X線検査装置
【課題】 被検査物を移動させながら行うX線検査において、被検査物中の異物を検出するための管電流や管電圧等の強度レベル等を適切に容易に決定することができるX線検査装置を提供する。
【解決手段】 X線源1とX線検出器3との間で、基準検査物又は被検査物7を搬送する搬送機構5と、第一設定時と、第二設定時と、第三設定時とに、検出信号に基づいて、X線透過像データを作成して記憶させるX線透過像データ記憶制御部32と、置換表を作成して記憶させる第一設定部38と、管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定する第二設定部35と、閾値パラメータを作成して記憶させる第三設定部37とを備えるX線検査装置80であって、X線透過像データ記憶制御部32が、X線透過像データを作成して記憶させているときには、搬送機構5の駆動を停止する駆動停止信号を出力する搬送機構制御部36を備えることを特徴とする。
【解決手段】 X線源1とX線検出器3との間で、基準検査物又は被検査物7を搬送する搬送機構5と、第一設定時と、第二設定時と、第三設定時とに、検出信号に基づいて、X線透過像データを作成して記憶させるX線透過像データ記憶制御部32と、置換表を作成して記憶させる第一設定部38と、管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定する第二設定部35と、閾値パラメータを作成して記憶させる第三設定部37とを備えるX線検査装置80であって、X線透過像データ記憶制御部32が、X線透過像データを作成して記憶させているときには、搬送機構5の駆動を停止する駆動停止信号を出力する搬送機構制御部36を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、生肉、魚、加工食品、医薬等の被検査物に対し、X線を照射したときのX線の透過量から被検査物中の異物を検出するX線検査装置に関し、特に、被検査物を移動させながら被検査物中の異物を検出するX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、生肉、魚、加工食品、医薬等の被検査物中(表面も含む)の異物(金属、骨、ガラス、石、合成樹脂材等)を検出するためにX線検査装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。図6は、X線検査装置の一部の構成を示す図である。このようなX線検査装置110においては、ベルトコンベア5の上方に配置されたX線管1でX線を発生させ、そのX線をコリメータ(図示せず)を用いて扇状に広がるX線ビームとし、そのX線ビームを、上側になっている搬送ベルト5bの下方に配置された多数のX線検出素子からなる直線状のX線検出器3で検出する。
【0003】
ベルトコンベア5は、2つ以上のローラ5aの間に掛け回された搬送ベルト5bとを有する。そして、上側になっている搬送ベルト5bの上面に、被検査物7は載置されることになる。よって、モータ等の駆動手段(図示せず)によっていずれかのローラ5aが駆動することにより、搬送ベルト5bが循環して移動して、被検査物7が移動することになる。
なお、コリメータは、ベルトコンベア5が移動させる被検査物7の移動方向と直交するように、扇状に広がるX線ビームを形成し、直線状のX線検出器3は、扇状に広がるX線ビームを検出できるように、ベルトコンベア5が移動させる被検査物7の移動方向と直交するように配置されている。
【0004】
これにより、X線検査装置110では、ベルトコンベア5に載置されて移動してくる被検査物7にX線を照射し、コンピュータ109で被検査物7のX線透過像データを作成する。そのX線透過像データを収集して時間軸に沿って並べると、2次元的なX線透過画像を得ることができる。このとき、被検査物7中に異物が存在し、その異物のX線吸収率が被検査物7自体のX線吸収率と異なれば、X線透過画像に異物が陰として表れることになる。したがって、操作者が、モニタ画面に映し出されたX線透過画像を観察すること、またはX線透過画像を用い被検査物の判定を行うことで、被検査物7中に異物が混入したものを出荷しないようにしている。
【0005】
このようなX線検査装置110で、検査を始める前に、予め、検査時のX線管1の管電流や管電圧等の強度レベルを決定する必要がある。そこで、従来のX線検査装置110においては、被検査物7中に異物が混入しているか否かの判定を実行する場合には、被検査物7のX線透過画像をモニタ画面に映して、操作者が、被検査物7中の異物を確認できるように、X線管1の管電流や管電圧を手動で設定して、例えば、強中弱の強度レベルの中からそれぞれ選択して決定していた。
【特許文献1】特開2006−275853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、経験が不足している操作者が、管電流や管電圧等の強度レベルを手動で設定すると、最良でない入力をしてしまい、その結果、適正な検査が行われないことがあった。また、経験が充分な操作者でも、管電流や管電圧等の強度レベルを決定するのには、手間がかかった。
そこで、本件発明者らは、上記課題を解決するために、管電流や管電圧等の強度レベルを自動で設定できるように検討を行った。その結果、まず、検査対象の被検査物でなく、それぞれX線の透過量が異なる複数の基準検査物のX線透過像データと、管電圧の強度レベルとの関係を示す置換表を作成する第一設定時の作業を行い、その後、この置換表と、検査対象となる被検査物のX線透過像データとを用いて管電圧の強度レベルを決定する第二設定時の作業を行う方法を見出した。
【0007】
このような置換表を作成するためには、多くの基準検査物のX線透過像データを得る必要があった。一般的に、基準検査物を搬送するベルトコンベア5は、常に駆動し続けているため、次から次へ基準検査物を連続して搬送することができる。しかし、コンピュータ109がX線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、新たなX線透過像データを作成することができない。よって、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、操作者が、ベルトコンベア5上に基準検査物を載置しないように注意しなければならなかった。
【0008】
しかしながら、操作者は、作業を急ぐあまり、コンピュータ109がX線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときに、あやまってベルトコンベア5上に次の基準検査物を載置してしまい、その結果、基準検査物からX線透過像データを得ずに作業を進めるような入力ミス等を起こすことがあった。このような入力ミスを起こした場合には、再度、作業をやり直すこととなり、非常に手間がかかった。
【0009】
また、本件発明者らは、検査時の被検査物の検査の判定を自動で決定できるように検討を行った。一般に良品とする被検査物のX線透過像データにより、閾値パラメータを作成して記憶させる第三設定時の作業を行い、その後、この閾値パラメータと、検査対象となる被検査物のX線透過像データとを用いて検査時の作業を行う方法がある。
しかし、このような閾値パラメータを作成するためにも、良品のバラツキを考慮し、多くの良品とする被検査物のX線透過像データを得る必要が出てきた。しかし、このときにも、上述したように、コンピュータ109がX線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、新たなX線透過像データを作成することができない。よって、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、操作者が、ベルトコンベア5上に被検査物を載置しないように注意しなければならなかった。
【0010】
そこで、本発明は、被検査物を移動させながら行うX線検査において、被検査物中の異物を検出するための管電流や管電圧等の強度レベル等を適切に容易に決定することができるX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明のX線検査装置は、X線を照射するX線源と、前記X線源と対向配置され、検出信号を出力するX線検出器と、前記X線源とX線検出器との間で、基準検査物又は被検査物を搬送する搬送機構と、検査時のX線源の管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定するための置換表を作成する第一設定時と、検査時のX線源の管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定する第二設定時と、検査時の被検査物の検査の判定を決定するための閾値パラメータを作成する第三設定時とに、前記検出信号に基づいて、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させるX線透過像データ記憶制御部と、前記第一設定時に記憶された基準検査物のX線透過像データと、管電流及び/又は管電圧の強度レベルとの関係を示す置換表を作成する第一設定部と、前記第二設定時に記憶された被検査物のX線透過像データと、前記置換表とを用いて管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定する第二設定部と、前記第二設定部により決定された管電流及び/又は管電圧の強度レベルで第三設定時に記憶された被検査物のX線透過像データに基づいて、前記閾値パラメータを作成する第三設定部とを備えるX線検査装置であって、前記X線透過像データ記憶制御部が、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、前記搬送機構の駆動を停止する駆動停止信号を搬送機構に出力する搬送機構制御部を備えるようにしている。
【0012】
ここで、「管電流」とは、X線源の陰極から陽極に流す電流をいう。管電流の量に比例して放射されるX線の量が変化する。
また、「管電圧」とは、X線源の陽極と陰極との間に印加する電圧のことをいう。高電圧になるに従って、X線の波長が短くなり、透過力が強くなる。
【0013】
本発明のX線検査装置によれば、例えば、第一設定時に、X線透過像データ記憶制御部が、検出信号に基づいて、一の基準検査物のX線透過像データを作成して記憶部に記憶させることを、X線吸収率の異なる複数の基準検査物について行う。(注:X線吸収率の異なる基準検査物とは、密度または厚みの異なる検査物を意味する)このとき、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、搬送機構の駆動を停止する駆動停止信号を搬送機構に出力する。
【0014】
第一設定時の作業として、まず、操作者またはシステム管理者が、管電圧の強度レベルが弱であるX線を照射しながら、基準検査物をベルトコンベアに載置せずにベルトコンベア(搬送機構)を駆動させることにより、X線透過像データ記憶制御部は、得られる検出信号に基づいて、X線透過像データを作成する(図5(a)参照)。その後、作成されたX線透過像データを記憶させる。このとき、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させているので、ベルトコンベアの駆動を停止する駆動停止信号を出力する。そして、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させ終えたときには、ベルトコンベアの駆動を再開させる。次に、操作者は、第一の基準検査物をベルトコンベアに載置することにより、X線透過像データ記憶制御部は、得られる検出信号に基づいて、第一の基準検査物のX線透過像データを作成する(図5(b)参照)。その後、作成された第一の基準検査物のX線透過像データを記憶させる。このとき、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させているので、ベルトコンベアの駆動を停止する駆動停止信号を出力する。そして、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させ終えたときには、搬送機構の駆動を再開させる。
【0015】
次に、操作者またはシステム管理者は、第一の基準検査物のときと同様に、第二の基準検査物及び第三の基準検査物をベルトコンベアに載置することにより、X線透過像データ記憶制御部は、得られる検出信号に基づいて、第二の基準検査物及び第三の基準検査物のX線透過像データを作成して記憶部に記憶させる(図5(c)及び(d)参照)。
【0016】
このようにして、操作者が第一設定時の作業を終えたときには、第一設定部は、管電圧の強度レベルと、基準検査物のX線透過像データとの関係を示す置換表を作成する。
例えば、置換表として、第一の基準検査物、第二の基準検査物、第三の基準検査物を載置したときのX線透過像データの各最小値と、基準検査物を載置しなかったときのX線透過像データの平均値の差L1、L2、L3をそれぞれ算出する。これにより、後述する差L’が、差L1以下である場合には、管電圧の強度レベルを弱に設定し、差L1を越えて、かつ、差L2以下である場合には、管電圧の強度レベルを中に設定し、差L2を越えて、差L3以下である場合には、管電圧の強度レベルを強に設定するように、後述する第二設定部が、管電圧の強度レベルを決定するようにする。
