説明

c−Kit阻害剤としてのN3−置換イミダゾピリジン誘導体

式(I)によって表される化合物:


(I)、これらの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドは、癌の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N3−置換イミダゾピリジン化合物に関する。詳細には、本発明は、c−Kit癌原遺伝子(KIT、CD−117、幹細胞因子受容体、肥満細胞成長因子受容体としても知られている)の阻害剤であるN3−置換イミダゾピリジン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
c−Kit癌原遺伝子は、胚形成;メラニン産生;造血;ならびに肥満細胞症、胃腸腫瘍および他の固形癌ならびにある白血病(AMLを含む)の病理発生において、重要であると考えられている。従って、c−Kit受容体の阻害剤である新規化合物を開発することは、望ましいことだろう。
【0003】
高増殖性疾患(癌)の現行治療方式の多くが、DNA合成を阻害する化合物を利用する。こうした化合物の作用メカニズムは、細胞、特に急速に分裂する腫瘍細胞に有毒でなければならない。従って、これらの広範な毒性は、対象患者にとって問題となることがある。しかし、DNA合成を阻害する以外の方法で作用する抗癌剤への他のアプローチが探究され、抗癌作用の選択性を向上させ、これによって有害な副作用を減少させる試みもなされている。
【0004】
細胞は、このDNAの一部分が癌遺伝子(すなわち活性化すると悪性腫瘍細胞の形成を招く遺伝子)に形質転換することにより癌性になり得ることは、公知である。多くの癌遺伝子が、細胞を形質転換させることができる異常な蛋白質−チロシンキナーゼである蛋白質をコードする。異なる経路により、正常な癌原遺伝子チロシンキナーゼの過剰発現が、増殖性疾患を生じさせることもあり、時には悪性表現型を生じさせる。また、同じ細胞タイプ内での受容体チロシンキナーゼとこの同族リガンドの共発現も、悪性形質転換を導くことがある。
【0005】
受容体チロシンキナーゼは、細胞膜に広がる大きな酵素であり、i)KITリガンド(幹細胞因子(SCF)、Steel因子(SLF)または肥満細胞成長因子(MGF)としても知られている)などの成長因子のための細胞外結合ドメイン、ii)膜貫通ドメイン、およびiii)キナーゼとして機能して、蛋白質中の特定のチロシン残基をリン酸化する細胞内部分を有する。KITリガンドのKITチロシンキナーゼへの結合は、受容体ホモダイマー化、KITチロシンキナーゼ活性の活性化、および多様な蛋白質基質(これらの多くが、細胞内シグナル伝達の効果器である)の引き続いてのリン酸化を生じさせる。これらの事象は、細胞増殖増大を導くこともあり、細胞生存増大を促進することもある。ある受容体キナーゼとともに、受容体のヘテロダイマー化が発生することもある。
【0006】
こうしたキナーゼは、乳癌、頭頚部癌、胃腸癌(例えば大腸癌、直腸癌または胃癌)、白血病、および卵巣、気管支、肺または膵臓癌などの一般的なヒトの癌において、多くの場合、異常に発現することが知られている。肥満細胞症/肥満細胞白血病、胃腸間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌腫(SCLC)、副鼻腔(sionasal)天然キラー/T細胞リンパ腫、精巣癌(精上皮腫)、甲状腺癌腫、悪性黒色腫、卵巣癌腫、腺様嚢胞癌腫、急性骨髄性白血病(AML)、乳癌腫、小児T細胞急性リンパ芽球性白血病、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌腫および前立腺癌腫などの多種多様なヒトの悪性病変の際のKITキナーゼの発現が、文献に記載されている。KITのキナーゼ活性は、これらおよびさらなる腫瘍(乳癌、SCLC、GIST、胚細胞腫瘍、肥満細胞白血病、神経芽腫、AML、黒色腫および卵巣癌腫を含む)に関するいくつかの病態生理に関係している。
【0007】
活性化変異、受容体キナーゼのそのリガンドによる自己分泌およびパラクリン活性化、蛋白質−チロシンホスファターゼ活性の喪失、ならびに他のキナーゼによる交差活性化を含む、腫瘍細胞におけるKIT活性化の幾つかのメカニズムが、報告されている。活性化変異により起動する形質転換メカニズムは、ダイマーの形成およびキナーゼドメインの固有活性増加を含むと考えられ、これらの両方が、構成的にリガンド依存性キナーゼを活性化し、ことによると基質特異性を変化させる。30より多くのKit蛋白質活性化変異が、ヒトにおける高悪性腫瘍に関係付けられている。
【0008】
従って、受容体チロシンキナーゼの阻害剤は、哺乳動物癌細胞成長の選択的阻害剤として有用であることは、認知されている。例えば、Gleevec(商標)(メシル酸イマチニブ、またはSTI571としても知られている)、BCR−ABL融合遺伝子産物のキナーゼ活性を阻害する2−フェニルピリミジンチロシンキナーゼ阻害剤は、CMLの治療用として米国食品医薬局により最近承認された。Gleevec(商標)は、BCR−ABLキナーゼの阻害に加えて、KITキナーゼおよびPDGF受容体キナーゼも阻害するが、KITキナーゼのすべての突然変異アイソフォームに対して有効ではない。Kitリガンドでの刺激によるMO7eヒト白血病細胞の成長は、Gleevec(商標)によって阻害され、Gleevec(商標)は、これらの条件下でアポトーシスも誘導する。対照的に、GM−CSFでの刺激によるMO7eヒト白血病細胞の成長は、Gleevec(商標)による影響を受けない。さらに、KITキナーゼが細胞の形質転換に関与する疾病であるGISTに罹患している患者の治療にGleevec(商標)を使用する最近の臨床試験では、患者の多くが、顕著な改善を示した。
【0009】
これらの研究は、成長がKITキナーゼ活性に依存する腫瘍をKITキナーゼ阻害剤がいかに治療できるかを実証している。他のキナーゼ阻害剤は、いっそう大きなキナーゼ選択性を示す。例えば、4−アニリノキナゾリン化合物Tarceva(商標)は、おそらくこれらの受容体がEGF受容体をヘテロダイマー化することにより、他の受容体キナーゼのシグナル伝達を阻害することができるが、EGF受容体キナーゼのみを高い能力で阻害する。
【0010】
上で説明したものなどの抗癌化合物は、当該技術分野に有意に貢献しているが、改善された抗癌薬が、引き続き必要とされており、よりよい選択性もしくは効力、または低減された毒性もしくは副作用を有する新たな化合物を開発することは、望ましいことだろう。
【0011】
米国特許第5,990,146号および同第6,218,388号には、蛋白質チロシンキナーゼによって媒介される細胞増殖を阻害するためのベンズイミダゾールが記載されている。米国特許第6,348,032号には、ベンズイミダゾール誘導体で新生細胞を阻害する方法が記載されている。国際特許公開公報第01/21634号には、ベンズイミダゾール誘導体およびこれらのコンビナトリアルライブラリが記載されている。国際特許公開公報第01/57020号には、Xa因子のインドールおよびベンズイミダゾール阻害剤が記載されている。国際特許公開公報第00/15222号には、cGMPホスホジエステラーゼの融合ピリジン阻害剤が記載されている。国際特許公開公報第01/12600号には、Xa因子の阻害剤が記載されている。国際特許公開公報第97/12613号には、炎症およびアテローム性動脈硬化症を治療および予防するための方法が記載されている。
【0012】
米国特許第6,316,474号には、2−ベンジルおよび2−ヘテロアリールベンズイミダゾールNMDA/NR2b拮抗薬が記載されている。米国特許第6,479,508号には、ウイルスポリメラーゼ阻害剤が記載されている。米国特許第6,444,617号には、融合複素環ジカルボン酸ジアミド誘導体およびこれらの塩、除草薬ならびにこれらの使用が記載されている。米国特許第6,087,380号、同第6,414,008号、および同第6,469,039号には、二置換二環式複素環が記載されている。米国特許第5,118,688号には、テトラヒドロピリドンキノロン誘導体が記載されている。米国特許第4,975,435号には、不安の治療に有用なある1H−ピロロ[3,4−b]キノリン−1−オン−9−アミノ−2,3−ジヒドロ誘導体が記載されている。米国特許第6,548,524号には、オルト−スルホンアミド二環式ヘテロアリールヒドロキサム酸が記載されている。米国特許第6,348,474号には、スルホンアミド化合物が記載されている。
【0013】
米国特許第5,972,980号および同第6,001,866号には、炎症およびアテローム性動脈硬化症を治療および予防するための方法が記載されている。米国特許第5,814,651号には、選択的PDEIV阻害剤としてのカテコールジエーテルが記載されている。米国特許第6,329,383号には、2−アミノ−5−ピリミジン酢酸化合物が記載されている。米国特許第5,688,809号には、5−ヘテロアリールインドール誘導体が記載されている。欧州特許出願第0 846 689号には、ベンズイミダゾール化合物が記載されている。国際特許公開公報第00/59888号には、N−ベンズイミダゾリルメチル−およびN−インドリルメチル−ベンズアミドならびにCRFモジュレータとしてのこれらの使用が記載されている。国際特許公開公報第02/069965号には、治療薬としてのベンズイミダゾール誘導体が記載されている。国際特許公開公報第02/30886号には、複素環式血管新生阻害剤が記載されている。米国特許第6,162,804号には、チロシンキナーゼ阻害剤が記載されている。米国特許第6,465,484号には、血管新生阻害剤が記載されている。国際特許公開公報第00/12089号には、新規血管新生阻害剤が記載されている。
【0014】
ドイツ特許公開第2244908号には、選択的透析性重合体膜を記載している。欧州特許出願第0 706 795号には、TNF放出抑制剤としてのカテコールジエーテル化合物が記載されている。国際特許公開公報第02/076960号には、遷移金属媒介プロセスが記載されている。国際特許公開公報第02/059118号には、カルボキサミドのN−(オキシアルキル化)プロセスが記載されている。国際特許公開公報第02/04425号には、ウイルスポリメラーゼ阻害剤が記載されている。国際特許公開公報第02/083143号には、CXCR3拮抗薬が記載されている。国際特許公開公報第01/57019号には、Xa因子のインドロンおよびベンズイミダゾロン阻害剤が記載されている。欧州特許出願第1 085 372号には、色の再現性が改善された写真材料が記載されている。国際特許公開公報第01/14342号には、アミノカルボニル置換ベンズイミダゾール誘導体が記載されている。国際特許公開公報第00/76501号には、IL−8受容体拮抗薬が記載されている。
【0015】
従って、腫瘍学を扱うためにKit阻害を示す化合物を開発することが望ましい。さらに、こうした化合物は、例えば、GIST、FLT3、造血性R−PTK、PDGFR−ベータまたはKDRなどの他のキナーゼにおいて、肥満細胞白血病、小細胞肺癌(SCLC)、肥満細胞症、白血病、骨髄異形成障害、または血管新生依存性疾患における効能の付加に有効であり得る。
【発明の開示】
【0016】
式(I):
【0017】
【化7】

