[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1H−ヘプタン酸マグネシウムの新規な形態
【課題】[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1H−ヘプタン酸マグネシウムの新規な形態の提供。
【解決手段】形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態Fと示されるアトルバスタチンマグネシウムの新規な形態、このような化合物を含有する医薬組成物、それらを製造する方法、並びに高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成(BPH)及びアルツハイマー病を治療するための該化合物を利用する方法が記載される。
【解決手段】形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態Fと示されるアトルバスタチンマグネシウムの新規な形態、このような化合物を含有する医薬組成物、それらを製造する方法、並びに高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成(BPH)及びアルツハイマー病を治療するための該化合物を利用する方法が記載される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、1つ又はそれより多くのX線粉末回折、固体(solid state)NMR炭素化学シフト、及び固体NMRフッ素化学シフトによって特徴付けられる[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1H−ヘプタン酸マグネシウム塩の形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態Fとして示される新規な形態に関する。本発明はまた、このような化合物を含有する医薬組成物、それらを製造する方法、並びに、高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成(BPH)及びアルツハイマー病の治療におけるそれらの使用のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA)のメバロン酸塩への変換は、コレステロール生合成経路における初期の律速段階である。この段階は、酵素HMG−CoA還元酵素によって触媒される。スタチンは、HMG−CoA還元酵素によるこの変換の触媒を阻害する。スタチン類は、それ自体で、総合的に強力な脂質低下剤である。
【0003】
アトルバスタチンカルシウムは、米国特許第5,273,995号に開示され、参照により本明細書中に援用されるが、現在、リピトール(LIPITOR)(登録商標)として販売され、化学名:[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1H−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)三水和物を有する。
【0004】
アトルバスタチンカルシウムは、HMG−CoA還元酵素の選択的で競合的な阻害剤である。アトルバスタチンカルシウムは、それ自体で、強力な脂質低下化合物であり、つまり、血中脂質低下剤及び/又は血中コレステロール低下剤として有用である。
【0005】
アトルバスタチン、アトルバスタチンの製剤、並びにアトルバスタチンを製造する方法及び重要な中間体を開示する数多くの特許が発行されている。これらには、米国特許第4,681,893号;第5,273,995号;第5,003,080号;第5,097,045号;第5,103,024号;第5,124,482号;第5,149,837号;第5,155,251号;第5,216,174号;第5,245,047号;5,248,793号;第5,280,126号;第5,397,792号;第5,342,952号;第5,298,627号;5,446,054号;第5,470,981号;第5,489,690号;第5,489,691号;第5,510,488号;第5,686,104号;第5,998,633号;第6,087,511号;第6,126,971号;第6,433,213号;及び、第6,476,235号が含まれ、参照により本明細書中に援用される。
【0006】
加えて、数多くの公開された国際特許出願及び特許は、アトルバスタチンの結晶性形態、並びに非結晶質のアトルバスタチンを製造する方法を開示する。これらには、米国特許第5,969,156号;米国特許第6,121,461号;米国特許第6,605,729号;WO00/71116;WO01/28999;WO01/36384;WO01/42209;WO02/41834;WO02/43667;WO02/43732;WO02/051804;WO02/057228;WO02/057229;WO02/057274;WO02/059087;WO02/072073;WO02/083637;WO02/083638;WO03/050085;WO03/070702;及び、WO04/022053が含まれる。
【0007】
アトルバスタチンは、そのカルシウム塩、即ち、[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1H−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)として製造される。カルシウム塩が望まれるのは、例えば経口投与のための錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、散剤等に好都合にアトルバスタチンを製剤化することができるためである。
【0008】
アトルバスタチンカルシウムを生産する方法は、大規模な生産に耐えられる方法であることが必要である。加えて、生産物は、容易にろ過することができ、簡単に乾燥される形態であることが望ましい。最後に、生産物は、特別の貯蔵条件を必要とせずに長期間安定であることが経済的に望ましい。
【0009】
さらに、数多くの薬物における非結晶質の形態が異なる溶解特性を示し、ある場合には、結晶性形態と比較して異なる生物学的利用能パターンを示すことが開示されている(Konno T.,Chem.Pharm.Bull.,1990;38;2003−2007)。ある治療指標については、1つの生物学的利用能は、別のものと比較して好ましいかもしれない。
【0010】
薬物開発の過程において、一般的に、薬物のうち最も安定な結晶性形態を発見することが重要であると当然に思われている。この最も安定な結晶性形態は、最良の化学的安定性、つまり、製剤中で最長の品質保持期間を有する可能性のある形態である。しかしながら、薬物の複数の形態、例えば、塩、水和物、多形、結晶性及び非結晶性形態を有することもまた利点である。異なる物理的形態が異なる利点を与えるために、薬物の1つの理想的な物理的形態は存在しない。最も安定な形態、及びその他の形態についての探索は困難であり、その結果は予測できない。
【0011】
成功した薬物の開発は、患者に対して治療的に有効な処置となるある種の要件を満たすことが必要とされる。これらの要件は、2種類のカテゴリー:(1)剤形の成功した製造のための要件、及び(2)薬物製剤が患者に投与された後の成功した薬物輸送及び配置についての要件に分類される。
【0012】
種々の経路による投与のための多種の薬物製剤があり、異なる製剤のための最適な薬物形態は異なっている可能性が高い。上述したように、薬物製剤は、治療を必要とする患者に成功した配置を可能にするために十分な品質保持期間を有しなければならない。加えて、経口的に服用した場合に、薬物製剤は、患者の胃腸管で溶解するであろう形態で薬物を提供しなければならない。即座放出の剤形、例えば、即座放出の錠剤、カプセル剤、懸濁液、又はサシェでの経口服用については、服用物の完全な溶解及び最適な生物学的利用能を確実にするために、高い溶解性を有する薬物の塩又は薬物形態を有することが一般的に望まれる。ある薬物、特に低溶解性の薬物又は湿潤性が不十分な薬物については、胃腸管に投与した場合、結晶性形態より高い初期の溶解性を一般的に有するであろう非結晶性の薬物形態を利用することが有利であるかもしれない。薬物の非結晶性形態は、しばしば、結晶性形態より化学的にはほとんど安定ではない。つまり、剤形を生産し、包装し、貯蔵し、及び世界中の患者に分布することができる十分な時間でその潜在能力を維持するために安定である実際の製品を提供するのに化学的に十分に安定である非結晶性の薬物形態を同定することは有利がある。
【0013】
他方、薬物形態が難溶である場合、より良く操作する財形がある。例えば、チュアブル(chewable)錠剤又は懸濁液又はサシェ剤形は、薬物を直接的に舌に曝す。このような剤形について、後味の悪さを最小限にする固体状態の薬物の一部を保つために、口内で薬物の溶解性を最小にすることが望まれる。このような剤形について、低溶解性の塩又は結晶性形態を用いることがしばしば望まれる。
【0014】
放出制御された経口又は注射可能な、例えば皮下又は筋内の剤形について、所望の薬物の溶解性は、輸送経路、服用量、剤形設計、及び所望の放出期間の複雑な関数である。高溶解性を有する薬物については、ゆっくりとした溶解を通じて徐放の達成に役立つように、放出制御された剤形のためのより低い溶解性の結晶性塩又は多形を利用することが期待し得る。低溶解性を有する薬物について、放出制御された剤形からの所望の薬物放出速度を支持するような十分な溶解速度を達成するために、高い溶解性の結晶性塩若しくは多形、又は非結晶性形態を利用することが必要であるかもしれない。
【0015】
ソフトゼラチンカプセル剤形(「ソフトゲル」)において、薬物は、少量の溶媒又はベヒクル、例えばトリグリセリド油又はポリエチレングリコールに溶解させ、ゼラチンカプセルにカプセル化される。この剤形のための最適な剤形は、適切なソフトゲルベヒクルにおける高溶解性を有するものである。一般的に、トリグリセリド油でより可溶である薬物形態は、水にはほとんど溶解しないであろう。ソフトゲル剤形のための適切な薬物形態の同定は、種々の塩、多形、結晶性、及び非結晶性形態の研究を必要とする。
【0016】
つまり、薬物形態の所望の溶解性は、同定された使用に依存するが、全部の薬物形態が均等であるわけではないことを参酌することができる。
ヒト及び動物の治療のために実際に有用である薬物形態について、薬物形態が最小の吸湿性を示すことが望まれる。高い吸湿性の薬物を含有する剤形は、保護のための包装を必要とし、湿潤環境において保存する場合には、変化した分解性を示してもよい。つまり、薬物の非吸湿的な結晶性塩及び多形を同定することが望まれる。薬物が非結晶であるか、又は非結晶性形態が溶解性及び分解速度を改善するように望まれる場合、他の非結晶性塩又は形態と比較して低吸湿性を有する非結晶性塩又は形態を同定することが望まれる。
【0017】
結晶性又は非結晶性の薬物は、無水形態で、又は水和物若しくは溶媒和物若しくは水和物/溶媒和物として存在することができる。薬物の水和状態及び溶媒和状態は、その溶解性及び分解性の挙動に影響する。
【0018】
薬物の融点は、異なる塩、多形、結晶性、及び非結晶性形態について変化してもよい。市販錠剤のプレス上の錠剤の製造を可能にするために、薬物の融点は、薬物の製造における薬物の融点を妨げるために、約60℃以上、好ましくは100℃を超えていることが望まれる。この場合には、好ましい薬物形態は、最も高い融点を有するものである。加えて、直射日光、及び赤道近くのような地理的領域において発生する高い環境の貯蔵温度で固体剤形における固体薬物の化学的安定性を確実にするために、高い融点を有することが望まれる。ソフトゲル剤形が望まれる場合、剤形中の薬物の結晶化を最小にするために、低い融点を有する薬物形態を有することが望ましい。つまり、薬物形態の所望の融点は、意図された使用に依存するが、全部の薬物形態が均等であるわけではないことを参酌することができる。
【0019】
薬物の服用量が高い場合、又は少量の剤形が望まれるとすれば、塩、水和物、又は溶媒和物の選択は、単位重量当りの有効性に影響する。例えば、より大きい分子量の対イオンを有する薬物の塩は、より小さい分子量の対イオンを有する薬物の塩よりも1グラム当り低い薬物有効性を有するであろう。単位重量当り最も高い有効性を有する薬物形態を選択することが望まれる。異なる結晶性多形及び非結晶性形態を製造する方法は、薬物によって幅広く変化する。最小限度の毒性溶媒は、特に合成の最終段階のために、そして、特に薬物が合成の最終段階で利用される溶媒を含む溶媒和物として存在する傾向にある場合に、これらの方法において使用されることが望まれる。好ましい薬物形態は、それらの合成においてより少ない毒性溶媒を利用するものである。
【0020】
商業規模で良好な錠剤を形成する薬物の能力は、種々の薬物の物理的特性に依存し、例えば、Hiestand H,Smith D.Indices of tableting performance.Powder Technology,1984;38:145−159に記載される錠剤化の指針である。これらの指針は、優れた錠剤化性能を有する薬物、例えばアトルバスタチンカルシウムの形態を同定するために使用することができる。このような指標の1つは、脆弱崩壊指標(Brittle Fracture Index)(BFI)であり、これは脆弱性を反映し、0(良−低脆弱性)〜1(貧−高脆弱性)の範囲である。機械的特性、流動性、及び錠剤化性能の他の有用な指標又は測定は、圧縮応力、絶対密度、固形分(solid fraction)、動的押込硬度、延性、弾性率、低減弾性率、準静的押込硬度、剪断率、引張強さ、妥協引張強さ、最高結合指数、最低結合指数、脆弱/粘弾性結合指数、歪指数、粘弾性数、内部摩擦の有効角(剪断計試験から)、粘着性(粉末崩壊試験から)、及び流動変動性を含む。これらの多数の測定は、薬物化合物に関して得られ、好ましくは三軸油圧プレスを用いて調製される。さらに、これらの多くの測定は、Hancock B,Carlson G,ladip D,Landon B及びMullarney M.「薬剤物質の結晶性及び非結晶質の形態の機械的性質の比較(Comparison of the mechanical Properties of the Crystalline and Amorphous Forms of a Drug Substance.)」International Journal of Pharmaceutics,2002;241:73−85に記載される。
