説明

RFIDリーダ/ライタ用アンテナ

【課題】複数の周波数帯の共用化が可能であり、より小型化されたRFIDリーダ/ライタ用アンテナを提供する。
【解決手段】RFIDリーダ/ライタ用アンテナは、アンテナ基板10と、共通接続ポート20と、第1アンテナ30と、第2アンテナ40と、フレキシブルケーブル50とから主に構成される。共通接続ポート20は、アンテナ基板10上に配置され、ホット側接続部21及びグラウンド側接続部22を有する。第1アンテナ30及び第2アンテナ40は、各々第1の周波数帯及び第2の周波数帯に対応し、共通接続ポート20から延在し、アンテナ基板10平面内においてホット側接続部21及びグラウンド側接続部22を結ぶ線の中心を通る垂線に対して線対称に配置されるダイポールアンテナからなる。フレキシブルケーブル50は、共通接続ポート20と、アンテナモジュール基板60との間を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はRFIDリーダ/ライタ用アンテナに関し、特に、2以上の周波数帯に対応可能なRFIDリーダ/ライタ用アンテナ関する。
【背景技術】
【0002】
近来からRFID(Radio Frequency IDentification)システムを用いた情報管理や決済等が行われている。このようなRFIDシステムでは、主に13.56MHz帯、UHF(950MHz)帯、2.45GHz帯の3つの周波数帯が用いられている。
【0003】
また、RFIDタグとの間で情報を読み出し書き込みするためのRFIDリーダ/ライタは、例えば特許文献1のように、RFIDリーダ/ライタのアンテナモジュール基板とRFID用アンテナ部が同軸ケーブルにて接続されるものである。
【0004】
複数の周波数帯に対応可能なRFID用アンテナの例としては、例えば特許文献2に開示のものが挙げられる。特許文献2に開示のものは、RFIDタグに用いられるアンテナであり、ループアンテナとして構成される導体を複数の線状部として用いて各線状部に対応する周波数帯で用いることが可能なものである。
【0005】
また、他の複数周波数帯対応RFID用アンテナの例としては、例えば特許文献3に開示のものが挙げられる。特許文献3に開示のものは、互いに異なる周波数帯で共振する複数のアンテナ部が、情報の書き込み及び読み出しが可能に構成されたICチップに接続可能に同一平面上にそれぞれ形成されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−278206号公報
【特許文献2】特開2005−64865号公報
【特許文献3】特開2005−252853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のようにアンテナモジュール基板とアンテナ部との間を同軸ケーブルで接続するものでは、同軸ケーブルの引き回しが困難な場合や、同軸端子の性能によってはアンテナの特性が変わってしまう場合があった。また、特許文献2や特許文献3に記載のような複数の周波数帯に対応可能なRFID用アンテナでは、アンテナ部のサイズが大きくなり得る。また、アンテナ部をRFIDリーダ/ライタに適用する場合には、アンテナモジュール基板とアンテナ部の間の信号ラインの取り回し等が問題となり得た。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、2以上の周波数帯に対応可能で小型・薄型のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による2以上の周波数帯に対応するRFIDリーダ/ライタ用アンテナは、アンテナ基板と、アンテナ基板上に配置され、ホット側接続部及びグラウンド側接続部を有する共通接続ポートと、共通接続ポートから延在する第1の周波数帯に対応し、アンテナ基板平面内においてホット側接続部及びグラウンド側接続部を結ぶ線の中心を通る垂線に対して線対称に配置されるダイポールアンテナからなる第1アンテナと、共通接続ポートから延在する第2の周波数帯に対応し、アンテナ基板平面内においてホット側接続部及びグラウンド側接続部を結ぶ線の中心を通る垂線に対して線対称に配置されるダイポールアンテナからなる第2アンテナと、共通接続ポートと、第1アンテナ及び第2アンテナを駆動するための回路が載置されるアンテナモジュール基板との間を接続するフレキシブルケーブルとを具備するものである。
【0010】
また、第1アンテナ及び第2アンテナは、共通のダイポールアンテナからなっても良い。
【0011】
さらに、アンテナ基板上に配置され、第2ホット側接続部及び第2グラウンド側接続部を有する、第2接続ポートと、第2接続ポートから延在する第3の周波数帯に対応するループアンテナからなる第3アンテナと、第2接続ポートと、前記第3アンテナを駆動するための回路が載置されるアンテナモジュール基板との間を接続する第2フレキシブルケーブルとを具備しても良い。
【0012】
また、第3アンテナは、概ね4角形状のループアンテナからなり、その一部に、第1アンテナ及び/又は第2アンテナに対するアイソレーション用の角取り部を具備しても良い。
【0013】
また、アンテナ基板は、第1アンテナ及び第2アンテナを駆動するための回路が載置されるアンテナモジュール基板に対して積重されても良い。