によって表される化合物またはこれらの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドは、腫瘍の治療に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(I)
【0019】
【化8】

(式中、
R1は、−NR31、−NRC(O)R31、−NRC(O)OR31、−NRSO31、−OR、−SR、−SO、−CO、−COH、−CO−NR31、−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、または−CN基であるが、但し、
Yが、存在し、m>1の場合には、R1は、ハロゲン、−CN、NO、−C0−8アルキル、−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、−NR31、−NRC(O)R31、−NRC(O)OR31、−NRSO31、−OR、−SR、−SO、−CO、−COH、−CO−NR31、シクリルまたはヘテロシクリル基であり;
R2は、H、−C0−8アルキルまたは−C3−10シクロアルキルであり;
Xは、H、ハロゲン、NR3233、NR32COR33、NR32CO33、NR32SO33OR32、SR32、SO32、SONR3233、CO32、COH、CONR3233、−C0−8アルキル、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、CN、CF、OCF、NO、オキソ、シクリルまたはヘテロシクリル基から選択される1個またはそれ以上の置換基で場合により置換されている、シクリルまたはヘテロシクリル基であり;
Yは、不在であるか、
【0020】
【化9】

【0021】
(これらの場合、Xへの結合点は、示されているようにこれらのリンカーの左からであってもよいし、右からであってもよい)
であり;
およびRは、各々独立して、−C0−8アルキル、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、−C3−10シクロアルキル、−C3−10シクロアルケニル、−C1−8アルコキシ、−チオC1−8アルキル、カルボキシ、−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、オキソもしくはヒドロキシであり;またはこれらが結合しているCと一緒になって、環の接続点に0から4個のN、O、S、SOもしくはSOを場合により有する飽和もしくは部分不飽和の3から10員環を形成し;
およびRは、各々独立して、−C0−8アルキル、−C2−8アルケニル、ベンジルもしくはアシルであり;または一緒になって、もしくはRおよびRとともに、飽和もしくは部分不飽和の3から7員環を形成し;
mは、0、1、2、3、4または5であり;
Zは、ハロゲン、NR3435、NR34COR35、NR34CO35、NR34SO35、OR34、SR34、SO34、SONR3435、CO34、COH、CONR3435、−C0−8アルキル、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、CN、CF、NO、オキソ、シクリルまたはヘテロシクリル基から選択される1個またはそれ以上の置換基で場合により置換されている、シクリルもしくはヘテロシクリル基であり;またはXおよびYが存在する場合、Zは、−C1−8アルキルもしくは−C1−8アルキル−O−C1−8アルキルであり得;
、R31、R32、R33、R34およびR35は、独立して、ヘテロシクリルもしくはOH置換基で場合により置換されているC0−8アルキル;−C0−8アルキル−C3−8シクロアルキル、CF、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−S(O)0−2−C0−8アルキル;または−C0−8アルキル、シクリルもしくは置換シクリル置換基で場合により置換されているヘテロシクリルである)
によって表される化合物に関する。
【0022】
1つの側面において、本発明は、R1が、−CONR31であり、他の可変項が、式(I)について上で説明したとおりである、式(I)によって表される化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドに関する。
【0023】
1つの実施態様において、本発明は、R1が、−CONR31であり、Xが、シクリルであり、ならびに他の可変項が、式(I)について上で説明したとおりである、式(I)によって表される化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドに関する。
【0024】
もう1つの実施態様において、本発明は、R1が、−CONR31であり、Xが、シクリルであり、Yが、不在であり、ならびに他の可変項が、式(I)について上で説明したとおりである、式(I)によって表される化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドに関する。
【0025】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、R1が、−CONR31であり、Xが、シクリルであり、Yが、
【0026】
【化10】

であり、ならびに他の可変項が、式(I)について上で説明したとおりである、式(I)によって表される化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドに関する。
【0027】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、R1が、−CONR31であり、Xが、シクリルであり、Yが、
【0028】
【化11】

であり、ならびに他の可変項が、式(I)について上で説明したとおりである、式(I)によって表される化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドに関する。
【0029】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、R1が、−CONR31であり、Xが、シクリルであり、Yが、
【0030】
【化12】

であり、ならびに他の可変項が、式(I)について上で説明したとおりである、式(I)によって表される化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドに関する。
【0031】
さらにもう1つの実施態様において、本発明は、R1が、−CONR31であり、Xが、シクリルであり、Yが、
【0032】
【化13】

