説明

VEGF−R阻害剤の新規結晶形

【課題】哺乳動物の癌などの異常な細胞増殖を治療する際に有用である6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの多形体形態の提供。
【解決手段】下式1の少なくとも1種の多形体形態を含有する医薬組成物又はこのような多形体形態及び組成物の治療的又は予防的使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの新規多形体形態およびその調製法に関する。さらに本発明は、少なくとも1種の多形体形態を含有する医薬組成物ならびにこのような多形体形態および組成物の治療的または予防的使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、哺乳動物における癌などの異常な細胞増殖を治療する際に有用である6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾール(「化合物1」とも称される):
【0003】
【化1】

の新規多形体形態に関する。さらに本発明は、このような多形体形態を包含する組成物および哺乳動物、特にヒトにおける異常な細胞増殖を治療する際のこのような組成物の使用法に関する。
【0004】
化合物1、さらに薬学的に許容できるその塩は、米国特許第6534524号明細書および米国特許第6531491号明細書に記載されている。化合物1を製造する方法は、米国特許第7232910号明細書および米国特許出願公開第2006−0091067号明細書および同第2007−0203196号明細書ならびにWIPO国際公開第2006/048745号パンフレットに記載されている。さらに化合物1の多形体形態および医薬組成物は、米国特許出願公開第2006−0094763号明細書およびWIPO国際公開第2006/123223号明細書に記載されている。さらに化合物1の投与形態は、米国特許出願公開第2004−0224988号明細書に記載されている。
【0005】
化合物1は、初期から後期のステージの癌で使用するために開発された血管内皮増殖因子(VEGF)/血小板由来増殖因子(PDGF)受容体チロシンキナーゼ(RTK)の強力かつ選択的阻害剤である。タンパク質チロシンキナーゼは、癌の治療処置における非常に重要なターゲットとして認識されている。増殖因子リガンドおよびその各RTKは、腫瘍の脈管形成および増殖のために必要とされる。VEGFおよびPDGFは、脈管形成の間に新規血管を形成する内皮細胞の分枝、伸長および残存をもたらすプロセスにおいて重要な成分である。不必要な脈管形成は、網膜症、乾癬、関節リウマチ、加齢性黄斑変性(AMD)および癌(充実性腫瘍を包含する)などのいくつかの疾患の顕著な証明である(Folkman、Nature Med.、1、27〜31(1995年))。
【0006】
当業者であれば理解するように、確かな製剤および製造に適した物理的特性を有する結晶または非晶質形態を得ることが望ましい。このような特性には、濾過性、吸湿性および流動性、さらに熱、水分および光に対する安定性が包含される。
【0007】
多形体は、同一化合物の異なる結晶形である。多形体との用語は、同一化合物の水和物(例えば結晶構造中に結合水が存在)および溶媒和物(例えば水以外の結合溶媒)を包含する他の固体分子形態を包含しても包含しなくてもよい。結晶多形体は典型的には、格子中での分子の異なる充填により、異なる結晶構造を有する。これにより、異なる結晶対称性および/または単位セルパラメーターが生じ、このことは、結晶または粉末のX線回折特性などのその物理的特性に直接的に影響を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多形体形態は、製薬工業に、特に適切な投与形態の開発を必要とする製薬工業にとって関心の深いものである。多形体形態が、臨床試験または安定性試験の間に一定に保たれていないと、使用または試験した正確な投与形態を、ロット相互で比較することができない。さらに、化合物を臨床試験または市販品で使用する場合には、選択された多形体形態を有する化合物を高純度で製造するプロセスを有することが望ましい。それというのも、存在する不純物が望ましくない毒性作用をもたらすことがあるためである。ある種の多形体形態はさらに、高い熱力学的安定性を示すか、高純度で大量にさらに容易に製造することができることがあり、したがって、医薬製剤に包含させるためにより適している。ある種の多形体は、異なる格子エネルギーにより吸湿傾向の欠如、改善された溶解性および高い溶解速度などの他の有利な物理的特性を示すこともある。
【0009】
本発明に対する背景の検討が本明細書には、本発明の内容を説明するために包含されている。これは、任意の国において、任意の請求項の優先権日現在、言及された任意の物質が公開されているか、知られているか、一般的な通常の知識の一部であることを認めるものではないことを理解されたい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
化合物1のいくつかの多形体が同定されているが、各多形体形態は、これらに限られないが、粉末X線回折パターンピークまたは2つ以上のピークの組合せ;固体NMR13Cおよび/または15N化学シフトまたは2つ以上の化学シフトの組合せ;ラマンシフトピークまたは2つ以上のラマンシフトピークの組合せ;またはこれらの組合せなどのいくつかの異なる分析パラメーターにより単独でまたは組合せで、独自に同定することができる。
【0011】
本発明の一態様は、化合物1:
【0012】
【化2】

