説明

c−Metの複素環阻害薬およびその使用方法

本発明は、c−Metチロシンキナーゼの阻害薬として有用な化合物を提供する。本発明はまた、本発明の化合物を含む薬学的に許容できる組成物および様々な増殖性障害の治療に該組成物を使用する方法を提供する。本発明はまた、式Iの化合物および薬学的に許容できる担体、アジュバントまたはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、患者に治療上有効な量の式Iの化合物またはその医薬組成物を投与するステップを含む、患者における増殖性疾患、状態または障害を治療またはその重症度を軽減する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、c−Metの阻害薬として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
肝細胞成長因子(HGF)は、散乱因子としても知られており、有糸分裂誘発および細胞運動性を誘導することにより形質転換および腫瘍の発育を促進する多機能成長因子である。さらに、HGFは、細胞運動性および様々なシグナリング経路を介しての浸潤を刺激することにより転移を促進する。細胞効果をもたらすためには、HGFは、その受容体であるc−Met(受容体チロシンキナーゼ)に結合しなければならない。c−Metは、50キロダルトン(kDa)のαサブユニットおよび145kDaのβサブユニットを含む広く発現するヘテロ二量体タンパク質であり、有意な割合の様々な種類のヒト癌において過剰発現し、原発腫瘍と転移との遷移時にしばしば増殖する。c−Metは、アテローム動脈硬化症および肺線維症にも関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、c−Metタンパク質キナーゼ受容体の阻害薬として有用な化合物を開発する必要性が高い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の化合物および薬学的に許容できるその組成物はc−Metの阻害薬として有効であることが発見された。したがって、本発明は、式
【0005】
【化1】

を有する化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくはプロドラッグを特徴とし、R、R、R、X、Y、Y、Z、L、LおよびRのそれぞれは本明細書で定義する通りである。
【0006】
本発明はまた、式Iの化合物および薬学的に許容できる担体、アジュバントまたはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、患者に治療上有効な量の式Iの化合物またはその医薬組成物を投与するステップを含む、患者における増殖性疾患、状態または障害を治療またはその重症度を軽減する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義および一般的用語
本明細書で用いるように、特に示さない限り、以下の定義が適用されるものとする。本発明の目的のために、化学要素は、CAS版の元素周期表およびHandbook of Chemistry and Physics、第75版、1994年に従って同定する。さらに、有機化学の一般的原理は、全内容がこれによって参照として組み込まれる、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999年および「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、Smith, M.B. およびMarch, J.編、John Wiley & Sons、New York:2001年に記載されている。
【0008】
本明細書で述べるように、本発明の化合物は、上で一般的に例示するように、あるいは本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種により例示するように、1つまたは複数の置換基で場合によって置換されていてもよい。「場合によって置換された」という句は、「置換されたまたは置換されていない」という句と同義で用いられることは理解されるであろう。一般的に、「置換された」という用語は、「場合によって」という用語が先行するか否かにかかわりなく、所与の構造における1つまたは複数の水素遊離基の明示された置換基の遊離基による置換を意味する。特に示さない限り、場合によって置換された基は、該基の各置換可能な位置に置換基を有することができる。所与の構造における複数の位置を明示された基から選択される複数の置換基で置換することができる場合、置換基は、各位置において同じまたは異なっていてもよい。
【0009】
本明細書で述べるように、「場合によって置換された」という用語がリストに先行する場合、前記用語は、当該リストにおける続く置換可能な基のすべてに当てはまる。例えば、Xがハロゲン、場合によって置換されたC1〜3アルキルまたはフェニルである場合、Xは、場合によって置換されたアルキルまたは場合によって置換されたフェニルである。同様に、「場合によって置換された」という用語がリストに続く場合、前記用語はまた、特に示さない限り、先行するリストにおける置換可能な基のすべてに当てはまる。例えば、Xがハロゲン、C1〜3アルキルまたはフェニルであり、XがJにより場合によって置換されている場合、C1〜3アルキルおよびフェニルの両方は、Jにより場合によって置換されている。当業者には明らかなように、H、ハロゲン、NO、CN、NH、OHまたはOCFなどの基は、置換可能な基でないため、含まれない。置換基遊離基または構造が特定または「場合によって置換された」と定義されていない場合、置換基遊離基または構造は非置換である。
【0010】
本発明により構想される置換基の組合せは、好ましくは、安定または化学的に実現できる化合物の形成をもたらすものである。「安定な」という用語は、本明細書で用いるように、それらの製造、検出および好ましくはそれらの回収、精製、ならびに本明細書で開示する1つまたは複数の目的のための使用を可能にする条件のもとにおいたとき、実質的に変化しない化合物に適用される。いくつかの実施形態において、安定な化合物または化学的に実現できる化合物は、水分または他の化学的に反応性条件の非存在下で40℃以下の温度に少なくとも1週間保持したとき、実質的に変化しないものである。
【0011】
「脂肪族」または「脂肪族基」は、本明細書で用いるように、完全に飽和した、あるいは1つまたは複数の不飽和単位を含む直鎖(すなわち、非分枝)または分枝置換もしくは非置換炭化水素鎖を意味する。特に指定しない限り、脂肪族基は、1〜20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は1〜10個の炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は1〜8個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、脂肪族基は1〜6個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態において、脂肪族基は1〜4個の炭素原子を含む。適切な脂肪族基は、直鎖または分枝置換もしくは非置換アルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含むが、これらに限定されない。脂肪族基のさらなる例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、ビニルおよびsec−ブチルなどがある。「アルキル」という用語および「アルキ−」という接頭語は、本明細書で用いるように、直鎖および分枝飽和炭素鎖の両方を含む。「アルキレン」という用語は、本明細書で用いるように、2つの水素原子の除去により、直鎖または分枝鎖飽和炭化水素から誘導される飽和二価炭化水素基を表し、メチレン、エチレン、イソプロピレンなどにより例示される。「アルケニル」という用語は、本明細書で用いるように、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を含む一価直鎖または分枝鎖炭化水素基を表す。「アルキニル」という用語は、本明細書で用いるように、1つまたは複数の炭素−炭素三重結合を含む一価直鎖または分枝鎖炭化水素基を表す。「アルキリデン」という用語は、本明細書で用いるように、二価直鎖アルキル結合基を表す。
【0012】
「脂環式」(または「炭素環式」)という用語は、完全に飽和しているか、あるいは1つまたは複数の不飽和単位を含むが、芳香族でなく、分子の残りの部分に対する単一結合点を有する単環式C〜C炭化水素または二環式C〜C12炭化水素を意味し、前記二環式環系における個々の環は3〜7構成員を有する。適切な脂環式基は、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルを含むが、これらに限定されない。脂環式基のさらなる例としては、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチルおよびシクロヘプテニルなどがある。
【0013】
「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素脂環式」または「複素環式」という用語は、本明細書で用いるように、1つまたは複数の環構成員が、独立に選択されるヘテロ原子であり、完全に飽和しているか、あるいは1つまたは複数の不飽和単位を含むが、芳香族でなく、分子の残りの部分に対する単一結合点を有する単環式、二環式または三環式環系を意味する。いくつかの実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素脂環式」または「複素環式」基は、1つまたは複数の環構成員が酸素、硫黄、窒素またはリンから独立に選択されるヘテロ原子である3〜14環構成員を有し、系内の各環は3〜8環構成員を有する。
【0014】
複素環式環の例は、次の単環、すなわち、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−テトラヒドロピペラジニル、2−テトラヒドロピペラジニル、3−テトラヒドロピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、5−ピラゾリニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、2−チアゾリジニル、3−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル、ならびに次の二環、すなわち、3−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンゾイミダゾール−2−オン、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアンおよび1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オンを含むが、これらに限定されない。
【0015】
「ヘテロ原子」という用語は、窒素、硫黄またはリンの酸化形、塩基性窒素の第四級化形、あるいは複素環式環の置換可能な窒素、例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおけるような)、NH(ピロリジニルにおけるような)またはNR(N置換ピロリジニルにおけるような)を含む、酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素の1つまたは複数を意味する。
【0016】
「不飽和」という用語は、本明細書で用いるように、ある部分が1つまたは複数の不飽和単位を有することを意味する。
【0017】
「アルコキシ」または「チオアルキル」という用語は、本明細書で用いるように、酸素(「アルコキシ」)または硫黄(「チオアルキル」)原子を介して主炭素鎖に結合した、以前に定義したアルキル基を意味する。
【0018】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」という用語は、1つまたは複数のハロゲン原子で場合によって置換されたアルキル、アルケニルまたはアルコキシを意味する。「ハロゲン」という用語は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0019】
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」または「アリールオキシアルキル」におけるようにより大きい部分の一部として用いられる「アリール」という用語は、合計6〜14環構成員を有し、系内の少なくとも1つの環が芳香族であり、系内の各環は3〜7環構成員を含み、分子の残りの部分に対する単一結合点を有する単環式、二環式および三環式炭素環式環系を意味する。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と同義で用いることができる。アリール環の例としては、フェニル、ナフチルおよびアントラセンなどがある。
【0020】
単独で、または「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」におけるようにより大きい部分の一部として用いられる「ヘテロアリール」という用語は、合計5〜14環構成員を有し、系内の少なくとも1つの環が芳香族であり、系内の少なくとも1つの環が1つまたは複数のヘテロ原子を含み、系内の各環は3〜7環構成員を含み、分子の残りの部分に対する単一結合点を有する単環式、二環式および三環式環系を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語または「ヘテロ芳香族」という用語と同義で用いることができる。
【0021】
ヘテロアリール環のさらなる例としては、次の単環、すなわち、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、N−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5−テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2−トリアゾリルおよび5−トリアゾリル)、2−チエニル、3−チエニル、ピラゾリル(例えば、2−ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、ならびに次の二環、すなわち、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば、2−インドリル)、プリニル、キノリニル(例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル)およびイソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、または4−イソキノリニル)などがある。
【0022】
いくつかの実施形態において、アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)またはヘテロアリール(ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルコキシなどを含む)基は、1つまたは複数の置換基を含んでいてよい。アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適切な置換基としては、ハロゲン、−R、−OR、−SR、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、Rで場合によって置換されたフェニル(Ph)、Rで場合によって置換された−O(Ph)、Rで場合によって置換された−(CH1〜2(Ph)、Rで場合によって置換された−CH=CH(Ph)、−NO、−CN、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(O)N(R、−NRC(S)N(R、−NRCO、−NRNRC(O)R、−NRNRC(O)N(R、−NRNRCO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(S)R、−C(O)N(R、−C(S)N(R、−B(OR、−OC(O)N(R、−OC(O)R、−C(O)N(OR)R、−C(NOR)R、−S(O)、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NRSON(R、−NRSO、−N(OR)R、−C(=NH)−N(R、−(CH0〜2NHC(O)R、−L−R、−L−N(R、−L−SR、−L−OR、−L−(C3〜10脂環式基)、−L−(C6〜10アリール)、−L−(5〜10員ヘテロアリール)、−L−(5〜10員ヘテロシクリル)、オキソ、C1〜4ハロアルコキシ、C1〜4ハロアルキル、−L−NO、−L−CN、−L−OH、−L−CF、あるいはそれらが結合している炭素または介在炭素と一緒になって5〜7員飽和、不飽和または部分的飽和環を形成している同じ炭素上または異なる炭素上の2つの置換基などがあり、Lは、最大3つのメチレン単位が−NH−、−NR−、−O−、−S−、−CO−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NH−、−C(O)NR−、−C(=N−CN)−、−NHCO−、−NRCO−、−NHC(O)O−、−NRC(O)O−、−SONH−、−SONR−、−NHSO−、−NRSO−、−NHC(O)NH−、−NRC(O)NH−、−NHC(O)NR−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NH−、−OC(O)NR−、−NHSONH−、−NRSONH−、−NHSONR−、−NRSONR−、−SO−または−SO−により置換されているC1〜6アルキレン基であり、Rの各出現は、水素、場合によって置換されたC1〜6脂肪族、非置換5〜6員ヘテロアリールもしくは複素環式環、フェニルまたは−CH(Ph)から独立に選択されるか、あるいは、同じ置換基または異なる置換基上の2つのRの2つの独立した出現は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール環または3〜8員シクロアルキル環を形成しており、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環は、窒素、酸素または硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する。Rの脂肪族基上の任意選択の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、Rの前記C1〜4脂肪族基のそれぞれは非置換である。
【0023】
いくつかの実施形態において、脂肪族もしくはヘテロ脂肪族基、または非芳香族複素環式環は、1つまたは複数の置換基を含んでいてもよい。脂肪族もしくはヘテロ脂肪族基の、または非芳香族複素環式環の飽和炭素上の適切な置換基は、アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素について上に示したものから選択され、さらに、次のもの、すなわち、=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)または=NRを含み、各Rは、水素または場合によって置換されたC1〜6脂肪族から独立に選択される。Rの脂肪族基上の任意選択の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロ−C1〜4脂肪族)およびハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、Rの前記C1〜4脂肪族基のそれぞれは非置換である。
【0024】
いくつかの実施形態において、非芳香族複素環式環の窒素上の任意選択の置換基としては、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rまたは−NRSOなどがあり、Rは、水素、場合によって置換されたC1〜6脂肪族、場合によって置換されたフェニル、場合によって置換された−O(Ph)、場合によって置換された−CH(Ph)、場合によって置換された−(CH1〜2(Ph)、場合によって置換された−CH=CH(Ph)または酸素、窒素もしくは硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する非置換5〜6員ヘテロアリールもしくは複素環式環であるか、あるいは、同じ置換基または異なる置換基上の2つのRの2つの独立した出現は、各R基が結合している原子と一緒になって、5〜8員ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール環または3〜8員シクロアルキル環を形成しており、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環は、窒素、酸素または硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する。Rの脂肪族基またはフェニル環上の任意選択の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロ(C1〜4脂肪族))またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、Rの前記C1〜4脂肪族基のそれぞれは非置換である。
【0025】
上で詳述したように、いくつかの実施形態において、R(またはRまたは本明細書で同様に定義された他のいずれかの可変基)の2つの独立した出現は、各可変基が結合している原子と一緒になって5〜8員ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール環または3〜8員シクロアルキル環を形成することができる。R(またはRまたは本明細書で同様に定義された他のいずれかの可変基)の2つの独立した出現が各可変基が結合している原子と一緒になるときに形成される具体例としての環は、次のものを含むが、それらに限定されない。すなわち、a)同じ原子に結合し、当原子と一緒になって環、例えば、N(Rを形成するR(またはRまたは本明細書で同様に定義された他のいずれかの可変基)の2つの独立した出現で、Rの両出現が窒素原子と一緒になってピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イルまたはモルホリン−4−イル基を形成する場合、およびb)異なる原子に結合し、それらの原子の両方と一緒になって環、例えば、フェニル基がORの2つの出現で置換されている
【0026】
【化2】

