説明

TRPV1アゴニスト類、それらを含む製剤及びその使用

Xが2つの水素原子、π結合、酸素又はメチレンを表わし、R2がC6−C12アリール又はアリールアルキル基であり、R3が水素、2−ヒドロキシエチル又は2−アミノエチルである一般式(I)の化合物は、バニロイド受容体タイプIによって媒介される病変の治療に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バニロイド(vanilloid)受容体タイプ1に対して作動活性を有するリシノール酸誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
バニロイド受容体タイプ1(VR1又はTRPV1)は6回膜貫通ドメインを有する一過性受容体電位(transient receptor potential)のカチオンチャンネル(TRPV)の広範な群に属している。TRPV1は、現在いくつかの天然物、カプサイシン及びレジニフェラトキシン(最も知られており、また研究されている)によって活性化されることが知られている唯一のTRPVチャンネルである(Sterner and Szallasi, Trends Pharmacol. Sci. 1999, 20, 459-465)。今までのところ、他のTRPVチャンネル、例えば、TRPV2、TRPV3及びTRPV4(さらに「VR1様(VRL)受容体」としても知られている)は、ただ機械的刺激、浸透性刺激あるいは熱的刺激に反応するものであり、それらは大体において哺乳動物の様々な細胞組織に均等に分布しているのに対し、特に、TRPV1は、例えば、熱、プロトン及び植物性毒素によって引き起こされる疼痛刺激の分子積算器として作用し、末梢感覚タイプC及びAδ線維中で主に発現されるものとされている(Gunthorpe et al.,Trends Pharmacol. Sci.2002, 23, 183-191)。
【0003】
遺伝子組み換えマウスでのVR1−ノックアウト研究が、「熱」又は「炎症性」疼痛の部分的な知覚と伝達内のTRPV1の役割を一義的に証明した(Caterina et al., Science 2000, 288, 306-313; Davis et al., Nature 2000, 405, 183-187)。他の研究では、TRPV1はさらに腸の炎症性障害(Yiangou et al., Lancet 2001, 357, 1338-1339)、神経因性疼痛(Walker et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 2003, 304, 56-62)、便失禁及び病的咳(Chung and Chang, Pulm. Pharmacol. Ther. 2002, 15, 335-338)に関係すると示唆されている。TRPV1は、さらに膀胱機能のコントロール(Birder et al., Nat. Neurosci. 2002, 5, 856-860)、そしてニューロンの可塑性、体温、摂食行動、エネルギー消費及び動作(Di Marzo et al., Eur. J. Pharmacol. 2001, 420, 123-131)のコントロールにおいて明らかに基本的な役割を果たしている。
【0004】
TPRV1受容体を発現するニューロンは、カプサイシンのようないくつかのアゴニストよって活性化後直ちに脱感作される。実際的な視点から見て、アゴニスト作用による最初の灼熱感は、パラドックス効果によって克服される。VR1タキフィラキシー(tachyphylaxis)は、さらに、グルタミン酸塩興奮毒性に対する、周知の反嘔吐性・抗炎症の効果及び神経保護の効果のような、カプサイシン及びチリペッパーに説明された他の医薬の効果を説明することができる。また、カプサイシン及びその類縁化合物レジニフェラトキシンは、尿失禁(ここでは、VRの存在によって特徴づけられる神経末端が、排尿反射の伝達に関与している)の治療にも使用される一方、カプサイシンの合成誘導体、最もよく知られているものはオルバニルであるは、経口の鎮痛剤として特許化されている。しかしながら、製薬業界では、より強力なTRPV1アゴニストの開発になお著しい興味がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の化合物は次の一般式(I)を有する。
【0006】
【化1】

式中、
Xは、2つの水素原子、π結合、酸素又はメチレンを表わし、
R2は、C6−C12アリール又はアリールアルキル基であり、
R3は、水素、2−ヒドロキシエチル又は2−アミノエチルである。
【0007】
R2は、フェニル、ベンジル又はフェネチルが好ましく、R3は、水素が好ましい。
【0008】
これらの化合物は、強力なTPVR1アゴニストであり、したがって疼痛又は尿失禁又は腸の炎症性障害の治療に役立つ。
【0009】
また、本発明は、有効成分として式(I)の化合物を有効量で含む薬剤組成物に関する。
【0010】
本発明の化合物は、ラセミ形あるいは鏡像異性的に純粋な形であってよく、12Rがより好ましい。二重結合の配置はE又はZであってよく、Zがより好ましい。また、本発明は、式(I)の化合物の薬理学的に許容される塩類を含んでいる。
【0011】
本発明の化合物は、例えば、以下に記載の方法によって合成することができる;他の試薬及び原料は式(I)の別の化合物を得るために選ぶことができる。