であり、ならびに他の可変項が、式(I)について上で説明したとおりである、式(I)によって表される化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドに関する。
【0033】
特に述べない限り、ここで用いる「アルキル」ならびに例えばアルコキシ、アルカニル、アルケニル、アルキニルなどのような接頭語「アルカ、アルキ、アルク、アルケ、アルコ(alk)」を有する他の基は、炭素鎖を意味し、これは、直鎖であってもよいし、分枝鎖であってもよいし、これらの組合せであってもよい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−およびt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルなどが挙げられる。「アルケニル」、「アルキニル」および他の同様の用語は、少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する炭素鎖を包含する。
【0034】
ここで用いる「C0−4アルキル」は、直鎖または分枝鎖状立体配置の、0から4個の炭素、すなわち0、1、2、3または4個の炭素を有するアルキルを意味するために用いる。炭素を有さないアルキルは、このアルキルが末端基である場合は水素である。炭素を有さないアルキルは、このアルキルが架橋(連結)基である場合は直接結合である。
【0035】
用語「シクロアルキル」、「炭素環」、「環状(環式)」、または「シクリル」は、ヘテロ原子を含有しない3から10員の単環式または多環式芳香族、部分芳香族または非芳香族環の炭素環を意味し、単環式、二環式および三環式の飽和炭素環ならびに融合および架橋構造を包含する。こうした融合環構造は、ベンゼン融合炭素環のような融合環構造を形成するために、部分的または完全不飽和の環、例えばベンゼン環、を1個含むことができる。シクロアルキルは、スピロ融合環構造としてこうした融合環構造を含む。シクロアルキル環および炭素環の例には、C3−8シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびデカヒドロナフタレン、アダマンタン、インダニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンなどが挙げられる。
【0036】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子を包含する。
【0037】
用語「カルバモイル」は、特に別様に記載しない限り、−C(O)−NH−または−NH−C(O)−を意味する。
【0038】
用語「アリール」は、化学者に周知である。好ましいアリール基は、フェニルおよびナフチルである。
【0039】
用語「ヘタリール」は、化学者に周知である。この用語は、酸素、硫黄および窒素から選択されるヘテロ原子を1から4個含有する(この場合、酸素と硫黄は、互いに隣りあわない)5または6員ヘテロアリール環を包含する。こうしたヘテロアリール環の例は、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルである。用語「ヘタリール」は、部分的または完全不飽和の融合炭素環式環構造、例えばベンゾ融合ヘタリールを形成するベンゼン環をともなった、ヘタリール環を包含する。例えば、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、キノキサリンなどである。
【0040】
特に述べない限り、用語「複素環式の環」、「複素環」、「複素環式」、および「ヘテロシクリル」は、同義であり、環状だが、N、OおよびSから独立して選択される原子ならびにこれらの酸化物を1個またはそれ以上含有するものと定義するが、但し、こうした誘導体が、適切で安定な原子価を示し、ならびにO−O、S(O)−S(O)、S(O)−O結合(これらの式中、n=0から2)を含有する部分を含まないことを条件とする。この用語は、酸素、硫黄および窒素から選択されるヘテロ原子を1または2個含有する4から8員の飽和環を包含する。ヘテロ環式の環の例には、アゼチジン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキセパン、オキソカン、チエタン、チアゾリジン、オキサゾリジン、オキソアゼチジン、ピラゾリジン、イソオキサゾリジン、イソチアゾリジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、チエパン、チオカン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、[1,3]ジオキサン、オキサゾリジン、ピペラジン、ホモピペラジン、モルホリン、チオモルホリンなどが挙げられる。複素環式の環の他の例には、硫黄含有環の酸化形態が挙げられる。従って、テトラヒドロチオフェン−1−オキシド、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、チオモルホリン−1−オキシド、チオモルホリン−1,1−ジオキシド、テトラヒドロチオピラン−1−オキシド、テトラヒドロチオピラン−1,1−ジオキシド、チアゾリジン−1−オキシドおよびチアゾリジン−1,1−ジオキシドも、複素環式の環であると考えられる。用語「複素環式」は、融合環構造も包含し、ならびにベンゾ融合複素環を形成する、ベンゼン環のような部分的または完全不飽和の炭素環式の環を含むことができる。例えば、3,4−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリンなどである。
【0041】
ここに記載する化合物は、1つまたはそれ以上の不斉中心を有することがあり、従って、ジアステレオマーおよび光学異性体を生じさせることがある。本発明は、すべてのこうした可能なジアステレオマーおよびこれらのラセミ混合物、これらの実質的に純粋な分割エナンチオマー、すべての可能な幾何異性体、ならびにこれらの医薬適合性の塩を包含する。上の式Iは、一定の位置での明確な立体化学を伴わずに示されている。本発明は、式Iのすべての立体異性体およびこれらの医薬適合性の塩を包含する。さらに、立体異性体の混合物ならびに単離された特定の立体異性体も包含する。こうした化合物を製造するために用いられる合成手順の過程の中で、または当業者には公知のラセミ化またはエピマー化手順の使用に際し、こうした手順の生成物が、立体異性体の混合物であり得る。
【0042】
上の式Iは、一定の位置での明確な立体化学を伴わずに示されている。本発明は、式Iのすべての立体異性体およびこれらの医薬適合性の塩を包含する。さらに、立体異性体の混合物ならびに単離された特定の立体異性体も包含する。こうした化合物を製造するために用いられる合成手順の過程の中で、または当業者には周知のラセミ化またはエピマー化手順の使用に際し、こうした手順の生成物が、立体異性体の混合物であり得る。
【0043】
本発明は、医薬適合性担体との組合せでの式Iの化合物から成る医薬組成物も包含する。
【0044】
好ましくは、本組成物は、医薬適合性担体および非毒性で治療有効量の上で説明した式Iの化合物(またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド)から成る。
【0045】
さらに、この好ましい実施態様では、本発明は、医薬適合性担体および非毒性で治療有効量の上で説明した式Iの化合物(またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド)を含む、c−Kitキナーゼ(この蛋白質の野生型形態であってもよいし、突然変異形態であってもよい)の阻害により疾病を治療するための医薬組成物を包含する。
【0046】
本発明の化合物および組成物は、例えばヒトなどの哺乳動物の治療に有効である。
【0047】
用語「医薬適合性の塩」は、医薬適合性で非毒性の塩基または酸から製造される塩を指す。本発明の化合物が酸性である場合、この対応する塩は、無機塩基および有機塩基を含む医薬適合性で非毒性の塩基から適便に製造することができる。こうした無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第二銅および第一銅)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第二マンガンおよび第一マンガン)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が挙げられる。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩が、特に好ましい。医薬適合性で非毒性の有機塩基から誘導される塩には、第一、第二および第三アミンならびに環状アミンおよび置換アミン、例えば天然および合成置換アミン、の塩が挙げられる。塩を形成することができる他の医薬適合性で非毒性の有機塩基には、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N’,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどのようなイオン交換樹脂が挙げられる。
【0048】
本発明の化合物が、塩基性である場合、この対応する塩は、無機および有機酸を含む医薬適合性で非毒性の酸から適便に製造することができる。こうした酸には、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸および酒石酸が、特に好ましい。
【0049】
本発明の医薬組成物は、活性成分として式Iによって表される化合物(またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド)、および医薬適合性担体、ならびに場合により他の治療用成分またはアジュバントを含む。本組成物には、経口投与、直腸内投与、局所投与および非経口投与(皮下、筋肉内および静脈内投与を含む)に適する組成物が含まれるが、いずれの場合においてもこの最適な経路は、個々の受容者、ならびに本活性成分を投与することとなる状態の性質および重症度に依存するであろう。本医薬組成物は、単位剤形で適便に提供することができ、薬学技術分野において周知であるあらゆる方法によって製造することができる。
【0050】
実際には、本発明の、式Iによって表される化合物またはこれらの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドは、従来の医薬配合法に従って医薬用担体との均質混合物における活性成分として組み合わせることができる。この担体は、投与、例えば経口投与または非経口投与(静脈内投与を含む)、に望ましい製剤の形態に依存して、様々な形態をとることができる。従って、本発明の医薬組成物は、各々が所定量の活性成分を含有する経口投与に適する個別単位、例えばカプセル、カシェ剤または錠剤として提供することができる。さらに、本組成物は、粉末として、顆粒として、溶液として、水性液中の懸濁液として、非水系の液体として、水中油型乳剤として、または油中水型乳液として提供することができる。上に記載した一般投与剤形に加えて、式Iによって表される化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドは、制御放出手段および/または送達装置によて投与することもできる。本組成物は、あらゆる調剤方法によって製造することができる。一般に、こうした方法は、1つまたはそれ以上の必要成分を構成する担体と活性成分を会合させる段階を含む。一般に、本組成物は、液体担体もしくは微細固体担体またはこれら両方と活性成分を均一及び均質に混合することによって製造する。この後、この生成物を所望の体裁に適便に成形することができる。
【0051】
このように、本発明の医薬組成物は、医薬適合性担体および式Iの化合物または医薬適合性の塩もしくはN−オキシドを含むことができる。式Iの化合物またはこれらの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドを1つまたはそれ以上の治療活性化合物と併せて医薬組成物に含めることもできる。
【0052】
本発明の医薬組成物は、式Iの化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドを含有する医薬適合性のリポソーム製剤を含む。
【0053】
利用される医薬用担体は、例えば固体であってもよいし、液体であってもよいし、気体であってもよい。固体担体の例には、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が挙げられる。液体担体の例は、糖シロップ、落花生油、オリーブ油、および水である。気体担体の例には、二酸化炭素および窒素が挙げられる。
【0054】
経口剤形用の組成物を製造する際には、あらゆる適便な医薬用媒体を利用することができる。例えば、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存薬、着色剤などを使用して、懸濁液、エリキシルおよび溶液などの経口液体製剤を作ることができる一方で、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用して、粉末、カプセルおよび錠剤などの経口固体製剤を作ることができる。投与の容易さから、錠剤およびカプセルが好ましい経口投薬単位であり、これらには固体の医薬用担体が利用される。場合により、錠剤を、標準的な水性または非水系の技法によって被覆してもよい。
【0055】
本発明の組成物を含有する錠剤は、場合により1つまたはそれ以上の補助成分またはアジュバントとともに、圧縮または成形することによって製造することができる。圧縮錠剤は、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤、分散剤または他のこうした賦形剤と場合により混合された粉末または顆粒のような易流動形態の活性成分を、適する機械で圧縮することによって、製造することができる。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;顆粒化および崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム;および滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤は、被覆されていなくてもよいし、胃腸管での崩壊および吸収を遅れさせ、これによって長期にわたる持続作用をもたらすように公知の技法により被覆してもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用してもよい。
【0056】
硬質ゼラチンカプセルでは、本活性成分を不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合する。軟質ゼラチンカプセルでは、活性成分を水または油性媒体、例えば落花生油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合する。成形錠剤は、不活性希釈液で湿らせた粉末化合物の混合物を適する機械で成形することによって製造することができる。各錠剤は、好ましくは、約0.05mgから約5gの活性成分を含有し、各カシェ剤またはカプセルは、好ましくは、約0.05mgから約5gの活性成分を含有する。
【0057】
例えば、ヒトへの経口投与を目的とした調合物は、全組成物の約5から約95パーセント間で変化し得る適切で適便な量の担体材料と配合した約0.5mgから約5gの活性成分を含有し得る。単位投与剤形は、一般に、約1mgから約2gの間、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mgまたは1000mgの活性成分を含有するであろう。
【0058】
非経口的投与に適する本発明の医薬組成物は、水中の活性成分の溶液または懸濁液として製造することができる。例えばヒドロキシプロピルセルロースのような適する界面活性剤を含むことができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびこれらの油中混合物中の分散液も製造することができる。さらに、保存薬を含めて、微生物の有害な成長を防止することができる。
【0059】
注射用に適する本発明の医薬組成物には、滅菌水溶液または分散液が挙げられる。さらに、この組成物は、こうした滅菌注射用溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末の形態であってもよい。すべての場合、最終的な注射用形態は、無菌でなければならず、容易に注射できるために有効な流動性でなければならない。これらの医薬組成物は、製造および保存条件下で安定でなければならず、従って、好ましくは、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油および適するこれらの混合物を含む、溶媒または分散媒体であり得る。
【0060】
本発明の医薬組成物は、例えばエーロゾル、クリーム、軟膏、ローション、散布剤などのような局所使用に適する形態であることができる。さらに、本組成物は、経皮装置での使用に適する形態であることもできる。これらの調合物は、従来の加工法により、本発明の式Iによって表される化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドを利用して製造することができる。一例として、クリームまたは軟膏は、所望の粘稠度を有するクリームまたは軟膏を製造するために、親水性材料および水を約5重量%から約10重量%の本化合物と混合することによって製造する。
【0061】
本発明の医薬組成物は、直腸内投与に適する形態であることもでき、この場合の担体は、固体である。混合物によって単位用量の座剤が形成されることが、好ましい。適する担体には、カカオ脂、および当該技術分野において一般に使用される他の材料が挙げられる。座剤は、軟化または溶融した担体(複数を含む)と本組成物を先ず混合し、続いて、型の中で冷却し、成形することによって適便に形成することができる。
【0062】
上述の担体材料に加えて、上で説明した医薬調合物は、適切な場合には、希釈剤、緩衝液、着香剤、結合剤、界面活性剤、増粘剤、滑沢剤、保存薬(酸化防止剤を含む)などのような追加の担体成分を1つまたはそれ以上含むことができる。さらに、他のアジュバントを含めて、この調合物を所期の受容者の血液と等張にすることができる。式Iによって説明される化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドを含有する組成物は、粉末または液体濃縮物の形態で製造することもできる。
【0063】
一般に、1日につき体重1kgあたり約0.01mgから約750mg、または1日につき患者1人あたり約0.5mgから約75gといったような投薬レベルが、上述の状態の治療に有用である。例えば、乳癌、頭頚部癌および胃腸癌(例えば、大腸癌、直腸癌または胃癌)は、1日につき体重1キログラムあたり約0.01から500mg、または1日につき患者1人あたり約0.5mgから約50gの化合物の投与により、有効に治療することができる。
【0064】
同様に、白血病、卵巣癌、気管支癌、肺癌および膵臓癌は、1日につき体重1キログラムあたり約0.01から500mg、または1日につき患者1人あたり約0.5mgから約50gの化合物の投与により、有効に治療することができる。
【0065】
肥満細胞症/肥満細胞白血病、胃腸間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌腫(SCLC)、大腸癌、副鼻腔天然キラー/T−細胞リンパ腫、精巣癌(精上皮腫)、甲状腺癌腫、悪性黒色腫、卵巣癌腫、腺様嚢胞癌腫、急性骨髄性白血病(AML)、乳癌腫、小児T細胞急性リンパ芽球性白血病、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌腫および前立腺癌腫は、1日につき体重1キログラムあたり約0.01から500mg、または1日につき患者1人あたり約0.5mgから約50gの化合物の投与により、有効に治療することができる。
【0066】
しかし、いずれの個々の患者についても、この具体的な用量レベルは、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与回数、投与経路、排泄率、薬の組合せ、および治療を受ける個々の疾病の重症度を含む様々な要因に依存するであろう。
【0067】
本発明の化合物またはこれらの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドは、他の癌治療用化合物とともに有効に投与することもできる。例えば、細胞毒性剤および血管新生阻害剤は、本発明の化合物との有利な共同作用剤であり得る。従って、本発明は、式Iによって表される化合物またはこれらの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド、および細胞毒性剤または血管新生阻害剤を含む組成物を包含する。各々の量は、単独で治療に有効であり得、この場合、これらの相加効果によって、単独療法による治療に耐性である癌を克服することができる。いずれの量も、有害作用を、特に、感受性の高い患者において有害作用を最小にするために、治療量以下であり得る。
【0068】
癌の治療が、癌のタイプに依存することは理解される。例えば、肺癌は、第一次療法として、大腸癌または乳癌を治療するのとは異なった治療をする。例えば、肺癌の中でさえ、第一次療法は、第二次療法とは異なり、この第二次療法が、また第三次療法と異なる。新たに診断された患者は、シスプラチンを含む方式で治療されることもある。これに失敗すると、タキサンなどの第二次療法へと移行する。最終的に、これが失敗した場合、第三次療法としてチロシンキナーゼEGFR阻害剤を受けることもある。さらに、規制認可プロセスは、国ごとに異なる。従って、許容される治療方式は、国ごとに異なり得る。これにもかかわらず、本発明の化合物またはこれらの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドは、他のこうした癌療法薬とともに、または併せて、有益に共同投与することができる。こうした他の化合物には、例えば、様々な細胞毒性剤(アルキル化剤、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗物質、チューブリン結合剤);血管新生阻害剤;ならびにTarceva、モノクローナル抗体および癌ワクチンなどのキナーゼ阻害剤を含む異なる他の治療用形態が挙げられる。本発明の化合物と有益に共同投与することができる他のこうした化合物には、ドキソルビシン、ビンクリスチン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビンおよびタキサンが挙げられる。従って、本発明の組成物は、式Iの化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド、および抗新生物薬、抗腫瘍薬、抗血管新生薬または化学療法薬を含む。
【0069】
本発明の化合物またはこれらの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドは、癌療法のほかに、他の療法用の化合物と併せて有効に投与することもできる。例えば、有害な副作用を改善するために有効な治療薬は、本発明の化合物との有利な共同作用剤であり得る。
【0070】
I.無傷細胞におけるc−Kitの阻害についてのアッセイ
c−Kitのチロシンキナーゼ活性を阻害する化合物の能力を、ヒト小細胞肺癌由来のH526細胞系統(ATCC #CRL−5811)を使用して細胞ベースのELISAで判定した。このアッセイは、H526細胞において内在的に発現される野生型c−Kit受容体蛋白質のリガンド刺激によるチロシンのリン酸化を阻止する化合物の能力を判定するものである。細胞を様々な濃度の化合物と予めインキュベートした後、幹細胞因子(SCF)、c−Kit受容体チロシンキナーゼのリガンド、を添加する。この後、細胞溶解産物を作製し、96ウエルELISAプレートに塗布したc−Kit抗体にc−Kit蛋白質を捕捉させる。捕捉された蛋白質の中でリン酸化されたチロシン残基だけを認識する抗体の結合度を定量することにより、この受容体蛋白質のホスホチロシン含量をモニターする。使用する抗体には、適切なHRP基質とのインキュベーションによりリン酸化したc−Kitへの抗体の結合を定量的に判定することができるように、レポーター酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、HRP)が共有結合されている。
【0071】
使用するストック試薬は、次のとおりである:
細胞溶解緩衝液:
50mM Tris−HCL、pH7.4
150mM NaCl
10% グリセロール
1% Triton X−100
0.5mM EDTA
1μg/mL ロイペプチン
1μg/mL アプロチニン
1mM オルトバナジン酸ナトリウム
抗c−Kit抗体:
50mM 重炭酸ナトリウム中、0.5μg/mLの抗c−Kit Ab−3(Lab Vision、カタログ番号MS289P1)、pH9
ELISAアッセイプレート:
ELISAアッセイプレートは、96ウエルMicrolite−2プレート(Dynex、カタログ番号7417)の各ウエルに100μLの抗c−Kit抗体を添加し、この後、37℃で2時間インキュベートすることによって作製する。この後、ウエルを300μLの洗浄緩衝液で2回洗浄する。
【0072】
プレート洗浄緩衝液:
0.5% Tween−20を含有するPBS(PBST)
細胞アッセイ用培地:
0.1% BSAを含有するRPMI
pY20−HRP:
0.5% Tween−20、5% BSA、1mM オルトバナジン酸ナトリウムを含有するPBS中25ng/mL のpY20−HRP(Calbiochem、カタログ番号525320)
HRP基質:
化学発光検出試薬(Pierce、カタログ番号37075)
アッセイのプロトコル:
10% ウシ胎仔血清を含有するRPMI中で成長させたH526細胞の培養物を、遠心分離によって回収し、PBSで2回洗浄し、細胞アッセイ用培地に懸濁させた。次に、細胞をV底96ウエルプレートに、100μL 細胞アッセイ用培地中、1ウエルあたり細胞数7.5x10で分配した。
【0073】
化合物希釈液を、細胞アッセイ用培地での希釈により10mM DMSOストックから調製した。このアッセイにおけるDMSOの最終濃度は、0.1%であった。化合物インキュベーションウエルには、50μLの供試化合物を添加し(化合物は、0.1nMと100μMの間の濃度でアッセイする)、正および負の対照ウエルには、0.1% DMSOを含有する50μLの細胞アッセイ用培地を添加した。この後、細胞を化合物とともに37℃で3時間インキュベートした。この後、SCF(R&D Systems、カタログ番号255−SC−010)を添加して、Kit受容体を刺激し、このチロシンリン酸化を誘導した。この後、細胞アッセイ用培地中のSCFの1.6μg/mL溶液 10μLを負の対照ウエル以外のすべてのウエルに添加し、細胞をさらに15分間、37℃でインキュベートした。氷冷PBSの添加後、プレートを1000rpmで5分間遠心分離し、培地を吸引により除去し、1ウエルあたり120μLの氷冷細胞溶解緩衝液の添加により細胞ペレットを溶解した。このプレートを20分間、氷の上で保持し、この後、各ウエルから100μLの細胞溶解産物をELISAアッセイプレートのウエルに移し、4℃で16時間インキュベートした。
【0074】
ELISAプレート内の細胞溶解産物をインキュベートした後、ウエルを300μLの洗浄緩衝液で4回洗浄し、この後、100μLのホスホチロシン検出抗体pY20−HRPを各ウエルに添加し、プレートを2時間、室温でインキュベートした。この後、ウエルを300μLの洗浄緩衝液で4回洗浄した。この後、プレートに結合した抗ホスホチロシン−HRP結合体の量を照度計で定量するために、50μLの化学発光HRP基質を各ウエルに添加した。
【0075】
化合物の存在下で得られたアッセイシグナルと正および負の対照(化合物を添加せず、SCFの存在下または不在下でインキュベートした細胞)におけるアッセイシグナルの比較により、c−Kit受容体チロシンリンの酸化の阻害度を化合物濃度の範囲全体にわたって判定することができる。これらの阻害値をS字型用量反応阻害曲線に当てはめて、IC50値(すなわち、c−Kit蛋白質のSCF誘導チロシンリン酸化を50%阻害する化合物濃度)を決定した。
【0076】
本発明の実施例は、上のアッセイで判定したところ、15μMと0.1nMの間のIC50値で無傷H526細胞におけるKitのSCF誘導チロシンリン酸化レベルを低下させた。
【0077】
実験
本発明の実施例は、以下の図式に図示する方法により、以下の手順に従って調製した。適切な溶媒、温度、圧力および他の反応条件については、当業者が容易に選択することができる。同様に、適する出発原料は、市場で入手することができ、または容易に調製することができる。
【0078】
図式1
【0079】
【化14】