として表される6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形を提供し、ここで、前記結晶形はXXV型多形体である。例えば一実施形態では、本発明は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、5.1±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。さらなる実施形態では、結晶形は、15.9±0.1の回折角(2θ)にピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、結晶形は、7.9±0.1、10.7±0.1および18.2±0.1の回折角(2θ)にピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、結晶形は、7.9±0.1、15.9±0.1および18.2±0.1の回折角(2θ)にピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、結晶形は、10.7±0.1、15.9±0.1および26.2±0.1の回折角(2θ)にピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、結晶形は、7.9±0.1、10.7±0.1、15.9±0.1および26.2±0.1の回折角(2θ)にピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、結晶形は、7.9±0.1、10.7±0.1、15.9±0.1、18.2±0.1および26.2±0.1の回折角(2θ)にピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する。
【0013】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、7.9±0.1、10.7±0.1および18.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、7.9±0.1、15.9±0.1および18.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、10.7±0.1、15.9±0.1および26.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、7.9±0.1、10.7±0.1、15.9±0.1および26.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0014】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図面1に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0015】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、167.4±0.2、157.7±0.2および116.6±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0016】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、167.4±0.2、157.7±0.2、116.6±0.2および25.6±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0017】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図2に示されているのと本質的に同一の位置に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0018】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、5.1±0.1および15.9±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、167.4±0.2、157.7±0.2および116.6±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0019】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、5.1±0.1および15.9±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、167.4±0.2、157.7±0.2、116.6±0.2および25.6±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0020】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図1に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、図2に示されているのと本質的に同一の位置に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0021】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図3に示されているのと本質的に同一の位置にラマンシフトピーク(cm−1)を含むラマンスペクトルを有する。
【0022】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、XVI型多形体である。例えば、一実施形態では、本発明は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、10.2±0.1、10.6±0.1および16.8±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、結晶形は、10.2±0.1、10.6±0.1および17.9±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、結晶形は、10.2±0.1、10.6±0.1および18.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、結晶形は、10.2±0.1、10.6±0.1および25.4±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0023】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図4に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0024】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、XLI型多形体である。例えば、一実施形態では、本発明は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、6.0±0.1および11.5±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0025】
他の実施形態では、結晶形は、6.0±0.1および21.0±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0026】
他の実施形態では、結晶形は、6.0±0.1および26.9±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0027】
他の実施形態では、結晶形は、6.0±0.1、11.9±0.1および22.8±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0028】
他の実施形態では、結晶形は、11.9±0.1、21.0±0.1および22.8±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0029】
他の実施形態では、結晶形は、11.9±0.1、21.0±0.1および26.9±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0030】
他の実施形態では、結晶形は、11.9±0.1、21.0±0.1および23.1±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0031】
他の実施形態では、結晶形は、11.5±0.1、15.6±0.1および16.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0032】
他の実施形態では、結晶形は、11.5±0.1、15.6±0.1および16.5±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0033】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図6に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0034】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、150.1±0.2、136.6±0.2、135.0±0.2、116.9±0.2および27.5±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0035】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図7に示されているのと本質的に同一の位置に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0036】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、−50.2±0.2、−79.0±0.2、−187.1±0.2および−263.2±0.2ppmに15N化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0037】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図8に示されているのと本質的に同一の位置に15N化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0038】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、6.0±0.1および11.5±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、150.1±0.2および27.5±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0039】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、6.0±0.1、11.5±0.1および11.9±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、150.1±0.2、136.6±0.2、135.0±0.2、116.9±0.2および27.5±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0040】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図6に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、図7に示されているのと本質的に同一の位置に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0041】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図6に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、図8に示されているのと本質的に同一の位置に15N化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0042】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図9に示されているのと本質的に同一の位置にラマンシフトピーク(cm−1)を含むラマンスペクトルを有する。
【0043】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、IX型多形である。例えば、一実施形態では、本発明は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、7.7±0.1、8.1±0.1、8.5±0.1および14.3±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の態様では、前記結晶形は、7.7±0.1、8.1±0.1、8.5±0.1および18.3±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の態様では、化合物1の前記結晶形は、図10に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0044】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、171.4±0.2および28.0±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。他の態様では、化合物1の前記結晶形は、図11に示されているのと本質的に同一の位置に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0045】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図10に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、前記の実質的に純粋な結晶形は、図11に示されているのと本質的に同一の位置に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0046】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、XII型多形体である。例えば、一実施形態では、本発明は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、11.9±0.1、18.1±0.1および31.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、本発明は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、11.9±0.1、28.1±0.1および31.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、本発明は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、16.8±0.1、28.1±0.1および31.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、本発明は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、25.3±0.1、28.1±0.1および31.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0047】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図12に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0048】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、XV型多形体である。例えば、一実施形態では、本発明は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、10.1±0.1、11.9±0.1、15.2±0.1、21.5±0.1および26.3±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、本発明は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、10.1±0.1、21.5±0.1、25.0±0.1および25.3±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0049】
本発明の他の態様は、化合物1の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、図13に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0050】
本発明の他の態様は、化合物1の非晶質形態を提供し、ここで、前記非晶質形態は、図14および15に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0051】
本発明の他の態様は、化合物1の非晶質形態を提供し、ここで、前記非晶質形態は、図16に示されているのと本質的に同一の位置に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0052】
他の態様では、本発明は、本明細書に記載の化合物1の結晶形が、化合物1の他の結晶もしくは非晶質形態またはそれらの混合物の存在下に存在してもよいことを企図している。したがって、一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の化合物1の任意の結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、化合物1の任意の他の物理的形態を95重量%未満、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満または1重量%未満包含する固体形態で存在する。例えば、一実施形態は、5.1±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する化合物1の結晶形を含む化合物1の固体形態であり、ここで、前記固体形態は、化合物1の任意の他の物理的形態を95重量%未満、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満または1重量%未満包含する。
【0053】
さらに、例えば、本発明は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、5.1±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、前記の実質的に純粋な結晶形は、5.1±0.1および15.9±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、前記の実質的に純粋な結晶形は、5.1±0.1、7.9±0.1、10.7±0.1および18.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、前記の実質的に純粋な結晶形は、5.1±0.1、7.9±0.1、15.9±0.1および18.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、前記の実質的に純粋な結晶形は、5.1±0.1、10.7±0.1、15.9±0.1および26.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、前記の実質的に純粋な結晶形は、5.1±0.1、7.9±0.1、10.7±0.1、15.9±0.1および26.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、前記の実質的に純粋な結晶形は、5.1±0.1、7.9±0.1、10.7±0.1、15.9±0.1、18.2±0.1および26.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0054】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図1に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0055】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、167.4±0.2、157.7±0.2および116.6±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0056】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、167.4±0.2、157.7±0.2、116.6±0.2および25.6±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0057】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図2に示されているのと本質的に同一の位置に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0058】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、実質的に純粋なXXV型多形体である。
【0059】
さらに、例えば、本発明は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、10.2±0.1、10.6±0.1および16.8±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、前記の実質的に純粋な結晶形は、10.2±0.1、10.6±0.1および17.9±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、前記の実質的に純粋な結晶形は、10.2±0.1、10.6±0.1および18.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、前記の実質的に純粋な結晶形は、10.2±0.1、10.6±0.1および25.4±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0060】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図4に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0061】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、XVI型多形体である。
【0062】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、XLI型多形体である。例えば、一実施形態では、本発明は化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、6.0±0.1および11.5±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0063】
他の実施形態では、実質的に純粋な結晶形は、6.0±0.1および21.0±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0064】
他の実施形態では、実質的に純粋な結晶形は、6.0±0.1および26.9±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0065】
他の実施形態では、実質的に純粋な結晶形は、6.0±0.1、11.9±0.1および22.8±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0066】
他の実施形態では、実質的に純粋な結晶形は、11.9±0.1、21.0±0.1および22.8±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0067】
他の実施形態では、実質的に純粋な結晶形は、11.9±0.1、21.0±0.1および26.9±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0068】
他の実施形態では、実質的に純粋な結晶形は、11.9±0.1、21.0±0.1および23.1±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0069】
他の実施形態では、実質的に純粋な結晶形は、11.5±0.1、15.6±0.1および16.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0070】
他の実施形態では、実質的に純粋な結晶形は、11.5±0.1、15.6±0.1および16.5±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0071】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図6に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0072】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、150.1±0.2、136.6±0.2、135.0±0.2、116.9±0.2および27.5±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0073】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図7に示されているのと本質的に同一の位置に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0074】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、−50.2±0.2、−79.0±0.2、−187.1±0.2および−263.2±0.2ppmに15N化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0075】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図8に示されているのと本質的に同一の位置に15N化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0076】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、6.0±0.1、11.5±0.1および11.9±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、前記の実質的に純粋な結晶形は、150.1±0.2、136.6±0.2、135.0±0.2、116.9±0.2および27.5±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0077】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図6に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、前記の実質的に純粋な結晶形は、図7に示されているのと本質的に同一の位置に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0078】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図6に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、前記の実質的に純粋な結晶形は、図8に示されているのと本質的に同一の位置に15N化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0079】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図9に示されているのと本質的に同一の位置にラマンシフトピーク(cm−1)を含むラマンスペクトルを有する。
【0080】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記結晶形は、IX型多形体である。例えば、一実施形態では、本発明は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、7.7±0.1、8.1±0.1、8.5±0.1および14.3±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の態様では、前記の実質的に純粋な結晶形は、7.7±0.1、8.1±0.1、8.5±0.1および18.3±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0081】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、171.4±0.2および28.0±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0082】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図10に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、前記の実質的に純粋な結晶形は、図11に示されているのと本質的に同一の位置に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0083】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、XII型多形体である。例えば、一実施形態では、本発明は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、11.9±0.1、18.1±0.1および31.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、本発明は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、11.9±0.1、28.1±0.1および31.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、本発明は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、16.8±0.1、28.1±0.1および31.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、本発明は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、25.3±0.1、28.1±0.1および31.2±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0084】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図12に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0085】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、XV型多形体である。例えば、一実施形態では、本発明は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、10.1±0.1、11.9±0.1、15.2±0.1、21.5±0.1および26.3±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。他の実施形態では、本発明は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、10.1±0.1、21.5±0.1、25.0±0.1および25.3±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0086】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な結晶形を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な結晶形は、図13に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0087】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な非晶質形態を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な非晶質形態は、図14に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な非晶質形態を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な非晶質形態は、図15に示されているのと本質的に同一の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
【0088】
本発明の他の態様は、化合物1の実質的に純粋な非晶質形態を提供し、ここで、前記の実質的に純粋な非晶質形態は、図16に示されているのと本質的に同一の位置に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する。
【0089】
本発明の他の態様は、本明細書に記載の化合物1の任意の結晶形または非晶質形態を含む医薬組成物を提供する。他の態様では、本発明は、本明細書に記載の化合物1の任意の結晶形もしくは非晶質形態または医薬組成物を含む経口投与形態を提供する。例えば、一実施形態では、経口投与形態は、錠剤、ピル、糖衣丸核またはカプセルである。例えば、一実施形態では、経口投与形態は、錠剤またはカプセルである。さらに、例えば、一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の化合物1の任意の結晶形もしくは非晶質形態または医薬組成物を含む錠剤を提供する。例えば、一実施形態では、錠剤は、化合物1の結晶形または非晶質形態を約1から約10mg含む。さらに、例えば、錠剤は、化合物1の結晶形または非晶質形態を約1から約5mg含む。なおさらに、例えば、錠剤は、化合物1の結晶形または非晶質形態を約1mg含む。なおさらに、例えば、錠剤は、化合物1の結晶形または非晶質形態を約2mg、約3mg、約4mgまたは約5mg含む。なおさらに、例えば、化合物1の結晶形は、XXV型である。いっそうさらに、例えば、化合物1の結晶形は、XLI型である。
【0090】
本発明の他の態様は、化合物1を結晶XXV型で調製する方法を提供し、前記方法は、化合物1の結晶XVI型を加熱するステップを含む。例えば、一実施形態では、前記加熱を適切な溶媒の存在下に実施する。一実施形態では、溶媒は、エタノールである。他の実施形態では、XXV型の種結晶を結晶XVI型と加熱前またはその間に混合する。
【0091】
本発明の他の態様は、化合物1を結晶XVI型で調製する方法を提供し、前記方法は、化合物1のVIII型を適切な溶媒に溶解するステップと加熱するステップを含む。
【0092】
本発明の他の態様は、化合物1を結晶XLI型で調製する方法を提供し、前記方法は、化合物1の結晶XVI型を加熱するステップを含む。例えば、一実施形態では、前記加熱を適切な溶媒の存在下に実施する。一実施形態では、溶媒は、エタノールである。他の実施形態では、XLI型の種結晶を結晶XVI型と加熱前またはその間に混合する。
【0093】
本発明の他の態様は、結晶XLI型から化合物1を非晶質形態で調製する方法を提供し、前記方法は、化合物1の結晶XLI型を粉砕するステップを含む。例えば、一実施形態では、前記粉砕をボールミルを介して実施する。
【0094】
本発明の他の態様は、哺乳動物における癌を治療する方法を提供し、前記方法は、哺乳動物に、治療有効量で本明細書に記載の化合物1の任意の結晶形または任意の医薬組成物を投与するステップを含む。
【0095】
任意の前述の方法実施形態のうちの特別な態様では、方法は、1種または複数の抗腫瘍剤、抗脈管形成剤、シグナル変換阻害剤または抗増殖剤を投与するステップをさらに含む。
【0096】
定義
本明細書で使用する場合、「治療する」との用語は、他に示されていない限り、このような用語が当てはまる障害もしくは状態またはこのような障害もしくは状態の1つまたは複数の症状の進行を逆転させ、緩和し、阻害することまたは予防することを意味する。本明細書で使用する場合、「治療」との用語は、他に示されていない限り、直前で定義された「治療する」行為を指している。
【0097】
本明細書で使用する場合、「化合物1」との用語は、構造式:
【0098】
【化3】

