、ワックスと金属塩の混合物よりも低粘度の高分子塩化合物は、金属塩基とワックス成分の酸化の間に生成する官能基との反応によりそのまま金属塩を生成させることで製造できることが見出された。例えば、低分子量のポリエチレンワックスが酸化すると、カルボン酸基およびエステルを含んだ一連の官能基がこの重合体鎖に沿って生成する。この酸化ワックスに金属塩基を添加するとカルボン酸基の一部またはすべてが、例えば対応するカルシウム塩などの、対応する金属塩に転換する。同様の結果が溶融した非酸化ワックス中に金属塩基を分散した後、このワックスを酸化して得られる。これらの工程の結果、金属塩基は、酸化ワックス重合体鎖に生成するカルボン酸基およびエステルに結合する、すなわち直接的な結合を形成して、全体の重合体分子が塩を形成する。さらに、エステルなどのすべての他の鹸化性の基もまた塩に転換される。このことは好ましくは酸化の間に生成する酸基の完全な中和および鹸化性の官能基の完全な鹸化を生じ、低い酸価と鹸化価を有する化合物を生成する。この生成した高分子塩は酸化ワックスと脂肪酸金属塩の単純な混合物に比較し粘度の低い独特の化合物である。
【0012】
また前記溶融体の粘度は、本明細書に記載の高分子塩を形成するワックス成分が副生成物ワックスを含む場合にはさらに低減することができることが見出され、その副生成物ワックスは高密度ポリエチレンの重合の間に副生成物として製造される。高密度ポリエチレンの重合の間に形成される副生成物ワックスは、例えば米国特許第5,728,754号から公知であり、該特許は本明細書に参照により組み込まれる。本発明のそのような副生成物ワックスの使用は下記の実施例に示される。また、そのような副生成物ワックスは本発明の高分子塩と混合して多成分の潤滑剤組成物を形成してもよい。
【0013】
本発明の高分子化合物は結合した金属基を有する酸化ワックスを含む高分子塩である。この高分子塩は、少なくとも1種の炭化水素ワックスなどの他のワックス、エステル、または安定剤などの他の添加物と混合して、種々の重合体、特にPVC用の外部または内部押出成形潤滑剤として有用な潤滑剤組成物を形成してもよい。本明細書で使用する「潤滑剤組成物」という用語は、本明細書に記載のように生成される1種以上の高分子塩を含む材料を対象とし、その塩は金属塩基がワックス成分の酸化の間に生成するカルボン酸基とそのまま反応して形成される。
【0014】
前記酸化ワックスは好ましくはポリエチレンワックス、最も好ましくは低粘度のポリエチレンワックスを含む。本明細書に記載のように、低粘度のポリエチレンワックスは実質的に線状重合体ワックスであり、140℃で約100センチポアズ以下の溶融粘度、約1500未満の重量平均分子量、約800未満の数平均分子量、および少なくとも約3.5の多分散性指数を有する。より好ましくは前記低粘度のポリエチレンワックスは、140℃で約75センチポアズ未満、最も好ましくは140℃で約50センチポアズ未満の粘度を有する。本明細書では粘度の値はBrookfield回転粘度計を用いて、当業者に周知の方法で測定される。
【0015】
本発明の最も好ましい態様では、本発明の低粘度のポリエチレンワックスは、当業者にはチーグラースラリー重合方法として公知の方法により、チーグラー・ナッタ触媒などのチーグラー型触媒を用いたエチレンの重合中に回収される副生成物組成物を含む。一般に、チーグラースラリー重合方法は高密度ポリエチレン(HDPE)単独重合体またはエチレン−α−オレフィン共重合体などのエチレン共重合体を形成するのに使用される。チーグラー型触媒はI族〜III族金属のアルキルと、元素周期律表のIV〜VIII族遷移金属のハロゲン化物およびその他の誘導体と相互作用により形成される。典型的な触媒調製方法では、前記触媒は四塩化チタンとトリメチルアルミニウムまたは関連する材料から調製される。前記触媒は、触媒の単位当たりの生産割合をより高めるように、担体に含浸させてもよい。