【0080】
図式1において、ジアリールアミン(III)を、ニトロピリジン(I、X=F、Cl、Br、OMS、OTs)と置換アニリン(II)の縮合から製造することができる。アニリン(II)のカップリングは、Pd(0)媒介Buchwald−Hartwig型条件(Journal of Organic Chemistry(1996),61(21),7240に記載されているものなど)を利用することにより、またはCu(I)触媒を用いて、X=I、Br、Cl、OTfの場合にも達成することができる。ジアミノピリジン(IV)を得るためのIIIの還元は、亜硫酸水素ナトリウムまたは塩化スズ(II)・二水和物とともに、酸性条件下、適する遷移金属触媒(パラジウム、白金、ルテニウム、ニッケル)、鉄、亜鉛またはスズの存在下で、例えば水素を使用することにより、達成することができる。ベンズイミダゾール(V)へのIVの環化は、対応するカルボン酸、酸ハロゲン化物、酸無水物またはオルトホルメート(例えば、(MeO)CH))および酸、例えばギ酸またはp−トルエンスルホン酸、との反応により、達成することができる。IIIを還元するために使用される一定の条件(例えば、ギ酸中の鉄粉)のもとで、イミダゾ[4,5−b]ピリジンVへの転化をワンポットで達成することができる。また、IIIとの水素化混合物にオルトギ酸トリメチルを含めることにより、Vに直接転化させることができる。
【0081】
下の図式2は、N−アリール−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(V)(およびこれらの1H−異性体 Va)を、Journal of the American Chemical Society(2000),122,7600に開示されているものに類似したPd(0)媒介条件下でイミダゾ[4,5−b]ピリジン(VIII)をアリール化することができるプロセスによっても作ることができることを示している。異性体VおよびVaの分離は、クロマトグラフ手段または適する溶媒からの結晶化によるものを含む(しかし、これらに限定されない)当業者には公知の多数の手段によって達成することができる。イミダゾ[4,5−b]ピリジン(VIII)は、酢酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸またはリン酸など(しかし、これらに限定されない)の酸でのアニリド(VII)の環化から製造することもできる。また、このアニリド(VII)は、EDC、DCC、HOAt、HOBt、HATU、TBTUまたはCDIなど(しかし、これらに限定されない)の当業者には公知の適切なカップリング試薬(これらの溶液相試薬の固体支持バージョンを含む)の存在下で、ジアミノピリジンを酸ハロゲン化物もしくは無水物またはカルボン酸と反応させることにより、製造することができる。R3=Hの場合、VIIのような化合物は、VIをギ酸アルキル(例えば、ギ酸メチル)でホルミル化することによって製造することができる。上で説明したプロセスでは、VIIへのVIの転化が、VIIIへの部分的または完全な転化を(例えば、R3=Hの場合、ギ酸の存在下での加熱により)導くこともある。
【0082】
図式2
【0083】
【化15】

