説明

TNFの調節活性を有するフェニル−アルキルピペラジン

本発明は、TNFの調節活性を有する新規なフェニル−アルキルピペラジン、これらを含有する医薬組成物、およびこれらを調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TNF調節活性を有する新規なフェニル−アルキルピペラジン、これらを含有する医薬組成物、およびこれらを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TNF−αは、免疫、炎症、細胞増殖、線維化などの媒介物質として同定されているサイトカインである。この媒介物質は、炎症性滑膜組織に多量に存在し、自己免疫の発症に重要な役割を果たす(Annu.Rep.Med.Chem.,1997,32:241−250)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Annu.Rep.Med.Chem.,1997,32:241−250
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フェニル−アルキルピペラジンは、TNF−αの調節に対する強い活性、より詳細には阻害活性を有することがここに見出された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明の一態様によれば、本発明は、式(I)のフェニル−アルキル−ピペラジンに関し、
【0006】
【化1】

式中、
R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、(C1−C5)アルキル基、(C1−C5)ハロアルキル基、(C1−C2)ペルフルオロアルキル基、(C1−C5)アルコキシ基、または(C1−C2)ペルフルオロアルコキシ基を表し、
R3は、(C1−C5)アルキル基を表し、
Aは、=CH−または=N−を表す。
【0007】
式(I)の化合物は、1つ以上の不斉炭素原子を含んでもよい。従って、式(I)の化合物は、エナンチオマーまたはジアステレオマーの形態で存在してもよい。これらのエナンチオマーおよびジアステレオマー、ならびにラセミ混合物を含むこれらの混合物は、本発明の一部を形成する。
【0008】
式(I)の化合物は、塩基または酸付加塩の形態で存在してもよい。このような付加塩は、本発明の一部を形成する。
【0009】
これらの塩は、医薬的に許容される酸を用いて調製することができるが、例えば式(I)の化合物の精製または単離に有用な他の酸の塩も、本発明の一部を形成する。
【0010】
式(I)の化合物は、N−オキシド誘導体として存在してもよい。実際、式(I)の化合物は、特にピペラジン上に1つまたは2つのN−オキシド基を有してもよい。原理的には、上述の2つの窒素が両方とも酸化され得るが、N−オキシドを1つのみ有する化合物が好ましい。
【0011】
本発明の他の主題によれば、塩基または酸付加塩の形態である、式(I)の化合物を挙げることができ、式中、
R1は、(C1−C5)ハロアルキル基、より詳細には(C1−C5)フルオロアルキル基、(C1−C2)ペルフルオロアルキル基を表し、および/または
R2は、水素原子もしくは(C1−C5)アルキル基を表す。
【0012】
本発明の別の主題によれば、ピペラジンは、フェニル基の3位でエチル基を介して結合しており、
【0013】
【化2】

および/または
R1は、(C1−C2)ペルフルオロアルキル基を表し、および/または
R2は、水素原子もしくは(C1−C3)アルキル基を表す。
【0014】
本発明の別の主題によれば、塩基または酸付加塩の形態である、以下の式(I)の化合物を挙げることができる:
1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジン。
【0015】
本発明の他の主題によれば、以下から選択された式(I)の化合物を挙げることができる:
化合物1:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヘミパモアート;
化合物1−2:遊離パモ酸0.5molとの混合物として1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヘミパモアート;
化合物2:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メトキシ−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物3:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−プロピルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物4:1−(3−フルオロフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物5:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ヘプチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物6:1−(6−トリフルオロメチルピリド−2−イル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物7:1−(3−フルオロフェニル)−4−[2−(4−メトキシ−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物8:1−(3−ジフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物9:1−(フェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物10:1−(3−メトキシフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物11:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−(2−メチルブチル)フェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物12:1−(3−ジフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メトキシ−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物13:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メトキシ−3−ヘプチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物14:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ヘキシルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物15:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メトキシ−3−プロピルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物16:1−(フェニル)−4−[2−(4−メトキシ−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物17:1−(4−クロロフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物18:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物19:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンベンゼンスルホナート;