当業者にはよく知られているように、適切な触媒担体は典型的には無機化合物であり、最も一般的には塩化マグネシウムである。その他の好適な担体としては例えば米国特許第4,069,169号および第5,409,875号(これらは本明細書に参照により組み込まれる)に記載されるものが挙げられるが、他を排除するものではない。非担持チーグラー・ナッタ触媒をこのタイプの重合に用いてもよいが、担持触媒が非担持触媒よりもはるかに高い活性を示すため通常、ポリオレフィン製造に好ましい。実際の触媒に加えて、共触媒が好ましく使用される。この共触媒は一般に任意の有機金属アルミニウム・アルキル化合物でよく、好ましくはトリエチルアルミニウムを含む。前記共触媒の機能は主に系内の不純物を取り除くことである(不純物は重合を終結させる可能性はある)。典型的には、触媒と共触媒の組はTiClとAl(CClまたはTiClとAl(Cである。チーグラー・ナッタ触媒は特に結晶性α−TiClを[AlCl(Cで処理して合成され、これにより重合は微結晶の外部に位置する特殊なTi中心で起きる。
【0016】
典型的なチーグラースラリー方法では、エチレンは希釈剤(すなわち溶剤)として作用する液体炭化水素が入っている反応器に低圧で供給される。希釈剤は典型的にはヘキサンもしくはヘプタンまたはヘキサン・ヘプタン混合物などの重質希釈剤である。触媒は完全に調製してから容器内に連続的またはバッチ的に供給してもよく、または成分を直接に主反応器へ供給してその場で調製してもよい。反応は100℃未満、典型的には70℃で、酸素、水、二酸化炭素などを存在させないで実行される(これらはすべて触媒の有効性を減じる)。触媒は懸濁状態のままで残り、HDPE重合体は生成するとともに溶液から沈殿して、スラリーが形成され、反応進行により次第に増粘する。一部の触媒はHDPE生成物内に残存する。触媒残渣のほとんどは副生成物ワックス重合体と希釈剤部分に残存する。
【0017】
重合の間、低分子量のワックス状の部分は重合中に使用される希釈剤に可溶化している。希釈剤はエチレン単量体用の溶剤および触媒用の分散剤の両方として作用する。チーグラー重合方法のHDPE生成物は希釈剤には不溶で沈殿するが副生成物ワックスは希釈剤中に溶解したままである。副生成物ワックスの回収はチーグラー触媒を重質希釈剤中、最も普通にはヘキサン中で用いる方法に一般に限定される。イソブタンまたはプロパンなどの軽質希釈剤を用いる重合方法では単離できる副生成物ワックスは分離しない。
【0018】
副生成物ワックスは高密度ポリエチレン、好ましくは約0.92〜0.96g/ccの密度を有するポリエチレン単独重合体である。副生成物ワックスは、エチレンからの直接合成、または高分子量ポリエチレン樹脂の熱分解により作られるその他のポリエチレンワックス(両者はそれぞれ高密度および低密度両方の重合体を生成する)から区別される。副生成物ワックスは、また一般に軽質希釈剤を使用する製造方法から回収されず、またはガス相重合方法もしくは溶液重合方法などのその他の方法からも回収されない。
【0019】
エチレンのチーグラー重合の完了後、本発明の粗製の低粘度の副生成物ワックスが回収される。最初の高分子量HDPE製品は希釈剤(例えばヘキサン)、使用済み触媒残渣、および低分子量ワックスから遠心分離され、希釈剤は希釈剤回収設備へ送られる。ほとんどの希釈剤は回収と再生利用のため回収設備内で蒸発される。残りの底部は通常、副生成物ワックス、触媒残渣、およびおそらく残存担体化合物および少量の希釈剤を含む。好ましくは、この混合物をろ過して汚染物質全体および一部であってすべてではないが触媒残渣を除去する。次いで、この混合物を加熱して最後の微量に残る希釈剤(ヘキサン)を除去する。粗製のワックスはその後、精密ろ過工程を用いてろ過する。これにより触媒残渣の98%を除去し、オリゴマーなどの油状汚染物質およびグリースをまだ含むワックスが残る。これらはほとんどの用途を妨害するので精製工程で除去しなければならない。それらはまたワックスの引火点を下げるので危険である。