によっても示される化学化合物6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールを意味している。
【0099】
本明細書で使用する場合、特定の結晶または非晶質形態に関連する「実質的に純粋な」との用語は、その結晶または非晶質形態が、その化合物の任意の他の物理的形態を、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは1重量%未満包含することを意味する。
【0100】
本明細書で使用する場合、X線回折のピーク位置に関連する「本質的に同一の」との用語は、典型的なピーク位置および強さの変動が考えられることを意味する。例えば、当業者であれば、ピーク位置(2θ)が、使用される溶媒、さらに回折を測定するために使用される装置に応じて、多少の変動、典型的には0.1度から0.2度程度の変動を示すことが分かるであろう。さらに、当業者であれば、相対ピーク強度が、装置間の変動、さらに結晶度、好ましい配向度、調製された試料表面および当業者に知られている他の因子による変動を示し、これを、単に定性的な尺度とすべきであることが分かるであろう。同様に、本明細書で使用する場合、固体NMRスペクトルおよびラマンスペクトルに関連する「本質的に同一の」とは、当業者に知られているこれら分析技術に関連する変動も内包することを意図している。例えば、固体NMRで測定される13C化学シフトは典型的には、良好に規定されるピークでは0.2ppmまでの変動、幅広のラインではさらに大きな変動を有する一方で、ラマンシフトは典型的には、約2cm−1の変動を有する。
【0101】
「多形体」との用語は、同一の化合物のうちの異なる結晶形を指しており、これらに限られないが、同一の化合物の水和物(例えば結晶構造中に結合水が存在)および溶媒和物(例えば水以外の結合溶媒)を包含する他の固体分子形態を包含する。
【0102】
「2シータ値」または「2θ」との用語は、X線回折実験の実験設定に基づいて、度で示したピーク位置を指しており、回折パターンにおける共通の横座標単位である。実験設定は、入射光束が一定の格子面と角度シータ(θ)を形成するときに反射が回折される場合に、反射された光束が、角度2シータ(2θ)で記録されることを要する。特定の多形体形態に関する特定の2θ値に対する本明細書の言及は、本明細書に記載のX線回折実験条件を使用して測定された2θ値(度)を意味することを意図していることを理解すべきである。例えば、本明細書に記載されているように、CuKα(波長1.54056Å)を、放射線の源として使用した。
【0103】
「非晶質」との用語は、(i)三次元における秩序を欠いているか、(ii)三次元未満での秩序または短い距離(例えば10Å未満)にわたってのみ秩序を示すか、これら両方を示す任意の固体物質を指している。したがって、非晶質物質には、例えば1次元または2次元並進秩序(液晶)、配向障害(配向障害を有する結晶)またはコンホメーション障害(コンホメーション障害を有する結晶)を伴う部分結晶物質および結晶中間相が包含される。非晶質固体は、X線粉末回折(XRPD)結晶学、固体核磁気共鳴(ssNMR)分光学、示差走査熱分析(DSC)またはこれらの技術のいくつかの組合せを包含する、知られている技術により特性決定することができる。下記で説明するように、非晶質固体は、典型的には1つまたは2つの広幅ピーク(即ち、約5°2θ以上のベース幅を有するピーク)からなる広汎なXRPDパターンを示す。
【0104】
「結晶」との用語は、非晶質固体物質とは対照的に、はっきりと規定されるピークを有する特有のXRPDパターンをもたらす、三次元秩序を示す任意の固体物質を指している。
【0105】
「溶媒和物」との用語は、薬物物質および化学量論的量または非化学量論的量の1種または複数の溶媒分子(例えばエタノール)を含む分子複合体を述べている。溶媒が、薬物に緊密に結合している場合、生じた複合体は十分に規定された、水分と無関係な化学量論を有する。しかしながら、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物においてのように、溶媒が弱く結合している場合、溶媒含分は、水分および乾燥状態に左右される。このような場合には、複合体は往々にして、非化学量論的である。
【0106】
「水和物」との用語は、薬物物質および化学量論的量または非化学量論的量の水を含む溶媒和物を述べている。
【0107】
「粉末X線回折パターン」または「PXRDパターン」との用語は、実験で観察されたディフラクトグラムまたはそれに由来するパラメーターを指している。粉末X線回折パターンは、ピーク位置(横座標)およびピーク強度(縦座標)により特徴づけられる。
【0108】
「医薬組成物」との用語は、1種または複数の本明細書に記載の化合物1の多形体形態ならびに生理学的/薬学的に許容できる担体、希釈剤、媒体および/または賦形剤などの他の化学成分を含む組成物を指している。医薬組成物の目的は、ヒトまたは他の哺乳動物などの生体への化合物の投与を容易にすることである。
【0109】
「薬学的に許容できる」「担体」、「希釈剤」、「媒体」または「賦形剤」との用語は、医薬組成物を形成するために特定の薬剤と共に包含されてよく、固体または液体であってよい1種の物質(または複数の物質)を指している。固体担体の例は、ラクトース、スクロール、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。液体担体の例は、シロップ、落花生油、オリーブ油、水などである。同様に、担体または希釈剤は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの当分野で知られている時間遅延または時間放出物質を単独で、またはワックス、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸メチルなどと共に包含してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0110】
化合物1は、複数の結晶形(多形体)で、または非晶質形態として存在しうることが判明している。これらの形態は、癌を含む高増殖性適応症を治療するための製剤製品において使用することができる。各形態は、生物学的利用率、安定性および製造性などの特性に関して他を上回る利点を有することがある。化合物1の新規の結晶形が発見され、これは、他の多形体形態よりも大量調製および取り扱いに関してより適しているようである。高純度で化合物1の多形体形態を製造する方法は、本明細書および米国特許出願公開第2006−0094763号明細書に記載されている。本発明の他の目的は、化合物1の他の多形体形態を実質的に含まずに、化合物1の各多形体形態を調製する方法を提供することである。加えて、前記で検討された様々な多形体形態で化合物1を含む医薬組成物およびこのような医薬組成物を投与することにより高増殖性状態を治療する方法を提供することが本発明の目的である。
【0111】
I.化合物1の多形体形態
化合物1の各結晶形は、次の1つまたは複数により特性決定することができる:粉末X線回折パターン(即ち、様々な回折角度(2θ)でのX線回折ピーク)、固体核磁気共鳴(NMR)スペクトルパターン、ラマンスペクトルダイアグラムパターン、水溶性、ハーモナイゼーション国際会議(ICH)高強度光条件下での光安定性ならびに物理的および化学的貯蔵安定性。例えば、化合物1の多形体XXV型、XVI型、VIII型、XLI型、IX型、XII型、XV型および非晶質形態(下記で検討)を、その粉末X線回折パターンにおけるピークの位置および相対強度によりそれぞれ特性決定した。粉末X線回折パラメーターは、化合物1の各多形体形態で異なる。したがって、例えば、化合物1のXXV型、XVI型、VIII型、XLI型、IX型、XII型、XV型および非晶質形態は、粉末X線回折を使用することにより、相互に、かつ化合物1の他の多形体形態から区別することができる。
【0112】
化合物1の異なる多形体形態(XXV型、XVI型、VIII型、XLI型、IX型、XII型、XV型)および非晶質形態の粉末X線回折パターンを、銅放射線(CuKα、波長:1.54056Å)を使用するBruker D5000回折計で実施した。管電圧およびアンペア数を40kVおよび40mAにそれぞれ設定した。発散および散乱スリットを1mmに設定し、受信スリットを0.6mmに設定した。回折した放射線をKevex PSI検出計により検出した。3.0から40度2θまで2.4度/分(1秒/0.04度ステップ)でのシータ−2シータ連続走査を使用した。アルミナ標準を分析して、装置アライメントをチェックした。データを集め、Bruker axisソフトウェア バージョン7.0を使用して分析した。試料を、これらを石英ホルダーに入れることにより調製した。Bruker InstrumentsがSiemansを買収したので、Bruker D5000装置は、Siemans D5000と本質的に同一であることを特記すべきである。Eva Application 9.0.0.2ソフトウェアを使用して、PXRDスペクトルを視覚化し、評価した。結晶形のPXRDデータファイル(.raw)を、ピークの探索前に処理しなかった。0.3の多項式平滑化係数を非晶質PXRDデータファイルに一例で当てはめて、精細化した。通常、1の閾値および0.3の幅値を使用して、予備的ピーク代入を作成した。自動代入のアウトプットを視覚的にチェックして、有効性を保証し、必要な場合には、調製を手動で行った。