を形成するR(またはRまたは本明細書で同様に定義された他のいずれかの可変基)の2つの独立した出現で、Rのこれらの2つの出現が、それらが結合している酸素原子と一緒になって縮合6員酸素含有環:
【0027】
【化3】

を形成する場合である。R(またはRまたは本明細書で同様に定義された他のいずれかの可変基)の2つの独立した出現が各可変基が結合している原子と一緒になるときに他の様々な環を形成させることができること、また上で詳述した例は限定することを意図するものでないことは理解されるであろう。
【0028】
いくつかの実施形態において、アルキルまたは脂肪族鎖は、他の原子または基で場合によって中断させることができる。これは、アルキルまたは脂肪族鎖のメチレン単位を前記他の原子または基で場合によって置換することを意味する。そのような原子または基の例は、−NR−、−O−、−S−、−CO−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NR−、−C(=N−CN)、−NRCO−、−NRC(O)O−、−SONR−、−NRSO−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−NRSONR−、−SO−または−SO−を含むであろうが、これらに限定されない。式中、Rは本明細書に定義されている。特に指定しない限り、任意選択の置換は、化学的に安定な化合物を形成する。任意選択の中断は、鎖内および鎖のいずれかの末端の両方、すなわち、結合点および/または末端の両方で起り得る。2つの任意選択の置換は、化学的に安定な化合物をもたらす限り、鎖内で互いに隣接させることもできる。特に指定しない限り、置換または中断が末端で起る場合、置換原子は末端のHに結合する。例えば、−CHCHCHが−O−で場合によって中断された場合、得られた化合物は、−OCHCH、−CHOCHまたは−CHCHOHであり得る。
【0029】
本明細書で述べるように、置換基から多環系内の1つの環の中心に向かって描いた結合(下で示すような)は、多環系内の環のいずれかにおける置換可能な位置における置換基の置換を表す。例えば、図aは、図bに示す位置のいずれかにおける可能な置換を表す。
【0030】
【化4】

これは、任意選択の環系(点線によって示されるような)に縮合された多環系にも適用される。例えば、図cにおいて、Xは、環Aおよび環Bの両方に対する任意選択の置換基である。
【0031】
【化5】

しかし、多環系における2つの環がそれぞれ、各環の中心から描かれた異なる置換基を有する場合には、特に指定しない限り、各置換基は、それが結合している環上の置換基のみを表す。例えば、図dにおいて、Yは環Aのみに対する任意選択の置換基であり、Xは環Bのみに対する任意選択の置換基である。
【0032】
【化6】

特に示さない限り、本明細書で示す構造は、構造のすべての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体(または立体配座))形、例えば、各不斉中心のRおよびS立体配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)立体配座異性体を含むことも意味する。したがって、本発明の化合物の単一立体化学異性体ならびに鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体(または立体配座)混合物は、本発明の範囲内にある。
【0033】
「保護基」という用語は、本明細書で用いるように、例えば、アルコール、アミン、カルボキシル、カルボニルなどのような官能基を合成処置中の望ましくない反応から保護することを意図した基を表す。一般的に用いられる保護基は、参照として本明細書に組み込まれるGreeneおよびWuts、Protective Groups In Organic Synthesis、第3版(John Wiley & Sons、New York、1999年)に開示されている。窒素保護基の例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイルおよび保護もしくは非保護D,Lのようなキラル補助基またはアラニン、ロイシン、フェニルアラニンなどのD,L−アミノ酸などのアシル、アロイルまたはカルバミル基、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニルなどのスルホニル基、ベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニリル)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなどのカルバミン酸エステル形成基、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなどのアリールアルキル基ならびにトリメチルシリルなどのシリル基などがある。好ましいN−保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、アラニル、フェニルスルホニル、ベンジル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
【0034】
「プロドラッグ」という用語は、本明細書で用いるように、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−b、III−c、III−dまたは表1に示す化合物にin vivoで変換される化合物を表す。そのような変換は、例えば、プロドラッグ形の血液または組織中親形への血中加水分解または酵素変換により達成することができる。本発明の化合物のプロドラッグは、例えば、エステルであってよい。本発明におけるプロドラッグとして用いることができるエステルは、フェニルエステル、脂肪族(C1〜24)エステル、アシルオキシメチルエステル、炭酸エステル、カルバミン酸エステルおよびアミノ酸エステルである。例えば、OH基を含む本発明の化合物は、そのプロドラッグ形におけるこの位置でアシル化することができる。他のプロドラッグ形は、例えば、親化合物におけるOH基のホスホン化により得られるリン酸エステルのようなリン酸エステルを含む。プロドラッグの十分な考察は、それぞれが参照として本明細書に組み込まれる、T. HiguchiおよびV. Stella、Pro−drugs as Novel delivery Systems、A.C.S. Symposium Seriesの第14巻、Edward B. Roche編、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年およびJudkinsら、Synthetic Communications、第26巻(23号)、4351〜4367頁、1996年に記載されている。
【0035】
特に示さない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体は、本発明の範囲内にある。さらに、特に示さない限り、本明細書に示す構造は、1つまたは複数の同位体濃縮原子の存在の点のみが異なる化合物を含むことも意味する。例えば、重水素または三重水素による水素の置換、あるいは13Cまたは14C濃縮炭素による炭素の置換を除く考慮中の構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。そのような化合物は、例えば、生物学的検定における分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0036】
本発明の化合物の説明
1つの態様において、本発明は、式
【0037】
【化7】