【0020】
精製はバッチ型工程または連続作業工程で行うことができる。粗製の副生成物ワックスをさらに精製するには多様な方法があり、例えば、これらに限定されないが、任意の残存希釈剤を除去するためのガスストリッピング、加熱または真空ストリッピング、撹拌しない容器中に溶融ワックスを保持し、触媒と担体を沈降させ、澄んだワックスを静かに移すこと、および溶融ワックスを適切なろ過媒体でろ過し、触媒と担体を除去することが挙げられる。そのような方法は当業者には周知である。粗製ワックスの完全な精製を実施することができ、薄膜蒸発による精製を挙げることができる。好ましい精製方法では、副生成物ワックスを加熱し昇温した真空中におき、有害な油をストリッピングする。使用される精製装置は単純な撹拌バッチタンクから薄膜蒸発器まで幅広く、様々である。精製の後、必要なら追加のろ過工程を付加してもよい。この時点で副生成物ワックスは、触媒残渣や有害な油を含まず、融点の上昇、油状汚染物質の除去による結晶化度の増大、性能の一貫性向上、および引火点の上昇などの特性が相当に向上している。
【0021】
本発明の高分子塩は二つの異なる方法により形成することができる。第一の方法では、少なくとも1種の金属塩基を非酸化ワックスと混合させ、その後少なくとも部分的にこのワックスを酸化して、これにより酸官能基を生成させ、さらに金属塩基を生成した酸官能基と反応させて、これにより新しい高分子化合物を形成する。第二の方法では、ワックスを少なくとも部分的に酸化し酸官能基を生成させてから金属塩基を添加する。ここで、酸化により、酸官能基が生成し、その後に、少なくとも1種の金属塩基を少なくとも部分的に酸化したワックスに添加して、金属塩基と生成した酸官能基とを反応させ、これにより新しい高分子化合物を形成する。
【0022】
この第一の方法に従うと、本明細書に記載の非酸化ワックスは、溶融ワックスまたは固体ワックスのいずれかで適切な反応容器に添加されるが、好ましくは固体ワックスペレットとして添加され、その後に溶融される。適切な容器とは潤滑剤組成物のワックス成分をその溶融温度以上に加熱し維持することができるものである。溶融が必要な場合は、ワックス成分(単独または複数)を約100℃〜約150℃、より好ましくは約120℃〜140℃の温度に加熱し、好ましくはある程度の撹拌をしてワックスを融かし、ワックス溶融体を形成する。溶融が必要でない場合は、好ましくは、容器を前記ワックスの溶融温度より高く加熱した状態を保つことにより、溶融ワックスは溶融ワックスとして維持される。
【0023】
その後、金属塩基を容器に添加し、好ましくは、弱い撹拌をして溶融ワックスと混合させるが、この際、好ましくはワックスの酸化の前に金属塩基が実質的に均質にワックスと混合するように行う。別の態様では、金属塩基は固体ワックスペレットと混合した後、このワックスペレットを溶融する。金属塩基はワックスにそのまま添加してもよいが、水に溶解するか水スラリーとしてワックスに添加してもよい。金属塩基を水中に溶解または分散させた後、定量ポンプで反応容器に計量供給することが最も好ましく、この場合、ワックスはすでに溶融していることが好ましい。塩基の添加の間に水を蒸発させることが好ましく、金属塩基は溶融ワックス中に細かく分割された固体として残される。水の完全な蒸発を確保するため、容器は連続的に100℃以上に維持され、確実に高分子化合物が全く水を含まないようにする。生成する水蒸気は溶融体中に泡を形成するが、その後消散する。この発泡性は定量ポンプによる塩基の添加速度を調節して制御することができる。換言すると、金属塩基を容器に徐々に添加し、泡が制御されて気化するようにして、発生する水は確実にすべて蒸発させて水を含まない組成物を形成させる。この処置をすべての金属塩基が反応して水の形成が止まるまで継続する。最後に、溶融高分子塩または前記溶融高分子塩を含む潤滑剤組成物を冷却して、当業者に周知の顆粒化または造粒のような最終工程用に保管することができる。本明細書に記載の方法は好ましいが、工程の順序は本発明の範囲内で変更することができる。例えば、潜在的泡形成に対処するに十分な頭隙を有する反応器を用いる場合にはすべての金属塩基を一度に添加することが可能である。