【0014】
さらに、本発明の2以上の周波数帯に対応するRFIDリーダ/ライタ用アンテナは、フレキシブル基板と、フレキシブル基板上に配置され、アンテナを駆動するための回路が載置されるアンテナモジュール基板に設けられるホット側接続部及びグラウンド側接続部を有する接続ポートに接続され、第1の周波数帯に対応するループアンテナからなる第1アンテナと、フレキシブル基板上に配置され、アンテナを駆動するための回路が載置されるアンテナモジュール基板に設けられるホット側接続部を有する共通接続ポート共通接続ポートに接続され、第2の周波数帯及び第3の周波数帯に対応し、途中で分岐する変形モノポールアンテナからなる第2アンテナであって、第2アンテナの途中で分岐する各先端部は、第1アンテナから遠い側に配置される、第2アンテナと、を具備するものであっても良い。
【0015】
また、第2アンテナは、第1アンテナを囲わないように第1アンテナの側部に配置されれば良い。
【0016】
また、第2アンテナは、途中で分岐する一方の先の部分が接続ポートに接続される第1アンテナのラインと共通接続ポートに接続される第2アンテナのラインの間に配置されるように構成されれば良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明のRFIDリーダ/ライタ用アンテナには、2以上の周波数帯に対応可能で小型・薄型であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを説明するための概略斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを説明するための概略平面図である。
【図3】図3は、本発明の第2実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを説明するための概略平面図である。
【図4】図4は、本発明の第3実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを説明するための概略斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第4実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを説明するための概略平面図である。
【図6】図6は、本発明の第5実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを説明するための概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明の第1実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを説明するための概略斜視図である。また、図2は、本発明の第1実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを説明するための概略平面図である。図示の通り、本発明の第1実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナは、アンテナ基板10と、共通接続ポート20と、第1アンテナ30と、第2アンテナ40と、フレキシブルケーブル50とから主に構成されている。なお、図示例では、2つの周波数帯を用いてデータの送受信が可能なRFIDリーダ/ライタ用アンテナの一例を示している。
【0020】
アンテナ基板10は、アンテナ部の基材となるものであり、例えば一般的なプリント基板であれば足りる。
【0021】
共通接続ポート20は、アンテナ基板10上に配置され、ホット側接続部21及びグラウンド側接続部22を有するものである。共通接続ポート20からは、第1アンテナ30及び第2アンテナ40が延在している。共通接続ポート20には、アンテナ基板10外に設けられるアンテナ駆動用の回路が載置されるアンテナモジュール基板60が、フレキシブルケーブル50を介して接続される。即ち、第1アンテナ30及び第2アンテナ40は、共通接続ポート20により共通の入出力部となるように構成されている。また、図示例では、インピーダンスマッチング用のパターン25が共通接続ポート20の近傍に配置されているものを示したが、本発明はこのパターンに限定されるものではない。
【0022】
共通接続ポート20から延在する第1アンテナ30は、第1の周波数帯に対応するものである。第1アンテナ30は、アンテナ基板10の平面内においてホット側接続部21及びグラウンド側接続部22を結ぶ線の中心を通る垂線に対して線対称に配置されるダイポールアンテナからなるものである。また、図示例では、ダイポールアンテナからなる第1アンテナ30は、ダイポールのエレメント形状の先端部がメアンダ状に構成されている例を示した。メアンダ状に構成されることで、アンテナエレメントの占める領域を全体として小さくすることができるため、アンテナ基板10の小型化が可能となる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第1アンテナはそのダイポールのエレメント形状がL字型やC型に対称に配置されても良い。図示例では、第1アンテナ30は950MHz帯のアンテナとして構成されるものを示した。