化合物20:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジン2−ナフタレンスルホナート;
化合物21:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンp−トリルスルホナート;
化合物22:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヘミ−2,5−ナフタレンジスルホナート;
化合物23:1−(4−フルオロフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンジヒドロクロリド;
化合物24:1−(4−メトキシフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジン(塩基);
化合物25:1−(5−ブロモピリド−2−イル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンジヒドロクロリド;
化合物26:1−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]−4−(5−トリフルオロメチルピリド−2−イル)ピペラジンジヒドロクロリド;
化合物27:1−(4−tert−ブチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物28:1−(4−エトキシフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンジヒドロクロリド;
化合物29:1−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]−4−m−トリルピペラジンジヒドロクロリド;
化合物30:1−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]−4−ピリド−2−イルピペラジンジヒドロクロリド;
化合物31:1−(6−ブロモピリド−2−イル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物32:1−(2−クロロフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物33:1−(2−メチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物34:1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物35:1−(5−クロロピリド−2−イル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物36:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンオキサラート;
化合物37:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンフマラート;
化合物38:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンスクシナート;
化合物39:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンジヒプラート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において、以下の定義が適用される。
【0017】
「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
【0018】
「アルキル基」は、直鎖または分枝鎖飽和脂肪族基を意味する。
【0019】
例えば、(C1−C5)アルキル基は、1から5個の炭素原子を含む。挙げることのできる例には、より詳細にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル基などが含まれる。
【0020】
「ハロアルキル基」は、1つ以上の水素原子がハロゲン原子で置き換えられている、上に定義したアルキル基を意味し、例えば、フルオロアルキル基は、1つ以上のフッ素原子を含んでもよい。
【0021】
「ペルフルオロアルキル基」は、すべての水素原子がフッ素原子で置き換えられている、上に定義したアルキル基を意味する。
【0022】
「アルコキシ基」は、アルキルが上に定義したとおりである、−O−アルキル基を意味する。
【0023】
「ペルフルオロアルコキシ基」は、すべての水素原子がフッ素原子で置き換えられているアルコキシ基を意味する。
【0024】
以下において、用語「脱離基」は、電子対の喪失によるヘテロリシス結合の切断によって分子から容易に開裂され得る基を意味する。従って、この基は、例えば置換反応中に容易に別の基と置き換えてもよい。このような脱離基は、例えば、ハロゲン、または活性化ヒドロキシル基、例えばメタンスルホナート、ベンゼンスルホナート、p−トルエンスルホナート、トリフラート、アセタートなどである。脱離基の例、およびこれらの調製に関する参考文献は、Advances in Organic Chemistry,J.March、第3版,Wiley Interscience,310−316頁に見出すことができる。
【0025】
式(I)の化合物は、スキーム1に従って調製してもよい。
【0026】
【化3】

このスキームに従って、式(I)の化合物は、式(II)の化合物を、
【0027】
【化4】

(式中、R1およびAは上に定義したとおりである。)
式(III)の化合物と縮合することによって合成することができる。
【0028】
【化5】

(式中、R2およびR3は上に定義したとおりであり、Qは脱離基である。)
用いることのできる脱離基Qの例には、ハロゲン原子、またはアミンと縮合できる任意の基が含まれる。縮合反応は、アルコール、例えばメタノールまたはブタノールなどの有機溶媒中、場合によりアルカリ金属炭酸塩、4−ジメチルアミノピリジン、またはトリエチルアミンなどの塩基の存在下において、室温から選択した溶媒の還流点までの温度で、出発化合物(II)および(III)を混合することによって、通常の方法で行われる。「室温」は5から25℃の温度を意味する。
【0029】