【0084】
ほとんどの場合、官能基R1およびR2は、例えばタイプI、II、VIおよびIXの、出発原料の適切な選択により、ターゲット分子に含めることができる。最終的な官能基が、このプロセスにより直接得られない場合、またはこうした官能基が、最終分子を構築する後続の化学作用の間に損なわれる可能性がある場合、代替の官能基を使用し、この後、当業者により容易に決定される方法により、この順序における当業者により容易に決定される時点で、所望の最終官能基に変換することができる。例えば、こうした変換の非網羅的リストとして、次の転化が挙げられる:OMe→OH(BBr)、NH→Cl(NaNO、CuCl)、Br→CN(Pd(dba)、Zn(CN)、DPPF)、Me→COH(KMnO)、COH→COMe(MeOH、HSO)、OH→Oアルキル(ハロゲン化アルキル、塩基)、COH→CONR’R”(EDC、HOAt、DIPEA、HNR’R”)、Br→COMe(Pd(dba)、DPPF、CO(g)、MeOH)、Br→COH(BuLi、CO)、Ar−H→Ar−Br(NBS)、CN→COH(conc.HSO)、Br→NR’R”(Pd(dba)、DPPF、HNR’R”)。こうした官能基のターゲット分子への組み込みのより具体的で代表的な例を下の図3から5に示す。
【0085】
図式3
【0086】
【化16】

