説明

Staphylococcusepidermidisポリペプチド抗原の免疫原性組成物

本発明は、Staphylococcus epidermidisから単離されたポリペプチドを含む免疫原性組成物に関する。本発明はまた、Staphylococcus epidermidisのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及び免疫原性組成物におけるそれらの使用に関する。さらに本発明は、Staphylococcus epidermidisのポリペプチド及びポリヌクレオチドの免疫原性組成物を用いた、Staphylococcus epidermidis及びStaphylococcus aureusに対する、哺乳動物における免疫応答を引き起こす方法に関する。本発明はまた、生物学的サンプル中のStaphylococcus epidermidisを検出するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、Staphylococcus epidermidisから単離されたポリペプチドを含む免疫原性組成物に関する。本発明はまた、Staphylococcus epidermidisのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及び免疫原性組成物におけるそれらの使用に関する。さらに本発明は、Staphylococcus epidermidisのポリペプチド及びポリヌクレオチドの免疫原性組成物を用いた、Staphylococcus epidermidis及びStaphylococcus aureusに対する、哺乳動物における免疫応答を引き起こす方法に関する。本発明はまた、生物学的サンプル中のStaphylococcus epidermidisを検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
Staphylococcus epidermidis(Staphylcoccus epidermidis)は、皮膚及び粘膜上の正常なヒト微生物叢の主要成分であり、以前は感染患者からの培養を行う際の唯一の混入物質と考えられていた。非特許文献1;非特許文献2参照。それは今や非常に重要な日和見病原体であり、また、院内血流感染の主要原因であることが広く認められている。非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5参照。これらの感染は、静脈カテーテル、人工関節又は心臓弁等の内在する外来ポリマー体の存在に主として関連する。非特許文献1;非特許文献2参照。感染は、人工デバイスの挿入時に、ヒトの皮膚からStaphylococcus epidermidisが入り込む結果であると考えられる。コロニー形成及び続いて起こるバイオフィルム形成は、細菌に体内のその他の部位へと拡がる造血性の波及力をもたらし得る。これらの感染は、バイオフィルム内部の細菌が抗生物質によって殺菌されにくくなること、また、臨床分離株において抗生物質耐性が増加することに起因して、しばしばその処置が困難である。非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7参照。バンコマイシンに対する感受性が低減したStaphylococcus epidermidisが報告されている。非特許文献8;非特許文献9参照。これらの感染処置が困難であるため、感染予防手段としての免疫付与が余儀なくされる。
【0003】
バイオフィルム形成は、Staphylococcus epidermidis感染に関する主要な毒性決定因子である。結果として、Staphylococcus epidermidis表面タンパク質の研究は、バイオフィルム形成に関与するそれらのタンパク質に集中されてきた。これらのタンパク質は、バイオフィルム形成における2つの主要なステップにおけるそれらの関与に基づき、グループに細分化されている:1)最初の接触、ブドウ球菌表面タンパク質−1(SSP−1)、オートリシン(AtIE)、Fbe(SdrG)及びGehD、及び2)細菌の細胞の蓄積、Bapホモロガスタンパク質(Bhp)、蓄積関連タンパク質(AAP)及びオートリシン(AtIE)。非特許文献2;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;及び非特許文献16参照。宿主内で環境信号に曝される時に発現される表面タンパク質の同定や、宿主寄生物の相互作用に関与するものの同定に対しては、比較的取り組みがなされてきていない。
【0004】
Staphylococcus epidermidisは、片利共生生物から病原体への遷移を受けて、宿主内のその微小環境へと適合しなければならない。病原体へと遷移するために、片利共生生物には、宿主組織への接近、環境における知覚変化、宿主による防御を回避可能化するための異なる遺伝子の発現、宿主因子への結合及び吸着、異なる栄養素及び宿主による防御の存在下での生育及び分裂を獲得することが必要である。細菌表面上のタンパク質は、宿主内の新たな環境との最初の接触を形成する。これらのタンパク質における多くの機能には、環境のセンシング、栄養分のスカベンジング及び輸送、宿主免疫系に対する防御及び宿主タンパク質の結合が含まれる。表面に曝されたタンパク質はまた、接触時又は宿主免疫系による認識時に役割を果たし得、細菌に対する体液性免疫応答のターゲットとなり得る。非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19。
【非特許文献1】Heilmann,C及びG.Peters,「Biology and pathogenicity of Staphylcoccus epidermidis,in Gram−positive pathogens」,V.A.Fischetti,編,American Society for Microbiology,Washington,D.C.2000年,p.442−449
【非特許文献2】von Eiff,Cら,Lancet Infect Dis,2002年,第2巻,第11号,p.677−85
【非特許文献3】Am J Infect Control,1999年,第27巻,p.520−32
【非特許文献4】Diekema,D.J.ら,lnt J Antimicrob Agents,2002年,第20巻,第6号,p.412−8
【非特許文献5】Edmond,M.B.ら,Clin Infect Dis,1999年,第29巻,第2号,p.239−44
【非特許文献6】Lewis,K.,Antimicrob Agents Chemother,2001年,第45巻,第4号,p.999−1007
【非特許文献7】Raad,I.ら,Clin Infect Dis,1998年,第26巻,第5号,p.1182−7
【非特許文献8】Sanyal,D.及びD.Greenwood,J Med Microbiol.,1993年,第39巻,第3号,p.204−10
【非特許文献9】Sanyal,D.ら,Lancet,1991年,第337巻,第8732号,p.54
【非特許文献10】Vuong,Cら,J Infect Dis,2003年,第188巻,第5号,p.706−18
【非特許文献11】Veenstra,G.J.ら,J Bacteriol.,1996年, 第178巻, 第2号,p.537−41
【非特許文献12】Rupp,M.E.ら,J Infect Dis,2001年,第183巻,第7号,p.1038−42
【非特許文献13】Hussain,M.ら,Infect Immun,1997年,第65巻,第2号,p.519−24
【非特許文献14】Nilsson,M.ら,Infect Immun,1998年,第66巻,第6号,p.2666−73
【非特許文献15】Davis,S.L.ら,J Biol Chem,2001年,第276巻,第30号,p.27799−805
【非特許文献16】Bowden,M.G.ら,J Biol Chem,2002年,第277巻,第45号,p.43017−43023
【非特許文献17】Josefsson,E.ら、J Infect Dis,2001年,第184巻,第12号,p.1572−80
【非特許文献18】Swiatlo,E.ら,Infect Immun,2003年,第71巻,第12号,p.7149−53
【非特許文献19】Grifantini,R.ら,Nat Biotechnol,2002年,第20巻,第9号,p.914−21
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
すなわち、免疫原性組成物中で用いるための、Staphylococcus epidermidisのセロタイプをもたらす疾患への免疫応答を引き起こす、Staphylococcus epidermidisタンパク質における有望候補物の同定に関する差し迫ったニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、配列番号1〜配列番号32、その生物学的均等物、又はその断片の1以上から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。特定の実施形態において、このポリペプチドは、Staphylococcus epidermidisを感染させたウサギ血清中の抗体と免疫反応性である。別の実施形態において、このポリペプチドは、1以上のウサギ血清タンパク質と結合する。
【0007】
特定の実施形態において、免疫原性組成物は、薬学上許容可能な担体をさらに含む。その他の実施形態において、本発明の免疫原性組成物はまた、1以上のアジュバントをさらに含む。さらに別の実施形態において、免疫原性組成物は、Staphylococcus epidermidisの多糖類抗原をさらに含む。さらに別の実施形態において、免疫原性組成物は、Staphylococcus aureusの多糖類又はポリペプチド抗原をさらに含む。
【0008】
本発明は、Staphylococcus epidermidisから単離されたポリペプチドからなる免疫原性組成物を提供する。
【0009】
本発明は、異種アミノ酸をさらに含むStaphylococcus epidermidisポリペプチドからなる免疫原性組成物を提供する。特定の実施形態において、ポリペプチドは融合ポリペプチドである。別の実施形態において、ポリペプチドは組換えポリペプチドである。さらに別の実施形態において、本発明は、Staphylococcus epidermidisの中和エピトープを含むStaphylococcus epidermidisポリペプチドからなる免疫原性組成物を提供する。特定の実施形態において、ポリペプチドはリポタンパク質である。
【0010】
本発明はさらに、配列番号33〜配列番号64又はその縮重改変体、又はその断片の1つから選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされるStaphylococcus epidermidisポリペプチドからなる免疫原性組成物を提供する。特定の実施形態において、Staphylococcus epidermidisポリヌクレオチド配列は、配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号46、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号55、配列番号58、配列番号59、及び配列番号62、又はその縮重改変体又はその断片からなる群から選択される。
【0011】
本発明は、前記ポリヌクレオチドがStaphylococcus epidermidis由来である免疫原性組成物を提供する。特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは異種ヌクレオチドをさらに含む。別の実施形態において、ポリヌクレオチドは発現ベクターである。さらに別の実施形態において、発現ベクターはプラスミドDNAである。特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは組換えポリヌクレオチドである。別の実施形態において、ポリヌクレオチドは1以上の遺伝子発現調節エレメントと動作可能に連結されている。さらに別の実施形態において、ポリヌクレオチドはStaphylococcus epidermidisの中和エピトープの発現を導く。
【0012】
本発明はまた、トランスフェクション促進剤をさらに含み、ポリヌクレオチドによりコードされるStaphylococcus epidermidisポリペプチドからなる免疫原性組成物を提供する。特定の実施形態において、このトランスフェクション促進剤はブピビカインである。
【0013】
本発明はまた、Staphylococcus epidermidisに対する免疫応答を引き起こす方法であって、配列番号1〜配列番号32又はその生物学的均等物、又はその断片の1以上から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び薬学上許容可能な担体を含む、免疫原性となる量の組成物を、哺乳動物へ投与することを含む、前記方法を提供する。
【0014】
さらに、本発明は、Staphylococcus epidermidisに対する免疫応答を引き起こす方法であって、配列番号33〜配列番号64、その縮重改変体又はその断片の1以上から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、及び薬学上許容可能な担体を含む、免疫原性となる量の組成物を、哺乳動物へ投与することを含む、前記方法を提供する。
【0015】
一実施形態において、本発明は、配列番号33〜配列番号64、又はその縮重改変体、又はその断片の1つから選択されるヌクレオチド配列を有し且つ発現ベクター中に含まれるポリヌクレオチドを含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態において、ポリヌクレオチドはStaphylococcus epidermidis由来である。さらに別の実施形態において、ポリヌクレオチドは異種ヌクレオチドを含む。
【0016】
特定の実施形態において、本発明は、生物学的サンプル中のStaphylococcus epidermidisの検出及び/又は同定方法であって、以下の工程:(a)前記サンプルを、配列番号33〜配列番号64、又はその縮重改変体、又はその断片の1つから選択される前記ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドのオリゴヌクレオチドプローブと、ハイブリダイゼーションを可能にさせる条件下で接触させる工程;及び(b)前記サンプル中のハイブリダイゼーション複合体の存在を検出する工程であって、ハイブリダイゼーション複合体が前記サンプル中のStaphylococcus epidermidisの存在を示す、前記工程、を含む、前記方法を提供する。
【0017】
その他の実施形態において、本発明は、生物学的サンプル中のStaphylococcus epidermidisに対する抗体の検出及び/又は同定方法であって、以下の工程:(a)前記サンプルを、配列番号1〜配列番号32、又はその生物学的均等物、又はその断片の1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドと、免疫複合体形成を可能にさせる条件下で接触させる工程;及び(b)前記サンプル中の免疫複合体の存在を検出する工程であって、免疫複合体が前記サンプル中のStreptococcus pneumoniaeの存在を示す、前記工程、を含む、前記方法を提供する。
【0018】
特定の実施形態において、免疫原性組成物は、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号27、及び配列番号30、その生物学的均等物、又はその断片からなる群から選択されるStaphylococcus epidermidisポリペプチド配列を含む。別の実施形態において、免疫原性組成物は、配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号46、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号55、配列番号58、配列番号59、及び配列番号62、又はその縮重改変体、又はその断片からなる群から選択される、Staphylococcus epidermidisポリヌクレオチド配列を含む。
【0019】
さらに別の実施形態において、本発明は、Staphylococcus aureusに対する免疫応答を引き起こす方法であって、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号27、及び配列番号30、その生物学的均等物、又はその断片からなる群から選択されるStaphylococcus epidermidisポリペプチド配列を含む、免疫原性となる量の組成物を、哺乳動物へ投与することを含む、前記方法を提供する。
【0020】
特定の実施形態において、本発明は、Staphylococcus aureusに対する免疫応答を引き起こす方法であって、配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号46、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号55、配列番号58、配列番号59、及び配列番号62、又はその縮重改変体、又はその断片からなる群から選択されるStaphylococcus epidermidisポリヌクレオチド配列を含む、免疫原性となる量の組成物を、哺乳動物へ投与することを含む、前記方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
宿主の血流に曝される時、侵入細菌は新たな環境に対して特異的な環境信号に遭遇する。これらの信号は細菌及び、細胞壁の精製タンパク質中に検出され得るタンパク質発現におけるシグナル適応変化によって検出される。細菌の細胞壁のタンパク質及び糖質糖質は、細菌感染の処置又は予防のための免疫原性組成物中に含有させる候補物質となることがよくある。アップレギュレートされたタンパク質が宿主と相互作用するか又は栄養素獲得において役割を担うか否かは、細菌にとって重要であり、従って、細菌の生存及び発症における役割を担う。体液(すなわち、血清、腹膜透析液、及び尿)中における細菌の増殖は、宿主内で細菌が遭遇するシグナルのいくつかを模倣するモデル系として使用されている。Wiltshire, M.D.及びS.J.Foster, Infect Immun, 69(8):p.5198−202 (2001);Shepard, B.D.及びM.S.Gilmore, Infect Immun, 70(8):p.4344−52 (2002);Smith, D.G.ら, Infect Immun, 59(2):p.617−24 (1991);McDermid, K.P.ら, Infect Immun, 61(5):p.1743−9 (1993)参照。これらの培養条件の1以上がエンテロコッカス・フェカリス、Staphylococcus aureus及びStaphylococcus epidermidisにおける遺伝子発現を変化させることが見出されており、改変された培養条件において発現が増大することが示されているこれらのタンパク質は、様々な機能を有する様々な分類のタンパク質に属することが見出された。Wiltshire, M.D.及びSJ.Foster, Infect Immun, 69(8):p.5198−202 (2001);Shepard, B.D.及びM.S.Gilmore, Infect Immun, 70(8):p.4344−52 (2002)参照。
【0022】
Staphylococcus epidermidis感染に関する最も一般的な素因は人工補装具の移植である。移植される人工補装具は、フィブリノーゲン、ビトロネクチン、フォン・ヴィレブランド因子及びフィブロネクチン等のプラズマ及びマトリクスタンパク質により被覆されている。von Eiff, Cら,.Eur J Clin Microbiol Infect Dis, 18(12):p.843−6 (1999) 参照。これらのタンパク質はしばしば、Staphylococcus epidermidis表面タンパク質に対するリガンドとして機能するため、細菌が人工補装具へ結合しコロニーを形成することを可能にする。Staphylococcus epidermidisは、フィブリノーゲン、ビトロネクチン及びフィブロネクチンと結合するタンパク質を発現することが知られている。Nilsson, M. ら, A fibrinogen−binding protein of Staphylococcus epidermidis.Infect Immun, 66(6), p.2666−73 (1998);Davis, S.L.ら, J Biol Chem, 276(30), p.27799−805 (2001);Williams, R.J.ら, Infect Immun,. 70(12), p.6805−10 (2002);Heilmann, C.ら, Mol Microbiol, 24(5), p.1013−24 (1997) 参照。Staphylococcus epidermidisが共生菌から病原菌へと変化する時には、さらなる血清タンパク質と結合することが予想されるのは合理的である。
【0023】
以下に記載する本発明は、Staphylococcus epidermidisのセロタイプにより引き起こされる大部分又は全ての疾患を効率的に予防又は処置するStaphylococcus epidermidis免疫原性組成物に対する必要性について取り組む。本発明はさらに、Staphylococcus epidermidis感染を診断する方法の必要性について取り組む。本発明は、抗原性ポリペプチドをコードする、Staphylococcus epidermidisオープンリーディングフレーム(以下、ORF)を同定した。より特定的には、Staphylococcus epidermidisORFは、免疫原性組成物中において潜在的な抗原性ポリペプチドとして機能するポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、本発明は、表面に局在化された、曝露された、分泌された、又は膜に結合されたポリペプチド抗原をコードするStaphylococcus epidermidisポリヌクレオチドORFを含む。
【0024】
その他の実施形態において、本発明は、ORF配列を含むベクター及びこれらのベクターにより、形質転換された、トランスフェクトされた又は感染させられた宿主細胞又は動物を含む。本発明はまた、微生物の成長を阻害又は抑制するために使用され得る、Staphylococcus epidermidisORFsの転写遺伝子産物、例えば、mRNA、アンチセンスRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイム分子等を含む。本発明はまた、これらの核酸又はポリペプチドを検出する方法及びStaphylococcus epidermidis感染を診断するためのキットに関する。本発明はさらに、細菌感染、特に、Staphylococcus epidermidisにより引き起こされる又は悪化させられる感染の予防及び/又は処置のための免疫原性組成物に関する。特定の実施形態において、この免疫原性組成物は、Staphylococcus epidermidisにより引き起こされる又は悪化させられる全身性疾患の処置又は予防のために使用される。その他の実施形態において、この免疫原性組成物は、Staphylococcus epidermidisにより引き起こされる又は悪化させられる非全身性疾患の処置又は予防のために使用される。
【0025】
(A.Staphylococcus epidermidisORFポリヌクレオチド及びポリペプチド)
単離・精製されたStaphylococcus epidermidisORFポリヌクレオチドが同定されており、これらは免疫原性組成物中に含有させるためのStaphylococcus epidermidisポリペプチドの製造において使用される。より具体的には、特定の実施形態において、ORFは、Staphylococcus epidermidis表面に局在化された、曝露された、膜と結合された又は分泌されたポリペプチド、特に抗原性ポリペプチドをコードする。すなわち、一態様において、本発明は、免疫原性組成物中に含有させるための、Staphylococcus epidermidis表面に局在化された、曝露された、膜と結合された又は分泌されたポリペプチドをコードする単離・精製されたポリヌクレオチド(ORF)を特定する。特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドはDNA分子であり、このDNAはゲノムDNA、染色体DNA、プラスミドDNA又はcDNAであり得る。別の実施形態において、ポリヌクレオチドは組換えポリヌクレオチドであり、これは配列番号1〜配列番号32又はその断片のうちの一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むStaphylococcus epidermidisポリペプチドをコードする。別の実施形態において、単離・精製されたORFポリヌクレオチドは、配列番号33〜配列番号64、その縮重改変体、又はその相補体のORFヌクレオチド配列のうちの一つと少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一実施形態において、配列番号33〜配列番号64のうちの一つのORFポリヌクレオチドは、プラスミドベクター中に含まれ、原核宿主細胞中で発現される。
【0026】
以下に使用する時、用語「ポリヌクレオチド」は、ホスホジエステル結合により連結されているヌクレオチド配列を意味する。ポリヌクレオチドは、以下、5’から3’方向の向きで表される。本発明のポリヌクレオチドは、約10〜約数十万塩基対を含み得る。一実施形態において、ポリヌクレオチドは約10〜約3,000塩基対含む。特定のポリヌクレオチドの例示的な長さを以下に説明する。
【0027】
本明細書中に記載するポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)分子、リボ核酸(RNA)分子、又はヌクレオチドアナログを用いて生成したDNA又はRNAのアナログであり得る。この核酸分子は一本鎖又は二本鎖であり得るが、好ましくは、二本鎖DNAである。ポリヌクレオチドがDNA分子である場合、その分子は、遺伝子、cDNA分子又はゲノムDNA分子であることができる。ヌクレオチド塩基は、以下、一文字略号:アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)、イノシン(I)及びウラシル(U)により示される。
【0028】
「単離された」とは、自然の状態から「人間の手によって」変化させられていることを意味する。組成物又は物質が自然の状態で存在し、それが「単離された」と見なされるためには、そのもともとの環境から変化又は除去されているか、あるいは、その両方がなされていなければならない。例えば、生きている動物に自然に存在するポリヌクレオチド又はポリペプチドは「単離されていない」が、この用語を以下において使用する時、その自然の状態で共存する物質から分離された同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは「単離されている」。
【0029】
本明細書中で使用する時、「単離された」ポリヌクレオチドは、核酸が得られる生物のゲノムDNA中の核酸と自然に連結している配列(すなわち、この核酸の5’及び3’末端に位置する配列)を含まない。例えば、各種実施形態において、単離されるStaphylococcus epidermidis核酸分子は、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb又は0.1kb未満の、核酸が得られる細胞のゲノムDNA中の核酸分子と自然に連結しているヌクレオチド配列を含み得る。しかし、Staphylococcus epidermidis核酸分子は、他のタンパク質のコード配列又は調節配列と融合させることができ、尚且つ依然として、単離されたと見なされ得る。
【0030】
本明細書中に記載するORFポリヌクレオチド及びそのポリペプチドは、mRNAに由来するcDNAライブラリーからの標準的クローニング及びスクリーニング技法を用いて得ることができる。本発明のポリヌクレオチドは、ゲノムDNAライブラリー(例えば、Staphylococcus epidermidisライブラリー)等の自然の供給源から得ることもでき、又は、良く知られ、市販されている技法を用いて合成することができる。
【0031】
遺伝子コードの縮重により、配列番号33〜配列番号64に示されるヌクレオチド配列(及びその断片)とは異なるが、配列番号33〜配列番号64に示されるヌクレオチド配列によってコードされるものと同じStaphylococcus epidermidisポリペプチドをコードする核酸分子も本発明に包含される。
【0032】
Staphylococcus epidermidisポリヌクレオチドのオーソログ及びアレル改変体は、当技術分野において良く知られている方法を用いて容易に同定することができる。このポリヌクレオチドのアレル改変体及び/又はオーソログは、配列番号33〜配列番号64に示されるヌクレオチド配列、又はこれらのヌクレオチド配列の断片に対して、典型的には少なくとも約70〜75%、より典型的には少なくとも約80〜85%、及び最も典型的には少なくとも約90〜95%又はより相同であるヌクレオチド配列を含み得る。かかる核酸分子は、配列番号33〜配列番号64に示されるヌクレオチド配列、又はこれらのヌクレオチド配列の断片と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るものとして容易に同定され得る。
【0033】
さらに、このポリヌクレオチドは、Staphylococcus epidermidisポリヌクレオチド又は遺伝子のコード領域の断片、例えば、配列番号33〜配列番号64のうちの一つの断片のみを含むことができる。特定の実施形態において、かかる断片は免疫原性断片をコードする。
【0034】
本発明のこれらのStaphylococcus epidermidisORFポリヌクレオチドは、免疫原性組成物中に含有させるためのStaphylococcus epidermidisポリペプチドの組換え産生のために使用され、このポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチドのためのコード配列それ自体、又は、その他のコード配列、例えば、リーダー又は分泌配列、プレ−又はプロ−又はプレプロ−タンパク質配列、又はその他の融合ペプチド部分をコードしている配列と共に存在している、リーディングフレーム中の成熟ポリペプチドのためのコード配列を含み得る。例えば、融合ポリペプチドの精製を容易にし得るマーカー配列をコード配列に連結し得る(Gentzら, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 86:821−824, 1989参照。参照により以下、本明細書中にその全体を組み入れるものとする)。したがって、本発明においては、発現産物のHisタグ精製を可能にする融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの調製が意図される。このポリヌクレオチドは、非コード5’及び3’配列、例えば、転写、非翻訳配列、スプライシング及びポリアデニル化シグナルを含んでも良い。
【0035】
したがって、Staphylococcus epidermidis以外の種、例えば、Staphylococcus aureusからのホモログ及び/又はオーソログ等の本発明の免疫原性組成物中に含有させるためのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号33〜配列番号64、その断片のうちの一つの配列を有する標識プローブを用いて、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で適当なライブラリーをスクリーニングする工程と、このポリヌクレオチド配列を含有する全長cDNA及びゲノムクローンを単離する工程とを含む方法により得ることができる。かかるハイブリダイゼーション技法は当業者に良く知られている。多くの場合、当業者であれば、ポリペプチドをコードしている領域がcDNAの5’末端において短く切断されているという点において、単離されたcDNA配列は不完全であり得るということを理解するであろう。このことは、「プロセシビティー」(重合反応中にテンプレートに結合したままでいる酵素の能力の尺度)が本質的に低い酵素である逆転写酵素の、第1鎖のcDNA合成中におけるmRNAテンプレートのDNAのコピーを完了しないことの結果である。
【0036】
したがって、特定の実施形態において、本明細書中において提供されるポリヌクレオチド配列情報は、以下に開示される選択されたポリヌクレオチドの遺伝子配列と特異的にハイブリダイズする能力を有する比較的短いDNA(又はRNA)オリゴヌクレオチド配列の調製を可能にする。以下に使用する時、用語「オリゴヌクレオチド」は、2以上のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド、通常は3より多い、及び、通常は10より多く、100まで又はそれ以上の分子(好ましくは20〜30の範囲であるが)として規定される。正確な大きさは多くの因子に依存し、すなわち、オリゴヌクレオチドの最終的な機能又は用途にし得る。したがって、特定の実施形態において、適当な長さの核酸プローブは、選択されるヌクレオチド配列、例えば、配列番号33〜配列番号64に示されるような配列の検討に基づいて調製される。Staphylococcus epidermidisポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズする、かかる核酸プローブの能力は、様々な実施形態における特定の用途に役立つ。最も重要なことは、このプローブは、所定のサンプルにおける相補的配列の存在を検出するための様々なアッセイにおいて使用できるということである。
【0037】
特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマーを使用することが有利である。これらのプライマーは、化学合成、DNA複製、逆転写、又はこれらの組み合わせ等を含む任意の様式で生成させることができる。かかるプライマーの配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技法を用いて、原核細胞からStaphylococcus epidermidisポリペプチドをコードするORFポリヌクレオチドの規定された断片を検出、増幅又は変異させるのに使用するために、本明細書中に記載するポリヌクレオチドを用いて設計される。
【0038】
特定の実施形態において、ハイブリッド形成を検出するための適当な標識と組み合わせて、本明細書中に記載するポリヌクレオチドを使用することは有利である。様々の適当な標識が当技術分野において知られており、例えば、放射性リガンド、酵素性リガンド又はアビジン/ビオチン等のその他のリガンドを挙げることができ、これらは検出可能なシグナルを生じ得る。
【0039】
配列番号33〜配列番号64又はその断片の1つを含むヌクレオチド配列と同一又は実質的に同一であるポリヌクレオチドは、cDNA及びゲノムcDNAのためのハイブリダイゼーションプローブとして、又は核酸増幅(PCR)反応のためのプライマーとして、本明細書中に記載するポリペプチドをコードする完全長cDNA及びゲノムクローンを単離するために、及び、配列番号33〜配列番号64に示されるポリヌクレオチド配列又はその断片との高い配列類似性を有するその他の遺伝子(Staphylococcus epidermidis以外の種由来のホモログ及び/又はオーソログをコードする遺伝子を含む)のcDNA及びゲノムクローンを単離するために使用することができる。典型的には、これらのヌクレオチド配列は、参照ポリヌクレオチド配列の配列と少なくとも約70〜95%同一である。プローブ又はプライマーは、通常、少なくとも15ヌクレオチドを含み、好ましくは少なくとも30ヌクレオチド、また、少なくとも50ヌクレオチドを有し得る。特に好ましいプローブは、30〜50ヌクレオチドを有するであろう。
【0040】
全長cDNAを得るため、又は、例えば、cDNA末端迅速増幅法(RACE)に基づいて、短いcDNAを延長するためには、当業者に利用可能な良く知られたいくつかの方法が存在する。Frohman ら, Proc.Natl.Acad.ScL USA 85, 8998−9002, 1988 参照。例えば、MarathonTM技法(Clontech Laboratories Inc.)によって例示される最近の技法の改変は、より長いcDNAの探索を著しく単純化している。MarathonTM技法において、cDNAは、選択された組織から抽出されたmRNAから調製され、各末端に「アダプター」配列が連結されている。次に、オリゴヌクレオチドプライマーに特異的な遺伝子及びオリゴヌクレオチドプライマーに特異的なアダプターの組み合わせを用いて、cDNAの「失われた」5’末端を増幅するために、核酸増幅(PCR)が行われる。次に、「ネスト化」プライマー、すなわち、増幅産物中でアニールするように設計されているプライマー(典型的には、アダプター配列中のさらなる3’にアニールするプライマーに特異的なアダプター及び既知の遺伝子配列中のさらなる5’にアニールするプライマーに特異的な遺伝子)を用いて、PCR反応が反復される。次に、この反応の生成物は、DNA配列決定法によって、及び、存在するcDNAに直接この生成物を結合させて完全な配列を得るか、又は5’プライマー設計のための新規配列情報を用いて別個の全長PCRを行うことによって構築された全長cDNAによって分析することができる。
【0041】
本発明による特定の利点をもたらすために、ハイブリダイゼーション研究又はアッセイのために使用される好ましい核酸配列は、Staphylococcus epidermidisポリペプチドをコードする少なくとも10〜約70ヌクレオチド長の幅のポリヌクレオチドに相補的なプローブ分子、例えば、配列番号33〜配列番号64のうちの一つに示されるものを含む。少なくとも10ヌクレオチド長の大きさというのは、その断片が、安定且つ選択的な二本鎖分子の形成に十分な長さとなり得ることを確実にするのに役立つ。ところが、ハイブリッドの安定性及び選択性を増大させ、それにより、得られる特異的ハイブリッド分子の質及び程度を向上させるためには、10塩基長よりも大きな幅の相補的配列を有する分子が一般的には好ましい。25〜40ヌクレオチド、55〜70ヌクレオチド、又は、所望される場合にはさらに長いストレッチの相補的遺伝子を有する核酸分子を設計することが通常は好まれる。かかる断片は、例えば、化学的手段による断片の直接的合成により、(米国特許第4,683,202号、参照により以下、本明細書中に組み入れるものとする)のPCR技術等の核酸再製技法の適用により、又は、適当なインサート及び適当な制限酵素部位を含む組換えプラスミドからの選択されたDNA断片を切り出すことにより、容易に調製することができる。
【0042】
別の実施形態において、単離・精製されたポリヌクレオチドは、配列番号33〜配列番号64のうちの一つの少なくとも10個の連続する塩基部分と同一又は相補的なヌクレオチド配列を含み、このポリヌクレオチドはStaphylococcus epidermidisポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズすることが意図されている。好ましくは、単離・精製されるポリヌクレオチドは、配列番号33〜配列番号64のうちの一つの少なくとも25〜約70個の連続する塩基部分と同一又は相補的な塩基配列を含む。例えば、このポリヌクレオチドは、開示されているヌクレオチド配列の40個又は55個の連続する塩基と同一又は相補的な塩基部分を含むことができる。
【0043】
したがって、ポリヌクレオチドプローブ分子は、遺伝子の相補的ストレッチと二本鎖分子を選択的に形成するその能力のために使用することができる。目的とする用途に応じて、標的配列に対するプローブの選択性の程度を変化させ得るためにハイブリダイゼーション条件を変化させることを利用し得る(以下表1参照)。高度の選択性が要求される用途のために、通常は、ハイブリッドを形成させるために比較的ストリンジェントな条件を使用することが所望され得る。いくつかの用途に対しては、例えば、内在するテンプレートに対してハイブリダイズする変異プライマー鎖を用いて変異体を調製しようとする場合、又は、その他の細胞からStaphylococcus epidermidis相同ポリペプチドコード配列、機能的均等物等を単離しようとする場合、ストリンジェンシーのより低いハイブリダイゼーション条件が、通常、ヘテロ二本鎖の形成を可能とするために必要とされる(表1参照)。クロスハイブリダイズしている種は、それによって、対照のハイブリダイゼーションに対する陽性のハイブリダイズシグナルとして容易に同定される。すなわち、ハイブリダイゼーション条件は容易に操作され、通常は、所望の結果に応じた方法の選択となり得る。
【0044】
いくつかの用途に対しては、例えば、内在するテンプレートに対してハイブリダイズする変異プライマー鎖を用いて変異体を調製しようとする場合、又は、その他の細胞から相同するポリペプチドのコード配列、機能的均等物等を単離しようとする場合、ストリンジェンシーのより低いハイブリダイゼーション条件が、通常、ヘテロ二本鎖の形成を可能とするために必要とされる。クロスハイブリダイズしている種は、それによって、対照のハイブリダイゼーションに対する陽性のハイブリダイズシグナルとして容易に同定される。いずれの場合においても、温度の上昇と同様にハイブリッド二本鎖を不安定化させるように機能する、より多くの量のホルムアミドを添加することにより、条件がよりストリンジェントなものとされることが通常は好ましい。したがって、ハイブリダイゼーション条件は容易に操作され、通常は、所望の結果に応じた方法の選択となり得る。
【0045】
さらに、ストリンジェンシーが低減された条件、より好ましくはストリンジェントな条件、及び、最も好ましくは高度にストリンジェントな条件下で、以下に記載するポリヌクレオチドとハイブリダイズし得るポリヌクレオチドが本明細書中に記載される。ストリンジェンシー条件の例を以下の表1に示す:高度にストリンジェントな条件は、例えば、条件A〜Fと少なくとも同じストリンジェントな条件であり;ストリンジェントな条件は、例えば、条件G〜Lと少なくとも同じストリンジェントな条件であり;低減されたストリンジェントな条件は、例えば、条件M〜Rと少なくとも同じストリンジェントな条件である。
【0046】
(表1)
(ストリンジェンシー条件)
【0047】
【表1−1】