ここまでの作業はコンピュータ109の制御ソフト作成段階において、一度行っておけばよい。
【0017】
そして、その後、第二設定時の作業として、操作者が、管電圧の強度レベルが弱であるX線を照射しながら、良品とする被検査物をベルトコンベアに載置してベルトコンベアを駆動させることにより、第二設定部は、置換表を用いて、検査時の管電圧の強度レベルを決定する。
例えば、被検査物を載置したときのX線透過像データの最小値と、被検査物を載置しなかったときのX線透過像データの平均値の差L’を算出する。これにより、差L’が、差L1以下である場合には、管電圧の強度レベルを弱に設定し、差L1を越えて、かつ、差L2以下である場合には、管電圧の強度レベルを中に設定し、差L2を越えて、差L3以下である場合には、管電圧の強度レベルを強に設定するように、管電圧の強度レベルを決定する。
【0018】
さらに、本発明のX線検査装置によれば、例えば、第三設定時に、X線透過像データ記憶制御部が、検出信号に基づいて、一の被検査物のX線透過像データを作成して記憶部に記憶させることを、複数の被検査物について行う。このとき、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、ベルトコンベアの駆動を停止する駆動停止信号を出力する。
【0019】
第三の設定時の作業として、操作者は、第二設定部により決定された強度レベルの管電圧であるX線を照射しながら、良品とする被検査物をベルトコンベアに載置してベルトコンベアを駆動させることにより、X線透過像データ記憶制御部は、得られる検出信号に基づいて、1個目の被検査物のX線透過像データを作成する。その後、作成されたX線透過像データを記憶させる。このとき、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させているので、ベルトコンベアの駆動を停止する駆動停止信号を出力する。そして、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させ終えたときには、ベルトコンベアの駆動を再開させる。
【0020】
次に、操作者が、2個目の基準とする被検査物をベルトコンベアに載置することにより、X線透過像データ記憶制御部は、得られる検出信号に基づいて、2個目の被検査物のX線透過像データを作成する。その後、作成されたX線透過像データを記憶させる。このとき、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させているので、ベルトコンベアの駆動を停止する駆動停止信号を出力する。そして、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させ終えたときには、ベルトコンベアの駆動を再開させる。
【0021】
このようにして、操作者が第三設定時の作業を終えたときには、第三設定部は、検査時の検査対象となる被検査物の検査の判定を決定するための閾値パラメータを作成して記憶部に記憶させる。
例えば、閾値パラメータとして、1個目の被検査物を載置させたときに作成されたX線透過像データの最小値と、2個目の被検査物を載置させたときに作成されたX線透過像データの最小値とを比較することにより、値が小さくなるX線透過像データの値を閾値パラメータに設定するように決定する。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明のX線検査装置によれば、操作者が手動で管電流や管電圧等の強度レベルを決定する必要がない。
また、基準検査物を移動させながら行う第一設定時の作業において、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、搬送機構の駆動を停止する駆動停止信号を出力するので、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させている最中に、搬送機構上に一の基準検査物を載置することにより、X線源とX線検出器との間を搬送させて、一の基準検査物からX線透過像データを得ずに第一設定時の作業を進めるような入力ミス等を起こすことなく、置換表を適切に容易に作成することができる。
さらに、操作者が手動で閾値パラメータも決定することはない。
また、被検査物を移動させながら行う第三設定時の作業においても、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、搬送機構の駆動を停止する駆動停止信号を出力するので、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させている最中に、搬送機構上に一の被検査物を載置することにより、X線源とX線検出器との間を搬送させて、一の被検査物からX線透過像データを得ずに第三設定時の作業を進めるような入力ミス等を起こすこともなく、閾値パラメータを適切に容易に作成することができる。
【0023】
(その他の課題を解決するための手段および効果)
また、本発明のX線検査装置においては、検査時に、前記検出信号に基づいて、X線透過像データを作成するX線透過像データ作成部と、検査時に得られた被検査物のX線透過像データと、前記閾値パラメータとを用いて、前記被検査物の検査の判定を決定する判定部とを備えるようにしてもよい。
本発明のX線検査装置によれば、検査時の作業として、操作者が、第二設定部により決定された強度レベルの管電圧であるX線を照射しながら、検査対象の被検査物を搬送機構に載置してベルトコンベアを駆動させることにより、判定部は、被検査物の検査の判定を決定する。
例えば、X線透過像データ作成部は、得られる検出信号に基づいて、被検査物のX線透過像データを作成する。このとき、判定部は、X線透過像データと、閾値パラメータとを比較することにより、被検査物中に異物が混入しているか否かの判定を実行する。その結果、X線透過像データの値が閾値パラメータの値より小さくなったときには、被検査物中に異物が存在すると判定し、一方、X線透過像データの値が閾値パラメータの値以上であるときには、被検査物中に異物が存在しないと判定する。
【0024】
また、本発明のX線検査装置においては、第一設定時、第二設定時、第三設定時の少なくとも一つの時に、前記X線透過像データ記憶制御部は、一の基準検査物又は被検査物のX線透過像データを作成して記憶部に記憶させることを、複数の基準検査物又は被検査物について行うようにしてもよい。
そして、本発明のX線検査装置においては、前記基準検査物は、それぞれX線の透過量が異なるものであるようにしてもよい。
さらに、本発明のX線検査装置においては、前記判定部は、前記被検査物中に異物が混入しているか否かの判定を実行するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態であるX線検査装置の外観を示す斜視図であり、図2は、X線検査装置の一部の構成を示すブロック図である。X線検査装置80は、本体70と、入口ベルトコンベア60と、出口ベルトコンベア50と、X線検査装置80全体の制御を行う制御系(コンピュータ)20とにより構成される。
入口ベルトコンベア60は、本体70の入口部6aに設けられるとともに、出口ベルトコンベア50は、本体70の出口部6bに設けられる。
【0027】
本体70は、入口部6aと出口部6bとを有する防護箱6と、X線管1と、X線管1からのX線を検出するX線検出器3と、X線管1とX線検出器3との間を基準検査物7a又は被検査物7bが通過するように基準検査物7a又は被検査物7bを搬送するためのベルトコンベア(搬送機構)5と、ベルトコンベア5を駆動する駆動機構(図示せず)とを備える。
【0028】
防護箱6は、入口部6aから基準検査物7a又は被検査物7bを入れるとともに、出口部6bから基準検査物7a又は被検査物7bを出すものである。また、防護箱6の内部から有害な量のX線が防護箱6の外部に漏洩しないように、放射線遮蔽材料を用いて形成されている。さらに、入口部6aと出口部6bとには、防護箱6の内部から有害な量のX線が防護箱6の外部に漏洩しないように、防護のれん8が下げられている。
【0029】
ベルトコンベア5は、一対のローラ5aの間に掛け回された搬送ベルト5bとを有する。そして、上側になっている搬送ベルト5bの上面に、基準検査物7a又は被検査物7bが載置される。よって、駆動機構でいずれかのローラ5aが駆動することにより、搬送ベルト5bが循環して移動して、基準検査物7a又は被検査物7bが、入口部6aから出口部6bに移動することになる。
【0030】
駆動機構は、例えば、回転駆動用モータを有する。なお、駆動機構の制御は、後述する搬送機構制御部36から出力された駆動開始信号及び駆動停止信号が与えられることによって実行される。
【0031】
X線管1は、防護箱6の上部に配置され、防護箱6の下部に配置されるX線検出器3に向けてX線を照射する。このとき、発生させたX線を、コリメータ(図示せず)を用いて、ベルトコンベア5が移動させる基準検査物7a又は被検査物7bの移動方向と直交するように、扇状に広がるX線ビームとして形成する。
また、X線管1では、管電圧の強度レベルが強中弱と設定可能であり、管電圧を大きくすることで、X線の波長が短くなり、X線の透過力が強くなり、一方、管電圧を小さくすることで、X線の波長が長くなり、X線の透過力が弱くなる。管電圧の強度レベルの制御は、後述するX線管制御部34から出力された駆動信号が与えられることによって実行される。
【0032】
図3は、X線検出器3の平面図であり、図4は、図3に示すA−A線の断面図である。X線検出器3は、X線を光に変換する蛍光体91と光ダイオード列92と支持体93とからなる。また、X線検出器3は、上側になっている搬送ベルト5bの下方に配置されるとともに、下側になっている搬送ベルト5bの上方に配置される。光ダイオード列92は、1画素(1ch)を構成する光ダイオード(92a、92b、・・)を多数個(例えば、256個)直線状に並べてあり、蛍光体91からの光を電気信号(検出信号)に変換する。この電気信号が、後述するコンピュータ20に出力される。
X線検出器3は、X線管1からの扇状に広がるX線ビームを検出できるように、ベルトコンベア5が移動させる基準検査物7a又は被検査物7bの移動方向と直交するように配置されている。
【0033】
コンピュータ20においては、CPU21を備え、さらに、X線透過像データや設定データ(置換表や閾値パラメータ)等を記憶するメモリ25と、モニタ画面23aを有する表示装置23と、入力装置であるキーボード22aやマウス22bとが連結されている。
また、CPU21が処理する機能をブロック化して説明すると、X線透過像データ作成部31と、X線透過像データ記憶制御部32と、X線透過像データ表示部33と、搬送機構制御部36と、第一設定部38と、第二設定部35と、第三設定部37と、判定部39と、X線管制御部34とを有する。また、メモリ25は、設定データ記憶領域41と、検出信号記憶領域42とを有する。
なお、本実施形態では、検査時のX線管1の管電圧の強度レベルを決定するための置換表を作成する第一設定時、検査時のX線源1の管電圧の強度レベルを決定する第二設定時、検査時の被検査物7bの検査の判定を決定するための閾値パラメータを作成する第三設定時、被検査物7bの検査の判定を決定する検査時に、キーボード22aやマウス22bの操作によって、それぞれ入力される第一設定信号、第二設定信号、第三設定信号、検査開始信号を受信することで作業を行う場合を例に説明する。
【0034】
搬送機構制御部36は、キーボード22aやマウス22bの操作によって入力される第一設定信号、第二設定信号、第三設定信号、検査開始信号又は計算終了信号を受信することによって、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力する制御を行う。さらに、搬送機構制御部36は、後述するX線透過像データ記憶制御部32が、X線透過像データを作成して検出信号記憶領域42に記憶させているとき、又は、キーボード22aやマウス22bの操作によって入力される検査終了信号を受信したときには、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する制御を行う。
具体的には、第一設定時の作業、第二設定時の作業、第三設定時の作業及び検査時の作業の開始時に、第一設定信号、第二設定信号、第三設定信号及び検査開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力して、その後、X線透過像データ記憶制御部32から計算開始信号を受信したときには、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力し、さらにその後、X線透過像データ記憶制御部32から計算終了信号を受信したときには、再び、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力する。
【0035】
X線管制御部34は、キーボード22aやマウス22bの操作によって入力される第一設定信号、第二設定信号、第三設定信号又は検査開始信号を受信することによって、設定データ記憶領域41に記憶された管電圧の強度パラメータSに基づいて、所定の強度レベルの管電圧に設定する駆動信号をX線管1に出力する制御を行うものである。