【0024】
本明細書で使用の適切な金属塩基としては他を排除するものではないが金属酸化物、金属炭酸化物、および金属水酸化物が挙げられ、これらには他を排除するものではないがカルシウム、マグネシウム、バリウムなどの第II族金属、亜鉛、カドミウム、および鉛等の酸化物、炭酸化物、および水酸化物が挙げられる。本発明の各方法では前記金属基が酸化の間に生成するワックス官能基との反応を経由してワックス重合体鎖に結合することになる。添加する金属塩基の量は製造する製品の最終的に要望される酸価と鹸化価に基づいて計算される。例えば、単位酸価あたり1当量の塩基をこのような方法で添加することができ、ワックスの酸化の後に完全に中和した製品を製造する。より具体的には、金属塩基を非酸化ワックスに添加する濃度は非酸化ワックスに金属塩基を加えた重量を基準にして好ましくは約0.5%〜約5.0%、より好ましくは約1.0%〜約3.0%、最も好ましくは約1.5%〜約3.0%である。金属塩基と非酸化ワックスの両方を容器に加えた後、ワックスは従来法により酸化される。
【0025】
本発明の前記第二の方法に従うと、上述のごとく、金属塩基の添加前にワックスを少なくとも部分的に酸化して酸官能基を生成し、少なくとも1種の金属塩基をその後少なくとも部分的に酸化したワックスに添加し、金属塩基を発生した酸官能基と反応させ、新しい高分子化合物を形成する。金属塩基を酸化ワックスに添加する濃度はまた酸化ワックスに塩基を加えた重量を基準にして、好ましくは約0.5%〜約5.0%、より好ましくは約1.0%〜約3.0%、最も好ましくは約1.5%〜約3.0%である。前記容器内で一旦混合すると、金属塩基と酸化ワックスは反応して本発明の高分子塩を形成する。
【0026】
酸化過程は好ましくは撹拌タンク反応器内で実施される。前記過程では、空気または酸素を含む気体を反応器内に散布し、精製したワックスを反応器に満たし、その後約130℃〜約150℃、より好ましくは約142℃〜約147℃に加熱する。空気または酸素を含む気体はその後ワックス1kg当たり毎分約0.5〜約1.0標準リットル(SLM/kg)の酸素流量で反応器に入れられる。反応器内の圧力は出口側の制御弁を経由して好ましくは80〜100psigに調節される。初期誘導期後、酸化が始まり熱を発生する。反応器は好ましくは内部の冷却コイルまたは外部ジャケットによって冷却する。反応の間、反応器はワックス原料の融点よりも高い温度、好ましくは約130℃〜約160℃、より好ましくは約140℃〜約150℃、最も好ましくは約145℃に維持する。試料を1時間ごとに取り出し、酸価を定量する。所望の酸価に到達したら、気体の流れを止め、反応器に通風して大気圧にする。酸化はほとんど全部の金属塩基が消費されるまで、または定量で小さい酸価(例えば0.5〜1.0mgKOH/g 試料)が得られるまで継続するのが好ましい。本発明の好ましい態様では、酸化の後だが金属塩基との反応の前に、ワックスは酸化して約1mgKOH/g〜約40mgKOH/g、好ましくは約5mgKOH/g〜約30mgKOH/g、最も好ましくは約7mgKOH/g〜約24mgKOH/gの酸価を有する。金属塩基がワックスの酸化の間に生成されるカルボン酸基と反応した後、生成する高分子化合物は約0.5mgKOH/g〜約20mgKOH/g、より好ましくは約0.5mgKOH/g〜約10mgKOH/g、さらに好ましくは約0.5mgKOH/g〜約5mgKOH/g、最も好ましくは約0.5mgKOH/g〜約1.0mgKOH/gの酸価を有する。