説明

UTSOIウェーハ上に製作された背面照射型撮像装置の背面を電子的にピン止めする方法

ピン止めされた背面を有する背面照射型撮像装置を製作する方法が開示される。第1の絶縁体層が機械的基板の上に重なって形成される。導電層が第1の絶縁体層の上に重なって堆積される。第2の絶縁体層が導電層の上に重なって形成されて第1の構造体を形成し、導電層と第2の絶縁体層との間に境界面が形成され、導電層が、境界面を電気的にピン止めするように境界面の近位にバンド曲がりを引き起こす。個別のデバイス・ウェーハの中に水素が注入されて気泡層を形成する。デバイス・ウェーハの上に重なる最終絶縁体層が形成されて第2の構造体を形成する。第1の構造体と第2の構造体とが結合されて、結合されたウェーハを形成する。実質的に第2の絶縁体層の上に重なる半導体材料を含むシード層を露出するために、気泡層の下にある結合されたウェーハの一部分が除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、半導体デバイスの製造およびデバイスの構造である。より詳細には、同分野は、極薄シリコン・オン・インシュレータ(UTSOI)基板を利用する背面照射型半導体撮像デバイスの製造および構造であり、同撮像デバイスの背面は電子的にピン止めされる。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年5月30日出願の米国特許仮出願第61/057,320号の利益を主張するものであり、その開示全体を参照によって本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0003】
薄層化された背面照射型半導体撮像デバイスは、高フィルファクタならびに電荷キャリアの生成および集合の優れた総合効率のために前面照射型撮像装置に対して有利である。そのようなデバイスの所望の特性は、裏面に入射する光または他の放射によって生成された電荷キャリアを前面へ急速に駆動して、画像を汚す恐れがあるいかなる水平変動も回避することである。また、生成されたキャリアの再結合によってデバイスの総合効率および感度が低下するので、キャリアが前面に到達する前のその再結合を最小化するのも望ましい。
【0004】
この所望の特性は、この層の中に薄い半導体層および高電界を与えることにより達成することができる。電界は背面へ広がることになり、その結果、電子または正孔などの生成されたキャリアが、前面へ迅速に駆動され得る。これは、デバイスの裏面でさらなる処理を必要とし、製造プロセスの複雑さが増す。現行の技法の1つに、半導体ウェーハの化学的薄層化および薄層化後の裏面への「フラッシュ・ゲート」の堆積が含まれる。これは、裏面フラッシュ・ゲートのきわどい厚さ制御を必要とする。別の技法は、分子線エピタキシ(MBE)を用いてウェーハの背後へ薄いドーパント層を成長させることを含む。所望の電界をもたらすように用いられるさらに別の既知の方法に、薄層化された半導体層の裏面にドーパントを注入し、それに続いてアニールおよび活性化のために適切な熱処理を行なうことにより、この層の内部にドーピングの勾配を生成するものがある。
【0005】
これらの方法を従来型の半導体製造プロセスに組み込むのは容易でなく、より高くつく特化された処理を必要とする。したがって、これらの方法は大抵の場合コスト的に効果的でなく、商品の製造には適切でない。
【0006】
製造プロセスの別の特徴のために、背面照射型撮像装置の背面の近くで生成された電子−正孔対を、背面から離すように駆動する必要がある。背面照射型撮像装置の製造期間を通じて利用されるプロセス・ステップの1つに、シリコン基板の背面薄層化がある。これは、薄層化された背面を露出するための、基板の部分的または完全な除去を含むことがある。薄層化プロセスは、撮像装置の背面上に電気的トラップ領域を導入する。撮像装置の背面または背面の近くに存在する固有のダングリングボンドにより、基板内部で光学的に生成された電子が背面で再結合する傾向がある。したがって、生成された電子が背面に到達し得る場合、量子効率(QE)が劣化する恐れがある。電荷キャリアが背面へ移動するのを防止するために背面が電気的にピン止めされるように背面を処理する必要があり、すなわち、背面へ移動する生成された電子が撮像装置の前面の方へはね返されるように、背面は十分に高い電子濃度で飽和しているべきである。
【0007】