【0023】
また、第1アンテナ30と同様に共通接続ポート20から延在する第2アンテナ40は、第2の周波数帯に対応するものである。第2アンテナ40は、アンテナ基板10の平面内に置いてホット側接続部21及びグラウンド側接続部22を結ぶ線の中心を通る垂線に対して線対称に配置されるダイポールアンテナからなるものである。また、図示例では、ダイポールアンテナからなる第2アンテナ40は、ダイポールのエレメント形状がL字型に構成されている例を示した。例えば第2アンテナ40を第1アンテナ30の内側に配置すれば、アンテナエレメントの占める領域をより小さくすることが可能となる。より具体的には、図示例のように、第2アンテナ40を、第1アンテナ30の内側に配置し、第1アンテナ30は、第2アンテナ40の配置位置に関係の無いところで先端部がメアンダ状に折り曲げられれば良い。図示例では、第2アンテナ40は2.45GHz帯のアンテナとして構成されるものを示した。
【0024】
フレキシブルケーブル50は、共通接続ポート20と、第1アンテナ30及び第2アンテナ40を駆動するための回路が載置されたアンテナモジュール基板60との間を接続するものである。図示例では、アンテナ基板10の裏面に、第1アンテナ30及び第アンテナ40を駆動するためのアンテナモジュール基板60が積重されている。そして、フレキシブルケーブル50は、アンテナ基板10の一辺とそれに対応するアンテナモジュール基板60の一辺の間に接続されている。フレキシブルケーブル50は、フィルム状の絶縁体に導体箔により信号ラインを形成したものである。フレキシブルケーブル50により共通接続ポート20とアンテナモジュール基板60の給電部が接続されることになるため、フレキシブルケーブル50はアンテナエレメントとしても作用することになる。したがって、同じ周波数帯であれば、この分、アンテナ基板10上の第1アンテナ30及び第2アンテナ40の長さを短くすることが可能となるため、さらにアンテナ基板10を小型化することができる。なお、フレキシブルケーブル50は、共通接続ポート20及びアンテナモジュール基板60にはんだ等により直接電気的に接続されても良いし、フレキシブルケーブル用の平型コネクタ等により接続されても良い。
【0025】
また、共通接続ポート20の位置とアンテナモジュール基板60のフレキシブルケーブル50を接続する部分の位置を図示例のように揃えることで、組立性も向上する。
【0026】
このように、本発明のRFIDリーダ/ライタは、アンテナ部分とアンテナモジュール基板とをフレキシブルケーブルで接続し、フレキシブルケーブルもアンテナエレメントとして用いたため小型化が可能であり、さらに、アンテナ基板とアンテナモジュール基板を積重することで薄型化が可能となる。
【0027】
次に、本発明の第2実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを、図3を用いて説明する。図3は、本発明の第2実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを説明するための概略平面図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表しているため、詳説は省略する。本発明の第2実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナは、第1アンテナ30と第2アンテナ40とを共通のダイポールアンテナとして構成されるものである。例えば、図示例では、950MHz帯の第1アンテナ30を基準にエレメントを配置し、これを用いて2.45GHz帯も受信するようにしたものである。第1の周波数帯が950MHz帯であり、第2の周波数帯が2.45GHz帯である場合に、第1アンテナ30のエレメント長が、第2アンテナのエレメント長の約4倍程度のエレメント長となる。したがって、感度レベルが許容できる範囲で第1アンテナ30と第2アンテナ40との共通化が可能となる。
【0028】
このように、本発明の第2実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナは、第1アンテナ及び第2アンテナを共通のダイポールアンテナとすることで、さらなる小型化が可能となる。
【0029】
次に、本発明の第3実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを、図4を用いて説明する。図4は、本発明の第3実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを説明するための概略斜視図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表しているため、詳説は省略する。本発明の第3実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナは、3つの周波数帯を用いてデータの送受信が可能なものである。図示の通り、本発明の第3実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナは、第1実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナに、さらに第2接続ポート70と、第3アンテナ80と、第2フレキシブルケーブル90とを付加したものである。なお、アンテナモジュール基板60は、これに合わせて3つの周波数帯のアンテナを駆動可能に構成されている。