酸化はまたワックスを極性にする。酸化の後だが金属塩基との反応の前に、生成する酸化ワックスはまた約8mgKOH/g〜約60mgKOH/gの鹸化価を有する。金属塩基がワックスの酸化の間に生成したカルボン酸基と反応した後に、生成する高分子化合物は約5mgKOH/g〜約35mgKOH/g、より好ましくは約5mgKOH/g〜約25mgKOH/g、最も好ましくは約5mgKOH/g〜約15mgKOH/gの鹸化価を有する。酸価および鹸化価はそれぞれmgKOH/gの単位を有し、当業者に周知の標準的方法により定量される。酸価および鹸化価は低いのが望ましく、その場合は完全で効率的な中和と鹸化を反映している。上記に概要を説明した第II族の酸化物、炭酸化物、および水酸化物よりも強い水酸化カリウムなどの塩基も使用することができ、比較的低い酸価および鹸化価を生じる傾向にある。しかしながら、カリウムおよび/またはナトリウムから形成されるような強い塩基の塩は高分子塩の製造者または最終使用者に腐食問題をもたらすおそれがあり望ましくない。
【0027】
酸化ワックスまたは高分子塩反応生成物はその後取り出され適切に仕上げられる。このような方法で調製した高分子塩は、色合いが優れ、硬く、融点が高く、本明細書に記載の望ましい酸価と低い粘度を有する。代替条件では原料粘度を超えて粘度を増加させてもよい。
【0028】
上記のチーグラー重合方法の副生成物ワックスから製造される本発明の酸化した低粘度ポリエチレンワックスは、異なる方法から製造されるその他のワックスとは上記の特性によって区別される。特に下記の表1に示されるように、すべてのポリエチレンワックスが等価というわけではない。表1に、表中「酸化CS−600」ワックスとして表示された酸化した低粘度の単独重合体副生成物ワックスを、表1中「酸化A−C(登録商標)629」ワックスとして表示された酸化した低密度ポリエチレンワックスと比較した核磁気共鳴(NMR)データを提示する。また非酸化A−C(登録商標)629ワックスおよび非酸化CS−600ワックスのNMRデータも提示する。CS−600ワックスは低粘度で、チーグラースラリー重合方法によってチーグラー型触媒によるポリエチレンの重合によって製造される副生成ワックス組成物である。CS−600ワックスはハネウェルインターナショナル(ニュージャージー州モリスタウン)から市販されている。本明細書で推奨のように、酸化CS−600ワックスは実質的に直鎖重合体で、140℃で約100センチポアズ以下の溶融粘度、約7〜約24mgKOH/gの酸価、約1500未満の重量平均分子量、約800未満の数平均分子量、および少なくとも約3.5の多分散性指数を有する。
【0029】
【表1】

【0030】
上記の表1は非酸化CS−600原料ワックス、酸化CS−600ワックス、酸化A−C(登録商標)629ワックス、および非酸化A−C(登録商標)629ワックス(A−C(登録商標)6原料ワックス)についてのC−13NMR結果の概要を示す。NMRデータは酸化CS−600および酸化A−C(登録商標)629(およびそれらの各非酸化原料)はそれらの分岐分布および末端基が異なることを示す。特に酸化CS−600および非酸化CS−600における分岐は主に長鎖分岐(C以上)である。酸化A−C(登録商標)629およびその非酸化原料における分岐は長鎖分岐よりも短鎖分岐(C以下)をより多く有する。A−C(登録商標)629およびその原料はOH基が末端であり、酸化CS−600および非酸化CS−600はCH基が末端である。酸化CS−600はA−C(登録商標)629よりもC=O/OH比が高い。上記から示されるように、酸化した低粘度のCS−600ワックスは標準酸化A−C(登録商標)629ポリエチレンワックスとは実質的に異なり、本発明の顕著な利点が達成されている。