例えば、設定データ記憶領域41に記憶された管電圧の強度パラメータSが0、1、2のいずれかに設定されるものとする。そして、S=0である場合には、管電圧の強度レベルを弱とする駆動信号をX線管1に出力する。一方、S=1である場合には、管電圧の強度レベルを中とする駆動信号をX線管1に出力する。さらに、S=2である場合には、管電圧の強度レベルを強とする駆動信号をX線管1に出力する。
【0036】
X線透過像データ記憶制御部32は、キーボード22aやマウス22bの操作によって入力される第一設定信号、第二設定信号又は第三設定信号を受信することによって、X線検出器3の各光ダイオードから出力された電気信号(アナログ信号)から変換されたそれぞれのデジタル信号(X線透過像データ)を取得して、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させるとともに、計算開始信号及び計算終了信号を搬送機構制御部36に出力する制御を行う。
例えば、時間t1のときに、光ダイオード92a、92b、・・・からのデジタル信号の値をそれぞれ収得し、時間t2のときにも、各光ダイオードからのデジタル信号の値をそれぞれ取得して、デジタル信号の値を検出信号記憶領域42に記憶させ始めたときには、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力し、その後、デジタル信号の値を検出信号記憶領域42に記憶させ終わったときには、搬送機構制御部36に計算終了信号を出力する。
【0037】
X線透過像データ作成部31は、キーボード22aやマウス22bの操作によって入力される検査開始信号を受信することによって、X線検出器12の各光ダイオードから出力された電気信号(アナログ信号)から変換されたそれぞれのデジタル信号(X線透過像データ)を取得する制御を行う。
例えば、時間t1’のときに、光ダイオード92a、92b、・・・からのデジタル信号の値をそれぞれ取得し、時間t2’のときにも、各光ダイオードからのデジタル信号の値をそれぞれ取得する。
【0038】
X線透過像データ表示部33は、X線透過像データ記憶制御部32又はX線透過像データ作成部31で作成されたX線透過像データに基づいて、モニタ画面23aにX線透過画像の画像表示を行う制御を行うものである。なお、X線透過像データは、ある瞬間の一次元的なものであるので、X線透過像データを時間軸に沿って並べると、基準検査物7a又は被検査物7bの二次元的なX線透視画像が得られる。
【0039】
第一設定部38は、第一設定時、検出信号記憶領域42に記憶された基準検査物7aのX線透過像データと、X線管1の管電圧の強度レベルとの関係を示す置換表を作成して、設定データ記憶領域41に記憶させる制御を行う。
ここで、置換表を作成する方法の一例について説明する。図7及び図8は、置換表を作成する方法について説明するためのフローチャートである。ここでは、3個の基準検査物7a(基準検査物の個数パラメータX=1〜3)を用い、各基準検査物7aは、それぞれX線の透過量が異なるものであるものとする。また、X=0は、基準検査物7aを載置しないときを表す。
まず、ステップS101の処理において、操作者のキーボード22aやマウス22bの操作によって第一設定信号が入力される。
次に、ステップS102の処理において、基準検査物の個数パラメータX=0、管電圧の強度パラメータS=0を関数として設定データ記憶領域41に記憶させる。
【0040】
次に、ステップS103の処理において、搬送機構制御部36は、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS104の処理において、X線管制御部34は、Sは何であるかを判定する。S=0であると判定した場合には、ステップS105の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを弱とする駆動信号をX線管1に出力する。
一方、S=1であると判定した場合には、ステップS106の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを中とする駆動信号をX線管1に出力する。
さらに、S=2であると判定した場合には、ステップS107の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを強とする駆動信号をX線管1に出力する。
【0041】
次に、ステップS108の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、X線検出器12の各光ダイオードから出力された電気信号(アナログ信号)から変換されたそれぞれのデジタル信号(X線透過像データ)を取得する。
次に、ステップS109の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力するとともに、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させ始める。
【0042】
次に、ステップS110の処理において、搬送機構制御部36は、計算開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS111の処理において、X線透過像データ記憶部31は、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させ終えると、搬送機構制御部36に計算終了信号を出力する。
【0043】
次に、ステップS112の処理において、第一設定部38は、X=3であるか否かを判定する。X=3でないと判定した場合には、ステップS113の処理に進むことにより、X=X+1と記憶され、さらにステップS103の処理に戻る。つまり、X=3であると判定するときまで、ステップS103〜S112の処理は繰り返し実行されて、3個の基準検査物7aのX線透過像データを記憶させることになる。
【0044】
一方、X=3であると判定した場合には、ステップS114の処理において、第一設定部38は、3個の基準検査物7aのX線透過像データに基づいて、管電圧の強度レベルを強中弱のいずれかに決定するための置換表を作成して設定データ記憶領域41に記憶させて、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力する。
例えば、3個の基準検査物7aのX線透過像データにおいて、X=1の基準検査物7aを載置したときのX線透過像データの最小値と、基準検査物7aを載置しなかったとき(X=0)のX線透過像データの値の平均値との差L1を算出し(図5(b)参照)、同様に、X=2、3の基準検査物7aを載置したときのX線透過像データの各最小値と、基準検査物7aを載置しなかったときのX線透過像データの値の平均値との差L2、L3をそれぞれ算出する(図5(c)、(d)参照)。
これにより、後述する差L’が、差L1以下である場合には、管電圧の強度レベルを弱に設定し、差L1を越えて、かつ、差L2以下である場合には、管電圧の強度レベルを中に設定し、差L2を越えて、かつ、差L3以下である場合には、管電圧の強度レベルを強に設定するように、管電圧の強度レベルを決定するようにする。
【0045】
次に、ステップS115の処理において、搬送機構制御部36は、計算開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する。
そして、ステップS115の処理を終了した場合には、本フローチャートを終了させることになる。
【0046】
第二設定部35は、第二設定時、検出信号記憶領域42に記憶された被検査物7bのX線透過像データと、設定データ記憶領域41に記憶された置換表とを用いて、X線管1の管電圧の強度レベルを決定して、設定データ記憶領域41に記憶させる制御を行う。
ここで、X線管1の管電圧の強度レベルを決定する方法の一例について説明する。図9及び図10は、X線管1の管電圧の強度レベルを決定する方法について説明するためのフローチャートである。ここでは、3個の良品とする被検査物7b(被検査物の個数パラメータX=1〜3)を用いるものとする。また、X=0は、被検査物7bを載置しないときを表す。
まず、ステップS201の処理において、操作者のキーボード22aやマウス22bの操作によって第二設定信号が入力される。
次に、ステップS202の処理において、被検査物の個数パラメータX=0、管電圧の強度パラメータS=0を関数として設定データ記憶領域41に記憶させる。
【0047】
次に、ステップS203の処理において、搬送機構制御部36は、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS204の処理において、X線管制御部34は、Sは何であるかを判定する。S=0であると判定した場合には、ステップS205の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを弱とする駆動信号をX線管1に出力する。
一方、S=1であると判定した場合には、ステップS206の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを中とする駆動信号をX線管1に出力する。
さらに、S=2であると判定した場合には、ステップS207の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを強とする駆動信号をX線管1に出力する。
【0048】
次に、ステップS208の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、X線検出器3の各光ダイオードから出力された電気信号(アナログ信号)から変換されたそれぞれのデジタル信号(X線透過像データ)を取得する。
次に、ステップS209の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力するとともに、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させ始める。
【0049】
次に、ステップS210の処理において、搬送機構制御部36は、計算開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS211の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させ終えると、搬送機構制御部36に計算終了信号を出力する。
【0050】
次に、ステップS212の処理において、第二設定部35は、X=3であるか否かを判定する。X=3でないと判定した場合には、ステップS213の処理に進むことにより、X=X+1と記憶され、さらにステップS203の処理に戻る。つまり、X=3であると判定するときまで、ステップS203〜S212の処理は繰り返し実行されて、3個の被検査物7bのX線透過像データを記憶させることになる。
【0051】
一方、X=3であると判定した場合には、ステップS214の処理において、第二設定部35は、3個の被検査物7bのX線透過像データに基づいて、管電圧の強度レベルを強中弱のいずれかに決定して設定データ記憶領域41に記憶させて、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力する。
例えば、3個の被検査物7bのX線透過像データにおいて、X=0の被検査物7bを載置したときのX線透過像データの最小値と、被検査物7bを載置しなかったとき(X=0)のX線透過像データの値の平均値との差L1’を算出し、同様に、X=2、3の被検査物7bを載置したときのX線透過像データの各最小値と、被検査物7bを載置しなかったときのX線透過像データの値の平均値との差L2’、L3’をそれぞれ算出する。
これにより、差L1’、L2’、L3’の平均値である差L’が、上述したように、差L1以下である場合には、管電圧の強度レベルを弱に設定し、差L1を越えて、かつ、差L2以下である場合には、管電圧の強度レベルを中に設定し、差L2を越えて、差L3以下である場合には、管電圧の強度レベルを強に設定するように、管電圧の強度レベルを決定して、設定データ記憶領域41に記憶させる。
【0052】
次に、ステップS215の処理において、搬送機構制御部36は、計算開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する。
そして、ステップS215の処理を終了した場合には、本フローチャートを終了させることになる。
【0053】
第三設定部37は、第二設定部35により決定された管電圧の強度レベルで第三設定時に検出信号記憶領域42に記憶された被検査物7bのX線透過像データに基づいて、被検査物7bの検査の判定を決定するための閾値パラメータを作成して、設定データ記憶領域41に記憶させる制御を行うものである。
ここで、閾値パラメータを作成する方法の一例について説明する。図11及び図12は、閾値パラメータを作成する方法について説明するためのフローチャートである。ここでは、3個の良品とする被検査物7b(被検査物の個数パラメータX=1〜3)を用いるものとする。また、X=0は、被検査物7bを載置しないときを表す。
まず、ステップS301の処理において、操作者のキーボード22aやマウス22bの操作によって第三設定信号が入力される。