【0048】
【表1−2】

(bp):ハイブリッドの長さは、ハイブリダイズしているポリヌクレオチドのハイブリダイズ領域に対して予想される。未知の配列の標的ポリヌクレオチドに対してあるポリヌクレオチドをハイブリダイズさせる時、ハイブリッドの長さは、ハイブリダイズしているポリヌクレオチドの長さであると推定される。既知の配列のポリヌクレオチドをハイブリダイズさせる時、ハイブリッドの長さは、ポリヌクレオチドの配列を整列させ、最適な配列相補性を示す領域又は複数の領域を同定することにより決定することができる。
緩衝液:SSPE(1×SSPEは、0.15MのNaCl、10mMのNaHPO、及び1.25mMのEDTA、pH7.4である)は、ハイブリダイゼーション及び洗浄緩衝液において、SSC(IxSSCは、0.15MのNaCl及び15mMのクエン酸ナトリウムである)と変更し得る;洗浄はハイブリダイゼーションが完了した後、15分間行われる。
〜T:50塩基対長よりも短いと予想されるハイブリッド形成のためのハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融解温度(T)よりも5〜10℃低くあるべきであり、この場合、Tは次の等式に従って決定される。18塩基対長よりも短いハイブリッドに対しては、T(℃)=2(A+T塩基の数)+4(G+C塩基の数)である。18〜49塩基対長のハイブリッドに対しては、T(℃)=81.5+16.6(log10[Na])+0.41(%G+C)−(600/N)であり、式中、Nはハイブリッド中の塩基の数であり、[Na]はハイブリダイゼーション緩衝液中のナトリウムイオンの濃度(1×SSCの場合の[Na]=0.165M)である。
【0049】
ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションのためのストリンジェントな条件のさらなる例は、Sambrookら, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY,第9及び11章、並びに、Ausubelら, 1995, Current Protocols in Molecular Biology,編, John Wiley & Sons,Inc., セクション2.10及び6.3−6.4に示され、これらの文献は参照により以下、本明細書中に組み入れるものとする。
【0050】
(B.Staphylococcus epidermidisのポリヌクレオチド)
特定の実施形態において、本発明は、免疫原性組成物中において使用するための単離・精製されたStaphylococcus epidermidisポリペプチドを提供する。好ましくは、本発明の免疫原性組成物中において使用されるStaphylococcus epidermidisポリペプチドは、組換えポリペプチドである。特定の実施形態において、Staphylococcus epidermidisポリペプチドは、配列番号1〜配列番号32、その生物学的均等物、又はその断片のうちの一つのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0051】
本発明の免疫原性組成物において使用されるStaphylococcus epidermidisポリペプチドは、1)配列番号1〜配列番号32のうちの一つに示されるアミノ酸配列;2)配列番号1〜配列番号32のStaphylococcus epidermidisポリペプチドの機能的及び非機能的な天然の改変体又は生物学的均等物;3)配列番号1〜配列番号32のStaphylococcus epidermidisポリペプチドの組換え生産された改変体又は生物学的均等物;及び4)Staphylococcus epidermidis以外の生物から単離されたポリペプチド(すなわち、Staphylococcus epidermidisポリペプチドオーソログ)を含むポリペプチドを包含する。
【0052】
かかるStaphylococcus epidermidisポリペプチドの生物学的均等物又は改変体は、1)Staphylococcus epidermidisから単離されたポリペプチド;及び2)Staphylococcus epidermidisポリペプチドと実質的な相同性を含むポリペプチドを包含する。
【0053】
Staphylococcus epidermidisの生物学的均等物又は改変体は、機能的及び非機能的の両方のStaphylococcus epidermidisポリペプチドを含む。機能的な生物学的均等物又は改変体は、対象における免疫反応又は抗原反応を引き起こす能力を保持するStaphylococcus epidermidisポリペプチドの天然のアミノ酸配列改変体である。機能的改変体は、通常、配列番号1〜配列番号32のうちの一つの1以上のアミノ酸の保存的置換のみ、又はポリペプチドの(例えば、抗原決定基又は保護エピトープを含む領域ではない)非重要領域の非重要残基の置換、欠失、又は挿入を含むであろう。
【0054】
本発明はさらに、Staphylococcus epidermidisポリペプチドの非Staphylococcus epidermidisオーソログを提供する。Staphylococcus epidermidisポリペプチドのオーソログは、非Staphylococcus epidermidis生物から単離され、Staphylococcus epidermidisポリペプチドの抗原性を有するポリペプチドである。Staphylococcus epidermidisポリペプチドのオーソログは、配列番号1〜配列番号32のうちの一つと実質的に相同なアミノ酸配列を含むものとして容易に同定し得る。
【0055】
改変及び変更が本発明のポリペプチドの構造において可能であり、依然としてStaphylococcus epidermidis抗原性を有する分子が得られる。例えば、特定のアミノ酸は、抗原性を感知される程度に損失することなく、配列中でその他のアミノ酸と置換することができる。そのことがポリペプチドの生物学的機能活性を規定するポリペプチドの相互作用能力及び特徴であることから、ポリペプチド配列(すなわち、当然、その根底となるDNAコード配列)中で特定のアミノ酸配列の置換を行わせることができ、その場合でも同様の特性を有するポリペプチドを得ることができる。
【0056】
かかる変異を作製する時に、アミノ酸のハイドロパシー・インデックスを検討することができる。ポリペプチドに相互作用的な生物学的機能を付与する際のハイドロパシー・インデックスの重要性は、当技術分野において一般的に理解されている(Kyte及びDoolittle, J Mol Biol, 157:p.105−132, 1982)。特定のアミノ酸を、同様のハイドロパシー・インデックス又はスコアを有するその他のアミノ酸と置換することができ、その場合でも同様の生物学的活性有するポリペプチドを生じることが知られている。各アミノ酸に、その疎水性及び荷電特性に基づき、ハイドロパシー・インデックスを付与した。それらのインデックスは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸塩(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸塩(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);及びアルギニン(−4.5)である。
【0057】
アミノ酸残基における相対的なハイドロパシー特性が、得られるポリペプチドの二次及び三次構造を決定し、いいかえれば、このポリペプチドとその他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、抗体、抗原等との相互作用を規定すると信じられている。アミノ酸は同様のハイドロパシー・インデックスを有する別のアミノ酸と置換することができ、依然として機能的に均等なポリペプチドが得られることが当技術分野において知られている。かかる改変の場合、ハイドロパシー・インデックスが+/−2の範囲にあるアミノ酸の置換が好ましく、+/−1の範囲にあるアミノ酸の置換が特に好ましく、+/−0.5の範囲にあるアミノ酸の置換がさらに特に好ましい。
【0058】
同様のアミノ酸の置換は親水性に基づいて行うこともでき、特に、それにより作製される生物学的機能が均等であるポリペプチド又はペプチドの免疫学的実施形態における使用が意図される場合に、行うことができる。米国特許第4,554,101号(以下、参照により本明細書中に組み入れるものとする)は、ポリペプチドの最大局所的平均親水性が、その隣接するアミノ酸の親水性に支配される時、その免疫原性及び抗原性と、すなわち、ポリペプチドの生物学的特性と、相関することを記載している。
【0059】
米国特許第4,554,101号に詳述されているように、以下の親水性値がアミノ酸残基に付与されている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸塩(+3.0±1);グルタミン酸塩(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);プロリン(−0.5±1);スレオニン(−0.4);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。アミノ酸は同様の親水性値を有する別のアミノ酸と置換することができ、依然として生物学的に均等な、特に免疫学的に均等なポリペプチドが得られることが理解される。かかる改変の場合、親水性値が±2の範囲にあるアミノ酸の置換が好ましく、±1の範囲にあるアミノ酸の置換が特に好ましく、±0.5の範囲にあるアミノ酸の置換がさらに特に好ましい。
【0060】
上記に概説したように、アミノ酸置換は、したがって、通常、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、大きさ等に基づく。上記の各種特性が考慮された典型的な置換が当業者には良く知られており、例えば:アルギニンとリジン;グルタミン酸塩とアスパラギン酸塩;セリンとスレオニン;グルタミンとアスパラギン;バリン、ロイシンとイソロイシンを挙げることができる(以下、表2参照)。したがって本発明は、上記に示したようなStaphylococcus epidermidisポリペプチドの機能的又は生物学的均等物を含む免疫原性組成物を意図する。
【0061】
(表2)
(アミノ酸置換)
【0062】
【表2】