を有する化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくはプロドラッグを特徴とし、式中、
は、−C(O)NR−、−C(S)NR−、−S(O)NR−、−NRC(O)−、−NRC(S)−、−NRS(O)−、−NRC(O)NR−、−NRC(S)NR−または−C(RQ−から選択され、Qは、−NR−、−O−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり、
Xは、水素、ハロゲン、−OH、−OR、−SR、−CNまたは−N(Rであるか、あるいはXは、LのC(Rと一緒になって、N、OまたはSから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5または6員複素芳香環を形成しており、
またはYのそれぞれがNまたはCHであり、YまたはYの少なくとも1つがNでなければならず、
Zは、−S−または−CH=CH−であり、
各Rは、独立に、水素またはハロゲン、−OH、−OR、−SR、−NO、−CNもしくは−N(Rから独立に選択される置換基で場合によって置換されたC1〜4脂肪族であるか、あるいは同じ炭素に結合した2つのR基は、N、OまたはSから選択される1〜2個の原子を場合によって含む3〜5員環を形成しており、
は、水素、ハロゲンまたはC1〜4脂肪族であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって6員アリールまたは5〜6員ヘテロアリール環を形成しており、各環は最大2つのRAr1で場合によって置換されており、
は、Rで場合によって置換されたC1〜8脂肪族またはC〜C脂環式基;6もしくは10員アリール;窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール;または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリルであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルのそれぞれは1〜5つのRAr1で場合によって置換されており、あるいはRとRは一緒になって6員アリールまたは5〜6員ヘテロアリール環を形成しており、各環は最大2つのRAr1で場合によって置換されており、
各Rは、独立に、水素であるか、またはハロゲン、C1〜4脂肪族、ハロ(C1〜4脂肪族)、OR、O(ハロ(C1〜4脂肪族))、NO、CN、CO、C(O)N(RもしくはN(Rから独立に選択される1〜5つの基で場合によって置換されたC1〜4脂肪族であり、
は、Rと、Lが結合している炭素との間の共有結合であるか、またはハロゲン、C1〜4脂肪族、ハロ(C1〜4脂肪族)、OR、O(ハロ(C1〜4脂肪族))、NO、CN、CO、C(O)N(RもしくはN(Rから独立に選択される1〜5つの基で場合によって置換された飽和もしくは不飽和C1〜4アルキリデン鎖であり、前記アルキリデン鎖の最大2つの飽和炭素は、−C(O)−、−C(O)N(R)−、−C(O)N(R)N(R)−、−CO−、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−N(R)CO−、−N(R)S(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)N(R)−、−O−、−OC(O)−、−OC(O)N(R)−、−S−、−SO−、−S(O)−または−S(O)N(R)−により置換されており、
は、水素、Rで場合によって置換されたC1〜8脂肪族またはC〜C脂環式基;6もしくは10員アリール環;窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環;または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環のそれぞれは、1〜5つのRAr2で場合によって置換されており、
Rは、ハロゲン、−R、−OR、−SR、−OC(O)(C1〜8脂肪族)、Rで場合によって置換されたPh、Rで場合によって置換された−O(Ph)、Rで場合によって置換された−CH(Ph)、Rで場合によって置換された−CHCH(Ph)、−NO、−CN、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−NRNRC(O)R−、−NRNRC(O)N(R、−NRNRCO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)N(R、−OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NRSON(R、−NRSO、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rまたは−(CHNHC(O)Rであり、式中、yは1〜4であり、あるいは同じ炭素原子上の2つのRは一緒になって、=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(C1〜8脂肪族)、=NNHSO(C1〜8脂肪族)または=NRであり、
各RAr1またはRAr2は、ハロゲン、−R、−OR、−SR、1〜5つのRで場合によって置換されたPh、1つまたは複数のRで場合によって置換された−O(Ph)、1〜5つのRで場合によって置換された−(CH(Ph)、−NO、−CN、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−NRNRC(O)R、−NRNRC(O)N(R、−NRNRCO、−C(O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)N(R、−OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NRSON(R、−NRSO、−C(S)N(R、−C(NH)N(Rおよび−(CHNHC(O)Rから独立に選択され、式中、yは1〜4であり、あるいは2つの隣接するRAr1またはRAr2は一緒になって1,2−メチレンジオキシまたは1,2−エチレンジオキシであり、
各Rは、独立に、水素またはC1〜4脂肪族であり、
各Rは、独立に、水素または場合によって置換されたC1〜8脂肪族であり、Rの前記場合によって置換された脂肪族の各置換基は、独立に、−NH、−NH(C1〜4脂肪族)、−N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、−OH、−O(C1〜4脂肪族)、−NO、−CN、−COH、−CO(C1〜4脂肪族)、−C(O)NH、−C(O)NH(C1〜4脂肪族)、−C(O)N(C1〜4脂肪族)、−O(ハロ(C1〜4脂肪族))またはハロ(C1〜4脂肪族)であり、あるいは同じ窒素上の2つのRは、窒素と一緒になって、窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成しており、
各Rは、独立に、水素、場合によって置換されたC1〜6脂肪族、非置換5〜6員ヘテロアリールまたは複素環式環、−Phまたは−O(Ph)であり、Rの前記場合によって置換された脂肪族の各置換基は、独立に、−NH、−NH(C1〜4脂肪族)、−N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、−OH、−O(C1〜4脂肪族)、−NO、−CN、−COH、−CO(C1〜4脂肪族)、−C(O)NH、−C(O)NH(C1〜4脂肪族)、−C(O)N(C1〜4脂肪族)、−O(ハロ(C1〜4脂肪族))またはハロ(C1〜4脂肪族)であり、あるいは同じ窒素上の2つのRは、窒素と一緒になって、窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している。
【0038】
1つの実施形態において、Xは、水素または−N(Rである。
【0039】
他の実施形態において、YおよびYのそれぞれがNである。
【0040】
さらに他の実施形態において、YはNであり、YはCHである。
【0041】
他の実施形態において、本発明の化合物は、次の式を有する。
【0042】
【化8】

さらに他の実施形態において、本発明の化合物は、次の式を有する。
【0043】
【化9】

1つの実施形態において、Lは、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−b、III−cまたはIII−dの化合物のいずれかにおける共有結合、−CH−または−N(R)−である。さらなる実施形態において、Lは−N(R)−である。別のさらなる実施形態において、Lは−NH−である。
【0044】
式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−b、III−cまたはIII−dのいずれかの化合物に関する1つの実施形態において、Rは、Rで場合によって置換されたC1〜8脂肪族またはC〜C脂環式基;6もしくは10員アリール環;窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環;または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環のそれぞれが1〜5つのRAr2で場合によって置換されている。他の実施形態において、Rは、場合によって置換されたフェニルまたは5〜6員ヘテロアリール環である。他の実施形態において、Rは、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾールまたはチアゾールから選択される場合によって置換されたヘテロアリール環である。さらなる実施形態において、Rは、3位において置換されたフェニル環である。
【0045】
さらに他の実施形態において、Rは、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾールまたはチアゾールから選択されるヘテロアリール環のような式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−b、III−cまたはIII−dのいずれかの化合物における場合によって置換されたフェニルまたは5〜6員ヘテロアリール環である。
【0046】
他の態様において、本発明は、表1に示す化合物の群から選択される化合物を特徴とする。
【0047】
表1
【0048】
【表1−1】