次に、ステップS302の処理において、X=0、S=(第二設定部35により決定された管電圧の強度レベル)を関数として設定データ記憶領域41に記憶させる。
【0054】
次に、ステップS303の処理において、搬送機構制御部36は、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS304の処理において、X線管制御部34は、Sは何であるかを判定する。S=0であると判定した場合には、ステップS305の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを弱とする駆動信号をX線管1に出力する。
一方、S=1であると判定した場合には、ステップS306の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを中とする駆動信号をX線管1に出力する。
さらに、S=2であると判定した場合には、ステップS307の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを強とする駆動信号をX線管1に出力する。
【0055】
次に、ステップS308の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、X線検出器12の各光ダイオードから出力された電気信号(アナログ信号)から変換されたそれぞれのデジタル信号(X線透過像データ)を取得する。
次に、ステップS309の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力するとともに、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させ始める。
【0056】
次に、ステップS310の処理において、搬送機構制御部36は、計算開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS311の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させ終えると、搬送機構制御部36に計算終了信号を出力する。
【0057】
次に、ステップS312の処理において、第三設定部37は、X=3であるか否かを判定する。X=3でないと判定した場合には、ステップS313の処理に進むことにより、X=X+1と記憶され、さらにステップS303の処理に戻る。つまり、X=3であると判定するときまで、ステップS303〜S312の処理は繰り返し実行されて、3個の被検査物7bのX線透過像データを記憶させることになる。
【0058】
一方、X=3であると判定した場合には、ステップS314の処理において、第三設定部37は、X=1〜3の被検査物7bのX線透過像データに基づいて、被検査物7bの検査の判定を決定するための閾値パラメータを作成して、設定データ記憶領域41に記憶させて、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力する。
例えば、3個の被検査物7bのX線透過像データにおいて、X=0の被検査物7bを載置したときのX線透過像データの最小値と、被検査物7bを載置しなかったとき(X=0)のX線透過像データの値の平均値との差L1’を算出し、同様に、X=2、3の被検査物7bを載置したときのX線透過像データの各最小値と、被検査物7bを載置しなかったときのX線透過像データの値の平均値との差L2’、L3’をそれぞれ算出する。
これにより、差L1’、L2’、L3’のうちの最大値が、閾値パラメータとなるように設定して、X線透過像データの差L’が閾値パラメータの値より大きくなったときには、被検査物7b中に異物が存在すると判定し、一方、X線透過像データの差L’が閾値パラメータの値以下であるときには、被検査物7b中に異物が存在しないと判定するようにする。
次に、ステップS315の処理において、搬送機構制御部36は、計算開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する。
そして、ステップS315の処理を終了した場合には、本フローチャートを終了させることになる。
【0059】
判定部39は、検査時に得られた被検査物7bのX線透過像データと、閾値パラメータとに基づいて、被検査物7b中に異物が混入しているか否かの判定を実行する制御を行う。
ここで、被検査物7bの検査の判定を実行する方法の一例について説明する。図13は、被検査物7bの検査の判定を実行する方法について説明するためのフローチャートである。ここでは、検査対象の被検査物7bを次々と用いるものとする。
まず、ステップS401の処理において、操作者のキーボード22aやマウス22bの操作によって検査開始信号が入力される。
次に、ステップS402の処理において、S=(第二設定部35により決定された管電圧の強度レベル)を関数として設定データ記憶領域41に記憶させる。
【0060】
次に、ステップS403の処理において、搬送機構制御部36は、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS404の処理において、X線管制御部34は、Sは何であるかを判定する。S=0であると判定した場合には、ステップS405の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを弱とする駆動信号をX線管1に出力する。
一方、S=1であると判定した場合には、ステップS406の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを中とする駆動信号をX線管1に出力する。
さらに、S=2であると判定した場合には、ステップS407の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを強とする駆動信号をX線管1に出力する。
【0061】
次に、ステップS408の処理において、X線透過像データ作成部31は、X線検出器12の各光ダイオードから出力された電気信号(アナログ信号)から変換されたそれぞれのデジタル信号(X線透過像データ)を取得する。
次に、ステップS409の処理において、判定部39は、X線透過像データと閾値パラメータとに基づいて、被検査物7b中に異物が混入しているか否かの判定を実行する。
例えば、X線透過像データの差L’と、閾値パラメータの値とを比較することにより、X線透過像データの差L’が閾値パラメータの値より大きくなったときには、ステップS410の処理に進むことにより、判定部39は、被検査物7b中に異物が存在すると判定する。
一方、X線透過像データの差L’が閾値パラメータの値より小さいときには、ステップS411の処理に進むことにより、判定部39は、被検査物7b中に異物が存在しないと判定する。
【0062】
次に、ステップS412の処理において、操作者のキーボード22aやマウス22bの操作によって検査終了信号が入力されたか否か判断する。
検査終了信号が入力されていない場合には、ステップS408の処理に戻る。つまり、検査終了信号が入力されるときまで、ステップS408〜S412の処理は繰り返し実行されることになる。
一方、検査終了信号を入力した場合には、本フローチャートを終了させることになる。
【0063】
以上のように、X線検査装置80によれば、操作者が手動で管電圧の強度レベルを設定することなく、第一設定部38により置換表が作成される。
また、基準検査物7aを移動させながら行う第一設定時の作業において、X線透過像データを作成して検出信号記憶領域42に記憶させているときには、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力するので、X線透過像データ記憶制御部32がX線透過像データを記憶させている最中に、ベルトコンベア5上に一の基準検査物7aを載置することにより、X線管1とX線検出器3との間を搬送させて、一の基準検査物7aからX線透過像データを得ずに第一設定時の作業を進めるような入力ミス等を起こすことなく、置換表を適切に容易に作成することができる。
さらに、操作者が手動で閾値パラメータを設定することもなく、第三設定部37により閾値パラメータが作成される。
また、被検査物7bを移動させながら行う第三設定時の作業においても、X線透過像データを作成して検出信号記憶領域42に記憶させているときには、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力するので、X線透過像データ記憶制御部32がX線透過像データを記憶させている最中に、搬送機構上に一の被検査物7bを載置することにより、X線管1とX線検出器3との間を搬送させて、一の被検査物7bからX線透過像データを得ずに第三設定時の作業を進めるような入力ミス等を起こすこともなく、閾値パラメータを適切に容易に作成することができる。
【0064】
(他の実施形態)
(1)上述したX線検査装置80において、X線透過像データの差L’が閾値パラメータの値より大きくなったときには、警告音を出力するような構成としてもよい。
(2)上述したX線検査装置80において、さらに、X線管1の管電流の強度レベルの置換表や、画像コントラストの置換表を作成して、設定データ記憶領域41に記憶させるような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、例えば、生肉、魚、加工食品、医薬等の被検査物に対し、X線を照射したときのX線の透過量から被検査物中の異物を検出するX線検査装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態であるX線検査装置の外観を示す斜視図である。
【図2】X線検査装置の一部の構成を示すブロック図である。
【図3】X線検出器の平面図である。
【図4】図3に示すA−A線の断面図である。
【図5】検出信号に基づいて、得られたX線透過像データの一例である。
【図6】従来のX線検査装置の一部の構成を示す図である。
【図7】置換表を作成する方法について説明するためのフローチャートである。
【図8】置換表を作成する方法について説明するためのフローチャートである。
【図9】管電圧の強度レベルを決定する方法について説明するためのフローチャートである。
【図10】管電圧の強度レベルを決定する方法について説明するためのフローチャートである。
【図11】閾値パラメータを作成する方法について説明するためのフローチャートである。
【図12】閾値パラメータを作成する方法について説明するためのフローチャートである。
【図13】被検査物の検査の判定を実行する方法について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1: X線源
3: X線検出器
5: ベルトコンベア(搬送機構)
7a: 基準検査物
7b: 被検査物
20: 制御系(コンピュータ)
22: 入力装置
23: 表示装置
25: メモリ(記憶部)
31: X線透過像データ作成部
32: X線透過像データ記憶制御部
33: X線透過像データ表示部
35: 第二設定部
36: 搬送機構制御部
37: 第三設定部
38: 第一設定部
39: 判定部
80: X線検査装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、生肉、魚、加工食品、医薬等の被検査物に対し、X線を照射したときのX線の透過量から被検査物中の異物を検出するX線検査装置に関し、特に、被検査物を移動させながら被検査物中の異物を検出するX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、生肉、魚、加工食品、医薬等の被検査物中(表面も含む)の異物(金属、骨、ガラス、石、合成樹脂材等)を検出するためにX線検査装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。図6は、X線検査装置の一部の構成を示す図である。このようなX線検査装置110においては、ベルトコンベア5の上方に配置されたX線管1でX線を発生させ、そのX線をコリメータ(図示せず)を用いて扇状に広がるX線ビームとし、そのX線ビームを、上側になっている搬送ベルト5bの下方に配置された多数のX線検出素子からなる直線状のX線検出器3で検出する。
【0003】
ベルトコンベア5は、2つ以上のローラ5aの間に掛け回された搬送ベルト5bとを有する。そして、上側になっている搬送ベルト5bの上面に、被検査物7は載置されることになる。よって、モータ等の駆動手段(図示せず)によっていずれかのローラ5aが駆動することにより、搬送ベルト5bが循環して移動して、被検査物7が移動することになる。
なお、コリメータは、ベルトコンベア5が移動させる被検査物7の移動方向と直交するように、扇状に広がるX線ビームを形成し、直線状のX線検出器3は、扇状に広がるX線ビームを検出できるように、ベルトコンベア5が移動させる被検査物7の移動方向と直交するように配置されている。
【0004】
これにより、X線検査装置110では、ベルトコンベア5に載置されて移動してくる被検査物7にX線を照射し、コンピュータ109で被検査物7のX線透過像データを作成する。そのX線透過像データを収集して時間軸に沿って並べると、2次元的なX線透過画像を得ることができる。このとき、被検査物7中に異物が存在し、その異物のX線吸収率が被検査物7自体のX線吸収率と異なれば、X線透過画像に異物が陰として表れることになる。したがって、操作者が、モニタ画面に映し出されたX線透過画像を観察すること、またはX線透過画像を用い被検査物の判定を行うことで、被検査物7中に異物が混入したものを出荷しないようにしている。