電気的にピン止めされた背面は、バンド曲がりのために適切な電界をもたらすことができ、したがって、光生成された電荷キャリアの背面での再結合を防止する。裏面ピン止めは、一般に、適切な不純物タイプのイオン注入および炉アニールによる高温イオン活性化によって達成される。高温炉アニールは、背面の近くに均一で安定したドーピング・プロファイルをもたらす。図1は、電気的にピン止めされた薄層化p型基板の、一般的な裏面ホウ素プロファイルを示す。図1に示された背面でのホウ素濃度勾配は、光学的に生成された電子が背面に移動するのを阻止するのに必要な電界をもたらす。しかし、高温イオン活性化炉アニールは、金属付着など、プロセス・シーケンス上のいくつかの制約を課する。現在、レーザ・アニーリングおよびフラッシュ酸化物堆積などの他の技法が追求されている。しかし、これらの技法は、低価格で生産性が高い背面照射型撮像装置の製造向けには望ましくないと考えられる。また、薄層化プロセスは、薄層化ウェーハ内のストレスなどの歩留まりの問題および厚さの不均一性をもたらす。裏面ピン止めを有する薄層化背面照射型撮像装置を作製する現行の製造技法に関する製作費は、ピン止めされていない製作方法と比較して高い。
【0008】
撮像装置の前面へ電子を駆動する内部電界を示す、生産性が高い低価格の背面照射型撮像装置を作製するための技法が、Swainらによる米国特許第7,238,583号(「‘583特許」)に開示されており、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。‘583特許のデバイスは、背面照射型撮像装置が構成される半導体基板をもたらすのに、所望の内部電界に加えて極薄シリコン・オン・インシュレータ(UTSOI)技術を利用する。
【0009】
‘583特許のUTSOI撮像装置を製造するために、開始構造体は、当技術分野でUTSOI基板と称されることがある初期基板である。開始UTSOI基板は、処理の期間中機械的支持をもたらすように構成された機械的基板(ハンドル・ウェーハ)、絶縁体層14(例えば埋込みシリコン酸化物層(BOX)であり得る)、および半導体基板(「シード層」とも称される)から成る。シード層は、一般にホウ素である高濃度のp型またはn型のドーパントでドープされる。エピタキシャル層は、ドープされたシード層の上に重なって成長される。エピタキシャル層は、全体の撮像デバイスを仕上げる前面素子を製作するための層をもたらす。エピタキシャル層の成長の期間中、以前にシード層の中へ導入されたドーパントがエピタキシャル層の中へ拡散する。エピタキシャル層の成長が終了したとき、正味の最終ドーピング・プロファイルが生成される。一旦エピタキシャル層が成長すると、半導体製造の既知の方法を用いて、1つまたは複数の撮像素子をエピタキシャル層の中に製作することができる。
【0010】
所望の正味ドーピング・プロファイルのコンピュータ・シミュレーション結果を示す、‘583特許から再現された図2に示されるような所望のドーピング・プロファイルを与えるように、ドーピング・レベル、初期のドーピング・プロファイル、および温度などの処理パラメータが選択される。図2で、領域130は絶縁体層に対応し、領域120はシード層に対応し、領域100はエピタキシャル層に対応し、参照番号125は、シード層と絶縁体層との間の境界面に対応し、参照番号110は、シード層とエピタキシャル層との間の境界面に対応する。
【0011】
図2は、エピタキシャル層100の成長後の正味の最終ドーピング・プロファイル140を示す。このシミュレートされたプロセスの正味の最終ドーピング・プロファイル140は、シード層120と絶縁体層130との間の境界面125で最大値を有し、シード層120およびエピタキシャル層100の内部で境界面125からの距離の増加とともに単調に減少するという望ましい特徴を示す。したがって、‘583特許のUTSOI背面照射型撮像装置は、シード層120と絶縁体層130との間の境界面125に、シード層120およびエピタキシャル層100の内部で単調に減少する正味のドーピング濃度の導入によって電気的にピン止めされている裏面を有する。
【0012】
したがって、望ましいにもかかわらず未だ提供されていないものに、UTSOI技術に基づく薄層化CCD/CMOS背面照射型撮像装置を作製するための方法および結果として得られるデバイスがあり、同装置は、ピン止めされた背面および電子を前面へ駆動する内部電界を有するが、単調に減少する正味のドーピング・プロファイルを生成するために不純物を導入する必要がないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/057,320号
【特許文献2】米国特許第7,238,583号
【発明の概要】
【0014】