【0012】
最も単純な合成方法によれば、本発明の化合物はスキーム1によってリシノール酸バニルアミドから製造される。
【0013】
【化2】

【0014】
文献に基づいて製造されたリシノール酸バニルアミドは、場合によりシクロプロパン化又はエポキシ化され、得られる中間物は適当なアシル化剤でエステル化される。エステル化にふさわしい活性化されたカルボン酸誘導体は、技術的に既知の手法にしたがって、酸ハロゲン化物(特にクロリド)、並びに混成無水物又はカルボジイミドとの付加物である。バニルアミン基のパラヒドロキシルのエステルは続いて選択的に加水分解され、対応する水酸基誘導体とされる。この化合物は本発明の目的物である。必要ならば、フェノール性ヒドロキシル基は、続いてアミノエチル又はヒドロキシエチル残基でエーテル化される。
【0015】
また、本発明の化合物の合成に有用な中間物は、スキーム2に従い、トリクロロエタノールリシノレートから出発しても得ることができる。
【0016】
【化3】

【0017】
文献に基づいて製造されたトリクロロエタノールリシノレートは、上記したと同様に、活性化されたカルボン酸により12の位置でアシル化される。その後、トリクロロエチルエステルは選択的に加水分解されて、12−アシルリシノール酸とされ、続いてバニルアミンと縮合することによってアミド体に変換される。
【0018】
同じ方法は、トランス体及び12−S異性体、又は飽和した天然のリシノール酸の類縁物に適用することにも成功している。
【0019】
本発明の製品の生物活性はインビトロ及びインビボの双方で評価された。
【0020】
TRPV1に対する式(I)の化合物のインビトロ効果は、HEK−293細胞(ヒトTRPV1を過剰に発現する)中で細胞内カルシウムの濃度を測定することにより調べられた;4μMイオノマイシンの存在下でのカルシウム濃度は、最大の参照値とされた(Hayes et al., Pain 2000, 88, 205-215)。結果は次の表1に示される。
【0021】
【表1】

【0022】
また、実施例2の化合物の活性は、誘導尿失禁のインビボ試験によりラットで評価された。
【0023】
スプレーグ・ドーリー・ラット(Sprague Dawley rats)(体重250±10g)は抱水クロラールで麻酔された。膀胱が腹正中線に沿う切開で開かれ、尿道と尿管を囲む脂肪組織が除去された。その後、近位尿道が生体吸収されない外科糸で結束され、部分的な尿道閉塞が形成された。8週後に、膀胱機能に変化が観察され、膀胱計測パターン(cystometric pattern)が変化し、特に時間あたりの排尿(minction)頻度が増した。
【0024】
処置日に、実施例2の化合物、Appendinoらの方法により製造した化合物及び参照標準としてのレジニフェラトキシンが、エタノールに溶解され、50nMの濃度で膀胱内へ注入された。注入は30分続いた:その間、生理塩水用の注入ポンプのスイッチは切られていた。処置後、膀胱はいずれの薬剤溶液もすっかり出された。その後、注入ポンプのスイッチが再び入れられた。
【0025】
治療されなった手術された動物では、毎時排尿頻度の著しい増加が観察された。一方、本発明の化合物で及びレジニフェラトキシンで治療された動物では、排尿頻度は手術されていない動物と変わらないままであった。また、Appendinoらの方法による化合物では活性が非常に低くかった。
【0026】
実験の結果は次の表2に示される。
【0027】
【表2】

【0028】
TPRV1受容体への強力なアゴニストとして、化合物(I)は、尿失禁の治療に、神経障害痛の軽減に及び腸の炎症性障害の治療に使用される。
【0029】
また、本発明は、適切なキャリアーや希釈剤と組み合せた化合物(I)を含む薬剤組成物に関する。本発明の薬剤組成物は、種々の投与ルート、例えば、経口、直腸、静脈内、筋肉内、皮下、髄腔内、硬膜外又は脳室内ルートによって投与される。注射製剤に適したキャリアーは、油、プロピレン又はエチレングリコール、生理溶液、エタノール、植物油及びミスチリン酸イソプロピル又は注射液の製造に一般に使用される他の溶剤である。
【0030】
注射製剤を製造するために、本発明の化合物は、生理溶液、5%ブドウ糖溶液のような水性溶媒中に、又は、植物油、飽和合成グリセリド、長鎖脂肪酸エステル又はプロピレングリコールのような非水溶媒中に、溶解され、懸濁され又は乳化される。また、製剤は、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定化剤及び保存料のような通常のキャリアーを含むことができる。
【0031】
局所使用には、本発明の化合物はクリーム又は軟膏として処方される。
【0032】
本発明の薬剤組成物は下記のように使用することができる:
−ヘルペス後の神経痛、糖尿病性神経障害、乳房切除術後症候群、交感神経反射性異栄養症、三叉神経痛、口腔神経障害痛、骨関節炎、慢性関節リウマチ、線維筋痛及びギラン・バレー症候群によって引き起こされた疼痛の緩和;
−両側性抹消神経疾患によって引き起こされた治療不可能な疼痛の緩和;
−乾癬、血液透析、水性そう痒、外陰前庭炎、感覚異常性背痛、腕橈骨筋のそう痒によって引き起こされたそう痒の緩和;
−群発性頭痛、血管運動性鼻炎又はアレルギー性鼻炎の治療(鼻腔内点滴として);