【0005】
このようなX線検査装置110で、検査を始める前に、予め、検査時のX線管1の管電流や管電圧等の強度レベルを決定する必要がある。そこで、従来のX線検査装置110においては、被検査物7中に異物が混入しているか否かの判定を実行する場合には、被検査物7のX線透過画像をモニタ画面に映して、操作者が、被検査物7中の異物を確認できるように、X線管1の管電流や管電圧を手動で設定して、例えば、強中弱の強度レベルの中からそれぞれ選択して決定していた。
【特許文献1】特開2006−275853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、経験が不足している操作者が、管電流や管電圧等の強度レベルを手動で設定すると、最良でない入力をしてしまい、その結果、適正な検査が行われないことがあった。また、経験が充分な操作者でも、管電流や管電圧等の強度レベルを決定するのには、手間がかかった。
そこで、本件発明者らは、上記課題を解決するために、管電流や管電圧等の強度レベルを自動で設定できるように検討を行った。その結果、まず、検査対象の被検査物でなく、それぞれX線の透過量が異なる複数の基準検査物のX線透過像データと、管電圧の強度レベルとの関係を示す置換表を作成する第一設定時の作業を行い、その後、この置換表と、検査対象となる被検査物のX線透過像データとを用いて管電圧の強度レベルを決定する第二設定時の作業を行う方法を見出した。
【0007】
このような置換表を作成するためには、多くの基準検査物のX線透過像データを得る必要があった。一般的に、基準検査物を搬送するベルトコンベア5は、常に駆動し続けているため、次から次へ基準検査物を連続して搬送することができる。しかし、コンピュータ109がX線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、新たなX線透過像データを作成することができない。よって、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、操作者が、ベルトコンベア5上に基準検査物を載置しないように注意しなければならなかった。
【0008】
しかしながら、操作者は、作業を急ぐあまり、コンピュータ109がX線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときに、あやまってベルトコンベア5上に次の基準検査物を載置してしまい、その結果、基準検査物からX線透過像データを得ずに作業を進めるような入力ミス等を起こすことがあった。このような入力ミスを起こした場合には、再度、作業をやり直すこととなり、非常に手間がかかった。
【0009】
また、本件発明者らは、検査時の被検査物の検査の判定を自動で決定できるように検討を行った。一般に良品とする被検査物のX線透過像データにより、閾値パラメータを作成して記憶させる第三設定時の作業を行い、その後、この閾値パラメータと、検査対象となる被検査物のX線透過像データとを用いて検査時の作業を行う方法がある。
しかし、このような閾値パラメータを作成するためにも、良品のバラツキを考慮し、多くの良品とする被検査物のX線透過像データを得る必要が出てきた。しかし、このときにも、上述したように、コンピュータ109がX線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、新たなX線透過像データを作成することができない。よって、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、操作者が、ベルトコンベア5上に被検査物を載置しないように注意しなければならなかった。
【0010】
そこで、本発明は、被検査物を移動させながら行うX線検査において、被検査物中の異物を検出するための管電流や管電圧等の強度レベル等を適切に容易に決定することができるX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明のX線検査装置は、X線を照射するX線源と、前記X線源と対向配置され、検出信号を出力するX線検出器と、前記X線源とX線検出器との間で、基準検査物又は被検査物を搬送する搬送機構と、検査時のX線源の管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定するための置換表を作成する第一設定時と、検査時のX線源の管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定する第二設定時と、検査時の被検査物の検査の判定を決定するための閾値パラメータを作成する第三設定時とに、前記検出信号に基づいて、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させるX線透過像データ記憶制御部と、前記第一設定時に記憶された基準検査物のX線透過像データと、管電流及び/又は管電圧の強度レベルとの関係を示す置換表を作成する第一設定部と、前記第二設定時に記憶された被検査物のX線透過像データと、前記置換表とを用いて管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定する第二設定部と、前記第二設定部により決定された管電流及び/又は管電圧の強度レベルで第三設定時に記憶された被検査物のX線透過像データに基づいて、前記閾値パラメータを作成する第三設定部とを備えるX線検査装置であって、前記X線透過像データ記憶制御部が、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、前記搬送機構の駆動を停止する駆動停止信号を搬送機構に出力する搬送機構制御部を備えるようにしている。
【0012】
ここで、「管電流」とは、X線源の陰極から陽極に流す電流をいう。管電流の量に比例して放射されるX線の量が変化する。
また、「管電圧」とは、X線源の陽極と陰極との間に印加する電圧のことをいう。高電圧になるに従って、X線の波長が短くなり、透過力が強くなる。
【0013】
本発明のX線検査装置によれば、例えば、第一設定時に、X線透過像データ記憶制御部が、検出信号に基づいて、一の基準検査物のX線透過像データを作成して記憶部に記憶させることを、X線吸収率の異なる複数の基準検査物について行う。(注:X線吸収率の異なる基準検査物とは、密度または厚みの異なる検査物を意味する)このとき、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、搬送機構の駆動を停止する駆動停止信号を搬送機構に出力する。
【0014】
第一設定時の作業として、まず、操作者またはシステム管理者が、管電圧の強度レベルが弱であるX線を照射しながら、基準検査物をベルトコンベアに載置せずにベルトコンベア(搬送機構)を駆動させることにより、X線透過像データ記憶制御部は、得られる検出信号に基づいて、X線透過像データを作成する(図5(a)参照)。その後、作成されたX線透過像データを記憶させる。このとき、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させているので、ベルトコンベアの駆動を停止する駆動停止信号を出力する。そして、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させ終えたときには、ベルトコンベアの駆動を再開させる。次に、操作者は、第一の基準検査物をベルトコンベアに載置することにより、X線透過像データ記憶制御部は、得られる検出信号に基づいて、第一の基準検査物のX線透過像データを作成する(図5(b)参照)。その後、作成された第一の基準検査物のX線透過像データを記憶させる。このとき、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させているので、ベルトコンベアの駆動を停止する駆動停止信号を出力する。そして、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させ終えたときには、搬送機構の駆動を再開させる。
【0015】
次に、操作者またはシステム管理者は、第一の基準検査物のときと同様に、第二の基準検査物及び第三の基準検査物をベルトコンベアに載置することにより、X線透過像データ記憶制御部は、得られる検出信号に基づいて、第二の基準検査物及び第三の基準検査物のX線透過像データを作成して記憶部に記憶させる(図5(c)及び(d)参照)。
【0016】
このようにして、操作者が第一設定時の作業を終えたときには、第一設定部は、管電圧の強度レベルと、基準検査物のX線透過像データとの関係を示す置換表を作成する。
例えば、置換表として、第一の基準検査物、第二の基準検査物、第三の基準検査物を載置したときのX線透過像データの各最小値と、基準検査物を載置しなかったときのX線透過像データの平均値の差L1、L2、L3をそれぞれ算出する。これにより、後述する差L’が、差L1以下である場合には、管電圧の強度レベルを弱に設定し、差L1を越えて、かつ、差L2以下である場合には、管電圧の強度レベルを中に設定し、差L2を越えて、差L3以下である場合には、管電圧の強度レベルを強に設定するように、後述する第二設定部が、管電圧の強度レベルを決定するようにする。
ここまでの作業はコンピュータ109の制御ソフト作成段階において、一度行っておけばよい。
【0017】
そして、その後、第二設定時の作業として、操作者が、管電圧の強度レベルが弱であるX線を照射しながら、良品とする被検査物をベルトコンベアに載置してベルトコンベアを駆動させることにより、第二設定部は、置換表を用いて、検査時の管電圧の強度レベルを決定する。
例えば、被検査物を載置したときのX線透過像データの最小値と、被検査物を載置しなかったときのX線透過像データの平均値の差L’を算出する。これにより、差L’が、差L1以下である場合には、管電圧の強度レベルを弱に設定し、差L1を越えて、かつ、差L2以下である場合には、管電圧の強度レベルを中に設定し、差L2を越えて、差L3以下である場合には、管電圧の強度レベルを強に設定するように、管電圧の強度レベルを決定する。
【0018】
さらに、本発明のX線検査装置によれば、例えば、第三設定時に、X線透過像データ記憶制御部が、検出信号に基づいて、一の被検査物のX線透過像データを作成して記憶部に記憶させることを、複数の被検査物について行う。このとき、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、ベルトコンベアの駆動を停止する駆動停止信号を出力する。
【0019】
第三の設定時の作業として、操作者は、第二設定部により決定された強度レベルの管電圧であるX線を照射しながら、良品とする被検査物をベルトコンベアに載置してベルトコンベアを駆動させることにより、X線透過像データ記憶制御部は、得られる検出信号に基づいて、1個目の被検査物のX線透過像データを作成する。その後、作成されたX線透過像データを記憶させる。このとき、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させているので、ベルトコンベアの駆動を停止する駆動停止信号を出力する。そして、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させ終えたときには、ベルトコンベアの駆動を再開させる。
【0020】
次に、操作者が、2個目の基準とする被検査物をベルトコンベアに載置することにより、X線透過像データ記憶制御部は、得られる検出信号に基づいて、2個目の被検査物のX線透過像データを作成する。その後、作成されたX線透過像データを記憶させる。このとき、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させているので、ベルトコンベアの駆動を停止する駆動停止信号を出力する。そして、搬送機構制御部は、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させ終えたときには、ベルトコンベアの駆動を再開させる。
【0021】
このようにして、操作者が第三設定時の作業を終えたときには、第三設定部は、検査時の検査対象となる被検査物の検査の判定を決定するための閾値パラメータを作成して記憶部に記憶させる。
例えば、閾値パラメータとして、1個目の被検査物を載置させたときに作成されたX線透過像データの最小値と、2個目の被検査物を載置させたときに作成されたX線透過像データの最小値とを比較することにより、値が小さくなるX線透過像データの値を閾値パラメータに設定するように決定する。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明のX線検査装置によれば、操作者が手動で管電流や管電圧等の強度レベルを決定する必要がない。