式(III)の化合物は、当業者に知られている通常の方法に従って、式(IV)の化合物のヒドロキシルを脱離基Qに転化することによって調製される。例えば、ヒドロキシルは、臭素酸、四臭化炭素、または臭化チオニルの存在下において、臭素などのハロゲンに、または塩化チオニルの存在下において、塩素などのハロゲンに転化することができる。従って、式(IV)の生成物をメタンスルホニルまたはp−トリルスルホニルクロリドと反応させることによって、メシルオキシ(CH−SO−O−)またはトシルオキシ(トリル−SO−O)基を脱離基として調製できる。
【0030】
化合物(IV)は、式(V)の化合物の二重結合を還元することによって得られる。還元は、例えば、20から40℃の温度で、エタノールなどの有機溶媒中、パラジウム炭素触媒作用による水素の存在下において、当業者に知られている通常の方法に従って行うことができる。
【0031】
式(V)の化合物は、Suzuki反応(J.Org.Chem.,55 6184−1990)によって調製できる。この方法に従って、式(VI)の化合物(式中、Xは、ハロゲン、より詳細には臭素もしくはヨウ素、またはトリフルオロメチルスルホナートを表す。)を、テトラヒドロフラン、ジオキサン、またはジメトキシエタンなどの溶媒中、酢酸パラジウムまたはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどの触媒の存在下において、ビニルボロン酸またはビニルボロナートと反応させる。
【0032】
式(VI)の化合物は、当業者などに周知の条件下、または実施例に詳述するとおり、スキーム1に記載の段階に従って、式(X)の化合物から得ることができる。
【0033】
式(II)の化合物は、市販され入手可能であるか、または当業者に周知の方法に従って調製することができる。
【0034】
このスキームにおいて、出発化合物および試薬は、これらの調製方法が記載されていないとき、市販され入手可能であるか、もしくは文献に記載されているか、または文献に記載されている方法、もしくは当業者に知られている方法に従って調製することができる。
【0035】
本発明による方法は、このようにして得られた式(I)の化合物を単離および/または精製し、および/または場合によりこの塩および/またはN−オキシドに転化する段階を含んでもよい。
【0036】
所望の化合物は、遊離塩基またはこの塩の形態で、通常の技法に従って単離される。遊離塩基は、アルコール、好ましくはエタノールもしくはイソプロパノール、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル、酢酸エチル、アセトン、またはヘキサンなどの炭化水素などの有機溶媒中、単純な塩化によって、この塩に転化することができる。
【0037】
窒素原子上にN−オキシド基を有する式(I)の化合物は、対応する式(I)の化合物を酸化することによって調製できる。この場合、上記の合成によって得られた式(I)の化合物を、通常の方法による酸化反応、例えば適切な溶媒中のm−クロロ過安息香酸との反応に供し、当業者に周知の通常の技法に従って単離する。
【0038】
以下の実施例は、本発明による化合物の調製を記載する。これらの実施例は、本発明を限定するものではなく、単に例示するものである。記載する化合物の番号は、本発明による化合物の化学構造および物理特性を例示する下記の表に示す番号を指す。
【0039】
物理化学的測定は以下のとおり行った。
【0040】
融点はBuchi B540装置で測定した。
【0041】
プロトン核磁気共鳴スペクトル(H NMR)は、Avanceコンソールを備えたBruker装置において500MHzで記録した。化学シフトはTMSの周波数に対するppmで報告する。
【0042】
スペクトルはすべて温度40℃で記録した。
【0043】
シグナルの特徴を明らかにするために用いた略語は以下のとおりである。s=シングレット、bs=ブロードシングレット、m=マルチプレット、bm=ブロードマルチプレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット。
【0044】
●=水由来の幅広いピークの干渉のため積分不能。
【0045】
LC/MS技法に関して:
イオントラップ質量分析検出器およびダイオードアレイ検出器の両方を備えたThermoElectron LCQ Deca XP Max System
【0046】
使用したクロマトグラフィ系は以下のとおりである。
方法A)
Kromasil C18カラム(2.1×50mm)3.5μm
溶離液A=HO酢酸アンモニウム5mM pH6.5
溶離液B=CHCN
12分間かけてA98%からB95%に勾配、次いで3分間かけてB95%で溶出
流速0.5ml/分
9/1CHCN/HO混合物中0.1mg/ml溶液2μLを注入
方法B)
Kromasil C18カラム(2.1×50mm)3.5μm
溶離液A=HO+0.01%TFA
溶離液B=CHCN
15分間かけてA98%からB95%に勾配、次いで5分間かけてB95%で溶出
流速0.5ml/分
9/1CHCN/HO混合物中0.1mg/ml溶液2μLを注入
方法C)
Varian Sunfire C18カラム(2.0×100mm)3.5μm
溶離液A=HO+0.01%TFA
溶離液B=CHCN
15分間かけてA98%からB95%に勾配、次いで5分間かけてB95%で溶出
流速0.5ml/分
9/1CHCN/HO混合物中0.1mg/ml溶液2μLを注入
方法D)
Waters Atlantis DB C18カラム(2.0×50mm)3.0μm
溶離液A=HO+0.01%TFA
溶離液B=CHCN
15分間かけてA98%からB95%に勾配、次いで5分間かけてB95%で溶出
流速0.5ml/分
9/1CHCN/HO混合物中0.1mg/ml溶液2μLを注入
方法E)
XTerra C18カラム(2.1×50mm)3.5μm No.186000400
溶離液A=HO+0.01%TFA
溶離液B=CHCN
15分間かけてA98%からB95%に勾配、次いで5分間かけてB98%で溶出
流速0.5ml/分
9/1CHCN/HO混合物中0.1溶液2μLを注入
方法F)
Ascentis C18カラム 2×50mm 3μm
溶離液A=HO+0.01%TFA
溶離液B=CHCN
10分間かけてA98%からB95%に勾配、次いで5分間かけてB95%で溶出
流速0.5ml/分;温度40℃
9/1CHCN/HO混合物中0.1mg/ml溶液2μLを注入
方法G)
Ascentis C18カラム 2×50mm 3μm
溶離液A=HO+0.05%TFA
溶離液B=CHCN+0.035mlTFA
12分間かけてA98%からB95%に勾配、次いで3分間かけてB95%で溶出
流速0.7ml/分;温度40℃
9/1CHCN/HO混合物中0.1mg/ml溶液2μLを注入
生成物はUVによって220nmで検出する。
【0047】
質量分析の項に関して:
イオン化モード:ポジティブエレクトロスプレー(ESI+極性+)
走査100から1200amu
【0048】
フラッシュカラムクロマトグラフィ用のシリカゲルは、Biotageから販売されている。
【0049】
(調製1)
4−(2−ブロモエチル)−1−メチル−2−ペンチルベンゼン
1a)(3−ブロモ−4−メチルフェニル)酢酸