−膀胱感覚過敏症又は脊柱の排尿筋過反射症の治療(膀胱内注液として)。
【0033】
本発明の化合物は強力な鎮痛作用及び隠れた抗炎症活性を有し、それらを含む薬剤は、急性又は慢性炎症性疼痛、炎症及び切迫失禁の緩和や治療に使用できる。
【0034】
本発明の化合物は、薬理学的に許容される塩類の形で、単独であるいは適正な組合せで、随意に他の活性成分と混和して、使用できる。
【0035】
本発明の化合物の投与量は、患者の状況及び体重、疾患の激しさ、剤型、投与ルート及び持続時間に依存して変わり、熟練した臨床医によって決められる。投与量は、概ね、0.1μg〜100mg/kg、好ましくは1μg〜100mg/kg/日である。この製剤は1回の投与量でも、あるいは繰り返し投与量で投与してもよい。組成物中の化合物の割合は、組成物重量に対して0.0001〜10質量%、好ましくは0.0001〜1質量%の範囲とする。
【実施例】
【0036】
以下の実施例により、本発明をより詳しく示す。
【0037】
実施例1 (12,4’−ジフェニルアセチル リンバニル)
リンバニル1.56g(3.6mmol)を含むトルエン(20ml)溶液に、フェニル酢酸2モル当量(1.0g、7.2mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド2モル当量(1.45g、7.2mmol)及びDMAP1モル当量(440mg、3.6mmol)を加える。反応は室温で撹拌下に置かれ、TLC(6:4石油エーテル/酢酸エチル Rfp=0.31、Rfa=0.60)にてモニターされる。3時間後に、混合物を濾過し、溶媒を留去する。得られた粗製物は、後のステップにそのまま使用するか、カラムクロマトグラフィーによって回収することができる。
1H−NMR(300MHz、CDCl3):δ7.39−7.17(m、10H)、6.93(d、J=7.9Hz、1H)、6.85(d、J=2.0Hz、1H)、6.80(dd、J=7.9、2.0Hz、1H)、5.86(br s、1H)、5.44(m、1H)、5.29(m、1H)、4.87(quint、J=6.0Hz、1H)、4.38(d、J=5.8Hz、2H)、3.88(s、2H)、3.74(s、3H)、3.58(s、2H)、2.29(t、J=7.4Hz、2H)、2.20(t、J=7.4Hz)、2.01(m、2H)、1.66(m、2H)、1.52(m、2H)、1.29(br m)、1.21(br m)、0.86(br t、J=7.1Hz、3H)。
13C−NMR(75MHz、CDCl3):175.5(s)、173.9(s)、149.3(s)、147.6(s)、134.4(s)、132.1(d)、130.4(s)、128.3(d)、128.6(d)、127.1(d)、124.2(d)、120.8(d)、114.4(d)、110.8(d)、74.8(d)、56.0(q)、43.5(t)、41.8(t)、36.9(t)、33.5(t)、31.8(t)、29.5(t)、29.3(t)、28.18(t)、27.4(t)、25.8(t)、25.2(t)、22.6(t)、14.2(q)。
CI−MS:670(M+H)+
【0038】
実施例2 (12−フェニルアセチル リンバニル)
実施例1の12,4’−ジフェニルアセチル リンバニルの粗製物(3.6mmol、計算値)をジクロロメタン(20ml)に溶解し、ピロリジン5モル当量(1.52ml、1.30g、18.0mmol)で処理する。反応は室温で磁気的な撹拌下に行なわれ、TLC(6:4石油エーテル/酢酸エチル Rfp=0.8、Rfa=0.5)にてモニターされる。3時間後に、2N H2SO4と塩水で洗うことにより反応を停止する。有機相をNa2SO4乾燥し、濾過し、蒸留濃縮する。残留物は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル37g、7:3石油エーテル/酢酸エチルで詰め、6:4及び4:6で溶出し、約20mlごとに画分を集める)にて精製する。フェニルアセチル リンバニル1.6g(80%)を得る。化合物は室温では油状であるが、冷凍装置の中では固化して白い粉末になる。
1HNMR(300MHz、CDCl3):δ7.26(m、5H)、6.85(d、J=7.9Hz、1H)、6.80(d、J=2.0Hz、1H)、6.74(dd、J=7.9、2.0Hz、1H)、5.69(br s、1H)、5.65(br s、1H)、5.41(m、1H)、5.27(m、1H)、4.85(quint、J=6.0Hz、1H)、4.34(d、J=5.8Hz、2H)、3.86(s、3H)、3.57(s、2H)、2.25(m、2H)、2.17(t、J=7.4Hz)、1.95(m、2H)、1.63(m、2H)、1.50(m、2H)、1.27(br m)、1.20(br m)、0.85(br t、J=7.1Hz、3H)。
13C−NMR(75MHz、CDCl3):177.0(s)、173.5(s)、171.7(s)、156.6(s)、147.2(s)、145.4(s)、141.6(d)、136.8(s)、132.7(S)、130.2(d)、129.5(d)、129.3(d)、128.5(d)、128.3(d)、127.5(d)、127.0(d)、126.2(d)、124.1(d)、120.6(d)、114.9(d)、110.9(d)、106.1(d)、74.6(d)、56.3(q)、43.8(t)、43.4(t)、41.9(t)、36.6(t).4、31.8(t)、29.1(t)、27.2(t)、25.9(t)、25.3(t)、22.6(t)、13.9(q)。