【0113】
本明細書に報告されている測定で使用されたBruker系と同様のBragg−Brentano装置でX線回折測定を行うためには、試料を典型的には、空隙を有するホルダー内に入れる。試料粉末をガラススライドまたは同等物により圧縮して、ランダムな表面および正確な試料高さを保証する。次いで、試料ホルダーを装置に入れる。入射X線光束を、当初はホルダーの平面に対して小さい角度で試料に向け、次いで、入射光束とホルダーの平面との角度を連続的に高める弧を介して動かす。このようなX線粉末分析に随伴する測定差は、(a)試料調製での誤り(例えば試料高さ);(b)装置の誤り(例えば平坦な試料の誤り);(c)校正の誤り;(d)操作者の誤り(ピーク位置を決定する際に存在するエラーを包含する);および(e)物質の性質(例えば好ましい配向および透過性の誤り)を包含する様々な因子から生じている。校正の誤りおよび試料高さの誤りは往々にして、同じ方向への全てのピークのシフトをもたらす。平坦なホルダーを使用する場合の試料高さにおける僅かな差は、PXRDピーク位置において大きな変異をもたらすであろう。系統的な研究により、Shimadzu XRD−6000を典型的なBragg−Brentano配置で使用すると、1mmの試料高さの差が、1度(2θ)ほどのピークシフトをもたらすことが判明した(Chenら、J Pharmaceutical and Biomedical Analysis 26:63(2001年))。これらのシフトは、X線ディフラクトグラムから識別することができ、シフトを補正する(系統的校正係数を全てのピーク位置値に適用する)か、装置を再較正することにより除去することができる。前記のように、系統的校正係数を当てはめてピーク位置を一致させることにより、様々な装置からの測定を調整することが可能である。一般に、この校正係数により、Brukerから測定されたピーク位置を、予測されたピーク位置と一致させるが、0から0.2度(2θの範囲内であればよい。
【0114】
当業者であれば、ピーク位置(2θ)が典型的には0.1から0.2度(2θほどの多少の装置間変動性を示すであろうことが分かるであろう。したがって、ピーク位置(2θ)が報告されている場合、当業者であれば、そのような数が、このような装置間変動制を内包することを意図されていることを認めるであろう。さらに、本発明の結晶形が、添付の図面に示されているのと本質的に同一の粉末X線回折パターンを有すると記載されている場合、「本質的に同一」との用語も、回折ピーク位置におけるこのような装置間変動性を内包することを意図されている。さらに、当業者であれば、相対ピーク強度は、装置間変動性、さらに、結晶化度、好ましい配向、調製試料表面および当業者に知られている他の因子による変動性を示し、単に定性的な尺度とすべきであることが分かるであろう。
【0115】
本発明の様々な結晶形および非晶質形態を、固体NMR分光法を使用して特性決定することもできる。
【0116】
13C固体スペクトルは次のように集めることができる。試料約80mgを4mmZrOスピナーに緊密に入れた。スペクトルを、周囲温度および圧力で、大口径Bruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計内に位置している4mm Bruker−Biospin CPMASプローブで集めた。試料をマジック角に位置させ、15.0kHzで回転させた。高速回転速度が、回転側波帯の強度を最小にした。13C固体スペクトルを、プロトンデカップリング交差分極マジック角回転実験(CPMAS)を使用して集めた。交差分極接触時間を2.0msに設定した。約90kHzのプロトンデカップリング界を適用した。走査の数を調整して、適切なS/Nを得た。リサイクル遅延を、プロトン検出プロトン反転回復緩和実験を元に算出されたプロトン縦緩和時間の約1.5倍に調整した。結晶アダマンタンの外試料を使用し、そのアップフィールド共鳴を29.5ppmに設定して、炭素スペクトルを参照した。
【0117】
15N固体スペクトルは、次のように集めることができる。試料約270mgを7mmZrOスピナーに緊密に入れた。スペクトルを、周囲温度および圧力で、大口径Bruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計内に位置している7mm Bruker−Biospin CPMASプローブで集めた。試料をマジック角に位置させ、7.0kHzで回転させた。高速回転速度が、回転側波帯の強度を最小にした。15N固体スペクトルを、プロトンデカップリング交差分極マジック角回転実験(CPMAS)を使用して集めた。交差分極接触時間を3.0msに設定した。約70kHzのプロトンデカップリング界を適用した。走査の数を調整して、適切なS/Nを得た。リサイクル遅延を、プロトン検出プロトン反転回復緩和実験を元に算出されたプロトン縦緩和時間の約1.5倍に調節した。結晶D,L−アラニンの外試料を使用し、その共鳴を−331.5ppmに設定して、窒素スペクトルを参照した。
【0118】
結晶形をさらに、ラマン分光法を使用して特性決定することもできる。例えば、化合物1のXXV型を、ラマン分光法を使用して次のように特性決定することができた。ラマンスペクトルを、1064nmNdYAGレーザーおよびInGaAs検出器を備えたThermoNicolet960FT−Raman分光計を使用して集めた。試料をNMR管内で分析した。レーザー出力1Wおよび同時付与走査100を使用して、スペクトルを集めた。収集範囲は3700〜100cm−1であった。感度設定70および強度閾値0.4を使用するThermoNicolet Omnic 6.0aソフトウェアピークピッキングアルゴリズムを使用して、ピークを識別した。4cm−1解像度およびHapp−Genzelアポダイゼーションを使用して、全てのスペクトルを記録した。ポリスチレンを使用して、波長校正を行った。
【0119】
本発明の固体形態は、1種を上回る多形体形態を含んでもよい。当業者であれば、所定の化合物の結晶形は、単一の多形体の実質的に純粋な形態で存在しうるが、2種以上の異なる多形体または非晶質形態を含む結晶形でも存在しうることを認めるであろう。固体形態が2種以上の多形体を含む場合、X線回折パターンは、本発明の個々の多形体それぞれに特徴的なピークを有するであろう。例えば、2種の多形体を含む固体形態は、実質的に純粋な多形体形態に対応する2種のX線回折パターンの重畳である粉末X線回折パターンを有するであろう。例えば、化合物1の固体形態は、第1および第2多形体を含有してもよく、ここで、固体形態は、第1多形体を少なくとも10重量%含有する。他の例では、固体形態は、第1多形体を少なくとも20重量%含有する。さらに他の例は、第1多形体を少なくとも30重量%、少なくとも40重量%または少なくとも50重量%含有する。当業者であれば、様々な量の複数の個々の多形体および非晶質形態からなる多くのこのような組合せが可能であることを認めるであろう。
【0120】
A.XXV型多形体
化合物1の結晶XXV型は、実施例1に記載されているように製造することができる無水結晶形である。XXV型は、化合物1の以前に発見された結晶形を越えるいくつかの予期せぬ利点を有する。例えば、本明細書に記載のXLI型は、加工および貯蔵条件下に化合物1のうちで最も熱力学的に安定な結晶形であるが、XXV型は、化合物1の以前に発見された結晶形よりも熱力学的に安定である(密度、融解熱および溶解性に基づく)。加えて、IV型と比較すると(医薬製剤に最も適している化合物1の多形体形態と以前に同定された。米国特許出願公開第2006−0094763号明細書参照)、XXV型は改善された光安定性を有し、より規則的な結晶形状を有し、凝集物を形成する傾向を有さず、より良好なバルク流動特性を有し、タンク内プローブに付着しない。このような改善された特性は、より良好な錠剤加工および製造に重要である。さらに、最近の製造手順の間、IV型バッチの濾過には26時間かかるが、同一の濾過/乾燥機装置を使用して、匹敵するサイズのXXV型バッチの濾過には4時間しかかからない。最後に、XXV型を調製するための方法は、エタノールを利用することができる一方で、IV型を調製するための方法は、n−ヘプタンを使用する。当業者であれば分かるであろうが、n−ヘプタンの代わりにエタノールを使用することは、いくつかの重大な利点を有することができ、これには、エタノールはn−ヘプタンに類似の静電荷を保持しないこと(即ち、静電荷の形成は、燃焼の可能性により安全性に関する懸念であり、したがって、ヘプタンを用いて加工する場合には、接地を改善するための特別な装置配置が必要である);静電気消散の問題により、ヘプタンを用いる加工は、ガラスでライニングされた容器で行うことができないこと;ヘプタンは、エタノールでの13℃に対して、−4℃の引火点を有すること;ヘプタンは、R50/53リスクフレーズ(水生生物に対して非常に毒性があり、水生環境で長期の有害作用をもたらしうることを示している)を伴うが、エタノールは、このリスクを含まないことが包含される。
【0121】
化合物1の結晶XXV型を、図1に示されているPXRDパターンにより特性決定した。CuKα放射線を用いるBruker D5000回折計で測定された、度(2θ)および≧2.0%の相対強度を伴う相対強度で表されたXXV型のPXRDパターンを、表1にも示す。
【0122】
【表1−1】