【0049】
【表1−2】

【0050】
【表1−3】

【0051】
【表1−4】

【0052】
【表1−5】

【0053】
【表1−6】

【0054】
【表1−7】

本発明の組成物、製剤および化合物の投与
他の態様によれば、本発明は、式I、II−a、III−a、II−b、III−b、II−c、III−c、II−d、III−dの化合物または表1に示す化合物ならびに薬学的に許容できる担体、アジュバントまたはビヒクルを含む医薬組成物を特徴とする。本発明の組成物中の化合物の量は、生物学的試料中または患者におけるプロテインキナーゼ、特にc−Metを検出できるほどに阻害するのに有効であるようなものである。
【0055】
好ましくは、本発明の組成物は、そのような組成物を必要とする患者への投与のために調合される。最も好ましくは、本発明の組成物は、患者への経口投与のために調合される。
【0056】
「患者」という用語は、本明細書で用いるように、動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトを意味する。
【0057】
本発明の特定の化合物は、治療用の遊離形で、または適用できる場合、薬学的に許容できるその誘導体として存在し得ることも理解されよう。本発明によれば、薬学的に許容できる誘導体は、必要とする患者への投与直後に、本明細書で別に記載する化合物またはその代謝物もしくは分解産物を直接的または間接的に供給することができる、薬学的に許容できるプロドラッグ、塩、エステル、そのようなエステルの塩、または他の付加物もしくは誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で用いるように、「薬学的に許容できる塩」という用語は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴うことなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適し、妥当なベネフィット/リスク比に対応する塩を意味する。「薬学的に許容できる塩」は、レシピエントへの投与直後に、本発明の化合物またはその阻害活性代謝物もしくは分解産物を直接的または間接的に供給することができる、本発明の化合物の無毒性の塩またはエステルの塩を意味する。本明細書で用いるように、「その阻害活性代謝物もしくは分解産物」という用語は、その代謝物もしくは分解産物もc−Metの阻害薬であることを意味する。
【0059】
薬学的に許容できる塩は、当技術分野でよく知られている。例えば、S.M. Bergeらは、参照として本明細書に組み込まれる、J. Pharmaceutical Sciences、第66巻、1〜19頁、1977年において薬学的に許容できる塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容できる塩は、適切な無機および有機酸および塩基から得られるものを含む。薬学的に許容できる無毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸を用いて、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸を用いて、またはイオン交換などの当技術分野で用いられる他の方法を用いることにより形成させたアミノ基の塩である。他の薬学的に許容できる塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などがある。適切な塩基から得られる塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1〜4アルキル)塩などがある。本発明はまた、本明細書に開示した化合物の塩基性窒素含有基の第四級化を構想する。そのような第四級化により、水もしくは油溶性または分散性生成物を得ることができる。代表的なアルカリおよびアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがある。さらなる薬学的に許容できる塩としては、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、C1〜8スルホン酸およびアリールスルホン酸などの対イオンを用いて形成させた無毒性のアンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミン陽イオンなどがある。
【0060】
上で述べたように、本発明の薬学的に許容できる組成物は、本明細書で用いるように、所望の個別の剤形に適する任意およびすべての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散もしくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、粘稠化もしくは乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などを含む、薬学的に許容できる担体、アジュバントまたはビヒクルをさらに含む。それぞれの内容が参照として本明細書に組み込まれる、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2005年、D.B. Troy編、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、ならびにEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、J. SwarbrickおよびJ.C. Boylan編、1988〜1999頁、Marcel Dekker、New Yorkに薬学的に許容できる組成物を調合するのに用いられる様々な担体およびその調製の既知の技術が開示されている。望ましくない生物学的影響をもたらすことにより、あるいはさもなければ、薬学的に許容できる組成物の他のいずれかの成分と有害な態様で相互作用することなどによって、従来の担体ビヒクルが本発明の化合物と不適合である場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0061】
薬学的に許容できる担体としての役割を果たすことができる材料のいくつかの例は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、プロタミン硫酸のような塩または電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、羊毛脂、ラクトース、グルコースおよびスクロースのような糖、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンのようなデンプン、セルロースならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースのようなセルロース誘導体、粉末状トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルクを含むが、これらに限定されず、ココアバターおよび坐剤ワックスのような賦形剤、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油のような油、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコール、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステル、寒天、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝剤、アルギン酸、発熱性物質不含有水、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸ナトリウムのような他の無毒性適合性滑沢剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、着香料および香料、保存剤および抗酸化剤も処方者の判断により組成物中に存在していてもよい。
【0062】
本発明の組成物は、経口、非経口、吸入噴霧により、局所、直腸、鼻内、頬、膣または植込レザバーを介して投与することができる。「非経口」という用語は、本明細書で用いるように、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、硬膜下腔内、眼内、肝臓内、病変内および頭蓋内注射または注入法を含む。本発明の組成物の滅菌注射剤は、水性または油脂性懸濁剤であってよい。これらの懸濁剤は、適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いて当技術分野で知られている手法に従って調合することができる。滅菌注射剤は、非経口で許容できる無毒性希釈剤または溶媒中滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中溶液であってもよい。用いることができる主な許容できるビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌固定油は、溶媒または懸濁化媒として従来から用いられている。
【0063】
この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含むあらゆる温和な固定油を用いることができる。オレイン酸などの脂肪酸およびそのグリセリド誘導体は、特にそれらのポリオキシエチル化形が、オリーブ油またはヒマシ油などの薬学的に許容できる天然油と同様に、注射剤の調製に有用である。これらの油液剤または懸濁剤は、乳剤および懸濁剤を含む薬学的に許容できる剤形の調合に一般的に用いられている長鎖アルコール希釈剤またはカルボキシメチルセルロースもしくは類似の分散剤などの分散剤も含んでいてもよい。薬学的に許容できる固体、液体または他の剤形の製造に一般的に用いられているTween、Spanなどの他の界面活性剤および他の乳化剤または生物学的利用能促進剤も調合の目的のために用いてもよい。
【0064】
本発明の薬学的に許容できる組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含むが、これらに限定されない、経口で許容できる剤形で経口投与することができる。経口用錠剤の場合、一般的に用いられている担体としては、ラクトースおよびトウモロコシデンプンなどがある。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も一般的に加えられる。カプセル剤での経口投与の場合、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンなどがある。経口用に水性懸濁剤が必要である場合、有効成分を乳化および懸濁化剤と混合する。所望の場合、特定の甘味料、着香または着色剤も加えることができる。
【0065】
あるいは、本発明の薬学的に許容できる組成物は、直腸投与用坐剤の形で投与することができる。これらは、薬物を、室温で固体であるが、直腸温で液体で、したがって、直腸内で融解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。そのような物質としては、ココアバター、ミツロウおよびポリエチレングリコールなどがある。
【0066】
本発明の薬学的に許容できる組成物は、特に治療の標的が眼、皮膚または下部腸管の疾患などの局所適用により容易に接触可能な部位または器官を含む場合に、局所的に投与することができる。適切な局所製剤は、これらの部位または器官のそれぞれのために容易に調製される。
【0067】
下部腸管に対する局所適用は、直腸坐剤(上を参照)または適切な浣腸剤で実施することができる。局所経皮パッチも用いることができる。
【0068】
局所適用のために、薬学的に許容できる組成物は、1つまたは複数の担体に懸濁または溶解した活性成分を含む適切な軟膏剤として調合することができる。本発明の化合物の局所投与用担体は、鉱油、液状ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水を含むが、これらに限定されない。あるいは、薬学的に許容できる組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容できる担体に懸濁または溶解した活性成分を含む適切なローション剤またはクリーム剤として調合することができる。適切な担体は、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を含むが、これらに限定されない。
【0069】
眼用には、薬学的に許容できる組成物は、例えば、等張性pH調整滅菌生理食塩水中微粉懸濁剤または他の水性液剤として、あるいは、好ましくは、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤を含むもしくは含まない等張性pH調整滅菌生理食塩水中液剤または他の水性液剤として調合することができる。あるいは、眼用に、薬学的に許容できる組成物は、ワセリンなどの軟膏剤として調合することができる。本発明の薬学的に許容できる組成物は、鼻内エアゾールまたは吸入により投与することもできる。そのような組成物は、医薬製剤の技術分野でよく知られている手法により調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フッ化炭素、および/または他の従来の可溶化または分散剤を用いて、生理食塩水中液剤として調製することができる。
【0070】
最も好ましくは、本発明の薬学的に許容できる組成物は、経口投与用に調合される。
【0071】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容できる乳剤、微粉乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含むが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルならびにその混合物などの可溶化剤および乳化剤のような当技術分野で一般的に用いられている不活性希釈剤を含んでいてもよい。不活性希釈剤のほかに、経口組成物は、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味料、着香および香料などのアジュバントも含んでいてよい。
【0072】
注射用製剤、例えば、滅菌注射用水性または油脂性懸濁剤は、適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いて既知の技術に従って調合することができる。滅菌注射用製剤は、例えば1,3−ブタンジオール中液剤のように、非経口で許容できる無毒性希釈剤または溶媒中滅菌注射用液剤、懸濁剤または乳剤であってもよい。用いることができる主な許容できるビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌固定油は、溶媒または懸濁化媒として従来から用いられている。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含むあらゆる温和な固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射剤の調製に用いられる。
【0073】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通してのろ過により、あるいは使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用ビヒクルに溶解または分散させることができる滅菌固体組成物の形の滅菌剤を混入することにより滅菌することができる。
【0074】
本発明の化合物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射剤からの化合物の吸収を遅くすることがしばしば望ましい。これは、不十分な水溶解性を有する結晶質または非晶質物質の液体懸濁剤を用いることによって達成される。そのとき、化合物の吸収の速度は、ひいては結晶サイズおよび結晶形に依存する可能性がある、その溶解速度に依存する。あるいは、化合物を油ビヒクルに溶解または懸濁することにより、非経口投与した化合物剤形の吸収の遅延が達成される。注射用デポ製剤は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成させることによって調製することができる。化合物とポリマーとの比および用いる個々のポリマーの性質によって、化合物の放出の速度を調節することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)などがある。デポ注射用製剤は、身体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルション中に化合物を封じ込めることによっても調製される。
【0075】
直腸または膣投与用組成物は、本発明の化合物を、周囲温度で固体であるが、体温で液体であり、したがって、直腸または膣腔内で融解し、活性化合物を放出するココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤用ワックスなどの適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製することができる坐剤であることが好ましい。
【0076】
経口投与用の固形剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤などがある。そのような固形剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性で、薬学的に許容できる賦形剤もしくは担体および/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアラビアゴムなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびその混合物などの滑沢剤と混合されている。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤も含んでいてよい。
【0077】