【0031】
上記のように、酸化した低粘度の副生成物ワックスは、140℃で約100cps未満の粘度、より好ましくは140℃で約75cps未満の粘度、最も好ましくは140℃で約50cps未満の粘度を有する。したがって、前記低粘度の副生成物ワックスを用いて製造した本発明の高分子塩は140℃で約450cps未満の粘度、より好ましくは140℃で約300cps未満の粘度、最も好ましくは140℃で約100cps未満の粘度を有する。
【0032】
本明細書に記載の前記方法のそれぞれでは、金属塩基および酸化により生成したカルボン酸官能基を含む酸官能基は相互に即座に反応する。典型的には、すべてのワックスは一様に官能基化され、金属塩基がワックス重合体鎖に結合するすなわち直接的な結合を形成し、本明細書で高分子塩として定義するものを形成する。高分子塩反応生成物は新しい化合物であり、ワックスと金属塩の混合物ではない。この反応はまたその他の鹸化性官能基を連続的に鹸化し、製品は「遊離」酸が検出されなくなり次第実質的に仕上がる。形成される金属塩は金属塩基の特定の選択に依存することになる。本発明の好ましい態様では、金属塩基は金属酸化物、金属炭酸化物、および金属水酸化物であり、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、または炭酸亜鉛を含む。最も好ましくは、金属塩基は酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを含む。金属塩基はまた酸化ワックス中の任意のその他の官能基、例えば主にエステルおよび酸無水物、またわずかに過酸化物、ケトン、およびアルデヒドと反応するかも知れない。
【0033】
上述のように、本発明の高分子塩はPVC潤滑剤のような押出成形潤滑剤として、それ自身またはその他のワックス、エステル、安定化剤などが当業者の必要に応じて組み合わせて使用される。好ましい態様では、本発明の少なくとも1種の高分子塩は少なくとも1種の炭化水素ワックスと混合して潤滑剤組成物を形成する。本発明の目的には、炭化水素ワックスとしては(非酸化)ポリエチレンワックス、微結晶質ワックス、パラフィンワックス、α−オレフィンワックス、およびフィッシャー・トロプシュワックスが挙げられる。前記の任意成分の1種以上の炭化水素ワックスを含めて、高分子塩成分は好ましくは重量で約5%〜約95%、より好ましくは重量で約25%〜約75%、最も好ましくは重量で約50%で前記潤滑剤組成物を構成する。したがって、1種以上の炭化水素ワックスは好ましくは重量で約5%〜約95%、より好ましくは重量で約25%〜約75%、最も好ましくは重量で約50%で前記潤滑剤組成物を構成する。
【0034】
本明細書で形成される潤滑剤組成物はまた顔料または安定剤などの添加物を含んでもよいが、このことは米国特許第4,544,694号に記載されているとおり当業者に周知であり、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。高分子塩はまた、いかなる中間の仕上げ工程をも必要としないで同じ容器内で金属塩を仕上げた後、脂肪アルコールまたは脂肪酸エステルなどのその他の潤滑剤材料と結合または混合することができる。適切な脂肪アルコールとしては、例えばステアリルアルコール、ラウリルアルコール、またはその組み合わせが挙げられるが限定はされない。適切な脂肪酸エステルとしてはモノステアリン酸グリセリンなどのグリセリンの脂肪酸エステルが挙げられるが限定はされない。そのような脂肪アルコールや脂肪酸エステルは高分子塩の潤滑特性を高めることのできる内部潤滑効果を有する。添加される場合、そのような付加的潤滑材料は好ましくは重量で前記高分子塩の約5%〜約15%、より好ましくは重量で約7.5%〜約12.5%、最も好ましくは重量で前記高分子塩の約9%〜約10%の量を含むように添加する。
【0035】