【0021】
流動に影響を与える薬物形態特性は、錠剤剤形の製造に関してだけではなく、カプセル剤、懸濁液、及びサシェの製造に関しても重要である。
薬物粉末の粒子サイズの分布はまた、製造過程に大きな影響を与え、特に最初から最後まで粒子の流動に影響を与える。
【0022】
上記検討から、全ての治療用途に理想的な薬物形態は存在しないことは明らかである。つまり、種々の製剤に使用することができる様々な独特の薬物形態、例えば、塩、多形、非結晶性形態を探索することが重要である。特定の製剤又は治療用途のための薬物形態の選択は、上述したような様々な特性を考慮することが必要とされ、特別の応用のための最良の形態は、1つの特定の重要な良好な性質を有するものであり、一方、他の性質は、受け入れることができるか、又は最低限受け入れることができる。
【0023】
本発明は、アトルバスタチンマグネシウムの新規な形態を提供することによる必要性に答える。つまり、本発明は、形態A、B、C、D、E、及びFと示されるアトルバスタチンマグネシウムの新規な形態を提供する。本明細書中に開示されるアトルバスタチンマグネシウムの新規な形態は、高い水溶性の利点を提供する。このような形態は、消化管を通過する前に胃の中で十分に分解される必要があるため、これは、即座の放出剤形にとって利点がある。
【発明の開示】
【0024】
発明の概要
第一の側面において、本発明は、下記:
I)CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:9.3、14.3、及び18.4を含有するX線粉末回折;
II)値:118.7、124.4、140.3、及び141.7ppmを含有する13Cシフト;及び
III)値:−108.4、及び−112.6ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される1つ又はそれより多くの特性を有する形態Aのアトルバスタチンマグネシウムを含む。
【0025】
本明細書中に記載されるように、x線粉末回折(XRPD)パターンは、CuKa放射線(1.54Å)を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffracion Detector System)CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometer(Bruker AXS,Inc.,5465 East Cheryl Parkway,Madison,WI)により測定した2θ度、及び>10%の相対強度を有する相対強度及び相対的ピーク幅の観点から表現される。さらに、各々の側面において、本発明は、本明細書中に記載される2θ及びシフト値における実験的偏差を包含し;X線粉末回折(XPRD)で与えられる偏差±0.2°2θ、下記の表1−7、及び固体核磁気共鳴(SSNMR)で与えられる偏差±0.2ppm、下記の表8−19を含む。本明細書中に記載された記述に基づいて、2θ及びシフト値におけるこのような実験的偏差は、当業者によって容易に決定することができる。
【0026】
一態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:9.3、11.7、14.3、及び18.4を含有するX線粉末回折を有する。
【0027】
別の態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、下記の表1及び表7に記載されるCuKa放射線を用いて測定した2θ値を含有するX線粉末回折を有する。
【0028】
別の態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、下記:
A)値:118.7、124.4、140.3、及び141.7ppmを含有する13Cシフト;及び
B)値:−108.4、及び−112.6ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体NMRを有する。
【0029】
別の態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、値:118.7、124.4、140.3、及び141.7ppmを含有する13Cシフト;を有する。
別の態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、表8に記載した値を含有する13Cシフトを有する。
【0030】
別の態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、値:−108.4、及び−112.6ppmを含有する19Fシフトを有する。
別の態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:9.3、14.3、及び18.4を含有するX線粉末回折;値:118.7、124.4、140.3、及び141.7ppmを含有する13Cシフト;及び、値:−108.4、及び−112.6ppmを含有する19Fシフトを有する。
【0031】
第二の側面において、本発明は、下記の表2及び表7に記載されるように、CuKa放射線(1.54Å)を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffracion Detector System)CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometerにより測定した2θ度、及び>10%の相対強度を有する相対強度及び相対的ピーク幅の観点から表現されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる形態Bのアトルバスタチンマグネシウムに指向される。
【0032】
第三の側面において、本発明は、下記の表3及び表7に記載されるように、CuKa放射線(1.54Å)を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffracion Detector System)CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometerにより測定した2θ度、及び>10%の相対強度を有する相対強度及び相対的ピーク幅の観点から表現されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる形態Cのアトルバスタチンマグネシウムに指向される。
【0033】
第四の側面において、本発明は、下記の表4及び表7に記載されるように、CuKa放射線(1.54Å)を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffracion Detector System)CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometerにより測定した2θ度、及び>10%の相対強度を有する相対強度及び相対的ピーク幅の観点から表現されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる形態Dのアトルバスタチンマグネシウムに指向される。
【0034】
第五の側面において、本発明は、下記の表5及び表7に記載されるように、CuKa放射線(1.54Å)を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffracion Detector System)CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometerにより測定した2θ度、及び>10%の相対強度を有する相対強度及び相対的ピーク幅の観点から表現されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる形態Eのアトルバスタチンマグネシウムに指向される。
【0035】
第六の側面において、本発明は、下記の表6及び表7に記載されるように、CuKa放射線(1.54Å)を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffracion Detector System)CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometerにより測定した2θ度、及び>10%の相対強度を有する相対強度及び相対的ピーク幅の観点から表現されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる形態Fのアトルバスタチンマグネシウムに指向される。
【0036】
本発明の更なる態様は、各々が本明細書中に記載される少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤、希釈剤、又は担体と混合して、形態A,B、C、D、E、又はFのアトルバスタチンマグネシウムを含む医薬組成物である。
【0037】
本明細書中に開示されるアトルバスタチンマグネシウムの形態A、B、C、D、E及びFは、アトルバスタチンカルシウム(リピトール(登録商標))が当該技術分野において有用であると知られている治療及び処方計画、並びに服用範囲で使用することができる。HMG−CoA還元酵素の阻害剤として、アトルバスタチンマグネシウムの形態A、B、C、D、E、及びFは、血中脂質低下剤及び血中コレステロール低下剤、並びに骨粗鬆症、良性前立腺過形成(BPH)、及びアルツハイマー病の治療における薬剤として有用である。したがって、本発明のなお更なる態様は、高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成(BPH)、及びアルツハイマー病を治療する方法であって、当該方法は、それを患っている患者に、単位剤形で治療的に有効な量の形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、又は形態Fのアトルバスタチンマグネシウム(各々は本明細書中に記載される)を投与する工程を含む。
【0038】
さらに、本発明は、高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成、又はアルツハイマー病の治療のための医薬の製造における、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、又は形態Fのアトルバスタチンマグネシウム(各々は本明細書中に記載される)の使用に関する。また、本発明は、高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成、又はアルツハイマー病の治療における、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、又は形態Fのアトルバスタチンマグネシウム(各々は本明細書中に記載される)、又はこれらの形態の2つ若しくはそれより多くの組み合わせの使用に関する。
最後に、本発明は、各々が本明細書中に記載される形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、又は形態Fのアトルバスタチンマグネシウムの製造方法に指向される。
【0039】
発明の詳細な説明
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態Fのアトルバスタチンマグネシウムは、1つ又はそれより多くのx線粉末回折−、固体NMR炭素化学シフト−、及び固体NMRフッ素化学シフトパターンによって特徴付けることができる。
【0040】
本発明において開示されるアトルバスタチンマグネシウムの「形態」は、規則結晶、不規則結晶、液体結晶、柔粘性結晶、中間相等として存在することができる。X線粉末ディフラクトグラムにおいて、不規則によって関連付けられる形態は、同じ主要ピーク位置を本質的に有するであろうが、しかし、不規則化過程はこれらのピークのブロード化の原因となるであろう。多くのより弱いピークについては、ブロードが非常に厳しいので、バックグラウンドを上回ってもはや見ることができない。不規則によって引き起こされるピークのブロード化は、加えて、正確なピーク位置の場所に誤差を引き起こすかもしれない。固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルについて、化学シフトにおける有意差は、結晶から無秩序相まで見ることができる。
【0041】
実験
X線粉末回折
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態FのアトルバスタチンマグネシウムをそれらのX線粉末回折パターンにより特徴付けた。つまり、形態A、B、C、D、E、及びFのX線粉末回折パターンは、CuKa放射線を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffraction Detect or System)CSを有するBruker D8 DISCOVER X−ray powder diffratometerで実行した。管電圧及びアンペア数は、それぞれ40kV及び40mAにセットした。15.0cmでセットした検出器距離まで試料を用いてスキャンを回収した。2θで4.5°〜38.7°の範囲をカバーする60秒間スキャンした。回折計をコランダム標準を用いて2θにおけるピーク位置について調整した。Gem Dugout(State College,PA)から購入したASC−6シリコン試料ホルダーで試料を走査した。全ての分析は、室温、一般的には20℃−30℃で行った。WNTソフトウェア・バージョン4.1.14TのGADDSを用いてデータを集め蓄積した。ディフラクトグラムは、2003年にリリースしたDiffracPlusソフトウェアのEvaバージョン8.0(Bruker AXS,Inc.,Madison,WIから利用可能)を用いて評価した。
【0042】