同様な種類の固形組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いた軟および硬充填ゼラチンカプセル剤における充填剤としても用いることができる。錠剤、糖衣剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤などの固形剤形は、医薬調剤技術分野でよく知られている腸溶剤皮および他の剤皮などの剤皮および外皮を用いて調製することができる。それらは、乳白剤を場合によって含んでいてもよく、それらが、腸管の特定の部分において、有効成分のみを、または有効成分を優先的に、場合によって遅延して放出する組成物であってもよい。用いることができる埋込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスなどがある。同様な種類の固形組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いた軟および硬充填ゼラチンカプセル剤における充填剤としても用いることができる。
【0078】
活性化合物は、上で述べたような1つまたは複数の賦形剤を用いたマイクロカプセル剤形であってもよい。錠剤、糖衣剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤などの固形剤形は、医薬調剤技術分野でよく知られている腸溶剤皮、放出制御剤皮および他の剤皮などの剤皮および外皮を用いて調製することができる。そのような固形剤形において、活性化合物をスクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合することができる。そのような剤形は、通常の実施と同様に、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースのような打錠滑沢剤および他の打錠助剤も含んでいてもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤も含んでいてよい。それらは、乳白剤を場合によって含んでいてもよく、それらが、腸管の特定の部分において、有効成分のみを、または有効成分を優先的に、場合によって遅延して放出する組成物であってもよい。用いることができる埋込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスなどがある。
【0079】
本発明の化合物の局所または経皮投与用剤形としては、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、噴霧剤、吸入剤または貼布剤などがある。滅菌状態下で、活性成分を薬学的に許容できる担体および必要なときに必要な保存剤または緩衝剤と混合する。眼用製剤、点耳剤、点眼剤も本発明の範囲内にあると考えられる。さらに、本発明は、身体への化合物の制御された送達をもたらすという付加的な利点を有する経皮パッチの使用を意図する。そのような剤形は、化合物を適切なビヒクルに溶解または分散させることによって調製することができる。吸収促進剤は、皮膚を通しての化合物の流束を増加させるためにも用いることができる。速度は、速度調節膜を設けることにより、あるいは化合物をポリマーマトリックスまたはゲルに分散させることにより調節することができる。
【0080】
本発明の化合物は、投与の容易さおよび用量の均一性のために用量単位剤形として調合することが好ましい。「用量単位剤形」という表現は、本明細書で用いるように、患者が投与を受けるために適切な薬物の物理的に分離した単位を意味する。しかし、本発明の化合物および組成物の総1日使用量は適切な医学的判断の範囲内で担当医によって決定されることは理解されるであろう。個々の患者または生物に対する個別の有効な用量レベルは、治療する障害および当障害の重症度、用いられる特定の化合物の活性、用いられる特定の組成物、患者の年齢、体重、一般的健康状態、性および食事、用いられる特定の化合物の投与の時間、投与経路および排泄速度、治療期間、用いられる特定の化合物との併用または同時使用薬物、ならびに医療技術分野でよく知られている同様な因子などの様々な因子に依存する。
【0081】
単一剤形の組成物を製造するために担体物質と組み合わせることができる本発明の化合物の量は、治療する宿主、個々の投与方法によって異なる。好ましくは、組成物は、これらの組成物の投与を受ける患者に阻害薬の0.01〜100mg/kg体重/日の用量を投与することができるように調合すべきである。
【0082】
治療または予防する個々の状態または疾患によって、当状態を治療または予防するために通常投与される追加の治療薬も本発明の組成物中に存在していてもよい。本明細書で用いるように、個々の疾患または状態を治療または予防するために通常投与される追加の治療薬は、「治療する該疾患または状態に対して適切である」と知られている。
【0083】
本発明の組成物中に存在する追加の治療薬の量は、当治療薬を唯一の活性薬として含む組成物で通常投与される量以下である。好ましくは、現在開示する組成物中の追加の治療薬の量は、当薬物を唯一の治療上有効な薬物として含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲にある。
【0084】
本発明の化合物および組成物の使用
本発明の化合物または組成物は、患者に有効な量の本発明の化合物または組成物を投与することにより、患者における増殖性疾患、状態または障害を治療またはその重症度を軽減するための単剤療法として用いることができる。そのような疾患、状態または障害としては、癌、特に転移性癌、アテローム動脈硬化症および肺線維症などがある。
【0085】
本明細書で用いるように、「c−Met」という用語は、「cMet」、「MET」、「Met」、「肝細胞成長因子受容体」または当業者に知られている他の名称と同義である。
【0086】
「癌」および「癌性」という用語は、調節されていない細胞成長/増殖によって一般的に特徴づけられる哺乳動物における生理学的状態を意味または記述する。癌の例は、癌、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病を含むが、これらに限定されない。そのような癌のより詳細な例としては、副腎皮質癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、腹膜癌、子宮頚癌、結腸癌、大腸直腸癌、子宮内膜または子宮癌、食道癌、眼癌、胆嚢癌、胃腸癌、神経膠芽腫、様々な種類の頭部および頚部癌、肝癌、肝細胞癌、腎臓癌、喉頭癌、肝臓癌、例えば、肺の腺癌、小細胞肺癌、肺の扁平上皮癌、非小細胞肺癌などの肺癌、黒色腫および非黒色腫皮膚癌、真正赤血球増加症、本態性血小板血症、慢性特発性骨髄線維症、骨髄線維症を伴う骨髄様化生、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、慢性好酸球性白血病、好酸球増加症候群、全身性マスト細胞疾患、非定型CMLまたは若年性骨髄単球性白血病などの骨髄増殖性障害、卵巣癌、膵臓癌、良性前立腺過形成を含む前立腺癌、直腸癌、唾液腺癌、扁平細胞癌、精巣癌、甲状腺癌ならびに陰門癌を含むが、これらに限定されない。
【0087】
本発明のc−Met阻害薬を投与することを含む治療方法は、化学療法もしくは抗増殖薬または抗炎症薬から選択される追加の治療薬を患者に投与することをさらに含んでいてよく(併用療法)、追加の治療薬は、疾患を治療するのに適切であり、追加の治療薬は、単一剤形として本発明の化合物もしくは組成物と一緒に、または複数の剤形の一部として該化合物もしくは組成物と別個に投与される。追加の治療薬は、本発明の化合物と同時または異なる時間に投与することができる。後者の場合、投与は、例えば、6時間、12時間、1日、2日、3日、1週間、2週間、3週間、1カ月または2カ月ずらすことがある。本発明の化合物と併用できる化学療法薬または他の抗増殖薬の非限定的な例としては、アドリアマイシン、ゲムシタビン、シクロホスファミド、デキサメタゾン、エトポシド、フルオロウラシル、Gleevec(商標)、インターフェロン、カルボプラスチン、トポテカン、タキソール、ビンブラスチンおよびビンクリスチンなどの白金誘導体などがある。
【0088】
本発明はまた、c−Metまたは肝細胞成長因子あるいは両方を発現する細胞の成長を阻害する方法であって、細胞を本発明の化合物または組成物と接触させ、それにより、細胞の成長の阻害をもたらす方法を特徴とする。成長を阻害することができる細胞の例としては、乳癌細胞、大腸直腸癌細胞、肺癌細胞、乳頭癌細胞、前立腺癌細胞、リンパ腫細胞、結腸癌細胞、膵臓癌細胞、卵巣癌細胞、子宮頚癌細胞、中枢神経系癌細胞、骨原性癌細胞、腎臓癌細胞、肝細胞癌細胞、膀胱癌細胞、胃癌細胞、頭部および頚部扁平上皮癌細胞、黒色腫細胞、または白血病細胞などがある。
【0089】
本発明は、生物学的試料を本発明の化合物または組成物と接触させることを含む、生物学的試料中のc−Metキナーゼ活性を阻害する方法を提供する。「生物学的試料」という用語は、本明細書で用いるように、生存生物の体外の試料を意味し、制限なしに、細胞培養またはその抽出物、哺乳動物から得られた生検材料またはその抽出物、ならびに血液、唾液、尿、大便、精液、涙液または他の体液またはその抽出物を含む。生物学的試料中のキナーゼ活性、特にc−Metキナーゼ活性の阻害は、当業者に知られている様々な目的のために有用である。そのような目的の例は、輸血、臓器移植、生物学的試料の保存および生物学的検定を含むが、これらに限定されない。
【0090】
本発明はまた、患者に本発明の化合物または組成物を投与することを含む、患者におけるc−Metキナーゼ活性を阻害する方法を提供する。1つの実施形態において、本発明は、患者におけるc−Met媒介性状態または疾患を治療またはその重症度を軽減する方法を含む。「c−Met媒介性疾患」または「c−Met媒介性状態」という用語は、本明細書で用いるように、c−Metが役割を果たすことが知られている疾患状態または他の有害な状態を意味する。「c−Met媒介性疾患」または「c−Met媒介性状態」という用語はまた、c−Met阻害薬を投与することによって軽減する疾患または状態を意味する。そのような状態は、制限なしに、例えば、結腸癌、胃腺癌、膀胱癌、乳癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、甲状腺癌、頭部および頚部の癌、前立腺癌、膵臓癌、CNSの癌、神経膠芽腫または骨髄増殖性障害などの癌、あるいは、例えば、アテローム動脈硬化症および肺線維症などの他の増殖性疾患を含む。
【0091】
本発明の特定の実施形態において、化合物または薬学的に許容できる組成物の「有効な量」または「有効な用量」は、1つまたは複数の前述の障害の治療またはその重症度の軽減に有効な量である。化合物および組成物は、本発明の方法により、障害または疾患の治療またはその重症度の軽減に有効な量および投与経路を用いて投与することができる。必要な正確な量は、患者の種、年齢および一般的状態、感染の重症度、個々の薬物、その投与方法などによって患者ごとに異なる。化合物または組成物は、上述のように他の1つまたは複数の治療薬とともに投与することもできる。
【0092】
本発明の化合物またはその医薬組成物は、人工器官、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテルなどの埋込み医療用具を被覆するために用いることもできる。例えば、血管ステントは、再狭窄(損傷後の血管壁の再狭窄)を克服するために用いられている。ステントまたは他の埋込み用具を用いる患者は、血塊形成または血小板活性化のおそれがある。これらの望ましくない影響は、本発明の化合物を含む薬学的に許容できる組成物で用具をあらかじめ被覆することによって予防または軽減することができる。
【0093】
適切なコーティングおよび被覆埋込み用具の一般的な調製は、それぞれの内容が参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第6,099,562号、第5,886,026号および第5,304,121号に記載されている。コーティングは、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニルおよびその混合物などの一般的に生体適合性ポリマー材料である。コーティングは、放出制御特性を組成物に付与するために、フルオロシリコーン、多糖、ポリエチレングリコール、リン脂質またはその組合せの適切なトップコートにより場合によってさらに被覆することができる。本発明の化合物で被覆された埋込み用具は、本発明の他の実施形態である。該化合物は、薬物の水溶液の投与より長時間にわたって薬物が放出されることを可能にする「薬物デポ」を設けるために、ビーズまたはポリマーもしくは他の分子と配合した状態で埋込み用具に被覆することもできる。
【0094】
本発明の化合物の調製
以下の定義は、本明細書で用いる用語および略語を記載するものである。
Ala アラニン
ATP アデノシン三リン酸
Boc t−ブトキシカルボニル
BSA ウシ血清アルブミン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO メチルスルホキシド
DTT ジチオトレイトール
EDCI 1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
ESMS エレクトロスプレー質量分析
EtO エチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エチルアルコール
HBTU O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LC−MS 液体クロマトグラフィー−質量分析
Me メチル
MeOH メタノール
NMP N−メチルピロリジン
Ph フェニル
tBu 第三級ブチル
TCA トリクロロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸。
【0095】
本明細書で用いるように、「R(分)」という用語は、化合物に関連するHPLCの分単位の保持時間を意味する。特に示さない限り、報告される保持時間を得るために用いるHPLCの方法は次の通りである。カラム:Zorbax SB C18カラム、3.0×150mm;勾配:10〜90%アセトニトリル/水(0.1%TFA)、5分;流量:1.0mL/分;ならびに、検出:254および214nm。
【0096】
逆相HPLCによる精製は、直線的水/アセトニトリル(0.1%TFA)勾配を用いて28mL/分の流量でWaters 20×100mm YMC−Pack Pro C18カラム上で行った。勾配の開始および最終組成は、各化合物についてそれぞれ10〜40および50〜90%アセトニトリルに変化させた。
【0097】
一般的合成手順
一般的に、本発明の化合物は、本明細書に記載する、または類似の化合物の調製について当業者に知られている方法により調製することができる。以下の非限定的なスキームおよび実施例は、本発明をさらに例示するために示す。本発明の選択した化合物の物理化学的特性を表2に示す。
【0098】
I.トリアゾロピリダジンの調製
スキーム1に示すように、同一または異なっていてよい、脱離基LGおよびLG’(例えば、ハロゲン、ホスホン酸、トシレートまたはトリフレート)を含む式IVの化合物を、高温でのマイクロ波照射下で、例えば、イソプロパノールなどの適切な溶媒中で化学量論的量までのヒドラジンと反応させて、式Vの化合物を生成させる。一般的に、反応温度は60℃超である。式Vの化合物と式VIのイミド酸エステルとの後続反応により式VIIIの化合物が生成し、式中、Rは本明細書に記載した通りであり、Rは後に求核基または求核基との反応に適する基に変換することができる適切に保護された官能基である。一般的に、この反応は、例えば、還流メタノールまたはエタノールなどの極性溶媒中高温で行わせる。1つの変形形態において、式VIIのカルボン酸またはそのエステルをイミド酸エステルの代わりに用い、反応を無溶媒で(neat)加熱しながら行わせることができる。他の変形形態において、イミド酸エステルの代わりに用いるカルボン酸を、例えば、1−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−ビス(ピロリジノ)ウロニウムヘキサフルオロリン酸(BBC)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HATU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロリン酸(HAPyU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(AOP)、1−ベンゾトリアゾリオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(BOP)、7−アゾベンゾトリアゾリオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyABOP)および1−ベンゾトリアゾリオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyBOP)などの当業者に知られている従来のアミノ結合形成試薬を用いてヒドラジン部分と反応させることができる。式IIIの化合物を調製した後、それを、触媒媒介交差カップリング反応により式IX(式中、LおよびRは本明細書における他所で述べた通りである)の化合物と反応させて、式II−Aの化合物を形成させることができる。触媒は、例えば、パラジウム触媒/リガンド系(例えば、Pd(PPh、Pd(PtBu、Pd[P(Me)(tBu)]、PdCl(PPh、PdCl(dppf)、Pd(dba)BINAPまたはPd(dba)P(o−tol)など(FuおよびLittke、Angew. Chem. Int. Ed.、第41巻、4176〜4211頁、2002年;Nicolaouら、Angew. Chem. Int. Ed.、第44巻、4442〜4489頁、2005年;またはHassenら、Chemical Reviews、第102巻(5号)、1359〜1469頁、2002年参照))であってよい。反応は、通常、塩基の存在下で行わせる。式VIのM基は、例えば、−B(Oアルキル)または−B(OH)(Suzuki反応)、−Mg−Hal(Kumada反応)、−Zn−Hal(Negishi反応)、−Sn(アルキル)(Stille反応)、−Si(アルキル)(Hiyama反応)、−Cu−Hal、−ZrCpClまたは−AlMeであってよい。
【0099】
スキーム1
【0100】
【化10】