【0123】
【表1−2】

【0124】
化合物1の結晶XXV型を、大口径Bruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計内に位置しているBruker−Biospin 4mm BL CPMASプローブで実施された、図2に示されている固体NMRスペクトルパターンによっても特性決定した。化合物1のXXV型の13C化学シフトを表2に示す。
【0125】
【表2】

【0126】
化合物1の結晶XXV型を、1064nmNdYAGレーザーおよびInGaAs検出器を備えたThermoNicolet960FT−ラマン分光計で実施された、図3に示されている次のラマンスペクトルパターンによっても特性決定した。化合物1のXXV型のラマンスペクトルピークを表3に示す。
【0127】
【表3】

【0128】
B.XVI型多形体
化合物1の結晶XVI型は、実施例1に記載されているように製造することができる溶媒和物形態である。
【0129】
化合物1の結晶XVI型を、図4に示されているPXRDパターンにより特性決定した。CuKα放射線を用いるBruker D5000回折計で測定された、度(2θ)および≧6.0%の相対強度を伴う相対強度で表されたXVI型のPXRDパターンを、表4にも示す。
【0130】
【表4】

【0131】
C.VIII型多形体
化合物1の結晶VIII型は、実施例1に記載されているように製造することができる溶媒和物形態である。VIII型は、米国特許出願公開第2006−0094763号明細書に記載されているように製造することもできる。
【0132】
化合物1の結晶VIII型を、図5に示されているPXRDパターンにより特性決定した。CuKα放射線を用いるBruker D5000回折計で測定された、度(2θ)および≧2.0%の相対強度を伴う相対強度で表されたVIII型のPXRDパターンを、表5にも示す。
【0133】
【表5】

【0134】
D.XLI型多形体
化合物1の結晶XLI型は、実施例1に記載されているように製造することができる無水結晶形である。XLI型は、化合物1の以前に発見された結晶形を越えるいくつかの予期せぬ利点を有する。例えば、XLI型は、化合物1のうちで知られている最も熱力学的に安定な多形体形態である(密度、融解熱および溶解性に基づく)。加えて、IV型と比較すると(医薬製剤に最も適している化合物1の多形体形態と以前に同定された。米国特許出願公開第2006−0094763号明細書参照)、XLI型は改善された光安定性を有し、より規則的な結晶形状を有し、凝集物を形成する傾向を有さず、より良好なバルク流動特性を有し、タンク内プローブに付着しない。このような改善された特性は、より良好な錠剤加工および製造に重要である。XLI型は、IV型よりも、規則的な結晶形状を有し、大きな結晶を形成するので、濾過速度およびケーク洗浄速度がXLI型では、IV型に比較して改善されている。最後に、XLI型を調製するための方法は、エタノールを利用することができる一方で、IV型を調製するための方法は、n−ヘプタンを使用する。当業者であれば分かるであろうが、n−ヘプタンの代わりにエタノールを使用することは、いくつかの重大な利点を有することができ、これには、エタノールはn−ヘプタンに類似の静電荷を保持しないこと(即ち、静電荷の形成は、燃焼の可能性により安全性に関する懸念であり、したがって、ヘプタンを用いて加工する場合には、接地を改善するための特別な装置配置が必要である);静電気消散の問題により、ヘプタンを用いる加工は、ガラスでライニングされた容器で行うことができないこと;ヘプタンは、エタノールでの13℃に対して、−4℃の引火点を有すること;ヘプタンは、R50/53リスクフレーズ(水生生物に対して非常に毒性があり、水生環境で長期の有害作用をもたらしうることを示している)を伴うが、エタノールは、このリスクを含まないことが包含される。
【0135】
化合物1の結晶XLI型を、図6に示されているPXRDパターンにより特性決定した。CuKα放射線を用いるBruker D5000回折計で測定された、度(2θ)および≧2.0%の相対強度を伴う相対強度で表されたXLI型のPXRDパターンを、表6にも示す。
【0136】
【表6−1】

【0137】
【表6−2】

【0138】
化合物1の結晶XLI型を、大口径Bruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計に位置しているBruker−Biospin 4mmBL CPMASプローブで実施された、図7に示されている固体NMRスペクトルパターンによっても特性決定した。化合物1のXLI型の13C化学シフトを表7に示す。
【0139】
【表7】

【0140】
化合物1の結晶XLI型を、大口径Bruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計に位置しているBruker−Biospin 4mmBL CPMASプローブで実施された、図8に示されている固体NMRスペクトルパターンによっても特性決定した。化合物1のXLI型の15N化学シフトを表8に示す。
【0141】
【表8】

【0142】
化合物1の結晶XLI型を、1064nmNdYAGレーザーおよびInGaAs検出器を備えたThermoNicolet960FT−ラマン分光計で実施された、図9に示されている次のラマンスペクトルパターンによっても特性決定した。化合物1のXLI型のラマンスペクトルピークを表9に示す。
【0143】
【表9−1】

【0144】
【表9−2】

【0145】
E.IX型多形体
化合物1の結晶IX型は、実施例2に記載されているように製造することができる水和物結晶形である。化合物1の結晶IX型は、水ベースの医薬製剤を開発するために好ましい形態である。実施例2に示されているように、IV型は、水性環境においてIX型に変換しうるので、化合物1の結晶IX型は、水ベースの医薬製剤においてIV型よりも安定している。水和物は典型的には、無水形態よりも水への低い溶解性を有する。このことは、制御または持続放出医薬製剤の開発において有利になりうる。
【0146】
化合物1の結晶IX型を、図10に示されているPXRDパターンにより特性決定した。CuKα放射線を用いるBruker D5000回折計で測定された、度(2θ)および≧2.0%の相対強度を伴う相対強度で表されたIX型のPXRDパターンを、表10にも示す。
【0147】
【表10−1】

【0148】
【表10−2】

【0149】
化合物1の結晶IX型を、大口径Bruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計に位置しているBruker−Biospin 4mm BL CPMASプローブで実施された、図11に示されている固体NMRスペクトルパターンによっても特性決定した。化合物1のIX型の13C化学シフトを表11に示す。
【0150】
【表11】

【0151】
E.XII型多形体
化合物1の結晶XII型は、実施例3に記載されているように製造することができるエタノール溶媒和物結晶形である。
【0152】
化合物1の結晶XII型を、図12に示されているPXRDパターンにより特性決定した。CuKα放射線を用いるBruker D5000回折計で測定された、度(2θ)および≧2.0%の相対強度を伴う相対強度で表されたXII型のPXRDパターンを、表12にも示す。
【0153】
【表12】

【0154】
F.XV型多形体
化合物1の結晶XV型は、実施例4に記載されているように製造することができるエタノール溶媒和物結晶形である。
【0155】
化合物1の結晶XV型を、図13に示されているPXRDパターンにより特性決定した。CuKα放射線を用いるBruker D5000回折計で測定された、度(2θ)および≧2.0%の相対強度を伴う相対強度で表されたXV型のPXRDパターンを、表14にも示す。
【0156】
【表13】

【0157】
G.非晶質形態
化合物1の非晶質形態は、実施例5に記載されているように製造することができる。非晶質形態は、WIPO国際公開第2006/123223号パンフレットに記載されているように製造することもできる。
【0158】
化合物1の非晶質形態を、CuKα放射線を用いるBruker D5000回折計で測定された、図14および15に示されているPXRDパターンにより特性決定した。
【0159】
化合物1の非晶質形態を、大口径Bruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計に位置しているBruker−Biospin 4mm BL CPMASプローブで実施された、図16に示されている固体NMRスペクトルパターンによっても特性決定した。化合物1の非晶質形態の13C化学シフトを表15に示す。
【0160】
【表14】