【0087】
5−ブロモ−3−ニトロ−2−ピリドールをDMAPの存在下で塩化p−トルエンスルホニルと反応させて、トシレートIXを得ることができ、これを3−フルオロアニリンと縮合させて、第二アニリンXを得ることができる。この中間体の還元は、酢酸中の鉄粉を用いて達成することができ、この後、この生成物XIを、ギ酸で、イミダゾ[4,5−b]ピリジンに環化することができる。この材料をt−ブチルリチウムで処理し、この後、この中間体アニオンを二酸化炭素および酸で反応停止させることによって、カルボン酸誘導体XIIが得られる。これを、1,1’−カルボニルジイミダゾールを使用して3−アミノメチルピリジンとカップリングさせて、アミドXIIIを得ることができる。
【0088】
図式4
【0089】
【化17】

【0090】
同様に、図式4では、トシレートIXをエタノール中で4−ベンジルオキシアニリンと縮合させて、ニトロピリジンXIVを得ることができる。これを還流エタノール中の塩化スズ(II)・二水和物で還元して、ジアミンXVを得ることができ、これを、p−トルエンスルホン酸の存在下、オルトギ酸トリメチルで、イミダゾ[4,5−b]ピリジンXVIに環化することができる。図式3に示したメタレーションの代替として、シアン化亜鉛を使用するPd(0)媒介手段によりシアノ基を導入して、XVIIを得ることができるが、Rosenmund−von Braun(CuCN)条件でもうまく行く。ニトリルの酸水解もXVIIIを得るための脱ベンジル化を助長し、例えば水素化ナトリウムなどの塩基の存在下で臭化ベンジル誘導体を使用してこのXVIIIをアルキル化して、加水分解処理すると、エーテルXIXを得ることができる。1,1’−カルボニルジイミダゾールによって媒介される2−モルホリン−4−イルエチルアミンとのカップリングにより、ターゲット化合物XXが生じる。
【0091】
図式5
【0092】
【化18】