ピン止めされた背面を有する背面照射型撮像装置を製作する方法を提供することにより、前述の問題が対処され、当技術分野で技術的解決法が達成される。この方法は、機械的基板の上に重なる第1の絶縁体層を形成するステップと、第1の絶縁体層の上に重なる導電層を堆積するステップと、導電層の上に重なる第2の絶縁体層を形成して第1の構造体を形成するステップであって、導電層と第2の絶縁体層との間に境界面が形成され、境界面が電気的にピン止めされるように、導電層が境界面の近位にバンド曲がりをもたらすステップと、半導体材料を含むデバイス・ウェーハを第2の絶縁体層に結合するステップと、実質的に第2の絶縁体層の上に重なるシード層を露出するために半導体材料の一部分を除去するステップとを含む。本発明の一実施形態によれば、結合するステップおよび除去するステップは、半導体材料を含むデバイス・ウェーハを設けるステップと、デバイス・ウェーハの中に水素を注入して気泡層を形成するステップと、デバイス・ウェーハの上に重なる最終絶縁体層を形成して第2の構造体を形成するステップと、第1の構造体と第2の構造体とを結合して、結合されたウェーハを形成するステップと、実質的に第2の絶縁体層の上に重なる半導体材料を含むシード層を露出するために気泡層の下にある結合されたウェーハの一部分を除去するステップとをさらに含む。
【0015】
結合されたウェーハの一部分を除去するステップは、結合されたウェーハを気泡層の面に沿って分割するステップを含むことができる。第1の構造体および第2の構造体は、第1の構造体の第2の絶縁体層と第2の構造体の最終絶縁体層との間に結合される。
【0016】
この方法は、最終絶縁体層を形成する前記ステップの前に、デバイス・ウェーハの上に重なる第3の絶縁体層を形成するステップであって、第3の絶縁体層を介してデバイス・ウェーハの中に水素を注入して気泡層を作製するステップと、第3の絶縁体層をエッチング除去するステップとをさらに含むことができる。
【0017】
この方法は、背面照射型撮像装置デバイスを完成するために、シード層の上に重なるエピタキシャル層を成長させるステップと、エピタキシャル層の中に少なくとも1つの撮像素子を製作するステップとをさらに含むことができる。
【0018】
この方法は、任意選択で、電子を境界面から離してシード層の方へ駆動するためにバイアスを与えるように、エピタキシャル層を通って導電層へ広がる金属接触をエピタキシャル層の表面上に形成するステップをさらに含むことができる。
【0019】
この方法は、第1の絶縁体層の残りの部分が電磁放射に対する反射防止コーティングとして機能するように、機械的基板の完全な除去に続いて第1の絶縁体層の一部分を除去するステップをさらに含むことができる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、ピン止めされた背面を有する背面照射型撮像装置を製作する方法は、第1の絶縁体層、実質的に第1の絶縁体層の上に重なる導電層、および導電層の上に重なる第2の絶縁体層を備える第1の構造体であって、導電層と第2の絶縁体層との間に境界面が形成され、導電層が、境界面を電気的にピン止めするように境界面の近位にバンド曲がりを引き起こす第1の構造体を設けるステップと、半導体材料を含むデバイス・ウェーハ、およびデバイス・ウェーハの上に重なる最終絶縁体層を備える第2の構造体を設けるステップと、デバイス・ウェーハの中に水素を注入して気泡層を形成するステップと、第1の構造体と第2の構造体とを結合して、結合されたウェーハを形成するステップと、実質的に第2の絶縁体層の上に重なる半導体材料を含むシード層を露出するために気泡層の下にある結合されたウェーハの一部分を除去するステップとを含むことができる。
【0021】
結果として得られるデバイスは、第1の絶縁体層と、実質的に第1の絶縁体層の上に重なる導電層と、導電層の上に重なる第2の絶縁体層であって、導電層と第2の絶縁体層との間に境界面が形成され、導電層が、境界面を電気的にピン止めするように境界面の近位にバンド曲がりを引き起こす第2の絶縁体層と、第2の絶縁体層の上に重なるシード層とを備えることができる。導電層は金属製でよい。金属はインジウム−スズ酸化物でよい。あるいは、導電層は、ドープされたポリシリコンで作製されてよい。導電層は、約25オングストロームから30オングストロームの範囲内の厚さを有することができ、その結果、光学的に透過性である。第2の絶縁体層は、約15オングストロームの厚さを有してよい。第1の絶縁体層は、約1000オングストロームの所定の厚さを有してよい。
【0022】