CI−MS:552(M+H)+
【0039】
実施例3 (2’,2’,2’−トリクロロエチル リシノレート)
リシノール酸3g(分子量=298.47、10.07mmol)をトルエン30mlに溶解し、トリクロロエタノール2モル当量(分子量=149.40、20.14mmol、3.0g、d=1.55、1.9ml)、ジシクロヘキシルカルボジイミド1モル当量(分子量=202、10.07mmol、2.0g)及びDMAP1モル当量(分子量=122、10.07mmol、1.23g)を加える。得られた混合物を室温で磁気的に撹拌し、反応をTLC(8:2ヘキサン/酢酸エチル Rfp=0.14、Rfa=0.53)にてモニターする。18時間後に、混合物を濾過し、溶媒を留去する。粗製物は、溶離剤として9:1石油エーテル/酢酸エチルを使用した、シリカゲル濾過で精製される。生成物4.3g(定量的収率)を得る。
1HNMR(300MHz):δ5.53(m、1H)、5.41(m、1H)、4.73(s、2H)、3.60(br t、J=6.0Hz、1H)、2.44(t、J=7.4Hz、2H)、2.20(t、J=6、3Hz、2H)、2.03(m、2H)、約1.68(m、2H)、約1.20(br m、20H)、0.87(br t、J=7.1Hz、3H)。
【0040】
実施例4 (2’、2’、2’−トリクロロエチル 12−フェニルアセチル リシノレート)
2’,2’,2’−トリクロロエチル リシノレート4.3g(10.7mmol)をトルエン30mlに溶解し、フェニル酢酸2.5モル当量(3.4g、25.2mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド2.5モル当量(5.0g、25.2mmol)及びDMAP1.5モル当量(1.8g、15.0mmol)を加える。混合物を室温で撹拌し、反応をTLC(アルミナ、8:2石油エーテル/酢酸エチル、Rfp=0.50、Rfa=0.76)にてモニターする。30分後、ジシクロヘキシル尿素を濾去し、溶媒を蒸発させて粗製品を得、ひき続いてカラムクロマトグラフィー(アルミナゲル35g、95:5石油エーテル/酢酸エチル、画分:約20ml)によって精製する。生成物4.6gを得る(収率84%)。
1HNMR(300MHz、CDCl3):δ7.25(m、5H)、5.41(m、1H)、5.29(m、1H)、4.86(quint、J=6.0Hz、1H)、4.73(s、2H)、3.58(s、2H)、2.45(br t、J=6.0Hz、2H)、2.26(m、2H)、1.96(m、2H)、1.68(m、2H)、1.51(m、2H)、約1.29(br m)、約1.21(br m)、0.86(br t、J=7.1Hz、3H)。
【0041】
実施例5 (12−フェニルアセチル リシノール酸)
2’,2’,2’−トリクロロエチル 12−フェニルアセチル リシノレート4.6g(8.4mmol)を1:1酢酸/MeOH溶液40mlに溶解した後、活性亜鉛粉末4.6gを強撹拌下に加え、反応をTLC(8:2石油エーテル/酢酸エチル、Rfp=0.69、Rfa=0.36)にてモニターする。18時間後、混合物をセライト濾過し、酢酸エチルで洗う。濾液を濃縮し、水及び炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗い、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、蒸留濃縮する。この粗製品を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60g、95:5石油エーテル−酢酸エチル、画分:約20ml)によって精製する。生成物1.85mg(収率53%)を得る。
1HNMR(300MHz):δ7.25(m、5H)、5.41(m、1H)、5.26(m、1H)、4.86(quint、J=6.0Hz、1H)、3.58(s、2H)、2.34(t、J=6.0Hz、2H)、2.28(br t、J=6.7Hz、2H)、1.97(m、2H)、1.62(m、2H)、1.51(m、2H)、約1.29(br m)、約1.21(br m)、0.86(br t、J=7.1Hz、3H)。
【0042】
実施例6 (12−フェニルアセチル リンバニル)
12−フェニルアセチル リシノール酸1.85gを乾燥したジクロロメタン15mlに溶解し(4.4mmol)、バニルアミン塩酸塩2モル当量(835mg、4.4mmol)、TEA4モル当量(2.45ml、1.78g、17.6mmol)及びポリ燐酸1.2モル当量(50%EtOH溶液、3.4ml、1.68g、5.28mmol)を加える。反応は室温で撹拌下に置かれ、TLC(6:4、Rfp=0.67、Rfa=0.37)にてモニターされる。3時間後に、溶媒が留去され、粗製品はカラムクロマトグラフィー(シリカゲル50g、7:3石油エーテル/酢酸エチルで溶出、画分:約20ml)によって精製される。製品は、アルミナ濾過(6:4乃至4:6石油エーテル/酢酸エチル)によってさらに精製される。フェニルアセチルリンバニル512mgが得られる(収率23%)。