また、基準検査物を移動させながら行う第一設定時の作業において、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、搬送機構の駆動を停止する駆動停止信号を出力するので、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させている最中に、搬送機構上に一の基準検査物を載置することにより、X線源とX線検出器との間を搬送させて、一の基準検査物からX線透過像データを得ずに第一設定時の作業を進めるような入力ミス等を起こすことなく、置換表を適切に容易に作成することができる。
さらに、操作者が手動で閾値パラメータも決定することはない。
また、被検査物を移動させながら行う第三設定時の作業においても、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、搬送機構の駆動を停止する駆動停止信号を出力するので、X線透過像データ記憶制御部がX線透過像データを記憶させている最中に、搬送機構上に一の被検査物を載置することにより、X線源とX線検出器との間を搬送させて、一の被検査物からX線透過像データを得ずに第三設定時の作業を進めるような入力ミス等を起こすこともなく、閾値パラメータを適切に容易に作成することができる。
【0023】
(その他の課題を解決するための手段および効果)
また、本発明のX線検査装置においては、検査時に、前記検出信号に基づいて、X線透過像データを作成するX線透過像データ作成部と、検査時に得られた被検査物のX線透過像データと、前記閾値パラメータとを用いて、前記被検査物の検査の判定を決定する判定部とを備えるようにしてもよい。
本発明のX線検査装置によれば、検査時の作業として、操作者が、第二設定部により決定された強度レベルの管電圧であるX線を照射しながら、検査対象の被検査物を搬送機構に載置してベルトコンベアを駆動させることにより、判定部は、被検査物の検査の判定を決定する。
例えば、X線透過像データ作成部は、得られる検出信号に基づいて、被検査物のX線透過像データを作成する。このとき、判定部は、X線透過像データと、閾値パラメータとを比較することにより、被検査物中に異物が混入しているか否かの判定を実行する。その結果、X線透過像データの値が閾値パラメータの値より小さくなったときには、被検査物中に異物が存在すると判定し、一方、X線透過像データの値が閾値パラメータの値以上であるときには、被検査物中に異物が存在しないと判定する。
【0024】
また、本発明のX線検査装置においては、第一設定時、第二設定時、第三設定時の少なくとも一つの時に、前記X線透過像データ記憶制御部は、一の基準検査物又は被検査物のX線透過像データを作成して記憶部に記憶させることを、複数の基準検査物又は被検査物について行うようにしてもよい。
そして、本発明のX線検査装置においては、前記基準検査物は、それぞれX線の透過量が異なるものであるようにしてもよい。
さらに、本発明のX線検査装置においては、前記判定部は、前記被検査物中に異物が混入しているか否かの判定を実行するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態であるX線検査装置の外観を示す斜視図であり、図2は、X線検査装置の一部の構成を示すブロック図である。X線検査装置80は、本体70と、入口ベルトコンベア60と、出口ベルトコンベア50と、X線検査装置80全体の制御を行う制御系(コンピュータ)20とにより構成される。
入口ベルトコンベア60は、本体70の入口部6aに設けられるとともに、出口ベルトコンベア50は、本体70の出口部6bに設けられる。
【0027】
本体70は、入口部6aと出口部6bとを有する防護箱6と、X線管1と、X線管1からのX線を検出するX線検出器3と、X線管1とX線検出器3との間を基準検査物7a又は被検査物7bが通過するように基準検査物7a又は被検査物7bを搬送するためのベルトコンベア(搬送機構)5と、ベルトコンベア5を駆動する駆動機構(図示せず)とを備える。
【0028】
防護箱6は、入口部6aから基準検査物7a又は被検査物7bを入れるとともに、出口部6bから基準検査物7a又は被検査物7bを出すものである。また、防護箱6の内部から有害な量のX線が防護箱6の外部に漏洩しないように、放射線遮蔽材料を用いて形成されている。さらに、入口部6aと出口部6bとには、防護箱6の内部から有害な量のX線が防護箱6の外部に漏洩しないように、防護のれん8が下げられている。
【0029】
ベルトコンベア5は、一対のローラ5aの間に掛け回された搬送ベルト5bとを有する。そして、上側になっている搬送ベルト5bの上面に、基準検査物7a又は被検査物7bが載置される。よって、駆動機構でいずれかのローラ5aが駆動することにより、搬送ベルト5bが循環して移動して、基準検査物7a又は被検査物7bが、入口部6aから出口部6bに移動することになる。
【0030】
駆動機構は、例えば、回転駆動用モータを有する。なお、駆動機構の制御は、後述する搬送機構制御部36から出力された駆動開始信号及び駆動停止信号が与えられることによって実行される。
【0031】
X線管1は、防護箱6の上部に配置され、防護箱6の下部に配置されるX線検出器3に向けてX線を照射する。このとき、発生させたX線を、コリメータ(図示せず)を用いて、ベルトコンベア5が移動させる基準検査物7a又は被検査物7bの移動方向と直交するように、扇状に広がるX線ビームとして形成する。
また、X線管1では、管電圧の強度レベルが強中弱と設定可能であり、管電圧を大きくすることで、X線の波長が短くなり、X線の透過力が強くなり、一方、管電圧を小さくすることで、X線の波長が長くなり、X線の透過力が弱くなる。管電圧の強度レベルの制御は、後述するX線管制御部34から出力された駆動信号が与えられることによって実行される。
【0032】
図3は、X線検出器3の平面図であり、図4は、図3に示すA−A線の断面図である。X線検出器3は、X線を光に変換する蛍光体91と光ダイオード列92と支持体93とからなる。また、X線検出器3は、上側になっている搬送ベルト5bの下方に配置されるとともに、下側になっている搬送ベルト5bの上方に配置される。光ダイオード列92は、1画素(1ch)を構成する光ダイオード(92a、92b、・・)を多数個(例えば、256個)直線状に並べてあり、蛍光体91からの光を電気信号(検出信号)に変換する。この電気信号が、後述するコンピュータ20に出力される。
X線検出器3は、X線管1からの扇状に広がるX線ビームを検出できるように、ベルトコンベア5が移動させる基準検査物7a又は被検査物7bの移動方向と直交するように配置されている。
【0033】
コンピュータ20においては、CPU21を備え、さらに、X線透過像データや設定データ(置換表や閾値パラメータ)等を記憶するメモリ25と、モニタ画面23aを有する表示装置23と、入力装置であるキーボード22aやマウス22bとが連結されている。
また、CPU21が処理する機能をブロック化して説明すると、X線透過像データ作成部31と、X線透過像データ記憶制御部32と、X線透過像データ表示部33と、搬送機構制御部36と、第一設定部38と、第二設定部35と、第三設定部37と、判定部39と、X線管制御部34とを有する。また、メモリ25は、設定データ記憶領域41と、検出信号記憶領域42とを有する。
なお、本実施形態では、検査時のX線管1の管電圧の強度レベルを決定するための置換表を作成する第一設定時、検査時のX線源1の管電圧の強度レベルを決定する第二設定時、検査時の被検査物7bの検査の判定を決定するための閾値パラメータを作成する第三設定時、被検査物7bの検査の判定を決定する検査時に、キーボード22aやマウス22bの操作によって、それぞれ入力される第一設定信号、第二設定信号、第三設定信号、検査開始信号を受信することで作業を行う場合を例に説明する。
【0034】
搬送機構制御部36は、キーボード22aやマウス22bの操作によって入力される第一設定信号、第二設定信号、第三設定信号、検査開始信号又は計算終了信号を受信することによって、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力する制御を行う。さらに、搬送機構制御部36は、後述するX線透過像データ記憶制御部32が、X線透過像データを作成して検出信号記憶領域42に記憶させているとき、又は、キーボード22aやマウス22bの操作によって入力される検査終了信号を受信したときには、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する制御を行う。
具体的には、第一設定時の作業、第二設定時の作業、第三設定時の作業及び検査時の作業の開始時に、第一設定信号、第二設定信号、第三設定信号及び検査開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力して、その後、X線透過像データ記憶制御部32から計算開始信号を受信したときには、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力し、さらにその後、X線透過像データ記憶制御部32から計算終了信号を受信したときには、再び、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力する。
【0035】
X線管制御部34は、キーボード22aやマウス22bの操作によって入力される第一設定信号、第二設定信号、第三設定信号又は検査開始信号を受信することによって、設定データ記憶領域41に記憶された管電圧の強度パラメータSに基づいて、所定の強度レベルの管電圧に設定する駆動信号をX線管1に出力する制御を行うものである。
例えば、設定データ記憶領域41に記憶された管電圧の強度パラメータSが0、1、2のいずれかに設定されるものとする。そして、S=0である場合には、管電圧の強度レベルを弱とする駆動信号をX線管1に出力する。一方、S=1である場合には、管電圧の強度レベルを中とする駆動信号をX線管1に出力する。さらに、S=2である場合には、管電圧の強度レベルを強とする駆動信号をX線管1に出力する。
【0036】
X線透過像データ記憶制御部32は、キーボード22aやマウス22bの操作によって入力される第一設定信号、第二設定信号又は第三設定信号を受信することによって、X線検出器3の各光ダイオードから出力された電気信号(アナログ信号)から変換されたそれぞれのデジタル信号(X線透過像データ)を取得して、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させるとともに、計算開始信号及び計算終了信号を搬送機構制御部36に出力する制御を行う。
例えば、時間t1のときに、光ダイオード92a、92b、・・・からのデジタル信号の値をそれぞれ収得し、時間t2のときにも、各光ダイオードからのデジタル信号の値をそれぞれ取得して、デジタル信号の値を検出信号記憶領域42に記憶させ始めたときには、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力し、その後、デジタル信号の値を検出信号記憶領域42に記憶させ終わったときには、搬送機構制御部36に計算終了信号を出力する。
【0037】
X線透過像データ作成部31は、キーボード22aやマウス22bの操作によって入力される検査開始信号を受信することによって、X線検出器12の各光ダイオードから出力された電気信号(アナログ信号)から変換されたそれぞれのデジタル信号(X線透過像データ)を取得する制御を行う。
例えば、時間t1’のときに、光ダイオード92a、92b、・・・からのデジタル信号の値をそれぞれ取得し、時間t2’のときにも、各光ダイオードからのデジタル信号の値をそれぞれ取得する。
【0038】
X線透過像データ表示部33は、X線透過像データ記憶制御部32又はX線透過像データ作成部31で作成されたX線透過像データに基づいて、モニタ画面23aにX線透過画像の画像表示を行う制御を行うものである。なお、X線透過像データは、ある瞬間の一次元的なものであるので、X線透過像データを時間軸に沿って並べると、基準検査物7a又は被検査物7bの二次元的なX線透視画像が得られる。
【0039】
第一設定部38は、第一設定時、検出信号記憶領域42に記憶された基準検査物7aのX線透過像データと、X線管1の管電圧の強度レベルとの関係を示す置換表を作成して、設定データ記憶領域41に記憶させる制御を行う。
ここで、置換表を作成する方法の一例について説明する。図7及び図8は、置換表を作成する方法について説明するためのフローチャートである。ここでは、3個の基準検査物7a(基準検査物の個数パラメータX=1〜3)を用い、各基準検査物7aは、それぞれX線の透過量が異なるものであるものとする。また、X=0は、基準検査物7aを載置しないときを表す。
まず、ステップS101の処理において、操作者のキーボード22aやマウス22bの操作によって第一設定信号が入力される。
次に、ステップS102の処理において、基準検査物の個数パラメータX=0、管電圧の強度パラメータS=0を関数として設定データ記憶領域41に記憶させる。
【0040】
次に、ステップS103の処理において、搬送機構制御部36は、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS104の処理において、X線管制御部34は、Sは何であるかを判定する。S=0であると判定した場合には、ステップS105の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを弱とする駆動信号をX線管1に出力する。