ポリペプチドの生物学的又は機能的均等物は、部位特異的突然変異誘発法を用いて調製することもできる。部位特異的突然変異誘発法は、第2世代のポリペプチド、すなわち、コードするDNAの特異的な突然変異誘発によってその配列から得られる生物学的機能が均等なポリペプチド又はペプチドの調製において有用な技法である。上記のように、アミノ酸置換が望ましい場合に、かかる変異が望ましい場合がある。この技法はさらに、配列改変体を容易に調製して調べることを可能にし、例えば、1以上のヌクレオチド配列の変異をDNAに導入することにより、1以上の上述した検討が取り込まれる。部位特異的突然変異誘発法は、横断している欠失連結部の両側に安定した二本鎖を形成させるように十分な大きさと配列複雑性を有するプライマー配列を提供するための、所望の変異のDNA配列をコードする特異的なオリゴヌクレオチド配列の使用と、十分な数の隣接するヌクレオチドとを介して変異体の産生を可能にしている。通常は、配列連結部の両側の約5〜10残基が変異している、約17〜25ヌクレオチド長のプライマーが好ましい。
【0063】
一般的に、部位特異的突然変異誘発技法は当技術分野において良く知られている。理解され得るように、この技法は通常、一本鎖及び二本鎖の両方の形態で存在し得るファージベクターを使用する。通常、本発明に従う部位特異的突然変異誘発は、選択されたStaphylococcus epidermidisポリペプチド配列の全て又は一部をコードするDNA配列をその配列中に含む一本鎖ベクターをまず初めに得ることにより行われる。所望の変異配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーが(例えば、合成的に)調製される。次に、このプライマーを一本鎖ベクターにアニーリングし、そして、変異を含む鎖の合成を終了させるために、酵素、例えば、大腸菌ポリメラーゼIクレノー断片の使用により伸長させる。したがって、一方の鎖が元々の変異されていない配列をコードし、第二の鎖は所望の変異を有するヘテロ二本鎖が形成される。次に、このヘテロ二本鎖ベクターを用いて、大腸菌等の適当な細胞を形質転換し、変異を有する組換えベクターを含むクローンを選択する市販のキットは、オリゴヌクレオチドプライマーを除く必要な試薬の全てを伴っている。
【0064】
本発明の免疫原性組成物において使用されるStaphylococcus epidermidisポリペプチド又はポリペプチド抗原は、配列番号1〜配列番号32のうちの一つのアミノ酸配列を含むStaphylococcus epidermidisポリペプチドに対しての実質的な配列類似性、構造類似性及び/又は機能的類似性を含む任意のStaphylococcus epidermidisポリペプチドであると理解される。さらに、かかるStaphylococcus epidermidisポリペプチド又はポリペプチド抗原は特定の供給源に限定されない。したがって、本発明は、様々な供給源からのポリペプチドの一般的な検出及び単離を可能にする。
【0065】
Staphylococcus epidermidisポリペプチドは、さらなる構造又は機能分析、又は、Staphylococcus epidermidis関連ポリペプチド及びStaphylococcus epidermidis特異的抗体等の試薬の製造において使用するため都合が良いように切断してもよいということが本発明において意図される。このことは、エンドプロテイナーゼglu−C(Boehringer,Indianapolis,IN)等のペプチダーゼによる精製又は非精製Staphylococcus epidermidisポリペプチドの処置により達成することができる。CNBrによる処置は、ペプチド断片をStaphylococcus epidermidisポリペプチドから産生し得る別の方法である。組換え技法もまた、Staphylococcus epidermidisポリペプチドの特異的な断片を産生させるために用いることができる。
【0066】
Staphylococcus epidermidisポリペプチドの断片は、本発明の免疫原性組成物中にも含まれる。断片とは、全てではないが、部分的にアミノ酸配列が完全に同じであるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。この断片は、例えば、配列番号1〜配列番号32のうちの一つのアミノ酸配列の少なくとも7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、又はそれ以上)の連続するアミノ酸を含み得る。断片は「独立」していてもよいし、又は、部分若しくは領域、最も好ましくは一つの連続した領域を形成するより大きなポリペプチドに含まれてもよい。一実施形態において、断片は成熟ポリペプチド配列の少なくとも一つのエピトープを含む。
【0067】
「融合タンパク質」とは、2つの、無関係であることも多い、融合された遺伝子又はその断片によってコードされたタンパク質又はポリペプチドを意味する。例えば、別のヒトタンパク質又はその部分を伴う様々な割合の免疫グロブリン分子定常領域を含む融合タンパク質又はポリペプチドについて記載されている。多くの場合において、融合タンパク質又はポリペプチドの部分として免疫グロブリンFc領域を使用することは、治療及び診断における使用に関して有利であり、例えば、薬物動態学特性の向上をもたらす(例えば、国際出願EP−A 0232 2621号参照)。一方、いくつかの用途に対しては、融合タンパク質又はポリペプチドが発現され、検出され、精製された後にFc部分が取り除かれ得るのが望ましい。
【0068】
Staphylococcus epidermidisポリペプチドは、Staphylococcus epidermidisから単離されてもよいし、又は本明細書中に記載されるようにして組換え調製されてもよいことが意図される。
【0069】
(C.Staphylococcus epidermidisのポリヌクレオチド及びポリペプチド改変体)
次の用語を以下において使用する時、「改変体」とは、参照ポリヌクレオチド又はポリペプチドとはそれぞれ異なるが本質的な特性を維持しているポリヌクレオチド又はポリペプチドである。典型的なポリヌクレオチド改変体は、ヌクレオチド配列が、別の参照ポリヌクレオチドと異なる。改変体のヌクレオチド配列の変化は、参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変化させる場合も、又は変化させない場合もある。ヌクレオチドの変異は、以下において議論するように、参照配列によってコードされるポリペプチドにおけるアミノ酸の置換、付加、欠失、融合、及び切断を生じ得る。典型的なポリペプチド改変体は、アミノ酸配列が、別の参照ポリペプチドと異なる。一般的に、参照ポリペプチドと改変体の配列は全体的に非常に類似しており、多くの領域においては同一であるように、その違いは限られている。改変体と参照ポリペプチドとは、アミノ酸配列が、任意の組み合わせの1以上の置換、付加、欠失により異なっていてもよい。置換される又は挿入されるアミノ酸残基は、遺伝子コードによりコードされる一つであってもよいし、又はそうでなくてもよい。ポリヌクレオチド又はポリペプチドの改変体は天然のもの、例えば、アレル改変体であってもよいし、又は、天然に存在することが知られていない改変体であってもよい。ポリヌクレオチド及びポリペプチドの天然に存在しない改変体は、突然変異誘発技法又は直接合成により作製することができる。
【0070】
当技術分野において知られている「同一性」とは、配列同士を比較することにより決定される、2以上のポリペプチド配列間又は2以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当技術分野において、「同一性」は、場合によっては、かかる配列の列同士の一致により決定される、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列関係性の程度をも意味する。「同一性」及び「類似性」は既知の方法により容易に計算することができ、かかる方法の例としては、限定するものではないが、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M.,編, Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., 編, Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., 編, Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; and Sequence Analysis Primer, Gribskov, M.and Devereux, J., 編, M Stockton Press, New York, 1991; and Carillo, H., and Lipman, D., SIAM J.Applied Math., 48: 1073 (1988)等に記載されるものを挙げることができる。同一性を決定する方法は、調べる配列間で最大の一致が得られるように設計される。同一性及び類似性を決定する方法は、公に利用可能なコンピュータプログラムとして体系化されている。2つの配列間の同一性及び類似性を決定するためのコンピュータプログラム方法としては、限定するものではないが、GCGプログラムパッケージ(Devereuxら, Nucleic Acids Research 12(1):387, 1984), BLASTP, BLASTN, TBLASTN及びFASTA(Altschulら, J.Molec.Biol. 215:403−410, 1990)を挙げることができる。BLASTXプログラムは、NCBI及びその他の情報源から公に利用可能である(BLAST Manual, Altschul, S., ら, NCBI NLM NIH Bethesda, Md. 20894; Altschulら, J.Molec.Biol. 215:403−410, 1990.)。周知のSmith−Watermanアルゴリズムも、同一性の決定のために使用することができる。
【0071】
例えば、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド配列は、配列番号33〜配列番号64のうちの一つの参照配列と同一、すなわち100%同一であってもよく、又は、参照配列と比較した時に、特定の整数個までのヌクレオチドの変化を含んでもよい。かかる変化は、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、転移及び塩基転換を含む置換、又は挿入からなる群から選択され、この変化は参照ヌクレオチド配列の5’又は3’末端の位置、或いは、これらの末端位置の間の任意の場所で生じることができ、参照配列中のヌクレオチド間に個々に、又は、参照配列中の1以上の連続するグループ内に散在する。ヌクレオチドの変化の数は、配列番号33〜配列番号64のうちの一つにおける総ヌクレオチド数を、各パーセント同一性のパーセント数値(100で割る)に掛けて、配列番号33〜配列番号64のうちの一つにおける総ヌクレオチド数からその積を引くことにより決定される。
【0072】
例えば、配列番号33〜配列番号64のうちの一つの核酸配列と少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む単離されたStaphylococcus epidermidisポリヌクレオチド、その縮重改変体又はその断片は、このポリヌクレオチド配列が、配列番号33〜配列番号64のうちの一つの核酸配列のポリヌクレオチド領域全体にわたり最大n個の核酸の変異を含み得、nが変異の最大数である場合、次式により計算される:
≦x−(x・y)
式中、xは配列番号33〜配列番号64のうちの一つの核酸の合計数であり、yは0.70の値を有し、この場合、xとyの任意の非整数の積は、xからその積を引く前に最も近い整数に端数が切り捨てられる。当然、yはまた、80%に対しては0.80、85%に対しては0.85、90%に対しては0.90、95%に対しては0.95等の値を有し得る。配列番号1〜配列番号32のポリペプチドの一つをコードするポリヌクレオチドの変異は、このコード配列におけるナンセンス、ミスセンス又はフレームシフト変異を生じ、それにより、かかる変異後のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを変異させる。
【0073】
同様に、本明細書中に記載されるポリペプチド配列は、配列番号1〜配列番号32のうちの参照配列と同一、すなわち100%同一であってもよく、又は、参照配列と比較した時に、特定の整数個までのアミノ酸の変異を含んでもよく、%同一性は100%未満である。かかる変異は、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、保存的及び非保存的置換を含む置換、又は挿入からなる群から選択され、この変異は参照ポリペプチド配列のアミノ又はカルボキシ末端の位置、或いは、これらの末端位置の間の任意の場所に生じることができ、参照配列中のアミノ酸の間に個々に、又は、参照配列中の1以上の連続するグループ内に散在していてもよい。所定の%同一性に対するアミノ酸の変異の数は、配列番号1〜配列番号32のうちの一つにおける総アミノ酸数を、各パーセント同一性のパーセント数値(100で割る)に掛けて、配列番号1〜配列番号32のうちの一つにおける総アミノ酸数からその積を引くことにより、すなわち、式:
≦x−(x・y)
式中、nはアミノ酸の変異の数であり、xは配列番号1〜配列番号32のうちの一つのアミノ酸の合計数であり、yは、70%に対しては0.70、80%に対しては0.80、85%に対しては0.85等であり、この場合、xとyの任意の非整数の積は、xからその積を引く前に最も近い整数に端数が切り捨てられる。
【0074】
(D.ベクター、宿主細胞及び組換えStaphylococcus epidermidisポリヌクレオチド)
一実施形態において、本発明は、免疫原性組成物中に使用するためのStaphylococcus epidermidisポリペプチドをコードするORFポリヌクレオチドを含む、発現ベクターを提供する。Staphylococcus epidermidis発現ベクターは、配列番号1〜配列番号32のアミノ酸残基配列を含むStaphylococcus epidermidisポリペプチドをコードする、ORFポリヌクレオチドを含む。あるいは、発現ベクターは、配列番号33〜配列番号64の1つのヌクレオチド塩基配列を含むポリヌクレオチドを含む。その他の実施形態において、本発明の発現ベクターは、エンハンサー−プロモーターへと動作可能に連結されたポリヌクレオチドを含む。さらに別の実施形態において、発現ベクターは、原核生物プロモーターへと動作可能に連結されたポリヌクレオチドを含む。あるいは、発現ベクターは、真核生物プロモーターであるエンハンサー−プロモーターへと動作可能に連結されたポリヌクレオチドを含む。発現ベクターは、カルボキシ末端アミノ酸の3’及びコードされたポリペプチドの転写単位内に位置するポリアデニル化シグナルをさらに含む。
【0075】
原核生物におけるタンパク質の発現は、融合又は非融合タンパク質のいずれかを発現させる構成的な又は誘導的なプロモーターを含有するベクターにより、E.coli中で最もしばしば行われる。融合ベクターは、その中にコードされたタンパク質に対し、その組換えタンパク質のアミノ末端に多数のアミノ酸を加える。そのような融合ベクターは通常、3つの目的で役目を果たす:1)組換えタンパク質の発現を増加する;2)組換えタンパク質の溶解性を向上させる;及び3)アフィニティー精製におけるリガンドとして作用することにより、組換えタンパク質の精製を助ける。しばしば発現ベクターにおいては、融合タンパク質の精製に続く、融合部分からの組換えタンパク質の分離を可能にするため、原核生物の開裂部位が融合部分及び組換えタンパク質の結合部に導入される。このような酵素、及びそれらの同族の認識配列は、Xa因子、トロンビン及びエンテロキナーゼを含む。
【0076】
典型的な融合発現ベクターは、pGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith及びJohnson, Gene 67:31−40, 1988)、pMAL(New England Biolabs, Beverly; MA)及びpRIT5(Pharmacia, Piscataway, NJ)を含み、それらはグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、又はプロテインAをそれぞれ標的組換えタンパク質に融合する。
【0077】
一実施形態において、N−末端からC−末端まで、GST−トロンビン開裂部位−Staphylococcus epidermidisポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするベクターを創出するために、Staphylococcus epidermidisポリヌクレオチドのコード配列をpGEX発現ベクターへとクローニングする。融合タンパク質は、グルタチオン−アガロース樹脂を用いたアフィニティークロマログラフィーにより精製することができる。GSTへと融合されていない組換えStaphylococcus epidermidisポリペプチドは、トロンビンを用いた融合タンパク質の開裂によって回収することができる。
【0078】
誘導性の非融合E.coli発現ベクターの好適な例としては、pTrc(Amann ら, Gene 69:301−315, 1988)、pET IId(Studier ら. “Gene Expression Technology” Methods in Enzymology 185, 60−89, 1990)、pBAD及びpCRT7が挙げられる。pTrcベクター由来の標的遺伝子発現は、ハイブリッドtrp−lac融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写に依存する。pET IIdベクターからの標的遺伝子発現は、共発現されるウィルスRNAポリメラーゼJ7gnlにより介在されるT7 gn10−lac融合プロモーターからの転写に依存する。このウィルスポリメラーゼは、lacUV5プロモーターの転写制御下で、T7gnl遺伝子を保持する耐性プロファージ由来の宿主株BL21(DE3)又はHMS174(DE3)によって供給される。
【0079】
E.coli中での組換えタンパク質の発現を最大化するための1方策は、その組換えタンパク質をタンパク質分解的に開裂させる能力を損なった宿主細菌中で、そのタンパク質を発現させることである。別の方策は、各アミノ酸に関する個々のコドンが、E.coli中で優先的に利用されるものとなるように、発現ベクター中へと挿入する核酸の核酸配列を変えることである。本発明の核酸配列におけるこのような改変は、標準的なDNA変異又は合成手法により実行可能である。
【0080】
別の実施形態において、Staphylococcus epidermidisポリヌクレオチド発現ベクターは酵母発現ベクターである。酵母S.cerevisiaeにおける発現用ベクターの例には、pYepSec I(Baldariら, Embo J, 6:p. 229−234,1987)、pMFa(Kurjan及びHerskowitz, Cell, p. 933−943, 1982)、pJRY88(Schultz ら.Gene, 54: p. 113−123, 1987)、及びpYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, CA)が挙げられる。
【0081】
別の方法において、Staphylococcus epidermidisポリヌクレオチドは、例えば、バキュロウィルス発現ベクターを用いて昆虫細胞中で発現させることができる。培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)中でのタンパク質発現が可能なバキュロウィルスベクターの例には、pAcシリーズ(Smithら、Mol Cell Biol, 3:p. 2156−2165, 1983)及びpVLシリーズ(Lucklow及びSummers, Virology, 170:p. 31−39, 1989)が挙げられる。
【0082】
さらに別の実施形態において、本発明の核酸は哺乳動物発現ベクターを用いて哺乳動物細胞中で発現される。哺乳動物発現ベクターの例には、pCDM8(NAture, 329:p. 840, 1987参照)及びpMT2PC(Kaufmanら、EMBO J, 6:p. 187−195, 1987)が挙げられる。哺乳動物細胞中で用いられる場合、発現ベクターの制御機能は、しばしばウィルスの調節エレメントにより提供される。
【0083】
以下に使用される時、プロモーターは通常、転写が開始する点(すなわち、転写開始点)の前(上流)の約100ヌクレオチド対の範囲内のDNA分子における領域である。この領域は通常、異なる遺伝子中で類似する相対的な位置に配置されるいくつかのタイプのDNA配列エレメントを含む。以下に用いられるように、用語「プロモーター」は、プロモーター領域の上流、プロモーター領域、又は汎用の真核RNAポリメラーゼII転写ユニットにおけるプロモーターであるとして技術的に称されるものを含む。
【0084】
別のタイプの個別的な転写調節配列エレメントがエンハンサーである。エンハンサーは、特定のコード領域(例えば、遺伝子)に関して、時間、部位及び発現レベルにおける特異性を提供する。エンハンサーの主要な機能は、そのエンハンサーに結合した1以上の転写因子を含む細胞中のコード配列における転写レベルを増加させることである。プロモーターとは異なり、エンハンサーは、プロモーターが存在している限り、転写開始点から様々な距離で離れて配置された場合にも機能し得る。
【0085】
以下に使用される時、語句「エンハンサー−プロモーター」は、エンハンサー及びプロモーターエレメントの両方を含む複合単位を意味する。エンハンサー−プロモーターは、少なくとも1つの遺伝子産物をコードする、動作可能に連結されたコード配列である。以下に使用される時、語句「動作可能に連結された」は、エンハンサー−プロモーターが、コード配列の転写がこのエンハンサー−プロモーターによって制御及び調節されるような方法によってコード配列へと連結されることを意味する。エンハンサー−プロモーターをコード配列へと動作可能に連結するための手段は技術的に良く知られている。技術的に良く知られているように、その調節が制御されるコード配列に関する正確な方向および配置は、特に、そのエンハンサー−プロモーターの特異的な特性に依存する。すなわち、TATA box最小プロモーターは、典型的には転写開始部位の約25〜30塩基対上流に位置し、上流プロモーターエレメントは、典型的には転写開始部位の約100〜200塩基対上流に位置する。対照的に、エンハンサーは、転写開始部位の下流に、この部位からかなり離れて配置され得る。