【0161】
II.本発明の医薬組成物
本発明の活性剤(即ち、本明細書または米国特許出願公開第2006−0094763号明細書に記載されている化合物1の多形体またはこのような多形体の2種以上を含む固体形態)を、哺乳動物用医学的使用に適している医薬組成物に製剤することができる。任意の適切な投与形態を使用して、患者に有効用量の任意の化合物1の多形体形態を提供することができる。例えば、経口または非経口製剤などを使用することができる。投与形態には、カプセル、錠剤、分散剤、懸濁剤など、例えば腸溶コーティングされたカプセルおよび/または錠剤、化合物1の腸溶コーティングされたペレットを含有するカプセルおよび/または錠剤が包含される。いずれの投与形態でも、化合物1の多形体形態を他の適切な成分と混合することができる。組成物を、単位投与形態で簡便には提供し、医薬分野で知られている任意の方法により調製することができる。本発明の医薬組成物は、治療有効量の活性剤および1種または複数の不活性な薬学的に許容できる担体、さらに任意選択で任意の他の治療成分、安定剤などを含む。担体は、製剤の他の成分と相容性であり、その受容体に対して過度に有害でないという意味において薬学的に許容できなければならない。組成物は、希釈剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、増粘剤、滑剤、防腐剤(抗酸化剤を包含する)、香料、矯味剤、無機塩(例えば塩化ナトリウム)、抗菌剤(例えば塩化ベンザルコニウム)、甘味剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN 20」および「TWEEN 80」などのポリソルベートならびにBASFから入手可能なF68およびF88などのプルロニック)、ソルビタンエステル、脂質(例えばレシチンおよび他のホスファチジルコリンなどのリン脂質、ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸および脂肪族エステル、ステロイド(例えばコレステロール))およびキレート化剤(例えば、EDTA、亜鉛および他のこのような適切なカチオン)をさらに包含してもよい。本発明による組成物での使用に適している他の医薬賦形剤および/または添加剤は、Remington:The Science & Practice of Pharmacy、19版、Williams & Williams(1995年)および「Physician’s Desk Reference」、52版、Medical Economics、Montvale、NJ(1998年)およびHandbook of Pharmaceutical Excipients、3版、A.H.Kibbe編、Pharmaceutical Press(2000年)に列挙されている。本発明の活性剤は、経口、直腸、局所、鼻、眼または非経口(腹腔内、静脈内、皮下または筋肉内注射を包含する)投与に適しているものを包含する組成物に製剤することができる。
【0162】
製剤中の活性剤の量は、投与形態、治療される状態、ターゲットの患者集団および他の考慮事項を包含する様々な因子に応じて変動し、通常、当業者によって容易に決定される。治療有効量は、タンパク質キナーゼを変調、調節または阻害するために必要な量である。実際にはこれは、特定の活性剤、治療される状態の重度、患者集団、製剤の安定性などに応じて幅広く変動する。組成物は通常、概して活性剤を約0.001重量%から約99重量%、好ましくは活性剤を約0.01重量%から約5重量%、さらに好ましくは活性剤を約0.01重量%から2重量%含有し、組成物中に含有される賦形剤/添加剤の相対量にも左右される。
【0163】
本発明の医薬組成物を、治療有効量の活性成分としての活性剤を1種または複数の適切な医薬担体とを従来の手順に従って混合することにより調製された従来の投与形態で投与する。これらの手順は、所望の製剤に適しているような成分の混合、顆粒化および圧縮または溶解を必要とする。
【0164】
使用される医薬担体は、固体でも液体でもよい。例示的な固体担体には、ラクトース、スクロール、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などが包含される。例示的な液体担体には、シロップ、落花生油、オリーブ油、水などが包含される。同様に、担体は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの当分野で知られている時間遅延または時間放出物質を単独で、またはワックス、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸メチルなどと共に包含してもよい。
【0165】
様々な医薬形態を使用することができる。したがって、固体担体が使用される場合には、製剤は、錠剤化されてもよいし、粉末またはペレット形態で硬質ゼラチンカプセルに入れられてもよいし、トローチまたはロゼンジの形態であってもよい。固体担体の量は、変動してよいが、通常、約25mgから1gである。液体担体を使用する場合には、製剤は、シロップ、エマルション、軟質ゼラチンカプセル、アンプルもしくはバイアル中の無菌注射溶液もしくは懸濁液または非水性液体懸濁剤の形態であってよい。
【0166】
安定な水溶性投与形態を得るために、活性剤の薬学的に許容できる塩を、コハク酸またはクエン酸の0.3M溶液などの有機または無機酸の水溶液に溶解させることができる。溶解性塩形態を利用することができない場合には、活性剤を適切な補助溶媒または補助溶媒の組合せに溶解させてもよい。適切な補助溶媒の例には、これらに限られないが、全体積の0〜60%の範囲の濃度のアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリソルベート80、グリセリンなどが包含される。組成物は、水もしくは等張性塩類溶液などの適切な水性媒体またはデキストロース溶液中の活性剤の塩形態の溶液の形態であってもよい。
【0167】
本発明の組成物中で使用される化合物1の実際の用量は、使用される特定の多形体形態、製剤される特定の組成物、投与方法ならびに治療される特定の部位、受容者および疾患に従って変動することは分かるであろう。薬剤に関する実験データを考慮し、従来の用量決定試験を使用すれば、当業者は、所定の一連の状態に関して最適な用量を突きとめることができる。経口投与では、通常使用される例示的な一日用量は、適切な間隔で繰り返される治療経過に伴い約0.001から約1000mg/体重kg、さらに好ましくは約0.001から約50mg/体重kgである。プロドラッグの投与は典型的には、十分に活性な形態の重量レベルと化学的に同等である重量レベルで投与される。本発明の実施では、最も適切な投与経路、さらに治療用量の規模は、治療される疾患の性質および重度に左右される。用量および投与頻度はさらに、個々の患者の年齢、体重および応答に応じて変動しうる。通常、適切な経口投与形態は、1単回用量または等分に分けられた用量で投与される活性成分全一日用量0.5mgから100mgの用量範囲をカバーしうる。このような製剤における化合物1の好ましい量は、約0.5mgから約20mg、例えば約1mgから約10mgまたは約1mgから約5mgである。
【0168】
本発明の組成物は、医薬組成物を調製するために通常知られている方法で、例えば、混合、溶解、顆粒化、糖衣丸製造、湿式粉砕、乳化、カプセル封入、閉じ込めまたは凍結乾燥などの従来技術を使用して製造することができる。薬学的に使用することができる製剤への活性化合物の加工を容易にする賦形剤および補助剤から選択することができる1種または複数の生理学的に許容できる担体を使用する従来の方法で、医薬組成物を製剤することができる。
【0169】
経口投与では、化合物1の多形体形態を、活性剤を当分野で知られている薬学的に許容できる担体と混合することにより容易に製剤することができる。このような担体により、本発明の化合物を、治療される患者が経口消化するための錠剤、丸薬、糖衣丸、カプセル、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤などとして製剤することができる。活性剤と混合して固体賦形剤を使用し、任意選択で生じた混合物を粉砕し、所望の場合には適切な補助剤を加えた後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣丸核を得ることで、経口投与使用するための医薬製剤を得ることができる。適切な賦形剤には、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを包含する糖などの充填剤;およびセルロース製剤、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、ゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン(PVP)が包含される。所望の場合には、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤を加えることもできる。
【0170】
糖衣丸核に適切なコーティングを備えさせる。この目的のために、濃糖溶液を使用することができ、これらは、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、Carbopolゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有してもよい。活性剤の様々な組合せを識別または特徴づけるために、色素または顔料を錠剤または糖衣丸コーティングに加えることもできる。
【0171】
経口で使用することができる医薬製剤は、ゼラチン製の押し込みカプセル、さらにゼラチンおよびグリセリンまたはソルビトールなどの可塑剤から製造された軟質密閉カプセルを包含する。押し込みカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑剤および任意選択で安定剤と混合されている活性成分を含有してもよい。軟質カプセルでは、活性剤を脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁させることができる。加えて、安定剤を加えることができる。経口投与のための製剤はいずれも、このような投与に適している用量でなければならない。頬投与では、組成物は、従来の方法で製剤された錠剤またはロゼンジの形態をとってよい。
【0172】
眼への投与では、化合物が、例えば前房、後房、硝子体、房水、硝子体液、角膜、虹彩/毛様体、水晶体、脈絡膜/網膜およびセレラを包含する眼の角膜および内部領域に浸透しうる十分な期間、化合物が眼表面と接触し続けられるような薬学的に許容できる眼用媒体中に、活性剤を加える。薬学的に許容できる眼用媒体は例えば、軟膏、植物油または封入材料であってよい。本発明の活性剤は、硝子体液、房水またはサブテノンに直接注入することもできる。
【0173】
別法では、活性成分は、適切な媒体、例えば無菌発熱物質不含水を用いて使用前に構成するための粉末形態であってもよい。化合物をさらに、例えばカカオ脂または他のグリセリドなどの慣用の坐剤基剤を含む坐剤または滞留浣腸剤などの直腸または膣組成物に製剤することもできる。
【0174】
前記の製剤に加えて、多形相形態をデポー製剤として製剤することもできる。このような長期作用性製剤を、移植(例えば皮下または筋肉内)によりまたは筋肉内注射により投与することができる。したがって、例えば、多形体形態を適切なポリマーもしくは疎水性物質(例えば許容できるオイル中のエマルションとして)またはイオン交換樹脂を用いて、または僅かに溶解性な誘導体、例えば僅かに溶解性な塩として製剤することもできる。
【0175】
加えて、化合物1の多形体形態を、治療剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスなどの持続放出系を使用して輸送することもできる。様々な持続放出物質が確立されており、当業者に知られている。持続放出系カプセルは、その化学的性質に応じて、化合物を数週間から100日にわたって放出する。
【0176】
医薬組成物はさらに、適切な固体またはゲル相担体または賦形剤を含んでもよい。このような担体または賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリエチレングリコールなどのポリマーが包含される。
【0177】
III.本発明の多形体の使用法
化合物1の多形体形態は、タンパク質キナーゼの活性を仲介するために有用である。特には、多形体形態は、抗脈管形成剤として、ならびにVEGF、FGF、CDK複合体、TEK、CHK1、LCK、FAKおよび特に、ホスホリラーゼキナーゼに随伴する活性などのタンパク質キナーゼの活性を調整および/または阻害するための薬剤として有用であるので、ヒトを含む哺乳動物でのタンパク質キナーゼにより仲介される細胞増殖を伴う癌または他の疾患のための治療法をもたらす。
【0178】