一方、S=1であると判定した場合には、ステップS106の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを中とする駆動信号をX線管1に出力する。
さらに、S=2であると判定した場合には、ステップS107の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを強とする駆動信号をX線管1に出力する。
【0041】
次に、ステップS108の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、X線検出器12の各光ダイオードから出力された電気信号(アナログ信号)から変換されたそれぞれのデジタル信号(X線透過像データ)を取得する。
次に、ステップS109の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力するとともに、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させ始める。
【0042】
次に、ステップS110の処理において、搬送機構制御部36は、計算開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS111の処理において、X線透過像データ記憶部31は、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させ終えると、搬送機構制御部36に計算終了信号を出力する。
【0043】
次に、ステップS112の処理において、第一設定部38は、X=3であるか否かを判定する。X=3でないと判定した場合には、ステップS113の処理に進むことにより、X=X+1と記憶され、さらにステップS103の処理に戻る。つまり、X=3であると判定するときまで、ステップS103〜S112の処理は繰り返し実行されて、3個の基準検査物7aのX線透過像データを記憶させることになる。
【0044】
一方、X=3であると判定した場合には、ステップS114の処理において、第一設定部38は、3個の基準検査物7aのX線透過像データに基づいて、管電圧の強度レベルを強中弱のいずれかに決定するための置換表を作成して設定データ記憶領域41に記憶させて、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力する。
例えば、3個の基準検査物7aのX線透過像データにおいて、X=1の基準検査物7aを載置したときのX線透過像データの最小値と、基準検査物7aを載置しなかったとき(X=0)のX線透過像データの値の平均値との差L1を算出し(図5(b)参照)、同様に、X=2、3の基準検査物7aを載置したときのX線透過像データの各最小値と、基準検査物7aを載置しなかったときのX線透過像データの値の平均値との差L2、L3をそれぞれ算出する(図5(c)、(d)参照)。
これにより、後述する差L’が、差L1以下である場合には、管電圧の強度レベルを弱に設定し、差L1を越えて、かつ、差L2以下である場合には、管電圧の強度レベルを中に設定し、差L2を越えて、かつ、差L3以下である場合には、管電圧の強度レベルを強に設定するように、管電圧の強度レベルを決定するようにする。
【0045】
次に、ステップS115の処理において、搬送機構制御部36は、計算開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する。
そして、ステップS115の処理を終了した場合には、本フローチャートを終了させることになる。
【0046】
第二設定部35は、第二設定時、検出信号記憶領域42に記憶された被検査物7bのX線透過像データと、設定データ記憶領域41に記憶された置換表とを用いて、X線管1の管電圧の強度レベルを決定して、設定データ記憶領域41に記憶させる制御を行う。
ここで、X線管1の管電圧の強度レベルを決定する方法の一例について説明する。図9及び図10は、X線管1の管電圧の強度レベルを決定する方法について説明するためのフローチャートである。ここでは、3個の良品とする被検査物7b(被検査物の個数パラメータX=1〜3)を用いるものとする。また、X=0は、被検査物7bを載置しないときを表す。
まず、ステップS201の処理において、操作者のキーボード22aやマウス22bの操作によって第二設定信号が入力される。
次に、ステップS202の処理において、被検査物の個数パラメータX=0、管電圧の強度パラメータS=0を関数として設定データ記憶領域41に記憶させる。
【0047】
次に、ステップS203の処理において、搬送機構制御部36は、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS204の処理において、X線管制御部34は、Sは何であるかを判定する。S=0であると判定した場合には、ステップS205の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを弱とする駆動信号をX線管1に出力する。
一方、S=1であると判定した場合には、ステップS206の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを中とする駆動信号をX線管1に出力する。
さらに、S=2であると判定した場合には、ステップS207の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを強とする駆動信号をX線管1に出力する。
【0048】
次に、ステップS208の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、X線検出器3の各光ダイオードから出力された電気信号(アナログ信号)から変換されたそれぞれのデジタル信号(X線透過像データ)を取得する。
次に、ステップS209の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力するとともに、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させ始める。
【0049】
次に、ステップS210の処理において、搬送機構制御部36は、計算開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS211の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させ終えると、搬送機構制御部36に計算終了信号を出力する。
【0050】
次に、ステップS212の処理において、第二設定部35は、X=3であるか否かを判定する。X=3でないと判定した場合には、ステップS213の処理に進むことにより、X=X+1と記憶され、さらにステップS203の処理に戻る。つまり、X=3であると判定するときまで、ステップS203〜S212の処理は繰り返し実行されて、3個の被検査物7bのX線透過像データを記憶させることになる。
【0051】
一方、X=3であると判定した場合には、ステップS214の処理において、第二設定部35は、3個の被検査物7bのX線透過像データに基づいて、管電圧の強度レベルを強中弱のいずれかに決定して設定データ記憶領域41に記憶させて、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力する。
例えば、3個の被検査物7bのX線透過像データにおいて、X=0の被検査物7bを載置したときのX線透過像データの最小値と、被検査物7bを載置しなかったとき(X=0)のX線透過像データの値の平均値との差L1’を算出し、同様に、X=2、3の被検査物7bを載置したときのX線透過像データの各最小値と、被検査物7bを載置しなかったときのX線透過像データの値の平均値との差L2’、L3’をそれぞれ算出する。
これにより、差L1’、L2’、L3’の平均値である差L’が、上述したように、差L1以下である場合には、管電圧の強度レベルを弱に設定し、差L1を越えて、かつ、差L2以下である場合には、管電圧の強度レベルを中に設定し、差L2を越えて、差L3以下である場合には、管電圧の強度レベルを強に設定するように、管電圧の強度レベルを決定して、設定データ記憶領域41に記憶させる。
【0052】
次に、ステップS215の処理において、搬送機構制御部36は、計算開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する。
そして、ステップS215の処理を終了した場合には、本フローチャートを終了させることになる。
【0053】
第三設定部37は、第二設定部35により決定された管電圧の強度レベルで第三設定時に検出信号記憶領域42に記憶された被検査物7bのX線透過像データに基づいて、被検査物7bの検査の判定を決定するための閾値パラメータを作成して、設定データ記憶領域41に記憶させる制御を行うものである。
ここで、閾値パラメータを作成する方法の一例について説明する。図11及び図12は、閾値パラメータを作成する方法について説明するためのフローチャートである。ここでは、3個の良品とする被検査物7b(被検査物の個数パラメータX=1〜3)を用いるものとする。また、X=0は、被検査物7bを載置しないときを表す。
まず、ステップS301の処理において、操作者のキーボード22aやマウス22bの操作によって第三設定信号が入力される。
次に、ステップS302の処理において、X=0、S=(第二設定部35により決定された管電圧の強度レベル)を関数として設定データ記憶領域41に記憶させる。
【0054】
次に、ステップS303の処理において、搬送機構制御部36は、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS304の処理において、X線管制御部34は、Sは何であるかを判定する。S=0であると判定した場合には、ステップS305の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを弱とする駆動信号をX線管1に出力する。
一方、S=1であると判定した場合には、ステップS306の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを中とする駆動信号をX線管1に出力する。
さらに、S=2であると判定した場合には、ステップS307の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを強とする駆動信号をX線管1に出力する。
【0055】
次に、ステップS308の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、X線検出器12の各光ダイオードから出力された電気信号(アナログ信号)から変換されたそれぞれのデジタル信号(X線透過像データ)を取得する。
次に、ステップS309の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力するとともに、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させ始める。
【0056】
次に、ステップS310の処理において、搬送機構制御部36は、計算開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS311の処理において、X線透過像データ記憶制御部32は、取得した時間とともにデジタル信号を検出信号記憶領域42に記憶させ終えると、搬送機構制御部36に計算終了信号を出力する。
【0057】
次に、ステップS312の処理において、第三設定部37は、X=3であるか否かを判定する。X=3でないと判定した場合には、ステップS313の処理に進むことにより、X=X+1と記憶され、さらにステップS303の処理に戻る。つまり、X=3であると判定するときまで、ステップS303〜S312の処理は繰り返し実行されて、3個の被検査物7bのX線透過像データを記憶させることになる。
【0058】
一方、X=3であると判定した場合には、ステップS314の処理において、第三設定部37は、X=1〜3の被検査物7bのX線透過像データに基づいて、被検査物7bの検査の判定を決定するための閾値パラメータを作成して、設定データ記憶領域41に記憶させて、搬送機構制御部36に計算開始信号を出力する。
例えば、3個の被検査物7bのX線透過像データにおいて、X=0の被検査物7bを載置したときのX線透過像データの最小値と、被検査物7bを載置しなかったとき(X=0)のX線透過像データの値の平均値との差L1’を算出し、同様に、X=2、3の被検査物7bを載置したときのX線透過像データの各最小値と、被検査物7bを載置しなかったときのX線透過像データの値の平均値との差L2’、L3’をそれぞれ算出する。
これにより、差L1’、L2’、L3’のうちの最大値が、閾値パラメータとなるように設定して、X線透過像データの差L’が閾値パラメータの値より大きくなったときには、被検査物7b中に異物が存在すると判定し、一方、X線透過像データの差L’が閾値パラメータの値以下であるときには、被検査物7b中に異物が存在しないと判定するようにする。
次に、ステップS315の処理において、搬送機構制御部36は、計算開始信号を受信することによって、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力する。