【0086】
本明細書中に記載のベクター構築物中に使用されるエンハンサー−プロモーターは、トランスフェクトされる細胞中における発現を推進させる任意のエンハンサー−プロモーターであり得る。よく知られた特性を有するエンハンサー−プロモーターを利用することにより、遺伝子産物の発現レベル及び発現パターンを最適化することができる。
【0087】
例えば、一般的に用いられるプロモーターとしては、ポリオーマ、アデノウィルス2、サイトメガロウィルス及びシミアンウィルス40由来のものがある。原核及び真核細胞の両方に関するその他の好適な発現系に関しては、Sambrookら, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual” 2nd, ed, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989の16章及び17章を参照、参照により以下に組み入れるものとする。
【0088】
別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞タイプ(例えば、核酸を発現させるために組織特異的な調節エレメントが用いられる)
において優先的に核酸を発現させることが可能である。組織特異的な調節エレメントは技術的に知られている。好適な組織特異的なプロモーターの非限定的な例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkertら、Gene Dev, 1:p.268−277, 1987)、リンパ球特異的プロモーター(Calame及びEaton, Adv Immunol, 43:p.235−275, 1988)、特に、T細胞受容体のプロモーター(Winoto及びBaltimore, EMBO J, 8:p.729−733, 1989)及び免疫グロブリン(Banerjiら, Cell, 33:p.729−740, 1983)、(Queen及びBaltimore, Cell, 33: p. 741−748, 1983)、神経細胞特異的プロモーター(例えば、神経フィラメントプロモーター;Byrne及びRuddle, PNAS, 86:p.5473−5477, 1989)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら, Science, 230: p. 912−916, 1985)、及び乳腺特異的なプロモーター(例えば、ミルクホエイプロモーター;米国特許第4,873,316号及び国際出願EP264,166号)が挙げられる。発達上調節を受けるプロモーターもまた包含され、例えば、マウスhoxプロモーター(Kessel及びGruss, Science, 249:p.374−379, 1990)及びα−フェトプロテインプロモーター(Campes及びTilghman, Gene Dev, 3: p. 537−546, 1989)が挙げられる。
【0089】
本明細書中において、アンチセンスの向きで発現ベクターへとクローニングされたStaphylococcus epidermidisポリペプチドをコードするDNA分子を含む組換え発現ベクターもまた提供される。すなわち、このDNA分子は(DNA分子の転写により)Staphylococcus epidermidismRNAに対しアンチセンスなRNA分子の発現を可能にするやり方で、調節配列へと動作可能に連結される。アンチセンス方向でクローニングされ動作可能に連結された、各種の細胞タイプにおけるアンチセンスRNA分子の連続的な発現を方向づける調節配列を選択することができる。例えば、アンチセンスRNAの恒常的、組織特異的又は細胞タイプ特異的な発現を方向付けるウィルスのプロモーター及び/又はエンハンサー、又は調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは組換えプラスミド、ファージミド又は弱毒化ウィルスの形態であることができ、その場合アンチセンス核酸は高性能調節領域の制御下で産生され、その活性はベクターが導入される細胞タイプにより決定することができる。
【0090】
本明細書中に記載の組換え発現ベクターは、任意の好適な宿主細胞へと挿入することができる。用語「宿主細胞」及び「組換え宿主細胞」は以下、同義的に用いられる。このような用語は特定の検体細胞のみを称するものではなく、このような細胞の子孫又は潜在的子孫をも称することが理解される。突然変異又は環境影響のいずれかにより、後世においてある種の修飾が生じ得る可能性があるため、このような子孫は実際に親細胞と同一ではない場合があるが、その場合も、以下に用いられるようにこの用語の範囲内に包含される。宿主細胞は任意の原核又は真核細胞であり得る。例えば、Staphylococcus epidermidisポリペプチドは、E.coli等の細菌細胞、昆虫細胞(Sf9、Sf21等)、酵母又は哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、VERO、ニワトリ胚繊維芽細胞、BHK細胞又はCOS細胞等)等において発現され得る。その他の好適な宿主細胞は当業者に知られている。
【0091】
ベクターDNAを、従来の形質転換、感染又はトランスフェクション手法を介して原核又は真核細胞へと導入する。以下に用いるように、用語「形質転換」及び「トランスフェクション」は、外来核酸(例えばDNA)を宿主細胞へと導入するための技術的に知られた各種の手法を称することが意図され、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム又は共沈殿、DEAE−デキストラン介在トランスフェクション、リポフェクション、超音波又はエレクトロポレーション等を含む。宿主細胞の好適なトランスフォーメーション又はトランスフェクションの方法は、Sambrookら(“Molecular Cloning: A Laboratory Manual” 2nd, ed, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)及びその他のラボラトリーマニュアル中に見いだすことができる。
【0092】
培養において、原核又は真核宿主細胞等の本明細書中に記載する宿主が、Staphylococcus epidermidisポリペプチドを生産(すなわち、発現)するために使用される。従って、このような宿主細胞を用いたStaphylococcus epidermidisポリペプチドの生産方法も本明細書中に記載される。一実施形態において、この方法は、Staphylococcus epidermidisポリペプチドが生産されるまで、好適な培地中で培養宿主細胞(Staphylococcus epidermidisポリペプチドをコードする組換え発現ベクターがその中へと導入される)を培養することを含む。別の実施形態において、この方法は、培地又は宿主細胞からStaphylococcus epidermidisポリペプチドを単離することをさらに含む。
【0093】
発現ベクターのコード配列は、転写終了領域へと動作可能に連結される。RNAポリメラーゼは、ポリアデニル化が生じる部位を経由して、コーディングDNA配列を転写する。典型的には、ポリアデニル化部位から数百塩基対下流に配置されたDNA配列が、転写を終了させる役割を果たす。それらのDNA配列を以下、転写終了領域と称する。それらの領域は、転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)の効率的なポリアデニル化のために必要とされる。転写終了領域は当技術分野において良く知られている。このような転写終了領域の例としては、SV40及びプロタミン遺伝子のポリアデニル化シグナルが挙げられる。
【0094】
発現ベクターは、Staphylococcus epidermidisポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。このようなポリペプチドは、非Staphylococcus epidermidisポリペプチドをコードするポリヌクレオチド部分から区別するために十分な長さを有するStaphylococcus epidermidisポリペプチドをコードするヌクレオチド塩基配列を含むことが意図される。このようなポリペプチドはまた、交換されるアミノ酸の相対ハイドロパシースコア等の考慮に基づいて選択される変異等の変異アミノ酸配列を有する、生物学的機能を有するポリペプチド又はペプチドをコードすることもできる。これらの変異配列は、天然起源のものから単離され、又は部位特異的突然変異等の突然変異手法を用いて、以下に開示される配列において誘導されるものである。
【0095】
特定の実施形態において、本明細書中に記載する発現ベクターは、配列番号1〜配列番号32のうち1つのアミノ酸残基配列を含むポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドを含む。発現ベクターは、任意の上述のStaphylococcus epidermidisポリペプチドにおける、Staphylococcus epidermidisポリペプチドのコード領域自身を含み得、あるいは、選択された変異を有するコーディング領域又はそのようなStaphylococcus epidermidisポリペプチドの塩基のコーディング領域における変化を含み得る。あるいは、このようなベクター又は断片は、塩基のコーディング領域を含むが、より大きな単数ポリペプチド又は複数ポリペプチドをもコードし得る。いずれの事象においても、コドンの過剰性並びに生物学的機能的な等価性によって、この態様が上述のポリペプチド配列に相当する特定のDNA分子に限定されないことが理解されるべきである。
【0096】
例示的なベクターには、pCMV6b及びpCMV6c(Chiron Corp., Emeryville CA.)を含むpCMVファミリーの哺乳動物発現ベクターを含む。ある種の場合において、また、これら個々の哺乳動物発現ベクターの場合に特異的に、得られる構築物はpSV2neo等の選択可能なマーカーを含有するベクターを用いた共トランスフェクションを必要とし得る。DG44等のジヒドロ葉酸還元酵素欠損チャイニーズハムスター卵巣細胞株への共トランスフェクションを介して、Staphylococcus epidermidisポリペプチドを発現するクローンを、このような発現ベクターへと取り込まれるDNAの効果によって検出することができる。
【0097】
DNA分子は、当技術分野において良く知られている数多くの手法によって、ベクターへと取り込むことができる。例えば、ベクターpUC18は、遺伝子のクローニング及び発現において特別の価値があるものであることが示されている。同様に、関連するベクターであるM13mp18及びM13mp19は、本発明特定の実施形態において、特に、ジデオキシシーケンシングを行う際に使用され得る。
【0098】
本明細書中に記載の発現ベクターは、Staphylococcus epidermidisポリペプチドをコードするDNA自体を多量に調製する手段として、また、コードされたポリペプチド及びペプチドを調製する手段としての両方に有用である。Staphylococcus epidermidisポリペプチドを組換え手法により作る場合に、原核又は真核発現ベクターのいずれかをシャトルシステムとして利用できることが意図される。
【0099】
別の態様において、組換え宿主細胞は原核宿主細胞である。好ましくは、本発明の組換え宿主細胞は大腸菌DH5α株の細菌細胞である。一般に、DNA配列の最初のクローニング及び本発明において有用なベクターを構築するためには原核生物が好ましい。例えば、E.coli K12株は特に有用である。使用可能なその他の微生物株としては、E.coli B及びE.coli1976(ATCC No.31537)が挙げられる。これらの例は勿論、限定的なものではなく説明的なものであることが意図される。
【0100】
前述の株ならびにE.coli W3110(ATCC No.273325)、E.coli BL21(DE3)、E.coli Top10、枯草菌(Bacillus subtilis)等の桿菌(Bacilli)又はネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)(又は米国特許第4,837,151号に記載されるようなその他の弱毒化サルモネラ株)等のその他の腸内細菌科(enterobacteriaceae)、又はセラチア・マルセッセンス(Serratia marcesans)及び各種の緑膿菌(Pseudomonas)種が使用可能である。
【0101】
通常、宿主細胞に適合した種に由来するレプリコン及び制御配列を含有するプラスミドベクターが、これらの宿主と結合して使用される。ベクターは通常、複製部位ならびに形質転換した細胞中での表現形的な選択を提供可能なマーカー配列を保持する。例えば、E.coliはE.coli種由来のプラスミドであるpBR322(Bolivarら,1977)を用いて形質転換することができる。pBR322はアンピシリン及びテトラサイクリン耐性遺伝子を含み、したがって形質転換された細胞の同定するための容易な手段を提供する。pBRプラスミド又はその他の微生物プラスミド又はファージは、それ自身のポリペプチドを発現するために微生物によって使用され得るプロモーターを含んでいなくてはならず、あるいは含むように改変されなくてはならない。
【0102】
組換えDNA構築物中で最も通常的に使用されるそれらのプロモーターには、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)及びラクトースプロモーター系(Changら 1978;Itakuraら 1977, Goeddelら 1979;Goeddelら 1980)及びトリプトファン(TRP)プロモーター系(欧州特許第0036776号;Siebwenlistら 1980)を含む。これらが最もよく使用される一方、その他の微生物プロモーターが見いだされ、利用され、それらのヌクレオチド配列に関する詳細が公表されて、熟練者が機能的プロモーターをプラスミドベクターへと導入することを可能にしている(Siebwenlist, ら 1980)。
【0103】
原核微生物に加えて、酵母等の真核微生物も使用することができる。多数のその他の株が通常的に入手可能であるが、真核微生物の中では、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はよく知られたパン酵母が最も通常的に使用される。サッカロミセス中での発現のために、プラスミドYRp7が例えば通常的に使用される(Stinchcombら 1979;Kingsmanら 1979;Tschemperら 1980)。このプラスミドは、例えば、ATCC No.44076又はPEP4−1(Jones, 1977)等の、トリプトファン中で生育する能力を欠く酵母の突然変異株に関する選択マーカーを提供するtrpl遺伝子を既に含む。酵母宿主細胞ゲノムにおける特徴としてのtrpl欠損の存在は、その結果、トリプトファン非存在下での生育によって形質転換を検出するための効果的な環境を提供する。
【0104】
酵母ベクターにおける好適なプロモーター配列には、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzemanら 1980)、又はエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ及びグルコキナーゼ等のその他の糖分解酵素(Hessら 1968;Hollandら 1978)のプロモーターを含む。好適な発現プラスミドを構築する際に、mRNAのポリアデニル化及び終止を提供するために、これらの遺伝子に関する終止配列もまた、発現ベクターの発現される配列の下流へと導入される。生育条件により制御される転写において、好都合なさらなるその他のプロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連した分解酵素、及び上述のグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースの利用に関与する酵素に関するプロモーター領域がある。酵母に適合したプロモーター、複製基点又は複製及び終止配列を含有する任意のプラスミドベクターが好適である。
【0105】
微生物に加えて、多細胞生物由来の細胞培養物も宿主として使用される。原理としては、脊椎動物又は無脊椎動物培養物のいずれの由来であろうと、任意のそのような細胞培養物が使用可能である。しかし、脊椎動物細胞において最大の関心が払われており、脊椎動物細胞を培養物で増殖させること(組織培養)が近年は常法となっている。このような有用な宿主細胞の例には、AtT−20、VERO、HeLa、NSO、PERC6、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、及びW138、BHK、COSM6、COS−7、293及びMDCK細胞株がある。このような細胞に関する発現ベクターは本来、(必要な場合)複製基点、任意の必要なリボソーム結合部位を伴って発現される遺伝子の上流に配置されたプロモーター、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位及び転写終結配列を含む。
【0106】
組換えStaphylococcus epidermidisポリペプチドの発現が所望され、真核生物宿主が意図される場合、真核生物の複製基点を取り込むプラスミドのようなベクターを利用することが最も望まれる。さらに、真核生物系での発現を目的として、チャイニーズハムスター卵巣細胞と組み合わせて用いるプロモーター等の有効な真核プロモーターに隣接してその制御下に、Staphylococcus epidermidisをコードする配列を配置することが所望される。真核又は原核のいずれのものであろうと、コード配列をプロモーターの制御下に置くためには、ポリペプチドの適切な翻訳リーディングフレームにおける翻訳開始領域の5’末端は、選択されるプロモーターに対し、約1〜約50ヌクレオチド3’側又は下流に配置されなければならない。さらに、真核生物での発現が見込まれる場合は通常、Staphylococcus epidermidisポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを転写ユニットへと取り込むことが所望される。
【0107】
細胞をDNA分子等の外在性のポリヌクレオチドにより形質転換又はトランスフェクションを行うための手段は当技術分野において良く知られており、リン酸カルシウム又はDEAE−デキストラン介在トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム介在トランスフェクション、直接マイクロインジェクション及びアデノウィルス感染(例えばSambrook, Fritsch及びManiatis, 1989参照)等の手法を含む。
【0108】
最も広範に使用される方法は、リン酸カルシウム又はDEAE−デキストランのいずれかにより介在されるトランスフェクションである。そのメカニズムには不明な点も残るが、トランスフェクトされたDNAが細胞の細胞質へとエンドサイトーシスにより入り、核へ輸送されることが信じられている。細胞のタイプに依存して、培養細胞の90%までが常に輸送され得る。この高い効率によって、外来DNAを多数の細胞において一時的に発現させる必要がある実験に関し、リン酸カルシウム又はDEAE−デキストラン介在トランスフェクションが選択される方法となっている。リン酸カルシウム介在トランスフェクションはまた、通常head−to−tailタンデムアレイに配置される外来DNAのコピーを宿主細胞ゲノムへと統合する細胞株を構築するためにも用いられる。
【0109】
プロトプラスト融合法において、高コピー数の対象プラスミドを保持する細菌由来のプロトプラストを、培養哺乳動物細胞と直接混合する。(通常ポリエチレングリコールによる)細胞膜の融合後、細菌の内容物は哺乳動物細胞の細胞質へと輸送され、プラスミドDNAは核へと輸送される。プロトプラスト融合は、一時的な発現アッセイに通常用いられる多くの細胞株に関するトランスフェクションほどには効率的でないが、DNAのエンドサイトーシスが十分な効率で起こらない細胞株に関しては有用である。プロトプラスト融合はしばしば、宿主染色体へとタンデムに統合された複数コピーのプラスミドDNAをもたらす。
【0110】
各種の哺乳動物及び植物細胞へと短い高電圧の電気パルスを適用することは、原形質膜中にナノメートルサイズの孔を形成させる。これらの孔を通じて、又はその孔の閉鎖に伴う膜成分の再分布の結果としてのいすれかによって、DNAは直接的に細胞質へと取り込まれる。エレクトロポレーションは非常に効率的であり得、クローニングされた遺伝子の一時的発現のため、及び対象遺伝子の取り込まれたコピーを担持する細胞株の構築のために使用することができる。エレクトロポレーションは、リン酸カルシウム介在トランスフェクション及びプロトプラスト融合とは対照的に、1つ又は多くても数個の外来DNAの取り込まれたコピーを担持する細胞株をしばしば生じる。
【0111】
リポソームトランスフェクションは、リポソーム内へのDNA及びRNAのリポソーム内への封入を伴い、次いで、リポソームと細胞膜とが融合される。DNAがどのように細胞に送達されるのかのメカニズムは明らかではないが、トランスフェクション効率は90%の高さとなり得る。
【0112】
DNA分子の核への直接的マイクロインジェクションは、低pHエンドソーム等の細胞画分にDNAを曝露しないという利点を有する。従ってマイクロインジェクションは、対象となるDNAの集積されたコピーを有する細胞系を確立するための方法として、主として用いられる。
【0113】
細胞トランスフェクションのためのベクターとしてのアデノウィルスの使用は、当技術分野において良く知られている。アデノウィルスベクター介在性細胞トランスフェクションが各種細胞について報告されている(Stratford−Perricaudetら, 1992)。
【0114】