【0043】
実施例7 (2’,2’,2’−トリクロロエチル 12−ベンゾイル リシノレート)
2’,2’,2’−トリクロロエチル リシノレート200mg(分子量=429.85、0.46mmol)をトルエン2mlに溶解し、安息香酸1モル当量(分子量=122.12、0.46mmol、56mg)、ジシクロヘキシルカルボジイミド1モル当量(分子量=206.33、0.46mmol、95mg)及びDMAP1モル当量(分子量=122.17、0.46mmol、56mg)を加える。混合物を室温で撹拌し、反応をTLC(95:5ヘキサン/酢酸エチル、Rfp=0.05、Rfa=0.32)にてモニターする。30分後に、もう一度安息香酸、ジシクロヘキシルカルボジイミド及びDMAPの同じ量を加える。さらに18時間撹拌した後、反応が仮に完了していなくても終了させる。ジシクロヘキシル尿素を濾過し、濾液を蒸留する。この粗製品を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル5g、95:5ヘキサン/酢酸エチル、各画分約5mlを集める)によって精製する。製品195mgを得る(収率79%)。
1HNMR(300MHz):δ8.03(BzAA’)、7.61(BzC)、7.52(BzBB’)、5.42(m、2H)、5.14(quint、J=6.0Hz、1H)、4.73(s、2H)、3.60(br t、J=6.0Hz、2H)、2.43(m、4H)、2.02(m、2H)、約1.64(m、2H)、約1.20(br m、20H)、0.86(br t、J=7.1Hz、3H)。
13C−NMR(75MHz、CDCl3):177.0(s)、173.5(s)、171.7(s)、156.6(s)、147.2(s)、145.4(s)、141.6(d)、136.8(s)、132.7(S)、130.2(d)、129.5(d)、129.3(d)、128.5(d)、128.3(d)、127.5(d)、127.0(d)、126.2(d)、124.1(d)、120.6(d)、114.9(d)、110.9(d)、106.1(d)、74.6(d)、56.3(q)、43.8(t)、43.4(t)、41.9(t)、36.6(t).4、31.8(t)、29.1(t)、27.2(t)、25.9(t)、25.3(t)、22.6(t)、13.9(q)。
CI−MS:552(M+H)+
【0044】
実施例8 (12−ベンゾイル リシノール酸)
2’、2’、2’−トリクロロエチル 12−ベンゾイル リシノレート185mg(分子量=533.95、0.35mmol)を1:1酢酸/MeOH溶液2mlに溶解した後、活性亜鉛粉末200mgを強く撹拌しながら加える。反応をTLC(8:2ヘキサン/酢酸エチル、Rfp=0.42、Rfa=0.17)にてモニターする。3時間後に、混合物をセライト濾過し、酢酸エチルで洗う。有機相を濃縮し、水及び炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した後、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、蒸留濃縮する。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル2.5g、95:5石油エーテル/酢酸エチル、各画分約5mlを集める)によって精製する。生成物68mg(収率48%)を得る。
1HNMR(300MHz、CDCl3):δ8.02(BzAA’)、7.54(BzC)、7.43(BzBB’)、5.43(m、2H)、5.12(quint、J=6.0Hz、1H)、3.60(br t、J=6.0Hz、2H)、2.42(t、J=7.4Hz、2H)、2.34(t、J=7.4Hz)、2.01(m、2H)、約1.64(m、4H)、約1.26(br m、20H)、0.86(br t、J=7.1Hz、3H)。
【0045】
実施例9 (12−ベンゾイル リンバニル)
12−ベンゾイル リシノール酸60mg(分子量=402.57、0.15mmol)を乾燥したジクロロメタン2mlに溶解し、バニルアミン塩酸塩2モル当量(分子量=189.64、0.30mmol、56.89mg)、TEA8モル当量(分子量=101、1.2mmol、121mg、d=0.726、167μl)及びポリ燐酸3モル当量(分子量318.19、0.45mmol、34.2mg、50%のEtOH溶液、68μl)を加える。この混合物を室温で撹拌下に置き、反応をTLC(8:2石油エーテル/酢酸エチル、Rfp=0.41、Rfa=0)にてモニターする。2時間後に、反応溶媒を留去し、粗製品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル2.5g、8:2石油エーテル/酢酸エチル、画分:約5ml)で精製する。ベンゾイルリンバニル31mg(収率38%)を得る。
1HNMR(300MHz、CDCl3):δ8.02(BzAA’)、7.54(BzC)、7.42(BzBB’)、6.84(dd、J=8、3Hz、1H)、6.79(d、J=3Hz、1H)、6.74(d、J=8Hz、1H)、5.78(br s、1H)、5.41(m、2H)、5.11(quint、J=6.0Hz、1H)、4.33(d、J=5.8Hz、2H)、3.85(s、3H)、3.60(br t、J=6.0Hz、2H)、2.40(m、2H)、2.16(t、J=7.4Hz)、2.01(m、2H)、約1.64(m、4H)、約1.26(br m、20H)、0.85(br t、J=7.1Hz、3H)。