3−ブロモ−4−メチルアセトフェノン13g(0.061mol)、硫黄2.1g(0.065mol)、モルホリン14ml、および触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物を混合する。混合物を窒素流下、130℃で加熱する。7時間後、混合物を冷却し、無水エタノール35mlを添加し、混合物を室温で一晩攪拌する。このように形成されたチオアミド13.9gを、エタノール110ml、水70ml、およびNaOH6gの溶液に溶解し、混合物を4時間還流する。溶媒を蒸発させ、その後、混合物を希塩酸溶液で酸性にする。白色の固体が沈澱する。沈殿物を濾別し、表題化合物9.16gを得る。
【0050】
1b)2−(3−ブロモ−4−メチルフェニル)エタノール
調製1a)の化合物をエタノール170mlに溶解する。塩化水素ガスを混合物に30分間通気する。混合物を3時間還流する。エタノールを蒸発させ、残留物をジエチルエーテルに溶かす。混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、真空下で蒸発させる。エステル7.1gを得て、THF70mlに溶解する。窒素下、THF110ml中ボラン/硫化ジメチル7.6ml溶液を滴加し、得られた混合物を3時間還流する。混合物を0℃に冷却し、メタノール120mlを注意深く添加する。混合物を30分間還流し、真空下で蒸発させる。残留物を酢酸エチルに溶解し、希アンモニア水溶液で洗浄し、乾燥し、真空下で蒸発させる。
【0051】
表題化合物に相当する油5.4gを得る。
【0052】
1c)2−[4−メチル−3−(ペント−1−エニル)フェニル]エタノール
前段階で得られた生成物2.0g(0.0093mol)、ペンテニルボロン酸1.12g(0.01mol)、KOH2.1g(0.037mol)、テトラブチルアンモニウムブロミド1.5g(0.0046mol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム50mgをTHF50ml中で混合する。混合物を窒素流下、4時間還流する。混合物を水に注ぎ入れ、ジエチルエーテルで抽出し、有機相を乾燥し、溶媒を蒸発させる。残留物を、9/1ヘキサン/酢酸エチル混合物で溶出して、シリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製する。表題生成物740mgを油の形態で得る。
【0053】
1d)2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エタノール
前段階で得られた生成物0.74g(0.0036mol)をエタノール46mlに溶解し、10%Pd/C0.12gを添加、混合物を水素流下、温度40℃で5時間反応させる。反応混合物を濾過し、真空下で蒸発させる。表題化合物0.65gを油の形態で得る。
【0054】
1e)4−(2−ブロモエチル)−1−メチル−2−ペンチルベンゼン
前段階で得られた生成物0.65g(0.0032mol)を、48%臭化水素酸水溶液8mlを含む丸底フラスコに入れる。混合物を130℃で6時間加熱し、冷却し、飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ入れる。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、乾燥し、真空下で蒸発させる。表題化合物0.65gを油の形態で得る。
【0055】
(調製2)
4−(2−メタンスルホニルオキシエチル)−1−メトキシ−2−ペンチルベンゼン
2a)(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)酢酸
調製1a)に記載のとおり行うが、3−ブロモ−4−メチルアセトフェノンの代わりに3−ブロモ−4−メトキシ−アセトフェノンを用いて、表題化合物を得る。
【0056】
2b)2−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)エタノール
調製1b)に記載のとおり行うが、化合物1a)の代わりに前段階の化合物2a)を用いて、表題化合物を得る。
【0057】
2c)2−[4−メトキシ−3−(ペント−1−エニル)フェニル]エタノール
調製1c)に記載のとおり行うが、化合物1b)の代わりに前段階の化合物2b)を用いて、表題化合物を得る。
【0058】
2d)2−(4−メトキシ−3−ペンチルフェニル)エタノール
調製1d)に記載のとおり行うが、化合物1c)の代わりに前段階の化合物2c)を用いて、表題化合物を得る。
【0059】
2e)4−(2−メタンスルホニルオキシエチル)−1−メトキシ−2−ペンチルベンゼン
前段階の化合物2d)1.2g(0.0054mol)、ジクロロメタン20ml、トリエチルアミン0.75ml(0.0054mol)、および0から5℃で、メタンスルホニルクロリド0.42ml(0.0054mol)を丸底フラスコに入れる。
【0060】
混合物を室温で2時間攪拌し、水で洗浄し、乾燥し、有機相を真空下で蒸発させる。黄色の油の形態で表題生成物を得る。
【実施例1】
【0061】
化合物1:1−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]−4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジンおよびこのヘミパモ酸塩
調製1の化合物1.98g(0.00777mol)、(3−トリフルオロメチルフェニル)−1−ピペラジン1.5g(0.0065mol)、炭酸カリウム1.35g(0.00975mol)、およびn−ブタノール40mlを丸底フラスコに入れる。混合物を6時間還流する。n−ブタノールを蒸発させ、残留物を酢酸エチルに溶かし、水で洗浄し、有機相を乾燥し、溶媒を蒸発させる。残留物を、95/5ヘキサン/酢酸エチル混合物で溶出して、シリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製する。
【0062】
得られた遊離塩基300mgのTHF溶液を、パモ酸180mgの8/2THF/水溶液と混合する。
【0063】
反応混合物を真空下で濃縮し、エタノール6mlを添加し、固体を得て、次いでこれを濾別する。固体をエタノールと加熱して結晶化し、オフホワイト色のヘミパモ酸塩を得る:450mg、融点=156−157。エタノール中でさらに結晶化して、融点157−158を得る。
【0064】
融点=157−158℃
M+H(方法A)=保持時間10.9分 m/z419(MH
H NMR:δ(ppm,DMSO−d6):0.88(m;3H);1.27−1.39(m;4H);1.45−1.59(m;2H);2.23(s;3H);2.50−2.58(m;2H**);2.75−2.89(m;2H);2.89−3.50(m;10H);4.74(s;1H);6.97(dd;Ja=7.7Hz;Jb=1.4Hz;1H);7.02(d;J=1.4Hz;1H);7.07(d;J=7.7Hz;1H);7.08−7.15(m;2H);7.16−7.32(m;3H);7.45(dd→t;J=8Hz;1H);7.74(d;J=8Hz;1H);8.17(d;J=8Hz;1H);8.30(s;1H).