背面照射型撮像装置を完成するために、このデバイスは、シード層の上に重なって成長されたエピタキシャル層と、エピタキシャル層の中に製作された少なくとも1つの撮像素子とをさらに備えることができる。少なくとも1つの撮像素子は、CMOS撮像素子、電荷結合デバイス素子、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオードおよびフォトトランジスタのうちの少なくとも1つでよい。このデバイスは、電子を境界面から離してシード層の方へ駆動するためにバイアスを与えるように、エピタキシャル層の表面上に形成され、エピタキシャル層を通って導電層へ広がる金属接触をさらに備えることができる。機械的基板、エピタキシャル層およびシード層はシリコンを含むことができ、第1および第2の絶縁体層はシリコンの酸化物を含むことができる。
【0023】
本発明は、以下に示された例示的実施形態の詳細な説明を添付図とともに検討することからより容易に理解することができ、添付図では同様な参照数字は類似の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】電気的にピン止めされた薄層化p型基板の、一般的な裏面ホウ素プロファイルを示す図である。
【図2】‘583特許で説明された、エピタキシャル層の成長後のドーピング・プロファイルを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による、例示的なピン止めされた背面照射型UTSOI撮像装置を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によるピン止めされた背面照射型UTSOI撮像装置を製造する例示的ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図は、本発明の概念を示すためのもので、原寸に比例しないことがあることを理解されたい。
【0026】
図3は、本発明の例示的実施形態に従って構成された、例示的なピン止めされた背面照射型UTSOI撮像装置10を示す。UTSOI撮像装置10は、当初は、例えばシリコンなどの任意の適切な材料から成る機械的基板12を含む。第1の絶縁体層14(例えばシリコン層の酸化物)が、機械的基板12の上に重なる。好ましくは金属製である薄い導電層16が、第1の絶縁体層14の上に重なる。本発明の一実施形態によれば、導電性の(金属の)層16は、25〜30オングストロームの範囲内の厚さを有する。この範囲内の厚さでは、導電層16は光学的に透過性であり得る。他の実施形態では、導電層16は、ドープされたポリシリコンで作製することができる。
【0027】
好ましくはシリコンの酸化物で作製される第2の絶縁体層20が、導電層16の上に重なる。好ましくはシリコンで作製されるシード層22が、「スマート・カット」として当技術分野で既知のプロセスにより第2の絶縁体層20の上に重なって形成され、これは以下で説明される。エピタキシャル層24が、シード層22の上に重なって設けられる。撮像素子28の製造期間中に、金属接触(図示せず)がUTSOI撮像装置10の頂面26(すなわちエピタキシャル層24の前面)上に形成され得て、これがエピタキシャル層24を通って導電層16へ広がり、さらなるバイアスを与える。この金属接触は、導電層16にさらなるバイアスをかけ、電子を境界面21から離してUTSOI撮像装置10の頂面26の方へ駆動することを可能にすることにより、境界面21のピン止めを増強するように用いられる。導電層16は、境界面21が電気的にピン止めされるように、導電層16と第2の絶縁体層20との間の境界面21でシリコン原子の必要なバンド曲がりをもたらす。導電層16は、UTSOI撮像装置10の中に、境界面21の近くの電子をはね返してUTSOI撮像装置10の頂面26の方へ電子を駆動する内部電界を生成し、したがって光生成された電荷キャリアの境界面21の近くでの再結合を防止する。
【0028】
半導体製造の任意の既知の方法を用いて、1つまたは複数の撮像素子28をエピタキシャル層24の前面26上に製作することができる。これらの撮像素子は、電荷結合デバイス(CCD)素子、CMOS撮像素子、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード、フォトトランジスタ、または他の光エレクトロニクス・デバイスを任意の組合せで含んでよいが、これらに限定されない。撮像素子28は、既知のマスキング法を用いてエピタキシャル層24の個別領域に製作されたCCD素子およびCMOS素子の両方を含むことができる。CMOSトランジスタ(図示せず)、バイポーラ・トランジスタ(図示せず)、コンデンサ(図示せず)、または抵抗器(図示せず)など他の電子素子も含まれてよい。撮像素子28の製造期間中、様々な深さの1つまたは複数のpn接合が形成され得る。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、一旦撮像素子28の製造が完成すると、機械的安定性をもたらすのに機械的基板12がもはや必要ではなく、機械的基板12が除去されてよい。機械的基板12の除去は、検出されている放射が、結果として得られるUTSOI撮像装置10の背面を照光することを可能にするためにも望ましいものであり得る。機械的基板12の除去は、例えば化学的エッチング、機械的研削、またはこれらの方法の組合せなどの任意の適切な方法によって達成され得る。化学的エッチングを用いると、第1の絶縁体層14を除去せずに、機械的基板12を選択的に除去することができる。