【0046】
実施例10 (9,10−メチル リンバニル)
2口丸底フラスコ中、窒素気流下に、リンバニル300mg(分子量=433.62、0.69mmol)を無水トルエン29ml(29ml)に溶解し、ジエチル亜鉛15モル当量(1.0M(ヘキサン中)、10.35mmol、10.35ml)及びヨウ化メチレン15モル当量(分子量=268.84、10.35mmol、2.78g、d=3.325g/ml、837μl)で処理する。溶液を65℃で撹拌し、白い固体が沈殿し始めると液はピンク色に変化する。反応を銀シリカのTLC(6:4石油エーテル/酢酸エチル、Rfp=0、Rfa=0.1)にてモニターする。
【0047】
7時間後に混合物を0℃に冷却し、2N H2SO4を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機相をNaHCO3及び塩水で洗浄する。乾燥(Na2SO4)及び蒸留濃縮の後、粗製品をカラムクロマトグラフィー(シリカ15ml、7:3石油エーテル/酢酸エチルで詰め、同じ溶剤の6:4混合物で溶離する。画分:約8ml)によって精製する。生成物119mg(収率40%)を得る。
1HNMR(300MHz、CDCl3):δ6.85(d、J=7.9Hz、1H)、6.80(d、J=2.0Hz、1H)、6.74(dd、J=7.9、2.0Hz、1H)、5.70(br s、1H)、5.65(br s、1H)、4.36(d、J=5.8Hz、2H)、3.88(s、3H)、3.76(quint、J=6.0Hz、1H)、2.17(t、J=7.4Hz)、1.27(br m)、1.20(br m)、0.835(br t、J=7.1Hz、3H)、0.61(m、2H)。
CI−MS:448(M+H)+
【0048】
実施例11 (9,10−メチレン−12,4’−ジフェニル アセチル リンバニル)
9,10−メチル リンバニル100mg(分子量=447.65、0.22mmol)をトルエン2mlに溶解し、フェニル酢酸2モル当量(分子量=136、0.44mmol、60mg)、ジシクロヘキシルカルボジイミド2モル当量(分子量=202、0.44mmol、89mg)及びDMAP1モル当量(分子量=122、0.22mmol、27mg)を加える。この混合物を室温で撹拌下に置き、反応をTLC(6:4石油エーテル/酢酸エチル、Rfp=0.23、Rfa=0.42)にてモニターする。3時間後に、ジシクロヘキシル尿素を濾過して除去し、溶媒を留去する。得られた粗製品は、後の反応にそのまま使用するか、クロマトグラフィー(シリカゲル5g、溶離剤として8:2石油エーテル/酢酸エチル)によって精製される。
1HNMR(300MHz、CDCl3):δ7.39−7.17(m、10H)、6.93(d、J=7.9Hz、1H)、6.85(d、J=2.0Hz、1H)、6.80(dd、J=7.9、2.0Hz、1H)、5.72(brs、1H)、5.64(br s、1H)、4.93(quint、J=6.0Hz、1H)、4.34(d、J=5.8Hz、2H)、3.87(s、3H)、3.65(d、J=15Hz、1H)、3.59(d、J=15Hz、1H)、2.17(t、J=7.4Hz)、1.27(br m)、1.20(br m)、0.84(br t、J=7.1Hz、3H)、0.57(m、2H)。
13C−NMR(75MHz、CDCl3):175.5(s)、173.9(s)、149.7(s)、147.1(s)、134.5(s)、132.2(d)、130.4(s)、128.2(d)、128.1(d)、127.5(d)、124.2(d)、120.8(d)、114.6(d)、110.3(d)、75.6(d)、56.0(q)、43.6(t)、41.9(t)、33.2(t).4、31.8(t)、30.1(t)、29.5(t)、39.4(t)、25.9(t)、25.1(t)、22.6(t)、14.2(q)、11.0(t)。
CI−MS:684(M+H)+
【0049】
実施例12 (9,10−メチレン−12−フェニルアセチル リンバニルI)
実施例11で得られた粗製の9,10−メチレン−12,4’−ジフェニルアセチル リンバニル(0.22mmol、理論量)をジクロロメタン(20ml)に溶解し、ピロリジン5モル当量(分子量=71.12、1.1mmol、78mg、d=0.86g/ml、90μL)を加える。3時間後に、反応は完了する(アルミナ上のTLC、溶離剤:6:4石油エーテル/酢酸エチル、Rfp=0.8、Rfa=0.5、Rfb=0.45、同じ溶離剤でシリカ上のTLC:Rfp=0.42、Rfa=0.39、一つのスポットだけが現れる)。有機相を2N H2SO4と塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒の留去後、粗製品をカラムクロマトグラフィー(シリカ10ml、7:3乃至4:6石油エーテル/酢酸エチル)で精製する。生成物75mg(収率60%)を得る。