【0065】
本発明の一変形例によれば、以下の方法に従って、1−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]−4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジンヘミパモアートと遊離パモ酸(モル比1:0.5)の混合物である化合物1−2が調製される。
【0066】
実施例1の方法に従って得られた遊離塩基600mgのTHF溶液を、パモ酸540mgの8/2THF/水溶液と混合する。混合物を真空下で蒸発させ、その後、残留物をTHFとイソプロピルエーテルの混合物で処理し、加熱し、濾過する。黄色の固体1gを得る。
【0067】
融点=158−159℃
M+H(方法B)=保持時間10.1分 m/z419(MH
【実施例2】
【0068】
化合物2:1−[2−(4−メトキシ−3−ペンチルフェニル)エチル]−4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジンおよびこの塩酸塩
調製2の化合物0.336g(0.00112mol)、イソプロパノール20ml、トリエチルアミン0.47ml(0.0036mol)、および4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン0.21ml(0.00112mol)を丸底フラスコに入れる。混合物を還流温度で一晩加熱する。溶媒を真空下で蒸発させ、油を得て、これを8/2ヘキサン/酢酸エチル混合物で溶出して、クロマトグラフィで精製する。遊離塩基300mgを得て、この遊離塩基から、HClで飽和したイソプロパノール溶液を用いて、イソプロパノール中の塩酸塩を調製する。
【0069】
濾過した後、白色の固体100mgを得る。
【0070】
融点=146−149℃
M+H(方法B)=保持時間7.0分 m/z435(MH
H NMR:δ(ppm,DMSO−d6):0.88(m;3H);1.23−1.38(m;4H);1.53(m;2H);2.51−2.57(m;2H**);2.95−3.05(m;2H);3.11−3.28(m;4H);3.30−3.41(m;2H);3.60−3.70(m;2H);3.77(s;3H);3.93−4.04(m;2H);6.92(d;J=8Hz;1H);7.05(d;J=2Hz;1H);7.07(dd;Ja=8Hz;Jb=2Hz;1H);7.17(bd;J=7Hz;1H);7.29(bs;1H);7.31(bd;J=8Hz;1H);7.49(dd→t;J=8Hz;1H);10.59(bs;1H).
【実施例3】
【0071】
化合物38:1−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]−4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジンおよびこのシュウ酸塩
調製1の化合物0.24g(0.89mmol)、(3−トリフルオロメチルフェニル)−1−ピペラジン0.24g(0.1mmol)、炭酸カリウム0.22g(1.6mmol)、およびn−ブタノール10mlを丸底フラスコに入れる。混合物を6時間還流する。n−ブタノールを蒸発させ、残留物を酢酸エチルに溶かし、水で洗浄し、有機相を乾燥し、溶媒を蒸発させる。残留物を、95/5ヘキサン/酢酸エチル混合物で溶出して、シリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製する。このようにして表題生成物130mgを油の形態で得る。生成物をイソプロパノール2mlに溶解する。シュウ酸のイソプロパノール溶液を添加して、シュウ酸塩を沈澱させ、次いで、これを濾過によって白色固体の形態で単離する(0.12g)。
【0072】
融点=193−194℃
M+H=保持時間6.7分 m/z419(MH
H NMR:δ(ppm,DMSO−d6):0.89(m;3H);1.28−1.40(m;4H);1.46−1.59(m;2H);2.23(s;3H);2.50−2.57(m;**);2.78−2.89(m;2H);2.91−3.08(m;);3.39(bs;4H);6.97(dd;Ja=7.7Hz;Jb=1.6Hz;1H);7.02(bs;1H);7.07(d;J=7.7Hz;1H);7.12(d;J=7.4Hz;1H);7.22(bs;1H);7.27(bd;J=8.4Hz;1H);7.45(m;1H).
【0073】
【表1】





【0074】
本発明の化合物は、TNF−α阻害剤として有利な特性を有する。
【0075】
これらの特性を、大腸菌(Escherichia coli)(055:B5、Sigma、St Louis、Mo)由来のリポ多糖(LPS)によってBalb/cマウスにおいて誘発されたTNF−αの合成に対する分子の効果を測定することを目的とした試験を用いて実証した。
【0076】
試験生成物を5匹の7から8週齢雌Balb/cマウス(Charles River、France)群に経口で投与する。1時間後、LPSを静脈内投与する(10μg/マウス)。LPS投与の1.5時間後、各動物の血液を採取する。サンプルを遠心分離し、血漿を回収し、−80℃で凍結させる。市販のキット(R&D、Abingdon、UK)を用いて、TNF−αを測定する。
【0077】
この試験において、化合物38は、非常に低い用量であってもTNF−αの合成を阻害し、非常に活性であることが示された。IC50=0.1mg/Kg。
【0078】
これらの特性をさらに、大腸菌(Escherichia coli)(055:B5、Sigma、St Louis、Mo)由来のリポ多糖(LPS)によってSprague−Dawleyラットにおいて誘発されたTNF−αの合成に対する分子の効果を測定することを目的とした試験を用いて実証した。
【0079】
試験生成物を10匹の体重約200gの雄Sprague−Dawleyラット群に経口で投与する。2時間後、LPSを静脈内投与する(0.1mg/マウス)。LPS投与の1.5時間後、各動物の血液を採取する。サンプルを遠心分離し、血清を回収し、−80℃で凍結させる。市販のキット(RPN 2744 Amersham、UK)を用いて、TNF−αを測定する。
【0080】
この試験において、化合物は、非常に低い用量であってもTNF−αの合成を阻害し、非常に活性であることが示された。IC50=0.3から1mg/Kg、特に化合物1ではIC50=0.3mg/Kg、化合物4および8ではIC50=1mg/Kg。
【0081】
本発明の化合物を関節炎症モデルで試験する。
【0082】
zymosan(登録商標)(以下参照)の第1回注射の1時間前、本発明による化合物(2%PVP(ポリビニルピロリドン)/1%ルトロールF68/0.9%NaCl溶液10μl中の懸濁液として1ng/関節)をハムスターの関節に注射する。
【0083】
膝関節炎症の誘発:イソフルランを用いた軽度麻酔下、食塩溶液10μL中100μgの用量でzymosan(登録商標)の懸濁液を、雄ハムスターの膝関節に注射する。zymosan(登録商標)は、皮下に注射されたとき、強い用量依存性炎症を生じる酵母抽出物である。本明細書に記載の実験条件下(膝関節に注射)、zymosan(登録商標)は、1週間持続する痛覚過敏を誘発する。この期間を延長するため、3回連続してzymosan(登録商標)注射を適用した。足底皮膚を既定の熱刺激に暴露した後、足逃避の遅延時間を、対象となる後肢下の適正な場所に赤外線を確実に配置するための小型カメラを含む装置(Plantar Test Ugo Basile Biological Research Apparatus、Comerio、Italy)を用いて測定する。