そして、ステップS315の処理を終了した場合には、本フローチャートを終了させることになる。
【0059】
判定部39は、検査時に得られた被検査物7bのX線透過像データと、閾値パラメータとに基づいて、被検査物7b中に異物が混入しているか否かの判定を実行する制御を行う。
ここで、被検査物7bの検査の判定を実行する方法の一例について説明する。図13は、被検査物7bの検査の判定を実行する方法について説明するためのフローチャートである。ここでは、検査対象の被検査物7bを次々と用いるものとする。
まず、ステップS401の処理において、操作者のキーボード22aやマウス22bの操作によって検査開始信号が入力される。
次に、ステップS402の処理において、S=(第二設定部35により決定された管電圧の強度レベル)を関数として設定データ記憶領域41に記憶させる。
【0060】
次に、ステップS403の処理において、搬送機構制御部36は、ベルトコンベア5を駆動する駆動開始信号を駆動機構に出力する。
次に、ステップS404の処理において、X線管制御部34は、Sは何であるかを判定する。S=0であると判定した場合には、ステップS405の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを弱とする駆動信号をX線管1に出力する。
一方、S=1であると判定した場合には、ステップS406の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを中とする駆動信号をX線管1に出力する。
さらに、S=2であると判定した場合には、ステップS407の処理に進むことにより、X線管制御部34は、管電圧の強度レベルを強とする駆動信号をX線管1に出力する。
【0061】
次に、ステップS408の処理において、X線透過像データ作成部31は、X線検出器12の各光ダイオードから出力された電気信号(アナログ信号)から変換されたそれぞれのデジタル信号(X線透過像データ)を取得する。
次に、ステップS409の処理において、判定部39は、X線透過像データと閾値パラメータとに基づいて、被検査物7b中に異物が混入しているか否かの判定を実行する。
例えば、X線透過像データの差L’と、閾値パラメータの値とを比較することにより、X線透過像データの差L’が閾値パラメータの値より大きくなったときには、ステップS410の処理に進むことにより、判定部39は、被検査物7b中に異物が存在すると判定する。
一方、X線透過像データの差L’が閾値パラメータの値より小さいときには、ステップS411の処理に進むことにより、判定部39は、被検査物7b中に異物が存在しないと判定する。
【0062】
次に、ステップS412の処理において、操作者のキーボード22aやマウス22bの操作によって検査終了信号が入力されたか否か判断する。
検査終了信号が入力されていない場合には、ステップS408の処理に戻る。つまり、検査終了信号が入力されるときまで、ステップS408〜S412の処理は繰り返し実行されることになる。
一方、検査終了信号を入力した場合には、本フローチャートを終了させることになる。
【0063】
以上のように、X線検査装置80によれば、操作者が手動で管電圧の強度レベルを設定することなく、第一設定部38により置換表が作成される。
また、基準検査物7aを移動させながら行う第一設定時の作業において、X線透過像データを作成して検出信号記憶領域42に記憶させているときには、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力するので、X線透過像データ記憶制御部32がX線透過像データを記憶させている最中に、ベルトコンベア5上に一の基準検査物7aを載置することにより、X線管1とX線検出器3との間を搬送させて、一の基準検査物7aからX線透過像データを得ずに第一設定時の作業を進めるような入力ミス等を起こすことなく、置換表を適切に容易に作成することができる。
さらに、操作者が手動で閾値パラメータを設定することもなく、第三設定部37により閾値パラメータが作成される。
また、被検査物7bを移動させながら行う第三設定時の作業においても、X線透過像データを作成して検出信号記憶領域42に記憶させているときには、ベルトコンベア5の駆動を停止する駆動停止信号を駆動機構に出力するので、X線透過像データ記憶制御部32がX線透過像データを記憶させている最中に、搬送機構上に一の被検査物7bを載置することにより、X線管1とX線検出器3との間を搬送させて、一の被検査物7bからX線透過像データを得ずに第三設定時の作業を進めるような入力ミス等を起こすこともなく、閾値パラメータを適切に容易に作成することができる。
【0064】
(他の実施形態)
(1)上述したX線検査装置80において、X線透過像データの差L’が閾値パラメータの値より大きくなったときには、警告音を出力するような構成としてもよい。
(2)上述したX線検査装置80において、さらに、X線管1の管電流の強度レベルの置換表や、画像コントラストの置換表を作成して、設定データ記憶領域41に記憶させるような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、例えば、生肉、魚、加工食品、医薬等の被検査物に対し、X線を照射したときのX線の透過量から被検査物中の異物を検出するX線検査装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態であるX線検査装置の外観を示す斜視図である。
【図2】X線検査装置の一部の構成を示すブロック図である。
【図3】X線検出器の平面図である。
【図4】図3に示すA−A線の断面図である。
【図5】検出信号に基づいて、得られたX線透過像データの一例である。
【図6】従来のX線検査装置の一部の構成を示す図である。
【図7】置換表を作成する方法について説明するためのフローチャートである。
【図8】置換表を作成する方法について説明するためのフローチャートである。
【図9】管電圧の強度レベルを決定する方法について説明するためのフローチャートである。
【図10】管電圧の強度レベルを決定する方法について説明するためのフローチャートである。
【図11】閾値パラメータを作成する方法について説明するためのフローチャートである。
【図12】閾値パラメータを作成する方法について説明するためのフローチャートである。
【図13】被検査物の検査の判定を実行する方法について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1: X線源
3: X線検出器
5: ベルトコンベア(搬送機構)
7a: 基準検査物
7b: 被検査物
20: 制御系(コンピュータ)
22: 入力装置
23: 表示装置
25: メモリ(記憶部)
31: X線透過像データ作成部
32: X線透過像データ記憶制御部
33: X線透過像データ表示部
35: 第二設定部
36: 搬送機構制御部
37: 第三設定部
38: 第一設定部
39: 判定部
80: X線検査装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射するX線源と、
前記X線源と対向配置され、検出信号を出力するX線検出器と、
前記X線源とX線検出器との間で、基準検査物又は被検査物を搬送する搬送機構と、
検査時のX線源の管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定するための置換表を作成する第一設定時と、検査時のX線源の管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定する第二設定時と、検査時の被検査物の検査の判定を決定するための閾値パラメータを作成する第三設定時とに、前記検出信号に基づいて、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させるX線透過像データ記憶制御部と、
前記第一設定時に記憶された基準検査物のX線透過像データと、管電流及び/又は管電圧の強度レベルとの関係を示す置換表を作成する第一設定部と、
前記第二設定時に記憶された被検査物のX線透過像データと、前記置換表とを用いて管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定する第二設定部と、
前記第二設定部により決定された管電流及び/又は管電圧の強度レベルで第三設定時に記憶された被検査物のX線透過像データに基づいて、前記閾値パラメータを作成する第三設定部とを備えるX線検査装置であって、
前記X線透過像データ記憶制御部が、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、前記搬送機構の駆動を停止する駆動停止信号を搬送機構に出力する搬送機構制御部を備えることを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
検査時に、前記検出信号に基づいて、X線透過像データを作成するX線透過像データ作成部と、
検査時に得られた被検査物のX線透過像データと、前記閾値パラメータとを用いて、前記被検査物の検査の判定を決定する判定部とを備えることを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
第一設定時、第二設定時、第三設定時の少なくとも一つの時に、前記X線透過像データ記憶制御部は、一の基準検査物又は被検査物のX線透過像データを作成して記憶部に記憶させることを、複数の基準検査物又は被検査物について行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記基準検査物は、それぞれX線の透過量が異なるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記被検査物中に異物が混入しているか否かの判定を実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項1】
X線を照射するX線源と、
前記X線源と対向配置され、検出信号を出力するX線検出器と、
前記X線源とX線検出器との間で、基準検査物又は被検査物を搬送する搬送機構と、
検査時のX線源の管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定するための置換表を作成する第一設定時と、検査時のX線源の管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定する第二設定時と、検査時の被検査物の検査の判定を決定するための閾値パラメータを作成する第三設定時とに、前記検出信号に基づいて、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させるX線透過像データ記憶制御部と、
前記第一設定時に記憶された基準検査物のX線透過像データと、管電流及び/又は管電圧の強度レベルとの関係を示す置換表を作成する第一設定部と、
前記第二設定時に記憶された被検査物のX線透過像データと、前記置換表とを用いて管電流及び/又は管電圧の強度レベルを決定する第二設定部と、
前記第二設定部により決定された管電流及び/又は管電圧の強度レベルで第三設定時に記憶された被検査物のX線透過像データに基づいて、前記閾値パラメータを作成する第三設定部とを備えるX線検査装置であって、
前記X線透過像データ記憶制御部が、X線透過像データを作成して記憶部に記憶させているときには、前記搬送機構の駆動を停止する駆動停止信号を搬送機構に出力する搬送機構制御部を備えることを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
検査時に、前記検出信号に基づいて、X線透過像データを作成するX線透過像データ作成部と、
検査時に得られた被検査物のX線透過像データと、前記閾値パラメータとを用いて、前記被検査物の検査の判定を決定する判定部とを備えることを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
第一設定時、第二設定時、第三設定時の少なくとも一つの時に、前記X線透過像データ記憶制御部は、一の基準検査物又は被検査物のX線透過像データを作成して記憶部に記憶させることを、複数の基準検査物又は被検査物について行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記基準検査物は、それぞれX線の透過量が異なるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記被検査物中に異物が混入しているか否かの判定を実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図3】
【図4】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2008−224483(P2008−224483A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64667(P2007−64667)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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