本明細書中に報告した測定のために使用したGADDS CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometerによりX線回折測定を実行するために、典型的には、試料をシリコン試料ホルダーの真ん中にある空洞に設置する。試料粉末をガラススライドで押さえ、又はランダム表面及び適切な試料の高さを確実にするために均等にする。次に、試料ホルダーをBruker装置内に設置し、粉末X線回折パターンを上記で特定した機器パラメータを用いて回収する。このようなX線粉末回折分析と関連した測定差は、(a)試料調製における誤差(例えば、試料の高さ)、(b)機器の誤差(例えば、平面試料の誤差)、(c)較正誤差、(d)操作誤差(ピーク位置を決定する場合に存在するそれらの誤差を含む)、及び(e)材料の性質(例えば、方位配列及び透明度の誤差)を含む種々の因子に起因する。較正誤差及び試料の高さの誤差は、しばしば、同方向における全てのピークのシフトに帰着する。平面なホルダーを用いた場合の試料の高さにおける小さな差は、XRPDピーク位置における大変異へと導くであろう。系統的な研究は、試料の1mmの最高の差が1°2θと同じ高さのピークシフトへと導くことを示した(Chenら;J Pharmaceutical and Biomedical Analysis,2001;26,63)。これらのシフトは、X線ディフラクトグラムから同定することができ、シフトについて補正すること(全てのピーク位置の値に系統的な補正因子を適用すること)、又は機器を再較正することによって排除することができる。上記で言及したように、ピーク位置を一致されるために系統的な補正因子を適用することによって、種々の機器から測定値を修正することができる。一般的に、この補正因子は、測定したピーク位置を期待されるピーク位置と一致するようにし、期待される2θ値±0.2°2θの範囲にある。
【0043】
表1−6は、本出願で開示した各形態のアトルバスタチンマグネシウムのX線粉末回折パターンについての角度2θ、相対強度、及び相対ピーク幅におけるピーク位置を列挙する。相対的に狭いピーク位置は、DiffracPlusのEvaバージョン8.0ソフトウェアで採取した。よりブロードなピーク位置は、視覚的に決定される。全てのピーク位置は、0.1°2θまで回転した。次の省略形は、ピーク強度(s=強い;m=中位;w=弱い)及びピーク幅(b=ブロード(ここで、ブロードは0.2と1.0°2θとの間のピーク幅を意味する)、sh=肩、vb=非常のブロード(ここで、非常にブロードは>1度の2θ幅のピークを意味する))を記述するために表1−6に使用される。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
固体NMR分光法
13C−、及び19F分光法について、約80mgの各試料を4mmのZrOスピナーに固く詰めた。スペクトルは、広い口径のBruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計中に位置したBruker−Biosin 4mm BL HFX CPMASプローブ(Bruker BioSpin Corporation,15 Fortune Drive,Manning Park,Billerica,MA 01821−3991)上で大気状態で回収した。4mmのスピナーのための最大限に特定したスピン速度に対応するマジック角に試料を位置させ、15.0kHzでスピンした。早いスピン速度は、スピンのサイドバンドの強度を最小限にした。スキャン数を適正なS/Nが得られるように調整した。
13C分光計
13C固体スペクトルは、プロトン分離交差分極マジック角回転実験(CPMAS)を用いて回収した。Hartman−Hahn接触時間を2.0msにセットした。約90kHzのプロトン分離磁場を適用した。2084スキャンを回収した。リサイクル遅延を7秒に調整した。シフト値を表8〜13に列挙した。高磁場共鳴を29.5ppmにセットし、結晶性アダマンタンの外部標準を用いてスペクトルを参照した。
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】
【表11】
【0056】
【表12】
【0057】
【表13】
【0058】
表8−13のそれぞれにおいて、「a]は、29.5ppmでの固体状態のアダマンタンの外部試料を意味し;「b」は、ピークの高さとして定義される。CPMAS実験パラメータの実際の構成及び試料の熱履歴によって強度は変化することができる。CPMAS強度は、必ずしも定量されていない。
【0059】
19F分光法
19F固体スペクトルをプロトン分離マジック角回転(MAS)実験を用いて回収した。約90kHzのプロトン分離磁場を適用した。32スキャンを回収した。定量的スペクトルの獲得を確実にするためにリサイクル遅延を90秒にセットした。プロトン縦緩和時間(1H T1)をフッ素検出プロトン反転回復緩和実験に基づいて計算した。フッ素縦緩和時間(19F T1)をフッ素検出フッ素反転回転緩和実験に基づいて計算した。−76.54ppmに共鳴をセットしたトリフルオロ酢酸(水中の50%V/V)の外部試料を用いてスペクトルを参照した。表14〜19は、それぞれ形態A、B、C、D、E、及びFのアトルバスタチンマグネシウムのppmでのフッ素化学シフトを列挙する。
【0060】
【表14】
【0061】
【表15】
【0062】
【表16】
【0063】
【表17】
【0064】
【表18】
【0065】
【表19】
【0066】
本明細書中に記載したアトルバスタチンマグネシウムの形態は、無水形態で存在することができ、並びに様々な量の水及び/溶媒を含有する。アトルバスタチンマグネシウム無水、水和及び溶媒和の形態は、本発明の範囲に包含されることが意図される。本明細書中に記載されるアトルバスタチンマグネシウムの形態は、均等なx線粉末ディフラクトグラムを有する水及び/溶媒の範囲にもかかわらず、本発明の範囲内である。
本明細書中に記載したアトルバスタチンマグネシウムの新規な形態は、有利な特性を有する。
【0067】
商業規模で良好な錠剤を形成する材料の能力は、薬物の種々の物理的な性質に依存し、例えば、Hiestand H.及びSmith D.,Indices of Tableting Performance,Powder Tchnology,1984,38;145−159に記載される錠剤化指数に依存する。これらの指数は、優れた錠剤化性能を有するアトルバスタチンマグネシウムの形態を同定するために使用することができる。このような指数の1つは、脆弱崩壊指数(BFI)であり、それは脆弱性を反映し、0(良−低い脆弱性)〜1(貧−高い脆弱性)の範囲である。
【0068】
本発明は、形態A、B、C、D、E及びFのアトルバスタチンマグネシウムを生ずる条件下で、アトルバスタチンマグネシウムを形成すること(例えば、溶液又は溶媒中のスラリー)を含む形態A、B、C、D、E及びFのアトルバスタチンマグネシウムを製造する方法に関する。
【0069】
形態A、B、C、D、E及びFのアトルバスタチンマグネシウムを形成する正確な条件は、実験的の決定することができ、実施に適していることが見出された方法は、本明細書中に記載されている。
【0070】
本発明の化合物は、幅広く経口用及び非経口用の剤形で製造し投与することができる。本発明の化合物は、注入、即ち、静脈、筋内、皮内、皮下、十二指腸内、又は腹腔内に投与することができる。また、本発明の化合物は、吸入、例えば、鼻腔内に投与することができる。加えて、本発明の化合物は、経皮的に投与することができる。下記の剤形が活性成分として本発明の化合物を含むことができることは、当業者に明らかであろう。
【0071】
本発明の化合物から医薬組成物を請求項増することに関しては、医薬として許容される担体が固体又は液体のいずれかであることができる。固体形態の調製剤は、散剤、錠剤、ピル、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒を含む。固体担体は、希釈剤、風味剤、安定化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化物質のように作用することもできる1個又はそれより多くの物質であることができる。
【0072】
散剤において、担体は、細かく分割した活性成分と合わせた細かく分割した固体である。
錠剤において、活性成分は、適した比率で必要な結合特性を有する担体と混合し、所望の形状及びサイズに凝縮される。
【0073】
散剤及び錠剤は、約70%の活性成分に対して2又は10%を好ましくは含有する。適切な担体は、炭酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、低融解ワックス、カカオバター等である。用語「製造」は、担体としての材料をカプセル化することを伴って活性成分の製剤化を含むことが意図され、活性成分が、他の担体の有無にかかわらずに、担体によって取り囲まれ、つまり、それと共同してカプセルを提供する。同様に、カシェ剤及びロゼンジが含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、ピル、カシェ剤、及びロゼンジは、経口投与に適した固体剤形として使用することができる。
【0074】
坐剤の調製に関して、低融解ワックス、例えば脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物は、最初に融解し、活性成分が、例えば撹拌することによってその中に均一に分散する。次に、融解した均一な混合物を都合の良いサイズの鋳型に注ぎ、冷却し、それによって凝固する。
【0075】
液体形態調製剤は、溶液、懸濁液、滞留浣腸液、及び乳濁液、例えば水又は水プロピレングリコール溶液を含む。非経口注入に関して、液体調製剤は、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液に製剤化することができる。
【0076】
経口使用のために適した水溶液は、活性成分を水に溶解し、所望により、適した着色剤、香味剤、安定化剤、及び増粘剤を添加することによって製造することができる。
経口使用のために適した水性懸濁液は、粘性材料、例えば天然又は合成のゴム、レジン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他の周知の懸濁剤と一緒に、細かく分割した活性成分を水中に分散させることによって作製することができる。
【0077】
経口投与用の液体形態調製剤に、使用直前に変換されることが意図される固体形態調製剤もまた含まれる。このような液体形態は、溶液剤、懸濁剤、及び乳化剤を含む。これらの調製剤は、活性成分に加えて、着色剤、香味剤、安定化剤、緩衝剤、人口及び天然の甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有する。
【0078】
医薬組成物は、好ましくは、単位剤形である。このような形態では、調製剤は、活性成分の適量を含有する単位服用量にさらに分割される。単位剤形は、包装された製剤であり得て、該包装は個別の量の調製剤を含み、例えば、包装された錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の散剤である。また、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、又はロゼンジそれ自身であり得て、又は、包装された形態である適切な数のこれらのいずれかであり得る。
【0079】
単位服用調製剤中の活性成分の量は、特定の応用、及び活性成分の潜在能力に応じて、0.5mg〜100mg、好ましくは2.5〜80mgで変化し又は調整することができる。組成物は、所望であれば、同時に他の融和性の治療薬を含有することができる。
【0080】
血中脂質低下剤及び/又は血中コレステロール低下剤、及びBPH、骨粗鬆症、及びアルツハイマー病を治療する薬剤としての治療的使用において、本発明の方法に利用される形態A、B、C、D、E、及びFのアトルバスタチンマグネシウムは、毎日約2.5mg〜約80mgの初期の服用量で投与される。通常の毎日の服用量は、約2.5mg〜約20mgの範囲でそれらを含む。しかしながら、服用量は、患者の要求、治療される症状の重症度、及び使用される化合物に依存して変化してもよい。特定の状況のための適切な服用量の決定は、当該分野の技術の範囲内である。一般的に、治療は、化合物の最適な服用量よりも少ない服用量で開始される。その後、その状況下での最適な効果が達成されるまで、少量ずつの増加によって服用量が増加する。便宜上、毎日の全服用量は分割され、所望であればその日中に部分的に投与してもよい。
【0081】
アトルバスタチンマグネシウムの形態Aは、アトルバスタチンのラクトン形態(米国特許第5,273,995号)をラクトン及びナトリウム塩形態の両方を溶解できる溶媒に溶解させることによって製造することができる。通常の溶媒は、低分子量のアルコール、例えばメタノール及びエタノール、水若しくはテトラヒドロフラン(THF)又はその混合物を含む。NaOHを溶液に添加し、約45℃〜約55℃の温度で撹拌し、その後、マグネシウム塩、例えばMgCl2又はその水和物形態をゆっくり添加する。次に、この混合物を周囲温度まで冷却し、懸濁液、及びその懸濁液からろ過することができる沈殿物が生じる。その後、水を撹拌しながら得られた溶液にゆっくり添加し、その後にろ過によって除去することができるアトルバスタチンマグネシウムの形態Aの第二の沈殿物を産生する。
【0082】
アトルバスタチンマグネシウムの形態Bは、上記で検討したように、形態Aの試料を芳香族の有機溶媒、例えばベンゼンキシレン、オルト−キシレン、パラ−キシレン、メタ−キシレン、トルエン等に、約40℃〜約80℃の温度で懸濁させ、形態Bのアトルバスタチンマグネシウムが得られるまで撹拌することによって製造することができる。
【0083】
アトルバスタチンマグネシウムの形態Cは、上記で検討したように、形態Aの試料をアセトニトリルと水との混合物に、周囲温度で、アセトニトリル/水の混合物(体積/体積)の80%以下であるが50%以上であるアセトニトリルを用いて懸濁することによって得ることができる。次に、得られる混合物を周囲温度で形態Cが産出するまで撹拌することができる。
【0084】
形態Dのアトルバスタチンマグネシウムは、上記で検討したように、形態Aの試料を約9/1(体積/体積)2−プロパノール/水の混合物に、周囲温度で懸濁させ、形態Dが得られるまでその得られる混合物を撹拌することによって得ることができる。
【0085】
形態Eのアトルバスタチンマグネシウムは、上記で検討したように、形態Aの試料を水に周囲温度で懸濁させ、形態Eが得られるまで撹拌することによって調製することができる。
【0086】