トランスフェクトされた細胞は原核性又は真核性であることができる。好ましくは、本発明の宿主細胞は原核宿主細胞である。Staphylococcus epidermidisポリペプチドを製造することに関心が持たれている場合は、培養原核宿主細胞が対象となる。
【0115】
さらに、Staphylococcus epidermidisポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて、細胞の形質転換、トランスフェクション又は感染によって形質転換された宿主細胞を産生させる工程及び、ポリペプチドの発現のために十分な生物学的条件下で形質転換された宿主細胞を維持する工程を含む、Staphylococcus epidermidisポリペプチドの製造プロセス又は方法が本発明において意図される。特定の実施形態において、形質転換される宿主細胞は原核細胞である。あるいは、宿主細胞は真核細胞である。より特定的には、原核細胞は大腸菌DH5−α株の細菌細胞である。あるいは、形質転換細胞中へトランスフェクトされるポリヌクレオチドは、配列番号33から配列番号64のうちの1つの核酸配列を含む。さらに、トランスフェクションは、上記に開示された発現ベクターを用いて達成される。本方法において使用される宿主細胞は、機能的な組換えStaphylococcus epidermidisポリペプチドを発現し得る。
【0116】
トランスフェクションの次に、細胞は、Staphylococcus epidermidisポリペプチドの発現のために十分な期間、培養条件下で維持される。培養条件は当技術分野において良く知られており、イオン組成及び濃度、温度、pH等が含まれる。通常、トランスフェクトされた細胞は培養培地中の培養条件下で維持される。様々な細胞型のための好適な培地が当技術分野において良く知られている。特定の実施形態において、培養温度は、約20℃〜約50℃、より好ましくは約30℃〜約40℃、及び、さらにより好ましくは約37℃である。
【0117】
pHは、好ましくは約6.0の値〜約8.0の値、より好ましくは約6.8の値〜約7.8の値、及び、最も好ましくは約7.4である。重量オスモル濃度は、好ましくは1リットル当たり約200ミリオスモル(mosm/L)〜約400mosm/L、及び、より好ましくは約290mosm/L〜約310mosm/Lである。コードされるタンパク質のトランスフェクション及び発現に必要とされるその他の生物学的条件は当技術分野において良く知られている。
【0118】
トランスフェクトされた細胞は、Staphylococcus epidermidisポリペプチドの発現にとって十分な期間維持される。好適な時間は特に使用される細胞型に依存し、当業者によって容易に決定され得る。通常は、維持時間は約2〜約14日間である。
【0119】
組換えStaphylococcus epidermidisポリペプチドは、トランスフェクトされた細胞又はそれらの細胞が培養されている培地のいずれかから回収又は収集される。回収はStaphylococcus epidermidisポリペプチドの単離及び精製を含む。ポリペプチドのための単離及び精製技法は当技術分野において良く知られており、例えば、沈殿、濾過、クロマログラフィー、電気泳動等の手順が挙げられる。
【0120】
(E.免疫原性組成物)
本発明は、以下の実施例に記載するような、選択される1以上のStaphylococcus epidermidisポリペプチド及び薬学上許容可能な担体からなる免疫原性組成物を提供する。特定の実施形態において、この免疫原性組成物は、配列番号1〜32の1以上のアミノ酸残基配列からなる1以上のStaphylococcus epidermidisポリペプチドを含む。その他の実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、Staphylococcus epidermidisポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及び薬学上許容可能な担体を含む。例えば、本発明の免疫原性組成物は、配列番号1〜32の1以上のアミノ酸残基配列を含むStaphylococcus epidermidisポリペプチドを含む。別の方法において、この免疫原性組成物は、配列番号33〜64の1以上のアミノ酸残基配列を含むStaphylococcus epidermidisポリペプチドを含む。
【0121】
各種試験は、本発明のポリペプチドのin vitroの免疫原性を調べるために使用した。例えば、Staphylococcus epidermidis細胞、問題のポリペプチドに対し特異的な抗体を含有する熱失活ヒト血清、及び外因性成分源の混合物をインキュベートすることによりin vitroオプソニンアッセイを行う。オプソニンの食作用は、新鮮な単離されたヒト多核白血球(PMN)、及び抗体/相補体/ブドウ球菌細胞混合物のインキュベーションの間に進展する。抗体及び相補体で覆われた細菌細胞はオプソニン食作用の際に死滅させられる。オプソニン食作用から逃れて生き残った細菌のコロニー形成単位(cfu)を、アッセイ混合物のプレーティングによって調べる。力価は、アッセイ対照と比較することにより調べた時に≧50%の細菌の死滅を与える最も高い希釈率の逆数として示される。試験された最も低い血清希釈率(1:8)において50%未満の死滅を示す検体を、OPA力価4を有するとして示す。試験した最も高い希釈率は1:2560である。最も高い希釈率において≧50%の死滅を示すサンプルを、より高い開始希釈率から繰り返す。上記の方法はGrayの方法(Gray, Conjugate Vaccines Supplement, p.694−697, 1990)の変法である。
【0122】
個々の血清に関し、試験血清に細菌細胞及び不活化成分を加えて含む試験用血清対照が含まれる。この対照は、抗生物質又はその他の血清成分の存在が細菌株を直接的に(すなわち相補物又はPMN非存在下で)死滅させることができるかどうかを調べるために用いられる。オプソニン力価がわかっているヒト血清を陽性ヒト血清対照として用いる。未知の各血清に関するオプソニン抗体力価を、血清非存在下での対象と比較して50%のcfu減少を与える血清の開始希釈率の逆数として算出する。
【0123】
全細胞ELISAアッセイは、in vitro免疫原性及びポリペプチド抗原の表面露出を調べるためにも用いられ、そこにおいて、対象の細菌株(Staphylococcus epidermidis)は96穴プレート等のプレート上にコートされ、免疫化された動物由来の試験血清が細菌細胞と反応する。試験ポリペプチド抗原に特異的な何らかの抗体が表面に露出したエピトープと反応性である場合、それは当業者に知られた標準的な方法により検出され得る。
【0124】
所望のin vitro活性を示す任意のポリペプチドを、次いでin vivo動物攻撃モデルにおいて試験する。特定の実施形態において、免疫原性組成物は、当業者に知られた免疫化方法および経路(例えば、鼻腔内、非経口の、経口の、直腸内の、経膣的な、経皮的な、腹腔内の、皮下的な、等の)による動物(例えば、マウス)の免疫化に使用される。特定のStaphylococcus epidermidis免疫原性組成物で動物を免疫化後に、この動物をStaphylococcus epidermidisで攻撃し、Staphylococcus epidermidis感染に対する耐性に関し分析する。
【0125】
Staphylococcus epidermidisポリヌクレオチド及びポリペプチドは、例えばヒト等の対象への投与に好適な免疫原性組成物へと取りこまれる。このような組成物は通常、薬学上許容可能な担体と共に核酸分子又はタンパク質を含む。以下に用いるように、用語「薬学上許容可能な担体」は、薬学的な投与に適合する任意かつ全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗生剤及び抗菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含むことが意図される。このような薬学的に活性な物質に関する溶媒及び剤の使用は技術的によく知られている。任意の従来の溶媒又は剤が活性化合物と適合しない場合を除いて、このような溶媒は本発明の組成物において使用することができる。追加的な活性化合物もまた、この組成物へと取り込むことが可能である。
【0126】
本発明の免疫原性組成物は、意図される投与経路に適合するように製剤化される。投与経路の例としては、非経口(例えば、静脈内、皮下、皮下、腹腔内)、経粘膜(例えば、経口、直腸内、鼻腔内、経膣、吸入)及び経皮(局所)等が挙げられる。腹腔内、皮内又は皮下への適用について用いられる溶液又は懸濁液には以下の成分を含む:注射液などの滅菌希釈剤、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又はその他の合成溶媒;ベンジルアルコール又はメチルパラベン等の抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム等の抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤; 酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩等の緩衝液、及び塩化ナトリウム又はデキストロース等の等張化調整剤。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウム等の酸又は塩基を用いて調整することができる。非経口調製物はアンプル、使い捨て注射器、又はガラス又はプラスチック製の複数回投与のバイアル中に封入することができる。
【0127】
注射用途に好適な薬学的組成物には、水系溶液(水溶性の場合)又は分散液及び滅菌注射液又は分散液をその場で調製するための滅菌粉末を含む。静脈内投与のための好適な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF, Parsippany, NJ)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、この組成物は滅菌されていなければならず、注射可能な範囲の液量である必要がある。それは製造条件下及び保存条件下で安定でなくてはならず、細菌及び菌類等の微生物による汚染から守られなくてはならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液状ポリエチレングリコール等)を含有する溶媒又は分散媒体またはそれらの好適な混合物であってもよい。好適な流動性は、例えば、レクチン等のコーティングの使用により、分散剤の場合は必要とされる粒子サイズにより、また界面活性剤の使用によって保たれ得る。微生物からの保護は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸等の各種の抗生物質及び抗菌剤により達成可能である。多くの場合、等張剤には、例えば、組成物中の糖類、マンニトール、ソルビトール等のポリアルコール、塩化ナトリウムを含む。注射可能な組成物の持続的吸収は、組成物中に吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含むことによりもたらし得る。
【0128】
滅菌された注射可能な溶液は、活性化合物(例えば、Staphylococcus epidermidisポリペプチド又は抗Staphylococcus epidermidis抗体)を、適切な溶媒中に、必要とされる量で、1種又は上記に列挙された成分と組み合わせて取り込むことによって調製することができ、必要に応じて続いて濾過滅菌することができる。分散液は通常、活性化合物を、基本的な分散溶媒及び上記に列挙された必要とされるその他の成分を含む滅菌ビヒクルへと取り込むことによって調製される。滅菌された注射可能な溶液を調製するための滅菌粉末の場合、活性成分に対して予め滅菌濾過した任意の付加的な所望成分の溶液由来の成分を加えたものの粉末を得る好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥である。
【0129】
経口組成物は通常、不活性な希釈剤又は可食性担体を含む。それらはゼラチンカプセル中に封入することができ、又は錠剤へと圧縮することができる。経口的治療的投与のためには、活性化合物を賦形剤と共に取り込んで、錠剤、トローチ又はカプセルの形態で使用することができる。経口組成物はまた、うがい薬等の用途に関する流体担体を用いて調製することもでき、その場合、流体担体中の化合物は経口的に適用され、局所使用され、吐き出されるか又は飲み込まれる。薬学上適合性を有する結合剤、及び/又はアジュバント物質は、組成物の一部として包含され得る。錠剤、丸薬、カプセル、トローチ等な任意の以下の成分又は類似の特性を有する成分を含むことができる:微結晶セルロース、トラガカントガム又はゼラチン等の結合剤;デンプン又は乳酸等の賦形剤、アルギン酸、Primogel、又はコーンスターチ等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はSterotes等の滑剤;コロイド状2酸化ケイ素等の流動促進剤;シュークロース又はサッカリン等の甘味剤;又はペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香料等の香料。
【0130】
吸入による投与に関しては、化合物は、例えば二酸化炭素等の好適なガスを含有する圧縮容器又はディスペンサーからのエアロゾルスプレーの形態で、送達される。経粘膜的又は経皮的な手段による全身的な投与もあり得る。経粘膜的又は経皮的な投与に関しては、浸透させたいバリアに対し好適な浸透剤が組成中に使用される。このような浸透剤は一般的に技術的に公知であり、例えば、経粘膜的な投与のためには、界面活性剤、胆汁塩及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜的な投与には、鼻腔スプレー又は座薬の使用を伴い得る。経皮的投与に関しては、活性成分は技術的に公知の軟膏、ゲル又はクリームの形態へと製剤化される。
【0131】
化合物はまた、(例えば、カカオバター及びその他のグリセリド等の従来の座剤ベースと共に)座薬の形態に、又は直腸内輸送のための停留浣腸の形態に調製され得る
一実施形態において、活性化合物は、体内からの迅速な排出に対抗して化合物を保護するであろう、インプラント及びマイクロカプセル輸送系等を含む放出制御製剤等の担体と共に調製される。
【0132】
エチレンビニルアセテート、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン及びポリ乳酸等の、生分解性の、生物学的適合性を有するポリマーが使用され得る。このような組成物の調製方法は当業者に明らかであろう。材料はAlza Corporation及びNova Pharmaceuticals, Inc.から購入可能である。リポソーム懸濁液(ウィルス抗原に対するモノクローナル抗体を伴う感染細胞を標的とするリポソームを含む)もまた、薬学上許容可能な担体として使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載の、当業者に公知の方法に従って調製することができ、参照により以下に組み入れるものとする。
【0133】
経口又は非経口組成物を投与量単位で製剤化することは、投与を容易にし、投与量の均一にすることに関し、特に都合が良い。投与量単位製剤は、以下に用いられるような、処置される対象に対し単回投与するのに好適な物理的に別個の単位をいう;各単位は、必要とされる薬学上の担体を伴って所望の治療効果をあげるように計算された、予め定められた量の活性化合物を含有する。本発明の投与量単位形態の仕様は、活性化合物の固有の特性及び達成されるべき特定の治療効果、及び個体の処置に関してこのような活性成分を混合する技術に固有の制約に直接的に依存して決定される。
【0134】
免疫原性組成物の組み合わせは、本発明の2以上のポリペプチドを含ませることにより、並びに、本発明の1以上のポリペプチドを、Staphylococcus aureusポリペプチド等の、Staphylococcus epidermidisのものではない1以上の公知のポリペプチドと組み合わせることにより、提供される。
【0135】
以下の12種のStaphylococcus epidermidisポリペプチド配列である、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号27、及び配列番号30は、Staphylococcus aureus由来のホモログと少なくとも90%の同一性を有するポリペプチド配列を有する。従ってこれら12のポリペプチドは、Staphylococcus aureusに対する免疫原性組成物中にも使用することができる。さらに、Staphylococcus aureusホモログに対し少なくとも90%の同一性を有するポリペプチドをコードする以下の12のStaphylococcus epidermidisポリヌクレオチド配列もまた、免疫学的組成物中に使用することができる:配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号46、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号55、配列番号58、配列番号59、及び配列番号62、又はその縮重改変体又はその断片。
【0136】
その他の実施形態において、本発明の1以上のポリペプチドを1以上の公知のStaphylococcus epidermidis多糖類又は多糖類−タンパク質コンジュゲートと組み合わせることにより、免疫原性組成物の組み合わせが提供される。例えば、the Staphylococcus epidermidis and Staphylococcos aureus capsular polysaccharide adhesin, PNSG, poly−N−succinyl beta−1−6 N−acetyl glucosamine(PIA, PS/A, PNAGとしても知られる)参照。Mckenney, D.ら、Infect.Immun. 66:4711 (1998)及びMckenney, D.ら, Science 284:1523 (1998)参照、その開示の全体を参照により本明細書中に組み入れるものとする。
【0137】
その他の実施形態において、本発明の1以上のポリペプチドを1以上の公知のStaphylococcus aureus多糖類又は多糖類−タンパク質コンジュゲートと組み合わせることにより、免疫原性組成物の組み合わせが提供される。例えば、Staphylococcus aureusにおける12の公知のカプセルセロタイプのうち、セロタイプ5(CP5)及びセロタイプ8(CP8)が全ての臨床分離株の約85−90%を占める。ほとんどのメチシリン耐性Staphylococcus aureus分離株はCP5を発現する。CP5及びCP8に対する抗体は、ヒト多形核好中球によるタイプ特異的なオプソニン食作用的な殺菌を誘導し、動物における防御を与える[Karakawa, W.W., Sutton, A.ら, Infect Immun 56(5):1090−1095 (1988);Fattom, A.I., Sarwar, J.ら, Infection & Immunity 64(5):1659− 1665 (1996)]。いくつかの研究室が、タンパク質に共有結合的に連結されたCP5及びCP8からなる免疫原性のコンジュゲートを合成している。
【0138】
これらのコンジュゲートはマウス及びヒトにおいて高度に免疫原性であり、食作用に関し、マイクロカプセル化されたStaphylococcus aureusをオプソニン化する抗体を誘導する[Fattom, A., Schneerson, R, ら, Infect lmmun 61(3): 1023− 1032 (1993); Gilbert, F.B., Poutrel, B., ら, Vaccine 12(4):369−374 (1994); Reynaud−Rondier, L., Voiland, A.ら, FEMS Microbiol Immunol 3(4):193−199 (1991)]。Pseudomonas aeruginosaの組換えエクソトキシンAへとコンジュゲートされたCP5を含有する一価の免疫原性組成物は免疫原性であり、健康な成人及び末期の腎疾患患者において良好に容認されている[Welch, P.G., Fattom, A., Moore, J.Jr.ら, J.Am.Soc.Nephrol. 7:247−253 [Abstract] (1996)]。血液透析を受けている末期の腎疾患患者に関する二重盲検テストにおいて、Pseudomonas aeruginosaの組換えエクソトキシンAへと共通結合的に結合されたCP5及びCP8からなる2価のコンジュゲートワクチンは、抗体レベルの減少として防御が減少した後に、約40週間の間、Staphylococcus aureus菌血症に対する部分的な免疫力を与えた[Shinefield, H., Black, S.ら, N Engl J /Weαf 346(7):491−496 (2002)]。この試験の結果は、より広くより完全な防御に貢献し得るであろう、向上した免疫原性組成物へのニーズを示唆する。
【0139】
上述のように、特定の実施形態において、免疫原性組成物の組み合わせは、本発明の1以上のポリペプチドを、1以上の公知の、Staphylococcus aureus多糖類−タンパク質コンジュゲートと組み合わせることにより提供される。糖質−タンパク質コンジュゲートにおける「タンパク質成分」は、担体タンパク質として知られる。一群としての用語「担体タンパク質」は、好ましくは非毒性かつ非反応性であり、十分な量及び純度で得ることのできるタンパク質である。担体タンパク質は標準的なコンジュゲート手法に適応できるものである必要がある。本発明の特定の実施形態においては、CRM197が担体タンパク質として使用される。CRM19(訳注:文字不明)(Wyeth, Sanford, NC)は、カザミノ酸及び酵母エキスをベースとする培地中で生育させたCorynebacterium diphtheria C7株の培養物から単離したジフテリア毒素の非毒性の改変体(すなわちトキソイド)(β197)である。CRM197は限外濾過、硫安沈殿、及びイオン交換クロマログラフィーを介して精製される。その他のジフテリアトキソイドも担体タンパク質として好適である。免疫原性組成物はさらに、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム及び塩酸アルミニウム等のアジュバントを含む。