化合物1の治療有効量を、典型的には医薬組成物の形態で投与して、タンパク質キナーゼの調整または調節により仲介される疾患を治療することができる。「有効量」とは、そのような治療を必要とする哺乳動物に投与された場合に、チロシンキナーゼなどの1種または複数のタンパク質キナーゼの活性により仲介される疾患の治療をもたらすのに十分である量の薬剤を意味することとする。したがって、化合物1の治療有効量は、1種または複数のタンパク質キナーゼの活性を調整、調節または阻害して、それらの活性により仲介される疾患状態を低減または緩和するために十分な量である。「治療する」とは、少なくとも部分的に、チロシンキナーゼなどの1種または複数のタンパク質キナーゼの活性により影響を受けているヒトなどの哺乳動物における疾患状態の緩和を少なくとも意味することとし、その哺乳動物が疾患状態を有しやすいことが判明しているが、未だ疾患状態を有するとは診断されていない場合に、その哺乳動物において疾患状態が生じることを予防すること;疾患状態を調整および/または阻害すること;および/または疾患状態を緩和することを含む。疾患状態の例には、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、関節リウマチ、乾癬、加齢性黄斑変性症(AMD)および癌などの異常な細胞増殖が包含される。
【0179】
この方法の一実施形態では、異常な細胞成長は、これらに限られないが、中皮腫、肝胆道(肝管および胆管)、原発もしくは続発CNS腫瘍、原発もしくは続発脳腫瘍、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭もしくは首の癌、皮膚もしくは眼内黒色腫、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸および十二指腸)、乳癌、子宮癌、卵管の癌、子宮内膜の癌、子宮頚部の癌、膣の癌、外陰部の癌、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟部組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、精巣癌、慢性もしくは急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性白血病、膀胱の癌、腎臓もしくは尿管の癌、腎細胞癌、腎臓骨盤の癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞種、網膜芽細胞種または前記の癌の1種もしくは複数の組合せを包含する癌である。
【0180】
本発明の一実施形態では、癌は、肺癌(NSCLCおよびSCLC)、頭もしくは首の癌、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、乳癌、腎臓もしくは尿管の癌、腎臓細胞癌、腎臓骨盤の癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、または脊髄軸腫瘍または前記の癌の1種もしくは複数の組合せである。
【0181】
特別な実施形態では、癌は、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、膵臓癌、結腸癌または腎細胞癌である。
【0182】
前記の方法の他の実施形態では、前記の異常な細胞増殖は、これらに限られないが、乾癬、良性前立腺肥大症または再狭窄を含む良性増殖性疾患である。
【0183】
さらに本発明は、哺乳動物における異常な細胞増殖を治療する方法に関し、これは、前記哺乳動物に、異常な細胞増殖を治療する際に有効な量の化合物1の多形体形態を、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、インターカレーション抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調整剤、抗体、細胞毒、抗ホルモンおよび抗アンドロゲンからなる群から選択される抗腫瘍剤と組合せて投与することを含む。
【0184】
(実施例)
次の実施例で、本発明の独特な多形体形態、即ち化合物1の多形体XXV型およびXVI型の調製をさらに説明するが、これは、本明細書に定義されているか、下記で請求されている本発明の範囲を限定するものではない。
【0185】
本明細書では、次の略語を使用することがある:THF(テトラヒドロフラン);NMP(N−メチルピロリジノン);Xantphos(9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)キサンテン);Pd(dba)(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0));およびMeOH(メタノール)。
【実施例1】
【0186】
化合物1の多形体VIII型、XVI型、XXV型およびXLI型の調製および特性決定
化合物1のXXV型およびXLI型は、次の実施例で示されているように、VIII型から調製することができるXVI型から調製することができる。
【0187】
a)VIII型の調製
VIII型は、化合物1のTHF溶媒和物多形体形態であり、これは、次のように、化合物1を調製する最終ステップの間に調製することができる。化合物1を調製する方法は、Heck反応方法を使用して、以前に開示されている(例えば国際公開第2006/048745号パンフレットおよび米国特許出願公開第2006−0094881号パンフレット)。化合物1を多形体VIII型で調製するために、化合物1を次のように調製した。Heck反応からの粗製化合物1物質(約55kg)を、温かいTHF(210L)中で1,2−ジアミノプロパン(13kg)と共に再スラリー化し、次いで冷却して濾過した。濾過された固体をTHF(210L)で洗浄し、40から70℃に加熱しながら真空乾燥させ、単離すると、粗製化合物1(VIII型、THF溶媒和物)、(52.5kg、73%)が得られた。VIII型は、前記したように、かつ図5に示されているようにPXRDにより特性決定された。
【0188】
b)XVI型の調製
XVI型は、化合物1のイソプロパノール溶媒和物多形体形態であり、これは、次のようにVIII型から調製することができる。VIII型(前記で調製)(50kg)を、N−メチルピロリジノン(150L)およびTHF(任意選択で、50L)に、1,2−ジアミノプロパン(28.8kg)と共に溶解させた。溶液を加熱し、溶液をミクロンフィルターに通して、全ての不溶性物質を除去した。次いで、メタノール(300L)を、この温かい溶液に加えた。生成物が溶液から結晶化し、加熱を続けた。期間の後に、追加のメタノール(400L)を加えた。懸濁剤を冷却し、少なくとも12時間攪拌した。懸濁液を濾過し、イソプロパノール(150L)で洗浄し、送風乾燥させた。加熱しながら、固体をイソプロパノール(200L)中で再スラリー化した。次いで、懸濁液を冷却し、濾過し、イソプロパノール(150L)で洗浄した。生じた固体(XVI型、イソプロパノール溶媒和物)を真空下に40から70℃で少なくとも24時間乾燥させて、残留イソプロパノールのレベルが5重量%未満になるようにし、単離した。XVI型は、前記したように、かつ図4に示されているように特性決定された。
【0189】
c)XXV型の調製
XXV型は、化合物1の無水多形体形態であり、これは、次のようにXVI型から調製することができる。XVI型(前記で調製)(11.9kg、1当量)を、無塵容器に入れた。円錐形容器よりも深皿状容器を使用し、このステップで良好な混合が確実に達成されるために高速攪拌を使用することが重要であり得ることを特記する。転位は不均一であろう。
【0190】
次いで、XXV型種結晶(120g、0.01当量)を容器に入れた。このプロセスは、何ら種結晶がなくても、有効に達成されていることを特記する。次いで、エタノール(120L)を容器中の固体に充填し、続いて、還流に加熱した(目標79℃、ジャケットを約85℃に設定)。次いで、生じたスラリーを還流に少なくとも8時間保持した。より迅速な多形体変換をもたらす比較的高い反応温度の間に、強い相関関係が存在することを特記する。このことは、プロセスが、溶解性で制限されるらしいという事実による。90℃および溶媒30mL/g(XVI型投入量に対して)中では、活性医薬成分は、エタノールに溶解して、再結晶プロセスをもたらすことを特記する。
【0191】
次いで、スラリーをサンプリングして、XXV型への変換が完了したことを保証した。変換が不完全である場合には、エタノール溶媒和物がXXV型と共に存在しうる。変換が完了していない場合、加熱を少なくともさらに8時間継続する。約24時間後に変換が完了したら、反応混合物を15〜25℃に冷却した。
【0192】
次いで、スラリーを周囲条件で少なくとも1時間攪拌した。次いで、物質を濾過し、フィルターケークをエタノール(36L)で洗浄した。次いで、固体を真空下に70℃未満で最低12時間乾燥させた(エタノールおよび他のアルコールを除去するため)。次いで、XXV型結晶を単離した(11.4kg、収率96%)。XXV型は、前記のように、かつ図1、2および3に示されているように、PXRD、固体NMRおよびラマン分光法により特性決定された。
【0193】
別法では、次のように、XXV型を、種結晶を用いずに調製した。容器に、化合物1(XVI型)2.0gおよびエタノール40mL(1%メタノールで変性)を加えた。スラリーを、窒素下に77〜78℃に24時間加熱した。スラリーを室温に冷却し、1時間顆粒化し、濾過し、無水エタノール(4mL)ですすいだ。白色の固体を真空炉中、50〜55℃で16時間乾燥させた。これにより、化合物1(XXV型)1.6gが白色の固体として得られた。
【0194】
d)XLI型の調製
XLI型は、化合物1の無水多形体形態であり、これは、次のようにXVI型から調製することができる。XVI型(前記で調製)(11.9kg、1当量)を、無塵容器に入れた。円錐形容器よりも深皿状容器を使用し、このステップで良好な混合が確実に達成されるために高速攪拌を使用することが重要であり得ることを特記する。転位は不均一であろう。
【0195】
次いで、XLI型種結晶(120g、0.01当量)を容器に入れた。このプロセスは、何ら種結晶がなくても、有効に達成されていることを特記する。次いで、エタノール(120L)を容器中の固体に充填し、続いて、還流に加熱した(目標79℃、ジャケットを約85℃に設定)。次いで、生じたスラリーを還流に少なくとも2時間保持した。より迅速な多形体変換をもたらす比較的高い反応温度の間に、強い相関関係が存在することを特記する。このことは、プロセスが、溶解性で制限されるらしいという事実による。90℃および溶媒30mL/g(XVI型投入量に対して)中では、活性医薬成分は、エタノールに溶解して、再結晶プロセスをもたらす。
【0196】
次いで、スラリーをサンプリングして、XLI型への変換が完了したことを保証した。変換が不完全である場合には、エタノール溶媒和物がXLI型と共に存在しうる。変換が完了していない場合、加熱を少なくともさらに2時間継続する。約24時間後に変換が完了したら、反応混合物を15〜25℃に冷却した。
【0197】
次いで、スラリーを周囲条件で少なくとも1時間攪拌した。次いで、物質を濾過し、フィルターケークをエタノール(36L)で洗浄した。次いで、固体を真空下に70℃未満で最低12時間乾燥させる(エタノールおよび他のアルコールを除去するため)。次いで、XLI型結晶を単離した(11.4kg、収率96%)。XLI型は、前記のように、かつ図6、7および8に示されているように、PXRDおよび固体NMRにより特性決定された。
【0198】
別法では、次のように、XLI型を、種結晶を用いずに調製した。容器に、粗製化合物1 4.0kgおよびイソプロパノール40Lを加えた。懸濁液を、50から70℃の温度に加熱し、3時間保持した。この時間の後に、懸濁液を周囲条件に冷却し、濾過して固体を単離した。湿ったケークをイソプロパノール12Lで洗浄し、フィルター上で、窒素抽気を用いて約2時間乾燥させ、次いで箱形乾燥機に移して、真空下に55から65℃に加熱しながらさらに乾燥させた。次いで、約18時間後に、固体を容器に、無水エタノール40Lと共に再充填し、還流(約79℃)に加熱した。反応混合物を蒸留して、溶媒約12Lを除去した。次いで、生じた反応混合物を還流にさらに2時間加熱した。次いで、混合物を周囲条件に冷却し、約1時間攪拌した。固体を濾過し、湿ったケークを無水エタノール12Lで洗浄した。固体を箱形乾燥機に移し、真空下に50から60℃で約24時間乾燥させた。固体を排出すると、化合物1、XLI型が白色の結晶固体、3.8kgとして得られた。
【実施例2】
【0199】
化合物1の多形体IX型の調製および特性決定
化合物1のIX型は、次の実施例に示されているようにIV型から調製することができる。IV型は、化合物1の無水多形体形態であり、これは、米国特許出願公開第2006−0094763号明細書参照に開示されているように調製することができる。
【0200】
IX型の調製