所望ならば、スキーム2に示すように、式IVの化合物と式IXの化合物の交差カップリング反応を最初に、続いて、ヒドラジンとの反応を行わせて、式XIの化合物を形成させるように、ピリダジン環の官能基化の順序を変更することができる。
【0101】
スキーム2
【0102】
【化11】

スキーム3に示すように、LGまたはLG’を、例えば、アミンのような求核部分と最初に反応させて式XIIの化合物を形成させることができ、次いで、残りのLGまたはLG’をヒドラジンにより置換して式XIIIの化合物を形成させることができる。上述のように、この化合物とイミド酸エステル(またはカルボン酸またはカルボン酸エステル)との反応により、式II−Bを有するトリアゾロピリダジンが形成する。
【0103】
スキーム3
【0104】
【化12】


【0105】
II.トリアゾロチアジアゾールの調製
スキーム4に示すように、式VIIのカルボン酸を無溶媒でチオカルボノヒドラジドと加熱しながら(約170℃)縮合反応により反応させて、式XIVの4−アミノ−1,2,4−トリアゾール−3−チオールを生成させることができる。式XIVの化合物を還流オキシ塩化リン中で式XVのカルボン酸と反応させて、式III−Aの化合物を生成させることができる。ここで、LおよびRは、式Iの化合物について本明細書で定義した通りであり、Rは、例えば、後に求核基または求核基との反応に適する基に変換することができる、例えば、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、カルボキシルまたはスルホニル基などの適切に保護された官能基である。
【0106】
式III−Bの化合物(RおよびRは上述の通りである)を生成するために、式XIVの化合物をDMF中で加熱しながらイソチオシアネートXVIと反応させる。
【0107】
スキーム4
【0108】
【化13】

式II−A、II−B、III−AまたはIII−Bの化合物を当業者に知られている脱保護および/または活性化法によりさらに変換して、スキーム5に示すように後続の合成操作に適する化合物を生成させることができる。ここで、Hetは、式IIの化合物のトリアゾロピリダジンヘテロアリール環系または式IIIの化合物のトリアゾロチアジアゾールヘテロアリール環系を表す。
【0109】
スキーム5
【0110】
【化14】

本明細書に記載する本発明をより十分に理解することができるために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示の目的のみのためであって、本発明を限定すると解釈すべきではないことを理解すべきである。
【実施例】
【0111】
(実施例1)
N−((R)−1−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)エチル)−3−アミノピラジン−2−カルボキサミド(化合物XX)の調製
【0112】
【化15】

(ステップ1−i)3−クロロアニリン(10g、79mmol)および3,6−ジクロロピリダジン(10g、68mmol)をEtOH(50mL)中で混合し、反応混合物を加熱して一夜還流させた。次いで、反応混合物を酢酸エチル/飽和重炭酸ナトリウム(各200mL)で希釈し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶液を真空中で濃縮して、固体を得た。固体をEtOに懸濁し、生成物6−クロロ−N−(3−クロロフェニル)ピリダジン−3−アミンをベージュ色固体(7.7g、32mmol、収率47%)としてろ別した:H−NMR(500 MHz,DMSO−d)9.67(s,1H),8.02(t,J=2.0 Hz,1H),7.62(d,J=9.3 Hz,1H),7.52(dd,J=1.9,8.2 Hz,1H),7.35(t,J=8.1 Hz,1H),7.23(d,J=9.3 Hz,1H),7.04−7.02(m,1H)。
【0113】
(ステップ1−ii)6−クロロ−N−(3−クロロフェニル)ピリダジン−3−アミン(88.1g、367mmol)を1:6トリエチレングリコール/ヒドラジン水和物に懸濁し、加熱して4時間還流させた。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、固体をろ別した。この固体をEtOで摩砕して生成物N−(3−クロロフェニル)−6−ヒドラジニルピリダジン−3−アミンを褐色固体(60g、254mmol、収率69%)として得た:H NMR(500 MHz,DMSO−d)9.23(s,1H),8.09(t,J=1.8 Hz,1H),7.46(d,J=8.2 Hz,1H),7.24(t,J=8.1 Hz,1H),7.08(d,J=9.4 Hz,1H),7.00(d,J=9.4 Hz,1H),6.85(dd,J=1.3,7.8 Hz,1H)。
【0114】
(ステップ1−iii)N−(3−クロロフェニル)−6−ヒドラジニルピリダジン−3−アミン(2.4g、10mmol)をBoc−D−Ala−OH(2.0g、10.5mmol)と混合し、DMF中HBTU(4.4g、11.6mmol)およびDIEA(2.0mL(11.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、酢酸エチル/飽和重炭酸ナトリウムに注加した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、油状物に濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc〜10%MeOH/EtOAc)により精製して、生成物tert−ブチル(R)−1−(6−(3−クロロフェニルアミノ)ピリダジン−3−イルアミノカルバモイル)エチルカルバミン酸エステル(1.38g、3.4mmol、34%)を得た。
【0115】
(ステップ1−iv)tert−ブチル(R)−1−(6−(3−クロロフェニルアミノ)ピリダジン−3−イルアミノカルバモイル)エチルカルバミン酸エステル(1.38g、3.3mmol)の20mLジオキサン中溶液を加熱して16時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、50mLのEtOで希釈し、生成物tert−ブチル(R)−1−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)エチルカルバミン酸エステルを黄色固体(0.90g、2.3mmol、収率70%)としてろ別した。
【0116】
(ステップ1−vおよび1−vi)tert−ブチル(R)−1−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)エチルカルバミン酸エステル(110mg、0.28mmol)を5mLのTFA/CHCl(1:1)に溶解し、20分間放置した。溶媒を減圧下で除去し、4回CHClを加え、除去して、残留TFAを除去した。得られたアミンをDMFに溶解し、3−アミノピラジン−2−カルボン酸(200mg、1.4mmol)、HBTU(0.50g、1.3mmol)およびDIEA(1mL、5.7mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、酢酸エチル/0.1M NaOHに注加した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して油を得た。この油を逆相HPLCにより精製した。純生成物を含む画分を濃縮して、N−((R)−1−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)エチル)−3−アミノピラジン−2−カルボキサミドを黄色固体(60mg、0.13mmol、収率48%)として得た:H NMR(500 MHz,DMSO−d)10.43(s,1H),9.19(d,J=8.1 Hz,1H),8.22−8.20(m,2H),7.89(t,J=2.0 Hz,1H),7.75−7.73(m,2H),7.33(m,2H),7.07(dd,J=1.3,7.9 Hz,1H),5.76−5.71(m,1H),1.75(d,J=6.9 Hz,3H);MH+ 410.2。
【0117】
(実施例2)
1−((R)−1−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)エチル)−3−(ピリジン−3−イル)尿素の調製
【0118】
【化16】

(ステップ2−i)tert−ブチル(R)−1−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)エチルカルバミン酸エステル(50mg、0.13mmol)を5mLのTFA:CHCl(1:1)に溶解し、20分間放置した。溶媒を減圧下で除去し、4回CHClを加え、除去して、残留TFAを除去した。アミンを1mLのNMPに溶解し、3−イソシアナトピリジン(20mg、0.17mmol)を加えた後、DIEA(0.086mL、0.5mmol)を加えた。反応混合物にマイクロ波を100℃で10分間照射し、分取逆相HPLCカラム上に加え、HO/CHCN0.1%TFA勾配でカラムを溶離した。純生成物を含む画分を合わせ、濃縮し、6M HClを加え、得られた溶液を濃縮して、生成物1−((R)−1−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)エチル)−3−(ピリジン−3−イル)尿素をHCl塩(31mg、0.076mmol、収率58%)として得た:H NMR(500 MHz,DMSO−d)10.30(s,1H),10.00(s,1H),9.10(d,J=2.2 Hz,1H),8.45(d,J=5.4 Hz,1H),8.31(dd,J=1.2,8.7 Hz,1H),8.16(d,J=9.8 Hz,1H),7.94−7.89(m,2H),7.76(dd,J=1.5,8.2 Hz,1H),7.61(d,J=7.8 Hz,1H),7.36(t,J=8.1 Hz,1H),7.23(d,J=9.9 Hz,1H),7.06(dd,J=1.4,8.0 Hz,1H),5.52(t,J=7.3 Hz,1H),1.68(d,J=7.0 Hz,3H);MH+ 409.20。
【0119】
(実施例3)
N−(3−クロロフェニル)−3−(2−(N−((2−アミノピルジン−3−イル)メチル)−N−(メチル)アミノ)メチル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−アミンの調製
【0120】
【化17】

(ステップ3−i)N−(3−クロロフェニル)−6−ヒドラジニルピリダジン−3−アミン(4.0g、17mmol)をHCl/EtO(20mL)に溶解し、10分間撹拌した。反応混合物を濃縮し、DMF(20mL)に溶解し、2−クロロ−1,1,1−トリメトキシエタン(5.2g、34mmol)を加えた。3時間撹拌した後に、沈殿が形成し始めた。さらに1時間撹拌した後、反応混合物をろ過して、生成物3−(クロロメチル)−N−(3−クロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−アミンを白色固体(4g、13.6mmol、収率80%)として得た:H−NMR(500 MHz,DMSO−d)10.40(s,1H),8.19(d,J=9.8 Hz,1H),8.13(t,J=1.8 Hz,1H),7.68(dd,J=1.7,8.2 Hz,1H),7.40(t,J=8.1 Hz,1H),7.28(d,J=9.9 Hz,1H),7.11−7.09(m,1H)。
【0121】
(ステップ3−ii)3−(クロロメチル)−N−(3−クロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−アミン(210mg、0.71mmol)を2mLの水中40%メチルアミンに懸濁し、懸濁液に100℃で10分間マイクロ波照射した。反応混合物を室温に冷却し、褐色固体をろ別し、真空中で乾燥して生成物N−(3−クロロフェニル)−3−((メチルアミノ)メチル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−アミン(126mg、0.43mmol、収率61%)を得た:MH+=289.02。
【0122】
(ステップ3−iii)N−(3−クロロフェニル)−3−((メチルアミノ)メチル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−アミン(40mg、0.14mmol)をメタノール(1mL)中2−アミノピリジン−3−カルボキシアルデヒド(20mg、0.16mmol)および酢酸(5滴)と混合した。この溶液に、NaCNBH(60mg、0.43mmol)を固体として2つの部分に分けて加えた。1時間後に、さらに20mgのアルデヒドを加えた後、さらに30mgのNaCNBHを加えた。反応混合物を一夜撹拌した後、真空中で濃縮して固体を得た。固体をNMPに溶解し、ろ過し、逆相HPLCにより精製した。純生成物を含む画分の濃縮により固体が得られ、これを6N HClで処理し、真空中で濃縮して生成物N−(3−クロロフェニル)−3−(2−(N−((2−アミノピリジン−3−イル)メチル)−N−(メチル)アミノ)メチル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−アミンをビス−HCl塩(21mg、0.045mmol、収率34%)として得た:H−NMR(500 MHz,DMSO−d)10.45(s,1H),8.22(d,J=9.8 Hz,2H),8.16(d,J=5.7 Hz,1H),8.02(d,J=6.0 Hz,1H),7.93(s,1H),7.76(d,J=8.2 Hz,1H),7.42(t,J=8.1 Hz,1H),7.30(d,J=9.9 Hz,1H),7.10(dd,J=1.6,7.9 Hz,1H),6.91(t,J=6.8 Hz,1H),4.68(s,2H),4.28(s,2H),2.70(s,3H);MH+ 395.17。
【0123】
(実施例4)
3−(((ピリジン−3−イル)メトキシ)メチル)−N−(3−クロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−アミンの調製
【0124】
【化18】