【0140】
その他の好適な担体タンパク質には、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、(例えば、国際特許出願第WO2004/083251号[38]に記載のように)、E.coli LT、E.coli ST、及びPseudomonas aeruginosa由来のエクソトキシンA等の不活性化した細菌毒素を含む。外膜複合体 c(OMPC)、ポリン、トランスフェリン結合タンパク質、肺剥離、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌付着因子タンパク質(PsaA)又はHaemophilus influenzae由来のタンパク質D等の細菌外膜タンパク質も使用することができる。オブアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)又は精製したツベルクリン(PPD)のタンパク質誘導体等のその他のタンパク質も、担体タンパク質として使用可能である。
【0141】
ポリヌクレオチドを含む免疫原性組成物は、各種のベクター及び発現系によってレシピエントへと輸送される。このような系には、特に、染色体、エピソーム及びウィルス由来の系、例えば、サルモネラ等の弱体化した細菌(米国特許第4,837,151号)細菌のプラスミド由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソーム由来、挿入エレメント由来、酵母染色体エレメント由来、ワクシニア及びその他のポックスウィルス、アデノウィルス、バキュロウィルス、SV40等のパポバウィルス、鶏痘ウィルス、仮性狂犬病ウィルス及びレトロウィルス、ベネズエラウマ脳脊髄炎ウィルス(米国特許第5,643,576号)等のアルファウィルス、シンドビスウィルス及びセミリキフォレストウィルス(semiliki forest virus)、水疱性口内炎ウィルス(米国特許第 6,168,943)等の非セグメント化ネガティスストランデッドRNAウィルス(negative−stranded RNA viruses)等のウィルス由来、及び、コスミド及びファージミド等の、プラスミド及びバクテリオファージ遺伝子エレメント由来のベクターの組み合わせに由来するベクターが含まれる。発現系は、プロモーター及びその他の調節エレメント(ポリアデニル化シグナルのような)等の発現を調節し、ならびに発現を起こさせる調節領域を含んでいる必要がある。通常、宿主中でポリペプチドを生産させるためのポリヌクレオチドを維持し、増殖させ、発現させるために適した任意の又はベクターを使用することができる。好適なヌクレオチド配列を、よく知られた任意の多様な定常的な手法によって、例えばSambrook ら, ”Molecular Cloning: A Laboratory Manual” 2nd, ed, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載されるように、発現系へと挿入することができる。
【0142】
薬学上許容可能なビヒクルは、薬学的な又は免疫原性の組成物へと導入される化合物又は化合物の組み合わせが、例えば、活性な化合物の投与を可能にするため、体内での寿命及び/又はその効果を増加させるため、溶液中での溶解性を向上させるため、又は別の方法においてはその保存性を向上させるために、副作用を引き起こさずにそれらを可能にするように設計されるものと理解される。これらの薬学上許容可能なビヒクルは、よく知られ、選択される活性化合物の特性及び投与形態に従って、当業者により適合わせられるであろう。
【0143】
以下に定義する時、「アジュバント」は、「抗原」又は配列番号1〜配列番号32のうちの一つから選択されるアミノ酸配列を有する1以上のポリペプチド抗原を含む免疫原性組成物の抗原性を増大させるように機能する物質である。したがって、アジュバントは、免疫応答を増大又は変化させるために与えられることが多く、当業者に良く知られている。本発明において意図されるアジュバントの例としては、限定されるものではないが、リン酸アルミニウム及び水酸化アルミニウム等のアルミニウム塩(alum)、ヒト型結核菌、細菌性リポ多糖類、アミノアルキルグルコサミンリン酸化合物(AGP)、又はその誘導体又は類似体を挙げることができ、これらはCorixa[Hamilton, MT]から入手可能であり、又、米国特許第6,113,918号に記載されている; かかるAGPの一例が、2−[[R]−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]エチル 2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O−[[R]−3−テトラデカノイオキシテトラデカノイル]−2−[[R]−3−テトラデカノイオキシテトラデカノイルアミノ]−b−D−グルコピラノシドであり、これは529としても知られており(以前はRC529として知られていた)、又、水性形態として又は安定したエマルジョンとして製剤化されている、米国特許第4,912,094号に記載されるMPLTM(3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質A)(Corixa)、CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチド等の合成ポリヌクレオチド(米国特許第6,207,646号)、ポリペプチド、米国特許第5,057,540号に記載されるQuil A又はSTIMULONTM QS−21(Antigenics, Framingham, Massachusetts)等のサポニン、百日咳毒素(PT)、又は大腸菌易熱性毒素(LT)、特にLT−K63、LT−R72、CT−S109、PT−K9/G129;例えば、国際公開第WO93/13302号及び第WO92/19265号参照、コレラ毒素(野生型又は変異体型のいずれかの形態、例えば、変異体型の場合、アミノ酸位置29のグルタミン酸が別のアミノ酸、好ましくはヒスチジン、と置換されており、このことは国際公開第WO00/18434号に一致)。同様のコレラ毒素変異体が国際公開第WO02/098368号に記載されている(この場合、アミノ酸位置16のイソロイシンが、別のアミノ酸と単独で又はアミノ酸位置68のセリンと別のアミノ酸との置換と合わせて置換されており、且つ/又は、アミノ酸位置72のバリンが別のアミノ酸と置換されている)。その他のコレラ毒素変異体が国際公開第WO02/098369号に記載されている(この場合、アミノ酸位置25のアルギニンが別のアミノ酸と置換されており;且つ/又は1つのアミノ酸がアミノ酸位置49に挿入されており;且つ/又は2つのアミノ酸がアミノ酸位置35及び36に挿入されている)。
【0144】
各種サイトカイン及びリンホカインがアジュバントとしての使用のために適当である。かかるアジュバントの一例は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)であり、これは米国特許第5,078,996号に記載されるようなヌクレオチド配列を有する。GM−CSF cDNAを含有するプラスミドを大腸菌に入れて形質転換し、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC), 1081 University Boulevard, Manassas, VA 20110−2209に寄託番号39900として寄託した。サイトカインであるインターロイキン−12は別のアジュバントであり、これは米国特許第5,723,127号に記載されている。その他のサイトカイン又はリンホカインが免疫調節活性を有することが示されており、限定するものではないが、例えば、インターロイキン1−α、1−β、2、4、5、6、7、8、10、13、14、15、16、17及び18、インターフェロン−α、β及びγ、顆粒球コロニー刺激因子、並びに腫瘍壊死因子α及びβがアジュバントとしての使用に適している。
【0145】
本発明の組成物は、通常、所望の場合には、標準的な、良く知られた、非毒性の生理学的に許容可能な担体、アジュバント、及びビヒクルを含有する単位投与剤形で非経口的に投与される。
【0146】
注射可能な調製物、例えば、無菌の注射可能な水性又は油性懸濁液は、適当な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて既知の技術に従って製剤化される。無菌の注射可能調製物は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の、例えば、1,3−ブタンジオールの溶液として、無菌の注射可能な溶液又は懸濁液であることができる。
【0147】
許容可能なビヒクル及び溶媒の中で、使用し得るものは水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の不揮発性油が通常、溶媒又は懸濁媒体として使用される。この目的のために、合成のモノ−又はジ−グリセリドを含む任意のブランドの不揮発性油を使用することができる。さらに、オレイン酸等の脂肪酸は注射用物質の調製における用途を見出し得る。
【0148】
好ましい担体は、リン酸塩、乳酸塩、Tris等で緩衝化された中性塩溶液を含む。当然、ウィルスベクターを投与する時には、ベクター構築物を投与された個体において望ましくない任意の反応を引き起こさないように、望ましくない汚染物質、例えば、欠陥干渉するアデノウィルス粒子又はエンドトキシン及びその他の発熱物質を実質的に含まないようにするために十分ベクターを精製する。ベクターを精製する好ましい手段には、浮遊密度勾配、例えば、塩化セシウム勾配遠心分離の利用が含まれる。
【0149】
担体はリポソームであることもできる。送達ビヒクルとしてリポソームを用いる手段は当技術分野において良く知られている(例えば、Gabizonら, 1990; Ferrutiら, 1986; 及びRanade, 1989参照)。
【0150】
本発明の免疫原性組成物はまた、遺伝子発現を制御する調節配列と動作可能に結合した本発明のポリヌクレオチド配列を含む。対象のポリヌクレオチド配列は、DNAの発現を促進し得る調節エレメント、すなわち、プロモーター及び/又はエンハンサーエレメントの制御下、プラスミド等の発現ベクター中に遺伝子工学的に入れられる。好ましい実施形態において、ヒトサイトメガロウィルス前初期プロモーター/エンハンサーが使用される(米国特許第5,168,062号)。プロモーターは細胞特異的であってもよく、所定の細胞においてのみポリヌクレオチドの実質的な転写が可能となる。
【0151】
本発明のポリヌクレオチドは、「裸の」DNA(米国特許第5,580,859号)又は、促進剤、例えば、ブピビカイン及びその他の局所麻酔薬(米国特許第5,593,972号)並びにカチオン性ポリアミン(米国特許第6,127,170号)と一緒の組成物として製剤化されて、宿主に直接導入される。これらの文献は参照によりその全体を本明細書中に組み入れるものとする。
【0152】
このポリヌクレオチド免疫化手法において、本発明のポリペプチドはin vivoにおいて一過性に発現され、遺伝物質は宿主染色体中に全く挿入又は集積されない。この手法は遺伝子治療と区別され、その目標は、染色体中へと対象の遺伝子素材を挿入又は統合することである。免疫化によって投与されたポリヌクレオチドが宿主における形質転換された表現形をもたらさないことを確認するために、分析を行った(米国特許第6,168,918号)。
【0153】
(H.本発明の用途及び方法)
本明細書中に記載するStaphylococcus epidermidisのポリヌクレオチド、ポリペプチド及びポリペプチドホモログは、免疫化の方法において使用される。単離されたポリヌクレオチドは、(例えば、宿主細胞中の組換え発現ベクターを介して、又はポリヌクレオチド免疫化用途において)Staphylococcus epidermidisポリペプチドを発現するために使用される。
【0154】
本明細書中の実施例中に詳細に記載されるように、全身性の細菌感染にとって重要であり得る細菌の細胞壁におけるタンパク質及び糖質の発現を刺激するために、血清存在下でStaphylococcus epidermidisを生育させた。結果として、70%の血清中で生育させた時にStaphylococcus epidermidisにより発現される32のポリペプチド及び相当するポリヌクレオチドが同定された。加えて、これらのタンパク質のうち24が、Staphylococcus epidermidisを感染させたウサギ由来の免疫血清と反応性であることが見出された。
【0155】
Staphylococcus epidermidisを血清中で生育させた時に発現されるタンパク質に相当する遺伝子が、そのタンパク質を組換え的に発現させるためにクローニングされた。この組換えタンパク質はマウスを免疫化するために用いられ、26のタンパク質のうち25が、Staphylococcus epidermidisの全溶菌液と反応する抗体を誘導した。さらに、これらの血清のうち18が、Staphylococcus aureusの全溶菌液とも反応した。最終的に、免疫化されたマウスがStaphylococcus epidermidisにより攻撃された時、タンパク質のうち11のものが、攻撃後に脾臓中に見いだされる検出可能な細菌の量を低減する抗体を誘導した。
【0156】
本発明はさらに、配列番号1〜配列番号32、又はその生物学的均等物又はその断片の1以上から選択されるアミノ酸配列を有する、まさに記載の1以上のポリペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。この免疫原性組成物は薬学上許容可能な担体をさらに含む。特定の実施形態において、この免疫原性組成物は1以上のアジュバントを含むであろう。
【0157】
別の実施形態において、本発明は、配列番号33〜配列番号64の1以上から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む免疫原性組成物を提供し、このポリヌクレオチドは組換え発現ベクター中に含まれる。好ましくはこのベクターはプラスミドDNAである。このポリヌクレオチドはさらに異種ヌクレオチドを含むことができ、例えば、ポリヌクレオチドは1以上の遺伝子発現調節エレメントと動作可能に連結され、かつ、さらに1以上のアジュバントを含み得る。好ましい実施形態において、免疫原性のポリヌクレオチド組成物は、Staphylococcus epidermidisにおける1以上の中和エピトープの発現を方向付ける。
【0158】
Staphylococcus epidermidis感染に対する宿主の免疫化方法もまた提供される。好ましい実施形態において、宿主はヒトである。すなわち、宿主又は対象は、配列番号1〜配列番号32又はその生物学的均等物又はその断片の1以上から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び薬学上許容可能な担体を含む、免疫原性となる量の組成物を投与される。免疫原性組成物の免疫原性となる量は、免疫原性組成物の量を徐々に増やしながら対象を免疫化する投与量応答試験を実行することにより決定し、最適投与量を決定するために免疫応答を分析する。試験開始点は動物モデルにおける免疫化データから推測される。投与量は固体に特有の条件に依存して変化し得る。その量は当業者に知られた方法により定常的な試験において決定される。
【0159】
免疫学的に有効量の免疫原性組成物を、適切な投与回数で、免疫応答を誘発しようとする検体に投与する。本明細書中で使用する免疫学的有効量とは、少なくとも処置される固体の免疫系に細菌感染の臨床的影響を低減させる応答を引き起こさせるのに十分な量の、単回投与又は連続的な投与の一部としてのいずれかにおいて哺乳動物宿主(好ましくはヒト)に対し投与される量を意味する。理想的には、処置される固体はStaphylococcus epidermidis又はStaphylococcus aureus感染のより重篤な臨床的徴候を示すことがないであろう。投与量は年齢や体重等の固体に特有の条件に依存して変化し得る。この量は当業者に知られた方法により定常的な試験において決定することができる。
【0160】
本明細書中に引用される全ての特許及び出版物は参照により本明細書中に組み入れるものとする。
【実施例】
【0161】
以下の実施例は、別途詳細が記載されたものを除き、当業者によく知られた定型的な標準的技法を用いて実行された。すべての化学物質は、別途記載しない限りSigma社(Sigma Chemical Co., St.Louis, MO)のものを使用した。以下の実施例は説明目的のために示され、本発明の範囲を何ら限定するような解釈がなされるべきではない。
【0162】
(実施例1)
(70%血清中での細菌増殖)
以下の実施例は、臨床分離株のStaphylococcus epidermidis0−47を用いて実行された。この分離株に関する、機能の注釈付けがされていないゲノム配列はIncyte Corporation of Palo Alto, CAから入手できた。Heilmann, Cら, Infect Immun, 64(1):p.277−82 (1996)参照。臨床的に病原性に関係し得るタンパク質の発現を刺激するために、細菌培養物を、100%のトリプティックソイブロス(TSB)又は70:30のウサギ血清:TSBのいずれかの中で、振盪(200rpm)しながら一晩37°Cで生育させた。ウサギ血清はLife Technologies, Rockville, MDより入手した。一晩培養した細菌をOD600〜0.1となるまで希釈し、培養し、対数期中期まで4時間生育させた。対数期中期に、細胞を遠心分離により回収し、さらに以下の実施例記載のように処理した。
【0163】
(実施例2)
(2次元電気泳動のための細胞壁画分の調製)
実施例1記載のように生育させたStaphylococcus epidermidis0−47の細胞壁を単離し、2次元電気泳動用に調製した。細菌のペレットをOD600〜20となるよう再懸濁し、Tris緩衝生理食塩水(TBS、20mMのTris、pH 8.0、150mMのNaCl)を用いて、15分間、4°Cにて振動させて2度洗浄した。細菌の表面に結合した血清タンパク質を、1MのNaClを含有する20mMのTris、pH8.0を用いて15分間、4°Cにて洗浄することにより除去した。TSB中で生育させた細菌を、血清中で生育させた細菌と同様の方法で処置した。この細菌を再度遠心分離によりペレット化した。プロトプラストを調製するために、この細菌を次いで、30%のシュークロース、100μg/mlのリソスタフィン、10μg/mlのDNase、1μg/mlのPefablock (Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)、10μg/mlのリゾチーム及び100単位/mlのムタノリシンを含有するTBS中にOD600〜40となるよう再懸濁し、37℃、1時間インキュベートした。得られたプロトプラストを5000rpm、10分間の遠心分離によりペレット化し、細胞壁物質を含有する上清をデカンテーションした。デカンテーションされた細胞壁物質含有上清に、Complete Mini protease inhibitor tablets(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN)を添加し、10,000kDのMWCO透析膜(Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL)を用いて、水に対して4°C、一晩透析した。透析後、細胞壁画分を−20℃で凍結した。
【0164】
単離に続いて、細胞壁画分サンプルを以下のように2次元電気泳動のために調製した:凍結させた細胞壁抽出物を溶解し、氷上の70%アセトンを用いて4時間かけて沈殿させた。このタンパク質沈殿物をペレット化し、SpeedVac(Thermo Savant, Holbrook, NY)中で乾燥させ、5Mの尿素、2Mのチオ尿素、2%(w/v)のCHAPS、2%(w/v)のSB 3−10、40mMのTris及び0.2%のBio−Lyte 3/10を含有するReadyPrep (BioRad) SEQUENTIAL EXTRACTION REAGENT 3を用いて可溶化した。
【0165】
調製した細胞壁画分サンプルを、室温で一晩インキュベートする間に各サンプルがゲルを再水和させるようにして、11cmの固定化pH勾配(IPG)ストリップ、pH4−7(BioRad)上へ載せた。サンプル量は総容量200μl中に250μgとした。一晩のインキュベーションの間、蒸発を防ぐために、このストリップをミネラルオイル(BioRad)で被覆した。ストリップの再水和完了後、過剰なミネラルオイルを水で飽和したブロッティングペーパー上へと除去し、再水和したストリップを次いでpHaser等電点電気泳動(IEF)装置(Genomic Solutions Inc.、Ann Arbor、Ml)上に載せた。ストリップを、50mA/ストリップの電流制限の下、電圧を250V〜5,000Vへと徐々に増加させながら予備泳動した。次いで電圧を5,000Vの定圧で、合計50kVh(〜16h)に設定した。2次元目のSDS−PAGEを、12.5%のCriterionプレキャストゲル(BioRad)を用いて実行した。質量分析のために、Sypro Rubyプロテインゲルステイン(BioRad)を使用し、製造者の説明書に従ってゲルを染色した。
【0166】
TSB又は70%のウサギ血清中で生育させたStaphylococcus epidermidis由来の細胞壁関連タンパク質における2次元(2D)ゲルのプロファイルを比較した。図1参照。70%のウサギ血清中の生育によって、2Dゲルの蛍光染色された転写物中に容易に検出される、Staphylococcus epidermidis由来の由来の細胞壁関連タンパク質におけるタンパク質発現プロファイル中の変化をもたらした(図1A及び1B)。
【0167】
8つのタンパク質が、TSB中又はウサギ血清存在下で生育させたStaphylococcus epidermidisから得られるものの間で異なる調節を受けることが、蛍光染色により確認された。表3及び図1参照。最も注目すべきは、70%の血清中で生育させた細胞における、25kDa〜37kDa間の3つのタンパク質における、蛍光染色線の増強である(図1B、スポットe、g及びh)。
【0168】
(表3)
(同定されたスポットのリスト)
【0169】
【表3−1】