形態Fのアトルバスタチンマグネシウムは、上記で検討したように、形態Aの利用を水に約45℃〜約100℃の温度で懸濁させ、形態Fが得られるまでその得られる混合物を撹拌することによって調製することができる。
【0087】
当業者は、アトルバスタチンマグネシウムの形態が、上記の工程において費やした時間量に依存して異なった量で得られるであろうことを理解するであろう。所望の形態の量は、上記の方法によって1日〜50日の期間で得られる。当該技術分野において既知の方法は、得られる懸濁液から所望のアトルバスタチンマグネシウム物質を例えば遠心ろ過によって得るために使用することができることも理解されるであろう。
次の非制限的な実施例は、本発明の化合物を製造するための方法を説明する。
【実施例】
【0088】
実施例1
[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1H−ヘプタン酸ヘミマグネシウム塩(形態A、B、C、D、E、及びFのアトルバスタチンマグネシウム)
【0089】
形態Aのアトルバスタチンマグネシウム
アトルバスタチンのラクトン形態(米国特許第5,273,995号)の試料6.0gを室温で100mlのメタノールに溶解した。次に、1N NaOHの約11.8mL(1.05mol当量)を混合物に添加した。その後、溶液を50℃で約1時間撹拌した。次に、5mLのH2O中の1.19g MgCl2・6H2O(0.55mol当量)の溶液を反応混合物にゆっくり添加した。その後、混合物を室温まで冷却し、得られた沈殿物を0.45μmのナイロンメンブレンフィルターを通して真空ろ過によって除去した。次に、約100mLのH2Oをろ過した溶液にゆっくり添加し、これにより白色の沈殿物が形成した。その後、固体試料は、真空ろ過によって単離した。次に、ろ過した固体は、70℃で約2時間、真空下で乾燥させ、5.8gの形態Aのアトルバスタチンマグネシウムを得た。
【0090】
形態Bのアトルバスタチンマグネシウム
50mgの形態Aのアトルバスタチンマグネシウム(上記の通り製造した)を400rpmでマグネティックスターラーを用いて45℃で28日間、0.25mLのオルト−キシレン中でスラリーにした。次に、固体試料を0.45μmのナイロンメンブレンフィルターを通して遠心ろ過によって単離した。その後、ろ過した固体を約5時間、周囲状態で空気乾燥させ、形態Bのアトルバスタチンマグネシウムを得た。
【0091】
形態Cのアトルバスタチンマグネシウム
50mgの形態Aのアトルバスタチンマグネシウム(上記の通り製造した)を300rpmでマグネティックスターラーを用いて周囲温度で28日間、0.75mLのアセトニトリル:水(8:2、v/v)中でスラリーにした。次に、固体試料を0.45μmのナイロンメンブレンフィルターを通して遠心ろ過によって単離した。その後、ろ過した固体を約5時間、周囲状態で空気乾燥させ、形態Cのアトルバスタチンマグネシウムを得た。
【0092】
形態Dのアトルバスタチンマグネシウム
50mgの形態Aのアトルバスタチンマグネシウム(上記の通り製造した)を300rpmでマグネティックスターラーを用いて周囲温度で28日間、1mLの2−プロパノール:水(9:1、v/v)中でスラリーにした。次に、固体試料を0.45μmのナイロンメンブレンフィルターを通して遠心ろ過によって単離した。その後、ろ過した固体を約5時間、周囲状態で空気乾燥させ、形態Dのアトルバスタチンマグネシウムを得た。
【0093】
形態Eのアトルバスタチンマグネシウム
50mgの形態Aのアトルバスタチンマグネシウム(上記の通り製造した)を300rpmでマグネティックスターラーを用いて周囲温度で28日間、3mLの水中でスラリーにした。次に、固体試料を0.45μmのナイロンメンブレンフィルターを通して遠心ろ過によって単離した。その後、ろ過した固体を約5時間、周囲状態で空気乾燥させ、形態Eのアトルバスタチンマグネシウムを得た。
【0094】
形態Fのアトルバスタチンマグネシウム
50mgの形態Aのアトルバスタチンマグネシウム(上記の通り製造した)を300rpm400rpmでマグネティックスターラーを用いて45℃で28日間、1mLの水中でスラリーにした。次に、固体試料を0.45μmのナイロンメンブレンフィルターを通して遠心ろ過によって単離した。その後、ろ過した固体を約5時間、周囲状態で空気乾燥させ、形態Fのアトルバスタチンマグネシウムを得た。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1:GADDS(General Area Diffraction Detector System)CS X線粉末回折計を装備するBruker D8 DISCOVERによって測定した形態Aのアトルバスタチンマグネシウムのディフラクトグラム。
【図2】図2:GADDS CS X線粉末回折計を装備するBruker D8 DISCOVERによって測定した形態Bのアトルバスタチンマグネシウムのディフラクトグラム。
【図3】図3:GADDS CS X線粉末回折計を装備するBruker D8 DISCOVERによって測定した形態Cのアトルバスタチンマグネシウムのディフラクトグラム。
【図4】図4:GADDS CS X線粉末回折計を装備するBruker D8 DISCOVERによって測定した形態Dのアトルバスタチンマグネシウムのディフラクトグラム。
【図5】図5:GADDS CS X線粉末回折計を装備するBruker D8 DISCOVERによって測定した形態Eのアトルバスタチンマグネシウムのディフラクトグラム。
【図6】図6:GADDS CS X線粉末回折計を装備するBruker D8 DISCOVERによって測定した形態Fのアトルバスタチンマグネシウムのディフラクトグラム。
【図7】図7:形態Aのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離13C CPMASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図8】図8:形態Bのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離13C CPMASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図9】図9:形態Cのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離13C CPMASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図10】図10:形態Dのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離13C CPMASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図11】図11:形態Eのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離13C CPMASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図12】図12:形態Fのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離13C CPMASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図13】図13:形態Aのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離19F MASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図14】図14:形態Bのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離19F MASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図15】図15:形態Cのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離19F MASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図16】図16:形態Dのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離19F MASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図17】図17:形態Eのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離19F MASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図18】図18:形態Fのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離19F MASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、1つ又はそれより多くのX線粉末回折、固体(solid state)NMR炭素化学シフト、及び固体NMRフッ素化学シフトによって特徴付けられる[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1H−ヘプタン酸マグネシウム塩の形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態Fとして示される新規な形態に関する。本発明はまた、このような化合物を含有する医薬組成物、それらを製造する方法、並びに、高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成(BPH)及びアルツハイマー病の治療におけるそれらの使用のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA)のメバロン酸塩への変換は、コレステロール生合成経路における初期の律速段階である。この段階は、酵素HMG−CoA還元酵素によって触媒される。スタチンは、HMG−CoA還元酵素によるこの変換の触媒を阻害する。スタチン類は、それ自体で、総合的に強力な脂質低下剤である。
【0003】
アトルバスタチンカルシウムは、米国特許第5,273,995号に開示され、参照により本明細書中に援用されるが、現在、リピトール(LIPITOR)(登録商標)として販売され、化学名:[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1H−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)三水和物を有する。
【0004】
アトルバスタチンカルシウムは、HMG−CoA還元酵素の選択的で競合的な阻害剤である。アトルバスタチンカルシウムは、それ自体で、強力な脂質低下化合物であり、つまり、血中脂質低下剤及び/又は血中コレステロール低下剤として有用である。
【0005】
アトルバスタチン、アトルバスタチンの製剤、並びにアトルバスタチンを製造する方法及び重要な中間体を開示する数多くの特許が発行されている。これらには、米国特許第4,681,893号;第5,273,995号;第5,003,080号;第5,097,045号;第5,103,024号;第5,124,482号;第5,149,837号;第5,155,251号;第5,216,174号;第5,245,047号;5,248,793号;第5,280,126号;第5,397,792号;第5,342,952号;第5,298,627号;5,446,054号;第5,470,981号;第5,489,690号;第5,489,691号;第5,510,488号;第5,686,104号;第5,998,633号;第6,087,511号;第6,126,971号;第6,433,213号;及び、第6,476,235号が含まれ、参照により本明細書中に援用される。
【0006】
加えて、数多くの公開された国際特許出願及び特許は、アトルバスタチンの結晶性形態、並びに非結晶質のアトルバスタチンを製造する方法を開示する。これらには、米国特許第5,969,156号;米国特許第6,121,461号;米国特許第6,605,729号;WO00/71116;WO01/28999;WO01/36384;WO01/42209;WO02/41834;WO02/43667;WO02/43732;WO02/051804;WO02/057228;WO02/057229;WO02/057274;WO02/059087;WO02/072073;WO02/083637;WO02/083638;WO03/050085;WO03/070702;及び、WO04/022053が含まれる。
【0007】
アトルバスタチンは、そのカルシウム塩、即ち、[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1H−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)として製造される。カルシウム塩が望まれるのは、例えば経口投与のための錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、散剤等に好都合にアトルバスタチンを製剤化することができるためである。
【0008】
アトルバスタチンカルシウムを生産する方法は、大規模な生産に耐えられる方法であることが必要である。加えて、生産物は、容易にろ過することができ、簡単に乾燥される形態であることが望ましい。最後に、生産物は、特別の貯蔵条件を必要とせずに長期間安定であることが経済的に望ましい。
【0009】
さらに、数多くの薬物における非結晶質の形態が異なる溶解特性を示し、ある場合には、結晶性形態と比較して異なる生物学的利用能パターンを示すことが開示されている(Konno T.,Chem.Pharm.Bull.,1990;38;2003−2007)。ある治療指標については、1つの生物学的利用能は、別のものと比較して好ましいかもしれない。
【0010】
薬物開発の過程において、一般的に、薬物のうち最も安定な結晶性形態を発見することが重要であると当然に思われている。この最も安定な結晶性形態は、最良の化学的安定性、つまり、製剤中で最長の品質保持期間を有する可能性のある形態である。しかしながら、薬物の複数の形態、例えば、塩、水和物、多形、結晶性及び非結晶性形態を有することもまた利点である。異なる物理的形態が異なる利点を与えるために、薬物の1つの理想的な物理的形態は存在しない。最も安定な形態、及びその他の形態についての探索は困難であり、その結果は予測できない。