【0030】
機械的基板12が完全に除去される場合、第1の絶縁体層14は、部分的または完全に除去され得る。一実施形態では、第1の絶縁体層14は、所定範囲の波長を有する電磁波に対する反射防止膜として働くように作製され、それによって、より多くの光子がシード層22およびエピタキシャル層24に到達して吸収されることが可能になる。これは、第1の絶縁体層14の厚さを、所定波長範囲の反射を最小化する厚さに縮小することにより達成することができる。この厚さは、波長領域およびこの波長領域での第1の絶縁体層14の材料の屈折率によって決定され得る。
【0031】
第1の絶縁体層14を部分的に除去した後、1つまたは複数の反射防止コーティング層(例えば酸化ジルコニウムまたは酸化ビスマス)(図示せず)が、所望の波長範囲に対する全体的な反射防止コーティング・スタックとして機能するように第1の絶縁体層14上に堆積され得る。本発明の特定の実施形態では、第1の絶縁体層14が完全にエッチング除去され得て、1つまたは複数の反射防止コーティング層が、全体的な反射防止膜として機能するように導電層16上に堆積され得る。
【0032】
次に図4を参照すると、本発明の一実施形態によりUTSOI技法に基づいてピン止めされた背面を有する背面照射型撮像装置を製造するステップが示されている。ステップ4Aで、機械的基板12が清浄化され、第1の絶縁体層14(例えば、好ましくは約1000オングストロームの所定厚さのシリコン層の酸化物)が、実質的に機械的基板12の上に重なって成長される。ステップ4Bで、導電層16(好ましくはインジウム−スズ酸化物またはドープされたポリシリコンなどの金属で作製される)が、第1の絶縁体層14の上に重なって堆積される。上記で論じられたように、本発明の一実施形態によれば、導電層16が光学的に透過性であるように、導電層16は25Å〜30Å程度の厚さを有することができる。ステップ4Cで、第2の絶縁体層20(好ましくは約15Åの厚さを有する)が導電層16の上に重なって堆積され、第1の構造体32を形成する。
【0033】
ステップ4Dで、デバイス・ウェーハ34が設けられ、第3の絶縁体層36(例えばシリコンの酸化物層)が、実質的にデバイス・ウェーハ34の上に重なって成長される。ステップ4Eで、第3の絶縁体層36を含むデバイス・ウェーハ34の面38から、水素37がデバイス・ウェーハ34の中へ注入される。水素注入物は、平均(所定)深さで気泡層38を生成する。気泡層38は、約1000から2000Åの深さでよいが、その範囲に限定されない。
【0034】
ステップ4Fで、注入された水素によって損傷を受けた第3の絶縁体層36は、完全にエッチング除去される。ステップ4Gで、約15Åの厚さの最終絶縁体層44が、デバイス・ウェーハ34の上に重なって成長される(すなわち、以前に除去された第3の絶縁体層36を置換して第2の構造体45を形成する)。
【0035】
水素の注入が完了した後、ステップ4Hで、第1の構造体32と第2の構造体44とが、第1の構造体32の表面46(すなわち第2の絶縁体層20の露出した表面)および第2の構造体45の表面48(これは最終絶縁体層44の表面である)で相互に結合され、結合されたウェーハ52の結合された絶縁体層50(例えばシリコン層50の酸化物)をもたらす。
【0036】
ステップ4Iで、結合されたウェーハ52を、「スマート・カット」技法を用いて、弱められた気泡層38の面に沿って分割し、第2の構造体45の大部分を除去する一方で、結果として生じるシード層22’は、結合された絶縁体層50に結合されたままにしておき、極薄シリコン・オン・インシュレータ(UTSOI)ウェーハ53を形成する。ステップ4Jで、エピタキシャル層24が、シード層22’をテンプレートとして用いてUTSOIウェーハ53のシード層22’の上に実質的に重なって成長される。エピタキシャル層24が撮像素子28を製作するための層をもたらし、図3に示されるように、全体の撮像デバイス54を形成する。上記で論じられたように、任意選択で、電子を境界面18から離してシード層22’の方へ駆動するためにバイアスを与えるように、エピタキシャル層24を通って導電層16へ広がる金属接触をエピタキシャル層24の表面上に形成することができる。