【0170】
【表3−2】

免疫血清との反応性又は血清成分への結合により2Dブロット上で検出されたスポットのリスト。
1以上のタンパク質を含有するいくつかのスポット。
ニトロセルロースへの転写後にスポットを検出した方法、感染ウサギ由来の反応性免疫血清、I、又は結合血清成分、S。
NGID=データベース上に遺伝子が存在しない。
【0171】
(実施例3)
(免疫血清及びビオチン化血清タンパク質の細胞壁タンパク質に対する結合)
電気泳動の1次元目及び2次元目が完了後、ゲル中のタンパク質成分を、結合アッセイのためニトロセルロース上へと転写した。具体的には、ゲル中のタンパク質成分を、セミドライブロッティング装置(Owl Separations Systems、Portsmouth、NH)を用いて12V、1時間、ニトロセルロース膜(BioRad)へとエレクトロブロッティングした。ニトロセルロース膜を含有するタンパク質(ブロット)を次いで、Sypro Rubyプロテインブロットステイン(BioRad)を用いて、製造者の説明書に従って染色し、FluorS Imager(BioRad)中で可視化した。各ブロットをブロッキング緩衝液(0.05%のTween20及び5%のドライミルクを含有するPBS)と共に10分間、室温でインキュベートし、次いで、1:2000に希釈した免疫血清(ウェスタンブロット)又は40μg/mlのビオチン化血清タンパク質(以下参照)のいずれかと共に、室温で一晩インキュベートした。一晩のインキュベーション後、ブロットを洗浄緩衝液(0.5%のTween20を含むPBS)で3度洗浄し、ヤギ抗ウサギIgGアルカリホスファターゼコンジュゲート(Biosource InteRNAtional、Camarillo、CA)又はストレプトアビジンアルカリホスファターゼコンジュゲート(Biosource)のいずれかと共に、2時間、室温で、ブロッキング緩衝液中でインキュベートした。ブロットを再度洗浄緩衝液で3度洗浄し、BCIP/NBT膜ホスファターゼ基質システム(KPL、Inc.、Gaithersburg、MD)を用いて可視化した。FluorS中で画像を取得した。全ての2Dゲルの分析は、Melanie 3.0ソフトウェアを用いて行った。
【0172】
タンパク質濃度は、BioRadプロテインアッセイキット(BioRad)を用いて分析した。
【0173】
細胞壁結合タンパク質のタンパク質発現プロファイル中の変化は、2Dゲルから転写されたタンパク質を含有するニトロセルロース膜のウェスタンブロットを考察することにより、より明確化できた。ウェスタンブロットにおいて、ニトロセルロース膜を、Staphylococcus epidermidis0−47を繰り返し感染させたウサギ由来のプール免疫血清と共にインキュベートした。図1C及び1D参照。これらのアップレギュレートされたタンパク質は強い免疫反応性でもあり、ウサギの感染の間にそれらが発現されることを示す。血清で生育させた細胞由来の5種のその他の免疫反応性の線又はスポットは、TSBで生育させた細胞においてはより低い発現であるか、又は検出されないレベルであった。図1、スポットa、b、c、d及びf参照。
【0174】
(実施例4)
(Staphylococcus epidermidis細胞壁結合タンパク質と相互作用する血清タンパク質の分析)
(Staphylococcus epidermidisからの血清タンパク質の溶出)
70%ウサギ血清中、37°CでOD600〜0.8となるまで生育させたStaphylococcus epidermidis0−47をペレット化した。この細胞をOD600〜20となるよう再懸濁し、4℃で震盪させながらTBSで2度洗浄した。結合している血清タンパク質を、0.5MのNaCl、1.0MのNaCl又は4.0Mの尿素のいずれかを含有する20mMのTris、pH8.0で順に、4℃、1時間震盪させながら溶出した。細菌を次いで遠心分離により除去し、上清を回収した。この上清は細菌表面から溶出された血清タンパク質を含んでいた。異なる条件下で溶出したタンパク質を、4−20%のグラジェントTris−グリシンゲル(Cambrex Biosciences Rockland, Inc., Rockland、 ME)を用いたSDS−PAGEによって分析した。
【0175】
(血清タンパク質のビオチン化)
溶出した血清タンパク質をPBSに対し4°Cで一晩透析した。プロテインGセファロース(Amersham− Pharmacia、Piscataway、NJ)を用いて4°Cで一晩インキュベーションすることによりIgG’を失わせた。溶出画分中の平均タンパク質分子量を50kDaと推定して、このタンパク質を、15モル濃度過剰量のEZ−Link(登録商標)NHS−biotin(Pierce Biotechnology)を用いて1.5時間、4℃で標識した。反応を過剰量のグリシンによって停止し、PBSに対し一晩透析(10,0000 MWCO、Pierce)した。
【0176】
(Staphylococcus epidermidisの表面に結合した血清タンパク質の同定)
これらの条件下で細菌から溶出した血清タンパク質を、SDS−PAGEによって、正常ウサギ血清、及びTSB中で生育させたStaphylococcus epidermidisから溶出した細菌タンパク質と比較した。図3参照。0.5のNaCl、1MのNaCl及び4Mの尿素を含有する各緩衝液で、細菌細胞から結合した血清タンパク質を溶出した。これらの溶出された血清タンパク質は、血清タンパク質に富む細菌表面から溶出したタンパク質プールにあたる。いくつかの細菌タンパク質がこのプール中に存在する傾向を有しているが、TSB中で生育させた細菌から溶出させたものにおいては、プロテインアッセイによって細菌タンパク質が検出されなかった。銀染色によって検出されたいくつかの偽タンパク質バンドが、TSB中で生育させた細菌から溶出されはしたが、それらは血清中で生育させた細菌表面から溶出された、より強く染色されたタンパク質に相当するものではなかった。1MのNaClを用いた溶出は、ほとんどのタンパク質が溶出する最も弱い変性条件であり、以下の実施例でタンパク質を溶出させるために使用した。
【0177】
結合血清成分中に含まれる細胞壁関連タンパク質を同定するため、2Dゲルから転写されニトロセルロースに結合した細胞壁タンパク質と共にインキュベートすることによって2D転写物を調査するために、ビオチン標識血清タンパク質を使用した。Staphylococcus epidermidisと結合する血清タンパク質を単離するために、70%のウサギ血清中で生育させた細菌を1MのNaClにより洗浄した。溶出された血清タンパク質を回収し、PBSに対し透析した。次に、溶出された血清タンパク質中に存在する天然の免疫IgGを、プロテインGセファロースと共にインキュベーションすることにより失わせた。IgGの除去は宿主抗体と反応性のタンパク質を同定する可能性を減少させる。次いで、溶出した血清タンパク質を、Staphylococcus epidermidisの細胞表面タンパク質の2Dブロットを調査するため上述のようにビオチン標識した。図4A及び4B参照。34のスポット及び領域がこの方法で可視化され、Staphylococcus epidermidisの宿主血清タンパク質との相互作用に関与すると考えられる。血清成分と相互作用することが恒常的に見いだされた34のスポットのうち、4つを除いては、感染ウサギ由来の免疫血清と反応することが見出された。図2及び表3参照。
【0178】
血清中で生育させたStaphylococcus epidermidisは、0.5M及び1MのNaClにより溶出される細菌表面タンパク質に結合した血清タンパク質を有していた。同様の条件下で、TSB中で生育させた細菌から溶出されたブドウ球菌のタンパク質はほとんどなく、一方、血清中でのみ発現されるブドウ球菌のタンパク質は高濃度の塩処置によって溶出される可能性が存在する。
【0179】
(実施例5)
(アップレギュレートされた血清タンパク質の質量分析による同定)
血清中で生育させる間に検出される変化が、宿主内の環境信号への応答において細菌によって発生する遺伝子発現の変異をより正確に反映し得るであろうという仮定の下、70%の血清中で生育させた細菌を、続いて行うプロテオーム実験及び分析に使用した。以下の質量分析試験において、2Dゲル電気泳動分離におけるスポットから単離したタンパク質を最初に飛行時間質量分析に供した。陽性の、明確な同定が得られた場合、次いでさらなる質量分析は実施しなかった。表4参照。複数のタンパク質が2Dゲル上の同じスポット中に分離される等、飛行時間質量分析後になんらかの曖昧性が残る場合には、次いで、曖昧な部分を分離するためにエレクトロスプレー質量分析を実行した。表4参照。
【0180】
(表4)
(質量分析により同定されたタンパク質)
【0181】
【表4】

(サンプルの調製)
質量分析の実行前に、標的タンパク質スポットを、ゲル中でのトリプシン消化に供した。ゲルからタンパク質スポットを切り出し、〜1mmの細片に切断した。このゲル細片を50%(v/v)のアセトニトリル(Burdick & Jackson, Muskegon, Mi)を含む10mMの重炭酸アンモニウム(JT.Baker, Phillipsburg, NJ)溶液0.2mlを用いて、15分間、時々旋回攪拌しながら3回洗浄した。ゲル細片をアセトニトリルで5分間脱水し、凍結乾燥し、−20℃で凍結保存した。次いでゲル中のタンパク質を、50μlの12ng/mlのシーケンシング用グレードの修飾トリプシン(Promega Corporation, Madison, Wl)を用いて、一晩37℃で消化した。トリプシン溶液を次いで除去し、ゲルを再び50μlアセトニトリル中で脱水した。ペプチドを含有するアセトニトリルを次いで除去し、ゲル細片を、5%のギ酸(Riedel−de Haen, Seelze, Germany)50μl中、15分間室温にて、バスソニケーター(Branson Cleaning Equipment Co., Shelton, CT)中で洗浄した。このペプチド含有上清を除去し、最初のアセトニトリル洗浄液と合わせた。ゲルを再度アセトニトリル中で洗浄し、上清を先の2回の抽出ステップで得られたものと合わせSpeedVac(Thermo Savant)中で〜10μlまで乾燥させ、次いで0.1%(v/v)の水性ギ酸を用いて100μlに希釈した。このサンプルを次いでZip−TipC18 P10カラム(Waters Corporation, Milford, MA)上に載せ、50μlの50%アセトニトリル/0.1%ギ酸中で溶出させた。サンプルを、MALDI−ToF装置(PerSeptive Biosystems)ガラスナノスプレーチップ(New Objective Inc., Woburn, MA)上での質量フィンガープリンティング分析のために、イオントラップ質量分析装置のオリフィス中にスプレーするために、テフロン(登録商標)コーティングステンレス鋼製の96ウェルプレート(PerSeptive Biosystems, Framingham, MA)2枚に移した。
【0182】
(ToF質量分析を用いたペプチド質量フィンガープリンティング)
α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸を薄層状に適用したテフロン(登録商標)コーティングステンレス鋼製の96ウェルプレート2枚に各サンプルを入れた。このサンプルを室温で乾燥させた。ディレイド・エクストラクション技術及び反射器を備えたVoyager DE−STR MALDI−ToF質量分析装置(PerSeptive Biosystems)上で質量分析データを得た。この質量分析装置は337nmにおける窒素レーザー及び3Hzのレーザー速度を備えていた。加速電圧は20kV、操作モード(反射)、抽出モード(ディレイド)、極性(陽性)、格子電圧(65%)、ミラー電圧速度(1.12)、抽出ディレイタイム(200nsec)、質量範囲(800−3500Da)及びスペクトル当たりのレーザーショット数(200)に設定した。
【0183】
(静電ナノスプレーイオントラップ質量分析)
ナノエレクトロスプレーインタフェースを備えたThermoFinnigan LCQ四重極イオントラップ質量分析装置(ThermoFinnigan, San Jose, CA)上で質量スペクトルデータを得た。ナノエレクトロスプレーインタフェースは、外径/内径120/69μm、オリフィス径2μmの、長さが〜27mmのシリカ製スプレーニードル(New Objective Inc.)からなる。質量分析装置の検出器前部に配置された基部に設けられたx、y、z軸ホルダー(ThermoFinnigan)中にガラス製チップを載せた。静電ナノスプレープローブ(ThermoFinnigan)上の金属接触を通じたエレクトロスプレーインタフェースとの電気的な接触を供給するために、ガラス製チップの標準的なコーティングに対し電流を適用した。ナノスプレーは20−80nl/minの速度で送達した。
【0184】
トリプシン消化物の2〜5マイクロリットルを、質量分析器のオリフィスへと直接スプレーするナノスプレーガラスチップを用いて分析した。ペプチド分析は、〜1kVの可変スプレー電圧において、200℃に加熱されたキャピラリー温度を用いて、LCQ−DECAイオントラップ質量分析装置(Thermofinnigan)上で行った。装置に付随のデータ取得ソフトウェアを用いて、自動MS/MSモードでデータのセットを得た。取得方法には、1つのMSスキャン(400−1800m/z)に次いでそのMSスキャン中で最も量の多い3つのイオンのMS/MSスキャンが行われることを含む。分析されるペプチドイオンの数を増やすために動的除外機能を採用した(設定:3amu=除外幅、0.5分間=除外持続時間)。電流試験はサンプル群において、手動にて分析された。
【0185】
質量フィンガープリントデータの自動分析は、MSFIT(Protein Prospector)及びIncyte社製PathoSeq(c)Staphylococcus epidermidis0−47データベースを用いたMASCOT(Matrix Science)ソフトウェアデータベース検索エンジンを用いて行った。得られたスペクトルは、検索エンジン利用前にベースライン補正、ノイズ除去、及び脱アイソトープ処理を行った。データベース検索パラメータは以下のレベルに設定した:MW(1000−150kDa)、pI(3−10)、消化(トリプシン)、開裂しそこねた部位の最大数(2)、開裂しそこねた部位のpファクター(0.4)、静電的修飾(アクリルアミド修飾されたシステイン)、N末端(水素)、C末端(遊離の酸)、可変性変形(メチオニンの酸化、N末端アセチル化、セリン、スレオニン及びチロシンのリン酸化)、質量(モノアイソトピック)、300ppmの質量トレランスを伴うマッチングに必要とされるペプチドの最小数(4)、及び15ppmの質量トレランスを伴う反復較正(Intelcast)の適用。タンパク質の同定は、MOWSEスコア及びMS−FIT及びMASCOTのそれぞれによる95%の信頼性により決定した。
【0186】
Finnigan Bioworksデータ分析パッケージ(ThermoFinnigan)に組み込まれたSEQUESTを用いて、MS/MSデータの自動分析を行った。Eng, J.K.ら、Amer Soc Mass Spec、5(11):p.976−89 (1994)参照。ソフトウェアにおいて以下の多様な修飾形が許容された:システインアクリルアミド修飾及びメチオニンの酸化。検索パラメータを以下の指定で設定した:質量範囲(400〜3500Da)、低強度MSシグナル(1e +5)ペプチドトレランス(2.0Da)、断片イオンの最小数(15)、1グループ中の最小スキャン数(1)及び開裂しそこねた開裂の最大数(2)。全てのタンパク質の同定は正確を期すためマニュアルで検証した。
【0187】
(質量分析によるタンパク質の同定)
70%の血清中で生育させたStaphylococcus epidermidis由来の蛍光及び免疫染色転写物上に恒常的に検出されたスポットを、質量分析による同定のために配置し、標識した。図2A及び2B参照。全部で40の免疫反応性のスポットを切り出し、同定のため質量分析に供した。表4参照。完全長タンパク質の配列を配列リスト(配列番号:1〜32)中に示す。タンパク質を含有するゲルのスポットをゲルから切り出し、MALDI−TOFと、それに次ぐ、相当するコーディング領域に関するIncyte社製PathSeq(c) Staphylococcus epidermidis0−47データベース検索を用いた質量フィンガープリント分析により同定した。表4参照。複数のタンパク質がヒットした又は疑わしいシグナルを伴うスポットを、静電ナノスプレーを用いてさらに分析した。全部で32タンパク質を同定し、いくつかのスポットは1以上のタンパク質を含有していた。表3及び4参照。同定されたタンパク質の24のものは免疫反応性であり、26のものは血清成分に結合しており、タンパク質のうち20のものは免疫反応性且つ血清に結合していた。血清因子との結合に関与するStaphylococcus epidermidis表面上のほとんどのタンパク質が免疫応答を誘導すると考えられ得るため、この大きなオーバーラップは予測どおりであった。
【0188】
6つのタンパク質が免疫染色したブロット中に恒常的に存在したが、蛍光染色された転写物上に相当するスポットは視覚的に存在しなかった。図2Bの白色の円及び矢印参照。これらのタンパク質は感染の間発現されて免疫応答を導くと考えられるが、それらは、これらの実験に使用された条件下での蛍光タンパク質染色によって、それらの検出が可能となるレベルでは発現していない。
【0189】
(実施例6)
(タンパク質の機能の予測)
タンパク質の予測される機能を、ATCC12228由来の完全ゲノムホモログとの比較により決定した。Zhang, Y.Q.ら, Mol Microbiol, 49(6), p.1577−93(2003)参照。表5に示す予測される機能は、特異的なタンパク質を含む先の出版物により、又はその他の生物において生じる先に特徴付けられたタンパク質とのホモロジーによって、個別のORFに割り当てられる。
【0190】
(表5)
(Staphylococcus epidermidisタンパク質の予測される機能)
【0191】
【表5−1】