1HNMR(300MHz):δ7.26(m、5H)、6.86(d、J=7.9Hz、1H)、6.80(d、J=2.0Hz、1H)、6.74(dd、J=7.9、2.0Hz、1H)、5.70(br s、1H)、5.65(br s、1H)、4.95(quint、J=6.0Hz、1H)、4.33(d、J=5.8Hz、2H)、3.86(s、3H)、3.60(s、2H)、2.17(t、J=7.4Hz)、1.63−1.52(m、6H)、1.27(br m)、0.84(br t、J=7.1Hz、3H)、0.58(m、3H)、−0.30(m、1H)。
【0050】
実施例13 (TPRV1結合アッセイ)
ヒトTRPV1への親和性が、Rossによって説明された手法(Ross et al., Br. J. Pharmacol. 2001, 132, 631-640)により、HEK細胞膜(50μg/チューブ)由来の[3H]RTX(48Ci/mmol、NEN−Dupont)の置換によって測定された。これらの条件では、[3H]RTXに対するKd及びBmaxは0.5nM及び1.39pmol/mgタンパク質であった。1nM[3H]RTXの置換のKiは、Cheng−Prusoffの方程式を使用して、IC50値(GraphPadソフトウェアで取得)から計算された。特性結合は1μM RTX(Alexis Biochemicals)で算出され、48.1+5.6%であった。本発明の化合物に対する値は表1に報告される。
【0051】
実施例14 (4’−(2−アミノエチル)−12−フェニルアセチル リンバニル(塩酸塩))
2口丸底フラスコ中、窒素気流下で、フェニルアセチル リンバニル382mg(分子量=552、0.69mmol)をTHF(5ml)に溶解した溶液を、NaH(60%、57mg、1.4mmol、2モル当量)をTHF(10ml)に懸濁した液に加える。室温で10分間撹拌後、過剰量の1、2−ジブロモエタン(0.7ml)を加える。この溶液を16時間室温で撹拌した後、飽和NH4Clで希釈し、エーテルで抽出する。溶媒の留去により、油を得る。これを、薄いシリカ・ベッド(15g)にて、石油エーテル(100ml)で過剰の1、2−ジブロモエタンを除去し、次いで1:1石油エーテル/酢酸エチル(100ml)を使い製品を溶出する、濾過する。溶媒留去後、粘稠な残留物を得る。これを直接DMF(10ml)に溶解し、過剰のアジ化ナトリウム(NaN3)(300mg)で処理する。16時間室温で撹拌した後に、反応物を水(約50ml)で薄め、3:1石油エーテル/エーテル(2×30ml)で抽出する。飽和NaClで洗い、乾燥した(Na2SO4)後、有機相を蒸留濃縮する。残留物をTHF(20ml)に溶解した後、トリフェニルフォスフィン(917mg、3.5mmol)及び水(0.62ml、3.5mmol)を加える。室温で5時間撹拌した後に、反応物を水で薄め、酢酸エチルで抽出する。乾燥(Na2SO4)及び蒸留濃縮の後、残留物を、溶離剤として酢酸エチルを使用して、シリカゲル・カラム(10g)クロマトグラフィーで精製する。生成物130mgを得る(全収率:40%)。
1HNMR(300MHz、CDCl3):δ7.29(m、5H)、6.87(d、J=7.9Hz、1H)、6.81(d、J=2.0Hz、1H)、6.77(dd、J=7.9、2.0Hz、1H)、5.61(br s、1H)、5.42(m、1H)、5.29(m、1H)、4.83(quint、J=6.0Hz、1H)、4.31(d、J=5.8Hz、2H)、4.01(d、J=7.0Hz、2H)、3.92(s、3H)、3.59(s、2H)、3.02(br t、J=7.0Hz、2H)、2.21(m、2H)、2.19(t、J=7.4Hz)、1.96(m、2H)、1.65(m、2H)、1.52(m、2H)、1.29(br m)、1.24(br m)、0.84(br t、J=7.1Hz、3H)。
13C−NMR(75MHz、CDCl3):177.1(s)、173.7(s)、171.1(s)、158.9(s)、147.3(s)、145.1(s)、143.6(d)、138.3(s)、132.7(s)、130.8(d)、129.0(d)、129.8(d)、128.5(d)、128.8(d)、128.0(d)、127.2(d)、126.5(d)、123.9(d)、121.1(d)、115.0(d)、112.2(d)、109.2(d)、74.9(d)、71.4(t)、56.1(q)、47.9(t)、43.9(t)、43.1(t)、42.1(t)、36.6(t).4、31.0(t)、29.2(t)、27.2(t)、26.1(t)、25.2(t)、22.6(t)、13.2(q)。
CI−MS:596(M+H)+
【0052】
塩酸塩は、製品を最小の量のTHFで溶解し、0℃で、ジエチルエーテル中の1.0M塩酸溶液1当量を加えることにより得られる。溶剤留去後に、沈殿は集められ、真空下で乾燥される。
【0053】
実施例15 (9,10−エポキシ−12−フェニルアセチル リンバニル)
実施例1で製造された12,4’−ジフェニルアセチル リンバニル(300mg、0.45mmol)の無水CH2Cl2(6ml)溶液に、2.5モル当量のメタクロロ過安息香酸(MCPBA、80%酸242mg、1.12mmol)を加える。この溶液を3時間磁気的に撹拌した後、Na223で洗い、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、状量濃縮する。残留物をCH2Cl2(5ml)に直接溶解し、ピロリジン5モル当量(155mg、0.180ml)を加える。16時間室温で撹拌した後に、混合物を2N H2SO4及び飽和NaClで洗浄し、乾燥する(Na2SO4)。溶媒留去後、残留物を、中性アルミナ上のカラムクロマトグラフィー(3g、溶離剤として6:4石油エーテル/酢酸エチル)によって精製し生成物120mg(収率41%)を得る。