【0093】
誘導化イミダゾ[4,5−b]ピリジンの合成に利用されるもう1つの代替経路を図式5に示す。6−ヒドロキシニコチン酸(XXI)を赤色発煙硝酸の存在下でニトロ化し、この生成物(XXII)を、PCl/POClを使用して塩素化し、この後、MeOHで注意深く反応停止させて、中間体XXIIIを得ることができる。これを、前に説明したように、アニリン、例えば4−ベンジルオキシアニリンと反応させて、XXIVのようなニトロ−アニリン−ピリジンを得ることができ、これを前のように還元し(例えば、接触水素化による)、環化して(例えば、オルトギ酸トリメチルおよびPTSA)、フェノールXXVIを得ることができる。このフェノールを、例えば、炭酸カリウムの存在下、臭化ベンジル誘導体でアルキル化し、酸性条件下でこのエーテル基を加水分解し、CDIを使用してメチルアミンなどのアミンとカップリングさせて、目的とするアミドXXIXを得ることができる。
【0094】
定義:EDC=塩酸エチルジメチルアミノプロピルカルボジイミド、HOAt=1−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール、HOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、CDI=1,1’−カルボニルジイミダゾール、TBTU=テトラフルオロホウ酸O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム、HATU=ヘキサフルオロリン酸アザベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム、DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン、TEA=トリエチルアミン、DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、NMP=N−メチルピロリジノン、DCM=ジクロロメタン、DMAP=4−ジメチルアミノピリジン、TFA=トリフルオロ酢酸、Boc=ブトキシカルボニル、Fmoc=フルオレニルメチルオキシカルボニル、DMSO=ジメチルスルホキシド、OMs=OSOMe、OTs=OSO−(4−Me)Ph、OTf=OSOCF、DPPF/dppf=1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、dba=ジベンジリデンアセトン、NBS=N−ブロモスクシンイミド、HCl(水溶液)=塩酸水溶液、DMA=N,N−ジメチルアセトアミド、MeOH=メタノール、EtOH=エタノール、EtOAc=酢酸エチル、THF=テトラヒドロフラン、HOAc=酢酸、DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、HPLC=高速液体クロマトグラフィー。
【0095】
(実施例R1)
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド
a)5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−オール(30.00g、0.137mmol)および塩化p−トルエンスルホニル(30.03g、0.158mmol)を、N下でCHClに懸濁させ、トリエチルアミン(38.2mL、0.274mmol)を一滴ずつ添加して処理した後、DMAP(3.35g、0.027mmol)を添加した。室温で16時間攪拌した後、この混合物をCHCl(500mL)で希釈し、この後、1M HCl(水溶液)(2x500mL)およびブライン(500mL)で洗浄した。水性層をCHCl(200mL)で逆抽出し、併せた有機層をNaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。このようにして単離した粗製材料を、50%EtOAc/へキサンで溶離するシリカゲルでのクロマトグラフィーに付して、蒸発させると固体が得られ、これを50%EtOAc/ヘキサンから結晶させて、4−メチルベンゼンスルホン酸5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イルを生じさせた。H NMR(400MHz,CDCl)δ2.51(s,3H),7.43(dd,2H,J=8.4,0.4Hz),7.99(dt,2H,J=6.8,2.0Hz),8.52(d,1H,J=2.4Hz),8.60(d,1H,J=2.4Hz)。
【0096】
b)4−メチルベンゼンスルホン酸5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−イル(38.2g、0.102mmol)および4−ベンジルオキシアニリン(24.13g、0.102mmol)をN下で900mLのトルエンに懸濁させ、トリエチルアミン(14.27mL、0.102mmol)で処理し、この混合物を110℃で16時間加熱した。この後、この反応混合物をCHCl(1L)で希釈し、2M HCl(水溶液)(4x500mL)およびブライン(500mL)で洗浄し、併せた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、この後、真空下で濃縮した。このようにして単離した粗生成物をエタノールから2回結晶させて、N−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−アミンを生じさせた。H NMR(400MHz,CDCl)δ5.11(s,2H),7.04(d,2H,J=9.2Hz),7.34−7.50(m,7H),8.48(d,1H,J=2.4Hz),8.66(d,1H,J=2.4Hz),9.94(bs,1H)。
【0097】
c)N−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−アミン(28.5g、0.071mmol)および塩化スズ(II)・二水和物(160.67g、0.712mmol)をN下で500mLのエタノールに溶解し、この反応混合物を還流させながら(70℃)30分間加熱した。この後、この冷却した混合物に、pHが9.5より大きくなるまで重炭酸ナトリウムを添加し、この後、この混合物をセライトに通して濾過し、これをメタノールで洗浄した。併せた有機相を真空下で濃縮した後、CHCl中で再構成し、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮して、N−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−5−ブロモピリジン−2,3−ジアミンを生じさせた。H NMR(400MHz,CDCl)δ3.44(bs,2H),5.07(s,2H),6.02(bs,1H),6.97(dt,2H,J=5.6,3.6Hz),7.12(d,1H,J=2.0Hz),7.32(dt,2H,J=4.8,0.4Hz),7.34−7.48(m,5H),7.84(d,1H,J=2Hz);MS(ES+):m/z371[MH],372(35)[MH2+
d)オルトギ酸トリメチル(9.0mL、81mmol)およびp−トルエンスルホン酸(384mg、2.0mmol)を、ジクロロメタン(40mL)中のN−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−5−ブロモピリジン−2,3−ジアミン(3g、8.1mmol)の溶液に添加し、この反応混合物を室温で4時間攪拌した。次に、沈殿物質を濾過によって回収し、CHClに再び溶解し、この溶液を10%NaOH(水溶液)(200mL)およびブライン(200mL)で洗浄し、この後、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮して、3−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンを生じさせた。H NMR(400MHz,CDCl)δ5.14(s,2H),7.16(d,J=8.8Hz,2H),7.33−7.47(m,5H),7.58(d,J=8.8Hz,2H),8.25(s,1H),8.28(d,J=2Hz,2H)および8.46(d,J=2Hz,2H);MS(ES+):m/z380[Br79MH],382[Br81MH]。
【0098】
e)脱気DMF/HO(100:1)(15mL)中の3−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(2g、5.26mmol)、Zn(CN)(371mg、3.16mmol)、Pd(dba)(101mg、0.11mmol)およびdppf(122mg、0.22mmol)を、N下、120℃で20時間攪拌した。この後、この混合物を室温に冷却し、NHCl:NHOH:HO(4:1:4)(45mL)で処理し、30分間、80℃に再加熱し、この後、0℃でさらに30分間攪拌した。沈殿した固体を濾過によって単離し、50%EtOAc/ヘキサンで溶離するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製して、3−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボニトリルを得た。H NMR(400MHz,D6−アセトン)δ5.16(s,2H),7.18(d,J=8Hz,2H),7.36−7.47(m,5H),7.57(d,J=8Hz,2H),8.41(s,1H),8.44(d,J=2Hz,1H)および8.70(d,J=2Hz,1H);MS(ES+):m/z327[MH]。
【0099】
f)37%HCl(20mL)中の3−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボニトリル(650mg)を100℃で48時間攪拌した。この反応混合物を室温に冷却し、粗製3−(4−ヒドロキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸を濾過によって回収した。H NMR(400MHz,D6−DMSO)δ6.91(d,J=8Hz,2H),7.58(d,J=8Hz,2H),8.54(d,J=2Hz,1H),8.86(s,1H)および8.9(d,J=2Hz,1H);MS(ES+):m/z256[MH]。
【0100】
g)DMF(3mL)中の3−(4−ヒドロキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸(54mg、0.21mmol)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(8mg、0.021mmol)、臭化4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル(0.13mL、0.84mmol)および水素化ナトリウム(50.4mg、1.26mmol)の混合物を、窒素下、室温で4時間攪拌した。この後、水(3mL)を添加し、この混合物をEtOAc(10mL)で洗浄した。水性相を6N HCl(水溶液)で酸性化し、生じた沈殿を濾過によって単離した。EtOAc洗液を真空下で濃縮し、残留物をMeOHに溶解し、6N NaOH(水溶液)とともに2時間攪拌した後、酸性化(2M HCl(水溶液))し、生成物を濾過した。併せた固体を真空下で乾燥させて、3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ]フェニル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸を得た。H NMR(400MHz,D6−DMSO)δ5.26(s,2H),7.26(d,J=8.9Hz,2H),7.42(d,J=8.2Hz,2H),7.63(d,J=8.2Hz,2H),7.82(d,J=8.9Hz,2H),8.61(d,J=1.6Hz,1H),8.95(s,1H),8.97(d,J=1.6Hz,1H)および13.2(br.s,1H);MS(ES+):m/z430[MH]。
【0101】
h)乾燥THF(2mL)中の3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ]フェニル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸(42mg、0.1mmol)、CDI(32.4mg、0.2mmol)およびDIPEA(87μL、0.5mmol)の混合物を60℃で2時間攪拌し、この後、2−(モルホリン−4−イル)エチルアミン(26μL、0.2mmol)で処理した。60℃でさらに2時間後、この混合物を真空下で濃縮し、残留物を、5%MeOH/CHClで溶離するシリカゲルでのクロマトグラフィーに付して、3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ]フェニル}−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミドを得た。H NMR(400MHz,D4−MeOH)δ2.57(br.s,4H),2.65(t,J=8Hz,2H),3.60(t,J=8Hz,2H),3.71(t,J=8Hz,4H),5.21(s,2H),7.22(dd,J=6.8および2Hz,2H),7.30(d,J=8.4Hz,2H),7.59(d,J=8.8Hz,2H),7.71(dd,J=6.8および2Hz,2H),8.57(d,J=1.6Hz,1H),8.71(s,1H)および8.90(d,J=1.6Hz,1H);MS(ES+):m/z542[MH]。
【0102】
以下の実施例は、実施例R1について上で説明した手順に従って調製したが、4−ベンジルオキシアニリン(段階a))および2−(モルホリン−4−イル)エチルアミン(段階h))の代わりに適切なアニリンおよびアミンをそれぞれ利用した。
【0103】
(実施例R2)
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−(2−メトキシエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z487[MH]。
【0104】
(実施例R3)
3−{3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−(ピリジン−3−イルメチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z520[MH]。
【0105】
(実施例R4)
3−{3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−(2−メトキシエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z487[MH]。
【0106】
(実施例R5)
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z569[MH]。
【0107】
(実施例R6)
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−(2−ジメチルアミノエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z500[MH]。
【0108】
(実施例R7)
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z540[MH]。
【0109】
(実施例R8)
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−(ピリジン−3−イルメチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z520[MH]。
【0110】
(実施例R9)
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−メチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z443[MH]。
【0111】
(実施例R10)
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−エチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z457[MH]。
【0112】
(実施例R11)
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−(2−ピロリジン−1−イルエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z526[MH]。
【0113】
(実施例R12)
3−{3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−メチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z443[MH]。
【0114】
(実施例R13)
3−{3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−エチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z457[MH]。
【0115】
(実施例R14)
3−{3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−(3−メトキシプロピル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z501[MH]。
【0116】
(実施例R15)
3−{3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル]オキシ}フェニル}−N−(2−ジメチルアミノエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。MS(ES+):m/z500[MH]。
【0117】
(実施例R16)
3−(4−メトキシフェニル)−N−(ピリジン−3−イルメチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。H NMR(400MHz,CDOD/CDCl):δ3.87(3H,s),4.64(2H),7.10(2H,d,J=9.0Hz),7.36(1H,dd,J=5.0Hz,7.9Hz),7.61(2H,d,J=9.0Hz),7.83(1H,dt,J=1.6Hz,7.8Hz),8.41(1H,dd,J=1.3Hz,4.8Hz),8.49(1H,s),8.55(1H,br),8.59(1H,d,J=2.0Hz),8.95(1H,d,J=2.0Hz);MS(ES+):m/z360[MH]。
【0118】
(実施例R17)
3−(4−メトキシフェニル)−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。H NMR(400MHz,CDCl):δ2.54(4H,br),2.65(2H,t,J=6.0Hz),3.62(2H,quart,J=5.5Hz),3.89(3H,s),6.94(1H,br),7.10(2H,d,J=8.9Hz),7.61(2H,d,J=8.9Hz),8.35(1H,s),8.53(1H,d,J=1.9Hz),8.91(1H,J=1.9Hz);MS(ES+):m/z382[MH]。
【0119】
(実施例R18)
3−(4−メトキシフェニル)−N−(ピリジン−2−イルメチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。H NMR(400MHz,CDCl):δ3.90(3H,s),4.83(2H,d,J=4.7Hz),7.11(2H,d,J=8.9Hz),7.24−7.28(1H,m),7.38(1H,d,J=7.8Hz),7.63(2H,d,J=8.9Hz),7.73(1H,td,J=1.6Hz,7.7Hz),7.98(1H,br),8.37(1H,s),8.58(1H,d,J=4.7Hz),8.67(1H,d,J=1.9Hz),9.04(1H,d,J=1.9Hz);MS(ES+):m/z360[MH]。
【0120】
(実施例R19)
3−(4−メトキシフェニル)−N−(3−メトキシプロピル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.91(2H,quint,J=5.5Hz),3.41(3H,s),3.61(2H,t,J=5.5Hz),3.66(2H,t,J=5.4Hz),3.89(3H,s),7.10(2H,d,J=8.9Hz),7.21(br),7.61(2H,d,J=8.9Hz),8.34(1H,s),8.52(1H,d,J=2.0Hz),8.90(1H,d,J=1.9Hz);MS(ES+):m/z341[MH]。
【0121】
本明細書に記載するイミダゾピリジンへの代替経路として、以下の経路も、重要な中間体XXVIの合成に適用した。
【0122】
6−ヒドロキシ−5−ニトロニコチン酸(XXII): 250mLフラスコに6−ヒドロキシニコチン酸(20g、Aldrich)および100mLの赤色発煙硝酸を添加した。この混合物をゆっくりと50℃(浴温)に加熱し、この温度で8時間攪拌した。この後、温度をゆっくりと80℃に上昇させ、混合物をさらに7時間攪拌した。混合物を一晩室温に冷却し、黄色の沈殿を濾過によって回収し、水(10mL)で洗浄して、乾燥させた。LC−MS:>純度95%。H NMR(CDOD,400MHz):δ=8.45(d,J=2.5Hz,1H),8.85(d,J=2.5Hz,1H)。
【0123】
6−クロロ−5−ニトロニコチン酸メチルエステル(XXIII): POCl(5mL)中の6−ヒドロキシ−5−ニトロ−ニコチン酸(1.1g、6.0mmol)およびPCl(3.75g、18.0mmol)の懸濁液を100℃で2時間攪拌した。過剰なオキシ塩化リンを減圧下で蒸発させた。残留物を10mLの無水エーテルに溶解し、0℃に冷却し、この後、10mLのメタノールを一滴ずつ添加した。10分後、エーテルを減圧下、室温で蒸発させた。残ったメタノール溶液を水(40mL)で希釈し、淡黄色の固体を濾過によって回収した。H NMR(CDCl,400MHz):δ=4.03(s,3H),8.77(d,J=2.1Hz,1H),9.18(d,J=2.1Hz,1H)。
【0124】
6−(4−ベンジルオキシフェニルアミノ)−5−ニトロニコチン酸メチルエステル(XXIV): MeOH(10mL)中の6−クロロ−5−ニトロ−ニコチン酸メチルエステル(216mg、1.0mmol)および塩酸4−ベンジルオキシアニリン(280mg、1.2mmol)の溶液に、PrNEt(0.35mL、2.0mmol)を添加した。得られた混合物を室温で一晩攪拌し、赤色の固体をこの混合物から沈殿させ、これを濾過によって回収した。MS(ES,Pos.):m/z380[MH]。H NMR(CDCl,400MHz):δ=3.94(s,3H),5.10(s,2H),7.03(d,J=8.8Hz,2H),7.38−7.46(m,5H),7.50(d,J=8.8Hz,2H),9.01(d,J=2.0Hz,1H),9.08(d,J=2.0Hz,1H),10.2(brs,1H)。
【0125】
3−(4−ヒドロキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸メチルエステル(XXVI): MeOH(3mL)および酢酸エチル(3mL)中のXXIV(235mg、0.62mmol)の懸濁液に、窒素雰囲気下で10%Pd−C(47mg)を添加した。得られた混合物を室温で一晩水素化した。窒素下での濾過により触媒を除去し、メタノールで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、白色の固体を得た。MS(ES,Pos):m/z260[MH]。この水素化生成物をオルトギ酸トリメチル(5mL)に懸濁させ、p−トルエンスルホン酸・一水和物(12mg、0.062mmol)を添加した。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。白色の固体を濾過によって回収した。MS(ES,Pos.):m/z270[MH]。H NMR(CDOD,400MHz):δ=3.99(s,3H),7.00(d,J=8.8Hz,2H),7.59(d,J=8.8Hz,2H),8.71(d,J=1.8Hz,1H),8.72(s,1H),9.05(d,J=1.8Hz,1H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
R1は、−NR31、−NRC(O)R31、−NRC(O)OR31、−NRSO31、−OR、−SR、−SO、−CO、−COH、−CO−NR31、−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、または−CN基であるが、但し、
Yが、存在し、m>1の場合には、R1は、ハロゲン、−CN、NO、−C0−8アルキル、−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、−NR31、−NRC(O)R31、−NRC(O)OR31、−NRSO31、−OR、−SR、−SO、−CO、−COH、−CO−NR31、シクリルまたはヘテロシクリル基であり;
R2は、H、−C0−8アルキルまたは−C3−10シクロアルキルであり;
Xは、H、ハロゲン、NR3233、NR32COR33、NR32CO33、NR32SO33OR32、SR32、SO32、SONR3233、CO32、COH、CONR3233、−C0−8アルキル、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、CN、CF、OCF、NO、オキソ、シクリルまたはヘテロシクリル基から選択される1個またはそれ以上の置換基で場合により置換されている、シクリルまたはヘテロシクリル基であり;
Yは、存在しないか、
【化2】