【0084】
続発性痛覚過敏の測定:後肢が赤外光を反射する時間の長さを測定するタイマーは研究者が開始し、動物が肢を振るか、または引き離したらすぐに自動的に停止する。熱傷を避けるために、動物が肢を引き離さない場合、研究者が16秒後に赤外光を停止する。肢逃避までの遅延時間(秒)を疼痛の測定値として用いる。測定はzymosan(登録商標)の第1回注射の4時間後、およびその後3週間の間行った。この試験において、本発明の代表的な化合物、特に化合物1は、3週間にわたって有効な疼痛の低減を示す。
【0085】
本発明の化合物をさらに神経障害性疼痛モデルで試験する。坐骨神経部分損傷(SNI)における抗アロディニア効果を測定。
【0086】
この慢性神経障害性疼痛を患うマウスのin vivoモデルでは、通常では痛くない機械的刺激後に誘発される疼痛感覚、接触性アロディニアへの効果を、坐骨神経の外科手術的病変によって後肢に引き起こす。次いで、足逃避閾値(PWT)、即ちマウスが後肢を逃避させるとき加えた力(グラムで表す。)を測定することによってこれを判定する。
【0087】
接触性アロディニアは、放出突き針(discharge needle prod)を用い、5グラムまで強度を増加させる圧刺激に後肢の足底皮膚を暴露する自動von Frey試験によって、両方の後肢で、即ち手術後に決定された病変に対して同側および対側で判定する。動物が後肢を逃避させることによって反応する力(グラム)(足逃避閾値、PWT)を、接触性アロディニアの測定値として用いる。
【0088】
それぞれ4匹の雄C57B6マウスから構成される、本発明による化合物を用いる動物の試験群および対照群を用いた。各群において、手術前にPWT値のベースライン(BL)を求めた。全身麻酔下、神経障害性疼痛を誘発するために、腓腹神経は未処置のまま、坐骨神経の2つの主要な枝を結紮し、横方向に切断する(坐骨神経部分損傷(SNI))。この神経障害性疼痛モデルでは、損傷と同側の後肢において、神経の横方向切断の2日以内に接触性アロディニアが完全に発症し、対照群は実験の観察期間中、安定なままである。
【0089】
手術の7日後、化合物投与直前、即ち0時間に、すべての群において、同側後肢(損傷)および対側後肢(非損傷)のPWT値を求めた。本発明による化合物またはビヒクルを、尾静脈への注射によって(i.v.)動物に投与した。試験群では、マウスは1mg/kgの用量で、ビヒクル(1/1/18エタノール/クレモホール/リン酸緩衝食塩水)中の試験化合物の溶液0.1ml/10gを投与された。対照群では、マウスは同様にビヒクル0.1ml/10gを投与された。投与の1時間後、2時間後、4時間後、および6時間後にPWT値を求めた。
【0090】
統計的解析のために、測定したPWT値を一方向分散分析(1−way ANOVA)およびボンフェローニ多重比較によって解析した。評価した用量(1mg/kgi.v.)では、1時間から6時間まで実施例1で統計的に有意な疼痛の低減(抗アロディニア効果の測定による。)が認められた。
【0091】
この活性のため、式(I)の化合物およびこれらの塩は、免疫性および炎症性障害に関連する疾患を治療するため、または疼痛を治療する鎮痛薬として用いてもよい。
【0092】
詳細には、式(I)の化合物は、アテローム性動脈硬化症、自己免疫疾患、神経脱髄を生じる疾患(多発性硬化症など)、喘息、関節、より詳細には肩、膝、指などの関節の疼痛または炎症、関節リウマチおよびこの関節痛、変形性関節症およびこの関節痛、ならびに関節の他の炎症性疼痛、または他の炎症性疼痛(例えば、ヒグローマ、腱炎など)、線維性疾患、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、糸球体腎炎、リウマチ様脊椎炎、通風、骨および軟骨吸収、骨粗鬆症、パジェット病、多発性骨髄腫、ブドウ膜網膜炎、敗血症性ショック、敗血症、内毒素性ショック、移植片対宿主病、移植片拒絶、成人呼吸促迫症候群、珪肺症、石綿症、肺サルコイドーシス、クローン病、潰瘍性大腸炎、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性エリテマトーデス、血行動態性ショック(haemodynamic shock)、虚血性病状(心筋梗塞、心筋虚血、冠動脈攣縮、狭心症、心不全、心臓発作)、虚血後再灌流病変、マラリア、マイコバクテリア感染、髄膜炎、ライ病、ウイルス感染(HIV、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス)、エイズ関連日和見感染、結核、乾癬、アトピー性および接触性皮膚炎、糖尿病、悪液質、癌、および放射線誘発性損傷の治療に用いてもよい。
【0093】
一態様によれば、本発明は、上述の疾患を治療するための、本発明による化合物、または前記化合物の医薬的に許容される塩に関する。
【0094】
他の態様によれば、本発明は、活性成分として、本発明による化合物を含む医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、有効用量の少なくとも1種の本発明による化合物、または前記化合物の医薬的に許容される塩、および少なくとも1種の医薬的に許容される賦形剤を含む。
【0095】
前記賦形剤は、医薬品の形態および所望の投与様式に従って、当業者に知られている通常の賦形剤から選択される。
【0096】
経口、舌下、皮下、筋内、静脈内、関節内、表面(topical)、局所(local)、気管内、鼻腔内、経皮、または直腸投与用の本発明の医薬組成物では、上記の式(I)の活性成分、またはこの塩を、上記の病訴または疾患を予防または治療するために、ヒトおよび動物に、標準的な医薬賦形剤との混合物として単位投与形態で投与してもよい。
【0097】
適切な単位投与形態には、錠剤、軟質または硬質ゲルカプセル剤、粉剤、顆粒剤、および経口液剤または懸濁剤などの経口形態、舌下、口腔、気管内、眼内、鼻腔内、または吸入投与形態、表面、経皮、皮下、筋内、または静脈内投与形態、直腸投与形態、ならびにインプラントが含まれる。表面適用のために、本発明による化合物は、クリーム、ゲル、軟膏、またはローション剤で用いてもよい。
【0098】
例として、錠剤形態の本発明による化合物の単位投与形態は、以下の成分を含んでもよい。
本発明による化合物 50.0mg
マンニトール 223.75mg
クロスカルメロースナトリウム 6.0mg
トウモロコシデンプン 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
【0099】
経口により、1日に与えられる活性成分の用量は、1回以上の投与量摂取で、0.01から100mg/kg、好ましくは0.02から50mg/kgに達することができる。
【0100】
例として、関節内液剤または懸濁剤形態の本発明による化合物の単位投与形態は、以下の成分を含んでもよい。
本発明による化合物
ポリビニルピロリドン(PVP)K17 2%
ルトロールF68 1%
NaCl 0.9%
【0101】
関節内経路により、与えられる活性成分の用量は、関節当たり0.01から40mg/kgに達することができ、注射の間隔は好ましくは少なくとも1カ月である。
【0102】
さらなる例として、関節内液剤または懸濁剤形態の本発明による化合物の単位投与形態は、以下の成分を含んでもよい。
本発明による化合物 48mg
ポリビニルピロリドン(PVP) 20mg
ポロキサマー188 10mg
NaCl 9mg
0.1N NaOH/0.1N HCl pHを6.8から7.4に調節する適量