【0030】
第2接続ポート70は、アンテナ基板10上に配置されており、第2ホット側接続部71と第2グラウンド側接続部72とを有する。図示例では、第2接続ポート70は、共通接続ポート20とは異なる位置に配置されている。第2接続ポート70には、後述の第3アンテナ80及び第2フレキシブルケーブル90が接続されている。
【0031】
第3アンテナ80は、第2接続ポート70から延在する第3の周波数帯に対応するループアンテナである。例えば、第3の周波数帯としては、13.56MHzであれば良い。第3アンテナ80は、例えば図示例のように、4角形状の複数巻きループアンテナである。第3アンテナ80の配置位置は図示例のものには特に限定されず、第1アンテナ30や第2アンテナ40とのアイソレーションが取れていれば良い。
【0032】
第2フレキシブルケーブル90は、第2接続ポート70と、第3アンテナ80を駆動するためのアンテナモジュール基板60との間を接続するものである。第2フレキシブルケーブル90は、図示例では第1フレキシブルケーブル50と同じフィルム状絶縁体上で構成されているものを示した。これにより、組立性が向上する。ここで、第1フレキシブルケーブル50及び第2フレキシブルケーブル90が、それぞれホット側配線とグラウンド側配線が平行に配置され、且つそれぞれのグラウンド側配線が近接するように配置されることが好ましい。即ち、2本のグラウンド側配線を内側に配置し、その両脇にそれぞれホット側配線を配置する。これにより、アイソレーションをより向上させることが可能である。また、このとき、隣り合うグラウンド側配線を共通配線とすることも可能である。
【0033】
また、図示例では、第3アンテナ80は、第1アンテナ30の先端近傍に配置されるものを示した。そして、4角形状のループアンテナからなる第3アンテナ80の一部に、第1アンテナ30及び/又は第2アンテナ40に対するアイソレーション用の角取り部81を設けている。これにより、さらにアイソレーションを向上させることが可能となり、結果として第3アンテナ80を第1アンテナ30や第2アンテナ40により近付けて配置することが可能となる。
【0034】
さらに、角取り部81によりできたスペースに、インピーダンス整合用素子82が配置されている。具体的には、4角形状のループアンテナからなる第3アンテナ80の角取り部81により角が取られてできたスペースに、インピーダンス整合用素子82が配置されている。インピーダンス整合用素子82は、第3アンテナ80と給電ラインのマッチングを取るものであり、例えばコンデンサやコイルからなるものである。このようなインピーダンス整合用素子82は、一般的にアンテナ基板上に配置されるものであるが、本発明のRFIDリーダ/ライタ用アンテナでは、角取り部81によって空いたスペースに配置することにより、アンテナ基板10の省スペース化が可能となる。
【0035】
このような構成とすることで、必要以上に配線が複雑化されることもなく、一定の方向から給電ラインを引き回すことが可能であり、アンテナ特性のばらつきの低減が可能である。なお、第2フレキシブルケーブル90も、フレキシブルケーブル50と同様に、第2接続ポート70及びアンテナモジュール基板60にはんだ等により直接電気的に接続されても良いし、フレキシブルケーブル用の平型コネクタ等により接続されても良い。
【0036】
このように、本発明の第3実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナでは、3つの周波数帯のアンテナをアンテナ基板に配置して小型化、薄型化を実現可能である。
【0037】
次に、本発明の第4実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを、図5を用いて説明する。図5は、本発明の第4実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを説明するための概略平面図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表しているため、詳説は省略する。本発明の第4実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナは、第3アンテナ80が、第1アンテナ30の内側に配置されている。より具体的には、第1アンテナ30が、ホット側接続部21及びグラウンド側接続部22を結ぶ線の中心を通る垂線に対して線対称に配置されており、アンテナ基板10の周縁部付近に沿って配置され、その内側にスペースが設けられている。そこで、このスペースに第3アンテナ80を配置することで、アンテナ基板10のサイズをより小型化することが可能となる。
【0038】
なお、第3実施例及び第4実施例では、第1アンテナ及び第2アンテナをそれぞれ別に設けた例を示したが、本発明はこれに限定されず、第2実施例のように第1アンテナと第2アンテナを共通のダイポールアンテナとした構成であっても、第3アンテナを配置可能である。