その結果生じた化合物およびその化合物を含む材料の組成物は熱可塑性重合体材料、特にPVC、CPVC,PVDC、およびそれらの共重合体などのビニル重合体の押出成形のための優れた内部または外部潤滑剤であることが分かった。例えば、米国特許第5,426,144号を参照すると、その開示は本明細書に参照により組み込まれるが、別の押出成形潤滑剤組成物を教示する。また例えば、押出成形金型の作業表面の連続的潤滑方法については米国特許第4,030,328号が教示している。前記態様では、本発明の高分子塩は熱可塑性高分子材料と混合して混合物を形成することができ、その後前記混合物を押出成形する。押出成形助剤としての用途に加えて、本発明の高分子塩および潤滑剤組成物はまた核形成剤、金属粉潤滑剤、型離剤、熱安定剤として、および比較的純粋なステアリン酸カルシウムなどの材料が現在使用されている類似の用途に使用することができる。潤滑剤としては、ビニル重合体を潤滑するのに効果的な量の高分子塩または潤滑剤組成物が使用される。典型的には、前記塩および潤滑剤組成物は重量でビニル重合体100部当たり約0.01〜約10部の量が存在する。好ましくは、前記塩および潤滑剤組成物は重量でビニル重合体100部当たり約0.05〜約5部の量、より好ましくは重量でビニル重合体100部当たり約0.05〜約1部の量、最も好ましくは重量でビニル重合体100部当たり約0.1〜約1部の量が存在する。
【0036】
本発明は下記の実施例を参照してより具体的に記載されるが、他に指定しない限りすべての部と百分率は重量による。実施例は本発明を説明するのに供するが、本発明を実施例に限定解釈すべきではない。
【実施例】
【0037】
実施例1
140℃で50cpsの粘度、116.3℃の滴点、25℃で3.2dmmの圧入硬度、および23℃で0.935g/ccの密度を有する副生成物ワックス850gを、
U型かき混ぜ器を用いる速度制御された塔頂撹拌機、PID制御加熱マントル、内部熱電対、および窒素吹き込み装置を備えた2リットルの樹脂フラスコに加えた。溶融ワックスを150℃にして水130gに酸化カルシウム13.6gを含むスラリー形態で酸化カルシウムの添加を開始した。スラリーは撹拌タンクから1時間をかけて少しずつ添加し、その間混合物の温度は140℃〜150℃の範囲に維持された。次いで、酸化が始まる150℃で生成物を20分間脱水した。
【0038】
酸素はステンレス鋼フリット中で終端になる浸漬管を経由してかき混ぜ機の下方の地点に供給した。酸化は150℃、600rpmの混合速度、および0.8SLM/kgの酸素流量で実施した。反応は1時間ごとに試料を採取し、滴定して酸価を定量した。3時間後、微量の酸が検出され、塩基が効果的に完全に中和したことを示した。この時点で反応を停止し、生成物を取り出してして冷却した。最終生成物の分析結果は、最終酸価が1.7mgKOH/g、140℃における粘度が34cps、滴点が103.8℃、また硬度は25℃で3.5dmmであった。
【0039】
実施例2
本明細書に記載の方法により製造した2種の高分子塩試料を、参照により開示全体が本明細書に組み込まれる継続中の出願第11/589,486号の教示に従って製造した潤滑剤の混合物と比較した。3種の試料はすべてチーグラー重合方法により製造した副生成物ポリエチレンワックスを用いて製造した。実施例Aでは副生成物ワックスは、最初に酸化しその後、酸化カルシウムを添加した。実施例Bでは副生成物ワックスは、酸化カルシウムの添加後に酸化した。第11/589,486号に従った比較例では、副生成物ワックスは、酸化カルシウムの添加前で酸化カルシウムがステアリン酸と反応する前に酸化した。酸化副生成物ワックスの他に、比較例組成物にはエステル、モノステアリン酸グリセリン、遊離ステアリン酸、およびステアリン酸カルシウムが含まれていた。試料の分析では下記表2に示す特性を確認した。特に実施例AおよびBは比較例に比べて非常に低い鹸化価を示す。このことはまた実施例と比較例の組成物間の酸価が大きく異なることにも反映され確認される。これらの実質的差異は、酸化副生成物ワックスに関し、第11/589,486号記載の混合物ではカルシウムとの鹸化または中和はほとんど起こっていないことを示している。