【0011】
成功した薬物の開発は、患者に対して治療的に有効な処置となるある種の要件を満たすことが必要とされる。これらの要件は、2種類のカテゴリー:(1)剤形の成功した製造のための要件、及び(2)薬物製剤が患者に投与された後の成功した薬物輸送及び配置についての要件に分類される。
【0012】
種々の経路による投与のための多種の薬物製剤があり、異なる製剤のための最適な薬物形態は異なっている可能性が高い。上述したように、薬物製剤は、治療を必要とする患者に成功した配置を可能にするために十分な品質保持期間を有しなければならない。加えて、経口的に服用した場合に、薬物製剤は、患者の胃腸管で溶解するであろう形態で薬物を提供しなければならない。即座放出の剤形、例えば、即座放出の錠剤、カプセル剤、懸濁液、又はサシェでの経口服用については、服用物の完全な溶解及び最適な生物学的利用能を確実にするために、高い溶解性を有する薬物の塩又は薬物形態を有することが一般的に望まれる。ある薬物、特に低溶解性の薬物又は湿潤性が不十分な薬物については、胃腸管に投与した場合、結晶性形態より高い初期の溶解性を一般的に有するであろう非結晶性の薬物形態を利用することが有利であるかもしれない。薬物の非結晶性形態は、しばしば、結晶性形態より化学的にはほとんど安定ではない。つまり、剤形を生産し、包装し、貯蔵し、及び世界中の患者に分布することができる十分な時間でその潜在能力を維持するために安定である実際の製品を提供するのに化学的に十分に安定である非結晶性の薬物形態を同定することは有利がある。
【0013】
他方、薬物形態が難溶である場合、より良く操作する財形がある。例えば、チュアブル(chewable)錠剤又は懸濁液又はサシェ剤形は、薬物を直接的に舌に曝す。このような剤形について、後味の悪さを最小限にする固体状態の薬物の一部を保つために、口内で薬物の溶解性を最小にすることが望まれる。このような剤形について、低溶解性の塩又は結晶性形態を用いることがしばしば望まれる。
【0014】
放出制御された経口又は注射可能な、例えば皮下又は筋内の剤形について、所望の薬物の溶解性は、輸送経路、服用量、剤形設計、及び所望の放出期間の複雑な関数である。高溶解性を有する薬物については、ゆっくりとした溶解を通じて徐放の達成に役立つように、放出制御された剤形のためのより低い溶解性の結晶性塩又は多形を利用することが期待し得る。低溶解性を有する薬物について、放出制御された剤形からの所望の薬物放出速度を支持するような十分な溶解速度を達成するために、高い溶解性の結晶性塩若しくは多形、又は非結晶性形態を利用することが必要であるかもしれない。
【0015】
ソフトゼラチンカプセル剤形(「ソフトゲル」)において、薬物は、少量の溶媒又はベヒクル、例えばトリグリセリド油又はポリエチレングリコールに溶解させ、ゼラチンカプセルにカプセル化される。この剤形のための最適な剤形は、適切なソフトゲルベヒクルにおける高溶解性を有するものである。一般的に、トリグリセリド油でより可溶である薬物形態は、水にはほとんど溶解しないであろう。ソフトゲル剤形のための適切な薬物形態の同定は、種々の塩、多形、結晶性、及び非結晶性形態の研究を必要とする。
【0016】
つまり、薬物形態の所望の溶解性は、同定された使用に依存するが、全部の薬物形態が均等であるわけではないことを参酌することができる。
ヒト及び動物の治療のために実際に有用である薬物形態について、薬物形態が最小の吸湿性を示すことが望まれる。高い吸湿性の薬物を含有する剤形は、保護のための包装を必要とし、湿潤環境において保存する場合には、変化した分解性を示してもよい。つまり、薬物の非吸湿的な結晶性塩及び多形を同定することが望まれる。薬物が非結晶であるか、又は非結晶性形態が溶解性及び分解速度を改善するように望まれる場合、他の非結晶性塩又は形態と比較して低吸湿性を有する非結晶性塩又は形態を同定することが望まれる。
【0017】
結晶性又は非結晶性の薬物は、無水形態で、又は水和物若しくは溶媒和物若しくは水和物/溶媒和物として存在することができる。薬物の水和状態及び溶媒和状態は、その溶解性及び分解性の挙動に影響する。
【0018】
薬物の融点は、異なる塩、多形、結晶性、及び非結晶性形態について変化してもよい。市販錠剤のプレス上の錠剤の製造を可能にするために、薬物の融点は、薬物の製造における薬物の融点を妨げるために、約60℃以上、好ましくは100℃を超えていることが望まれる。この場合には、好ましい薬物形態は、最も高い融点を有するものである。加えて、直射日光、及び赤道近くのような地理的領域において発生する高い環境の貯蔵温度で固体剤形における固体薬物の化学的安定性を確実にするために、高い融点を有することが望まれる。ソフトゲル剤形が望まれる場合、剤形中の薬物の結晶化を最小にするために、低い融点を有する薬物形態を有することが望ましい。つまり、薬物形態の所望の融点は、意図された使用に依存するが、全部の薬物形態が均等であるわけではないことを参酌することができる。
【0019】
薬物の服用量が高い場合、又は少量の剤形が望まれるとすれば、塩、水和物、又は溶媒和物の選択は、単位重量当りの有効性に影響する。例えば、より大きい分子量の対イオンを有する薬物の塩は、より小さい分子量の対イオンを有する薬物の塩よりも1グラム当り低い薬物有効性を有するであろう。単位重量当り最も高い有効性を有する薬物形態を選択することが望まれる。異なる結晶性多形及び非結晶性形態を製造する方法は、薬物によって幅広く変化する。最小限度の毒性溶媒は、特に合成の最終段階のために、そして、特に薬物が合成の最終段階で利用される溶媒を含む溶媒和物として存在する傾向にある場合に、これらの方法において使用されることが望まれる。好ましい薬物形態は、それらの合成においてより少ない毒性溶媒を利用するものである。
【0020】
商業規模で良好な錠剤を形成する薬物の能力は、種々の薬物の物理的特性に依存し、例えば、Hiestand H,Smith D.Indices of tableting performance.Powder Technology,1984;38:145−159に記載される錠剤化の指針である。これらの指針は、優れた錠剤化性能を有する薬物、例えばアトルバスタチンカルシウムの形態を同定するために使用することができる。このような指標の1つは、脆弱崩壊指標(Brittle Fracture Index)(BFI)であり、これは脆弱性を反映し、0(良−低脆弱性)〜1(貧−高脆弱性)の範囲である。機械的特性、流動性、及び錠剤化性能の他の有用な指標又は測定は、圧縮応力、絶対密度、固形分(solid fraction)、動的押込硬度、延性、弾性率、低減弾性率、準静的押込硬度、剪断率、引張強さ、妥協引張強さ、最高結合指数、最低結合指数、脆弱/粘弾性結合指数、歪指数、粘弾性数、内部摩擦の有効角(剪断計試験から)、粘着性(粉末崩壊試験から)、及び流動変動性を含む。これらの多数の測定は、薬物化合物に関して得られ、好ましくは三軸油圧プレスを用いて調製される。さらに、これらの多くの測定は、Hancock B,Carlson G,ladip D,Landon B及びMullarney M.「薬剤物質の結晶性及び非結晶質の形態の機械的性質の比較(Comparison of the mechanical Properties of the Crystalline and Amorphous Forms of a Drug Substance.)」International Journal of Pharmaceutics,2002;241:73−85に記載される。
【0021】
流動に影響を与える薬物形態特性は、錠剤剤形の製造に関してだけではなく、カプセル剤、懸濁液、及びサシェの製造に関しても重要である。
薬物粉末の粒子サイズの分布はまた、製造過程に大きな影響を与え、特に最初から最後まで粒子の流動に影響を与える。
【0022】
上記検討から、全ての治療用途に理想的な薬物形態は存在しないことは明らかである。つまり、種々の製剤に使用することができる様々な独特の薬物形態、例えば、塩、多形、非結晶性形態を探索することが重要である。特定の製剤又は治療用途のための薬物形態の選択は、上述したような様々な特性を考慮することが必要とされ、特別の応用のための最良の形態は、1つの特定の重要な良好な性質を有するものであり、一方、他の性質は、受け入れることができるか、又は最低限受け入れることができる。
【0023】
本発明は、アトルバスタチンマグネシウムの新規な形態を提供することによる必要性に答える。つまり、本発明は、形態A、B、C、D、E、及びFと示されるアトルバスタチンマグネシウムの新規な形態を提供する。本明細書中に開示されるアトルバスタチンマグネシウムの新規な形態は、高い水溶性の利点を提供する。このような形態は、消化管を通過する前に胃の中で十分に分解される必要があるため、これは、即座の放出剤形にとって利点がある。
【発明の開示】
【0024】
発明の概要
第一の側面において、本発明は、下記:
I)CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:9.3、14.3、及び18.4を含有するX線粉末回折;
II)値:118.7、124.4、140.3、及び141.7ppmを含有する13Cシフト;及び
III)値:−108.4、及び−112.6ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される1つ又はそれより多くの特性を有する形態Aのアトルバスタチンマグネシウムを含む。
【0025】
本明細書中に記載されるように、x線粉末回折(XRPD)パターンは、CuKa放射線(1.54Å)を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffracion Detector System)CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometer(Bruker AXS,Inc.,5465 East Cheryl Parkway,Madison,WI)により測定した2θ度、及び>10%の相対強度を有する相対強度及び相対的ピーク幅の観点から表現される。さらに、各々の側面において、本発明は、本明細書中に記載される2θ及びシフト値における実験的偏差を包含し;X線粉末回折(XPRD)で与えられる偏差±0.2°2θ、下記の表1−7、及び固体核磁気共鳴(SSNMR)で与えられる偏差±0.2ppm、下記の表8−19を含む。本明細書中に記載された記述に基づいて、2θ及びシフト値におけるこのような実験的偏差は、当業者によって容易に決定することができる。
【0026】
一態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:9.3、11.7、14.3、及び18.4を含有するX線粉末回折を有する。
【0027】
別の態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、下記の表1及び表7に記載されるCuKa放射線を用いて測定した2θ値を含有するX線粉末回折を有する。
【0028】
別の態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、下記:
A)値:118.7、124.4、140.3、及び141.7ppmを含有する13Cシフト;及び
B)値:−108.4、及び−112.6ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体NMRを有する。
【0029】
別の態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、値:118.7、124.4、140.3、及び141.7ppmを含有する13Cシフト;を有する。
別の態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、表8に記載した値を含有する13Cシフトを有する。
【0030】
別の態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、値:−108.4、及び−112.6ppmを含有する19Fシフトを有する。
別の態様において、本発明の形態Aのアトルバスタチンマグネシウムは、CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:9.3、14.3、及び18.4を含有するX線粉末回折;値:118.7、124.4、140.3、及び141.7ppmを含有する13Cシフト;及び、値:−108.4、及び−112.6ppmを含有する19Fシフトを有する。
【0031】
第二の側面において、本発明は、下記の表2及び表7に記載されるように、CuKa放射線(1.54Å)を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffracion Detector System)CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometerにより測定した2θ度、及び>10%の相対強度を有する相対強度及び相対的ピーク幅の観点から表現されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる形態Bのアトルバスタチンマグネシウムに指向される。
【0032】
第三の側面において、本発明は、下記の表3及び表7に記載されるように、CuKa放射線(1.54Å)を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffracion Detector System)CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometerにより測定した2θ度、及び>10%の相対強度を有する相対強度及び相対的ピーク幅の観点から表現されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる形態Cのアトルバスタチンマグネシウムに指向される。
【0033】