【0039】
これまで説明した実施例は、アンテナ基板とアンテナモジュール基板の間の接続をフレキシブルケーブルにより行うものであったが、次に、アンテナが配置される基板自体がフレキシブル基板からなる例について説明する。
【0040】
図6は、本発明の第5実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナを説明するための概略平面図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表しているため、詳説は省略する。図示の通り、本発明の第5実施例のRFIDリーダ・ライタ用アンテナは、フレキシブル基板15と、第1アンテナ85と、第2アンテナ45とから主に構成されている。このような構成のRFIDリーダ/ライタ用アンテナが、アンテナ駆動用のアンテナモジュール基板60に設けられる平型コネクタ等の接続ポート75及び共通接続ポート26を介して接続されている。
【0041】
まず、接続ポート75は、アンテナモジュール基板60に設けられている。接続ポート75は、ホット側接続部及びグラウンド側接続部を有する。接続ポート75には、後述の第1の周波数帯の対応する第1アンテナ85が接続される。接続ポート75は、より具体的には、例えば平型コネクタから構成されれば良い。
【0042】
共通接続ポート26もアンテナモジュール基板60に設けられている。共通接続ポート26は、ホット側接続部を有する。共通接続ポート26には、後述の第2の周波数帯及び第3の周波数帯に対応する第2アンテナ45が接続される。共通接続ポート26は、より具体的には、例えば平型コネクタから構成されれば良い。
【0043】
なお、接続ポート75及び共通接続ポート26は、アイソレーションを取るために、なるべく離して配置されることが好ましい。
【0044】
そして、第1アンテナ85は、第1の周波数帯に対応するループアンテナからなるものである。第1アンテナ85は、フレキシブル基板15に配置され、接続ポート75に接続される。図示例の第1アンテナ85は、概ね4角形状のループアンテナからなり、その一部に、角取り部88を有している。この角取り部88によりできたスペースに、インピーダンス整合用素子82が配置される。第1アンテナ85は、接続ポート75に接続されるライン86も含めてアンテナエレメントとして作用することになる。第1アンテナ85が対応する第1の周波数帯は、例えば13.56MHzである。なお、図示例では、概ね4角形状のループアンテナを示したが、本発明はこれに限定されず、ループアンテナであれば、円形状等、種々の形状のものを適用可能である。
【0045】
第2アンテナ45は、フレキシブル基板15に配置され、第2の周波数帯及び第3の周波数帯に対応し、途中で分岐する変形モノポールアンテナからなるものである。第2アンテナ45の途中で分岐する各先端部46,47は、第1アンテナ85から遠い側に配置される。即ち、図6の図面上では、先端部46は第1アンテナ85の右方向に向かって最も遠い側に配置されており、先端部47は第1アンテナ85の下方向に向かって最も遠い側に配置されている。第2アンテナ45は、共通接続ポート26に接続されるライン48も含めてアンテナエレメントとして作用することになる。図示例では、第2アンテナ45は、途中で分岐する先がそれぞれメアンダ状に構成されている。そして、第2アンテナ45は、第1アンテナ85を囲わないように、第1アンテナ85の側部に配置されている。即ち、第2アンテナ45は、概ねZ字状に分岐しており、第1アンテナ85の2辺から所定の間隙を設けて配置されている。また、第2アンテナ45は、途中で分岐する一方の先の部分が、接続ポート75に接続される第1アンテナ85のライン86と、共通接続ポート26に接続される第2アンテナ45のライン48の間に配置されるように構成されている。このように配置されることで、第1アンテナ85と第2アンテナ45のアイソレーションを確保すると共に、フレキシブル基板15の小型化が可能となる。第2アンテナ45が対応する第2の周波数帯は、例えば950MHz帯であり、第3の周波数帯は、例えば2.45GHz帯であれば良い。例えば第2アンテナ45のエレメント長は、950MHz帯側の整数倍のエレメント長になるように調整されれば良い。
【0046】
このように構成された本発明の第5実施例のRFIDリーダ/ライタ用アンテナは、3つの周波数帯に対応していながら非常に小型化・薄型化が可能となり、例えば携帯端末等に適用することも可能となる。また、第5実施例の場合でも、第4実施例等と同様に、フレキシブル基板をアンテナモジュール基板と重なるように配置することも可能である。この場合、必要によりフレキシブル基板とアンテナモジュール基板との間に、磁性体シート等の透磁率を有する材料からなるものを介在させれば良い。
【0047】
なお、本発明のRFIDリーダ/ライタ用アンテナは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
10 アンテナ基板
15 フレキシブル基板
20 共通接続ポート
21 ホット側接続部
22 グラウンド側接続部
25 インピーダンスマッチング用のパターン
26 共通接続ポート
30 第1アンテナ
40 第2アンテナ