IX型は、化合物1の水和物形態であり、これは、次のようにIV型から調製することができる:IV型(1g)を1:1のイソプロパノール:水混合物(50ml)に加えた。懸濁液を加熱し、45℃で2日間攪拌し、次いで、25℃に冷却した。懸濁液を濾過し、1:1のイソプロパノール:水で洗浄し、真空下に40℃で1日間乾燥させた。
【実施例3】
【0201】
化合物1の多形体XII型の調製および特性決定
XII型は、化合物1のエタノール溶媒和物多形体形態であり、これは、XIV型から次のように調製することができる。XVI型(実施例1で調製)(1g)をエタノール(100ml)に加えた。溶液を加熱し、40℃で2時間攪拌し、次いで25℃に冷却した。懸濁液を濾過し、エタノールで洗浄し、真空下に45℃で3日間乾燥させた。
【実施例4】
【0202】
化合物1の多形体XV型の調製および特性決定
XV型は、化合物1のエタノール溶媒和物多形体形態であり、これは、次のように、XVI型から調製することができる。XVI型(実施例1で調製)(1g)をエタノール(450ml)に加え、周囲温度で1時間攪拌した。懸濁液を、蒸発皿に重力濾過し、窒素流下に、乾燥するまで数日間蒸発させた。
【実施例5】
【0203】
非晶質化合物1の調製および特性決定
化合物1の非晶質形態は、次のように、XLI型から調製することができる:XLI型(実施例1で調製)(135mg)を、ステンレス鋼ボールを備えたWig−L−Bug(登録商標)ミキサー/グラインダー(Model 30)に加えた。固体を150分間粉砕して、非晶質固体を得た。
【実施例6】
【0204】
IV型を上回るXLI型およびXXV型の光化学的安定性
XLI型、XXV型およびIV型の光化学的比較試験を行った。生じたデータは、IV型に比較してXLI型およびXXV型両方の安定性における著しい改善を示している。一方の多形体における他方の多形体を上回る改善された安定性は暗に、医薬品における利点である。光化学的安定性の場合、製造および貯蔵の経費を増大させうる、光に対して化合物を保護するための特別な取り扱い予防措置および包装を、XXV型およびXLI型では回避することができる。XXV型およびXLI型の高い安定性はさらに、期間にわたって貯蔵する際に医薬製剤(例えば錠剤)で生じる光化学的劣化製品の可能性を著しく低減するであろう。XXV型およびXLI型の光劣化の相対的な欠如はさらに、薬物を投与された患者において、日光への曝露から光過敏性反応を引き起こす可能性を低減する。
【0205】
実験条件:
各形態約50mgを、20mlガラスバイアルに入れた。試料深さは<3mmであった。バイアルを石英ガラス皿で覆い、320mm遮断フィルターを備えたAtlas Suntest XLS+ライトボックスに入れた。スペクトルアウトプットは、ID65 発光基準、320〜800nmに類似している(ID65は室内間接昼光ISO基準である)。試料を、新規薬物物質の光安定性試験に関するハーモナイゼーション国際会議(ICH)ガイドライン、オプション1曝露に相当する人口光に曝露した。生じたデータを下記に作表する:
1×ICH オプション1 光曝露下での光化学的安定性:
光曝露後の効力(wt/wt%)
XXV型 100%
XLI型 89%
IV型 34%
【実施例7】
【0206】
IV型を上回るXLI型およびXXV型の製造時濾過時間
XLI型、XXV型およびIV型の製造時濾過時間の比較を行った。
【0207】
生じたデータは、IV型に比較して、XLI型およびXXV型の濾過時間における著しい改善を示している。このことは、XXV型およびXLI型の粒子凝集傾向の低減に寄与しうる。この改善により、最終生成物を濾過するための時間に著しい低減が生じ、このことは、製造プロセスに著しい経費節約をもたらす。
【0208】
実験条件:
下記に示されている約20kg規模の3つのバッチ全てを、式1の化合物を製造している間に濾過した。フィルターは、0.25mのフィルター面積および40リットルの最大有効ケーク容量を有した。全てのバッチを、同じ装置を使用して濾過した。
濾過時間(時)
XLI型 0.1
XXV型 4.0
IV型 25.9
【0209】
本発明を、特定かつ好ましい実施形態を参照することにより説明したが、当業者であれば、本発明の日常的な実験および実施を介して、変化および変更を行うことができることを認めるであろう。したがって、本発明は、前記の記載により限定されず、添付の請求項およびその同等物により定義されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】Bruker D5000回折形で実施されたXXV型化合物1のPXRDパターン。
【図2】大口径Bruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計に位置しているBruker−Biospin 4mm BL三重共鳴CPMASプローブで実施されたXXV型化合物1の13C固体NMRスペクトル。
【図3】1064nmNdYAGレーザーおよびInGaAs検出器を備えたThermoNicolet960FT−ラマン分光計で実施されたXXV型化合物1のラマンスペクトル。
【図4】Bruker D5000回折計で実施されたXVI型化合物1のPXRDパターン。
【図5】Bruker D5000回折計で実施されたVIII型化合物1のPXRDパターン。
【図6】Bruker D5000回折計で実施されたXLI型化合物1のPXRDパターン。
【図7】大口径Bruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計に位置しているBruker−Biospin 4mm BL三重共鳴CPMASプローブで実施されたXLI型化合物1の13C固体NMRスペクトル。
【図8】大口径Bruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計に位置しているBruker−Biospin 4mm BL三重共鳴CPMASプローブで実施されたXLI型化合物1の15N固体NMRスペクトル。
【図9】1064nmNdYAGレーザーおよびInGaAs検出器を備えたThermoNicolet960FT−ラマン分光計で実施されたXLI型化合物1のラマンスペクトル。
【図10】Bruker D5000回折計で実施されたIX型化合物1のPXRDパターン。
【図11】大口径Bruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計に位置しているBruker−Biospin 4mm BL三重共鳴CPMASプローブで実施されたIX型化合物1の13C固体NMRスペクトル。
【図12】Bruker D5000回折計で実施されたXII型化合物1のPXRDパターン。
【図13】Bruker D5000回折計で実施されたXV型化合物1のPXRDパターン。
【図14】Bruker D5000回折計で実施された化合物1の非晶質形態のPXRDパターン。
【図15】Bruker D5000回折計で実施された化合物1の非晶質形態のPXRDパターン。このパターンは、精細化するために多項式平滑化機能で処理した他は、図14と同一である。
【図16】大口径Bruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計に位置しているBruker−Biospin 4mm BL三重共鳴CPMASプローブで実施された化合物1の非晶質形態の13C固体NMRスペクトル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形であって、6.0±0.1の回折角(2θ)にピークを含み、11.5±0.1、21.0±0.1および26.9±0.1から選択される回折角(2θ)に少なくとも1つのピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する結晶形。
【請求項2】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形であって、6.0±0.1、11.9±0.1および22.8±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する結晶形。
【請求項3】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形であって、11.9±0.1および21.0±0.1の回折角(2θ)にピークを含み、22.8±0.1、23.1±0.1および26.9±0.1から選択される回折角(2θ)に少なくとも1つのピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する結晶形。
【請求項4】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形であって、11.5±0.1および15.6±0.1の回折角(2θ)にピークを含み、16.2±0.1および16.5±0.1から選択される回折角(2θ)に少なくとも1つのピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する結晶形。
【請求項5】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形であって、実質的に純粋なXLI型多形体である結晶形。
【請求項6】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形であって、150.1±0.2、136.6±0.2および135±0.2ppm、116.9±0.2および27.5±0.2に13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する結晶形。
【請求項7】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形であって、6.0±0.1および11.5±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、150.1±0.2および27.5±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する結晶形。
【請求項8】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形であって、5.1±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する結晶形。
【請求項9】
7.9±0.1、10.7±0.1、15.9±0.1および26.2±0.1の回折角(2θ)にピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する請求項8に記載の結晶形。
【請求項10】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形であって、実質的に純粋なXXV型多形体である結晶形。
【請求項11】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形であって、167.4±0.2、157.7±0.2、116.6±0.2および25.6±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する結晶形。
【請求項12】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形XXV型であって、6.0±0.1および11.5±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有し、157.7±0.2および25.6±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する結晶形。
【請求項13】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形IX型であって、7.7±0.1、8.1±0.1、8.5±0.1および14.3±0.1の回折角(2θ)にピークを含む粉末X線回折パターンを有する結晶形。
【請求項14】
6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾールの結晶形であって、171.4±0.2および28.0±0.2ppmに13C化学シフトを含む固体NMRスペクトルを有する結晶形。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の前記結晶形を含む医薬組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−19030(P2009−19030A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−96783(P2008−96783)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】