【0037】
図4で、機械的基板12を除去し、任意選択の反射防止層/コーティングを生成するステップは、図から省略されているが、任意選択で利用することができる。
【0038】
例示的実施形態は、本発明の単なる説明であり、本発明の範囲から逸脱することなく前述の実施形態の多くの変形形態が当業者によって考案され得ることを理解されたい。したがって、そのような変形形態は、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にすべて含まれることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的基板の上に重なる第1の絶縁体層を形成するステップと、
前記第1の絶縁体層の上に重なる導電層を堆積するステップと、
前記導電層の上に重なる第2の絶縁体層を形成して第1の構造体を形成するステップであって、前記導電層と前記第2の絶縁体層との間に境界面が形成され、前記境界面が電気的にピン止めされるように、前記導電層が前記境界面の近位にバンド曲がりをもたらすステップと、
半導体材料を含むデバイス・ウェーハを前記第2の絶縁体層に結合するステップと、
実質的に前記第2の絶縁体層の上に重なるシード層を露出するために前記半導体材料の一部分を除去するステップとを含む半導体デバイスを製作する方法。
【請求項2】
結合し除去する前記ステップが、
半導体材料を含むデバイス・ウェーハを設けるステップと、
前記デバイス・ウェーハの中に水素を注入して気泡層を形成するステップと、
前記デバイス・ウェーハの上に重なる最終絶縁体層を形成して第2の構造体を形成するステップと、
前記第1の構造体と前記第2の構造体とを結合して、結合されたウェーハを形成するステップと、
実質的に前記第2の絶縁体層の上に重なる前記半導体材料を含むシード層を露出するために、前記気泡層の下にある前記結合されたウェーハの一部分を除去するステップとをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電層が金属を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属がインジウム−スズ酸化物である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記導電層が、ドープされたポリシリコンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記結合されたウェーハの一部分を除去する前記ステップが、前記結合されたウェーハを前記気泡層の面に沿って分割するステップを含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
最終絶縁体層を形成する前記ステップの前に、
前記デバイス・ウェーハの上に重なる第3の絶縁体層を形成するステップであって、前記第3の絶縁体層を介して前記デバイス・ウェーハの中に水素を注入して前記気泡層を作製するステップと、
前記第3の絶縁体層をエッチング除去するステップとをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の構造体および前記第2の構造体が、前記第1の構造体の前記第2の絶縁体層と前記第2の構造体の前記最終絶縁体層との間で結合される請求項2に記載の方法。
【請求項9】
実質的に前記シード層の上に重なるエピタキシャル層を成長させるステップと、
前記エピタキシャル層の中に少なくとも1つの撮像素子を製作するステップとをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの撮像素子を製作する前記ステップが、CMOS撮像素子、電荷結合デバイス素子、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード、およびフォトトランジスタのうち少なくとも1つを製作するステップを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
電子を前記境界面から離して前記シード層の方へ駆動するためにバイアスを与えるように、前記エピタキシャル層を通って前記導電層へ広がる金属接触を前記エピタキシャル層の表面上に形成するステップをさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記機械的基板、前記エピタキシャル層および前記シード層がシリコンを含み、前記第1の絶縁体層、前記第2の絶縁体層、および前記最終絶縁体層がシリコンの酸化物を含む請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の絶縁体層の残りの部分が電磁放射に対する反射防止コーティングとして機能するように、前記機械的基板の完全な除去に続いて前記第1の絶縁体層の一部分を除去するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第1の絶縁体層と、