第四の側面において、本発明は、下記の表4及び表7に記載されるように、CuKa放射線(1.54Å)を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffracion Detector System)CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometerにより測定した2θ度、及び>10%の相対強度を有する相対強度及び相対的ピーク幅の観点から表現されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる形態Dのアトルバスタチンマグネシウムに指向される。
【0034】
第五の側面において、本発明は、下記の表5及び表7に記載されるように、CuKa放射線(1.54Å)を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffracion Detector System)CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometerにより測定した2θ度、及び>10%の相対強度を有する相対強度及び相対的ピーク幅の観点から表現されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる形態Eのアトルバスタチンマグネシウムに指向される。
【0035】
第六の側面において、本発明は、下記の表6及び表7に記載されるように、CuKa放射線(1.54Å)を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffracion Detector System)CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometerにより測定した2θ度、及び>10%の相対強度を有する相対強度及び相対的ピーク幅の観点から表現されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる形態Fのアトルバスタチンマグネシウムに指向される。
【0036】
本発明の更なる態様は、各々が本明細書中に記載される少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤、希釈剤、又は担体と混合して、形態A,B、C、D、E、又はFのアトルバスタチンマグネシウムを含む医薬組成物である。
【0037】
本明細書中に開示されるアトルバスタチンマグネシウムの形態A、B、C、D、E及びFは、アトルバスタチンカルシウム(リピトール(登録商標))が当該技術分野において有用であると知られている治療及び処方計画、並びに服用範囲で使用することができる。HMG−CoA還元酵素の阻害剤として、アトルバスタチンマグネシウムの形態A、B、C、D、E、及びFは、血中脂質低下剤及び血中コレステロール低下剤、並びに骨粗鬆症、良性前立腺過形成(BPH)、及びアルツハイマー病の治療における薬剤として有用である。したがって、本発明のなお更なる態様は、高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成(BPH)、及びアルツハイマー病を治療する方法であって、当該方法は、それを患っている患者に、単位剤形で治療的に有効な量の形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、又は形態Fのアトルバスタチンマグネシウム(各々は本明細書中に記載される)を投与する工程を含む。
【0038】
さらに、本発明は、高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成、又はアルツハイマー病の治療のための医薬の製造における、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、又は形態Fのアトルバスタチンマグネシウム(各々は本明細書中に記載される)の使用に関する。また、本発明は、高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成、又はアルツハイマー病の治療における、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、又は形態Fのアトルバスタチンマグネシウム(各々は本明細書中に記載される)、又はこれらの形態の2つ若しくはそれより多くの組み合わせの使用に関する。
最後に、本発明は、各々が本明細書中に記載される形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、又は形態Fのアトルバスタチンマグネシウムの製造方法に指向される。
【0039】
発明の詳細な説明
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態Fのアトルバスタチンマグネシウムは、1つ又はそれより多くのx線粉末回折−、固体NMR炭素化学シフト−、及び固体NMRフッ素化学シフトパターンによって特徴付けることができる。
【0040】
本発明において開示されるアトルバスタチンマグネシウムの「形態」は、規則結晶、不規則結晶、液体結晶、柔粘性結晶、中間相等として存在することができる。X線粉末ディフラクトグラムにおいて、不規則によって関連付けられる形態は、同じ主要ピーク位置を本質的に有するであろうが、しかし、不規則化過程はこれらのピークのブロード化の原因となるであろう。多くのより弱いピークについては、ブロードが非常に厳しいので、バックグラウンドを上回ってもはや見ることができない。不規則によって引き起こされるピークのブロード化は、加えて、正確なピーク位置の場所に誤差を引き起こすかもしれない。固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルについて、化学シフトにおける有意差は、結晶から無秩序相まで見ることができる。
【0041】
実験
X線粉末回折
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態FのアトルバスタチンマグネシウムをそれらのX線粉末回折パターンにより特徴付けた。つまり、形態A、B、C、D、E、及びFのX線粉末回折パターンは、CuKa放射線を用いて反射モードで操作するGADDS(General Area Diffraction Detect or System)CSを有するBruker D8 DISCOVER X−ray powder diffratometerで実行した。管電圧及びアンペア数は、それぞれ40kV及び40mAにセットした。15.0cmでセットした検出器距離まで試料を用いてスキャンを回収した。2θで4.5°〜38.7°の範囲をカバーする60秒間スキャンした。回折計をコランダム標準を用いて2θにおけるピーク位置について調整した。Gem Dugout(State College,PA)から購入したASC−6シリコン試料ホルダーで試料を走査した。全ての分析は、室温、一般的には20℃−30℃で行った。WNTソフトウェア・バージョン4.1.14TのGADDSを用いてデータを集め蓄積した。ディフラクトグラムは、2003年にリリースしたDiffracPlusソフトウェアのEvaバージョン8.0(Bruker AXS,Inc.,Madison,WIから利用可能)を用いて評価した。
【0042】
本明細書中に報告した測定のために使用したGADDS CSを有するBruker D8 Discover X−ray powder diffractometerによりX線回折測定を実行するために、典型的には、試料をシリコン試料ホルダーの真ん中にある空洞に設置する。試料粉末をガラススライドで押さえ、又はランダム表面及び適切な試料の高さを確実にするために均等にする。次に、試料ホルダーをBruker装置内に設置し、粉末X線回折パターンを上記で特定した機器パラメータを用いて回収する。このようなX線粉末回折分析と関連した測定差は、(a)試料調製における誤差(例えば、試料の高さ)、(b)機器の誤差(例えば、平面試料の誤差)、(c)較正誤差、(d)操作誤差(ピーク位置を決定する場合に存在するそれらの誤差を含む)、及び(e)材料の性質(例えば、方位配列及び透明度の誤差)を含む種々の因子に起因する。較正誤差及び試料の高さの誤差は、しばしば、同方向における全てのピークのシフトに帰着する。平面なホルダーを用いた場合の試料の高さにおける小さな差は、XRPDピーク位置における大変異へと導くであろう。系統的な研究は、試料の1mmの最高の差が1°2θと同じ高さのピークシフトへと導くことを示した(Chenら;J Pharmaceutical and Biomedical Analysis,2001;26,63)。これらのシフトは、X線ディフラクトグラムから同定することができ、シフトについて補正すること(全てのピーク位置の値に系統的な補正因子を適用すること)、又は機器を再較正することによって排除することができる。上記で言及したように、ピーク位置を一致されるために系統的な補正因子を適用することによって、種々の機器から測定値を修正することができる。一般的に、この補正因子は、測定したピーク位置を期待されるピーク位置と一致するようにし、期待される2θ値±0.2°2θの範囲にある。
【0043】
表1−6は、本出願で開示した各形態のアトルバスタチンマグネシウムのX線粉末回折パターンについての角度2θ、相対強度、及び相対ピーク幅におけるピーク位置を列挙する。相対的に狭いピーク位置は、DiffracPlusのEvaバージョン8.0ソフトウェアで採取した。よりブロードなピーク位置は、視覚的に決定される。全てのピーク位置は、0.1°2θまで回転した。次の省略形は、ピーク強度(s=強い;m=中位;w=弱い)及びピーク幅(b=ブロード(ここで、ブロードは0.2と1.0°2θとの間のピーク幅を意味する)、sh=肩、vb=非常のブロード(ここで、非常にブロードは>1度の2θ幅のピークを意味する))を記述するために表1−6に使用される。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
固体NMR分光法
13C−、及び19F分光法について、約80mgの各試料を4mmのZrOスピナーに固く詰めた。スペクトルは、広い口径のBruker−Biospin Avance DSX 500MHz NMR分光計中に位置したBruker−Biosin 4mm BL HFX CPMASプローブ(Bruker BioSpin Corporation,15 Fortune Drive,Manning Park,Billerica,MA 01821−3991)上で大気状態で回収した。4mmのスピナーのための最大限に特定したスピン速度に対応するマジック角に試料を位置させ、15.0kHzでスピンした。早いスピン速度は、スピンのサイドバンドの強度を最小限にした。スキャン数を適正なS/Nが得られるように調整した。
13C分光計
13C固体スペクトルは、プロトン分離交差分極マジック角回転実験(CPMAS)を用いて回収した。Hartman−Hahn接触時間を2.0msにセットした。約90kHzのプロトン分離磁場を適用した。2084スキャンを回収した。リサイクル遅延を7秒に調整した。シフト値を表8〜13に列挙した。高磁場共鳴を29.5ppmにセットし、結晶性アダマンタンの外部標準を用いてスペクトルを参照した。
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】
【表11】
【0056】
【表12】
【0057】
【表13】
【0058】
表8−13のそれぞれにおいて、「a]は、29.5ppmでの固体状態のアダマンタンの外部試料を意味し;「b」は、ピークの高さとして定義される。CPMAS実験パラメータの実際の構成及び試料の熱履歴によって強度は変化することができる。CPMAS強度は、必ずしも定量されていない。
【0059】
19F分光法
19F固体スペクトルをプロトン分離マジック角回転(MAS)実験を用いて回収した。約90kHzのプロトン分離磁場を適用した。32スキャンを回収した。定量的スペクトルの獲得を確実にするためにリサイクル遅延を90秒にセットした。プロトン縦緩和時間(1H T1)をフッ素検出プロトン反転回復緩和実験に基づいて計算した。フッ素縦緩和時間(19F T1)をフッ素検出フッ素反転回転緩和実験に基づいて計算した。−76.54ppmに共鳴をセットしたトリフルオロ酢酸(水中の50%V/V)の外部試料を用いてスペクトルを参照した。表14〜19は、それぞれ形態A、B、C、D、E、及びFのアトルバスタチンマグネシウムのppmでのフッ素化学シフトを列挙する。
【0060】
【表14】
【0061】
【表15】
【0062】
【表16】
【0063】
【表17】
【0064】
【表18】
【0065】
【表19】
【0066】
本明細書中に記載したアトルバスタチンマグネシウムの形態は、無水形態で存在することができ、並びに様々な量の水及び/溶媒を含有する。アトルバスタチンマグネシウム無水、水和及び溶媒和の形態は、本発明の範囲に包含されることが意図される。本明細書中に記載されるアトルバスタチンマグネシウムの形態は、均等なx線粉末ディフラクトグラムを有する水及び/溶媒の範囲にもかかわらず、本発明の範囲内である。
本明細書中に記載したアトルバスタチンマグネシウムの新規な形態は、有利な特性を有する。
【0067】
商業規模で良好な錠剤を形成する材料の能力は、薬物の種々の物理的な性質に依存し、例えば、Hiestand H.及びSmith D.,Indices of Tableting Performance,Powder Tchnology,1984,38;145−159に記載される錠剤化指数に依存する。これらの指数は、優れた錠剤化性能を有するアトルバスタチンマグネシウムの形態を同定するために使用することができる。このような指数の1つは、脆弱崩壊指数(BFI)であり、それは脆弱性を反映し、0(良−低い脆弱性)〜1(貧−高い脆弱性)の範囲である。
【0068】
本発明は、形態A、B、C、D、E及びFのアトルバスタチンマグネシウムを生ずる条件下で、アトルバスタチンマグネシウムを形成すること(例えば、溶液又は溶媒中のスラリー)を含む形態A、B、C、D、E及びFのアトルバスタチンマグネシウムを製造する方法に関する。
【0069】
形態A、B、C、D、E及びFのアトルバスタチンマグネシウムを形成する正確な条件は、実験的の決定することができ、実施に適していることが見出された方法は、本明細書中に記載されている。
【0070】