【0192】
【表5−2】

タンパク質の予測される機能は、ATCC12228由来の完全ゲノムホモログとの比較により決定した。
ニトロセルロースへの転写後にスポットを検出した方法、感染させたウサギ由来の反応性免疫血清をI、又は結合血清成分をSで示す。
【0193】
上記に論じられたように、70%のウサギ血清中で生育させたStaphylococcus epidermidis0−47由来の細胞壁関連タンパク質における発現プロファイルを、2Dゲル電気泳動により分析した。血清中の全体としての発現は、TSB中での生育後に生じるものと顕著に異なっていることがわかった。血清中での生育の間に上方調節された多数のタンパク質を、質量分析及び、配列比較により予測されるそれらの機能によって同定した。表5参照。栄養素獲得に関与することが予測された3種のタンパク質305、1450及び1703は全て顕著に増加した。表4及び表5参照。3種のタンパク質全てはゲルを横切る線を形成する。図4参照。理論上は結合されることはなく、これは複数の荷電アイソマーの結果であるか、又はそれらの予測されるリポタンパク質組成に関連している可能性がある。さらに、3つのタンパク質全ては、Staphylococcus epidermidis0−47を感染させたウサギ由来の免疫血清に高度に反応性であり、これらのタンパク質が、感染中の宿主中においても発現することを示唆した。図2及び表5参照。全部でこれら24のタンパク質が、感染させたウサギ由来の免疫血清と反応性であることが同定された。これらのタンパク質は、血清中で生育する間に発現するのみならず、感染させた動物中の免疫応答をも導いた。実施例8参照。合わせて考えると、これらのデータは、これらの抗原が全て感染中に発現されることを示唆する。感染マウスの血流内におけるこれらのORFに由来する転写物の発現が、同定されたタンパク質の全てに関するRT−PCRにより確認された(データ非掲載)。
【0194】
(実施例7)
(組換えタンパク質のクローニング及び発現)
遺伝子は、発現されたタンパク質の質量分析及びStaphylococcus epidermidis0−47のデータベースにより同定されたタンパク質に基づいて設計されたプライマーを用いてクローニングされた。個々の遺伝子を、Pfu Turbo DNAポリメラーゼ(Stratagene、La JoIIa、CA)を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅し、過剰量のアデニンをTaq DNAポリメラーゼ(Roche Diagnostics)と共に加えた。反応産物を、製造者の説明書に従ってpCRT7/NT−TOPO又はpBAD/TOPOThio(Invitrogen、Carlsbad、CA)へとクローニングし、E.coli Top10(Invitrogen)へとトランスフォームした。陽性クローンをReddyMix PCR mastermix (ABgene、Rochester、NY)を用いたコロニーPCRにより検出し、偽変異を生じていないことを確認するために配列決定した。T7ポリメラーゼを用いた発現のためにpCRT7クローン由来のプラスミドを精製し、E.coli BL21(DE3)(Invitrogen)へとトランスフォームした。タンパク質は、100μg/mlのアンピシリンを添加したHySoy broth(1%のHySoy、Quest Intl、Stockbridge、GA)、0.5%の酵母エキス、100mMのNaCl、50mMのNaHPO−HO、40mMのNaHPO−HO)中で、37℃、振盪(200rpm)下、OD600が〜1.0となるまで陽性クローンを生育させることにより発現させた。タンパク質の発現は、1mMのIPTG(pCRT7)又は0.2%のアラビノース(pBAD)のいずれかにより誘導し、培養物をさらに3時間生育させた。細胞を遠心分離により回収し、発現を全細胞溶菌液のSDS−PAGEにより分析した。
【0195】
(組換えタンパク質の精製)
細胞ペレットを100mlのTBS(20mMのTris、pH8.0、150mMのNaCl)中に再懸濁し、French pressure cell(SLM−Aminco、Rochester, NY)の一通路を通すことにより溶菌させた。サンプルを次いで、10,000×g、10分間の遠心分離により可溶性画分又は不溶性ペレットへと分離した。組換えタンパク質の局在をSDS−PAGEにより調べた。組換えタンパク質が可溶性画分中にある場合、次いでタンパク質を、Ni2+で荷電したイミノ2酢酸アガロース樹脂上に載せた。表6参照。次に、カラムを30mMのイミダゾールを含むTBSで洗浄した。結合したタンパク質を、300mMのイミダゾールのTBS溶液を用いて溶出した。さらなる精製ステップが必要とされる場合には、このタンパク質を50mMのNaCl、1mMのEDTAを含有する20mMのTris、pH8.0に対し透析し、POROS−Q樹脂(Applied Biosystems, Foster City, CA)を充填したカラムへと載せた。結合したタンパク質を、20mMのTris、pH8.0、1mMのEDTA中、50mM〜500mMのNaClのグラジェントにより溶出した。対象のタンパク質を含有する画分をSDS−PAGEにより分析し、−20℃で凍結した。
【0196】
組換えタンパク質が不溶性画分中に見出される場合には、次いでこの不溶性画分を、100mlのTBSに溶解した1%のTriton X−100により4時間、4°Cで処理した。表6参照。この不溶性タンパク質を遠心分離によりペレット化し、上清を廃棄した。不溶性ペレットを、次いで、8Mの尿素を含む100mlのTBSにより少なくとも8時間、室温で抽出した。不溶性の破片をペレット化し、全ての緩衝液が2Mの尿素を含む以外は上記のようにして、タンパク質を精製した。精製に続いて、Triton X−100を終濃度0.1%となるよう添加した。次いで、このタンパク質を0.1%のTritonを含有するTBSへと透析し、−20℃で凍結した。
【0197】
全ての液体クロマログラフィーは、AKTA explorer (Amersham−Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)を用いて実行した。全てのSDS−PAGEは、4−20%のグラジェントTris−グリシンゲル(Cambrex)を用いて行った。
【0198】
(表6)
(組換えタンパク質の溶解性)
【0199】
【表6】

Xは、その画分にタンパク質が見出されたことを示す。NTは試験なしを示す。
【0200】
(実施例8)
(組換えStaphylococcus epidermidisタンパク質を用いた免疫原性組成物)
4週齢のメスのBalb/Cマウス(Charles River Laboratories, Wilmington, MA)を、0、3及び6週間目に、20μgのSTIMULONTM QS−21中、10μgの組換えタンパク質を皮下注射することにより免疫化した。このマウスを、最初の免疫化の0週前及び8週目に採血した。最後の採血から2日後、コロンビアソルトアガー(1×コロンビアアガー、0.1%のグルコース、1%の酵母エキス、0.5%のNaCl)上で一晩生育させた5×10cfuのStaphylococcus epidermidisを腹腔内投与することにより、マウスを攻撃した。攻撃から24時間後、マウスを犠牲にし、脾臓及び血液中の細菌を計数した。
【0201】
(組換えタンパク質を用いたマウスの能動免疫化)
血清結合性又は免疫反応性のタンパク質のいずれかをコードする24のorfを、Staphylococcus epidermidis0−47からクローニングし、組換えタンパク質を、ヘキサヒスチジンタグ(Hisタグは簡便のために用いた;本発明の免疫原性組成物はHisタグなしに発現されるタンパク質を包含するものとする)を用いて、E.coli中で発現させた。表7参照。イオン交換クロマログラフィーに続いてNi2+キレートカラムを使用することにより、これらのタンパク質を精製した。残る3つのクローニングされたorf(2006、2975及び2907)は、クローニングはされたが、精製のために十分な量で発現されなかった。Balb/Cマウスを、個々の組換えタンパク質を用いて0、3及び6週間目に免疫化した。この動物を0及び8週目に採血し、8週目にStaphylococcus epidermidis0−47を用いて攻撃(腹腔内)した。攻撃から24時間後、血中及び脾臓中に存在する細菌を計数した。多数のタンパク質のスクリーニングを可能にするために、免疫原性組成物候補のこの最初のスクリーニングを5匹の動物の群において実行した。得られたデータは統計学的に有意ではないが、それらは多数の候補における免疫原性組成物の可能性に関する有益な情報を提供した。27の組換えタンパク質のうち8つが、脾臓及び/又は血液から回収した細菌数を1桁以上低減した。表7参照(NT=試験なし)。
【0202】
(表7)
(免疫化後の細菌数の減少)
【0203】
【表7】

NTは試験なしを示す。
【0204】
免疫マウスから得た血清を、細菌タンパク質への抗体反応性について評価した。表8参照。ウサギ血清中で対数期中期まで生育させたStaphylococcus epidermidisの全細胞溶解物のウェスタンブロットにより調べた時、試験した24の血清中23が天然のタンパク質と反応した。表8参照(NT=試験なし)。
【0205】
(表8)
(ブドウ球菌タンパク質に対する抗体の反応性)
【0206】
【表8】

NTは試験なしを示す。
【0207】
表8に示すように、Staphylococcus epidermidis抗原で免疫された多くの動物が、Staphylococcus aureusに応答する抗体も生成した。従って、Staphylococcus epidermidis抗原に対する免疫原性組成物は、Staphylococcus aureusならびにStaphylococcus epidermidisの処置又は予防において効果的であり得る。表8参照。
【0208】
上記免疫原性組成物中に用いられる組換えタンパク質のサブセットを、より大きな群のマウスを免疫するために使用した。10匹のメス(4週齢)のBalb/Cマウスの群を、生理食塩水又はアジュバントとしての10μgの抗原を、20μgのSTIMULONTM QS−21と共に皮下注射することにより免疫した。最後の免疫から2週間後、このマウスを、腹腔内注射によって、〜5×10cfuのStaphylococcus epidermidis0−47で攻撃した。攻撃から24時間後、細菌を血中及び脾臓中で計数した。表9参照。生理食塩水中にSTIMULONTM QS−21を含んだ対照と比較して、log CFUの減少が見られた。データは、0.05又は**0.01のP値を伴うスチューデントt検定により分析した。
【0209】
(表9)
(免疫原性組成物中に用いられるタンパク質)
【0210】
【表9】

P−値<0.05
**P−値<0.01
表9に示すStaphylococcus epidermidisタンパク質は、攻撃に続いて起こる細菌感染の重篤性を低減する免疫原性組成物中に用いられた場合に、最大の効果を示した。
【0211】
(実施例9)
(Staphylococcus epidermidisタンパク質を用いた免疫化後のStaphylococcus aureusの攻撃からの防御)
実施例8(表8)における抗体結合データによって示唆されるように、Staphylococcus epidermidis抗原に対する免疫原性組成物は、Staphylococcus aureusの処置又は予防において効果的であり得る。従って、Staphylococcus epidermidis抗原の免疫原性組成物を用いた免疫化に続いて、Staphylococcus aureusによる攻撃を行った。
【0212】
4週齢のメスのCD−1マウス(Charles River Laboratories, Wilmington, MA)を、0、3及び6週間目に、20μgのSTIMULONTM QS−21中、10μgの組換えタンパク質を皮下注射することにより免疫化した。このマウスを、最初の免疫化の0週前及び8週目に採血した。最後の採血から2日後、コロンビアソルトアガー(1×コロンビアアガー、0.1%のグルコース、1%の酵母エキス、0.5%のNaCl)上で一晩生育させた3×10cfuのStaphylococcus aureusReynoldsを腹腔内投与することにより、マウスを攻撃した。攻撃から24時間後、マウスを犠牲にし、腎臓中の細菌を計数した。
【0213】
(表10)
(Staphylococcus aureusによる攻撃)
【0214】
【表10】

表10に示すように、ある種のStaphylococcus epidermidis抗原は、Staphylococcus aureusを認識し、そこに結合する抗体を誘導する効果を示した。さらに、誘導された抗体は、Staphylococcus aureusの攻撃後に計数される細菌のレベルを低減させる有益な効果を有していた。
【0215】
配列番号1〜配列番号32のStaphylococcus epidermidisポリペプチド抗原におけるアミノ酸配列のパーセント同一性を、Staphylococcus aureus由来のそれらのホモログと比較した。結果を表11に示す。
【0216】
(表11)
(Staphylococcus epidermidis及びStaphylococcus aureusの間の同一性)
【0217】
【表11】

相同性はポリペプチド配列の間で決定した。
【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】図1は、TSB(1A及び1C)又は70%ウサギ血清(1B及び1D)中で生育させたStaphylococcus epidermidis0−47から得た細胞壁画分のタンパク質発現プロファイルを、2次元ゲル電気泳動により比較したものを表す。タンパク質は、1次元目にpH4−7のIPG5ストリップ上で、次いで2次元目にSDS−PAGE上で分離し、ニトロセルロースへと転写して、蛍光染色により検出した(1A及び1C)。免疫反応性のタンパク質を、Staphylococcus epidermidis0−47を感染させたウサギ由来の免疫血清(1B及び1D)により可視化した。分子量マーカーを左側に標識する。
【図2】図2は、1次元目をpH4−7のIPGストリップ上で分離し、2次元目をSDS−PAGEで分離した、70%のウサギ血清中で生育させたStaphylococcus epidermidis0−47から得た細胞表面画分の蛍光染色ブロット(2A)及びイムノブロット(2B)を表す。スポット中のタンパク質は質量分析によって同定した。
【図3】図3は、TSB又は70%のウサギ血清中で生育させたStaphylococcus epidermidis0−47の表面から、NaCl濃度を増加させて、又は4.0Mの尿素により溶出したタンパク質を表す。アスタリスクは、血清存在下で生育させたStaphylococcus epidermidisの表面から溶出した、富化されたタンパク質を示す。細菌をTBSで3回洗浄し、次いで0.5M、1.0MのNaCl、及び4.0Mの尿素で順に3回洗浄した。タンパク質濃度を各サンプルについて調べ、0.75μgを4−20%のグラジェントゲル上で泳動した。TSBで生育させた細菌表面から溶出させたサンプル中には、プロテインアッセイによりタンパク質は検出されなかったため(lanes 2−5)、25μlをゲル上に載せた。レーン1、ウサギ血清;レーン2及び6−0.15MのNaCl溶出物;レーン3及び7−0.5MのNaCl溶出物、レーン4及び8−1.0MのNaCl溶出物;レーン5及び9−4.0Mの尿素溶出物。
【図4】図4は、70%のウサギ血清中で生育させたStaphylococcus epidermidisから溶出したStaphylococcus epidermidis由来細胞表面タンパク質の2D転写物における、タンパク質の蛍光染色(4A)及びビオチン化血清タンパク質による検出(4B)を表す。ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼコンジュゲートを用いてスポットを可視化した。スポット中のタンパク質を質量分析により同定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1〜配列番号32、その生物学的均等物、又はその断片の1以上から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、Staphylococcus epidermidisを感染させたウサギ血清中の抗体と免疫反応性である、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記ポリペプチドが1以上のウサギ血清タンパク質と結合する、請求項1又は2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
薬学上許容可能な担体をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
1以上のアジュバントをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記ポリペプチドがStaphylococcus epidermidis由来である、請求項1〜5のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記ポリペプチドが異種アミノ酸をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
前記ポリペプチドが融合ポリペプチドである、請求項1〜7のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
前記ポリペプチドが組換えポリペプチドである、請求項1〜8のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
前記ポリペプチドがStaphylococcus epidermidisから単離されたものである、請求項1〜9のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記ポリペプチドがStaphylococcus epidermidisの中和エピトープを含む、請求項1〜10のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記ポリペプチドがリポタンパク質である、請求項1〜11のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
前記組成物がStaphylococcus epidermidisの多糖類抗原をさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
前記組成物がStaphylococcus aureusの多糖類又はポリペプチド抗原をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物であって、前記ポリペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号27、及び配列番号30、その生物学的均等物、又はその断片からなる群から選択されるStaphylococcus epidermidisポリペプチド配列を含む、免疫原性組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物であって、前記ポリペプチドが、配列番号33〜配列番号64又はその縮重改変体、又はその断片の1つから選択されるヌクレオチド配列と少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされる、免疫原性組成物。
【請求項17】
前記ポリヌクレオチドがStaphylococcus epidermidis由来である、請求項1〜16のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物であって、前記Staphylococcus epidermidisのポリヌクレオチド配列が、配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号46、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号55、配列番号58、配列番号59、及び配列番号62、又はその縮重改変体又はその断片からなる群から選択される、免疫原性組成物。
【請求項19】
前記ポリヌクレオチドが異種ヌクレオチドをさらに含む、請求項1〜18のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
配列番号33〜配列番号64、又はその縮重改変体、又はその断片の1つから選択されるヌクレオチド配列を有し且つ発現ベクター中に含まれるポリヌクレオチドを含む、免疫原性組成物。
【請求項21】
請求項20に記載の免疫原性組成物であって、前記Staphylococcus epidermidisポリヌクレオチド配列が、配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号46、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号55、配列番号58、配列番号59、及び配列番号62、又はその縮重改変体、又はその断片からなる群から選択される、前記免疫原性組成物。
【請求項22】
前記ベクターがプラスミドDNAである、請求項20又は21に記載の免疫原性組成物。
【請求項23】
前記ポリヌクレオチドが組換えポリヌクレオチドである、請求項20〜22のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
前記ポリヌクレオチドがStaphylococcus epidermidis由来である、請求項20〜23のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項25】
前記ポリヌクレオチドが異種ヌクレオチドを含む、請求項24に記載の免疫原性組成物。
【請求項26】
前記ポリヌクレオチドが、1以上の遺伝子発現調節エレメントと機能可能に連結されている、請求項20〜23のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項27】
前記ポリヌクレオチドが、Staphylococcus epidermidisの中和エピトープの前記発現を導く、請求項24に記載の免疫原性組成物。
【請求項28】
トランスフェクション促進剤をさらに含む、請求項20〜23のいずれか1項以上に記載の免疫原性組成物。
【請求項29】
前記トランスフェクション促進剤がブピビカインである、請求項28に記載の免疫原性組成物。
【請求項30】
Staphylococcus epidermidisに対する免疫応答を引き起こす方法であって、配列番号1〜配列番号32又はその生物学的均等物又はその断片の1以上から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び薬学上許容可能な担体を含む、免疫原性となる量の組成物を、哺乳動物へ投与することを含む、方法。
【請求項31】
前記ポリペプチドが異種アミノ酸をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリペプチドが融合ポリペプチドである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
アジュバントをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記ポリペプチドが組換えポリペプチドである、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項35】
Staphylococcus epidermidisに対する免疫応答を引き起こす方法であって、配列番号33〜配列番号64、又はその縮重改変体、又はその断片の1以上から選択されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、及び薬学上許容可能な担体を含む、免疫原性となる量の組成物を、哺乳動物へ投与することを含む、方法。
【請求項36】
ベクターをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ベクターがプラスミドDNAである、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記ポリヌクレオチドが組換えポリヌクレオチドである、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記ポリヌクレオチドが異種ヌクレオチドをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記ポリヌクレオチドが、1以上の遺伝子発現調節エレメントに機能可能に連結されている、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
アジュバントをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記組成物がトランスフェクション促進剤をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記トランスフェクション促進剤がブピビカインである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
Staphylococcus aureusに対する免疫応答を引き起こす方法であって、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号27、及び配列番号30、その生物学的均等物又はその断片からなる群から選択されるStaphylococcus epidermidisポリペプチド配列を含む、免疫原性となる量の組成物を、哺乳動物へ投与することを含む、方法。
【請求項45】
Staphylococcus aureusに対する免疫応答を引き起こす方法であって、配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号46、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号55、配列番号58、配列番号59、及び配列番号62、又はその縮重改変体、又はその断片からなる群から選択されるStaphylococcus epidermidisポリヌクレオチド配列を含む、免疫原性となる量の組成物を、哺乳動物へ投与することを含む、方法。
【請求項46】
生物学的サンプル中のStaphylococcus epidermidisの検出及び/又は同定方法であって、以下の工程:
(a)前記サンプルを、配列番号33〜配列番号64、又はその縮重改変体、又はその断片の1つから選択される前記ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドのオリゴヌクレオチドプローブと、ハイブリダイゼーションを可能にさせる条件下で接触させる工程;及び
(b)前記サンプル中のハイブリダイゼーション複合体の存在を検出する工程であって、ハイブリダイゼーション複合体が前記サンプル中のStaphylococcus epidermidisの存在を示す工程、
を、含む、方法。
【請求項47】
生物学的サンプル中のStaphylococcus epidermidisに対する抗体の検出及び/又は同定方法であって、以下の工程:
(a)前記サンプルを、配列番号1〜配列番号32、又はその生物学的均等物、又はその断片の1つから選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドと、免疫複合体形成を可能にさせる条件下で接触させる工程;及び
(b)前記サンプル中の免疫複合体の存在を検出する工程であって、免疫複合体が前記サンプル中のStaphylococcus epidermidisの存在を示す工程、
を、含む、方法。
【請求項48】
Staphylococcus epidermidisに対する免疫応答を引き起こす方法に用いるための、請求項1〜29のいずれか1項以上に記載の組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−517918(P2008−517918A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538033(P2007−538033)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/037746
【国際公開番号】WO2007/001423
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(502161704)ワイス (51)
【Fターム(参考)】