実質的に前記第1の絶縁体層の上に重なる導電層と、
前記導電層の上に重なる第2の絶縁体層であって、前記導電層と前記第2の絶縁体層との間に境界面が形成され、前記境界面が電気的にピン止めされるように、前記導電層が前記境界面の近位にバンド曲がりをもたらす第2の絶縁体層と、
前記第2の絶縁体層の上に重なるシード層とを備える半導体デバイス。
【請求項15】
前記導電層が金属を含む請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記金属がインジウム−スズ酸化物である請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記導電層が、ドープされたポリシリコンを含む請求項14に記載のデバイス。
【請求項18】
前記導電層が光学的に透過性である請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
前記導電層が、約25オングストロームから30オングストロームの範囲の厚さを有する請求項14に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第2の絶縁体層が、約15オングストロームの厚さを有する請求項14に記載のデバイス。
【請求項21】
前記絶縁体層が、約1000オングストロームの厚さを有する請求項14に記載のデバイス。
【請求項22】
実質的に前記シード層の上に重なって成長するエピタキシャル層と、
前記エピタキシャル層の中に製作された少なくとも1つの撮像素子とをさらに備える請求項14に記載のデバイス。
【請求項23】
前記少なくとも1つの撮像素子が、CMOS撮像素子、電荷結合デバイス素子、フォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオードおよびフォトトランジスタのうちの少なくとも1つである請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
電子を前記境界面から離して前記シード層の方へ駆動するためにバイアスを与えるように、前記エピタキシャル層の表面上に形成され、前記エピタキシャル層を通って前記導電層へ広がる金属接触をさらに備える請求項22に記載のデバイス。
【請求項25】
前記機械的基板、前記エピタキシャル層および前記シード層がシリコンを含み、前記第1の絶縁体層および前記第2の絶縁体層がシリコンの酸化物を含む請求項22に記載のデバイス。
【請求項26】
第1の絶縁体層、
実質的に前記第1の絶縁体層の上に重なる導電層、および
前記導電層の上に重なる第2の絶縁体層であって、前記導電層と前記第2の絶縁体層との間に境界面が形成され、前記境界面が電気的にピン止めされるように、前記導電層が前記境界面の近位にバンド曲がりをもたらす第2の絶縁体層を備える第1の構造体を設けるステップと、
半導体材料を含むデバイス・ウェーハ、および
前記デバイス・ウェーハの上に重なる最終絶縁体層を備える第2の構造体を設けるステップと、
前記デバイス・ウェーハの中に水素を注入して気泡層を形成するステップと、
前記第1の構造体と前記第2の構造体とを結合して、結合されたウェーハを形成するステップと、
実質的に前記第2の絶縁体層の上に重なる前記半導体材料を含むシード層を露出するために、前記気泡層の下にある前記結合されたウェーハの一部分を除去するステップとを含む半導体デバイスを製作する方法。
【請求項27】
前記導電層が金属を含む請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−522415(P2011−522415A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511703(P2011−511703)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/044131
【国際公開番号】WO2009/146264
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(599134012)サーノフ コーポレーション (59)
【Fターム(参考)】