本発明の化合物は、幅広く経口用及び非経口用の剤形で製造し投与することができる。本発明の化合物は、注入、即ち、静脈、筋内、皮内、皮下、十二指腸内、又は腹腔内に投与することができる。また、本発明の化合物は、吸入、例えば、鼻腔内に投与することができる。加えて、本発明の化合物は、経皮的に投与することができる。下記の剤形が活性成分として本発明の化合物を含むことができることは、当業者に明らかであろう。
【0071】
本発明の化合物から医薬組成物を請求項増することに関しては、医薬として許容される担体が固体又は液体のいずれかであることができる。固体形態の調製剤は、散剤、錠剤、ピル、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒を含む。固体担体は、希釈剤、風味剤、安定化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化物質のように作用することもできる1個又はそれより多くの物質であることができる。
【0072】
散剤において、担体は、細かく分割した活性成分と合わせた細かく分割した固体である。
錠剤において、活性成分は、適した比率で必要な結合特性を有する担体と混合し、所望の形状及びサイズに凝縮される。
【0073】
散剤及び錠剤は、約70%の活性成分に対して2又は10%を好ましくは含有する。適切な担体は、炭酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、低融解ワックス、カカオバター等である。用語「製造」は、担体としての材料をカプセル化することを伴って活性成分の製剤化を含むことが意図され、活性成分が、他の担体の有無にかかわらずに、担体によって取り囲まれ、つまり、それと共同してカプセルを提供する。同様に、カシェ剤及びロゼンジが含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、ピル、カシェ剤、及びロゼンジは、経口投与に適した固体剤形として使用することができる。
【0074】
坐剤の調製に関して、低融解ワックス、例えば脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物は、最初に融解し、活性成分が、例えば撹拌することによってその中に均一に分散する。次に、融解した均一な混合物を都合の良いサイズの鋳型に注ぎ、冷却し、それによって凝固する。
【0075】
液体形態調製剤は、溶液、懸濁液、滞留浣腸液、及び乳濁液、例えば水又は水プロピレングリコール溶液を含む。非経口注入に関して、液体調製剤は、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液に製剤化することができる。
【0076】
経口使用のために適した水溶液は、活性成分を水に溶解し、所望により、適した着色剤、香味剤、安定化剤、及び増粘剤を添加することによって製造することができる。
経口使用のために適した水性懸濁液は、粘性材料、例えば天然又は合成のゴム、レジン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他の周知の懸濁剤と一緒に、細かく分割した活性成分を水中に分散させることによって作製することができる。
【0077】
経口投与用の液体形態調製剤に、使用直前に変換されることが意図される固体形態調製剤もまた含まれる。このような液体形態は、溶液剤、懸濁剤、及び乳化剤を含む。これらの調製剤は、活性成分に加えて、着色剤、香味剤、安定化剤、緩衝剤、人口及び天然の甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有する。
【0078】
医薬組成物は、好ましくは、単位剤形である。このような形態では、調製剤は、活性成分の適量を含有する単位服用量にさらに分割される。単位剤形は、包装された製剤であり得て、該包装は個別の量の調製剤を含み、例えば、包装された錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の散剤である。また、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、又はロゼンジそれ自身であり得て、又は、包装された形態である適切な数のこれらのいずれかであり得る。
【0079】
単位服用調製剤中の活性成分の量は、特定の応用、及び活性成分の潜在能力に応じて、0.5mg〜100mg、好ましくは2.5〜80mgで変化し又は調整することができる。組成物は、所望であれば、同時に他の融和性の治療薬を含有することができる。
【0080】
血中脂質低下剤及び/又は血中コレステロール低下剤、及びBPH、骨粗鬆症、及びアルツハイマー病を治療する薬剤としての治療的使用において、本発明の方法に利用される形態A、B、C、D、E、及びFのアトルバスタチンマグネシウムは、毎日約2.5mg〜約80mgの初期の服用量で投与される。通常の毎日の服用量は、約2.5mg〜約20mgの範囲でそれらを含む。しかしながら、服用量は、患者の要求、治療される症状の重症度、及び使用される化合物に依存して変化してもよい。特定の状況のための適切な服用量の決定は、当該分野の技術の範囲内である。一般的に、治療は、化合物の最適な服用量よりも少ない服用量で開始される。その後、その状況下での最適な効果が達成されるまで、少量ずつの増加によって服用量が増加する。便宜上、毎日の全服用量は分割され、所望であればその日中に部分的に投与してもよい。
【0081】
アトルバスタチンマグネシウムの形態Aは、アトルバスタチンのラクトン形態(米国特許第5,273,995号)をラクトン及びナトリウム塩形態の両方を溶解できる溶媒に溶解させることによって製造することができる。通常の溶媒は、低分子量のアルコール、例えばメタノール及びエタノール、水若しくはテトラヒドロフラン(THF)又はその混合物を含む。NaOHを溶液に添加し、約45℃〜約55℃の温度で撹拌し、その後、マグネシウム塩、例えばMgCl2又はその水和物形態をゆっくり添加する。次に、この混合物を周囲温度まで冷却し、懸濁液、及びその懸濁液からろ過することができる沈殿物が生じる。その後、水を撹拌しながら得られた溶液にゆっくり添加し、その後にろ過によって除去することができるアトルバスタチンマグネシウムの形態Aの第二の沈殿物を産生する。
【0082】
アトルバスタチンマグネシウムの形態Bは、上記で検討したように、形態Aの試料を芳香族の有機溶媒、例えばベンゼンキシレン、オルト−キシレン、パラ−キシレン、メタ−キシレン、トルエン等に、約40℃〜約80℃の温度で懸濁させ、形態Bのアトルバスタチンマグネシウムが得られるまで撹拌することによって製造することができる。
【0083】
アトルバスタチンマグネシウムの形態Cは、上記で検討したように、形態Aの試料をアセトニトリルと水との混合物に、周囲温度で、アセトニトリル/水の混合物(体積/体積)の80%以下であるが50%以上であるアセトニトリルを用いて懸濁することによって得ることができる。次に、得られる混合物を周囲温度で形態Cが産出するまで撹拌することができる。
【0084】
形態Dのアトルバスタチンマグネシウムは、上記で検討したように、形態Aの試料を約9/1(体積/体積)2−プロパノール/水の混合物に、周囲温度で懸濁させ、形態Dが得られるまでその得られる混合物を撹拌することによって得ることができる。
【0085】
形態Eのアトルバスタチンマグネシウムは、上記で検討したように、形態Aの試料を水に周囲温度で懸濁させ、形態Eが得られるまで撹拌することによって調製することができる。
【0086】
形態Fのアトルバスタチンマグネシウムは、上記で検討したように、形態Aの利用を水に約45℃〜約100℃の温度で懸濁させ、形態Fが得られるまでその得られる混合物を撹拌することによって調製することができる。
【0087】
当業者は、アトルバスタチンマグネシウムの形態が、上記の工程において費やした時間量に依存して異なった量で得られるであろうことを理解するであろう。所望の形態の量は、上記の方法によって1日〜50日の期間で得られる。当該技術分野において既知の方法は、得られる懸濁液から所望のアトルバスタチンマグネシウム物質を例えば遠心ろ過によって得るために使用することができることも理解されるであろう。
次の非制限的な実施例は、本発明の化合物を製造するための方法を説明する。
【実施例】
【0088】
実施例1
[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1H−ヘプタン酸ヘミマグネシウム塩(形態A、B、C、D、E、及びFのアトルバスタチンマグネシウム)
【0089】
形態Aのアトルバスタチンマグネシウム
アトルバスタチンのラクトン形態(米国特許第5,273,995号)の試料6.0gを室温で100mlのメタノールに溶解した。次に、1N NaOHの約11.8mL(1.05mol当量)を混合物に添加した。その後、溶液を50℃で約1時間撹拌した。次に、5mLのH2O中の1.19g MgCl2・6H2O(0.55mol当量)の溶液を反応混合物にゆっくり添加した。その後、混合物を室温まで冷却し、得られた沈殿物を0.45μmのナイロンメンブレンフィルターを通して真空ろ過によって除去した。次に、約100mLのH2Oをろ過した溶液にゆっくり添加し、これにより白色の沈殿物が形成した。その後、固体試料は、真空ろ過によって単離した。次に、ろ過した固体は、70℃で約2時間、真空下で乾燥させ、5.8gの形態Aのアトルバスタチンマグネシウムを得た。
【0090】
形態Bのアトルバスタチンマグネシウム
50mgの形態Aのアトルバスタチンマグネシウム(上記の通り製造した)を400rpmでマグネティックスターラーを用いて45℃で28日間、0.25mLのオルト−キシレン中でスラリーにした。次に、固体試料を0.45μmのナイロンメンブレンフィルターを通して遠心ろ過によって単離した。その後、ろ過した固体を約5時間、周囲状態で空気乾燥させ、形態Bのアトルバスタチンマグネシウムを得た。
【0091】
形態Cのアトルバスタチンマグネシウム
50mgの形態Aのアトルバスタチンマグネシウム(上記の通り製造した)を300rpmでマグネティックスターラーを用いて周囲温度で28日間、0.75mLのアセトニトリル:水(8:2、v/v)中でスラリーにした。次に、固体試料を0.45μmのナイロンメンブレンフィルターを通して遠心ろ過によって単離した。その後、ろ過した固体を約5時間、周囲状態で空気乾燥させ、形態Cのアトルバスタチンマグネシウムを得た。
【0092】
形態Dのアトルバスタチンマグネシウム
50mgの形態Aのアトルバスタチンマグネシウム(上記の通り製造した)を300rpmでマグネティックスターラーを用いて周囲温度で28日間、1mLの2−プロパノール:水(9:1、v/v)中でスラリーにした。次に、固体試料を0.45μmのナイロンメンブレンフィルターを通して遠心ろ過によって単離した。その後、ろ過した固体を約5時間、周囲状態で空気乾燥させ、形態Dのアトルバスタチンマグネシウムを得た。
【0093】
形態Eのアトルバスタチンマグネシウム
50mgの形態Aのアトルバスタチンマグネシウム(上記の通り製造した)を300rpmでマグネティックスターラーを用いて周囲温度で28日間、3mLの水中でスラリーにした。次に、固体試料を0.45μmのナイロンメンブレンフィルターを通して遠心ろ過によって単離した。その後、ろ過した固体を約5時間、周囲状態で空気乾燥させ、形態Eのアトルバスタチンマグネシウムを得た。
【0094】
形態Fのアトルバスタチンマグネシウム
50mgの形態Aのアトルバスタチンマグネシウム(上記の通り製造した)を300rpm400rpmでマグネティックスターラーを用いて45℃で28日間、1mLの水中でスラリーにした。次に、固体試料を0.45μmのナイロンメンブレンフィルターを通して遠心ろ過によって単離した。その後、ろ過した固体を約5時間、周囲状態で空気乾燥させ、形態Fのアトルバスタチンマグネシウムを得た。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1:GADDS(General Area Diffraction Detector System)CS X線粉末回折計を装備するBruker D8 DISCOVERによって測定した形態Aのアトルバスタチンマグネシウムのディフラクトグラム。
【図2】図2:GADDS CS X線粉末回折計を装備するBruker D8 DISCOVERによって測定した形態Bのアトルバスタチンマグネシウムのディフラクトグラム。
【図3】図3:GADDS CS X線粉末回折計を装備するBruker D8 DISCOVERによって測定した形態Cのアトルバスタチンマグネシウムのディフラクトグラム。
【図4】図4:GADDS CS X線粉末回折計を装備するBruker D8 DISCOVERによって測定した形態Dのアトルバスタチンマグネシウムのディフラクトグラム。
【図5】図5:GADDS CS X線粉末回折計を装備するBruker D8 DISCOVERによって測定した形態Eのアトルバスタチンマグネシウムのディフラクトグラム。
【図6】図6:GADDS CS X線粉末回折計を装備するBruker D8 DISCOVERによって測定した形態Fのアトルバスタチンマグネシウムのディフラクトグラム。