(ステップ4−i)水素化ナトリウム(60%)(0.44g、11mmol)をTHF中(ピリジン−3−イル)メタノール(1.09g、10mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で10分間撹拌し、ブロモ酢酸エチル(1.8g、11mmol)を加えた後、20mgのヨウ化テトラブチルアンモニウムを加えた。反応混合物を一夜撹拌し、酢酸エチル/飽和重炭酸ナトリウムで希釈し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を油に濃縮し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して生成物2−((ピリジン−3−イル)メトキシ)酢酸エチルを褐色の油(0.63g、3.2mmol、収率32%)として得た:H−NMR(500 MHz,DMSO−d)8.63(d,J=1.8 Hz,1H),8.59(dd,J=1.5,4.8 Hz,1H),7.79(d,J=7.8 Hz,1H),7.34(dd,J=4.9,7.7 Hz,1H),4.68(s,2H),4.26(q,J=7.1 Hz,2H),4.15(s,2H),1.32(t,J=7.1 Hz,3H)。
【0125】
(ステップ4−ii)2−((ピリジン−3−イル)メトキシ)酢酸エチル(65mg、0.33mmol)およびN−(3−クロロフェニル)−6−ヒドラジニルピリダジン−3−アミン(60mg、0.25mmol)を16×100mm試験管中で混合し、160℃油浴に15分間入れた。残渣を1mLのDMSOに溶解し、逆相HPLCにより精製した。純生成物を含む画分を真空中で濃縮して固体を得、HCl/メタノールに溶解し、真空中で濃縮して、黄色固体生成物3−(((ピリジン−3−イル)メトキシ)メチル)−N−(3−クロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−アミンをHCl塩(22mg、0.055mmol、収率22%)として得た。H−NMR(500 MHz,DMSO−d6)10.25(s,1H),8.80(s,1H),8.77(d,J=5.2 Hz,1H),8.40(d,J=8.1 Hz,1H),8.16(d,J=9.9 Hz,1H),8.07(t,J=2.0 Hz,1H),7.90(dd,J=5.6,7.9 Hz,1H),7.61(dd,J=2.0,8.2 Hz,1H),7.36(t,J=8.1 Hz,1H),7.20(d,J=9.9 Hz,1H),7.08−7.06(m,1H),5.11(s,2H),4.89(s,2H);MH+ 367.3。
【0126】
(実施例5)
2−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)−N−(ピリジン−3−イル)アセトアミドの調製
【0127】
【化19】

(ステップ5−i)N−(3−クロロフェニル)−6−ヒドラジニルピリダジン−3−アミン(1g、4.25mmol)をエタノール(10mL)に溶解し、マロン酸ジエチル(2g、12.76mmol)を加えた。150℃で3時間のマクロ波照射後、反応混合物を濃縮して乾燥し、酢酸エチルに溶解し、ろ過して、生成物2−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)酢酸エチルを固体(1.1g、3.3mmol、収率78%)として得た。
【0128】
(ステップ5−ii)2−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)酢酸エチル(1g、3mmol)を1:1THF:HO中LiOH(72.0mg、3mmol)で60℃で6時間処理した。反応混合物を濃縮して乾燥し、メタノールに溶解し、生成物2−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)酢酸リチウムをろ別して、白色固体(600mg、1.9mmol、収率63%)として得た。
【0129】
2−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)酢酸リチウム(50mg、0.16mmol)をDMF(3ml)に溶解し、EDCI(45mg、0.24mmol)、HOBt(32mg、0.24mmol)、EtN(30μl、0.32mmol)および3−アミノピリジンを加えた。反応混合物を60℃で一夜撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水と混合し、有機層を濃縮して乾燥した。逆相HPLCによる精製により、生成物2−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル)−N−(ピリジン−3−イル)アセトアミドを得た。
【0130】
III.Suzukiカップリングに有用な中間体
本発明のいくつかの化合物の調製中に、金属化/ホウ素化部分をハロゲン化アリールとカップリングさせることにより、有用な中間体を調製することができる。特に容易な方法は、アリールボロン酸またはボロン酸エステル部分と例えば、塩化、臭化またはヨウ化アリールなどのハロゲン化アリールとの反応である。この方法は、当業者にSuzuki反応として知られており、米国特許第6,939,985号および第6,559,310号明細書ならびに米国特許出願第20040133028号明細書に記載されている。本発明の化合物の調製のために、この反応の特に有用な1つのハロゲン化アリール中間体である2−アミノ−5−ブロモピリジン−3−カルボン酸メチルは、Bionet,Inc.から購入することができる。他の有用な2つの中間体3−アミノ−6−ブロモピラジン−2−カルボン酸メチルおよび5−ブロモ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミンは、それぞれ実施例6および7に記載するように調製する。本発明の化合物を調製するためのSuzuki反応の使用の例は、下の実施例8に示す。
【0131】
(実施例6)
3−アミノ−6−ブロモピラジン−2−カルボン酸メチルの調製
【0132】
【化20】

(ステップ6−i)20mL温酢酸中3−アミノピラジン−2−カルボン酸メチル(5g、32.65mmol)の溶液に、2.8mLの臭素を1滴ずつ加えた。反応混合物を10分間放置し、次いで、150mLの水に加えた。沈殿を収集し、水で洗浄した。真空中で乾燥した後、得られたオレンジ色固体である3−アミノ−6−ブロモピラジン−2−カルボン酸メチルは、さらに精製せずに直接用いることができる。
(ステップ6−ii)10mLのTHF中3−アミノ−6−ブロモピラジン−2−カルボン酸メチル(1g、4.33mmol)の溶液に、20mLの水中LiOH(540mg、12.86mmol)の溶液を加えた。混合物を室温で4時間撹拌し、6M HClでpH2に酸性化した。ろ過により黄色沈殿を収集し、水で洗浄した。真空中で乾燥した後、生成物3−アミノ−6−ブロモピラジン−2−カルボン酸(600mg、2.75mmol、収率64%)をさらに精製せずに次の反応に直接用いることができる。
【0133】
(実施例7)
5−ブロモ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミンの調製
【0134】
【化21】

(ステップ7−i)30mLのn−ブタノール中5−ブロモ−2−クロロピリジン−3−カルボニトリル(2g、9.22mmol)の溶液に、2mLの無水ヒドラジンを加えた。反応混合物を還流下で14時間加熱し、室温に冷却した。蒸発により溶媒を除去し、残留物を飽和NaHCO溶液に注加した。得られた沈殿を収集し、水で洗浄した。真空中で乾燥した後、生成物5−ブロモ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミンをさらに精製せずに直接用いることができる。
【0135】
(実施例8)
(R)−3−(1−アミノエチル)−N−(3−クロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b][1,3,4]チアジアゾール−6−(フラン−3−イル)ピラジン−2−カルボキサミドの調製
【0136】
【化22】

(ステップ8−i)Cbz−D−Ala−OH(15g、67.2mmol)とチオセミカルバジド(7.135g、67.2mmol)との十分に混合した無溶媒混合物を迅速に172℃にした。15分後に熱を除去し、混合物がまだ熱い間に水(200mL)を加えた。2時間撹拌した後、得られたスラリーをろ過し、水で洗浄した。収集した固体を真空中で一夜乾燥して14gの白色固体を得た。この物質をEtO(200mL)でスラリーにし、ろ過し、真空中で乾燥して11.0gの−(R)−ベンジル1−(5−メルカプト−4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチルカルバメートを白色固体として得た:ESMS MH+=294。
【0137】
(ステップ8−ii)エタノール(15mL)中(R)−ベンジル1−(5−メルカプト−4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチルカルバメート(1.32g、4.5mmol)の混合物を80℃に加熱し、3−クロロフェニルイソチオシアネート(1.3g、7.65mmol)およびジシクロヘキシルカルボジイミド(1.11g、5.4mmol)を加えた。4時間後に、反応物を冷却し、等量のエーテルで希釈し、ろ過した。フィルターケーキを追加のエーテルで洗浄し、収集した固体を真空中で乾燥して、0.94gの(R)−ベンジル1−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b][1,3,4]チアジアゾール−3−イル)エチルカルバメートを得た:ESMS MH+=429。
【0138】
(ステップ8−iii)酢酸(20mL)中(R)−ベンジル1−(6−(3−クロロフェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b][1,3,4]チアジアゾール−3−イル)エチルカルバメート(0.39g、0.92mmol)のスラリーに、水(10mL)中48%臭化水素酸を加えた。混合物を90℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、得られた溶液を最初の容積の1/3に濃縮し、氷上に注ぎ、2N水酸化ナトリウムでpHを8に調整した。得られた沈殿をろ過し、水で洗浄し、真空中で一夜乾燥して、(R)−3−(1−アミノエチル)−N−(3−クロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b][1,3,4]チアジアゾール−6−アミン(0.19g)を得た:ESMS MH+=294。
【0139】
(ステップ8−iv)3−アミノ−6−ブロモピラジン−2−カルボン酸メチル(700mg、3mmol)をマイクロ波容器中で3−フランボロン酸(0.36g、3.2mmol)、酢酸カリウム(980mg、10mmol)およびテトラキスパラジウムトリフェニルホスフィン(200mg、0.17mmol)とともにジオキサン(4mL)に溶解した。窒素を5分間吹き込んだ後、容器を密閉し、混合物に170℃で20分間マイクロ波を照射した。反応混合物を酢酸エチル/飽和重炭酸ナトリウムで希釈し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して固体を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜70%EtOAc/ヘキサン)により精製して、3−アミノ−6−(フラン−3−イル)ピラジン−2−カルボン酸メチルを固体として得た。このメチルエステルをTHF/MeOHに溶解し、LiOH水和物(150mg、3.6mmol)の水溶液を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、容積の半分まで濃縮し、酢酸エチル/10%クエン酸水溶液で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し、真空中で濃縮して、3−アミノ−6−(フラン−3−イル)ピラジン−2−カルボン酸を固体(0.46g、2.3mmol、総収率77%)として得た。
【0140】
(ステップ8−v)DMF(3mL)中(R)−3−(1−アミノエチル)−N−(3−クロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b][1,3,4]チアジアゾール−6−アミン(0.141g、0.483mmol)の混合物に3−アミノ−6−(フラン−3−イル)ピラジン−2−カルボン酸(0.066g、0.322mmol)、HBTU(0.159g、0.42mmol)およびTEA(0.135ml、0.966mmol)を加えた。2時間後に、混合物を水で希釈し、得られた固体を収集した。固体を20%エタノール/エチルエーテル、塩化メチレンおよびメタノールで順次洗浄し、次いで、真空中で乾燥して、(R)−3−(1−アミノエチル)−N−(3−クロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b][1,3,4]チアジアゾール−6−(フラン−3−イル)ピラジン−2−カルボキサミド(0.09g)を得た:H NMR 300MHz DMSO−d 10.8(s,1H),9.21(s,1H),8.61(s,1H),8.38(s,1H),7.68(s,1H),7.51(s,1H),7.39(d,2H),7.13(m,3H),7.05(d,2H),5.69(m,1H),1.76(d,3H);ESMS MH+=482。
【0141】
本発明の化合物の生物学的検定
(実施例9)
c−Metの阻害に関するKの決定
本発明の化合物を、標準的放射検定法を用いてc−Metキナーゼ活性を阻害するそれらの能力についてスクリーニングした。簡単に述べると、このキナーゼ検定において、33P−ATPにおける末端33P−リン酸の基質ポリE4Yへの転移を検討した。検定は、96ウエルプレートで1.0nM c−Met、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、0.01%BSA、1mM DTT、0.5mg/mL ポリE4Yおよび35μM ATPを含む1ウエル当たり100μLの最終容積として行った。それに応じて、本発明の化合物をDMSOに溶解して、10mM初期保存溶液を調製した。DMSOで連続希釈を行って、検定用の最終溶液を得た。DMSOまたはDMSO中阻害薬の一定分量1.5μLを各ウエルに加えた。33P−ATPおよびポリE4Y(Sigmaから入手した)の添加により、反応を開始させた。20分後に、4mM ATPを含む50μLの30%トリクロロ酢酸(TCA)を用いて反応を停止させた。反応混合物を0.66mm GFフィルタープレート(Corning)に移し、5%TCAで3回洗浄した。50μLのUltimate Gold(商標)高効率シンチレーション液(Packard Bioscience)の添加の後に、試料をPackerd TopCount NXT Microplateシンチレーションおよびルミネセンスカウンター(Packard Bioscience)で計数した。データを競合的強結合阻害(competitive tight−binding inhibition)の速度論的モデルに適合させるためにMicrosoft Excel Solverマクロを用いてK値を計算した。選択したK値を表2に示す。表における「A」は0.25μM以下のKを表し、「B」は0.25μMを超える、2.5μM以下のKを表し、「C」は2.5μMを超えるK値を表す。
【0142】
表2
【0143】
【表2−1】