45 第2アンテナ
50 フレキシブルケーブル
60 アンテナモジュール基板
70 接続ポート
71 ホット側接続部
72 グラウンド側接続部
75 接続ポート
80 第3アンテナ
81 角取り部
82 インピーダンス整合用素子
85 第1アンテナ
88 角取り部
90 フレキシブルケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の周波数帯に対応するRFIDリーダ/ライタ用アンテナであって、該RFIDリーダ/ライタ用アンテナは、
アンテナ基板と、
前記アンテナ基板上に配置され、ホット側接続部及びグラウンド側接続部を有する共通接続ポートと、
前記共通接続ポートから延在する第1の周波数帯に対応し、アンテナ基板平面内においてホット側接続部及びグラウンド側接続部を結ぶ線の中心を通る垂線に対して線対称に配置されるダイポールアンテナからなる第1アンテナと、

前記共通接続ポートから延在する第2の周波数帯に対応し、アンテナ基板平面内においてホット側接続部及びグラウンド側接続部を結ぶ線の中心を通る垂線に対して線対称に配置されるダイポールアンテナからなる第2アンテナと、
前記共通接続ポートと、第1アンテナ及び第2アンテナを駆動するための回路が載置されるアンテナモジュール基板との間を接続するフレキシブルケーブルと、
を具備することを特徴とするRFIDリーダ/ライタ用アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のRFIDリーダ/ライタ用アンテナにおいて、前記第1アンテナ及び第2アンテナは、共通のダイポールアンテナからなることを特徴とするRFIDリーダ/ライタ用アンテナ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のRFIDリーダ/ライタ用アンテナであって、さらに、
前記アンテナ基板上に配置され、第2ホット側接続部及び第2グラウンド側接続部を有する、第2接続ポートと、
前記第2接続ポートから延在する第3の周波数帯に対応するループアンテナからなる第3アンテナと、
前記第2接続ポートと、前記第3アンテナを駆動するための回路が載置されるアンテナモジュール基板との間を接続する第2フレキシブルケーブルと、
を具備することを特徴とするRFIDリーダ/ライタ用アンテナ。
【請求項4】
請求項3に記載のRFIDリーダ/ライタ用アンテナにおいて、前記第3アンテナは、概ね4角形状のループアンテナからなり、その一部に、第1アンテナ及び/又は第2アンテナに対するアイソレーション用の角取り部を具備することを特徴とするRFIDリーダ/ライタ用アンテナ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のRFIDリーダ/ライタ用アンテナにおいて、前記アンテナ基板は、第1アンテナ及び第2アンテナを駆動するための回路が載置されるアンテナモジュール基板に対して積重されることを特徴とするRFIDリーダ/ライタ用アンテナ。
【請求項6】
2以上の周波数帯に対応するRFIDリーダ/ライタ用アンテナであって、該RFIDリーダ/ライタ用アンテナは、
フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板上に配置され、アンテナを駆動するための回路が載置されるアンテナモジュール基板に設けられるホット側接続部及びグラウンド側接続部を有する接続ポートに接続され、第1の周波数帯に対応するループアンテナからなる第1アンテナと、
前記フレキシブル基板上に配置され、アンテナを駆動するための回路が載置されるアンテナモジュール基板に設けられるホット側接続部を有する共通接続ポート共通接続ポートに接続され、第2の周波数帯及び第3の周波数帯に対応し、途中で分岐する変形モノポールアンテナからなる第2アンテナであって、第2アンテナの途中で分岐する各先端部は、第1アンテナから遠い側に配置される、第2アンテナと、
を具備することを特徴とするRFIDリーダ/ライタ用アンテナ。
【請求項7】
請求項6に記載のRFIDリーダ/ライタ用アンテナにおいて、前記第2アンテナは、第1アンテナを囲わないように第1アンテナの側部に配置されることを特徴とするRFIDリーダ/ライタ用アンテナ。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のRFIDリーダ/ライタ用アンテナにおいて、前記第2アンテナは、途中で分岐する一方の先の部分が接続ポートに接続される第1アンテナのラインと共通接続ポートに接続される第2アンテナのラインの間に配置されるように構成されることを特徴とするRFIDリーダ/ライタ用アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−134656(P2012−134656A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283529(P2010−283529)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000165848)原田工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】