【図7】図7:形態Aのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離13C CPMASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図8】図8:形態Bのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離13C CPMASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図9】図9:形態Cのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離13C CPMASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図10】図10:形態Dのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離13C CPMASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図11】図11:形態Eのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離13C CPMASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図12】図12:形態Fのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離13C CPMASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図13】図13:形態Aのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離19F MASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図14】図14:形態Bのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離19F MASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図15】図15:形態Cのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離19F MASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図16】図16:形態Dのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離19F MASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図17】図17:形態Eのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離19F MASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【図18】図18:形態Fのアトルバスタチンマグネシウムのプロトン分離19F MASスペクトル。アスタリスクで印されたピークは、回転サイドバンドである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:9.3、14.3、及び18.4を含有するX線粉末回折を有する形態Aのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項2】
下記:
A)値:118.7、124.4、140.3、及び141.7ppmを含有する13Cシフト;そして
B)値:−108.4、及び−112.6ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体(solid sate)NMRシフトを有する形態Aのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項3】
CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:6.1、8.0、10.9、19.8、及び23.0を含有するX線粉末回折を有する形態Bのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項4】
下記:
A)値:118.3、125.4、126.8、132.2、及び133.8ppmを含有する13Cシフト;そして
B)値:−115.7ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体NMRシフトを有する形態Bのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項5】
CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:5.2、6.6、及び12.3を含有するX線粉末回折を有する形態Cのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項6】
下記:
A)値:129.2、133.3、及び139.1ppmを含有する13Cシフト;そして
B)値:−109.6、及び−113.0ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体NMRシフトを有する形態Cのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項7】
CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:7.7、20.5、及び24.2を含有するX線粉末回折を有する形態Dのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項8】
下記:
A)値:132.6、134.4、136.9、及び138.6ppmを含有する13Cシフト;そして
B)値:−110.0、−111.7、−114.7、及び−119.8ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体NMRシフトを有する形態Dのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項9】
CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:8.4、16.6、及び17.9を含有するX線粉末回折を有する形態Eのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項10】
下記:
A)値:122.0、128.9、及び137.8ppmを含有する13Cシフト;そして
B)値:−113.2、−118.8、及び−122.1ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体NMRシフトを有する形態Eのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項11】
CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:8.7、10.1、及び11.7を含有するX線粉末回折を有する形態Fのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項12】
下記:
A)値:128.5、130.4、及び138.2ppmを含有する13Cシフト;そして
B)値:−114.7、−118.8、−119.8、及び−122.3ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体NMRシフトを有する形態Fのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項13】
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態Fから成る群から選択されるアトルバスタチンマグネシウム、並びに少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含む医薬組成物。
【請求項14】
高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成、又はアルツハイマー病を治療する方法であって、それを患っている患者に治療的に有効な量の形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態Fから成る群から選択されるアトルバスタチンマグネシウムを投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
形態A、B、C、D、E、及びFのアトルバスタチンマグネシウムを生ずる条件下でアトルバスタチンマグネシウムを形成することを含む、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態Fのアトルバスタチンマグネシウムを製造する方法。
【請求項1】
CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:9.3、14.3、及び18.4を含有するX線粉末回折を有する形態Aのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項2】
下記:
A)値:118.7、124.4、140.3、及び141.7ppmを含有する13Cシフト;そして
B)値:−108.4、及び−112.6ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体(solid sate)NMRシフトを有する形態Aのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項3】
CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:6.1、8.0、10.9、19.8、及び23.0を含有するX線粉末回折を有する形態Bのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項4】
下記:
A)値:118.3、125.4、126.8、132.2、及び133.8ppmを含有する13Cシフト;そして
B)値:−115.7ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体NMRシフトを有する形態Bのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項5】
CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:5.2、6.6、及び12.3を含有するX線粉末回折を有する形態Cのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項6】
下記:
A)値:129.2、133.3、及び139.1ppmを含有する13Cシフト;そして
B)値:−109.6、及び−113.0ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体NMRシフトを有する形態Cのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項7】
CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:7.7、20.5、及び24.2を含有するX線粉末回折を有する形態Dのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項8】
下記:
A)値:132.6、134.4、136.9、及び138.6ppmを含有する13Cシフト;そして
B)値:−110.0、−111.7、−114.7、及び−119.8ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体NMRシフトを有する形態Dのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項9】
CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:8.4、16.6、及び17.9を含有するX線粉末回折を有する形態Eのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項10】
下記:
A)値:122.0、128.9、及び137.8ppmを含有する13Cシフト;そして
B)値:−113.2、−118.8、及び−122.1ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体NMRシフトを有する形態Eのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項11】
CuKa放射線を用いて測定した次の2θ値:8.7、10.1、及び11.7を含有するX線粉末回折を有する形態Fのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項12】
下記:
A)値:128.5、130.4、及び138.2ppmを含有する13Cシフト;そして
B)値:−114.7、−118.8、−119.8、及び−122.3ppmを含有する19Fシフト
から成る群から選択される固体NMRシフトを有する形態Fのアトルバスタチンマグネシウム。
【請求項13】
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態Fから成る群から選択されるアトルバスタチンマグネシウム、並びに少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含む医薬組成物。
【請求項14】
高脂血症、高コレステロール血症、骨粗鬆症、良性前立腺過形成、又はアルツハイマー病を治療する方法であって、それを患っている患者に治療的に有効な量の形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態Fから成る群から選択されるアトルバスタチンマグネシウムを投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
形態A、B、C、D、E、及びFのアトルバスタチンマグネシウムを生ずる条件下でアトルバスタチンマグネシウムを形成することを含む、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、及び形態Fのアトルバスタチンマグネシウムを製造する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−137885(P2007−137885A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−312961(P2006−312961)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312961(P2006−312961)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】
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