注射用水 1000mg
【0103】
関節内経路により、与えられる活性成分の用量は、関節当たり4ngから96mgに達することができ、注射の間隔は好ましくは少なくとも1カ月である。
【0104】
より多量または少量の投与量が適切である特定の場合が存在する可能性があり、このような投与量は本発明から逸脱しない。通常の実施によれば、それぞれの患者に適した投与量は、投与様式、ならびに前記患者の体重および反応によって、医師によって決定される。
【0105】
他の一態様によれば、本発明はまた、有効量の本発明による化合物、または医薬的に許容されるこの塩を患者に投与することを含む、上記の病状を治療する方法に関する。
【0106】
他の一態様によれば、本発明は、式(I)の化合物または医薬的に許容されるこの塩を、単独でまたは他の活性成分と組み合わせて投与することを含む、免疫性および炎症性障害に関連する疾患、ならびに疼痛、詳細には、アテローム性動脈硬化症、自己免疫疾患、神経脱髄を生じる疾患(多発性硬化症など)、喘息、関節リウマチおよびこの関節痛、変形性関節症およびこの関節痛、ならびに関節の他の炎症性疼痛、または他の炎症性疼痛(例えば、ヒグローマ、腱炎など)、線維性疾患、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、糸球体腎炎、リウマチ様脊椎炎、通風、骨および軟骨吸収、骨粗鬆症、パジェット病、多発性骨髄腫、ブドウ膜網膜炎、敗血症性ショック、敗血症、内毒素性ショック、移植片対宿主病、移植片拒絶、成人呼吸促迫症候群、珪肺症、石綿症、肺サルコイドーシス、クローン病、潰瘍性大腸炎、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性エリテマトーデス、血行動態性ショック、虚血性病状(心筋梗塞、心筋虚血、冠動脈攣縮、狭心症、心不全、心臓発作)、虚血後再灌流病変、マラリア、マイコバクテリア感染、髄膜炎、ライ病、ウイルス感染(HIV、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス)、エイズ関連日和見感染、結核、乾癬、アトピー性および接触性皮膚炎、糖尿病、悪液質、癌、および放射線誘発性損傷を治療する方法に関する。
【0107】
他の一態様によれば、本発明は、式(I)の化合物または医薬的に許容されるこの塩を、単独でまたは他の活性成分と組み合わせて投与することを含む、関節、より詳細には肩、膝、または指の関節の疼痛および炎症を治療する方法に関する。本発明はまた、式(I)の化合物または医薬的に許容されるこの塩の単独または他の活性成分と組み合わせての投与が、関節内注射によって行われる、上記の治療方法に関する。
【0108】
他の一態様によれば、本発明は、関節の疼痛もしくは炎症を治療する薬剤を調製するための、式(I)の化合物または医薬的に許容されるこの塩の使用、またはより詳細には、薬剤を関節に注射することを特徴とする、式(I)の化合物または医薬的に許容されるこの塩の使用に関する。
【0109】
他の一態様によれば、本発明は、関節の疼痛もしくは炎症を治療するため、またはより詳細には、薬剤を関節に注射することを特徴とする治療のための、式(I)の化合物または医薬的に許容されるこの塩に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基または酸付加塩の形態である、式(I)の化合物であって、
【化1】

式中、
R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、(C1−C5)アルキル基、(C1−C5)ハロアルキル基、(C1−C2)ペルフルオロアルキル基、(C1−C5)アルコキシ基、または(C1−C2)ペルフルオロアルコキシ基を表し、
R3は、(C1−C5)アルキル基を表し、
Aは、=CH−または=N−を表す化合物。
【請求項2】
塩基または酸付加塩の形態である、
R1が、(C1−C5)ハロアルキル基または(C1−C2)ペルフルオロアルキル基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
塩基または酸付加塩の形態である、
R1が、(C1−C5)フルオロアルキル基を表す、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
塩基または酸付加塩の形態である、
R2が、水素原子または(C1−C5)アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1、2、または3に記載の化合物。
【請求項5】
塩基または酸付加塩の形態である、ピペラジンが、フェニル基の3位でエチル基を介して結合している、
【化2】

請求項1、2、3、または4に記載の化合物。
【請求項6】
塩基または酸付加塩の形態である、
R1が、(C1−C2)ペルフルオロアルキル基を表す、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
塩基または酸付加塩の形態である、
R2が、水素原子または(C1−C3)アルキル基を表す、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
塩基または酸付加塩の形態である、
1−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]−4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジンであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
化合物1:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヘミパモアート;
化合物1−2:遊離パモ酸0.5molとの混合物として1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヘミパモアート;
化合物2:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メトキシ−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物3:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−プロピルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物4:1−(3−フルオロフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物5:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ヘプチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物6:1−(6−トリフルオロメチルピリド−2−イル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物7:1−(3−フルオロフェニル)−4−[2−(4−メトキシ−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物8:1−(3−ジフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物9:1−(フェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