【0144】
【表2−2】

【0145】
【表2−3】

【0146】
【表2−4】

【0147】
【表2−5】

【0148】
【表2−6】

【0149】
【表2−7】

【0150】
【表2−8】

【0151】
【表2−9】

【0152】
【表2−10】

本明細書で引用したすべての刊行物および特許は、各個別の刊行物または特許が明確かつ個別に参照として組み込まれると示されているかのように、参照として本明細書に組み込まれる。明確な理解の目的のために前述の発明を例示および実施例によりある程度詳細に記載したが、添付した特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、本発明に一定の変更および修正を行うことができることは本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかになるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化23】

を有する化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくはプロドラッグ[式中、
は、−C(O)NR−、−C(S)NR−、−S(O)NR−、−NRC(O)−、−NRC(S)−、−NRS(O)−、−NRC(O)NR−、−NRC(S)NR−または−C(RQ−から選択され、Qは、−NR−、−O−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり、
Xは、水素、ハロゲン、−OH、−OR、−SR、−CNまたは−N(Rであるか、あるいはXは、LのC(Rと一緒になって、N、OまたはSから選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5または6員複素芳香環を形成しており、
またはYのそれぞれがNまたはCHであり、YまたはYの少なくとも1つがNでなければならず、
Zは、−S−または−CH=CH−であり、
各Rは、独立に、水素またはハロゲン、−OH、−OR、−SR、−NO、−CNもしくは−N(Rから独立に選択される置換基で場合によって置換されたC1〜4脂肪族であるか、あるいは同じ炭素に結合した2つのR基は、N、OまたはSから選択される1〜2個の原子を場合によって含む3〜5員環を形成しており、
は、水素、ハロゲンまたはC1〜4脂肪族であるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって6員アリールまたは5〜6員ヘテロアリール環を形成しており、各環は最大2つのRAr1で場合によって置換されており、
は、Rで場合によって置換されたC1〜8脂肪族またはC〜C脂環式基;6もしくは10員アリール;窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール;または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリルであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルのそれぞれは1〜5つのRAr1で場合によって置換されており、あるいはRとRは一緒になって6員アリールまたは5〜6員ヘテロアリール環を形成しており、各環は最大2つのRAr1で場合によって置換されており、
各Rは、独立に、水素であるか、またはハロゲン、C1〜4脂肪族、ハロ(C1〜4脂肪族)、OR、O(ハロ(C1〜4脂肪族))、NO、CN、CO、C(O)N(RもしくはN(Rから独立に選択される1〜5つの基で場合によって置換されたC1〜4脂肪族であり、
は、Rと、Lが結合している炭素との間の共有結合であるか、またはハロゲン、C1〜4脂肪族、ハロ(C1〜4脂肪族)、OR、O(ハロ(C1〜4脂肪族))、NO、CN、CO、C(O)N(RもしくはN(Rから独立に選択される1〜5つの基で場合によって置換された飽和もしくは不飽和C1〜4アルキリデン鎖であり、前記アルキリデン鎖の最大2つの飽和炭素は、−C(O)−、−C(O)N(R)−、−C(O)N(R)N(R)−、−CO−、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−N(R)CO−、−N(R)S(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)N(R)−、−O−、−OC(O)−、−OC(O)N(R)−、−S−、−SO−、−S(O)−または−S(O)N(R)−により置換されており、
は、水素、Rで場合によって置換されたC1〜8脂肪族、C〜C脂環式基;6もしくは10員アリール環;窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環;または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環のそれぞれは1〜5つのRAr2で場合によって置換されており、
Rは、ハロゲン、−R、−OR、−SR、−OC(O)(C1〜8脂肪族)、Rで場合によって置換されたPh、Rで場合によって置換された−O(Ph)、Rで場合によって置換された−CH(Ph)、Rで場合によって置換された−CHCH(Ph)、−NO、−CN、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−NRNRC(O)R−、−NRNRC(O)N(R、−NRNRCO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)N(R、−OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NRSON(R、−NRSO、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rまたは−(CHNHC(O)Rであり、式中、yは1〜4であり、あるいは同じ炭素原子上の2つのRは一緒になって、=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(C1〜8脂肪族)、=NNHSO(C1〜8脂肪族)または=NRであり、
各RAr1またはRAr2は、ハロゲン、−R、−OR、−SR、1〜5つのRで場合によって置換されたPh、1つまたは複数のRで場合によって置換された−O(Ph)、1〜5つのRで場合によって置換された−(CH(Ph)、−NO、−CN、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCO、−NRNRC(O)R、−NRNRC(O)N(R、−NRNRCO、−C(O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)N(R、−OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NRSON(R、−NRSO、−C(S)N(R、−C(NH)N(Rおよび−(CHNHC(O)Rから独立に選択され、式中、yは1〜4であり、あるいは2つの隣接するRAr1またはRAr2は一緒になって1,2−メチレンジオキシまたは1,2−エチレンジオキシであり、
各Rは、独立に、水素またはC1〜4脂肪族であり、
各Rは、独立に、水素または場合によって置換されたC1〜8脂肪族であり、Rの前記場合によって置換された脂肪族の各置換基は、独立に、−NH、−NH(C1〜4脂肪族)、−N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、−OH、−O(C1〜4脂肪族)、−NO、−CN、−COH、−CO(C1〜4脂肪族)、−C(O)NH、−C(O)NH(C1〜4脂肪族)、−C(O)N(C1〜4脂肪族)、−O(ハロ(C1〜4脂肪族))またはハロ(C1〜4脂肪族)であり、あるいは同じ窒素上の2つのRは、窒素と一緒になって、窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成しており、
各Rは、独立に、水素、場合によって置換されたC1〜6脂肪族、非置換5〜6員ヘテロアリールまたは複素環式環、−Phまたは−O(Ph)であり、Rの前記場合によって置換された脂肪族の各置換基は、独立に、−NH、−NH(C1〜4脂肪族)、−N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、−OH、−O(C1〜4脂肪族)、−NO、−CN、−COH、−CO(C1〜4脂肪族)、−C(O)NH、−C(O)NH(C1〜4脂肪族)、−C(O)N(C1〜4脂肪族)、−O(ハロ(C1〜4脂肪族))またはハロ(C1〜4脂肪族)であり、あるいは同じ窒素上の2つのRは、窒素と一緒になって、窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成している]。
【請求項2】
Xが水素または−N(Rである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】

【化24】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】

【化25】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】

【化26】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
およびYのそれぞれがNである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
がNであり、YがCHである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が場合によって置換されたフェニルまたは5〜6員ヘテロアリール環である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
が、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾールまたはチアゾールから選択される場合によって置換されたヘテロアリール環である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が、Rで場合によって置換されたC1〜8脂肪族、C〜C脂環式基;6もしくは10員アリール環;窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環;または窒素、酸素および硫黄から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環のそれぞれが1〜5つのRAr2で場合によって置換されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
が、共有結合、−CH−または−N(R)−である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
が−N(R)−である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が水素である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が場合によって置換されたフェニルまたは5〜6員ヘテロアリール環である、請求項11に記載の化合物。
【請求項15】
が3位において置換されたフェニル環である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾールまたはチアゾールから選択される場合によって置換されたヘテロアリール環である、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

からなる化合物の群から選択される化合物。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容できる担体、アジュバントまたはビヒクルを含む医薬組成物。
【請求項19】
化学療法薬、抗増殖薬、アテローム動脈硬化症の治療薬または肺線維症の治療薬から選択される治療薬をさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
患者における増殖性障害を治療またはその重症度を軽減するための請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物または請求項18に記載の組成物の使用。
【請求項21】
前記増殖性障害が転移性癌である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記増殖性障害が、結腸癌、胃腺癌、膀胱癌、乳癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、甲状腺癌、頭部および頚部の癌、前立腺癌、膵臓癌、CNSの癌、神経膠芽腫または骨髄増殖性障害である、請求項20に記載の使用。
【請求項23】
前記増殖性障害がアテローム動脈硬化症または肺線維症である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記追加の治療薬が、アドリアマイシン、ラパマイシン、ゲムシタビン、シクロホスファミド、デキサメタゾン、エトポシド、フルオロウラシル、イマチニブメシレート、インターフェロン、カルボプラチン、トポテカン、タキソール、ビンブラスチンまたはビンクリスチンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
生物学的試料中のc−Metキナーゼ活性を阻害する方法であって、前記生物学的試料を請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物または請求項18に記載の組成物と接触させることを含む方法。

【公表番号】特表2010−519174(P2010−519174A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528341(P2009−528341)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/020222
【国際公開番号】WO2008/036272
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】