【0040】
【表2】

【0041】
本発明について好ましい態様を参照して具体的に示し記載したが、当業者には本発明の精神と範囲から逸脱することなく種々の変更や修正がなされることが容易に理解されよう。特許請求の範囲は開示した態様、上記の代替物、およびそれらのすべての均等物を対象とするように解釈するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.5mgKOH/g〜約20mgKOH/gの酸価、約5mgKOH/g〜約35mgKOH/gの鹸化価を有し、140℃で約450cps未満の溶融粘度を有する、結合した金属基を有する酸化ワックスを含む高分子化合物。
【請求項2】
前記酸化ワックスが実質的に線状の重合体を含み、約1500未満の重量平均分子量、約800未満の数平均分子量、および少なくとも約3.5の多分散性指数を有する、請求項1に記載の高分子化合物。
【請求項3】
前記ワックスがチーグラー型触媒を用いたエチレンの重合化の副生成物として製造される副生成物ワックスを含む、請求項1に記載の高分子化合物。
【請求項4】
前記副生成物ワックスが140℃で約100センチポアズ以下の溶融粘度を有する、請求項3に記載の高分子化合物。
【請求項5】
前記ワックスがASTM D-3954により測定される約40℃〜約150℃の融点、ASTM D-5により測定される25℃で約0.1dmm〜約10dmmの圧入硬度、およびASTM D-1505により測定される23℃で約0.92g/cc〜約0.96g/ccの密度を有する、請求項1に記載の高分子化合物。
【請求項6】
完全に中和したワックスを含む、請求項1に記載の高分子化合物。
【請求項7】
高分子化合物を形成する方法であって、
a)少なくとも1種の金属塩基を溶融非酸化ワックスに混合すること、
b)前記ワックスを少なくとも部分的に酸化することにより酸官能基を生成すること、および、
c)金属塩基を前記生成した酸官能基と反応させることにより、結合した金属基を有する酸化ワックスを含む高分子化合物を製造することを含み、前記高分子化合物は約0.5mgKOH/g〜約20mgKOH/gの酸価、約5mgKOH/g〜約35mgKOH/gの鹸化価を有し、140℃で約450cps未満の溶融粘度を有する、方法。
【請求項8】
前記金属塩基を前記ワックスに水を含む水性スラリーとして添加し、前記水は蒸発して水を含まない高分子化合物を提供する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記金属塩基を前記ワックスの酸化の前に実質的に均質に前記溶融ワックスに混合する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
a)前記高分子化合物を熱可塑性高分子材料と混合して混合物を形成し、その後前記混合物を押出成形すること、または
b)前記高分子化合物を押出成形潤滑剤として利用すること、をさらに含む、請求項7に記載の方法。

【公表番号】特表2012−525475(P2012−525475A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508560(P2012−508560)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/032361
【国際公開番号】WO2010/126813
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】