1HNMR(300MHz、CDCl3):δ7.26(m、5H)、6.87(d、J=7.9Hz、1H)、6.82(br s、1H)、6.78(br d、J=7.9Hz、1H)、5.69(br s、1H)、5.64(br s、1H)、5.05(quint、J=6.0Hz、1H)、4.37(d、J=5.8Hz、2H)、3.89(s、3H)、3.66(m、2H)、2.90(m、1H)、2.84(m、1H)、2.20(t、J=7.4Hz、2H)、約1.76(m)、1.44(m)、1.27(br m)、1.20(br m)、0.88(br t、J=7.1Hz、3H)。
13C−NMR(75MHz、CDCl3):173.0(s)、171.4(s)、146.8(s)、145.2(s)、134.2(s)、130.4(s)、129.3(d)、128.6(d)、128.3(d)、127.3(d)、127.2(d)、120.9(d)、114.5(d)、110.8(d)、73.0(d)、57.0、56.4(d)、56.0(t)、53.6、53.0(d)、43.6(t)、41.8(t)、36.8(t).4、31.7(t)、29.4(t)、29.2(t)、27.5(t)、25.8(t)、25.3(t)、22.6(t)、14.2(q)。
CI−MS:568(M+H)+
【0054】
実施例16 (4’−(2−アミノエチル)−12−フェニルアセチル リンバニル・HCl注射液)
4’−(2−アミノエチル)−12−フェニルアセチル リンバニル・HCl注射液は、4’−(2−アミノエチル)−12−フェニルアセチル リンバニル・HCl(1.0mg)、塩化ナトリウム(9.0mg)、ベンジルアルコール(15.0mg)及び注射液調製用水(加えて1mlとする)からなる。
【0055】
標準手順では、塩化ナトリウム及びベンジルアルコールを注射液調製用水に溶解した後に、4’−(2−アミノエチル)−12−フェニルアセチル リンバニル塩酸塩を加える。
【0056】
実施例17 (12−フェニルアセチル リンバニル注射液)
12−フェニルアセチル リンバニル注射液は、12−フェニルアセチル リンバニル(1.0mg)、没食子酸プロピル(0.5mg)及び注射液用オリーブ油(加えて1mlとする)からなる。
【0057】
実施例18 (局所用乳剤)
局所用乳剤、例えば、12−フェニルアセチル リンバニル乳剤は、12−フェニルアセチル リンバニル(1.0g)、流動パラフィン(25.0g)、ステアリルアルコール(12.0g)、セチルアルコール(5.0g)、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(0.028g)、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル(0.012g)、ステアリン酸PEG−40(1.0g)、グリセリン(12.0g)及び純水(加えて100gとする)からなる。
【0058】
標準手順では、流動パラフィン、ステアリルアルコール及びセチルアルコールを撹拌下に70〜75℃で融解した後、生じた相に12−フェニルアセチル リンバニルを溶解し、溶液を0〜75℃に保つ。予め70〜75℃の純水に溶解した残りの成分を70〜75℃で強撹拌下に加える。得られた製品は撹拌しながらゆっくり冷却される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物:
【化1】

式中、
Xは、2つの水素原子、π結合、酸素又はメチレンを表し、
R2は、C6−C12アリール基又はアリールアルキル基であり、
R3は、水素、2−ヒドロキシエチル又は2−アミノエチルである。
【請求項2】
R2が、フェニル、ベンジル又はフェネチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R3が、水素である請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
尿失禁の治療のための、神経障害痛の軽減のための及び腸の炎症性の障害の治療のための薬剤の製造に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項5】
適切なキャリアーと混和して、1つ以上の請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物を含む組成物。

【公表番号】特表2008−508202(P2008−508202A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522950(P2007−522950)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007292
【国際公開番号】WO2006/010445
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(591092198)インデナ エッセ ピ ア (52)
【Fターム(参考)】