物10:1−(3−メトキシフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物11:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−(2−メチルブチル)フェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物12:1−(3−ジフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メトキシ−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物13:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メトキシ−3−ヘプチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物14:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ヘキシルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物15:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メトキシ−3−プロピルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物16:1−(フェニル)−4−[2−(4−メトキシ−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物17:1−(4−クロロフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物18:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物19:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンベンゼンスルホナート;
化合物20:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジン2−ナフタレンスルホナート;
化合物21:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンp−トリルスルホナート;
化合物22:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヘミ−2,5−ナフタレンジスルホナート;
化合物23:1−(4−フルオロフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンジヒドロクロリド;
化合物24:1−(4−メトキシフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジン(塩基);
化合物25:1−(5−ブロモピリド−2−イル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンジヒドロクロリド;
化合物26:1−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]−4−(5−トリフルオロメチルピリド−2−イル)ピペラジンジヒドロクロリド;
化合物27:1−(4−tert−ブチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物28:1−(4−エトキシフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンジヒドロクロリド;
化合物29:1−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]−4−m−トリルピペラジンジヒドロクロリド;
化合物30:1−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]−4−ピリド−2−イルピペラジンジヒドロクロリド;
化合物31:1−(6−ブロモピリド−2−イル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物32:1−(2−クロロフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物33:1−(2−メチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物34:1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物35:1−(5−クロロピリド−2−イル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンヒドロクロリド;
化合物36:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンオキサラート;
化合物37:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンフマラート;
化合物38:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンスクシナート;
化合物39:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−[2−(4−メチル−3−ペンチルフェニル)エチル]ピペラジンジヒプラートから選択された、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物を調製するための方法であって、
式(II)の化合物を、
【化3】

(式中、R1およびAは請求項1に定義されるとおりである。)
式(III)の化合物と縮合し、
【化4】

(式中、R2およびR3は請求項1に定義されるとおりであり、Qは脱離基を表す。)
場合により、これをこの塩に転化する段階を含む方法。
【請求項11】
活性成分として、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、または医薬的に許容されるこの塩を含有する医薬組成物。
【請求項12】
活性成分として、請求項1から9に記載の式(I)の化合物、または医薬的に許容されるこの塩を含む薬剤。
【請求項13】
免疫性および炎症性障害に関連する疼痛および/または疾患を治療または予防する薬剤を調製するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、または医薬的に許容されるこの塩の使用。
【請求項14】
関節の疼痛または炎症を治療する薬剤を調製するための、請求項13に記載の式(I)の化合物または医薬的に許容されるこの塩の使用。
【請求項15】
薬剤を関節に注射することを特徴とする、請求項14に記載の式(I)の化合物または医薬的に許容されるこの塩の使用。

【公表番号】特表2011−524409(P2011−524409A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514097(P2011−514097)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051138
【国際公開番号】WO2009/153514
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】