(これらの場合、Xへの結合点は、示されているようにこれらのリンカーの左からであってもよいし、右からであってもよい)
であり;
およびRは、各々独立して、−C0−8アルキル、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、−C3−10シクロアルキル、−C3−10シクロアルケニル、−C1−8アルコキシ、−チオC1−8アルキル、カルボキシ、−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、オキソもしくはヒドロキシであり;またはこれらが結合しているCと一緒になって、環の接続点に0から4個のN、O、S、SOもしくはSOを場合により有する飽和もしくは部分的不飽和の3から10員環を形成し;
およびRは、各々独立して、−C0−8アルキル、−C2−8アルケニル、ベンジルもしくはアシルであり;または一緒になって、もしくはRあるいはRとともに、飽和もしくは部分的不飽和の3から7員環を形成し;
mは、0、1、2、3、4または5であり;
Zは、ハロゲン、NR3435、NR34COR35、NR34CO35、NR34SO35、OR34、SR34、SO34、SONR3435、CO34、COH、CONR3435、−C0−8アルキル、−C2−8アルケニル、−C2−8アルキニル、CN、CF、NO、オキソ、シクリルまたはヘテロシクリル基から選択される1個またはそれ以上の置換基で場合により置換されている、シクリルもしくはヘテロシクリル基であり;またはXおよびYが存在する場合、Zは、−C1−8アルキルもしくは−C1−8アルキル−O−C1−8アルキルであり得;
、R31、R32、R33、R34およびR35は、独立して、ヘテロシクリルもしくはOH置換基で場合により置換されているC0−8アルキル;−C0−8アルキル−C3−8シクロアルキル、CF、−C0−8アルキル−O−C0−8アルキル、−C0−8アルキル−N(C0−8アルキル)(C0−8アルキル)、−C0−8アルキル−S(O)0−2−C0−8アルキル;または−C0−8アルキル、シクリルもしくは置換シクリル置換基で場合により置換されているヘテロシクリルである)
によって表される化合物。
【請求項2】
R1が、−CONR31である、請求項1に記載の化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド。
【請求項3】
Xが、シクリルである、請求項2に記載の化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド。
【請求項4】
Yが、存在しない、請求項3に記載の化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド。
【請求項5】
Yが、
【化3】

である、請求項3に記載の化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド。
【請求項6】
Yが、
【化4】

である、請求項3に記載の化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド。
【請求項7】
Yが、
【化5】

である、請求項3に記載の化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド。
【請求項8】
Yが、
【化6】

である、請求項3に記載の化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドおよび医薬適合性担体を含む組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドおよび抗新生物薬、抗腫瘍薬、抗血管新生薬または化学療法薬を含む組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドおよび細胞障害性癌治療薬を含む組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシドおよび血管新生阻害性癌治療薬を含む組成物。
【請求項13】
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−(2−メトキシエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−(ピリジン−3−イルメチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−(2−メトキシエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−(2−ジメチルアミノエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−(ピリジン−3−イルメチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−メチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−エチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{4−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−(2−ピロリジン−1−イルエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−メチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−エチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−(3−メトキシプロピル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−{3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ]フェニル}−N−(2−ジメチルアミノエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−(4−メトキシフェニル)−N−(ピリジン−3−イルメチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−(4−メトキシフェニル)−N−(2−モルホリン−4−イルエチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−(4−メトキシフェニル)−N−(ピリジン−2−イルメチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド;
3−(4−メトキシフェニル)−N−(3−メトキシプロピル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキサミド
から成る化合物またはこの医薬適合性の塩もしくはN−オキシド。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物の有効量を投与する段階を含む、高増殖性疾患の治療方法。
【請求項15】
抗新生物薬、抗腫瘍薬、抗血管新生薬または化学療法薬を投与する段階をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記高増殖性疾患が、乳癌、頭部癌または頚部癌である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記高増殖性疾患が、胃腸癌である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記高増殖性疾患が、白血病である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記高増殖性疾患が、卵巣癌、気管支癌、肺癌または膵臓癌である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記高増殖性疾患が、小細胞肺癌または大腸癌である、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記高増殖性疾患が、副鼻腔(sinonasal)天然キラー/T細胞リンパ腫、精巣癌(精上皮腫)、甲状腺癌腫、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌腫、血管肉腫、未分化大細胞リンパ腫、子宮内膜癌腫、または前立腺癌腫である、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2007−502822(P2007−502822A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523956(P2006−523956)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/026483
【国際公開番号】WO2005/021544
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(500501513)オーエスアイ・ファーマスーティカルズ・インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】